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特表2023-542451男性不妊症の処置のためのテトラセルミス・チュイイ(TETRASELMIS CHUII)(T.チュイイ(T.CHUII))
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】男性不妊症の処置のためのテトラセルミス・チュイイ(TETRASELMIS CHUII)(T.チュイイ(T.CHUII))
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/05 20060101AFI20231002BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20231002BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231002BHJP
【FI】
A61K36/05
A61P15/00
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501415
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2021069117
(87)【国際公開番号】W WO2022008707
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】20382623.5
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517386745
【氏名又は名称】フィトプランクトン マリノ、ソシエダッド リミターダ
【氏名又は名称原語表記】FITOPLANCTON MARINO,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ウナムンサガ エスコスラ、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】マンテコン ガルベス、エルラリア
(72)【発明者】
【氏名】インファンテ トスカノ、カルロス
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD89
4B018ME14
4B018MF06
4C088AA15
4C088AC16
4C088CA12
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA81
(57)【要約】
本発明は、男性対象における不妊症の処置における使用のための、T.チュイイ(T.chuii)のバイオマスおよびT.チュイイのバイオマスを含む医薬組成物に関する。また本発明は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および精子DNA断片化(SDF)の高いパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための方法であって、T.チュイイのバイオマスの投与を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性患者における不妊症の処置における使用のための、テトラセルミス・チュイイ(Tetraselmis chuii)(T.チュイイ(T.chuii))のバイオマスまたは当該T.チュイイのバイオマスを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記患者が、精子減少症または無精子症を有する、請求項1に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項3】
前記処置後の前記患者の精液の試料における精子の総数および/または濃度が、基準値以上である、請求項1または2のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項4】
前記患者が、精子無力症を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項5】
前記処置後の前記患者の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージが、基準値以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項6】
前記患者が、奇形精子症を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項7】
前記処置後の前記患者の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージが、基準値以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項8】
前記患者が、精液減少症または無精液症を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項9】
前記処置後の前記男性患者の精液試料における射精液あたりの精液の体積が、限界基準以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項10】
前記患者が、基準値を上回る精子DNA断片化(SDF)のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項11】
前記処置後の前記患者の精液の試料におけるSDFのパーセンテージが、基準値以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項12】
前記患者が、基準値を上回る精液における8-ヒドロキシ,2-デオキシグアノシン(8-OHdG)のレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項13】
前記処置後の前記患者の精液の試料における8-OHdGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージが、基準値以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項14】
前記患者が、基準値を上回る精液における静的酸化還元電位(sORP)のレベルによって特徴付けられる障害を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項15】
前記処置後の前記患者の精液の試料におけるsORPのレベルが、基準値以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項16】
前記男性患者が、膿精液症を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項17】
前記処置後の前記男性患者の精液の試料における白血球の濃度が、基準値以下である、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項18】
前記男性患者が、精子死滅症を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項19】
前記処置後の前記男性患者の精液の試料における生存精子のパーセンテージが、基準値以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項20】
前記T.チュイイのバイオマスが、脱水されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは当該バイオマスを含む医薬組成物。
【請求項21】
前記処置が、脱水されたバイオマスを10~500mg/日、好ましくは、250mg/日投与することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは当該バイオマスを含む医薬組成物。
【請求項22】
前記処置が、少なくとも1か月間前記バイオマスまたは前記医薬組成物を投与することを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のためのバイオマスまたは医薬組成物。
【請求項23】
正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための方法であって、T.チュイイのバイオマスを投与することにより前記対象を処置する工程を含む、方法。
【請求項24】
前記対象が、基準値を上回る精液における8-ヒドロキシ,2-デオキシグアノシン(8-OHdG)のレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害も、基準レベルを上回る精液におけるsORPのレベルによって特徴付けられる障害も、無精液症も、膿精液症も、または精子死滅症も有さないことによってさらに特徴付けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料における精子の数が、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項23または24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージが、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージが、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記処置後に得られた前記男性対象の精液試料における射精液あたりの精液の体積が、前記処置前に得られた試料におけるよりも高い、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料におけるSDFのパーセンテージが、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記処置後に得られた前記男性対象の精液の試料におけるSDFのパーセンテージが、前記処置前に得られた試料におけるよりも低い、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料における8-OHdGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージが、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記処置後に得られた前記対象の精液の試料におけるsORPのレベルが、前記処置前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記処置後に得られた前記男性対象の精液の試料における白血球の濃度が、前記処置前に得られた試料におけるよりも低い、請求項23~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記処置後に得られた前記男性対象の精液の試料における生存精子のパーセンテージが、前記処置前に得られた試料におけるよりも高い、請求項23~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記T.チュイイのバイオマスが、脱水されている、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記処置が、脱水されたバイオマスを10~500mg/日、好ましくは、250mg/日投与する工程を含む、請求項23~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記バイオマスが投与される期間が、少なくとも1か月である、請求項23~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための経口サプリメントとしてのT.チュイイのバイオマスの使用。
【請求項39】
前記対象が、基準値を上回る精液における8-OHdGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害も、基準レベルを上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害も、無精液症も、膿精液症も、または精子死滅症も有さないことによってさらに特徴付けられる、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液の試料における精子の数が、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項38または39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項38~40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項38~41のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液の試料における射精液あたりの精液の体積が、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項38~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液の試料におけるSDFのパーセンテージが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項38~43のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記対象の精液の試料における8-OHdGレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項38~44のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記対象の精液の試料におけるsORPが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記対象の精液の試料におけるsORPよりも低い、請求項38~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液試料における白血球の濃度が、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い、請求項38~46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記経口サプリメントが投与された後に得られた前記男性対象の精液試料における生存精子のパーセンテージが、前記経口サプリメントが投与される前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い、請求項38~47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記T.チュイイのバイオマスが、脱水されている、請求項38~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記T.チュイイのバイオマスが、脱水されたバイオマスとして10~500mg/日、好ましくは、250mg/日投与される、請求項38~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記経口サプリメントが、少なくとも1か月間投与される、請求項38~50のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精液における不備に関連する男性不妊症の処置における使用のための組成物の分野に関し、ここで、前記組成物は、微細藻類から得られる。
【背景技術】
【0002】
不妊症は、性的に活動的なカップルの12~15%において診断されている。前記カップルの50%において、不妊症は、男性対象における障害に、単独で、または女性対象における障害と組み合わさって、起因する。
【0003】
男性不妊症を引き起こす欠陥は、視床下部もしくは脳下垂体に関連するもの、精巣、または陰茎もしくは関連する生殖腺における障害に起因する不完全な精子送達として分類することができる。精液パラメーターにおける不備が、多くの場合、不妊男性において観察される。したがって、男性不妊症は、多くの場合、男性対象からの精液試料の分析において診断される。
【0004】
不妊男性において一般に変化する精液パラメーターとしては、精液試料の体積、総精子細胞のおよその数、精子の運動性もしくは前進運動、DNA断片化を有する精子(SDF)のパーセンテージ、精液における死亡精子細胞の数、または精液における白血球の存在が挙げられる。前記パラメーターの変化は、異なる障害、例えば、精子減少症(非常に低い精子カウント)、無精液症(精液が存在しない)、精液減少症(低い精液体積)、無精子症(精液中に精子が存在しない)、奇形精子症(精子における高い形態学的欠陥)、精子無力症(低い精子運動性)、精子死滅症(高い死亡精子の数)、膿精液症(精液中の高い量の白血球の存在)、および高いSDFパーセンテージ(DNA断片化を示す精子の高いパーセンテージ)内で分類される。
【0005】
男性不妊の処置は、一般に、障害のおそらく最も可能性が高い原因である特定の生理学的な変化を処置することを目指す。例えば、外科手術は、男性不妊症が、精管切除術後などの精子輸送系における遮断によって引き起こされる場合において使用され得る。精管切除術は、一般に、最高で85パーセントの場合において外科的に元に戻されるが、しかしながら、多くの場合において、男性は、介入の成功後でさえ生殖能力がないままである。男性不妊症が低いテストステロン産生に起因する場合において、ホルモン処置を施して、生殖能力(黄体ホルモンのLH、および卵胞刺激ホルモンのFSH)を回復させることができる。しかしながら、長期の処置が、男性の生殖能力に関連するレベルに達する精子産生のために必要である。
【0006】
男性対象が男性不妊症と診断されているカップルは、多くの場合、異なる生殖補助方法に従うように助言される。前記侵襲的方法としては、人工受精(IUI)、体外受精(IVF)、または卵細胞質内精子注入法(ICSI)を伴うIVFが挙げられる。
【0007】
したがって、障害の原因とは独立して、男性不妊症の非侵襲的で有効な処置に対する当技術分野における必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、テトラセルミス・チュイイ(Tetraselmis chuii)(T.チュイイ(T.chuii))種由来の微細藻類の、男性不妊症に関連し、特定の精液パラメーターの変化、例えば、特発性の精子減少症、精子無力症、および/または奇形精子症によって特徴付けられる障害を有する男性対象への投与が、対応する精液パラメーターの正常化をもたらし、したがって、障害の処置に寄与することを観察した。
【0009】
特に、実施例1~4および図1~8において示されるように、本発明者らは、特発性の精子減少症、精子無力症、および/または奇形精子症を有する対象の精液試料における、精液体積、精子濃度、射精液あたりの総精子数、および前進運動性のパラメーターのレベルが、T.チュイイの投与において、対応する下限基準(LRL)を下回るレベルから前記LRLを上回るレベルまで増加することを観察した。加えて、実施例5および図10において示されるように、本発明者らは、T.チュイイの投与後に、奇形精子症を示すと分析された対象のパーセンテージが、35%から10%まで減少し、前記患者の精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージが対応するLRLを上回る値まで増加したことを示すことを観察した。最後に、実施例6および図11において示されるように、本発明者らは、T.チュイイの投与後に、特発性の精子減少症、精子無力症、および/または奇形精子症と元々診断されていた患者の30%が、正常精液を有することを観察した。
【0010】
したがって、第一の態様において、本発明は、男性患者における不妊症の処置における使用のための、T.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのバイオマスを含む医薬組成物に関する。
【0011】
第二の態様において、本発明は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回る精子DNA断片化(SDF)のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための方法であって、T.チュイイのバイオマスを投与することにより対象を処置する工程を含む、方法に関する。
【0012】
第三の態様において、本発明は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための経口サプリメントとしてのT.チュイイのバイオマスの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、試験の開始直ぐおよび3か月間のT.チュイイの補給後の精液体積(VOL)のパラメーターの平均値(+SEM)を示す。破線は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」(第5版、2010)における世界保健機関(WHO)によって確立された下限基準(LRL)を示す。****:p<0.0001。
図2図2は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLよりも高いVLOのパラメーターについての値を表す試験の参加者のパーセンテージを示す。
図3図3は、試験の開始直ぐおよび3か月間のT.チュイイの補給後の精子濃度(CONC)のパラメーターの平均値(+SEM)を示す。破線は、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLを示す。****:p<0.0001。
図4図4は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLよりも高いCONCのパラメーターについての値を表す試験の参加者のパーセンテージを示す。
図5図5は、試験の開始直ぐおよび3か月間のT.チュイイの補給後の射精液あたりの精子の数(NUM)のパラメーターの平均値(+SEM)を示す。破線は、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLを示す。****:p<0.0001。
図6図6は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLよりも高いNUMのパラメーターについての値を表す試験の参加者のパーセンテージを示す。
図7図7は、試験の開始直ぐおよび3か月間のT.チュイイの補給後の前進運動性(PR)のパラメーターの平均値(+SEM)を示す。破線は、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLを示す。***:p<0.001。
図8図8は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLよりも高いPRのパラメーターについての値を表す試験の参加者のパーセンテージを示す。
図9図9は、試験の開始直ぐおよび3か月間のT.チュイイの補給後の正常形態(MORF)パラメーターの平均値(+SEM)を示す。破線は、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLを示す。
図10図10は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLよりも高いMORFパラメーター値を表す試験の参加者のパーセンテージを示す。
図11図11は、試験の開始時および3か月間のT.チュイイの補給後の両方で、正常精液(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOが定めた判断基準に従う)を有する試験の参加者のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I - 本発明の医学的使用
第一の態様において、本発明は、男性患者における不妊症の処置における使用のための、テトラセルミス・チュイイ(T.チュイイ)のバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物、またはT.チュイイのバイオマスもしくはT.チュイイのタンパク質抽出物を含む医薬組成物に関する。
【0015】
Tetraselmis chuiテトラセルミス・チュイ)」という用語、より一般に「Tetraselmis chuii(テトラセルミス・チュイイ)」または「T.チュイイ(T.chuii)」と書かれる用語は、本明細書において使用される場合、クロロデンドロン藻Chlorodendrophyceae)綱、クロロデンドロンChlorodendrales)目、クロロデンドロンChlorodendraceae)科に属する海洋単細胞藻類(微細藻類)を指し、これは、緑色の、運動性で、通常、長さ10μm×幅14μmに成長する。特定の実施形態において、T.チュイイは、NCBIデータベースにおいて、分類学ID:63592(NCBI:txid63592)によって特定される生物に対応する。
【0016】
バイオマス」という用語は、本明細書において使用される場合、生存している生物、または最近生存している生物を含む生物学的材料を指す。ひいては、この用語は、生物を構成する生物学的材料または有機物だけでなく、自発的または非自発的な(すなわち、引き起こされた)生物学的プロセスにおいて生じる生物学的材料または有機物も含む。当業者によって理解されるように、T.チュイイのバイオマスは、まさに定義された通りのバイオマスであり、ここで、生物は、藻類のT.チュイイである。一般に、前記バイオマスは、T.チュイイの試料から得られる。
【0017】
特定の実施形態において、T.チュイイのバイオマスは、T.チュイイの1細胞から得られる。別の特定の実施形態において、T.チュイイのバイオマスは、T.チュイイのいくつかの細胞から得られる。したがって、好ましい実施形態において、T.チュイイのバイオマスは、T.チュイイの細胞培養から得られる。
【0018】
特定の実施形態において、T.チュイイのバイオマスが得られるT.チュイイの細胞培養は、当業者に周知の微細藻類のT.チュイイの成長のために好適な条件下で行われる。当業者に周知であるように、前記条件は、例えば、F/2培養培地[Guilard R.R.L.およびRyther、J.H.1962.「Studies of marine planktonic diatoms.I.Cyclotela nana Hustedt and Detonula confervaceae(Cleve) Gran.」Can.J.Microbiol.8、229-239]などの好適な培地の使用と、太陽光または適した照明条件(光強度)、ならびにpH、温度、および二酸化炭素(CO)供給の制御された条件下でのパフォーマンスとによって特徴付けられる。F/2培養培地は、水性媒体中に、窒素源、リン源、例えば、ナトリウム、鉄、銅、亜鉛、コバルト、マンガンおよびモリブデンなどの微量金属、ならびに例えば、シアノコバラミン(ビタミンB12)、チアミン(ビタミンB1)およびビオチンなどのビタミンのミックスを含む。
【0019】
光強度は、光合成が可能であるように調節され、したがって、これは、特定の実施形態において、広い範囲内で変化し得るが、培養培地に適用される光強度は、屋外条件において1~2000μmolフォトンm-2-1の間の光合成有効放射(PAR)、屋内では典型的には、約150μmolフォトンm-2-1で構成される。pHは、通常、約7~約8.5の間で変化し得、典型的には、約7.5であり得る。
【0020】
T.チュイイの成長を促進する温度は、通常、約17℃~約28℃の間、典型的には、約24℃~26℃の間を含んで、選択される。
【0021】
培養は、エアレーションありまたはなしで、典型的には、エアレーションありで、例えば、大気空気中におよそ0.5~5%、好ましくは、約1~2%のCOで行われる。
【0022】
好ましい実施形態において、T.チュイイの前記培養は、標準的な条件下で行われ、F/2培養培地を用いて、150μmolフォトンm-2-1(PAR)、24℃~26℃の間の温度、好ましくは、25℃で、pH7.5で、1~2%のCO富化大気空気を用いて行われる。
【0023】
さらに好ましい実施形態において、T.チュイイのバイオマス由来のT.チュイイの細胞培養は、F/2培養培地を用いて、屋外の管型光バイオリアクターにおいて、自然光周期下、周囲温度で、CO注入により制御されたpH下で行われる。具体的には、前記細胞培養は、F/2培養培地を用いて、1~2000μmolフォトンm-2-1(PAR)の間の光強度を用いて、10℃~35℃の間の温度で、7~8.5の間のpHで、35実用塩分単位(PSU)の塩分で行われた。加えて、これは、12:12の光周期(すなわち、12時間の光および12時間の暗黒)を用いて行った。
【0024】
別の特定の実施形態において、T.チュイイのバイオマスが得られるT.チュイイの細胞培養は、非生物的ストレス条件下で行われる。
【0025】
本明細書において使用される場合、「非生物的ストレス」という表現は、特定の環境において生存している生物に対する非生存因子の負の影響に関する。非生存変数は、有意な方法において、生物の集団のパフォーマンスまたは個々の生理機能に有害な影響を及ぼすその正常な変動範囲を超えて、環境に影響を与えなければならない。
【0026】
微細藻類、例えば、T.チュイイの成長、ならびに化合物およびその代謝産物の産生に影響を及ぼし得るいくつかの非生物的ストレス因子がある。しかしながら、特定の実施形態において、本発明の医学的使用のT.チュイイのバイオマスが得られる細胞培養に適用される非生物的ストレスは、高い酸化還元電位、高い温度、高い塩分、および窒素飢餓からなる群から選択される。
【0027】
本発明によれば、高い酸化還元電位に基づく非生物的ストレスは、少なくとも100mV、少なくとも200mV、少なくとも300mV、少なくとも400mV、少なくとも500mV、少なくとも600mV、少なくとも700mV、少なくとも800mV、少なくとも900mV、少なくとも1000mVの酸化還元電位を有する培養培地を維持することを含み、前記非生物的ストレスは、例えば、空気とUVとの反応によりオゾン発生器を使用して通常発生するオゾンの添加によってなどの、培養培地における高い酸化還元電位状態を得るための従来の方法によって得ることができる。添加されるオゾンの量は、少なくとも100mV、少なくとも200mV、少なくとも300mV、少なくとも400mV、少なくとも500mV、少なくとも600mV、少なくとも700mV、少なくとも800mV、少なくとも900mV、少なくとも1000mVの酸化還元電位を有する培養培地を達成および維持することが必要である。
【0028】
高い温度に基づく非生物的ストレスは、本発明によれば、少なくとも28℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃の温度で培養培地を維持することを含み、培養培地における前記温度は、従来の方法によって得ることができる。培養は、屋内または屋外であり得るので、屋内培養について、培養する部屋の温度は、28℃より上に設定されなければならない一方で、屋外培養について、培養は、前記温度に、例えば、カディス、マラガ、セビリアなどのスペイン南部の、例えば、春および夏の間の環境温度によって自然に達する適切な場所において行われるべきである。
【0029】
本発明によれば、高い塩分条件に基づく非生物的ストレスは、少なくとも35PSU(実用塩分単位)、少なくとも40PSU、少なくとも45PSU、少なくとも50PSU、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300の塩分で培養培地を維持することを含む。当業者には、標準的な技法(UNESCO、1981、「Background papers and supporting data on the practical salinity scale 1978」Unesco Technical papers in marine science、37)を使用することによって培養培地の塩分を決定する方法が知られている。高い塩分条件に基づく非生物的ストレスは、前記塩分条件に達するまで塩を前記培養培地に添加することによって、例えば、標的塩分に達するまで天然の海水を蒸発させることによって、または市販の海塩を添加することによって、容易に得ることができる。
【0030】
窒素飢餓に基づく非生物的ストレスは、本発明によれば、窒素の不足、制限または窮乏の条件下でT.チュイイを成長させることを含み、前記非生物的ストレスは、培養培地への窒素の供給を停止することによって(すなわち、培養培地に窒素を添加するのを断つことによって)、容易に達成することができる。
【0031】
好ましい実施形態において、非生物的ストレスは、窒素飢餓を含む。「窒素飢餓」という用語は、本明細書において使用される場合、窒素の供給が、培養培地における窒素濃度が200μm未満、100μm未満、10μm未満、0.1μm未満、0,001μm未満であるようなものである条件を指す。
【0032】
T.チュイイのバイオマスを得るための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、細胞培養物、またはバイオマスが得られるT.チュイイ細胞の群の濾過または遠心分離が挙げられる。次いで、収集されたバイオマスは、好ましくはおよび有利には、洗浄されて、非生物学的材料(例えば、鉱物塩沈殿物など)が除去される。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及されるバイオマス、または本発明の前記態様において言及される医薬組成物に含まれるバイオマスは、新鮮であるか、または脱水されている。別の好ましい実施形態において、前記バイオマスは、脱水されている。ある実施形態において、前記バイオマスは、新鮮である。
【0034】
脱水されたバイオマス」または「凍結乾燥されたバイオマス」という表現は、本明細書において使用される場合、本明細書において定義されるバイオマスを指し、ここで、水は、完全にまたは部分的に除去されている。好ましい実施形態において、水は、完全に除去されている。別の特定の実施形態において、除去される水含有量は、新鮮なバイオマスの重量の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも88.5%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%に相当する。脱水されたバイオマスにおいて除去された水のパーセンテージを決定するための方法は、当業者に周知であり、前記バイオマスを脱水する前後の所与のバイオマスの重量を決定することを含み、ここで、差が、脱水の間に除去される水の量の重量である。バイオマスを脱水するための方法はまた、当業者に周知であり、天日乾燥、対流乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、ローラー/ドラム乾燥、流動床乾燥、真空トレイ乾燥、および/または太陽伝導乾燥が挙げられる(Chenら、2015.Dewatering and drying methods for microalgae.Drying Technology 33(4):443-454.;Bhedaら、2018.Drying of algae by various drying methods.IDS’2018-第21回国際乾燥シンポジウム、1791-1797頁.バレンシア、スペイン、2018年9月11~14日、Editorial Universitat Politecnica de Valencia)。
【0035】
新鮮なバイオマス」という表現は、本明細書において使用される場合、脱水されていないバイオマス、すなわち、バイオマスに含まれる水が部分的にまたは完全に除去されていないバイオマスを指す。好ましい実施形態において、新鮮なバイオマスは、バイオマスを得るために上記に提供される方法のいずれかによって直接得られるものである。
【0036】
T.チュイイのタンパク質抽出物」という表現は、本明細書において使用される場合、T.チュイイ細胞からのタンパク質の抽出の際に得られるタンパク質の試料を指す。より具体的には、タンパク質抽出物は、T.チュイイの試料から得られる。好ましい実施形態において、タンパク質抽出物が得られるT.チュイイの試料は、T.チュイイのバイオマスが得られ、上記の実施形態のいずれかにおいて定義される、T.チュイイの試料である。したがって、T.チュイイのタンパク質抽出物が得られるT.チュイイの試料からの細胞培養物も、T.チュイイのバイオマスを得るための試料が得られるものである。そのため、T.チュイイのタンパク質抽出物が得られるT.チュイイの試料からのT.チュイイの細胞培養物は、上記の実施形態のいずれかにおいて定義される細胞培養物であり、すなわち、前記細胞培養の条件は、上記に定義される条件のいずれかである。
【0037】
T.チュイイの試料からT.チュイイのタンパク質抽出物を得るために使用される方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例は、上記に記載されるようにして得られるT.チュイイのバイオマスへの抽出緩衝液の添加、それに続く細胞の溶解、試料の遠心分離、および遠心分離された試料の上清の単離を含む。タンパク質抽出緩衝液は、当業者に周知である。タンパク質抽出緩衝液の非限定的な例としては、リン酸緩衝液、例えば、pH7.8の220mMのKHPO緩衝液が挙げられる。細胞を溶解するための方法は、当業者に周知であり、数回のインターバルでの超音波の使用、例えば、それぞれ30秒間の20%の増幅での4サイクルの超音波とそれぞれのサイクルの間の10秒の中断が挙げられる。T.チュイイの試料からタンパク質抽出物を得るための方法の他の非限定的な例は、Bleakley S.およびHayes M.2017.Foods 6(5):33に記載されている。
【0038】
医薬組成物」という用語は、本明細書において使用される場合、治療有効量のT.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのタンパク質抽出物、および少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を指す。
【0039】
本発明による医薬組成物は、例えば、液状の溶液、懸濁液、およびエマルジョンなどの注射剤として調製することができる。「薬学的に許容される賦形剤」、または「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される希釈剤」、または「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、本明細書において互換的に使用され、非毒性の、固体、半固体または液体の、フィラー、希釈剤、カプセル化材料または任意の従来の種類の製剤補助剤を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して本質的に非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。好適な担体としては、限定されるものではないが、水、デキストロース、グリセロール、生理食塩水、エタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。担体は、添加剤、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、または製剤の有効性を増強するアジュバントを含有することができる。アジュバントは、無菌液体、例えば、水、および石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などを含む油からなる群から選択され得る。水または生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が、特に注射可能な溶液のために、ビヒクルとして好ましく使用される。好適な薬学的ビヒクルは、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第21版、2005に記載されている。
【0040】
治療有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、T.チュイイのバイオマスまたはタンパク質抽出物に関連して、所望の効果を提供するための、すなわち、疾患に由来する1つまたは複数の症状の適切な予防、治癒、遅延、その重症度の低減、または軽減を達成するための前記バイオマスまたはタンパク質抽出物の十分な量に関し、一般に、他の原因の中でも、薬剤それ自身(すなわち、T.チュイイのバイオマスまたはタンパク質抽出物)の特徴および達成される治療効果によって決定される。これはまた、処置される対象、前記対象が患っている疾患の重症度、選択された剤形などに依存する。この理由のために、本発明に挙げられ得る用量は、上述の可変要素に応じて用量を調整しなければならない当業者のためのガイドとしてのみ考慮されなければならない。実施形態において、有効量は、処置される疾患の1つ以上の症状の軽減を生じる。個々の必要性は変わるとしても、本発明による化合物の治療有効量についての最適範囲の決定は、当業者の一般的な経験に属する。一般に、当業者によって調整され得る、有効な処置を提供するために必要な投薬量は、年齢、健康、フィットネス、性別、食事、体重、受容体の変化度、処置の頻度、傷害の性質および状態、機能障害または疾病の性質および程度、対象の医学的状態、投与の経路、使用される特定の化合物の活性、有効性、薬物動態、および毒性プロファイルなどの薬理学的考慮事項、全身薬物送達が使用されるか、ならびに化合物が薬物の組み合わせの一部として投与されるかに応じて変わるであろう。
【0041】
特定の実施形態において、本発明の医学的使用の医薬組成物は、前述のT.チュイイのバイオマスを含む。別の特定の実施形態において、本発明の医学的使用の医薬組成物は、前述のT.チュイイのタンパク質抽出物を含む。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明の第一の態様の男性患者は、前記対象が男性不妊症を示すことを特徴とする。
【0043】
不妊症」という用語は、本明細書において使用される場合、定期的な無防護性交の12か月以上後に臨床妊娠を達成しないことによって定義される生殖器系の疾患を指す。「男性不妊症」という表現は、本明細書において使用される場合、男性対象において診断される場合の不妊症を指す。男性不妊症は、非常に異なる原因に起因し得る。男性不妊症の一般的な原因は、1つまたはいくつかの精液パラメーター、例えば、精液試料の体積、総精子細胞のおよその数、精子の運動性もしくは前進運動、DNA断片化を有する精子のパーセンテージ、精液における死亡精子細胞の数、または精液における白血球の濃度の変化である。1つまたはいくつかの精液パラメーターの変化または不備は、異なる障害をもたらし得、これは、精子減少症、無精液症、精液減少症、無精子症、奇形精子症、精子無力症、精子死滅症、膿精液症、精液における高いSDFまたは高い酸化的ストレス(DNA酸化、したがって、8-ヒドロキシ,2’-デオキシグアノシンを有する精子のパーセンテージの増加をもたらし得、これは、高い静的酸化還元電位レベルに関連する)として分類することができる。加えて、乏無力精子症、乏無力奇形精子症、乏奇形精子症、または無力奇形精子症の場合におけるなどの、2つ以上の前記障害の組み合わせによって特徴付けられる障害も起こり得る。前記障害において観察される精液パラメーターの変化は、公知の原因に起因し得るが、しかしながら、高いパーセンテージの場合において、前記変化の原因は、未知であり、したがって、特発性障害と考えられる。
【0044】
特発性」という表現は、本明細書において使用される場合、未知の原因によるか、または明白な自発的起源による任意の疾患または障害として理解される疾患または障害を指す。したがって、「特発性」という用語は、本明細書に記載される疾患または障害、例えば、男性不妊症、精子減少症、精子無力症、奇形精子症、または高SDFのいずれかに適用される場合、それが由来する原因が未知である場合の対応する疾患または障害を指す。
【0045】
特定の実施形態において、不妊症は、特発性不妊症である。
【0046】
精液」または「精漿」という用語は、本明細書において使用される場合、健康な対象において、男性生殖器によって産生され、そこから放出される精子細胞を含む体液を指す。ヒトにおいて、精液は、精子細胞のほかに、さまざま酵素およびフルクトースを含む。これらの要素は、精子細胞の生存を促進するだけでなく、それらが泳ぐための媒体を提供する。精液の放出が生じるプロセスは、「射精」と称され、放出された精液は、「射精液」として公知である。精子細胞が射精管を通過するにつれて、それらは、精嚢、前立腺、および尿道球腺に主に由来する体液と混合される。精液の典型的な構成要素は以下の通りである:精巣から産生および放出される精子(2~5%)、精嚢分泌物(65~75%、すなわち、アミノ酸、シトレート、フラビン、フルクトース、およびある酵素から構成される)、前立腺分泌物(25~30%、すなわち、酸性ホスファターゼ、クエン酸、フィブリノリシン、タンパク質分解酵素、亜鉛などから構成される)、および尿道球腺分泌物(<1%、すなわち、ガラクトースおよび粘液を含有する)。
【0047】
精子」という用語は、精液に含まれる複数の精子細胞または精子を指す。
【0048】
精子細胞」または「精子」という用語は、本明細書において使用される場合、有性生殖において成熟卵子(第二卵母細胞)を受精させることができる成熟男性生殖細胞を指す。精子は、精巣の精細管において発達する。これは、頭部および尾部によって形成され、ここで、尾部は、中片部、主部および終部から構成される。頭部は、卵母細胞の侵入に関与する酵素を含有するアクロソームと呼ばれる平らな嚢によって取り囲まれた密に巻かれたクロマチン線維を伴う核を含む。尾部または鞭毛は、精子に運動を提供する。頚部または中片部は、ATP産生の際に精子の運動のためのエネルギーを提供するミトコンドリアを含有する。精子の形態学的に正常な頭部、中片部および主部の特徴は、下記の「形態学的に正常な精子」の定義において提供する。精子の発達段階は、精原細胞、精母細胞、精細胞、そして最後に精子である。
【0049】
精液試料」という表現は、本明細書において使用される場合、男性患者からの精液を含むか、またはそれからなる試料を指す。好ましい実施形態において、前記試料は、男性患者からの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10射精液、好ましくは、男性患者からの2射精液、より好ましくは、男性患者からの1射精液の精液を含む。より好ましい実施形態において、精液試料は、指示されて直ぐのいくつかの射精液のいずれかの精液、好ましくは、男性患者からの1射精液の精液からなる。したがって、好ましい実施形態において、患者または対象の精液の試料における精液の体積は、前記患者または対象の射精液の体積に等しい。別の好ましい実施形態において、患者または対象の精液の試料の体積は、前記患者または対象の射精液の体積である。加えて、患者または対象の精液の試料における精液パラメーターは、前記患者または対象の精液の射精液における前記精液パラメーターに対応する。前記射精液は、前記精液試料に含まれるものである。前記精液パラメーターとしては、精子の総数、精子の濃度、精液の体積、形態学的に正常な精子のパーセンテージ、前進運動精子のパーセンテージ、生存精子のパーセンテージ、無動精子のパーセンテージが挙げられる。ある実施形態において、患者または対象の精液試料は、前記患者または対象の射精液の精液を指し、逆もまた同様である。精液パラメーターについての基準値は、射精液の精液に関して、本明細書に記載されている。したがって、特定の実施形態において、精液パラメーターの基準値は、精液試料における精液パラメーターについての基準値に対応する。精液試料を得るおよび保存するための方法は、当業者に周知であり、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている精液試料の収集のための方法が挙げられる。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも7日後、少なくとも8日後、少なくとも9日後、少なくとも10日後、少なくとも15日後、少なくとも20日後、少なくとも25日後、少なくとも30日後に得られる。より好ましい実施形態において、前記試料のいずれかは、禁欲の少なくとも2日後に得られる。
【0051】
別の好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の5日未満後、6日未満後、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後に得られる。より好ましい実施形態において、前記試料のいずれかは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0052】
特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも2日後であるが、5日未満後、6日未満後、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0053】
別の特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも3日後であるが、5日未満後、6日未満後、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0054】
別の特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも4日後であるが、5日未満後、6日未満後、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0055】
別の特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも5日後であるが、6日未満後、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0056】
別の特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも6日後であるが、7日未満後、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0057】
別の特定の実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも7日後であるが、8日未満後、9日未満後、10日未満後、11日未満後、15日未満後、20日未満後、25日未満後、30日未満後、好ましくは、禁欲の7日未満後に得られる。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかの実施形態のいずれかにおいて言及される精液試料のいずれかは、禁欲の少なくとも2日後であるが、7日未満後に得られる。
【0059】
禁欲」という表現は、本明細書において使用される場合、ある期間に、男性対象による射精がないことを指す。好ましい実施形態において、本発明の態様のいずれかの精液試料は、男性対象からの1以上の射精液から、好ましくは、男性対象からの1射精液から得られる。したがって、別の好ましい実施形態において、禁欲は、本明細書において使用される場合、前記男性患者からの精液の試料を得ること(すなわち、収集)がないことも指す。
【0060】
処置」という用語は、本発明の第一の態様において使用される場合、任意の種類の治療を指し、これは、本明細書に記載される臨床状態に対する感受性を終了させる、予防する、軽減する、または低減することを目指す。好ましい実施形態において、処置という用語は、本明細書に定義される障害または状態の予防的処置(すなわち、臨床状態に対する感受性を低減するための治療)に関する。したがって、「処置」、「処置する」およびそれらの等価な用語は、所望の薬理学的または生理学的効果を得ることを指し、ヒトを含む哺乳類における病理学的状態または障害の任意の処置を包含する。効果は、障害またはその症状の完全なもしくは部分的な予防の観点から予防的であってもよく、ならびに/あるいは障害および/または障害に起因する有害な効果についての部分的なもしくは完全な治癒の観点から治療的であってもよい。すなわち、「処置」は、(1)対象において障害が起こるまたは再発するのを予防すること、(2)障害を阻害すること、例えば、その発生を抑止すること、(3)宿主がもはや障害またはその症状に苦しまないように、障害、または少なくともそれらに関連する症状を停止することまたは終了させること、例えば、喪失した、失われた、もしくは欠陥のある機能を回復することもしくは修復すること、または非効率的なプロセスを刺激することによって、例えば、障害またはその症状の退縮を引き起こすこと、あるいは(4)障害、またはそれらに関連する症状を緩和すること、軽減すること、または寛解させることを含み、ここで、寛解させることは、前記障害に関連するパラメーターの変化の大きさの少なくとも低減を指す広い意味で使用される。
【0061】
特定の実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、本明細書に定義される、T.チュイイのバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物、または医薬組成物の投与を含む。本発明による使用のためのT.チュイイのバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物、または医薬組成物は、任意の好適な投与の経路、例えば、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、経鼻など)、経腸(すなわち、経口、直腸など)、局所などによって対象に投与することができる。好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及されるT.チュイイのバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物、または医薬組成物は経口投与される。
【0062】
対象」、「患者」または「個体」という用語は、動物界の任意のメンバーを指すために、本明細書において互換可能に使用され、脊椎動物、例えば、魚類、鳥類、爬虫類、両生類または哺乳類、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、トリ、ネコ、モルモット、またはげっ歯類であり得る。好ましくは、対象は、哺乳類、より好ましくは、ヒトである。
【0063】
特定の実施形態において、対象は、精子減少症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性精子減少症を有する。
【0064】
精子減少症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性患者の精液が、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLを下回る、射精液あたりの精子の総数、または精子の濃度を示すことを特徴とする、男性対象または男性患者の障害を指す。
【0065】
「精子の総数」または「総精子数」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液あたりの精子の総数を指す。
【0066】
「精子の濃度」または「精子濃度」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液の体積によって割られた射精液あたりの精子の総数を指す。
【0067】
好ましい実施形態において、男性対象が精子減少症を有する場合、男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を下回る、射精液あたりの精子の総数、および/または精子の濃度を示さなければならない。
【0068】
「基準値」という用語は、本明細書において使用される場合、対象から収集された試料から得られた値またはデータを評価するための基準として使用される予め決定された判断基準に関する。基準値または基準レベルは、絶対値、相対値、上限または下限を有する値、値の範囲、平均値(average value)、中央値、平均値(mean value)、または特定の対照もしくはベースライン値と比較した値であり得る。基準値は、例えば、より早い時点であるが試験される対象からの試料から得られた値などの個々の試料の値に基づくことができる。基準値は、例えば、経時的に年齢がマッチした群の対照の集団からの多数の試料に基づくことができ、または試験される試料を含むもしくは除外する試料のプールに基づくことができる。特定の実施形態において、基準値は、1人以上の男性対象、好ましくは、健康な対象、より好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象から得られる。
【0069】
特定の実施形態において、精子減少症についての基準値は、WHO(「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版)によって確立されたLRLである。WHOは、前記マニュアルにおいて、総精子数についてのLRLを射精液あたり39×10個として、および精子濃度についてのLRLを精液1mlあたり15×10個として確立している。射精液あたりの精子の総数、または男性対象の精液もしくは男性対象の精液試料における精子の濃度を決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている、精液試料における精子をカウントするための方法、または精液試料における精子の数を決定するための方法、特に、前記文書のセクション2.7~2.8に記載されている方法が挙げられる。
【0070】
特定の実施形態において、対象は、無精液症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性無精液症を有する。
【0071】
無精液症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象が、精液を放出しないことを特徴とする障害を指す。この障害は、射精液が存在しないこと、または逆行性射精に起因し得る。男性対象が無精液症を示すかを決定するための方法は、当業者に周知であり、任意の条件下で対象が精液を射精する能力がないことを決定するための、共通の一般知識の一部である方法が挙げられる。逆行性射精を決定するための方法は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2020、第5版に記載されている。
【0072】
特定の実施形態において、対象は、精液減少症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性精液減少症を有する。
【0073】
精液減少症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象における射精液あたりの精液の体積が、異常に低い、すなわち、LRLを下回ることを特徴とする障害を指す。
【0074】
「精液の体積」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液あたりの精液の体積を指す。
【0075】
好ましい実施形態において、男性対象が精液減少症を有する場合、男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の射精液が、基準値を下回る精液の体積を示さなければならない。特定の実施形態において、前記基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。特定の実施形態において、男性対象が精液減少症を有し、前記男性対象の精液試料が1射精液のみの精液を含む場合、前記男性対象からの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を下回る射精液あたりの精液の体積を示さなければならず、ここで、基準値は、好ましくは、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。前記マニュアルにおいてWHOによって確立された射精液の精液の体積についてのLRLは、1.5mlである。射精液の精液の体積、または精液試料の射精液あたりの精液の体積を決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版、特に、前記文書のセクション2.2および2.3.4に記載されている、試料収集のための方法および精液試料の体積を測定するための方法が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態において、対象は、無精子症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性無精子症を有する。
【0077】
無精子症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液が、用いられる評価方法についての定量限界を下回る精子の数として与えられる、精巣の精液において、および/または射精液の精液において精子が存在しないことを示すことを特徴とする障害を指す。好ましい実施形態において、男性患者が無精子症を有する場合、前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料が、用いられる評価方法についての定量限界を下回る精子の数として与えられる、精子が存在しないことを示さなければならない。男性患者の精液において、または男性患者の精液の試料において精子が存在しないことを決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている、精液試料における精子の数を決定するための方法、および低い精子数の精液試料における精子の数を決定するための方法、特に、セクション2.7~2.11に記載されている方法が挙げられる。
【0078】
特定の実施形態において、対象は、奇形精子症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性奇形精子症を有する。
【0079】
奇形精子症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液が、LRLを下回る形態学的に正常な精子のパーセンテージを示すことを特徴とする障害を指す。
【0080】
「形態学的に正常な精子のパーセンテージ」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液あたりの精子の総数に対する形態学的に正常な精子のパーセンテージを指す。
【0081】
好ましい実施形態において、男性患者が奇形精子症を有する場合、前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を下回る形態学的に正常な精子のパーセンテージを示す。特定の実施形態において、基準値は「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。WHOは、前記マニュアルで、形態学的に正常な精子のパーセンテージについてのLRLを4%として確立している。男性対象の精液におけるまたは男性対象の精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを決定するための「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている方法、特に、前記文書のセクション2.13~2.17に記載されている方法が挙げられる。
【0082】
形態学的に正常な精子」という表現は、本明細書において使用される場合、以下の精子を指す。
i)頭部が、滑らかで、規則的な輪郭の、一般に楕円形状である。これは、頭部領域の40~70%を含む輪郭のはっきりした先体領域を含む。先体領域は、大きな空胞を含有せず、2つより多くの小さな空胞を含有せず、これは、精子頭部の20%より多くを占めない。先体後部領域は、任意の空胞を含有しない。
ii)中片部は、細長く、規則的で、精子頭部とほぼ同じ長ささである。中片部の主軸は、精子頭部の主軸と整列している。細胞質の残留は、過度である場合、すなわち、精子頭部サイズの3分の1を超える場合にのみ、異常と考えられる。
iii)主部は、その長さに沿った均一な直径を有し、これは、中片部よりも細く、およそ約45μmの長さ(頭部の長さの約10倍)である。これは、鞭毛の破壊を示す鋭角が存在しないという条件で、それ自身がループバックしていてもよい。
【0083】
特定の実施形態において、対象は、精子無力症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性精子無力症を有する。
【0084】
精子無力症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液が、LRLを下回る前進運動(PR)精子のパーセンテージを示すことを特徴とする障害を指す。
【0085】
「前進運動精子のパーセンテージ」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液あたりの精子の総数に対する前進運動精子のパーセンテージを指す。
【0086】
好ましい実施形態において、男性患者が精子無力症を有する場合、前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を下回る前進運動(PR)精子のパーセンテージを示す。特定の実施形態において、基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。WHOは、前記マニュアルにおいて、PRについてのLRLを32%として確立している。男性対象の精液におけるまたは男性対象の精液試料におけるPR精子のパーセンテージを決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、精液試料におけるPRを有する精子のパーセンテージを決定するための「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている方法、特に、前記文書のセクション2.5に記載されている方法が挙げられる。「前進運動精子」という表現は、本明細書において使用される場合、スピードに関わらず、活発に、直線的にまたは大きな円状のいずれかで動く精子を指す。
【0087】
特定の実施形態において、対象は、精子死滅症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性精子死滅症を有する。「精子死滅症」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液が、射精液において低い生存精子のパーセンテージを示すことを特徴とする障害を指す。
【0088】
「生存精子のパーセンテージ」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液における精子の総数に対する生存精子のパーセンテージを指す。
【0089】
好ましい実施形態において、男性患者が精子死滅症を有する場合、男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を下回る生存精子のパーセンテージを示す。特定の実施形態において、基準値は、好ましくは、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。WHOは、前記マニュアルにおいて、精液試料における生存精子についてのLRLを58%として確立している。男性対象の精液におけるまたは男性対象の精液の試料における生存精子のパーセンテージを決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている試料における無傷の膜を有する精子の量を評価する方法、特に、前記文書のセクション2.6に開示されている活力試験が挙げられる。
【0090】
特定の実施形態において、対象は、膿精液症を有する。より特定の実施形態において、対象は、特発性膿精液症を有する。
【0091】
膿精液症leukospermialeucospermialeukocytospermia、またはpyospermia)」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液が、LRLを上回る白血球の濃度を示すことを特徴とする状態を指す。「白血球の濃度」という用語は、本明細書において使用される場合、射精液の体積によって割られた射精液あたりの白血球の総濃度を指す。
【0092】
好ましい実施形態において、男性患者が膿精液症を有する場合、前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を上回る白血球の濃度を示す。特定の実施形態において、基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLである。WHOは、前記マニュアルにおいて、白血球の濃度についてのLRLを、1×10個の1mlあたりの白血球、ペルオキシダーゼ試験によって検出される場合、すなわち、1mlあたりのペルオキシダーゼ陽性白血球として確立している。前記試験は、当業者に周知であり、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている。男性対象の精液におけるまたは男性対象の精液試料における白血球の濃度を決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、ペルオキシダーゼ試験に基づき、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版に記載されている精液試料における白血球の存在を決定するための方法、特に、前記文書のセクション2.18に記載されている方法が挙げられる。
【0093】
特定の実施形態において、患者は、基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有する。より特定の実施形態において、前記障害は、特発性障害である。
【0094】
精子DNA断片化」または「SDF」という表現は、本明細書において使用される場合、精子細胞における(射精の際に放出された精液からの、または精巣の精液からの)DNAの損傷、すなわち、単一および/または二重のDNA破壊を指す。したがって、SDFのパーセンテージ、またはDNA断片化指数(DFI)は、本明細書において使用される場合、射精液における精子の総数に対するDNA損傷、すなわち、単一および/または二重のDNA破壊を示す精子細胞のパーセンテージを指す。あるパーセンテージのSDFを有する男性対象は、前記対象からの精液の試料または射精液が、前記SDFのパーセンテージを示すことを特徴とする対象として理解される。DNA修復は、精子の発達に際して起こるが、これは、精子完成後の転写および翻訳の停止として完了する。結果として、精子は、それらの移行および精巣上体における貯蔵の間、または射精後に起こるDNA損傷を修復する機構を有さず、これは、DNA断片化に対する精子の感受性およびすべての男性対象の精子におけるDNA断片化の存在を説明する。当業者によって理解されるように、男性対象の精液が高いSDFのパーセンテージを有する場合、前記対象の精液が受精に達する能力は低い。一般用語において、およそ15%のパーセンテージ以下のDNA断片化のパーセンテージを示す精液は、良好な質、すなわち、受精を達成する能力が高いと考えられる。しかしながら、DNA断片化のパーセンテージが、一部の場合においておよそ16%などのパーセンテージ以上である場合、精液の質は、低い、すなわち、受精を達成する能力が低いと考えられる。したがって、男性対象における高いSDFのパーセンテージは、障害と考えられる。前記障害の原因が未知である場合、これは、特発性障害と考えられる。「精液の試料がx%のSDFを示す」または「精液の試料がx%のDNA断片化指数(DFI)を示す」という表現は、本明細書において使用される場合、前記試料の精液内の精子細胞のx%がDNA断片化を示す精液の試料を指す。したがって、当業者が理解するように、15%以下のSDFのパーセンテージを示す精液の試料は、精子細胞の15%以下がSDFを示し、一般に、良好な質、すなわち、受精を達成する高い能力を有する精液の試料と考えられる。16%以上のSDFのパーセンテージを示す精液の試料は、精子細胞の16%以上がSDFを示し、したがって、一部の場合において、低い質、すなわち、受精を達成する低い能力を有する精液の試料と考えられる、精液の試料である。好ましい実施形態において、男性患者が基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有する場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を上回るSDFのパーセンテージを示し、ここで、前記基準値は、好ましくは、16%である。同様に、男性患者が基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、前記基準値を下回るSDFのパーセンテージを示し、ここで、前記基準値は、好ましくは、16%である。
【0095】
男性対象の精液におけるまたは男性対象のからの精液試料におけるSDFのパーセンテージまたはDFIを決定するための方法は、当業者に周知である。前記方法の非限定的な例としては、トルイジンブルー染色、CMA3染色、アクリジンオレンジ(AO)アッセイ、SCSA、SCD試験/Halo、コメットアッセイ、Manesh Kumar Panner SelvamおよびAshok Agarwal、2018、Arab J Urol.16(1):65-76に記載されているTUNELアッセイが挙げられる。
【0096】
特定の実施形態において、患者は、基準値を上回る精液における8-OHdGのレベル、8-OHdG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有する。より特定の実施形態において、前記障害は、特発性障害である。「8-ヒドロキシ,2-デオキシグアノシン」または「8-OHdG」という用語は、本明細書において使用される場合、OHラジカルがDNAを損傷する場合に形成される酸化グアニン塩基付加物を指す。これは、DNA酸化のマーカーと考えられる。活性酸素種(ROS)は、DNAを直接損傷することができ、したがって、酸化DNA付加物(例えば、8-OHdG)を生じ、これは、次いで、DNA構造を不安定化し、その後の一本鎖破壊を引き起こす、脱塩基部位をもたらす。したがって、8-OHdGの存在は、DNA酸化、およびDNA鎖破壊のその後の出現と関連し得る。実際に、DNA修復は、精子において限定的であり、精子形成の特定の段階の間にのみ起こる。特に、修復機構は、精巣上体における核凝縮の間にもはや活性ではないが、精子は、精巣上体において、および精漿における輸送の間に、酸化的損傷に曝される。酸化的ストレスによって誘導されるDNA付加物は、卵母細胞によって修復され得るが、一本鎖または二本鎖DNA破壊は、修復され得ない。したがって、精子細胞における8-OHdGの存在は、DNA断片化の出現をもたらし得、受精および妊娠成績に対する有意な影響を有する。したがって、精液中の精子細胞における8-OH-dGの量を測定して、酸化的ストレスから生じる精液中の精子細胞におけるDNA損傷のレベルを決定することができる。したがって、特定の実施形態において、本発明のすべての態様において、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害は、精液における高いDNA酸化のレベルによって特徴付けられる障害を指す。別の特定の実施形態において、本発明のすべての態様において、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害は、好ましくは精液における酸化的ストレスによって引き起こされる、精液における高いDNA損傷のレベルによって特徴付けられる障害を指す。別の実施形態において、本発明のすべての態様において、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害は、精液における高い酸化的ストレスよって特徴付けられる障害を指す。
【0097】
好ましい実施形態において、男性患者が基準値を上回る精液における8-OHdGのレベルによって特徴付けられる状態を有する場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を上回る8-OHdGのレベルを示す。同様に、男性患者が基準値を上回る精液における8-OHdGのレベルによって特徴付けられる状態を有さない場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を下回る8-OH-dGのレベルを示す。
【0098】
別の好ましい実施形態において、男性患者が基準値を上回る精液における8-OH-dG/10dG比によって特徴付けられる状態を有する場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を上回る8-OH-dG/10dG比を示す。同様に、男性患者が基準値を上回る精液における8-OH-dG/10dG比によって特徴付けられる状態を有さない場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を下回る8-OH-dG/10dG比を示す。
【0099】
別の好ましい実施形態において、男性患者が基準値を上回る精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる状態を有する場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を上回る8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを示す。同様に、男性患者が基準値を上回る精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる状態を有さない場合、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、基準値を下回る8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを示す。
【0100】
「精液における8-OH-dGのレベル」という表現は、本明細書において使用される場合、精液において検出される、上記に定義される8-OH-dGの量を指す。特定の実施形態において、精液における8-OH-dGのレベルは、射精液におけるまたは精液試料における上記に定義される8-OH-dGのレベルを指す。精液におけるまたは精液試料における8-OH-dGのレベルは、異なる方法によって測定することができる。これは、一般に、免疫蛍光法または市販のキット、例えば、OxyDNAキットと、それに続く光学顕微鏡、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー、好ましくは、免疫蛍光法とそれに続くフローサイトメトリーを使用して測定される。前記方法のいずれかは、当業者に周知であり、Vorilhonら、2018、Human reproduction、33(4):553-562に記載されているようにして行うことができる。この場合において、8-OH-dGのレベルは、試料の蛍光平均強度(MIF)として表すことができ、任意単位(a.u.)で測定することができる。精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、方法が、Vorilhonら、2018、Human reproduction、33(4):553-562に記載されるもののように、免疫蛍光とそれに続くフローサイトメトリーに基づく場合、300、325、350、375、400、425、450、475、500、510、515、520、525、530、535、540、545、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、562、565、567、570、575、580、585、590、595、600、625、650、675、700、750、800、850、900任意単位、好ましくは、少なくとも552任意単位である。上記に示されるように、精液における8-OH-dGのレベルは、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dGのレベルを指し得、したがって、特定の実施形態において、精液における8-OH-dGのレベルのパラメーターについての基準値は、精液試料における8-OH-dGのレベルのパラメーターについて本明細書に記載されているもののいずれかである。
【0101】
「精液における8-OH-dG/10dG比」という表現は、本明細書において使用される場合、10の群によって表される精液において検出されたdGの量によって割られた、精液において検出された上記で定義される8-OH-dGの量を指し、ここで、dGは、デオキシグアノシンを指す。特定の実施形態において、精液における8-OH-dG/10dG比は、射精液におけるまたは精液試料における定義された通りの8-OH-dG/10dG比を指す。8-OH-dG/10dG比は、異なる方法によって測定することができる。前記方法の非限定的な例としては、電気化学検出を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-EC)、またはガスクロマトグラフィー-質量分析(GC/MS)が挙げられる。前記方法は、当業者に周知であり、例えば、ShenおよびOng.、2000、Free Radical Biology and Medicine、28(4):529-536において見られる指示に従って行うことができる。この場合において、精液の試料における8-OH-dG/10dG比の基準値は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、80、90、100、好ましくは1.5 8-OH-dG/10dGである。上記に示されるように、精液における8-OH-dG/10dGの比は、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG/10dGの比を指し得、したがって、特定の実施形態において、精液における8-OH-dG/10dGのパラメーターについての基準値は、精液試料における8-OH-dG/10dGのパラメーターについて本明細書に提供されるもののいずれかである。
【0102】
「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、または「8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、または「8-OH-dGを有する精子細胞のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、精液における精子の総数に対する8-OH-dGについて陽性と検出された精子細胞のパーセンテージを指す。特定の実施形態において、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、射精液におけるまたは精液試料における定義された通りの8-OH-dGのパーセンテージを指す。精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、異なる方法によって測定することができる。前記方法の非限定的な例としては、免疫蛍光に基づく方法、または市販のキット、例えば、OxyDNAキットと、それに続く光学顕微鏡、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー、好ましくは、免疫蛍光に基づく方法とそれに続くフローサイトメトリーが挙げられる。前記方法のいずれかは、当業者に周知であり、Vorilhonら、2018、Human reproduction、33(4):553-562に記載されているようにして行うことができる。この場合において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、精液試料における精子の総数に対して8-OH-dG陽性精子細胞20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、52%、55%、57%、60%、61%、62%、63%、64%、64.5%、65%、65.2%、65.5%、65.6%、65.7%、65.8%、65.9%,66%、66.1%、66.2%、66.3%、66.4%、66.5%、66.7%、67%、67.5%、68%、68.5%、69%、69.5%、70%、71%、72%,73%、74%、75%、77%、80%、82%,87.5%、87%,90%、95%、97%、98%、99%、好ましくは、精液試料における精子の総数に対して8-OH-dG陽性精子細胞65.8%である。上記に示されるように、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指し得、したがって、特定の実施形態において、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージのパラメーターについての基準値は、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージのパラメーターについて本明細書に記載されているもののいずれかである。
【0103】
特定の実施形態において、患者は、基準値を上回る静的酸化還元電位(sORP)によって特徴付けられる障害を有する。より特定の実施形態において、前記障害は、特発性障害である。
【0104】
「静的酸化還元電位」または「sORP」という表現は、本明細書において使用される場合、前記試料における酸化的ストレスの尺度として考慮され得る生物系における酸化体および還元体全体の間のバランスの尺度を指す。「精液における静的酸化還元電位」または「精液におけるsORP」という表現は、本明細書において使用される場合、生物系が精液である場合の上記に定義される酸化還元電位の値を指す。したがって、精液におけるsORPは、精液における酸化的ストレスのレベルの尺度と考えられ得る。したがって、特定の実施形態において、本発明の任意の態様において言及される基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害は、精液における高い酸化的ストレスによって特徴付けられる障害である。
【0105】
特定の実施形態において、「精液におけるsORP」という表現は、射精液におけるまたは精液試料におけるsORPを指す。
【0106】
好ましい実施形態において、男性患者が基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有する場合、前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料が、基準値を上回るsORPを示す。
【0107】
精液におけるまたは精液試料におけるsORPは、前記精液の試料に存在する還元体から酸化体への電子の移動、または前記試料の電位に直接関連する。精液におけるまたは精液試料における電子の前記移動または電位を測定することを可能にする方法は、当業者に周知である。精液におけるまたは精液試料におけるsORPを測定することを可能にする方法の非限定的な例としては、Agarwal A、Bui AD.Investig.Clin Urol.2017;58(6):385‐399に記載されているMioXSYSシステムが挙げられる。前記の方法の種類によって提供されるmVでの値は、一般に、分析される精液試料(複数可)の精子濃度によって割られ、その結果、sORPは、一般に、精液のmV/10精液/mlとして提供される。特定の実施形態において、精液試料におけるsORPについての基準値は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.、1.1、1.2、1.25、1.27、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.57、1.6、1.62、1.65、1.67、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.35、5.6,5.7、5.8、5.9、6.0、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0mV/10精子/ml精液、好ましくは、1.34mV/10精子/ml精液、より好ましくは、1.36mV/10精子/ml精液、さらにより好ましくは、1.48mV/10精子/ml精液である。上記に示されるように、精液におけるsORPは、射精液におけるまたは精液試料におけるsORPを指し得、したがって、特定の実施形態において、精液におけるsORPのパラメーターについての基準値は、精液試料におけるsORPのパラメーターについて本明細書に記載されているもののいずれかである。
【0108】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における精子の総数および/または濃度は、基準値以上である。好ましくは、基準値以上の精子の総数および/または濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において観察される。
【0109】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、精子減少症を有し、前記医学的使用において言及される処置後の前記患者の精液の試料における精子の総数および/または濃度は、基準値以上である。好ましくは、精子の総数は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。別の好ましい実施形態において、精子の濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0110】
ある実施形態において、男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に精子減少症を有し、前記処置後の前記患者の精液の試料における精子の総数および/または濃度は、基準値以上である。好ましくは、精子の総数は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。別の好ましい実施形態において、精子の濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0111】
精液試料における精子の数および精子の濃度を決定するための方法は、「精子減少症」の定義において上記に提供されている。
【0112】
基準値を上回る精液試料における精子の」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における精子の総数を指し、ここで、100%は、基準値に対応する。
【0113】
基準値に等しい精液試料における精子の」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料における精子の総数を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、精液試料における精子の総数を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0114】
基準値を下回る精液試料における精子の数」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における精子の総数を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0115】
特定の実施形態において、精子の総数についての基準値は、25×10、30×10、39×10、1×10、5×10、10×10、20×10、25×10、30×10、39×10、32×10、35×10、40×10、45×10、50×10、60×10、80×10、1×10、または1×10個の射精液あたりの精子細胞、好ましくは、39×10個の射精液あたりの精子細胞である。別の好ましい実施形態において、精液の試料における精子の総数についての基準値は、射精液あたりの精子の数について、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLに対応し、これは、39×10個の射精液あたりの精子細胞である。
【0116】
基準値を上回る精液試料における精子の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における精子の濃度を指し、ここで、100%は、基準値に対応する。
【0117】
基準値に等しい精液試料における精子の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料における精子の任意の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、精液試料における精子の任意の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0118】
基準値を下回る精液試料における精子の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における精子の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0119】
特定の実施形態において、精液の試料における精子の濃度についての基準値は、5×10、10×10、15×10、50×10、1×10、5×10、10×10、15×10、20×10、25×10、50×10、75×10、10×10、25×10、50×10、75×10、または10×10個の精液1mlあたりの精子、好ましくは、15×10個の精液1mlあたりの精子である。好ましい実施形態において、精液試料における精液の濃度についての基準値は、精液1mlあたりの精子の濃度について、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLに対応し、これは、精液1mlあたり15×10個の精子である。
【0120】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における精子の総数または濃度についての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における精子の総数または濃度である。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における精子の総数または濃度を指す。ある実施形態において、基準値が2以上の試料における精子の総数または濃度を指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精子の総数」または「精子の濃度」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時に得られたそれぞれの試料である。
【0121】
別の特定の実施形態において、精液試料における精子の総数についての基準値は、25×10個よりも低い、10×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、10個よりも低い射精液あたりの精子であり、好ましくは、これは、およそ0個の射精液あたりの精子であり、より好ましくは、これは、0個の射精液あたりの精子である。別の特定の実施形態において、精液試料における精子の総数についての基準値は、用いられる評価方法についての精液試料における精子の定量限界である。
【0122】
別の特定の実施形態において、前記基準値は、「精液試料における精子の総数」のパラメーターについての最小のものであるので、「基準値を下回る精液試料における精子の数」という表現は、前記基準値に等しい精液試料における精子の総数を指す。「基準値に等しい精液試料における精子の総数」という表現は、前記基準値であるか、またはそれと一致する精液試料における精子の総数を指す。別の特定の実施形態において、「基準値を上回る精液試料における精子の総数」という表現は、前記基準値よりも高い任意の値を指し、好ましくは、これは、0とは異なる絶対値を指す。好ましい実施形態において、これは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも100、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも20×10 、少なくとも30×10 、少なくとも39×10 、少なくとも40×10 、少なくとも50×10 、少なくとも1×10 個の射精液あたりの精子、好ましくは、少なくとも39×10 個の射精液あたりの精子を指す。
【0123】
別の特定の実施形態において、精液試料における精子の濃度についての基準値は、5×10個よりも低い、4×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、1×10個よりも低い、10個よりも低い精液1mlあたりの精子であり、好ましくは、これは、およそ0個の精液1mlあたりの精子であり、より好ましくは、これは、0個の精液1mlあたりの精子である。別の特定の実施形態において、精液試料における精子の濃度についての基準値は、用いられる評価方法についての精液試料における精子の定量限界である。この場合において、前記基準値は、「精液試料における精子の濃度」のパラメーターについての最小のものであるので、「基準値を下回る精液試料における精子の濃度」という表現は、前記基準値に等しい精液試料における精子の濃度を指す「基準値に等しい精液試料における精子の濃度」という表現は、前記基準値であるか、またはそれと一致する精液試料における精子の濃度を指す。別の特定の実施形態において、「基準値を上回る精液試料における精子の濃度」という表現は、前記基準値よりも高い任意の値を指し、好ましくは、これは、0とは異なる絶対値を指す。好ましい実施形態において、これは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも100、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも1×10 、少なくとも15×10、20×10、25×10、50×10、75×10、10×10、50×10個の精液1mlあたりの精子、好ましくは、少なくとも15×10個の精液1mlあたりの精子を指す。
【0124】
別の特定の実施形態において、本発明の第一の態様の患者は、無精子症を有する。対象が無精子症を有するかを決定するための方法は、無精子症の定義において上記に提供されている。別の特定の実施形態において、「精子減少症」という用語が使用されるすべての実施形態はまた、本明細書において、「精子減少症」という用語を「無精子症」によって置き換えることによって適用される。「本発明の第一の態様において言及される処置前」または「本発明の第一の態様において言及される処置の開始前」という表現は、本明細書において使用される場合、本発明の第一の態様の処置前の任意の瞬間を指す。好ましい実施形態において、これは、前記処置の開始の少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも5時間前、少なくとも6時間前、少なくとも8時間前、少なくとも10時間前、少なくとも12時間前、少なくとも24時間前、少なくとも1.5日前、少なくとも2日前、少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも1週間前、少なくとも1.5週間前、少なくとも2週間前、少なくとも3週間前、少なくとも1か月前、少なくとも2か月前、少なくとも3か月前、少なくとも4か月前、少なくとも5か月前、少なくとも6か月前、少なくとも1年前、少なくとも1.5年前、少なくとも2年前、少なくとも5年前、少なくとも10年前、好ましくは、少なくとも1か月前、より好ましくは、少なくとも1週間前、さらにより好ましくは、少なくとも1日前、またより好ましくは、少なくとも1時間前の瞬間を指す。
【0125】
本発明の第一の態様において言及される処置後」または「本発明の医学的使用において言及される処置後」という表現は、本明細書において使用される場合、本発明の第一の態様の処置後の任意の瞬間を指す。好ましい実施形態において、これは、前記処置の終了直後の瞬間、好ましくは、前記処置の終了の少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも5時間後、少なくとも6時間後、少なくとも8時間後、少なくとも10時間後、少なくとも12時間後、少なくとも24時間後、少なくとも1.5日後、少なくとも2日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも1週間後、少なくとも1.5週間後、少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、少なくとも1か月後、少なくとも2か月後、少なくとも3か月後、少なくとも4か月後、少なくとも5か月後、少なくとも6か月後、少なくとも1年後、少なくとも1.5年後、少なくとも2年後、少なくとも5年後、少なくとも10年後、好ましくは、少なくとも1か月後、より好ましくは、少なくとも1週間後、さらにより好ましくは、少なくとも1日後、またより好ましくは、少なくとも1時間後を指す。
【0126】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、前進運動精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0127】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、精子無力症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記男性患者の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、前進運動精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0128】
ある実施形態において、男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、前記処置前に精子無力症を有し、前記処置後の前記男性患者の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、前進運動精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料において、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0129】
「前進運動」という表現は、上記に定義されている。精液試料における前進運動精子のパーセンテージを決定するための方法は、精子無力症の定義において上記に提供されている。
【0130】
基準値を上回る精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における前進運動精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0131】
基準値に等しい精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料における前進運動精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、精液試料における前進運動精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0132】
基準値を下回る精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における前進運動精子のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0133】
特定の実施形態において、精液試料における前進運動精子のパーセンテージについての基準値は、10%、15%、20%、25%、30%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、47%、50%、52%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、好ましくは、30%、さらにより好ましくは、32%である。好ましい実施形態において、精液試料における前進運動精子のパーセンテージについての基準値は、精液試料における前進運動精子のパーセンテージについて、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLであり、これは、32%である。
【0134】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における前進運動精子のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、より好ましくは、少なくとも2の試料における前進運動精子のパーセンテージを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における前進運動精子のパーセンテージを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「前進運動精子のパーセンテージ」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0135】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0136】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、形態学的に正常な精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0137】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、奇形精子症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記患者の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、形態学的に正常な精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0138】
ある実施形態において、男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に奇形精子症を有し、前記処置後の前記男性患者の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、形態学的に正常な精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0139】
形態学的に正常な精子」という表現は、上記に提供されている。試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを決定するための方法は、奇形精子症の定義において上記に提供されている。
【0140】
基準値を上回る精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における形態学的に正常な精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0141】
基準値に等しい精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満高い、形態学的に正常な精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満低い、形態学的に正常な精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0142】
基準値を下回る精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%低い、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0143】
特定の実施形態において、試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージについての基準値は、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、17%、20%、22%、25%、30%、35%、40%、好ましくは、4%である。好ましい実施形態において、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージについての基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLであり、これは、4%である。
【0144】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」のパラメーターの値の平均に対応する。別の実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0145】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0146】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における射精液あたりの精液の体積は、基準値以上である。「精液試料」の定義において示されるように、男性対象の精液の試料は、好ましくは、前記対象からの射精液の精液を含むか、またはそれからなる。したがって、当業者によって理解されるように、精液試料における射精液あたりの精液の体積は、精液試料の体積である。また、当業者によって理解されるように、精液試料における射精液あたりの精液の体積は、前記試料に含まれるか、または試料がそれからなる射精液の体積である。
【0147】
対象の精液の試料が、対象の2以上の射精液を含む場合において、精液試料における射精液あたりの精液の体積は、前記射精液の1つの体積である。前記体積は、試料の体積を、前記試料に含まれるか、精液の試料がそれからなる射精液の数によって割ることによって、当業者によって容易に決定することができる。
【0148】
好ましくは、男性患者の精液の試料における射精液あたりの精液の体積は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0149】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、精液減少症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記男性患者の精液の試料における射精液あたりの精液の体積は、基準値以上である。好ましくは、精液試料における射精液あたりの精液の体積は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0150】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に精液減少症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記男性患者の精液の試料における射精液あたりの精液の体積は、前記基準値以上である。好ましくは、射精液あたりの精液の体積は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0151】
男性患者の射精液における精液の体積を決定するための方法は、精液減少症の定義において上記に提供されている。
【0152】
基準値を下回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%低い、射精液あたりの精液の体積を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0153】
基準値を上回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、射精液あたりの精液の体積を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0154】
基準値に等しい精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、本明細書において使用される場合、射精液の精液の体積についての基準値に等しい、または実質的に等しい射精液あたりの精液の体積を指す。したがって、射精液あたりの精液の体積は、それが、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、より好ましくは、1%未満高い場合、その基準値に等しく、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、それが、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、より好ましくは、1%未満低い場合、その基準値に等しく、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0155】
別の好ましい実施形態において、射精液あたりの精液の体積についての基準値は、5ml、4.5ml、4ml、3.5ml、3ml、2.5ml、2ml、1.5ml、1ml、0.5ml、0.25ml、好ましくは、1.5mlである。好ましい実施形態において、基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLに対応し、1.5mlである。
【0156】
別の好ましい実施形態において、精液試料における射精液あたりの精液の体積についての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性対象の射精液あたりの精液の体積である。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における射精液あたりの精液の体積を指す。
【0157】
ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における射精液あたりの精液の体積を指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における射精液あたりの精液の体積」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0158】
別の特定の実施形態において、精液試料における射精液あたりの精液の体積についての基準値は、0.25mlより低く、0.2mlより低く、0.1mlより低く、0.05mlより低く、0.01mlより低く、0.005mlより低く、好ましくは、これは、およそ0mlであり、より好ましくは、これは、0mlである。
【0159】
別の特定の実施形態において、前記基準値は、「精液試料における射精液あたりの精液の体積」のパラメーターについての最小のものであるので、「基準値を下回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、前記基準値に等しい精液試料における射精液あたりの精液の体積を指す。「基準値に等しい精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、前記基準値であるか、またはそれと一致する精液試料における射精液あたりの精液の体積を指す。別の特定の実施形態において、「基準値を上回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」という表現は、前記基準値よりも高い任意の値を指し、好ましくは、これは、0とは異なる絶対値を指す。好ましい実施形態において、これは、少なくとも0.001ml、少なくとも0.005ml、少なくとも0.01ml、少なくとも0.1ml、少なくとも0.2ml、少なくとも0.5ml、少なくとも1ml、少なくとも1.5ml、少なくとも1.75ml、少なくとも2ml、少なくとも2.5ml、好ましくは、少なくとも1.5mlの精液試料における射精液あたりの精液の体積を指す。
【0160】
別の特定の実施形態において、本発明の第一の態様の患者は、無精液症を有する。対象が無精液症を有するかを決定するための方法は、上記の無精液症の定義において提供されている。別の特定の実施形態において、「精液減少症」という用語が使用されるすべての実施形態はまた、本明細書において、「精液減少症」という用語を「無精液症」によって置き換えることによって適用される。
【0161】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0162】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料におけるSDFのパーセンテージは、基準値以下である。好ましい実施形態において、SDFのパーセンテージについての基準値は、SDFのパーセンテージのパラメーターについて下記で定義されるもののいずれかである。好ましくは、SDFのパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0163】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料におけるSDFのパーセンテージは、基準値以下である。好ましい実施形態において、SDFのパーセンテージについての基準値は、SDFのパーセンテージのパラメーターについて下記で定義されるもののいずれかである。好ましくは、SDFのパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0164】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有し、前記処置後の男性患者の精液の試料におけるSDFのパーセンテージは、前記基準値以下である。好ましい実施形態において、SDFのパーセンテージについての基準値は、SDFのパーセンテージのパラメーターについて下記で定義されるもののいずれかである。別の好ましい実施形態において、SDFのパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。SDFのパーセンテージを決定するための方法は、精子DNA断片化の定義において上記に提供されている。
【0165】
基準値を上回る精液試料におけるSDFのパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料におけるSDFのパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0166】
基準値に等しい精液試料におけるSDFのパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料におけるSDFの任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、SDFのパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0167】
基準値を下回る精液試料におけるSDFのパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料におけるSDFのパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0168】
好ましい実施形態において、精液試料におけるSDFのパーセンテージについて上記で言及される任意の基準値は、精液試料の低いまたは不良の質に関連するSDFのパーセンテージである。したがって、前記基準値は、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、23%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、42%、45%、47%、50%、好ましくは、30%、より好ましくは、20%、さらにより好ましくは、18%、またより好ましくは、16%、さらにまたより好ましくは、15%である。
【0169】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料におけるSDFのパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料におけるSDFのパーセンテージである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるSDFのパーセンテージを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料におけるSDFのパーセンテージを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料におけるSDFのパーセンテージ」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0170】
別の実施形態において、男性対象の精液試料におけるSDFのパーセンテージについての基準値は、健康であると考えられる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるSDFである。別の実施形態において、男性対象の精液試料におけるSDFのパーセンテージについての基準値は、健康であると考えられる異なる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる異なる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるSDFである。「生殖能力がある」または「生殖能力」という用語の定義は、本発明の第二の態様において提供され、本発明の本態様に適用される。
【0171】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0172】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dGのレベルは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、精液試料における8-OH-dGのレベルのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dGのレベルは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0173】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベルによって特徴付けられる障害を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dGのレベルは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、精液における8-OH-dGのレベルのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dGのレベルは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0174】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベルによって特徴付けられる障害を有し、前記処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dGのレベルは、前記基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、精液試料における8-OH-dGのレベルのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。別の好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dGのレベルは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。精液におけるまたは精液試料における8-OH-dGのレベルを決定するための方法は、「精液における8-OH-dGのレベル」の定義において上記に提供されている。
【0175】
基準値を上回る精液試料における8-OH-dGのレベル」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における8-OH-dGのレベルを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0176】
基準値に等しい精液試料における8-OH-dGのレベル」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料におけるSDFの任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、8-OH-dGのレベルを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0177】
基準値を下回る精液試料における8-OH-dGのレベル」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における8-OH-dGのレベルを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0178】
好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dGのレベルについて上記で言及される任意の基準値は、方法が、Vorilhonら、2018、Human reproduction、33(4):553-562に記載されるように、免疫蛍光とそれに続くフローサイトメトリーに基づく場合、300、325、350、375、400、425、450、475、500、510、515、520、525、530、535、540、545、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、562、565、567、570、575、580、585、590、595、600、625、650、675、700、750、800、850、900任意単位、好ましくは、少なくとも552任意単位である。
【0179】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における8-OH-dGのレベルである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dGのレベルを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における8-OH-dGのレベルを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における8-OH-dGのレベル」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0180】
別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、健康であると考えられる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2試料における8-OH-dGのレベルである。別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dGのレベルについての基準値は、健康であると考えられる異なる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる異なる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dGのレベルである。「生殖能力がある」または「生殖能力」という用語の定義は、本発明の第二の態様において提供され、本発明の本態様に適用される。
【0181】
別の特定の実施形態において、上記に示されるように、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指す。したがって、当業者によって理解されるように、「精液における8-OH-dGのレベル」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dGのレベル」のパラメーターについての基準値と互換可能である。実施形態において、「精液における8-OH-dGのレベル」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dGのレベル」のパラメーターについて上記に提供されるもののいずれかである。
【0182】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0183】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における精液における8-OH-dG/10dG比は、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、精液試料における8-OH-dG/10dG比のパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dG/10dG比は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0184】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、基準値を上回る精液における8-OH-dG/10dG比によって特徴付けられる障害を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dG/10dG比は、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、精液における8-OH-dG/10dG比のパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dG/10dG比は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0185】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に基準値を上回る精液における8-OH-dG/10dG比によって特徴付けられる障害を有し、前記処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dG/10dG比は、前記基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、精液試料における8-OH-dG/10dG比のパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。別の好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG/10dG比は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG/10dG比を決定するための方法は、「精液における8-OH-dG/10dG比」の定義において上記に提供されている。
【0186】
基準値を上回る精液試料における8-OH-dG/10dG比」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における8-OH-dG/10dG比を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0187】
基準値に等しい精液試料における8-OH-dG/10dG比」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料におけるSDFの任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、8-OH-dG/10dG比を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0188】
基準値を下回る精液試料における8-OH-dG/10dG比」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における8-OH-dG/10dG比を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0189】
好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG/10dG比について上記で言及される任意の基準値は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、80、90、100、好ましくは1.5 8-OH-dG/10dGである。
【0190】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における8-OH-dG/10dG比である。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG/10dG比を指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における8-OH-dG/10dG比を指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における8-OH-dG/10dG比」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0191】
別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、健康であると考えられる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG/10dG比である。別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG/10dG比についての基準値は、健康であると考えられる異なる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる異なる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG/10dG比である。「生殖能力がある」または「生殖能力」という用語の定義は、本発明の第二の態様において提供され、本発明の本態様に適用される。
【0192】
別の特定の実施形態において、上記に示されるように、精液における8-OH-dG/10dG比は、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG/10dG比を指す。したがって、当業者によって理解されるように、「精液における8-OH-dG/10dG比」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dG/10dG比」のパラメーターについての基準値と互換可能である。実施形態において、「精液における8-OH-dG/10dG比」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dG/10dG比」のパラメーターについて上記に提供されるもののいずれかである。
【0193】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0194】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0195】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、基準値を上回る精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0196】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に基準値を上回る精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有し、前記処置後の男性患者の精液の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、前記基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。別の好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを決定するための方法は、「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」の定義において上記に提供されている。
【0197】
基準値を上回る精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0198】
基準値に等しい精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料におけるSDFの任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0199】
基準値を下回る精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0200】
好ましい実施形態において、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについて上記で言及される任意の基準値は、精液試料における精子の総数に対して8-OH-dG陽性精子細胞20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、52%、55%、57%、60%、61%、62%、63%、64%、64.5%、65%、65.2%、65.5%、65.6%、65.7%、65.8%、65.9%,66%、66.1%、66.2%、66.3%、66.4%、66.5%、66.7%、67%、67.5%、68%、68.5%、69%、69.5%、70%、71%、72%,73%、74%、75%、77%、80%、82%,87.5%、87%,90%、95%、97%、98%、99%、好ましくは、精液試料における精子の総数に対して8-OH-dG陽性精子細胞65.8%である。
【0201】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0202】
別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、健康であると考えられる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージである。別の実施形態において、男性対象の精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、健康であると考えられる異なる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる異なる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージである。「生殖能力がある」または「生殖能力」という用語の定義は、本発明の第二の態様において提供され、本発明の本態様に適用される。
【0203】
別の特定の実施形態において、上記に示されるように、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、射精液におけるまたは精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを指す。したがって、当業者によって理解されるように、「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」のパラメーターについての基準値と互換可能である。実施形態において、「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」のパラメーターについての基準値は、「精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」のパラメーターについて上記に提供されるもののいずれかである。
【0204】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0205】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料におけるsORPは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料におけるsORPについての基準値は、精液試料におけるsORPのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料におけるsORPは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0206】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料におけるsORPは、基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料におけるsORPについての基準値は、精液におけるsORPのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。好ましくは、精液試料におけるsORPは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0207】
ある実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、前記処置前に基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有し、前記処置後の男性患者の精液の試料におけるsORPは、前記基準値以下である。好ましい実施形態において、精液試料におけるsORPについての基準値は、精液試料におけるsORPのパラメーターについて下記に定義されるもののいずれかである。別の好ましい実施形態において、精液試料におけるsORPは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。精液におけるまたは精液試料におけるsORPを決定するための方法は、「精液におけるsORP」の定義において上記に提供されている。
【0208】
基準値を上回る精液試料におけるsORP」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料におけるsORPを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0209】
基準値に等しい精液試料におけるsORP」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料におけるsORPの任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、sORPのレベルを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0210】
基準値を下回る精液試料におけるsORP」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料におけるsORPを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0211】
好ましい実施形態において、精液試料におけるsORPについて上記に言及される任意の基準値は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.、1.1、1.2、1.25、1.27、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.57、1.6、1.62、1.65、1.67、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.35、5.6,5.7、5.8、5.9、6.0、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0mV/10精子/ml精液、好ましくは、1.34mV/10精子/ml精液、より好ましくは、1.36mV/10精子/ml精液、さらにより好ましくは、1.48mV/10精子/ml精液である。
【0212】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料におけるsORPについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料におけるsORPである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるsORPを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料におけるsORPを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料におけるsORP」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0213】
別の実施形態において、男性対象の精液試料におけるsORPについての基準値は、健康であると考えられる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるsORPである。別の実施形態において、男性対象の精液試料におけるsORPについての基準値は、健康であると考えられる異なる男性対象の、好ましくは、生殖能力があると考えられる異なる男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の試料におけるsORPである。「生殖能力がある」または「生殖能力」という用語の定義は、本発明の第二の態様において提供され、本発明の本態様に適用される。
【0214】
別の特定の実施形態において、上記に示されるように、精液におけるsORPは、射精液におけるまたは精液試料におけるsORPを指す。したがって、当業者によって理解されるように、「精液におけるsORP」のパラメーターについての基準値は、「精液試料におけるsORP」のパラメーターについての基準値と互換可能である。実施形態において、「精液におけるsORP」のパラメーターについての基準値は、「精液試料におけるsORP」のパラメーターについて上記に提供されるもののいずれかである。
【0215】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0216】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における生存精子の数は、基準値以上である。好ましくは、生存精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0217】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、精子死滅症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記患者の精液の試料における生存精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、生存精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0218】
ある実施形態において、男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、より好ましくは、患者は、前記処置前に精子死滅症を有し、前記処置後の前記男性患者の精液の試料における生存精子のパーセンテージは、基準値以上である。好ましくは、生存精子のパーセンテージは、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以上である。
【0219】
生存精子のパーセンテージ」という表現は、上記に提供されている。試料における生存精子のパーセンテージを決定するための方法は、精子死滅症の定義において上記に提供されている。
【0220】
基準値を上回る精液試料における生存精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における生存精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0221】
基準値に等しい精液試料における生存精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満高い、生存精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満低い、生存精子の任意のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0222】
基準値を下回る精液試料における生存精子のパーセンテージ」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%低い、精液試料における生存精子のパーセンテージを指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0223】
特定の実施形態において、試料における生存精子のパーセンテージについての基準値は、30%、35%、40%、45%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、62%、64%、65%、70%、75%、好ましくは、58%である。好ましい実施形態において、精液試料における生存精子のパーセンテージについての基準値は、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLであり、これは、58%である。
【0224】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における生存精子のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における生存精子のパーセンテージである。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10試料、好ましくは、少なくとも2の試料における生存精子のパーセンテージを指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における生存精子のパーセンテージを指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「精液試料における生存精子のパーセンテージ」のパラメーターの値の平均に対応する。別の実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0225】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0226】
本発明の第一の態様の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の試料における白血球の濃度は、基準値以下である。好ましくは、白血球の濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0227】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用の男性患者は、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、膿精液症を有し、本発明の医学的使用において言及される処置後の前記男性患者の精液の試料における白血球の濃度は、基準値以下である。好ましくは、白血球の濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0228】
ある実施形態において、男性患者は、本発明の前記態様において言及される処置前に本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて定義される通りであり、好ましくは、患者は、前記処置前に膿精液症を有し、前記処置後の前記男性患者の精液の試料における白血球の濃度は、基準値以下である。好ましくは、白血球の濃度は、本発明の医学的使用において言及される処置後の男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20の試料、好ましくは、少なくとも2の試料において基準値以下である。
【0229】
精液試料における白血球の濃度を決定するための方法は、膿精液症の定義において上記に提供されている。
【0230】
基準値を上回る精液試料における白血球の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、前記基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高い、精液試料における白血球の任意の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0231】
基準値に等しい精液試料における白血球の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満高い、精液試料における白血球の任意の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。これはまた、その基準値よりも10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、0.001%未満、好ましくは、5%未満、より好ましくは、2%未満、またより好ましくは、1%未満低い、精液試料における白血球の任意の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値を表す。
【0232】
基準値を下回る精液試料における白血球の濃度」という表現は、本明細書において使用される場合、その基準値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも90%低い、精液試料における白血球の濃度を指し、ここで、100%は、前記基準値に対応する。
【0233】
特定の実施形態において、精液試料における白血球の濃度についての基準値は、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、1.25×10、1.5×10、1.75×10、2×10、1.25×10、2.5×10、2.75×10、3×10、5×10個の精液1mlあたりの白血球、好ましくは、1×10個の精液1mlあたりの白血球である。好ましい実施形態において、精液試料における白血球の濃度についての基準値は、精液1mlあたりの白血球の総濃度について、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版においてWHOによって確立されたLRLに対応し、これは、1×10個の精液1mlあたりの白血球、または1×10個の精液1mlあたりのペルオキシダーゼ陽性白血球である。
【0234】
別の好ましい実施形態において、男性対象の精液試料における白血球の濃度についての基準値は、本発明の第一の態様において言及される処置前に得られた前記男性患者の精液の試料における白血球の濃度である。別の好ましい実施形態において、これは、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前に得られた前記男性患者の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、より好ましくは、少なくとも2の試料における白血球の濃度を指す。ある実施形態において、基準値が、本発明の第一の態様において言及される処置の開始前に得られた2以上の試料における白血球の濃度を指す場合、前記基準値は、前記試料のそれぞれにおいて得られた「白血球の濃度」のパラメーターの値の平均に対応する。ある実施形態において、前記試料は、本発明の第一の態様において言及される処置が開始される前の異なる時点で得られたそれぞれの試料である。
【0235】
特定の実施形態において、精液試料において分析される白血球の種類は、多形核白血球である。この場合において、分析されるパラメーターは、精液試料における白血球の濃度の代わりに、多形核白血球の濃度である。この場合において、「精液試料における白血球の濃度」という表現が使用される上記に提供されるすべての実施形態はまた、「白血球の濃度」という表現を「多形核白血球の濃度」によって置き換えることによって適用される。多形核白血球濃度についての基準値は、0.5×10、1×10、2.5×10、5×10、7.5×10、1×10、1.25×10、1.5×10、1.75×10、2×10、1.25×10、2.5×10、2.75×10、3×10、5×10個の精液1mlあたりの多形核白血球、好ましくは、5×10個の精液1mlあたりの多形核白血球である。
【0236】
「処置後」および「処置前」という用語は、すでに定義されている。
【0237】
好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、本発明の第一の態様のバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の、ある期間、ある頻度、およびこの期間の間のそれぞれの時のある用量での投与を含む。
【0238】
特定の実施形態において、前記期間は、少なくとも7日間、少なくとも15日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、少なくとも35日間、少なくとも40日間、少なくとも50日間、少なくとも60日間、少なくとも65日間、少なくとも70日間、少なくとも75日間、少なくとも80日間、少なくとも85日間、少なくとも90日間、少なくとも95日間、少なくとも100日間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、好ましくは、少なくとも30日間(すなわち、1か月間)、より好ましくは、少なくとも65日間、さらにより好ましくは、少なくとも70日間、またより好ましくは、少なくとも90日間である。したがって、特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置は、本発明の第一の態様において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の少なくとも30日間(すなわち、1か月間)の投与を含む。別の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置は、本発明の第一の態様において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の少なくとも65日間の投与を含む。別の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置は、本発明の第一の態様において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の少なくとも70日間の投与を含む。別の特定の実施形態において、本発明の医学的使用において言及される処置は、本発明の第一の態様において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の少なくとも90日間(すなわち、3か月間)の投与を含む。
【0239】
別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間に毎日、1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、2日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、3日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、4日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、5日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、6日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、7日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、10日ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。別の特定の実施形態において、前記頻度は、好ましくは前記期間の間、2週間ごとに1日あたり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回である。好ましい実施形態において、前記頻度は、前記期間の間に1日1回である。より好ましい実施形態において、前記頻度は、上記に示される期間のいずれかである処置の全期間の間、1日1回、好ましくは毎日である。
【0240】
特定の実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置が、T.チュイイのバイオマスの投与を含む場合、前記バイオマスは、脱水されたバイオマスであり、前記バイオマスが投与される用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5gの脱水されたバイオマスである。別の好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、脱水されたバイオマスを10~500mg、より好ましくは、500mg、さらにより好ましくは、T.チュイイの脱水されたバイオマスを250mg投与することを含む。好ましい実施形態において、本発明の第一の態様の処置は、脱水されたバイオマスを1日あたり10~500mg、好ましくは、脱水されたバイオマスを1日あたり250mg投与することを含む。
【0241】
別の特定の実施形態において、前記バイオマスが新鮮なバイオマスである場合、前記用量は、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、290mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、625mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1g、1.25g、1.5g、1.7g、2g、2.1g、2.2g、2.3g、2.4g、2.5g、2.6g、2.7g、2.8g、2.9g、3g、3.25g、3.5g、3.75g、4g、4.5g、5gの新鮮なバイオマスである。
【0242】
好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、新鮮なバイオマスを30mg~4g、好ましくは、4g、より好ましくは、3g、さらにより好ましくは、40mg、またより好ましくは、新鮮なバイオマスを30mg投与することを含む。別の好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、新鮮なバイオマスを1日あたり30mg~4g、好ましくは、4g、より好ましくは、3g、さらにより好ましくは、40mg、またより好ましくは、新鮮なバイオマスを1日あたり30mg投与することを含む。
【0243】
特定の実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、本明細書において定義されるT.チュイイのタンパク質抽出物の投与を含み、その投与のための用量は、0.2mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.8mg、1mg、1.2mg、1.4mg、1.6mg、1.8mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、8mg、10mg、12mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、1.5g、2gのT.チュイイのタンパク質抽出物である。
【0244】
別の好ましい実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置は、タンパク質抽出物を4~200mg、より好ましくは、200mg、さらにより好ましくは、T.チュイイのタンパク質抽出物を100mg投与することを含む。好ましい実施形態において、本発明の第一の態様の処置は、タンパク質抽出物を1日あたり4~200mg、好ましくは、タンパク質抽出物を1日あたり10mg投与することを含む。
【0245】
特定の実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置が、T.チュイイの新鮮なバイオマスを含む医薬組成物の投与を含む場合、これは、新鮮なバイオマスについて上記に示される量のいずれかで前記新鮮なバイオマスの投与をもたらす用量で投与される。別の特定の実施形態において、前記医薬組成物がT.チュイイの脱水されたバイオマスを含む場合、これは、脱水されたバイオマスについて上記に示される量のいずれかで前記脱水されたバイオマスの投与をもたらす用量で投与される。別の特定の実施形態において、本発明の第一の態様において言及される処置が、T.チュイイのタンパク質抽出物を含む医薬組成物の投与を含む場合、これは、T.チュイイのタンパク質抽出物について上記に示される量のいずれかで前記タンパク質抽出物の投与をもたらす用量で投与される。
【0246】
好ましい実施形態において、本発明の医学的使用において言及されるバイオマス、タンパク質または医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、液体懸濁剤、乾燥粉末、または湿潤組成物の形態である。したがって、好ましい実施形態において、本発明の医学的使用において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物は、固体形態のいずれかで投与される。
【0247】
II - 本発明の方法
第二の態様において、本発明は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回る精子DNA断片化(SDF)のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための方法であって、T.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのタンパク質抽出物を投与することにより対象を処置する工程を含む、方法に関する。特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有さない。特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、無精液症を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、膿精液症を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、精子死滅症を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、基準値を上回るSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さず、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さず、基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有さず、無精液症を有さず、膿精液症を有さず、および精子死滅症を有さない。特定の実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、不妊症を患っていない。
【0248】
特定の実施形態において、第二の態様の方法は、非治療的方法である。
【0249】
男性対象の精液の質」という表現は、本明細書において使用される場合、優れたまたは良好にそれが受精を達成する方法に関して男性対象の精液の特徴付けを指す。精液の質は、異なる精液パラメーターを測定することによって決定される。前記パラメーターの非限定的な例としては、以下が挙げられる:精液試料における精子の総数、精液試料における精子の濃度、射精液から得られる精液の体積、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ、精液試料における前進運動精子のパーセンテージ、精液試料における生存精子のパーセンテージ、精液試料における白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、精液試料における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比もしくは8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ、または精液試料におけるsORP。
【0250】
「無精液症」、「精液減少症」、「膿精液症」、「精子死滅症」、「形態学的に正常な精子」、「前進運動精子」、「SDFのパーセンテージ」、「精液における8-OH-dGのレベル」、「精液における8OH-dG/10dGの比」、「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、および「精液におけるsORP」の定義は、本発明の第一の態様において提供されており、本発明の第二の態様に適用される。精液試料における精子の総数、精液試料における精子の濃度、射精液から得られる精液の体積、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ、精液試料における前進運動精子のパーセンテージ、精液試料における生存精子のパーセンテージ、精液試料における白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、精液試料における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比もしくは8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ、または精液試料におけるsORPを決定するための方法も、本発明の第一の態様において提供されており、本発明の第二の態様に適用される。
【0251】
男性対象の精液の質を向上させる」または「男性対象の精液の質を向上させること」という表現は、前記男性対象からの対照精液試料と比較して、受精を達成するための男性対象の精液の能力の向上を指す。前記向上は、前記男性対象からの精液試料における少なくとも1つの精液パラメーターを測定することによって決定することができ、ここで、前記精液試料における少なくとも1つの精液パラメーターが、対照精液試料に対して改善を示す場合、男性対象の精液の質が向上している、すなわち、受精を達成するための男性対象の精液の能力が向上していると考えられる。したがって、「男性対象の精液の質を向上させるための方法」は、本明細書において使用される場合、対照試料に対して男性対象の精液における少なくとも1つの精液パラメーターを改善するための方法を指す。
【0252】
好ましい実施形態において、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10の試料、好ましくは少なくとも2の精液試料は、向上していると考えられる前記男性対象の精液の質について、対照試料に対して少なくとも1つの精液パラメーターにおける改善を示さなければならない。したがって、好ましい実施形態において、男性対象の精液の質を向上させるための方法は、本明細書において使用される場合、対照試料に対して、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10の精液試料、好ましくは少なくとも2の精液試料における少なくとも1つの精液パラメーターを改善するための方法を指す。
【0253】
男性対象の精液試料における精液パラメーターは、精液パラメーターが、精液試料における精子の総数、射精液から得られる精液の体積、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ、精液試料における前進運動精子のパーセンテージ、または精液試料における生存精子のパーセンテージであって、前記パラメーターの値が、男性対象の精液試料において、対照精液試料における前記パラメーターの値よりも高い場合に、対照精液試料に対して改善されていると考えられる。男性対象の精液試料における精液パラメーターはまた、パラメーターが、精液試料における白血球の濃度、精液試料におけるSDFのパーセンテージ、精液試料における8OH-dGのレベル、精液試料における8OH-dG/10dGの比、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ、または精液試料におけるsORPであって、前記パラメーターの値が、男性対象の精液試料において、対照試料における前記パラメーターの値よりも低い場合に、対照精液試料に対して改善されていると考えられる。
【0254】
好ましい実施形態において、「前記パラメーターの値が、男性対象の精液試料において、対照精液試料における前記パラメーターの値よりも高い」という表現は、本明細書において使用される場合、対照精液試料におけるよりも少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%高い、男性対象の精液試料における前記パラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料におけるパラメーターの値よりも少なくとも25%高い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。別の好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料におけるパラメーターの値よりも少なくとも50%高い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。別の好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料におけるパラメーターの値よりも少なくとも100%高い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。別の好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料におけるパラメーターの値よりも少なくとも150%高い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。別の好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料におけるパラメーターの値よりも少なくとも200%高い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。
【0255】
別の好ましい実施形態において、「前記パラメーターの値が、男性対象の精液試料において、対照試料における前記パラメーターの値よりも低い」という表現は、本明細書において使用される場合、対照試料におけるよりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%低い、男性対象の精液試料における前記パラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料における前記パラメーターの値よりも少なくとも25%低い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料における前記パラメーターの値よりも少なくとも50%低い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料における前記パラメーターの値よりも少なくとも80%低い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料における前記パラメーターの値よりも少なくとも90%低い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。好ましい実施形態において、前記表現は、対照試料における前記パラメーターの値よりも少なくとも100%低い男性対象の精液試料におけるパラメーターの値を指す。
【0256】
ある実施形態において、対照試料が下記に示される試料のセットである場合、対照試料における精液パラメーターの値は、セットの試料のそれぞれにおける前記パラメーターの値の平均である。
【0257】
好ましい実施形態において、対照試料は、本発明の方法が行われる少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも3時間前、少なくとも4時間前、少なくとも5時間前、少なくとも6時間前、少なくとも7時間前、少なくとも8時間前、少なくとも9時間前、少なくとも10時間前、少なくとも11時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも1日前、少なくとも2日前、少なくとも3日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも1週間前、少なくとも2週間前、少なくとも3週間前、少なくとも1か月前、少なくとも2か月前、少なくとも3か月前、少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも2年前、少なくとも3年前、少なくとも4年前、少なくとも5年前に得られた、本発明の方法の男性対象からの精液試料である。さらに好ましい実施形態において、対照試料は、本発明の方法が行われる、好ましくは、少なくとも1か月前、より好ましくは、少なくとも1週間前、さらにより好ましくは、少なくとも1日前、またより好ましくは、少なくとも1時間前に得られた、本発明の方法の男性対象からの精液試料である。
【0258】
ある実施形態において、対照試料は、本発明の方法の男性対象からの、精液試料のセット、好ましくは、2、3、4、または5、より好ましくは、2の精液試料のセットである。好ましい実施形態において、それらは、対照試料について上記に示されるものから選択される異なる時点で得られる。この場合において、前記試料は、精液試料を得るための本発明の第一の態様において提供される実施形態のいずれかに記載されるようにして得られる。
【0259】
好ましい実施形態において、対照試料は、正常精液を有する対象由来である。別の好ましい実施形態において、対照試料は、基準値よりも高いSDFのパーセンテージに関連する障害を有さない対象由来であり、すなわち、対照試料は、基準値よりも低いSDFのパーセンテージを示す。別の特定の実施形態において、対照試料は、精液減少症を有さない対象由来である。特定の実施形態において、対照試料が、上記に示される精液試料のセットである場合、前記試料のそれぞれは、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および/または基準値よりも高いSDFのパーセンテージに関連する障害を有さない男性対象由来であり、すなわち、対照試料は、基準値よりも低いSDFのパーセンテージを示す。
【0260】
別の実施形態において、対照試料は、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージに関連する障害を有さない対象由来であり、すなわち、対照試料は、基準値よりも低い8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを示す。別の特定の実施形態において、対照試料は、基準値を上回る精液におけるsORPに関連する障害を有さない対象由来であり、すなわち、対照試料は、基準値よりも低いsORPを示す。別の特定の実施形態において、対照試料は、精子死滅症を有さない対象由来である。別の特定の実施形態において、対照試料は、膿精液症を有さない対象由来である。当業者によって理解されるように、対照試料は、無精液症を有さない対象由来である。
【0261】
正常精液」という用語は、本明細書において使用される場合、男性対象の精液における、精子の総数および/または精子の濃度、PRのパーセンテージならびに形態学的に正常な精子のパーセンテージが、対応するLRL以上であることを特徴とする状態を指す。WHOは、以下についてのLRRを、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」、2010、第5版において確立している:
- 総精子数が、射精液あたり39×10個である、
- 精子濃度が、1mlあたり15×10個である、
- 前進運動精子のパーセンテージが、32%である、
- 形態学的に正常な精子のパーセンテージが、4%である。
【0262】
好ましい実施形態において、対象は、前記男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは、少なくとも2の精液試料が、対応する基準値以上の、精子の総数および/または精子の濃度、PRのパーセンテージならびに形態学的に正常な精子のパーセンテージを示す場合に、正常精液を有する。別の好ましい実施形態において、精子の総数および/または精子の濃度、PRのパーセンテージならびに形態学的に正常な精子のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様における前記パラメーターのそれぞれについて提供されるもののいずれかである。
【0263】
男性患者の精液におけるまたは精液試料における精子の総数、精子の濃度、PRのパーセンテージおよび形態学的に正常な精子のパーセンテージを決定するための方法は、「精子減少症」、「精子無力症」および「奇形精子症」の定義において本発明の第一の態様に提供されており、本発明の第二の態様に適用される。
【0264】
好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及されるSDFのパーセンテージの基準値は、本発明の第一の態様における前記パラメーターについて提供される基準値のいずれかである。男性患者の精液におけるまたは精液試料におけるSDFのパーセンテージを決定するための方法は、「SDFのパーセンテージ」の定義において本発明の第一の態様に提供されている。
【0265】
別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及される、精液におけるまたは精液試料における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージについての基準値は、本発明の第一の態様における前記パラメーターについて提供される基準値のいずれかである。男性患者の精液におけるまたは精液試料における8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージを決定するための方法は、それぞれ、「精液における8-OH-dGのレベル」、「精液における8OH-dG/10dGの比」または「精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」の定義において、本発明の第一の態様に提供されている。
【0266】
好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及されるsORPの基準値は、本発明の第一の態様における前記パラメーターについて提供される基準値のいずれかである。男性患者の精液におけるまたは精液試料におけるsORPを決定するための方法は、「精液におけるsORP」の定義により本発明の第一の態様に提供されている。
【0267】
別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様の男性対象は、生殖能力がある。
【0268】
生殖能力」という用語は、本明細書において使用される場合、定期的な無防護性交の12か月以下内に臨床妊娠を達成する能力によって定義される生殖器系の状態を指す。「男性生殖能力」という表現は、本明細書において使用される場合、男性対象の生殖能力を指す。当業者によって理解されるように、生殖能力があることを示す男性は、好ましくは、不妊症をもたらす変化、特に、任意の精液パラメーターにおける不備を示さないことによって特徴付けられる。前記精液パラメーターとしては、精子の総数、精子の濃度、射精液から得られる精液の体積、形態学的に正常な精子のパーセンテージ、前進運動精子のパーセンテージ、生存精子のパーセンテージ、白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比もしくは8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ、またはsORPのレベルが挙げられる。当業者が理解するように、生殖能力があると考えられる男性対象の精液試料は、好ましくは、基準値以上の、精子の数および/または濃度、射精液あたりの精液の体積、形態学的に正常な精子のパーセンテージ、前進運動精子のパーセンテージならびに生存精子のパーセンテージを示す。加えて、生殖能力があると考えられる男性対象の精液試料は、好ましくは、基準値以下の、白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比、8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージおよびsORPのレベルを示す。したがって、特定の実施形態において、本発明の方法の男性対象の精液試料は、基準値以上の、精子の総数、精子の濃度、射精液あたりの精液の体積、形態学的に正常な精子のパーセンテージ、前進運動精子のパーセンテージおよび生存精子のパーセンテージを示す。加えて、生殖能力があると考えられる男性対象の精液試料は、好ましくは、基準値以下の、白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比、8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージおよびsORPのレベルを示す。
【0269】
好ましい実施形態において、男性対象に生殖能力がある場合、前記対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料が、基準値以上の、精子の総数、精子の濃度、射精液あたりの精液の体積、形態学的に正常な精子のパーセンテージ、前進運動精子のパーセンテージおよび生存精子のパーセンテージ、ならびに基準値以下の、白血球の濃度、SDFのパーセンテージ、8-OH-dGのレベル、8OH-dG/10dGの比、8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージおよびsORPのレベルを示す。
【0270】
「基準値を下回る精液試料における精子の総数」、「基準値を下回る精液試料における精子の濃度」、「基準値を下回る精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」、「基準値を下回る精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」、「基準値を下回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」、「基準値を上回る精液試料におけるSDFのパーセンテージ」、「基準値を上回る精液試料における8-OH-dGのレベル」、「基準値を上回る精液試料における8OH-dG/10dGの比」、「基準値を上回る精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、「基準値を上回るsORP」、「基準値を上回る精液試料における白血球の濃度」、および「精液試料における基準値を下回る生存精子のパーセンテージ」という表現は、本発明の第一の態様における上記の異なる実施形態において定義および記載されており、前記定義および実施形態は、本発明の第二の態様に適用される。
【0271】
「基準値に等しい精液試料における精子の総数」、「基準値に等しい精液試料における精子の濃度」、「基準値に等しい精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」、「基準値に等しい精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」、「基準値に等しい精液試料における射精液あたりの精液の体積」、「基準値に等しい精液試料におけるSDFのパーセンテージ」、「基準値に等しい精液試料における8-OH-dGのレベル」、「基準値に等しい精液試料における8OH-dG/10dGの比」、「基準値に等しい精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、「基準値に等しいsORP」、「基準値に等しい精液試料における白血球の濃度」、および「基準値に等しい精液試料における生存精子のパーセンテージ」という表現は、本発明の第一の態様における上記の異なる実施形態において定義および記載されており、前記定義および実施形態は、本発明の第二の態様に適用される。
【0272】
「基準値を上回る精液試料における精子の総数」、「基準値を上回る精液試料における精子の濃度」、「基準値を上回る精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ」、「基準値を上回る精液試料における前進運動精子のパーセンテージ」、「基準値を上回る精液試料における射精液あたりの精液の体積」、「基準値を下回る精液試料におけるSDFのパーセンテージ」、「基準値を下回る精液試料における8-OH-dGのレベル」、「基準値を下回る精液試料における8OH-dG/105dGの比」、「基準値を下回る精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、「基準値を下回るsORP」、「基準値を下回る精液試料における白血球の濃度」、および「基準値を上回る精液試料における生存精子のパーセンテージ」という表現は、本発明の第一の態様における上記の異なる実施形態において定義および記載されており、前記定義および実施形態は、本発明の第二の態様に適用される。
【0273】
好ましい実施形態において、精液試料における精子の総数、精液試料における精子の濃度、精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージ、精液試料における前進運動精子のパーセンテージ、精液試料における射精液あたりの精液の体積、精液試料におけるSDFのパーセンテージ、精液試料における8-OH-dGのレベル、精液試料における8OH-dG/10dGの比、精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ、精液試料におけるsORPのレベル、精液試料における白血球の濃度、および精液試料における生存精子のパーセンテージについての基準値は、対応するパラメーターについての本発明の第一の態様において特定されるものである。
【0274】
「処置すること」という用語は、本発明の第二の態様において使用される場合、本発明の第一の態様において定義され、本発明の第一の態様の実施形態のいずれかにおいて記載される処置の実施を指し、ここで、前記処置は、非治療的である。したがって、当業者によって理解されるように、男性対象に適用される本発明の第二の態様の処置は、本発明の第一の態様に記載される通りであり、ここで、不妊症または任意の精液障害などの、前記処置により男性対象において処置されているか、または処置されるべき疾患または障害がない。
【0275】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液試料における精子の数および/または濃度は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い。
【0276】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における精子の数および/または濃度は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも高い。
【0277】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料における前進運動精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い。
【0278】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における前進運動精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも高い。
【0279】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い。
【0280】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における形態学的に正常な精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも高い。
【0281】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液試料における射精液あたりの精液の体積は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い。
【0282】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における射精液あたりの精液の体積は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも高い。
【0283】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料におけるSDFのパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0284】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料におけるSDFのパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0285】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料における8-OH-dGのレベルは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0286】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における8-OH-dGのレベルは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0287】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料における8-OH-dG/10dG比は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0288】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における8-OH-dG/10dG比は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0289】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0290】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0291】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液の試料におけるsORPは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0292】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料におけるsORPは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0293】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液試料における白血球の濃度は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い。
【0294】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における白血球の濃度は、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも低い。
【0295】
ある実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の精液試料における生存精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い。
【0296】
好ましい実施形態において、前記方法において言及される処置後に得られた本発明の方法の男性対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の精液試料における生存精子のパーセンテージは、前記処置前に得られた前記男性対象の精液の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、好ましくは少なくとも2の試料におけるよりも高い。
【0297】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた精液試料における「精子の数」、「精子の濃度」、「前進運動精子のパーセンテージ」、「形態学的に正常な精子のパーセンテージ」、「射精液あたりの精液の体積」、「生存精子のパーセンテージ」のパラメーターに言及する場合の「前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも高い」という表現は、少なくとも精液試料における対応するパラメーターの値が、処置前に得られた精液の試料(複数可)における前記パラメーターの値よりも少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも800%、または少なくとも1000%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%、またより好ましくは、少なくとも150%高いとして理解される。
【0298】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた精液試料における「SDFのパーセンテージ」、「8-OH-dGのレベル」、「8-OH-dG/10dG比」、「8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」、「sORP」および「白血球の濃度」のパラメーターに言及する場合の「前記処置前に得られた前記男性対象の精液の試料におけるよりも低い」という表現は、少なくとも精液試料における対応するパラメーターの値が、前記処置前に得られた精液試料(複数可)における前記パラメーターの値よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも100%、好ましくは、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも100%低いとして理解される。
【0299】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた試料は、前記処置の少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも3時間後、少なくとも4時間後、少なくとも5時間後、少なくとも6時間後、少なくとも7時間後、少なくとも8時間後、少なくとも9時間後、少なくとも10時間後、少なくとも11時間後、少なくとも12時間後、少なくとも18時間後、少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも1週間後、少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、少なくとも1か月後、少なくとも2か月後、少なくとも3か月後、少なくとも6か月後、少なくとも9か月後、少なくとも1年後、少なくとも2年後、少なくとも3年後、少なくとも4年後、少なくとも5年後に得られる。さらに好ましい実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた試料は、前記処置の少なくとも1か月後、より好ましくは、少なくとも1週間後、さらにより好ましくは、少なくとも1日後、またより好ましくは、少なくとも1時間後に得られる。
【0300】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた複数の試料は、前記処置の少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも3時間後、少なくとも4時間後、少なくとも5時間後、少なくとも6時間後、少なくとも7時間後、少なくとも8時間後、少なくとも9時間後、少なくとも10時間後、少なくとも11時間後、少なくとも12時間後、少なくとも18時間後、少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも1週間後、少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、少なくとも1か月後、少なくとも2か月後、少なくとも3か月後、少なくとも6か月後、少なくとも9か月後、少なくとも1年後、少なくとも2年後、少なくとも3年後、少なくとも4年後、少なくとも5年後に得られる。さらに好ましい実施形態において、本発明の方法において言及される処置後に得られた複数の試料は、前記処置の少なくとも1か月後、より好ましくは、少なくとも1週間後、さらにより好ましくは、少なくとも1日後、またより好ましくは、少なくとも1時間後に得られる。
【0301】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置前に得られた試料は、前記処置の少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも3時間前、少なくとも4時間前、少なくとも5時間前、少なくとも6時間前、少なくとも7時間前、少なくとも8時間前、少なくとも9時間前、少なくとも10時間前、少なくとも11時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも1日前、少なくとも2日前、少なくとも3日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも1週間前、少なくとも2週間前、少なくとも3週間前、少なくとも1か月前、少なくとも2か月前、少なくとも3か月前、少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも2年前、少なくとも3年前、少なくとも4年前、少なくとも5年前に得られる。さらに好ましい実施形態において、本発明の方法において言及される処置前に得られた試料は、前記処置の少なくとも1か月前、より好ましくは、少なくとも1週間前、さらにより好ましくは、少なくとも1日前、またより好ましくは、少なくとも1時間前に得られる。
【0302】
ある実施形態において、本発明の方法において言及される処置前に得られた複数の試料は、前記処置の少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも3時間前、少なくとも4時間前、少なくとも5時間前、少なくとも6時間前、少なくとも7時間前、少なくとも8時間前、少なくとも9時間前、少なくとも10時間前、少なくとも11時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも1日前、少なくとも2日前、少なくとも3日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、少なくとも1週間前、少なくとも2週間前、少なくとも3週間前、少なくとも1か月前、少なくとも2か月前、少なくとも3か月前、少なくとも6か月前、少なくとも9か月前、少なくとも1年前、少なくとも2年前、少なくとも3年前、少なくとも4年前、少なくとも5年前に得られる。さらに好ましい実施形態において、本発明の方法において言及される処置前に得られた複数の試料は、前記処置の少なくとも1か月前、より好ましくは、少なくとも1週間前、さらにより好ましくは、少なくとも1日前、またより好ましくは、少なくとも1時間前に得られる。
【0303】
特定の実施形態において、本発明の方法において言及されるT.チュイイのバイオマスは、脱水されている。別の特定の実施形態において、本発明の方法において言及されるT.チュイイのバイオマスは、新鮮である。
【0304】
T.チュイイの新鮮なバイオマス」および「T.チュイイの脱水されたバイオマス」の定義は、本発明の第一の態様において提供されており、本発明の第二の態様に適用される。
【0305】
上記に示されるように、本発明の方法において言及される処置は、本発明の第一の態様の処置の通りであるが、これは、非治療的であり、本発明の第一の態様の処置と併せて本発明の第一の態様において提供される実施形態は、本発明の第二の態様の処置であって、ただし、前記処置が、非治療的である、処置に適用される。したがって、特定の実施形態において、本発明の方法において言及される処置は、脱水されたバイオマスを1日あたり10~500mg、好ましくは、1日あたり250mg投与することを含む。別の特定の実施形態において、これは、新鮮なバイオマスを1日あたり30mg~4g、好ましくは、4g、より好ましくは、3g、さらにより好ましくは、40mg、またより好ましくは、新鮮なバイオマスを1日あたり30mg投与することを含む。別の特定の実施形態において、これは、タンパク質抽出物を1日あたり4~200mg、好ましくは、T.チュイイのタンパク質抽出物を1日あたり100mg投与することを含む。
【0306】
別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及される処置は、本明細書に定義されるバイオマスまたはタンパク質抽出物の少なくとも30日間(すなわち、1か月間)の投与を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及される処置は、本明細書に定義されるバイオマスまたはタンパク質抽出物の少なくとも65日間の投与を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及される処置は、本明細書に定義されるバイオマスまたはタンパク質抽出物の少なくとも70日間の投与を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の第二の態様において言及される処置は、本明細書に定義されるバイオマスまたはタンパク質抽出物の少なくとも90日間の投与を含む。
【0307】
本発明の第一の態様に記載されるすべての用語および実施形態は、本発明のこの態様に等しく適用可能である。
【0308】
III - 本発明の使用
第三の態様において、本発明は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、および基準値を上回る精液試料におけるSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない男性対象の精液の質を向上させるための経口サプリメントとしてのT.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのタンパク質抽出物の使用に関する。別の特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、基準値を上回る精液におけるsORPによって特徴付けられる障害を有さない。特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、無精液症を有さない。特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、膿精液症を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、精子死滅症を有さない。別の特定の実施形態において、本発明の第三の態様の対象は、正常精液を有し、精液減少症を有さず、基準値を上回る精液試料におけるSDFのパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さず、基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル、8-OH-dG/10dG比、または8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージによって特徴付けられる障害を有さず、基準値を上回る精液におけるsORPのレベルによって特徴付けられる障害を有さず、無精液症を有さず、膿精液症を有さず、および精子死滅症を有さない。
【0309】
経口サプリメント」という表現は、本明細書において使用される場合、対象の食事と一緒に提供され、経口投与される、任意の生成物を指す。経口サプリメントは、錠剤、カプセル剤、液体懸濁剤、乾燥粉末、湿潤組成物、乾燥経管栄養または湿潤経管栄養を含む非常に異なる形態で取り込むことができる。好ましい実施形態において、経口サプリメントは、本発明の第1の態様における任意の実施形態において定義および記載される、T.チュイイのバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物または医薬組成物を含むか、またはそれからなる。別の好ましい実施形態において、本発明の使用において言及される経口サプリメント、T.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのタンパク質抽出物は、本発明の第1の態様において言及される処置内で構成されるT.チュイイのバイオマス、T.チュイイのタンパク質抽出物または医薬組成物の投与のため、に本発明の第1の態様の任意の実施形態において示されるようにして投与される。したがって、特定の実施形態において、本発明の使用において言及される経口サプリメント、T.チュイイのバイオマスまたはT.チュイイのタンパク質抽出物は、本発明の第1の態様において言及されるバイオマス、タンパク質抽出物または医薬組成物の投与の期間、頻度および用量を特定する本発明の第1の態様の任意の実施形態において示される期間、頻度および用量について投与される。
【0310】
男性対象の精液の質」および「男性対象の精液の質を向上させる」という表現は、本発明の第2の態様における任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0311】
「正常精液」、「精液減少症」、「SDFのパーセンテージ」、「無精液症」、「膿精液症」、「精子死滅症」、「精液における8-OH-dGのレベル」、「精液における8-OH-dG/10dG比」、「8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」および「精液におけるsORPのレベル」という用語の定義はまた、本発明の第一または第二の態様において提供されており、本発明のこの態様に適用される。
【0312】
「基準値を上回るSDFのパーセンテージ」という表現は、本発明の第一および第二の態様の任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0313】
好ましい実施形態において、SDFのパーセンテージの基準値は、本発明の第一の態様において示されるもののいずれかである。
【0314】
「基準値を上回る精液における8-OH-dGのレベル」という表現は、本発明の第一および第二の態様の任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0315】
好ましい実施形態において、精液における8-OH-dGのレベルの基準値は、本発明の第一の態様において示されるもののいずれかである。
【0316】
「基準値を上回る精液における8-OH-dG/10dG比」という表現は、本発明の第一および第二の態様の任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0317】
好ましい実施形態において、精液における8-OH-dG/10dG比の基準値は、本発明の第一の態様において示されるもののいずれかである。
【0318】
「基準値を上回る精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージ」という表現は、本発明の第一および第二の態様の任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0319】
好ましい実施形態において、精液における8-OH-dG陽性精子細胞のパーセンテージの基準値は、本発明の第一の態様において示されるもののいずれかである。
【0320】
「基準値を上回る精液におけるsORP」という表現は、本発明の第一および第二の態様の任意の実施形態において定義および記載される通りである。
【0321】
好ましい実施形態において、精液におけるsORPの基準値は、本発明の第一の態様において示されるもののいずれかである。
【0322】
特定の実施形態において、本発明の第三の態様の男性対象は、本発明の第二の態様の男性対象の通りである。好ましい実施形態において、本発明の第三の態様の男性対象は、生殖能力がある。
【0323】
「生殖能力がある」という表現は、本発明の第2の態様の実施形態のいずれかにおいて定義および記載される通りである。
【0324】
ある実施形態において、本発明の第一および第二の態様に記載されるすべての用語および実施形態は、本発明のこの態様に等しく適用可能である。
【0325】
ある実施形態において、本発明の第一、第二および第三の態様において使用される「含む」および「からなる」という用語は、互換可能である。
【0326】
本発明を、本発明の単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではないと考えられるべき以下の実施例によって説明する。
【実施例
【0327】
材料および方法
特発性の精子減少症、精子無力症および/または奇形精子症を示す(最初の完全な精液分析による)合計で20人の個体をリクルートした。これらの状態のそれぞれは、「ヒト精液検査と手技 WHOラボマニュアル」(第5版、2010)に記載される世界保健機関(WHO)パラメーターに従って定義した。より具体的には、精子減少症という命名は、射精液あたり39×10個の精子(または濃度が報告される場合は、15×10個精子/ml)の下限基準(LRL)を下回る精子の総数(または、報告される結果に応じて濃度)を指す。精子無力症に関して、これは、前進運動(PR)精子のパーセンテージが、LRL(32%)を下回る場合に起こる。最後に、奇形精子症は、形態学的に正常な精子のパーセンテージが、LRL(4%)を下回る場合に診断される。この命名に関して、PRは、スピードに関わらず、活発に、直線的にまたは大きな円状のいずれかで動いている精子を指し、形態学的に正常であると考えられる精子について、以下を指す:i)頭部:これは、滑らかで、規則的な輪郭の、一般に楕円形状である。これは、頭部領域の40~70%を含む輪郭のはっきりした先体領域であるものとする。先体領域は、大きな空胞を含有せず、2つより多くの小さな空胞を含有しないものとし、これは、精子頭部の20%より多くを占めないものとする。先体後部領域は、任意の空胞を含有しないものとする。ii)中片部:これは、細長く、規則的で、精子頭部とほぼ同じ長ささであるものとする。中片部の主軸は、精子頭部の主軸と整列しているものとする。細胞質の残留は、過度である場合、すなわち、精子頭部サイズの3分の1を超える場合にのみ、異常と考えられる。iii)主部:これは、その長さに沿った均一な直径を有し、中片部よりも細く、およそ約45μmの長さ(頭部の長さの約10倍)であるものとする。これは、鞭毛の破壊を示す鋭角が存在しないという条件で、それ自身がループバックしていてもよい。
【0328】
精液試料を、WHO(2010)によって記載されている標準的な手順に従って、処置の開始直前(t=0)、およびにテトラセルミス・チュイイ(250mg/日)の食事補給による3か月間の処置の後(t=3か月)に収集した。いくつかのパラメーターを、両方の試料採取時にこれらの使用において定量化した:i)精液体積(VOL;ml)、ii)精子濃度(CONC;1mlあたり10個)、iii)総精子数(NUM;射精液あたり10個)、iv)PR(%)、およびv)精子形態(MORF;正常型、%)。これらのパラメーターはすべて、WHO(2010)によって提供されたガイドラインおよびプロトコールに従って決定した。
【0329】
統計分析
第一に、記述統計量(平均およびSEM)を、それぞれのパラメーターについて決定した。次いで、T.チュイイ補給前後に記録されたデータの統計的に有意な差を決定するために、対応対についての非パラメトリックウィルコクソン検定を適用した。有意性は、p<0.05について許容した。すべての分析は、Prism 6ソフトウェアを用いて実行した。
【0330】
結果
実施例1
精液体積(VOL)
図1に示されるように、VLOの非常に統計学的に有意な増加が、3か月間のT.チュイイの補給後に観察された。VOLパラメーターは、3.09mlの平均値に達し、試験の開始時に観察された平均値(2.29ml)に関して、35%近くの増加を表した。
【0331】
試験の参加者を、このパラメーターについてWHOによって確立されたLRLに関して分類した場合(図2)、参加者の90%が、t=0でLRLよりも高い値を表したが、試験完了後、すべての記録された値(100%)が、LRLよりも高かったことを見出した。
【0332】
実施例2
精子濃度(CONC)
CONCパラメーターの非常に統計学的に有意な増加も、3か月間のT.チュイイの補給後に観察された(図3)。実際に、平均値は、17.16×10個精子/mlであり、t=0で記録された初期平均値(9.22×10個精子/ml)に関して約86%の増加を表した。重要なことに、3か月間のT.チュイイの食事補給後のそのような平均値は、WHOによって確立されたLRL(15×10個精子/ml)よりも高かった(14.4%)。
【0333】
この場合において、T.チュイイ補給の効果は、WHOによって提供されたLRLによる個々の分類を見た場合に、劇的に肯定的であった。t=0で>LRLの値を示した参加者はなかった、すなわち、100%が、精子減少症を表したが、このパーセンテージは、3か月間のT.チュイイ摂取後に50%に低下した。
【0334】
実施例3
射精液における総精子数(NUM)
図5に、試験において得られた結果を要約する。NUMにおける強い有意な増加が、T.チュイイ補給の結果として検出された。t=0で、平均値は、射精液あたり22.20×10個の精子であったが、3か月間の毎日のT.チュイイ摂取後、記録された平均値は、射精液あたり52.75×10個の精子であり、初期値に関して約238%の増加を表した。また、このパラメーターについてWHOによって提案されたLRLに関して、観察された変化は劇的であった:t=0で、平均値は、LRLよりも有意に低かったが(この基準値のわずか57%を表した)、3か月間のT.チュイイ摂取後、平均値は、LRLよりも約35%高かった。
【0335】
優れた結果が、NUMパラメーターについてWHOによって確立されたLRLによる試験の参加者の分布に関して、再び観察された。図6に示されるように、1個人のみ(5%)が、>LRLのNUMについての値を示し、すなわち、それらの95%(20人のうち19人)が、精子減少症を表した。しかし、3か月間のT.チュイイ摂取後、精子減少症を有する参加者のパーセンテージは、35%まで減少した。
【0336】
実施例4
前進運動性(PR)
前述のパラメーターで観察されたように、統計学的に有意な増加が、3か月間のT.チュイイ摂取後、PRにおいても検出された(図7)。平均値は、試験の開始時の26.1%から最後の32.85%まで変化し、このパラメーターにおいて正味で25.9%の増加を表した。加えて、T.チュイイ補給の3か月後の最終平均値でさえ、PRについてWHOによって提供されたLRL(32%)よりもわずかに高かったことを強調しなければならない。
【0337】
PRについてWHOによって提供されたLRLに関して参加者の分類を扱う場合(図8)、参加者の75%が、t=0で精子無力症を表した(わずか25%が>LRLの値を示した)が、このパーセンテージは、3か月間のT.チュイイ補給の結果として、55%まで減少した(参加者の45%が>LRLの値を有する)。
【0338】
実施例5
正常型(MORF)
図9において表されるように、すでに記載したすべての前述のパラメーターとは対照的に、統計学的に有意な変化は、試験の開始時(6.65%)および終了時(6.45%)の両方で、記録された平均値において検出されなかった。また、両方の平均値は、このパラメーターについてWHOによって提供されたLRL(4%)よりも高かった。
【0339】
しかしながら、我々がLRLに関して参加者の分布を見た場合、我々は、35%がt=0で奇形精子症を表した(すなわち、65%が>LRLの値を示した)が、奇形精子症を有する個体のこのパーセンテージが、試験の終了時に10%(個体の90%が>LRLの値を示す)に低下したことを観察した(図10)。
【0340】
実施例6
正常精液
WHO(2010)によれば、正常精液を有する個体は、LRL以上の、精子の総数(または、報告される結果に応じて濃度)、ならびに前進運動(PR)精子および形態学的に正常な精子(NF)のパーセンテージを有する。したがって、正常精液のこの状態は、それが精液の質の重要なパラメーターを包含するので、分析に関連して明らかである。図11に示されるように、t=0で正常精液を表した個体は試験に含まれなかった(序論において記載されるように、個体は、それらが精子減少症、精子無力症および/または奇形精子症を示した場合に、試験に含められた)。しかし、3か月間のT.チュイイ摂取後、正常精液を有する参加者のパーセンテージは、30%まで増加した(20人の個体のうち6人)。
【0341】
結論
すべてのデータを考慮し、T.チュイイの補給(3か月間250mg/日)により得られた結果は、精液試料において分析された5つのパラメーターのうちの4つの平均値において統計学的に有意な肯定的な反応を明らかにした。これらのパラメーターのそれぞれにおいてLRL(WHO、2010によって提供される)により分類された個体のパーセンテージを扱う場合、肯定的な結果がすべての場合において得られた。したがって、微細藻類のT.チュイイの投与は、異常な精液パラメーターを有する不妊症男性における精液の質を改善する。
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【国際調査報告】