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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】細菌毒素の小分子阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/29 20060101AFI20231002BHJP
   C07D 213/42 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 211/28 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 277/28 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 263/32 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 209/14 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 213/40 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 231/56 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 333/20 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 213/71 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 333/34 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/63 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4436 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4409 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4465 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/421 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231002BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231002BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20231002BHJP
   C07C 311/19 20060101ALI20231002BHJP
   C07D 257/04 20060101ALI20231002BHJP
   C07K 14/195 20060101ALN20231002BHJP
   C12N 9/50 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
C07C311/29
C07D213/42 CSP
C07D401/12 ZNA
C07D211/28
C07D277/28
C07D263/32
C07D209/14
C07D213/40
C07D413/12
C07D231/56 Z
C07D401/06
C07D409/12
C07D333/24
C07D333/20
C07D213/71
C07D333/34
C07D231/12 Z
A61K31/4406
A61K31/4439
A61K31/18
A61K31/63
A61K31/4045
A61K31/416
A61K31/4436
A61K31/426
A61K31/4409
A61K31/4465
A61K31/421
A61K31/4402
A61K31/381
A61K31/415
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61P1/00
A61P1/04
A61P35/00
A61P31/04
A61P9/00
A61P13/02 105
A61P43/00 111
C12N9/99
C07C311/19
C07D257/04 E
C07K14/195
C12N9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023516114
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021050048
(87)【国際公開番号】W WO2022056369
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/077,354
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521003999
【氏名又は名称】アーティザン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フックストラ, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ヒュンジ
(72)【発明者】
【氏名】チンタ, プリヤンカ
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C076
4C086
4C206
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
4C055BA28
4C055BA42
4C055BA46
4C055BB02
4C055BB19
4C055CA02
4C055CA27
4C055CA28
4C055CA42
4C055CA46
4C055CB02
4C055CB15
4C055CB17
4C055CB19
4C055DA01
4C063AA01
4C063BB02
4C063BB07
4C063BB09
4C063CC06
4C063CC25
4C063CC47
4C063CC52
4C063CC92
4C063DD06
4C063DD12
4C063EE01
4C076AA11
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC11
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC31
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BB02
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC37
4C086BC38
4C086BC62
4C086BC69
4C086BC82
4C086DA20
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA82
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206JA13
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZA66
4C206ZA68
4C206ZA82
4C206ZB26
4C206ZB35
4C206ZC20
4C206ZC41
4H006AA01
4H006AB20
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA11
4H045DA89
(57)【要約】
炎症性腸疾患、消火器がん、又は全身性細菌感染症を治療することを必要とする対象におけるその治療又は予防に使用するための化合物及び組成物が本明細書に記載される。対象は、B.fragilis、E.faecalis、又はC.perfringensなどの1つ以上の病原性細菌株によってコロニー形成され得る。ある特定の態様では、本開示は、それによって産生される1つ以上の毒素に結合及び/又はそれを阻害する化合物を投与することによって、これらの細菌株の病原性効果を減少させる方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IBの化合物、
【化71】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-であり、
Yが、-OHであり、
が、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アリール、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rが、任意選択で、-OH、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
が、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロシクリル、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、-OHであり、
3aが、H又はハロゲンであり、
nが、1~3の整数である、式IBの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記式IBの化合物が、式IB-1の構造、
【化72】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、-C-Cアルキル、-C-Cアルキル-OH、-(C-Cアルキレン)-S-(C-Cアルキル)、-(C-Cアルキレン)-S-(C-Cハロアルキル)、-(C-Cアルキレン)-SCH-ヘテロアリール、-CH-フェニル、-CH-ヘテロアリール、又は-CHC(=O)NHであり、フェニルが、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、-CHCH(CH、-CH(OH)CH、-CHCHSCH
【化73】
、-CH-フェニル、-CH-(3-インドリル)、-CH-(4-イミダゾリル)、-CHC(=O)NH
【化74】
、-CH(CH)SCHCH、-CH(CH)SCH-(3-ピリジル)、-CH(CH)SCH-(4-ピリジル)、又は-CH(CH)SCHCFである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
が、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-S-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
が、アルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
が、アルキル、アリール、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
が、アルキル又はアリールである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項9】
が、アルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルキルが、C2-6アルキルである、請求項5~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルキルが、エチル又はイソブチルである、請求項5~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記アルキルが、エチルである、請求項5~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記アリールが、C6-12アリールである、請求項5~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記C6-12アリールが、フェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記フェニルが、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記フェニルが、4-フルオロフェニルである、請求項13又は14に記載の化合物。
【請求項17】
前記アルキレンが、C1-3アルキレンである、請求項5~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記アルキレンが、メチレンである、請求項5~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、-CH-アルキル、-(CH-アリール、又は-(CH-ヘテロアリールである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、-(CH-ヘテロアリールである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記ヘテロアリールが、N、O、又はSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリールである、請求項19又は20に記載の化合物。
【請求項22】
前記ヘテロアリールが、ピリジル、チオフェニル、チアゾイル、オキサゾリル、又はインドリルである、請求項20又は21に記載の化合物。
【請求項23】
前記ヘテロアリールが、ピリジル又はインドリルである、請求項20~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
前記ヘテロアリールが、3-ピリジル又は5-インドリルである、請求項20~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
nが、1又は2である、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
式Vの化合物、
【化75】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-であり、
Yが、-OH-であり、
が、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
が、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
nが、1~3の整数である、式Vの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項27】
が、-CHアルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
が、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCHOCH、又は-CHCHFである、請求項26又は27に記載の化合物。
【請求項29】
が、-CHCH(CHである、請求項26~28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
が、-CH-アリール、-CH-アルキル、又は-CH-ヘテロアリールである、請求項26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
が、-CH-Ph、-CH-CH(CH、又は-CH-(3-ピリジル)である、請求項26又は30に記載の化合物。
【請求項32】
が、-OH、アルコキシ、-O-ハロアルキル、-O-アラルキル、-O-ヘテロアラルキル、-O-アルキレン-NR、アルキル、又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRであり、前記アルキレンが、任意選択で、F、オキソ、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、-又は-CH-ヘテロアリールで置換されている、請求項26~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
が、-OH、アルコキシ、又は-O-アルキレン-NRである、請求項26~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
前記アルコキシが、-OCHである、請求項26~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
前記アルキレンが、C1-3アルキレンである、請求項26~35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
前記アルキレンが、メチレン又はエチレンである、請求項26~35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
前記-O-アルキレン-NRが、-O-CH-C(O)-NRである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
が、H又はアラルキル又はヘテロアラルキルである、請求項26~37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
前記アラルキルが、-CHアリールである、請求項26~38に記載の化合物。
【請求項40】
前記アラルキルが、-CHPhである、請求項26~38に記載の化合物。
【請求項41】
前記フェニルが、任意選択で、1つ以上のハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はそれらの組み合わせで置換されている、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
アラルキルが、
【化76】
からなる群から選択される、請求項38~41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
前記アラルキルが、
【化77】
である、請求項38~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
前記アラルキルが、
【化78】
である、請求項38~43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
前記ヘテロアラルキルが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、請求項38~44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
前記ヘテロアラルキルが、
【化79】
である、請求項38~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
が、H又はアルキルである、請求項26~46のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
前記アルキルが、C1-5アルキルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
nが、1又は2である、請求項26~48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
nが、1である、請求項26~48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
前記式Vの化合物が、
【化80】
による構造、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、
が、アルキル、-(CH-アリール、又は-(CH-ヘテロアリールであり、
が、H、アラルキル、又はヘテロアラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
nが、0~3の整数である、請求項26に記載の化合物。
【請求項52】
が、C1-5アルキル、-CHPh、又は-CHピリジルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
が、C1-5アルキルである、請求項51又は52に記載の化合物。
【請求項54】
が、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCHOCH、又は-CHCHFである、請求項51~53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
が、-CHアリール又は-CHヘテロアリールである、請求項51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
前記-CHアリールが、
【化81】
からなる群から選択される、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
前記-CHアリールが、
【化82】
である、請求項55又は56に記載の化合物。
【請求項58】
前記-CHアリールが、
【化83】
である、請求項55~57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
前記-CHヘテロアリールが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、請求項55~58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
前記-CHヘテロアリールが、
【化84】
である、請求項55~59のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項61】
が、Hである、請求項51~60のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項62】
nが、1又は2である、請求項51~61のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項63】
前記式Iの化合物が、
【化85】
による構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項64】
前記式Iの化合物が、
【化86】
による構造、
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、
【化87-1】
【化87-2】
による構造、
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項66】
式Aの化合物であって、
【化88】

式中、
が、H又はMeであり、
が、Me又はt-Buであり、
が、H、Me、又はEtである、式Aの化合物。
【請求項67】
式Bの化合物であって、
【化89】

式中、
が、H又はMeであり、
が、Ph、3-Pyr、-CHPh、又は-CH-3-Pyrであり、
が、Me又はt-Buであり、
が、H、Me、又はEtである、式Bの化合物。
【請求項68】
請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項69】
炎症性腸疾患を治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項70】
前記炎症性腸疾患が、クローン病又は潰瘍性大腸炎である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
消化器(GI)がんを治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項72】
前記GIがんが、食道がん、胆嚢がん、肝がん、膵臓がん、胃がん、小腸のがん、大腸がん、又は肛門がんである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
全身性細菌感染症を治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項74】
前記全身性細菌感染症が、心内膜炎又は尿路感染症である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、1つ以上の病原性細菌株によってコロニー形成される、請求項69~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記病原性細菌株が、B.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記病原性細菌株が、BFT毒素を発現するB.fragilisの株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.faecalisの株、又は前記コラゲナーゼColAを発現するC.perfringensの株である、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物が、B.fragilis毒素(BFT)、コラゲナーゼA(ColA)、及びゼラチナーゼE(GelE)のうちの1つ以上に結合及び/又はそれを阻害する、請求項69~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記BFTが、配列番号2~4のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記BFTが、配列番号2~4のうちのいずれか1つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記ColAが、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記ColAが、配列番号8と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記GelEが、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記GelEが、配列番号6と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記化合物が、約10-5~約10-13Mの範囲内の阻害定数でBFT、ColA、及び/又はGelEに結合する、請求項77~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物が、約1μM~約500μMの範囲内のIC50を有する、請求項77~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記IC50が、FRETベースのペプチド基質の切断を測定することによって決定される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記FRETベースのペプチド基質が、配列番号10の配列を有する、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記化合物を投与することが、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を低減及び/又は排除する、請求項77~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が、哺乳動物である、請求項69~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象が、ヒトである、請求項69~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記対象が、雄である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記対象が、雌である、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物が、前記対象に静脈内投与される、請求項69~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物が、前記対象に経口投与される、請求項69~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物が、錠剤又はカプセルで投与される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記錠剤又はカプセルが、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物が、液体製剤として投与される、請求項69~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記液体製剤が、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記化合物が、1日1回、1週間に1回、又は1日若しくは週に複数回投与される、請求項69~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象に投与される前記化合物の用量が、1日当たり約0.001~約1000mg/kg体重である、請求項69~100のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年9月11日に出願された米国仮特許出願第63/077,354号に対する優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、炎症性腸疾患及び消化器がんなどの消化器疾患を治療するための化合物、組成物、及び方法に関する。本開示はまた、様々な病原性細菌株によって産生される毒素に結合及び/又はそれを阻害する、小分子化合物、及びそれを含む組成物に関する。
【0003】
配列表
本出願は、EFS-Webを介して電子的に出願されており、.txt形式の電子的に提出された配列表を含む。.txtファイルには、2020年9月9日に作成され、約38.9キロバイトのサイズを有する「ARTI_006_01WO_SeqList_ST25.txt」と題する配列表が含まれる。この.txtファイルに含まれる配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
炎症性腸疾患(IBD)は、クローン病及び大腸炎を含む、結腸及び小腸の炎症性疾患の群である。IBDの最も一般的な形態は、クローン病及び潰瘍性大腸炎である。潰瘍性大腸炎は、大腸(結腸)及び直腸に影響を与え、腸壁の内層(例えば、粘膜及び粘膜下層)に関与する。クローン病は、消化管の任意の部分(例えば、口、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門など)に影響を与え、腸壁のすべての層に関与し得る。IBDの臨床症状には、直腸及び/又は腸出血、腹痛及び痙攣、下痢、並びに体重減少が含まれる。更に、IBDは、結腸がんの危険因子であり、この結腸がんのリスクは、IBDの8~10年後に著しく増加する。
【0005】
IBDの病因は不明であるが、動物モデル及びヒトにおける実験は、共生細菌がIBDの病因に重要な役割を果たしていることを示唆している。しかしながら、IBDの発症に寄与する宿主と微生物の相互作用の正確な性質は依然として未知である。細菌は、例えば、原因物質としてIBDに寄与し得るか、又は単に疾患の遷延化に寄与し得る。IBDにおける細菌機能を理解することで、潜在的な治療的アプローチを特定することができる。
【0006】
IBDに対する治療法はなく、現在利用可能な治療はすべての患者に効くわけではない。したがって、当該技術分野では、IBDを治療するための改善された組成物及び方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、B.fragilis毒素(BFT)、コラゲナーゼA(ColA)、及びゼラチナーゼE(GelE)などの1つ以上の病原性細菌毒素の活性を阻害する化合物及びその組成物を対象とする。開示された化合物及び組成物は、炎症性腸疾患、消化器がん、及び全身性細菌感染症を含む様々な疾患及び障害を治療することを必要とする対象においてそれを治療するのに有用である。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの化合物、
【化1】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、アルキル、アリール、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロシクリル、-(CH-ヘテロアリール、又はCH-ハロアルキルであり、
は、F、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
3aは、H又はハロゲンであり、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールであり、
nは、0~3の整数である。
【0009】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IB又は式ICの化合物、
【化2】
又は立体異性体若しくはその薬学的に許容される塩であり、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式(I)について本明細書に定義されるとおりである。
【0010】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IB-1又は式IC-1の化合物、
【化3】
又は立体異性体若しくはその薬学的に許容される塩であり、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式(I)について本明細書に定義されるとおりである。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIの化合物、
【化4】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、アルキル、アリール、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
が、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又はCH-ハロアルキルであり、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールであり、
nは、0~3の整数である。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIIの化合物、
【化5】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
は、アルキル、アリール、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又はCH-ハロアルキルであり、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールであり、
nは、0~3の整数である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IVの化合物、
【化6】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、-CHアリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、これらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0014】
いくつかの実施形態では、式IVの化合物は、式IVA又は式IVBの化合物、
【化7】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であり、式中、
は、アルキルであり、
は、H、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールであり、
は、F、オキソ、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示は、式Vの化合物、
【化8】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、H、-CH-アリール、CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物と、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
【0017】
炎症性腸疾患を治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法が本明細書に提供され、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。
【0018】
消化器がんを治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、GIがんは、食道がん、胆嚢がん、肝がん、膵臓がん、胃がん、小腸のがん、大腸がん、又は肛門がんである。
【0019】
全身性細菌感染症を治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、又は式Vの化合物)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、全身性細菌感染症は、心内膜炎又は尿路感染症である。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の病原性細菌株によってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、B.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensである。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、BFT毒素を発現するB.fragilisの株である。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、ゼラチナーゼGelEを発現するE.faecalisの株である。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、コラゲナーゼColAを発現するC.perfringensの株である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を投与することは、対象におけるBFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を低減及び/又は排除する。いくつかの実施形態では、化合物を投与することは、対象におけるBFTの活性を低減及び/又は排除する。いくつかの実施形態では、化合物を投与することは、対象におけるB.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensの数の低減をもたらす。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、B.fragilis毒素(BFT)、コラゲナーゼA(ColA)、及びゼラチナーゼE(GelE)のうちの1つ以上に結合及び/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、化合物は、約10-5M~約10-13Mの範囲内の阻害定数(K)でBFT、ColA、及び/又はGelEに結合する。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つと少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8と少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、化合物は、対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、対象に経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤又はカプセルで投与され、錠剤又はカプセルは、任意選択で、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、液体製剤として投与され、液体製剤は、任意選択で、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、化合物は、1日1回、1週間に1回、又は1日若しくは週に複数回投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与される化合物の用量は、1日当たり約0.001~約1000mg/kg体重である。
【0025】
これら及び他の態様は、以下でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】亜鉛依存性メタロプロテアーゼであるBFTの結晶構造を示す。差し込み図は、亜鉛結合ドメインを示す。BFTは、毒素活性を阻害するために酵素の活性部位にそれ自体を挿入する阻害性プロドメインを含む不活性プロテアーゼとして細胞によって産生される。プロドメインは、活性毒素を産生するために、プロテアーゼ(例えば、fragipain又はトリプシンなどの他の宿主プロテアーゼ)によって切断される。図1は、Goulas,et al.,PNAS(2010)から適合される。
図2】試験化合物をスクリーニングするための細胞ベースのBFT毒性アッセイの概略図を示す。組換えBFTは、1つ以上の試験化合物で予めインキュベーションされる。BFT阻害剤混合物は、細胞単層に適用される。37℃での18時間のインキュベーション後、細胞上清を収集する。BFTの活性は、上清中のE-カドヘリン又はIL-8レベルを測定することによって、例えば、標準ELISAを使用して定量化されてもよい。
図3】(図3A)2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-27023A)の化学構造である。 (図3B)2(R)-[4-メトキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(CGS-27023A)の化学構造である。
図4】25pM~50μMのOH-CGS-27023Aによる処置後のE-カドヘリン放出の阻害パーセント(BFT活性の尺度)を示す。
図5A】様々な濃度のNFF-3基質での異なる濃度のBFTによる処置後のNFF-3の加水分解を示す。
図5B】5.65nM~1mMの2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-27023A)による処置後のNFF-3加水分解の阻害パーセントを示す。
図6A】インビボで試験化合物をスクリーニングするためのETBF媒介性疾患モデルの概略図である。0日目に、無菌(GF)マウスは、ETBFで単一コロニー形成された。コロニー形成後1、2、及び3日目に、マウスに、50mg/kgの試験化合物を1日2回(BID)経口投与した。炎症のマーカーを4日目に分析した。
図6B図6Aに記載されるように、2(R)[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-23270A)又はビヒクル対照による処置後の、ETBFで単一コロニー化されたマウスにおける盲腸重量を示す。
図6C図6Aに記載されるように、2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-23270A)又はビヒクル対照による3日間の処置後の、ETBFで単一コロニー化されたマウスにおける糞便中リポカリン2(Lcn2)を示す。***p=0.0002、****p<0.0001。
図7】714pM~200μMの化合物Aによる処置後のGelE活性の阻害パーセントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
疾患又は障害を治療することを必要とする対象においてそれを治療するのに有用である、化合物、例えば、BFT、GelE、及び/又はColAの小分子阻害剤が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、炎症性腸疾患、消化器がん、又は全身性細菌感染症であり、対象は、1つ以上の病原性細菌株、例えば、B.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensによってコロニー形成される。
【0028】
本明細書に記載されるように、B.fragilis、E.faecalis、及びC.perfringensは、潰瘍性大腸炎及びクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)の発症及び進行に寄与する原因物質として特定されており、したがって、その予防及び/又は治療において標的化され得る。これら3つの細菌種の各々の株は、毒素(B.fragilisからのBFT、E.faecalisからのGelE、及びC.perfringensからのColA)を産生し、IBDの病因に寄与すると考えられ、したがって、治療標的である。本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、又は式Vの化合物)は、これらの毒素の活性をインビトロ及び/又はインビボで結合及び/又は阻害し、したがって、IBD及び他の消化器疾患を治療又は予防することを必要とする対象においてそれを治療又は予防するために使用され得る。
【0029】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が記載される。
【0030】
本明細書で使用される場合、以下の用語の各々は、このセクションでそれに関連する意味を有する。
【0031】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0032】
量、時間的持続時間などの測定可能値を指す場合、本明細書で使用される「約」は、±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、及び更により好ましくは±0.1%の、指定された値からの変動を包含することを意味し、そのような変動は、本開示の方法を実施するのに適切であるためである。
【0033】
「疾患」は、動物が恒常性を維持できず、疾患が改善されず、動物の健康状態が悪化し続ける場合の、動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することができるが、動物の健康状態が、障害の不在下での状態よりも好ましくない、健康状態である。治療を受けないままにすると、障害によって動物の健康状態が更に減少するとは限らない。
【0034】
患者に関して本明細書で使用される「治療すること」という用語は、患者の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療は、障害を改善するか、又は少なくとも部分的に改善することができる。本開示の目的のために、治療することは、IBD、消化器がん、全身性細菌感染症、及び関連する状態を改善すること、又は少なくとも部分的に改善することを含むが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される場合、「投与する」、「投与すること」、又は「投与」という用語は、化合物若しくは化合物の薬学的に許容される塩若しくはエステル、又は化合物若しくは化合物の薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む組成物のいずれかを患者に直接的に投与することを指す。
【0036】
疾患又は障害は、疾患又は障害の徴候又は症状の重症度、そのような徴候若しくは症状を患者が経験する頻度、又はその両方が低減された場合に、「寛解」、「改善(ameliorated)」、又は「改善(improved)」される。
【0037】
化合物の「有効量」又は「治療有効量」は、化合物が投与される対象に有益な効果を提供するのに十分な化合物の量である。
【0038】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、インビトロ又はインビボにかかわらず、本明細書に記載される方法に適合可能な任意の動物又はその細胞を指す。ある特定の非限定的な実施形態では、患者、対象、又は個体は、非限定的な例として、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、又は他の家畜哺乳動物である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、哺乳動物、特にヒトなどの対象への投与に好適な組成物を包含することを意味する。一般に、「医薬組成物」は滅菌であり、通常、対象内で望ましくない応答を引き出すことができる汚染物質を含まない(例えば、医薬組成物中の化合物は医薬グレードである)。医薬組成物は、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内など、いくつかの異なる投与経路を介して、それを必要とする対象又は患者に投与するために設計され得る。
【0040】
「薬学的に許容される賦形剤」という語句は、概して、安全、非毒性であり、かつ生物学的にも他の点でも望ましくない医薬組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、動物用、並びにヒトの医薬品使用に許容される賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、1つ及び2つ以上の両方のそのような賦形剤を含む。
【0041】
本開示の文脈では、一般的に発生する核酸塩基に対して以下の略語が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」はウリジンを指す。本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖として定義される。更に、核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される場合、核酸及びポリヌクレオチドは、互換性がある。当業者には、核酸がポリヌクレオチドであり、モノマー「ヌクレオチド」に加水分解され得るという一般知識がある。モノマーヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解され得る。本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドは、これらに限定されないが、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術及びPCRなどを使用する、組換えライブラリー又は細胞ゲノムからの核酸配列のクローニング、及び合成手段を含むが限定されない、当該技術分野で利用可能な任意の手段によって得られるすべての核酸配列を含む。
【0042】
「小分子」という用語は一般に、700ダルトン以下の分子量を有する化合物を指す。いくつかの実施形態では、「小分子」は、600ダルトン、500ダルトン、又は400ダルトン、又は300ダルトン以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、「小分子」は、約400ダルトン以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、「小分子」は、約300ダルトン以下の分子量を有する。本開示では、「小分子」という用語は、意味を変えることなく、「化合物」又は「本開示の化合物」又は本開示の化合物を指す任意の他の用語と互換的に使用され得る。
【0043】
「アミノ酸」という用語は、これらに限定されないが、アラニン(Ala又はA)、システイン(Cys又はC)、アスパラギン酸(Asp又はD)、グルタミン酸(Glu又はE)、フェニルアラニン(Phe又はF)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(Hは、又はHである)、イソロイシン(Ile又はI)、リジン(Lys又はK)、ロイシン(Leu又はL)、メチオニン(Met又はM)、アスパラギン(Asn又はN)、プロリン(Pro又はP)、グルタミン(Gln又はQ)、アルギニン(Arg又はR)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、バリン(Val又はV)、トリプトファン(Trp又はW)、及びチロシン(Tyr又はY)残基からなる群を含む。「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限は設けられていない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、分岐又は直鎖アルキルを指し、アルキル鎖の長さは、数の範囲によって示される。いくつかの実施形態では、「直鎖アルキル」は、1、2、3、4、5、又は6個の炭素を含む上に定義されるアルキル鎖を指す(すなわち、C1-C6アルキル)。直鎖アルキル基の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルが挙げられる。いくつかの実施形態では、「分岐アルキル」は、3、4、5、6、7、又は8個の炭素を含む上に定義されるアルキル鎖を指す(すなわち、分岐C3-C8アルキル)。分岐アルキル基の例としては、これらに限定されないが、イソプロピル、イソブチル、二級-ブチル、三級-ブチル、イソアミル、及びイソペンチルが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、アルキル基は、任意選択で置換され得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、-O-(アルキル)を指し、「アルキル」は、分岐又は直鎖アルキルとして上に定義されるとおりである。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、アルコキシ基は、任意選択で置換され得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、2つの他の原子の間に介在する二価アルキル部分を指す。例示的な実施形態では、「アルキレン」は、1、2、又は3個の炭素を含む上に定義されるアルキル部分を指す。アルキレン基の例には、これらに限定されないが、-CH-、-CHCH-、及び-CHCHCH-が挙げられる。例示的な実施形態では、アルキレン基は分岐である。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、アルキレン基は、任意選択で置換され得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、環が環員間で共有される非局在化のπ電子(芳香族性)によって特徴付けられ、環原子の数が数の範囲によって示される、環状炭化水素を指す。例示的な実施形態では、「アリール」は、6、7、8、9、又は10個の環原子を含む上述の環状炭化水素を指す(すなわち、C6-C10アリール)。アリール基の例としては、これらに限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、テトラリン、インデン、及びインダインが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、アリール基は、任意選択で置換され得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」という用語は、本明細書で定義されるように、アルキル基を介して親分子部分に付加される、本明細書に定義されるアリール基を意味する。アラルキルの代表例には、これらに限定されないが、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、及び2-ナフト-2-イルエチルが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、アラルキル基は、任意選択で置換され得る。
【0049】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書に定義されるように、アルキル基を意味し、少なくとも1つの水素は、本明細書に定義されるハロゲンで置き換えられる。ハロアルキルの代表例には、これらに限定されないが、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、及び2-クロロ-3-フルオロペンチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、1~5個のフッ素を有するC1-2フルオアルキルである。非限定的な例としては、CF、CFH、CFH、CHCF、及びCFCFが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、ハロアルキル基は、任意選択で置換され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、環式環系を指し、環原子のうちの少なくとも1つは、O、N、又はSであり、少なくとも1つの環は、芳香族であり、環原子の数は、数の範囲(例えば、5~12員ヘテロアリール、5~7員ヘテロアリール、5員ヘテロアリール、又は6員ヘテロアリール)によって示され得る。本明細書に定義されるヘテロアリール部分は、環中の1つ以上のC原子又はN原子を介して、他の部分への単結合によって結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロアリールからの環N原子は、-C(O)への結合原子であり、アミド、カルバメート、又は尿素を形成する。例示的な実施形態では、「ヘテロアリール」は、5又は6個の環原子を含む上述の環状炭化水素を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、単環式ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリール基の例としては、これらに限定されないが、ピロール、フラン、チエン、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、及びトリアジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、二環式ヘテロアリールである。二環式ヘテロアリール基の例としては、これらに限定されないが、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、インドリル、ベンゾキサゾール、ベンチアゾール、及びベンズミダゾールが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、ヘテロアリール基は、任意選択で置換され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書で定義されるように、アルキル基を介して親分子部分に付加される、本明細書に定義されるヘテロアリールを意味する。ヘテロアラルキルの代表例には、これらに限定されないが、ピリジン-3-イルメチル及び2-(チエン-2-イル)エチルが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、ヘテロアラルキル基は、任意選択で置換され得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ピリジル」は、環炭素原子から水素原子を除去することによってピリジンに由来する基を指す。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジル、4-ピリジル、又は5-ピリジルである。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、ピリジル基は、任意選択で置換され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、飽和又は部分不飽和環状環系を指し、環原子のうちの少なくとも1つは、O、N、又はSであり、環原子の数は、数の範囲(例えば、4~12員ヘテロシクリル、4~7員ヘテロシクリル、5員ヘテロシクリル、又は6員ヘテロシクリル)で示され得る。本明細書に定義されるヘテロシクリル部分は、環中の1つ以上のC原子又はN原子を介して、他の部分への単結合によって結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルからの環N原子は、-C(O)への結合原子であり、アミド、カルバメート、又は尿素を形成する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル環は、単環式又は二環式ヘテロシクリル環である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル環は、単環式ヘテロシクリル環である。ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、これらに限定されないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオラニル、及びテトラヒドロフラニルが挙げられる。本明細書に具体的に別段の記載がない限り、ヘテロシクリル基は、任意選択で置換され得る。
【0055】
本明細書で使用される「置換」という用語は、本明細書に記載される基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アラルキル、カルボシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、及び/又はヘテロアリール)のうちのいずれかを意味し、少なくとも1つの水素原子は、非水素原子、例えば、これらに限定されないが、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びエステル基などの基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、及びスルホキシド基などの基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、及びエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリルシリル基、及びトリアリールシリル基などの基中のケイ素原子;並びに様々な他の基中他のヘテロ原子への結合によって置き換えられる。また、「置換された」は、1つ以上の水素原子が、オキソ、カルボニル、カルボキシル、及びエステル基中の酸素、並びにイミン、オキシム、ヒドラゾン、及びニトリルなどの基中の窒素などのヘテロ原子への高次の結合(例えば、二重結合又は三重結合)によって置き換えられる、上記の基のうちのいずれかを意味する。例えば、「置換された」は、1つ以上の水素原子が、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)NR、-NRC(=O)OR、-NRSO、-OC(=O)NR、-OR、-SR、-SOR、-SO、-OSO、-SOOR、=NSO、及び-SONRで置き換えられる上記の基のうちのいずれかを含む。また、「置換された」は、1つ以上の水素原子が、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-CHSO、-CHSONRで置き換えられる、上記の基のうちのいずれかを意味する。前述において、R及びRは、同一又は異なっており、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール、及び/又はヘテロアリールアルキルである。「置換された」は、1つ以上の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール、及び/又はヘテロアリールアルキル基への結合によって置き換えられる上記の基のうちのいずれかを更に意味する。更に、前述の置換基の各々は、任意選択で、上記の置換基のうちの1つ以上で置換され得る。
【0056】
範囲:本開示全体を通して、本開示の様々な態様を範囲形式で提示することができる。範囲形式の説明は、単に利便性及び簡潔性のためであることが理解されるべきであり、本開示の範囲に対する非柔軟な制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能な部分範囲並びに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6などの部分範囲を具体的に開示しているとみなすべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0057】
本開示の化合物
消化管の疾患及び障害を含む、様々な疾患及び障害の治療に有用である化合物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、病原性細菌株によって産生される1つ以上の毒素を阻害することができる。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、B.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensである。
【0058】
B.fragilis及びB.fragilis毒素(BFT)
いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、B.fragilisである。B.fragilisは、グラム陰性のロッド形の細菌であり、その16S RNA配列によって識別され得る(以下の表1を参照されたい)。例えば、いくつかの実施形態では、B.fragilisの株は、配列番号1の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である16S RNA配列を有する。いくつかの実施形態では、B.fragilisの株は、配列番号1の配列と少なくとも97%同一である16S RNA配列を有する。
【表1】
【0059】
B.fragilis(Bacteroides fragilis)は、免疫系を含む宿主の健康を形成する一般的な共生嫌気性菌(ヒト結腸内細菌叢の約0.5%)である。腸管毒素原性B.fragilis(ETBF)株を含むB.fragilisのいくつかの病原性株は、B.fragilis毒素(BFT)又はフラギリシン称される炎症誘発性エンテロトキシンをコードする遺伝子を担持する。
【0060】
約20kDaの亜鉛依存性メタロプロテアーゼ毒素であるBFTは、ETBF株から分泌される。BFTは、塩素分泌を可逆的に刺激し、極性化消化管上皮細胞において緊密な接合部機能を変化させる。実験的研究によると、BFTの細胞標的はE-カドヘリンであることは当初示唆されていたが、より最近の研究によって、BFTが別の、識別されていない宿主受容体に結合することが示唆されている。BFTの酵素活性は、ETBFの病原性に必要とされている。
【0061】
B.fragilis(すなわち、ETBF株)の腸管毒素原性株は、BFTと称される炎症誘発性エンテロトキシンをコードする遺伝子を有する(図1)。これらの株は、B.fragilis試料中のBFT遺伝子を検出するためにPCRを使用することなどによって、当業者に既知のいくつかの方法を使用して、毒素非産生株(すなわち、NTBF株)から区別され得る。例示的なETBF株としては、86-5443-2-2、2-078382-3、BOB25、20656-2-1、20793-3、2078382-3、20793-3、20656-2-1、86-5443-2-2が挙げられる。いくつかの実施形態では、ETBF株は、ヒト糞便試料から単離される。いくつかの実施形態では、ETBF株は、BFTを発現するか、又は過剰発現するように操作された毒素非産生B.fragilis株などの操作された株である。
【0062】
BFTの3つの既知のアイソタイプがあり、B.fragilis病原性島(BfPAI)と称されるETBF株に見出される6kbの染色体領域内に含まれる別個のbft遺伝子座によってコードされる。様々なBFTアイソタイプを以下の表2に列挙する。いくつかの実施形態では、ETBF株は、BFT1、BFT2、及び/又はBFT3のうちの少なくとも1つを発現する。
【表2】
【0063】
E.faecalis及びゼラチナーゼE(GelE)
いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、E.faecalisである。E.faecalisは、グラム陽性共生細菌であり、その16S RNA配列によって識別され得る(以下の表3を参照されたい)。例えば、いくつかの実施形態では、E.faecalisの株は、配列番号5の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を有する。いくつかの実施形態では、E.faecalisの株は、配列番号5の配列と少なくとも97%同一である16S RNA配列を有する。いくつかの実施形態では、E.faecalis株は、ヒト糞便試料から単離される。いくつかの実施形態では、E.faecalis株は、GelEを発現するか、又は過剰発現するように操作された毒素非産生E.faecalis株などの操作された株である。
【表3】
【0064】
E.faecalis株は、しばしば、酵素ゼラチナーゼE又はGelEをコードする遺伝子を担持する。GelEは、E.faecalisの病原性因子である。それは、様々な宿主組織における細菌の生存に寄与し、インビトロでのバイオフィルム形成を増強することが示されている。
【0065】
GelEは、E.faecalis株から分泌される30-kDaのメタロプロテアーゼであり、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、ヘモグロビン、及びその他のペプチドを加水分解することができる。GelEの例示的な配列を以下の表4に示す。当業者によって理解されるように、例えば、Uniprot登録番号Q833V7に示されるように、多くの異なる種類のGelEが既知である。
【表4】
【0066】
C.perfringens及びコラゲナーゼA(ColA)
いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、C.perfringensである。C.perfringensは、多くの環境源、並びにヒト及び動物の腸に見出される、芽胞形成グラム陽性細菌である。C.perfringensは、その16S RNA配列によって識別され得る(以下の表5を参照されたい)。例えば、いくつかの実施形態では、C.perfringensの株は、配列番号7の配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である配列を有する。いくつかの実施形態では、C.perfringensの株は、配列番号7の配列と少なくとも97%同一である16S RNA配列を有する。いくつかの実施形態では、C.perfringens株は、ヒト糞便試料から単離される。いくつかの実施形態では、C.perfringens株は、ColAを発現するか、又は過剰発現するように操作された毒素非産生C.perfringens株などの操作された株である。
【表5】
【0067】
C.perfringens株は、典型的には、酵素コラゲナーゼA又はColAをコードする遺伝子を担持する。ColAは、コラーゲンを分解する毒素である。ColAは、細胞内の毒素を宿主組織に拡散させることによって、C.perfringensの病原性における役割を果たす。ColA分泌はまた、正常な免疫応答中に炎症誘発性サイトカインによっても引き起こされ得、これは組織損傷につながり得る。ColAは、C.histolyticumによって産生される酵素であるコラーゲンHと密接に関連し、類似の活性を有する。具体的には、ColA及びColHは両方ともコラーゲンを消化し、触媒ドメインにおいて高度な相同性を有し、構造的類似性(3Dインシリコモデルに基づく)を有する。
【0068】
ColA及びColHの例示的な配列を以下の表6に示す。当業者によって理解されるように、例えば、Uniprot登録番号Q46173及びQ46085に示されるように、多くの異なる種類のこれらの酵素が既知である。
【表6】
【0069】
BFT、ColA、及び/又はGelEに結合及び/又はそれを阻害し得る化合物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、すべての範囲及びその間の値を含む、約10-5~約10-13M、例えば、約10-5M、約10-6M、約10-7M、約10-8M、約10-9M、約10-10M、約10-11M、約10-12M、又は約10-13M範囲内の阻害定数でBFT、ColA、及び/又はGelEに結合する。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のいずれか1つの配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT1、BFT2、及びBFT3のうちの少なくとも1つに結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT1及びBFT2に結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT1及びBFT3に結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT2及びBFT3に結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT1、BFT2、及びBFT3に結合し、かつ/又はそれを阻害する。
【0070】
いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6の配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、小分子は、GelEに結合し、かつ/又はそれを阻害する。
【0071】
いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、小分子は、ColAに結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、ColAに結合し、かつ/又はそれを阻害する。
【0072】
いくつかの実施形態では、小分子は、BFT、GelE、及びColAのうちの1つ、2つ、又は3つすべてに結合し、かつ/又はそれを阻害する。例えば、いくつかの実施形態では、小分子は、BFTのみと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、GelEのみと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、ColAのみと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT及びGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT及びColAと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、ColA及びGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、BFT、GelE、及びColAと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、類似の親和性でColA、GelE、及びBFTの各々と結合する。いくつかの実施形態では、小分子は、異なる親和性でColA、GelE、及びBFTの各々と結合する。いくつかの実施形態では、小分子は、ColA、GelE、及びBFTの各々の活性を異なる程度に阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、ColA、GelE、及びBFTの各々の活性を、ほぼ等しい程度に阻害する。
【0073】
本開示の小分子は、インビトロ又はインビボで、BFT、ColA、及び/又はGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害し得る。いくつかの実施形態では、小分子は、細胞膜に結合されるBFT、ColA、及び/又はGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、分泌されたBFT、ColA、及び/又はGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害する。いくつかの実施形態では、小分子は、細胞内BFT、ColA、及び/又はGelEと結合し、かつ/又はそれを阻害する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示の小分子は、BFT、ColA、及び/又はGelE活性を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95減少させる。いくつかの実施形態では、小分子阻害剤は、BFT、ColA、及び/又はGelE活性を、約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、又は約75%~100%減少させる。いくつかの実施形態では、小分子阻害剤は、BFT、ColA、及び/又はGelE活性を、約95%~100%減少させ、例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の減少である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示の小分子は、BFT毒素を発現するB.fragilis(ETBF)の株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.aecalisの株、又はColAを発現するC.perfringensの株の病原性効果を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の小分子は、BFT毒素を発現するB.fragilis(ETBF)の株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.aecalisの株、又はC.perfringensの株の病原性効果を実質的に排除する。いくつかの実施形態では、本開示の小分子は、BFT毒素を発現するB.fragilis(ETBF)の株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.aecalisの株、又はC.perfringensの株の病原性効果を完全に排除する。
【0076】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、BFTと結合し、BFTの活性を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、細胞からE-カドヘリンを放出するBFTの能力を低減する。例えば、阻害剤は、E-カドヘリン放出を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%低減し得る。いくつかの実施形態では、阻害剤は、細胞からIL-8の分泌を引き起こすBFTの能力を低減する。例えば、阻害剤は、BFT媒介性IL-8分泌を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、化合物は、競合阻害によってBFT、ColA、及び/又はGelEを阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、非競合阻害によってBFT、ColA、及び/又はGelEを阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、非競争阻害によってBFT、ColA、及びGelEを阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、混合阻害(例えば、アロステリック阻害)によって、BFT、ColA、及び/又はGelEを阻害する。阻害は、可逆的であってもよく、又は不可逆的であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの構造を有する化合物、
【化9】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、アルキル、アリール、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロシクリル、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
3aは、H又はハロゲンであり、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールであり、
nは、0~3の整数である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの構造を有する化合物、
【化10】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり。
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、アルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-CH-アリール、CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又はCH-ハロアルキルであり、
は、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
3aは、H又はハロゲンであり、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、以下の化合物のうちの1つ以上、
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【化11-5】
又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、以下の化合物のうちの1つ以上、
【化12】
(Xは、-OHであり、Yは、H又はIである)、又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、以下の化合物のうちの1つ以上、
【化13-1】
【化13-2】
又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、以下の化合物のうちの1つ以上、
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【化14-5】
【化14-6】
【化14-7】
【化14-8】
【化14-9】
【化14-10】
又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、
【化15】
又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、以下の化合物のうちの1つ以上、
【化16】
又はその薬学的に許容される塩ではない。
【0086】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-又は-N(C1-5アルキル)-である。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチルである。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-、-N(CH)-、-N(CHCH)-、又は-N(CHCF)-である。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-である。
【0087】
式Iのいくつかの実施形態では、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、-NH(C1-5アルキル)、又は-NH(CHCF)である。いくつかの実施形態では、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、又は-NH(C1-5アルキル)である。いくつかの実施形態では、Yは、-OH又は-OC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチルである。いくつかの実施形態では、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)である。いくつかの実施形態では、Yは、-OH、-OCH、又は-OCHCHである。いくつかの実施形態では、Yは、-OHである。
【0088】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-であり、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、-NH(C1-5アルキル)、又は-NH(CHCF)である。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-又は-N(C1-5アルキル)-であり、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、又は-NH(C1-5アルキル)である。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-又は-N(C1-5アルキル)-であり、Yは、-OH又は-OC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、-NH-、-N(CH)-、-N(CHCH)-、又は-N(CHCF)-であり、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、又は-NH(C1-5アルキル)である。いくつかの実施形態では、Xは、-NHであり、Yは、-OH、-OC1-5アルキル、-NH、又は-NH(C1-5アルキル)である。いくつかの実施形態では、Xは、-NHであり、Yは、-OH又は-OC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、-NHであり、Yは、-OHである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、メチルである。
【0089】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロアルキル-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、-アルキレン-S-ヘテロアラルアルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、ハロアルキル-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、-アルキレン-S-ヘテロアラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-S-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-S-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、又はアルキル、アリール、-アルキレン-OH、又はアルキレン-O-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、-アルキレン-OH、又はアルキレン-O-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アリール、又はヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルはC1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、プロピレンである。いくつかの実施形態では、アルキルはC1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、イソアミル、又はイソペンチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、イソプロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、C6-12アリールである。いくつかの実施形態では、アリール(例えば、C6-12アリール)は、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、1つ以上のハロゲン、C1-5アルキル、又は-O-C1-5アルキルで置換されている。いくつかの実施形態では、フェニルは、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、フェニルは、3-フルオロフェニル、3-メトキシフェニル、3-クロロフェニル、4-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、3-ジフルオロメチルフェニル、3-チオメチルフェニル、4-トリル、又は3-トリルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、4-フルオロフェニル
【化17】
である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、C1-5アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、C1-3アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、メチレン(-CH-)又はエチレン(-CHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、エチレン又はプロピレン(-CHCHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、メチレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、エチレンである。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、CF、CHF、CHF、CHCF、CHCHF、又はCFCFである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、2-チオフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-(2-チオフェニル)である。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CHアリールである。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CH-フェニル、-CH-(4-ヒドロキシフェニル)、-CH-(4-メトキシフェニル)、-CH-(4-チオメチルフェニル)、-CH-(4-ニトロフェニル)、-CH-(3-トリフルオロメチルフェニル)、-CH-(4-トリフルオロメチルフェニル)、-CH-(4-ジフルオロメチルフェニル)、-CH-(3-フルオロフェニル)、又は-CH-(4-フルオロフェニル)である。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル、チオフェニル、オキサゾリル、又はチアゾリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-インドリル、-CH-イミダゾリル、-CH-オキサゾリル、-CH-チアゾリル、又は-CH-チオフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-チオフェニル
【化18】
である。
【0090】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、H、-(CH-アリール、-(CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又は-(CH-ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-(CH-アリール、-(CH-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又は-(CH-ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-(CH-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又は-(CH-ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アリール、-CH-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アリール、-CH-アルキル、又は-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキル又は-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルであり、アルキルは、任意選択で、アリール又はヘテロアリールで置換されている。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルであり、アルキルは、任意選択で、アリールで置換されている。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルであり、アルキルは、任意選択で、ヘテロアリールで置換されている。いくつかの実施形態では、アルキルはC1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、イソアミル、又はイソペンチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、イソプロピルではない。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5~14員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、6~14員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1個の窒素原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、2-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジル
【化19】
である。いくつかの実施形態では、ピリジルは、4-ピリジルである。いくつかの実施形態では、インドリルは、5-インドリル
【化20】
である。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、又はトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、CF、CHF、CHF、CHCF、CHCHF、又はCFCFである。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化21】
ではない。いくつかの実施形態では、Rは、
【化22】
ではない。いくつかの実施形態では、Rは、イソプロピルではない。
【0092】
いくつかの実施形態では、Rがイソプロピルである場合、R
【化23】
ではない。
【0093】
式Iのいくつかの実施形態では、nは、0~2である。いくつかの実施形態では、nは、1又は2である。いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、nは、1である。いくつかの実施形態では、nは、2である。いくつかの実施形態では、nは、3である。
【0094】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2である。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、
3-ピリジル
【化24】
又は5-インドリル
【化25】
である。
【0095】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-であり、Yは、-OHであり、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリール又は-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2である。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0096】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-であり、Yは、-OHであり、Rは、アルキル又はアリールであり、Rはm-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2である。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0097】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-アラルキル、又は-O-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、OH、アルコキシ、O-ヘテロアリール、又は-NH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、又はO-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-OH又はアルコキシである。いくつかの実施形態では、Rは、-OH又は-O-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C1-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C2-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、-OMe、-OEt、又は-OiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、-OMeである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、-OEt、-OPr、又は-OiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、-OEtである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NR又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、-O-アルキレン-NRは、-O-CH-C(O)-NRであるいくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたC2-5アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたエチレン(-CHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたプロピレン(-CHCHCH-)である。
【0098】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-アリール又は-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OH、-O-アルキル、又は-O-CH-C(O)-NRである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0099】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-アリール又は-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0100】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OH又は-O-アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0101】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0102】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-であり、Yは、-OHであり、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OH又は-O-アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0103】
式Iのいくつかの実施形態では、Xは、-NH-であり、Yは、-OHであり、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-(CH-ヘテロアリールであり、式中、nは、1又は2であり、Rは、-OHである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、各アルキルは独立して、メチル、エチル、又はプロピルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アリールは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル又はインドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、nは、2である。
【0104】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、アルキル又はアリールであり、Rは、-CH-アルキルであり、Rは、-OH、-O-アルキル、又は-O-CH-C(O)-NRである。いくつかの実施形態では、Rは、C1-5-アルキル又はフェニルである。いくつかでは、Rは、エチル又はフェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、1つ以上のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、フェニルは、4-フルオロフェニルである。いくつかの実施形態では、-CH-アルキルは、-CH-アラルキル又は-CH-ヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ピリジル又は-CH-インドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-(3-ピリジル)又は-CH-(5-インドリル)である。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。
【0105】
式Iのいくつかの実施形態では、R3aは、Hである。いくつかの実施形態では、R3aは、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3aは、H又はFである。
【0106】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、H、-C(O)アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、-C(O)アルキル、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)アリール又は-C(O)ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、アラルキル、又はヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、プロピル、ブチル、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。
【0107】
式Iのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、Pr、Bu、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、アルキルは、アラルキル又はヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、アラルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、ヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CHアリールである。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CHフェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、任意選択で、ハロゲン、C1-5アルキル、-OC1-5アルキル、-SC1-5アルキル、フルオロアルキル(例えば、CF、CFCFHなど)、又はフェニルで置換されている。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CHピリジル
【化26】
又は-CHチオフェニル
【化27】
である。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ピリジルである。いくつかの実施形態では、-CHピリジルは、-CH-(2-ピリジル)又は-CH-(3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、-CHチオフェニルは、-CH-(2-チオフェニル)である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。
【0108】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IAの構造、
【化28】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式Iに上述されるとおりである。
【0109】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IBの構造、
【化29】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式Iに上述されるとおりである。
【0110】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IB-1の構造、
【化30】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式Iに上述されるとおりである。
【0111】
いくつかの実施形態では、化合物は、式ICの構造、
【化31】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式Iに上述されるとおりである。
【0112】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IC-1の構造、
【化32】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、X、Y、R、R、R、及びR3aは、式Iに上述されるとおりである。
【0113】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IIの構造、
【化33】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、
X、Y、R、R、R、及びRは、式Iに上述されるとおりである。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIの化合物、
【化34】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、アルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-CH-アリール、CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0115】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IIIの構造、
【化35】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、
X、Y、R、R、R、及びRは、式Iに上述されるとおりである。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示は、式IIIの化合物、
【化36】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を提供し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
は、アルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rは、任意選択で、-OH、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
は、H、-CH-アリール、CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はアラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0117】
式II及び式IIIのいくつかの実施形態では、Rは、-(CH-アリール、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アリール、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、-CHアルキルは、任意選択で、アリール又はヘテロアリールで置換されている。いくつかの実施形態では、-CH-アルキルは、アリール又はヘテロアリールで置換された-CH-CHである。いくつかの実施形態では、アリールで置換されたCH-CHは、-CH-CH-アリールである。いくつかの実施形態では、CH-CHは、ヘテロアリール又は-CH-CH-ヘテロアリールで置換される。いくつかの実施形態では、アリールは、3-フルオロフェニル、3-メトキシフェニル、3-クロロフェニル、4-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、3-ジフルオロメチルフェニル、3-チオメチルフェニル、4-トリル、又は3-トリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、チアゾリル、又はオキサゾリルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、2-ピリジル又は3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、チアゾリルは、4-チアゾリル又は5-チアゾリルである。いくつかの実施形態では、オキサゾリルは、4-オキサゾリル又は5-オキサゾリルである。いくつかの実施形態では、インドリルは、5-インドリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、3-ピリジル又は5-インドリルである。
【0118】
式II及び式IIIのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロアルキル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、Me、Et、又はiPrである。いくつかの実施形態では、アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、アルキルEt、Pr、又はiPr。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、CF、CHF、CHF、CHCF、又はCFCFである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H、C1-5アルキル、又は5若しくは6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。
【0119】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IVの構造、
【化37】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
Xは、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yは、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
は、-CHアリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
は、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
は、H、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
は、H、アルキル、又はアリールである。
【0120】
いくつかの実施形態では、化合物は、式IVの構造、
【化38】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
X、Y、及びRは、式Iに上述されるとおりであり、
は、アルキルである。
【0121】
式IVのいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、イソアミル、又はイソペンチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、C1-6アルキルは、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCHOCH、又は-CHCHFである。いくつかの実施形態では、C1-6アルキルは、-CHCH(CHである。
【0122】
式IVのいくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、OH、アルコキシ、O-ヘテロアリール、又は-NH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、OH、アルコキシ、又はO-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、OH又はアルコキシである。いくつかの実施形態では、Rは、OH又はO-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、Rは、O-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C1-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C2-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OMe、OEt、又はOiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OMeである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OEt、OPr、又はOiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OEtである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NR又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、-O-アルキレン-NRは、-O-CH-C(O)-NRであるいくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたC2-5アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたエチレン(-CHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CHアリール、又は-CHヘテロアリールで置換されたプロピレン(-CHCHCH-)である。
【0123】
式IVのいくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRであり、式中、アルキレンは、Rで置換されていているいくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NR又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRであり、式中、アルキレンは、Rで置換されている。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、Rで置換されたC2-5アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、Rで置換されたエチレン(-CHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、Rで置換されたプロピレン(-CHCHCH-)である。いくつかの実施形態では、Rは、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。
【0124】
式IVのいくつかの実施形態では、Rは、H、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アラルキル、ヘテロアラルキルである。いくつかでは、Rは、H、-C(O)アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、-C(O)アルキル、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)アリール又は-C(O)ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、Pr、Bu、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CHアリールである。いくつかの実施形態では、アラルキルは、-CHフェニルである。いくつかの実施形態では、アリール(例えば、フェニル)は、任意選択で、ハロゲン、C1-5アルキル、-OC1-5アルキル、-SC1-5アルキル、フルオロアルキル(例えば、CF、CFCFHなど)、又はフェニルで置換されている。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ヘテロアラルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアラルキルは、-CH-ピリジルである。いくつかの実施形態では、-CHピリジルは、-CH-(2-ピリジル)又は-CH-(3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、-CHチオフェニルは、-CH-(2-チオフェニル)である。
【0125】
式IVのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、プロピル、ブチル、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。
【0126】
いくつかの実施形態では、式IVの化合物は、以下による構造、
【化39】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
、R、及びRは、上記の式I及びIVに定義されるとおりであり、
は、F、オキソ、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。
【0127】
いくつかの実施形態では、化合物は、式Vの構造、
【化40】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、
は、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、
X、Y、R、R、及びRは、式Iに上述されるとおりである。
【0128】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-6アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、イソアミル、又はイソペンチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、エチル、プロピル、又はイソブチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。
【0129】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキル、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、-CH-アルキルは、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、又は-CHCHFである。いくつかの実施形態では、-CHアルキルは、-CHCH(CHである。いくつかの実施形態では、-CHアリールは、-CH-Phである。いくつかの実施形態では、-CH-ヘテロアリールは、-CH-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。
【0130】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、-OH、アルコキシ、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、OH、アルコキシ、O-ヘテロアリール、又は-NH-アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、OH、アルコキシ、又はO-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、OH又はアルコキシである。いくつかの実施形態では、Rは、OH又はO-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、OHである。いくつかの実施形態では、Rは、O-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C1-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C2-5アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OMe、OEt、又はOiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OMeである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OEt、OPr、又はOiPrである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、OEtである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、Rは、-O-アルキレン-NR又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールで置換されたC2-5アルキレンである。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールで置換されたエチレン(-CHCH-)である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、任意選択で、オキソ、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールで置換されたプロピレン(-CHCHCH-)である。
【0131】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、ハロアルキル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C2-5アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、Me、Et、又はiPrである。いくつかの実施形態では、アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、アルキルEt、Pr、又はiPr。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、CF、CHF、CHF、CHCF、又はCFCFである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ピリジルは、3-ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。
【0132】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、H、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、アラルキル、ヘテロアラルキルである。いくつかでは、Rは、H、-C(O)アルキル、-C(O)シクロアルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、-C(O)アルキル、又は-C(O)アラルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)アリール又は-C(O)ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、Pr、Bu、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、1又は2個の窒素原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、イミダゾリルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。
【0133】
式Vのいくつかの実施形態では、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me、Et、プロピル、ブチル、又はiPrである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Me又はEtである。いくつかの実施形態では、C1-5アルキルは、Meである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピルである。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。
【0134】
いくつかの実施形態では、化合物は、式VAの構造、
【化41】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、X、Y、R、R、及びRは、式Iに上述されるとおりである。
【0135】
式VAのいくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキル、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、-CH-アルキルである。いくつかの実施形態では、-CH-アルキルは、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、又は-CHCHFである。いくつかの実施形態では、-CHアルキルは、-CHCH(CHである。いくつかの実施形態では、-CHアリールは、-CHPhである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、N、S、及びOから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、-CH-ヘテロアリールは、-CH-ピリジルである。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、式(I)の化合物)は、
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、式(IV)又は式(V)の化合物)は、
【表8-1】
【表8-2】
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、式Iの化合物)は、表7の化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、表7に列挙された化合物のうちのいずれかの立体異性体又は薬学的に許容される塩である。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、表10の化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、表10に列挙された化合物の立体異性体又は薬学的に許容される塩である。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、表11の化合物である。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、表11に列挙された化合物の立体異性体又は薬学的に許容される塩である。
【0141】
化合物の薬学的に許容される誘導体としては、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグが挙げられる。薬学的に許容される塩には、これらに限定されないが、アミン塩、例えば、これらに限定されないが、N,N′-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及び他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジルフェンエチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2-ピロリジン-1’-イルメチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン及び他のアルキルアミン、ピペラジン、並びにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;アルカリ金属塩、例えば、これらに限定されないが、リチウム、カリウム、及びナトリウム;アルカリ土類金属塩、例えば、これらに限定されないが、バリウム、カルシウム、及びマグネシウム;遷移金属塩、例えば、これらに限定されないが、亜鉛;並びに無機塩、例えば、これらに限定されないが、リン酸水素ナトリウム及びリン酸二ナトリウム;また、これらに限定されないが、ミネラル酸の塩、例えば、これらに限定されないが、塩酸塩及び硫酸塩;並びに有機酸の塩、例えば、これらに限定されないが、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、メシル酸塩、及びフマル酸塩が含まれる。薬学的に許容されるエステルには、これらに限定されないが、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、及びボロン酸を含むがこれに限定されない酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルエステルが含まれる。薬学的に許容されるエノールエーテルには、これらに限定されないが、式C=C(OR)の誘導体が含まれ、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルである。薬学的に許容されるエノールエステルには、これらに限定されないが、式C=C(OC(O)R)の誘導体が含まれ、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及びシクロアルキルである。薬学的に許容される溶媒和物及び水和物は、1つ以上の溶媒若しくは水分子、又は1~約100、若しくは1~約10、又は1~約2、3、若しくは4の溶媒若しくは水分子を有する化合物の複合体である。
【0142】
本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)は、キラル中心を含み得る。そのようなキラル中心は、(R)又は(S)立体配置のいずれかであってもよく、又はそれらの混合物であってもよい。化合物は、エナンチオマー的に純粋であってもよく、又は立体異性体若しくはジアステレオマー混合物であってもよい。化合物がインビボでエピマー化される実施形態では、その(R)形態の化合物の投与は、その(S)形態の化合物の投与と同等である。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式、IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)は、約100mM未満、約10mM未満、約1mM未満、約0.1mM未満、約0.01mM未満、約0.001mM未満、約0.0001mM、又は約0.00001mM未満の阻害定数(Ki)を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、約10-5~約10-13M、例えば、約10-5、約10-6、約10-7、約10-8、約10-9、約10-10、約10-11、約10-12、約10-13Mの範囲内の阻害定数を有する。「阻害定数」という用語は、半数阻害濃度の酵素を産生するために必要とされる阻害剤の濃度を示す。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、約100mM未満、約10mM未満、約1mM未満、約0.1mM未満、約0.01mM未満、約0.001mM未満、約0.0001mM未満、又は約0.00001mM未満のIC50を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、約1μM~約500μMの範囲内のIC50を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、約0.1~約10nm、約10nm~約100nm、約100nm~約500nm、約500nm~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約100μM、約100μM~約500μM、約500μM~約1mM、又は約1mM~約100mMの範囲内のIC50を有する。本明細書で使用される場合、IC50は、半数阻害濃度(すなわち、特定の生物学的又は生化学的機能を阻害することにおける物質の効力の尺度)である。IC50は、当該技術分野で既知の標準的な阻害アッセイを使用して決定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、小分子阻害剤のIC50は、FRETベースのペプチド基質の切断を測定することによって決定され得る。FRETベースのペプチド基質は、例えば、配列Mca-Pro-Leu-Gly-Leu-Dap(Dnp)-Ala-Arg-NH(配列番号10)を有するAnaspec AS-27077であってもよく、式中、Mcaは、7-メトキシ-クマリン-4-イル酢酸-2,4-ジニトロフェニル-リジンを表し、Dap(Dnp)は、Nβ-2,4-ジニトロフェニル-L-ジ-アミノプロピオン酸を表す。
【0145】
医薬組成物
本開示の1つ以上の化合物を含む医薬組成物もまた本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示される1つ以上の化合物(例えば、式I、式IA、式、IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)と、1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む。薬学的に許容される担体及び賦形剤の非限定的なリストは、Adejare,A.(Ed.)(2020)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,23rd Edition.Elsevierに開示されており、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
医薬組成物は、従来の薬学的に許容される賦形剤及び添加剤、並びに従来的な技術を使用して調製することができる。そのような薬学的に許容される賦形剤及び添加剤には、これらに限定されないが、非毒性の適合性充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、香味剤、増粘剤、着色剤、乳化剤などが含まれる。
【0147】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の阻害剤の濃度は、約1ナノモル~約1マイクロモル、約1マイクロモル~約1ミリモル、約1ミリモル~約1モルの範囲である。いくつかの実施形態では、阻害剤の濃度は、約10マイクロモル、約25マイクロモル、約50マイクロモル、約75マイクロモル、約100マイクロモル、約250マイクロモル、又は約500マイクロモルである。
【0148】
医薬組成物は、全身的又は局所的に投与するために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜的、局所的、吸入を介して、頬側投与を介して、胸腔内、静脈内、動脈内、胃内、鼻、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内又はそれらの組み合わせによる投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与のための製剤化され得る。
【0149】
経口投与については、医薬組成物は、例えば、薬学的に許容される賦形剤を用いる従来的な手段によって調製された錠剤、カプセル、又はトローチの形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、液体として製剤化される。液体調製物は、例えば、エリキシル、溶液、シロップ、又は懸濁液の形態を取ることができるか、又は使用前に水若しくは他の好適なビヒクルとの構成のための乾燥生成物として提示することができる。経口投与はまた、腸内組織において薬剤の著しい活性がある場合、消化器条件下で活性を維持する酸安定剤、錠剤の腸溶性コーティングなどを含み得る腸溶性製剤も含む。
【0150】
注射剤は、液体溶液若しくは懸濁液、注射前の液体中の溶液若しくは懸濁液に好適な固体形態、又はエマルションのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。注射剤、溶液、及びエマルションはまた、1つ以上の賦形剤を含み得る。賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールが挙げられる。更に、所望される場合、投与される医薬組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性エンハンサー、及び例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレート、及びシクロデキストリンなどの他のものなどの、少量の非毒性補助物質を含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内投与のために製剤化される。多数の送達装置が、留置カテーテル、ドロッパー、単位用量容器、スクイーズボトルポンプスプレー、エアレス及び防腐剤フリースプレー、圧縮空気ネブライザー、定量吸入器、送気装置、並びに加圧定量吸入器などの鼻腔内投与のために利用可能である。装置は、送達の精度、用量再現性、費用、及び使いやすさが異なる。現在、定量システムは、最大の用量精度及び再現性を提供する。
【0152】
治療方法
本開示は、対象における疾患又は障害を治療又は予防する方法に関し、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)又はその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における炎症性腸疾患又は障害を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)又はその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患又は障害は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、潰瘍性大腸炎、分類不能大腸炎、顕微鏡的大腸炎、及び膠原線維性大腸炎を治療するために使用され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるがんを治療する方法を提供し、方法は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)又はその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、がんは、消化器(GI)がんである。GIがんは、例えば、食道がん、胆嚢がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、及び肛門がんであり得る。いくつかの実施形態では、がんは、腺がん、消化管間質腫瘍(GIST)、大腸リンパ腫、カルチノイド、ターコット症候群、ポイツ・ジェガース症候群(PJS)、家族性大腸がん(FCC)、又は若年性ポリポーシスなどの大腸がんである。がんは、ステージI、ステージII、ステージIII、又はステージIV(すなわち、転移性)であり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、本開示は、全身性細菌感染症を治療することを必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、方法は、対象に、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)又はその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、全身性細菌感染症は、全身性組織感染症である。いくつかの実施形態では、全身性細菌感染症は、心内膜炎又は尿路感染症である。いくつかの実施形態では、全身性細菌感染症は、敗血症である。
【0156】
開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の病原性細菌株によってコロニー形成される。コロニー形成は、急性感染をもたらすか、又は慢性感染をもたらし得る。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、B.fragilis、E.faecalis、及び/又はC.perfringensである。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、BFT毒素を発現するB.fragilisの株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.faecalisの株、又はコラゲナーゼColAを発現するC.perfringensの株である。いくつかの実施形態では、病原性細菌株は、BFT毒素を発現するB.fragilisの株である。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilis、E.faecalis、又はC.perfringensによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilis、E.faecalis、及びC.perfringensによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilis及びE.faecalisによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilis及びC.perfringensによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、E.faecalis及びC.perfringensによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilisによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、B.fragilis(ETBF)の腸管毒素原性株によってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、2つ以上のETBF株でコロニー形成される。いくつかの実施形態では、ETBFでコロニー形成された対象は、1つ以上のNTBF株でもコロニー形成される。いくつかの実施形態では、コロニー形成は、1つ以上のETBF株によるものである。いくつかの実施形態では、対象は、E.faecalisによってコロニー形成される。いくつかの実施形態では、対象は、C.perfringensによってコロニー形成される。
【0157】
いくつかの実施形態では、対象における疾患又は障害を治療又は予防するための方法は、BFT毒素を発現するB.fragilisの株、ゼラチナーゼGelEを発現するE.faecalisの株、又はコラゲナーゼColAを発現するC.perfringensの株の病原性効果を減少させる、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I、式IA、式IB、式IB-1、式IC、式IC-1、式II、式III、式IV、式IVA、式IVB、式V、又は式VAの化合物)を対象に投与することを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、対象における疾患又は障害を治療又は予防するための方法は、BFT、ColA、及びGelEのうちの1つ以上に結合し、かつ/又はそれを阻害する化合物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、約10-5~約10-13M、例えば、約10-5、約10-6、約10-7、約10-8、約10-9、約10-10、約10-11、約10-12、約10-13Mの範囲内の阻害定数で、BFT、ColA、及び/又はGelEに結合する。いくつかの実施形態では、対象における疾患又は障害を治療又は予防する方法は、BFT、ColA、及び/若しくはGelEの阻害剤又はその医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つと少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BFTは、配列番号2~4のうちのいずれか1つと少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも約97%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、GelEは、配列番号6と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ColAは、配列番号8と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0159】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、化合物を投与することは、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を低減及び/又は排除する。本開示の方法のいくつかの実施形態では、化合物を投与することは、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を低減する。本開示の方法のいくつかの実施形態では、化合物を投与することは、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を排除する。いくつかの実施形態では、化合物を投与することは、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を実質的に排除する。いくつかの実施形態では、化合物の投与は、BFT、ColA、及び/又はGelEのうちの少なくとも1つの活性を完全に排除する。いくつかの実施形態では、化合物(例えば、BFT、ColA、及び/又はGelEの阻害剤)を投与することは、対象における病原性細菌の数を低減する。いくつかの実施形態では、化合物を投与することは、対象における病原性細菌によって引き起こされる感染を排除する。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、B.fragilis、E.faecalis、及びC.perfringensのうちの1つ以上である。
【0160】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患又は障害である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、短期間の水様性下痢(例えば、コレラによる)、短期間の血性下痢(例えば、赤痢)、及び持続性の下痢(例えば、14日を超えて持続する)などの下痢性疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、消化器(GI)がんである。GIがんは、例えば、食道がん、胆嚢がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、及び肛門がんであり得る。いくつかの実施形態では、がんは、腺がん、消化管間質腫瘍(GIST)、大腸リンパ腫、カルチノイド、ターコット症候群、ポイツ・ジェガース症候群(PJS)、家族性大腸がん(FCC)、又は若年性ポリポーシスなどの大腸がんである。がんは、ステージI、ステージII、ステージIII、又はステージIV(すなわち、転移性)であり得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の疾患又は障害を有する(又は有する疑いがある)。いくつかの実施形態では、対象は、クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患又は障害を有する(又は有する疑いがある)。いくつかの実施形態では、対象は、短期間の水様性下痢(例えば、コレラによる)、短期間の血性下痢(例えば、赤痢)、及び持続性の下痢(例えば、14日を超えて持続する)などの下痢性疾患を有する(又は有する疑いがある)。いくつかの実施形態では、対象は、消化器(GI)がんを有する。GIがんは、例えば、食道がん、胆嚢がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、及び肛門がんであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、腺がん、消化管間質腫瘍(GIST)、大腸リンパ腫、カルチノイド、ターコット症候群、ポイツ・ジェガース症候群(PJS)、家族性大腸がん(FCC)、又は若年性ポリポーシスなどの大腸がんを有する。がんは、ステージI、ステージII、ステージIII、又はステージIV(すなわち、転移性)であり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、対象は、霊長類、有蹄類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ)、家畜のペット、又は家畜哺乳動物などの哺乳動物である。いくつかの場合、対象は、ウサギ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ネコ、又はイヌから選択される哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。対象は、雄であっても、雌であってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳超、約25歳超、約35歳超、約45歳超、約55歳超、約65歳超、約75歳超、又は約85歳超である。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳未満、約16歳未満、約14歳未満、約12歳未満、約10歳未満、約8歳未満、約6歳未満、約5歳未満、約4歳未満、約3歳未満、約2歳未満、約1歳未満、又は約6ヶ月齢未満である。いくつかの実施形態では、対象は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、対象は、18歳未満である。
【0163】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、化合物又は医薬組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜的、局所的、吸入を介して、頬側投与を介して、胸腔内、静脈内、動脈内、胃内、鼻、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内又はそれらの組み合わせにより、対象に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、対象に経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、錠剤又はカプセルで投与される。いくつかの実施形態では、錠剤又はカプセルは、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、液体製剤として投与される。いくつかの実施形態では、液体製剤は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、対象に静脈内投与される。
【0164】
本明細書に記載される医薬組成物は、治療有効用量で投与され得る。本明細書で使用される場合、「治療有効用量」は、患者における疾患又は障害の徴候又は症状を緩和するなど、意図される治療目的を達成するのに十分な用量を意味する。本発明における化合物の治療有効量は、達成されるべき特定の目標、治療されている患者の年齢及び身体状態、基礎疾患の重症度、治療期間、併用療法の性質、並びに用いられる特定の化合物によって変化する。例えば、小児又は新生児に投与される本発明の化合物の治療有効量は、健全な医学的判断に従って比例的に低減される。したがって、本発明の化合物の有効量は、所望の効果を提供する最小量である。
【0165】
投与される化合物の量は、例えば、治療されている特定の適応症、投与経路、所望の利益が予防的又は治療的であるか、患者の治療されている適応症の重症度並びに年齢及び体重、特定の活性化合物の生物学的利用能などを含む、様々な要因に依存する。有効用量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0166】
有効用量は、インビトロアッセイから最初に推定され得る。例えば、動物で使用するための初期投与量は、インビトロアッセイで測定される場合に、特定の化合物のIC50以上の活性化合物の循環血液又は血清濃度を達成するために製剤化され得る。特定の化合物の生物学的利用能を考慮して、このような循環血液、血清、又は腸内濃度を達成するために投与量を計算することは、十分に当業者の能力の範囲内である。ガイダンスについては、Fingl&Woodbury,“General Principles,”In:Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,Chapter 1,pp.1-46,latest edition,Pergamon Press、及びその中で引用される参考文献を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
初期投与量はまた、動物モデルなどのインビボデータから推定され得る。上述の様々な疾患を治療又は予防するための化合物の有効性の試験に有用な動物モデルは、当該技術分野で周知である。
【0168】
投与量は、典型的には、約0.0001又は0.001又は0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内であるが、他の要因の中でも、化合物の活性、その生物学的利用能、投与様式、及び上で議論される様々な要因に応じて、より高く又は低くすることができる。いくつかの実施形態では、対象に投与される化合物の用量は、すべての範囲及びその間の値を含む、1日当たり約0.001~約1000mg/kg体重、例えば、1日当たり約0.001mg/kg体重、1日当たり約0.01mg/kg体重、1日当たり約0.1mg/kg体重、1日当たり約1mg/kg体重、1日当たり約10mg/kg体重、1日当たり約100mg/kg体重、又は1日当たり約1000mg/kg体重である。投与量及び間隔は、治療又は予防効果を維持するのに十分な化合物の血漿レベルを提供するために個別に調整され得る。局所局所(local topical)投与などの局所投与又は選択的取り込みの場合、活性化合物の有効局所濃度は、血漿濃度とは関連付けられない。当業者は、過度の実験をすることなく、効果的な局所投与量を最適化することができる。
【0169】
阻害剤(又はそれを含む医薬組成物)は、1日1回、週1回、又は1日若しくは週に複数回(例えば、1日2回、1日3回、1日4回など)投与され得る。投与頻度は、とりわけ、治療されている適応症及び処方医師の判断に依存し得る。治療有効量の化合物による対象の治療は、単一の治療を含み得るか、又は好ましくは、一連の治療を含み得る。別の実施例では、対象は、慢性状態又は疾患の状況で数年間毎日治療され得る。また、治療に使用される有効投与量は、特定の治療過程にわたって増加又は減少し得ることも理解されるであろう。
【0170】
本明細書に引用される各すべての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示は特定の実施形態への参照を含むが、本開示の他の実施形態及び変形は、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような実施形態及び同等の変形を含むと解釈されることが意図される。
【0171】
本開示の番号付けされた実施形態:
1.式IB又はICの化合物、
【化42】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yが、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
が、H、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アリール、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rが、任意選択で、-OH、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
が、H、-CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロシクリル、-CH2n-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
3aが、H又はハロゲンであり、
が、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールである、式IB又はICの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0172】
1a.式IB又はICの化合物、
【化43】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yが、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
が、H、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、-アルキレン-NH、-アルキレン-C(=O)NH、ヘテロアラルキル、アリール、アラルキル、-アルキレン-S-アルキル、-アルキレン-S-ハロアルキル、-アルキレン-S-アラルキル、又は-アルキレン-S-ヘテロアラルキルであり、Rが、任意選択で、-OH、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されており、
が、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロシクリル、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)アラルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、又は-O-アラルキルであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
3aが、H又はハロゲンであり、
が、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
nが、0~3の整数である、式IB又はICの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0173】
2.式IBの化合物が、式IB-1又はIC-1の構造、
【化44】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、実施形態1又は1aに記載の化合物。
【0174】
3.Xが、-NH-又は-N(C1-5アルキル)-である、実施形態1、1a、又は2に記載の化合物。
【0175】
4.C1-5アルキルが、メチル又はエチルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
【0176】
5.Xが、-NH-である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
【0177】
6.Yが、-OH、-OCH、又は-OCHCHである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の化合物。
【0178】
7.Yが、-OHである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0179】
8.Rが、-C-Cアルキル、-C-Cアルキル-OH、-(C-Cアルキレン)-S-(C-Cアルキル)、-(C-Cアルキレン)-S-(C-Cハロアルキル)、-(C-Cアルキレン)-SCH-ヘテロアリール、-CH-フェニル、-CH-ヘテロアリール、又は-CHC(=O)NHであり、フェニルが、任意選択で、-OH、-OMe、ハロゲン、-CHF、-CHF、又は-CFから選択される1つ以上の基で置換されている、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0180】
9.Rが、-CHCH(CH、-CH(OH)CH、-CHCHSCH
【化45】
、-CH-フェニル、-CH-(3-インドリル)、-CH-(4-イミダゾリル)、-CHC(=O)NH
【化46】
、-CH(CH)SCHCH、-CH(CH)SCH-(3-ピリジル)、-CH(CH)SCH-(4-ピリジル)、又は-CH(CH)SCHCFである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0181】
10.Rが、H、アルキル、ハロアルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、-アルキレン-S-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0182】
11.Rが、H、アルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はアラルキルである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0183】
12.Rが、H、アルキル、-アルキレン-OH、アルキレン-O-アルキルである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0184】
13.Rが、H又はアルキルである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0185】
14.Rが、アルキルである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0186】
15.Rが、Hである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
【0187】
16.アルキルが、C1-6アルキルである、実施形態10~14のいずれか1つに記載の化合物。
【0188】
17.アルキルが、イソブチル又はエチル基である、実施形態10~14のいずれか1つに記載の化合物。
【0189】
17a.アルキルが、エチル基である、実施形態10~14のいずれか1つに記載の化合物。
【0190】
18.Rが、-CH-アルキル、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである、実施形態1~17aのいずれか1つに記載の化合物。
【0191】
18a.Rが、-CH-アルキル、-(CH-アリール、又は-(CH-ヘテロアリールである、実施形態1a~17aのいずれか1つに記載の化合物。
【0192】
19.Rが、-(CH-ヘテロアリールである、請求項1a~18のいずれか1つに記載の化合物。
【0193】
20.ヘテロアリールが、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである、実施形態18、18a、及び19のいずれか1つに記載の化合物。
【0194】
21.ヘテロアリールが、N、O、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールである、実施形態18~20のいずれか1つに記載の化合物。
【0195】
22.ヘテロアリールが、ピリジル、チアゾイル、オキサゾリル、又はインドリルである、実施形態18、18a、及び19のいずれか1つに記載の化合物。
【0196】
23.ヘテロアリールが、3-ピリジル又は5-インドリルである、実施形態18、18a、及び19のいずれか1つに記載の化合物。
【0197】
23a.ヘテロアリールが、3-ピリジルである、実施形態18、18a、及び19のいずれか1つに記載の化合物。
【0198】
24.nが、1又は2である、実施形態1a~23aのいずれか1つに記載の化合物。
【0199】
24a.nが、2である、実施形態1a~23aのいずれか1つに記載の化合物。
【0200】
25.Rが、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRであり、アルキレンが、任意選択で、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールで置換されている、実施形態1~24aのいずれか1つに記載の化合物。
【0201】
26.Rが、-OH又はアルコキシである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物。
【0202】
26a.Rが、-OHである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の化合物。
【0203】
27.アルコキシが、-OCHである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の化合物。
【0204】
28.アルキレンが、C1-3アルキレンである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物。
【0205】
29.アルキレンが、メチレン又はエチレンである、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物。
【0206】
30.Rが、H、アラルキル、又はヘテロアラルキルである、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物。
【0207】
30a.アラルキルが、-CHアリールである、実施形態30に記載の化合物。
【0208】
30b.アラルキルが、-CHPhである、実施形態30又は30aに記載の化合物。
【0209】
30c.ヘテロアラルキルが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、実施形態30~30bのいずれか1つに記載の化合物。
【0210】
31.Rが、H又はアルキルである、実施形態1~30cのいずれか1つに記載の化合物。
【0211】
31a.アルキルが、アラルキル又はヘテロアラルキルである、実施形態31に記載の化合物。
【0212】
31b.アラルキルが、-CHアリールである、実施形態31aに記載の化合物。
【0213】
31c.アラルキルが、-CHPhである、実施形態31a又は31bに記載の化合物。
【0214】
31d.ヘテロアラルキルが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、実施形態31a~31cのいずれか1つに記載の化合物。
【0215】
32.式IVの化合物、
【化47】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yが、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
が、アルキルであり、
が、-OH、アルコキシ、-O-アルキレン-NR、アルキル、-S-アルキル、-NH-アルキル、-N(CH)-アルキル、-N(H)C(O)-アルキレン-NR、-O-ハロアルキル、-O-アリール、又は-O-ヘテロアリールであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
が、H、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールである、式IVの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0216】
32a.式Vの化合物、
【化48】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yが、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
が、H、-CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
が、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールである、式Vの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0217】
32b.式Vの化合物、
【化49】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、-N(CHCF)-、又は-O-であり、
Yが、H、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが、-NH-、-N(C1-5アルキル)-、又は-N(CHCF)-である場合、Yは、-OH、-OCH、-OCHCH、-NH、-NH(CH)、-NH(CHCH)、又は-NH(CHCF)であり、
Xが-O-である場合、YはHであり、
が、H、-(CH-アリール、-CH-アルキル、-CH(Me)-アルキル、-(CH-ヘテロアリール、又は-CH-ハロアルキルであり、
が、H、アルキル、-アルキレン-NR、ハロアルキル、アリール、アラルキル、又はヘテロアリールであり、それらの各々が、任意選択で置換されており、
が、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、-C(O)アルキル、-C(O)アリール、-C(O)ヘテロアリール、又は-C(O)アラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
nが、0~3の整数である、式Vの化合物、又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩。
【0218】
33.Xが、-NH-又は-N(C1-5アルキル)-である、実施形態32、32a、又は32bのいずれか1つに記載の化合物。
【0219】
34.C1-5アルキルが、メチル又はエチルである、実施形態32、32、32b、及び33のいずれか1つに記載の化合物。
【0220】
35.Xが、-NH-である、実施形態32~34のいずれか1つに記載の化合物。
【0221】
36.Yが、-OH、-OCH、又は-OCHCHである、実施形態32~35のいずれか1つに記載の化合物。
【0222】
37.Yが、-OHである、実施形態32~36のいずれか1つに記載の化合物。
【0223】
37a.Rが、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCHOCH、又は-CHCHFである、実施形態32~37のいずれか1つに記載の化合物。
【0224】
37b.Rが、-CHCH(CHである、実施形態37aに記載の化合物。
【0225】
37c.Rが、-CH-アリール、-CH-アルキル、又は-CH-ヘテロアリールである、実施形態32a~37のいずれか1つに記載の化合物。
【0226】
37d.Rが、-CH-Ph、-CH-CH(CH、又は-CH-(3-ピリジル)である、実施形態32a~37cのいずれか1つに記載の化合物。
【0227】
38.Rが、-OH、アルコキシ、-O-ハロアルキル、-O-アラルキル、-O-ヘテロアラルキル、-O-アルキレン-NR、アルキル、又は-N(H)C(O)-アルキレン-NRであり、アルキレンが、任意選択で、F、オキソ、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールで置換されている、実施形態32~37のいずれか1つに記載の化合物。
【0228】
39.Rが、-OH、アルコキシ、又は-O-アルキレン-NRである、実施形態32~38のいずれか1つに記載の化合物。
【0229】
40.アルコキシが、-OCHである、実施形態32~39のいずれか1つに記載の化合物。
【0230】
41.アルキレンが、C1-3アルキレンである、実施形態32~38のいずれか1つに記載の化合物。
【0231】
42.アルキレンが、メチレン又はエチレンである、実施形態32~38のいずれか1つに記載の化合物。
【0232】
42a.-O-アルキレン-NRが、-O-CH-C(O)-NRである、実施形態39に記載の化合物。
【0233】
43.Rが、H又はアラルキル又はヘテロアラルキルである、実施形態32~42aのいずれか1つに記載の化合物。
【0234】
43a.アラルキルが、-CHアリールである、実施形態43に記載の化合物。
【0235】
43b.アラルキルが、-CHPhである、実施形態43又は43aに記載の化合物。
【0236】
43c.Phが、任意選択で、1つ以上のハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はそれらの組み合わせで置換されている、実施形態43bに記載の化合物。
【0237】
43d.アラルキルが、
【化50】
からなる群から選択される、実施形態43b又は43cに記載の化合物。
【0238】
43e.アラルキルが、
【化51】
である、実施形態43b又は43cに記載の化合物。
【0239】
43f.アラルキルが、
【化52】
である、実施形態43b又は43cに記載の化合物。
【0240】
43g.ヘテロアラルキルが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、実施形態43~43eのいずれか1つに記載の化合物。
【0241】
43h.ヘテロアラルキルが、
【化53】
である、実施形態43~43eのいずれか1つに記載の化合物。
【0242】
44.Rが、H又はアルキルである、実施形態32~43のいずれか1つに記載の化合物。
【0243】
45.式IVの化合物が、以下による構造、
【化54】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
が、アルキルであり、
が、H、アラルキル、又はヘテロアラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
が、F、アルキル、フルオロアルキル、アリール、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールである、実施形態32に記載の化合物。
【0244】
45a.式Vの化合物が、以下による構造、
【化55】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
が、アルキル、-CH-アリール、又は-CH-ヘテロアリールであり、
が、H、アラルキル、又はヘテロアラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールである、実施形態32aに記載の化合物。
【0245】
45b.式Vの化合物が、以下による構造、
【化56】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有し、式中、
が、アルキル、-(CH-アリール、又は-(CH-ヘテロアリールであり、
が、H、アラルキル、又はヘテロアラルキルであり、
が、H、アルキル、又はアリールであり、
nが、0~3の整数である、実施形態32bに記載の化合物。
【0246】
46.Rが、C1-5アルキルである、実施形態45、45a、又は45bに記載の化合物。
【0247】
46a.Rが、C1-5アルキル、-CHPh、又は-CHピリジルである、実施形態45a又は45bに記載の化合物。
【0248】
46b.Rが、C1-5アルキル、-CHCHPh、又は-CHCHピリジルである、実施形態45bに記載の化合物。
【0249】
46c.Rが、-CHCH(CH、-CHCHCH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCHOCH、又は-CHCHFである、実施形態45、45a、又は45bに記載の化合物。
【0250】
46d.Rが、-CHCH(CHである、実施形態45、45a、又は45bに記載の化合物。
【0251】
47.Rが、Me、Et、Pr、iPr、Bu、iBu、又はsBuである、実施形態45、45a、又は45bに記載の化合物。
【0252】
47a.Rが、-CHアリール又は-CHヘテロアリールである、実施形態45a~47のいずれか1つに記載の化合物。
【0253】
47b.-CHアリールが、
【化57】
からなる群から選択される、実施形態47aに記載の化合物。
【0254】
47c.-CHアリールが、
【化58】
である、実施形態47a又は47bに記載の化合物。
【0255】
47d.-CHアリールが、
【化59】
である、実施形態47a~47cのいずれか1つに記載の化合物。
【0256】
47e.-CHヘテロアリールが、-CHピリジル又は-CHチオフェニルである、実施形態47a~47dのいずれか1つに記載の化合物。
【0257】
47f.-CHヘテロアリールが、
【化60】
である、実施形態47a~47eのいずれか1つに記載の化合物。
【0258】
47g.Rが、Hである、実施形態45~47fのいずれか1つに記載の化合物。
【0259】
47h.nが、1又は2である、実施形態45bに記載の化合物。
【0260】
47i.nが、1である、実施形態45bに記載の化合物。
【0261】
48.表10の化合物による構造を有する、実施形態1に記載の化合物。
【0262】
49.式Iの化合物が、以下による構造、
【化61】
を有する、実施形態1又は1aに記載の化合物。
【0263】
49a.式Iの化合物が、以下による構造、
【化62】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、実施形態1又は1aに記載の化合物。
【0264】
50.化合物が、以下による構造、
【化63-1】
【化63-2】
又はその立体異性体若しくは薬学的に許容される塩を有する、実施形態32、32a、又は32bに記載の化合物。
【実施例
【0265】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、更に詳細に説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、別段の指定がない限り、限定することを意図するものではない。したがって、本開示は、決して以下の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではないが、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになる、いかなる及びすべての変形も包含するものとして解釈されるべきである。
【0266】
更なる説明なしに、当業者は、前述の説明及び以下の例示的な実施例を使用して、本開示の化合物を作製及び利用し、特許請求される方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の作業実施例は、好ましい実施形態を具体的に指摘するものであり、本開示の残りの部分をいかなる方法によっても制限するものとは解釈されない。
【表10】
【0267】
実施例1
(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)-4-メチルペンタンアミド(1)の合成
【化64】
【0268】
メチルN-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(3)の合成:0℃のDCM(30mL)中のメチルD-ロイシン酸・HCl(1.0g、5.50mmol、1当量)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(833mg、8.25mmol、1.5当量)、及び4-メトキシベンゼンスルホニルクロリド(1.26g、6.60mmol、1.2当量)を、N雰囲気下で添加した。RMを、室温で16時間撹拌した。反応の完了後、水を添加し、混合物をDCM(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。10%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、メチルN((4-メトキシフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(3;800.0mg、46%)を無色の液体として得た。TLC:40%EtOAc/ヘプタン(R:0.6);LCMS:98.56%,m/z=316.2[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 8.12-8.18(m,1H),7.67(d,J=8.80Hz,2H),7.09(d,J=8.80Hz,2H),3.83(s,3H),3.70(dt,J=5.93,8.96Hz,1H),3.38(s,3H),1.49-1.59(m,1H),1.30-1.46(m,2H),0.80(d,J=6.60Hz,3H),0.70(d,J=6.60Hz,3H).
【0269】
メチルN-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(5)の合成:室温でのDMF(20mL)中のメチル((4-メトキシフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(1.0g、3.18mmol、1当量)の撹拌溶液に、KCO(4.40g、31.88mmol、10当量)、続いて、3-(ブロモメチル)ピリジン・HBr(1.20g、4.77mmol、1.50当量)を添加し、RMを室温で16時間撹拌した。反応の完了後、水を添加し、EtOAc(2×50mL)で抽出し、有機混合有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、1%MeOH/DCMを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチルN((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(5;750mg、58.5%)を無色の粘着性のある液体として得た。TLC:5% MeOH/DCM(R:0.2);LCMS:95%,m/z=407.3[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 8.56(d,J=1.83Hz,1H),8.47(dd,J=1.59,4.77Hz,1H),7.74-7.84(m,3H),7.37(ddd,J=0.67,4.80,7.86Hz,1H),7.10-7.15(m,2H),4.58-4.66(m,1H),4.41-4.49(m,2H),3.83-3.88(m,3H),3.33(s,3H),1.24-1.51(m,3H),0.78(d,J=6.48Hz,3H),0.53(d,J=6.60Hz,3H).
【0270】
N-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(6)の合成:0℃でメチルN((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(1.25g、3.07mmol、1当量;5つのうちの2つのバッチから)の撹拌溶液に、TFA(10mL)、続いて、濃HCl(12mL)を添加し、RMを室温に到達させ、90℃で13時間撹拌した。TLCによって反応物をモニタリングし、反応の完了後に、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ジエチルエーテル(5mL)中に溶解し、10分間撹拌し、濾過して、N-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(6;1.0g、83%)を茶色の固体として得た。TLC:5% MeOH/DCM(R:0.1).LCMS:93.7%,m/z=393.2[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 12.76-13.04(br s,1H),8.84-8.87(m,1H),8.76-8.79(m,1H),8.45(br d,J=8.07Hz,1H),7.90-7.96(m,1H),7.75-7.80(m,2H),7.07-7.13(m,2H),4.75-4.81(m,1H),4.62-4.69(m,1H),4.38(dd,J=5.26,9.29Hz,1H),3.85(s,3H),1.33-1.56(m,3H),0.82(d,J=6.36Hz,3H),0.59-0.62(m,3H).
【0271】
(R)-N-(tert-ブトキシ)-2-((4-メトキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(7)の合成:0℃のDCM(50mL)中のN-((4-メトキシフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(1.0g、2.55mmol、1当量)の撹拌溶液に、TEA(1.54g、15.3mmol、6当量)、続いて、プロパンホスホン酸無水物(T3P、5g、7.65mmol、3当量、EtOAc中50%)を添加し、RMを0℃で30分間撹拌した。NHOBu-t.HCl(1.27g、10.20mmol、4当量)を添加し、室温に加温し、室温で12時間撹拌した。反応の完了後、水を添加し、DCM(2×200mL)で抽出し、合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、1%MeOH/DCMを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、(R)-N-(tert-ブトキシ)-2-((4-メトキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(7;1.0g、87.7%)を無色の粘着性のある液体として得た。TLC:5% MeOH/DCM(R:0.2);LCMS:96.6%,m/z=464.3[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.70-10.73(m,1H),8.50-8.57(m,1H),8.41-8.44(m,1H),7.71-7.78(m,3H),7.31(dd,J=4.83,7.76Hz,1H),7.06(d,J=8.93Hz,2H),4.65-4.79(m,2H),4.29-4.34(m,1H),3.82-3.86(m,3H),1.24-1.40(m,3H),1.04(s,9H),0.78(d,J=6.24Hz,3H),0.60(d,J=6.36Hz,3H).
【0272】
(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)-4-メチルペンタンアミド(1)の合成:0℃のDCM中の(R)-N-(tert-ブトキシ)-2-((4-メトキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(500mg、1.11mmol、1当量)の撹拌溶液に、BBr(3.50mL、0.01mmol、2.5当量、DCM中1M)を添加し、RMを室温に加温し、55℃で3時間撹拌した。TLCによって反応物をモニタリングし、反応の完了後に、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ジエチルエーテル(5mL)中に溶解し、10分間撹拌し、濾過して、粗固体を得ると、これを分取HPLCにより精製して、(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)-4-メチルペンタンアミド(1;25.0mg、5.7%)を灰色がかった白色の固体として得た。TLC:8% MeOH/DCM(R:0.3).H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.44-11.02(m,2H),8.87-8.98(m,1H),8.51(d,J=1.71Hz,1H),8.42(dd,J=1.41,4.71Hz,1H),7.73(br d,J=7.83Hz,1H),7.60(d,J=8.80Hz,2H),7.30(dd,J=4.83,7.76Hz,1H),6.85(d,J=8.80Hz,2H),4.67-4.74(m,1H),4.54-4.60(m,1H),4.18-4.24(m,1H),1.37-1.45(m,1H),1.21-1.30(m,1H),1.11(td,J=6.86,13.30Hz,1H),0.76(d,J=6.48Hz,3H),0.59-0.65(m,3H);LCMS:99.34%の純度、m/z=394.2[M+H];(カラム;Xbridge BEH-C18(3.0×50mm、2.5μm);RT:1.84分、A:2.5mM酢酸アンモニウム、B:ACN T/B%:0.01/5、3/90、5/90、5.5/5、6/5、0.8mL/分);HPLC:99.85%の純度;(カラム;X-SELECT CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);RT:4.28分、希釈剤:ACN:HO)。キラルHPLC:>99.9%の純度;カラム:Chilalpak-IA(250m×4.6mm、5μm)、RT:4.56分、移動相:0.1%TFA/MeOH、流量:0.700ml/分。
【0273】
実施例2
(R)-N-ヒドロキシ-4-メチル-2-((4-(メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(41)の合成
【化65】
【0274】
メチルN-((4-(メトキシスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(2)の合成:0℃のピリジン(5mL)中のメチルN((4-アミノフェニル)-スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(500mg、1.27mmol、1当量;合成については、以下の実施例49を参照されたい)の撹拌溶液に、塩化メシル(160mg、1.404mmol、1.1当量)を添加し、室温にし、次いで、室温で1時間撹拌した。反応物をTLCによってモニタリングし、反応の完了後、水を添加し、RMをDCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、3%MeOH/DCMを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチルN-((4-(メチルスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(300.0mg、49.7%)を無色の液体として得た。TLC:5% MeOH/DCM(R:0.6);LCMS:95.11%,m/z=471.0[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.42(s,1H),8.52-8.59(m,1H),8.47(d,J=3.55Hz,1H),7.76-7.84(m,3H),7.32-7.40(m,3H),4.64(d,J=16.75Hz,1H),4.38-4.50(m,2H),3.32-3.34(s,3H),3.12(s,3H),1.35-1.51(m,2H),1.22-1.34(m,1H),0.79(d,J=6.48Hz,3H),0.52(d,J=6.60Hz,3H).
【0275】
N-((4-(メチルスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(3)の合成:THF:水(2:1、3mL)中のメチルN-((4-(メチルスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(300mg、0.639mmol、1当量)の撹拌溶液に、LiOH.HO(35mg、0.831mmol、1.3当量)を室温で添加した。得られた反応混合物を、室温で6時間撹拌した。出発材料の消費後、揮発性物質を蒸発させ、5%クエン酸溶液で酸性化し、EtOAc(2×50mL)で抽出し、有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、N-((4-(メチルスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(270.0mg、92.7%)を灰色がかった白色の固体として得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.2),LCMS:98.09%,m/z=456.0[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 12.83-12.90(m,1H),10.42(br s,1H),8.59(br s,1H),8.47(br d,J=3.20Hz,1H),7.85(br d,J=7.69Hz,1H),7.77(d,J=8.97Hz,2H),7.35-7.40(m,1H),7.31(d,J=8.33Hz,2H),4.67-4.72(m,1H),4.34-4.45(m,2H),3.12(s,3H),1.38-1.45(m,2H),1.27-1.34(m,1H),0.79(d,J=6.41Hz,3H),0.48(d,J=6.41Hz,3H).
【0276】
(R)-N-(tert-ブトキシ)-4-メチル-2-((4-(メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(4)の合成:0℃のDCM(10mL)中のN-((4-(メチルスルホンアミド)フェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(250mg、0.548mmol、1当量)の撹拌溶液に、HATU(271mg、0.713mmol、1.3当量)及びDIPEA(354mg、2.74mmol、5当量)を添加し、RMを0℃で10分間撹拌し、N-tert-ブチルヒドロキシルアミン塩酸塩(137mg、1.09mmol、2当量)を添加し、RTに加温し、14時間撹拌した。反応の完了後、RMを水で処理し、DCM(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(R)-N-(tert-ブトキシ)-4-メチル-2-((4-(メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)-スルホンアミド)ペンタンアミド(70.0mg、24.2%)を淡い茶色の固体として得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.3);LCMS:85.7%,m/z=527.0[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.72(s,1H),10.36-10.41(m,1H),8.51(s,1H),8.41-8.44(m,1H),7.74(br d,J=8.56Hz,3H),7.26-7.31(m,3H),4.67-4.80(m,2H),4.30-4.34(m,1H),3.10(s,3H),1.16-1.18(m,2H),.1.13-1.16(m,1H),1.05(s,9H),0.79(br d,J=5.87Hz,3H),0.61(br d,J=5.99Hz,3H).
【0277】
(R)-N-ヒドロキシ-4-メチル-2-((4-(メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(41)の合成:0℃のDCM(5mL)中の(R)-N-(tert-ブトキシ)-4-メチル-2-((4-メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)ペンタンアミド(70mg、0.13mmol、1当量)の撹拌溶液に、DCM中の1M BBr(36mg、0.14mmol、1.1当量)を添加し、室温に加温し、3時間撹拌した。RMを、減圧下で濃縮して、粗固体を得ると、これを分取HPLCにより精製して、(R)-N-ヒドロキシ-4-メチル-2-((4-(メチルスルホンアミド)-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)-スルホンアミド)ペンタンアミド(41;10.0mg、16.1%)を灰色がかった白色の固体として得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.1).H NMR(CDOD400MHz):δ 8.59(br s,1H),8.41-8.46(m,1H),7.94(br d,J=7.82Hz,1H),7.76(br d,J=8.56Hz,2H),7.33-7.42(m,3H),4.75-4.82(m,2H),4.36-4.44(m,1H),3.09(s,3H),1.50-1.60(m,1H),1.33-1.42(m,2H),0.88(br d,J=5.99Hz,3H),0.71(br d,J=6.24Hz,3H);LCMS:99.38%,m/z=470.9[M+H];(カラム;EVO-C18(3.0×50mm、2.6μm);RT:1.94分、A:水中2.5mMの酢酸アンモニウム、B:ACN T/B%:0.01/5、3/90、5/90、5.5/5、6/5、0.8mL/分);HPLC:99.92%;(カラム;X-SELECT CSH C-18;4.6×150mm、3.5μm);RT:4.66分、希釈剤:ACN:HO。
【0278】
実施例3
(R)-2-((4-ホルムアミド-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)-スルホンアミド)-N-ヒドロキシ-4-メチルペンタンアミド(49)の合成
【化66】
【0279】
メチル((4-ニトロフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(3)の合成:0℃のDCM(30mL)中のメチルD-ロイシン酸塩酸塩(1.0g、5.50mmol、1当量)の撹拌溶液に、N雰囲気下で、トリエチルアミン(2.78g、27.49mmol、5当量)、続いて、4-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(1.28g、5.78mmol、1.05当量)を添加した。RMを、室温で4時間撹拌した。水を添加し、DCM(2×100mL)で抽出し、有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、20%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチル((4-メトキシフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(900.0mg、49.7%)を茶色の固体として得た。TLC:40%EtOAc/ヘプタン(R:0.5);LCMS:80.41%,m/z=331.1[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 8.74(br d,J=7.09Hz,1H),8.41(d,J=8.80Hz,2H),8.00(d,J=8.80Hz,2H),3.81-3.90(m,1H),3.37(s,3H),1.49-1.61(m,1H),1.38-1.49(m,2H),0.83(d,J=6.48Hz,3H),0.70-0.79(m,3H).
【0280】
メチルN-((4-ニトロフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(5)の合成:室温でのDMF(5mL)中のメチル((4-メトキシフェニル)スルホニル)-D-ロイシン酸(500mg、1.513mmol、1当量)の撹拌溶液に、CSCO(1.48g、4.54mmol、3当量)、続いて、3-(ブロモメチル)ピリジン・HBr(440mg、1.73mmol、1.15当量)を添加し、RMを室温で16時間撹拌した。水を添加し、EtOAc(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、30%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチルN-((4-ニトロフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(445.0mg、69.8%)を茶色の固体として得た。TLC:50%EtOAc/ヘプタン(R:0.3);LCMS:93.8%,m/z=422.2[M+H]H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.49-8.60(m,2H),8.32(d,J=8.93Hz,2H),7.91-7.96(m,2H),7.86-7.90(m,1H),7.27-7.29(m,1H),4.65-4.77(m,2H),4.41(d,J=16.38Hz,1H),3.50(s,3H),1.39-1.55(m,3H),0.89-0.93(m,3H),0.59(d,J=6.48Hz,3H).
【0281】
メチルN-((4-アミノフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(6)の合成:MeOH:水(1:1、20mL、5つのうち2つのバッチ)中のメチルN((4-ニトロフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(2g、4.74mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe粉末(794mg、1.42mmol、3当量)、NHCl(760mg、1.42mmol、3当量)を室温で添加した。得られたRMを、70℃に2時間加熱した。RMをセライト床を通して濾過し、EtOAc(2×50mL)で洗浄した。揮発性物質を蒸発させ、飽和NHCl(20mL)を添加し、EtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、メチルN-((4-アミノフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(1.48g、80%)をゴム状の液体として得た。TLC:5% MeOH/DCM(R:0.5).LCMS:95.4%,m/z=392.2[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 8.50-8.57(m,1H),8.46(dd,J=1.22,4.65Hz,1H),7.79(br d,J=8.07Hz,1H),7.43(d,J=8.68Hz,2H),7.36(dd,J=4.65,7.58Hz,1H),6.58-6.65(m,2H),6.07(s,2H),4.41-4.57(m,2H),4.37(dd,J=5.75,8.93Hz,1H),3.36(s,3H),1.20-1.49(m,3H),0.76(d,J=6.48Hz,3H),0.54(d,J=6.60Hz,3H).
【0282】
メチルN-((4-ホルムアミドフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(7)の合成:室温でのギ酸(1mL)中のメチルN((4-アミノフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(100mg、0.255mmol、1当量)の撹拌溶液に、分子篩(100mg)を添加し、RMを60℃で6時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水を添加し、DCM(2×50mL)で抽出し、有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、メチルN((4-ホルムアミドフェニル)-スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(100.0mg、94%)を淡い茶色の固体として得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.6);LCMS:98.2%,m/z=420.2[M+H]H NMR(CDCl3,400MHz):δ 8.51-8.58(m,2H),8.45(d,J=1.22Hz,1H),7.87-8.02(m,1H),7.70-7.79(m,4H),7.37(br d,J=8.07Hz,1H),7.16(d,J=8.68Hz,1H),4.61-4.73(m,2H),4.44-4.54(m,1H),3.46-3.49(m,3H),.1.49-1.58(m,1H),1.38-1.47(m,2H),0.87-0.90(m,3H),0.58-0.64(m,3H).
【0283】
N-((4-ホルムアミドフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(8)の合成:THF:水(2:1、1.8mL)中のメチルN-((4-(ホルムアミドフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン酸(600mg、1.43mmol、1当量;7つのうちいくつかの合わせたバッチ)の撹拌溶液に、LiOH.HO(78mg、1.85mmol、1.3当量)を室温で添加し、得られたRMを6時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、5%クエン酸溶液で酸性化し、EtOAc(2×50mL)で抽出し、有機相を、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、N-((4-ホルムアミドフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(300.0mg、51.7%)を灰色がかった白色の固体として得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.2),LCMS:99.4%,m/z=406.0[M+H]H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 12.63-12.88(m,1H),10.48-10.61(m,1H),8.59(s,1H),8.47(d,J=4.48Hz,1H),8.36(s,1H),7.85(br d,J=8.33Hz,1H),7.74-7.78(m,3H),7.37(dd,J=5.12,7.69Hz,2H),4.68-4.73(m,1H),4.34-4.46(m,2H),1.37-1.46(m,2H),1.27-1.35(m,1H),0.80(d,J=6.41Hz,3H),0.49(d,J=6.41Hz,3H).
【0284】
(R)-2-((4-ホルムアミド-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)-スルホンアミド)-N-ヒドロキシ-4-メチルペンタンアミド(49)の合成:DMF(3mL)中のN-((4-ホルムアミドフェニル)スルホニル)-N-(ピリジン-3-イルメチル)-D-ロイシン(500mg、1.23mmol、1当量、8つの合わせたバッチ)の撹拌溶液を、0℃に冷却し、HATU(703mg、1.849mmol、1.5当量)及びDIPEA(238mg、1.849mmol、1.5当量)を添加した。RMを、0℃で15分間撹拌し、NHOH.HCl(85mg、1.23mmol、1当量)を添加した。このRMを室温に加温し、6時間撹拌した。反応物をTLC(30%変換)によりモニタリングした。HATU(1.406g、3.699mmol、3.0当量)、DIPEA(952mg、7.38mmol、6.0当量)、及びNHOH-HCl(425mg、6.15mmol、5.0当量)を添加し、室温で16時間撹拌した。RMに水(5mL)を添加し、DCM中10%MeOH(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、300mgの粗固体を得ると、これを分取HPLCにより精製して、(R)-2-((4-ホルムアミド-N-(ピリジン-3-イルメチル)フェニル)スルホンアミド)-N-ヒドロキシ-4-メチルペンタンアミド(49;12.0mg)を無色のシロップとして得た。TLC:10% MeOH/DCM(R:0.2).H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.79-11.00(br s,1H),10.45-10.64(m,1H),8.89-9.01(m,1H),8.48-8.56(m,1H),8.39-8.47(m,1H),8.32-8.39(m,1H),7.61-7.81(m,4H),7.26-7.45(m,2H),4.47-4.80(m,2H),4.15-4.30(m,1H),1.12-1.47(m,3H),0.73-0.81(m,3H),0.56-0.64(m,3H);LCMS:99.61%,m/z=421.1[M+H];(カラム;EVO-C18(3.0×50mm、2.6μm);RT:2.51分、A:2.5mMの酢酸アンモニウム、B:ACN T/B%:0.01/5、3/95、5/95、5.7/5、0.8mL/分);HPLC:98.81%;(カラム;X-SELECT CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);RT:4.61分、希釈剤:ACN:HO)。
【0285】
実施例4
(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシル-N-(2-(ピリジン-3-イル)エチル)フェニル)スルホンアミド)ブタノエート(60)の合成
【化67】
【0286】
ステップ1:メチル2-((2-(ピリジン-3-イル)エチル)アミノ)ブタノエートの合成:1,2-DCE(100mL)中の3-ピリジンエチルアミン(1)(4g、32.70mmol、1当量)の撹拌溶液に、メチルオキソブタロエート(2)(4.2g、32.70mmol、1.0当量)及びSTAB(10.4g、65.40mmol、1.5当量)を0℃で添加し、次いで、室温で14時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、出発物質の完了後、揮発性物質を減圧下で濃縮し、粗製物を、EtOAc(120mL)で希釈し、水(3×100mL)、ブライン溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、メチル2-((2-(ピリジン-3-イル)エチル)アミノ)ブタノエート(3)(8.1g、粗ラセミ化合物)を得た。エナンチオマーを、キラルHPLC精製により分離し、これにより、ピーク-1(所望の異性体)(4)3.0gを無色の液体として、及びピーク-2の望ましくない異性体2.5gを無色の液体として得た。
【0287】
ラセミHPLC条件:ピーク-1(5.831分)及びピーク-2(11.196分)(Chiral Pak-ADH(4.6×250mm、5μm);{移動相A:n-ヘキサン中0.1%TFA、B:EtOH(85:15)、流量:1.0mL/分))。
【0288】
ピーク-1:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.49-8.37(m,2H),7.65(br d,J=7.8Hz,1H),7.31(dd,J=7.6,4.8Hz,1H),3.64(s,3H),3.17(br t,J=6.4Hz,1H),2.79-2.60(m,4H),2.16-1.86(m,1H),1.55(qd,J=13.6,6.9Hz,2H),0.90-0.77(m,3H).
【0289】
LCMS:96%、m/z:[M+H];C1218に対する質量分析による計算値、222.29;質量分析による実測値、223.1(カラム;EVO C-18(3×50mm、2.6μm);RT:0.194分;A:950mLのHO+50mLのACN中0.5mLのHCOOH、B:ACN中0.5mLのHCOOH;T/B%:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:1.2mL/分(勾配)。
【0290】
旋光:[α] 25 18.64(c 0.25、MeOH)
【0291】
ピーク-2:H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.49-8.37(m,2H),7.70-7.61(m,1H),7.31(dd,J=7.7,4.8Hz,1H),3.65(s,3H),3.26(br s,1H),2.85-2.67(m,4H),1.66-1.50(m,2H),0.84(t,J=7.4Hz,3H).
【0292】
LCMS:96%、m/z:[M+H];C1218に対する質量分析による計算値、222.29;質量分析による実測値、223.1(カラム;EVO C-18(3×50mm、2.6μm);RT:0.188分;A:950mLのHO+50mLのACN中0.5mLのHCOOH、B:ACN中0.5mLのHCOOH;T/B%:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:1.2mL/分(勾配)。
【0293】
旋光:[α] 25 -20.59(c 0.25、MeOH)。
【0294】
ステップ3:メチル(R)-2-((4-ヒドロキシ-N-(2-(ピリジン-3-イル)エチル)フェニル)スルホンアミド)ブタノエートの合成:ピリジン(30mL)中のInt-4(4.0g、18.04mmol、1当量)の撹拌溶液に、0℃のTHF(11ml)中の4-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリド(8.64g、45.0mmol、2.5当量)及びBTSA(9.1g、45.0mmol)のプレ複合体溶液を添加し、次いで、室温で2.5時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、反応混合物を氷水(20ml)でクエンチし、ピリジンの大部分を減圧下で蒸発させ、反応混合物を、水(30ml)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた有機相を、ブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物を、中性アルミナを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、回収されたSM上に(1.1g、36%)の塩基を得た。
【0295】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.46(s,1H),8.46-8.40(m,2H),7.67-7.62(m,3H),7.32(dd,J=7.7,4.9Hz,1H),6.92-6.88(m,2H),4.25(dd,J=9.2,6.0Hz,1H),3.42(s,3H),3.32-3.30(m,1H),2.97-2.79(m,2H),2.55-2.45(m,1H),1.88-1.77(m,1H),1.64-1.52(m,1H),0.80(t,J=7.3Hz,3H)
【0296】
LCMS:89.9%、m/z:[M+H];C1822Sに対する質量分析による計算値、378.44;質量分析による実測値、379(カラム;X-bridge BEH C-18(3×50mm、2.5μm);RT:1.35分;A:950mLのHO+50mLのACN中0.5mLのHCOOH、B:ACN中0.5mLのHCOOH;T/B%:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:0.5mL/分(勾配)。
【0297】
ステップ4:(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシル-N-(2-(ピリジン-3-イル)エチル)フェニル)スルホンアミド)ブタノエート(60)の合成:MeOH(15mL)中のメチル(R)-2-((4-ヒドロキシ-N-(2-(ピリジン-3-イル)エチル)フェニル)スルホンアミド)ブタノエート(5)(1.1g、2.90mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、17.6mLのNaOMe(72.5mmol、25.0当量、MeOH中3.2M)及びNHOH.HCl(5.0g、72.5mmol、25当量)を室温で添加し、次いで、55℃で3時間撹拌した。TLCによって反応物をモニタリングし、反応の完了後に、塩を濾過によって除去し、メタノールを減圧下で濃縮した。生成物を、分取HPLCにより精製し、続いて、凍結乾燥して、400mgの(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(2-(ピリジン-3-イル)エチル)フェニル)スルホンアミド)ブタンアミド)(60;68%)を灰色がかった白色の固体として得た。
【0298】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.08(s,2H),8.98-8.89(m,1H),8.45-8.40(m,2H),7.71-7.59(m,3H),7.36-7.27(m,1H),6.88(d,J=8.9Hz,2H),4.06-3.94(m,1H),3.69-3.56(m,1H),3.26-3.17(m,1H),2.96-2.80(m,2H),1.73-1.59(m,1H),1.40-1.31(m,1H),0.70(t,J=7.3Hz,3H)
【0299】
LCMS:99.74%、m/z:[M+H];C1721Sに対する質量分析による計算値、379.43;質量分析による実測値、380(カラム;X-bridge BEH C-18(3×50mm、2.5μm);RT:0.98分;A:950mLのHO+50mLのACN中0.5mLのHCOOH、B:ACN中0.5mLのHCOOH;T/B%:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:1.2mL/分(勾配)。
【0300】
HPLC:99.93%(カラム;X-Select CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);{移動相A:水:ACN(95:05)中0.1%HCOOH:B:ACN 流量:1.2mL/分);勾配プログラム:T/B%:0.01/2、2/2、12/90、16/90)。
【0301】
旋光:[α] 25 11.94(c 0.06、MeOH)。
【0302】
実施例5
(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパンアミド(82)の合成
【化68】
【0303】
メチル(R)-2-((4-メトキシベンジル)アミノ)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(3)の合成:MeOH(15mL)中のメチル(R)-2-アミノ-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート塩酸塩(1)(1.2g、5.42mmol、1当量)の撹拌溶液に、TEA(0.55g、5.42mmol、1当量)、4-メトキシベンズアルデヒド(2)(0.88g、6.51mmol、1.2当量)、及び酢酸(1.62mL、27.1mmol 5当量)を添加し、次いで、60℃で16時間撹拌した。更に、0℃に冷却し、NaCNBH(0.85g、13.55mmol、2.5当量)を添加した反応混合物は、一部分であり、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、水を添加し、DCM(2×100mL)で抽出し、有機相を、NaHCO(30mL)の飽和溶液、及びブライン溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、40%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するコンビフラッシュにより精製して、メチル(R)-2-((4-メトキシベンジル)アミノ)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(3)(1.25g、75%)を無色の油として得た。
【0304】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 7.33-7.31(m,1H),7.22-7.18(m,2H),6.94-6.90(m,1H),6.87-6.83(m,3H),3.72(s,3H),3.71-3.65(m,1H),3.60(s,3H),3.58-3.55(m,1H),3.44-3.35(m,1H),3.16-3.04(m,2H),2.45-2.39(m,1H).LCMS:93.4%,m/z:[M+H]、C16H19NO3Sに対する質量分析による計算値、305.11;質量分析による実測値、306.1
【0305】
メチル(R)-2-((4-ヒドロキシル-N-(4-メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(5)の合成:THF(10mL)中の4-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリド(4)(1.96g、10.22mmol、2.5当量)の撹拌溶液に、BTSA(2.07g、10.22mmol、2.5当量)を0℃で添加した。得られた混合物を、室温で2.5時間撹拌した。更に、この反応混合物を、ピリジン(10mL)中のメチル(R)-2-((4-メトキシベンジル)アミノ)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(3)(1.25g、4.09mmol、1当量)の撹拌溶液に0℃で添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、水を添加し、EtOAc(2×150mL)で抽出し、有機相を、ブライン溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、60%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するコンビフラッシュにより精製して、メチル(R)-2-((4-ヒドロキシ-N-(4-メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(5)(280mg、15%)を薄い淡い黄色の固体として得た。
【0306】
LCMS:74.71%、m/z:[M-H];C22H23NO6S2に対する質量分析による計算値、461.10;質量分析による実測値、459.9
【0307】
(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパンアミド(82)の合成:MeOH(2mL)中のメチル(R)-2-((4-ヒドロキシ-N-(4-メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパノエート(5)(270mg、0.58mmol、1当量)の撹拌溶液に、NHOH-HCl(610mg、8.78mmol、15当量)、及びNaOMe(474g、8.78mmol、15当量)を添加し、次いで、0℃で5分間撹拌し、次いで、室温で一晩撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、酢酸エチルで抽出し、濃縮した。粗生成物を、分取HPLCにより精製して、(R)-N-ヒドロキシ-2-((4-ヒドロキシ-N-(4-メトキシベンジル)フェニル)スルホンアミド)-3-(チオフェン-2-イル)プロパンアミド(82)(140mg、51%)を灰色がかった白色の固体として得た。
【0308】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.94-10.38(m,2H),8.96-8.88(m,1H),7.60-7.56(m,2H),7.33-7.30(m,1H),7.23-7.18(m,2H),6.91-6.87(m,1H),6.85-6.78(m,4H),6.70-6.68(m,1H),4.51(s,2H),4.45-4.40(m,1H),3.72(s,3H),3.25-3.17(m,1H),2.62-2.59(m,1H).
【0309】
LCMS:98.54%、m/z:[M-H];C2122に対する質量分析による計算値、462.09;質量分析による実測値、461.1。(カラム;X-Select CSH(3.0×50mm、2.5μm);RT:1.77分;A:水中0.025%ギ酸、B:ACN;勾配プログラム:
【0310】
2.0分で0%Bから98%B、3.0分まで保持、3.2分でB conは0%、最大4.0分、注入量:2.0μL;流量:1.2mL/分;カラムオーブン温度:50℃。
【0311】
HPLC:99.54%;(カラム;X-SELECT CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);RT:7.03分;A:水:ACN(95:05)中0.1%ギ酸、B:ACN;T/B%:0.01/5、1/5、8/100、12/100、14/5、18/5;流量:1.2mL/分。
【0312】
実施例6
2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-ヒドロキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(88;BF-141)の合成
【化69】
【0313】
ステップ1:メチル2-(((1H-インドール-5-イル)メチル)アミノ)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(3)の合成:1,2-DCE(30mL)中のメチル2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)アセテート塩酸塩(1)(2.0g、9.13mmol、1当量)の撹拌溶液に、TEA(1.27mL、9.13mmol)、インドール-5-カルボキシアルデヒド(2)(1.59g、10.95mmol、1.2当量)、及びSTAB(2.90g、13.69mmol、1.5当量)を0℃で添加し、次いで、反応混合物を、室温16時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、水を添加し、DCM(2×100mL)で抽出し、合わせた有機相を、飽和NaHCO溶液(30mL)、及びブライン溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、50%EtOAc/ヘプタンを溶出液として使用するコンビフラッシュにより精製して、メチル2-(((1H-インドール-5-イル)メチル)アミノ)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(3)(1.4g、49%)を無色の油として得た。
【0314】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 10.98(brs,1H),7.46-7.40(m,3H),7.32-7.27(m,2H),7.22-7.13(m,2H),7.04-6.98(m,1H),6.37-6.34(m,1H),4.39-4.35(m,1H),3.68-3.64(m,2H),3.58(s,3H),2.94-2.85(m,1H).
【0315】
LCMS:97.45%、m/z:[M+H];C1817FNに対する質量分析による計算値、312.13;質量分析による実測値、313.0
【0316】
ステップ2A:4-アセトキシベンゼンスルホン酸(7)の合成:トリエチルアミン(90mL)中のナトリウム4-ヒドロキシベンゼンスルホネート(6)(24g、0.12mol、1当量)の撹拌溶液に、無水酢酸(28.8mL、0.3mol、2.5当量)を0℃で添加し、次いで、室温で16時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後に、揮発性物質を減圧下で濃縮し、トルエン(3,x,100mL)と共蒸留して、4-アセトキシベンゼンスルホン酸(7)(22g、85%)を淡い茶色のゴム状の固体として得た。
【0317】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 7.71-7.54(m,2H),7.11-7.02(m,2H),2.26(s,3H).
【0318】
ステップ2B:4-(クロロスルホニル)フェニルアセテート(4)の合成:塩化チオニル(200mL)中の4-アセトキシベンゼンスルホン酸(7)(22g、0.10mol、1当量)の撹拌溶液に、DMF(0.3mL)を0℃で添加し、次いで、60℃に12時間加熱した。TLCによって反応物をモニタリングし、反応の完了後に、揮発性物質を減圧下で濃縮した。酢酸エチル(1L)で希釈し、水(2×500mL)で洗浄し、濃縮して、4-(クロロスルホニル)フェニルアセテート(4)(20g、76%)を茶色の固体として得た。
【0319】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 7.66-7.59(m,2H),7.10-7.04(m,2H),2.26(s,3H).
【0320】
ステップ2:2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-アセトキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(5)の合成:ACN(20mL)中のメチル2-(((1H-インドール-5-イル)メチル)アミノ)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(3)(1.4g、4.48mmol、1当量)の撹拌溶液に、4-アセトキシベンゼンスルホニルクロリド(4)(1.57g、6.72mmol、1.5当量)及びトリメチルシリルシアニド(1.33g、13.44mmol、3.0当量)を室温で添加し、次いで、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後、水を添加し、EtOAc(2×75mL)で抽出し、合わせた有機相を、ブライン溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、5%EtOAc/DCMを溶出液として使用するコンビフラッシュにより精製して、メチル2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-アセトキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(5)(1g、44%)を薄い淡い黄色の固体として得た。
【0321】
LCMS:93.43%、m/z:[M+H];C2623FNSに対する質量分析による計算値、510.13;質量分析による実測値、511.9
【0322】
ステップ3:2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-ヒドロキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(88;BF-141)の合成:DMSO(2mL)中のメチル2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-アセトキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)アセテート(5)(250mg、0.49mmol、1当量)の撹拌溶液に、50%NHOH水溶液(1.0mL)を添加し、次いで、55℃で12時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、反応の完了後に、反応混合物をEtOAc(30mL)で抽出し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、分取HPLCにより精製して、2-((N-((1H-インドール-5-イル)メチル)-4-ヒドロキシフェニル)スルホンアミド)-2-(4-フルオロフェニル)-N-ヒドロキシアセトアミド(88;BF-141)(18mg、8%)を灰色がかった白色の固体として得た。
【0323】
H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 11.01-10.21(m,3H),9.11-8.94(m,1H),7.49-7.42(m,2H),7.26-7.19(m,3H),7.09-6.99(m,4H),6.79-6.73(m,2H),6.62-6.59(m,1H),6.22-6.19(m,1H),5.43-5.40(m,1H),4.75-4.55(m,2H).
【0324】
LCMS:98.67%、m/z:[M-H];C2320FNSに対する質量分析による計算値、469.11;質量分析による実測値、468.2(カラム;;X-BRIDGE BEH C-18(3.0×50mm、2.5μm);RT:1.85分;A:水中0.025%ギ酸、B:ACN、T/B%:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:1.2mL/分(勾配)、カラム温度:50℃。
【0325】
HPLC:99.96%;(カラム;X-SELECT CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);RT:6.79分;A:水:ACN(95:05)中0.1%ギ酸、B:ACN;T/B%:0.01/5、1/5、8/100、12/100、14/5、18/5;流量:1.2mL/分。
【0326】
実施例7
インビトロでのBFT阻害のための化合物のスクリーニング-NFF-3切断アッセイ
NFF-3切断アッセイを使用して、様々な阻害剤の添加の前又は後に、組換えBFTの活性を試験した。NFF-3切断アッセイは、Goulas et al.,PNAS,2011,108(5)1856-1861によって以前に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0327】
最初に、組換えBFT(rBFT)(0.25、0.5、1、2、4、8、又は16μg/mL)を、2.5μM、5μM、又は10μMの濃度の蛍光基質NFF-3(Cayman Chemical)とともに37℃でインキュベートした。18時間後、蛍光をマイクロプレート蛍光計で測定した。図5Aに示されるように、用量依存的応答が観察された。
【0328】
次に、rBFTを、37℃で30分間、異なる濃度で1つ以上の試験化合物とともに予めインキュベートした。次いで、rBFT化合物混合物をNFF-3に添加し、37℃で24時間インキュベートした。次いで、蛍光をマイクロプレート蛍光計で測定した。
【0329】
図5Bは、2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS又はOH-CGS-27023Aと称される;図3Aを参照されたい)による、BFT誘導NFF-3加水分解の用量阻害曲線を示す。測定されたIC50値を表9に示す。
【表11】
【0330】
NFF-3切断アッセイを使用して、本開示の化合物(例えば、式Iの化合物)の阻害活性も試験した。表10(以下)に提供されるデータは、これらの化合物がインビトロでのBFTの強力な阻害剤であることを示す。
【0331】
実施例8
細胞におけるBFT阻害のための化合物のスクリーニング-E-カドヘリン放出アッセイ
試験化合物は、HT29細胞からのBFT誘導性E-カドヘリン放出を阻害する能力についてもスクリーニングした。
【0332】
異なる濃度の試験化合物を、37℃で1時間、rBFTとともに予めインキュベートした。次いで、rBFT化合物混合物をHT29細胞に添加し、37℃で18時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞上清を採取し、E-カドヘリンをELISAにより上清中で定量化した(図2)。
【0333】
図4に示されるように、OH-CGS-27023A(図3Aを参照されたい)は、1.99×10-6MのIC50でBFTを阻害した。
【0334】
E-カドヘリン放出アッセイを使用して、本開示の化合物(例えば、式Iの化合物)の阻害活性も試験した。表10(以下)に提供されるデータは、これらの化合物がインビトロでのBFTの強力な阻害剤であることを示す。
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【表12-11】
【表12-12】
【表12-13】
【表12-14】
【表12-15】
【表12-16】
【表12-17】
【表12-18】
【0335】
実施例9
インビボでのBFT阻害のための化合物のスクリーニング
試験化合物はまた、インビボでスクリーニングした。0日目に、無菌(GF)マウスは、ETBFで単一コロニー形成された。コロニー形成後1、2、及び3日目に、50mg/kgの試験化合物を、マウスに1日1回(QD)又は1日2回(BID)経口投与した。損傷及び炎症のマーカー(例えば、盲腸重量及び糞便リポカリン2)を、4日目に分析した(図6A)。試料サイズは、群当たり5~6匹のマウスであった。
【0336】
図6Bに示されるように、2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-23270A)の投与は、ビヒクル対照と比較して、ETBFコロニー形成マウスにおいて盲腸重量を著しく増加させ、これらの試験化合物が、対照と比較して、ETBFに関連する盲腸の損傷及び炎症を著しく低減したことを示す。腸の炎症のマーカーである糞便リポカリン2は、ビヒクル処置対照と比較して、2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸(OH-CGS-23270A)で処置されたETBFコロニー形成マウスにおいて著しく減少された(図6C)。
【0337】
まとめると、これらのデータは、2(R)-[4-ヒドロキシ-N-(3-ピリジルメチル)フェニルスルホンアミド]-3-メチルブチロヒドロキサム酸による処置で、ETBFでコロニー形成したマウスにおいて腸の炎症が低減されたことを示す。これらのデータは、OH-CGS-23270Aが、大腸炎又はクローン病などの、対象におけるETBF媒介性消火器疾患を治療又は予防するために使用され得ることを示す。本開示の化合物、実施例42、実施例60、及び実施例113は、15~50mg/kgのp.o.範囲、QDで投与された場合、リポカリン2レベルを著しく低減する。
【0338】
実施例10
対象へのBFT、ColA、及び/又はGelE阻害剤の投与
BFT、ColA、及び/又はGelEを阻害することができる化合物は、経口投与のための錠剤又はカプセルとして製剤化される。医薬組成物は、治療有効量、すなわち、対象においてBFT、ColA、及び/又はGelEを阻害するのに十分な量で、対象に投与される。
【0339】
実施例11
IBDを有する対象の治療
IBDを有するか、又はIBDを有する疑いのある対象は、B.fragilis、E.faecalis、又はC.perfringensのうちの1つ以上の腸管毒素原性株によってコロニー形成されているかどうかを判定するために試験される。対象が、これらの細菌又はそれによって産生される毒素のうちの1つ以上に対して陽性である場合、治療有効量の、BFT、GelE、及び/又はColAを阻害することができる化合物が、対象に投与される。治療有効量は、1つ以上の腸管毒素原性株又はそれによって産生される毒素の量又は病原性効果を低減するのに充分な量である。対象の疾患進行をモニタリングする。対象の便試料を試験して、化合物の投与の前及び後に、1つ以上の病原性細菌株又はそれによって産生される毒素の存在及び/又は存在量をモニタリングしてもよい。
【0340】
実施例12
ゲラチナーゼEの阻害のための化合物のスクリーニング
ゲラチナーゼ精製
ゲラチナーゼE(Gel E)を、E.faecalisからの細菌培養上清から精製した。E.faecalisを、37℃で一晩、Todd Hewitt Broth中で好気的に培養した。核酸を0.9%プロタミン溶液で沈殿させ、続いて、硫酸アンモニウムでタンパク質を沈殿させた。再懸濁したタンパク質ペレットを、FPLC(フェニルセファロースカラム)を使用して更に精製した。カゼイン寒天アッセイによって決定された、ゲラチナーゼ活性を有する画分をプールし、更に濃縮した。
【0341】
ゲラチナーゼE活性アッセイ
異なる濃度の試験化合物を、アッセイ緩衝液中の精製されたGelE及びFRETベースのペプチド基質(390 MMP FRET基質1;Anaspec AS-27077)とともに、室温で30分間インキュベートした。蛍光シグナルをプレートリーダーによって決定した。
【0342】
表10の様々な化合物は、200μM超のIC50でGelEを阻害した。化合物62は、高レベルの阻害を示し、IC50は約16.42μMであった。
【0343】
化合物Aはまた、図7及び表11(以下)に示されるように、高レベルのGelE阻害を示した。
【0344】
実施例13
コラゲナーゼHの阻害のための化合物のスクリーニング
ColA阻害のための代用物としてのコラゲナーゼHアッセイ
異なる濃度の試験化合物を、Clostridium histolyticumコラゲナーゼH(ColH)及びフルオレセイン標識DQ-ゼラチンコンジュゲート(両方とも、EnzCheck Gelatinase/Collagenase Assay Kit、ThermoFisher E12055の構成要素である)とともに、37℃で2時間インキュベートした。ColHは、ColAと類似の活性を有する。
【0345】
蛍光シグナルをプレートリーダーによって決定し、阻害のレベルを計算した。
【0346】
表10の様々な化合物は、200μM又は400μM超のIC50値でColHを阻害した。化合物26(IC50=19.29uM)、33(IC50=0.384uM)、42(IC50=8.775uM)、60(IC50=3.825μM)、及び63(IC50=8.894uM)について、最も高いレベルのColHの阻害が観察された。
【0347】
化合物Aはまた、表11(以下)に示されるように、高レベルのColH阻害を呈した。
【0348】
実施例14
N-(3-クロロベンジル)-2-(4-(N-(2-(ヒドロキシアミノ)-2-オキソエチル)-N-イソブチルスルファモイル)フェノールキシ)アセトアミド(AG;BF-125)の合成
【化70】
【0349】
ステップ1:メチルイソブチルグリシネートの合成:
メタノール(24mL)中のメチルグリシネート塩酸塩(1.5g、11.95mmol)の撹拌溶液に、イソブチルアルデヒド(0.86g、11.95mmol)及びトリエチルアミン(2.5mL、17.92mmol)を室温で添加し、1時間撹拌した。次いで、AcOH(5.68mL、95.61mmol)を添加し、室温で16時間維持した。反応混合物を、50℃で1時間加熱し、次いで、室温に冷却し、NaBHCNを添加した(TLCによりモニタリングし、反応の完了後に、揮発性物質を、減圧下で濃縮し、反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を、6N HCl(10mL)で洗浄した)。水層を、NaCOで塩基性化し、次いで、EtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を、ブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗メチルイソブチルグリシネート(2)(1.1g、粗製)を薄い黄色の液体として得た。
【0350】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=3.63-3.59(m,2H),3.30(s,3H),2.28(dd,J=16.3,7.0Hz,2H),1.89-1.82(m,1H),1.69-1.56(m,1H),0.88-0.80(m,6H);LCMS:90%,m/z:[M+H]、2.0質量分析による実測値、146.0。
【0351】
ステップ2:メチルN-((4-ヒドロキシフェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネートの合成:
THF(5mL)中の4-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリド(1.0g、5.20mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、BTSA(1.05g、5.20mmol、1.0当量)を0℃で添加し、2.5時間撹拌した。上記の反応混合物を、ピリジン(14mL)中のメチルイソブチルグリシネート(5)(1.5g、5.20mmol、1.0当量)の溶液に0℃で添加し、次いで、室温で20時間撹拌した。反応をTLCによりモニタリングし、反応の完了後に、溶媒を蒸発させた。粗製物を、EtOAc(120mL)中に溶解し、水(3×100mL)、1N HCl(2×50mL)、水(2×100mL)、及びブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、20%EtOAc/DCMを溶出液として使用するシリカゲル(100~200メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチルN-((4-ヒドロキシフェニルフェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネート(4)(1.2g、76%)を濃いシロップとして得た。
【0352】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.45-10.39(m,1H),7.62-7.59(m,2H),6.92-6.88(m,2H),3.96-3.94(m,2H),3.56(s,3H),2.88(d,J=7.5Hz,2H),1.75(td,J=13.5,6.8Hz,1H),0.81(d,J=6.6Hz,6H)
【0353】
ステップ3:tert-ブチル2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)アセテートの合成:DMF(3mL)中のメチルN((4-ヒドロキシフェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネート(0.2g、0.662mmol)の撹拌溶液に、CsCO(0.431g、1.32mmol、2当量)及びtert-ブチル2-ブロモアセテート(0.155g、0.79mmol、1.2当量)を室温で添加し、次いで、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、出発物質の完了後に、反応混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、tert-ブチル2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)アセテート(0.25g)を粗化合物として得た。粗化合物を、更に精製することなく次のステップに直接使用した。
【0354】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=7.76-7.72(m,2H),7.11-7.07(m,2H),4.80(s,2H),4.01(s,2H),3.56(s,3H),2.93(d,J=7.5Hz,2H),1.84-1.73(m,1H),1.44(s,9H),0.84-0.80(m,6H).
【0355】
ステップ4:2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)酢酸の合成:DCM(2mL)中のtert-ブチル2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)アセテート(0.1g、0.24mmol)の撹拌溶液に、TFA(2mL)を0℃で添加し、次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応物をTLCによりモニタリングし、出発物質の完了後に、反応混合物を乾燥するまで濃縮して、2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)酢酸(0.1g)を粗化合物として得ると、更に精製することなく次のステップに直接使用した。
【0356】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=13.19-13.07(m,1H),7.72(br d,J=8.8Hz,2H),7.08(br d,J=8.8Hz,2H),4.80(s,2H),4.02-3.96(m,2H),3.54(s,3H),2.90(br d,J=7.3Hz,2H),1.79-1.73(m,1H),0.82(br d,J=6.4Hz,6H);LCMS:92.7%,m/z:[M+H]、C1521NOSに対する質量分析による計算値、359.39;質量分析による実測値、360.1。
【0357】
ステップ5:メチルN-((4-(2-((3-クロロベンジル)アミノ)-2-オキソエトキシ)フェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネートの合成:DCM(6mL)中の2-(4-(N-イソブチル-N-(2-メトキシ-2-オキソエチル)スルファモイル)フェノキシ)酢酸(250mg、0.69mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(209mg、2.07mmol)及びTP(0.65mL、1.03mmol)を0℃で添加し、次いで、反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、3-クロロメタンアミン(0.044gm、0.361mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、粗化合物を、n-ヘプタン中60%酢酸エチルで溶出されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチルN-((4-(2-((3-クロロベンジル)アミノ)-2-オキソエトキシ)フェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネート(170mg、収率=50%)を灰色がかった白色の固体として得た。
【0358】
LCMS:87.36%、m/z:[M];C2227ClNSに対する質量分析による計算値、482.98;質量分析による実測値、483.1。
【0359】
ステップ6:N-(3-クロロベンジル)-2-(4-(N-(2-(ヒドロキシアミノ)-2-オキソエチル)-N-イソブチルスルファモイル)フェノキシ)アセトアミド(AG)の合成:MeOH(5mL)中のメチルN-((4-(2-((3-クロロベンジル)アミノ)-2-オキソエトキシ)フェニル)スルホニル)-N-イソブチルグリシネート(85mg、0.17mmol)の撹拌溶液に、ナトリウムメトキシド(137mg、2.55mmol、15当量)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(0.360g、5.19mmol、15当量)を添加し、次いで、反応混合物を58℃で7.5時間加熱した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、反応混合物を減圧下で濃縮し、IPA(20mL)を添加し、不溶性物質を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗生成物を、分取HPLCにより精製して、N-ヒドロキシ-2-((N-イソブチル-4-(2-((4-メチルベンジル)アミノ)-2-オキソエトキシ)フェニル)スルホンアミド)アセトアミド(AG;BF-125;17mg、収率=20%)を灰色がかった白色の半固体として得た。
【0360】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.67-10.39(m,1H),8.94-8.84(m,1H),8.82-8.65(m,1H),7.84-7.69(m,2H),7.40-7.28(m,3H),7.22(br d,J=7.0Hz,1H),7.12(br d,J=8.3Hz,2H),4.69(br s,2H),4.35(br d,J=5.5Hz,2H),3.76-3.52(m,2H),3.00-2.78(m,2H),1.91-1.74(m,1H),0.81(br d,J=6.3Hz,6H)
【0361】
LCMS:99.45%、m/z:[M+H];C2126ClNSに対する質量分析による計算値、483.96;質量分析による実測値、484.2。(カラム;Kinetex EVO C18(3.0×50mm、2.6μm);RT:1.96分;A:950mlの水中0.5mlのギ酸+50mlのACN、B:ACN中0.5mlのギ酸;勾配プログラム:0.01/2、0.2/2、2.2/98、3/98、3.2/2、4/2;流量:1.2mL/分。
【0362】
HPLC:99.68%;(カラム;X-SELECT CSH C-18(4.6×150mm、3.5μm);RT:9.17分;A:0.05%TFA:ACN(95:05)、B:ACN:0.05%TFA(95:05);T/B%:0.01/10、12/90、16/90;流量:1.0mL/分。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
【配列表】
2023542498000001.app
【国際調査報告】