(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】新規の有機電池材料及びその使用
(51)【国際特許分類】
C09K 11/06 20060101AFI20230929BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20230929BHJP
H10K 50/155 20230101ALI20230929BHJP
H10K 50/165 20230101ALI20230929BHJP
H10K 71/13 20230101ALI20230929BHJP
H10K 71/15 20230101ALI20230929BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20230929BHJP
H10K 30/30 20230101ALI20230929BHJP
【FI】
C09K11/06 640
H10K85/60
H10K50/155
H10K50/165
H10K71/13
H10K71/15
H10K30/50
H10K30/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540982
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 CA2021051294
(87)【国際公開番号】W WO2022056636
(87)【国際公開日】2022-03-24
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523093103
【氏名又は名称】ブリリアント マターズ オーガニック エレクトロニクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ,グレゴリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ファラハト,マームード イー.
(72)【発明者】
【氏名】デインコ,セルゲイ ブイ.
【テーマコード(参考)】
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA03
3K107BB01
3K107BB02
3K107DD73
3K107DD76
3K107DD78
3K107DD87
3K107EE68
3K107FF06
3K107FF14
3K107FF15
3K107FF19
3K107GG06
3K107GG07
3K107GG08
5F251AA11
5F251XA53
(57)【要約】
低強度光収穫のためのスロットダイコーティング三元ブレンドに基づく有機太陽光発電(OPV)が、本明細書で開示される。三元ブレンドは、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、又はアアルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2のアクセプター材料、及びポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT)]を含む電子ドナー材料のいずれかを含む。態様では、N-環状ペリレンジイミドダイマー(tPDI
2N-EH、PDI)アクセプター材料を、ドナーポリマー材料(PPDT2FBT)とフラーレンアクセプター[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM)材料とのブレンドに組み込み、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドを得た。更なる態様では、BTPベースの電子アクセプター材料を、ドナーポリマー材料(PPDT2FBT)とフラーレンアクセプター[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM)材料とのブレンドに組み込み、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドを得た。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D
1とのブレンドを含む、組成物であって、前記電子アクセプター材料のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料である、組成物。
【請求項2】
少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D
1とのブレンドを含む、組成物であって、前記少なくとも1つの電子ドナー材料D
1が、ポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT)]を含み、前記少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、又はアルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料を含む、組成物。
【請求項3】
前記ブレンドが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ブレンドが、BTPベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記ブレンドが、約1:1.0~約1:2.0の範囲のドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)を含む、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.1~約1:1.9の範囲である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.2~約1:1.8の範囲である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.3~約1:1.7の範囲である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.4~約1:1.6の範囲である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.5である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ブレンドが、FBT:PC
61BM:PDIを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記ブレンドが、FBT:PC
61BM:BTPを含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
前記ブレンドが、添加剤を更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記添加剤が、前記ブレンドの約0.1重量%~約5.0重量%を占める、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記添加剤が、前記ブレンドの約1.0重量%を占める、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記添加剤が、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記ブレンドが、スロットダイコーティングされている、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ブレンドが、スピンコーティングされている、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスロットダイコーティングされている、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスピンコーティングされている、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記ブレンドが、低強度光収穫に好適なバンドギャップを生成し、前記ブレンドが、低強度光収穫に好適な380nm~940nmの可視光の有意な吸収を有し、前記ブレンドが、約90nm~約500nmの範囲のフィルム厚さを有する約380nm~約900nmの少なくとも10%のEQEを有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記ブレンドが、バルク材料又はフィルムの形態で提供される、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物を含む、光学又は電子デバイス。
【請求項34】
前記デバイスが、アノード及びカソードを更に備える、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記デバイスが、前記アノードと前記カソードとの間の活性層を備える、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、請求項33に記載の光学又は電子デバイス。
【請求項37】
請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物を含む、有機半導体材料、層、又は構成要素。
【請求項38】
有機半導体材料、層、又は構成要素としての、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項39】
電子デバイスにおける、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項40】
前記電子デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、又は光検出器である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
インクジェット印刷のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項42】
スクリーン印刷のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項43】
フレキソ印刷のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項44】
オフセット印刷のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項45】
グラビア印刷のための、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項46】
少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D
1と、を含む、ブレンドであって、前記電子アクセプター材料のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料である、ブレンド。
【請求項47】
少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D
1と、を含む、ブレンドであって、前記少なくとも1つの電子ドナー材料D
1が、ポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT)]を含み、前記少なくとも2つの電子アクセプター材料A
1及びA
2のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、又はアルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料を含む、ブレンド。
【請求項48】
前記ブレンドが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、請求項46又は47に記載のブレンド。
【請求項49】
前記ブレンドが、BTPベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、請求項46又は47に記載のブレンド。
【請求項50】
前記ブレンドが、約1:1.0~約1:2.0の範囲のドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)を含む、請求項48又は49に記載のブレンド。
【請求項51】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.1~約1:1.9の範囲である、請求項50に記載のブレンド。
【請求項52】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.2~約1:1.8の範囲である、請求項51に記載のブレンド。
【請求項53】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.3~約1:1.7の範囲である、請求項52に記載のブレンド。
【請求項54】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.4~約1:1.6の範囲である、請求項53に記載のブレンド。
【請求項55】
前記ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.5である、請求項54に記載のブレンド。
【請求項56】
前記ブレンドが、FBT:PC
61BM:PDIを含む、請求項50~55のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項57】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、請求項56に記載のブレンド。
【請求項58】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、請求項56に記載のブレンド。
【請求項59】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、請求項56に記載のブレンド。
【請求項60】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、請求項56に記載のブレンド。
【請求項61】
前記FBT:PC
61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、請求項56に記載のブレンド。
【請求項62】
前記ブレンドが、FBT:PC
61BM:BTPを含む、請求項50~55のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項63】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、請求項62に記載のブレンド。
【請求項64】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、請求項62に記載のブレンド。
【請求項65】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、請求項62に記載のブレンド。
【請求項66】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、請求項62に記載のブレンド。
【請求項67】
前記FBT:PC
61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、請求項62に記載のブレンド。
【請求項68】
前記ブレンドが、添加剤を更に含む、請求項46~67のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項69】
前記添加剤が、前記ブレンドの約0.1重量%~約5.0重量%を占める、請求項68に記載のブレンド。
【請求項70】
前記添加剤が、前記ブレンドの約1.0重量%を占める、請求項69に記載のブレンド。
【請求項71】
前記添加剤が、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む、請求項68~70のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項72】
前記ブレンドが、スロットダイコーティングされている、請求項46~71のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項73】
前記ブレンドが、スピンコーティングされている、請求項46~71のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項74】
前記ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスロットダイコーティングされている、請求項72に記載のブレンド。
【請求項75】
前記ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスピンコーティングされている、請求項73に記載のブレンド。
【請求項76】
前記ブレンドが、低強度光収穫に好適なバンドギャップを生成し、前記ブレンドが、低強度光収穫に好適な380nm~940nmの可視光の有意な吸収を有し、前記ブレンドが、約90nm~約500nmの範囲のフィルム厚さを有する約380nm~約900nmの少なくとも10%のEQEを有する、請求項46~75のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項77】
前記ブレンドが、バルク材料又はフィルムの形態で提供される、請求項46~76のいずれか一項に記載のブレンド。
【請求項78】
請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドを含む、光学又は電子デバイス。
【請求項79】
前記デバイスが、アノード及びカソードを更に備える、請求項78に記載のデバイス。
【請求項80】
前記デバイスが、前記アノードと前記カソードとの間の活性層を備える、請求項79に記載のデバイス。
【請求項81】
前記デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、請求項78に記載の光学又は電子デバイス。
【請求項82】
請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドを含む、有機半導体材料、層、又は構成要素。
【請求項83】
有機半導体材料、層、又は構成要素としての、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項84】
電子デバイスにおける、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項85】
前記電子デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、又は光検出器である、請求項84に記載の使用。
【請求項86】
インクジェット印刷のための、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項87】
スクリーン印刷のための、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項88】
フレキソ印刷のための、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項89】
オフセット印刷のための、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【請求項90】
グラビア印刷のための、請求項46~77のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月16日に出願された米国仮出願第63/079,147号の利益を主張する。参照出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、新規の有機電池材料及びその使用に広く関する。より具体的には、限定的ではないが、本開示は、低強度の屋内光収穫のための新規のスロットダイコーティング及びスピンコーティングされた三元ブレンドに関する。更に、より具体的には、限定的ではないが、本開示は、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドに基づく新規の有機電池材料に関する。本開示はまた、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドに基づく新規の有機電池材料の調製のためのプロセスに関する。更に、本開示は、有機エレクトロニクスにおける新規の有機電池材料の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
屋内太陽光発電(iPV)は、人工光の収穫を目的としており、モノのインターネット(IoT)システムの電源として重要な役割を果たすことが期待されている。iPVの即時の市場参入ポイントの1つは、小型電子デバイスに電力を供給することであり、今後10年以内に数百億台のデバイスが設置されると期待されている。500ルクス(オフィススペース)及び1000ルクス(工場)の範囲の屋内光強度は、小型iPVモジュールを使用する場合に>100μWの電力を提供するのに十分である。この電力は、無線周波数識別(RFID)タグ(約10μW)、エコビーサーモスタット(約18μW)、及びパッシブWiFi(約60μW)などのスマートIoTデバイスを供給するのに十分足りている。iPV展開にとって重要なのは、以下のとおりである:i)活性層のバンドギャップエンジニアリング-LED照明の発光に一致する中程度のバンドギャップ(可視範囲の光吸収)を有する光活性材料を用いること、ii)低照度下での電圧損失を相殺するための高いVoc値[1]、及びiii)大規模なデバイス性能を審査すること。
【0004】
第1の点では、様々な光活性材料は、色素増感された[2]ペロブスカイト[3]及び有機[4]半導体を含むiPVに向けての実現可能性をもたらす。これらのうち、有機太陽光発電(OPV)は、いくつかの理由から、屋内光リサイクル用途の理想的な候補として際立っている。実現可能性の観点から、OPVデバイスの電力変換効率(PCE)は、1太陽照明(AM1.5G、100mW/cm2)下での単接合セルで18%に達している。[5]OPVは、電磁スペクトルの可視領域(すなわち、人工屋内光の発光スペクトルと重複する)で高い励起子係数を有する有機発色団から構築された活性層を有する。OPVは、ハロゲンフリー溶媒[6]から軽量基板に容易に溶液処理され、種々の形態因子に適合させることができる。更に、OPVは、ブレードコーティング及びスロットダイコーティングなどの様々なコーティング技術との互換性が高く、大規模な製造に理想的である。
【0005】
無機太陽光発電と比較して、OPVは、1太陽照明下でPCEが低い。しかしながら、可変光吸収性が高く、低光強度下での電流漏れが少ないことから、OPVは、無機技術よりも屋内光エネルギーの収穫において効率的な性能を示している。小さい電流漏れは、大規模生産に不可欠であるより高い充填係数(FF)を有するより厚い活性層を可能にすることができる。更に、薄暗い照明下でのOPVの性能に対する直列抵抗の影響が小さいため、一般的なインジウムスズ酸化物(ITO)電極の交換が実現可能になり、低コストで持続可能な透明導電電極の使用が可能になる。
【0006】
スーパーコンデンサ及びワイヤレスセンサノードの充電のための概念実証iOPV(屋内有機太陽光発電)が確立されている。それにもかかわらず、屋内光照明下でのOPVデバイスの性能は、理論上の最大PCE値(約51-57%)からはまだ遠く離れており、[7]更なる調査及び最適化が必要である。
【0007】
半結晶性ポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT、本明細書ではFBTと呼ばれる)及び[6,6]-フェニル-C71-酪酸メチルエステル(PC71BM)から構成される二元ブレンド系が最近報告されている。9%のPCEを有し、厚い活性層(約300nm)を有し、かつ高い熱安定性を呈するOPVデバイスを得た。活性層をスロットダイコーティング(ロールツーロール互換技術)を介して容易に処理し、1太陽下で7.5%のデバイスPCEをもたらす。LED照明(1000ルクス)下での評価では、PCEが16%に増加したことが示された。[8]三元ブレンドアプローチを使用したiOPV構築のためのこのFBT:フラーレン光活性層の使用が報告されている。三元ブレンドは、以前は、スペクトルマッチングの増加、損失プロセスを最小限に抑えるためのエネルギーカスケードによるデバイスのVoc≧1Vの増加、及び組換え上の輸送の増強のための活性層形態の制御を介して、デバイスの光電流生成を増強するために使用されてきた。
【0008】
二元[9-12]及び三元[13]OPVの両方における非フラーレンアクセプター(NFA)としてのN-環状ペリレンジイミドダイマーtPDI2N-EH(PDI)の使用が報告されている。FBT:PDI(o-キシレンからスロットダイコーティングされた活性層)に基づくデバイスは、1太陽下及び1000ルクスの照度下で、それぞれ1.02V及び0.84Vの高いVoc値を呈し、各ケースでPCEが4%及び9%であった[14]。対照的に、FBT:PC61BM活性層を有するOPVは、1太陽下及び1000ルクスの照度下で、それぞれPCEが8%及び14%であったが、Voc値が0.78V以下であった[14]。更に、PDIは、第3の構成要素として使用する場合、PBDB-T:PC61BMベースのOPVのVocを有意に上昇させることができると報告されている[13]。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、新規の有機電池材料及びその使用に広く関する。より具体的には、限定的ではないが、本開示は、低強度の屋内光収穫のための新規のスロットダイコーティング及びスピンコーティングされた三元ブレンドに関する。更に、より具体的には、限定的ではないが、本開示は、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドに基づく新規の有機電池材料に関する。本開示はまた、三元バルクヘテロジャンクション(BHJ)ブレンドに基づく新規の有機電池材料の調製のためのプロセスに関する。更に、本開示は、有機エレクトロニクスにおける新規の有機電池材料の使用に関する。
【0010】
屋内光照明下での現在のOPVデバイスの性能に関連する問題の解決策が発見された。概して、解決策は、電子ドナー材料と少なくとも2つの電子アクセプター材料とを含む、三元ブレンドの発見の中に存在する。態様では、本開示は、電子ドナー材料、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、及び少なくとも第2の電子アクセプター材料から構成される三元ブレンドに関する。更なる態様では、本開示は、電子ドナー材料、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、及び少なくとも第2の電子アクセプター材料から構成される三元ブレンドに関する。これらの三元ブレンドは、効率的な屋内光収穫のためにOPVに使用され得る。三元ブレンドの1つの利点は、それらが環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)から効率的にスロットダイコーティングされ、屋内光リサイクル用途のための大面積効率的なOPVへの道を開くことができることである。
【0011】
態様では、本開示は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1とのブレンドを含む、組成物に関し、電子アクセプター材料のうちの1つは、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料である。本開示の実施形態では、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料は、PDIを含む。本開示の実施形態では、PDIは、モノマー又はダイマーであり得る。態様では、本開示は、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2のアクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料は、PDIを含む。本開示の実施形態では、PDIは、モノマー又はダイマーであり得る。本開示の実施形態では、ドナー材料とアクセプター材料との質量比(w/w)は、約1:1.0~約1:2.0、例えば、約1:1.1~約1:1.9、例えば、約1:1.2~約1:1.8、例えば、約1:1.3~約1:1.7、例えば、約1:1.4~約1:1.6、又はその中で導出可能な任意の範囲であり得る。特定の実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.5のドナー:アクセプター比(w/w)を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)からスロットダイコーティングされている。
【0012】
態様では、本開示は、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料は、PDIを含む。本開示の実施形態では、PDIは、モノマー又はダイマーであり得る。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:PDIを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.35:0.15のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.2:0.3のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.05:0.45のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:0.9:0.6のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:0.75:0.75のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の態様では、三元ブレンドは、添加剤を更に含む。実施形態では、添加剤は、三元ブレンドの約0.1重量%~約5重量%を占める。更なる実施形態では、添加剤は、三元ブレンドの約1重量%を占める。更に別の実施形態では、添加剤は、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)からスロットダイコーティングされている。
【0013】
態様では、本開示は、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:PDIを含む。本開示の更なる態様では、三元ブレンド材料は、完全な屋内LED発光スペクトルと十分に一致するバンドギャップを呈する。
【0014】
態様では、本開示は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1とのブレンドを含む、組成物に関し、電子アクセプター材料のうちの1つは、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料である。態様では、本開示は、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2のアクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、ドナー材料とアクセプター材料との質量比(w/w)は、約1:1.0~約1:2.0、例えば、約1:1.1~約1:1.9、例えば、約1:1.2~約1:1.8、例えば、約1:1.3~約1:1.7、例えば、約1:1.4~約1:1.6、又はその中で導出可能な任意の範囲であり得る。特定の実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.5のドナー:アクセプター比(w/w)を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)からスロットダイコーティングされている。
【0015】
態様では、本開示は、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:BTPを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.35:0.15のFBT:PC61BM:BTPの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.2:0.3のFBT:PC61BM:BTPの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.05:0.45のFBT:PC61BM:BTPの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:0.9:0.6のFBT:PC61BM:PDIの重量比を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、約1:0.75:0.75のFBT:PC61BM:BTPの重量比を含む。本開示の態様では、三元ブレンドは、添加剤を更に含む。実施形態では、添加剤は、三元ブレンドの約0.1重量%~約5重量%を占める。更なる実施形態では、添加剤は、三元ブレンドの約1重量%を占める。更に別の実施形態では、添加剤は、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)からスロットダイコーティングされている。
【0016】
態様では、本開示は、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドに関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:BTPを含む。本開示の更なる態様では、三元ブレンド材料は、完全な屋内LED発光スペクトルと十分に一致するバンドギャップを呈する。
【0017】
態様では、本開示は、高い熱安定性、厚さ公差、及び強い可視光吸収を有するiOPV構築のための光活性層に関する。実施形態では、光活性層は、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドを含む。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:PDIを含む。更なる実施形態では、光活性層は、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:BTPを含む。本開示の更に別の実施形態では、三元ブレンドは、環境に優しい溶媒(例えば、ハロゲンフリー溶媒)からスロットダイコーティングされている。
【0018】
態様では、本開示は、デバイスの光電流生成を増強するための、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:PDIを含む。本開示の実施形態では、デバイスは、iPVである。実施形態では、iPVは、IoTベースのデバイスと効果的に統合することができる。
【0019】
態様では、本開示は、デバイスの光電流生成を増強するための、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:BTPを含む。本開示の実施形態では、デバイスは、iPVである。実施形態では、iPVは、IoTベースのデバイスと効果的に統合することができる。
【0020】
態様では、本開示は、デバイスの光電流生成を増強するための、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:PDIを含む。本開示の実施形態では、デバイスは、屋内光リサイクルに使用されるOPVである。
【0021】
態様では、本開示は、デバイスの光電流生成を増強するための、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:PC61BM:BTPを含む。本開示の実施形態では、デバイスは、屋内光リサイクルに使用されるOPVである。
【0022】
態様では、本開示は、有機半導体材料、層、又は構成要素としての、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。
【0023】
態様では、本開示は、有機半導体材料、層、又は構成要素としての、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドの使用に関する。
【0024】
態様では、本開示は、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドを含む、電子デバイスに関する。本開示の実施形態では、電子デバイスは、OPVデバイスである。本開示の更なる実施形態では、OPVは、屋内光収穫のために使用される。
【0025】
態様では、本開示は、アルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン)ジマロニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及び電子ドナー材料を含む、三元ブレンドを含む、電子デバイスに関する。本開示の実施形態では、電子デバイスは、OPVデバイスである。本開示の更なる実施形態では、OPVは、屋内光収穫のために使用される。
【0026】
本開示の文脈において開示されるのは、実施形態1~90である。実施形態1は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1とのブレンドを含む、組成物であって、電子アクセプター材料のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料である、組成物である。実施形態2は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1とのブレンドを含む、組成物であって、少なくとも1つの電子ドナー材料D1が、ポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT)]を含み、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、又はアルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料を含む、組成物である。実施形態3は、ブレンドが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、実施形態1又は2に記載の組成物である。実施形態4は、ブレンドが、BTPベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、実施形態1又は2に記載の組成物である。実施形態5は、ブレンドが、約1:1.0~約1:2.0の範囲のドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)を含む、実施形態3又は4に記載の組成物である。実施形態6は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.1~約1:1.9の範囲である、実施形態5に記載の組成物である。実施形態7は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.2~約1:1.8の範囲である、実施形態6に記載の組成物である。実施形態8は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.3~約1:1.7の範囲である、実施形態7に記載の組成物である。実施形態9は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.4~約1:1.6の範囲である、実施形態8に記載の組成物である。実施形態10は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.5である、実施形態9に記載の組成物である。実施形態11は、ブレンドが、FBT:PC61BM:PDIを含む、実施形態5~10のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態12は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、実施形態11に記載の組成物である。実施形態13は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、実施形態11に記載の組成物である。実施形態14は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、実施形態11に記載の組成物である。実施形態15は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、実施形態11に記載の組成物である。実施形態16は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、実施形態11に記載の組成物である。実施形態17は、ブレンドが、FBT:PC61BM:BTPを含む、実施形態5~10のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態18は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、実施形態17に記載の組成物である。実施形態19は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、実施形態17に記載の組成物である。実施形態20は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、実施形態17に記載の組成物である。実施形態21は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、実施形態17に記載の組成物である。実施形態22は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、実施形態17に記載の組成物である。実施形態23は、ブレンドが、添加剤を更に含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態24は、添加剤が、ブレンドの約0.1重量%~約5.0重量%を占める、実施形態23に記載の組成物。実施形態25は、添加剤が、ブレンドの約1.0重量%を占める、実施形態24に記載の組成物である。実施形態26は、添加剤が、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む、実施形態23~25のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態27は、ブレンドが、スロットダイコーティングされている、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態28は、ブレンドが、スピンコーティングされている、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態29は、ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスロットダイコーティングされている、実施形態27に記載の組成物である。実施形態30は、ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスピンコーティングされている、実施形態28に記載の組成物である。実施形態31は、ブレンドが、低強度光収穫に好適なバンドギャップを生成し、ブレンドが、低強度光収穫に好適な380nm~940nmの可視光の有意な吸収を有し、ブレンドが、約90nm~約500nmの範囲のフィルム厚さを有する約380nm~約900nmの少なくとも10%のEQEを有する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態32は、ブレンドが、バルク材料又はフィルムの形態で提供される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組成物である。実施形態33は、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物を含む、光学又は電子デバイスである。実施形態34は、デバイスが、アノード及びカソードを更に備える、実施形態33に記載のデバイスである。実施形態35は、デバイスが、アノードとカソードとの間の活性層を備える、実施形態34に記載のデバイスである。実施形態36は、デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、実施形態33に記載の光学又は電子デバイスである。実施形態37は、実施形態1~32のいずれか1つに記載される組成物を含む、有機半導体材料、層、又は構成要素である。実施形態38は、有機半導体材料、層、又は構成要素としての、実施形態1~32のいずれか1つに記載される組成物の使用である。実施形態39は、電子デバイスにおける、実施形態1~32のいずれか1つに記載される組成物の使用である。実施形態40は、電子デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、実施形態39に記載の使用である。実施形態41は、インクジェット印刷のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物の使用である。実施形態42は、スクリーン印刷のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物の使用である。実施形態43は、フレキソ印刷のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物の使用である。実施形態44は、オフセット印刷のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物の使用である。実施形態45は、グラビア印刷のための、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物の使用である。
【0027】
実施形態46は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1と、を含む、ブレンドであって、電子アクセプター材料のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料である、ブレンドである。実施形態47は、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2と、少なくとも1つの電子ドナー材料D1と、を含む、ブレンドであって、少なくとも1つの電子ドナー材料D1が、ポリ[(2,5-ビス(2-ヘキシルデシルオキシ)フェニレン)-alt-(5,6-ジフルオロ-4,7-ジ(チオフェン-2-イル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール)](PPDT2FBT)]を含み、少なくとも2つの電子アクセプター材料A1及びA2のうちの1つが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、又はアルキル-12,13-ジヒドロ[1,2,5]チアジアゾロ[3,4e]チエノ[2’’,3’’:4’,5’]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2-g]チエノ[2’,3’:4,5]チエノ[3,2-b]インドール-2,10-ジイル)ビス(メタニリリデン))ビス(3-オキソ-2,3-ジヒドロ1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル)(BTP)ベースの電子アクセプター材料を含む、ブレンドである。実施形態48は、ブレンドが、N-環状ペリレンジイミドベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、実施形態46又は47に記載のブレンドである。実施形態49は、ブレンドが、BTPベースの電子アクセプター材料、第2の電子アクセプター材料、及びPPDT2FBTを含む電子ドナー材料を含む、三元ブレンドである、実施形態46又は47に記載のブレンドである。実施形態50は、ブレンドが、約1:1.0~約1:2.0の範囲のドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)を含む、実施形態48又は49に記載のブレンドである。実施形態51は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.1~約1:1.9の範囲である、実施形態50に記載のブレンドである。実施形態52は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.2~約1:1.8の範囲である、実施形態51に記載のブレンドである。実施形態53は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.3~約1:1.7の範囲である、実施形態52に記載のブレンドである。実施形態54は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.4~約1:1.6の範囲である、実施形態53に記載のブレンドである。実施形態55は、ドナー材料対アクセプター材料の質量比(w/w)が、約1:1.5である、実施形態54に記載のブレンドである。実施形態56は、ブレンドが、FBT:PC61BM:PDIを含む、実施形態50~55のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態57は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、実施形態56に記載のブレンドである。実施形態58は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、実施形態56に記載のブレンドである。実施形態59は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、実施形態56に記載のブレンドである。実施形態60は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、実施形態56に記載のブレンドである。実施形態61は、FBT:PC61BM:PDIの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、実施形態56に記載のブレンドである。実施形態62は、ブレンドが、FBT:PC61BM:BTPを含む、実施形態50~55のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態63は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.35:0.15である、実施形態62に記載のブレンドである。実施形態64は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.2:0.3である、実施形態62に記載のブレンドである。実施形態65は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:1.05:0.45である、実施形態62に記載のブレンドである。実施形態66は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.9:0.6である、実施形態62に記載のブレンドである。実施形態67は、FBT:PC61BM:BTPの質量比(w/w)が、約1:0.75:0.75である、実施形態62に記載のブレンドである。実施形態68は、ブレンドが、添加剤を更に含む、実施形態46~67のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態69は、添加剤が、ブレンドの約0.1重量%~約5.0重量%を占める、実施形態68に記載のブレンドである。実施形態70は、添加剤が、ブレンドの約1.0重量%を占める、実施形態69に記載のブレンドである。実施形態71は、添加剤が、p-アニスアルデヒド(AA)又はジフェニルエーテル(DPE)のうちの少なくとも1つを含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態72は、ブレンドが、スロットダイコーティングされている、実施形態46~71のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態73は、ブレンドが、スピンコーティングされている、実施形態46~71のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態74は、ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスロットダイコーティングされている、実施形態72に記載のブレンドである。実施形態75は、ブレンドが、ハロゲンフリー溶媒からスピンコーティングされている、実施形態73に記載のブレンドである。実施形態76は、ブレンドが、低強度光収穫に好適なバンドギャップを生成し、ブレンドが、低強度光収穫に好適な380nm~940nmの可視光の有意な吸収を有し、ブレンドが、約90nm~約500nmの範囲のフィルム厚さを有する約380nm~約900nmの少なくとも10%のEQEを有する、実施形態46~75のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態77は、ブレンドが、バルク材料又はフィルムの形態で提供される、実施形態46~76のいずれか1つに記載のブレンドである。実施形態78は、実施形態46~77のいずれか1つに記載のブレンドを含む、光学又は電子デバイスである。実施形態79は、デバイスが、アノード及びカソードを更に備える、実施形態78に記載のデバイスである。実施形態80は、デバイスが、アノードとカソードとの間の活性層を備える、実施形態79に記載のデバイスである。実施形態81は、デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、実施形態78に記載の光学又は電子デバイスである。実施形態82は、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドを含む、有機半導体材料、層、又は構成要素である。実施形態83は、有機半導体材料、層、又は構成要素としての、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態84は、電子デバイスにおける、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態85は、電子デバイスが、光起電力電池、有機トランジスタ、発光ダイオード、光検出器である、実施形態84に記載の使用である。実施形態86は、インクジェット印刷のための、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態87は、スクリーン印刷のための、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態88は、フレキソ印刷のための、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態89は、オフセット印刷のための、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。実施形態90は、グラビア印刷のための、実施形態46~77のいずれか1つに記載されるブレンドの使用である。
【0028】
本開示の前述及び他の利点及び特徴は、添付の図面/図を参照するだけで例として与えられる、その例示的な実施形態の以下の非限定的な説明を読むと、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付の図面/図では、
【0030】
【
図1】(a)PC
61BM、PDI及びFBTの化学構造、(b)PC
61BM、PDI及びFBTの電子エネルギーレベル、(c)o-キシレン(10mg/mL)からスピンコーティングされた、純粋なPC
61BM、PDI及びFBTフィルムの光学吸収スペクトル、並びに(d)2000ルクスのLED照明における2700K(暖色)及び6500K(寒色)の発光スペクトル、を示す図である。1%(v/v)のAAを含有する20mg/mLのo-キシレン溶液からのスピンコーティングされた三元ブレンドのUV-Vis光学吸収プロファイル(FBT:PC
61BM:PDI(1:1.2:0.3))を重ね合わせ、LEDの発光スペクトルと三元ブレンドの吸収スペクトルとの一致を示す。
【0031】
【
図2】溶液処理に使用される異なる添加剤p-アニスアルデヒド(AA)及びジフェニルエーテル(DPE)(o-キシレン中の1%v/v)を有する二元系(FBT:PC
61BM)及び(FBT:PDI)の電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【0032】
【
図3】
図3aは、1太陽照明下での三元系中の異なるPDI%を含有するスピンコーティングされた活性層の電流密度電圧(J-V)曲線を示す図であり、(b)及び(c)は、それぞれ対応するEQE(外部量子効率)及びUV-Vis光吸収スペクトルを示す図である。対照デバイスは、二元FBT:PC
61BM系に対応する。
【0033】
【
図4】異なるPDI%を更に含む(スピンコーティングされた)二元フィルム対三元フィルムの様々なAFM高さ画像を示す図である。
【0034】
【
図5】異なるPDI%を更に含む(スピンコーティングされた)二元フィルム対三元フィルムの様々なPLスペクトルを示す図である。
【0035】
【
図6】
図6aは、1太陽照明下でのスピンコーティングされた(SC)対スロットダイコーティングされた(SD)二元活性層及び三元活性層の電流密度電圧(J-V)曲線を示す図であり、(b)異なる屋内光照明下でのスロットダイコーティングされた二元活性層及び三元活性層の電流密度電圧(J-V)曲線(20重量%のPDI)活性層を示す図であり、(c)異なる暖色の屋内光照明下でのスピンコーティングされた二元及び三元の電流密度電圧(J-V)曲線(20重量%のPDI)活性層を示す図である。ZnO/PEIEは、電子輸送層として使用した。
【0036】
【
図7】異なる暖色の屋内光照明下でのスピンコーティングされた(SC)二元デバイス及び三元デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【0037】
【
図8】異なる暖色の屋内光照明下でのスピンコーティングされた(SC)二元デバイス及び三元デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【0038】
【
図9】異なる暖色の屋内光照明下でのスピンコーティングされた(SC)二元デバイス及び三元デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【0039】
【
図10】(a)ブレンドの2次元強度対q空間画像、並びに(b)相補的な一次元強度対q
z空間(左)及びq
xy空間(右)プロット、の微小角入射広角X線散乱(GIWAXS)画像を示す図である。
【0040】
【
図11】FBT、PC
61BM、及びPDIのためのGIWAXS 2D検出器画像を示す図である。
【0041】
【
図12】二元(SC)、三元(SD)、及び三元(SC)ブレンドのためのq
z(平面外)及びq
xy(平面内)方向にケーキスライスを有するGIWAXS 1-Dプロットを示す図である。
【0042】
【
図13】FBT、PC
61BM、及びPDIのための顕著な1Dピークの強度対角度としてのGIWAXSカイプロットを示す図である。
【0043】
【
図14】暖色の低光強度(2000ルクス)下でのスピンコーティングされた三元デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線に対する様々な条件下での光浸漬(LS)効果を示す図である。
【0044】
【
図15】屋内の暖色光照明(2000ルクス)下で異なる電子輸送層を使用するスロットダイ(SD)コーティングされた二元(FBT:PC
61BM)及び三元(FBT:PC
61BM:PDI)デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線に対する光浸漬(LS)効果を示す図である。
【0045】
【
図16】(a)窒素充填グローブボックス中の不活性条件下での安定性試験、(b)室温及び30%相対湿度での周囲条件、並びに(c)80℃での連続加熱下での窒素充填グローブボックス中の熱応力に供した、スロットダイコーティングされ最適化された三元活性層(FBT:PC
61BM:PDI;1:1.2:0.3)に基づく非カプセル化された倒立デバイスの正規化された光起電力メトリックを示す図である。すべてのデバイスは、カプセル化されておらず、1太陽照明下の空気中で試験する。ZnO/PEIEは、電子輸送層として使用した。
【0046】
【
図17】1.5Gの光照明下でのスピンコーティングされた(SC)三元(FBT:PC
61BM:BTP)デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【0047】
【
図18】1.5Gの光照明下でのスピンコーティングされた(SC)四元(FBT:PC
61BM:BTP:PDI)デバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
用語集
【0049】
本開示で使用される用語の明確かつ一貫した理解を提供するために、いくつかの定義が以下に提供される。更に、別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本明細書が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0050】
特許請求の範囲及び/又は明細書中の「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「a」又は「an」という単語は、「1つ」を意味し得るが、コンテンツが明確に別段の指示をしない限り、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は2つ以上」の意味とも一致する。同様に、「別の」という単語は、コンテンツが明確にそうでないことを示さない限り、少なくとも1秒以上を意味し得る。
【0051】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの任意の形態の含む)、「有する(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの任意の形態の有する)、「含む(including)」(及び「含む(include)」及び「含む(includes)」などの任意の形態の含む)、又は「含有する(containing)」(及び「含有する(contain)」及び「含有する(contains)」などの任意の形態の含有する)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の未列挙の要素又はプロセスステップを除外しない。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「からなる」という語及びその派生語は、記載された特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの存在を特定し、また、他の未記載の特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの存在を除外する、クローズエンドの用語であることが意図される。
【0053】
本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、記載された特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの存在、並びにこれらの特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさないものを特定することを意図している。
【0054】
本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、及び「およそ」という用語は、最終結果が著しく変化しないように、修飾された用語の合理的な量の偏差を意味する。これらの程度の用語は、この偏差がそれが修正する単語の意味を否定しない場合、修正された用語の少なくとも±1%の偏差を含むと解釈されるべきである。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、一般に、限定されないが、ホモポリマー及びコポリマー、例えば、ブロック、ランダム及び交互のコポリマーなどを含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「BTP」という用語は、縮合チエノチエノピロ-チエノチエノインドールコア及び2-(5,6-ジクロロ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イリデン)マロノニトリル末端単位を含む共役有機半導体材料(電子アクセプター材料)のクラスを指すことが意図される。BTPは、以下の構造によって示すことができる:
【化1】
(式中、各Xは、独立して、Cl、Br、F、及びHから選択され、各R1及びR2は、独立して、C1-C30直鎖又は分岐鎖アルキル基である)。C1-C30直鎖又は分岐鎖アルキル基は、O、S、NH、NR、SiR’R’、CO、CO
2-(R及びR’はC1-C10直鎖又は分岐鎖アルキル基である)からなる群から選択されるヘテロ原子又は原子の基によって中断されてもよく、1つ以上の二重及び/又は三重結合を含んでもよく、1つ以上のアリール及び/又はヘテロアリール置換基を含んでもよい。本開示の実施形態では、R1基は、エチルヘキシル、ドデシル、及びブチルオクチルのうちの少なくとも1つであり、R2基は、ノニル及びウンデカニルのうちの少なくとも1つであり、Xは、Cl、Br、F及びHのうちの少なくとも1つである。本開示の更なる実施形態では、R1基は、エチルヘキシル、ドデシル、及びブチルオクチルのうちの少なくとも1つであり、R2基は、ノニル及びウンデカニルの少なくとも1つであり、Xは、Hである。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ドナー」又は「供与する」及び「アクセプター」又は「受容する」という用語は、それぞれ、電子ドナー又は電子アクセプターを意味すると理解される。「電子ドナー」は、別の化合物又は化合物の原子の別の群に電子を供与する化学物質を意味すると理解される。「電子アクセプター」は、別の化合物又は化合物の原子の別の群からそれに伝達される電子を受容する化学物質を意味すると理解される。
【0058】
本明細書で使用される場合、充填係数(FF)は、理論的(実際には得られない)電力(Jse*Voc)に対する実際の最大取得可能電力(Pm又はVmp*Jmp)の比(パーセンテージとして与えられる)である。したがって、FFは、式FF=(Vmp*Jmp)/(Jse*Voc)を使用して決定することができ、式中、Jmp及びVmpは、それぞれ、最大電力点(Pm)における電流密度及び電圧を表し、この点は、J*Vが最大値になるまで回路内の抵抗を変動させることによって得られ、Jse及びVocは、それぞれ、短絡電流及び開路電圧を表す。FFは、太陽電池の性能を評価するための重要なパラメータである。
【0059】
本明細書で使用される場合、開路電圧(Voc)は、外部負荷が接続されていない場合のデバイスのアノードとカソードとの間の電位の差である。
【0060】
本明細書で使用される場合、太陽電池の電力変換効率(PCE)は、吸収光から電気エネルギーに変換される電力のパーセンテージである。太陽電池のPCEは、標準試験条件(STC)及び太陽電池の表面積(Ac、m2)における最大電力点(Pm)を入力光放射照度(E、W/m2)で除して算出することができる。STCは、典型的には、空気質量1.5(AM1.5)スペクトルを有する25℃の温度及び1000W/m2の放射照度を指す。
【0061】
態様では、本開示は、デバイスの光電流生成を増強するための三元ブレンドの使用に関する。本開示の実施形態では、三元ブレンドは、FBT:フラーレン系を含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、電子ドナーポリマーとしてのFBT、第1の電子アクセプター材料としてのPC61BM、及び第2の電子アクセプター材料としてのPDIを含む。本開示の更なる実施形態では、三元ブレンドは、電子ドナーポリマーとしてのFBT、第1の電子アクセプター材料としてのPC61BM、及び第2の電子アクセプター材料としてのBTPを含む。
【0062】
PC
61BM、PDI、BTP、及びFBTのそれぞれのエネルギーレベルは、溶液ベースの環状電圧計のE
1/2から決定され、PC
61BM、PDI、BTP、及びFBTの間の相対的なエネルギーアライメントが
図1bに示される。純粋な材料エネルギー学は、電子伝達を駆動するための最も低い非占有分子軌道(LUMO)におけるおよそ200mVのオフセットを有する、三元ブレンドのための好適なエネルギーカスケードを予測する。これら3つの化合物の純粋なフィルムの光学吸収スペクトルを
図1cに示す。本開示の実施形態では、材料は、屋内LED発光スペクトルの広い領域をカバーするために部分的に選定した。そのため、PDIは、FBT(450~750nm)の光吸収を補完する約400~650nmの強力な光吸収を呈する。FBT及びPDIの両方の光吸収スペクトルは、人工白色LEDの発光スペクトル(400~650nm)と重複することが示された。したがって、三元ブレンドは、この範囲内の光子を効果的に吸収することができると推測された(
図1d)。二元ブレンドFBT:PDI及びFBT:PC
61BMに基づく対照のOPVデバイスを製作した。これらの二元ブレンドに関する関連する光起電力メトリックを表1に示す。
【0063】
【0064】
性能を向上させ、最適化するために、様々な三元ブレンドを調製した。
図3aは、二元ブレンド(FBT:PC
61BM)を含む対照デバイスと比較して、異なるPDI%を含む活性三元ブレンド(FBT:PC
61BM:PDI)層を含むスピンコーティングされたデバイスの電流密度電圧(J-V)曲線を示す。倒立アーキテクチャ(ガラス/ITO/ZnO/活性層/MoO
x/Ag)を、ハロゲンフリー溶媒混合物(o-キシレン+1%(v/v)のAA)から全活性層を空気処理しながら、デバイス製作に使用した。添加剤を慎重に最適化した後、二元系のデバイス性能(
図2及び表1)に基づいて、ジフェニルエーテル(DPE)添加剤をp-アニスアルデヒド(AA)に置き換えた。その結果、AAは、グリーンとみなされるだけでなく、PC
61BMベースの活性層の形態を改善することも示されている。
[15]二元ブレンド(FBT:PC
61BM)に基づく対照デバイスは、以下の太陽光発電パラメータ(J
sc=12.5mA/cm
2、V
oc=0.76V、FF=73%)で最大PCEを7%達成した(表2)。その後、PDIをFBT:PC
61BMブレンドに異なるパーセンテージ(10~50%)で添加し、すべてのブレンド溶液の総ドナー:アクセプター比が1:1.5(w/w)、総濃度が20mg/mLであることを維持した。三元ブレンド中のPDIのパーセンテージを最大30%(1:1.05:0.45)増加させ、同時にJ
sc及びV
oc値の両方を増強した(表2及び
図3a)。最適なPDI%は、20%(1:1.2:0.3)であると決定され、以下の太陽光発電パラメータで最大PCEが7.9%であった:J
sc=13.4mA/cm
2;V
oc=0.86V;及びFF=68%、これは二元系と比較してV
ocの100mVの増加を示す。
【0065】
【0066】
外部量子効率(EQE)(
図3b)は、光吸収スペクトル(
図3c)と組み合わせて、観察された増強J
scと一致する、400~650nmの吸収範囲にわたる三元デバイス内の光電流生成に対するPDIの寄与を確認する。PDIを更に40%(1:0.9:0.6)に増加させると、V
oc(0.90V)を依然として増加させながら、J
sc(11.4mA/cm
2)及びFF(54%)に悪影響を及ぼし、全体的に5.6%の低いPCEをもたらした。このデバイス性能の劣化は、PC
61BMと比較してPDIの電子移動度が低いために、三元ブレンドのPDI%が増加するとともに、表面形態又はフォトルミネッセンス(PL)クエンチに大きな変化が観察されていないことを考慮して予想される(
図4及び5)。したがって、PDIの添加は、より高いPCEを維持しながらV
ocを高めることができる。
【0067】
態様では、本開示は、2つの異なるコーティング技術(スピンコーティング及びスロットダイコーティング)を介して空気中のハロゲンフリー溶媒混合物(o-キシレン及び1%(v/v)p-アニスアルデヒド(AA))[16]から処理される、FBT:PC61BM:PDI活性層を備える倒立型三元OPVデバイスに関する。実施形態では、三元ブレンドを、1:1.5w/w、及び20mg/mLの総濃度のドナー:アクセプター比で製作した。三元ブレンド中のPDIのパーセンテージを最大20%(1:1.2:0.3)まで増加させることは、充填係数のわずかな減少が観察されたが、同時にデバイス短絡電流(Jsc)及び開路電圧(Voc)の両方を増強することが発見された。特定の実施形態では、三元ブレンド中のPDI含有量は、約20%である。更なる実施形態では、PDI含有量は、約1%~約40%、例えば約2%~約39%、例えば約3%~約38%、例えば約4%~約37%、例えば約5%~約36%、例えば約6%~約35%、例えば約7%~約34%、例えば約8%~約33%、例えば約9%~約32%、例えば約10%~約31%、例えば、約11%~約30%、例えば、約12%~約29%、例えば、約13%~約28%、例えば、約14%~約27%、例えば、約15%~約26%、例えば、約16%~約25%、例えば、約17%~約24%、例えば、約18%~約23%、例えば、約19%~約22%、例えば、約20%~約21%、又は任意の重量%若しくはその中で導出可能な任意の範囲を占めてもよい。
【0068】
態様では、本開示は、約1:1.0~約1:2.0、例えば約1:1.1~約1:1.9、例えば約1:1.2~約1:1.8、例えば約1:1.3~約1:1.7、例えば約1:1.4~約1:1.6の範囲のドナー:アクセプター比(w/w)、又はその中で導出可能な任意の範囲を含む、三元ブレンドに関する。特定の実施形態では、三元ブレンドは、約1:1.5のドナー:アクセプター比(w/w)を含む。
【0069】
本開示の特定の実施形態では、より具体的には、スピンコーティングされた活性層を参照して、二元ブレンドに対して三元ブレンドについて改善されたPCEを得た(それぞれ7.9%対7%)。更に、スロットダイコーティングを使用して活性層処理を実施したときに、三元ブレンドで二元ブレンドより改善されたPCEも得られた(それぞれ7.7%対6.8%)。本開示の特定の実施形態では、LED照明(2000ルクス)を使用する低光強度下で、スロットダイコーティング三元デバイスは、二元デバイスの12.0%と比較して、14.0%のPCEを示した。更に、FBT最適化されたバッチから製作されたスピンコーティングされた三元デバイスは、同じ照明条件下での二元デバイスのPCE13.1%と比較して、15.5%のPCEを示した。
【0070】
スロットダイコーティングされた三元デバイスは、周囲条件及び熱応力下で検査すると、安定したデバイス性能を示した。PDI組み込みによるVocの増加、及び低光強度下でのVoc損失<0.17Vで、FBT:PC61BM:PDI三元系は、スロットダイコーティングされたiOPVのための有用な系を表す。
【0071】
デバイスの性能だけではなく、再現性及び安定性を更に向上及び最適化するために、ZnO/PEIE二重層を電子輸送層(ETL)として試験した。最適化された三元ブレンドを含むスピンコーティング活性層を使用して、PEIEのデバイス性能への影響を決定した。ZnO/PEIE二重層は、ZnOのみの層と比較して、より良好なデバイス性能及び一貫性を与えたことが決定された(表3)。
【0072】
【0073】
最適化された三元ブレンド(20重量%のPDI)及びFBT:PC61BM二元ブレンドをスロットダイコーティングを使用して製作し、最適化されたZnO/PEIE二重層をETLとして試験した。1太陽照明下で、スロットダイコーティングされた三元デバイスは、7.7%のPCE及び以下の太陽光発電パラメータをもたらした:Jsc=12.9mA/cm2;Voc=0.86V;及びFF=69%。二元ブレンドは、6.8%のPCE及び以下の太陽光発電パラメータをもたらした:Jsc=12.3mA/cm2;Voc=0.78V;及びFF=71%)(表4)。最適化されたスピンコーティングされた三元及び二元デバイスも表4に示す。興味深いことに、スピンコーティングからスロットダイコーティングへの移行は、三元ブレンド系のデバイス性能の損失を示さなかった(スピンコーティングされたデバイスのPCEは7.9%に対してスロットダイコーティングされたデバイスのPCEは7.7%)。しかしながら、二元デバイスについては、スピンコーティングからスロットダイコーティングへの移行は、デバイス性能の損失をもたらし(スピンコーティングされたデバイスのPCEは7.4%に対してスロットダイコーティングされたデバイスのPCEは6.8%)、これは、三元ブレンドもスケーリングのためのより実行可能な系であることを示唆している。空気中でスロットダイコーティングされ、ハロゲンフリー溶媒から処理された活性層の場合、このデバイス性能は、FBTベースのOPVではまだ最高である。
【0074】
【0075】
続いて、スロットダイコーティングされた活性層(二元及び三元活性層)を有するデバイスを、様々なLED照明(約1000及び2000ルクス(それぞれ288及び568μW/cm
2))下で検査した(
図3b)。デバイスパラメータを表5に列挙する。低光強度下では、スロットダイコーティングされた三元活性層を有するデバイスは、14%のPCE、153μA/cm
2のJ
sc、及び79μW/cm
2の最大電力密度を呈した。予想されたように、より低い光強度で、V
ocは、1太陽照明下の値と比較して、二元(0.78~0.63V)及び三元(0.86~0.72V)ブレンドの両方に基づくデバイスで低下した(表4)。しかしながら、三元ブレンドに基づくデバイスのV
oc低下は、PDI寄与に起因するより高い初期V
oc値によって補償され、これはまた、全体的なPCEを、二元デバイスの12.0%から三元デバイスの14.0%に向上させた(表5)。
【0076】
【0077】
2000ルクス照明(約568μW/cm
2)下で15.5%のPCEである三元デバイス(表3)におけるFBTの最適化されたバッチを利用して、スピンコーティングされた二元系を使用するデバイスの13.1%のPCEに対して、スピンコーティングされた三元系を使用するデバイスで達成した(表5、
図6c)。最適化されたFBTを使用して、スロットダイコーティング三元ブレンドに基づくデバイスは、それぞれ568及び288μW/cm
2の入力電力で79.0及び37.5μW/cm
2の出力電力(それぞれ約2000及び1000ルクスの暖色LED光;表5)を達成し、それぞれ14%及び13%のPCEをもたらした。スピンコーティングされた三元ブレンドに基づくデバイスは、最適化されたFBTを使用して、それぞれ568及び288μW/cm
2の入力電力で88.0及び42.1μW/cm
2の高い出力電力(それぞれ約2000及び1000ルクスの暖色LED光;表5)を達成し、それぞれ15.5%及び14.6%のPCEをもたらした。表6及び7並びに
図8及び9に示される関連するJ-V曲線は、異なる低光強度下でのスピンコーティングフィルムの追加の太陽光発電パラメータを提供する。
【0078】
【0079】
【0080】
スロットダイコーティングを使用して処理されたFBT:PC61BM二元系は、PCEが、約14%(入力電力310μW/cm2で41μW/cm2の出力電力;1000ルクス)であることが最近報告されている。[15]関連するFBT:PC71BM二元系は、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロベンゼン)を使用してスピンコーティングを介して処理され、PCEが16%(入力電力280μW/cm2で45μW/cm2の出力電力;1000ルクス)であることも報告されている。[8]更に、ハロゲン化溶媒(クロロベンゼン+3%1,8-ジヨードオクタン)から処理されたスピンコーティングされた活性層に対して、500ルクス(約170μW/cm2)下のデバイスPCEが15.7%を達成する、第3の構成要素[PTB7:PC71BM:EP-PDI]としてEP-PDIを含む関連する三元系も報告されている。[17]本開示に記載されるように、三元系のPCEは、空気中及び非ハロゲン化溶媒中のスロットダイコーティングの両方を使用して14%に達するだけでなく、前述の研究によって報告された0.62、0.59、及び0.65VのVoc値に対して、低光強度下で低Voc損失(<0.17V)でより高いVoc値(0.72V)にも達することが発見されている。[8、15、17]
【0081】
純粋なドナー及びアクセプター材料の半結晶領域の分子間隔、並びにブレンドフィルムを、微小角入射広角X線散乱(GIWAXS)を使用して調査した。
図10aは、スピンコーティングされた及びスロットダイコーティングされた二元及び三元ブレンドの2D検出器画像を示す。FBT、PC
61BM、及びPDIの2D検出器画像をそれぞれ
図11、12、及び13に示す。
図10bは、q
z(平面外)及びq
xy(平面内)方向にケーキスライスを有する相補的な一次元GIWAXSプロットを示す。ピーク割り当てを含む、
図10bから算出された相対d空間を表8に示す。
図10bを参照すると、純粋なFBTポリマー(青色の曲線)は、20.27のd間隔に対応する平面外q
z(100)において、(200)及び(300)平面に関連付けられた2つの高次回折ピークを有する薄板分子間隔を呈する。π-πの積み重ね方向(d間隔3.61)に関連する(010)平面に起因する平面外方向のピークも観測された。すべてのピークは、より低い強度ではあるが、平面内方向にも観察することができた。PC
61BMは、以前の報告と一致して、それぞれ8.73(n=1)及び4.52(n=2)のd間隔に対応する特徴的等方性ピークを示した。PDIは、主に14.96Åの強い分子間間隔を示し、これは平面外方向で支配的であり、また等方性挙動を示した。
【0082】
【0083】
FBT:PC61BMの二元ブレンドは、スロットダイコーティング及びスピンコーティングの両方で、FBTに関連する(100)、(200)、(300)、及び(010)ピーク、並びにPC61BMの2つの(n=1,2)等方性ピークを示す。表8に列挙されるように、FBTにおけるラメラスタッキング方向に関連する分子間間隔は、純粋なFBTから二元ブレンドにわずかに減少する。二元ブレンドは、効果的にFBTとPC61BMとの分子間隔の線形組み合わせであり、両方の材料の結晶の存在を示唆しているが、より密接に詰まったラメラFBTを有する。
【0084】
スロットダイコーティングされた三元ブレンドはまた、FBT及びPC61BMに関連する同じピークを示すが、PDIの等方性15.31の間隔の証拠はない。しかしながら、スピンコーティングされた三元ブレンドは、弱いFBT以外に顕著な分子間間隔を有するようには見えない(200)。これらの三元結果の含意は、i)スロットダイコーティングは、材料が結晶化するのに十分な弛緩時間を可能にする、ii)PDIは、FBT及びPC61BMにインターカレートし、スピンコーティングされたときに結晶化を防止する、iii)再編成及び形成ドメインに十分な時間を有するPDIからのスロットダイコーティング、FBT及びPC61BMセグラゲート中であるが、PDIは非晶質のままである、ということである。GIWAXSデータは、異なる組成及び処理方法のために、わずかに異なる活性層形態を明らかにするが、すべてのPCEは、同様のままであり、これはアップスケールに有利である、いくぶん無感受性のBHJ活性層を暗示している。これは、厚さに依存しない性能を有するFBTポリマーについての以前の報告と一致している(500nmの厚さのスピンコーティングされた活性層に対して1000ルクス下で得られた15.1%のPCE)。[8]
【0085】
光浸漬効果は、ZnO及びTiO
2などの金属酸化物を電子輸送層として有する倒立OPVで一般的に観察される。デバイス性能(特にFF)は、飽和最大値に達するまで、光の露光時間(1太陽照明又は紫外線下)が増加するにつれて徐々に向上することが観察された。この光浸漬効果の起源は、まだ明らかではない。しかしながら、それは、概して、ITO/金属酸化物界面における電位障壁につながる金属酸化物表面におけるトラップ部位の存在、及びデバイス性能に悪影響を及ぼす金属酸化物/活性層界面におけるエネルギーレベルの不一致に起因する。この効果は、本開示のデバイスにおいて、1太陽照明では観察されなかったが、低光LED照明下では観察された(表9及び
図14)。
【0086】
【0087】
光浸漬を伴わない三元ブレンド活性層に基づく最適化されたデバイスは、光浸漬を伴うデバイス(FF=70%)と比較して、低光強度(2000ルクス)下でFF(40%)で劇的な損失を示した。この効果は、デバイスが正常に動作するために必要なLEDソース中のUV部分の欠如に起因していた。この仮説を確認するために、400nmのUVフィルター(ThorLabs-FGL400S2 Square GG400色ガラスフィルター、400nmのLongpass)を光浸漬ステップ中に使用して、1太陽光源からUV部分を切断した。UVフィルターによる光浸漬は、光浸漬を伴わないデバイスFFと同様に、低FF(44%)をもたらした。この効果は、ZnO電子輸送層を有するすべてのデバイスにおいて観察された(表10及び
図15)。電子輸送層(ITO/PEIE/二元活性層/MoO
x/Ag)としてのPEIEの使用は、光浸漬ステップを必要としなかったが、ZnO及びZnO/PEIE中間層(PCE=12%)と比較した場合、より低い性能(PCE=10.3%)を示した。
【0088】
【0089】
OPVの安定性は、ラボからファブへの移行に向けた重要な問題である。異なる条件下でスロットダイコーティングされた三元ブレンド活性層を有するデバイスの安定性を調査した。3つの同様のセットのデバイスを調製し、3つの異なる条件下:(1)窒素充填グローブボックス中の不活性雰囲気下で、(2)室温及び30%相対湿度での周囲条件下で、及び(3)80℃での連続加熱下での窒素充填グローブボックス内の熱応力下で、検査した(
図16)。すべてのデバイスは、カプセル化されず、暗い条件下で保管した。安定性試験は、500時間にわたって定期的に行った。OPVデバイスは、バーンイン劣化期間後にPCEがその値の80%に低下する時点から抽出される寿命パラメータTs80を特徴とする。
[18]窒素充填グローブボックス中に保管されたデバイスの500時間後、バーンイン劣化期間後、パフォーマンスは、その初期値の80%に低下した(
図16a)。周囲条件下で保管されたデバイスは、300時間のTs80を有することが決定された(
図16b)。しかしながら、熱応力に供したデバイスは、わずか30分の加熱後に、バーンイン劣化期間後にPCEがその初期値の78%に低下して急速に劣化すると決定された(
図16c)。興味深いことに、PCEは、300時間の熱応力後、その初期値の71%にしか低下せず、良好な安定性を示した(
図16c)。本開示の三元ブレンドは、FBT:PC
61BM:PDIブレンドによって例示されるように、二元FBT:PC
71BMブレンドに関する以前の安定性研究と比較した場合、より高い安定性を呈することが示された。更に、以前の研究と一致して、本開示の三元ブレンドは、FBT:PC
61BM:PDIブレンドによって例示されるように、熱応力下での形態学的安定性にプラスの影響を有し、全体的なデバイス安定性を向上させる。
【0090】
【0091】
実験的
【0092】
本開示の様々な実施形態による、二元及び三元ブレンド、並びにそれらを含むデバイスの調製を示す、いくつかの非限定的な例が、以下のセクションで提供される。以下の非限定的な実施例は、本開示の例示である。
【0093】
材料及び溶液の調製
【0094】
ポリマーPPDT2FBT(FBT)は、ケベックシティのBrilliant Mattersによって提供された。PC61BMは、Ossilaから購入した。tPDI2N-EH(PDI)は、公開された手順に従って合成した。[15]FBT及びPC61BM(1:1.5w/w及び総濃度20mg/mL)を含むブレンドを、溶媒添加剤として1%(v/v)のp-アニスアルデヒド(AA)を含むo-キシレンに溶解した。PDIを第3の構成要素として添加し、(1:1.35:0.15)、(1:1.2:0.3)、(1:1.05:0.45)、(1:0.9:0.6)、(1:0.75:0.75)の重量比を有する三元ブレンド(FBT:PC61BM:PDI)を形成した。すべての溶液を60℃で加熱し、デバイス製作前に一晩空気中で連続撹拌した。ZnO前駆体溶液を、ゾルゲル法に従って調製した。[43]ポリエチレンイミンエトキシル化(PEIE;水中35~40重量%)を、2-メトキシエタノール中0.1重量%の最終濃度で調製した。
【0095】
デバイス製作
【0096】
ガラス/ITO/ZnO又は(ZnO/PEIE)/活性層/MoOx/Agの倒立型デバイス構造を使用した。デバイスは、洗剤及び脱イオン水、アセトン、並びにイソプロパノールで連続的に超音波処理することによって洗浄されたITOコーティングされたガラス基板を使用して製作し、続いて約30分間のUV/オゾン洗浄を行った。室温のZnO溶液を約4500rpmでスピンコーティングし、次いで約200℃でパージボックス内で約30分間アニールした。0.1重量%のPEIEの2-メトキシエタノール中溶液を、約5000rpmでZnO層上にスピンコーティングし、続いて約110℃で約10分間基板をアニーリングした。スピンコーティングされたデバイスの場合、活性層溶液を、異なるスピン速度で約60秒間室温でコーティングした。スロットダイコーティングされたデバイスの場合、活性層溶液は、25μL/分の溶液分配速度及び20cm/分の基板運動速度を使用して、13mm幅のスロットダイヘッドを装備したFOM Technologiesのコンパクトシートコーターを使用して、ZnO/PEIE二重層の上にコーティングした。鋳造活性層を有する基板を、1×10-5トル下で10nmのMoOx及び100nmのAgを蒸発させる前に、窒素充填グローブボックスに一晩保管した。デバイスの有効面積は、シャドウマスク(0.14cm2)によって定義された。
【0097】
デバイスの特性評価
【0098】
UV-Vis吸収スペクトルを、室温でのAgilent Technologies Cary 60 UV-vis分光計を使用して記録した。原子間力顕微鏡(AFM)画像は、タッピングモードのTT-2AFM(AFMワークショップ、USA)及び反射性の裏側アルミニウムコーティングを有する0.01~0.025Ω/cmSb(n)ドープSiプローブを有するWSxMソフトウェアを使用して取得した。フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを、室温のAgilent Technologies Cary Eclipse蛍光分光光度計を使用して記録した。電流密度電圧(J-V)曲線を、Keithley 2420ソース測定ユニットを使用して測定した。100mW/cm2(Newport 92251A-1000Solar Simulator)でAM1.5照明下で光電流を測定した。標準的なシリコン太陽電池(Newport 91150V)を光強度を較正するために使用した。外部量子効率(EQE)を、光学レンズを用いたQEX7太陽電池スペクトル応答/QE/IPCE測定システム(PV測定、モデルQEX7、USA)で測定し、光をドットセルより約0.04cm2小さい領域に集束した。シリコン基準セルを使用して、300~1100nmの波長範囲内のEQE測定システムを較正した。屋内試験では、照明源として a Coidak電球を使用した。光浸漬ステップでは、デバイスを100mW/cm2(Newport 92251A-1000Solar Simulator)のAM1.5照明下で30秒間保管し、次いで、異なる屋内光強度(2000、1000、及び400ルクス)で直接測定した。1太陽光及び低光の両方の電力及び光強度を、標準的なモノシリコン太陽電池(Oriel、モデル91150V、Newport)を使用して較正した。
【0099】
微小角入射広角X線散乱(GIWAXS)
【0100】
GIWAXS実験は、2次元Rayonix MX225 CCDエリア検出器を装備した、スタンフォードシンクロトロン放射光源(SSRL)でビームライン11-3上で実施した。測定の入射角は、約0.11~0.12°であり、ビームエネルギーは、12.7keVに保持した。LaB6標準試料を使用して、波長及び試料検出器距離を較正した。得られた2次元画像を、Igor 6.37のWAXSツール及びNIKAマクロを使用して、強度対画素位置から強度対相互空間(q空間)に変換した。2次元画像は、それぞれ0~15°及び73~88°のカイから採取したケーキセグメントを積分することによって、qz空間及びqxy空間に対して一次元強度に減少させた。
【0101】
本開示は、特定の例を参照して説明されてきたが、本開示は、開示された例に限定されないことを理解されたい。それどころか、本開示は、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図する。
【0102】
本開示で引用されているすべての刊行物、特許及び特許出願は、各々の個々の刊行物、特許又は特許出願が、その全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
参考文献
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【国際調査報告】