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特表2023-542522外側表面の電気的接続を伴うフロントプレーン積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】外側表面の電気的接続を伴うフロントプレーン積層体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1675 20190101AFI20231002BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20231002BHJP
【FI】
G02F1/1675
G02F1/167
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518167
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021052658
(87)【国際公開番号】W WO2022072500
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/086,695
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブシャール, アライン
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BD61
2K101EB52
2K101EB71
2K101EC08
2K101ED13
2K101EE02
2K101EG27
2K101EG52
2K101EH15
2K101EH26
2K101EH36
2K101EH41
2K101EH61
2K101EJ33
(57)【要約】
内側表面と、内側表面と反対側の外側表面と、複数の貫通孔とを有する光透過性基板。酸化インジウムスズ(ITO)等の光透過性伝導性材料と結合されているとき、基板は、電気光学ディスプレイ内の上部電極として使用され得る光透過性導電層と、光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を提供する。故に、光透過性基板は、電気光学ディスプレイのための、特に、現場で切断または組み立てられる必要があり得る大判デバイスのためのより単純な電気的接続を可能にする。加えて、数十~数百の電気的接触を有する冗長性は、切れた電気的接続に起因してデバイスが動作不可能にされる可能性を最小限にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造品であって、前記製造品は、順番に、
内側表面と、前記内側表面と反対側の外側表面とを有する光透過性基板と、
光透過性導電層と、
電気光学媒体層と、
接着層と、
前記接着層と接触している剥離シートであって、前記電気光学媒体層は、前記光透過性導電層と前記接着層との間に配置されている、剥離シートと
を備え、前記光透過性基板は、
連続部分と、
前記連続部分内の複数の開口部であって、前記開口部は、前記光透過性導電層と前記光透過性基板の前記外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を備える、複数の開口部と
を備える、製造品。
【請求項2】
前記光透過性基板の前記連続部分は、微小凹み付きポリマー材料を備える、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
前記光透過性導電層は、酸化アルミニウムスズ、酸化インジウムスズ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、およびそれらの組み合わせから成るグループから選択される材料を備える、請求項1に記載の製造品。
【請求項4】
前記電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体である、請求項1に記載の製造品。
【請求項5】
前記光透過性基板の前記外側表面上に位置付けられた保護層をさらに備える、請求項1に記載の製造品。
【請求項6】
前記接触スポットは、少なくとも0.1マイクロメートル~最大100マイクロメートルの平均直径を有する、請求項1に記載の製造品。
【請求項7】
前記接触スポットは、少なくとも0.5マイクロメートル~最大10マイクロメートルの平均直径を有する、請求項1に記載の製造品。
【請求項8】
前記接触スポットは、前記光透過性基板の前記外側表面のある区画上に位置し、前記区画は、1平方センチメートルあたり少なくとも10個の接触スポット~1平方センチメートルあたり最大1,000個の接触スポットの平均密度を有する、請求項1に記載の製造品。
【請求項9】
積層電気光学ディスプレイであって、前記積層電気光学ディスプレイは、順番に、
内側表面と、前記内側表面と反対側の外側表面とを有するフロントプレーン光透過性基板と、
光透過性導電層と、
前記導電層と電気的に接触している電気光学媒体層と、
導体を備えるバックプレーンと
を備え、
前記フロントプレーン光透過性基板は、連続部分と、前記連続部分内の複数の開口部とを備え、前記開口部は、前記光透過性導電層と前記フロントプレーン光透過性基板の前記外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を備える、
積層電気光学ディスプレイ。
【請求項10】
前記連続部分は、微小凹み付きポリマー材料を備える、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
前記電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体である、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項12】
前記フロントプレーン光透過性基板の前記外側表面上に位置付けられた保護層をさらに備える、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記接触スポットは、少なくとも0.1マイクロメートル~最大100マイクロメートルの平均直径を有する、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
前記接触スポットは、少なくとも0.5マイクロメートル~最大10マイクロメートルの平均直径を有する、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項15】
前記接触スポットは、前記フロントプレーン光透過性基板の前記外側表面のある区画上に位置し、前記区画は、1平方センチメートルあたり少なくとも10個の接触スポット~1平方センチメートルあたり最大1,000個の接触スポットの平均密度を有する、請求項9に記載の積層電気光学ディスプレイ。
【請求項16】
光透過性伝導性材料であって、前記光透過性伝導性材料は、
第1の表面と、前記第1の表面と反対側の第2の表面と、複数の貫通孔とを有する光透過性基板と、
前記基板の前記第1表面と接触している、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)から選択される伝導性材料と
を備え、
前記伝導性材料は、前記光透過性基板の前記第1の表面に隣接する光透過性伝導性表面を形成し、前記複数の貫通孔を通して、前記光透過性基板の前記第2の表面上の接触スポットに電気的接続を提供し、
前記貫通孔は、少なくとも0.1マイクロメートル~最大100マイクロメートルの平均直径を有する、
光透過性伝導性材料。
【請求項17】
前記光透過性基板は、ポリマー材料である、請求項16に記載の光透過性伝導性材料。
【請求項18】
前記貫通孔は、少なくとも0.5マイクロメートル~最大10マイクロメートルの平均直径を有する、請求項16に記載の光透過性伝導性材料。
【請求項19】
前記貫通孔は、円形、線形、および楕円形から成るグループから選択される形状を有する、請求項16に記載の光透過性伝導性材料。
【請求項20】
前記接触スポットは、前記光透過性基板の前記外側表面のある区画上に位置し、前記区画は、1平方センチメートルあたり少なくとも10個の接触スポット~1平方センチメートルあたり最大1,000個の接触スポットの平均密度を有する、請求項16に記載の光透過性伝導性材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年10月2日に出願された米国仮特許出願第63/086,695号の優先権を主張する。本明細書に開示される全ての特許および公開は、参照によってその全体が援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、フロントプレーン積層体と、積層体の製造方法と、積層体から形成された電気光学ディスプレイとに関する。より具体的には、一局面では、本発明は、連続部分内に分布している散在部分を含む基板を有するフロントプレーン積層体に関する。散在部分は、フロントプレーン積層体の導電層と基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を含む。
【背景技術】
【0003】
(背景)
電気光学ディスプレイは、電気光学材料層を備える。用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、本明細書では、結像技術分野におけるその従来の意味において、少なくとも1つの光学性質が異なる第1および第2の表示状態を有する材料を指すように使用され、材料は、材料への電場の印加によってその第1の表示状態からその第2の表示状態へと変化させられる。光学性質は、典型的には、人間の眼に知覚可能な色であるが、これは、光学透過率、反射率、ルミネッセンスであってもよく、または、機械読取を意図されているディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学性質であってもよい。
【0004】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号(特許文献1)、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されているような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上記に言及された特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないため、用語「回転二色部材」が、より正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つまたはそれより多くの部分と、内部双極子とを有する多数の小さい物体(典型的には、球形または円筒形)を使用する。これらの物体は、マトリクス内の液体が充填された空胞内に懸濁されており、空胞は、物体が自由に回転するように液体を充填されている。ディスプレイの外観は、それに電場を印加し、それによって物体を種々の位置に回転させ、ビュー表面を通して見られる物体の部分を変えることによって変更される。
【0005】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体(例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成された電極と、電極に取り付けられた可逆的色変化が可能な複数の染色分子とを備える、ナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体)を使用する。例えば、O’Regan, B., et al, Nature1991,353,737、およびWood, D., Information Display,18(3),24(2002年3月)を参照されたい。Bach, U., et al, Adv. Mater.,2002,14(11),845も、参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体も、典型的には、双安定である。
【0006】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発された、Hayes, R.A., et al,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature,425,383-385(2003)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは双安定に作製され得ることが、示されている。他の周知の電気光学ディスプレイ材料は、液晶ディスプレイ(LCD)と、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)と、発光ダイオード(LED)と、マイクロ/ミニLEDとを含む。
【0007】
長年にわたって、精力的な研究および開発の対象である1つのタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。
【0008】
Massachusetts Institute of Technology (MIT)、E Ink Corporation、E Ink California, LLC、および関連する企業に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化およびマイクロセル電気泳動ならびに他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々自体が、電気泳動で移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を囲むカプセル壁とを備える。典型的には、カプセル自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極の間に位置付けられたコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成された複数の空洞内に留められる。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号を参照)
(d)マイクロセルに充填し、それを封止するための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号を参照)
(e)電気光学媒体を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号を参照)
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着層および他の補助層、ならびに方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号を参照)
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号を参照)
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照)
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されているような非電気泳動ディスプレイ、ならびにディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号を参照)
【0009】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを囲む壁が連続相によって置き換えられ得、それによって、電気泳動媒体電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを備える、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生産することと、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられない場合でも、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴がカプセルまたはマイクロカプセルと見做され得ることを認識している。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的に関して、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見做される。
【0010】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに苛まれることがなく、多種多様な可撓性および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。単語「印刷」の使用は、限定ではないが、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等の前計量コーティング、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等のロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号および他の類似の技法を参照)を含む全ての形態の印刷およびコーティングを含むことを意図されている。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性を有し得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷されることができるため、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。他のタイプの電気光学媒体も、本発明の実施形態において使用され得る。
【0011】
電気光学ディスプレイは、通常、電気光学媒体層と、電気光学媒体の反対側上に配置されている少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層のうちの一方または両方は、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化されている。例えば、一方の電極層は、伸長行電極へとパターン化され得、他方は、行電極に対して直角に延設されている伸長列電極へとパターン化され得、ピクセルは、行電極および列電極の交点によって画定される。代替として、およびより一般的には、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、それらの各々が、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。ディスプレイとは別個のスタイラス、印刷ヘッド、または類似の移動可能電極との使用を意図されている別のタイプの電気光学ディスプレイでは、電気光学層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気光学層の反対側の層は、典型的には、移動可能電極が電気光学層に損傷を与えることを防止することを意図されている保護層である。
【0012】
3層電気泳動ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層動作を伴う。例えば、前述のMITおよびE Inkの特許および出願のうちのいくつかでは、結合剤内にカプセルを備えるカプセル化電気泳動媒体が光透過性導電層の上にコーティングされているカプセル化電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明されており、光透過性導電層は、最終的なディスプレイの上部電極層として作用し、ひいては、光透過性基板に適用される。以降、便宜上「フロントプレーン積層体」または「FPL」と称される製造品を提供するために、カプセル/結合剤コーティングは、次いで、導電層に強固に接着された電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥させられる。
【0013】
別個に、ピクセル電極を駆動回路網に接続するための、ピクセル電極のアレイおよび導体の適切な配列を含むバックプレーンが、用意される。最終的なディスプレイを形成するために、FPLは、積層接着剤を使用してバックプレーンに積層される(それにわたってスタイラスまたは他の移動可能電極が摺動し得るプラスチックフィルム等の単純な保護層にバックプレーンを置き換えることによって、非常に類似のプロセスが、スタイラスまたは類似の移動可能電極とともに使用可能である電気泳動ディスプレイを用意するために使用されることができる)。そのようなプロセスの一例示的形態では、バックプレーン自体が、可撓性を有し、プラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上にピクセル電極および導体を印刷することによって用意される。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための通常の積層技法は、積層接着剤を使用したロール積層である。類似の製造技法が、他のタイプの電気光学ディスプレイとともに使用されることができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体または回転二色部材媒体は、カプセル化電気泳動媒体と実質的に同一の様式においてバックプレーンに積層されてもよい。
【0014】
フロントプレーン積層体がディスプレイ内で使用されるとき、電圧源と、それを通して電気光学媒体が目視される光透過性導電層との間に電気的接続を作製することが、必要である(この光透過性導電層は、時として、「トッププレーン」電極と称される)。いくつかの事例では、接続は、電力供給源またはコントローラから導電層に直接結合されているワイヤまたは伝導性トレースを用いて直接作り出される。より典型的には、電圧は、伝導性パッドにつなげられた加工済トレースを使用して、バックプレーンに沿って配索され、必要な電気的接続は、上部伝導層がアクセス可能である、電気光学媒体と接触しないディスプレイの少なくとも1つの「接続エリア」を提供することによって達成される。
【0015】
接続エリアは、2つの異なる手法において提供され得る。第1に、電気光学媒体層の形成は、電気光学媒体が存在しない非コーティングエリア(「側溝」)を残すように制御され得、これらの非コーティングエリアの一部分は、後に接続エリアとしての役割を果たすことができる。代替として、積層体の表面全体が、電気光学媒体を用いて被覆され、この媒体は、後に、例えば、電気光学層の切断、機械的摩滅、または化学的劣化によって、任意の便宜的な様式において接続エリアから除去されることができる。導電性材料、例えば、伝導性銀ペーストまたは接着剤等の伝導性充填剤が、次いで、回路を完成させるために、接続エリアに接触し、上部電極層とバックプレーン内のトッププレーン接続部(TPC)との間に電気的接続を形成するように挿入される。
【0016】
いくつかの場合、接続エリアからの電気光学媒体の除去に続いて、積層体は、電気光学媒体から残留物を除去するために清浄されることを要求してもよく、例えば、電気光学媒体がカプセル化電気泳動材料である場合、接続エリアからの電気泳動材料の除去中のカプセルの破裂後に残されたままである任意の内相を除去することが、望ましい。上部伝導層は、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の比較的脆弱な材料から作製されるため、接続エリアを形成することおよび伝導性充填剤を挿入することは、繊細なプロセスであり、その外周壁を清浄する際に使用される溶媒は、上部伝導層に損傷を与えることなく、電気光学層を溶解するものが選択されるべきである。さらに、伝導性充填剤の量は、電気回路を完成させるために十分であるべきであるが、流れ出し得る、クリープを起こし得る、またはずれ得る、または別様に短絡を引き起こす傾向があり得る分量を要求しない。重要なこととして、FPLが、封止されたディスプレイ(別名、モジュール)に組みこまれるとき、FPLは、切断されなければならず、断片が、バックプレーンへの積層に先立って、トッププレーン接続のために清浄されなければならない。これは、切断された一片とバックプレーンとの間に非常に精密な整合を要求する。部品の全てを清浄および整合された状態に保つことは、特に、より大きなディスプレイの場合に、または、整合ジグを用いることなくプロトタイプまたはカスタムされたディスプレイを加工するときに困難である。整合ジグは、1回限りのディスプレイに対しては非実践的であり、いくつかの通常と異なる形状のディスプレイに対しては、不可能でさえあり得る。FPLにおける断片が積層後に作られる場合、清浄プロセスは、トップおよび/またはバックプレーン伝導層に損傷を与える可能性が高い。
【0017】
上記の理由のために、トッププレーン接続部を形成する従来的なプロセスは、複雑であり、時間のかかるものであり、慎重に実行されない場合、上部電極層および最終アセンブリの他の部品に損傷を与える傾向があり得る。したがって、トッププレーン接続部の製造に関連付けられた向上した大量生産技法に対する必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5808783号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の概要)
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の説明の観点から明白であろう。
【0020】
第1の局面では、製造品が、本明細書に提供され、製造品は、順番に、内側表面と、内側表面と反対側の外側表面とを有する光透過性基板と、光透過性導電層と、電気光学媒体層と、接着層と、接着層と接触している剥離シートとを備え、電気光学媒体層は、光透過性導電層と接着層との間に配置されている。光透過性基板は、連続部分と、連続部分内の複数の開口部とを備え、開口部は、光透過性導電層と光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を含む。
【0021】
第2の局面では、積層電気光学ディスプレイが、提供され、積層電気光学ディスプレイは、順番に、内側表面と、内側表面と反対側の外側表面とを有するフロントプレーン光透過性基板と、光透過性導電層と、光透過性導電層と電気的に接触している電気光学媒体層と、導体を含むバックプレーンとを備え、フロントプレーン光透過性基板は、連続部分と、連続部分内の複数の開口部とを備え、開口部は、光透過性導電層とフロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を含む。
【0022】
第3の局面では、光透過性伝導性材料が、提供され、光透過性伝導性材料は、第1の表面と、第1の表面と反対側の第2の表面と、複数の貫通孔とを有する光透過性基板を備え、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)から選択される伝導性材料は、基板の第1表面と接触し、光透過性基板の第1の表面に隣接する光透過性伝導性表面を形成しながら、複数の貫通孔を通して、光透過性基板の第2の表面上の接触スポットに電気的接続も提供し、貫通孔は、少なくとも0.1マイクロメートル~最大100マイクロメートルの平均直径を有する。一実施形態では、光透過性基板は、ポリマー材料である。一実施形態では、貫通孔は、少なくとも0.5マイクロメートル~最大10マイクロメートルの平均直径を有する。一実施形態では、貫通孔は、円形、線形、および楕円形から成るグループから選択される。一実施形態では、接触スポットは、光透過性基板の外側表面のある区画上に位置し、区画は、1平方センチメートルあたり少なくとも10個の接触スポット~1平方センチメートルあたり最大1,000個の接触スポットの平均密度を有する。
【0023】
第4の局面では、積層電気光学ディスプレイを製造する方法が、提供され、方法は、フロントプレーン積層体をバックプレーンに積層することであって、フロントプレーン積層体は、順番に、内側表面と、内側表面と反対側の外側表面とを有するフロントプレーン光透過性基板と、光透過性導電層と、光透過性導電層と電気的に接触している電気光学媒体層と、接着層とを備え、フロントプレーン光透過性基板は、連続部分と、連続部分内の複数の開口部とを備え、開口部は、光透過性導電層とフロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を含み、バックプレーンは、トッププレーン接続部を備える、ことと、フロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットのうちの少なくとも1つとトッププレーン接続部との間に電気的接続を形成することとを含む。
【0024】
第5の局面では、積層電気光学ディスプレイを製造する方法が、提供され、方法は、フロントプレーン積層体をバックプレーンに積層することであって、フロントプレーン積層体は、順番に、内側表面と、内側表面と反対側の外側表面とを有するフロントプレーン光透過性基板と、光透過性導電層と、光透過性導電層と電気的に接触している電気光学媒体層と、接着層とを備え、フロントプレーン光透過性基板は、連続部分と、連続部分内の複数の開口部とを備え、開口部は、光透過性導電層とフロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成する導電性材料を含み、バックプレーンは、トッププレーン接続部を備える、ことと、フロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットのうちの少なくとも1つとトッププレーン接続部との間に電気的接続を形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面は、限定としてではなく、単なる実施例として、本概念による1つまたはそれより多くの実装を描写している。図において、同様の参照番号は、同一のまたは類似の要素を指す。
【0026】
図1図1は、従来的なフロントプレーン積層体(FPL)を通した概略断面図である。
【0027】
図2図2は、本発明の光透過性基板を含むフロントプレーン積層体を通した概略斜視断面図である。
【0028】
図3図3A~3Cは、本発明の実施形態による、異なる幾何学形状の接触スポットを有するフロントプレーン光透過性基板の概略上部平面図である。
【0029】
図4図4A~4Cは、本発明の実施形態による、繰り返しパターンに形成された伸長された接触スポットを特徴とするフロントプレーン光透過性基板の概略上部平面図である。
【0030】
図5図5は、本発明の実施形態による積層電気光学ディスプレイを通した斜視断面図である。
【0031】
図6図6は、図5の積層電気光学ディスプレイを通した斜視断面図であり、電気的接続が、フロントプレーン積層接触スポットとバックプレーン導体との間に作り出されている。
【0032】
図7図7は、本明細書に説明される本発明を含む、細片から作製された表示デバイスの概略上面図であり、細片は、需要に応じて、織物を通して反射または透過させられる光の量および色を増加または減少させるように変えられ得る可撓性織物を生産するために繊維断片と織り合わせられている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
以下の詳細な説明では、関連する教示の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が、実施例として述べられる。しかしながら、本教示がそのような詳細を伴わずに実践され得ることは、当業者に明白であるべきである。
【0034】
本発明は、内側表面と、内側表面と反対側の外側表面と、複数の貫通孔とを有する光透過性基板を含む。酸化インジウムスズ(ITO)等の光透過性伝導性材料と結合されているとき、基板は、電気光学ディスプレイ内の上部電極として使用され得る光透過性導電層と、光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を提供する。故に、光透過性基板は、電気光学ディスプレイのための、特に、現場で切断または組み立てられる必要があり得る大判デバイスのためのより単純な電気的接続を可能にする。加えて、数十~数百の電気的接触を有する冗長性は、切れた電気的接続に起因してデバイスが動作不可能にされる可能性を最小限にする。
【0035】
既に記述されているように、本願は、一局面では、上部光透過性導電層とフロントプレーン光透過性基板の外側表面上の接触スポットとの間に電気的接続を形成することによって上部光透過性導電層と電圧源との間の電気的接続の形成を単純化する新規の製造品(以降では、便宜上、「フロントプレーン積層体」または「FPL」と称される)を提供する。電気的接続は、微細な孔またはビア内で行われてもよく、フロントプレーン光透過性基板の外側表面の一部分または全てに対する電気的接続を作り出すために、単純な挟着が、外側、例えば、外側エッジに印加されてもよい。代替として、伝導性パッドまたは伝導性テープが、フロントプレーン光透過性基板への接続を行うために使用されることができる。代替として、マイクロビアを伴うフロントプレーン光透過性基板も、複雑な曲線に対してより良好な共形能力を提供し得る。例えば、微細な孔または細片は、光透過性導電層への接続を破断することなく変形を可能にするために、表面にエッチング処理されることができる。本発明は、特に、光透過性導電層への複数の接続が要求される複雑な構造を単純化する際に有用である。
【0036】
ここで、付随の図面に図示されている、下記に議論される実施例が、詳細に参照される。「上部(top)」、「底部(bottom)」、「~にわたって(over)」、「~の下方に(below)」等の用語の使用は、2つまたはそれより多くの層の相対的な場所は製造品を異なる方向に向け直すことによって切り替えられ得るため、単に慣例である。
【0037】
フロントパネル積層体
【0038】
さらに次に進む前に、図1の断面図に概略的に示されているような従来的なフロントプレーン積層体(「FPL」)の例示的説明を提供することが、望ましい。FPL100は、参照によって本明細書に援用される、例えば、米国特許第10,503,041号に記載されているものに類似している。FPL100は、順番に、フロントプレーン光透過性基板102と、フロントプレーン光透過性基板の内側表面と接触している光透過性導電層104と、導電性層と接触している電気光学媒体106の層と、接着層108と、剥離シート110とを含み得る。
【0039】
多くの用途において、フロントプレーン光透過性基板102は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、光透過性導電層104は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む。そのような材料は、例えば、Saint-Gobainから、大きなロールにおいて市販されている。光透過性導電層104は、光透過性基板102に適用され、これは、例えば、恒久的変形を伴うことなく基板が直径10インチ(254mm)のドラムのまわりに手作業で巻き着けられ得るという意味において、通常、可撓性を有する。
【0040】
用語「光透過性」は、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、そのように指定されている層が、その層を通して見ている観察者が、通常、電導層および隣接する基板を通して目視される電気光学媒体のディスプレイ状態における変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させることを意味するように使用され、電気光学媒体が非可視波長において反射率における変化を表示する事例では、用語「光透過性」は、当然ながら、関連する非可視波長の透過を指すように解釈されるべきである。基板102は、ガラスまたはポリマーフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から製造され得、約20μm~約650μm、より典型的には、約50μm~約250μmの範囲の厚さを有し得る。導電層は、典型的には、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、または酸化インジウムスズ(ITO)等のいわゆる「透明伝導性酸化物」の薄層であり、または、導電層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等の伝導性ポリマーを含んでもよい。設計は、伝導性ポリマーと伝導性酸化物との組み合わせ等のハイブリッド材料も含んでもよく、または、設計は、銀ウィスカまたは薄片等の希釈量の伝導性充填剤、もしくはナノチューブやグラフェン等の新種材料も含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板102は、ガラスまたは透明ポリカーボネートまたはアクリル等の剛性光透過性材料であり得る。
【0041】
典型的には、光学状態106の間を切り替え得る電気光学媒体のコーティングは、電気光学媒体106が導電層104のすぐそばにあるように、導電層104にわたって塗布される。電気光学媒体は、典型的には、流体中に配置され、電場の影響下で流体を通して移動することが可能である複数の荷電粒子を含む電気泳動材料を特徴とする。電気泳動材料は、適切な電場が、印加されたときにフロントパネル積層体が交互にかつ可逆的に異なる状態を達成するように選択されることができ、例えば、電気泳動媒体は、透明と不透明、または色1と色2、または透明と色1および色2との間で切り替えられてもよい。
【0042】
例示的実施形態では、電気光学媒体は、反対荷電二重粒子カプセル化媒体の形態であってもよい。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを含み、それらの各々自体が、液体懸濁媒体中に懸濁されている、電気泳動で移動可能な粒子を含む内相と、内相を囲むカプセル壁とを備える。典型的には、カプセル自体が、ポリマー結合剤内に保持され、コヒーレント層を形成する。コヒーレント層が2つの電極の間に位置付けられているとき、光学状態は、好適な電場の存在を伴って逆転されることができる。懸濁媒体は、負荷電白色粒子および正荷電黒色粒子が懸濁されている炭化水素ベースの液体を含んでもよい。そのような実施形態では、電気光学媒体を横切る電場の印加時、例えば、最終ディスプレイ内の任意の点におけるバックプレーンに対して導電層104が正または負であるかに応じて、基板102を通してディスプレイを目視する観察者にとって電気光学媒体106が白色または黒色に見えるように、白色粒子が、正電極に移動してもよく、黒色粒子が、負電極に移動してもよい。電気光学媒体106は、代替として、黒色および/または白色粒子に加えて複数の着色粒子を備え、各色は、そのそれぞれの電荷極性および強度を有する。
【0043】
積層接着剤108の層は、電気光学媒体層106にわたってコーティングされてもよく、剥離層110が、接着層108にわたって適用されてもよい。剥離シートは、当然ながら、電気光学媒体の性質に悪影響を及ぼし得る材料を含まないものを前提として、任意の公知のタイプのであってもよく、多数の好適なタイプの剥離シートが、当業者にとって公知であろう。一般的な剥離シートは、紙またはプラスチックフィルム等の基板を含み、例えば、厚さが約150μm~約200μmであり、低表面エネルギー材料、例えば、シリコンを用いてコーティングされているPETフィルムを含む。いくつかの事例では、剥離シートは、機能性が下流製品の組立中に査定され得るように、電気光学媒体を横切る電位の印加を可能にするように金属化されている。
【0044】
ここで図2を参照すると、本発明の一局面による(100Aとして指定されている)新規のフロントプレーン積層体が、図示されている。FPLは、内側表面112と、内側表面と反対側の外側表面114とを有するフロントプレーン光透過性基板102が、連続部分102aと、連続部分102a内に分布している複数の開口部102bとを含む複合構造によって特徴付けられることを除いて、図1に示されている積層体100と実質的に同じである。開口部102bは、導電層104と外側表面114上の1つまたはそれより多くの接触スポット116との間の電気的接続を形成する導電性材料115を含む。随意に、導電層104は、2つまたはそれより多くの区画に区分化されてもよく、各区画は、接触スポットのサブセット(図示されていない)と接触しており、1つの区画内の短絡が他の区画の故障を同時にもたらすことがないアーキテクチャを生じさせる。電気的接続は、局所的に、または外側表面全体に適用され得、保護層(図示されていない)、例えば、透明なアクリルポリマーまたはシリコンのコーティングが、いくつかのまたは全ての接触スポットを封止するように添加され、防湿層を提供しながら組立後の望ましくない短絡を防止し得る。
【0045】
例示的実施形態では、連続部分102aは、ガラスまたはポリマーフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)から製造されてもよく、これは、エッチング処理、切断、レーザアブレーション、または開口部を残すための任意の適用可能な穿孔技法を受ける。代替として、連続部分102aは、ITO等の伝導性材料が添加されるスパッタリングプロセス中に充填されることができる貫通孔または構造谷を作り出すために微小凹みを付けられ得る。代替として、PETフィルムは、熱で軟化させられ、型枠にわたって伸展させられ、高圧ガスの噴射を用いて、開孔形成されることができる。伝導性材料が、次いで、開口部に充填し、接触スポット116を形成するために使用され得る。開口部は、当面の用途に好適であるように、様々な形状、サイズ、および密度において提供され得る。形状に関係なく、個々のおよび平均的なスポットサイズは、所与のスポット寸法の観点において定義され得る。別様に提供されない限り、または文脈から明白でない限り、用語「寸法」は、層の表面に沿った接触スポットの長さ、幅、または直径を意味する。典型的には、「長さ」は、縦方向における延在を意味し、幅は、幅方向における延在を意味する。「直径」は、接触スポットの言及において使用されるとき、フロントプレーン光透過性基板の外側表面に沿ったスポット上の2点間の最長直線区分を識別することを意図されている。いくつかの非排他的実施形態では、接触スポット116の幾何学形状は、それらの平均直径が、約0.1μm~約100μmの範囲内にあるようなものである。付加的な実施形態では、平均的な接触スポットの直径は、約0.5μm~約10μmの範囲内にある。
【0046】
丸みを帯びた開口部を形成するようにポリマーフィルム基板をマイクロエッチング処理することによって加工され得る円形幾何学形状の接触スポット116を有するフロントプレーン光透過性基板102が、図3Aの概略上面図に例示されている。例示的な平均凹み直径の範囲は、約10μm~約100μm、約10μm~約75μm、および約10μm~約50μmを含む。図3Bは、100μmに等しいかまたはそれ未満の平均幅を有する細片形状の開口部をもたらすようにマイクロエッチングされた基板を図示している。例示的な平均細片幅の範囲は、約1μm~約100μm、約2μm~約75μm、および約5μm~約50μmを含む。約100μmに等しいかまたはそれ未満の平均短軸長を有する、楕円形状の開口部を形成するようにマイクロエッチングされた別の基板が、図3Cに概略的に描写されている。例示的な平均短軸長の範囲は、約1μm~約100μm、約5μm~約75μm、および約10μm~約50μmを含む。
【0047】
様々な接触スポットの形状、接触スポットの表面密度、および空間的配列は、電気光学媒体の構造的完全性を維持しながら電気的接続を破断することなく複雑かつ湾曲された形状を採択するために、フロントパネル積層体の能力を向上させるように具体的に工学設計されてもよい。いくつかの実施形態では、伝導性材料は、連続相が穿孔され、所望の幾何学形状および接触スポットの密度に適応するように成形された後に開口部内に堆積させられてもよい。フロントプレーン光透過性基板の1つまたはそれより多くの区画は、異なるタイプの用途を果たすために、個別化されたアーキテクチャをもたらすように、この様式において用意されてもよい。図4Aの概略上部平面図に図示されているように、伸長された接触スポット116は、フロントプレーン光透過性基板102の縁において、繰り返しパターンに形成され得る。図4Bでは、パターンは、フロントプレーン光透過性基板の中心でも繰り返されているが、図4Cのものは、異なるサイズおよび相対的な向きのパターンを特徴とする。このアプローチは、いかなる種類の用途にも好適であるように具体的に設計された幾何学形状および接触スポットのパターンを有するフロントパネル積層体の加工を可能にする。接触スポット116は、当面の用途に好適である密度範囲内で、フロントプレーン光透過性基板102の具体的な区画内に位置するように形成され得る。代表的な実施形態では、フロントプレーン光透過性基板102の区画は、1平方センチメートル当たり約10個の接触スポット~1平方センチメートル当たり約1,000個の接触スポットの範囲内の密度において、接触スポット116を含む。別の実施形態では、フロントプレーン光透過性基板102の区画は、1平方センチメートル当たり約50個の接触スポット~1平方センチメートル当たり約500個の接触スポットの範囲内の密度において、接触スポット116を含む。密度が1平方センチメートル当たり約50個の接触スポット~1平方センチメートル当たり約250個の接触スポットである実施形態も、想定される。
【0048】
フロントパネル積層体の製造
【0049】
上記に説明されたように、接触スポット116は、フロントプレーン光透過性基板102の連続部分102a内に存在する開口部102bの中に導電性材料115を導入することによって形成されてもよい。上記に説明されたように、開口部102bは、ポリマー層の一部分を除去することによって作られた凹みであってもよい。ある実施形態では、可撓性光透過性ポリマー(例えば、PET)のフィルムは、複数の開口部を形成するために、凹みが付けられること、穿設されること、アブレートされること等を行われてもよい。可撓性光透過性ポリマーは、続いて、例えば、スパッタリングを通して、光透過性伝導性材料(例えば、ITO)を用いてコーティングされてもよい。光透過性材料が内側表面上にコーティングされるとき、開口部102bも、光透過性伝導性材料を充填され、フロントプレーン光透過性基板(PETフィルム)の外側表面114への電気的接続を提供する。開口部102bは小さく、基板102および伝導性材料115の両方が光透過性であるため、伝導性材料115は、視覚的に妨げにならない。別の実施形態では、溶液またはペースト等の流動性伝導性材料前駆体が、開口部の中に導入され、次いで、電気的接続および接触スポットをもたらすために硬化させられる。開口部の比較的小さい直径、および前駆体の粘度に応じて、このプロセスは、実践において行うことが困難であることを示し得る。これらの困難を克服するために、吸引が、前駆体の流動を向上させるために適用されてもよく、開口部の表面との表面張力を低下させるために、界面活性剤が、前駆体に添加されてもよい。さらなる非排他的実施形態では、伝導性材料115および/またはその前駆体は、これが開口部に材料を充填することにおいて支援し得る事例では、磁化可能であってもよい。例示的実施形態では、高密度相互接続(HDI)多層プリント回路基板(PCB)においてマイクロビアを製造するために使用される方法と同一のマイクロ加工方法が、例えば、銅、またはカーボンもしくはカーボンナノチューブ等の他の伝導性材料を用いて順次構築(SBU)製造技術において行われる場合、相次ぐ回数において層を追加することによって使用されてもよい。さらなる実施形態では、伝導性材料は、電気めっき技術によって適用されてもよい。
【0050】
より広義には、散在部分は、必ずしも、連続部分内の開口部内に伝導性充填物を導入することによって形成される必要はない。いくつかの実施形態では、フロントプレーン光透過性基板は、絶縁性および伝導性材料を異方性方式において組み合わせ、それによって、電気的接続を生じさせ、対応する伝導性スポットを連続部分内に散在させることによって製造されてもよい。一代表的実施例では、フロントプレーン光透過性基板は、例えば、伝導性材料、例えば、金属またはポリアニリン(PANI)等の伝導性ポリマーを用いてコーティングされたPETのようなPET繊維を伝導性糸と織り合わせることによって加工されてもよい。製造プロセス全体を通して、伝導性糸は、電気的接続および接触スポットが形成されることを意図されているフロントプレーン光透過性基板の区域内に選択的に含まれる。
【0051】
全ての前述のアプローチは、フロントプレーン光透過性基板がフロントプレーン積層体の他の部分と組み合わせられる前に接触スポットが形成されることを仮定している。しかしながら、ある実施形態では、伝導性材料は、伝導性材料の前駆体が電気光学媒体を通して流動せず、それを短絡させることを前提として、FPLが組み立てられた後に導入されてもよい。
【0052】
電気光学ディスプレイ
【0053】
一用途では、フロントプレーン積層体は、電気光学ディスプレイを形成するためにバックプレーンに積層される。バックプレーンの3つの主要なカテゴリ、すなわち、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、および直接駆動バックプレーンが、存在する。
【0054】
アクティブマトリクスバックプレーンに関して、薄膜トランジスタ(TFT)(図示されていない)のアレイが、バックプレーン基板202の表面上に形成され、各トランジスタは、ピクセル電極(212a、212c)のためのスイッチとして作用する。TFTは、狭小な多重化された電極(ゲートラインおよびソースライン)のセットによってアドレス指定される。パッシブマトリクスバックプレーンは、ディスプレイ上の特定のピクセルに電荷を供給するために、単純グリッドを使用する。グリッドは、上部基板および底部基板上に形成されている。一方の基板が、「列」を形成し、他方の基板が、「行」を形成する。パッシブマトリクスでは、列または行は、透明な伝導性材料、通常、酸化インジウムスズ(ITO)から作製される。行または列は、電荷が特定の列または行にいつ送られるかを制御する集積回路に接続されている。直接駆動バックプレーンでは、底部基板は、基板の縁上に位置している電気コネクタを含み得、各区分がそれぞれの導体に電気的に接続されているように、複数の導体が、区分化された伝導層の区分への接触を形成するために、基板の縁から延在している。フロントプレーン光透過性基板の外側表面上に配置されている接触スポットを通したトッププレーン接続部が形成されることを前提として、本発明の種々の実施形態において使用され得るバックプレーンのタイプに対する限界は、存在しない。
【0055】
ここで図5に目を向けると、200等のバックプレーンに接着層を接着させ、それによって、接着層、電気光学媒体の層106、および光透過性導電層104をバックプレーンに固着させるために有効な条件下で、FPL100を使用する電気光学ディスプレイとバックプレーンとの組立が、剥離シート110を除去し、接着層108をバックプレーン200と接触させることによってもたらされ得る。FPL100は、最終的なディスプレイサイズより大きく切断されることができ、ロールツーロールプロセスにおけるような連続的シートでさえあり得る。これは、FPL100およびバックプレーン200の整合における粗い公差を可能にし、特に、大きいディスプレイのために役立つ。いったん積層されると(図示されていない)、ディスプレイは、切断物のバックプレーンへの精密な整合を可能にするために、潜在的に、バックプレーン上の整合マークまたはピンを使用してその最終的なサイズに切断されることができる。
【0056】
バックプレーンへ200のFPL100の積層は、有利には、真空積層によって行われてもよい。真空積層は、積層されている2つの材料の間からの空気の排出において有効であり、したがって、最終的なディスプレイ内の望ましくない気泡の回避において有効である(そのような気泡は、ディスプレイ上に生成される画像内に望ましくないアーチファクトを導入し得る)。しかしながら、この様式における電気光学ディスプレイの2つの部品の真空積層は、特に、カプセル化電気泳動媒体を使用したディスプレイの場合、使用される積層接着剤に厳しい要件を課し得る。積層接着剤108は、電気光学層をバックプレーンに接合させるために十分な接着強度を有するべきであり、カプセル化電気泳動媒体の場合、接着剤108は、カプセルをともに機械的に保持するために十分な接着強度を有するべきでもある。接着剤108は、好ましくは、ディスプレイ内の全ての他の材料と化学的な適合性を有する。電気光学ディスプレイが可撓性タイプのものである場合、接着剤108は、ディスプレイが撓曲されたときにディスプレイ内に欠陥をもたらさないような十分な可撓性を有するべきである。積層接着剤108は、高品質の積層を確実にするために、積層温度において適正な流動性質を有するべきである。さらに、積層温度は、好ましくは、可能な限り低い。本発明の種々の実施形態内に組み込まれ得る有用な積層接着剤の実施例は、米国特許第7,342,068号(参照によってその全体が本明細書に援用される)に説明されているような「TMXDI/PPO」分散体として公知である水性ポリウレタン分散体である。
【0057】
トッププレーン接続部204は、伝導性スポット116の全てまたは具体的なサブセットに電気的に接続されてもよい。典型的には、バックプレーンからのトッププレーン接続部204は、バックプレーン200内に統合されているが、これは、明瞭性のために、図5および図6においては独立型アイテムとして表されている。代表的な実施形態では、図6に概略的に図示されているように、この接続は、ワイヤまたはトレース(304/306)またはそれらの組み合わせを用いて成し遂げられ得る。各伝導性スポット116は光透過性伝導層104に接続されているため、各伝導性スポット116をトッププレーン接続部204に接続することは、必要ではない。しかしながら、典型的には、1つより多くの伝導性スポットが、接続されている。いくつかの事例では、接触スポットのサブセットを導体306およびバックプレーン接続部204に連結している伝導性透明配線304によって、伝導性トレースが、図6に例示されているように外側表面を横切って適用されている。そのような実施形態では、アクリルまたはシリコンの透明なコーティングのような保護層は、接続点を隔離し、組立後の望ましくない短絡を防止することができる(図示されていない)。代替実施形態では、ワイヤ304に結合される伝導性接触パッドは、例えば、伝導性接着剤を用いて外側表面に付着させられることができる。他の実施形態では、トッププレーン接続部204と伝導性スポット116との間の接続は、伝導性クランプ、例えば、ワニ口クリップを用いて行われ得る。
【0058】
可撓性可変色および透過被覆材
【0059】
さらなる用途では、フロントプレーン積層体は、断片に切断されてもよく、断片は、封止され、ひいては、例えば、従来的な(例えば、繊維、ポリマー)材料の断片と織り合わせられる。代替として、1つまたはそれより多くのタイプのフロントプレーン積層体100の細片が、繊維700およびフロントプレーン積層体100の織物構造を形成するために繊維細片700と織り合わせられ得る。図7に概略的に図示されている例示的織物では、FPL細片100は、可撓性織物を生産するために、繊維断片700と織り合わせられ、可撓性織物は、完全に透明ではないが、需要に応じて、織物を通して反射または透過させられる光の量および色を増加または減少させるように変えられ得る。代替として、織物の両方向が、フロントプレーン積層体100の細片を用いて成し遂げられてもよい。このタイプのアーキテクチャを有する可変色および透過被覆材は、米国特許第11,086,186号(参照によってその全体が援用される)に説明されている。しかしながら、上記で予想されたように、従来的な積層体内で伝導層との電気的接触を作るためには、通常、伝導層が電気光学媒体から自由である少なくとも1つの「接続エリア」を提供することが、必要である。その結果として、織物内の各FPL細片は、それ自体の個々の接続エリアを要求し、これは、製造するために比較的高価であり労力がかかる構造上複雑な構造につながる。
【0060】
図7の構造では、電気的接触を形成することは、本願に開示されるような新規の積層体から作製されたFPL細片100に対して大幅に簡略化される。光透過性基板102の上側表面上の接触スポット116は、伝導性クランプを適用することによって、またはワイヤもしくはトレースを敷設することによって、所与の細片の伝導層に容易に接続され得る。織物における電気光学材料と従来的な材料との混合は、図7に示されているように、1:1の比率である必要はない。例えば、可変透過構造は、従来的な材料より10倍多い電気光学材料の表面積を含んでもよい。代替として、可変透過構造は、電気光学材料より10倍多い従来的な材料の表面積を含んでもよい。当然ながら、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:5等の中間の比率も、可能性として考えられる。他の実施形態では、可変透過構造は、図7と同様の、織り合わせられた2つの異なるタイプの電気光学材料を含んでもよい。3つまたはそれより多くの電気光学材料を含む織物材料も、想定される。一実施例では、双安定、反射、または可変透過材料を含むFPL細片が、従来的な繊維とともに織られてもよい。別の実施形態では、光透過状態と着色状態との間で切り替えられ得る可撓性繊維を形成するために、可変透過細片が、ともに織られてもよい。
【0061】
本明細書に、本発明の好ましい実施形態が示され説明されているが、そのような実施形態は、実施例としてのみ提供されることを理解されたい。多数の変形例、変更例、および代用例が、本発明の精神から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。故に、付属の請求項が、本発明の精神および範囲に該当するような全てのそのような変形例を網羅することを意図されている。前述の特許および出願の内容の全ては、参照によってその全体が本明細書に援用される。この出願の内容と、参照によって本明細書に援用される特許および出願のいずれかとの間に矛盾が生じる場合、本願の内容が、そのような矛盾を解決するために必要な範囲に対して優先するものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
【国際調査報告】