(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ベンゾチアゾール及びキノリン誘導体並びにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 215/38 20060101AFI20230929BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230929BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230929BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230929BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230929BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230929BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230929BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20230929BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230929BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230929BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20230929BHJP
C07D 277/82 20060101ALI20230929BHJP
C07D 487/08 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20230929BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
C07D215/38 CSP
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/04
A61P35/00
A61P27/02
A61P25/06
A61P1/02
A61P11/04
A61K31/496
A61K31/454
C07D417/12
C07D277/82
C07D487/08
A61K31/4985
A61K31/5377
A61K31/428
A61K31/498
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518944
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2021119802
(87)【国際公開番号】W WO2022063153
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/117437
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520000308
【氏名又は名称】シャンハイ・ヤオ・ユアン・バイオテクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ダンヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュ,コン
(72)【発明者】
【氏名】メルビン,ローレンス・エス,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ション
(72)【発明者】
【氏名】リ,トンルエイ・レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジェチン
(72)【発明者】
【氏名】パン,イェンファン
(72)【発明者】
【氏名】ダン,フアイシン
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンシュタイン,ヘンリ
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ティアン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA03
4C050BB02
4C050CC08
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC62
4C063DD03
4C063DD10
4C063DD25
4C063DD34
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086BC52
4C086BC73
4C086BC84
4C086CB02
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA59
4C086ZA67
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC20
(57)【要約】
式(I)又は(II)の化合物及び関連する組成物、並びにそれらをαキナーゼ1(ALPK1)の阻害剤として使用するための方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
R
1は、水素、ハロゲン、-CX
3、-CHX
2、-CH
2X、-OCX
3、-OCH
2X、-OCHX
2、-OR
1A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであり、
R
2は、水素又はハロゲンであり、
各R
3及びR
4は、独立して、ハロゲン、-OR
3A、又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
R
5は、水素、-NR
5BR
5C、-(CH
2)
n5NR
5BR
5C、-C(O)NR
5BR
5C、-O(CH
2)
m5OR
5A、-C(O)OR
5A、-OR
5A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
6は、水素、-NR
6BR
6C、-(CH
2)
n6NR
6BR
6C、-C(O)NR
6BR
6C、-O(CH
2)
m6OR
6A、-C(O)OR
6A、-OR
6A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
7は、水素、-NR
7BR
7C、-(CH
2)
n7NR
7BR
7C、-C(O)NR
7BR
7C、-O(CH
2)
m7OR
7A、-C(O)OR
7A、-OR
7A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
7アルキル、置換若しくは非置換2~7員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
Xは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり、
各n5、n6、及びn7は、独立して、1~4の整数であり、
各m5、m6、及びm7は、独立して、1~4の整数であり、
各R
1A、R
3A、R
5A、R
5B、R
5C、R
6A、R
6B、R
6C、R
7A、R
7B、及びR
7Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル、又は置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキルであるか、あるいは
R
5B及びR
5Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、R
6B及びR
6Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、あるいはR
7B及びR
7Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するが、
ただし、R
2、R
5、R
6、及びR
7が水素であり、R
3及びR
4が-Fである場合、R
1が-OCH
3ではない、化合物又はその塩。
【請求項2】
R
6及びR
7が、水素であり、
R
5B及びR
5Cが、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造を有し、
【化2】
式中、
L
1は、結合、-C(O)-、又は-(CH
2)
n5であり、
R
9は、水素、-(CH
2)
mOH、-(CH
2)
m(C
6H
5)、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、又は置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、独立して、水素、-OR
10A、-C(O)OR
10A、-NR
10BR
10C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4のうちの1つ以上が、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各mは、独立して、1~4の整数であり、
各R
10A、R
10B、及びR
10Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル、置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
L
1が、結合、-C(O)-、メチレン、又はエチレンであり、
R
9が、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
L
1が、結合であり、
R
9が、水素、メチル、エチル、プロピル
【化3】
である、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項6】
各R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4が、独立して、水素、オキソ、又は非置換C
1-C
4アルキル、-C(O)OH、又は-CH
2OHである、請求項3~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の構造:
【化4】
を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、水素、ハロゲン、非置換C
1-C
4アルキル、非置換C
3-C
6シクロアルキル、-OCX
3、-OCH
2X、-OCHX
2、又は-OR
1Aであり、R
1Aが、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R
1が、水素、メチル、エチル、-C≡CH、-C≡CH-CH
3、-OH、-OCH
3、-OCHF
2、-OCH
2F、-OCF
3、-F、-Cl、又は-Brである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R
2が、水素、-F、-Cl、又は-Brである、請求項7~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、
【化5-1】
【化5-2】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
以下の構造:
【化6】
を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
各R
3及びR
4が、独立して、-F、-Cl、-Br、又はメチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化7】
である、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
R
5が、
【化8】
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
R
5及びR
7が、水素であり、
R
6B及びR
6Cが、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造を有し、
【化9】
式中、
L
1は、結合、-C(O)-、又は-(CH
2)
n6であり、
R
9は、水素、-(CH
2)
mOH、-(CH
2)
m(C
6H
5)、-C(O)NR
9BR
9C、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、独立して、水素、-OR
10A、-C(O)OR
10A、-NR
10BR
10C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各mは、独立して、1~4の整数であり、
各R
9B、R
9C、R
10A、R
10B、及びR
10Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル、置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4が、水素である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R
9が、メチル、エチル、プロピル、-C(O)NH
2、
【化10】
である、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
R
6及びR
7が、水素であり、
R
5が、置換又は非置換ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
以下の構造を有し、
【化11】
式中、
kは、1又は2であり、
各R
10.1、R
10.2、及びR
10.3は、独立して、水素、-OR
10A、-C(O)OR
10A、-NR
10BR
10C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
10.1、R
10.2、及びR
10.3のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又は複素環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
mは、1~4の整数であり、
各R
10A、R
10B、及びR
10Cは、独立して、水素又は非置換C
1-C
6アルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
各R
10.1、R
10.2、及びR
10.3が、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH
3、-NH
2、-OH、又は-(CH
2)OHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R
10.1が、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH
3、-NH
2、-OH、又は-(CH
2)OHであり、R
10.2及びR
10.3が、水素である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
R
6及びR
7が、水素であり、R
5が、置換又は非置換モルホリニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
以下の構造:
【化12】
を有する、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
R
6及びR
7が、水素であり、
R
5が、水素、-O(CH
2)
mOH、-NHR
5C、モルホリニル、ピリジル、又は置換若しくは非置換フェニルであり、
R
5Cが、-(CH
2)
mOH、-(CH
2)
mNH
2、-(CH
2)
mNHCH
3、及び-(CH
2)
mN(CH
3)
2であり、
各mが、独立して、1~4の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
R
5が、
【化13】
である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
R
1が、水素、ハロゲン、非置換C
1-C
4アルキル、非置換C
3-C
6シクロアルキル、-OCX
3、-OCH
2X、-OCHX
2、又は-OR
1Aであり、R
1Aが、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項2~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
R
1が、水素、メチル、エチル、-C≡CH、-C≡CH-CH
3、-OH、-OCH
3、-OCHF
2、-OCH
2F、-OCF
3、-F、-Cl、又は-Brである、請求項2~28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
R
1が、-OCH
3である、請求項20~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
R
1が、-OCH
3、シクロプロピル、又は-Brである、請求項26又は27に記載の化合物。
【請求項32】
R
2が、水素又はハロゲンである、請求項2~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
各R
3及びR
4が、独立して、ハロゲン又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項2~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
各R
3及びR
4が、独立して、-F、-Cl、又はメチルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、表1の化合物である、請求項2~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が、
【化14】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
以下の構造を有する化合物であって、
【化15】
式中、
Wは、-CR
18=又は-N=であり、
R
11は、水素、ハロゲン、-CX’
3、-CHX’
2、-CH
2X’、-OCX’
3、-OCH
2X’、
-OCHX’
2、-OR
11A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであり、
各R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、ハロゲン、-OR
12A、又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
R
15は、水素、-NR
15BR
15C、-(CH
2)
n15NR
15BR
15C、-C(O)NR
15BR
15C、-O(CH
2)
m15OR
15A、-OR
15A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
16は、水素、-NR
16BR
16C、-(CH
2)
n16NR
16BR
16C、-C(O)NR
16BR
16C、-O(CH
2)
m16OR
16A、-OR
16A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
17は、水素、-NR
17BR
17C、-(CH
2)
n17NR
17BR
17C、-C(O)NR
17BR
17C、-O(CH
2)
m17OR
17A、-OR
17A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
18は、水素又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
X’は、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり、
各n15、n16、及びn17は、独立して、1~4の整数であり、
各m15、m16、及びm17は、独立して、1~4の整数であり、
各R
11A、R
12A、R
15A、R
15B、R
15C、R
16A、R
16B、R
16C、R
17A、R
17B、及びR
17Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル、又は置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキルであるか、あるいは
R
15B及びR
15Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、R
16B及びR
16Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、あるいはR
17B及びR
17Cが、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成する、化合物
又はその塩。
【請求項38】
R
16及びR
17が、水素であり、
R
15B及びR
15Cが、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
以下の構造を有し、
【化16】
式中、
L
11は、結合又は-(CH
2)
n15であり、
R
19は、水素、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、又は置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、独立して、水素、-OR
20A、-C(O)OR
20A、-NR
20BR
20C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
qは、0~8の整数である。
各m’は、独立して、1~4の整数であり、
各R
19A、R
20A、R
20B、及びR
20Cは、独立して、水素又は置換若しくは非置換C
1-C
6アルキルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
R
15及びR
17が、水素であり、
R
16B及びR
16Cが、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
以下の構造を有し、
【化17】
式中、
L
11は、結合、-(CH
2)
n16であり、
R
19は、水素、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、又は置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、独立して、水素、オキソ、-OR
20A、-C(O)OR
20A、-NR
20BR
20C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各m’は、独立して、1~4の整数であり、
各R
19A、R
20A、R
20B、及びR
20Cは、独立して、水素又は置換若しくは非置換C
1-C
6アルキルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項42】
L
11が、結合又はメチレンであり、
R
19が、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項39又は41に記載の化合物。
【請求項43】
R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4が、水素である、請求項39、41、及び42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
以下の構造を有し、
【化18】
式中、
k’は,1又は2であり、
各R
20.1、R
20.2、及びR
20.3は、独立して、水素、オキソ、-OR
20A、-C(O)OR
20A、-NR
20BR
20C、-(CH
2)
m’OH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
20.1、R
20.2、及びR
20.3のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又は複素環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各m’は、独立して、1~4の整数であり、
各R
20A、R
20B、及びR
20Cは、独立して、水素又は非置換C
1-C
6アルキルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項45】
各R
20.1、R
20.2、及びR
20.3が、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH
3、-NH
2、-OH、又は-(CH
2)OHである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
R
20.1が、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH
3、-NH
2、-OH、又は-(CH
2)OHであり、R
20.2及びR
20.3が、水素である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
R
11が、水素、ハロゲン、非置換C
2-C
4アルキニル、非置換C
1-C
4アルキル、非置換C
3-C
6アルキル、-OCX’
3、-OCH
2X’、-OCHX’
2、又は-OR
11Aであり、R
11Aが、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項37~46のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
R
11が、水素、-OCH
3、又は-Brである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
R
12が、水素、ハロゲン、又は-OR
12Aであり、R
12Aが、水素又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項37~48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
R
12が、水素、-OCH
3、又はハロゲンである、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
各R
13及びR
14が、独立して、水素、ハロゲン、又は非置換C
1-C
4アルキルである、請求項37~49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
R
13及びR
14が、-Fである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
R
18が、水素又はメチルである、請求項37~52のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
前記化合物が、表2の化合物である、請求項37~53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
前記化合物が、
【化19】
である、請求項37に記載の化合物。
【請求項56】
請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項57】
ALPK1キナーゼ活性の阻害を、かかる療法を必要とする対象の細胞又は組織において行うための方法であって、前記対象に、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項58】
炎症の阻害又は低減を、かかる治療を必要とする対象の標的組織において行うための方法であって、前記対象に、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項59】
過剰又は不適切なALPK1依存性炎症誘発性シグナル伝達を特徴とする疾患、障害、又は状態の治療を、かかる療法を必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項60】
前記疾患、障害、又は状態が、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、「網膜ジストロフィー、視神経浮腫、脾腫、無汗症、及び片頭痛」(「ROSAH」)症候群、並びに「周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び腺炎」(「PFAPA」)症候群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記がんが、肺がん、結腸がん、及び口腔扁平上皮がんから選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患又は障害が、ROSAHである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患又は障害が、PFAPAである、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患又は障害が、らせん腺腫又はらせん腺がんである、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患又は障害が、全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患又は障害が、敗血症である、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
かかる療法を必要とする前記対象が、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である、請求項59~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
ALPK1キナーゼ活性の阻害を、かかる療法を必要とする対象の細胞又は組織において行うための方法であって、前記対象に、請求項1~55のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項69】
炎症の阻害又は低減を、かかる治療を必要とする対象の標的組織において行うための方法であって、前記対象に、請求項7~14のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項70】
過剰又は不適切なALPK1依存性炎症誘発性シグナル伝達を特徴とする疾患、障害、又は状態の治療を、かかる療法を必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項7~14のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項71】
前記疾患、障害、又は状態が、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、「網膜ジストロフィー、視神経浮腫、脾腫、無汗症、及び片頭痛」(「ROSAH」)症候群、並びに「周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び腺炎」(「PFAPA」)症候群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記がんが、肺がん、結腸がん、及び口腔扁平上皮がんから選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記疾患又は障害が、ROSAHである、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記疾患又は障害が、PFAPAである、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患又は障害が、らせん腺腫又はらせん腺がんである、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患又は障害が、全身性エリテマトーデス(SLE)である、請求項71に記載の方法。
【請求項77】
前記疾患又は障害が、敗血症である、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
かかる療法を必要とする前記対象が、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である、請求項70~77のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、αプロテインキナーゼ1(ALPK1)の阻害剤としての活性を有するベンゾチアゾール及びキノリン誘導体、並びにそれらを療法に使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
αキナーゼは、従来のプロテインキナーゼとの配列類似性をほとんど示さない。合計6つのαキナーゼメンバーが同定されている。これらには、αプロテインキナーゼ1(ALPK1)、ALPK2、ALPK3、伸長因子2キナーゼ(eEF2K)、並びに一過性受容体電位カチオンチャネルM6及びM7(TRPM6及びTRPM7)が含まれる。Ryazanov et al.,Curr Biol 9:R43-45(1999)及びRyazanov et al.,Proc Natl Acad Sci USA 94:4884-4889(1997)を参照されたい。
【0003】
ALPK1は、細胞質内セリンスレオニンプロテインキナーゼであり、フォークヘッド関連ドメインを有するTRAF相互作用タンパク質(TIFA)依存性の炎症誘発性核因子-κ-B(NFkB)シグナル伝達を介して、細菌に対する自然免疫応答を活性化する際に重要な役割を果たす。Zimmermann et al.Cell Rep.20:2384-2395(2017)、Milivojevic et al.,PLoS Pathog.13:E1006224-E1006224(2017)、及びZhou et al.,Nature 561:122-126(2018)を参照されたい。
【0004】
ALPK1シグナル伝達の不適切な活性化は、過剰又は不適切な炎症に関連する疾患及び障害に関与している。例えば、ALPK1は、尿酸ナトリウム一水和物(MSU)誘発性炎症及び痛風に関与している。Lee et al.,Sci.Rep.6:25740-25740(2016)。ALPK1発現の上昇は、口腔扁平上皮がんにおけるリンパ節転移及び腫瘍増殖にも関連している。Chen et al.,Am J Pathol 189:190-199(2019)。更に、ALPK1の遺伝子変異は、らせん腺腫、らせん腺がん、「網膜ジストロフィー、視神経浮腫、脾腫、無汗症、及び片頭痛」(「ROSAH」)症候群、及び「周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び腺炎」(「PFAPA」)症候群に関連している。例えば、Rashid et al.,Nature Communications(2019)、Williams et al.,Genetics in Medicine 21:2103-2115(2019)、及びSangiorgi et al.Eur.J.Human Genetics(2019)を参照されたい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ALPK1キナーゼ活性の阻害剤である、本明細書に記載の式I及びIIの化合物、並びに式I及びIIの下位実施形態、並びに関連する組成物及び方法を提供する。
【0006】
いくつかの態様では、以下の構造を有する式(I)の化合物が本明細書に提供される:
【化1】
又はその塩、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、本明細書で定義される通りである。
【0007】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I-A)で表され、
【化2】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、L
1、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、本明細書で定義される通りである。
【0008】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I-B)で表され、
【化3】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、L
1、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、本明細書で定義される通りである。
【0009】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I-C)で表され、
【化4】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、k、R
9、R
10.1、R
10.2、及びR
10.3は、本明細書で定義される通りである。
【0010】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I-D)で表され、
【化5】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上述の通りである。
【0011】
いくつかの態様では、以下の構造を有する化合物(II)が本明細書に提供される:
【化6】
又はその塩、
式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、及びR
17は、本明細書で定義される通りである。
【0012】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、式(II-A)又は(II-B)で表され、
【化7】
式中、R
11、R
12、R
13、R
14、L
11、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、本明細書で定義される通りである。
【0013】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、式(II-C)又は(II-D)で表され、
【化8】
式中、R
11、R
12、R
13、R
14、L
11、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、本明細書で定義される通りである。
【0014】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、式(II-E)又は(II-F)で表され、
【化9】
式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
20.1、R
20.2、及びR
20.3は、本明細書で定義される通りである。
【0015】
実施形態では、本開示は、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその下位実施形態、あるいはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
実施形態では、本開示は、かかる療法を必要とする対象の細胞又は組織におけるALPK1キナーゼ活性を阻害するための方法が提供され、本方法は、本明細書に記載される式(I)若しくは(II)の化合物、又はその下位実施形態を対象に投与することを含む。
【0017】
実施形態では、本開示は、かかる治療を必要とする対象の標的組織における炎症を阻害又は低減するための方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその下位実施形態を対象に投与することを含む。
【0018】
実施形態では、本開示は、かかる療法を必要とする対象における過剰又は不適切なALPK1依存性炎症誘発性シグナル伝達を特徴とする疾患、障害、又は状態を治療するための方法が提供され、本方法は、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその下位実施形態を対象に投与することを含む。
【0019】
実施形態では、疾患、障害、又は状態は、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、「網膜ジストロフィー、視神経浮腫、脾腫、無汗症、及び片頭痛」(「ROSAH」)症候群、並びに「周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び腺炎」(「PFAPA」)症候群から選択される。
【0020】
実施形態では、がんは、肺がん、結腸がん、及び口腔扁平上皮がんから選択される。
【0021】
実施形態では、疾患又は障害は、ROSAH及びPFAPAから選択される。
【0022】
実施形態では、疾患又は障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)である。
【0023】
実施形態では、疾患又は障害は、敗血症である。
【0024】
実施形態では、疾患又は障害は、らせん腺腫又はらせん腺がんである。
【0025】
実施形態では、かかる療法又は治療を必要とする対象は、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である。実施形態では、少なくとも1つの変異は、ALPK1活性化変異である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】:空のベクター、又はヒトALPK1(hALPK1)、hALPK1における活性化変異(T237M若しくはV1092A)、又はALPK1におけるキナーゼ不活性型変異(kinase dead mutation)と組み合わせた活性化変異(hALPK1-T237M-D1194S)をコードする発現ベクターで一過的にトランスフェクトされたHEK293細胞におけるIL-8分泌(pg/ml)を示す棒グラフ。
【
図2】:狼瘡動物モデルにおいて、13~22週齢のマウスに1日1回(QD)投与されるT007(50mg/kg)による経口(PO)処置は、蛋白尿、血清抗dsDNA抗体レベル、及び腎臓組織病理学の評価によって決定した場合、雌MRL/MpJ-faslpr/JマウスにおけるSLEに対して統計的に有意な有益な効果を示した。尿タンパク質スコアは、ビヒクル疾患対照群と比較して、T007で処置されたマウスにおいて21週齢のマウスで有意に(55%)低下した(AUCの34%の低下、p=0.100)。
【
図3A】:狼瘡動物モデルでは、腎臓組織病理学(右腎臓)の評価により、T007による処置が糸球体直径(38%減少)、半月体スコア(62%)、蛋白円柱スコア(70%)を有意に減少させることが示された。
【
図3B】:ビヒクル疾患対照群と比較した、狼瘡動物モデルにおける合計腎臓スコア(34%)。
【
図4】:敗血症誘発性急性腎損傷動物モデルでは、手術の2時間前に化合物T007(20mg/kg)を投与した。手術24時間後、生存率はその後の24時間にわたって記録した。データは、ALPK1阻害剤が動物の生存率を改善したことを示す。
【
図5】:敗血症誘発性急性腎損傷動物モデルにおいて、手術24時間後、腎臓を採取し、Q-PCRによる遺伝子発現分析を行った。結果は、ALPK1阻害剤T007が、IL6、TNFa、IL-1b、CCl2、及びケラチノサイト化学誘引性(KC)ケモカインを含む腎臓炎症誘発性遺伝子の発現を阻害したことを示す。*p<0.05、対CLPビヒクル
【
図6】:敗血症誘発性急性腎損傷動物モデルでは、手術の2時間前に化合物T007(20mg/kg)を投与した。手術後24時間、血漿中MCP-1濃度をELISAによって測定した。結果は、ALPK1阻害剤が血漿MCP-1レベルを改善したことを示す。***p<0.001対CLPビヒクル一元配置ANOVA
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、ALPK1の阻害剤である化合物、それを含む組成物、及び療法におけるそれらの使用方法を提供する。
【0028】
「ALPK1」という用語は、本明細書において、UniProtKB-Q96QP1(ALPK1_HUMAN)によって特定されるヒト配列のアイソフォーム1(Q96QP1-1)又は代替的なスプライスバリアントアイソフォーム2(Q96QP1-2)を同義的に指すように使用される。
【0029】
「アルキル」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、完全に飽和した一価若しくは多価不飽和であり得、一価、二価、及び多価ラジカルを含み得る直鎖(すなわち、非分岐)若しくは分岐炭素鎖(又は炭素)、又はそれらの組み合わせを意味する。アルキルは、C1-2、C1-3、C1-4、C1-5、C1-6、C1-7、C1-8、C1-9、C1-10、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C3-4、C3-5、C3-6、C4-5、C4-6、及びC5-6などの任意の数の炭素を含むことができる。アルキルは、非環化鎖である。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、メチルなどの基、ホモログ、及び異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
不飽和アルキル基、「アルケニル」又は「アルキニル」は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びにより大きいホモログ及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。アルケニルは、C2、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C2-7、C2-8、C2-9、C2-10、C3、C3-4、C3-5、C3-6、C4、C4-5、C4-6、C5、C5-6、及びC6などの任意の数の炭素を含むことができる。アルケニル基は、1、2、3、4、5以上を含むが、これらに限定されない任意の好適な数の二重結合を有することができる。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1つの二重結合を有する。アルケニル基は、置換又は非置換であり得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素を指す。アルケニルは、C2、C2-3、C2-4、C2-5、C2-6、C2-7、C2-8、C2-9、C2-10、C3、C3-4、C3-5、C3-6、C4、C4-5、C4-6、C5、C5-6、及びC6などの任意の数の炭素を含むことができる。アルキニル基は、1、2、3、4、5以上を含むが、これらに限定されない任意の好適な数の三重結合を有することができる。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、1つの三重結合を有する。アルキニル基は、置換又は非置換であり得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、示された数の炭素原子を有し、少なくとも2つの他の基(すなわち、二価炭化水素ラジカル)を連結する直鎖又は分枝鎖飽和脂肪族ラジカルを指す。アルキレンに連結された2つの部分は、アルキレン基の同じ原子又は異なる原子に連結され得る。例えば、直鎖アルキレンは、-(CH2)n-(式中、nは、1、2、3、4、5、又は6である)の二価ラジカルであり得る。代表的なアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、ペンチレン、及びヘキシレンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、置換又は非置換であり得る。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1~2つの置換基で置換されている。非限定的な例として、好適な置換基には、ハロゲン及びヒドロキシルが含まれる。
【0034】
アルキル部分は、アルケニル部分であり得る。アルキル部分は、アルキニル部分であり得る。アルキル部分は、完全飽和であり得る。アルケニルは、1つ以上の二重結合に加えて、2つ以上の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含み得る。アルキニルは、1つ以上の三重結合に加えて、2つ以上の三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含んでもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、アルキル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルキル基:アルキル-O-を指す。アルキル基に関しては、アルコキシル基は、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有することができる。アルコキシル基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。アルコキシ基は、置換又は非置換であり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルケニルオキシ」又は「アルケニルオキシル」という用語は、上記で定義されるように、アルケニル基を結合点に接続する酸素原子を有するアルケニル基:アルケニル-O-を指す。アルケニルオキシル基は、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有することができる。アルケニルオキシル基は、内に記載される様々な置換基で更に置換され得る。アルケニルオキシル基は、置換又は非置換であり得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」という用語は、本明細書で定義されるように、R’及びR’’は、各々独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、又はヒドロキシアルキルであり、例えば、アミノメチル、アミノエチル、メチルアミノメチルなどである、1~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル、又は-NR’R’’で置換された3~6つの炭素の分岐一価炭化水素ラジカルを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキルラジカルの水素原子の少なくとも1つがOHで置き換えられたアルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキルの例としては、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、及び4-ヒドロキシブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si、及びS)を含む、安定な直鎖若しくは分枝鎖、又はそれらの組み合わせを意味し、窒素及び硫黄原子が、任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意選択的に四級化されてもよい。ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、又はアルキル基が分子の残部に結合している位置に配置され得る。ヘテロアルキルは、非環化鎖である。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-S-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3、及び-CN。最大2つ又は3つのヘテロ原子は、連続していてもよく、例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3であり得る。ヘテロアルキル部分は、1つのヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。ヘテロアルキル部分は、2つの任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。ヘテロアルキル部分は、3つの任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。ヘテロアルキル部分は、4つの任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。ヘテロアルキル部分は、5つの任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。ヘテロアルキル部分は、最大8つの任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si、又はP)を含んでもよい。「ヘテロアルケニル」という用語は、それ自体で、又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1つの二重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルケニルは、任意選択的に、1つ以上の二重結合に加えて、2つ以上の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含み得る。「ヘテロアルキニル」という用語は、それ自体で、又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1つの三重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルキニルは、任意選択的に、1つ以上の三重結合に加えて、2つ以上の三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含み得る。
【0040】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、ヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味し、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-に例示されるが、これらに限定されない。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子はまた、鎖末端のいずれか又は両方を占めることができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。更に、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の式が記載されている方向によって連結基の配向が暗示されない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-及び-R’C(O)2-の両方を表す。上記のように、本明細書で使用される場合、ヘテロアルキル基には、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合される基、例えば、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、及び/又は-SO2R’などが含まれる。「ヘテロアルキル」が列挙され、続いて-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基が列挙される場合、ヘテロアルキル及び-NR’R’’という用語は、冗長又は相互に排他的ではないことが理解されるであろう。むしろ、明確にするために、特定のヘテロアルキル基が列挙される。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書では、-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を除外するものとして解釈されるべきではない。
【0041】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、又は他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ、「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状バージョンを意味する。シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、芳香族ではない。加えて、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残部に結合する位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれ、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「飽和又は不飽和」は、基内の原子のうちの2つが、単結合、二重結合、又は三重結合によって互いに結合され得る環状系を指す。飽和部分は、単結合のみを有する部分であり、この部分は、複数の結合(例えば、不飽和と呼ばれる少なくとも1つの二重結合又は少なくとも1つの三重結合)を有する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、3~10個の環原子、又は示される原子の数を含む飽和環アセンブリを指す。シクロアルキルは、C3-6、C4-6、C5-6、C3-8、C4-8、C5-8、C6-8などの任意の数の炭素を含むことができる。不飽和シクロアルキル環が、1つ又は2つの二重結合を有し得る場合、シクロアルキル環は、飽和又は不飽和であり得る。シクロアルキル環には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基は、置換又は非置換であり得る。実施形態では、「シクロアルキル」という用語は、単環式、二環式、又は多環式シクロアルキル環系を意味する。実施形態では、単環式環系は、3~8つの炭素原子を含む環状炭化水素基であり、このような基は、飽和又は不飽和であり得るが、芳香族ではない。実施形態では、シクロアルキル基は、完全飽和である。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。二環式シクロアルキル環系は、架橋された単環式環又は縮合二環式環である。実施形態では、架橋された単環式環は、単環式シクロアルキル環を含み、単環式環の2つの非隣接炭素原子が、1~3つの追加の炭素原子のアルキレン架橋によって連結される(すなわち、(CH2)wの形態の架橋基、式中、wが、1、2、又は3である)。二環式環系の代表的な例としては、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、及びビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、縮合二環式シクロアルキル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールのうちのいずれかと縮合した単環式シクロアルキル環を含む。実施形態では、架橋又は縮合二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。実施形態では、シクロアルキル基は、任意選択的に、独立してオキソ又はチアである1つ又は2つの基で置換される。実施形態では、縮合二環式シクロアルキルは、フェニル環、5若しくは6員単環式シクロアルキル、5若しくは6員単環式シクロアルケニル、5若しくは6員単環式ヘテロシクリル、又は5若しくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5若しくは6員単環式シクロアルキル環であり、縮合二環式シクロアルキルは、独立してオキソ又はチアである1若しくは2つの基によって任意選択的に置換される。実施形態では、多環式シクロアルキル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)独立してフェニル、二環式アリール、単環式若しくは二環式ヘテロアリール、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルケニル、及び単環式若しくは二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される2つの他の環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環(基礎環(base ring))である。実施形態では、多環式シクロアルキルは、基礎環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。実施形態では、多環式シクロアルキル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)独立してフェニル、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、及び単環式ヘテロシクリルからなる群から選択される2つの他の環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環(基礎環)である。多環式シクロアルキル基の例としては、テトラデカヒドロフェナントレニル、ペルヒドロフェノチアジン-1-イル、及びペルヒドロフェノキサジン-1-イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
実施形態では、シクロアルキルは、シクロアルケニルである。「シクロアルケニル」という用語は、その明白な通常の意味に従って使用される。実施形態では、シクロアルケニルは、単環式、二環式、又は多環式シクロアルケニル環系である。実施形態では、単環式シクロアルケニル環系は、3~8つの炭素原子を含む環状炭化水素基であり、このような基は、不飽和である(すなわち、少なくとも1つの環状炭素炭素二重結合を含む)が、芳香族ではない。単環式シクロアルケニル環系の例としては、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。実施形態では、二環式シクロアルケニル環は、架橋された単環式環又は縮合二環式環である。実施形態では、架橋された単環式環は、単環式シクロアルケニル環を含み、単環式環の2つの非隣接炭素原子が、1~3つの追加の炭素原子のアルキレン架橋によって連結される(すなわち、(CH2)wの形態の架橋基、式中、wが、1、2、又は3である)。二環式シクロアルケニルの代表的な例としては、ノルボルネニル及びビシクロ[2.2.2]オクト2エニルが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、縮合二環式シクロアルケニル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールのいずれかと縮合した単環式シクロアルケニル環を含む。実施形態では、架橋又は縮合二環式シクロアルケニルは、単環式シクロアルケニル環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。実施形態では、シクロアルケニル基は、任意選択的に、独立してオキソ又はチアである1つ又は2つの基で置換される。実施形態では、多環式シクロアルケニル環は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)独立してフェニル、二環式アリール、単環式若しくは二環式ヘテロアリール、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルケニル、及び単環式若しくは二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される2つの環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルケニル環(基礎環)を含む。実施形態では、多環式シクロアルケニルは、基礎環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。実施形態では、多環式シクロアルケニル環は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)独立してフェニル、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、及び単環式ヘテロシクリルからなる群から選択される2つの環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルケニル環(基礎環)である。
【0045】
実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクリルである。本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」、「複素環式」、又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、飽和又は部分飽和であり、単環式又は多環式環であり、3~16個、最も好ましくは5~10個、最も好ましくは1又は4つの環原子を有し、1つ以上、好ましくは1~4つ、特に1つ又は2つの環原子が、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子である(したがって、残りの環原子は炭素である)、複素環式基を指す。ヘテロシクリルという用語は、ヘテロアリールを除外する。複素環式基は、酸素、窒素及び硫黄から選択されるヘテロ原子、又は炭素原子を介して分子の残部に結合することができる。ヘテロシクリルは、縮合又は架橋環、並びにスピロ環式環を含み得る。ヘテロシクリルの例としては、ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ピペラジニル、ピロリジン、ジヒドロピラニル、オキサチオラニル、ジチオラン、オキサチアニル、チオモルホリノ、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、オキセパニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、アゼピニル、オキサピニル、オキサアゼパニル、オキサチアニル、チエパニル、アゼパニル、ジオキセパニル、及びジアゼパニルが挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「スピロヘテロシクリル」は、2つの環系が単一の炭素原子を介して接続される特定の二環式複素環基を指す。例えば、「スピロヘテロシクリル」という用語は、6~10スピロヘテロシクリルを指すことができる。例としては、6,9-ジアザスピロ[4.5]デカン、2-オキサ-6,9-ジアザスピロ[4.5]デカン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタン、6-アザスピロ[3.4]オクタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、1-チア-8-アザスピロ[4.5]デカン、1,1-ジオキシド、1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナン、及び1-オキサ-9-アザスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」は、上記で定義されるように、C3-6シクロアルキル環又は3~6員ヘテロシクリル環を指し、シクロアルキル環又はヘテロシクリル環の2つの非隣接環頂点(「橋頭原子」)が連結されて、追加の環状部分(「ブリッジ」)を形成する。この橋は、1~4つの環頂点を含み、橋頭原子は含まれていない。例としては、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、2-チア-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2-ジオキシド、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-オキサ-6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、6-オキサ-3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、及び2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「二環式ヘテロシクリル」という用語は、2つの環系が2つの隣接する環頂点(例えば、縮合環系)を介して接続されている、上で定義される複素環基を指す。典型的な「二環式ヘテロシクリル」環は、N、O、及びSから選択される1~4つのヘテロ原子環頂点(したがって、残りの環原子は炭素である)を有する6~11個の環員を含む。例としては、ベンゾジオキソリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、ナフチリジニル、ピラゾロピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0050】
加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C1-C4)アルキル」という用語には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシル」又は「ハロアルコキシ」という用語は、水素原子の一部又は全てがハロゲン原子で置換されているアルコキシル基を指す。アルキル基に関しては、ハロアルコキシ基は、C1-6などの任意の好適な数の炭素原子を有することができる。アルコキシ基は、1、2、3、又はそれ以上のハロゲンで置換され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、任意の好適な数の環原子及び任意の好適な数の環を有する芳香族環系を指す。アリール基は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16個の環原子などの任意の好適な数の環原子、並びに6~10、6~12、又は6~14個の環員を含むことができる。アリール基は、単環式であってもよく、二環式若しくは三環式基を形成するために融合していてもよく、又は結合によって連結してビアリール基を形成してもよい。代表的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。他のアリール基には、メチレン連結基を有するベンジルが含まれる。フェニル、ナフチル、又はビフェニルなどのいくつかのアリール基は、6~12個の環員を有する。他のアリール基は、フェニル又はナフチルなどの6~10個の環員を有する。フェニルなどのいくつかの他のアリール基は、6つの環員を有する。アリール基は、置換又は非置換であり得る。
【0053】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、又はSなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基(又は環)を指し、窒素原子及び硫黄原子は、任意選択的に酸化され、窒素原子は、任意選択的に四級化される。限定されないが、B、Al、Si、及びPを含む追加のヘテロ原子も有用であり得る。ヘテロアリール基は、任意の数の環原子(例えば、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、又は3~12個の環員)を含むことができる。任意の好適な数(例えば、1、2、3、4、若しくは5、又は1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5、3~4、又は3~5つ)のヘテロ原子が、ヘテロアリール基に含まれ得る。ヘテロアリール基は、5~9つの環員及び1~4つのヘテロ原子、又は5~9つの環員及び1~3つのヘテロ原子、又は5~6つの環員及び1~4つのヘテロ原子、又は5~6つの環員及び1~3つのヘテロ原子を有することができる。ヘテロアリール基には、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3-、1,2,4-、及び1,3,5-異性体)、プリンなどの基が含まれ得る。ヘテロアリール基はまた、フェニル環などの芳香族環系と融合して、ベンゾピロール(例えば、インドール及びイソインドール)、ベンゾピリジン(例えば、キノリン及びイソキノリン)、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン(例えば、フタラジン及びシンノリン)、ベンゾチオフェン、及びベンゾフランを含むが、これらに限定されないメンバーを形成することができる。他のヘテロアリール基としては、ビピリジンなどの結合によって連結されたヘテロアリール環が挙げられる。ヘテロアリール基は、置換又は非置換であり得る。
【0054】
「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環のうちの少なくとも1つがヘテロ芳香族環である、一緒に縮合した複数の環)も含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、一緒に縮合した2つの環を指し、一方の環が5員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンは、互いと縮合した2つの環を指し、一方の環が6員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である。また、6,5-縮合環ヘテロアリーレンは、一緒に縮合した2つの環を指し、一方の環が6員を有し、他方の環が5員を有し、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である。ヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子を介して分子の残部に結合され得る。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、トリアジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラジニル、プリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾイル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラン、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、イソキノリル、キノキサリニル、キノリル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが挙げられるが、これらに限定されない。上記のアリール及びヘテロアリール環系の各々の置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれ、アリール及びヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアリール基置換基は、環ヘテロ原子である窒素に-O-結合され得る。
【0055】
縮合環ヘテロシクロアルキルアリールは、ヘテロシクロアルキルと縮合したアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリールは、ヘテロシクロアルキルと縮合したヘテロアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキルシクロアルキルは、シクロアルキルと縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、別のヘテロシクロアルキルと縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキル-アリール、縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、縮合環ヘテロシクロアルキル-シクロアルキル、又は縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、各々独立して、非置換であり得るか、又は本明細書に記載の置換基のうちの1つ以上で置換され得る。
【0056】
必要に応じて、本明細書の任意の定義を、任意の他の定義と組み合わせて使用して、複合構造基を説明することができる。慣習的に、任意のかかる定義の後続要素は、親部分に結合されるものである。例えば、複合基シクロアルコキシルは、シクロアルキル基がオキシル基を介して親分子に結合されることを意味する。
【0057】
記号「」は、分子又は化学式の残りの部分への化学部分の結合点を示す。
【0058】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、二重結合(=O)によって結合点に接続された酸素原子を意味する。
【0059】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)の各々は、示されたラジカルの置換形態及び非置換形態の両方を含む。ラジカルの種類ごとに好ましい置換基が以下に提供される。
【0060】
アルキルラジカル及びヘテロアルキルラジカルの置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルとしばしば言及される基を含む)は、これらに限定されないが、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2、-NR’SO2R’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’(0~(2m’+1)の範囲の数で、m’は、かかる基の炭素原子の総数である)からなる群から選択される様々な基のうちの1つ以上であり得る。R、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、各々、好ましくは独立して、水素、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール(例えば、1~3つのハロゲンで置換されたアリール)、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキル、アルコキシ、若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を指す。本明細書に記載の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基(これらの基のうちの2つ以上が存在する場合)と同様に、R基の各々は独立して選択される。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わせて、4、5、6、又は7員環を形成することができる。例えば、-NR’R’’には、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルが含まれるが、これらに限定されない。置換基の上記の議論から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF3及び-CH2CF3)及びアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)などの、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味することを理解するであろう。
【0061】
アルキルラジカルについて記載された置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基の置換基は様々であり、例えば、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2、-R’、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、及びフルオロ(C1-C4)アルキル、-NR’SO2R’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’から選択される(芳香族環系における空原子価(open valence)のゼロから総数までの範囲の数で、式中、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’が、好ましくは独立して、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから選択される)。本明細書に記載の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基(これらの基のうちの2つ以上が存在する場合)と同様に、R基の各々は独立して選択される。
【0062】
環の置換基(例えば、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリール)は、環の特定の原子上ではなく、環上の置換基(一般に、浮動置換基(floating substituent)と称される)として示され得る。このような場合、置換基は、(化学価の規則に従って)環原子のいずれかに結合され得、縮合環又はスピロ環式環の場合、縮合環又はスピロ環式環のうちの1つのメンバーと会合して示される置換基(単一の環上の浮動置換基)は、縮合環又はスピロ環式環のいずれか上の置換基(複数の環上の浮動置換基)であり得る。置換基が環に結合されているが、特定の原子(浮動置換基)ではなく、置換基の下付き文字が1より大きい整数である場合、複数の置換基は、同一の原子、同一の環、異なる原子、異なる縮合環、異なるスピロ環式環上にあり得、各置換基は、任意選択的に異なる。分子の残部への環の結合点が、単一の原子(浮動置換基)に限定されない場合、結合点は、環の任意の原子であってもよく、縮合環又はスピロ環式環の場合、化学価の規則に従いながら、縮合環又はスピロ環式環のいずれかの原子であり得る。環、縮合環、又はスピロ環式環が1つ以上の環ヘテロ原子を含み、かつ環、縮合環、又は縮合環が1つ以上の浮動置換基(分子の残部への結合点を含むが、これらに限定されない)で示される場合、浮動置換基は、ヘテロ原子に結合され得る。環ヘテロ原子が、浮動置換基を有する構造又は式中の1つ以上の水素に結合していること(例えば、環原子に2つの結合を有し、水素に第3の結合を有する環窒素)が示されている場合、ヘテロ原子が浮動置換基に結合しているとき、置換基は、化学価の規則に従いながら、水素を置換することが理解されるであろう。
【0063】
2つ以上の置換基は、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル基を形成するように連結され得る。このようないわゆる環形成置換基は、典型的には、必ずというわけではないが、環状基礎構造に結合している。一実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の隣接メンバーに結合される。例えば、環状基礎構造の隣接メンバーに結合された2つの環形成置換基は、縮合環構造を作成する。別の実施形態では、環形成置換基は、基礎構造の単一のメンバーに結合される。例えば、環状基礎構造の単一のメンバーに結合した2つの環形成置換基は、スピロ環構造を作成する。また別の実施形態では、環形成置換基は、基礎構造の非隣接メンバーに結合される。
【0064】
アリール環又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-T-C(O)p-(CRR’)q-U-(式中、T及びUは独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、又は単結合であり、各p及びqは、独立して、0~3の整数である)の環を形成することができる。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-A-(CH2)r-B-(式中、A及びBは、独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-、又は単結合であり、rは、1~4の整数である)の置換基で置換され得る。このように形成される新しい環の単結合のうちの1つは、任意選択的に、二重結合に置換され得る。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-(CRR’)s-X’-(C’’R’’R’’’)d-(式中、s及びdは、独立して、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR’-である)の置換基で置換され得る。置換基R、R’、R’’、及びR’’’は、独立して、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから選択されることが好ましい。
【0065】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」又は「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びシリコン(Si)を含むことを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「置換基」とは、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CH2Cl、-CH2Br、-CH2F、-CH2I、-CHCl2、-CHBr2、-CHF2、-CHI2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、-N3、非置換アルキル(例えば、C1-C8アルキル、C1-C6アルキル、若しくはC1-C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、若しくは2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3-C8シクロアルキル、C3-C6シクロアルキル、若しくはC5-C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、若しくは5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6-C10アリール、C10アリール、若しくはフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)、並びに
(B)アルキル(例えば、C1-C8アルキル、C1-C6アルキル、若しくはC1-C4アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、若しくは2~4員ヘテロアルキル)、シクロアルキル(例えば、C3-C8シクロアルキル、C3-C6シクロアルキル、若しくはC5-C6シクロアルキル)、ヘテシロクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、若しくは5~6員ヘテロシクロアルキル)、アリール(例えば、C6-C10アリール、C10アリール、若しくはフェニル)、ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、若しくは5~6員ヘテロアリール)、以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたもの:
(i)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CH2Cl、-CH2Br、-CH2F、-CH2I、-CHCl2、-CHBr2、-CHF2、-CHI2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、-N3、非置換アルキル(例えば、C1-C8アルキル、C1-C6アルキル、若しくはC1-C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、若しくは2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3-C8シクロアルキル、C3-C6シクロアルキル、若しくはC5-C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、若しくは5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6-C10アリール、C10アリール、若しくはフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)、及び
(ii)アルキル(例えば、C1-C8アルキル、C1-C6アルキル、若しくはC1-C4アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、若しくは2~4員ヘテロアルキル)、シクロアルキル(例えば、C3-C8シクロアルキル、C3-C6シクロアルキル、若しくはC5-C6シクロアルキル)、ヘテシロクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、若しくは5~6員ヘテロシクロアルキル)、アリール(例えば、C6-C10アリール、C10アリール、若しくはフェニル)、ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、若しくは5~6員ヘテロアリール)、(i)の基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたもの)。
【0067】
本開示の特定の化合物は、非対称炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及び個々の異性体(例えば、別個のエナンチオマー)は全て、本開示の範囲内に包含されることが意図される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、実質的に他の形態を含まない特定のエナンチオマー、アノマー、又はジアステレオマーである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、10%以下の別の異性体形態、好ましくは8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%以下の別の形態の量を指す。いくつかの実施形態では、異性体は、立体異性体である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、同じ数及び種類の原子を有し、したがって同じ分子量を有するが、原子の構造配置又は立体配置に関して異なる化合物を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「互変異性体」という用語は、平衡状態で存在し、ある異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される2つ以上の構造異性体のうちの1つを指す。
【0071】
本開示の特定の化合物が互変異性形態で存在し得、化合物の全てのかかる互変異性形態が本開示の範囲内であることは、当業者には明らかであろう。
【0072】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、構造の全ての立体化学形態(すなわち、各不斉中心のR及びS配置)も含むことを意味する。したがって、化合物の単一の立体化学異性体並びにエナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内である。
【0073】
「類似体(analog)」又は「類似体(analogue)」は、化学及び生物学内のその明白な通常の意味に従って使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)に構造的に類似しているが、組成が異なる化合物を指す(例えば、ある原子の別の元素の原子による置換、又は特定の官能基の存在下、又はある官能基の別の官能基による置換、又は参照化合物の1つ以上のキラル中心の絶対立体化学)。したがって、類似体は、機能及び外観において類似又は同等であるが、参照化合物の構造又は起源ではない化合物である。
【0074】
本明細書で使用される「a」又は「an」という用語は、1つ以上を意味する。更に、本明細書で使用される場合、「a(an)~で置換された」という語句は、指定された基が、指定された置換基のいずれか又は全てのうちの1つ以上で置換され得ることを意味する。例えば、アルキル基又はヘテロアリール基などの基が、「非置換C1-C20アルキル又は非置換2~20員ヘテロアルキルで置換された」場合、基は、1つ以上の非置換C1-C20アルキル及び/又は1つ以上の非置換2~20員ヘテロアルキルを含むことができる。
【0075】
本開示の化合物の説明は、当業者に既知の化学結合の原理によって限定される。したがって、基がいくつかの置換基のうちの1つ以上によって置換され得る場合、かかる置換は、化学結合の原理に準拠し、水性、中性、及びいくつかの既知の生理学的条件などの周囲条件下で不安定である可能性が高いとして、本質的に不安定ではない化合物及び/又は当業者に既知であろう化合物を与えるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールは、本質的に不安定な化合物を回避するために、当業者に既知の化学結合の原理に準拠して、環ヘテロ原子を介して分子の残部に結合される。
【0076】
「脱離基」という用語は、化学におけるその通常の意味に従って使用され、脱離基が結合している原子又は化学部分(本明細書では「脱離基反応性部分」とも呼ばれる)を含む化学反応(例えば、結合形成、還元的脱離、縮合、クロスカップリング反応)に続いて、分子から分離される部分(例えば、原子、官能基、分子)、及び脱離基反応性部分の残部と相補反応性部分との間に新しい結合が形成される相補反応性部分(すなわち、脱離基反応性部分と反応する化学部分)を指す。したがって、脱離基反応性部分及び相補反応性部分は、相補反応性基対を形成する。離脱基の非限定的な例としては、水素、水酸化物、有機スズ部分(例えば、有機スズヘテロアルキル)、ハロゲン(例えば、Br)、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩(例えば、トリフレート)、トシル酸塩、メシル酸塩、水、アルコール、硝酸塩、リン酸塩、チオエーテル、アミン、アンモニア、フッ化物、カルボキシレート、フェノキシド、ボロン酸、ボロン酸エステル、及びアルコキシドが挙げられる。実施形態では、脱離基を有する2つの分子を接触させ、反応及び/又は結合形成(例えば、アシロイン縮合、アルドール縮合、クレイゼン縮合、スティル反応)時に、脱離基をそれぞれの分子から分離する。実施形態では、脱離基は、バイオコンジュゲート反応性部分である。実施形態では、少なくとも2つの離脱基(例えば、R1及びR13)は、離脱基が反応、相互作用、又は物理的に接触するのに十分に近接するように接触させられる。実施形態では、脱離基は、反応を容易にするように設計される。
【0077】
「保護基」という用語は、有機化学におけるその通常の意味に従って使用され、保護基を除去する前に行われる1つ以上の化学反応中のヘテロ原子、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールの反応性を防止するために、ヘテロ原子、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリールに共有結合された部分を指す。典型的には、保護基は、ヘテロ原子が試薬と反応(例えば、化学的還元)することが望ましくないマルチパート合成の一部の間、ヘテロ原子(例えば、O)に結合される。保護後、保護基を除去することができる(例えば、pHを調節することによって)。実施形態では、保護基はアルコール保護基である。アルコール保護基の非限定的な例としては、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、メトキシメチルエーテル(MOM)、テトラヒドロピラニル(THP)、及びシリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS))が挙げられる。実施形態では、保護基は、アミン保護基である。アミン保護基の非限定的な例としては、カルボベンジルオキシ(Cbz)、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、カルバメート、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、及びトシル(Ts)が挙げられる。
【0078】
「溶液」という用語は、アコーで使用され、微量成分(例えば、溶質又は化合物)が主要成分(例えば、溶媒)内で均一に分布する液体混合物を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「有機溶媒」という用語は、化学におけるその通常の意味に従って使用され、炭素を含む溶媒を指す。有機溶媒の非限定的な例としては、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、t-ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2-ジメトキシエタン(グライム、DME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ヘキサメチル亜リン酸トリアミド(HMPT)、ヘキサン、メタノール、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、o-キシレン、m-キシレン、又はp-キシレンが挙げられる。実施形態では、有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、又はジオキサンであるか若しくはそれを含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、本開示の方法で使用される化合物の酸塩又は塩基塩を指す。許容される塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)塩である。
【0081】
本明細書で使用される場合、「結合する」及び「結合した」という用語は、その明白で通常の意味に従って使用され、原子又は分子間の会合を指す。会合は、直接的又は間接的であり得る。例えば、結合した原子又は分子は、例えば、共有結合若しくはリンカー(例えば、第1のリンカー若しくは第2のリンカー)によって、直接的であり得るか、又は例えば、非共有結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子誘起双極子、ロンドン分散)、環スタッキング(π効果)、疎水性相互作用など)によって、間接的であり得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「結合可能な」という用語は、標的(例えば、NF-κB、Toll様受容体タンパク質)に測定可能に結合することができる部分(例えば、本明細書に記載される化合物)を指す。実施形態では、部分が標的に結合することができる場合、部分は、約10μM、5μM、1μM、500nM、250nM、100nM、75nM、50nM、25nM、15nM、10nM、5nM、1nM未満、又は約0.1nMのKdで結合することができる。
【0083】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に見出される特定の置換基に応じて、比較的無毒な酸又は塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、かかる化合物の中性形態を、ニート又は好適な不活性溶媒中のいずれかの十分な量の所望の塩基と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される無機塩基に由来する塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。薬学的に許容される有機塩基に由来する塩としては、置換アミン、環状アミン、天然に存在するアミンなど、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、かかる化合物の中性形態を、ニート又は好適な不活性溶媒中のいずれかの十分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素、又は亜リン酸のような無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸のような比較的非毒性の有機酸に由来するものが挙げられる。また、アルギン酸などのアミノ酸の塩、並びにグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19を参照されたい)。本開示のある特定の化合物は、化合物を塩基付加塩又は酸付加塩のいずれかに変換されることを可能にする塩基性官能基及び酸性官能基の両方を含む。
【0084】
したがって、本開示の化合物は、薬学的に許容される酸などの塩として存在し得る。本開示は、かかる塩を含む。かかる塩の非限定的な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩(例えば、ラセミ混合物を含む、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、又はこれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸を有する塩、並びに四級アンモニウム塩(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)が挙げられる。これらの塩は、当業者に既知の方法によって調製され得る。
【0085】
化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生され得る。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度などの特定の物理的特性において、様々な塩形態とは異なるが、そうでなければ、塩は、本開示の目的のために、化合物の親形態と等価である。
【0086】
本開示の特定の化合物は、水和形態を含む、非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本開示の範囲内に包含される。本開示の特定の化合物は、複数の結晶形態又は非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本開示によって企図される使用のために等価であり、本開示の範囲内であることが意図される。
【0087】
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」は、対象への活性剤の投与及び対象による吸収を補助し、患者に対して著しく有害な毒性効果を引き起こすことなく、本開示の組成物に含まれ得る物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、生理食塩水溶液、乳酸リンゲル、生理的スクロース、生理的グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、甘味料、香味剤、塩溶液(例えば、リンゲル溶液)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロース、又はデンプン)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色料などが挙げられる。かかる調製物は、滅菌することができ、必要に応じて、本開示の化合物と有害に反応しない、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色料、及び/又は芳香族物質などの補助剤と混合することができる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本開示において有用であることを認識するであろう。
【0088】
「調製物」という用語は、他の担体の有無にかかわらず、活性成分が担体によって囲まれている(したがって、担体と会合している)カプセルを提供する担体としての封入材料を有する活性化合物の製剤を含むことが意図される。同様に、カシェ及びロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ、及びロゼンジは、経口投与に好適な固体剤形として使用され得る。
【0089】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値を含む一連の値を意味し、当業者は、指定された値に合理的に類似していると見なすであろう。実施形態では、約とは、当該技術分野で一般に許容される測定値を使用して、標準偏差内であることを意味する。実施形態では、約は、指定された値の+/-10%に及ぶ範囲を意味する。実施形態では、約は、指定された値を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、「EC50」又は「半最大有効濃度」という用語は、ベースライン応答(例えば、治療又は効果なし)と、指定された曝露時間後の最大応答との間の中間である応答を誘導することができる分子(例えば、薬物、小分子、抗体、アンタゴニスト、又は特異的阻害剤)の濃度を指す。実施形態では、EC50は、その分子の最大の可能な効果の50%を生成する分子(例えば、抗体、キメラ抗原受容体、又は二重特異性抗体)の濃度である。
【0091】
本明細書で使用される場合、「IC50」又は「半最大抑制濃度」とは、応答の特定の生物学的プロセス又は生化学的活性を阻害することができる分子(例えば、薬物、小分子、抗体、アンタゴニスト、又は特異的阻害剤)の濃度であって、ベースライン応答(例えば、阻害なし)と、指定された曝露時間後の最大応答との間の中間である濃度を指す。実施形態では、IC50は、その分子の最大の可能な阻害の50%を生成する分子(例えば、薬物、小分子、抗体、アンタゴニスト、又は特異的阻害剤)の濃度である。
【0092】
「阻害剤」は、化合物の不在又は不活性であることが知られている化合物などの対照と比較して活性を低下させる化合物(例えば、本明細書に記載の化合物)を指す。
【0093】
本明細書で定義されるように、タンパク質阻害剤の相互作用に関してなど、「活性化」、「活性化する」、「活性化すること」、「活性化因子」などの用語は、活性化因子の不在下で、タンパク質の活性又は機能に対して、タンパク質の活性又は機能に正の影響を及ぼす(例えば、増加させる)ことを意味する。実施形態では、活性化は、活性化因子の不在下で、タンパク質の濃度又はレベルに対して、タンパク質の濃度又はレベルに正の影響を及ぼす(例えば、増加させる)ことを意味する。これらの用語は、活性化、又はシグナル伝達若しくは酵素活性の活性化、感作、若しくは上方調節、又は疾患において減少したタンパク質の量を指し得る。したがって、活性化は、少なくとも部分的に、部分的に、若しくは完全に刺激を増加させること、活性化を増加させるか若しくは可能にすること、又はシグナル伝達若しくは酵素活性若しくは疾患に関連するタンパク質の量(例えば、非疾患対照と比較して疾患におけるタンパク質の減少)を活性化、感作、若しくは上方調節することを含み得る。活性化は、少なくとも部分的に、部分的に、若しくは完全に刺激を増加させること、活性化を増加させるか若しくは可能にすること、又はシグナル伝達若しくは酵素活性若しくはタンパク質の量を活性化、感作、若しくは上方調節することを含み得る。
【0094】
「アゴニスト」、「活性化因子」、「上方調節因子」などの用語は、所与の遺伝子又はタンパク質の発現又は活性を検出可能に増加させることができる物質を指す。アゴニストは、アゴニストの不在下での対照と比較して、発現又は活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上増加させることができる。特定の事例では、発現又は活性は、アゴニストの不在下での発現又は活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はより高い。
【0095】
本明細書で定義されるように、タンパク質阻害剤の相互作用に関してなど、「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、阻害剤の不在下で、タンパク質の活性又は機能に対して、タンパク質の活性又は機能に負の影響を及ぼす(例えば、低下させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、阻害剤の不在下で、タンパク質の濃度又はレベルに対して、タンパク質の濃度又はレベルに負の影響を及ぼす(例えば、減少させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、疾患又は疾患の症状の低減を指す。実施形態では、阻害は、特定のタンパク質標的の活性の低下を指す。したがって、阻害は、少なくとも部分的に、部分的に、若しくは完全に刺激を遮断すること、活性化を減少、防止、若しくは遅延すること、又はシグナル伝達若しくは酵素活性若しくはタンパク質の量を不活性化、脱感作、若しくは下方調節することを含む。実施形態では、阻害は、直接的な相互作用(例えば、阻害剤が標的タンパク質に結合する)に起因する標的タンパク質の活性の低下を指す。実施形態では、阻害は、間接的な相互作用(例えば、阻害剤が標的タンパク質を活性化するタンパク質に結合し、それによって、標的タンパク質の活性化を防止する)からの標的タンパク質の活性の低下を指す。
【0096】
「阻害剤」、「リプレッサー」又は「アンタゴニスト」又は「下方調節因子」という用語は、所与の遺伝子又はタンパク質の発現又は活性を検出可能に低下させることができる物質を同義的に指す。アンタゴニストは、アンタゴニストの不在下での対照と比較して、発現又は活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上低下させることができる。特定の事例では、発現又は活性は、アンタゴニストの不在下での発現又は活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はより低い。
【0097】
疾患(例えば、タンパク質関連疾患、がん(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患))に関連する物質又は物質の活性若しくは機能の文脈における「関連する」又は「に関連する」という用語は、疾患(例えば、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は感染性疾患)が(全体的若しくは部分的に)、又は疾患の症状が(全体的若しくは部分的に)物質又は物質の活性若しくは機能によって引き起こされることを意味する。本明細書で使用される場合、疾患に関連すると記載されるものは、原因物質の場合、疾患の治療のための標的であり得る。
【0098】
本開示では、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有すること(containing)」、及び「有すること(having)」などは、米国特許法でそれらに付与された意味を有することができ、「含む(includes)」、「含むこと(including)」などを意味することができる。「本質的にからなる(consisting essentially of)」又は「本質的になる(consists essentially)」も同様に、米国特許法で付与された意味を有し、この用語はオープンエンドであり、列挙されているものの基本的な特徴又は新規の特徴が、列挙されているものよりも多くの存在によって変わらない限り、列挙されているものよりも多くの存在が可能になるが、先行技術の実施形態は除外される
【0099】
化合物
本明細書では、とりわけ、式(I)若しくは式(II)の構造を有する化合物、又はその塩(例えば、薬学的に許容される塩)が提供される。
【0100】
一態様では、化合物は、以下の構造を有し、
【化10】
又はその塩、
式中、
R
1は、水素、ハロゲン、-CX
3、-CHX
2、-CH
2X、-OCX
3、-OCH
2X、-OCHX
2、-OR
1A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであり、
R
2は、水素又はハロゲンであり、
各R
3及びR
4は、独立して、ハロゲン、-OR
3A、又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
R
5は、水素、-NR
5BR
5C、-(CH
2)
n5NR
5BR
5C、-C(O)NR
5BR
5C、-O(CH
2)
m5OR
5A、-C(O)OR
5A、-OR
5A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
6は、水素、-NR
6BR
6C、-(CH
2)
n6NR
6BR
6C、-C(O)NR
6BR
6C、-O(CH
2)
m6OR
6A、-C(O)OR
6A、-OR
6A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
7は、水素、-NR
7BR
7C、-(CH
2)
n7NR
7BR
7C、-C(O)NR
7BR
7C、-O(CH
2)
m7OR
7A、-C(O)OR
7A、-OR
7A、-CN、置換若しくは非置換C
1-C
7アルキル、置換若しくは非置換2~7員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
Xは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり、
各n5、n6、及びn7は、独立して、1~4の整数であり、
各m5、m6、及びm7は、独立して、1~4の整数であり、
各R
1A、R
3A、R
5A、R
5B、R
5C、R
6A、R
6B、R
6C、R
7A、R
7B、及びR
7Cが、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル又は置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキルであるか、あるいはR
5B及びR5
Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、R
6B及びR
6Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、あるいはR
7B及びR
7Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0101】
いくつかの実施形態では、R2は、水素又はハロゲンである。いくつかの実施形態では、R2は、水素である。いくつかの実施形態では、R2は、-F、-Cl、又はBrである。
【0102】
いくつかの実施形態では、各R3及びR4は、独立して、ハロゲン又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲン又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R4は、ハロゲン又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、各R3及びR4は、独立して、-F、-Cl、又はメチルである。いくつかの実施形態では、R3は、-F、-Cl、又はメチルである。いくつかの実施形態では、R4は、-F、-Cl、又はメチルである。
【0103】
いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素である。いくつかの実施形態では、R5B及びR5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素であり、R5B及びR5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0104】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化11】
式中、
L
1は、結合、-C(O)-、又は-(CH
2)
n5であり、
R
9は、水素、-(CH
2)
mOH、-(CH
2)
m(C
6H
5)、-C(O)NR
9BR
9C、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、又は置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、独立して、水素、-OR
10A、-C(O)OR
10A、-NR
10BR
10C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各mは、独立して、1~4の整数であり、
各R
9B、R
9C、R
10A、R
10B、及びR
10Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル、置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールである。
【0105】
式(I-A)において、R1、R2、R3、及びR4は、上述の通りである。
【0106】
いくつかの実施形態では、L1は、結合、-C(O)-、メチレン、又はエチレンである。いくつかの実施形態では、L1は、結合である。いくつかの実施形態では、L1は、-C(O)-である。いくつかの実施形態では、L1は、メチレンである。いくつかの実施形態では、L1は、エチレンである。
【0107】
いくつかの実施形態では、R9は、水素、非置換C1-C4アルキル、又は-C(O)NR9BR9Cである。R9B及びR9Cは、独立して、水素、置換若しくは非置換C1-C4アルキル、置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R9B及びR9Cは、独立して、水素又は非置換C1-C4アルキルである。
【0108】
いくつかの実施形態では、L1は、結合、-C(O)-、メチレン、又はエチレンであり、R9は、水素、非置換C1-C4アルキル、又は-C(O)NR9BR9Cである。
【0109】
いくつかの実施形態では、L
1は、結合である。いくつかの実施形態では、R
9は、水素、メチル、エチル、プロピル、-C(O)NH
2、
【化12】
である。いくつかの実施形態では、L
1は、結合であり、R
9は、水素、メチル、エチル、プロピル、-C(O)NH
2、
【化13】
である。
【0110】
いくつかの実施形態では、各R10.1、R10.2、R10.3、及びR10.4は、独立して、水素、オキソ、又は非置換C1-C4アルキル、-C(O)OH、又は-CH2OHである。いくつかの実施形態では、R10.1は、水素、オキソ、又は非置換C1-C4アルキル、-C(O)OH、又は-CH2OHである。いくつかの実施形態では、R10.2は、独立して、水素、オキソ、又は非置換C1-C4アルキル、-C(O)OH、又は-CH2OHである。いくつかの実施形態では、R10.3は、独立して、水素、オキソ、又は非置換C1-C4アルキル、-C(O)OH、又は-CH2OHである。いくつかの実施形態では、R10.4は、独立して、水素、オキソ、又は非置換C1-C4アルキル、-C(O)OH、又は-CH2OHである。
【0111】
いくつかの実施形態では、L
1は、結合であり、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、水素である。いくつかの実施形態では、化合物は、
【化14】
である。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上述の通りである。
【0112】
いくつかの実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、非置換C1-C4アルキル、非置換C3-C6シクロアルキル、-OCX3、-OCH2X、-OCHX2、又は-OR1Aであり、R1Aは、水素又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、水素、メチル、エチル、-C≡CH、-C≡CH-CH3、-OH、-OCH3、-OCHF2、-OCH2F、-OCF3、-F、-Cl、又は-Brである。実施形態では、R2は、水素である。実施形態では、R2は、-F、-Cl、又は-Brである。
【0113】
いくつかの実施形態では、R9は、水素、非置換C1-C4アルキル、又は-C(O)NR9BR9Cである。いくつかの実施形態では、R9は、水素、メチル、エチル、プロピル、又は-C(O)NH2である。
【0114】
例えば、式(I-A-1)の化合物は、以下である:
【化15-1】
【化15-2】
である。
【0115】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化16】
である。
【0116】
いくつかの実施形態では、式(I-A-1a)では、各R
3及びR
4は、独立して、-F、-Cl、-Br、又はメチルである。いくつかの実施形態では、式(I-A-1a)の化合物は、
【化17】
である。
【0117】
いくつかの実施形態では、L1は、結合であり、R9は、水素であり、R10.1、R10.2、R10.3、及びR10.4のうちの少なくとも1つは、水素ではない。いくつかの実施形態では、L1は、結合であり、R10.1、R10.2、R10.3、及びR10.4のうちの1つは、水素ではない。
【0118】
いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、メチルである。いくつかの実施形態では、R
10.2又はR
10.4は、メチルである。いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、オキソである。いくつかの実施形態では、R
10.2又はR
10.4は、オキソである。いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、-C(O)OHである。いくつかの実施形態では、R
10.2又はR
10.4は、-C(O)OHである。いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、-CH
2OHである。いくつかの実施形態では、R
10.2又はR
10.4は、-CH
2OHである。例えば、式(I-A)の化合物は、
【化18】
である。
【0119】
いくつかの実施形態では、L
1は、-C(O)-であり、R
9は、水素である。いくつかの実施形態では、化合物は、
【化19】
である。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上述の通りである。例えば、式(I-A-2)の化合物は、
【化20】
である。
【0120】
いくつかの実施形態では、R10.1、R10.2、R10.3、及びR10.4のうちの1つ以上は、互いに、又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成する。例えば、R10.1、R10.2、R10.3、及びR10.4のうちの1つ以上は、互いに、又はピペラジニル環の原子に連結して、置換又は非置換の2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、2-チア-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン2,2-ジオキシド、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-オキサ-6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、6-オキサ-3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、及び2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンを形成する。
【0121】
いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、ピペラジニル環の原子に連結して、ピペラジニル環の窒素原子を含む4~6員ヘテロシクロアルキルを形成する。いくつかの実施形態では、R
10.1又はR
10.3は、ピペラジニル環の原子に連結して、
【化21】
のR
5を形成する。例えば、化合物は、
【化22】
である。
【0122】
いくつかの実施形態では、R5及びR7は、水素である。いくつかの実施形態では、R6B及びR6Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R5及びR7は、水素であり、R6B及びR6Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0123】
いくつかの実施形態では、L
1は、メチレン又はエチレンである。いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化23】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、上述の通りである。
【0124】
いくつかの実施形態では、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、水素である。いくつかの実施形態では、R
9は、水素、又は非置換C
1-C
4アルキルである。いくつかの実施形態では、R
9は、水素である。いくつかの実施形態では、R
9は、非置換C
1-C
4アルキルである。実施形態では、R
9は、-C(O)NR
9BR
9Cである。例えば、式(I-A-3)又は(I-A-4)の化合物は、
【化24】
である。
【0125】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化25】
R
1、R
2、R
3、R
4、L
1、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、上述の通りである。
【0126】
いくつかの実施形態では、R
9は、水素である。いくつかの実施形態では、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、水素である。いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化26】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上述の通りである。例えば、式(I-B-1)の化合物は、
【化27】
である。
【0127】
いくつかの実施形態では、式(I-B)では、R
9は、メチル、エチル、プロピル、-C(O)NH
2、
【化28】
である。
【0128】
いくつかの実施形態では、R5及びR6は、水素である。いくつかの実施形態では、R7B及びR7Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R5及びR6は、水素であり、R7B及びR7Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0129】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化29】
R
1、R
2、R
3、R
4、L
1、R
9、R
10.1、R
10.2、R
10.3、及びR
10.4は、上述の通りである。
【0130】
いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素であり、R5は、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、ピペリジル、ピロリジニル、又はモルホリニル)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、ピリジル又はピリミジニル)である。いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素であり、R5は、-NR5BR5Cであり、R5B及びR5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0131】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化30】
式中、
kは、1又は2であり、
各R
10.1、R
10.2、及びR
10.3は、独立して、水素、-OR
10A、-C(O)OR
10A、-NR
10BR
10C、-(CH
2)
mOH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
10.1、R
10.2、及びR
10.3のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又は複素環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
mは、1~4の整数であり、
各R
10A、R
10B、及びR
10Cは、独立して、水素又は非置換C
1-C
6アルキルである。
【0132】
式(I-C)において、R1、R2、R3、及びR4は、上述の通りである。
【0133】
いくつかの実施形態では、各R10.1、R10.2、及びR10.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R10.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R10.2は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R10.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R10.1は、水素である。いくつかの実施形態では、R10.2は、水素である。いくつかの実施形態では、R10.3は、水素である。
【0134】
いくつかの実施形態では、R10.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R10.2及びR10.3は、水素である。いくつかの実施形態では、R10.2は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R10.1及びR10.3は、水素である。いくつかの実施形態では、R10.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R10.1及びR10.3は、水素である。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化31】
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
10.1は、上述の通りである。
【0136】
いくつかの実施形態では、R
1は、-OCH
3である。いくつかの実施形態では、R
10.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH
3、-NH
2、-OH、又は-(CH
2)OHである。例えば、式(I-C-1)又は(I-C-2)の化合物は、
【化32】
である。
【0137】
いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素であり、R5は、置換又は非置換モルホリニルである。いくつかの実施形態では、R6及びR7は、水素であり、R5は、-NR5BR5Cであり、R5B及びR5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換モルホリニルを形成する。
【0138】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化33】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上述の通りである。
【0139】
いくつかの実施形態では、R
9は、水素である。例えば、化合物は、
【化34】
である。
【0140】
いくつかの実施形態では、R
6及びR
7は、水素であり、R
5は、置換又は非置換モルホリニルである。いくつかの実施形態では、R
5は、非置換モルホリニルである。いくつかの実施形態では、R
6及びR
7は、水素であり、R
5は、-NR
5BR
5Cであり、R
5B及びR
5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換モルホリニルを形成する。いくつかの実施形態では、R
5B及びR
5Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、非置換モルホリニルを形成する。例えば、化合物は
【化35】
である。
【0141】
いくつかの実施形態では、R
6及びR
7は、水素であり、R
5は、置換又は非置換アリールである。いくつかの実施形態では、R
5は、置換又は非置換フェニルである。例えば、化合物は、
【化36】
である。
【0142】
いくつかの実施形態では、R
6及びR
7は、水素であり、R
5は、-O(CH
2)
mOH又は-NHR
5Cであり、R
5Cは、-(CH
2)
mOH、-(CH
2)
mNH
2、-(CH
2)
mNHCH
3、及び-(CH
2)
mN(CH
3)
2であり、各mは、独立して1~4の整数である。いくつかの実施形態では、mは、1、又は2である。いくつかの実施形態では、R
5は
【化37】
である。例えば、化合物は、
【化38】
である。
【0143】
いくつかの実施形態では、R
5、R
6、及びR
7は、水素であり、R
1は、シクロプロピル又は-Brである。例えば、化合物は、
【化39】
である。
【0144】
R2、R5、R6、及びR7が水素であり、R3及びR4が-Fである場合、R1は、-OCH3ではない。いくつかの実施形態では、R5、R6、及びR7が水素であり、R3及びR4が-Fである場合、R1は、-OCH3ではない。
【0145】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物又は下位実施形態は、
【化40-1】
【化40-2】
【化40-3】
【化40-4】
である。
【0146】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化41】
である。
【0147】
一態様では、化合物は、以下の構造を有する:
【化42】
又はその塩、
式中、
Wは、-CR
18=又は-N=であり、
R
11は、水素、ハロゲン、-CX’
3、-CHX’
2、-CH
2X’、-OCX’
3、-OCH
2X’、
-OCHX’
2、-OR
11A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであり、
各R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、ハロゲン、-OR
12A、又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
R
15は、水素、-NR
15BR
15C、-(CH
2)
n15NR
15BR
15C、-C(O)NR
15BR
15C、-O(CH
2)
m15OR
15A、-OR
15A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
16は、水素、-NR
16BR
16C、-(CH
2)
n16NR
16BR
16C、-C(O)NR
16BR
16C、-O(CH
2)
m16OR
16A、-OR
16A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
17は、水素、-NR
17BR
17C、-(CH
2)
n17NR
17BR
17C、-C(O)NR
17BR
17C、-O(CH
2)
m17OR
17A、-OR
17A、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換C
6-C
12アリール、又は置換若しくは非置換5~6員ヘテロアリールであり、
R
18は、水素又は非置換C
1-C
6アルキルであり、
X’は、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり、
各n15、n16、及びn17は、独立して、1~4の整数であり、
各m15、m16、及びm17は、独立して、1~4の整数であり、
各R
11A、R
12A、R
15A、R
15B、R
15C、R
16A、R
16B、R
16C、R
17A、R
17B、及びR
17Cが、独立して、水素、置換若しくは非置換C
1-C
4アルキル又は置換若しくは非置換2~4員ヘテロアルキルであるか、あるいはR
15B及びR
15Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、R
16B及びR
16Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成するか、あるいはR
17B及びR
17Cが、任意選択的に、それらに結合した原子と一緒に任意選択的に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0148】
いくつかの実施形態では、Wは、-N=である。いくつかの実施形態では、Wは、-CR18=である。いくつかの実施形態では、R18は、水素又はメチルである。
【0149】
いくつかの実施形態では、R11は、水素、ハロゲン、非置換C2-C4アルキニル、非置換C1-C4アルキル、非置換C3-C6アルキル、-OCX’3、-OCH2X’、-OCHX’2、又は-OR11Aであり、R11Aは、水素又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R11は、水素である。いくつかの実施形態では、R11は、-OCH3である。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、R11は、-Brである。
【0150】
いくつかの実施形態では、R12は、水素、ハロゲン、又は-OR12Aである。いくつかの実施形態では、R12は、水素である。いくつかの実施形態では、R12は、-F、-Cl、又はBrである。いくつかの実施形態では、R12は、-OR12Aであり、R12Aは、水素又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R12Aは、メチルである。いくつかの実施形態では、R12は、-OCH3である。
【0151】
いくつかの実施形態では、各R13及びR14は、独立して、水素、ハロゲン、又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R13は、水素、ハロゲン、又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R14は、水素、ハロゲン、又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、各R13及びR14は、独立して、水素、-F、-Cl、又はメチルである。いくつかの実施形態では、R14は、水素、-F、-Cl、又はメチルである。いくつかの実施形態では、R14は、水素、-F、-Cl、又はメチルである。いくつかの実施形態では、R13及びR14は、-Fである。
【0152】
いくつかの実施形態では、R16及びR17は、水素である。いくつかの実施形態では、R15B及びR15Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R16及びR17は、水素であり、R15B及びR15Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0153】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化43】
式中、
L
11は、結合又は-(CH
2)
n15であり、
R
19は、水素、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、又は置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキルであり、
各R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、独立して、水素、-OR
20A、-C(O)OR
20A、-NR
20BR
20C、-(CH
2)
m’OH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又はピペラジニル環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
qは、0~8の整数である。
各m’は、独立して、1~4の整数であり、
各R
19A、R
20A、R
20B、及びR
20Cは、独立して、水素又は置換若しくは非置換C
1-C
6アルキルである。
【0154】
式(II-A)又は(II-B)において、R11、R12、R13、R14、及びR18は、上述の通りである。
【0155】
いくつかの実施形態では、R15及びR17は、水素である。いくつかの実施形態では、R16B及びR16Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R15及びR17は、水素であり、R16B及びR16Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0156】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化44】
R
11、R
12、R
13、R
14、L
11、R
18、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、上述の通りである。
【0157】
いくつかの実施形態では、R15及びR16は、水素である。いくつかの実施形態では、R17B及びR17Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R15及びR16は、水素であり、R17B及びR17Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換又は非置換ピペラジニルを形成する。
【0158】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化45】
R
11、R
12、R
13、R
14、L
11、R
18、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、上述の通りである。
【0159】
いくつかの実施形態では、L
11は、結合である。いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化46-1】
【化46-2】
R
11、R
12、R
13、R
14、R
18、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、上述の通りである。
【0160】
いくつかの実施形態では、R19は、水素又は非置換C1-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R19は、水素である。いくつかの実施形態では、R19は、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、R19は、メチルである。
【0161】
いくつかの実施形態では、R
11は、-OCH
3である。いくつかの実施形態では、R
12は、水素、-F、又は-OCH
3である。いくつかの実施形態では、R
13及びR
14は、-Fである。いくつかの実施形態では、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、水素である。いくつかの実施形態では、R
19は、水素又はメチルである。例えば、式(II-A-1)の化合物は、
【化47】
である。式(II-B-1)の化合物は、
【化48】
である。式(II-C-1)の化合物は、
【化49】
である。
【0162】
いくつかの実施形態では、L
11は、メチレンである。いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化50-1】
【化50-2】
R
11、R
12、R
13、R
14、R
18、R
19、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、上述の通りである。
【0163】
いくつかの実施形態では、R
11は、-OCH
3である。いくつかの実施形態では、R
12は、水素である。いくつかの実施形態では、R
13及びR
14は、-Fである。いくつかの実施形態では、R
20.1、R
20.2、R
20.3、及びR
20.4は、水素である。いくつかの実施形態では、R
18及びR
19は、水素である。例えば、式(II-C-2)の化合物は、
【化51】
である。
【0164】
いくつかの実施形態では、R20.1、R20.2、R20.3、及びR20.4は、水素である。
【0165】
いくつかの実施形態では、R16及びR17は、水素であり、R15は、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、ピペリジル、ピロリジニル、又はモルホリニル)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、ピリジル又はピリミジニル)である。いくつかの実施形態では、R16及びR17は、水素であり、R15は、-NR15BR15Cであり、R15B及びR15Cは、それらに結合した原子と一緒に連結して、置換若しくは非置換5~6員ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0166】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化52】
式中、
k’は,1又は2であり、
各R
20.1、R
20.2、及びR
20.3は、独立して、水素、オキソ、-OR
20A、-C(O)OR
20A、-NR
20BR
20C、-(CH
2)
m’OH、置換若しくは非置換C
1-C
6アルキル、置換若しくは非置換2~6員ヘテロアルキル、又は置換若しくは非置換C
3-C
6シクロアルキルであるか、あるいはR
20.1、R
20.2、及びR
20.3のうちの1つ以上は、任意選択的に、互いに又は複素環の原子に連結して、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成し、
各m’は、独立して、1~4の整数であり、
各R
20A、R
20B、及びR
20Cは、独立して、水素又は非置換C
1-C
6アルキルである。
【0167】
式(II-E)又は(II-F)において、R11、R12、R13、R14、R18、R20.1、R20.2、及びR20.3は、上述の通りである。
【0168】
いくつかの実施形態では、R20.1、R20.2、及びR20.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R20.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R20.2は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R20.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHである。いくつかの実施形態では、R20.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.2及びR20.3は、水素である。いくつかの実施形態では、R20.2は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.1及びR20.3は、水素である。いくつかの実施形態では、R20.3は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.1及びR20.2は、水素である。
【0169】
いくつかの実施形態では、R20.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.2及びR20.3は、水素である。いくつかの実施形態では、R20.2は独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.2及びR20.3は、水素である。
【0170】
いくつかの実施形態では、R20.1は、独立して、水素、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-NH2、-OH、又は-(CH2)OHであり、R20.2及びR20.3は、水素である。
【0171】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
【化53】
R
11、R
12、R
12、R
14、R
18、及びR
20.1は、上述の通りである。
【0172】
いくつかの実施形態では、R
11は、-OCH
3であり、R
11は、水素である。いくつかの実施形態では、R
20.1は、独立して、水素又は-OHである。例えば、式(II-F-1)の化合物は、
【化54】
である。
【0173】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又は下位実施形態は、
【化55】
である。
【0174】
いくつかの実施形態では、化合物は、本明細書に提供される実施例から選択される。
【0175】
式Iの化合物及び例示的化合物の調製
分析の詳細
NMR:内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して又は使用せずに、Bruker Ultrashield(商標)400(400MHz)分光計で測定を行った。化学シフト(δ)は、TMSからppmダウンフィールドで報告され、スペクトル分裂パターンはシングル(s)、ダブレット(d)、トリプレット(t)、カルテット(q)、マルチプレット、未分解又は重複シグナル(m)、ブロードシグナル(br)として指定される。重水素化溶媒は、括弧内に示され、NMRスペクトルデータに示されるように、ジメチルスルホキシド(δ2.50ppm)、クロロホルム(δ7.26ppm)、メタノール(δ3.31ppm)、又は他の溶媒の化学シフトを有する。
【0176】
LC-MS:システム:Shimadzu20A-2010MS
検出:SPD-M20A
カラム:MERCK、RP-18e 25~2mm;
波長:紫外線220nm、254nm;
カラム温度:50℃;MSイオン化:ESI
移動相:水中の1.5mL/4 LTFA(溶媒A)、及びアセトニトリル中の0.75mL/4 LTFA(溶媒B)。溶出勾配5%-95%(溶媒B)を0.7分間にわたって使用し、95%で0.4分間保持する。1.5mL/分の流量;
【0177】
フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム
システム:CombiFlash Rf+
カラム:Santai Technologies,Inc,SEPAFLASH(登録商標)
試料は、典型的には、isolute上に吸着された
HPLCシステムでの調製
システム:TRILUTION LC 4.0
検出:Gilson 159 UV-VIS
条件1:カラム:Phenomenex Gemini-NX 80*40mm*3um
溶出液A:水(0.05%のNH3H2O+10mMのNH4HCO3)
溶出液B:CH3CN
開始B:20-45%、終了B:80-20%、勾配時間(分):8
条件2:カラム:Xtimate C18 10μ 250mm*50mm;
溶出液A:水(0.04%のNH3H2O+10mMのNH4HCO3)。
溶出液B:CH3CN 50%-80%;勾配時間(分):8
【0178】
本開示の化合物を合成するために利用される全ての出発物質、ビルディングブロック、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、及び触媒は、市販されているか、又は当業者に既知の有機合成方法によって製造され得る。
【0179】
【0180】
本開示の化合物を合成するために利用される全ての出発物質、ビルディングブロック、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、及び触媒は、市販されているか、又は当業者に既知の有機合成方法によって製造され得る。
【0181】
合成
一般方法A
DMF(0.1M)中のカルボン酸(1当量)及びアミン(1~2当量)の溶液に、HATU/HBTU/PyBOP(1.2~2当量)、及びTEA/DIEA(2~3当量)を室温で添加した。混合物を、N
2下で、室温~100℃で4~16時間撹拌した。得られた懸濁液を、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥(Na
2SO
4)させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた残渣を、研和/分取TLC/FCC/分取HPLCによって精製し、生成物を得た。
実施例1:tert-ブチル4-(3,5-ジフルオロ-4-((8-メトキシキノリン-2-イル)カルバモイル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート
【化56】
【0182】
DMF(40mL)中の化合物4-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)-2,6-ジフルオロ安息香酸(3.34g、9.770mmol)及び8-メトキシキノリン-2-アミン(1.7g、9.770mmol)の溶液に、HATU(4.46g、11.72mmol)、DIEA(2.52g、19.54mmol、3.2mL)を添加した。混合物を、90℃で一晩撹拌した。反応混合物をH2O(80mL)で洗浄し、水層をEA(80mL×2)で抽出し、合わせた有機層を、ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得た。残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA 3:1)によって精製した。所望の化合物(1.79g、収率:36.79%)を淡黄色の固体として得た。 MS(ESI)m/z(M+H)+=499.
【0183】
一般方法B
HOBt(2当量)及びDIEA/ピリジン/DMAP(3当量)の有無で、カルボン酸(1当量)、EDCI(2~2.5当量)を、THF又はDMF(0.1M)に溶解し、室温~80℃で15~30分間撹拌した。次いで、アミン(1当量)を一度に添加し、反応物を、室温で、70℃で2~16時間撹拌した。反応が完了したら、得られた懸濁液を、有機溶媒で希釈し、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥させた。濾過及び蒸発後、得られた残渣を、研和/分取TLC/FCC/分取HPLCによって精製し、生成物を得た。
実施例2:2,6-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-N-(4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)ベンズアミド
【化57】
【0184】
Py(5mL)中の2,6-ジフルオロ-4-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)安息香酸(200.0mg、777.5μmol)、4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-アミン(140.1mg、777.5μmol)、及びEDCI(298.1mg、1.56mmol)の混合物を、80℃で12時間撹拌した。混合物を、真空中で直接濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(HCl)によって精製した。所望の化合物(63mg、収率:19.32%)を黄色の固体として得た。
【0185】
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 12.77(br s,1 H),7.56(d,J=8.0 Hz,1 H),7.29(t,J=8.0 Hz,1 H),7.02(d,J=7.6 Hz,1 H),6.72(d,J=12.8 Hz,2 H),3.92(s,3 H),3.75-3.68(m,2 H),3.17(s,2 H),3.14-3.05(m,2 H),2.07(s,1 H),1.83-1.74(m,2 H),1.45-1.33(m,2 H)。 MS(ESI)m/z(M+H)+=420.1
【0186】
一般方法C
DCM(0.01~0.1M)中のカルボン酸(1当量)の溶液に、SOCl
2(1当量)及びDMF(3当量)を添加した。反応物を、0℃で0.5時間撹拌した。次いで、Py(5当量)及びアミン(1当量)を添加した。反応混合物を、25℃で24時間撹拌した。LCMS分析によって完了したと判定されたら、反応物を、1MのHCl(水溶液)でクエンチした。混合物を、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥(Na
2SO
4)させ、濾過し、蒸発させた。得られた残渣を、研和/分取TLC/FCC/分取HPLCによって精製し、生成物を得た。
実施例3:化合物tert-ブチル4-(3,5-ジフルオロ-4-((4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバモイル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化58】
【0187】
DCM(10mL)中の4-(4-tert-ブトキシカルボニルピペラジン-1-イル)-2,6-ジフルオロ-安息香酸(1.50g、4.38mmol)の溶液に、SOCl2(521.0mg、4.38mmol、317.9uL)を0℃で滴加し、反応物を25℃で1時間撹拌した。Py(1.64g、20.79mmol、1.68mL)を添加し、25℃で0.5時間撹拌した。4-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(674.4mg、3.74mmol)を反応物に添加し、反応物を25℃で16時間撹拌した。反応物をH2O(10mL)でクエンチし、有機層を分離した。有機層を、飽和HCl(10mL×2)で洗浄した。NaHCO3(10mL)、ブライン(10mL)、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1、1/1)によって精製した。所望の化合物(1.2g、収率:57.20%)を白色の固体として得た。
【0188】
De-BOC一般方法
Boc化合物をHCl/MeOHに溶解し、反応混合物を、室温で1~2時間撹拌した。溶液を濃縮して乾燥させ、最終化合物を得た。
実施例4:2,6-ジフルオロ-N-(4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-4-(ピペラジン-1-イル)ベンズアミドの調製
【化59】
【0189】
DCM(2mL)中のtert-ブチル4-(3,5-ジフルオロ-4-((4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)カルバモイル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(200.0mg、397μmol)の溶液に、HCl/MeOH(4M、6mL)を15℃で添加した。混合物を、15℃で1時間撹拌した。真空中で直接濃縮した後、残渣を、分取HPLC(HCl)によって精製した。所望の化合物(88.2mg、収率:55.2%)を黄色の固体として得た。
1H NMR(400 MHz,DMSO-d
6)δ 12.94(br s,1 H),9.40(br s,2 H),7.56(d,J=7.94 Hz,1 H),7.32-7.26(m,1 H),7.29(t,J=8.05 Hz,1 H),7.02(d,J=8.16 Hz,1 H),6.84(br d,J=12.35 Hz,2 H),3.92(s,3 H),3.67-3.55(m,4 H),3.18(br s,4 H)。 MS(ESI)m/z(M+Na)
+=427.0.
実施例5:2-フルオロ-N-(4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-6-メチル-4-(ピペラジン-1-イル)ベンズアミドの調製
【化60】
X-phos
【0190】
トルエン(5ml)中の4-ブロモ-2-フルオロ-N-(4-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)-6-メチルベンズアミド(150.0mg、0.38mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(71mg、0.38mmol)、X-phos(36.0mg、0.2mmol)、Pd
2(dba)
3(39.0mg、0.1mmol)、及びCs
2CO
3(247.0mg、0.76mmol)の溶液、混合物を、110℃で一晩撹拌した。TLC分析によって完了したと判定されたら、得られた懸濁液を、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥(Na
2SO
4)させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた残渣を、粉砕、FCC、又は分取TLCによって精製し、生成物を得た。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0191】
使用方法
ALPK1は、自然免疫応答の活性化に重要な役割を果たす、細胞質内セリンスレオニンプロテインキナーゼである。ALPK1は、細菌病原体関連分子パターン代謝物(PAMP)、ADP-D-グリセロ-β-D-マンノヘプトース(ADP-ヘプトース)に結合する。ALPK1-ADP-ヘプトース結合は、ALPK1のN末端ドメインでの直接相互作用を介して生じる。この相互作用は、ALPK1のキナーゼ活性及びそのリン酸化とフォークヘッド関連ドメイン(TIFA)とのTRAF相互作用タンパク質の活性化を刺激する。次に、TIFA活性化は、炎症誘発性サイトカイン及びケモカイン発現及び/又は分泌を含む、炎症誘発性NFkBシグナル伝達を誘発する。したがって、本明細書に開示される化合物は、一般に、ALPK1キナーゼ活性の阻害剤及びNFkB炎症誘発性シグナル伝達の下流活性化として有用である。
【0192】
本開示は、ALPK1キナーゼ活性を阻害し、標的組織における炎症を低減するための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又はその下位実施形態の使用を提供する。本方法はまた、過剰又は不適切なALPK1依存性炎症誘発性シグナル伝達を特徴とする疾患、障害、又は状態を治療するための、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載のその下位実施形態の使用を包含する。実施形態では、疾患、障害、又は状態は、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、「網膜ジストロフィー、視神経浮腫、脾腫、無汗症、及び片頭痛」(「ROSAH」)症候群、並びに「周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎、及び腺炎」(「PFAPA」)症候群から選択される。実施形態では、がんは、肺がん、結腸がん、及び口腔扁平上皮がんから選択される。実施形態では、がんは、口腔扁平上皮がんである。
【0193】
実施形態では、本開示は、細胞又は標的組織を式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態と接触させることによって、哺乳動物細胞又は標的組織におけるALPK1キナーゼ活性を阻害するための方法を提供する。実施形態では、本方法は、対象の標的細胞又は組織におけるALPK1キナーゼ活性を阻害するのに有効な量で、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態を含む薬学的組成物を対象に投与することを含む。実施形態では、本方法は、対象に、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又は下位実施形態、又はそれを含む薬学的組成物を投与することによって、かかる療法を必要とする対象の標的組織における炎症を低減することを含む。
【0194】
実施形態では、本開示は、ALPK1キナーゼ活性の過剰又は不適切な活性化を特徴とする疾患又は障害を有する対象を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態を投与することを含む。実施形態では、疾患又は障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、ROSAH症候群、及びPFAPA症候群から選択される。
【0195】
実施形態では、疾患又は障害は、らせん腺腫又はらせん腺がんであり、本方法は、かかる治療を必要とする対象に、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態を投与することを含む。実施形態では、治療を必要とする対象は、らせん腺腫又はらせん腺がんと診断され、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である。実施形態では、遺伝子変異のうちの少なくとも1つは、活性化変異である。実施形態では、ALPK1における遺伝子変異は、Rashid et al.,Nature Communications(2019)に記載されているp.V1092Aである。
【0196】
実施形態では、疾患又は障害は、ROSAHであり、本方法は、かかる治療を必要とする対象に、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態を投与することを含む。実施形態では、治療を必要とする対象は、ROSAHと診断され、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である。実施形態では、遺伝子変異のうちの少なくとも1つは、活性化変異である。実施形態では、ALPK1遺伝子における遺伝子変異は、Williams et al.,Genetics in Medicine 21:2103-2115(2019)に記載されているc.710C>T、p.T237Mである。
【0197】
実施形態では、疾患又は障害は、PFAPAであり、本方法は、かかる治療を必要とする対象に、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態を投与することを含む。実施形態では、治療を必要とする対象は、PFAPAと診断された又はPFAPAの臨床症状を有する、ALPK1に1つ以上の遺伝子変異を保有する対象である。実施形態では、遺伝子変異のうちの少なくとも1つは、活性化変異である。実施形態では、ALPK1遺伝子における遺伝子変異は、Sangiorgi et al.Eur.J.Human Genetics(2019)に記載されている2770T>C、p.(S924P)である。
【0198】
実施形態では、疾患又は障害は、肺がん、結腸がん、及び口腔扁平上皮がんから選択されるがんである。実施形態では、がんは、口腔扁平上皮がんである。実施形態では、治療を必要とする対象は、がんと診断された対象であり、がん細胞は、ALPK1に少なくとも1つの活性化変異を保有するか、又はがん細胞は、対象の非がん細胞と比較して、ALPK1のmRNA又はタンパク質を上昇したレベルで発現する。
【0199】
実施形態では、本開示は、式(I)若しくは(II)の化合物、又は本明細書に記載の下位実施形態で治療するための疾患、障害、又は状態を特定する方法を更に提供し、本方法は、ALPK1の活性化変異のうちの1つ以上について、及び疾患、障害、又は状態に関与しない参照の細胞又は組織と比較して、疾患、障害、又は状態に関与する細胞又は組織におけるALPK1のmRNA又はタンパク質の過剰発現について、疾患、障害、又は状態と診断された対象からの生体試料をアッセイすることを含む。実施形態では、ALPK1における活性化変異は、2770T>C、p.(S924P)である。
【0200】
本明細書に記載の方法の文脈において、「治療すること」という用語は、治療される疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状の改善又は安定化を指し得る。「治療すること」という用語はまた、基礎となる疾患、障害、又は状態の治癒をもたらさないが、対象が療法から得られる有益な効果を指す、疾患、障害、又は状態の管理を包含することもできる。
【0201】
治療有効量の組成物が対象に投与される実施形態では、治療有効量は、所望の治療転帰を達成する(例えば、治療される疾患、障害又は状態の1つ以上の症状を改善又は安定化する)のに十分な量、又は予防の文脈では、疾患、障害又は状態の1つ以上の症状の再発、発達、進行、又は発症の予防を達成するのに十分な量である。
【0202】
実施形態では、治療有効量は、標準療法と比較して、少なくとも同等の治療効果を達成するのに必要な量である。標準療法の一例は、同じ疾患、障害又は状態を治療するために適応されるFDA承認薬である。
【0203】
本明細書に記載の方法のいずれかの文脈では、対象は、好ましくはヒトであるが、非ヒト哺乳動物、好ましくは非ヒト霊長類であり得る。他の実施形態では、非ヒト哺乳類は、例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ)、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、又は任意の他の非ヒト哺乳類であり得る。
【0204】
実施形態では、ヒト対象は、例えば、米国食品医薬品局によって定義されているように、これらの用語が医師によって理解されているように、成人、小児、又は高齢者から選択される。
【0205】
薬学的組成物
実施形態では、本開示はまた、本明細書に記載の方法で使用するための、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又は下位実施形態、及び担体若しくは賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。実施形態では、薬学的組成物は、経口又は直腸経路による送達用に製剤化される。実施形態では、薬学的組成物は、錠剤又はカプセルの形態の経口剤形として製剤化される。実施形態では、薬学的組成物は、軟膏、坐剤、又は浣腸の形態の直腸剤形として製剤化される。実施形態では、薬学的組成物は、非経口剤形として製剤化される。実施形態では、非経口剤形は、例えば、水性液体の注射による、静脈内、動脈内、又は筋肉内経路による投与に好適である。
【0206】
実施形態では、本開示は、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又は下位実施形態、及び1つ以上の賦形剤若しくは担体、好ましくは薬学的に許容される賦形剤若しくは担体を含む組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしでヒト及び動物の組織に接触して使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、担体、及び/又は剤形を指す。薬学的組成物を調製するための賦形剤は、一般に、ヒト又は動物の身体に投与された場合、安全かつ無毒であることが知られている賦形剤である。薬学的に許容される賦形剤の例としては、滅菌液、水、緩衝生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、油、洗剤、懸濁剤、炭水化物(例えば、グルコース、ラクトース、スクロース、又はデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸又はグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、及び前述のいずれかの好適な混合物が挙げられるが、これらに限定されない。組成物中で利用される特定の賦形剤は、製剤化される化合物の化学的安定性及び溶解性、並びに意図される投与経路を含む様々な要因に依存するであろう。
【0207】
薬学的組成物は、バルク又は単位剤形で提供され得る。投与の容易さ及び投与量の均一性のために、単位剤形で薬学的組成物を製剤化することは特に有利である。「単位剤形」という用語は、治療される対象のための単位投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生成するように計算された所定量の活性化合物を含む。単位剤形は、アンプル、バイアル、坐剤、ドラジェ、錠剤、カプセル、IVバッグ、又はエアロゾル吸入器での単一ポンプであり得る。
【0208】
治療用途では、用量は、活性化合物の化学的及び物理的特性、並びに例えば、年齢、体重、及び併存疾患を含む、対象の臨床的特徴に応じて変化し得る。一般に、用量は、治療有効量であるべきである。薬学的組成物の有効量は、臨床医又は他の有資格観察者によって指摘されるように、客観的に識別可能な改善を提供するものである。例えば、障害、疾患、又は状態の症状の緩和。
【0209】
薬学的組成物は、任意の所望の経路(例えば、肺、吸入、鼻腔内、経口、頬側、舌下、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、髄腔内、経皮、経粘膜、直腸など)による投与のための任意の好適な形態(例えば、液体、エアロゾル、溶液、吸入剤、ミスト、スプレー、又は固体、粉末、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチなど)を取ることができる。実施形態では、薬学的組成物は、エマルション、水性懸濁液、分散液、又は溶液の形態のカプセル、錠剤、口腔用形態、トローチ、ロゼンジ、及び経口液体を含むが、これらに限定されない、経口的に許容される剤形の形態である。カプセルは、デンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカのデンプン)、糖類、人工甘味料、結晶性及び微結晶セルロースなどの粉末セルロース、小麦粉、ゼラチン、ガムなどを含む、不活性充填剤及び/又は希釈剤などの賦形剤を含んでもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を添加することもできる。
【0210】
実施形態では、薬学的組成物は、錠剤の形態である。錠剤は、糖又は糖アルコール(例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトール、又はマンニトール)の不活性希釈剤又は担体と一緒に、本明細書に記載の化合物の単位用量を含むことができる。錠剤は、非糖由来希釈剤(例えば、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム)、又はセルロース若しくはその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、及びデンプン(例えば、トウモロコシデンプン)を更に含むことができる。錠剤は、結合剤及び造粒剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨張性架橋ポリマー)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸塩)、防腐剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン)、緩衝剤(例えば、リン酸塩又はクエン酸塩緩衝剤)、並びに発泡剤(例えば、クエン酸塩/重炭酸塩混合物)を更に含むことができる。錠剤は、コーティングされた錠剤であり得る。コーティングは、保護フィルムコーティング(例えば、ワックス又はニス)又は活性化合物の放出(例えば、遅延放出(摂取後の所定の遅延時間後の活性剤の放出)若しくは胃腸管内の特定の位置での放出)を制御するように設計されたコーティングであり得る。後者は、例えば、Eudragit(登録商標)のブランド名で販売されるもののような腸溶性膜コーティングを使用して達成され得る。
【0211】
錠剤製剤は、従来の圧縮、湿式造粒法又は乾式造粒法によって作製され得、薬学的に許容される希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸懸濁剤又は安定化剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプン、及び粉糖を含むが、これらに限定されない)を利用することができる。好ましい表面改質剤には、非イオン性及び陰イオン性表面改質剤が含まれる。表面改質剤の代表的な例としては、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びトリエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
実施形態では、薬学的組成物は、硬質ゼラチンカプセル又は軟質ゼラチンカプセルの形態である。本製剤によれば、本開示の化合物は、固体、半固体、又は液体の形態であり得る。
【0213】
実施形態では、薬学的組成物は、非経口投与に好適な滅菌水溶液又は分散液の形態である。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、髄腔内、病変内及び頭蓋内注射若しくは注入技術を含む。
【0214】
実施形態では、薬学的組成物は、直接注射によって、又は静脈内注入のための滅菌注入液に添加することによって投与するのに好適な滅菌水溶液又は分散液の形態であり、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、又は1つ以上の植物油を含む溶媒又は分散媒を含む。溶液又は懸濁液は、共溶媒又は界面活性剤を用いて水中で調製することができる。好適な界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)-脂肪酸及びPEG-脂肪酸モノ及びジエステル、PEGグリセロールエステル、アルコール-油トランスエステル化生成物、ポリグリセリル脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖及びその誘導体、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、脂溶性ビタミン及びそれらの塩、水溶性ビタミン及びそれらの両親媒性誘導体、アミノ酸及びそれらの塩、並びに有機酸及びそれらのエステル及び無水物が挙げられる。分散体はまた、例えば、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及び油中の同じものの混合物中で調製され得る。
【0215】
本開示はまた、本明細書に記載の方法に使用するための薬学的組成物を含む包装及びキットを提供する。キットは、ボトル、バイアル、アンプル、ブリスターパック、及びシリンジからなる群から選択された1つ以上の容器を含むことができる。キットは、使用説明書、1つ以上のシリンジ、1つ以上のアプリケータ、又は本明細書に記載の化合物若しくは組成物を再構成するのに好適な滅菌溶液のうちの1つ以上を更に含むことができる。
【0216】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される全ての割合及び比率は、重量による。
【0217】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明及び例示される。
【実施例】
【0218】
実施形態では、本明細書に記載の式(I)若しくは(II)の化合物、又は下位実施形態は、ALPK1の阻害剤であり、例えば、インビトロALPK1キナーゼアッセイ、又はALPK1経路の活性化(例えば、NFkBの転写活性化又はIL-8の分泌)を測定するように設計されたアッセイで測定される。一般に、コンピュータプログラムXL fitは、非線形回帰分析を含むデータ分析に使用された。半最大阻害濃度(IC50)を、アッセイにおける化合物の有効性の尺度として使用した。IC50値は、以下のロジスティック方程式Y=min+(max-min)/(1+(X/IC50^-ヒル勾配)を使用して決定し、式中、Yは、化合物の濃度Xでの値である。濃度応答曲線の適合は、GraphPad Prismバージョン6.00ソフトウェアを使用して実施した。
【0219】
生物学的アッセイ及びデータ
実施形態では、式(I)又は(II)の化合物は、ALPK1の阻害剤であり、例えば、インビトロALPK1キナーゼアッセイで測定されるか、又は経路内の下流標的(例えば、NFkB転写の活性化又はIL-8の分泌)をアッセイすることによって、ALPK1経路の活性化を介してなど、ALPK1キナーゼ活性を間接的に測定するように設計されたアッセイで測定される。一般に、コンピュータプログラムXL fitは、非線形回帰分析を含むデータ分析に使用された。半最大阻害濃度(IC50)を、アッセイにおける化合物の有効性の尺度として使用した。IC50値は、以下のロジスティック方程式Y=min+(max-min)/(1+(X/IC50^-ヒル勾配)を使用して決定し、式中、Yは、化合物濃度Xでの値である。濃度応答曲線の適合は、GraphPad Prismバージョン6.00ソフトウェアを使用して実施した。
【0220】
ALPK1インビトロキナーゼアッセイ
ADP-ヘプトースをそのキナーゼ活性のALPK1リガンド及び活性化因子として使用し、TIFAタンパク質をALPK1リン酸化基質として使用したインビトロアッセイにおいて、ALPK1キナーゼ活性を測定した。リン酸化TIFAタンパク質がオリゴマー化するので、TIFAリン酸化の指標として、HAタグ化TIFAタンパク質間のタンパク質:タンパク質相互作用を測定するために、均一時間分解蛍光(HTRF)を使用した。
【0221】
簡潔に、384ウェルアッセイプレートにおいて抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン、G418)を含む10%のウシ胎仔血清(FBS、Hyclone(商標))を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養されたHEK293細胞を用いて用量応答試験を行った。各ウェルは、0.1mgのTIFA、ALPK1(反応混合物中の2nMの最終濃度)及びキナーゼ緩衝液(100mMのHEPES(pH7.4)、4mMのDTT、40mMのMgCl2、20mMのβ-グリセロールリン酸二ナトリウム塩、0.4mMのNa3VO4、0.16mg/mL)を含んでいた。試験化合物の滴定液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)で調製した。反応は、ATP及びADP-ヘプトースを添加することによって開始した。
【0222】
HTRFの場合、試料を、製造業元の説明書(PerkinElmer(商標)、CisBio(商標))に従って、HAタグ化タンパク質を捕捉するためのTbクリプテート標識抗HA抗体とインキュベートし、蛍光シグナルを定量化した(Tecan Infinite F NANO+)。HTRFシグナルを、HTRF比(665nm及び620nmで測定された蛍光の比)×104(それによって、内部標準としての620nmでのシグナルを使用して)として計算した。
【0223】
全ての化合物は、このアッセイにおいて、用量依存的なTIFAリン酸化の減少を示した。GraphPad Prismバージョン6.00を使用して、3パラメータ又は4パラメータのロジスティック方程式を使用して、IC50値を決定した。参照化合物A027を、各プレートの陽性対照として使用した。このアッセイでは、この化合物は、約50ナノモル濃度(nM)のIC50を有する。試験化合物のIC50値は、1~2000nMの範囲であり、表1(式Iの化合物)及び表2(式IIの化合物)に示されている。
【0224】
NFκB遺伝子レポーターアルカリホスファターゼアッセイ
アルカリホスファターゼレポーターアッセイシステムを使用して、ALPK1依存性NFκBレポーター遺伝子活性化の阻害を測定した。簡潔に、NF-kBレポーターを安定して発現するHEK293細胞(本明細書では「G9細胞」と呼ぶ)を、上述のようにDMEM中で維持した。アッセイでは、細胞を、Freestyle(商標)293発現培地(ThermoFisher)に10,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、一晩付着させた。細胞を段階希釈した化合物で30分間前処理し、次いで、D-グリセロ-D-マンノ-6-フルオロ-ヘプトース-1β-S-ADPで刺激した。この化合物は、ADPヘプトースの類似体であり、ALPK1キナーゼ活性を活性化する類似の能力とともに、インビトロでの安定性の増加を示す。NFkB遺伝子の活性化は、製造元のプロトコル(pNPPホスファターゼアッセイ、Beyotime Biotechnology)に従って、発色性基質であるパラ-ニトロフェニルリン酸(pNPP)を使用して検出した。全ての化合物は、このアッセイにおいて、NFkBプロモーター駆動型遺伝子発現の用量依存的な減少を示した。IC50値は、0.5~15マイクロモル濃度(uM)の範囲であり、表1(式Iの化合物)及び表2(式IIの化合物)に示されている。
【0225】
活性化ALPK1の阻害
ALPK1の活性化変異は、がん、らせん腺腫、らせん腺がん、ROSAH症候群、及びPFAPA症候群などの疾患及び障害と関連している。本発明者らは、2つの活性化変異であるT237M及びV1092Aの文脈において、ALPK1を阻害する代表的な化合物の能力を評価するために更なる実験を行った。予備実験では、これらの活性化変異の各々を含むヒトALPK1発現ベクターで一過的にトランスフェクトされた細胞において、IL-8タンパク質の分泌が上昇したことを確認した。したがって、本発明者らは、これらの変異を発現する細胞における活性化されたALPK1阻害の指標としてIL-8分泌を使用した。
【0226】
第一に、予備実験において、本発明者らは、T237M又はV1092Aの2つの活性化変異のいずれかを一過的に発現する細胞において、IL-8の分泌が有意に増加したことを立証した。HEK293細胞を上述のように培養した後、空のベクター、又は(i)ヒトALPK1(hALPK1)、(ii)T237M活性化変異を有するhALPK1(hALPK1-T237M)、(iii)V1092A活性化変異を有するhALPK1(hALPK1-V1092A)、若しくは(iv)キナーゼ不活性型ALPK1変異体(hALPK1-T237M-D1194S)をコードする発現ベクターのいずれかで一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションは、製造元のプロトコル(Lipofectamine(商標)3000、ThermoFisher)に従って実施した。トランスフェクトされた細胞を選択し、96ウェルプレートに播種し、試験化合物の段階希釈液で6.5時間処理した。処置後、発光細胞生存アッセイ(Cell Counting-Liteアッセイ又はVazyme Biotech Co.,Ltd.の「CCLアッセイ」)を使用して細胞生存率を決定し、無細胞上清を回収し、上述のようにIL-8のELISAによってIL-8タンパク質を分析した。
図1は、試験群の各々のIL-8の分泌を示す。図に示されるように、空のベクター、hALPK1、又はキナーゼ不活性型hALPK1変異体のうちのいずれかでトランスフェクトされた細胞において、IL-8が検出されることはごくわずかであった。対照的に、hALPK1における活性化変異の両方が、有意なIL-8の分泌を誘導した。
【0227】
次に、活性化ALPK1変異体、T237M及びV1092Aの各々を発現する細胞において、IL-8の分泌を阻害するための代表的な化合物セットを試験した。表3は、T237Mでトランスフェクトされた細胞におけるIL-8の分泌の阻害を示し、表4は、V1092A変異体でトランスフェクトされた細胞におけるIL-8の分泌の阻害を示す。T237M変異体の研究では、T237M hALPK1変異体を安定して発現するHEK293細胞株(「A2」)を作製した。A2細胞を、試験化合物の存在下で合計40時間培養した。新鮮な培地及び化合物を24時間で添加した。細胞生存率及びIL-8の分泌を、上述のようにCCLアッセイ及びIL-8 ELISAを使用して、化合物の2回目の添加の16時間後に決定した。表3は、野生型HEK293細胞からのIL-8の分泌と比較して、A2細胞におけるIL-8の分泌の半最大抑制濃度(IC50)を示しており、野生型細胞からのIL-8レベルへのノックダウンが、100%阻害であると考えられた。
【表4】
【0228】
表4に示されるV1092A変異体の研究では、HEK293細胞を、hALPK1-V1092A又はhALPK1(野生型)発現ベクターで一過的にトランスフェクトし、次いで、試験化合物で24時間処理した。新鮮な培地及び化合物を18時間で添加した。細胞生存率及びIL-8分泌は、上述のようにCCLアッセイ及びIL-8 ELISAを使用して、化合物の2回目の添加の6時間後に決定した。表4は、野生型HEK293細胞と比較したIL-8分泌の半最大抑制濃度(IC50)を示す。
【表5】
【0229】
SLE動物モデルにおける有効性試験
全身性エリテマトーデス(SLE)のマウスモデルを使用して、この状態を治療するために、ALPK1阻害剤の能力を評価した。雌のMRL/MpJ-faslpr/Jマウスを、試験化合物(T007)で9週間処置した。約13週齢(試験0日目)で、雌マウスを1群当たり10匹のマウスの2つの処置群に無作為化し、ビヒクル(5% PEG400、95% メチルセルロース[MC])又は試験化合物T007(50mg/kg)による毎日(QD)の経口(PO)処置を開始した。動物を、22週齢で剖検及び組織採取のために安楽死させた。
図2に示されるように、T007は、蛋白尿、血清抗dsDNA抗体レベル、及び腎臓組織病理学の評価によって決定されるように、SLEに対して統計的に有意な有益な効果を示した。尿タンパク質スコアは、21週齢で、未処置(ビヒクル)群と比較して、処置群で有意に(55%)低下した(AUCの34%低下、p=0.100)。
図3Aに示されるように、腎臓組織病理学(右腎臓)は、T007による処置が糸球体直径(38%の減少)、半月体スコア(62%)、蛋白円柱スコア(70%)を有意に減少させることを示した。
図3Bは、未処置(ビヒクル)群と比較した処置群における合計腎臓スコア(34%)を示す。
【0230】
敗血症誘発性急性腎損傷動物モデルにおける有効性試験
腸管穿孔(CLP)によって誘発される多菌性敗血症は、ヒトの敗血症の進行及び特性によく似ているため、最も頻繁に使用されるモデルである。本発明者らは、敗血症における化合物T007の効果を評価するために、このモデルシステムを使用した。簡潔に、SDラットの盲腸を無菌の絹糸で結紮し、次いで、盲腸を針で2回穿刺し、穏やかに圧搾して少量の糞便を出し、次いで、腹部切開を閉じた。試験化合物T007(20mg/kg)を、手術の2時間前に投与した。手術の24時間後、生存を記録し、MCP-1分析のために血漿を採取して、Q-PCRによる遺伝子発現分析のために腎臓を採取した。
図4は、試験化合物が、マウスの生存率を改善したことを示す。
図5は、試験化合物が、腎臓の炎症誘発性遺伝子の発現を阻害したことを示す。具体的には、IL6、TNFa、IL-1b、CCl2、及びKCについて、遺伝子発現の阻害が観察された。
図6は、ELISAによって測定された血漿MCP-1の血漿中濃度も、処置群において改善されたことを示す。
【0231】
均等物
当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物である、通常の実験のみを使用して認識又は確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0232】
本明細書で引用される全ての参考文献は、各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が、あらゆる目的のために、その全体が参照により援用されるように具体的かつ個別に示されているかのように、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0233】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】