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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 61/06 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
B23D61/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517856
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 AT2021060313
(87)【国際公開番号】W WO2022056563
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】A50796/2020
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(31)【優先権主張番号】A50864/2020
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520470512
【氏名又は名称】マーテ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュタインコグラー・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クービン・ヴィルヘルム・クラウス
(57)【要約】
キャリア(1)と切削インサート(3)を有し、キャリア(1)が、少なくとも1つのシリンダ状の収容部(2)と、切削インサート(3)用の少なくとも1つのストッパジョー(8)を構成し、切削インサート(3)が、シリンダ状の切削基体(4)と、この切削基体から半径方向に突出する切れ刃(5)を有し、この切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョー(8)用の少なくとも1つのストッパ(6)を備え、切削インサート(3)が、切削方向に対して横に収容部(2)内に挿入可能で、挿入された状態で、挿入位置と切削位置の間で回転可能であり、切削インサート(3)が、切削位置で、回転防止装置によって固定されている、切削工具、特に鋸刃を説明する。簡単な製造及び取付け条件にもかかわらず、キャリアにおける交換可能な切削インサートの十分な安定性と強度を保証し、これにより、特にキャリア厚さが6mm未満である場合に、薄切りへの適用を確実に可能する、冒頭で述べた形式の工具を提供するため、切削インサート(3)が、バヨネットロック式にシリンダ状の収容部(2)内に挿入されていること、を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(1)と切削インサート(3)を有し、キャリア(1)が、少なくとも1つのシリンダ状の収容部(2)と、切削インサート(3)用の少なくとも1つのストッパジョー(8)を構成し、切削インサート(3)が、シリンダ状の切削基体(4)と、この切削基体から半径方向に突出する切れ刃(5)を有し、この切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョー(8)用の少なくとも1つのストッパ(6)を備え、切削インサート(3)が、切削方向に対して横に収容部(2)内に挿入可能で、挿入された状態で、挿入位置と切削位置の間で回転可能であり、切削インサート(3)が、切削位置で、回転防止装置によって固定されている、切削工具、特に鋸刃において、
切削インサート(3)が、バヨネットロック式にシリンダ状の収容部(2)内に挿入されていること、を特徴とする切削工具。
【請求項2】
切削インサート(3)のシリンダ周囲に、収容部(2)のアンダーカットされた溝(17)内に挿入可能な少なくとも1つのノーズ(18)が設けられていること、特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
収容部(2)の内側のシリンダ周囲に、切削インサート(3)のアンダーカットされた溝内に挿入可能な少なくとも1つのノーズが設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項4】
切れ刃(5)が、切れ刃裏側に、ストッパジョー(8)において切削インサート(3)を調心するための、互いに傾斜して配置された2つのストッパ面(21)を備えること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の切削工具。
【請求項5】
切削インサート(3)が、2つのストッパジョー(8,9)において切削インサート(3)を調心するためのそのシリンダ周囲にわたって分配された2つのストッパ(6,7)を備え、これらストッパ(6,7)が、シリンダ状の切削基体(4)のシリンダ軸に関して互いに対向すること、を特徴とする請求項4に記載の切削工具。
【請求項6】
キャリア(1)が、収容部(2)の内側のシリンダ周囲に接続する、ストッパジョー(8)に対向する回転防止装置用の空所(11)を備えること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の切削工具。
【請求項7】
回転防止装置が、一方で空所(11)の2つの側面(12)に支持され、他方でシリンダ状の切削基体(4)に当接しているテンショニングバネ(10)によって構成されていること、を特徴とする請求項6に記載の切削工具。
【請求項8】
切削インサート(3)のシリンダ周囲に、切削位置で回転防止をするためのロックキャッチが配置されていること、を特徴とする請求項6又は7に記載の切削工具。
【請求項9】
テンショニングバネ(10)が、空所(11)の側面(12)においてガイド収容部(25)内に挿入されていること、を特徴とする請求項7又は8に記載の切削工具。
【請求項10】
シリンダ状の切削基体(4)と、この切削基体から半径方向に突出する切れ刃(5)を有し、この切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョー(8)用の少なくとも1つのストッパ(6)を備える、切削工具用の切削インサート(3)において、
切削インサート(3)のシリンダ周囲に、少なくとも1つのノーズ(18)及び/又は少なくとも1つの溝(17)が配置され、この少なくとも1つのノーズ(18)及び/又は少なくとも1つの溝(17)は、切削インサート(3)がバヨネットロック式に工具の収容部(2)内に挿入可能であるように形成されていること、を特徴とする切削インサート。
【請求項11】
切れ刃(5)が、切れ刃裏側に、工具のシリンダ状の収容部(2)内で切削インサート(3)を調心するための、互いに傾斜して配置された2つのストッパ面(21)を備えること、を特徴とする請求項10に記載の切削インサート。
【請求項12】
切削インサート(3)が、工具のシリンダ状の収容部(2)内で切削インサート(3)を調心するための、切削基体(4)のシリンダ周囲にわたって分配された2つのストッパ(6,7)を備え、これらストッパ(6,7)が、切削基体(4)のシリンダ軸に関して互いに対向すること、を特徴とする請求項10又は11に記載の切削インサート。
【請求項13】
切削基体(4)のシリンダ周囲に、切削位置で回転防止をするためのロックキャッチが配置されていること、を特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の切削インサート。
【請求項14】
ロックキャッチが、切削基体(4)の周囲部分にわたって延在する、低位の収容アーク(14)と高位のテンショニングアーク(15)を有する半腎臓形のキャッチガイド溝(13)を構成すること、を特徴とする請求項13に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアと切削インサートを有し、キャリアが、少なくとも1つのシリンダ状の収容部と、切削インサート用の少なくとも1つのストッパジョーを構成し、切削インサートが、シリンダ状の切削基体と、この切削基体から半径方向に突出する切れ刃を有し、この切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョー用の少なくとも1つのストッパを備え、切削インサートが、切削方向に対して横に収容部内に挿入可能で、挿入された状態で、挿入位置と切削位置の間で回転可能であり、切削インサートが、切削位置で、回転防止装置によって固定されている、切削工具、特に鋸刃に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第20020112590号明細書から、交換可能な切削インサートを有する丸鋸ブレードが知られている。このため、丸鋸ブレードは、複数のシリンダ状の収容部とストッパジョーを備えるキャリアを形成し、これにより、それぞれの切削インサートは、切削方向に対して横に、特にキャリアに対して軸平行に主要部内に挿入され得る。シリンダ状の収容部内への挿入時に、切削インサートは、キャリア軸に対して平行な旋回軸に関して、挿入位置から切削位置に回転される。切削位置で、ストッパジョーにおいて実質的に半径方向に延在するように配置された調心バネが、挿入された切削インサートの調心バネに対応する調心溝に係合する。回転防止のため、切削インサートを収容部内に固定するロックネジが設けられている。但し、それの欠点は、構造の観点から設定された最小ネジ直径に関する制限に基づいて、6mm未満の鋸刃の厚さを容易に実現することができないことである。加えて、鋸刃の厚さが小さい場合には動作中にキャリア上の切削インサートの安定性と強度が非常に低くなるとの難点がある。これらの理由から、このような切削インサートシステムは、薄切りへの適用についてこれまでは満足のいくように使用することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第20020112590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、簡単な製造及び取付け条件にもかかわらず、キャリアにおける交換可能な切削インサートの十分な安定性と強度を保証し、これにより、特にキャリア厚さが6mm未満である場合に、薄切りへの適用を確実に可能する、冒頭で述べた形式の切削工具が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、切削インサートが、バヨネットロック式にシリンダ状の収容部内に挿入されていること、によって提起した課題を解決する。
【0006】
バヨネットロック式のシリンダ状の収容部内への切削インサートの挿入とは、切削インサートとシリンダ状の収容部との間に結合を生成するために、切削インサートとシリンダ状の収容部が、シリンダ軸の方向に挿入位置に押し込まれ、シリンダ軸に関して逆方向に切削位置に回転されることであると理解すべきである。ここで、好ましくは、収容部と切削基体の両方のシリンダ軸は、実質的に一致する。これにより、特に切削工具が既に組み込まれた状態で手で実施可能な、切削インサートの簡単な取付けもしくは取外しが可能になるだけでなく、それぞれの切削インサートが、切削位置で既に十分な安定性でもってシリンダ状の収容部内に固定されており、これにより、相応の回転防止装置、例えばボルト又はバネ鋼要素をより小さく寸法設定すること、及び、特に回転防止装置としてのネジを省略すること、ができる。しかしながら、当然、相応の装着機によって自動的に実施可能な、切削インサートの取付けもしくは取外しも基本的に可能である。加えて、本発明による措置に基づいて、動作中に、シリンダ状の収容部とすくなくとも1つのストッパジョーを介するキャリアへの均一な切削力の伝達を行なうことと、例えば衝撃又は打撃により切削方向に対して横に延在する力の作用のために生じる収容部からの切削インサートの脱離の危険を軽減することの両方ができる。全体として、本発明による特徴によって、切削インサートの破損を低減することができ、これにより、薄切りへの適用用の切削工具、特に鋸刃を提供する前提条件が達成される。従って、工具は、6mm未満のキャリア厚さにもかかわらず、簡単に、好ましくは自動的に、交換可能な切削インサートを装着可能であり得る。切削インサートが、バヨネットロック式にシリンダ状の収容部内に挿入されていることにより、切削方向に対して横のシリンダ状の収容部内への切削インサートの嵌合式の固定が行なわれる。シリンダ状の収容部の周囲領域にわたって、バヨネットロックの相応のロック手段を提供することができ、これらロック手段は、適切な面にわたって、収容部内での切削インサートの必要な保持を提供する。切れ刃は、切れ刃裏側に、ストッパジョー用の少なくとも1つのストッパを備える。切れ刃裏側は、特に、ストッパが、切り出された屑が流出するすくい面に対向する切れ刃の裏側に設けられていることを意味する。明確にするために、この場合、切削インサートのブレードが簡素化のために切れ刃と呼ばれることに留意されたい。
【0007】
特に有利な構造的な条件は、切削インサートのシリンダ周囲に、収容部のアンダーカットされた溝内に挿入可能な少なくとも1つのノーズが設けられている場合に得られる。この場合、アンダーカットされた溝は、バヨネットロックに基づいて、シリンダ状の収容部のシリンダ軸に対して平行に延在する第1の差込みガイド溝を備え、この第1の差込みガイド溝に、実質的にこの第1の差込みガイド溝に対して横に収容部のシリンダ周方向に第2の回転ガイド溝が接続する。従って、収容部内への切削インサートの挿入時、まず、切削インサートのノーズは、差込みガイド溝に沿って移動することができるので、切削インサートは、収容部内で挿入位置を占める。切削インサートと収容部が、シリンダ軸に関して逆方向に回転されると、ノーズは、回転ガイド溝に沿って滑動することができるので、切削インサートは、最終的に収容部に関して切削位置を占める。ノーズは、例えば、その面が互いにかつ切削インサートのシリンダ周囲に対して傾斜した一種のカムとして形成することができる。従って、差込みガイド溝横断面は、ノーズの縦断面に実質的に一致することができ、これに対して、回転ガイド溝横断面は、ノーズの横断面に実質的に一致することができ、ノーズは、遊びを有して溝に沿って移動可能である。
【0008】
逆に、上記の特徴と同様に、収容部の内側のシリンダ周囲に、切削インサートのアンダーカットされた溝内に挿入可能な少なくとも1つのノーズが設けられていること、も考えられる。明確にするために、収容部の内側のシリンダ周囲が、切削インサートのシリンダ周囲に対面する収容部の面を意味することに留意されたい。
【0009】
簡単な取付け条件と動作中の切削インサートの均一な支持の両方を可能にするため、切削インサートの切れ刃が、シリンダ状の収容部内に挿入された切削インサートのシリンダ状の切削基体から半径方向に突出し、切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョーにおいて切削インサートを調心するための、好ましくは鈍角に互いに傾斜して配置された2つのストッパ面を備えること、が提案される。この場合、互いに傾斜して配置された両面は、好ましくは、切削基体の両シリンダベース面に対しても傾斜している。これら特徴のため、簡単な製造及び取付け条件にもかかわらず、収容部内での切削インサートの確実な調心を可能にすることができ、これにより、本発明による工具の全ての切削インサートへの均一な応力負荷を行なうことができる。
【0010】
切削インサートの破損を更に低減するため、切削インサートが、2つのストッパジョーにおいて切削インサートを調心するためのそのシリンダ周囲にわたって分配された2つのストッパを備え、これらストッパが、シリンダ状の切削基体のシリンダ軸に関して互いに対向すること、が推奨される。これにより、収容部内での切削インサートのコンパクトな着座が可能になるので、特に有利な切削力の導入もしくはキャリアへの特に均一な切削力の伝達を行なうことができる。この場合、当然、ストッパもしくは対応するストッパジョーの少なくとも1つは、前記のように互いに係さして配置されたストッパ面を備えることができる。
【0011】
好ましくは、キャリアは、収容部の内側のシリンダ周囲に接続する、ストッパジョーに対向する回転防止装置用の空所を備える。これにより、工具の強度が薄切りへの適用のために十分であるにもかかわらず、簡単な製造条件が得られるだけでなく、相応の回転防止装置を、空所への簡単なアクセスに基づいて難なく空所内に挿入することもしくは交換することができる。好ましくは、空所内への回転防止装置の挿入方向も、シリンダ軸もしくはキャリア回転軸に対して平行に延在する。
【0012】
これに関連して、回転防止装置が、一方で空所の2つの側面に支持され、他方でシリンダ状の切削基体に当接しているテンショニングバネによって構成されている場合が、特に有利である。動作の確実なテンショニング条件のため、相応の支持及び当接方向は、好ましくは互いに直角に延在する。
【0013】
簡単な取付け条件が同時に得られる時の付加的な安定性は、切削インサートのシリンダ周囲に、切削位置で回転防止をするためのロックキャッチが配置されている場合に得られる。これにより、回転防止をするためのテンショニングバネのテンショニングは、簡単に切削インサートと収容部の切削位置への回転運動だけによって行なうことができる。
【0014】
更に、テンショニングバネ自体を、動作中に特に外部の打撃又は衝撃作用に基づいて空所から解離され得ないように固定するため、テンショニングバネが、空所の側面においてガイド収容部内に挿入されていること、が提案される。特に好ましくは、ガイド収容部が、ガイド収容部内に挿入された当該テンショニングバネ部分のためのテンショニングバネの挿入方向のもしくは挿入方向とは逆のストッパを構成する。
【0015】
本発明は、シリンダ状の切削基体と、この切削基体から半径方向に突出する切れ刃を有し、この切れ刃が、切れ刃裏側に、ストッパジョー用の少なくとも1つのストッパを備える、切削工具用の切削インサートにも関する。切削インサートのシリンダ周囲に、少なくとも1つのノーズ及び/又は少なくとも1つの溝が配置され、この少なくとも1つのノーズ及び/又は少なくとも1つの溝は、切削インサートがバヨネットロック式に工具、特に丸鋸刃の収容部内に挿入可能であるように形成されている。更なる実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【0016】
簡単な製造条件にもかかわらず、一方で特に有利な取付け条件を提供し、他方で工具収容部内での切削インサートの安定した着座を可能にするため、ロックキャッチが、切削基体の周囲部分にわたって延在する、低位の収容アークと高位のテンショニングアークを有する半腎臓形のキャッチガイド溝を構成すること、が提案される。キャッチガイド溝の低位の収容アークは、工具収容部内への切削インサートの問題のない挿入を可能にし、万一の回転防止部分、例えばテンショニングバネの当接部分が、遊びを有してもしくは非接触で収容アークに係合する。切削インサートもしくはキャリアが切削位置に回転されると、回転防止部分が、半腎臓形のキャッチガイド溝に当接しつつ高位のテンショニングアークまで滑動し、そこで摩擦係合式に保持され、従って固定される。
【0017】
図面に、発明対象が例として図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による工具の概略部分図の平面図
図2】左側に切削位置を、右側に挿入位置を図示しされた、スケールを拡大した図1の詳細図
図3】切削インサート、シリンダ状の収容部及びテンショニングバネ分解図のスケールを更に拡大した第1の斜視図
図4図3に対応する分解図の別の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による切削工具は、丸鋸刃として形成され、この丸鋸刃のキャリア1は、周囲側に配置された複数のシリンダ状の収容部2を備え、これら収容部内に、それぞれ本発明による切削インサート3が挿入されている。切削インサート3は、それぞれ1つのシリンダ状の切削基体4と、この切削基体から半径方向に突出する1つの切れ刃5を備える。更に、切削インサート3は、2つのストッパジョー8,9において切削インサート3を調心するための、その周囲にわたって分配された2つのストッパ6,7を備え、これらストッパ6,7は、シリンダ状の切削基体4のシリンダ軸に関して互いに対向する。
【0020】
切削インサート3は、切削方向に対して横に収容部2内に挿入可能で、挿入された状態で、図2に模範的に示したように、挿入位置と切削位置の間で回転可能である。切削インサート3は、図2に左側に図示した切削位置で、この実施例ではテンショニングバネ10として形成された回転防止装置によって固定されている。テンショニングバネ10は、キャリア1の空所11内に挿入され、空所11の2つの側面12に支持され、シリンダ状の切削基体4に当接している。
【0021】
更に、切削インサート3のシリンダ周囲に、切削位置でのテンショニングバネ10用のロックキャッチが配置されている。この場合、ロックキャッチは、切削基体4の周囲部分にわたって延在する、低位の収容アーク14と高位のテンショニングアーク15を有する半腎臓形のキャッチガイド溝13を構成する。図2の右側に図示した挿入位置で、テンショニングバネ10は、その当接部分16でもって、遊びを有して低位の収容アークに係合する。切削インサート3もしくはキャリア1が、図2の左側に図示した切削位置に回転されると、当接部分16は、半腎臓形のキャッチガイド溝13に当接しつつ高位のテンショニングアーク15まで滑動しそこで摩擦係合式に保持され、従って固定される。
【0022】
図3及び図4を見ると、本実施例によれば、切削インサート3のシリンダ周囲に、収容部2のアンダーカットされた溝17内に挿入可能なノーズ18が設けられていることがわかる。この場合、アンダーカットされた溝17は、バヨネットロックに基づいて、収容部2のシリンダ軸に対して平行に延在する第1の差込みガイド溝19を備え、この第1の差込みガイド溝に、この第1の差込みガイド溝に対して横に収容部2のシリンダ周囲方向に第2の回転ガイド溝20が接続する。従って、収容部2内への切削インサート3の挿入時、まず、ノーズ18は、差込みガイド溝19に沿って移動することができるので、切削インサート3は、収容部2内で挿入位置を占める。切削インサート3と収容部2が、シリンダ軸に関して逆方向に回転されると、ノーズ18は、回転ガイド溝20に沿って滑動することができるので、切削インサート3は、収容部2に関して切削位置を占める。図4からわかるように、ノーズ18は、例えば、その面が互いにかつ切削インサート3のシリンダ周囲に対して傾斜した一種のカムとして形成されている。
従って、差込みガイド溝横断面19は、模範的にカム状に形成されたノーズ18の縦断面に実質的に一致し、これに対して、回転ガイド溝横断面20は、ノーズ18の横断面に実質的に一致し、ノーズ18は、遊びを有して溝19,20に沿って移動可能である。
【0023】
同様に図3及び4からわかるように、切れ刃裏面側のストッパ6は、ストッパジョー8において切削インサート2を調心するための互いに傾斜して配置された2つのストッパ面21を備え、そのため、ストッパジョーも、2つの傾斜したストッパ面22を有する。切削基体4のシリンダ軸に関してストッパ6に対向するストッパ7と対応するストッパジョー9も、それぞれ互いに傾斜して配置されたストッパ面23もしくは24を備える。
【0024】
更に、図3及び4では、テンショニングバネ10が、空所11の側面12においてガイド収容部25内に挿入されていることが認められる。
【0025】
切削インサート3は、それぞれ切削工具において簡単に、シリンダ状の収容部2に組み込まれた状態で、相応の挿入工具によって手で挿入することもしくは再び除去することができる。図2には、模範的な挿入工具用のドライバプロファイル26が、概略的に示される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】