(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】チューニング要素を有するマルチコンポーネントゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20231002BHJP
A63B 60/04 20150101ALI20231002BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20231002BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20231002BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B60/04
A63B53/06 Z
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518821
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021071594
(87)【国際公開番号】W WO2022067341
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラビス ディ. ミレマン
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002CH02
2C002CH03
2C002LL01
2C002MM02
2C002MM04
(57)【要約】
実施例のマルチ材料ウッドタイプゴルフクラブヘッドであって、チューニング要素を備えるゴルフクラブヘッドが開示されている。マルチ材料ウッドタイプゴルフクラブヘッドは、ストライクフェース、並びに、クラウン、トウ、及び、ソールの一部を形成する第1の金属コンポーネントと、クラウンの大部分、並びに、ヒール、トウ、及び、ソールの一部を形成する第2の非金属コンポーネントと、を備える。クラブヘッドは、さらに、クラウンの内面に固定されるチューニング要素を備える。チューニング要素は、クラブヘッドのホットスポットにおける振幅を1~7デシベルの間で抑える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、
金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、
非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固定されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、
前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、
前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、
前記第2のコンポーネントと、
前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、
前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、
前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、
前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、
前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、
前記YZ平面と、
前記後方-ヒール象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固定されるチューニング要素と、
を備え、
前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、
前記補強層は、ガラス布を含み、
前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、
前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、
前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、
前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減される、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、
前記チューニング要素中心点は、前記後方-ヒール象限内に位置する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記z軸に平行であって、前記前端部基準平面と前記チューニング要素中心点との間で測定されるオフセット距離は、1.5インチ~2.0インチの間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第2のコンポーネントは、さらに、
前記クラブヘッドの前記クラウンの少なくとも一部を形成する第2のコンポーネントクラウン部分と、
前記クラブヘッドの前記ヒール端部の少なくとも一部の周囲に巻き付く第2のコンポーネントヒール部分と、
前記クラブヘッドの前記トウ端部の少なくとも一部の周囲に巻き付く第2のコンポーネントトウ部分と、
を備え、
前記チューニング要素は、前記第2のコンポーネントクラウン部分の内面に固定される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラウンの外面に凹部分を画定する位置特徴部をさらに備え、
前記位置特徴部は、前記凹部分に隣接する前記クラウンの非凹部分から、前記凹部分を隔てる縁部を備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
アライメント特徴部をさらに備え、
前記アライメント特徴部は、前記クラウンの前記凹部分の反対側に位置する前記第2のコンポーネントの前記内面から突出し、
前記チューニング要素は、前記アライメント特徴部に固着される、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5500Hz~6000Hzの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記チューニング要素は、前記第2のコンポーネントの前記内面に接着剤により連結される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記チューニング要素は、0.5グラム~4グラムの間の質量を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記クラブヘッドの体積は、200cc未満であり、
前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記接地平面に平行なCGx軸、及び、前記ソールから前記クラウンまで延在する方向において前記接地平面に直交するCGy軸を含む座標系の起点を画定する重心を備え、
前記クラブヘッドは、1500g*cm
2を超える前記CGx軸回りのIxx慣性モーメントを含み、
前記クラブヘッドは、2900g*cm
2を超える前記CGy軸回りのIyy慣性モーメントを含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、
金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、
非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固着されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、
前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、
前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、
前記第2のコンポーネントと、
前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、
前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、
前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、
前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、
前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、
前記YZ平面と、
前記後方-トウ象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固着されるチューニング要素と、
を備え、
前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、
前記補強層は、ガラス布を含み、
前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、
前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、
前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、
前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減される、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、6000Hz~6500Hzの間である、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、
前記チューニング要素中心点は、前記後方-トウ象限内に位置する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記クラブヘッドの体積は、200cc未満であり、
前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記接地平面に平行なCGx軸、及び、前記ソールから前記クラウンまで延在する方向において前記接地平面に直交するCGy軸を含む座標系の起点を画定する重心を備え、
前記クラブヘッドは、1500g*cm
2を超える前記CGx軸回りのIxx慣性モーメントを含み、
前記クラブヘッドは、2900g*cm
2を超える前記CGy軸回りのIyy慣性モーメントを含む、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、
金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、
非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固着されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、
前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、
前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、
前記第2のコンポーネントと、
前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、
前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、
前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、
前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、
前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、
前記YZ平面と、
前記後方-ヒール象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固着されるチューニング要素と、
を備え、
前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、
前記補強層は、ガラス布を含み、
前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、
前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、
前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、
前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減され、
前記固有振動数の最大振幅は、65デシベル以下である、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5500Hz~6000Hzの間である、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、
前記チューニング要素中心点は、前記後方-ヒール象限内に位置する、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記チューニング要素は、0.5g/cm
3~1.5g/cm
3の間の密度を備える、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記補強層は、60MPaを超える引張り強度を備える、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記ゴルフクラブヘッドの前記固有振動数は、約5860Hzである、請求項16に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月18日出願の米国仮特許出願第63/127,869号及び2020年9月24日出願の米国仮特許出願第63/082,925号に対する利益を主張する。上記開示の全ての内容は、それらの全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ゴルフ用品に関し、より詳細には、チューニング要素を備えるマルチコンポーネントゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブの設計は、振動及び音響応答等のいくつかの性能特性を考慮に入れる。振動又は音響応答は、ゴルフクラブの音及び感触に対応する。インパクト時、クラブヘッドは、様々な異なる振幅を含む様々な固有振動数で振動する(振動「モード」としても公知である)。クラブヘッドの設計及び構造は、様々な固有振動数で生じる様々な異なる振幅を決定する。高振幅を伴う固有振動数は、「卓越振動数」と見なされ、クラブヘッド音の最も著しい一因となる。卓越振動数(dominant frequencies)の振幅が高すぎると、クラブヘッドは、ゴルファーにとって耳障りで不快な音に聞こえることがある。インパクト時、心地よい音響応答をもたらすには、卓越振動を抑えなければならない(即ち、そのような振動振幅を低減しなければならない)。しかし、多くの場合、制振手段は、複数の位置で、著しい量の質量をクラブヘッドに追加する必要があり、こうした位置では、重心(CG)位置及び慣性モーメント(MOI)等の質量特性に悪影響を与える。したがって、当技術分野には、クラブヘッドの質量特性に悪影響を与えずに、ゴルフクラブヘッドの卓越振動を抑え、所望の振動応答をもたらすのに、適当な軽量手段に対するニーズがある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】チューニング要素を備えるウッド型ゴルフクラブヘッドの上面斜視図である。
【0005】
【0006】
【0007】
【
図4A】金属製の第1のコンポーネント、非金属製の第2のコンポーネント、及び、チューニング要素を備える
図1のクラブヘッドの図である。
【0008】
【
図4B】金属製の第1のコンポーネント、非金属製の第2のコンポーネント、及び、チューニング要素を備える
図1のクラブヘッドの分解図である。
【0009】
【
図5】複数の層を備えるチューニング要素の図である。
【0010】
【
図6】複数の象限(quadrants)を画定する
図1のクラブヘッドのクラウンの図である。
【0011】
【
図7】複数の振動ホットスポットを有する
図1のクラブヘッドのクラウンの図である。
【0012】
【
図8A】クラウン位置特定特徴部をさらに備える、
図1のクラブヘッドのクラウンの図である。
【0013】
【
図8B】複数の振動ホットスポットをさらに有する、
図8Aのクラブヘッドのクラウンの図である。
【0014】
【
図9】
図1のクラブヘッドのチューニング要素を備える第2マルチコンポーネントの後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態は、複数材料構造が軽量クラウンチューニング要素を含むウッド型クラブヘッド(例えば、ドライバクラブヘッド、フェアウェイウッドクラブヘッド又はハイブリッドクラブヘッド)を対象とする。クラブヘッドがゴルフボールのインパクトを受けると、チューニング要素は、固有振動数で生じる高振幅を抑える又は減少させ、音響応答の改善及び所望の「よりソフトな」感触をもたらす。チューニング要素は、固有振動数で生じる高振幅に対応する位置に正確に配置される。チューニング要素は、著しい量の質量をクラブヘッドに追加せずに、クラブヘッドの音響応答を改善する。クラウンチューニング要素は、軽量要素又は低質量要素であり、ゴルフボールのインパクト中、クラブヘッドの音及び感触を改善するとともに、クラブヘッドの慣性モーメントの最大化及び低い後方重心位置等の所望の質量特性を保持するように、全体的なクラブヘッドの設計を保つ。
【0016】
本開示で説明するチューニング要素及びチューニング要素の位置は、クラブヘッドの組立前にクラウン上に正確に配置させるため、複合クラブヘッドの構造に有益である。さらに、チューニング要素は、クラブヘッドの組立工程の間に使用する熱源によって構造完全性を失わない。例えば、金属コンポーネントと複合コンポーネント(composite component)とを備えるクラブヘッドの場合、チューニング要素は、クラブヘッドの組立前にマルチコンポーネント上に配置される。典型的には、マルチコンポーネントクラブヘッド構造の場合、複合コンポーネントは、熱源を使用せずに、接着剤又は機械的手段を介して金属コンポーネントに固定される。複合組立工程には、熱源が使用されず、これにより、チューニング要素の構造完全性を維持する。対照的に、金属のクラブヘッドは全て、単一ボディとして鋳造され、フェースプレートはボディ上に溶接される。フェースプレートの溶接は、熱源を必要とし、金属クラブヘッドの内部空洞内に配設されたあらゆるチューニング要素の構造完全性に影響を与える(例えば、溶融させる)。本開示で説明するチューニング要素は、構造完全性を失わずに又は材料特性を改変せずに、クラウン上に正確に配置される。
【0017】
例えば、クラブヘッドは、金属材料から形成された第1のコンポーネントと非金属材料から形成された第2のコンポーネントとを有する2つのコンポーネント設計を備える。第1のコンポーネントは、耐荷重構造、及び、クラブヘッド質量の大部分を含む。第1のコンポーネントは、ストライクフェースから離れて延在する後方延在ソール部分又はソール後方延在部を備える。ソール延在部を有する第1のコンポーネントは、重量調節のための取り外し可能なおもりを受け入れ、クラブヘッドを構造的に補強するリブ等の構造を含み得る。第2のコンポーネントは、軽量複合構造を備える。軽量複合構造は、第1のコンポーネントの周囲に巻き付き、クラブヘッドのクラウンの大部分、並びに、ヒール、トウ、及び、ソールの部分を形成する。
【0018】
チューニング要素は、卓越固有振動数で生じる高振幅に対処する。卓越固有振動数で生じる高振幅は、クラブヘッドの非金属又は複合コンポーネント上で出現する。例えば、卓越固有振動数は、複合コンポーネントの構造的に最も弱い部分に出現する。構造的に弱い部分は、薄い、又は、最小厚さを含む複合コンポーネント上の部分を含み得る。複合コンポーネントの薄肉部分は、卓越固有振動数で高振幅を含む。
【0019】
チューニング要素は、音を制御するように、第2のコンポーネントのクラウン部分上に配置される。具体的には、チューニング要素は、卓越固有振動数で生じる振幅を抑えるように、クラウンの後方ヒール部分上に配置される。チューニング要素は、5000Hzを超える卓越固有振動数で生じる高振幅に対処する。複数材料構造及びクラウンチューニング要素を備えるクラブヘッドは、チューニング要素のない同様のマルチコンポーネントクラブヘッドと比較すると、卓越振動数の振幅を1~7デシベル低減させる。クラウンチューニング要素を備えるクラブヘッドは、優れた音の制御性をもたらすとともに、重心及び慣性モーメント特性に対する影響を最小化する。以下で説明するのは、ゴルフボールのインパクト中、マルチコンポーネントクラブヘッドに対する音響応答を改善するクラウンチューニング要素のいくつかの実施形態である。
【0020】
「1つの(a)」、「1つの(an)」「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は複数の」は、少なくとも1つの項目が存在することを示すために相互交換可能に使用され、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、複数のこのような項目が存在してもよい。添付の特許請求の範囲を含め、本明細書における(例えば、量又は条件の)パラメータのすべての値は、値の前に「約」が実際にあるかどうかに関わらず、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるとして理解されるべきである。「約」は、述べられた数値が若干の不正確さ(値の正確さに対するいくらかの接近性、値に対して、およそ又は値に合理的に近い、略)を許容することを示す。「約」によって与えられる不正確さが、この通常の意味で当技術分野において理解されない場合、本明細書で使用される場合、「約」は、このようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る少なくとも変動を示す。また、範囲の開示は、すべての値の開示、及び、範囲全体内のさらに分割された範囲の開示を含む。範囲内の各値及び範囲の端点は、本明細書ではすべて別個の実施形態として開示されている。「備える」、「備えている」、「含んでいる」、及び「有している」という用語は、包括的であり、したがって、述べられた項目の存在を特定しているが、他の項目の存在を排除するものではない。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、列記された項目の1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。第1、第2、第3などの用語が、様々な項目を互いに識別するために使用されるとき、これらの指定は単に便宜上のものに過ぎず、項目を限定するものではない。
【0021】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」、及び、「第5の」などの用語は、それがある場合には、同様のエレメント同士の間を区別するために使用されており、必ずしも、特定のシーケンシャルな又は時系列の順序を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外のシーケンスの動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。そのうえ、「備える」及び「有する」という用語、ならびに、任意のそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されており、エレメントのリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は、装置が、必ずしもそれらのエレメントに限定されないが、明示的に列挙されていないか、又は、そのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に本来備わっている他のエレメントを含むことが可能であるようになっている。
【0022】
詳細な説明及び特許請求の範囲の中の「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上」、及び、「下」などの用語は、それがある場合には、説明目的のために使用されており、必ずしも、恒久的な相対位置を説明するために使用されているわけではない。そのように使用されている用語は、適当な状況下で入れ替え可能であり、本明細書で説明されている装置、方法、及び/又は、製造の物品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されているか又はそうでなければ説明されているもの以外の他の配向での動作が可能であるようになっているということが理解されるべきである。一貫性及び明確性のために、本明細書で使用される全ての方向への言及は、言及されたゴルフクラブヘッドが、クラブヘッドの既定のロフト角及びライ角が達成されるように水平方向に平坦な接地平面上に載置されることを仮定する。ゴルフクラブヘッドの「前」又は「前方部分」は、概して、ゴルフクラブヘッドのストライクフェースを含む(接地平面に対して垂直に見た際の)ゴルフクラブヘッドの側を指す。逆に、クラブヘッドの後方部分は、ストライクフェースの反対であり、クラブヘッドのストライクフェースの背後の全て及び/又はインパクト時にストライクフェースに追従する部分を含み得る。
【0023】
「連結する」、「連結されている」、「連結」、及び、「連結している」などの用語は、幅広く理解されるべきであり、機械的に又は別の方法で、2つ以上のエレメントを接続することを表している。連結(機械的でも、別の方法でも)は、例えば、恒久的又は半恒久的に、又は、瞬間のみなど、任意の時間の長さに関するものであることが可能である。
【0024】
本明細書に記載されているゴルフクラブの「ロフト」又は「ロフト角」という用語は、任意の適切なロフト・ライマシンによって測定される、クラブフェースとシャフトとの間に形成される角度を指す。
【0025】
本明細書で使用される「ドライバゴルフクラブヘッド」は、約16度未満、約15度未満、約14度未満、約13度未満、約12度未満、約11度未満、又は、約10度未満のロフト角を有する。さらに、多くの実施形態では、本明細書で使用される「ドライバゴルフクラブヘッド」は、約400ccを超え、約425ccを超え、約445ccを超え、約450ccを超え、約455ccを超え、約460ccを超え、約475ccを超え、約500ccを超え、約525ccを超え、約550ccを超え、約575ccを超え、約600ccを超え、約625ccを超え、約650ccを超え、約675ccを超え、又は、約700ccを超える体積を有する。いくつかの実施形態では、ドライバの体積は、約400cc~600cc、約425cc~500cc、約500cc~600cc、約500cc~650cc、約550cc~700cc、約600cc~650cc、約600cc~700cc、又は、約600cc~800ccをとることができる。
【0026】
本明細書で使用される「フェアウェイウッドゴルフクラブヘッド」は、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は、約30度未満のロフト角を有する。さらに、いくつかの実施形態では、フェアウェイウッドゴルフクラブヘッドのロフト角は、約12度を超え、約13度を超え、約14度を超え、約15度を超え、約16度を超え、約17度を超え、約18度を超え、約19度を超え、又は、約20度を超えることができる。例えば、他の実施形態では、フェアウェイウッドのロフト角は、12度と35度との間、15度と35度との間、20度と35度との間、又は、12度と30度との間をとることができる。
【0027】
さらに、本明細書で使用される「フェアウェイウッドゴルフクラブヘッド」は、約400cc未満、約375cc未満、約350cc未満、約325cc未満、約300cc未満、約275cc未満、約250cc未満、約225cc未満、又は、約200cc未満の体積を有する。いくつかの実施形態では、フェアウェイウッドの体積は、約150cc~200cc、約150cc~250cc、約150cc~300cc、約150cc~350cc、約150cc~400cc、約300cc~400cc、約325cc~400cc、約350cc~400cc、約250cc~400cc、約250cc~350cc、又は、約275cc~375ccの体積とすることができる。
【0028】
本明細書で使用される「ハイブリッドゴルフクラブヘッド」は、約40度未満、約39度未満、約38度未満、約37度未満、約36度未満、約35度未満、約34度未満、約33度未満、約32度未満、約31度未満、又は、約30度未満のロフト角を有する。さらに、多くの実施形態では、ハイブリッドのロフト角は、約16度を超え、約17度を超え、約18度を超え、約19度を超え、約20度を超え、約21度を超え、約22度を超え、約23度を超え、約24度を超え、又は、約25度を超えることができる。
【0029】
さらに、本明細書で使用される「ハイブリッドゴルフクラブヘッド」は、約200cc未満、約175cc未満、約150cc未満、約125cc未満、約100cc未満、又は、約75cc未満の体積を有する。いくつかの実施形態では、ハイブリッドの体積は、約100cc~150cc、約75cc~150cc、約100cc~125cc、又は、約75cc~125ccとすることができる。
【0030】
本明細書で使用する用語「デシベル(複数可)」は、振動振幅の単位を指す。振動のデシベルは、対数スケールで測定される。デシベルスケールの対数性のために、振幅のデシベル値の線形増加は、線形スケールによって測定される振動振幅(又は「振動エネルギー」)の指数関数的な増加に相関する。したがって、振動振幅のデシベル値の減少、及び/又は、増大は、1又は2デシベルでさえ、振動振幅の大きさの著しい減少、及び/又は、増大に相関する。
【0031】
他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって、明らかになることとなる。本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に述べられているような、又は、図面に図示されているような、コンポーネントの詳細又は構築及び配置に限定されないということが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態をサポートすることが可能であり、さまざまな方式で実践又は実施され得る。特定の実施形態の説明は、本開示の要旨及び範囲の中に入るすべての修正例、均等物、及び代替例をカバーすることから、本開示を限定することを意図していないということが理解されるべきである。また、本明細書で使用されている表現法及び専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとして見なされるべきではないということが理解されるべきである。
【0032】
マルチコンポーネントクラブヘッドに対する概略的な説明
チューニング要素の構造、及び、卓越固有振動数において高振幅を抑えるチューニング要素の有利な利益を説明する前に、マルチコンポーネント又は複合クラブヘッド構造の一実施形態を以下で説明する。同じ参照数字が、様々な図において、同じ又は同一のコンポーネントを特定する図面を参照されたい。
図1~
図9は、様々な眺めにおけるマルチ材料ウッド型ゴルフクラブヘッドを概略的に示す。クラブヘッド100は、第1のコンポーネント120と、第2のコンポーネント122と、を備える。第1のコンポーネント120及び第2のコンポーネント122は、実質的に閉鎖/中空内部体積部を画定するように固定される。クラブヘッド100は、ストライクフェース102と、前端部104と、前端部104の反対側の後端部106と、クラウン108と、クラウン108の反対側のソール110と、ヒール端部114と、ヒール端部114の反対側のトウ端部112と、を備える。クラブヘッド100の前端部104は、ストライクフェース102と、リーディングエッジ115と、を備える。クラブヘッド100は、スカート又はトレーリングエッジ118をさらに備える。スカート又はトレーリングエッジ118は、クラウンとソールとの間に、クラウン及びソールに隣接して位置する。スカートは、クラブヘッド100のヒール端部114付近からトウ端部112付近まで延在する。
【0033】
クラブヘッド100は、本開示で説明するドライバクラブヘッド、フェアウェイウッドクラブヘッド、又は、ハイブリッドクラブヘッド等のウッド型クラブヘッドである。ストライクフェース102及びボディ101は、クラブヘッド100の内部空洞を画定することができる。ボディ101は、クラウン108、ソール110、ヒール端部114、トウ端部112、後端部106、及び、前端部104の外周部にわたり延在することができる。実施形態では、ボディ101は、クラブヘッド100の前端部104上に開口を画定し、ストライクフェース102は、クラブヘッド100を形成するように開口内に配置される。他の実施形態では、ストライクフェース102は、前端部104の外周部にわたり延在し、クラウン108、ソール110、ヒール114、及び、トウ112(図示せず)の少なくとも1つにわたり延在する打面戻り部分を含むことができる。ストライクフェース戻り部分を備える実施形態では、ストライクフェース102の戻り部分は、クラブヘッド100を形成するようにボディ101に固定される。これらの実施形態では、クラブヘッド100は、カップ面又はフェースラップ設計に類似することができる。
【0034】
図1~
図3に示すように、クラブヘッド100は、ホーゼル構造体を備える。ホーゼル構造体105は、ホーゼルスリーブ及びゴルフシャフトを受け入れることができる。ホーゼルスリーブは、ゴルフシャフト(図示せず)の端部に連結することができる。ホーゼルスリーブは、複数の構成でホーゼル構造体と連結でき、これにより、複数の角度でゴルフシャフトをホーゼル構造体に固定可能にする。
【0035】
クラブヘッド100は、取り外し可能なおもりを受け入れるように構成されたおもりポート119をさらに備えることができる。多くの実施形態では、おもりポート119は、ソール110及び/又はスカート118に位置することができる。取り外し可能なおもりは、慣性モーメント(MOI)特性及び重心(CG)位置を調節することができる。
【0036】
ストライクフェース102は、ゴルフボールにインパクトすることを意図する打表面103を備える。打表面103は、さらに、面中心又は形状中心116を画定する。いくつかの実施形態では、面中心116は、打表面103の形状中心点に位置することができる。別のアプローチでは、打表面103の面中心116は、全米ゴルフ協会(USGA)等のゴルフ管理機関の規定に従って位置することができる。
【0037】
図1~
図3を参照すると、クラブヘッド100は、クラブヘッド100がアドレス位置にある際に、ソール110に接している接地平面2000を画定する。打表面103の面中心116は、x軸1050、y軸1060、及び、z軸1070を有する座標系の起点を画定する。x軸1050は、接地平面2000に平行なヒール端部114付近からトウ端部112付近まで延在する方向で、面中心116を通って延在する水平軸である。y軸1060は、接地平面2000に直交するソール110付近からクラウン108付近まで延在する方向で、面中心116を通って延在する垂直軸である。y軸1060は、x軸1050に直交する。z軸1070は、接地平面2000に平行な前端部104付近から後端部106付近まで延在する方向で、面中心116を通って延在する水平軸である。z軸1070は、x軸1050及びy軸1060に直交する。x軸1050は、ヒール端部114に向かってプラス方向で延在する。y軸1060は、クラウン108に向かってプラス方向で延在する。z軸1070は、後端部106に向かってプラス方向で延在する。
【0038】
図6を参照すると、クラブヘッド100は、さらに、座標系内に画定された複数の象限を備える。クラブヘッド100は、前端部基準平面500を画定する。前端部基準平面500は、アドレス時、リーディングエッジ115に接し、接地平面2000に直交する。クラブヘッド100は、後端部基準平面600を画定する。後端部基準平面600は、後端部106に接し、前端部基準平面500に平行である。クラブヘッド100は、さらに、前端部基準平面500と後端部基準平面600との間の中間に画定される中央平面550を画定する。中央平面550は、前端部基準平面500及び後端部基準平面600の両方に平行に延在する。上部又はクラウンから見ると、
図6によって示されるように、クラブヘッド100は、中央平面550及びYZ平面によって分割される複数の象限を画定する。YZ平面は、y軸及びz軸に沿って延在する平面として画定される。クラブヘッド100は、前方-トウ象限170、後方-トウ象限172、前方-ヒール象限174、及び、後方-ヒール象限176を画定する。前方-トウ象限170は、中央平面550の前方及びYZ平面のトウの方に位置する。後方-トウ象限172は、中央平面550の後方及びYZ平面のトウの方に位置する。前方-ヒール象限174は、中央平面550の前方及びYZ平面のヒールの方に位置する。後方-ヒール象限176は、中央平面550の後方及びYZ平面のヒールの方に位置する。
【0039】
図2及び
図3に示すように、クラブヘッド100は、さらに、重心(CG)1000を備える。多くの実施形態では、重心1000は、上記で画定された座標系内に位置する。重心1000は、x軸1050、y軸1060、及び、z軸1070上に位置する。重心1000は、さらに、CGx軸2050、CGy軸2060及びCGz軸2070を有する座標系の起点を画定する。CGx軸2050は、ヒール端部114付近からトウ端部112付近までCG1000を通って延在する。CGy軸2060は、クラウン108付近からソール110付近までCG1000を通って延在し、CGz軸2070は、CGx軸2050に直交する。CGz軸2070は、前端部104付近から後端部106付近までCG1000を通って延在し、CGx軸2050及びCGy軸2060の両方に直交する。
【0040】
CGx軸2050は、x軸1050に平行であり、CGy軸2060は、y軸1060に平行であり、CGz軸2070は、z軸1070に平行である。多くの実施形態では、重心1000は、クラブヘッド100のソール110及び後端部106の方に好適に配置される。
【0041】
クラブヘッド100は、さらに、CGx軸2050回りの慣性モーメントIxx(即ち、クラウン-ソール慣性モーメント)、CGy軸2060回りの慣性モーメントIyy(即ち、ヒール-トウ慣性モーメント)を含む。以下でより詳細に説明するように、クラウン-ソール慣性モーメントIxx及びヒール-トウ慣性モーメントIyyが増大又は最大化して、高許容度のクラブヘッドをもたらす。クラブヘッド100は、高慣性モーメントIxx及び高慣性モーメントIyyを含む。高慣性モーメントIxx及び高慣性モーメントIyyは、クラブヘッド100に感触、許容度、及び、プレー性の改善をもたらす。
【0042】
第1のコンポーネント
図1~
図4に示すように、クラブヘッド100は、マルチ材料から形成することができる。クラブヘッド100は、金属材料から形成された第1のコンポーネント120を備える。第1のコンポーネント120は、ゴルフボールへのインパクトの繰り返しに耐えるように、耐荷重構造、及び、クラブヘッド100の質量の大部分を備える。第1のコンポーネント120は、ゴルフボールへのインパクトのために構成され、クラブヘッド100に構造的な補強をもたらす。第1のコンポーネント120は、クラブヘッド後方に位置し、重量調節のための取り外し可能なおもりを受容するおもりポート119を備え、クラブヘッド100を構造的に補強するリブ等の構造体を含むことができる。
【0043】
第1のコンポーネントは、ストライクフェース102を有する前端部104と、ホーゼル構造体105と、ストライクフェース102の外周部から後方に延在する戻り部分124と、を備える。いくつかの実施形態では、第1のコンポーネント120は、第1のコンポーネント120が単一材料で形成された単一構造体又はコンポーネントとして一体に形成することができる。代替的に、第1のコンポーネント120は、個別形成ストライクフェースインサートを受容することができる。個別形成ストライクフェースインサートは、クラブヘッド100の前端部内の開口に固定することができる。個別形成ストライクフェースインサートは、第1のコンポーネントの金属材料とは異なる金属材料を含むことができる。
【0044】
第1のコンポーネント120の戻り部分124は、クラウン108、ソール110、ホーゼル構造体105、ヒール端部114、及び、トウ端部112の一部分を形成する。第1のコンポーネント120は、さらに、戻り部分124の後方に延在するソール後方延在部160を備える。ソール後方延在部160は、ソール110の一部分を形成する。ソール後方延在部160は、クラブヘッド100の戻り部分124と後端部106との間に延在する。ソール後方延在部160は、クラブヘッド長さの大部分に延在し、クラブヘッド長さは、z軸1070に平行に、リーディングエッジ115からトレーリングエッジ118まで測定される。
図3、
図4A、及び、
図4Bに示すように、ソール後方延在部160は、重量調節のためのおもりポート119及び/又はクラブヘッド100を補強する補強構造を備える。
【0045】
クラブヘッド100の第1のコンポーネント120は、限定はしないが、鉄鋼、合金鋼、ステンレス鋼合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、チタン合金、非晶質金属合金、又は、他の同様の材料から形成することができる。例えば、第1のコンポーネント120は、限定はしないが、Ti-8Al-1Mo-1V合金、17-4ステンレス鋼、C300、C350、Ni(ニッケル)-Co(コバルト)-Cr(クロム)-合金鋼、565鉄鋼、AISI型304又はAISI型630ステンレス鋼、17-4ステンレス鋼、チタン合金、例えば、限定はしないが、Ti-6-4、Ti-3-8-6-4-4、Ti-10-2-3、Ti 15-3-3-3、Ti 15-5-3、Ti185、Ti 6-6-2、Ti-7s、Ti-9s、Ti-92、T9s+、若しくはTi-8-1-1チタン合金、非晶質金属合金、又は他の同様の金属から形成することができる。
【0046】
第2のコンポーネント
クラブヘッド100は、さらに、軽量の非金属材料から形成された第2のコンポーネント122を備える。第2のコンポーネント122は、クラウンの質量を低減し、第1のコンポーネント120及び/又は取り外し可能なおもりへのさらなる自由裁量質量の分散を可能にする。第2のコンポーネント122は、単一材料を有する単一構造体又はコンポーネントとして射出成形によって形成することができる。以下でより詳細に説明するように、チューニング要素は、卓越固有振動数で生じる高振幅を抑えるように、第2のコンポーネント122に接着又は固定される。
【0047】
図1~
図4に示すように、第2のコンポーネント122は、クラウン108の大部分、並びに、ヒール端部114、トウ端部112、ソール110、後端部106、及び、スカート118の部分を形成する。第2のコンポーネント122は、クラウン部分150と、ソールトウ部分152aと、ソールヒール部分152bと、を備える。第2のコンポーネント122は、第1のコンポーネント120に固定されるように構成される。
図4A及び
図4Bを参照すると、第2のコンポーネント122は、第1のコンポーネント120の周囲に巻き付くように構成される。第2のコンポーネント122は、第1のコンポーネント120の戻り部分124及びソール後方延在部160に当接する。ソールから見ると、第1のコンポーネント120は、第2のコンポーネント122の間に延在する。具体的には、第1のコンポーネント120のソール後方延在部160は、第2のコンポーネント122の間に延在する。第2のコンポーネント122は、ソール110のヒール部分152b及びソール110のトウ部分152aを形成する。
【0048】
第2のコンポーネント122は、接合表面で第1のコンポーネント120に固定される。第2のコンポーネント122は、接合表面で、接着剤を介して又は機械的手段によって、第1のコンポーネント120に固定される。接合表面は、第1のコンポーネント120と第2のコンポーネント122との間の結合部に位置することができる。接合表面は、凹唇部とすることができる。凹唇部は、戻り部分124及びソール後方延在部160の外周部に沿って延在する。凹唇部は、クラブヘッド100の外表面から凹ませ、第1のコンポーネント120と第2のコンポーネント122との間の重複部分を組み合わせた厚さ、及び、2つのコンポーネントを一緒に固着するのに使用される任意の接着剤を収容することができる。
【0049】
第2のコンポーネント122は、上記で説明した複数の象限内に位置することができる。上記のように、クラブヘッド100は、前方-トウ象限170、後方-トウ象限172、前方-ヒール象限174、及び、後方-ヒール象限176を画定する。第2のコンポーネント122の一部分は、前方-トウ象限170及び前方-ヒール象限174内に位置することができる。第2のコンポーネント122は、後方-トウ象限172及び後方-ヒール象限176内に完全に位置することができる。言い換えれば、第2のコンポーネント122の大部分(即ち、第2のコンポーネント122の表面領域)は、中央平面550の後方に位置することができる。例えば、第2のコンポーネント122の表面領域の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%又は90%超は、中央平面550の後方に位置することができる。他の実施形態では、中央平面550の後方に位置する第2のコンポーネント122の表面領域は、55から95%の範囲に及ぶことができる。また他の実施形態では、中央平面550の後方に位置する第2のコンポーネント122の表面領域は、50%から70%、55%~75%、60%~80%、65%~85%、70%~90%、又は、75%~95%の範囲に及ぶことができる。例えば、中央平面550の後方に位置する第2のコンポーネント122の表面領域は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は、95%とすることができる。
【0050】
第2のコンポーネント122は、第1のコンポーネント120の材料より低い密度の材料を含む。いくつかの実施形態では、第2のコンポーネント122は、ポリマー樹脂及び強化繊維から形成される複合材料を含み得る。ポリマー樹脂は、熱硬化性又は熱可塑性樹脂を含むことができる。第2のコンポーネント122の複合材料は、充填剤入り熱可塑性(FT)複合材料又は繊維強化複合材料(FRC)のいずれかとすることができる。いくつかの実施形態では、第2のコンポーネント122は、FRCと一緒に接合したFTを含むことができる。充填剤入り熱可塑性(FT)複合材料は、典型的には、所望の形状に射出成形される。充填剤入り熱可塑性(FT)複合材料は、熱可塑性樹脂及びランダムに配向された非連続繊維を含むことができる。対照的に、繊維強化複合材料(FRC)は、樹脂を含浸させた(プリプレグ)連続繊維シートから形成される。繊維強化複合材料(FRC)は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれかを含むことができる。
【0051】
熱可塑性樹脂を用いる実施形態では、樹脂は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又は熱可塑性エラストマ(TPE)を含むことができる。例えば、樹脂は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、PA6若しくはPA66等のポリアミド、ポリアミド-イミド、ポリフェニレンスルファイド
(PPS)、ポリカーボネート、エンジニアリングポリウレタン及び/又は他の同様の材料を含むことができる。強度及び重量は、複合材料を考慮する際の2つの主な特性であるが、適切な複合材料は、音響特性等の二次的な利益も呈し得る。いくつかの実施形態では、PPS及びPEEKは、クラブヘッドのインパクト時、概して、金属のような音がする音響応答を発するので、望ましい。
【0052】
強化繊維は、炭素繊維(若しくは刻み炭素繊維)、ガラス繊維(若しくは刻みガラス繊維)、グラファイト繊維(若しくは刻みグラファイト繊維)、又は、あらゆる他の適切な充填剤材料を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、強度、耐久性及び/又は重量を加えるあらゆる強化充填剤を含み得る。
【0053】
第2のコンポーネント122を形成する(樹脂及び繊維を組み合わせた)複合材料の密度は、約1.15g/cc~約2.02g/ccまでの範囲に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、複合材料の密度は、約1.20g/cc~約1.90g/ccの間、約1.25g/cc~約1.85g/ccの間、約1.30g/cc~約1.80g/ccの間、約1.40g/cc~約1.70g/ccの間、約1.30g/cc~約1.40g/ccの間、又は、約1.40g/cc~約1.45g/ccの間の範囲に及ぶ。
【0054】
第2のコンポーネントの材料-充填剤入り熱可塑性(FT)材料
FT材料において、ポリマー樹脂は、好ましくは、典型的な使用に耐えるとともに、設計に対する重量節約の利益をもたらすように、十分に高い材料強度及び/又は強度/重量比の特性を有する1つ又は複数のポリマーを組み込むべきである。具体的には、設計及び材料にとって、ストライクフェースとゴルフボールとの間のインパクトの間に与えられる応力に効率的に耐えるとともに、ゴルフクラブヘッドの合計重量の一因に実質的にならないことが重要である。概して、ポリマーは、約60MPa(正味)を超える降伏点引張り強度を特徴とすることができる。ポリマー樹脂を強化繊維と組み合わせる場合、得られる複合材料は、約110MPa超の降伏点引張り強度、約180MPa超の降伏点引張り強度、約220MPa超の降伏点引張り強度、約260MPa超の降伏点引張り強度、約280MPa超の降伏点引張り強度、又は、約290MPa超の降伏点引張り強度を有することができる。いくつかの実施形態では、適切な複合材料は、約60MPa~約350MPaまでの降伏点引張り強度を有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、強化繊維は、複数の分散した不連続繊維(即ち、刻み繊維)を含む。いくつかの実施形態では、強化繊維は、約3mm~25mmまでの設計された繊維長さを有する不連続「長繊維」を含む。いくつかの実施形態では、不連続「長繊維」は、約3mm~14mmまでの設計された繊維長さを有する。例えば、いくつかの実施形態では、繊維長さは、成形工程前、約12.7mm(0.5インチ)である。いくつかの実施形態では、強化繊維は、約0.01mm~3mmまでの設計された繊維長さを有する不連続「短繊維」を含む。いずれの場合も(短繊維であれ長繊維であれ)、所与の長さは、予め混合された長さであり、成形工程の間の破断のために、一部の繊維は、実際、最終コンポーネントでは上記範囲より短い場合があることに留意されたい。いくつかの構成では、不連続刻み繊維は、約10を超える、又はより好ましくは約50を超え、約1500未満のアスペクト比(例えば、繊維の長さ/直径)を特徴とし得る。使用する特定の種類の不連続刻み繊維にかかわらず、特定の構成では、複合材料は、約0.01mm~約25mmまでの繊維長さ、又は、約0.01mm~約14mmまでの繊維長さを有し得る。
【0056】
複合材料は、約40重量%~約90重量%までのポリマー樹脂含量、又は、約55重量%~約70重量%までのポリマー樹脂含量を有し得る。第2のコンポーネントの複合材料は、約10重量%~約60重量%までの間の繊維含量を有することができる。いくつかの実施形態では、複合材料は、約20重量%~約50重量%までの間、30重量%~40重量%までの繊維含量を有する。いくつかの実施形態では、複合材料は、約10重量%~約15重量%の間、約15重量%~約20重量%の間、約20重量%~約25重量%の間、約25重量%~約30重量%の間、約30重量%~約35重量%の間、約35重量%~約40重量%の間、約40重量%~約45重量%の間、約45重量%~約50重量%の間、約50重量%~約55重量%の間、又は、約55重量%~約60重量%の間の繊維含量を有する。
【0057】
第2のコンポーネント122が充填剤入り熱可塑性(FT)材料を含む実施形態では、第2のコンポーネント122は、ポリマー樹脂及び強化繊維の両方を含む複合ペレットから射出成形することができる。強化繊維は、射出成形工程の前に、樹脂内に埋め込むことができる。ペレットは、第2のコンポーネント122を形成するために融解され、空のモールド内に射出することができる。FT複合材料は、約210℃~約280℃の間の融解温度を有することができる。いくつかの実施形態では、複合材料は、約250℃~約270℃の間の融解温度を有することができる。
【0058】
FT材料の第2のコンポーネント122を伴う実施形態では、繊維の少なくとも50%は、クラウン108の中心領域内におおまかに前方-後方に整列させることができる。言い換えれば、繊維は、ストライクフェース102に直交しておおまかに整列させることができる。FT材料は、繊維整列方向で最大強度を呈する。したがって、繊維をほぼ前方-後方方向に向けることにより、クラブヘッド100の耐久性を増大させる。繊維は、ゴルフボールのインパクトの間に生じるクラウン108内の圧縮応力に対処するように、ほぼ前方-後方方向に方向付けることができる。繊維の整列は、射出成形工程中のモールド内の材料の流れ方向に対応することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、第2のコンポーネント122は、長繊維強化TPU材料(例示的FT材料)から形成することができる。長繊維TPUは、約40重量%の長炭素繊維を含むことができる。長繊維TPUは、短炭素繊維コンパウンドの弾性係数より高い弾性係数を呈することができる。長繊維TPUは、高温に耐えることができ、暑い気候で使用及び/又は保管されるゴルフクラブヘッドに対する使用に適している。長繊維TPUは、高じん性をさらに呈し、従来の金属コンポーネントの代替として良好に働くことを可能にする。いくつかの実施形態では、長繊維TPUは、約26,000MPa~約30,000MPaの間、又は、約27,000MPa~約29,000MPaの間の引張係数を含む。いくつかの実施形態では、長繊維TPUは、約21,000MPa~約26,000MPaの間、又は、約22,000MPa~約25,000MPaの間の曲げ弾性係数を含む。長繊維TPU材料は、約0.5%~約2.5%の間の(破断点)引張伸びを有することができる。いくつかの実施形態では、複合TPU材料の引張伸びは、約1.0%~約2.0%の間、約1.2%~約1.4%の間、約1.4%~約1.6%の間、約1.6%~約1.8%の間、約1.8%~約2.0%の間とすることができる。
【0060】
第2のコンポーネントの材料-繊維強化複合材料(FRC)
いくつかの実施形態では、第2のコンポーネント122は、繊維強化複合(FRC)材料を含み得る。FRC材料は、概して、ポリマーのより大きな部分にわたり延在する1つ又は複数の層の単方向又は複数方向繊維布帛を含み得る。充填剤入り熱可塑性(FT)材料で使用し得る強化繊維とは異なり、FRCで使用される繊維の最大寸法は、FT材料で使用される最大寸法より実質的に大きく/長くてもよく、ポリマーとは別個の連続布帛として提供できるように十分なサイズ及び特性を有し得る。熱可塑性ポリマーと共に形成する場合、融解させた際にポリマーが自由に流動可能である場合でさえ、含まれる連続繊維は、概して、流動しない。強化繊維は、75g/m2~150g/m2の間の目付(長さ×幅面積あたりの重量)を含み得る。
【0061】
FRC材料は、概して、繊維を所望の構成に配置し、次に、繊維材料に十分な量のポリマー材料を含浸させ、十分な剛性を与えることによって形成される。このように、FT材料は、約45体積%超、又は、より好ましくは約55体積%超の樹脂含量を有し得る一方で、FRC材料は、約45体積%未満、又は、より好ましくは約35体積%未満の樹脂含量を望ましく有し得る。いくつかの実施形態では、FRCの樹脂含量は、24体積%~45体積%の間とすることができる。
【0062】
FRC材料は、従来、ポリマーマトリックスとして2液性熱硬化性エポキシを使用するが、マトリックスとして熱可塑性ポリマーの使用も可能である。多くの事例において、FRC材料は、最終製造前に事前調製され、そのような中間材料は、プリプレグと呼ばれることが多い。熱硬化性ポリマーを使用する際、プリプレグは、中間形態で部分的に硬化し、プリプレグを最終形状に形成すると最終硬化が生じる。熱可塑性ポリマーを使用する際、プリプレグは、冷却された熱可塑性マトリックスを含み得る。熱可塑性マトリックスは、次に、加熱し、最終形状に成形することができる。
【0063】
FRCの第2のコンポーネント122は、複数の層(複数の薄層とも呼ばれる)を備えることができる。各層は、プリプレグと同じ厚さを含む及び/又は同じ厚さとすることができる。複数の層のそれぞれは、単指向性繊維布(UD)又は多指向性繊維布(時には織布と呼ばれる)のいずれかを備えることができる。いくつかの実施形態では、複数の層は、少なくとも3つのUD層を備えることができる。第2の層及び第3の層は、基準層に対して角度を付けることができる。基準層を0度に方向付けた場合、第2の層及び第3の層は、基準層から±45度に方向付けることができる。いくつかの実施形態では、層は、あらゆる適切な順で0、+45、-45、+90、-90に方向付けることができる。いくつかの実施形態では、複数の層は、少なくとも1つの多指向性織布層を備え、少なくとも1つの多指向性織布層は、典型的には、FRCの第2のコンポーネント122の外観を改善するように上層に配置される。
【0064】
第2のコンポーネントの材料-混合材料
第2のコンポーネント122は、繊維強化複合弾性層及び成形熱可塑性構造層の両方を含む混合材料構造を有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、成形熱可塑性構造層は、充填剤入り熱可塑性(FT)材料から形成し得る。上記のように、FTは、熱可塑性材料全体にわたって埋め込まれた不連続ガラス、炭素、又は、アラミドポリマー繊維充填剤を含むことができる。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は、PA6若しくはPA66等のポリアミド等のTPUとすることができる。繊維強化複合材料弾性層は、ポリマー樹脂(又はマトリックス)内に埋め込んだ織ガラス、炭素繊維、又は、アラミドポリマー繊維強化層を含むことができる。弾性層のポリマー樹脂は、熱可塑性であってもよいし、熱硬化性であってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、繊維強化複合材料弾性層のポリマー樹脂は、成形熱可塑性構造層の樹脂と同じ熱可塑性材料である。言い換えれば、繊維強化弾性層及び成形構造層は、共通の熱可塑性樹脂を含むことができる。弾性層及び構造層を共通の熱可塑性樹脂で形成することにより、層間の強固な化学結合を可能にする。これらの実施形態では、弾性層及び構造層は、中間接着剤を使用せずに接合することができる。1つの特定の実施形態では、第2のコンポーネント122の弾性層は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)内に埋め込んだ織炭素繊維布帛を含むことができ、第2のコンポーネント(122)の構造層は、充填ポリフェニレンスルファイド(PPS)ポリマーを含むことができる。代替の実施形態では、第2のコンポーネント122は、押出成形、射出吹出し成形、3-D印刷、又は、他の適切な形成手段で形成することができる。
【0066】
チューニング要素
上記したマルチ材料クラブヘッド100は、さらに、チューニング要素130を備え得る。マルチ材料クラブヘッドは、全金属クラブヘッドの音響応答と比較して、様々な音又は音響応答に対する考慮事項を含む。チューニング要素130は、マルチ材料クラブヘッド100に所望の音響応答及び所望の「よりソフトな」感触をもたらすように、軽量非金属第2のコンポーネント122上に位置することができる。
【0067】
後述、及び、
図4A~
図9を参照すると、チューニング要素130は、卓越振動を抑えることによって、クラブヘッド100の音及び感触の特性を改善する。いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、チューニング要素のない同様のマルチ材料クラブヘッドと比較して、1~7デシベルの間の卓越振動振幅を低減する。クラブヘッド100は、優れた音制御を含むとともに、クラブヘッドの重心1000の位置及び慣性モーメントに対する影響を最小化する。
【0068】
チューニング要素130は、振動及び音を制御する標的位置に配置される。チューニング要素130は、クラブヘッド100に望ましくない音又は感触をもたらすインパクトの卓越振動振幅を抑える。チューニング要素130は、卓越振動を受けるクラブヘッド100の一部分に位置することができ、そのような望ましくない振動を抑えることができる。チューニング要素130は、振動振幅を局所的に抑えるのに役立つ。それ以外の場合、この振動振幅は、チューニング要素130が標的位置に設けられていない場合に生じる。多くの実施形態では、チューニング要素130は、5000Hzを超える振動数における高振幅振動を標的とする。クラブヘッド100は、所与の振動数で70デシベルまでの最大振幅を含む場合があり、チューニング要素130を含めると、振幅を1~7デシベル低減することができる。インパクトによる最も著しい振動が生じる位置(即ち、クラブヘッド100の振動「ホットスポット」140)を具体的に標的化し、ホットスポット140にチューニング要素130を配置することによって、チューニング要素130は、ホットスポット140から離れて位置するより高い質量のチューニング要素と同じ制振効果をもたらすのに、比較的低い質量を必要とする。したがって、クラブヘッド100の音及び感触は、クラブヘッド100の質量特性に悪影響を与えない軽量チューニング要素130の使用のみによって改善することができる。
【0069】
多くの実施形態では、
図4Bに示すように、チューニング要素130は、第2のインパクト122上に配置される。より詳細には、チューニング要素130は、第2のインパクト122のトウ部分152a又は第2のインパクト122のヒール部分152bの反対側の、クラブヘッド100のクラウン108の大部分を形成する第2のインパクト122の一部分150上に配設することができる。多くの実施形態では、チューニング要素130は、クラウン108の内面127に位置することができる。多くの実施形態では、チューニング要素130は、クラウン108の後方ヒール部分に配置される。多くの他の実施形態では、チューニング要素130は、クラウン108の後方トウ部分に配置される。クラウン108上のチューニング要素の位置は、振動ホットスポット140の位置に対応することができる。
【0070】
チューニング要素130は、第2のインパクト122の内面127に容易に連結可能である。
図4A及び
図4Bに示すように、クラブヘッド100のマルチコンポーネントの性質が、第2のインパクト122の内面へのチューニング要素130の容易な取付けを可能にする。チューニング要素130は、内部空洞128を封止する前に第2のコンポーネント122に取り付けることができるためである。上記で説明したように、マルチコンポーネントクラブヘッド構造の場合、第2のコンポーネント122は、熱源を使用せずに、接着剤又は機械的手段を介して第1のコンポーネント120に固定される。チューニング要素130は、第2のコンポーネント122を第1のコンポーネント120に固定する前に取り付けることができる。チューニング要素130の構造完全性を損なうコンポーネント120、122の固定に関連する加熱工程がないためである。
【0071】
チューニング要素130は、卓越振動を抑え、放散させるように、クラブヘッド100の一部分(例えば、第2のコンポーネント122の内面127)に取り付け可能な軽量部材である。多くの実施形態では、チューニング要素130は、接着剤、エポキシ等の使用を介して第2のコンポーネント122の内面127に取り付けることができる。チューニング要素130は、様々な材料から形成された複数の層を備えることができる。チューニング要素130は、3層構造又は2層構造を備えることができる。
【0072】
多くの実施形態では、
図5によって示されるように、チューニング要素130は、3層構造を備える。
図5によって示されるように、チューニング要素は、接着剤層134と、接着剤層134の反対側の補強層138と、接着剤層134と補強層138との間に挟まれた制振層136と、を備える。接着剤層134は、チューニング要素130の底面を形成し、チューニング要素130を第2のコンポーネント122の内面127に接着するように機能することができる。そのような3層の実施形態では、制振層136は、運動エネルギーを熱に変換することによって振動を放散するように構成された粘弾性ポリマーを含むことができる。制振層は、エラストマ、ブチルゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマ(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等のあらゆる粘弾性ポリマー若しくは材料、又は、粘弾性特性を伴う他の適切な材料を含むことができる。
【0073】
多くの実施形態では、補強層138は、著しい量の質量をチューニング要素130にもたらさずに、チューニング要素130に剛性を与えるように、高引張り強度を含む材料の薄層を備える。多くの実施形態では、補強層138は、ポリマー材料、複合材料、又は、ガラス布から形成することができる。いくつかの実施形態では、補強層138は、ポリマー樹脂内に埋め込んだ織ガラス、炭素繊維、又は、アラミドポリマー繊維強化層等の繊維強化複合材料を含むことができる。代替の実施形態では、補強層138は、アルミニウム、アルミニウム箔、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、又は、マグネシウム合金等の軽量金属材料を含むことができる。
【0074】
上記で説明したように、補強層138は、チューニング要素130に剛性を与える高引張り強度を含む。多くの実施形態では、補強層138の引張り強度は、約60MPa超、約110MPa超、約180、約220MPa超、約260MPa超、約280MPa超、又は、約290MPa超とすることができる。いくつかの実施形態では、適切な複合材料は、約60MPa~約350MPaまでの降伏点引張り強度を有し得る。
【0075】
クラブヘッド100は、ゴルフボールとのインパクト時に屈曲、振動する。同様に、補強層138も、インパクト時に屈曲、振動する。第2のコンポーネント122及び補強層138の屈曲及び振動は、第2のコンポーネント122の内面127と補強層138との間に閉じ込められた制振層136上にせん断力を与える。振動により生成されたせん断力は、制振層136内の粘弾性材料を伸張させる。制振層136の粘弾性は、振動の運動エネルギーを熱エネルギーに変換する。このようにして、チューニング要素130は、ホットスポット140で生じた振動エネルギーを放散させる。
【0076】
他の実施形態では(図示せず)、チューニング要素130は、2層構造を備える。いくつかの実施形態におけるチューニング要素130の2層構造は、2層構造が補強層138を欠いてよいことを除き、他の実施形態の3層構造と同様とすることができる。多くの実施形態では、チューニング要素130の2層構造は、単純に、接着剤層134と制振層136とを備えることができる。そのような実施形態では、制振層136は、クラブヘッド100の内部空洞128に露出され、補強層138によって閉じ込められない。そのような実施形態では、制振層136は、上記したように、粘弾性ポリマーであってもよいし、粘弾性ポリマーでなくてもよい。上記で列挙したポリマーに加えて、2層構造の制振層136は、代替的に、発泡体、アクリル発泡体、フェルト、又は、ポリマーベースのグルー等、制振特性を有する他の材料によって形成することができる。
【0077】
代替の実施形態では、チューニング要素130は、制振のためにクラブヘッド100に取り付け可能なあらゆる軽量材料とすることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、Very High Bond(VHB)テープ等のポリマーベースのテープ、又は、非金属第2のコンポーネント122に接合可能な他の高接合テープとすることができる。他の実施形態では、チューニング要素130は、ポリマーベースのグルーとすることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、第2のコンポーネント122に接着剤により接合される、プラスチック層等の保護層内に封入されたポリマー又はポリマーグルーを含むことができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、1つ以上のテープ層、1つ以上の接着剤層、1つ以上のエポキシ層、1つ以上の発泡体層、1つ以上の粘弾性層、1つ以上のフェルト層、1つ以上の複合材料層、1つ以上のポリマー層、1つ以上のグルー層、1つ以上のガラス繊維層、又は、それらの組合せを備えることができる。
【0078】
チューニング要素130は、クラブヘッド100の全体質量と比較して、わずかな量の質量をもたらす低密度を含む軽量要素とすることができる。このようにして、クラブヘッド100へのチューニング要素130の追加は、クラブヘッドの全体質量にあまり影響を与えない、又は、慣性モーメント(MOI)及び重心(CG)位置を含めたクラブヘッド100の質量特性に影響を及ぼさない。
【0079】
チューニング要素130は、0.5g/cm3~2g/cm3の間の範囲の低密度を有する。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の密度は、0.5g/cm3~1.0g/cm3の間、0.75g/cm3~1.25g/cm3の間、1.0g/cm3~1.5g/cm3の間、1.25g/cm3~1.75g/cm3の間、又は、1.5g/cm3~2.0g/cm3の間の範囲をとることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の密度は、0.5g/cm3~1.5g/cm3の間、0.6g/cm3~1.6g/cm3の間、0.7g/cm3~1.7g/cm3の間、0.8g/cm3~1.8g/cm3の間、0.9g/cm3~1.9g/cm3の間、又は、1.0g/cm3~2.0g/cm3の間をとることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の密度は、約0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.7g/cm3、0.8g/cm3、0.9g/cm3、1.0g/cm3、1.1g/cm3、1.2g/cm3、1.3g/cm3、1.4g/cm3、又は、1.5g/cm3とすることができる。
【0080】
チューニング要素130は、0.5グラム~10グラムの間の質量を有する。多くの実施形態では、チューニング要素130の質量は、0.5グラム~8グラムの間、0.5グラム~6グラムの間、又は、0.5グラム~4グラムの間とすることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の質量は、0.5グラム~10グラム、0.5グラム~8グラムの間、0.5グラム~6グラムの間、0.5グラム~4グラムの間、又は、0.5グラム~2.0グラムの間とすることができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の質量は、2グラム~10グラムの間、2グラム~8グラムの間、2グラム~6グラムの間、又は、2グラム~5グラムの間とすることができる。多くの実施形態では、チューニング要素130の質量は、約0.5グラム、約1グラム、約1.5グラム、約2グラム、約2.5グラム、又は、約3グラムとすることができる。
【0081】
チューニング要素130は、その軽量性にもかかわらず、ゴルフクラブヘッド100に著しい制振効果をもたらす。以下でさらに詳細に説明するように、チューニング要素130は、5000Hzを超える振動数で生じる振動振幅を1~7デシベル抑えることができる。チューニング要素130の軽量性により、クラブヘッド100の質量特性を著しく改変せずに、制振効果を生じさせることが可能になる。
【0082】
チューニング要素の配置
上記で説明したように、チューニング要素130は、大きな質量を必要とせずに、不要な振動を効果的に抑えるように、クラブヘッドボディ100の標的位置に好適に位置する。チューニング要素130の位置は、クラブヘッド100の振動ホットスポット140の位置に対応する。上記で説明したように、
図7を参照すると、ホットスポット140は、クラブヘッド100の固有振動数において最大振動振幅を受けるクラブヘッド100上の位置として本明細書で画定される。ホットスポット140は、クラブヘッド100の振動応答に基づき画定される。チューニング要素130は、ホットスポット140と位置合わせされる。ホットスポット140は、クラブヘッド100の全体音響応答に対して最も著しい振動を含むクラブヘッド100の領域であり、耳障りな音及び/又は耳をつんざくような音の一因となることが多い。ホットスポット140の位置を決定し、チューニング要素130をホットスポット140に配置させることによって、こうした著しい振動を抑えることができ、クラブヘッド100の全体音響応答を改善することができる(即ち、クラブヘッド100の音は、より弱められ、より静かに、及び/又は、より鈍く聞こえる)。いくつかの実施形態では、チューニング要素130の位置は、ホットスポットが位置する1つ以上の象限に対応することができる。他の実施形態では、チューニング要素130の位置は、以下でさらに詳細に説明するように、クラウン108上に配設された1つ以上の振動位置特徴部185に対応することができる。
【0083】
ホットスポット140の位置は、クラブヘッド100に対してルーチンのモーダル解析を実施することによって決定することができる。そのような分析を通じて、クラブヘッド100の1つ以上の固有振動数、及び、各固有振動数の「形状」(即ち、所与の固有振動数におけるクラブヘッド100の様々な領域内の振動振幅)が決定される。振動ホットスポット140の位置は、所与の固有振動数におけるクラブヘッド内の最高振動振幅領域を決定することによって特定することができる。
【0084】
多くの実施形態では、クラブヘッド100は、5000Hz~6500Hzの間の範囲の固有振動数を有する。いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、3000Hz~4000Hzの間、3500Hz~4500Hzの間、4000Hz~5000Hzの間、4500Hz~5500Hzの間、5000Hz~6000Hzの間、5500Hz~6500Hzの間、又は、6000Hz~7000Hzの間の固有振動数を有することができる。いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、3000Hz~3500Hzの間、3500Hz~4000Hzの間、4000Hz~4500Hzの間、4500Hz~5000Hzの間、5000Hz~5500Hzの間、5500Hz~6000Hzの間、6000Hz~6500Hzの間、又は、3000Hz~4000Hzの間の範囲の固有振動数を有することができる。
【0085】
図7は、モーダル解析を通じて決定された、所与の固有振動数におけるクラブヘッド上の様々な位置の振動振幅を示す。図のより濃く塗られた領域は、より大きな振動振幅を伴う領域に対応する。
図7によって示されるように、ホットスポット140は、クラブヘッド100の後方-ヒール象限176内で生じる。チューニング要素130は、ホットスポット140及びその周囲領域で生じる卓越振動を抑える(即ち、卓越振動振幅を低減する)ように、ホットスポット140に対応する位置に配置することができる。チューニング要素130をホットスポット140に対応する位置に直接配置させることによって、チューニング要素130は、ホットスポット140で生じる卓越振動に対して、他の位置に置かれたチューニング要素よりも効果的な制振をもたらす。ホットスポット140に対応する位置にチューニング要素130を正確に配置させることにより、著しい量の質量を必要とせずに、チューニング要素130が著しい制振効果をもたらすことを可能になる。
【0086】
上記振動数(例えば、5000Hz~6500Hzの間の振動数)で生じる高振動振幅は、インパクト時、ゴルフクラブヘッド100内に望ましくない音響応答を生じさせる。多くの実施形態では、チューニング要素130を適用する前、所与の振動数における最大振動振幅は、約66デシベル超、67デシベル超、68デシベル超、69デシベル超、70デシベル超、71デシベル超、又は、72デシベル超である場合がある。
【0087】
チューニング要素130は、ホットスポット140で発生する卓越振動を低減する著しい制振効果をもたらす。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、固有振動数における最大振幅を1~7デシベル低減することができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、固有振動数の最大振幅を、1デシベル~3デシベル、2デシベル~4デシベル、3デシベル~5デシベル、4デシベル~6デシベル、又は、5デシベル~7デシベル低減することができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、固有振動数の最大振幅を、1デシベル超、2デシベル超、3デシベル超、4デシベル超、5デシベル超、6デシベル超、又は7デシベル超低減することができる。
【0088】
デシベルのスケールは振幅の対数表現であるので、1又は2デシベルの減少でさえ、著しい振動エネルギーの減少に相関する。振幅の対数表現の一例として、以下の表1は、ゴルフクラブ100が受ける振動エネルギーの線形の大きさを、ゴルフクラブヘッド100が受ける典型的なピーク振幅に関連するデシベル値に関連させたものである。
【表1】
【0089】
表1から分かるように、1デシベルの振幅の減少(例えば、70デシベル~69デシベルの間の減少)は、10.9%の振動エネルギーの減少をもたらす。同様に、例えば、6デシベルの振幅の減少(即ち、70デシベル~64デシベルの間の減少)は、50%の振動エネルギーの減少をもたらす。同様に、10デシベルの振幅の減少(例えば、70デシベル~60デシベルへの減少)は、68%の振動エネルギーの減少に対応する。所与の固有振動数(即ち、5000Hz超の固有振動数)におけるそのような著しい振動エネルギーの減少は、クラブヘッド100の音響応答に著しい改善をもたらす。
【0090】
いくつかの実施形態では、クラブヘッド100は、同じ固有振動数又は異なる固有振動数で、複数のホットスポット140を様々な位置に含むことがある。そのような実施形態では、クラブヘッドは、第1のホットスポット140の位置に対応する第1のチューニング要素130と、第2のホットスポット140の位置に対応する第2のチューニング要素(図示せず)とを備えることができる。
図7に示すように、クラブヘッド100は、後方-ヒール象限176に位置する第1のホットスポット140及び後方-トウ象限172に位置する第2のホットスポット140を含む。
【0091】
図6に示すように、チューニング要素130の位置は、クラブヘッド100の象限系に関連して特徴付けることができる。多くの実施形態では、チューニング要素は、後方-ヒール象限に位置する。他の実施形態では、チューニング要素130は、前方-トウ象限170、後方-トウ象限172、前方-ヒール象限174、後方-ヒール象限176、又は、それらの組合せに位置することができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、前方-トウ象限170内のみ、後方-トウ象限172内のみ、前方-ヒール象限174内のみ、又は、後方-ヒール象限176内のみ等、単一象限内のみに位置することができる。いくつかの実施形態では、チューニング要素130は、前方-トウ象限170内に少なくとも部分的に位置する、後方-トウ象限172内に少なくとも部分的に位置する、前方-ヒール象限174内に少なくとも部分的に位置する、及び/又は、後方-ヒール象限176内に少なくとも部分的に位置することができる。多くの実施形態では、
図6に示すように、チューニング要素130の一部分は、後方-ヒール象限176内に位置することができ、チューニング要素の一部分は、前方-ヒール象限174内に位置することができる。多くの他の実施形態では、チューニング要素は、後方-トウ象限172内に部分的に位置することができ、前方-トウ象限170内に部分的に位置することができる。
【0092】
チューニング要素130の位置は、チューニング要素の中心位置に関連してさらに特徴付けることができる。
図6に示すように、チューニング要素130は、チューニング要素130の外周縁部の間の中間にチューニング要素中心点132を画定することができる。チューニング要素中心点132は、チューニング要素130の最ヒール点又は縁部と、チューニング要素130の最トウ点又は縁部と、の間のヒール-トウ距離の半分に位置する。同様に、チューニング要素中心点132は、チューニング要素130の最前点又は縁部と、チューニング要素130の最後点又は縁部と、の間の前方-後方距離の半分に位置する。チューニング要素130は、長方形、円形、楕円形又はあらゆる他の形状又は幾何学的形状とすることができる。チューニング要素130の形状にかかわらず、中心点132は、チューニング要素130の最ヒール範囲と最トウ範囲との間の中間点、及び、最前範囲と最後範囲との間の中間点として画定される。
【0093】
さらに、チューニング要素130の位置は、チューニング要素中心点132がある象限に関連して説明することができる。多くの実施形態では、
図6に示すように、チューニング要素中心点132は、後方-ヒール象限176内に位置する。他の実施形態では、チューニング要素中心点132は、前方-トウ象限170、後方-トウ象限172、又は、前方-ヒール象限174内に位置することができる。
【0094】
チューニング要素130の位置は、前端部基準平面500とチューニング要素中心点132との間で、前方-後方又はオフセット距離D1に関連してさらに説明することができる。オフセット距離D1は、z軸1070の方向において、前端部基準平面500からチューニング要素中心点132まで測定される垂直距離である。いくつかの実施形態では、前端部基準平面500とチューニング要素中心点132との間のオフセット距離D1は、約1.5インチ~2.5インチの間とすることができる。いくつかの実施形態では、前端部基準平面500とチューニング要素中心点132との間のオフセット距離D1は、約1.5インチ~2.0インチの間、1.75インチ~2.25インチの間、又は2.0インチ~2.5インチの間とすることができる。いくつかの実施形態では、前端部基準平面500とチューニング要素中心点132との間のオフセット距離D1は、1.5インチ~1.7インチの間、1.6インチ~1.8インチの間、1.7インチ~1.9インチの間、1.8インチ~2.0インチの間、1.9インチ~2.1インチの間、2.0インチ~2.2インチの間、2.1インチ~2.3インチの間、2.2インチ~2.4インチの間、又は、2.3インチ~2.5インチの間とすることができる。いくつかの実施形態では、前端部基準平面500とチューニング要素中心点132との間のオフセット距離D1は、約1.7インチ、約1.8インチ、約1.9インチ、約2.0インチ、約2.1インチ、約2.2インチ、又は約2.3インチとすることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、クラブヘッドは、さらに、クラブヘッド振動ホットスポット140の位置に影響を及ぼす1つ以上の物理的特徴部を備えることができる。
図8A及び
図8Bは、クラウン108上に複数の位置特徴部185を備えるマルチコンポーネントクラブヘッド100の一実施形態を示す。複数の位置特徴部185は、それぞれ、クラウン108の外面に凹領域186を形成することができる。各位置特徴部185は、クラウン108の隣接する非凹領域から凹領域186を隔てる縁部188を備えることができる。位置特徴部185は、それがなければ平滑で一様な形状のクラウン108の表面に不連続さをもたらすことによって、ホットスポットの位置に影響を及ぼす。そのような不連続さは、振動ホットスポット140が生じる共通領域である。この不連続さは、他の領域より多く振動する傾向があるわずかに脆弱化させた領域をクラウン108内にもたらすためである。
図8Bによって示されるように、マルチ材料クラブヘッド100のホットスポット140は、位置特徴部185に近接して生じる。クラブヘッド100のクラウン108内に位置特徴部185を含めると、クラブ間のホットスポット140の位置の振動を低減させる。したがって、ホットスポットは、製造中、位置特徴部185を含めることにより、より繰り返し正確に位置特定される。ホットスポットを正確に繰り返し位置特定できることにより、より正確で効果的なチューニング要素130の配置をもたらす。
【0096】
位置特徴部185は、ホットスポット140の位置に係る制御をもたらすことに加えて、クラウン108の内面127上で自然位置合わせ特徴部として2つの役割を果たし、製造中、チューニング要素130の正確で繰り返し可能な配置を可能にすることができる。
図9に示すように、位置特徴部185の縁部188は、第2のコンポーネント122の内面127から内部空洞128に延在し、クラブヘッド100の外面上の凹領域186は、内面127から内部空洞128への突起180を形成することができる。突起180は、チューニング要素130の所望の位置を視覚的に示す位置合わせ特徴部として作用する。突起180は、チューニング要素130を接着する表面を形成でき、縁部188は、チューニング要素の配置の方向を合わせることができる。
【0097】
上記で説明したように、位置特徴部185は、ホットスポット140がクラウン108上の特定の位置に配置されるように影響を及ぼす。位置特徴部185は、クラウン108の内面127上で、ホットスポット140に対応する位置と同じ位置に位置合わせする位置合せ特徴部として働く突起180も形成する。突起180は、ホットスポット140の位置に関連付けられるため、チューニング要素130は、ホットスポット140で生じる振動を効率的に抑えるのに必要な厳密な位置で、突起180と繰り返し、正確に位置合わせすることができる。
【0098】
さらなる音の利益
チューニング要素130を含めると、卓越振動振幅を抑えることに加えて、インパクト後にクラブヘッド100が振動する時間量に影響を及ぼすことができる。チューニング要素130は、振動応答の合計継続時間及び高振幅振動が生じる継続時間を低減することができる。振動応答の合計継続時間は、「維持」段階及び「解放」段階に分離することができる。維持段階は、インパクト時に開始され、応答が最大振幅値の20%を下回った際に終了する時間の間隔を指す。維持段階は、卓越振動が発生する時間の量を特徴付ける。振動応答が比較的長い維持段階を含む場合、インパクト時の音は、より耳障りな音として知覚される。対照的に、維持段階の継続時間が低減すると、最大振幅が依然として同じである場合でさえ、知覚されるインパクト時の音をより弱める。解放段階は、振動応答が最大振幅の20%を下回った際(即ち、維持段階の終了時)に開始され、クラブヘッド100が振動を停止した際に終了する時間の間隔を指す。解放段階は、振動がそれほど発生していない時間の量を特徴付ける。解放段階が延長すると、クラブヘッド100に「鳴動」感覚をもたらすことができる。様々な例によって以下で説明するように、チューニング要素130を含めると、クラブヘッド100の振動応答の維持段階及び解放段階の継続時間の両方(したがって、合計継続時間)を低減させ、インパクト時により心地よい音を生成する。
【0099】
チューニング要素のない多くの従来技術のクラブヘッドでは、振動応答の合計継続時間は、約36ミリ秒~約40ミリ秒までの間の範囲に及ぶことができ、維持継続時間は、約8ミリ秒~約12ミリ秒の間の範囲に及ぶことができ、解放継続時間は、約27ミリ秒~約31ミリ秒の範囲に及ぶことができる。多くの実施形態では、チューニング要素130を含めると、振動応答の合計継続時間を1ミリ秒超、2ミリ秒超、3ミリ秒超、4ミリ秒超、5ミリ秒超、6ミリ秒超、7ミリ秒超、8ミリ秒超、9ミリ秒超、又は、10ミリ秒超低減することができる。振動応答継続時間の低減は、音響応答をより弱め、インパクト後の鳴動をより少なくする。
【0100】
重心及び慣性モーメントの特性
クラブヘッド100の振動ホットスポット140に対するチューニング要素130の正確な配置は、著しい制振及び音響の改善をもたらすとともに、チューニング要素130が少量の質量を含むことを可能にする。チューニング要素130の軽量性は、慣性モーメントの特性又は重心1000の位置等のクラブヘッド100の特性に悪影響を与えずに、クラウン108の特定の位置上にチューニング要素130を配置することを可能にする。
【0101】
チューニング要素130の配置(即ち、クラウンの配置)に関与する考慮事項は、クラウン108に質量を追加することが多く、重心(CG)及び慣性モーメント(MOI)の特性に悪影響を与える場合がある。しかし、軽量チューニング要素130を備えるクラブヘッド100は、有益な重心1000の位置及び増大した慣性モーメント特性をさらに含むことができる。軽量チューニング要素130を備えるマルチコンポーネントクラブヘッド100は、さらに、低い後方重心1000の位置を含むことができる。軽量チューニング要素130を備えるマルチコンポーネントクラブヘッド100は、さらに、高慣性モーメントIxx及びIyyを含むことができる。軽量チューニング要素130、低い後方重心1000の位置、及び、高慣性モーメントを備えるマルチコンポーネントクラブヘッド100は、クラブヘッド100に優れた音の制御、感触、及び、プレー性をもたらす。
【0102】
有益な重心1000の位置及び高慣性モーメントを達成するため、クラブヘッド100は、取り外し可能なおもり119、非金属材料から形成した薄肉化クラウン108、及び/又は、軽量クラウン108等、クラブヘッドの質量特性に影響を与える構造をさらに備えることができる。これらの構造は、低い後方CGの位置及び高慣性モーメントの特性を達成するように、質量特性の調節を可能にする。これらの構造は、音制御をもたらすクラウンチューニング要素130と組み合わせることができる重量調節又は重量節約を可能にする。クラウンチューニング要素130は、重心1000及び慣性モーメント特性に悪影響を与えない。クラウンチューニング要素130は、重心1000の位置に与える影響を最小限にし(即ち、CGが前端部104に向かって前方に、クラウン108に向かって上方に移動するのを最小限にする)、慣性モーメントに与える影響を最小限にする(即ち、チューニング要素130を有するクラブヘッド100とチューニング要素のないクラブヘッドとの間のMOIパーセンテージがわずかな差である)。クラウンチューニング要素130は、重心1000及び慣性モーメント特性に与える影響が最小限であるとともに、チューニング要素130のない同様のクラブヘッドより、大幅な音制御の利益をもたらす。
【0103】
上記のように、
図2及び
図3を参照すると、重心1000は、x軸1050、y軸1060、及び、z軸1070を有する面中心116に画定される座標系内に位置する。x軸1050は、ヒール端部に向かってプラス方向で延在する。y軸1060は、クラウンに向かってプラス方向で延在する。z軸1070は、後端部106に向かってプラス方向で延在する。クラブヘッド100は、好ましくは、「下方後方」又は「低い後方」のCG位置を含む(即ち、CGをクラブヘッドのソール及び後方に向かって配置する)。そのような下方後方のCG位置は、改善されたローンチ特性をもたらし、より高性能のクラブヘッドをもたらす。クラウンチューニング要素130を含めると、チューニング要素130のない同様のクラブヘッドと比較して、重心1000の位置に与える影響を最小限にする。以下で説明するのは、低い後方のCG位置をもたらす、望ましい重心1000の位置である。
【0104】
チューニング要素130を備えるクラブヘッド100は、CGx軸1050位置、CGy軸1060位置及びCGz軸1070位置(以下、「CG位置」)を含むことができ、これらは、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドと比較すると変位している。例えば、多くの実施形態では、クラウンチューニング要素130を有するクラブヘッド100のCG位置は、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドの0.5%~5%の間のCG位置とすることができる。他の実施形態では、クラウンチューニング要素130を有するクラブヘッド100のCG位置は、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドの0.5%~2.5%、又は、2.5%~5%の間のCG位置とすることができる。例えば、クラウンチューニング要素130を有するクラブヘッド100のCG位置は、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドの0.5%、1%、2%、3%、4%、又は、5%のCG位置とすることができる。
【0105】
ドライバについて、CG1000は、-2mm~6mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-2mm~2mm、又は、2mm~6mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。例えば、CG1000は、-2、-1.5、-1、0、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は、6mmに位置するCGx軸1050位置を有している。
【0106】
フェアウェイウッドについて、CG1000は、-7mm~1mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-7mm~-3mm、又は、-3mm~1mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。例えば、CG1000は、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、0.5、又は、1mmに位置するCGx軸1050位置を有している。
【0107】
ハイブリッドについて、CG1000は、-5mm~2mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-5mmto-1mm、又は、-1mm~2mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。他の実施形態では、また、CG1000は、-4mm~0mm、-3mm~1mm、又は、-2mm~2mmの間の範囲に位置するCGx軸1050位置を有している。例えば、CG1000は、-5、-4、-3、-2.5、-2、-1.5、-1、-0.5、0、0.5、1、1.5、又は、2mmに位置するCGx軸1050位置を有している。
【0108】
ドライバについて、CG1000は、-4mm~-10mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-4~-7mm、又は、-7mm~-10mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。例えば、CG1000は、-4、-5、-6、-7、-8、-9、又は、-10mmに位置するCGy軸1060位置を有している。
【0109】
フェアウェイウッドについて、CG1000は、-3mm~-12mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-3mm~-7mm、又は、-7mm~-12mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。例えば、CG1000は、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、又は、-12mmに位置するCGy軸1060位置を有している。
【0110】
ハイブリッドについて、CG1000は、-3mm~-12mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、-3mm~-8mm、又は、-8mm~-12mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。他の実施形態では、また、CG1000は、-4mm~-8mm、-5mm~-9mm、-6mm~-10mm、-7mm~-11mm、又は、-8mm~-12mmの間の範囲に位置するCGy軸1060位置を有している。例えば、CG1000は、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、又は、-12mmに位置するCGy軸1060位置を有している。
【0111】
ドライバについて、CG1000は、38mmを超え、40mmを超え、42mmを超え、45mmを超え、又は、48mmを超えた位置に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、38mm~55mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、38~45mm、又は、45~55mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。例えば、CG1000は、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又は、55mmに位置するCGz軸1070位置を有している。
【0112】
フェアウェイウッドについて、CG1000は、25mmを超え、28mmを超え、又は、30mmを超えた位置に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、25mm~40mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、25mm~32mm、又は、32mm~40mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。例えば、CG1000は、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は、40mmに位置するCGz軸1070位置を有している。
【0113】
ハイブリッドについて、CG1000は15mmを超え、18mmを超え、20mmを超え、22mmを超え、又は、24mmを超えた位置に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、15mm~30mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、15mm~25mm、又は、25mm~30mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。また、他の実施形態では、CG1000は、16mm~26mm、17mm~27mm、18mm~28mm、19mm~29mm、又は、20mm~30mmの間の範囲に位置するCGz軸1070位置を有している。他の実施形態では、CG1000は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2425、又は、30mmに位置するCGz軸1070位置を有している。
【0114】
上記のように、
図2及び
図3を参照すると、重心(CG)1000は、CGx軸2050、CGy軸2060及びCGz軸2070を有する座標系の起点を画定する。CGx軸2050は、x軸1050に平行であり、CGy軸2060は、y軸1060に平行であり、CGz軸2070は、z軸1070に平行である。さらに、クラブヘッド100は、CGx軸1050回りの慣性モーメントIxx(即ち、クラウン-ソール慣性モーメント)、及びCGy軸1060回りの慣性モーメントIyy(即ち、ヒール-ソール慣性モーメント)を含む。
【0115】
クラブヘッド100の慣性モーメントは、MOIがより大きいと、クラブヘッドにストライクフェース102の中心116からのインパクトのずれに対する許容度を増大させるので、増大又は最大化することが望ましい。MOIは、クラブヘッド100の外周質量分布の特性である。概して、クラブヘッド100の自由裁量質量は、CGx軸2050回りの慣性モーメント(Ixx)及びCGy軸2060回りの慣性モーメント(Iyy)を最大化するように、クラブヘッド100全体を通じて好適に割り当てられる。クラウンチューニング要素130は、チューニング要素130のない同様のクラブヘッドと比較して、慣性モーメントに与える影響を最小限にする。以下で説明するのは、高い許容度をもたらす望ましい慣性モーメントの値である。
【0116】
チューニング要素130を備えるクラブヘッド100は、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドと比較した際に異なる慣性モーメントIxx及び慣性モーメントIyy(以下、「慣性モーメント」)を含むことができる。例えば、多くの実施形態では、クラウンチューニング要素130を有するクラブヘッド100の慣性モーメントは、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドに対して0.5%~5%の間の慣性モーメントとすることができる。他の実施形態では、クラウンチューニング要素130を有するクラブヘッド100の慣性モーメントは、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドに対して0.5%~2.5%、又は、2.5%~5%の間の慣性モーメントとし得る。例えば、クラウンチューニング要素130を備えるクラブヘッド100の慣性モーメントは、クラウンチューニング要素130のない同様のクラブヘッドに対して0.5%、1%、2%、3%、4%又は5%の慣性モーメントとすることができる。
【0117】
ドライバについて、多くの実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、約3000g-cm2を超え、約3250g-cm2を超え、約3500g-cm2を超え、約3750g-cm2を超え、約4000g-cm2を超え、約4250g-cm2を超え、約4500g-cm2を超え、約4750g-cm2、又は、約5000g-cm2を超えることができる。
【0118】
ドライバについて、他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、3000~5000g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、3000~4000g-cm2、又は、4000~5000g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、又は、5000g-cm2であることができる。
【0119】
フェアウェイウッドについて、多くの実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、約1200g-cm2を超え、約1300g-cm2を超え、約1400g-cm2を超え、約1500g-cm2を超え、約1600g-cm2を超え、約1700g-cm2を超え、約1800g-cm2を超え、又は約1900g-cm2を超えることができる。
【0120】
フェアウェイウッドについて、他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、1200~2200g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、1200~1700g-cm2、又は、1700~2200g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、20040、2100、又は、2200g-cm2であることができる。
【0121】
ハイブリッドについて、多くの実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、約880g-cm2を超え、約890g-cm2を超え、約900g-cm2を超え、約910g-cm2を超え、約920g-cm2を超え、約930g-cm2を超え、約940g-cm2を超え、約950g-cm2を超え、又は、約960g-cm2を超えることができる。
【0122】
ハイブリッドについて、他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、880to1500g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、880~1200g-cm2、又は、1200~1500g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、また、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、900~1300g-cm2、1000~1400g-cm2、又は、1100~1500g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、クラウン-ソール慣性モーメントIxxは、880、900、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1020、1100、1200、1300、1400、又は、1500g-cm2であることができる。
【0123】
ドライバについて、多くの実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、約4500g-cm2を超え、約4800g-cm2を超え、約5000g-cm2を超え、約5100g-cm2を超え、約5250g-cm2を超え、約5500g-cm2を超え、約5750g-cm2を超え、又は、約6000g-cm2を超えることができる。
【0124】
ドライバについて、多くの実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、4500~6000g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、4500~5200g-cm2、又は、5200~6000g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、又は、6000g-cm2であることができる。
【0125】
フェアウェイウッドについて、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、約2700g-cm2を超え、約2800g-cm2を超え、約2900g-cm2を超え、約3000g-cm2を超え、約3100g-cm2を超え、約3200g-cm2を超え、又は、約3300g-cm2を超えることができる。
【0126】
フェアウェイウッドについて、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2700~3500g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2700~3100g-cm2、又は、3100~3500g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、また、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2700~3200g-cm2、又は、3200~3500g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、又は、3500g-cm2であることができる。
【0127】
ハイブリッドについて、多くの実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、約2400g-cm2を超え、約2500g-cm2を超え、約2600g-cm2を超え、約2700g-cm2を超え、約2800g-cm2を超え、約2900g-cm2を超え、又は、約3000g-cm2を超えることができる。
【0128】
ハイブリッドについて、他の実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2400to3200g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2400~2700g-cm2、又は、2700~3200g-cm2の間の範囲をとることができる。他の実施形態では、また、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2400~2900、2500~3000、2600~3100、又は、2700~3200g-cm2の間の範囲をとることができる。例えば、ヒール-トウ慣性モーメントIyyは、2400、2500、2600、2700、2750、2800、2850、2900、2950、3000、3100、又は、3200g-cm2であることができる。
【0129】
ドライバについて、結合慣性モーメント(即ち、クラウン-ソール慣性モーメントとヒール-トウ慣性モーメントIyyとの合計)は、8000g-cm2を超え、8500g-cm2を超え、9000g-cm2を超え、9500g-cm2を超え、10000g-cm2を超え、11000g-cm2を超え、又は、12000g-cm2を超えることができる。
【0130】
フェアウェイウッドについて、結合慣性モーメント(即ち、クラウン-ソール慣性モーメントとヒール-トウ慣性モーメントIyyとの合計)は、4000g-cm2を超え、4100g-cm2を超え、4200g-cm2を超え、4300g-cm2を超え、4400g-cm2を超え、4500g-cm2を超え、4600g-cm2を超え、4700g-cm2を超え、又は、4800g-cm2を超えることができる。
【0131】
ハイブリッドについて、結合慣性モーメント(即ち、クラウン-ソール慣性モーメントとヒール-トウ慣性モーメントIyyとの合計)は、3500g-cm2を超え、3600g-cm2を超え、3700g-cm2を超え、3800g-cm2を超え、3900g-cm2を超え、4000g-cm2を超え、4100g-cm2を超え、又は、4200g-cm2を超えることができる。
【0132】
例
例1
一例では、インパクト時の、チューニング要素のないコントロールマルチ材料フェアウェイウッド型クラブヘッドに対する固有振動数の振幅が測定され、それぞれがクラウンの内面上にチューニング要素を備える複数の例示的なマルチ材料フェアウェイウッド型クラブヘッドと比較された。コントロールクラブヘッドは、後方-ヒール象限176内にクラウンのヒール付近に位置する5860Hzの固有振動数におけるホットスポットを含んでいた。第1の例示的なマルチ材料クラブヘッドは、コントロールクラブのホットスポット(即ち、後方-ヒール象限)内に配置された1グラムのチューニング要素を備えていた。同様に、第2の例示的なマルチ材料クラブヘッドは、コントロールクラブのホットスポット内に配置された2グラムのチューニング要素を備えていた。5860Hzの固有振動数の振幅は、コントロールクラブヘッドと第1の例示的なクラブヘッドと第2の例示的なクラブヘッドとの間で比較した。
【表2】
【0133】
表2に表示されるように、第1の例示的なクラブヘッド及び第2の例示的なクラブヘッドは、それぞれ、コントロールクラブの固有振動数に対する振幅の低減があった。第1の例示的なクラブヘッドは、2デシベルの振幅の低減があった一方で、第2の例示的なクラブヘッドは、6デシベルの振幅の低減があった。言い換えれば、第1の例示的なクラブヘッドは、5860Hzの固有振動数で20.5%の振動エネルギーの減少があり、第2の例示的なクラブヘッドは、5860Hzの固有振動数で50%の振動エネルギーの減少があった。コントロールクラブヘッドから第1の例示的なクラブヘッド及び第2の例示的なクラブへの劇的な振動エネルギーの減少は、第1の例示的なクラブヘッド及び第2の例示的なクラブのそれぞれが、コントロールクラブの音響応答よりソフトでより弱い音響応答を含むことを示す。
【0134】
さらに、コントロールクラブヘッドに対する第1の例示的クラブなヘッド及び第2の例示的なクラブヘッドの振動応答の継続時間を比較する試験を行った。各クラブヘッドの振動応答に対する合計継続時間、維持段階の継続時間、及び、解放段階の継続時間を測定し、比較した。上記で説明したように、合計継続時間は、クラブヘッドとボールとの間のインパクトからクラブヘッドが振動を停止するまでの時間量を指す。維持段階の継続時間は、振動応答がピーク振動振幅の20%以内にある時間量を指す。解放段階の継続時間は、維持継続時間の終了から(即ち、振動がピーク振幅の20%を下回る時から)合計振動応答の終了までの時間量を指す。概して、より多大な継続時間の振動応答は、より短い継続時間の振動応答より耳障りな音として知覚される。より長い維持段階は、より長い間耳障りな音が鳴る応答の一因となる一方で、より長い解放段階は、長引く「鳴動」感覚の一因となる。以下の表3は、各クラブヘッドにおける振動の時間応答の維持継続時間、解放継続時間、及び、合計継続時間(維持継続時間及び解放継続時間の和)を示す。
【表3】
【0135】
表3に表示されるように、1グラムのチューニング要素を備えるクラブヘッドは、コントロールクラブよりわずかに短い(0.29ミリ秒短い)合計振動応答を受けた一方で、2グラムのチューニング要素を備えるクラブヘッドは、コントロールクラブより6.74ミリ秒短い(18.2%短い)合計振動応答を受けた。
【0136】
各クラブヘッドに対する音の全体的な知覚の最も著しい一因となる維持段階に言及すると、両方の例示的なクラブヘッドは、コントロールクラブから著しい改善を示した。1グラムのチューニング要素を有するクラブヘッドの維持段階は、コントロールクラブヘッドの維持段階より1.73ミリ秒短く(18.1%短い)、2グラムのチューニング要素を有するクラブヘッドの維持段階は、対照クラブヘッドの維持段階より6.62ミリ秒短かった(69.1%短い)。
【0137】
チューニング要素を含めると、クラブヘッドの卓越振動振幅が低減するだけでなく、卓越振動の継続時間も著しく短縮した。振動の低減とより短い卓越振動継続時間との組合せにより、インパクト時、よりソフトでより心地よい音響応答を有するクラブヘッドをもたらす。
【0138】
例2
第2の例では、インパクト時の、チューニング要素のないコントロールマルチ材料フェアウェイウッド型クラブヘッドに対する固有振動数の振幅が測定され、クラウンの内面上にチューニング要素を備える第3の例示的なマルチ材料フェアウェイウッド型クラブヘッドと比較された。コントロールクラブヘッドは、後方-トウ象限内にクラウンのトウ付近に位置する6147Hzの固有振動数におけるホットスポットを含んでいた。第3の例示的なマルチ材料クラブヘッドは、コントロールクラブのホットスポット(即ち、後方-トウ象限)内に置かれた2グラムのチューニング要素を備えていた。6147Hzの固有振動数の振幅は、コントロールクラブヘッドと第3の例示的なクラブヘッドとの間で比較された。
【0139】
コントロールクラブのホットスポットにおける6147Hzの振幅は、67デシベルであった一方で、第3の例示的クラブヘッドの6147Hzの固有振動数の振幅は、わずか62.5デシベルであった。コントロールクラブと第3の例示的なクラブヘッドとの間の4.5デシベルの減少は、6147Hzの卓越固有振動数における振動エネルギーの40.5%の低減と同等である。コントロールクラブヘッドから第3の例示的なクラブヘッドへの劇的な振動エネルギーの減少は、第3の例示的なクラブヘッドが、コントロールクラブヘッドの音響応答のよりソフトな、より弱い、より心地よい音響応答を含むことを示す。
【0140】
さらに、対照クラブヘッドに対する第3の例示的なクラブヘッドの振動応答の継続時間を比較する試験を行った。各クラブヘッドの振動応答に対する合計継続時間、「維持」段階の継続時間、及び、「解放」段階の継続時間を測定、比較した。以下の表4は、各クラブヘッド振動の時間応答の維持継続時間、解放継続時間、及び、合計継続時間(維持継続時間及び解放継続時間の和)を示す。
【表4】
【0141】
表4に示されるように、後方-トウ象限内に2グラムのチューニング要素を備える第3の例示的なクラブヘッドは、コントロールクラブより10.04ミリ秒短い(27%短い)合計振動応答を受けた。クラブヘッドにおける音の全体的な知覚の最も著しい一因となる維持段階に言及すると、第3の例示的なクラブヘッドは、コントロールクラブから著しい改善を示した。2グラムのチューニング要素を有するクラブヘッドの維持段階は、対照クラブヘッドの維持段階より6.96ミリ秒短かった。
【0142】
チューニング要素を含めると、クラブヘッドの卓越振動振幅が低減するだけでなく、卓越振動の継続時間も著しく短縮した。振動の低減とより短い卓越振動継続時間との組合せにより、インパクト時、よりソフトでより心地よい音響応答を有するクラブヘッドをもたらす。
【0143】
例3
コントロールフェアウェイウッド型クラブヘッドと、例1の第1の例示的なフェアウェイウッド型ゴルフクラブヘッド及び第2の例示的なフェアウェイウッド型ゴルフクラブヘッドとの間で質量特性を比較した。詳細には、各クラブの重心(CG)位置及び慣性モーメント(MOI)を比較し、チューニング要素を含む影響を決定した。以下の表5は、接地平面に対してプラスに測定された、Y方向CGyにおける重心位置、リーディングエッジからマイナスに測定された、Z方向における重心位置、CGx軸回りの慣性モーメント(Ixx)及びCGy軸回りの慣性モーメント(Iyy)を示す。
【表5】
【0144】
1グラムのチューニング要素を含めると、Y方向に対して、コントロールクラブよりわずか0.12mm高いCG位置の上昇をもたらした(コントロールクラブCG高さに対してわずか2.7%の増大)。同様に、2グラムのチューニング要素を含めると、コントロールクラブよりわずか0.25mm高いCG位置をもたらした(わずか5.7%のCG高さの増大)。
【0145】
1グラムのチューニング要素を含めると、Z方向に対して、コントロールクラブよりわずか0.13mm前方にCG位置をもたらした(コントロールクラブCG奥行きに対してわずか0.44%の減少)。同様に、2グラムのチューニング要素を含めると、コントロールクラブよりわずかに0.25mm前方にCG位置をもたらした(わずか0.85%のCG奥行きの減少)。チューニング要素を含めた場合でさえ、例示的クラブヘッドは、依然として低い後方CG位置を維持する。
【0146】
CGx軸回りのクラブヘッドの慣性モーメントに関し、1グラムのチューニング要素を含めると、わずか14g*cm2のIxxの低減をもたらした(コントロールクラブヘッドに対してわずか0.89%のIxxの減少)。同様に、2グラムのチューニング要素を含めると、コントロールクラブよりわずか30g*cm2のIxxの低減をもたらした(わずか1.9%のIxxの減少)。
【0147】
CGy軸回りのクラブヘッドの慣性モーメントに関し、1グラムのチューニング要素を含めると、わずか16g*cm2のIyyの低減をもたらした(コントロールクラブヘッドに対してわずか0.54%のIyyの減少)。同様に、2グラムのチューニング要素を含めると、コントロールクラブよりわずか35g*cm2のIyyの低減をもたらした(わずか1.18%のIyyの減少)。チューニング要素を含めた場合でさえ、例示的クラブヘッドは、依然として高慣性モーメントを維持する。
【0148】
例1で上記したように、1グラム及び2グラムのチューニング要素を含めると、クラブヘッドの振動応答に劇的な改善をもたらす。本発明の例は、こうした振動の改善が、クラブヘッドの質量特性に対する影響がわずかである軽量チューニング要素によって達成し得ることを示す。したがって、クラブヘッドの振動応答は、高性能をもたらす質量特性を犠牲にせずに制御、改善することができる。
【0149】
1つ又は複数の請求要素の置換は、再構成を構成し、補綴ではない。さらに、問題に対する利点、他の有利な点及び解決を、特別な実施形態に関連して説明してきた。しかしながら、問題に対する利点、他の有利な点及び解決、並びに、任意の利点、有利な点又は解決を発生させ又は明らかとさせる任意の1つ又は複数の要素は、このような利点、有利な点、解決又は要素がこのような請求の範囲に明示的に述べられていない限り、請求の範囲の任意又はすべての要素の重大な、必須の、又は、本質的な特徴若しくは要素を構成するものではない。
【0150】
ゴルフに対する規則は、時々変更される(例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等のゴルフ標準組織及び/又は管理機関によって、新しい規則が適用されることがあり、又は、古いルールが撤廃若しくは変更されることがある)ため、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、任意の特定時におけるゴルフのルールに適合し又は適合しないことがある。したがって、本明細書に記載の装置、方法及び製品に関するゴルフ用品は、適合又は非適合ゴルフ用品として、公表され、売り出され、及び/又は、売却されることがある。本明細書に記載の装置、方法及び製品は、この点について制限されない。
【0151】
さらに、本明細書に記載の実施形態及び制限は、実施形態及び/又は制限が、(1)請求の範囲に明示的に主張されていない、及び、(2)均等論の下で、請求の範囲における表現要素及び/又は制限と等価又は潜在的に等価である場合、公開主義の下で公衆に提供するものではない。
【0152】
(条項1)ゴルフクラブヘッドであって、クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固定されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、前記第2のコンポーネントと、前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、前記YZ平面と、前記後方-ヒール象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固定されるチューニング要素と、を備え、前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、前記補強層は、ガラス布を含み、前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減される、ゴルフクラブヘッド。
【0153】
(条項2)前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、前記チューニング要素中心点は、前記後方-ヒール象限内に位置する、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0154】
(条項3)前記z軸に平行であって、前記前端部基準平面と前記チューニング要素中心点との間で測定されるオフセット距離は、1.5インチ~2.0インチの間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【0155】
(条項4)前記第2のコンポーネントは、さらに、前記クラブヘッドの前記クラウンの少なくとも一部を形成する第2のコンポーネントクラウン部分を備える、条項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0156】
(条項5)前記クラウンの外面に凹部分を画定する位置特徴部をさらに備え、前記位置特徴部は、前記凹部分に隣接する前記クラウンの非凹部分から、前記凹部分を隔てる縁部を備える、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0157】
(条項6)アライメント特徴部をさらに備え、前記アライメント特徴部は、前記クラウンの前記凹部分の反対側に位置する前記第2のコンポーネントの前記内面から突出し、前記チューニング要素は、前記アライメント特徴部に固着される、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0158】
(条項7)前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5500Hz~6000Hzの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0159】
(条項8)前記チューニング要素は、前記第2のコンポーネントの前記内面に接着剤により連結される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0160】
(条項9)前記チューニング要素は、0.5グラム~4グラムの間の質量を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0161】
(条項10)前記クラブヘッドの体積は、200cc未満であり、前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記接地平面に平行なCGx軸、及び、前記ソールから前記クラウンまで延在する方向において前記接地平面に直交するCGy軸を含む座標系の起点を画定する重心を備え、前記クラブヘッドは、1500g*cm2を超える前記CGx軸回りのIxx慣性モーメントを含み、前記クラブヘッドは、2900g*cm2を超える前記CGy軸回りのIyy慣性モーメントを含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0162】
(条項11)ゴルフクラブヘッドであって、クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固着されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、前記第2のコンポーネントと、前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、前記YZ平面と、前記後方-トウ象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固着されるチューニング要素と、を備え、前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、前記補強層は、ガラス布を含み、前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減される、ゴルフクラブヘッド。
【0163】
(条項12)前記クラブヘッドの前記固有振動数は、6000Hz~6500Hzの間である、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0164】
(条項13)前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、前記チューニング要素中心点は、前記後方-トウ象限内に位置する、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0165】
(条項14)前記クラブヘッドの体積は、200cc未満であり、前記クラブヘッドは、前記クラブヘッドが前記アドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記接地平面に平行なCGx軸、及び、前記ソールから前記クラウンまで延在する方向において前記接地平面に直交するCGy軸を含む座標系の起点を画定する重心を備え、前記クラブヘッドは、1500g*cm2を超える前記CGx軸回りのIxx慣性モーメントを含み、前記クラブヘッドは、2900g*cm2を超える前記CGy軸回りのIyy慣性モーメントを含む、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【0166】
(条項15)ゴルフクラブヘッドであって、クラウン、前記クラウンの反対側のソール、ヒール端部、前記ヒール端部の反対側のトウ端部、リーディングエッジを備える前端部、後端部、及び、前記クラウンと前記ソールとの間に延在するスカートと、金属から形成される第1のコンポーネントであって、ストライクフェース、前記ストライクフェースから後方に延在する戻り部分、及び、前記戻り部分から後方に延在するソール後方延在部を備える前記第1のコンポーネントと、非金属材料から形成される第2のコンポーネントであって、中空内部空洞を取り囲むように前記第1のコンポーネントに固着されるように構成され、前記クラウンの大部分を形成し、前記スカートの周囲に巻き付いて、前記ヒール端部、前記トウ端部、及び、前記ソールの少なくとも一部を形成する前記第2のコンポーネントであって、前記ストライクフェースは、ストライクフェース中心を備え、前記ストライクフェース中心は、前記クラブヘッドがアドレス位置にあるときに、前記ヒール端部から前記トウ端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在するx軸と、前記クラウンから前記ソールまで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って垂直に延在し、前記x軸に直交するy軸と、前記ストライクフェースから前記後端部まで延在する方向において前記ストライクフェース中心を通って水平に延在し、前記x軸及び前記y軸の両方に直交するz軸と、を含む座標系の起点を画定する、前記第2のコンポーネントと、前記リーディングエッジに接し、接地平面に直交する前端部基準平面であって、前記接地平面は、前記アドレス位置において前記ソールに接するものとして画定される、前記前端部基準平面と、前記後端部に接し、前記前端部基準平面に平行である後端部基準平面と、前記接地平面に直交し、前記前端部基準平面と前記後端部基準平面との間の中間に位置する中央平面と、前記接地平面に直交する前記y軸及び前記z軸に沿って延在するYZ平面であって、前記クラブヘッドを上方から見ると、前記中央平面及び前記YZ平面の交線は、前記クラブヘッドを、前方-トウ象限、前方-ヒール象限、後方-トウ象限、及び、後方-ヒール象限を有する象限システムに分割する、前記YZ平面と、前記後方-ヒール象限内で前記第2のコンポーネントの内面に固着されるチューニング要素と、を備え、前記チューニング要素は、接着剤層と、前記接着剤層の反対側の補強層と、前記接着剤層と前記補強層との間に挟まれた制振層と、を備え、前記補強層は、ガラス布を含み、前記制振層は、熱可塑性エラストマを含み、前記クラブヘッドは、前記後方-ヒール象限内にホットスポットを含み、前記ホットスポットは、前記クラブヘッドが前記チューニング要素を有さない場合の固有振動数の最大振幅位置として画定され、前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5000Hz~6500Hzの間であり、前記チューニング要素は、前記ホットスポット上に配置され、前記チューニング要素は、前記固有振動数の前記最大振幅を抑えるように構成され、前記チューニング要素を備える前記クラブヘッドが前記固有振動数で振動すると、前記チューニング要素を有さない同様のクラブヘッドと比較して、前記最大振幅は、少なくとも2デシベル低減され、前記固有振動数の最大振幅は、65デシベル以下である、ゴルフクラブヘッド。
【0167】
(条項16)前記クラブヘッドの前記固有振動数は、5500Hz~6000Hzの間である、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0168】
(条項17)前記チューニング要素は、さらに、前記チューニング要素の最ヒール方部分と前記チューニング要素の最トウ方部分との間の中間、及び、前記チューニング要素の最前方部分と前記チューニング要素の最後方部分との間の中間に位置するチューニング要素中心点を備え、
前記チューニング要素中心点は、前記後方-ヒール象限内に位置する、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0169】
(条項18)前記チューニング要素は、0.5g/cm3~1.5g/cm3の間の密度を備える、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0170】
(条項19)前記補強層は、60MPaを超える引張り強度を備える、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【0171】
(条項20)前記ゴルフクラブヘッドの前記固有振動数は、約5860Hzである、請求項16に記載のゴルフクラブヘッド。
【0172】
本開示のさまざまな特徴および利点は以下の請求項に記載される。
【国際調査報告】