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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ヒートポンプの室内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0057 20190101AFI20231002BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20231002BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20231002BHJP
【FI】
F24F1/0057
F24F11/36
F24F11/89
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518794
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021035295
(87)【国際公開番号】W WO2022065472
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20198377.2
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】ペテル,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェスキー,ヨセフ
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA38
3L260BA52
3L260CA17
3L260DA10
3L260GA17
(57)【要約】
ハウジング(10)と熱交換器(30)と配管接続部(52)とファンと冷媒漏洩検出センサ(60)とを備える冷媒回路を備えるヒートポンプの室内ユニットを提供する。ハウジング(10)は、壁に装着されるよう構成される背面(16)と、背面(16)と対向する前面(18)と、を有する。熱交換器(30)は、ハウジング(10)に収容される。配管接続部(52)は、熱交換器(30)の一方の側部(46)で熱交換器(30)に流体連通状態で接続されるとともに、熱交換器(30)をヒートポンプの冷媒回路に接続するよう構成される。ファンは、熱交換器(30)を通る空気流を誘導し、熱交換器(30)を流れる冷媒と空気流との間で熱を交換させる。冷媒漏洩検出センサ(60)は、室内ユニットにおける冷媒漏洩を検出するためにハウジングに収容される。冷媒漏洩検出センサ(60)は、室内ユニットを前面から見て熱交換器(30)の側方にかつ配管接続部(52)の前方に配置されるとともに、室内ユニットを側面から見てハウジング(10)の前面(18)と配管接続部(52)との間に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路を備えるヒートポンプの室内ユニットであって、
壁に装着されるよう構成される背面(16)と、前記背面(16)と対向する前面(8)と、を有するハウジング(10)と、
前記ハウジング(10)に収容される熱交換器(30)と、
前記熱交換器(30)の一方の側部(46)で前記熱交換器(30)に流体連通状態で接続されるとともに、前記熱交換器(30)を前記ヒートポンプの前記冷媒回路に接続するよう構成される配管接続部(52)と、
前記熱交換器(30)を通る空気流を誘導し、前記熱交換器(30)を流れる冷媒と前記空気流との間で熱を交換させるためのファンと、
前記室内ユニットにおける冷媒漏洩を検出するために前記ハウジングに収容される冷媒漏洩検出センサ(60)であって、該冷媒漏洩検出センサ(60)が、前記室内ユニットを前面から見て前記熱交換器(30)の側方にかつ前記配管接続部(52)の前方に配置されているとともに、前記室内ユニットを側面から見て前記ハウジング(10)の前記前面(18)と前記配管接続部(52)との間に配置されている前記冷媒漏洩検出センサ(60)と、
を備える室内ユニット。
【請求項2】
前記冷媒漏洩検出センサ(60)は、前記熱交換器(30)の上端部(38)よりも前記熱交換器(30)の底端部(40)の方により近接して配置される、
請求項1に記載の室内ユニット。
【請求項3】
前記熱交換器(30)の前記配管接続部(52)に隣接して前記ハウジング(10)に収容される電気ボックス(56)、
をさらに備えており、
前記冷媒漏洩検出センサ(60)は、前記室内ユニットを前面から見て、前記熱交換器(30)と前記電気ボックス(56)との間に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の室内ユニット。
【請求項4】
前記冷媒漏洩検出センサ(60)は、
センサ・ケーシング(62)と、
前記センサ・ケーシング(62)によって包囲される回路基板(64)と、
前記回路基板(64)に装着される気体センサ(66)と、
を備えており、
前記気体センサ(66)は、
センサ・ハウジング(68)と、
気体状態の冷媒が前記センサ・ハウジング(68)へと入っていくことができるよう前記センサ・ハウジング(68)の端部に位置する冷媒受け領域(70)と、
前記センサ・ハウジング(68)内の検出素子と、
を有しており、
前記冷媒受付領域(70)が前記センサ・ケーシング(62)の外部に配置されるよう、前記センサ・ハウジング(68)は、前記センサ・ケーシング(62)の側壁(108)の開口部(72)を通って前記配管接続部(52)へと向かう方向に突出している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【請求項5】
前記センサ・ケーシング(62)は、支持構造(74)を介して前記室内ユニットに装着されており、
前記支持構造(74)は、前記開口部(72)を有する前記センサ・ケーシング(62)の前記側壁(108)から上向きに延設される第一シールド(80)を有する第一遮蔽構造(78)を備えており、前記第一シールド(80)は、前記熱交換器(30)の側部から延びている冷媒パイプ(58)を、前面から見て、覆っている、
請求項4に記載の室内ユニット。
【請求項6】
前記冷媒漏洩検出センサ(60)は、前記センサ・ケーシング(62)の上壁(110)の開口部(120)を通って前記回路基板(64)に接続される電気ケーブル(65)を備えており、
前記電気ケーブル(65)は、前記センサ・ケーシング(62)の前記上壁(110)から前記第一シールド(80)の前側(81)に沿って、前記ハウジング(10)に収容される電気ボックス(56)/前記電気ボックス(56)へと延びており、これにより、前記電気ケーブル(65)が前記冷媒パイプ(58)に対して前記第一シールド(80)によって遮蔽されている、
請求項5に記載の室内ユニット。
【請求項7】
前記第一遮蔽構造(78)は、前記第一シールド(80)の側縁部(83)から前記熱交換器(30)の前面(42)へと向かって延設される第二シールド(82)を有する、
請求項5又は請求項6に記載の室内ユニット。
【請求項8】
前記第二シールド(82)は、前記熱交換器(30)の前記前面(42)に面するとともに前記熱交換器(30)の前記前面(42)の形状に対応している傾斜縁部(85)を有する、
請求項7に記載の室内ユニット。
【請求項9】
前記第一遮蔽構造(78)は、前記第一シールド(80)の下端(87)から前記冷媒受け領域(70)を越えて前記配管接続部(52)へと向かって延設される第三シールド(84)を有し、前記配管接続部(52)に面している前記第三シールド(84)の端部(88)が前記冷媒受け領域(70)よりも前記配管接続部(52)により近接して位置している、
請求項5から8のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【請求項10】
前記支持構造(74)は、前記開口部(72)を有する前記センサ・ケーシング(62)の前記側壁(108)から下向きに延設される第四シールド(92)を有する第二遮蔽構造(90)を備える、
請求項5から9のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【請求項11】
前記第四シールド(92)は、前記配管接続部(52)へと向かって傾斜するとともに側面から見て前記熱交換器(30)の前記前面(42)の形状に対応している底部(94)を有する、
請求項10に記載の室内ユニット。
【請求項12】
前記支持構造(74)は、前記第四シールド(92)から前記配管接続部(52)へと向かって延設される第五シールド(96)を有する、
請求項10又は請求項11に記載の室内ユニット。
【請求項13】
前記支持構造(74)は少なくとも一つの貫通孔(98)を有し、該少なくとも一つの貫通孔(98)によって、前記室内ユニットの前記前面(18)に面している前記支持構造(74)の側部から前記支持構造(74)を通り抜けて前記冷媒漏洩検出センサ(60)の前記冷媒受け領域(70)へと気体状態冷媒が通過することができる、
請求項5から12のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【請求項14】
前記回路基板(64)は、検出素子から受信する信号を評価し、受信した前記信号に基づいて冷媒漏洩を判断し、漏洩信号を前記室内ユニットの制御器に出力するよう、構成される評価ユニットを備える、
請求項4から13のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【請求項15】
前記ハウジング(10)は、少なくとも前記背面(16)を有する本体(12)と、少なくとも前記前面(18)を有する前記フロントカバー(14)と、を備えており、前記フロントカバー(14)は取り外し可能であり、前記フロントカバー(14)を取り外したときに前記冷媒漏洩検出センサ(60)に手が届く、
請求項1から14のいずれか1項に記載の室内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内冷媒漏洩検出センサを備えるヒートポンプの室内ユニットに関し、特に壁装着型室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような壁装着型室内ユニットは、例えば国際公開WO2019/138529A1に開示されている。開示の室内ユニットは、ハウジングに収容される熱交換器と、熱交換器の一方の側部で熱交換器に流体連通状態で接続される配管接続部と、を備える。配管接続部は、熱交換器をヒートポンプの冷媒回路に接続するよう構成される。さらに、室内ユニットにおける冷媒漏れを検出するために、ハウジングに収容される冷媒漏洩検出センサが開示されている。WO2019/138529A1における冷媒漏洩検出センサは、冷媒漏れを直ちに検出できるよう、配管接続部の冷媒パイプに取り付けられている。
【0003】
動作の際には、配管接続部の冷媒パイプの表面の温度は、例えば-30°Cから+80°Cの間で大きく変化する場合がある。このため、比較的頑丈なセンサが必要となり、このようなセンサは通常高価である。加えて、温度変化は、センサの寿命を短くし、またセンサの精度にも悪影響を及ぼす。
【0004】
さらに加えて、冷媒漏洩検出センサが配管接続部の冷媒パイプと近接して配置されているまたは接触さえしている場合、センサ自体が、例えば霜取り動作後には、露点以下に下がっていることもある。このため、結露した水がセンサの表面に生じる場合がある。したがって、防水仕様が求められ、センサのコストが高くなる。
【0005】
また、冷媒漏れが室内ユニットのどこで発生しようともその冷媒漏れの速やかに検出可能とすることを意図して、冷媒漏洩検出センサの配置が検討される。このことは、特に空気より高い密度を有している冷媒(例えばR32)に当てはまる。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の目的は、室内ユニット内の冷媒漏れの位置に大きく関わることなく良好かつ迅速な検出精度を得ながら、比較的廉価な冷媒漏洩検出センサを使用できる室内ユニットを提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のヒートポンプの室内ユニットによって達成できる。さらなる態様は従属項に記載する。
【0008】
第一の観点では、冷媒回路を備えるヒートポンプの室内ユニットを提案する。最も単純な構成において、冷媒回路は、冷媒パイプによって接続される熱源側熱交換器(例えば室外熱交換器)、膨張機構(例えば膨張バルブ)、利用側熱交換器(例えば室内熱交換器)および圧縮器を備える。冷媒回路には、冷媒としてR32を充填することができる。第一の観点の室内ユニットは、壁に装着されるよう構成される背面と、背面と対向する前面と、を有するハウジングを備える。追加的に、ハウジングは、底面と、上面と、対向する側壁と、を有することができる。熱交換器(ヒートポンプの室内すなわち利用側熱交換器)は、ハウジングに収容される。熱交換器は、室内ユニットの前面に面している前部と、室内ユニットの背面に面している後部と、を含むいくつかの部分を備えることができる。熱交換器は、対向する両側部と、上端部と、底端部と、前面と、背面と、を有することができる。熱交換器は、熱交換器の一方の側部で熱交換器に流体連通状態で接続される配管接続部を介して、ヒートポンプの冷媒回路に接続される。熱交換器の該一方の側部を、ハウジングの対向する両側部(側壁)のうちの一方に面する側とすることができる。別の言い方をすると、配管接続部を、熱交換器の一方の側部とハウジングの一方の側面(側壁)との間に配置することができる。熱交換器を通る空気流を誘導するようファンが配置される。熱交換器を流れる冷媒とファンによって誘導される空気流との間で、熱が交換されることになる。さらに、室内ユニットは、室内ユニットにおける冷媒漏洩を検出するための冷媒漏洩検出センサを備える。冷媒漏洩検出センサはハウジングに収容される。この第一の観点においては、冷媒漏洩検出センサは、室内ユニットを前面から見て熱交換器の側方に(隣に)かつ配管接続部の前方に(配管接続部に面して言わば配管接続部の正面側に)配置されるとともに、室内ユニットを側面から見てハウジングの前面と配管接続部との間に配置される。言い換えれば、熱交換器の一方の側部と、ハウジングの側面(側壁)と、ハウジングの前面と、配管接続部の冷媒パイプの前部と、によって形成される空間に、冷媒漏洩検出センサは配置される。この意味においては、配管接続部の冷媒パイプの前部は、配管接続部の(すべての)冷媒パイプを囲う最小の包囲部分として定義できる。ハウジングの前面を、フロントカバーまたはフロントカバーの一部とすることができる。ハウジングの背面を、本体または本体の一部とすることができる。
【0009】
第一の観点では、冷媒漏洩検出センサは、配管接続部の冷媒パイプには接触していない。その結果、冷媒漏洩検出センサは、大きな温度変化が起こりにくい領域に配置される。したがって、高価でない温度センサを用いることができ、しかも高精度にかつ高い信頼性で漏洩を検出することができる。さらに、第一の観点における冷媒漏洩検出センサの配置により、室内ユニット内の位置に大きく関わることなく、漏洩を高い信頼性で検出することができる。
【0010】
第二の観点では、冷媒漏洩検出センサは、熱交換器の上端部よりも熱交換器の底端部の方により近接して配置される。好ましくは、冷媒漏洩検出センサは、室内ユニットのハウジングの下側1/3に配置される。
【0011】
第二の観点の構成により、室内ユニットの底部領域に溜まりやすい密度が空気より高い冷媒(例えばR32)を高い信頼性で検出できる。さらに、熱交換器の上記一方とは反対側の側部で、すなわち、配管接続部が位置する側とは反対の側で、発生した冷媒漏れをより迅速に検出することもできる。上記一方とは反対側の側部から漏洩する冷媒は、ユニットの底部領域に溜まり、時間の経過とともに底部領域を全体に広がることになる。最終的に、この冷媒は、配管接続部が位置する側に達し、そしてその後冷媒漏洩検出センサによって検出が可能となる。
【0012】
第三の観点では、室内ユニットは、さらに、熱交換器の配管接続部に隣接してハウジングに収容される電気ボックスを備える。冷媒漏洩検出センサは、室内ユニットを前面から見て熱交換器と電気ボックスとの間に、すなわち、熱交換器の上記一方の側部と、その上記一方の側部に面している電気ボックスの側部と、の間の空間に、配置される。電気ボックスは、例えば、室内ユニットの動作を制御するための制御器を収容することができる。制御器は、ヒートポンプの主制御器と電気的に通信することができる。
【0013】
第三の観点では、漏洩した冷媒を溜めることができる空間は、電気ボックスと、電気ボックスに面する熱交換器の側と、の間の空間に限定される。空間を限定することによって、漏洩した冷媒の濃度が急速に高くなり、検出精度および速度が向上する。さらに、冷媒漏洩検出センサを電気ボックスに近接して配置することができるので、例えば電気ボックスに収容される制御器に冷媒漏洩検出センサを接続するための電気ケーブルの長さを短くしておくことができる。
【0014】
第四の観点では、冷媒漏洩検出センサは、センサ・ケーシングと、センサ・ケーシングによって包囲される回路基板と、回路基板に装着される気体センサと、を備える。気体センサは、ハウジングと、気体状態冷媒がハウジングに入っていくのを可能にするようハウジングの端部に配置される冷媒受け領域と、ハウジング内に配置される検出素子と、を有する。冷媒受付領域がセンサ・ケーシングの外部に配置されるよう、センサ・ハウジングは、センサ・ケーシングの側壁の開口部を通って配管接続部へと向かう方向に突出している。
【0015】
この構成により、気体センサの大部分はセンサ・ケーシング内部で位置し、気体センサが水分から保護される。さらに、動作の際に気体センサによって生成される熱はセンサ・ケーシングの内部にほぼ完全に保持され、気体センサを特に気体センサの回路基板を覆ういわゆる「熱カプセル」または「熱ポケット」が得られる。さらに、「熱カプセル」すなわち「熱ポケット」によって、センサの近傍の温度がより高くなる利点が得られ、したがって、センサの周囲の湿度を低減できる。加えて、冷媒受け領域がセンサ・ケーシングの外側にあることは、周囲の空気と直接接触できることを意味し、検出感度および検出信頼性を高めることができる。
【0016】
ここでは、「気体センサ」に関する「冷媒受け領域」という語は、本開示においては、気体センサのハウジングに、特にハウジングの端部または最上部へと、冷媒を特に気体状冷媒を受け領域を通り抜けさせる、したがって、気体センサのハウジングへと入って行かせる領域または面が配置されていることをいう。こうして、冷媒受け領域によって、一方では、気体状冷媒がハウジングへと入ることができしたがって好ましくはハウジング内部に配置される検出素子に達することができ、もう一方では、冷媒受け領域によって水分および水が特に結露した水がハウジングに入ってしまうことを防止する。言い換えれば、冷媒受け領域は、好ましくは膜であり、水分および水等の液体を透過させず、空気を透過させる。任意選択的に、冷媒受け領域は、シリカ・フィルタで形成される上側層と、活性炭で形成される下側層と、を有することができる。
【0017】
さらにまた、「検出素子(センシング・エレメント)」という語は、本開示においては、温度、圧力または湿度または抵抗のような物理パラメータを、特に気体状冷媒の存在を検出することができる任意の手段(気体センサ)をいう。
【0018】
第五の観点では、センサ・ケーシングは、支持構造を介して室内ユニットに装着される。支持構造は、センサ・ケーシングを室内ユニット内に支持して装着することに加えて、冷媒漏洩検出センサの周辺空間を特に冷媒受け領域を室内ユニットの前面へと向けてさらに限定するよう、構成される。第五の観点では、支持構造は、開口部を有するセンサ・ケーシングの側壁から上向きに延設される第一シールドを有する第一遮蔽構造を備えることができる。第一シールドは、熱交換器の側部から延びている冷媒パイプを、前面から見て、覆う。
【0019】
この結果、漏洩した冷媒が冷媒漏洩検出センサを迂回することを回避することができ、冷媒漏洩検出センサの周辺の、特に冷媒受け領域の周辺の、漏洩した冷媒の濃度を高くすることができ、したがって、より正確かつ迅速な検出を行うことができる。別の言い方をすると、第一シールドによって、熱交換器の一方の側部とハウジングの一方の側面(側壁)/電気ボックスの側部との間に形成される空間を、前面に対して閉じることができる。さらに、第一シールドによって、ファンによってセンサ・ケーシングから誘導される空気流によって拡散する水滴(冷媒パイプからの結露した水)を遮断することができる。
【0020】
第六の観点では、冷媒漏洩検出センサは、センサ・ケーシングの上壁の開口部を通って回路基板に接続される電気ケーブルを備える。電気ケーブルは、センサ・ケーシングの上壁から第一シールドの前側に沿って、ハウジングに収容される電気ボックスへと延びており、これにより、電気ケーブルが冷媒パイプに対して第一シールドによって遮蔽される。
【0021】
これにより、第一シールドによって、ファンによって誘導される空気流によって拡散する水滴(冷媒パイプからの結露した水)が電気ケーブルに達するのを防止することができる。したがって、水滴が電気ケーブルに沿って流れて上壁の開口部を通ってセンサ・ケーシング内へと入ってしまう可能性が低くなる。
【0022】
第七の観点では、第一遮蔽構造は、第一シールドの側縁部から熱交換器の前面へと向かって延設される第二シールドを有する。
【0023】
第二シールドによって、漏洩した冷媒が溜まった空間を限定するよう、熱交換器の側部における熱交換器の側面を延ばす/延長する/長くする。別の言い方をすると、冷媒漏洩検出センサが配置される空間を限定するよう、第二シールドは熱交換器と協働する。したがって、漏洩した冷媒の濃度を高めることができ、検出精度および速度を向上できる。
【0024】
第八の観点では、第二シールドは、熱交換器の前面に面するとともに熱交換器の前面の形状に対応している傾斜縁部を有する。
【0025】
第一シールドは、略垂直に延設される。熱交換器の前面を、垂直線に対して相対的に傾斜することもでき、その場合、熱交換器の前面に面している第一シールドの面が、第一シールドの上部においては、熱交換器の前面から離間することになり、第一シールドの面と熱交換器の前面との間に隙間が形成される。その隙間を閉じるために、熱交換器の前面に面し、同程度に垂直線に対して傾斜する縁部を有する第二シールドが備えられる。これにより、漏洩した冷媒が隙間を通って逃げることを防止でき、検出精度を向上できる。
【0026】
第九の観点では、第一遮蔽構造は、第一シールドの下端から冷媒受け領域を越えて配管接続部へと向かって延設される第三シールドを有する。配管接続部に面している第三シールドの端部は、冷媒受け領域よりも配管接続部により近接して位置する。別の言い方をすると、第三シールドは、冷媒受け領域を保護する屋根部に似た肩部を形成する。第三シールドの前縁部は、冷媒受け領域から距離を開けて配置される。
【0027】
これにより、第一シールドに付着して冷媒受け領域へと向かって第一シールドに沿って流れる水滴が、気体センサに、特にその冷媒受け領域に、落下するのを防止できる。
【0028】
第十の観点では、支持構造は、開口部を有するセンサ・ケーシングの側壁に対して、下向きに延設される第四シールドを有する第二遮蔽構造を備える。
【0029】
これにより、熱交換器の一方の側部とハウジングの一方の側面(側壁)/電気ボックスの側部との間に空間の比較的低い位置において漏洩が発生した場合、漏洩した冷媒が冷媒漏洩検出センサの下に逃げるのを防止できる。したがって、この領域における漏洩を高い信頼性で確実に検出することができる。
【0030】
第十の観点では、第四シールドは、配管接続部へと向かって傾斜するとともに側面から見て熱交換器の前面の形状に対応している底部を有する。
【0031】
この構成により、熱交換器の一方の側部と配管接続部の前面とハウジングの一方の側面(側壁)/電気ボックスの側部との間の空間を下側部分においても限定でき、検出精度および速度を向上できる。
【0032】
第十二の観点では、支持構造は、第四シールドから配管接続部へと向かって延設される第五シールドを有する。
【0033】
第二シールドと同様、第五シールドによって、第四シールドとハウジングの一方の側面(側壁)/電気ボックスの側部との間の隙間を閉じることができ、漏洩した冷媒が隙間を通って逃げることを防止できる。
【0034】
第十三の観点では、支持構造は少なくとも一つの貫通孔を有する。少なくとも一つの貫通孔によって、室内ユニットの前面に面している支持構造の側部から支持構造を通り抜けて冷媒漏洩検出センサの冷媒受け領域へと、気体状態冷媒が通過することができる。
【0035】
支持構造、特に第一遮蔽構造および/または第二遮蔽構造によって、熱交換器の上記一方の側部と配管接続部の前面とハウジングの上記一方の側面(側壁)/電気ボックスの側部との間の空間を、前面に対して閉じているので、熱交換器の上記一方とは反対側の側部でまたは熱交換器の前面で漏洩する可能性のある冷媒が漏洩したとしても、冷媒漏洩検出センサには、特に気体センサの冷媒受け領域には、容易には達しない場合がある。こうした漏洩をも速やかにかつ高い信頼性で検出可能とするために、支持構造における貫通孔によって、気体状態冷媒が前記空間に入って行くことを、したがって、冷媒受け領域に達することを可能にしている。
【0036】
第十四の観点では、回路基板は、検出素子から受信する信号を評価し、受信した信号に基づいて冷媒漏洩を判断し、(デジタル)漏洩信号を室内ユニットの制御器に出力するよう、構成される評価ユニットを備える。
【0037】
漏洩信号のこのデジタル通信によって、電磁ノイズに対する良好な耐性が得られる。
【0038】
第十五の観点では、ハウジングは、少なくとも背面を有する本体と、少なくとも前面を有するフロントカバーと、を備える。フロントカバーは取り外し可能である。フロントカバーの取り外すことによって、冷媒漏洩検出センサに手が届く。
【0039】
この構成により、冷媒漏洩検出センサを簡単に保守することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、実施形態にかかる室内ユニットの前面斜視図を示す。
図2A図2Aは、フロントカバーを取り外した、図1の室内ユニットの前面斜視図に示す。
図2B図2Bは、フロントカバーを取り外した、図1の室内ユニットの前面図に示す。
図3図3は、電気ボックスの一部を取り外した、図2Bの室内ユニットの上面図を示す。
図4図4は、図2Bの室内ユニットの左側面図を示す。
図5図5は、電気ボックスの一部を取り外した、図2Aの室内ユニットの前面斜視図の拡大した一部を示す。
図6図6は、図3の室内ユニットの上面図の拡大した一部を示す。
図7図7は、分離した冷媒漏洩検出センサを前面斜視図で示す。
図8図8は、図7の冷媒漏洩検出センサを背面斜視図で示す。
図9図9は、冷媒漏洩検出センサを断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示にかかる室内ユニットの好ましい実施態様を、対応する図面を参照して説明する。特徴の変形例を組み合わせてさらなる実施形態を構成することができる。以下で説明する室内ユニットは例示的であって限定するものではないことは理解されよう。また、以下で説明する実施形態の特徴を用いて、請求の範囲で定義されている室内ユニットをさらに特徴付けてもよい。
【0042】
図1図6に示す通り、室内ユニットはハウジング10を備える。本実施形態において、ハウジング10は、本体12とフロントカバー14とを備える。本体12は少なくとも背面16を備える。フロントカバー14は少なくとも前面18を備える。フロントカバー14は、図1にのみ示している。フロントカバー14の前面18の部分断面図は、図3図4および図6に示している。このように、ハウジング10は、ハウジング10を特に本体12を、壁(図示せず)に装着するための背面16を備える。ハウジング10の前面18は、背面16とは反対側に位置する。ハウジング10は、さらに、底部20と、上部22と、加えて、フロントカバー14および/または本体12によって部分的に形成することができる対向する両側部24(第一側部24),26(第二側部26)と、を備える。
【0043】
ヒートポンプの冷媒回路の一部である熱交換器30は、ハウジング10に収容される。熱交換器30は、それぞれ互いに接続される別々の部分から形成できる。本実施形態において、熱交換器30は、二つの前部32(第一前部),34(第二前部)と、後部36と、を備える。なお、熱交換器30は、別々の部分の数を、室内ユニットの構成に応じてより少なくまたは多くすることができる。
【0044】
熱交換器30は、熱交換器30のまたは熱交換器30の各部の最も上にある点によって定義される上端部38と、熱交換器30のまたは熱交換器30の各部の最も下にある点によって定義される底端部40と、を備える。熱交換器30は、さらに、本実施形態においてはハウジング10の前面18へと向いている第一前部32および第二前部34の各前面によって形成される前面42を有する。熱交換器30は、さらに、ハウジング10の背面16に面する後部36の背面によって形成される背面44を有する。さらに、熱交換器30は、対向する両側部すなわち両側面、第一側部46および第二側部48を備える。
【0045】
熱交換器30は、さらに、第一側部46から第二側部48まで列状に配置される複数のフィンを通る複数の冷媒パイプを備える。二つ冷媒パイプは、熱交換器30の第一側部46および第二側部48に形成されるU字曲げ部50によって、互いに流体連通状態で接続される。冷媒パイプをヒートポンプの冷媒回路に流体連通状態で接続するために、配管接続部52が熱交換器30の第一側部46に配置される。配管接続部52は、例えば熱交換器30の冷媒パイプ58に接続されるヘッダを備えることができる。配管接続部52は、さらに、冷媒回路の室内膨張バルブや消音器(マフラー)等を備えることができる。
【0046】
また、熱交換器30を通る空気流を誘導するファン(図4において回転軸54だけが見えている)が、ハウジング10に収容される。特に、吸入領域28を通ってハウジング10内へと入るよう誘導される空気流は、熱交換器34を通過し、排出領域29を介して排出される。動作の際には、熱交換器30の冷媒パイプを流れ冷媒(例えばR32)と、ファン54によって誘導されて熱交換器30を通過する空気流と、の間で、熱が交換される。
【0047】
また、電気ボックス56がハウジング10に収容される。電気ボックス56は、室内ユニットの動作を制御するための制御器(コントローラ)を備えることができる。コントローラは、ヒートポンプの主制御(メインコントロール)と電気的に通信することができる。図示の実施形態においては、電気ボックス56は、熱交換器30の第一側部46とハウジング10の第一側部24との間に配置される。
【0048】
図示の室内ユニットは、さらに、ハウジング10に収容される冷媒漏洩検出センサ60を備える。冷媒漏洩検出センサの目的は、室内ユニットにおける、特に室内ユニットのハウジング10における冷媒漏洩を検出することである。冷媒漏洩検出センサ60を、図7図9を参照してより詳細に説明する。
【0049】
冷媒漏洩検出センサ60はセンサ・ケーシング62を備える。
【0050】
センサ・ケーシング62は、ケーシング本体102と、ケーシング本体102に取り外し可能に取り付けられるケーシング蓋部104と、を備える(図9を参照)。センサ・ケーシング62は、対向する側壁106,108(前壁106および背壁108ともいう)と、上壁110と、底壁112と、加えて対向する側壁114,116と、を有する。センサ・ケーシング62は断熱材118によって包囲される。
【0051】
回路基板64(図9を参照)は、センサ・ケーシング62によって包囲される。気体センサ66は回路基板に装着される。気体センサ66は、センサ・ハウジング68(図9を参照)と、センサ・ハウジング68の端部に配置される冷媒受け領域70と、を有する。冷媒受け領域70によって、気体状態冷媒が、センサ・ハウジング68内へと入っていくことができ、したがって、センサ・ハウジング68内に配置される検出素子(図示せず)に達することができる。
【0052】
気体センサ66は、特にセンサ・ハウジング68は、センサ・ケーシング62の特にケーシング本体102の(垂直)側壁(背壁)108に位置する開口部72内へとまたは開口部72を貫通して突出する。気体状態冷媒が冷媒受け領域70に達してセンサ・ハウジング68内へと入ることができるよう、冷媒受け領域70はセンサ・ケーシング62の外側にまたは開口部72内に位置する。ここでは、センサ・ハウジング68は、配管接続部へと向かう(すなわち室内ユニットの背面へと向かう)方向に突出する(延設される)。一方、(図示しない)検出素子をセンサ・ハウジング68内に配置することもできる。
【0053】
電気ケーブル65が回路基板64に接続される。電気ケーブル65は、センサ・ケーシング62の特にケーシング本体102の上壁110における開口部120を通って延びる。電気ケーブル64は、電気ボックス56へと案内され、(図示しない)コントローラに接続される。
【0054】
回路基板64は、検出素子から受信する信号を評価し、受信した信号に基づいて冷媒漏洩を判断し、デジタル漏洩信号を室内ユニットのコントローラに出力するよう、構成される評価ユニットを備える。
【0055】
図示の実施形態において、支持構造74は、冷媒漏洩検出センサ60を装着するために用いられる。支持構造を、センサ・ケーシング62と一体的に形成することができる。任意選択的に、センサ・ケーシング62を、別々に形成して、支持構造74に取り付けることもできる。図示の実施形態においては、センサ・ケーシング62のケーシング本体102と支持構造74とは、一の部品として一体的に形成されている。
【0056】
支持構造74を、例えば装着部76によって、熱交換器30の前面42に取り外し可能に装着できる。
【0057】
支持構造74は、さらに、第一遮蔽構造78と第二遮蔽構造90とを備える。
【0058】
第一遮蔽構造78は、第一シールド80と第二シールド82と第三シールド84とを備える。
【0059】
第一シールド80は、センサ・ケーシング62の背壁108から上向きに延設される。ある実施形態において、第一シールド80は略垂直に延設される。第一シールド80を、熱交換器30の一方の側部46から延設される配管接続部52の冷媒パイプ58を、前面から見て、覆うよう構成することができる。
【0060】
センサ・ケーシング62の上壁110から延びる電気ケーブル65は、第一シールド80の前側/前面81に沿って延びている。第一シールド80の前側/前面81は、配管接続部52から離間する方向にハウジング10の前面18へと向かって面している。電気ケーブル65を、例えばケーブル・クリップ86によって、第一シールド80の前側/前面81に取り付けることができる。こうして、電気ケーブル65は、第一シールド80によって冷媒パイプ58/配管接続部52から遮蔽される。
【0061】
第二シールド82は、第一シールド80の側縁部83から延設される。側縁部83は、熱交換器30の第一側部46に面する側部に位置する。第二シールド82は、第一シールド80から熱交換器30の前面42へと向かって略垂直に突出する。下側縁部85は、熱交換器30の前面42に面するとともに、熱交換器30の前面42の形状に対応して形成される(傾斜している)。図示の実施形態において、第二シールド82の形状は、第二シールド82の傾斜縁部85に対応する一の脚部を有する三角形である。
【0062】
第三シールド84は、第一シールド80の下端87から配管接続部52へと向かって、冷媒受け領域70を越えてまたはセンサ・ケーシング62の側壁108をも越えて、延設される。したがって、配管接続部52に面する第三シールド84の端部または自由端縁部88は、冷媒受け領域70よりもまたはさらにはセンサ・ケーシング62の側壁108よりも、配管接続部52の近くに位置する。
【0063】
第二遮蔽構造90は、第四シールド92と第五シールド96とを有する。
【0064】
開口部72を有するセンサ・ケーシング62の側壁108に対して下向きに、第四シールド92は延設される。図示の実施形態において、第四シールド92は、略垂直に下方へ延設される。
【0065】
第四シールド92は、配管接続部52へと向かって傾斜するとともに側面から見て熱交換器30の前面42の形状に対応している底部94を有する。
【0066】
第五シールド96は、第四シールド92から配管接続部52へと向かって延設される。本実施形態においては、第五シールド96は、第四シールド94から背面16へと向かって略垂直に突出する。
【0067】
支持構造74は、さらに、貫通孔98を有する。貫通孔98によって、ハウジング10/室内ユニットの前面18に面している支持構造74の側部から支持構造74を通り抜けて冷媒漏洩検出センサ60の冷媒受け領域70へと気体状態冷媒が通過することができる。
【0068】
冷媒漏洩は、冷媒パイプのろう付け点でまたは接続器具で、発生する可能性が最も高い。つまり、配管接続部52において冷媒漏洩が起こりやすい。このために、冷媒漏洩検出センサ60は、配管接続部52に隣接して配置される。なお、冷媒漏洩検出センサ60を、配管接続部52の冷媒パイプ58に取り付けるのではなく、むしろ、冷媒漏洩検出センサ60を、冷媒パイプ58から前面へと向かう方向に離間して配置する。
【0069】
特に、第一の方向(x軸)に関して、熱交換器30の第一側部46と、ハウジング10の第一側部24またはより具体的には本実施形態においては熱交換器30の第一側部46に面する電気ボックス56の側壁と、によって形成される空間において、冷媒漏洩検出センサ60(より具体的にはその冷媒受け領域70)は配置される。この空間は、第二の方向(z軸)に関しては、ハウジング10の前面18(フロントカバー14の内面すなわち背面を参照)と配管接続部52によって形成される。この意味では、この空間は、その背面が配管接続部52を囲う最小の包囲部分によって限定される。この結果、冷媒漏洩検出センサ60は、室内ユニットを前面から見て熱交換器30の側方にかつ配管接続部52の前方に配置されるとともに、室内ユニットを側面から見てハウジング10の前面18と配管接続部52との間に配置される。
【0070】
本実施形態において、上記の空間は、第二方向(y軸)に関しては、支持構造74によって、特に第一シールド~第五シールド80,82,84,92,96によって、さらに限定される。こうして、配管接続部52において冷媒漏洩が発生したとしても、漏洩した冷媒の濃度、および冷媒漏洩検出センサ60の特にその冷媒受け領域70の環境を高く保持でき、検出精度および速度を向上できる。
【0071】
冷媒漏洩が、熱交換器30の対向する両側部46,48の間で、または熱交換器30の第二側部48において発生した場合でも、冷媒は、冷媒漏洩検出センサ60により具体的にはその冷媒受け領域70に、十分に短い時間で達することができる。冷媒は、ある場合には、熱交換器30の背面44に沿って配管接続部52へと向かって流れ、冷媒漏洩検出センサ60(冷媒受け領域70)が配置されている空間へと入っていくことができる。他の場合には、冷媒は、熱交換器30の前面42に沿って流れ、そして支持構造74の貫通孔98を通って流れ、冷媒漏洩検出センサ60(冷媒受け領域70)が配置されている空間へと入っていくことができる。こうして、この場合でも、冷媒漏洩を速やかにかつ正確に検出することができる。
【0072】
さらにまた、冷媒漏洩検出センサ60(冷媒受け領域70)は、熱交換器30の上端部38よりも熱交換器30の底端部14の方により近接して配置される。特に空気より高い密度を有する冷媒が、例えばR32が用いられる場合、漏洩した冷媒はハウジング10の下部に溜まりやすい。こうして、上記の配置により、このような漏洩した冷媒を、より高い信頼性で迅速に検出することができる。また、微小な漏洩でも検出することができる。
【0073】
さらにまた、第一シールド80は、電気ケーブル65を遮蔽する、したがって水から保護する。動作の際に、結露した水が、配管接続部52の冷媒パイプ58上に生じることがある。ファンによって誘導される空気流のために、結露した水が冷媒パイプ58から引き離されることもある。第一シールド80は、こうした水滴を捕集して、電気ケーブル65に達することを防止する。その結果、水が電気ケーブル65に沿って流れることがなく、したがって開口部120を介してセンサ・ケーシング62内に入ることもない。これにより、冷媒漏洩検出センサ60の寿命を向上できる。
【0074】
第三シールド84は、第一シールド80によって捕集された水滴が、気体センサ66に特に冷媒受け領域70に達することを防止する。特に、冷媒受け領域70は、第三シールド84の自由端縁部85に対して引っ込んでいる。水滴は、自由端縁部84から落下するとき、冷媒受け領域70から離間してハウジング10の底部へと向かって落ちていく。
【0075】
その結果、第一遮蔽構造78は、冷媒漏れが生じた場合に冷媒漏洩検出センサ60(冷媒受け領域70)に隣接する空間を封止して冷媒濃度を高める機能と、冷媒漏洩検出センサ60を水滴から保護する機能と、の複合機能(ダブル・ファンクション)を有する。
【0076】
さらに、冷媒検出センサ60は、前述の通り、配管接続部52の冷媒パイプ58から離間して配置されている。これより、本冷媒検出センサ60が受ける温度変化は、冷媒パイプの近傍にまたは冷媒パイプに取り付けられる冷媒検出センサ60と比較して、より小さい温度変化内に収まる。また、温度変化をより小さくできるので、冷媒検出センサ60上に水が結露するのを抑えることができる。
【0077】
さらに、第一遮蔽構造78および第二遮蔽構造90によって、冷媒漏洩検出センサ60の周辺の、特に冷媒受け領域70の周辺の、空気流を低減することができる。こうして、冷媒漏洩検出センサ60周辺に流れる空気中の水の量も低減できる。このため、冷媒漏洩検出センサ60を防水とする必要をなくすことができる。
【符号の説明】
【0078】
10 ハウジング
12 本体
14 フロントカバー
16 後部
18 前面
20 底部
22 上部
24 第一側部
26 第二側部
28 吸入領域
29 排出領域
30 熱交換器
32 第一前部
34 第二前部
36 後部
38 上端部
40 底端部
42 前面
44 背面
46 第一側部
48 第二側
50 U字曲げ部
52 配管接続部
54 ファンの回転軸
56 電気ボックス
58 冷媒パイプ
60 冷媒漏洩検出センサ
62 センサ・ケーシング
64 回路基板
65 電気ケーブル
66 気体センサ
68 センサ・ハウジング
70 冷媒受け領域
72 開口部
74 支持構造
76 装着部
78 第一遮蔽構造
80 第一シールド
81 前面
82 第二シールド
83 側縁部
84 第三シールド
85 傾斜縁部
86 ケーブル・クリップ
87 下端
88 自由端縁部
90 第二遮蔽構造
92 第四シールド
94 底部
96 第五シールド
98 貫通孔
102 ケーシング本体
104 蓋部
106 側壁(前壁)
108 側壁(背部)
110 上壁
112 底壁
114 側壁
116 側壁
118 断熱材
120 開口部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】国際公開WO2019/138529A1
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】