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特表2023-542534疫学的監視を容易にする方法及び迅速検査キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】疫学的監視を容易にする方法及び迅速検査キット
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/20 20180101AFI20231002BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231002BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20231002BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
G16H10/20
G01N33/53 N
G01N33/543 501A
G01N33/569 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518823
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 IB2021054075
(87)【国際公開番号】W WO2022058800
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】17/026,643
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505059754
【氏名又は名称】バイオリティカル ラボラトリーズ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】406-13251 Delf Place,Richmond,British Columbia,V6V 2A2,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ザハリク ミシェル エル
(72)【発明者】
【氏名】ヘイド ロン ピー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
Covid-19のような対象疾患の疫学的監視を容易にする方法は、バーコード又は数字コードのような光学的識別子を用いて、非同定検査結果を中央データベースに迅速に報告するステップを含む。迅速検査装置は、少なくとも1つの組換え抗原がその上に適用された多孔質膜と手順制御部とを備えるダイレクトフロー臨床現場即時検査装置に基づくものであってよい。組換え抗原は、対象疾患マーカを検出するためのエピトープを含んでもよい。第一の光学的識別子は、装置に適用されてもよく、特別な機器を使用することなく、検査結果の遠隔通信を容易にしてもよい。本方法及びキットは、Covid-19パスポートに有用なデータを生成するためにも使用されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象疾患の疫学的監視のための方法であって、
a.少なくとも1つの単一回使用迅速検査装置を含む迅速検査キットを提供するステップであって、前記迅速検査装置が、
多孔質膜と、
前記多孔質膜に適用される手順制御部であって、前記手順制御部が検査手順の有効性を確認するための第一の視覚的指標を生成するように構成される、手順制御部と、
前記対象疾患に対応する疾患マーカに対する少なくとも1つのエピトープを備える少なくとも1つの組換え抗原であって、前記少なくとも1つの組換え抗原は前記多孔質膜に適用され、単一の収集された検体から前記疾患マーカに特異的な抗体を捕捉し、前記少なくとも1つの組換え抗原は、収集された前記検体中に前記疾患マーカが存在するかどうかを確認するように構成された第二の視覚的指標を形成する、少なくとも1つの組換え抗原と、
を備え
前記迅速検査キットは、ここで提供され、前記迅速検査キット又は前記迅速検査装置のいずれかに適用される第一の光学的識別子をさらに備え、前記第一の光学的識別子の全体は前記迅速検査キット上で完全に視認可能である、ステップと、
b.被験者から単一の前記検体を収集し、単一の前記検体を前記多孔質膜に適用するステップと、
c.前記第一の視覚的指標を用いて、迅速検査の有効性を視覚的に確認するステップと、
d.前記被験者における前記対象疾患マーカの存在(陽性検査結果)又は不在(陰性検査結果)を含む前記第二の視覚的指標を用いて検査結果を視覚的に検出するステップであって、前記検査結果は、前記第一の光学的識別子を使用せずに取得される、ステップと、
e.前記迅速検査を実行した後、前記第一の光学的識別子を用いて、視覚的に検出された前記検査結果を、前記対象疾患の疫学的監視のために構成された中央データベースに匿名で遠隔通信するステップであって、前記遠隔通信によって、前記迅速検査の時間及び前記迅速検査の地理的位置を特定することがさらに可能になる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ステップ(e)が、ステップ(c)からの迅速検査の有効性を確認する結果を通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記迅速検査キットは前記迅速検査装置のうちの複数を備え、前記迅速検査キットは第二の光学的識別子をさらに備え、前記ステップ(e)は、前記第二の光学的識別子を前記中央データベースに通信することをさらに含み、それによって、単一の検査地理的位置及び単一の検査時間を、前記迅速検査キットから前記複数の迅速検査装置を用いて得られた複数の迅速検査結果と関連付け、前記単一の検査地理的位置及び単一の検査時間が、それに入力された個々の前記検査結果の全てについて1回入力されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(e)は、個々の迅速検査装置を用いて迅速検査結果を報告するために、前記第一の光学的識別子を用いて実行され、及び/又は、前記ステップ(e)は、同じ地理的位置で同じ時間に実行される迅速検査のバッチに対して前記第二の光学的識別子を用いて実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(c)及び(d)は、専門家による解釈も機械による解釈も必要とせずに実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記迅速検査装置がダイレクトフロー迅速検査装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)又は前記ステップ(d)は、収集された前記検体を前記多孔質膜に適用した後、5分以内に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(e)が、電話接続、セルラー接続、Wi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続を用いて、又はインターネットを介して、前記検査結果を遠隔で通信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(a)において、前記第一の光学的識別子は、固有の数字列、固有の英数字列、又は一次元バーコードである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)において、前記第一の光学的識別子は、二次元QRコード(登録商標)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(a)において、前記第一の光学的識別子は、前記陽性検査結果を通信するための陽性光学的識別子と、前記陰性検査結果を通信するための陰性光学的識別子と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(a)は、前記被験者に関する追加情報とともに前記検査結果を遠隔通信するために、前記第一の光学的識別子又は前記第二の光学的識別子の代わりに使用される1つ以上の追加の光学的識別子を提供することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記追加情報が、(i)前記被験者の非識別化された特性、(ii)前記対象疾患に対する前記被験者の以前の検査の非識別化された履歴、及び(iii)前記被験者の前記対象疾患と一致する症状の有無なる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(e)が、前記検査結果、前記検査位置、及び前記検査時間を格納し、次いで、後に、それを前記中央データベースに通信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップ(e)は、受入基準に対して前記検査結果の妥当性を検証するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記受入基準は、(i)前記検査位置に対応する迅速検査地域分布の地理的記録、(ii)前記迅速検査時間に対応する迅速検査展開の履歴、及び(iii)同じ前記第一の光学的識別子に基づく以前の検査結果報告の不在、を含む群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(e)が、前記多孔質膜の画像を前記第一の光学的識別子とともに取得し、画像認識技術を用いたその後の自動処理のためにそれらを前記中央データベースに送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(e)が、前記迅速検査位置を用いて前記対象疾患の分布の地理的マップ、及び/又は前記迅速検査時間を用いて前記対象疾患の時間的分布を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記中央データベースに収集されたデータを用いて、前記対象疾患の医療リソース及び/又はワクチンを配布するステップ(f)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップ(a)において、前記第二の視覚的指標は、前記対象疾患に対応する少なくとも1つの疾患マーカに対する複数の個々のエピトープ又はエピトープのサブセットを用いて形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ステップ(a)において、前記第二の視覚的指標が2つ以上のドメインに分離され、各ドメインが前記サンプルに存在する疾患マーカの異なる定量レベルに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記検査結果を遠隔通信する前記ステップ(e)は、前記遠隔通信の前に前記被験者を非識別化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の光学的識別子は、直接又はソースデータベースを介した推論によって、前記被験者を個人的に識別しない、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記迅速検査装置は、ステップ(e)において、視覚的に検出された前記検査結果を、前記対象疾患の疫学的監視のために構成された被験者識別情報とともに、中央データベースに遠隔通信することを容易にするように構成された第一の個人光学的識別子をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
対象疾患の検査結果の報告及び検出を容易にするための迅速検査キットであって、前記迅速検査キットは、
複数の個々の迅速検査装置
を備え、前記個々の迅速検査装置のそれぞれは、順に、
多孔質膜と、
前記多孔質膜に適用される手順制御部であって、前記手順制御部が検査手順の有効性を確認するための第一の視覚的指標を生成するように構成される、手順制御部と、
前記対象疾患に対応する疾患マーカに対する少なくとも1つのエピトープを備える少なくとも1つの組換え抗原であって、前記少なくとも1つの組換え抗原は前記多孔質膜に適用され、単一の収集された検体から前記疾患マーカに特異的な抗体を捕捉し、前記少なくとも1つの組換え抗原は、収集された前記検体中に前記疾患マーカが存在するかどうかを確認するように構成された第二の視覚的指標を形成し、前記迅速検査キットは、前記迅速検査装置に適用される第一の光学的識別子をさらに備える、少なくとも1つの組換え抗原と、
を備える、複数の個々の迅速検査装置と、
前記迅速検査キットに適用された第二の光学的識別子であって、前記第二の光学的識別子は、前記迅速検査キットと関連し、前記個々の迅速検査装置と関連しないことを識別する光学コードの一部分を備える、第二の光学的識別子と、
を備え、
前記第一の光学的識別子及び前記第二の光学的識別子は、前記個々の迅速検査装置を用いて得られた迅速検査結果を、前記対象疾患の疫学的監視のために中央データベースに遠隔通信するように独立して構成される、迅速検査キット。
【請求項26】
対象疾患の検査結果の報告及び検出を容易にするための迅速検査装置であって、前記迅速検査装置は、
多孔質膜と、
前記多孔質膜に適用される手順制御部であって、前記手順制御部が検査手順の有効性を確認するための第一の視覚的指標を生成するように構成される、手順制御部と、
前記対象疾患に対応する疾患マーカに対する第一のエピトープを備える第一の組換え抗原であって、前記第一の組換え抗原は前記多孔質膜に適用され、前記疾患マーカに特異的な抗体を捕捉する、第一の組換え抗原と、
前記多孔質膜に適用された第二の組換え抗原であって、前記第二の組換え抗原は、別の疾患マーカに対する第二のエピトープを備える、第二の組換え抗原と、
第一の光学的識別子と、
を備え、
前記迅速検査装置は、単一の収集された検体を用いて前記対象疾患及び前記別の疾患の両方を検出するように構成され、前記第一の光学マーカは、前記検査結果の報告を容易にするように構成される、迅速検査装置。
【請求項27】
前記別の疾患は、前記対象疾患と同様の症状を引き起こすことが知られており、それによって、前記迅速検査装置は、前記対象疾患と前記別の疾患とを区別するように構成される、請求項26に記載の迅速検査。
【請求項28】
請求項1に記載の方法において使用するための第一の光学的識別子を備える、迅速検査装置。
【請求項29】
前記対象疾患は、Covid-19である、請求項28に記載の迅速検査装置。
【請求項30】
請求項1に記載の方法において使用するための第一の光学的識別子を備える、迅速検査キット。
【請求項31】
前記対象疾患は、Covid-19である、請求項30に記載の迅速検査キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景は、その範囲を限定することなく、人口の大部分に影響を及ぼし、著しい地理的領域に広がる可能性のある対象疾患の疫学的監視に関連して説明する。より具体的には、本発明は、迅速検査キット及び一般に利用可能な通信手段を用いて、膨大な数の個々の検査結果の収集を容易にするための方法を説明する。
【背景技術】
【0002】
広範な地域、大陸、又は全世界に広がることができる感染症の流行は、社会にとって甚大な損害をもたらす可能性がある。過去には、インフルエンザ、天然痘、結核、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行が発生したことがある。最近では、現在進行中のCovid-19(本明細書ではコロナウイルス又はSARS-CoV-2とも呼ばれる)の世界的大流行により、すでに数千万人が感染し、百万人近くが死亡している。この大流行の直接的な医療費と経済的損失には、計り知れないものがある。
【0003】
世界が有効なワクチンと治療方法を待っている間、疾病の広がりを抑制するために、フェイスマスクの着用と社会的距離の維持を含む従来の緩和方法が使用されている。世界の多くの地域で大人数を対象にした広範な検査は、疾病の流行をモニタリングし、医療やその他のリソースをよりよく配分できるようにするために有益である。
【0004】
疾病の蔓延の程度や、自然抗体及びワクチン誘発性疾患特異的抗体による免疫の程度に関する正確でタイムリーな知識は、公衆衛生を担当する政府機関によって強く求められている。このような知識は、国民が「回避行動」をとらないように納得させるためにも重要であり、その結果、経済活動が大幅に低下し、病気による直接的な経済的損失がさらに悪化することになる。世界銀行は、「回避行動」が、病気による直接的な医療費や欠勤に比べ、5倍もの経済的損害をもたらすと推定している。
【0005】
迅速な臨床現場即時(POC)検査によって、患者又は医療従事者がベッドサイドで、あるいは自宅、薬局、又は検査が利用できる診療所等患者の近くの他の場所で、迅速な診断を実行することが可能になる。これらの検査を使用することで、患者、医師、ケアチームがより早く結果を受け取る可能性が高まり、より良い即時の臨床管理決定を行うことができるようになる。
【0006】
多くのPOC検査は、使いやすい膜ベースの検査ストリップとして実現されており、プラスチック製の検査カートリッジに収められていることが多い。このコンセプトは、様々な病原体を検出するための検査システムでしばしば実現されている。最も一般的に使用されている膜ベースのPOC検査は、いわゆる「ラテラルフロー」検査であり、15~20分の方法で対象疾患の有無の視覚的指標を生成することができるものである。このような検査は、多くの製造業者が製造しており、多くの検査機関で日常的に使用され、また、個人でも直接使用されている。ラテラルフローをダイレクトフローに置き換え、5分未満で正確な検査結果を提供する改良型POC検査は、本発明の譲受人であるbioLytical Laboratories Inc.(カナダ、リッチモンド)製のHIV-1/HIV-2のINSTI(商標)迅速検査である。
【0007】
POCカートリッジからの検査結果は、しばしば、視覚的な指標としてユーザに提示される。個々の検査に関して理解するのは容易だが、疫学的監視のための人々の大量検査に関しては、各検査結果を正確に記録し、多数の患者に通信するにあたって、視覚的指標の方法論は簡単ではない。
【0008】
疾病管理予防センター(CDC)の説明によれば、電子研究所報告(ELR)とは、電子健康記録(EHR)システム又は研究所情報管理システム(LIMS)を通じて、商業、公衆衛生、病院、その他のラボから州及び地方の公衆衛生監視に研究所関連データを自動送信することである。ELRは、確認検査によって決定される報告義務のある状態を特定するのに役立ち、州又は地方レベルでの症例報告をサポートする。ELRは、研究所プロバイダによって使用され、研究所プロバイダが特定疾患の症例を保健所に報告することを義務付ける報告対象疾患に関する州法を満たすのに役立っている。ELRは、州及び地方の保健所への症例報告及び確認の適時性と正確性を向上させるのに役立っており、公衆衛生監視全体をサポートしている。また、州が自主的にCDCと共有する告知可能な疾患データの適時性と正確性を向上させることで、国の公衆衛生監視もサポートしている。
【0009】
この方法は、米国、EU、及び同様のシステムを導入している他の先進国で順当に機能している。しかしながら、このような中央集権的な健康監視システムは、多くの発展途上国では、容易に利用できないか、あるいは容易にアクセスできない可能性がある。さらに、先進国であっても、このようなシステムでは、個別に家庭又は従来の研究所以外の他の場所で行われた検査が考慮されていないことがある。このため、対象疾患の蔓延を著しく過小評価することになりかねない。
【0010】
大規模な健康監視がさらに複雑になるのは、個々の患者の診断結果のプライバシーを確保する必要性があるためである。多くの先行技術の研究所システム及びサンプルラベリングプロセスは、検査結果を正しい個人に正確に相関させるために、個々の患者サンプルを追跡するように設計されてきた。しかしながら、これらの追跡システムは、個々の被験者の健康データを容易に共有することが可能なるので、プライバシーに関する懸念が生じ、健康監視システムにおける有用性が損なわれる。簡単で迅速かつ効果的でありながら、診断結果を個人的に得ることができる匿名報告システムが保証されるならば、被験者は、大規模な健康監視に参加する意欲を持つだろう。
【0011】
したがって、様々な経済条件及び検査適用状況を通じて、対象疾患を診断するために実施された検査の最大報告数を含む健康監視報告を容易にするように適合させた新しい方法及び検査キットの必要性が存在する。データ技術へのアクセスが少ない世界の地域で使用するための健康監視検査の大規模な強化は、Covid-19の大流行に対処するために特に必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/104081号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】INSTITM HIV-1/HIV-2 Antibody Test、(2020年9月14日閲覧)<URL:https://www.fda.gov/media/79719/download>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、対象疾患の疫学的監視のための新規な方法及び迅速な検査キットを提供することによって、先行技術のこれら及び他の欠点を克服することであり、このような迅速検査キットは、臨床医及び患者個人の両方によって検査結果を容易に報告するように構成される。
【0015】
本発明の別の目的は、対象疾患の疫学的監視のための新規な方法及び迅速検査キットを提供することであり、このような迅速検査キットは、電話回線、セルラーネットワーク及びインターネット等の様々な長距離通信手段による検査結果の匿名での遠隔通信を容易にするように構成される。
【0016】
本発明のさらなる目的は、対象疾患の疫学的監視のための新規なユニバーサル迅速検査キットを提供することであり、各検査キットは複数の個々の迅速検査装置を含むので、検査キットと個々の迅速検査装置の両方を独立して使用し、これらの迅速検査が臨床医によって一括して行われるか、患者によって個別に行われるかに関係なく、中央データベースへの検査結果の遠隔通信を促進できるようになる。
【0017】
本発明のさらなる目的は、対象疾患の疫学的監視のための新規な方法及び迅速検査キットを提供することであり、このような迅速検査キットは、広範な経済発展及びモデム通信ネットワークの利用可能性を有する様々な地域で使用するために世界中で普遍的に適用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の迅速検査キットは、少なくとも1つ以上の迅速検査装置を含んでもよい。迅速検査装置のそれぞれは、順に、ユーザに面する多孔質膜と、それに適用される手順制御部を含むハウジングを含んでもよい。手順制御部は、試験手順の有効性を確認するための第一の視覚的指標(例えば、ユーザに見える多孔質膜の指定領域の青いドット)を生成するように構成されてもよい。
【0019】
各迅速検査は、1つ以上の組換え抗原をさらに含んでもよく、組換え抗原のそれぞれは、対象疾患に対応する疾患マーカに対する少なくとも1つのエピトープを備える。組換え抗原の全ては、対象疾患マーカに特異的なヒト生成抗体を捕捉するために、多孔質膜の個別に指定された領域に適用されてもよい。この場合、単一の収集された流体検体を多孔質膜に適用すると、手順制御部及び1つ以上の組換え抗原が活性化される。組換え抗原は、収集された検体中に疾患マーカが存在するかどうかを視覚的に確認するように適合された少なくとも1つ以上の第二の視覚的指標(例えば、その色の変化等)を形成するように構成されてもよい。
【0020】
重要なことは、迅速検査キットは、迅速検査キット及び/又は各迅速検査装置のいずれかに適用されるバーコード又は数字コード等の第一の光学的識別子をさらに含んでもよいことである。第一の光学的識別子は、迅速検査装置を使用して実行される特定の種類の検査に関する情報も、追加の検査関連情報も、含むように構成してもよい。実施形態では、第一の光学的識別子は、また、中央データベースの専用ウェブサイト、又は中央データベースへの検査結果の安全な遠隔送信を容易にするように構成された専用のスマートフォン又はコンピュータソフトウェアアプリケーションをユーザがダウンロードし得る位置へとユーザを導くための光学コードの一部分を含んでもよい。
【0021】
第一の光学的識別子は、一対の個別の光学的識別子を備えてもよく、一方は、ユーザが陽性の検査結果を匿名遠隔で通信するために使用するものであり、他方は、陰性の検査結果を匿名で遠隔通信するために使用する。
【0022】
実施形態では、疫学的監視の新規な方法は、以下のステップ:
a.上記のような迅速検査キットを提供するステップと、
b.被験者から単一の流体検体を収集し、単一の検体を多孔質膜に適用するステップと、
c.第一の視覚的指標による色の変化を用いて、迅速検査の有効性を視覚的に確認するステップと、
d.第二の視覚的指標を用いて、被験者の対象疾患マーカの存在(陽性検査結果の定義)又は不在(陰性検査結果の定義)を含む検査結果を視覚的に検出するステップと、
e.迅速検査の実施後、第一の光学的識別子を用いて、検査結果を対象疾患の疫学的監視のために構成された中央データベースに遠隔通信するステップであって、遠隔通信によって、迅速検査の時間及び迅速検査の位置を特定することがさらに可能になる、ステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
主題は、本明細書の結論部分において、特に指摘され、明確に特許請求される。本開示の前述の特徴及び他の特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の説明及び添付の請求項から、より完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示に従ったいくつかの実施形態のみを描いており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされないことを理解した上で、本開示は、添付の図面の使用を通じて、さらなる具体性及び詳細を伴って説明される。
【0024】
図1】本発明の個々の迅速検査装置の透視図である。
図2】テキストメッセージングを使用した検査ユーザと中央データベースとの間の双方向通信の例示的なシナリオである。
図3図1のような複数の個々の迅速検査装置を含む迅速検査キットの概略図である。
図4】個々の迅速検査の代替設計の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明は、請求される主題の徹底的な理解を提供するために、特定の詳細とともに様々な実施例を示す。しかしながら、請求される主題は、本明細書で開示される特定の詳細の1つ以上がなくても実施され得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、いくつかの状況において、周知の方法、手順、システム、構成要素及び/又は回路は、請求された主題を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されていない。以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。 図面において、同様の記号は、文脈上そうでない場合を除き、典型的には同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定することを意図していない。本明細書に提示された主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され、他の変更がなされてもよい。本開示の態様は、本明細書で一般的に説明され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、組合せ、及び設計することができ、その全てが明示的に企図され、本開示の一部を構成することが容易に理解されよう。
【0026】
(迅速検査装置)
図1は、井戸状のレセプタクル2を特徴とするハウジング4を有する例示的な単一回使用迅速検査装置10の一般的透視図であり、レセプタクル2の中に、被験者から収集された単一の流体検体が、必要に応じて、補足的な緩衝液及び試薬とともに注がれ得る。迅速検査装置10は、レセプタクル2の井戸の底に、すぐ位置する多孔質膜1をさらに備える。多孔質膜1は、固定化された手順制御部と、対象疾患マーカのエピトープの異なる組合せの1つ以上の組換え抗原と、を備えてもよい。迅速検査装置10は、検査中に多孔質膜1を通って飛散する流体を収集して保持するように構成された吸収性材料を含むリザーバ3を含んでもよい。吸収性材料は、さらに、検査手順の1つ以上の流体の適用中に、膜1をその位置で支持するように構成されてもよい。
【0027】
迅速検査装置10の更なる詳細は、特許文献1に見出すことができ、特許文献1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に、特許文献1は、多孔質膜1の様々な個別に指定された領域において、その様々な四角形にドットを形成する1つ以上の組換え抗原を位置付けることを記載している。当初、多孔質膜1全体は、白色等の単一色でユーザに見える。検査流体が迅速検査装置10に加えられ、多孔質膜1を通って流れるにつれて、ドットの1つ以上が、多孔質膜の元の色と対照的な色に変化することがある。一例では、手順制御部及び/又は組換え抗原の位置の1つ以上が青色に変わることがあり、これは、短期間に、典型的には約1分以内にユーザに見えるようになる。INSTI(商標)HIV-1/HIV-2抗体検査キットの更なる詳細については、キットに同梱されているDie Package Insertに記載されており、非特許文献1で入手可能である。
【0028】
POC検査装置、及び複数の装置を含むキットは、一実施形態では、ダイユーザが検査を自ら実行するために必要な全ての構成要素を備えている。一つの例示的な装置は、指を刺す道具、少量の血液を採取するためのキャピラリーチューブ、及び検査を展開するのに必要な異なる液体の一定量の容器を含む。装置及びキットは、溶液の正しい実行及び順序付け、並びに結果の解釈に関する指示を提供してもよい。別の例示的な装置では、毛細管が存在せず、本発明がこの点で限定されないように、指を切開した後、自由に流れる血液の単一の滴を送達するようにユーザに指示される。装置及びキットは、溶液の正しい実行及び順序付け、並びに結果の解釈に関する指示を提供してもよい。
【0029】
検査結果の解釈は、2つのステップで行われる。まず、ユーザは、手順制御部の色の変化等の第一の視覚的指標の存在をチェックするように指示される。手順制御部のドットの色が変化しなかった場合、ユーザは、迅速検査装置を廃棄し、検査結果を無効として扱うように指示される。これは、収集された流体検体の量が不十分で多孔質膜に適用された場合、又は他の状況において起こり得る。
【0030】
手順制御部のための第一の視覚的指標が、その色の変化を観察することによって陽性であると確認されると、次に、ユーザは、多孔質膜上の残りのドットを解釈することに進むことができる。特定の組換え抗原位置に対応する残りのドットの1つ以上の色の変化は、疾患マーカの存在を確認するように構成された第二の視覚的指標を定義し、それによって、対象疾患に対する陽性検査結果を示す。色の変化が観察されない場合(第二の視覚的指標が陰性)、対象疾患マーカが存在しないと結論づけられ、検査結果が陰性であることを意味する。
【0031】
上述したタイプのダイレクトフロー迅速検査装置10は、多くの理由で対象疾患を検出するのに有利である。
・それは、検査結果を得るために、医療従事者の立ち会いや、専用のリーダ又は医療機器を用いた機械による解釈を必要としないことである。そのため、病院又は研究所で訓練を受けた医療従事者だけでなく、現場で最低限の訓練を受けた医療従事者でも使用することができ、また、被験者自身による自己管理も可能である。
・検査結果は、ラテラルフロー検査のような他のタイプのPOC検査よりも迅速に得られる可能性がある。実施形態において、ダイ迅速検査装置10は、検体流体の適用後5分未満、例えば、そのような検体適用から4分未満、3分未満、2分未満、又は約1分でダイ検査結果を送達するように構成され得る。これは、従来のラテラルフローアプローチを使用して信頼性の高い検査結果を得るために必要な15~20分と比較して、有利になる。
【0032】
ダイレクトフローアプローチの好都合な性質は、一人の患者が自分自身を検査することや、少数の臨床専門家が短時間で多くの被験者に多数の検査を実施することを容易にするものである。これは、検査スループットを向上させることで大人数の検査を可能にするだけでなく、検査結果を待つ不安な被験者のカウンセリングを行う臨床担当者に必要なトレーニングも少なくて済む。迅速POC検査は複雑さがなく、実施も簡単なため、正式な医療システムの介入を必要とせず、ダイ人口全体に広く普及させることができる。親が自分の家族を検査することもできる。子供が高齢の親族を検査することもできる。POC検査は、移動診療所や村の配布システムを利用して、農村部や遠隔地で対象疾患の監視を実施する際に特に有利に働く可能性がある。この迅速検査法の高いスループットを利用したもう一つの利点は、空港、駅、又は大規模なイベントにおいて、多数の人々をスクリーニングし、最小限の時間で確定的な結果を提供することである。
【0033】
(対象疾患)
本発明の重要な目的の1つは、様々な検査位置から検査情報を収集することを容易にし、対象疾患又は状態の広がりに関する詳細な最新の理解を得ることである。本明細書で使用する「対象疾患」という用語は、正確な疫学的監視が社会全般に利益をもたらす可能性のある、広範な数の感染性疾患及び慢性状態を含んでもよい。感染症又はその分析物の例としては、アデノウイルス、百日咳菌、肺炎クラミジア、クラミジア・トラコマチス、コレラ毒素、コレラ毒素β、カンピロバクター・ジェジュニ、SARS-CoV-2(Covid-19を引き起こすウイルス)、サイトメガロウイルス、ジプテリア毒素、エプスタイン・バールNA、エプスタイン・バールEA、エプスタイン・バールVCA、ヘリコバクター・ピロリ、B型肝炎ウイルス(HBV)コア、B型肝炎ウイルス(HBV)外被、B型肝炎ウイルス(HBV)表面(Ay)、C型肝炎ウイルス(1-HCV)コア、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3、C型肝炎ウイルス(HCV)NS4、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5、A型肝炎、D型肝炎、E型肝炎ウイルス(HEV)orf2 3 KD、E型肝炎ウイルス(HEV)orf2 6 KD、E型肝炎ウイルス(HEV)orf3 3 KD、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1 p24、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1 gp41、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1 gp120、ヒトパピローマウイルス (HPV)、単純ヘルペスウイルスHSV-1/2、単純ヘルペスウイルスHSV-1 gD、単純ヘルペスウイルスHSV-2HSV-2 gG、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)-1/2、インフルエンザA、インフルエンザA H3N2、インフルエンザB、リーシュマニア・ドノバニ、ライム病、MERS、ムンプス、肺炎球菌、結核菌、パラインフルエンザ1、パラインフルエンザ2、パラインフルエンザ3、ポリオウイルス、呼吸器合胞体ウイルス (RSV)、風疹、麻疹、ストレプトリジンO、SARS、破傷風菌毒素、梅毒トレポネーマ15 kd、梅毒トレポネーマp47、クルーズトリパノソーマ、トキソプラズマ、又は水痘帯状疱疹が含まれる。
【0034】
他の実施形態では、対象疾患は、微生物、病原菌、微生物、ウイルス、細菌、古細菌、原生動物、原生生物、真菌、又は微小植物によって引き起こされるか、又はそれに関与する感染性疾患である。ウイルスは、SARS-CoV-2、インフルエンザ、又はHIVであり得る。細菌は、結核菌であり得る。原生動物は、マラリアであり得る。
【0035】
対象疾患としてCovid-19をモニタリングする場合、本発明の迅速検査は、SARS-CoV-2に感染したヒト被験者が生成した抗体に特異的なエピトープを有する組換え抗原を含むように構成されてもよい。組換え抗原は、典型的には、SARS-CoV-2の単一タンパク質、その断片(サブユニット)、その改変体又は変異体であり、そのいずれもが、検査キット設計者が望むようにグリコシル化され、さらに生体修飾されていてもよい。組換え抗原は、ウイルスとは無関係であるが、迅速検査装置での使用のためにタンパク質を適合させるのに有用なドメインを含んでもよい。組換え抗原は、一般にIgG、IgM、及びIgA抗体の群からの、いくつかの個々のSARS-CoV-2抗体タイプのうちの1つと結合するように選択してもよい。実施形態において、SARS-CoV-2 IgM抗体に特異的な組換え抗原は、感染後数週間から数ヶ月で検出不能になることがあるので、最近の感染を判定するのに最も有用であると考えられる。さらなる実施形態では、SARS-CoV-2 IgG抗体に特異的な組換え抗原は、感染後60日程度で抗体が消失することもあることが知られているが、これらの抗体は数ヶ月又は数年間検出可能なままである可能性があるので、以前の感染の検出に使用されてもよい。さらにさらなる実施形態では、SARS-CoV-2 IgA抗体に特異的な組換え抗原は、Covid-19に対する粘膜免疫(この抗体は血液に加えて唾液のような粘膜分泌物でも検出され得るという利点を有する)を検出するために使用されてもよい。
【0036】
実施形態では、さらなる組換え抗原は、Covid-19に対する中和抗体を検出するために、本発明の目的で、使用してもよい。中和抗体は、病原体が細胞に感染/侵入するのを阻止し、それによって感染能力を「中和」する、非常に特殊な抗体のサブセットである。一般的な用語では、その特定のタンパク質が、病原体のカスケードイベントにおいて、ある特定の重要な機能を有していることを意味する。COVID-19については、現在までに研究されたほとんどの中和抗体は、上皮細胞上のACE2受容体との結合に関与する、いわゆる「スパイク」タンパク質の部分に対する親和性を有するものである。本発明の範囲は、これらの中和抗体のエピトープを迅速検査装置の一部として使用することを包含する。
【0037】
即時の開示に基づき、当業者は、本明細書の発明に対応する広範な診断キット及び装置を設計することが可能である。第一の光学的識別子の多くの用途の1つは、実施されている検査の種類を区別することである。現在、抗体診断は、前述したように、新型コロナウイルス上又は新型コロナウイルス中に見出される異なるタンパク質に結合した抗体を標的とすることにより、検査メーカー間で基本的なレベルが異なる。SARS-Cov-2の場合、これは、スパイクタンパク質全体、又は受容体結合ドメイン(RBD)サブユニットを含むそのサブユニット、あるいは代替として、ヌクレオカプシドタンパク質を含んでもよい。
【0038】
被験者が、病気に対する免疫を提供するのに十分な中和抗体の臨床的閾値を超えているかどうか、又は地域での拡散を防止若しくは低減するのに十分な中和抗体であるかどうかをさらに特定する検査を開発してもよい。伝えられるところによると、米国の疾病管理予防センター(CDC)とEUの共同研究センター(JRC)は、営利団体と協力して、COVID-19の国際抗体検査を標準化しようとしている。このような標準は、理論的には、公共政策に関連するCOVID-19抗体の定量レベル(例えば、飛行機への搭乗許可)を設定してもよい。
【0039】
半定量的な実施形態では、本発明の装置は、被験者が抗体の設定された定量的レベルを超えているかどうかを識別する第二の視覚的指標を提供してもよく、例えば、第二の視覚的指標は、患者が設定レベル(検出性の閾値レベルだけではない)を超えている場合のみ陽性である。あるいは、装置は、2つのドメインに分割される第二の視覚的指標を含んでもよく、これらの各ドメインは、抗体の増加する定量的な量を示す。抗体のレベルが低いと、一方のドメインのみがトリガーされ、第二のドメインは、あらかじめ決められたレベルを満たす高いレベルの抗体を必要とする。遠隔通信で検査結果を報告する場合、患者は、第二の視覚的指標のうちいくつが陽性であるかを報告するよう促される。第二の視覚的指標の増加する定量的レベルとして、任意の合理的な数のドメインを採用してもよい。したがって、特定の実施形態では、本発明で使用するために提供されるダイ装置は、半定量的である。
【0040】
また、第一の光学的識別子は、集団健康監視検査の理解を向上させるために、実行された検査の特異度(%偽陽性)及び感度(%偽陰性)に関する情報を含んでもよい。
【0041】
第一の光学的識別子は、どのような標準が検査され、どのような結果が得られたかという重要な情報を、中央データベースに迅速かつ直接提供するために使用することができる。この標準化の取り組みは、検査方法に関係なく、同じもの同士を比較できるようにすることによって、世界的な疫学の取り組みに影響を与えるだけでなく、地理的領域全体で潜在的なワクチンの展開と有効性を測定するのに役立つ。
【0042】
さらなる実施形態において、他の組換え抗原を使用して、Covid-19ワクチンのような特定のワクチンに対する反応に特異的な抗体を検出し、実際の病気に罹患した結果として自然に生じる抗体と区別することもできる。これは、一般集団における様々なタイプの免疫をよりよく理解し、自然防御からのワクチン防御を追跡するために有用であり、ワクチンブースター投与の可能性をフォローアップする。
【0043】
迅速検査装置の多孔質膜の個々に指定された領域に複数の組換え抗原が存在する場合、上記の組換え抗原の任意の組合せを使用してもよい。
【0044】
さらなる実施形態において、2つ以上の組換え抗原が使用される場合、これらの組換え抗原の1つは、第一の対象疾患、例えばCovid-19に対するエピトープを有するように構成され、第二の組換え抗原は、局所的に流行し得る第二の疾患に対するエピトープを有するように構成されてもよい。これは、被験者の症状が両疾患に類似又は共通しており、それ以外の方法でそれらを区別する方法が明確でない場合に有用であると考えられる。
【0045】
本発明によってモニタリングされる対象疾患がインフルエンザである場合、疾患マーカは、ヘマグルチニン及び/又はノイラミニダーゼを含んでもよい。この場合、ヘマグルチニンは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、及びH16からなる群から選択されてもよく、ノイラミニダーゼは、N1、N2、N3、N4、及びN5からなる群から選択されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、疾患マーカは、炎症のマーカ、例えば、サイトカイン又はC反応性タンパク質であってもよい。炎症のマーカはまた、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、又は-TNFαであってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、疾患マーカは、被験者から収集された体液の検体において検出される。例示的な体液は、本発明がこの点で限定されないように、血液、血漿、血清、喀痰、尿、糞、精液、粘液、リンパ、唾液、又は鼻腔洗浄液を限定なく含む。
【0048】
(光学的識別子)
図1は、迅速検査10のハウジング4に適用される第一の光学的識別子5を示す。実施形態では、第一の光学的識別子は、固有の数字列、固有の英数字列、一次元バーコード又は二次元QRコード(登録商標)、又はNFCタグのうちの1つ以上であってもよい。
【0049】
重要なことは、迅速検査装置10上に第一の光学的識別子5が存在しても、迅速検査自体の性能に何ら影響を及ぼさず、その使用は、検査結果がユーザによって既に得られた後に起こり得る。その意味で、第一の光学的識別子5を追加することは、検査結果データのその後の簡略化された迅速な報告のためのオプションを提供するが、迅速検査の完全な利益を被験者に提供するためにそれ自体必要ではない。
【0050】
さらに明確にするために、迅速検査装置10上の第一の光学的識別子5は、被験者の名前又は個人識別子、又は別のデータベースを通じて被験者のアイデンティティと相関させることができるいかなるコード又は列も含んでいない。むしろ、第一の光学的識別子は、以下にさらに詳述するように、装置又はキットに関する情報を提供し、その情報とは、最も重要なのは識別される疾患と、任意に、その感度と特異度、検出の任意の閾値レベル、その製造日、及びそれが被験者の位置に提供されたサプライチェーンを含むが、これらの情報に限定されない。異なる公衆衛生監視システムは、通信を受信したときに第一の光学的識別子を認識する中央データベース(以下に説明する)に、異なるタイプの情報又はサプライチェーンのより高い又はより低い解像度等を含んでもよい。
【0051】
本発明の別の態様では、検査結果の遠隔通信は、被験者を識別することなく実施されてもよい。このような非識別化するステップは、非識別化された情報のみが中央データベースに遠隔通信され得るように、迅速検査の起点で行われてもよい。簡単な実施形態では、検査結果の遠隔通信は、モバイル装置から通信されてもよい。モバイル装置の所有者又はユーザを特定することは可能であるが、中央データベースが、検査結果が通信された被験者を確実に特定することはできない。モバイル装置は、友人、親、子供、検査が実施されているPOCクリニックの看護師又は保健当局の職員が所有していてもよい。これにより、被験者のプライバシーの権利を守り、将来の漏洩やデータベース侵害の対象となり得る個人健康情報を開示しないことを保証することができる。このような安心感は、検査結果の報告に対するコンプライアンスをさらに向上させ、本発明の方法を用いた疫学的監視の質を向上させることになる。
【0052】
本発明の別の重要な態様において、第一の光学的識別子5は、検査のユーザによる視覚的な読み取り(固有の数字列又は固有の英数字列の場合)又はスマートフォン、ラップトップ、タブレット、又はコンピュータのユビキタスカメラを用いた機械光学的な読み取りによって構成されてもよい。その場合、他の医療機器に組み込まれた専用の光学リーダを使用する必要がなくてもよい。このように、第一の光学的識別子は、複雑なリーダ技術の必要性を回避し、疫学的監視のためのPOC装置又はキットの有用性を質量的に向上させる。いわば、本発明による装置及び/又はキットは、「計装化された非計装化検査」と呼ぶことができる。
【0053】
第一の光学的識別子5は、(i)迅速検査装置の性質、及び/又は(ii)対象疾患の疫学的監視のための中央データベースへの検査結果の報告プロセスに関係する1つ以上のメッセージのための光学コードを有する部分を含んでもよい。
【0054】
第一のメッセージ又は第一の光学的識別子にコード化されたメッセージのグループは、以下:
・特定の迅速検査装置に対する対象疾患識別情報
・迅速検査装置又は迅速検査装置の所定のバッチのシリアル番号
・手順制御部領域に対応する多孔質膜1上の第一の視覚的指標の性質及び/又は位置
・対象疾患マーカを検出するように構成されたそれぞれの組換え抗原を含む1つ以上の領域によって定義される第二の視覚的指標の存在及び/又は位置
・迅速検査装置の製造日又は迅速検査装置が製造された日付の範囲(例えば2020年第一四半期)
・迅速検査装置の有効期限
・予想される地理的領域又は販売国
のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0055】
検査装置又はキットの位置及びサプライチェーンの配送に関連する出荷情報。メッセージの第二のグループは、以下:
・中央データベースに検査結果を報告するための安全なウェブサイトへのリンク
・検査結果を入力及び送信するように構成されたスマートフォン又はコンピュータアプリケーションをダウンロードするためのプロンプト
・迅速検査装置10を用いた迅速検査の実施方法に関する説明へのリンク
・ダイの第一の光学的識別子を読み取るために使用される光学リーダへのホスト装置の位置及びタイムスタンプを使用して、迅速検査の位置及び迅速検査の時間による検査結果の遠隔通信を補足するよう促すプロンプト
・送信者から所定の地理的範囲にいる顧客に対して製品の配送を確認するためのプロンプト
・第一の視覚的指標を用いた迅速検査の有効性を伝えるプロンプト
・対象疾患に関する追加のリソース、サポートグループ、カウンセリングへのリンク
のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0056】
実施形態において、第一の光学的識別子5は、陽性の検査結果を通信するための陽性の光学的識別子と、陰性の検査結果を通信するための陰性の光学的識別子とから構成されてもよい。ユーザは、上述のように第二の視覚的指標のダイ観察に応じて、一方の軸又は別の軸のいずれかを使用するように指示されてもよい。
【0057】
人口統計、特定の症状の存在、疾患の進行のタイムライン等、被験者のさらなる情報を報告するために、追加の光学的識別子を提供してもよい。さらに、検査が行われた位置、又は居住地や最近の移動範囲等の被験者に関する位置情報を含んでもよい。このような追加の光学的識別子は、検査ユーザが中央データベースに通信するための報告フォームに被験者関連データを入力することをより便利にするために、使用説明書に記載してもよい。
【0058】
実施形態では、そのような追加情報は、(i)被験者の非識別化された特性、(ii)対象疾患に対する被験者の以前の検査の非識別化された履歴、及び(iii)検査ユーザによって観察されるか又は被験者が報告した、被験者の対象疾患と一致する症状の有無からなる群から選択されてもよい。
【0059】
図4に示すさらなる実施形態では、第一の匿名光学的識別子5は、第一の個人光学的識別子5’で補完されてもよく、この光学的識別子は、検査中に被験者に完全に見えるように迅速検査装置10のハウジング4上に配置されてもよい。両方の光学的識別子が存在するので、被験者は、第一の光学的識別子5を使用して匿名で検査結果を報告するか、第一の個人光学的識別子5’を使用して個人情報の送信を伴うか、又はその両方を選択することができる。
【0060】
第一の個人光学的識別子5’を使用する1つの利点は、特定の被験者の検査結果を確認する検証文書の生成を容易にすることである。この場合、ユーザは、匿名光学的識別子5を使用して匿名で報告するのではなく、個人光学的識別子5’を使用することによって、検査結果に関連付けられることを望む。このアプローチの一例は、いわゆるCOVIDパスポートであり、この用語は、SARS-COV-2による以前の感染又は抗SARS-COV-2ワクチン接種の結果として、被験者の血液中にSARS-COV-2に対する検出可能な抗体があることを電子又は紙ベースで確認するために広く使用されている。この場合、オプションの第一の個人光学的識別子5’を使用すると、検証して被験者のCOVIDパスポートに追加又は含めることができる方法で、抗COVID抗体の陽性の存在を含む検査結果の受領につながるように構成してもよい。
【0061】
(数字又は英数字コード)
最も単純な形態では、第一の光学的識別子は、特定の迅速検査装置10に固有な数字又は英数字のシーケンスとして構成されてもよい。各数字、又は数字及び/又は文字のグループは、上述したような第一及び/又は第二のメッセージのグループから1つ以上のアイテムを軸に割り当ててもよい。この場合のユーザは、検査結果を遠隔通信するために、スマートフォンやコンピュータを有する必要はない。この目的には、例えば、ショートメッセージングサービス(SMSテキスト)を使用することにより、単純なテキストメッセージで十分である。さらなる実施形態では、検査結果を中央データベースに遠隔通信するための数字コード又は英数字コードをテキスト送信するために、ローカル電話番号又はフリーダイヤル番号を提供してもよい。
【0062】
検査結果を通信するこの方法は、簡単かつ便利であり、ユーザから多くの時間又は労力を必要としない(このような遠隔通信を容易にするための重要な要件である)だろう。この方法は、通信技術が発展途上国で普及しているモデムの精巧さに欠けるため、発展途上国でも有利に展開できる可能性がある。この目的には、単純なセルラーフリップフォンで十分な場合がある。
【0063】
実施形態では、検査結果の遠隔通信は、1回の送信で行われることがあり、その場合、ユーザは、上述のような数字コードを送信する。送信の時間及び/又は送信の一般的な地理的領域は、中央データベースによって自動的に記録され、迅速検査の時間及び迅速検査の位置として使用されてもよい。
【0064】
さらなる実施形態では、検査結果の遠隔通信は、双方向の対話型通信モードにおいて、2回以上の送信にわたって行われてもよい。一例では、ユーザは、最初に、第一の光学的識別子に対応するコードを送信するよう求められることがある。コードを受信すると、中央データベースは、(i)送信の有効性を検証し、(ii)挨拶メッセージ及びさらなる指示とともにユーザに返信するように構成されてもよい。
【0065】
送信の有効性を検証するステップは、1つ以上の受入基準に対してコードをチェックするために実行されてもよい。受入基準の例には、
・送信されたコードが完全に送信され、指定された軸規則に適合し、中央データベースによって認識されること
・この迅速検査装置が使用期限に達していないこと
・この迅速検査装置のアクティブなリコールがないこと
・この迅速検査装置が、送信元地域に十分に近い地域又は国で配布されたこと
・この迅速検査装置の迅速検査結果が、同一の第一の光学的識別子を用いて以前に既に報告されていないこと
・迅速検査に対応する迅速検査の販売又は配布の履歴が、最初の送信と一致すること
を含む。
【0066】
最初の送信の妥当性を検証すると、中央データベースは、検査ユーザへの応答メッセージを検査結果を報告するための適切なプロンプトと一緒に生成するように構成され、さらにオプションとして、実際の検査時間(これは送信時間より前のこともある)、実際の検査位置(これは送信位置とは異なることもある)、及び他の非識別被験者情報(例えば、被験者の性別、年齢集団又は年齢層、特定の他の疾患、状態又は症状の有無等)を報告してもよい。このような通信シナリオの一例は、ユーザの電話による中央データベースとの双方向通信の連続するスクリーンショットを図示した図2に示されている。
【0067】
実際の検査結果は、検査自体の完了後に中央データベースに送信されてもよいが、人口統計を含む予備データ及び被験者データは、図2に示すように、迅速検査自体の実行前に通信されてもよい。このアプローチの1つの利点は、検査を開始する前に検査指示を確認するオプションをユーザに提供することであり、これは、自宅で検査手順を自己適用する際に一部の被験者にとって有用であり得る。
【0068】
他の実施形態では、データ収集のセキュリティを向上させるために、検査ユーザへの応答メッセージは、実際の検査結果を通信することを目的として、異なるSMSアドレス又は電話番号を使用する指示をさらに含んでもよい。中央データベースは、第二の送信において検査ユーザによってそのように通信された検査結果を、第一の送信からの迅速検査装置に関する情報と組み合わせるように構成されてもよい。この二重通信アプローチは、2つの送信のうちの1つだけを傍受すると、被検者に対する迅速検査の性質及び結果について、権限のない第三者に十分な情報を提供できない場合があるので、遠隔通信の安全性をさらに保証することができる。
【0069】
(バーコード及びQRコード(登録商標))
第一の光学的識別子5は、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、パーソナルコンピュータ、及び他の小型、携帯型、及び手持ち型の電子装置のカメラを含む従来の光学リーダによって光学的に読み取り可能なバーコードとして迅速検査装置10に提示されてもよい。
【0070】
第一の光学的識別子5のバーコードは、業界で周知の一次元及び二次元光学コード用に開発された様々な規約に従って構成された一次元光学コード又は二次元光学コードであってもよい。本発明に用いられる光学コードは、本発明がこの点で限定されるものではないので、白黒コードであっても、カラーコードであってもよい。
【0071】
バーコードは、数字コードについて上述したのと同じ情報を含んでもよい。検査結果の報告にバーコードを使用することの1つの利点は、スマートフォン又は他のモデム電子装置にアクセスできるユーザが、検査結果を中央データベースに報告し得る利便性と速度である。
【0072】
光学バーコードは、中央データベースに関連する安全なウェブサイトへのログイン、又は検査結果の報告専用のスマートフォン又はコンピュータソフトウェアアプリケーションを含むダウンロード可能なファイルの位置へのログインのいずれかをユーザの電子装置に促すように構成されてもよい。ウェブサイト又はアプリケーションにアクセスされると、バーコードは、迅速検査報告フォームに迅速検査装置を特徴付けるデータを入力するようにさらに構成されてもよい。さらに、ユーザの許可があれば、バーコードは、ユーザのスマートフォンから抽出された迅速検査時間及び迅速検査位置を検査結果フォームに自動的に入力するように構成されてもよい。ユーザは、検査結果自体を入力し、中央データベースでの記録のためにフォームを提出することのみを促されることもある。
【0073】
さらなる実施形態では、迅速検査が完了した後、ユーザは、多孔質膜の画像と第一の光学的識別子を含む写真を最初に撮影するよう促されることがある。このプロセスを容易にするために、第一の光学的識別子は、第一の光学的識別子と検査の結果の両方を記録する単一の画像を作成し得るように、多孔質膜の近くに、それと同じ視野内に配置してもよい。
【0074】
そのような画像は、次に、専用のアプリケーション又はプログラムを使用して、スマートフォン又はコンピュータによって処理され、以下のステップ:(i)画像内のバーコードを認識するステップと、(ii)バーコードとともに画像を中央データベースに送信し、これにより、迅速検査結果を中央データベースに自動的に送信するステップと、を自動的に完了してもよい。
【0075】
このアプローチには、以下の2つの利点がある。
・プロセス全体が完全に自動化されるので、ユーザにとってさらなる利便性が生まれること、及び
・中央データベースは、画像認識技術を使用して検査結果を自動的に検証し、検査結果を特定のバーコード、迅速検査時間、迅速検査位置に関連付けるように構成されることがあるので、データの完全性を向上させること、
である。
【0076】
中央データベースは、将来の監査及びデータ完全性チェックのために、全ての送信を格納するように、さらに構成されてもよい。
【0077】
(近距離無線通信(NFC)タグ)
第一の光学的識別子の機能的な代替は、迅速検査装置のハウジング4に取り付けられたNFCタグを使用することを含むことができる。近距離通信は、わずか約1.5インチ以下の距離で2つの電子装置間で通信するための一連の通信プロトコルを指す。この小さな距離により、迅速検査装置のNFCタグは、近くにあり得る他のスマートフォンとの通信から有利に除外される。これは簡単なセットアップを提供し、適切なスマートフォンによって、簡単な「タップ」で特定の迅速検査装置を識別するために使用することができる。スマートフォンと迅速検査装置との間の通信コードの構造は、上記でより詳細に説明したような同様の慣習に従ってもよい。
【0078】
1つの使用シナリオでは、医療従事者のスマートフォンを使用して、使用中に迅速検査装置を迅速に識別し、迅速検査装置に関する情報を専用検査結果収集フォームのフォームに事前入力してもよい。
【0079】
(迅速検査キット)
図3は、本発明の迅速検査キット20の概略図を示す。このキットは、上記のような迅速検査装置10を1つ含んでも、複数含んでもよい。実施形態では、本発明はこの点で限定されないので、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10、15、20、25、30、40、50、60、又はそれ以上の迅速検査装置10を単一の迅速検査キット20に含んでもよい。キットは、個々の迅速検査装置10を含む適切な筐体又はパッケージによって形成されてもよい。筐体には、迅速検査装置10の使用説明書も、迅速検査の結果を中央データベースに通信するための説明書も含まれることがある。
【0080】
実施形態において、第二の光学的識別子22は、迅速検査キットに印刷されても、他の方法で貼付されてもよい。第二の光学的識別子22は、固有の数字列、固有の英数字列、一次元バーコード若しくは二次元QRコード(登録商標)、又はNFCタグであってもよい。本発明はこの点で限定されないので、上記の第二の光学的識別子の種類は、第一の光学的識別子の種類と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。一例では、第一の光学的識別子は数字コードであってもよく、第二の光学的識別子はバーコードであってもよい。
【0081】
第二の光学的識別子22は、パッケージに含まれる複数の迅速検査装置10に関する情報を含むように構成されてもよい。以下の情報のうちの1つ以上を含んでもよい。
・特定の迅速検査キットのための対象疾患識別情報
・同梱の迅速検査装置のシリアル番号の範囲、又はキット内の迅速検査装置の全バッチに対する単一のシリアル番号
・迅速検査装置の製造日、又は迅速検査装置の製造日の範囲(例えば、2020年第一四半期等)
・迅速検査装置の使用期限
・予想される地理的領域又は流通国。
【0082】
さらに、第二の光学的識別子は、迅速検査装置の使用に関する情報及び検査結果の報告手順を含んでもよい。そのような情報の例は、以下の1つ以上を含んでもよい。
・キットに含まれる迅速検査装置を使用して得られた検査結果の少なくとも一部又は全部を含む、複数の検査結果を中央データベースに報告するための安全なウェブサイトへのリンク
・検査結果の一部又は全部を一括で入力して送信するように構成されたスマートフォン又はコンピュータアプリケーションをダウンロードするためのプロンプト
・迅速検査装置10を用いた迅速検査の実施方法に関する説明書へのリンク
・第二の光学的識別子を読み取るために使用される光学リーダに対するホスト装置の位置及びタイムスタンプを使用して、検査結果のバッチの遠隔通信を、迅速検査の位置及び迅速検査の時刻で補足するプロンプト。
【0083】
第一の光学的識別子と第二の光学的識別子との間の1つの区別は、コード化された情報の構造にあってもよい。第一の光学的識別子及び第二の光学的識別子は、対象疾患の疫学的監視のために、個々の迅速検査装置を用いて得られた迅速検査結果の中央データベースへの遠隔通信を容易にするように独立して構成されてもよい。中央データベースは、受信した送信を、単一の迅速検査装置に関連する第一の光学的識別子、又はキットからのバッチ若しくは複数の個々の迅速検査装置に関連する第二の光学的識別子で得られたものとして識別するように構成されてもよい。
【0084】
第二の光学的識別子22は、単一の迅速検査を行う個々の被検者ではなく、多数の検査を管理する医療従事者が主として使用するために構成されてもよい。実施形態では、第二の光学的識別子を1回スキャンして、多数の個々の検査結果を迅速に入力するために構成されたウェブサイトのフォームを開くように、あるいは専用のスマートフォン又はコンピュータのソフトウェアアプリケーション又はプログラムを開くようにしてもよい。迅速検査の時間、迅速検査の位置、及び他の適切な情報は、全ての検査結果の入力について同じであってもよく、これは、同じ迅速検査キット20を使用して実行される全ての迅速検査について、この情報を複数回入力する必要がないことによって、医療従事者の時間を節約する。
【0085】
さらなる実施形態では、迅速検査キット20及び個々の迅速検査装置10の両方が、それぞれの第二の光学的識別子及び第一の光学的識別子を備えてもよい。これは、医療従事者が、個々の被験者による自己検査のために迅速検査装置10の一部を配布する一方で、グループとして他の被験者に検査を実施するために残りの迅速検査装置10を使用することができる状況において有利なことがある。
【0086】
この実施形態では、中央データベースは、個々の迅速検査装置10からの検査結果の少なくとも1つ、一部、又は全部が、第二の光学的識別子を使用して医療従事者によって入力されることを期待するように構成されてもよく、その一方で、個々の迅速検査装置10と迅速検査キット20の時間及び位置との間の適切な相関関係について同じ迅速検査キット20から来る迅速検査装置10から得られた他の入ってくる検査結果を吟味する。
【0087】
(中央データベース及びソフトウェア)
本発明は、複数のソースから検査結果を受け入れるように、インターネット(暗号化されたクラウドサービスを介して)、固定電話回線、携帯電話ネットワーク、衛星ネットワーク、チックを含む様々な通信ルートを使用するために構成された中央データベースを特徴とする。中央データベースは、受信した検査結果を、検査時間及び位置、ならびに被験者の人口統計等の被験者に関する追加の非識別化された情報とともに受け入れ、検証し、妥当性を確認し、格納するように構成された専用の安全なサーバを使用して形成されてもよい。
【0088】
疫学的健康監視要求の目的に応じて、情報を普及させるために1つ以上のタイプのレポートを生成できるように、さらに構成されてもよい。データ及びレポートへのアクセスの複数のレベルは、データベース管理者によって割り当てられたアクセスレベルに応じて、様々な顧客に提供されてもよい。一例として、中央データベースのソフトウェアは、迅速検査の位置を用いた対象疾患の分布の地理的マップ及び/又は迅速検査の投与時間を用いた対象疾患の時間的分布を生成するように構成されてもよい。このようなレポートが利用可能になると、中央データベースで収集されたデータを使用して、対象疾患に対する医療リソース及び/又はワクチンを分配する最適化を実行してもよい。
【0089】
中央データベースは、ウェブ入力フォームを含む専用ウェブサイト等のウェブ対応通信手段を介した検査ユーザとの対話に適合させてもよい。ウェブサイトは、使用説明書、役に立つビデオ、陽性又は陰性検査結果に対処するためのサポート資料、患者及び医療専門家のための他のリソースへのリンク、健康監視レポートに関する問い合わせのための入力フォーム等の追加情報を含んでもよい。
【0090】
上記のように、中央データベース内の各離散検査結果は、実行された検査、検査結果(場合によっては陽性又は陰性)、及び通信の入力日を含む第一の光学的識別子を最低限有する。検査が実行された位置は、通信によって直接提供されない場合、遠隔通信に基づいて送信者のルータIPアドレス又は携帯電話タワーの位置を抽出することによって、おおよそ特定することができる。第一の光学的識別子が、製造業者及びサプライチェーンのエンティティによって、装置又はキットの配送位置を記録するために使用される場合、検査結果の送信者の位置は、さらに強化又は確認されてもよい。例えば、配布用のキットを購入する地域の保健当局は、その地域で使用される全ての第一の光学的識別子コードを追跡することができる。その後、中央データベースで受信した遠隔通信のうち、その地域コミュニティに対応するものを区別することができる。あるいは、製造者は、第一の光学的識別子に対応するサプライチェーン情報(入国港等)を保健当局に提供することができる。下流の宅配業者は、さらに、個々の保健地域、町、都市、又は近隣を含む、より高いレベルの解像度で、キット/装置の配布位置を記録し得る。第一の光学的識別子は、POC装置及びキットが検査のために個人に利用可能にされる特定の薬局又は診療所と同じくらい密接に、供給者によって詳細に追跡され得る。
本開示に基づき、当業者は、対象疾患の疫学的監視の中心的な目的で、中央データベースで受信した検査結果データを使用するために利用できる幅広いツールを有することになる。主に、ユーザは、前記対象疾患の分布の地理的マップを開発するためにデータを使用することになる。マップは、地域社会における疾患の進行を特定するために、時間窓にわたって作成することができる。本明細書に記載されているような血清学的検査は、核酸検査等の活性感染症の検査データと相関させることができる。感染していない集団と感染した集団を区別するヒートマップを作成することができる。ある地域における陽性結果の増加率は、疾患の発生を特定し、新たな疾患を予測するのに有用である。疾患の分布は、地域社会へのワクチン配備を計画したり、薬又はワクチンの臨床試験に適した位置を特定したりするのにも役立つ。遠隔通信における検査結果が、上述のように、人口統計、特定の症状の存在、疾患の進行のタイムライン等の情報を含む場合、より正確な決定を下すことができる。
【0091】
場合によっては、中央データベースのデータは、額面通りに受け取られてもよい。あるいは、ユーザは、データをフィルタリングしてもよい。陰性と判定された人は、(病気又はワクチン接種により)最終的に陽性と判定されるまで、検査のために戻ってくる可能性が高いことが理解される。したがって、一部の人々は多くの検査を記録することもあるが、同じコミュニティの他の人々は全く検査を受けないこともある。さらに、一部の検査は不正確に報告されることも、あるいは意図的に虚偽の報告をされることもある。また、確かに、受けた全ての検査が報告されるわけではない。健康監視における当業者は、所見を歪める可能性のある偽の情報をフィルタリングする方法を理解している。主に、これは、ローカルエリアの再検査及びサンプリング戦略を通じて観察された結果を確認すること、誤差を受け入れること、及びデータ地域を類似した地域と比較して著しく矛盾するデータを特定することによって達成される。
【0092】
本発明者らは、特定の実施形態において、個人識別子が検査結果にリンクされるのが望ましい場合があることを認識する。この結果は、プライバシー侵害のリスクにより本発明の主旨に反するが、中央データベースへの遠隔通信が、個人会員と機関会員の一方又は両方をサポートするように構成されることが、特定のユーザにとって望ましい場合がある。これにより、会員は、長期にわたって収集された検査結果を容易に追跡し、そのような検査履歴を反映したレポートを作成することができるようになる。このような報告は、個々の被験者の健康状態、例えば、Covid-19に罹患していないことの確認に役立つ場合があり、これは、就労、旅行、又は他の目的のための「フリーパス」又は「抗体パスポート」として機能する場合がある。機関会員については、検査データ入力の記録を追跡し報告することは、地域の感染率を評価するため、又は他の目的のために有用であり得る。このような実施形態は、任意に、上述のような第一の個人光学的識別子5’で実現され、これは、任意に、被験者にのみ知られた秘密コードであり得る被験者の名前又は他の個人識別子を識別する。第一の個人光学的識別子5’は、追加の光学的識別子の形式でPOC検査が行われる位置に貼付されてもよく、又は、本人の個人識別子が検査結果に接続される遠隔通信のプロセス中に貼付されてもよい。このような個人識別子については、使用者の裁量で、明らかに任意である別個のステップを採用することが、本発明の疫学的目標にとって望ましい。
【0093】
被験者が、第一の匿名光学的識別子5ではなく、第一の個人光学的識別子5’のみを使用する場合、中央データベースは、検査結果から全ての個人データを取り除き、匿名化された検査結果を、検査が行われた地域の全ての検査結果の全体記録に加えるように構成されてもよい。
【0094】
中央データベースに加え、上述のように、ユーザのコンピュータ、タブレット、ラップトップ、又はスマートフォン上で動作するための専用ソフトウェアアプリケーションを開発してもよい。ソフトウェアアプリケーションは、単一の被検者又は複数の被検者について、適切な検査情報及び検査結果を記録するように構成されてもよい。ソフトウェアアプリケーションは、さらに、入力後直ちに検査データを送信するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、ソフトウェアは、被験者から陽性検査結果又は陰性検査結果のいずれかを適切に受信したときに、サポート情報を送信し、追加のリソースにリンクするように構成されてもよい。
【0095】
他の実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、後に送信するために、多数の検査結果からのデータを蓄積して格納するように構成されてもよい。これは、検査が実行された時点で、ユーザと中央データベースとの間の信頼できる通信が利用できない場合に行われることがある。この場合、ソフトウェアアプリケーションは、まず実際の検査時間及び検査位置を記録し、次に、前回の送信から蓄積された情報を送信するように構成されてもよい。このアプローチは、送信時間及び送信位置をそれぞれの迅速検査時間及び迅速検査位置と同じになるように割り当てることを避けるために使用してもよい。
【0096】
この特徴の1つの使用例は、信頼できるインターネット又はセルラー接続のない遠隔地域に移動する移動診療所のためであろう。現地住民に対して複数の検査を実施した後、ソフトウェアアプリケーションは、オフラインの間に全ての結果を記録するように構成されてもよい。少なくとも1つの検査結果がオフラインで入力されると、ソフトウェアアプリケーションは、検査結果を中央データベースに送信するために、(直接、又はBluetooth(登録商標)若しくはWi-Fi通信プロトコルを使用して)インターネットへの接続を定期的に求めるように構成されてもよい。このような接続が再び確立されると、迅速な検査結果が送信され、検証され、中央データベースによって受理されてもよい。それが達成された後、ソフトウェアアプリケーションは、将来のデータ入力のために入力フォームをリセットするように構成されてもよい。
【0097】
本明細書で議論された任意の実施形態は、本発明の任意の方法に関して実施することができ、その逆もまた然りであることが企図される。また、本明細書に記載された特定の実施形態は、例示のために示されたものであり、本発明を限定するものではないことも理解されたい。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に採用することができる。当業者であれば、本明細書に記載された特定の手順に対する多数の等価物を、日常的な実験以上のことを用いずに認識することも、あるいは確認することもできる。そのような等価物は、本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲によってカバーされる。
【0098】
明細書に記載された全ての刊行物及び特許出願は、この発明が関係する技術分野の当業者の技術レベルを示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願が参照により取り込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に取り込まれる。参照による取り込みは、本明細書の明示的な開示に反する主題が取り込まれないように制限され、文献に含まれる請求項が本明細書に参照によって取り込まれず、文献に提供されるあらゆる定義が本明細書に明示的に含まれない限り、参照によって取り込まれない。
【0099】
特許請求の範囲及び/又は明細書において、用語「備える」と組み合わせて使用される場合の用語「1つの」の使用は、「1つ」を意味する場合があるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は複数」の意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互排除的でない限り、「及び/又は」の意味で使用するが、本開示は、代替物のみを指す定義も、「及び/又は」もサポートする。本出願を通じて、用語「約」は、値が、その値を決定するために採用される装置、方法の固有の変動、又は被験者の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0100】
本明細書及び請求項で使用される場合、単語「備える」(及び「備え」と「備えて」等の「備える」の任意の形式)、「有する」(及び「有し」と「有して」等の「有する」の任意の形式)、「含む」(及び「含み」と「含んで」等の「含む」の任意の形式)、又は「含有する」(及び「含有し」及び「含有して」等の「含有する」の任意の形式)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の未記載の要素又は方法ステップを排除しない。本明細書で提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「備える」は、「から本質的になる」又は「からなる」と置き換えてもよい。本明細書で使用されるように、「から本質的になる」という表現は、指定された整数又はステップだけでなく、請求された発明の特性又は機能に実質的に影響を与えないものも必要とする。本明細書で使用される場合、用語「からなる」は、言及された整数(例えば、1つの特徴、1つの要素、1つの特性、1つの性質、1つの方法/プロセスステップ又は1つの制限)又は整数のグループ(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は制限)のみの存在を示すために使用される。
【0101】
本明細書で使用される用語「又はその組合せ」は、その用語の前に記載された項目の全ての順列及び組合せを意味する。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCのうちの少なくとも1つを含み、特定の文脈で順序が重要な場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含むことを意図している。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等のように、1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組合せが明示的に含まれる。当業者は、文脈から明らかでない限り、典型的には、任意の組合せにおける項目又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0102】
本明細書で使用する場合、限定するものではないが、「約」、「実質的な」又は「実質的に」等の近似の言葉は、そのように修飾された場合、必ずしも絶対又は完全ではないと理解されるが、当業者にとっては、その状態が存在すると指定することを保証するに十分近いと考えられるであろう状態を指す。記載がどの程度変化し得るかは、どの程度大きな変更を行うことができ、それでもなお当業者が、修飾された特徴を、修飾されていない特徴の必要な特性及び能力を依然として有するものとして認識することができるかどうかに依存することになる。一般的に、しかし、先行する議論を前提として、「約」のような近似の言葉によって修正される本明細書の数値は、少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、15、20又は25%だけ記載値から変化してもよい。
【0103】
本明細書で開示され、特許請求される装置及び/又は方法の全ては、本開示に照らして過度の実験を行うことなく、製造及び実行することができる。本発明の装置及び方法を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された装置及び/又は方法、ならびに方法のステップ又はステップの順序に変形を適用し得ることは当業者には明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代用品及び修正は全て、添付の請求項によって定義される本発明の精神、範囲及び概念の範囲内にあるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】