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特表2023-542368モータの駆動方法とモータ駆動用装置と制御設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】モータの駆動方法とモータ駆動用装置と制御設備
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/22 20160101AFI20230929BHJP
【FI】
H02P21/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518454
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2022084720
(87)【国際公開番号】W WO2022252795
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110608990.7
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517372472
【氏名又は名称】青島海尓空調器有限総公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER AIR CONDITIONER GENERAL CORP.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park,No.1 Haier Road,Laoshan District Qingdao,Shandong 266101 China
(71)【出願人】
【識別番号】523100571
【氏名又は名称】青島海尓空調電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER AIR-CONDITIONING ELECTRONIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park, No. 1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(71)【出願人】
【識別番号】520150337
【氏名又は名称】海尓智家股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】耿 宝寒
(72)【発明者】
【氏名】森 真人
(72)【発明者】
【氏名】王 朋朋
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA06
5H505BB02
5H505DD08
5H505EE41
5H505GG04
5H505JJ17
5H505LL22
(57)【要約】
本開示は、インバータエアコンコンプレッサー技術分野に関し、モータの駆動方法を開示する。モータの駆動方法は、エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するステップと、前記リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と、前記リアルタイム負荷情報に対応する調整パラメータ値とを決定するステップと、前記所定値を補正し、補正後の調整パラメータ値を取得し、補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するステップと、前記第2電流値と前記第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、前記第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、前記モータの励磁電流値を実励磁電流値に制御するステップとを含む。理論励磁電流値をより正確に補正することができ、モータが最適な励磁電流値の下で、入力電流が最小、すなわち入力電力が最小であるが、最大トルクを取得することができ、エネルギー消費が最小の場合、モータの効率を向上させることができる。本開示は、モータ駆動用装置と制御設備を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動方法であって、
エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するステップと、
前記リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と、前記リアルタイム負荷情報に対応する調整パラメータ値とを決定し、ここで、前記調整パラメータ値は所定値であるステップと、
前記所定値を補正し、第1回の補正後の調整パラメータ値を取得し、前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するステップと、
前記第2電流値と前記第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、前記第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、前記モータの励磁電流値を前記第1回の実励磁電流値に制御するステップとを含むモータの駆動方法。
【請求項2】
前記第1入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、前記モータの駆動方法は、
前記第1電流値が前記第2電流値より大きい場合、前記第1回の補正後の調整パラメータ値を補正して、第2回の補正後の調整パラメータ値を取得し、前記第2回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第2回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第3電流値として決定するステップと、
前記第3電流値と前記第1電流値に基づいて第2入力電流差値を決定し、前記第2入力電流差値が前記第1設定範囲内にある場合、前記モータの励磁電流値を前記第2回の実励磁電流値に制御するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項3】
前記所定値の決定方式は、
エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップと、
前記リアルタイム負荷情報が前記負荷情報データベースに一致しない場合、前記リアルタイム負荷情報に最も近い所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値を所定値として決定するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項4】
前記モータの駆動方法は、
エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定励磁電流値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップと、
前記リアルタイム負荷情報が前記負荷情報データベースに一致する場合、前記リアルタイム負荷情報に関連付けられた所定励磁電流値を第3回の実励磁電流値として取得し、前記モータの励磁電流値を第3回の実励磁電流値として制御するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項5】
前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定することは、
前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値との第1積を取得し、前記第1積を第1回の実励磁電流値として決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項6】
前記第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定することは、
前記理論励磁電流の絶対値と前記第1回の補正後の調整パラメータ値との第2積を取得し、前記第2積と前記理論励磁電流値との和を第1回の実励磁電流値として決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項7】
前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定することは、
前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値との和を取得し、前記和を第1回の実励磁電流値として決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のモータの駆動方法。
【請求項8】
前記複数の所定負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、及び最大加熱のうちの1つ以上からなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のモータの駆動方法。
【請求項9】
モータ駆動用装置であって、
プロセッサと、プログラムコマンドを格納するメモリと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムコマンドを実行する際に、請求項1から8のいずれか1項に記載のモータの駆動方法を実行するように構成されていることを特徴とする、モータ駆動用装置。
【請求項10】
制御設備であって、
請求項9に記載のモータ駆動用装置を含むことを特徴とする制御設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、出願番号202110608990.7、出願日2021年6月1日の中国特許出願に基づき、優先権を要求するものであり、中国特許出願の全ての内容は参考として本願に取り入れる。
【0002】
本願は、インバータエアコンコンプレッサー技術分野に関するものであり、例えば、モータの駆動方法とモータ駆動用装置と制御設備に関するものである。
【背景技術】
【0003】
インバータエアコンにおいて、圧縮機は消費電力が最も大きい装置、すなわち最も電力を消費する装置であり、省エネのために、圧縮機の駆動効率を高めることができる。例えば、圧縮機に使用されるモータの作動効率を高めることにより、圧縮機の駆動効率を高めることができる。
【0004】
現在、インバータエアコンの圧縮機には、埋め込み型永久磁石同期モータが多く用いられているが、これは、埋め込み型永久磁石同期モータの効率が高いため、圧縮機の作動効率を高めることができるからである。そして、埋め込み型永久磁石同期モータが高効率制御に達した状態は、モータにおける励磁電流が最小値に達したときであり、これと同時に最大のトルクが発生する。一般に、このようなモータに対して、励磁電流は、以下の式に従って取得することができる。
【0005】
負荷が一定の場合、この式は理想的な条件で得られたものであり、実際のモータ特性のパラメータには誤差があり、かつ、モータのパラメータをテストする際にも誤差があるため、上記の式で算出される値は真の最小値なわけではない。これらの誤差を補正するために、異なる負荷下での調整パラメータを記憶してから、計算時にこれらの調整パラメータを用いることができる。
【0006】
本開示の実施形態を実現する過程で、関連技術には少なくとも以下の問題が存在することが見出された。
【0007】
異なる各負荷に対して、対応する調整パラメータを記憶する必要があるため、調整作業が膨大で、記憶容量が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示される実施形態のいくつかの態様の基本的な理解のために、簡単な要約が以下に示される。この要約は、一般的なコメントではなく、重要/重要な構成要素を決定したり、これらの実施形態のガード範囲を示すものでもなく、後に示される詳細な説明への前置きとして提供されるものである。
【0009】
本開示の実施形態は、異なる各負荷に対して、対応する調整パラメータを記憶する必要があるため、調整作業が膨大で、記憶容量が大きいという技術的問題を解決するために、モータ駆動のための方法、装置及び圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつの実施例において、モータの駆動方法は、
エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するステップと、前記リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と、前記リアルタイム負荷情報に対応する調整パラメータ値とを決定し、ここで、前記調整パラメータ値は所定値であるステップと、前記所定値を補正し、第1回の補正後の調整パラメータ値を取得し、前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するステップと、前記第2電流値と前記第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、前記第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、前記モータの励磁電流値を前記第1回の実励磁電流値に制御するステップとを含む。
【0011】
選択的に、前記第1入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、前記モータの駆動方法は、前記第1電流値が前記第2電流値より大きい場合、前記第1回の補正後の調整パラメータ値を補正して、第2回の補正後の調整パラメータ値を取得し、前記第2回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第2回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第3電流値として決定するステップと、前記第3電流値と前記第1電流値に基づいて第2入力電流差値を決定し、前記第2入力電流差値が前記第1設定範囲内にある場合、前記モータの励磁電流値を前記第2回の実励磁電流値に制御するステップとをさらに含む。
【0012】
選択的に、前記所定値の決定方式は、エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップと、前記リアルタイム負荷情報が前記負荷情報データベースに一致しない場合、前記リアルタイム負荷情報に最も近い所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値を所定値として決定するステップと、を含む。
【0013】
選択的に、前記モータの駆動方法は、エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定励磁電流値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップと、前記リアルタイム負荷情報が前記負荷情報データベースに一致する場合、前記リアルタイム負荷情報に関連付けられた所定励磁電流値を第3回の実励磁電流値として取得し、前記モータの励磁電流値を第3回の実励磁電流値として制御するステップとをさらに含む。
【0014】
選択的に、前記の「前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し」とのことは、前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値との第1積を取得し、前記第1積を第1回の実励磁電流値として決定することを含む。
【0015】
選択的に、前記の「前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し」とのことは、前記理論励磁電流の絶対値と前記第1回の補正後の調整パラメータ値との第2積を取得し、前記第2積と前記理論励磁電流値との和を第1回の実励磁電流値として決定することを含む。
【0016】
選択的に、前記の「前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し」とのことは、前記第1回の補正後の調整パラメータ値と前記理論励磁電流値との和を取得し、前記和を第1回の実励磁電流値として決定することを含む。
【0017】
選択的に、前記複数の所定負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、最大加熱のうちの1つ以上からなる。
【0018】
選択的に、いくつかの実施例において、前記モータ駆動用装置は、プロセッサと、プログラムコマンドを格納するメモリと、を備え、前記プロセッサは、前記プログラムコマンドを実行する際に、前記実施例のモータの駆動方法を実行するように構成されている。
【0019】
選択的に、いくつかの実施例において、前記制御設備は、前記実施例のモータ駆動用装置を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示に提供されるモータの駆動方法とモータ駆動用装置と制御設備によって、以下の効果が得られる。
【0021】
モータの駆動方法は、エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するステップと、リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と調整パラメータ値とを決定し、調整パラメータ値を補正して、第1回の補正後の調整パラメータ値を取得するステップと、第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するステップと、第2電流値と第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、モータの励磁電流値を第1回の実励磁電流値に制御するステップとを含む。この方法は、大量の負荷情報及び負荷情報に対応する調整パラメータ値を記憶する必要がなく、かつ、理論励磁電流値をより正確に補正することができ、モータが最適な励磁電流値の下で、入力電流が最小、すなわち入力電力が最小であるが、最大トルクを取得することができ、エネルギー消費が最小の場合、モータの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
1つ以上の実施例は、それに対応する図面を通じて例示的に説明され、これらの例示的な説明と図面は実施形態の限定を構成するものではなく、同じ参照番号を持つ要素は類似の要素として示され、図面は比例制限を構成しない。
図1】本開示の実施例が提供するモータの駆動方法の概略図である。
図2】本開示の実施例が提供する、ほかのモータの駆動方法の概略図である。
図3】本開示の実施例が提供する、ほかのモータの駆動方法の概略図である。
図4】本開示の実施例が提供する、ほかのモータの駆動方法の概略図である。
図5】本開示の実施例が提供するモータ駆動用装置の概略図である。
図6】本開示の実施例が提供する、ほかのモータ駆動用装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態の特徴と技術内容をより詳細に理解するために、以下に添付図面と関連して本開示の実施形態の実現について詳細に述べる。添付図面は参照説明のためだけのものであり、本開示の実施形態を限定するためのものではない。以下の技術的説明では、説明を容易にするために、開示された実施形態の十分な理解を提供するために、複数の詳細にわたる。しかし、これらの詳細なしに、1つ以上の実施形態を実施することができる。他の場合には、図面を簡略化するために、周知の構造および装置を簡略化して示すことができる。
【0024】
本開示の実施形態の明細書及び特許請求の範囲並びに上述の図面における用語「第1」、「第2」等は、特定の順序又は優先順位を記述するために使用する必要はなく、類似のオブジェクトを区別するためのものである。このように使用されるデータは、本開示の実施形態のために適切な場合に交換可能であることを理解すべきである。さらに、用語「含む」と「有する」、およびそれらの変形は、その包含を上書きしないことを意図している。
【0025】
特に断らない限り、用語「複数」は2つ以上を意味する。
【0026】
本開示の実施形態において、文字「/」は、前後のオブジェクトがORである関係を表す。例えば、A/BはAまたはBを表す。用語「および/または」は、オブジェクトを記述する関連関係であり、3つの関係が存在することができることを意味する。例えば、Aおよび/またはBは、AまたはB、または、AとBの3つの関係を表す。
【0027】
図1に示すように、モータの駆動方法は、
エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するステップS101と、
リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と、リアルタイム負荷情報に対応する調整パラメータの値とを決定し、ここで、調整パラメータの値は所定値であるステップS102と、
所定値を補正し、第1回の補正後の調整パラメータ値を取得し、第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するステップS103と、
第2電流値と第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、前モータの励磁電流値を第1回の実励磁電流値に制御するステップS104と、を含む。
【0028】
モータが始動し、エアコンのリアルタイム負荷情報と、電流検出素子によって検出されたモータの現在の入力電流値である第1電流値を取得する。ここで、負荷情報は、この時点でのエアコンの冷房または暖房モード、およびエアコンに設定された温度情報であってもよい。
【0029】
リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値は、以下の式によって決定される。
【0030】
また、リアルタイム負荷情報に対応する調整パラメータ値を決定することもでき、ここで、調整パラメータ値は所定値であってもよい。一例として、所定値は、シミュレーションまたは実験によって決定されるリアルタイム負荷に対応する値であってもよいし、自主的に設定される値、例えば1であってもよい。
【0031】
一例として、所定値を補正処理することにより、要求を満たす励磁電流値を決定することができる。ここで、補正の方式は、1つの数値を加算し、1つの数値を減算し、1つの数値を乗算し、または、1つの数値を除算することであり、補正後の調整パラメータ値を第1回の補正後の調整パラメータ値とし、第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定する。
【0032】
第1回の実励磁電流値を決定する方式は、第1回の補正後の調整パラメータ値を適用理論励磁電流値に乗算して第1積を取得し、第1積を第1回の実励磁電流値として決定することができ、この調整方式が最も基礎的な調整方式である。あるいは、理論励磁電流の絶対値と第1回の補正後の調整パラメータ値との第2積を用いて、第2積と理論励磁電流値との和を第1回の実励磁電流値として決定することができ、この調整方式は、元の励磁電流値の符号を超えることができ、最大の幅の調整範囲を取得することができる。あるいは、第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値との和を用いて、その和を第1回の実励磁電流値として決定することができ、この補正方法は、データが加減算されれば、補正可能であり、補正手段の計算資源を節約することができる。
【0033】
第1回の実励磁電流値を取得した後、第1回の実励磁電流値でモータを動作するように制御し、電流検出素子を用いて現在の入力電流値を検出し、第2電流値と表記する。第2電流値と第1電流値とを差分して、第1入力電流差値を取得する。第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、このときの調整パラメータ値は最適値であると考えられる。すなわち、このときの励磁電流値は最適値となり、最適な励磁電流が動作する状況下で、モータの入力電流が最小値となり、最大トルクの効率的な制御を発生することができる。この方法は、大量の負荷情報及び負荷情報に対応する調整パラメータ値を記憶する必要がなく、かつ、理論励磁電流値をより正確に補正することができ、モータが最適な励磁電流値の下で、入力電流が最小、すなわち入力電力が最小であるが、最大トルクを取得することでき、エネルギー消費が最小の場合、モータの効率を向上させることができる。
【0034】
第1入力電流差値が第1設定範囲を超える場合、本開示の実施形態は、要求を満たす励磁電流値を取得するように、補正処理をさらに行うことができる。図2に示すように、モータの駆動方法は、
第1電流値が第2電流値より大きい場合、第1回の補正後の調整パラメータ値を補正して、第2回の補正後の調整パラメータ値を取得し、第2回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第2回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第3電流値として決定するステップS201と、
第3電流値と第1電流値に基づいて第2入力電流差値を決定し、第2入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、モータの励磁電流値を第2回の実励磁電流値に制御するステップS202と、をさらに含む。
【0035】
第1入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、第1回の補正後に得られた励磁電流値は最適値ではないことを意味するため、励磁電流値を再度補正する必要がある。第1電流値が第2電流値より大きく、かつ、第1入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、再度の調整時に、第2電流値から第1電流値へ調整する必要があることを意味し、すなわち、第1回の補正後の調整パラメータ値から1つの数値を加算して、第2回の補正後の調整パラメータ値を取得する。
【0036】
第1電流値が第2電流値より小さく、かつ、第1入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、再度の調整時に、第2電流値から第1電流値へ調整する必要があることを意味し、すなわち、第1回の補正後の調整パラメータ値から1つの数値を減算して、第2回の補正後の調整パラメータ値を取得する。
【0037】
第2回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第2回の実励磁電流値を決定し、第2回の実励磁電流値を決定する方式は、ステップS102における第1回の実励磁電流値を取得する方式を参照する。また、第2回の実励磁電流値でモータを動作するように制御し、電流検出素子によってモータの現在の入力電流値を検出することもでき、この値を第3電流値とする。
【0038】
第3電流値と第1電流値との差値に基づいてこのときの第2入力電流差値を決定し、第2入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、モータの励磁電流値を第2回の実励磁電流値に制御する。
【0039】
第2入力電流差値が第1設定範囲内にない場合、第2入力電流差分値が第1設定範囲内にあるまでS201とS202を繰り返して行い、モータの励磁電流値を第n回の実励磁電流値に制御する。この方法は、大量の負荷情報及び負荷情報に対応する調整パラメータ値を記憶する必要がなく、かつ、理論励磁電流値をより正確に補正することができ、モータが最適な励磁電流値の下で、入力電流が最小、すなわち入力電力が最小であるが、最大トルクを取得することができ、エネルギー消費が最小の場合、モータの効率を向上させることができる。
【0040】
図3に示すように、前記所定値の決定方式は、
エアコンの複数の負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップS301と、
リアルタイム負荷情報が負荷情報データベースに一致しない場合、リアルタイム負荷情報に最も近い所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値を所定値として決定するステップS302と、をさらに含む。
【0041】
負荷情報データベースを取得し、負荷情報データベースには、エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定情報に対応する所定調整パラメータ値を保存し、この所定調整パラメータ値は、複数回の実験により取得することができる。ここで、複数の所定負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、最大加熱のうちの1つ以上からなる。
【0042】
リアルタイム負荷情報が負荷情報データベースに一致しない場合、リアルタイム負荷情報に最も近い所定負荷情報に対応する所定調整パラメータ値を所定値として決定する。ここで、リアルタイム負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、および最大加熱を含む。
【0043】
図4に示すように、モータの駆動方法は、
エアコンの複数の所定負荷情報と、各所定負荷情報に対応する所定励磁電流値とを含む、負荷情報データベースを取得するステップS401と、
リアルタイム負荷情報が前記負荷情報データベースに一致する場合、前記リアルタイム負荷情報に関連付けられた所定励磁電流値を第3回の実励磁電流値として取得し、前記モータの励磁電流値を第3回の実励磁電流値として制御するステップS402と、をさらに含む。
【0044】
エアコンの複数の所定負荷情報を含む負荷情報データベースを取得し、ここで、所定負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、最大加熱のうちの1つ以上からなる。そして、負荷情報データベースには、各所定負荷情報に対応する第3回の励磁電流値をさらに含み、これらの第3回の励磁電流値は、シミュレーションまたは演算により取得された経験値である。
【0045】
リアルタイム負荷情報を検出し、リアルタイム負荷情報が負荷情報データベースに一致できるかどうかを判断し、リアルタイム負荷情報が負荷情報データベースに一致する場合、リアルタイム負荷情報に関連付けられた第3回の実励磁電流値を取得し、かつ、モータの励磁電流値を第3回の実励磁電流値に制御する。このような技術案により、応答速度の向上に寄与し、効率的な制御を実現する最適な調整作業を容易にし、作業時間を短縮することができる。リアルタイム負荷情報が負荷情報データベースに一致しない場合、S101からS103のステップを用いて実現する。
【0046】
任意選択的に、複数の所定負荷情報は、中間冷却、中間加熱、定格冷却、定格加熱、最大加熱のうちの1つ以上からなる。
【0047】
これらの負荷情報は、全て記憶してもよいし、適切なものをいくつか選択して記憶してもよい。性能要求に対して、制御が安定した後の実際な動作の制御を比較的重視する場合、その状態に大きな影響を与える中間冷却、中間加熱を選択して記憶することができる。定格能力を比較的重視する場合、定格冷却および/または定格加熱を選択して記憶することができる。
【0048】
図5に示すように、モータ駆動用装置は、取得モジュール51と、第1決定モジュール52と、第2決定モジュール53と、制御モジュールとを備える。ここで、取得モジュール51は、エアコンのリアルタイム負荷情報を取得し、モータの現在の入力電流値を第1電流値として決定するように構成される。第2決定モジュール52は、リアルタイム負荷情報に対応する理論励磁電流値と調整パラメータ値とを決定し、ここで、調整パラメータ値は所定値であるように構成される。第2の決定モジュール53は、第1所定値を補正して、第1回の補正後の調整パラメータ値を取得し、第1回の補正後の調整パラメータ値と理論励磁電流値に基づいて第1回の実励磁電流値を決定し、モータの現在の入力電流値を第2電流値として決定するように構成される。制御モジュール54は、第2電流値と第1電流値に基づいて第1入力電流差値を決定し、第1入力電流差値が第1設定範囲内にある場合、モータの励磁電流値を第1回の実励磁電流値に制御するように構成される。
【0049】
図6に示されるように、本開示の実施例は、プロセッサ100およびメモリ101を含むモータ駆動用装置を提供する。選択的に、前記モータ駆動用装置は、通信インターフェース102とバス103とをさらに含んでもよい。ここで、プロセッサ100、通信インターフェース102、メモリ101は、バス103を介して相互間の通信を達成することができる。通信インターフェース102は、情報伝送のために使用され得る。プロセッサ100は、メモリ101内のロジック命令を呼び出して、上述した実施形態のモータ駆動方法を実行することができる。
【0050】
また、上記メモリ101内の論理的命令は、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、スタンドアロン製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。
【0051】
メモリ101は、本開示の実施形態における方法に対応するプログラム命令/モジュールなどのコンピュータ実行可能プログラム、ソフトウェアプログラムを記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体として使用され得る。プロセッサ100は、メモリ101に格納されたプログラム命令/モジュールを実行することにより、機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上記実施形態におけるモータ駆動のための方法を実現する。
【0052】
メモリ101は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションを保存する保存プログラム領域、及び保存データ領域を含み、記憶データ領域は、端末装置の使用に応じて生成されたデータ等を記憶することができる。なお、メモリ101は、高速ランダムアクセスメモリを含んでいてもよいし、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0053】
本開示の実施例は、上述のモータ駆動用装置を含む制御装置を提供する。
【0054】
本開示の実施例は、上記のモータ駆動用の方法を実行するように構成されたコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0055】
本開示の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに、上記のモータ駆動用の方法を実行させるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム製品を提供する。
【0056】
上記のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよいし、非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【0057】
本開示の実施例の技術案は、記憶媒体に記憶されたソフトウェア製品の形態で具現化することができ、記憶媒体は、1つまたは複数の命令を含み、1つまたは複数の命令は、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスなどとすることができる)に、本開示の実施形態で説明された方法のステップのすべてまたは一部を実行させる。前記記憶媒体は、U-ディスク、モバイルハードディスク、リードオンリーメモリ( ROM、Read-Only Memory )、ランダムアクセスメモリ( RAM、Random Access Memory )、磁気ディスク、または光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶できる媒体を含む非一時的記憶媒体であってもよいし、一時的記憶媒体であってもよい。
【0058】
上記の説明および図面は、当業者が本開示を実施することを可能にするために、本開示の実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、プロセス的、及び他の変更を含み得る。実施形態は、可能な変形例を表すに過ぎない。別個の構成要素及び機能は、明示的に要求されない限り任意であり、動作の順序は、様々であり得る。いくつかの実施形態の一部及び特徴は、他の実施形態の一部及び特徴に含まれてもよく、又は他の実施形態の一部及び特徴に置換されてもよい。さらに、本出願で使用される用語は、単に実施形態を説明するためのものであり、特許請求の範囲を限定するためのものではない。実施形態及び特許請求の範囲の記載で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに指示しない限り、複数形も含むことを意図する。同様に、本出願において使用される用語「および/または」は、1つまたは複数の関連付けられたリストを含む、任意の可能な組み合わせおよびすべてを指す。さらに、本出願で使用される場合、用語「含む( comprise )」およびその変形「含む( comprises )」および/または「含む( comprising )」などは、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を除外しない。「…を含む」という表現によって定義される要素は、これ以上限定せずに、追加の同一の要素が、その要素を含むプロセス、方法、または装置内に存在することを除外しない。ここで、各実施形態は、他の実施形態とは異なる点を強調して示されており、様々な実施形態の同様の部分は、相互に参照され得る。実施形態に開示された方法、製品などに関して、それらが実施形態に開示された方法の部分に対応する場合、それらの関連箇所は方法の部分の説明を参照されたい。
【0059】
当業者は、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例のユニットおよびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、またはコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組合せで実装され得ることを認識するであろう。これらの機能がハードウェアまたはソフトウェアのいずれの方法で実行されるかは、特定の用途および技術案の設計制約に依存し得る。当業者は、説明された機能を実装するために、特定の適用例ごとに異なる方法を使用し得るが、そのような実装は、本開示の実施形態の範囲から逸脱すると解釈されるべきではない。当業者は、説明の便宜及び簡潔のために、上記説明したシステム、装置及びユニットの具体的な動作過程は、前述の方法の実施例における対応する過程を参照してもよく、ここで繰り返し述べないことを明確に理解することができる。
【0060】
本明細書に開示された実施形態では、開示された方法、製品(限定ではないが、装置などを含む)は、他の方法で実装され得る。例えば、上述した装置の実施形態は単なる例示であり、例えば、説明されたユニットの分割は、1つの論理機能の分割のみであってもよく、実際に実装される場合、追加の分割があってもよく、例えば、複数のユニット又は構成要素が別のシステムに結合されても又は統合されてもよく、又はいくつかの特徴が省略されても又は実行されなくてもよい。さらに、図示または説明した相互の結合または直接結合または通信接続は、電気的、機械的、または他の形態の、何らかのインターフェース、装置またはユニットを介した間接的な結合または通信接続であってもよい。前記分離手段として説明された手段は、物理的に分離されても、または分離されなくてもよく、手段として示された手段は、物理的な手段であっても、または分離されなくてもよく、すなわち、一箇所に位置してもよく、または複数のネットワーク要素に分散されてもよい。なお、本実施形態は、必要に応じてその一部または全部を選択して実施することができる。また、本開示の実施形態における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、各ユニットが物理的に別個に存在してもよいし、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。
【0061】
図面のフローチャート及びブロック図は、本開示の実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部を表すことができる。幾つかの代替的な実施態様では、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序とは異なる順序で生じてもよい。例えば、2つの連続するブロックは、実際には、実質的に並列に実行されてもよく、時には、含まれる機能に応じて逆順に実行されてもよい。図面のフローチャート及びブロック図に対応する説明において、異なるブロックに対応する動作又はステップは、説明に開示された順序とは異なる順序で行われてもよく、異なる動作又はステップの間に特定の順序がない場合もある。例えば、2つの連続する動作又はステップは、実際には実質的に並列に実行されてもよく、時には逆の順序で実行されてもよく、これは、関与する機能に応じて異なってもよい。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用ハードウェアベースのシステムで実装されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】