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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】力検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023508578
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 GB2021000088
(87)【国際公開番号】W WO2022034276
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】2012390.7
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519104503
【氏名又は名称】ペラテック ホールドコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【弁理士】
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, サラ ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ゴスペル, マシュー
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA21
2F051AB07
2F051BA07
(57)【要約】
力検知装置(301)は、複数の導電性行(103)を有する第1の導電層と、複数の導電性列(104)を有する第2の導電層を含む検知アレイ(102)を備える。複数の導電性行及び複数の導電性列は、複数の交差を規定するように配置されている。力検知装置は、更に第1の導電層を覆う電気活性層を含み、各交差に感圧素子(105、106、107、108)を含んでいる。第2の導電層上の各交点に力集中構造体(307)が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層及び第2の導電層を含む検知アレイ;
前記第1の導電層は複数の導電性行を含み、前記第2の導電層は複数の導電性列を含み、前記複数の導電性行及び前記複数の導電性列が複数の交差を規定するように配置されている;
電気活性層が各交差において感圧素子を含み、前記第1の導電層を覆っている電気活性層;及び
前記第2の導電層上の各交差に配置された力集中構造体;
を含む力検知装置。
【請求項2】
前記力集中構造体が誘電材料を含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項3】
前記力集中構造体が誘電体インクを含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項4】
前記力集中構造体が複数の層を含む、請求項1ないし3のいずれか1項記載の力検知装置。
【請求項5】
前記力集中構造体がエンボス加工された基板を含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項6】
前記感圧素子が量子トンネル材料を含む、請求項1ないし5のいずれか1項記載の力検知装置。
【請求項7】
接着剤層によって前記力検知装置に積層されたカバー層を更に含む、請求項1に記載の力検知装置。
【請求項8】
前記接着剤層が接着剤と前記接着剤内に複数の開口部を含む、請求項7記載の力検知装置。
【請求項9】
複数のスペーサ要素を含むスペーサ層を更に含み、前記複数の開口部が前記スペーサ要素と位置合わせされて、前記カバー層と前記力検知装置の支持基板の間に空隙を形成する、請求項8記載の力検知装置。
【請求項10】
複数のスペーサ要素を含むスペーサ層を更に含む、請求項1ないし8のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項11】
前記力集中構造体が、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間の空隙に前記第1の導電層の突起部を提供する、請求項1ないし10のいずれか1項記載の力検知装置。
【請求項12】
前記力集中構造体の高さが少なくとも6ミクロンである、請求項1ないし11のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項13】
第1の高さを有する力集中構造体の第1のアレイと、第2の高さを有する力集中構造体の第2のアレイを更に備え、前記第1の高さと前記第2の高さが実質的に異なる、請求項1ないし12のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項記載の力検出装置を含む電子装置。
【請求項15】
複数の交差を規定するように配置され、複数の導電性行を含む第1の導電層及び複数の導電性列を含む第2の導電層及び複数の導電性列を含む第2の導電層の形態で検知アレイを印刷するステップ;
前記電気活性層が各交差に感圧素子を含むように、前記第1の導電層上に電気活性層を印刷するステップ;
前記第2の導電層上の各交差に力集中構造体を提供するステップ;
を含む、力検知装置を製造する方法。
【請求項16】
前記力集中構造体を提供するステップが、基板上に誘電材料を堆積させるステップを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記堆積させるステップが複数の層の誘電材料を印刷するステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記堆積させるステップが各交点における誘電材料のビードを提供するステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記堆積させるステップが各交点において誘電材料の複数のビードを提供することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記力集中構造体を提供するステップは、前記検知アレイ及び電気活性層が印刷された支持基板にエンボス加工するステップ含む、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年8月10日に出願された英国特許出願番号GB 20 12 390.7に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、力検出装置及び力検出装置を製造する方法に関する。
マルチタッチマトリックスセンサは当技術分野で知られており、通常、交点を定義する複数の行と複数の列を有する導電層の配列を含む。
【0003】
出願人は、行と列の交点に検出素子を含むマトリックスセンサを開発し、更なる圧力感度を提供した。しかし、使用時にユーザが力を加えると、この力の一部が検出素子間の領域に伝達され、それによって、入力された力の圧力が低下し、センサからの信号が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの用途では、マトリックスセンサは電子装置内において上面の下方に組み込まれている。力は、例えば、ディスプレイモジュールやトラックパッドのような最上層を通してユーザによって伝達される。この最上層は、加えられた力をマトリックスセンサのより大きな領域にわたって拡散させるように作用し、力が加えられた位置の真下や側方にある複数の検知素子を作動させることがある。力は検知素子に(それによって信号が発生する)、検知素子間の領域(信号が発生しない)に広がる。
そのため、力を検知素子にのみかけ、検知素子の間の領域にはかけないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の簡単な説明]
本発明の第1の観点によれば、第1の導電層及び第2の導電層を含む検知アレイ;前記第1の導電層は複数の導電性行を含み、前記第2の導電層は複数の導電性列を含み、前記複数の導電性行及び前記複数の導電性列が複数の交差を規定するように配置されている;電気活性層が各交差において感圧素子を含み、前記第1の導電層を覆っている電気活性層;及び、前記第2の導電層上の各交差に配置された力集中構造体;を含む力検知装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の観点によれば、複数の交差を規定するように配置され、複数の導電性行を含む第1の導電層及び複数の導電性列を含む第2の導電層及び複数の導電性列を含む第2の導電層の形態で検知アレイを印刷するステップ;前記電気活性層が各交差に感圧素子を含むように、前記第1の導電層上に電気活性層を印刷するステップ;前記第2の導電層上の各交差に力集中構造体を提供するステップ;を含む、力検知装置を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係る検知アレイを示す図であり;
図2図2A及び2Bは、検知アレイにおける交点の一例を示す断面図であり;
図3図3は、複数の力集中構造体を含む力検知装置の断面図であり;
図4図4A、4B、4C及び4Dは、本発明に係る力集中構造体の例示的な実施形態を示す図であり;
図5図5は、少なくとも1つの力集中構造体を含む力検知装置を構築する方法を示す図であり;
図6図6は、少なくとも1つの力集中構造体を含む力検知装置を構築する代替方法を図であり;
図7図7は、力検知装置に力が加えられたとき、力検知装置における力集中構造体の効果を示す図であり;そして
図8図8は、本発明に係る力検知装置をカバー層にラミネートしたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面を参照して例としてのみ説明する。詳細な実施形態は、発明者が知っている最良のモードを示し、特許請求された本発明をサポートする。ただし、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用するべきではない。これらの目的は、当該技術分野の当業者に教示を提供することである。「第1」や「第2」のなどの序数句で区別される要素及びプロセスは、必ずしも何らかの順序やランク付けを定義するわけではない。
【0010】
[発明の詳細な説明]
図1
図1は、本発明に係る力検知装置101の一例を示す概略平面図である。
力検知装置101は、任意の適切な電子装置、例えば、タッチスクリーンを備える電子装置に組み込むことができる。力検知装置101は、印加された力又は印加された圧力に対して電気的応答を提供する検知アレイ102を備えている。
検知アレイ102は、複数の交点を規定するように配置された複数の導電性行103及び複数の導電性列104を含む。各交点において、感圧素子105、106、107及び108などの感圧素子が設けられている。複数の感圧素子は、アレイの一部として印刷された電気活性層として設けられている。
実施形態では、複数の導電性行103は第1の導電層として構成され、複数の導電性列は第2の導電層として構成されている。
【0011】
各感圧素子は印加された圧力に応答する感圧材料を含む。実施形態では、各感圧素子は量子トンネル材料を含む。量子トンネル材料は、出願人であるペラテックホールドコリミテッドによって商標QTC(登録商標)で供給されるタイプのものであってよく、力又は圧力の印加に続いて電気抵抗の減少を示す。このようにして、検知アレイは、加えられた圧力に応答して、2次元の位置データ及び範囲特性の両方を提供するように構成することができる。
代替の実施形態において、力又は圧力の印加に続いて電気抵抗の変化を示す代替の感圧材料が利用され得ることが理解できる。
【0012】
この図示した例では、検知アレイ102は、15列及び5行を含む。行及び列の数は例示であり、用途及び顧客の要求に応じて任意の適切な数の行及び列が利用され得ることが理解できる。更に、図示した例は四角のアレイを説明しているが、例えば六角形のアレイなど、他の代替のアレイ形状が利用されてもよいことが理解できる。
列コネクタ109はプロセッサから駆動電圧を受け取り、行コネクタ110はプロセッサに走査電圧を供給する。力又は圧力の印加がなければ、検知アレイ102の交点にある検知素子はすべて非導電性のままである。しかしながら、検知アレイ102に十分な圧力が加えられると、感圧素子の少なくとも1つが活性化され、入力駆動線と出力走査線の間で応答が行われ、必要に応じて2次元位置データ及び範囲特性を計算することができるようになる。
【0013】
図2
図2A及び2Bは、検知アレイ102のような検知アレイにおいて利用され得る例示的な感圧素子を示す。
実施形態では、感圧素子は、導電性行と導電性列の交点に配置される。図2A及び2Bは、検知アレイの層の切り離された断面を概略的に示している。このように、検知アレイは、導電性電極を形成するために導電性列202がその上に印刷された第1の基板201を含む。図示のように、複数の感圧素子203の1つを構成する電気活性層が導電性列202上に印刷されている。感圧素子203は、先に説明したような量子トンネル材料で構成されてもよい。
【0014】
力検知装置は第2の基板204を含み、該基板204の上に対応する導電性列205が印刷され、導電性行202に対して実質的に垂直である更なる導電性電極が形成される。
導電性電極205と電気活性層の間には、空隙206があり、外力が検知アレイに加えられていない静止構成において、層の間隔が維持される。これは、図2Aに関して説明されている。
対照的に、図2Bは、矢印207で示す外力が検知アレイ及び当該感圧素子に適用されている構成における感圧素子の応答を示している。
基板204に力が加えられると、力207の第1の成分208が感圧素子203を介して伝達され、応答が得られる。しかしながら、更なる成分209は、「デッドゾーン」と呼ばれることがある感圧素子203の周囲の空間内の空隙206に伝達される。
【0015】
このように、力が加わると、導電層は電気活性層に接触することになる。電気活性層(すなわち、感圧素子)と接触した部分でのみ信号が発生し、この信号が電気抵抗の変化の計算に使用される。しかし、各感圧素子とそれに対応する交点の間の空間では、「デッドゾーン」に伝わる圧力は信号を発生しない。そして、加えられた力の一部が外側に広がって電気抵抗の計算に影響を及ぼす。
電子装置に組み込まれたとき、一般的にカバー層も存在し、次にこれが力の分散効果をもたらし、力がより広い領域にわたって分散する。その結果、全体の圧力の減少が引き起こされる。
【0016】
力が隣接する交点で隣接する感圧素子に分散されるならば、その結果を利用することができるので有益であるが、各交点間に加えられた任意の力は、信号出力を低下させ、各感圧素子への有効な力を減少させる。
これは、より小さく、より柔軟な装置の利点とその適用性の増加により産業界にとってますます魅力的である、実質的に薄い力検知装置に関して増大する問題である。
本発明は、少なくともこれらの問題に対処するために、力を集中させる構造を含み、力がその間の空間ではなく、各感圧素子に主に伝達されることを保証することを提案する。
【0017】
図3
図2A及び図2Bの検知アレイの従来の配置とは対照的に、本発明は、検知アレイ内の各交点における力集中構造体を含む。したがって、図3は、本発明に係る力検知装置の概略断面を示す。
力検知装置301は、スペーサガスケット304によって分離される第1の基板302、第2の基板303を備える。
基板303は、その上に印刷された複数の導電性列305を含み、導電性列305上に電気活性層306が、図1(105、106、107、108)に例示したような複数の感圧素子を含むパターンで重ね刷りされている。
対照的に、基板302は、複数の力集中構造体307を含む。列308の導電層は力集中構造体307上に印刷されている。本実施形態では、力検知装置301の構造を保持するために、複数のスペーサ素子309を含むスペーサ層も設けられている。
【0018】
実施形態では、導電層305は、その間にある空隙310によって導電層308から分離されている。実施形態において、各力集中構造体307は、導電層308の突起部を空隙310内へ提供している。この突起部は、従来の2次元構造の力検知装置と比べて、相対的に3次元構造を提供し、そのような、導電層308と力集中構造体307の組み合わせは、所定の高さ311だけ空隙310内に突起している。突起部の高さ310は、導電層308の厚さ及び力集中構造体307の厚さに依存する。
したがって、力検知装置の第1のタッチ感度は、スペーサガスケット304の厚さ、突起部の高さ310、及び導電層305と電気活性層306の組み合わせ厚さを調整することによって適合させることができる。第1のタッチ感度は、基板302を変形させ、電気活性層306との電気的接触を生じさせ、図1に関して先に説明した方法で抵抗を計算することができるようにするために必要な力である。
【0019】
図4
力集中構造体307は、任意の適切な手段によって構築することができる。図4は、力検知装置301で使用するために構築することができる力集中構造体307の4つの別個の例を示す。
図4A、4B、4C及び4Dに示す例では、各例示的な力集中構造体は、当該力集中構造体を取り囲む導電層308と組み合わせて別個に示す。
図示した例示的な各実施形態において、力集中構造体は誘電材料含み得る。そして、特定の実施形態において、力集中構造体は誘電体インクを含む。したがって、誘電材料は、基板302上にビード堆積プロセスを用いて印刷又は堆積させることができる。
【0020】
図4Aに示す実施形態では、力集中構造体401は、ビード堆積プロセスによって誘電材料の単一のマイクロビード402を堆積させることによって構築される。必要に応じて、この手順は、ビード402が基板302上に正常に堆積されることを確実にするために、乾燥又は硬化工程を含むことができる。その後、導電層308を力集中構造体401上に印刷し、図3の配置を完成させてもよい。
図4Bの実施形態において、力集中構造体403は、異なる半径の誘電体インクの複数の印刷層が連続的に印刷されている例を示す。したがって、第1の半径を有する第1の誘電体インク層404は、基板302上に印刷される。続いて、第2の誘電体インク層405が、第1の誘電体インク層404上に重ね刷りされ、誘電体インク層404の半径よりも小さい半径を有している。同様に、誘電体インク層406の更なる層が誘電体インク層405上に重ね刷りされ、これは、誘電体インク層404及び405のいずれよりも再度小さい半径を有している。実施形態では、各層は、基板302上への良好な堆積を確実にするように、印刷され、次いで乾燥される。
【0021】
既存の従来の力検知装置とは対照的に、導電層は、典型的には約6ミクロンである。したがって、この場合の力集中構造体は、追加の積層効果により約18ミクロンの高さを有し、それによって相対的に3次元構造を形成することができる。
図4C及び4Dの実施形態において、複数の誘電体ビードの堆積は、ビード堆積プロセスによって実施される。したがって、図4Cの実施形態では、力集中構造体407は、マイクロビード408及びマイクロビード409を含む。同様に、図4Dの実施形態において、力集中構造体410は、それぞれ基板302上に堆積された3つのマイクロビード411 、412及び413を含む。導電層308は、次に、各マイクロビード上に重ねて印刷され、図示のような結合構造が形成される。
【0022】
図5
次に、図3及び図4に示した実施形態に係る力検知装置を製造する方法について、図5を参照して説明する。
ステップ501で、基板302が得られ、力集中構造体が基板上に堆積される。先に説明したように、これは、誘電体インクの印刷又はビード堆積プロセスによって誘電又はポリマー材料の1つ又は複数のマイクロビードを堆積することを含む。
【0023】
ステップ502で、導電層308が力集中構造体の上に複数の導電性行の方法で印刷される。ステップ503で、複数の導電性列を含む第2の導電層308が基板303上に印刷される。ステップ504で、感圧素子(これは、導電層が図1及び3の方法で組み合わされるとき、導電性行及び列の各交点に印刷されるように構成されている)を含む電気活性層が第2の導電層上に印刷される。
ステップ505で、図3に示す方法で基板302と基板303が組み合わされて力検知装置301が造られる。
【0024】
図6
図6は、図4及び5に関して説明した誘電体インク又はビード構造の代替物を提供する力検知装置を製造する代替方法を示す。
図6の実施形態では、ステップ601で、基板302が得られ、第1の導電層308が基板302上に印刷される。実施形態では、基板302は熱可塑性材料を含み、ステップ602で、導電層を含む基板は、基板が力集中構造体に適した形状を含む予備成形上に巻かれるとき、基板に加えられた熱を利用するエンボスプロセスによってエンボス加工される。したがって、基板及び第1の導電層は、最終製品において検知アレイの交点に配置される複数の力集中構造体を形成するように変形される。
【0025】
ステップ603で、第2の導電層305が基板303上に印刷され、ステップ604で電気活性層306が重ね刷りされる。ステップ603及び604は先に説明した方法におけるステップ503及び504と実質的に同様である。次に、ステップ605で、基板は組み合わされて実質的に同様の力検知装置301が造られる。
代替の力集中構造体は、示したとは別の堆積ルートを通して作成されてもよく、与えられた例が網羅的でないことが更に理解できる。代替的な堆積ルートは、本明細書に記載されたものに加えて、モノリシック堆積及び結晶構造の成長を含む。しかしながら、いずれの場合においても、力集中構造体は、当該技術分野で知られている従来の2次元構造を超えて空隙内に突起している。
【0026】
図7
図7は、検知アレイ102における単一の交点の断面模式図を示す。この図は、使用時に基板302に力が加えられたときの力集中構造体307の効果を説明している。
実施形態では、矢印701で示す力が基板302に加えられると、力集中構造体307と導電層308が電気活性層306と接触する。この実施形態では、力701は、力集中構造体307を通って導電層308、電気活性層306に伝達される。
力701は突起した導電層308全体に伝達するので、電気活性層306によって受容された力702は導電層308と整列する。空隙309の中では、限られた力703がこの領域に伝達され、電気活性層306と接触しない。したがって、力集中構造体は、導電層が比較的薄く、2次元と考えられている従来の力検知装置と比較して、効果的な3次元構造を生成する。このように、各力集中構造体は、入力力701が層全体に広がることを避け、入力された力を交点に集中させる。
【0027】
したがって、低い力では、相対的にドーム状の導電層308の先端だけが電気活性層306に接触する。しかしながら、より高い力では、湾曲した形状のより多くの部分が電気活性層306と接触する。
一実施形態では、比較的高いヤング率を有する材料を力集中構造体用に導入することによって、その効果が増大する。これは、典型的には、基板材料と比較して高いヤング率を有する材料によって提供される。
【0028】
従来の力検知装置では、従来、上部基板は電気活性層と相互作用する実質的に平らな表面を提供する。このような従来の力検知装置では、導電層がすべて電気活性層に接触したときに、力の閾値レベルに到達する。力を強めても、この力の閾値で接触面積が拡大しないため、オン/オフの効果を生じる。それによって、各交点で力に応じて減少する抵抗の動的領域が制限される。力集中構造体の導入はオン/オフ効果に対する解決策を与え、導電層と電気活性層の間の接触及び対応する圧力領域が印加された力に依存することを確保する。したがって、本発明は、検知アレイの各交点における印加された力による抵抗減少の動的領域を増大させる。
【0029】
これは、動的領域が広いため、抵抗の変化に対する入力力のマッピングが向上するのでれ、力検知用途において役立つ。したがって、抵抗の変化を利用して特定の応答を設定することができ、特定の印加圧力に応答して異なる出力を与えることができる。これは、力検知装置が使用される電子機器内のソフトウェア適用によって影響を受ける可能性があるす。
【0030】
更なる実施形態では、本発明に係る力検知装置は、第1の高さを有する力集中構造体の第1のアレイと、第2の高さを有する力集中構造体の第2のアレイを備える。この実施形態では、第1の高さと第2の高さは、互いに実質的に異なるように構成される。したがって、各力集中構造体は、異なる印加力に応答するので、力集中構造体の用途に更なる柔軟性を提供することができる。したがって、低い力で、最大の高さを有する力集中構造体は、それらの対応する感圧素子を活性化し、より高い力で、より高い力集中構造体は、低い高さの力集中構造体に対応する感圧素子と共に活性化を提供するであろう。
【0031】
図8
力検知装置301は、実際には、電子装置に組み込まれてもよく、典型的には、図8に示す方法でカバー層と一体化されている。
図8に示す力検知装置301は、先に説明したいずれの実施形態とも実質的に同様であり、複数の交点を規定するように配置された複数の導電性列及び導電性行を有する検知アレイを含む。各交点は、電気活性層の感圧素子と各交点における力集中構造体を含む。
実施形態では、カバー層801は、使用中、加えられる力が、基板302ではなく、カバー層801に直接加えられるように、基板302に対して実質的に平行に配置されている。
【0032】
カバー層801は、ラミネート接着剤を利用するラミネート工程によって力検知装置801に一体化される。したがって、実施形態では、カバー層801は、接着剤層802によって力検知装置301に積層される。 接着剤層802は、接着剤803及び接着剤層802中に複数の開口804を含む。実施形態では、接着剤は、連続接着フィルムを含む。
カバー層801は、典型的には用途に依存する任意の適切な厚さ又は堅さであってよい。実施形態において、カバー層801は、堅い又は可撓性/折り畳み可能であり得るLED又はOLEDディスプレイを含む。更なる実施形態では、カバー層801は、トラックパッドを含む。
【0033】
典型的には、カバー層801は、カバー層801に加えられるあらゆる力をより広い領域にわたって分散し、加えられた有効な力を減少させるように作用するという点で、力検知装置301に機械的制約を与える。これは、各交点で複数の感圧素子を活性化させる一方で、上述のように望ましくない可能性がある各交点の間の空間にも力を与えるという問題を引き起こす。
実施形態では、接着剤層802は、力検知装置301の構成に適合するパターンを含み、スペーサ層は、各力集中構造体307の間に配置される複数のスペーサ要素309を含む。実施形態では、開口部804は、カバー層801と力検知装置301の基板302の間に空隙が生じるように、スペーサ要素309と位置合わせされている。この配置は、更なるスペーサ層を含む必要がなくても、カバー層801からの力を交点及び感圧素子だけに向けることによって、力検知装置301への力の伝達を助けるために利用することができる。
【0034】
検知アレイを利用する従来の力検知装置では、層を離して保持し、電気活性層に対する初期圧力を低減するために、スペーサ層が必要である。しかしながら、これは、スペーサ要素が電気活性層306への力の伝達又は圧力の移動を妨げるという問題を生じさせる。したがって、この実施形態では、スペーサ要素に対する接着剤層の配置は、力が検知アレイ内の交点に分散されるように、基板302にせん断効果を生じさせる。これは、バネのように機能する開口部804に空隙が生じているからである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
出願人は、行と列の交点に検出素子を含むマトリックスセンサを開発し、更なる圧力感度を提供した。しかし、使用時にユーザが力を加えると、その力の一部が検出素子間の領域に伝達され、それによって、入力された力の圧力が低下し、センサからの信号が減少する。
特許文献1には、力検知アレイと、上部プレートに加えられた力又は圧力を支持突起に機械的に伝達することを可能にする支持突起の追加の別の層とが記載されている。
特許文献2には、カバープレート上のスペーサ及び対向基板上のスペーサを有しているタッチディスプレイパネルが記載されている。カバープレートはタッチ信号線を含み、基板はタッチ信号線と電気的に接続している金属線を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0275057号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0305052号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
[発明の簡単な説明]
本発明の1の観点によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された力検知装置が提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の2の観点によれば、特許請求の範囲の請求項14に記載された力検知装置を製造する方法が提供される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
実施形態では、導電層305は、その間にある空隙310によって導電層308から分離されている。実施形態において、各力集中構造体307は、導電層308の突起部を空隙310内へ提供している。この突起部は、従来の2次元構造の力検知装置と比べて、相対的に3次元構造を提供し、そのような、導電層308と力集中構造体307の組み合わせは、所定の高さ311だけ空隙310内に突起している。突起部の高さ31は、導電層308の厚さ及び力集中構造体307の厚さに依存する。
したがって、力検知装置の第1のタッチ感度は、スペーサガスケット304の厚さ、突起部の高さ31、及び導電層305と電気活性層306の組み合わせ厚さを調整することによって適合させることができる。第1のタッチ感度は、基板302を変形させ、電気活性層306との電気的接触を生じさせ、図1に関して先に説明した方法で抵抗を計算することができるようにするために必要な力である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層及び第2の導電層を含む検知アレイ(102)
前記第1の導電層は複数の導電性行(103,202,305)を含み、前記第2の導電層は複数の導電性列(104,205,308)を含み、前記複数の導電性行及び前記複数の導電性列が複数の交差を規定するように配置されている;
電気活性層が各交差において感圧素子(105,106,107,108,203)を含み、前記第1の導電層を覆っている電気活性層(306);及び
前記第2の導電層上の各交差に配置された力集中構造体(307,401)
を含む、ここで
前記力集中構造体が、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間の空隙(206,310)に前記第2の導電層の突起部を提供している、
力検知装置(101,301)
【請求項2】
前記力集中構造体が誘電材料を含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項3】
前記力集中構造体が誘電体インクを含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項4】
前記力集中構造体が複数の層(404,405,406)を含む、請求項1ないし3のいずれか1項記載の力検知装置。
【請求項5】
前記力集中構造体がエンボス加工された基板を含む、請求項1記載の力検知装置。
【請求項6】
前記感圧素子が量子トンネル材料を含む、請求項1ないし5のいずれか1項記載の力検知装置。
【請求項7】
接着剤層によって前記力検知装置に接着剤層(802)によって積層されたカバー層(801)を更に含む、請求項1に記載の力検知装置。
【請求項8】
前記接着剤層が接着剤と前記接着剤内に複数の開口部(804)を含む、請求項7記載の力検知装置。
【請求項9】
複数のスペーサ要素(309)を含むスペーサ層を更に含み、前記複数の開口部が前記スペーサ要素と位置合わせされて、前記カバー層と前記力検知装置の支持基板(302)の間に空隙を形成する、請求項8記載の力検知装置。
【請求項10】
複数のスペーサ要素(309)を含むスペーサ層を更に含む、請求項1ないし8のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項11】
前記力集中構造体の高さ(311)が少なくとも6ミクロンである、請求項1ないし1のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項12】
第1の高さを有する力集中構造体の第1のアレイと、第2の高さを有する力集中構造体の第2のアレイを更に備え、前記第1の高さと前記第2の高さが実質的に異なる、請求項1ないし1のいずれか1項記載の力検出装置。
【請求項13】
請求項1ないし1のいずれか1項記載の力検出装置を含む電子装置。
【請求項14】
複数の交差を規定するように配置され、複数の導電性行(103,202,305)を含む第1の導電層及び複数の導電性列(104,205,308)を含む第2の導電層の形態で検知アレイ102)を印刷するステップ;
前記電気活性層が各交差に感圧素子(105,106,107,108,203)を含むように、前記第1の導電層上に電気活性層(306)を印刷するステップ;
前記第1の導電層と前記第2の導電層と間の空隙(206,310)に前記第2の導電層の突起部を設けるために、前記第2の導電層上の各交差に力集中構造体(307,401)を提供するステップ;
を含む、力検知装置(101,301)を製造する方法。
【請求項15】
前記力集中構造体を提供するステップが、基板上に誘電材料を堆積させるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記堆積させるステップが複数の層(404,405,406)の誘電材料を印刷するステップを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記堆積させるステップが各交点における誘電材料のビード(402,408,409,411,412、413)を提供するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記堆積させるステップが各交点において誘電材料の複数のビードを提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記力集中構造体を提供するステップが前記検知アレイ及び電気活性層が印刷された支持基板にエンボス加工するステップ含む、請求項1記載の方法。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】