IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クオンタム モーション テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-量子デバイス構造 図1A
  • 特表-量子デバイス構造 図1B
  • 特表-量子デバイス構造 図2
  • 特表-量子デバイス構造 図3
  • 特表-量子デバイス構造 図4
  • 特表-量子デバイス構造 図5
  • 特表-量子デバイス構造 図6A
  • 特表-量子デバイス構造 図6B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】量子デバイス構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20231002BHJP
   G06N 10/20 20220101ALI20231002BHJP
【FI】
H01L29/06 601D
G06N10/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507993
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021071850
(87)【国際公開番号】W WO2022029217
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20190137.8
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521435167
【氏名又は名称】クオンタム モーション テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトマキ,ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】モートン,ジョーン
(57)【要約】
シリコン系量子デバイスを提供する。このデバイスは、第1の金属構造と、第1の金属構造から横方向に分離した第2の金属構造と、第1の金属構造と第2の金属構造の間の分離によって画定された伸長したチャネルとを備え、伸長したチャネルは頂点を有する。デバイスはさらに、伸長したチャネル内に部分的に位置決めされた第3の金属構造と、第3の金属構造の第1の端部に配置された第4の金属構造と、第3の金属構造の第2の端部に配置された第5の金属構造を備えている。第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成される。第1、第2、第3、第4および第5の電位は、伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能である。第4および第5の電位、ならびに第4および第5の金属構造の位置は、伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定する。電位井戸の幅は、第1、第2および第3の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定され、電位井戸の長さは、第3、第4および第5の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定される。第3の電位は、電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するために制御可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン系量子デバイスであって、
第1の金属構造と、
前記第1の金属構造から横方向に分離された第2の金属構造と、
前記第1と第2の金属構造間の分離によって画定される伸長したチャネルであって、頂点を有する、伸長したチャネルと、
前記伸長したチャネル内に部分的に位置決めされた第3の金属構造と、
前記第3の金属構造の第1の端部に配置された第4の金属構造と、
前記第3の金属構造の第2の端部に配置された第5の金属構造と、を備え、
前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成され、
前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能であり、
前記第4および第5の電位ならびに前記第4および第5の金属構造の位置が、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定し、
前記電位井戸の幅が、前記第1、第2および第3の金属構造の位置と、それらに対応する電位とによって画定され、前記電位井戸の長さが、前記第3、第4および第5の金属構造の位置と、それらに対応する電位とによって画定され、
前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するために制御可能である、シリコン系量子デバイス。
【請求項2】
前記第3の金属構造は前記頂点の周囲に延在している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記伸長した量子ドットは前記頂点の周囲に延在している、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の金属構造は第1の金属層に配置され、前記第3の金属構造は第2の金属層に配置され、前記デバイスがさらに、前記第1の金属層と前記第2の金属層との間にあり前記第1の金属層に積層する電気絶縁層を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の金属層と前記第2の金属層の各々が、複数の横方向に分離された金属構造を備えている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の金属層はさらに、第6の電位に接続するように構成された第6の金属構造を備え、その結果、電荷キャリアのリザーバが前記第6の金属構造の下に支持され得る、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の金属層はさらに、第7の電位に接続するように構成された第7の金属構造を備え、その結果、前記第7の金属構造の下に量子ドットが支持され得る、請求項5または請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第3の金属構造は第1の延長部を備え、前記第1の延長部は部分的に前記第1の金属構造に積層し、前記第1の延長部は前記第3の電位に接続するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第3の金属構造はさらに第2の延長部を備え、前記第2の延長部は部分的に前記第1の金属構造に積層し、前記第1および/または第2の延長部は前記第3の電位に接続するように構成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシリコン系量子デバイスの製造方法であって、前記方法が、
第1の金属構造を堆積させるステップと、
伸長したチャネルが第1と第2の金属構造間の分離によって画定されるように、前記第1の金属構造から横方向に分離した前記第2の金属構造を堆積させるステップを含み、前記伸長したチャネルは頂点を有しており、
前記伸長したチャネル内に部分的に第3の金属構造を堆積させるステップと、
前記第3の金属構造の第1の端部に第4の金属構造を堆積させるステップと、
前記第3の金属構造の第2の端部に第5の金属構造を堆積させるステップと、を含み、
前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成され、
前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能であり、
前記第4および第5の電位ならびに前記第4および第5の金属構造の位置が、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定し、
前記電位井戸の幅が、前記第1、第2および第3の金属構造の前記位置と、それらに対応する電位とによって画定され、前記電位井戸の長さが、前記第3、第4および第5の金属構造の位置と、それらに対応する電位とによって画定され、
前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するために制御可能である、方法。
【請求項11】
前記伸長したチャネル内に部分的に前記第3の金属構造を堆積させるステップは、前記第3の金属構造を前記頂点の周囲に延在させて堆積させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記伸長した量子ドットは前記頂点の周囲に延在する、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の金属構造は第1の金属層の一部として同時に堆積され、前記第3の金属構造は前記第1の金属層の堆積の後に第2の金属層の一部として堆積され、前記方法はさらに、前記第1の金属層の堆積の後且つ前記第2の金属層の堆積の前に第1の電気絶縁層を堆積するステップを含み、前記第1の電気絶縁層は前記第1の金属層に積層する、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第4および第5の金属構造は第3の金属層の一部として同時に堆積され、前記方法はさらに、前記第2の金属層を堆積した後且つ前記第3の金属層を堆積する前に、第2の電気絶縁層を堆積するステップを含み、前記第2の電気絶縁層は前記第2の金属層に積層する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシリコン系量子デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
第1の金属構造に第1の電位を印加するステップと、
第2の金属構造に第2の電位を印加するステップと、を含み、前記第2の金属構造は、伸長したチャネルが前記第1の金属構造と前記第2の金属構造との間の分離によって画定されるように、前記第1の金属構造から横方向に分離されており、前記伸長したチャネルは頂点を有し、
第3の金属構造に第3の電位を印加し、前記第3の金属構造は前記伸長したチャネル内に部分的に配置される、ステップと、
第3の金属構造の第1の端部に配置された第4の金属構造に第4の電位を印加するステップと、
前記第3の金属構造の第2の端部に配置された第5の金属構造に第5の電位を印加するステップと、を含み、
前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成され、
前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能であり、
前記第4および第5の電位ならびに前記第4および第5の金属構造の位置が、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定し、
前記電位井戸の幅が、前記第1、第2および第3の金属構造の位置と、それらに対応する電位とによって画定され、前記電位井戸の長さが、前記第3、第4および第5の金属構造の位置と、それらに対応する電位とによって画定され、さらに、
前記第3の電位を制御して、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するステップを含む方法。
【請求項16】
前記第3の金属構造は前記頂点の周囲に延在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記伸長した量子ドットは前記頂点の周囲に延在する、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1および第2の電位の極性は前記第3の電位の極性とは逆である、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の電位が前記第2の電位と実質的に同じである、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第4の電位が前記第5の電位と実質的に同じである、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子計算のためのシリコン系量子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
量子計算には、通常、大量の量子ビットが必要である。近い将来の中間スケール量子計算、即ちNISQ時代には、量子計算プロセスは50~100個の量子ビットを使用し得る。量子ビットは、量子デバイスの中に高密度に配置され、必要なプロセッサのサイズを最小にするように設計されている。
【0003】
実験者がデバイス内で量子ビットを操作できるようにするには、個別の電極で量子ビットをアドレスできることが望ましい。しかしながら、量子ビットをアドレスするために使用される電極の配線は、通常、量子ビットアレイまたは量子ビット格子内で、量子ビットが単独で占めるスペースと同等またはそれ以上のスペースを要する。平面量子ビット格子のレイアウトでは、電極をパターニングするのに十分なスペースを確保するために、量子ビットの間隔を広げる必要がある。
【0004】
これまで、デバイスの表面に垂直に延在する導電性ビアを用いて、垂直に配線を行うことが提案されてきた。しかしながら、この方法は処理工程が多く複雑であり、故障率も高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
量子計算に使用するためのスケーラブルなデバイス構造の作成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1の金属構造と、前記第1の金属構造から横方向に分離された第2の金属構造とを備えるシリコン系量子デバイスを提供する。前記デバイスは、前記第1と第2の金属構造間の分離によって画定される伸長したチャネルを備え、前記伸長したチャネルは頂点を有する。前記デバイスは、前記伸長したチャネル内に部分的に位置決めされた第3の金属構造を備える。前記デバイスはさらに、前記第3の金属構造の第1の端部に配置された第4の金属構造と、前記第3の金属構造の第2の端部に配置された第5の金属構造とを備える。前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成され、前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能である。前記第4および第5の電位、ならびに前記第4および第5の金属構造の位置は、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定する。前記電位井戸の幅は、前記第1、第2および第3の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定され、前記電位井戸の長さは、前記第3、第4および第5の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定される。前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するために制御可能である。
【0007】
このデバイスは、量子電荷キャリアの閉じ込めを改善した準一次元チャネルを提供する。準一次元チャネルはコーナーの周囲に延在する。電荷キャリアは、例えば、電子または正孔であってもよい。伸長したチャネルは、デバイスの横方向に分離した導電性領域を結合するために有利に使用され得る頂点を有する伸長した量子ドットを支持することができる。有利には、コーナーの周囲に延在する伸長した量子ドットを使用して、平面配線のみを使用しながら2次元アレイを作製することができる。また、このデバイスは、電位井戸内の電荷キャリア占有率をよりよく制御できるという利点もある。
【0008】
第3の金属構造の両側に第1および第2の金属構造が存在することにより、チャネルの形状および電位井戸内の化学ポテンシャルレベルの個別制御が改善される。有利なことに、このデバイスは、デバイス内の異なる構造を共振させる能力を提供する。
【0009】
有利には、第4および第5の電位は、第4および第5の金属構造が、第3の金属構造と共に伸長したチャネルの長さを画定する静電バリアを形成するように構成されてもよい。前記伸長したチャネルの幅は、典型的には、第1、第2および第3の金属構造を用いて画定される。
【0010】
さらに、第1および第2の金属構造にそれぞれ第1および第2の電位を印加することにより、伸長したチャネルの形状に対する第4および第5の電位の印加の効果が低減される。有利には、伸長したチャネルの形状は、主に第1および第2の電位を用いて制御される。
【0011】
前記デバイスは、頂点を有する伸長したチャネルを備える。前記第3の金属構造は、前記伸長したチャネル内に部分的に配置され、したがって、典型的には、前記第3の金属構造は、前記頂点の周囲に延在する。このことは、デバイス構造をスケールアップして、2次元アレイに配置された導電性領域を結合させることができるという利点を有する。典型的には、第3の金属構造の外縁は、伸長したチャネルの内縁と実質的に整合する。
【0012】
前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドット内に量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能なそれぞれの電位に接続するように構成されている。前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、前記電位井戸の幅および長さを画定する。したがって、前記伸長した量子ドットは通常、前記頂点の周囲に延在する。これは、頂点を有する伸長した量子ドットが、一直線の伸長した量子ドットが適していない2次元アレイの導電性領域間の媒介ドットとして使用され得るという利点を有する。この構成は、平面配線に適合した媒介機構を提供する。
【0013】
典型的には、前記デバイスはさらに、第1、第2および第3の金属構造の下に基板を備える。基板は、例えばシリコン28のような同位体精製シリコン層を含んでもよい。基板はさらに、シリコン28層の下に付加的なシリコン層を含んでいてもよい。デバイスは、好ましくは、シリコン金属酸化膜半導体(SiMOS)デバイスである。
【0014】
好ましくは、第1、第2、第3、第4および第5の電位は、電位井戸の寸法および電荷キャリア占有率を画定するように構成される。好ましくは、前記第1および第2の電位の極性は、前記第3の電位の極性とは逆である。
【0015】
典型的には、前記第1の電位は前記第2の電位と実質的に同じである。前記第1および前記第2の電位は、好ましくは、電位井戸の第1および第2の壁を画定する。類似または同一の電位を使用して第1および第2の壁を画定することにより、実質的に対称な電位井戸が得られ、より均一な閉じ込め領域が有利に提供される。これは、第1と第2の金属構造間に電気的接触を与えるか、または両金属構造を共通の層で提供することによって達成され得る。
【0016】
任意選択的に、前記第4の電位は前記第5の電位と実質的に同じである。これは、量子電荷キャリア閉じ込めの均一性という利点を提供し得る。別の例では、第4の電位と第5の電位は異なっていてもよい。第4および第5の電位は、伸長したチャネルの第1および第2の端部における電位バリアの高さに影響を与える。第4および第5の電位は、バリアの高さを変更し、それに応じて電位井戸の内外へのトンネリング強度を変更することができる。有利なことに、これにより、実験者は、量子電荷キャリアを所望のように操作することができる。
【0017】
第1および第2の金属構造は、通常、デバイスの外側領域まで延在している。外側領域において、第1および第2の金属構造は、電位バイアスを供給するように構成された電圧源に接続され得る。バイアスの大きさおよび極性は、デバイスの所望の特性、特に電位井戸に応じて選択され得る。
【0018】
第1の金属構造および第2の金属構造は、2つの別々の電圧源に接続されてもよく、または同じ電圧源に接続されてもよい。任意選択的に、第1および第2の金属構造が同じ電圧源に接続される場合、第1および第2の金属構造は、第1および第2の金属構造が伸長したチャネルの両側に配置されるように、第1および第2の肢を有する単一の構造を形成してもよい。この場合、単一の構造を使用して第1の金属構造および第2の金属構造の両方を形成することは、両構造間の電気的接続を確実にする。任意選択的に、第1の金属構造と第2の金属構造が2つの別々の電圧源に接続される場合であっても、設定電圧は、電圧源それぞれで同じになるように選択され得る。
【0019】
有利には、第1と第2の電位が実質的に同じである場合、電位井戸の壁は実質的に対称であり、したがって良好な閉じ込めを提供することになる。
【0020】
任意選択的に、前記第1および第2の金属構造は第1の金属層に配置される。複数の金属構造は、横方向に分離された各構造がほぼ同じ厚さである単一層を形成するように、同時に堆積させてもよい。これにより、有利には、デバイスの製造に必要な工程数を減らすことができる。前記第3の金属構造は第2の金属層内に配置されてもよい。
【0021】
好ましくは、前記デバイスはさらに、前記第1の金属層と前記第2の金属層との間にあり前記第1の金属層に積層する電気絶縁層を備える。これは、有益に、第1、第2および第3の金属構造を異なる電位に接続することを可能にする、金属層間の電気的分離を提供する。
【0022】
任意選択的に、第4および第5の金属構造は第3の金属層に配置されてもよい。好ましくは、デバイスはさらに、第2の金属層と第3の金属層との間に別の電気絶縁層を備える。有利には、金属層の間に電気絶縁層が存在することにより、導電性領域が分離され、デバイス構造に柔軟性を付加する。
【0023】
典型的には、前記第1の金属層と前記第2の金属層の各々は、複数の横方向に分離された金属構造を備えている。任意選択的に、第3の金属層は、複数の横方向に分離した金属構造を含む。金属層の1つ以上における複数の金属構造の使用により、デバイス構造にさらなる柔軟性をもたらす。
【0024】
前記第2の金属層はさらに、第6の電位に接続するように構成された第6の金属構造を備えてもよい。好ましくは、電荷キャリアリザーバは前記第6の金属構造の下に支持され得る。リザーバは、近接によって前記電位井戸に結合可能であってもよい。結合の強さは、変更可能な電位バリアによって決まってもよく、その高さは、例えば第3の金属層における複数の金属構造のうちの1つ以上によって修正されてもよい。有利には、リザーバの電位井戸への結合は、電位井戸の電荷安定性を向上させる。
【0025】
前記第2の金属層はさらに、第7の電位に接続するように構成された第7の金属構造を含んでもよい。好ましくは、量子ドットは前記第7の金属構造の下に支持され得る。量子ドットは、近接によって電位井戸に結合可能であってもよい。結合の強さは、修正可能な電位バリアによって決まってもよく、その高さは、例えば第3の金属層における複数の金属構造のうちの1つ以上によって修正されてもよい。第2の金属層における付加的な金属構造の下に付加的な量子ドットが支持されてもよい。例えば、第1の量子ドットは電位井戸の第1の端部付近で支持されてもよく、第2の量子ドットは電位井戸の第2の端部付近で支持されてもよい。有利には、電位井戸を使用して、第1および第2の量子ドット間で量子情報を通信してもよい。
【0026】
デバイスは、各々が量子ドットを誘導するように構成され得る付加的な金属構造を備えてもよい。したがって、デバイスは、量子計算における量子ビットとして使用され得る量子ドットのアレイを支持するために好適であり得る。量子ドットのアレイの各量子ドットは、別の量子ドット、電位井戸、または電荷キャリアリザーバに結合され得る。このデバイスは、有利には、量子ドットを結合するための機構、および単一のデバイスにおいて多数の量子ドットを個別にアドレスするための機構を提供する。
【0027】
好ましくは、デバイスはさらに、1つ以上の注入領域を含む。例えば、第2の金属層における金属構造は、1つ以上の注入領域のうち1つに部分的に積層してもよい。これにより、有利には、金属構造と基板との間のオーミック接触がもたらされる。注入領域は、典型的には、リン(P)などのV族イオンを含む。金属構造は、例えば、量子電荷キャリアリザーバまたは量子ドットを支持するように構成されてもよい。
【0028】
前記第1と第2の金属構造は横方向に分離されて、その間に伸長したチャネルを画定している。第3の金属構造は、前記伸長したチャネル内に部分的に配置される。前記伸長したチャネルは、好ましくは、幅よりも長く、頂点を有する。好ましくは、チャネルの第1の部分は、チャネルの第2の部分に対して角度がつけられている。このようにして、チャネル、およびその結果の、第3の金属構造の下に形成される伸長した量子ドットはコーナーの周りに延在する。有利なことに、この構成は、平面配線のみを使用しながら2次元アレイを作製するための機構を提供する。
【0029】
金属構造の各々は、典型的には、それぞれの電位に接続するように構成され、デバイス全体に電位トポグラフィーを画定する。典型的には、金属構造の各々は、特定の電位バイアスを供給するために使用され得る電圧源に接続され得るデバイスの外側領域まで延在する。特に、前記第3の金属構造は第1の延長部を備えてもよく、前記第1の延長部は前記第1の金属構造に部分的に積層する。前記第1の延長部は前記第3の電位に接続するように構成されてもよく、典型的には、前記伸長したチャネル内に配置された第3の金属構造の部分と前記電圧源とを接続する。
【0030】
前記第3の金属構造はさらに、前記第1の金属構造に部分的に積層する第2の延長部を備えてもよい。前記第1および/または第2の延長部は前記第3の電位に接続するように構成されてもよい。2つの延長部の使用は、有利には、第1の延長部を使用して第3の金属構造を第3の電位に接続し、第2の延長部を使用して第1の延長部の正しい機能をチェックすることによって、デバイスのトラブルシューティングを行うための機構を提供する。
【0031】
本発明の別の態様は、シリコン系量子デバイスの製造方法を提供する。前記方法は、第1の金属構造を堆積させるステップと、伸長したチャネルが第1と第2の金属構造の間の分離によって画定されるように、前記第1の金属構造から横方向に分離した前記第2の金属構造を堆積させるステップを含み、前記伸長したチャネルは頂点を有しており、前記伸長したチャネル内に部分的に第3の金属構造を堆積させるステップと、前記第3の金属構造の第1の端部に第4の金属構造を堆積させるステップと、前記第3の金属構造の第2の端部に第5の金属構造を堆積させるステップと、を含み、前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成され、前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能である。前記第4および第5の電位ならびに前記第4および第5の金属構造の位置が、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定する。前記電位井戸の幅が、前記第1、第2および第3の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定され、前記電位井戸の長さが、前記第3、第4および第5の金属構造の位置とそれらに対応する電位とによって画定される。前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するために制御可能である。
【0032】
有利なことに、シリコン系デバイスを製造するこの方法は、量子電荷キャリアを閉じ込めることができる閉じ込め領域を提供する。伸長したチャネルは、電荷キャリアリザーバまたは量子ドットのようなデバイスの横方向に分離した導電性領域を結合するために有利に使用され得る伸長した量子ドットを支持できる。
【0033】
典型的には、前記伸長したチャネル内に部分的に前記第3の金属構造を堆積させるステップは、前記第3の金属構造を前記頂点の周囲に延在させて堆積させることを含む。前記第3の金属構造は、好ましくは、部分的に前記伸長したチャネル内に堆積され、部分的に前記第1の金属構造に積層して堆積される。典型的には、第1、第2、第4および第5の金属構造は、伸長したチャネルの範囲を画定する。伸長したチャネルに堆積された第3の金属構造の部分は、典型的には、伸長したチャネルを実質的に充填する。例えば、第3の金属構造のエッジは、第1、第2、第4および第5の金属構造の1つ以上のエッジと重なるか、またはエッジに隣接していてもよい。第3の金属構造を頂点の周囲に延在させて堆積させる利点は、平面配線を使って量子ドットの2次元アレイを支持することができるデバイスを製造する能力である。
【0034】
第3の金属構造が頂点の周囲に延在して堆積される結果として、伸長した量子ドットは、典型的には頂点の周囲に延在する。この利点は、量子デバイスにおけるコーナーの周りの相互作用を媒介する能力である。
【0035】
好ましくは、第1および第2の金属構造は第1の金属層の一部として同時に堆積される。同じ製造工程での第1および第2の金属構造の堆積は、有利には、デバイスの製造に必要な製造工程の数を減らし、したがって、製造の複雑さを低減する。前記第3の金属構造は、前記第1の金属層の堆積の後に、第2の金属層の一部として堆積されてもよい。
【0036】
第1および第2の金属構造は、好ましくは、シリコン基板上に堆積されて、シリコン金属酸化物半導体(SiMOS)デバイスを作製する。
【0037】
この方法は、典型的にはさらに、前記第1の金属層の堆積後且つ前記第2の金属層の堆積の前に第1の電気絶縁層を堆積させるステップを含む。前記第1の電気絶縁層は、好ましくは前記第1の金属層に積層する。これにより、有利には、第1および第2の金属構造を第3の金属構造から電気的に分離し、第1および第2の電位を第3の電位と相違させることができる。
【0038】
前記第2の金属層の堆積の後で、前記第4および第5の金属構造は、第3の金属層の一部として同時に堆積されることが好ましい。本方法は、典型的にはさらに、前記第2の金属層を堆積した後且つ前記第3の金属層を堆積する前に、第2の電気絶縁層を堆積するステップを含み、前記第2の電気絶縁層は前記第2の金属層に積層している。
【0039】
本方法は、好ましくはさらに、金属堆積の前に、シリコン基板に1つ以上の注入領域を形成するステップを含む。例えば、リンイオンを注入して、デバイスに負にドープされた領域を形成してもよい。第2の金属層の金属構造は、金属構造の一部が1つ以上の注入領域の1つを覆うように、または部分的に覆うように延在するように位置決めされてもよい。有利には、これにより、金属構造と基板との間のオーミック接触がもたらされる。
【0040】
本発明のさらなる態様は、シリコン系量子デバイスを動作させる方法を提供する。前記方法は、第1の金属構造に第1の電位を印加するステップと、第2の金属構造に第2の電位を印加するステップと、を含み、前記第2の金属構造は、伸長したチャネルが前記第1の金属構造と前記第2の金属構造との間の分離によって画定されるように、前記第1の金属構造から横方向に分離されており、前記伸長したチャネルは頂点を有し、第3の金属構造に第3の電位を印加し、前記第3の金属構造は前記伸長したチャネル内に部分的に配置されるステップと、前記第3の金属構造の第1の端部に配置された第4の金属構造に第4の電位を印加するステップと、前記第3の金属構造の第2の端部に配置された第5の金属構造に第5の電位を印加するステップと、前記第3の電位を制御して前記電位井戸における量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節するステップとを含む。前記第1、第2、第3、第4および第5の金属構造は、それぞれ第1、第2、第3、第4および第5の電位に接続するように構成される。前記第1、第2、第3、第4および第5の電位は、前記伸長したチャネルの下の伸長した量子ドットに量子電荷キャリアを閉じ込めるための電位井戸を画定するように制御可能であり、前記第4および第5の電位ならびに前記第4および第5の金属構造の位置が、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部をそれぞれ画定する。前記電位井戸の幅は、前記第1、第2および第3の金属構造の位置とそれらに対応する電位によって画定され、前記電位井戸の長さは、前記第3、第4および第5の金属構造の位置とそれらに対応する電位によって画定される。
【0041】
有利なことに、この方法を用いて、平面配線のみを使用しながら、量子ドットの2次元アレイを動作させることができる。
【0042】
典型的には、前記第3の金属構造は前記頂点の周囲に延在する。前記第3の電位は、第3の金属構造に印加され、前記第3の電位を制御して、前記電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節できる。有利には、第3の金属構造が頂点を有する場合、第3の電位は、頂点を有する電位井戸を画定するように制御され得る。これを用いて、量子ドットの2次元アレイを支持するデバイスを動作させることができる。
【0043】
その結果、前記伸長した量子ドットは、典型的には、前記頂点の周囲に延在する。有利には、頂点の周囲に延在する伸長した量子ドットを用いて、コーナーの周りの相互作用を媒介できる。
【0044】
好ましくは、前記第1および第2の電位の極性は前記第3の電位の極性とは逆である。有利なことに、これは、伸長した量子ドットにおける量子電荷キャリアの閉じ込めを強化する。第1および第2の金属構造および対応する電位は、典型的には、第3の金属構造の各側面に静電バリアを提供する。第3の金属構造および第3の電位は、好ましくは、プランジャゲートを提供する。
【0045】
典型的には、前記第1の電位は前記第2の電位と実質的に同じである。前記第1および前記第2の電位は、好ましくは、電位井戸の第1および第2の壁を画定する。第1および第2の壁を画定するために類似のまたは同じ電位を使用することにより、実質的に対称な電位井戸が得られ、より均一な閉じ込め領域が有利に提供される。これは、第1および第2の金属構造間に電気的接触を与えるか、または両金属構造を共通の層に配設することによって達成され得る。
【0046】
任意選択的に、前記第4の電位は前記第5の電位と実質的に同じである。これは、量子電荷キャリア閉じ込めの均一性という利点を提供し得る。別の例では、前記第4の電位と前記第5の電位は相違していてもよい。前記第4および前記第5の電位は、前記伸長したチャネルの第1および第2の端部における電位バリアの高さに影響を与える。前記第4および前記第5の電位を変えて、バリアの高さを変更し、それに応じて電位井戸の内外へのトンネリング強度を変更できる。有利なことに、これにより、実験者は、量子電荷キャリアを所望に操作することができる。
【0047】
本発明の別の態様は、第1の金属構造、第2の金属構造、および第3の金属構造を備えたシリコン系量子デバイスを提供する。前記第1の金属構造は第1の電位に接続するように構成されている。前記第2の金属構造は前記第2の電位に接続するように構成されている。前記第3の金属構造は、少なくとも部分的に前記第1および第2の金属構造の間の伸長したチャネルに配置され、第3の電位に接続するように構成され、その結果、前記伸長したチャネルの下に量子電荷キャリアを閉じ込めるために、前記第1、第2および第3の金属構造の電位によって電位井戸が画定される。前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアのエネルギーレベルを調節するために制御可能である。
【0048】
本発明のさらなる態様は、シリコン系量子デバイスの製造方法を提供する。前記方法は、第1および第2の金属構造を堆積させるステップと、前記第1および第2の金属構造間の伸長したチャネルに少なくとも部分的に第3の金属構造を堆積させるステップを含み、前記第1、第2および第3の金属構造は、第1、第2および第3の電位にそれぞれ接続するように構成されて、前記第1、第2および第3の電位によって電位井戸が画定されて前記伸長したチャネルの下に量子電荷キャリアを閉じ込めるようになっている。前記第3の電位は、前記電位井戸内の量子電荷キャリアのエネルギーレベルを調節するために制御可能である。
【0049】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】本発明の第1の実施形態に係るシリコン系量子デバイスの断面側面図である。
図1B】本発明の第1の実施形態に係るシリコン系量子デバイスの上面図である。
図2】シリコン系量子デバイスの上面図である。
図3】シリコン系量子デバイスの上面図である。
図4】シリコン系量子デバイスの上面図である。
図5】シリコン系量子デバイスの上面図である。
図6A】伸長したチャネルの断面側面図である。
図6B】電位エネルギー地形の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1Aおよび図1Bは、第1の実施形態によるシリコン系量子デバイスの断面側面図および上面図を模式的に示す。シリコン系量子デバイスは、シリコン金属酸化膜半導体、すなわちSiMOSの製造プロセスを用いて製造される。図1Aに描かれた断面側面図は、図1Bに示された方向Aに沿っている。
【0052】
図1Aは、シリコン基板100上の第1の金属構造101、第2の金属構造102、および第3の金属構造103を示す。本実施形態では、第1および第2の金属構造101、102は、同時に、すなわち同じ処理ステップで堆積され、したがって、ほぼ同じ厚さである。第1および第2の金属構造101、102は第1の金属層111に配置されている。第1と第2の金属構造101、102は、第1の金属層111内で横方向に分離されており、両金属構造間に伸長したチャネル120を形成している。
【0053】
第3の金属構造103は、第1の金属構造101と第2の金属構造102との間の伸長したチャネル120に部分的に堆積される。第3の金属構造103は第2の金属層112に配置される。第1の金属層111と第2の金属層112の間に、電気絶縁層(図示せず)が堆積されている。電気絶縁層は、アルミナまたは任意の高-k誘電体のような任意の適切な材料から形成され得る。
【0054】
第1、第2および第3の金属構造101、102および103の各々は、シリコン基板100上に堆積され、その最上層は、同位体精製シリコン、この実施形態ではシリコン-28である。第1、第2および第3の金属構造101、102および103は、金またはタングステンのような任意の適切な金属から形成されてもよい。第1および第2の金属層111、112の各々は複数の層を備えてもよい。例えば第1または第2の金属層111、112のうち1つは、チタンの層に続いて金の層を含んでもよい。金属の堆積は、原子層堆積または化学気相成長などの任意の適切な技術を使用して実行されてもよい。
【0055】
図1Bは、図1Aに示したシリコン系量子デバイスの上面図を模式的に示す。第1の金属層111は、第1の金属構造101および第2の金属構造102を含む複数の金属構造を含む。第1の金属層111内の第1および第2の金属構造101、102は、それぞれ第1および第2の電位に接続するように構成される。第1と第2の電位は実質的に同じであってよく、静電位バリアを形成することによってデバイス内に閉じ込め領域を形成するように調整されてもよい。
【0056】
第2の金属層112は、第3の金属構造103を含む複数の金属構造を含む。第3の金属構造103の第1の部分121は、第1および第2の金属構造101、102の間の伸長したチャネル120に位置決めされ、第3の金属構造103の第2の部分122は、第1の金属構造101の上に部分的に積層して位置決めされる。第3の金属構造103の第2の部分122と第1の金属構造101との間の重なりのレベルを画定する第1の金属構造101の幅は、製作上の考慮事項に従って調節され得る。第1の金属構造101は、十分な閉じ込めを提供するほど十分広く、第1と第3の金属構造101、103の間の電気絶縁層における欠陥の可能性を低減するほど十分狭いことが好ましい。例えば、第1の金属構造101は、平面配線を用いる場合には10~400ナノメートルの間であってもよく、非平面配線を用いる場合には10~50ナノメートルの間であってもよい。第3の金属構造103の第2の部分122はデバイスの外側領域まで延び、第3の電位に接続するために構成された第1の延長部である。本実施形態における第3の金属構造103は、上方から見た場合、「T」字型である。
【0057】
第3の金属構造103はプランジャゲートとして機能し、第1、第2および第3の電位は、伸長したチャネル120の下に電位井戸が画定されるように調整される。伸長したチャネル120の下の電位井戸は、伸長した量子ドット、またはメディエータ量子ドットである。第3の金属構造103の両側に第1および第2の金属構造101、102が存在することにより、伸長したチャネル120の下の伸長した量子ドットの閉じ込め形状の制御が改善される。
【0058】
電子または正孔のような量子電荷キャリアは、伸長した量子ドットに閉じ込められ得る。第3の電位は、第1および第2の電位とは逆の極性を有し、伸長した量子ドット内の電荷キャリアの数を制御するように調節され得る。例えば、第1の電位および第2の電位が負の場合、第3電位は正の電位となる。第3の電位を変化させると、電位井戸の深さがシフトし、それに対応して電位井戸内の量子電荷キャリアエネルギーレベルがシフトする効果がある。このことを用いて、伸長した量子ドット内に閉じ込められる量子電荷キャリアの数を変更できる。
【0059】
第4の金属構造104および第5の金属構造105はバリアゲートを形成する。本実施形態では、第4および第5の金属構造104、105は同時に堆積され、第3の金属層113の一部を形成する。第3の金属層113は複数の金属構造を含む。第4および第5の金属構造104、105は、それぞれ第4および第5の電位に接続するように構成される。第4および第5の電位は、第4および第5の金属構造104、105が、電位バリアを形成することによって伸長したチャネル120の第1の端部114および第2の端部115をそれぞれ画定するように選択される。第4および第5の電位は、伸長したチャネル120のそれぞれの端部における電位バリアの高さを調節するように制御され得る。
【0060】
伸長したチャネル120の下に位置する電位井戸は、したがって、第1、第2、第3、第4および第5の金属構造101~105とそれらに対応する電位とによって画定される。電位井戸の幅は、第1、第2および第3の金属構造101~103と電位とによって画定され、電位井戸の長さは、第3、第4および第5の金属構造103~105と電位とによって画定される。
【0061】
本実施形態において、デバイスの製造は、第1の金属層111を堆積するステップと、第1の金属層111の上に第1の電気絶縁層(図示せず)を堆積するステップと、第2の金属層112を堆積するステップと、第2の金属層112の上に第2の電気絶縁層(図示せず)を堆積するステップと、第3の金属層113を堆積するステップとを含む。このようにして、第1、第2および第3の金属層111、112、113は電気的に分離される。別の実施形態では、第3の金属層は第2の金属層より前に堆積され、各金属層の間に電気絶縁層が配置される。各電気絶縁層は、先に堆積され、したがって露出している金属層を覆うように構成される。各電気絶縁層は、露出した金属層を部分的に覆ってもよい。重要なことは、各電気絶縁層は、各金属層が他の各金属層から電気的に分離されるように堆積されることである。金属層間にガルバニック接触はなく、したがって、電荷キャリアは垂直方向に積層された金属層間を流れない。
【0062】
本実施形態において、第2の金属層112はさらに、プランジャゲートとして作用する3つの付加的な金属構造を含む。第1のプランジャゲート131は電荷キャリアリザーバを支持するのに適している。第2のプランジャゲート132は量子電荷キャリアのソースを形成し、第3のプランジャゲート133は量子電荷キャリアのドレインを形成する。別の実施形態では、第2のプランジャゲートが量子電荷キャリアのドレインを形成し、第3のプランジャゲートが量子電荷キャリアのソースを形成してもよい。
【0063】
第1、第2および第3のプランジャゲート131、132、133の各々は、本実施形態における第3の金属構造と同時に堆積され、各電位に接続するように構成される。電位は、要求されるデバイス機能に応じて調節されてもよい。例えば、第2のプランジャゲート上の電位と第3のプランジャゲート上の電位との間には、電荷キャリアの移動が特定の方向となるような電位差があってもよい。第1、第2および第3のプランジャゲート131、132、133の各々は、デバイスの注入領域(図示せず)に部分的に積層するように位置決めされる。注入領域は、リンイオンなどのイオンを含み、典型的には、デバイスの外側領域に位置決めされる。
【0064】
第3の金属層113内の第4の金属構造104は、第3の金属構造103の第1の端部114と第2の金属層112の第2のプランジャゲート132との間に位置決めされる。第3の金属層113の第5の金属構造105は、第3の金属構造103の第2の端部115と第2の金属層112の第3のプランジャゲート133との間に位置決めされる。第4および第5の金属構造104、105は、部分的に第1の金属層111の2つの金属構造間のチャネルに位置決めされ、部分的に第1の金属構造101に積層して位置決めされる。第4および第5の電位を調節することにより、隣接する電位井戸間のトンネル結合を制御する第4および第5の金属構造の下に形成される電位バリアの高さが調節される。本実施形態では、バリアゲート104、105上の電位を調節することにより、第3の金属層内の金属構造、すなわち第2のプランジャゲート132、第3の金属構造103および第3のプランジャゲート133の間の結合の強さが制御される。
【0065】
第3の金属層113は、第4の金属構造104および第5の金属構造105を含むバリアゲートを備えている。第3の金属層113はさらに、第1のプランジャゲート131と第3の金属構造103との間に配置された付加的なバリアゲートである第1のバリアゲート130を備えている。第1のバリアゲート130は、第1のプランジャゲート131の下に支持された電荷キャリアリザーバと、第3の金属構造103の下に支持された伸長した量子ドットとの間の結合強度を制御するために調節され得るバリア電位に接続できるように構成される。
【0066】
第1の金属層は、付加的な金属構造である、第1の閉じ込めゲート123を備えている。第1の金属構造101と第1の閉じ込めゲート123と第2の金属構造102との間に、第1のチャネル124が形成されている。第2のプランジャゲート132、第4の金属構造104、第3の金属構造103、第5の金属構造105および第3のプランジャゲート133は、全て第1チャネル124内に部分的に位置決めされる。その下に量子電荷キャリアを閉じ込めることができる伸長したチャネル120は第1のチャネル124の一部を形成する。第2の金属構造102と第1の閉じ込めゲート123との間に、第2のチャネル125が形成されている。第1のバリアゲート130および第1のプランジャゲート131は、第2のチャネル125内に部分的に位置決めされている。
【0067】
各金属構造は、それぞれの電位に接続できるように構成されている。このようにして、デバイスの表面に電位トポグラフィーが構築され、それにわたり量子電荷キャリアが操作され、ガイドされ得る。各金属構造は、デバイスの外側領域まで延び、金属構造を電圧源に接続するために使用され得るボンディング領域まで延びている。第1の金属層の金属構造は、不要な電荷キャリアの存在を最小限にするために、デバイスの外側領域においても第2の金属層の金属構造に実質的に隣接したままである。しかしながら、下地基板の欠陥を避けるために、第1の金属層と第2の金属層の金属構造の間に少しの分離が導入されてもよい。第1の金属層内の金属構造を用いて、第2の金属層および/または第3の金属層内の金属構造から生じる電位をスクリーニングできる。
【0068】
量子電荷キャリアは、第3の金属構造103、および第1、第2、第3のプランジャゲート131、132、133の下の電位井戸内に閉じ込められる。第4および第5の金属構造104、105および第1のバリアゲート130は電位バリアを形成し、第1および第2の金属構造101、102および第1の閉じ込めゲート123は電位壁を形成する。電位は、デバイス内で電荷キャリアを移動させるために、動作中に調節可能である。特に、第3の金属層113の金属構造104、105、130の電位を調節して、隣接する電荷キャリア閉じ込め領域間の結合の強さを制御し、第2の金属層112の金属構造103、131、132、133の電位を調整して、電位井戸または閉じ込め領域の量子電荷キャリアエネルギーレベルを調節し、量子電荷キャリア占有率を調節できる。
【0069】
図2は、シリコン系量子デバイスの上面図を模式的に示している。第1の金属層311は、第1のチャネル324および第2のチャネル325を画定する複数の閉じ込めゲートを備えている。第2の金属層312は、ソースゲート314、ドレインゲート316、メディエータゲート318およびリザーバゲート319を含む複数のプランジャゲートを備えている。第3の金属層313は複数のバリアゲートを備えている。
【0070】
第1のチャネル324は、ソースゲート314、ドレインゲート316、メディエータゲート318、4つの量子ドットゲート305、306、307、308、および6つのバリアゲート331、332、333、334、335、336の一部を含む。各プランジャゲート305~308、314、316、318は、バリアゲート331~336によって分離されている。バリアゲート331~336の電位を調節することで、隣接するプランジャゲート間の結合の強さを制御できる。プランジャゲートの電位は、使用時に、第1のチャネル内のプランジャゲートの下に電位井戸が画定されるように構成される。
【0071】
第2のチャネル325は、第7のバリアゲート337によって包囲されたリザーバゲート319の一部を含む。第7のバリアゲート337の電位は、リザーバとメディエータゲート318の下に支持される伸長した量子ドットとの間の結合の強さを調節するために調整され得る。
【0072】
ソースゲート314、ドレインゲート316およびリザーバゲート319は、ドープ領域まで延在してオーミック接触を提供する。
【0073】
図2に示されるデバイスの部分は、4つの量子ドット301、302、303、304を図示している。隣接する量子ドット、すなわち第1および第2の量子ドット301、302ならびに第3および第4の量子ドット303、304は相互作用することができる。第2および第3の量子ドット302、303も、メディエーターとして機能する伸長した量子ドット300を用いて相互作用することができる。
【0074】
図3は、シリコン系量子デバイスの上面図を模式的に示している。このデバイスは、図1Bに示されたデバイスと類似している。第1の金属層411は、チャネルを画定する閉じ込めゲートを形成する金属構造を有する。第2の金属層412は、ソースゲート414、ドレインゲート416、メディエータゲート418、およびリザーバゲート419を含むプランジャゲートを形成する金属構造を有する。第3の金属層413は、メディエータゲート418をソースおよびドレインゲート414、416から分離し、メディエータゲートをリザーバゲート419から分離するバリアゲートを形成する金属構造を有している。第3の金属層413の金属構造に印加される電位は、隣接する量子電荷キャリア閉じ込め領域間の結合強度を制御するように制御され得る。閉じ込め領域は、典型的には、メディエーターゲート418が部分的に位置決めされる伸長したチャネル420の下に形成される電位井戸のような電位井戸の形態である。
【0075】
本実施形態は、第3の金属構造403が付加的な延長部を備える点で、図1Bに示されたものと異なる。メディエーターゲート418を形成する第3の金属構造403は、第1の部分421、第2の部分422および第3の部分423を備えている。第1の部分421は、第1の金属層411内の横方向に分離された金属構造401の間の伸長したチャネル420に位置決めされる。第3の金属構造403の第2の部分422および第3の部分423は、互いに実質的に平行に、且つ第1の部分421に対して実質的に垂直に、デバイスの外側領域まで延在する。第2および第3の部分422、423は、それぞれメディエータゲート418の第1および第2の延長部であり、電圧源に接続するためにデバイスの外側領域まで延在している。第2および第3の部分422、423のいずれか一方または両方が電圧源に接続されてもよい。本実施形態における第3の金属構造、すなわちメディエータゲート418は「U」字型である。
【0076】
図4は、シリコン系量子デバイスの上面図を模式的に示している。第1の金属層511は、第1の金属構造501と第2の金属構造502とを備えている。第1および第2の金属構造501、502は、両金属構造間に伸長したチャネル520を画定するように横方向に分離されている。本実施形態では、伸長したチャネル520は頂点505を有する。
【0077】
第2の金属層512は、ソースゲート514、ドレインゲート516およびメディエータゲート518を備えている。ソースゲート514は伸長した金属構造であり、同様の構造のドレインゲート516に対して斜めに位置決めされている。メディエータゲート518は、伸長したチャネル520内に位置決めされ、頂点505の周りに延在している。メディエータゲート518の第1の領域は、メディエータゲート518の第2の領域に対して角度が付けられており、第1および第2の領域は、伸長したチャネル520内に配置される。メディエーターゲート518の第1の領域は、ソースゲート514と軸方向に整列し(図4の視座から水平に)、メディエーターゲート518の第2の領域は、ドレインゲート516と軸方向に整列する(図4の視座から垂直に)。本実施形態では、ソースおよびドレインゲート514、516とメディエータゲート518の第1および第2の領域との間の角度は略直角である。例えば、角度は、85度から95度の間であってもよく、好ましくは89度から91度の間である。別の実施形態では、角度は約45度または135度であってよい。メディエータゲート518は、伸長したチャネル520内に位置決めされる第1の部分521と、メディエータゲート518からデバイスの外側領域まで延在する第2の部分522とを有する。
【0078】
第3の金属層513は、第1のバリアゲート531および第2のバリアゲート532を備えている。第1のバリアゲートは、ソースゲート514とメディエータゲート518との間に位置決めされる。第2のバリアゲートは、メディエータゲート518とドレインゲート516との間に位置決めされる。
【0079】
このデバイス構造を用いることで、コーナー付近での相互作用を媒介することが可能になる。これにより、量子ドットの2次元アレイを、平面配線を使ってデバイス内でアドレスすることができる。別の実施形態では、デバイスは、量子ドットゲートと、メディエータゲートとソースおよび/またはドレインゲートとの間の付加的なバリアゲートとを含み得る。伸長した量子ドットは、メディエータゲートの下に頂点を有するように形成され得る。
【0080】
図5は、シリコン系量子デバイスの上面図を模式的に示している。第1の金属層711は、協働して第1のチャネル724および第2のチャネル725を画定する複数の金属構造を備えている。第2の金属層712は、第1および第2の量子ドットゲート705、706、第1および第2のソースゲート714、715、ならびに第1および第2のドレインゲート716、717を備えている。第3の金属層713は、第1および第2のバリアゲート731、732を備えている。バリアゲート731、732は、第1および第2のチャネル724、725に対して実質的に垂直に位置決めされ、各バリアゲートは各チャネルに部分的に位置決めされる。
【0081】
したがって、第1のチャネル724は、第1および第2のバリアゲート731、732によって分離された第1のソースゲート714、第1の量子ドットゲート705および第1のドレインゲート716の一部を含む。第2のチャネル725は、第1および第2のバリアゲート731、732によって同様に分離された第2のソースゲート715、第2の量子ドットゲート706および第2のドレインゲート716の一部を含む。
【0082】
本実施形態では、第1の金属層711の複数の金属構造のうちの1つは水平閉じ込めゲート720を形成する。水平閉じ込めゲート720は、第1および第2のチャネル724、725が量子ドットおよび/またはメディエータドットの線形アレイを支持できるように、第1のチャネル724と第2のチャネル725との間にバリアを提供する。したがって、このデバイス構造は、平面配線のみを使用して量子ドットの隣接する線形アレイをアドレスするための機構を提供する。
【0083】
図6Bは、図6Aに図示された伸長したチャネル820に沿った電位地形800を模式的に示す図である。図6Aは、伸長したチャネル820の断面図であり、第1のバリア電極831および第2のバリア電極832によって分離されたソース電極814、メディエータ電極818およびドレイン電極816が描かれている。ソース電極、ドレイン電極およびメディエータ電極814、816、818は第2の金属層812内の金属構造である。第1および第2のバリア電極831、832は第3の金属層813内の金属構造である。第1の金属層は伸長したチャネルの各側に配置され、したがって、断面図には示されていない。
【0084】
伸長したチャネル820内の金属構造814、831、818、832、816の各々は、対応する電位に接続するように構成される。これらの電位は、伸長したチャネル820に沿った電位エネルギー地形800を画定する。伸長したチャネル820内の量子電荷キャリアの横方向の閉じ込めは、第1の金属層内の閉じ込め電極の電位を用いて達成される。図6Bは、例示的な電位エネルギー地形800を描写している。しかしながら、伸長したチャネル820内の金属構造814、831、818、832、816の各々の電位を調節して、要件に従って電位エネルギー地形800を修正できる。
【0085】
電位エネルギー地形800は、第1、第2および第3の電位井戸841、842、843を含む。第1の電位井戸841はメディエータ電極818の下に形成される。第2および第3の電位井戸842、843はソースおよびドレイン電極814、816の下にそれぞれ形成される。本実施形態では、ソースおよびドレイン電極814、816の電位は実質的に同一であり、メディエータ電極818の電位よりも小さい。従って、第1電位井戸841は第2および第3電位井戸842、843より深く、第2および第3電位井戸842、843は同様の深さである。
【0086】
電位井戸内に閉じ込められる量子電荷キャリアの数は、電位井戸の深さに関連する。図6Bは、第1、第2および第3の電位井戸841、842、843のそれぞれの中の最上位のエネルギーレベル851、852、853をそれぞれ図示している。量子電荷キャリアは、1つの可能な構成で最上部のエネルギーレベル851~853を占めるものとして図示されている。
【0087】
電位エネルギー地形800は、第1および第2のバリア電極831、832の下にそれぞれ形成された第1および第2のバリア844、845も含む。第1のバリア844は、第2の電位井戸842を第1の電位井戸841から分離する。第2のバリア845は、第3の電位井戸843を第1の電位井戸841から分離する。第1および第2のバリア電極831、832の電位は、隣接する電位井戸間のトンネル結合を制御するように調整され得る。トンネル結合の制御を用いて、各電位井戸841~843内の量子電荷キャリア占有率を調節できる。
【0088】
理解されるように、シリコン系量子デバイスが、そのデバイスの製造方法と共に開示される。説明されるようなシリコン系量子デバイスの各々は、順次堆積される一連の金属層を含む。金属層を電気的に分離するために、電気絶縁層が金属層の各々の間に堆積される。金属層の各々は複数の金属構造を含む。各金属構造は、それぞれの電位に接続するように構成されている。金属構造の相対的な配置と電位は共に、デバイス内の電子または正孔などの量子電荷キャリアを操作するために使用できる電位トポグラフィーを画定する。
【符号の説明】
【0089】
100 シリコン基板
101 第1の金属構造
102 第2の金属構造
103 第3の金属構造
111 第1の金属層
112 第2の金属層
120 伸長したチャネル
301、302、303、304 量子ドット
305、306、307、308 量子ドットゲート
313 第3の金属層
314 ソースゲート
316 ドレインゲート
318 メディエータゲート
319 リザーバゲート
324 第1のチャネル
325 第2のチャネル
331、332、333、334、335、336、337 バリアゲート
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】