(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】伝動装置
(51)【国際特許分類】
B62M 11/14 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
B62M11/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518903
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 IL2021051119
(87)【国際公開番号】W WO2022064480
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523104225
【氏名又は名称】マルチ,ラズ
【氏名又は名称原語表記】MALCHI,Raz
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マルチ,ラズ
(57)【要約】
開示のギヤ伝動装置は、入力シャフトと同軸の出力シャフトと、入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定された遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、伝達プレートの周縁ギヤリングと係合し半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、ピニオンギヤと回転可能に連結されたアクスルと結合された伝達ピニオンギヤとを含むギヤ比変更機構とを備える。伝達ピニオンギヤは、アクスルに沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている。ギヤプレートは、出力シャフトと同軸に連結され、ギヤプレートは、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成されている。伝達ピニオンギヤは、ギヤプレートのギヤリングに係合可能であり、ギヤ比変更機構は、伝達ピニオンギヤをギヤプレートのギヤリングの間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備える。アクスルは、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、入力シャフトの中心軸を中心に、伝達プレートの回転方向と逆方向に回転するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤ伝動装置であって、
入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、前記入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定された前記遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、前記伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと回転可能に連結されたアクスルに結合された伝達ピニオンギヤとを含み、前記伝達ピニオンギヤが、前記アクスルに沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、前記ギヤプレートが、前記出力シャフトと同軸に連結され、前記ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、前記伝達ピニオンギヤが、前記ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、前記ギヤ比変更機構が、前記伝達ピニオンギヤを前記ギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、前記アクスルが、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、前記伝達プレートの回転方向とは逆方向に前記入力シャフトの中心軸を中心に回転するように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリが、前記遊星ギヤアセンブリのキャリア上に回転可能に取り付けられた複数の遊星ピニオンギヤを含み、前記キャリアが回転可能に固定され、前記太陽ギヤおよび前記リングギヤが逆方向に回転することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
ハウジングをさらに備え、前記ハウジングが、前記入力シャフトとともに回転可能であり、かつ前記ギヤ比変更機構を収容するように構成され、前記ピニオンギヤの半径方向軸が、前記ハウジングの半径方向軸上に延在することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項4】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤ比変更機構が、互いに独立し、前記伝達ピニオンギヤを半径方向に変位させるように構成されたアップシフトギヤアセンブリおよびダウンシフトギヤアセンブリを備え、前記アップシフトギヤアセンブリが、前記伝達ピニオンギヤをより小さいギヤリングに向けて半径方向内側に変位させるように構成され、前記ダウンシフトギヤアセンブリが、前記伝達ピニオンギヤをより大きいギヤリングに向けて半径方向外側に変位させるように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項5】
請求項4に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤ比変更機構が、逆方向に動作する2以上のギヤ変更サブアセンブリを含み、その結果、サブアセンブリの伝達ピニオンギヤが、同時にかつ位置合わせされた状態で、互いに向かって、または互いに離れるように移動することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項6】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤ比変更機構が、前記伝達プレートの周縁ギヤリングと選択的に係合するように構成可能なギヤ変更ピニオンギヤと、前記ギヤ変更ピニオンギヤと係合可能な操作ピニオンギヤとを備えるように構成され、前記操作ピニオンギヤがネジ付きロッド上に固定され、それによって、前記ネジ付きロッドの回転が前記マニピュレータの変位を伴い、前記マニピュレータの変位が、前記伝達ピニオンギヤの半径方向軸の周りに延びる回転アクスル周りの前記伝達ピニオンギヤの半径方向変位を伴うことを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項7】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記マニピュレータが、半径方向内側または半径方向外側の方向に前記伝達ピニオンを半径方向に変位させるように構成可能な操作レバーを含むことを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項8】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤ比変更機構が、前記伝達ピニオンを半径方向に変位させるように構成可能な1または複数の電動マニピュレータを含むことを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項9】
請求項8に記載のギヤ伝動装置において、
前記1または複数の電動マニピュレータが、操作レバーによって前記伝達ピニオンを半径方向に変位させるように連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項10】
請求項3に記載のギヤ伝動装置において、
前記ハウジングが、1または複数の電動マニピュレータ、1または複数のそれぞれの動力源およびコントローラを収容するように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項11】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記動力源が、充電可能なバッテリであることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項12】
請求項7に記載のギヤ伝動装置において、
前記操作レバーが、軸方向経路に沿って1方向または2方向にバネで付勢されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項13】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリが、前記遊星ギヤアセンブリのキャリア上に回転可能に取り付けられた複数の遊星ピニオンギヤを含み、前記キャリアが、自転車フレーム部材に回転自在に固定可能であることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項14】
請求項13に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリのキャリアが、前記自転車フレームのチェーンステーに固定可能であることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項15】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤが、前記ピニオンギヤと同軸に回転可能に連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項16】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤが、前記ピニオンギヤの半径方向軸に対してオフセットされた半径方向軸に沿って変位可能であり、かつ前記ピニオンギヤに回転可能に連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項17】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤが、前記ギヤプレートの非半径方向の弦に沿って変位可能であり、かつ前記ピニオンギヤに回転可能に連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項18】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記マニピュレータが、電動モータによって作動されることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項19】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記操作レバーが、手動シフト機構によって作動されることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項20】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリのキャリアが、当該ギヤ伝動装置を支持する外部フレーム部材に固定されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項21】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
当該ギヤ伝動装置を密閉構造にするように構成された壁内に封入するように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項22】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達プレートのギヤリングのハブが、前記入力シャフトと同軸に延びていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項23】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達プレートの周縁ギヤリングが、フェースギヤであり、前記ギヤリングが、前記伝達プレートの回転軸と同軸に延びることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項24】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達プレートの周縁ギヤリングが、前記伝達プレートの面と同一平面上に延びていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項25】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星アセンブリの太陽ギヤが、前記入力シャフトと一体であるか、またはそれと一体化されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項26】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記リングギヤが、前記伝達プレートのシャフトと一体であるか、またはそれと一体化されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項27】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記周縁ギヤリングが、前記伝達プレートと一体であるか、またはそれと一体化されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項28】
請求項3に記載のギヤ伝動装置において、
前記入力シャフトが、前記ハウジングと一体であるか、またはそれと一体化されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項29】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
当該ギヤ伝動装置が、2以上のギヤ比変更機構を備えるように構成され、その各々が、対応する伝達ピニオンギヤと関連付けられていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項30】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
当該ギヤ伝動装置が、2以上の伝達ピニオンギヤを備えるように構成され、その各々が、それぞれのピニオンギヤと回転可能に連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項31】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
当該ギヤ伝動装置が、2以上の伝達ピニオンギヤを備えるように構成され、その各々が、半径方向に延びる軸上に回転可能に連結され、かつ半径方向に等間隔で配置されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項32】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリのキャリアが、当該ギヤ伝動装置の外側に配置された静止要素に連結されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項33】
請求項32に記載のギヤ伝動装置において、
前記遊星ギヤアセンブリのキャリアが、外部に配置された静止要素に磁気的に拘束されることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項34】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤおよび前記ピニオンギヤを担持する回転アクスルが、多角形の断面を有することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項35】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤプレートが、ギヤシフトゾーンを有するように構成され、前記ギヤシフトゾーンにおいて、隣接するギヤリングの歯が、前記ギヤプレートの半径に沿って整列されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項36】
請求項35に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤプレートが、2以上のギヤシフトゾーンを有するように構成され、2つの互いに向かい合うギヤシフトゾーンが、前記ギヤプレートの半径に沿って配置されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項37】
請求項35に記載のギヤ伝動装置において、
複数のギヤ歯が、各ギヤシフトゾーンの両側から、各ギヤリングの円形経路に沿って配置され、円形経路に沿った歯が、発散および収束の配置で徐々にシフトされ、前記ギヤシフトゾーンでは、すべてのギヤリングのすべての歯が同軸であり、それらの間に半径方向のシフトがないことを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項38】
請求項35に記載のギヤ伝動装置において、
前記ギヤプレート上のギヤリングの歯が、実質的に弧状の断面を有し、滑らかな歯面を有することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項39】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤが、滑らかに係合するために、前記ギヤリングの歯の形状と相補的な形状を有する歯を備えるように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項40】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤが、スリップすることなく、前記ギヤプレートのギヤリングの歯上を滑らかに転がるように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項41】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
前記伝達ピニオンギヤの歯の長さが、前記ギヤプレートのギヤリングの歯の高さよりも大きく、前記ギヤプレートが、前記伝達ピニオンギヤの歯先面の進入を容易にするために、前記ギヤプレートのギヤリングの歯元円に開口部を有するように構成されていることを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項42】
請求項1に記載のギヤ伝動装置において、
最小のギヤリングおよび最大のギヤリング以外のギヤリングの各歯が、少なくとも2の隣接する歯、より小さいギヤリングの歯およびより大きいギヤリングの歯と接触することを特徴とするギヤ伝動装置。
【請求項43】
動力機械のギヤ伝動装置を駆動する回転動力によって作動される動力機械であって、
前記ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、前記入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された前記遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、前記伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと回転可能に連結されたアクスルに結合された伝達ピニオンギヤとを含み、前記伝達ピニオンギヤが、前記アクスルに沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、前記ギヤプレートが、前記出力シャフトと同軸に連結され、前記ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、前記伝達ピニオンギヤが、前記ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、前記ギヤ比変更機構が、前記伝達ピニオンギヤを前記ギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、前記アクスルが、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、前記伝達プレートの回転方向とは逆方向に前記入力シャフトの中心軸を中心に回転するように構成され、前記入力シャフトおよび前記出力シャフトの一方が、回転動力源に接続可能であり、前記入力シャフトおよび前記出力シャフトの他方が、回転駆動式の動力ユニットに接続可能であることを特徴とする動力機械。
【請求項44】
ギヤ伝動装置を有するように構成された自転車であって、
前記ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、前記入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された前記遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、前記伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと回転可能に連結されたアクスルに結合された伝達ピニオンギヤとを含み、前記伝達ピニオンギヤが、前記アクスルに沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、前記ギヤプレートが、前記出力シャフトと同軸に連結され、前記ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、前記伝達ピニオンギヤが、前記ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、前記ギヤ比変更機構が、前記伝達ピニオンギヤを前記ギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、前記アクスルが、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、前記伝達プレートの回転方向とは逆方向に前記入力シャフトの中心軸を中心に回転するように構成され、前記入力シャフトが、自転車クランクアセンブリによって回転操作可能であり、前記出力シャフトが、自転車後輪のリアハブアセンブリと係合可能であることを特徴とする自転車。
【請求項45】
ギヤ伝動装置を有するように構成された自転車用後輪であって、
前記ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、前記入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された前記遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、前記伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと回転可能に連結されたアクスルに結合された伝達ピニオンギヤとを含み、前記伝達ピニオンギヤが、前記アクスルに沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、前記ギヤプレートが、前記出力シャフトと同軸に連結され、前記ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、前記伝達ピニオンギヤが、前記ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、前記ギヤ比変更機構が、前記伝達ピニオンギヤを前記ギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、前記アクスルが、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、前記伝達プレートの回転方向とは逆方向に前記入力シャフトの中心軸を中心に回転するように構成され、前記入力シャフトが、自転車クランクアセンブリによって回転するように構成可能であり、前記出力シャフトが、当該自転車用後輪のリアハブアセンブリと係合するように構成可能であることを特徴とする自転車用後輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝動装置、およびそのような伝動装置を備えるように構成されたユーティリティユニットを対象とする。
【0002】
背景技術文献
本開示の主題に対する背景として関連すると考えられる文献を以下に挙げる。
・US20190359288
・CN111377034A
・CN111377035A
・US2019300116
・US20110062678
・KR20020066353A
・US7,434,489
【0003】
本明細書における上記文献の確認は、それらが本開示の主題の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景技術】
【0004】
US20190359288は、多段伝動自転車を開示しており、この自転車は、表面に同心円状に形成された複数の伝達ギヤ歯と、外周面に形成された駆動ギヤ歯とを有し、ペダルとともに回転する伝達プレートと;伝達ユニットであって、駆動歯に結合され、回転力の伝達を受けるための入力シャフトと、入力シャフトによって回転するリングギヤと、リングギヤの内側に配置され、太陽ギヤを有し、かつ後輪に結合される出力シャフトと、太陽ギヤおよびリングギヤの内歯に結合されるピニオンギヤと、ピニオンギヤを結合するキャリアと、キャリアに結合されるギヤである駆動ギヤとを含む伝達ユニットと;駆動ギヤの回転方向と駆動ギヤの回転数を変更するための回転数変更モジュールとを備える。
【0005】
CN111377034Aは、自転車に適用されるギヤシフトシステムを開示しており、このシステムは、駆動シャフトを使用して駆動し、走行時の自動ギヤシフト機能を実現することができ、同時に走行中のチェーン脱落や伝動中の高摩擦の問題を回避し、遠心力の原理を利用して、シフトを駆動する遠心力を設定する。複合デバイスはリアタワーのギヤをシフトするギヤプレートに設置され、遠心回転フレームは遠心ハンマーを駆動して付随する運動エネルギーを直線運動に変換し、車速に応じて駆動シャフトのシフトレバーに推力を与え、ペダルシャフトの速度を変更する。後輪伝動装置のギヤポジションは、ライダーがマニュアルギヤレバーの操作に気を取られることなく、道路に対する実際の速度が遠心力デバイス内のシフトレバーを介して押し進められ、適切なギヤを得ることができる。出発や登りの段階、加速や高速段階で自動ギヤシフトを使用することにより、走行中の様々な道路状況に容易かつ楽しく立ち向かうことができ、走行中の道路状況の変化により集中することができ、より楽しく安全に走行することができる。
【0006】
CN111377035Aは、自転車、特に自転車の速度制御システムに関するもので、フロントピボットとリアピボットを含み、ピボットフロントギヤは、リアギヤ、自転車後輪コネクションのリアギヤに設けられたフロントおよびリアピボットに固定され、フロントギヤおよびリアギヤリングが半径方向に多数のリングギヤを有し、速度制御システムは、駆動シャフトをさらに含み、駆動シャフトの前端に接続された駆動シャフト、前側直線歯の後端、直線歯、前側および後側の直線歯と接続された駆動部の後の直線歯、前側および後側の直線歯をスライドするシャフト軸に沿った直線歯は、この発明のスライド駆動構造を駆動するために接続され、速度制御システムは、シンプルで小さなフットプリントを有し、コストを節約することができる。
【0007】
US20110062678は、速度変更装置を有する駆動システムを含むチェーンレス自転車を開示している。第1の変速モードでは、前方ケーブルを時計回りに引っ張ると、フロントピボット部材が回動して前方スリーブが後方に移動し、前方スリーブの第1の歯車部分が第2の歯車を取り除いて第1の歯車に移動して第1の歯車の歯車部分と噛み合い、シャフトの回転により、駆動ギヤ、第1の歯車、第2の歯車、前方スリーブ、駆動シャフト、後方スリーブ、第4の歯車、第2の内側係合部材、第2の外側係合部材、第3の歯車、および後輪とともに回転するリアアクスルが回転する。
【0008】
US2019300116は、前面ギヤと、後面ギヤと、駆動シャフトと、駆動シャフトの第1の端部に結合された前部ローラ歯車アセンブリと、駆動シャフトの第2の端部に結合された後部ローラ歯車アセンブリとを含む自転車駆動システムを開示している。前部ローラ歯車アセンブリおよび後部ローラ歯車アセンブリはともに、1または複数のローラ要素を含む。ローラ歯車アセンブリは、自転車駆動システムが高効率であり、汚れた走行条件で一般的に経験する汚れ、水、汚染物質または他の異物の影響が最小限であるか、またはまったく影響を受けないことを保証する点で有利である。
【0009】
KR20020066353Aは、多段平溝歯車内の垂直ギヤのためのシフト装置が、異物による摩擦に関係なく多段平溝歯車内の垂直ギヤを移動させることによって完全かつ迅速にシフトするとともに、歯車の損傷を防止することによって寿命を延ばすために提供されることを開示している。構成:シフト操作ユニット(3)は、シフト命令がないときの垂直ギヤの軸方向移動を制限するための固定ピン(11)で固定され、シフト接触ユニット(4)が多段フラットリセスギヤ(1)のシフトシルから分離されている。シフト時に固定ピンが取り除かれ、シフト接触ユニットが移動される。シフト接触ユニットの第1の接触部は多段フラットリセスギヤのシフトシルに接触し、第2の接触部はシフト操作ユニットと係合する。多段フラットリセスギヤの回転方向に応じてシフト操作ユニットを移動させることでシフト操作が行われる。過負荷による破損を防止しながら、シフトシステムの寿命を延ばすことができる。
【0010】
US7,434,489は、フロントギヤ面、リアギヤ面、フロントガイドアセンブリ、リアガイドアセンブリ、およびリアハブおよびクランクスピンドルを介してリアサスペンションフレームに結合される駆動シャフトを含む自転車駆動システムを開示している。この自転車駆動システムは、フレームから独立して動作する。あるギヤから別のギヤへのシフトは、シフトコントローラによって制御される。シフトコントローラの各シフトは、フロントおよびリアガイドアセンブリの両方を同時にシフトする。シフトコントローラは、好ましくは、ケーブルシステムを介してフロントおよびリアガイドアセンブリに結合される。
【発明の概要】
【0011】
ギヤ伝動装置は広く使われており、多種多様なギヤ伝動装置が存在する。ギヤ伝動装置の一般的な用途の一つは、自転車のギヤ伝動装置であり、このギヤ伝動装置は、サイクリストがペダルを踏む速度および力と、自転車の車輪が回転する速度の比を変えるために使用されている。ギヤ伝動装置を選択する際に考慮すべき重要なパラメータは、サイズ、出力ギヤ比の数および重量、並びに、耐久性、整備、ギヤシフトの容易さ、電気操作への適応性、付随するシフト機構(例えば、フロントおよびリアディレイラー)などの考慮事項である。
【0012】
本開示の第1の態様によれば、ギヤ伝動装置が提供され、このギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定された遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、ピニオンギヤと回転可能に連結された伝達ピニオンギヤとを含み、伝達ピニオンギヤが、半径方向軸に沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、ギヤプレートが、出力シャフトと同軸に連結され、ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、伝達ピニオンギヤが、ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、ギヤ比変更機構が、伝達ピニオンギヤをギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備える。
【0013】
以下、明細書および特許請求の範囲において、「入力シャフト」および「出力シャフト」という用語は交換可能であり、ギヤ伝動装置のいずれかの側のシャフトを示すために使用されるが、それらは、入力シャフトおよび出力シャフトのいずれか一方に入力回転運動を加えることができ、それぞれの入力シャフトおよび出力シャフトの他方で出力回転運動を伝えることができるように、置き換えることが可能である。
【0014】
本開示の特定の実施例によれば、遊星ギヤアセンブリが、遊星ギヤアセンブリのキャリア上に回転可能に取り付けられた複数の遊星ピニオンギヤを含み、キャリアが回転可能に固定され、すなわち反作用で保持され、太陽ギヤおよびリングギヤが逆方向に回転する。
【0015】
ギヤ伝動装置は、ハウジングをさらに含むことができ、ハウジングは、入力シャフトとともに回転可能であり、かつギヤ比変更機構を収容するように構成され、ピニオンギヤの半径方向軸は、ハウジングの半径方向軸上に延在する。
【0016】
特定の実施形態によれば、ギヤ比変更機構は、互いに独立し、伝達ピニオンギヤを半径方向に変位させるように構成されたアップシフトギヤアセンブリおよびダウンシフトギヤアセンブリを含むことができ、アップシフトギヤアセンブリは、伝達ピニオンギヤをより小さいギヤリングに向けて半径方向内側に変位させるように構成され、ダウンシフトギヤアセンブリは、伝達ピニオンギヤをより大きいギヤリングに向けて半径方向外側へ変位させるように構成されている。
【0017】
別の実施形態によれば、ギヤ比変更機構が、逆方向に、すなわち鏡に写したように動作する2以上のギヤ変更サブアセンブリを含み、その結果、サブアセンブリの伝達ピニオンギヤが、同時にかつ位置合わせされた状態で、互いに向かって、または互いに離れるように移動する。
【0018】
特定の実施形態によれば、ギヤ比変更機構は、伝達プレートの周縁ギヤリングと選択的に係合するように構成可能なギヤ変更ピニオンギヤと、ギヤ変更ピニオンギヤと係合可能な操作ピニオンギヤとをさらに備えるように構成することができ、操作ピニオンギヤはネジ付きロッド上に固定され、それによって、ネジ付きロッドの回転がマニピュレータの変位を伴い、それが、伝達ピニオンギヤの半径方向軸の周りに延びる回転アクスル周りの伝達ピニオンギヤの半径方向の変位を伴う。
【0019】
マニピュレータは、本開示の一実施形態によれば、半径方向内向きまたは半径方向外向きの方向に伝達ピニオンを半径方向に変位させるように構成可能な操作レバーを含む。
【0020】
ギヤ比変更機構は、伝達ピニオンを半径方向に変位させるように構成可能な1または複数の電動マニピュレータを備えることができる。1または複数の電動マニピュレータは、ステップモータ、サーボモータ、ソレノイドなどとすることができる。
【0021】
1または複数の電動マニピュレータは、操作レバーによって伝達ピニオンを半径方向に変位させるように連結されることができる。
【0022】
ハウジングは、1または複数の電動マニピュレータおよび1または複数のそれぞれの動力源を収容するように構成することができる。
【0023】
動力源は、充電可能な電気バッテリとすることができる。バッテリは、無線で(すなわち誘導で)または電気ソケットを介して充電することができる。
【0024】
バッテリは、ハウジングから取り外すことができる。
【0025】
操作レバーは、1方向または2方向にバネ付勢することができる。
【0026】
本開示の第2の態様によれば、ギヤ伝動装置を有するように構成された動力機械が提供され、ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、ピニオンギヤと回転可能に連結された伝達ピニオンギヤとを含み、伝達ピニオンギヤが、半径方向軸に沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、ギヤプレートが、出力シャフトと同軸に連結され、ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、伝達ピニオンギヤが、ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、ギヤ比変更機構が、伝達ピニオンギヤをギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、入力シャフトおよび出力シャフトの一方が、回転動力源に接続可能であり、入力シャフトおよび出力シャフトの他方が、回転駆動式の動力ユニットに接続可能である。
【0027】
本開示の第3の態様によれば、ギヤ伝動装置を備えるように構成された自転車が提供され、ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、ピニオンギヤと回転可能に連結された伝達ピニオンギヤとを含み、伝達ピニオンギヤが、半径方向軸に沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、ギヤプレートが、出力シャフトと同軸に連結され、ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、伝達ピニオンギヤが、ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、ギヤ比変更機構が、伝達ピニオンギヤをギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、入力シャフトが、自転車クランクアセンブリによって回転操作可能であり、出力シャフトが、自転車後輪のリアハブアセンブリと係合可能である。
【0028】
本開示の第4の態様によれば、ギヤ伝動装置を備えるように構成された自転車用の後輪が提供され、ギヤ伝動装置が、入力シャフトおよび同軸の出力シャフトと、入力シャフトに固定的に連結された太陽ギヤを有するように構成された遊星ギヤアセンブリと、周縁ギヤリングを有するように構成された伝達プレートのハブに固定的に連結された遊星ギヤアセンブリのリングギヤと、ギヤ比変更機構であって、伝達プレートの周縁ギヤリングに係合し、かつ半径方向軸を中心に回転可能なピニオンギヤと、ピニオンギヤと回転可能に連結された伝達ピニオンギヤとを含み、伝達ピニオンギヤが、半径方向軸に沿って変位可能であり、かつ回転可能なギヤプレートと係合するように構成されている、ギヤ比変更機構とを備え、ギヤプレートが、出力シャフトと同軸に連結され、ギヤプレートが、その内面において、同軸に配置された複数のギヤリングを有するように構成され、伝達ピニオンギヤが、ギヤプレートのギヤリングと係合可能であり、ギヤ比変更機構が、伝達ピニオンギヤをギヤプレートのギヤリング間で選択的に半径方向に変位させるように構成されたマニピュレータを備え、入力シャフトが、自転車クランクアセンブリによって回転するように構成可能であり、出力シャフトが、自転車用後輪のリアハブアセンブリと係合するように構成可能である。
【0029】
遊星ギヤアセンブリは、遊星ギヤアセンブリのキャリア上に回転可能に取り付けられた複数の遊星ピニオンギヤを含み、キャリアは、自転車フレーム部材に回転自在に固定可能である。特定の構成によれば、遊星ギヤアセンブリのキャリアが、自転車フレームのチェーンステーに固定可能である。
【0030】
ギヤ伝動装置の全幅は、自転車の後輪のハブアセンブリのスプロケット支持部に取り付けるように構成されている。
【0031】
ギヤ伝動装置の直径は、自転車の後輪の直径よりも小さい。
【0032】
自転車用ギヤ伝動装置の入力シャフトは、チェーンまたはベルトまたはロッド伝動装置を介して、クランクアセンブリによって回転可能である。
【0033】
以下の特徴、設計および構成のうちのいずれか1つ以上は、独立して、またはそれらの様々な組合せで、本開示の態様に適用することができる。
・伝達ピニオンギヤは、ピニオンギヤと同軸に回転可能に連結することができる。
・伝達ピニオンギヤは、ピニオンギヤの半径方向軸に対してオフセットされた半径方向軸に沿って変位可能であり、ピニオンギヤに対して回転可能に連結することができる。
・伝達ピニオンギヤは、ギヤプレートの非径方向の弦に沿って変位可能であり、かつピニオンギヤに対して回転可能に連結することができる。
・操作レバーは、電動モータによって作動させることができる。
・操作レバーは、手動シフト機構によって作動させることができる。
・手動シフト機構は、ギヤシフトケーブルとすることができる。
・キャリアは、ギヤ伝動装置を支持する外部フレーム部材に固定することにより、反作用で保持することができる。
・ギヤ伝動装置を壁内に封入して、ギヤ伝動装置を密閉構造とすることができる。
・伝達プレートのギヤリングのハブは、入力シャフトと同軸に延びることができる。
・伝達プレートの周縁ギヤリングは、フェースギヤであり、ギヤリングは、伝達プレートの回転軸と同軸に延びる。
・伝達プレートの周縁ギヤリングは、伝達プレートの面と同一平面上に延びることができる。
・ギヤ伝動装置のギヤリングは、任意のタイプ、例えば、スパーギヤ、ベベルギヤ、ヘリカルギヤ、スパイラルギヤとすることができる。
・太陽ギヤは、入力シャフトと一体であるか、またはそれと一体化することができる。
・リングギヤは、伝達プレートシャフトと一体であるか、またはそれと一体化することができる。
・周縁ギヤリングは、伝達プレートと一体であるか、またはそれと一体化することができる。
・入力シャフトは、ハウジングと一体であるか、またはそれと一体化することができる。
・ギヤ伝動装置は、対応する伝達ピニオンギヤとそれぞれ関連付けられた2以上のギヤ比変更機構を備えるように構成することができる。
・ギヤ伝動装置は、それぞれのピニオンギヤと回転可能にそれぞれ連結された2以上の伝達ピニオンギヤを備えるように構成することができる。
・ギヤ伝動装置は、2以上の伝達ピニオンギヤを備えるように構成することができ、その各々が、半径方向に延びる軸に回転可能に連結され、かつ半径方向に等間隔で配置される。
・遊星ギヤアセンブリのキャリアは、ギヤ伝動装置の外側に配置された静止要素に連結することによって反作用で保持することができる。
・遊星ギヤアセンブリのキャリアは、外部に配置された静止要素に磁気的に連結することによって反作用で保持することができる。
・伝達ピニオンギヤおよびピニオンギヤを担持する回転アクスルは、多角形の断面を有することができる。
・ギヤプレートは、ギヤシフトゾーンを有するように構成することができ、ギヤシフトゾーンでは、隣接するギヤリングの歯が、ギヤプレートの半径に沿って整列される。
・ギヤプレートは、2以上のギヤシフトゾーンを有するように構成することができ、2つの互いに向かい合うギヤシフトゾーンは、ギヤプレートの半径に沿って配置されている。
・各ギヤシフトゾーンの両側から、複数のギヤの歯が、各ギヤリングの円形経路に沿って配置され、円形経路に沿った歯が、発散と収束の配置で徐々にシフトされ、ギヤシフトゾーンでは、すべてのギヤリングのすべての歯が同軸であり、それらの間に半径方向のシフトがない。
・ギヤプレート上のギヤリングの歯は、実質的に弧状の断面を有し、滑らかな歯面を有することができる。
・伝達ピニオンギヤは、滑らかに噛み合うために、ギヤリングの歯の形状と相補的な形状を有する歯を備えるように構成することができる。
・伝達ピニオンギヤは、ギヤプレート上のギヤリングの歯の上を実質的に純粋に転がるように構成される。
・伝達ピニオンギヤの歯の長さは、ギヤプレートのギヤリングの歯の高さよりも大きくすることができ、ギヤプレートは、伝達ピニオンギヤの歯先面の進入を容易にするために、ギヤプレートのギヤリングの歯元円に開口部を有するように構成されている。
・最小のギヤリングおよび最大のギヤリング以外のギヤリングの各歯は、より小さいギヤリングの歯およびより大きいギヤリングの歯の少なくとも2つの隣接する歯に接触することができる。
・出力シャフトは、自転車の後輪のハブアセンブリのスプロケット支持部と一体化することができる。
・動作中、伝達ピニオンギヤを支持するアクスルは、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、ハウジングとともに、伝達プレートの回転方向と反対方向に伝達プレート上で回転し、かつ/またはアクスルは、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、伝達プレートの回転方向と反対方向に入力シャフトの中心軸を中心に回転する。
・動作中、伝達プレートは、入力シャフトの回転方向と反対方向に回転する。
・動作中、出力シャフトプレートは、入力シャフトの回転方向と反対方向に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本明細書に開示の主題をより良く理解し、それが実際にどのように実施され得るのかを例示するために、添付の図面を参照しながら、単なる非限定的な例として、以下に実施形態を説明する。
【
図1】
図1Aは、本開示の一実施例に係るギヤ伝動装置の斜視正面図である。
図1Bは、
図1Aの線分1B-1Bに沿った縦断面図である。
図1Cは、
図1Aの線分1C-1Cに沿った水平断面図である。
【
図5】
図5Aは、装置の内部要素を露出させるためにギヤプレートを取り外した、ギヤ伝動装置の斜視後面図である。
図5Bは、ハウジングおよびギヤ比変更機構を取り外して、伝達プレートおよび遊星ギヤアセンブリを露出させた
図5Aの斜視図である。
図5Cは、
図5Bにおいて5Cと記された部分の拡大図である。
図5Dは、遊星ギヤアセンブリの斜視図である。
【
図6】
図6Aは、
図2Aにおいて6Aと記された部分の拡大図である。
図6Bは、
図5Aにおいて6Bと記された部分の拡大図である。
図6Cは、本開示の一実施例に係るギヤ比変更機構の斜視図である。
図6Dは、装置の内部要素を露出させるために伝達プレートを取り外した、ギヤ伝動装置の斜視正面図である。
図6Eは、
図6Cにおいて6Eと記された部分の反対側の斜視図である。
図6Fは、
図6Cの分解図である。
図6Gは、
図6Bに見られる部分の下部斜視図である。
【
図9】
図9Aは、
図1Bの9Aと記された部分の拡大図であり、ギヤ伝動装置の運動特性を示している。
図9Bは、
図2Bの9Bと記された部分の拡大図であり、ギヤ伝動装置の運動特性を示している。
【
図10】
図10Aは、本開示に係るギヤ伝動装置を取り付けた自転車の部分的な後面図である。
図10Bは、
図10Aにおいて10Bと記された部分の拡大図である。
【
図11】
図11は、伝達プレートを取り外した、ギヤ伝動装置の斜視後面図であり、伝達ピニオンギヤがギヤプレートの最も外側のギヤリングと係合している状態を示している。
【
図12】
図12は、単一の電子ギヤ比変更機構を含む、本開示の一実施例に係る代替的なギヤ比変更機構を露出させるためにギヤプレートを取り外した、ギヤ伝動装置の斜視後面図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施例に係るギヤ伝動装置を封入するケーシングを概略的に示す縦方向の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
最初に、全体が符号20で示される、本開示の一実施例に係るギヤ伝動装置を例示する添付図面を参照する。
【0036】
ギヤ伝動装置20は、入力シャフトがベルトまたはチェーン26(
図10A)によって回転のために係合することができるように、複数のコグ24を有するように構成されたコグ付き入力シャフト22を備える。コグ付き入力シャフト22は、ハウジング28(
図3および
図4の分解図で分離して見られる)と一体であるか、またはハウジングと一体化されている。
【0037】
ハウジング28は、基本的に、30、32、34、36のようないくつかの隔壁によって区画された剛性のリング状部材であり、組み立てた位置で、それら区画は、ギヤ比変更機構(例えば、全体が符号40で示される機構)の構成要素を安全かつ確実に収容する。ハウジング28は、半径方向に向かい合う周縁位置、すなわち頂部および底部に、それぞれ上部の半径方向アクスル支持部42および下部の半径方向アクスル支持部44をさらに備えるように構成され、半径方向アクスル支持部42、44は、ハウジング28の周縁から外側に突出している。さらに、ハウジング28は、ハウジング28の切り欠きに配置され、かつ半径方向アクスル支持部42、44の間に延びる直径と平行に延びる弦の両端部に、2つのピニオンギヤ支持部46、48、および2つのスパーギヤ支持部52、54を備えるように構成されている。
【0038】
さらに、ハウジング28のハブ60は、半径方向アクスル支持部42、44と位置合わせして配置され、ベアリング66を介して半径方向支持部のそれぞれの端部を回転可能に支持するように構成された2つの開口部62、64を備えることに留意されたい。
【0039】
ギヤ伝動装置20は、
図5Bで全体が符号70で示され、
図5Dで分離された、遊星ギヤアセンブリ70をさらに備え、この遊星ギヤアセンブリ70は、(入力シャフトの回転が太陽ギヤ74の回転を伴うように)入力シャフト22と一体であるか、または入力シャフトと一体化された太陽ギヤリング74と、キャリアプレート78上に回転可能に取り付けられた複数(本例では3つ)の遊星ピニオンギヤ76とを備える。キャリアプレート78は、(例えば、
図10Aおよび
図10Bに一例として示すように、拘束ピン82により自転車のディレイラーハンガー80などの外部フレーム部分に固定することによって)回転可能に固定され、すなわち反作用で保持されている。しかしながら、キャリアプレート78は、それ以外の方法で自転車フレームのチェーンステーに固定することができる。また、キャリアプレート78は、他の構成、例えば磁気拘束(図示せず)などによって固定することができることに留意されたい。
【0040】
遊星ピニオンギヤ76は、太陽ギヤ78の外歯86と回転可能に係合するとともに、全体が符号94で示される伝達プレートのハブ90に固定された内歯付きリングギヤ88と回転可能に係合し、ハブ90が伝達プレート94と一体であるか、または一体化されている。伝達プレート94は、その周縁部に周縁ギヤリング96を備え、図示の例では、周縁ギヤリングは、伝達プレートの回転軸と同軸に延びるフェースギヤである。
【0041】
遊星ギヤアセンブリ70の配置では、太陽ギヤ74が入力源として機能し、ピニオンギヤ76が反作用で保持されるキャリアプレート78上で遊び車として回転し、出力回転がリングギヤ88で受けられ、それにより、(例えば、
図5Dの矢印95で示す)太陽ギヤ74の一方向の回転が、(矢印97で示す)反対方向のリングギヤ88の回転を伴うようになっている。
【0042】
図7A~
図7Fに最もよく見られるように、全体が符号100で示される回転可能なギヤプレートは、ギヤプレート部分104と一体であるか、またはそれと一体化された出力シャフト102を備え、この例では、出力シャフト102は、自転車後輪の後部ハブアセンブリ、すなわちハブアセンブリ(図示せず)のスプロケット支持部105と回転係合するように構成することができる。ギヤプレート部分104は、その内面106において、符号110
1~110
20で示される複数(図示の例では20)の同軸ギヤリングを備えるように構成されている。図示の例では、最小のギヤリング110
1が18の歯を備え、最大のギヤリング110
20が60の歯を備える(各ギヤリングは、隣接するより小さいギヤリングよりも2つ多く歯を備える)。
【0043】
図面から分かるように、ブッシュ/ベアリング108のペアは、互いに対して自由に回転することができるように、回転可能なギヤプレート100の出力シャフト102と入力シャフト22との間に配置されている。
【0044】
ギヤプレート100は、ギヤプレート100の直径にわたって軸方向に延びる、向かい合うように配置された2つのギヤシフトゾーン112T、112Bを備え、各ギヤシフトゾーンの両側から、複数のギヤ歯が、各ギヤリング110
1~110
20の円形経路に沿って配置され、円形経路に沿った歯が、発散および収束の配置において、徐々にシフトされ(すなわち、αi<αii<αiii(
図7Dおよび
図7E))、ギヤシフトゾーン112T、112Bでは、すべてのギヤリングのすべての歯が同軸に配置され、それらの間に半径方向のシフトがない。しかしながら、任意の1または複数のギヤシフトゾーンを構成することができ、その各々をギヤプレート100の半径にわたって配置することができることを理解されたい。
【0045】
図7D~
図7Fに最もよく示されるように、すべてのギヤリング110
1~110
20の歯116は、実質的に類似しており、ギヤプレート部分104の内面から突出する実質的に弧状の断面を有するように構成され、すべてが滑らかで連続的な歯面、同一の面幅116
W、同一の面厚116
Tおよび歯間の同一の間隔を有する(
図7F)。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、他の形状のフェースギヤ歯が構成可能であることを理解されたい。
【0046】
ここで、ギヤ比変更機構40の一実施例に目を向けると、それは、向かい合うように配置されたサブアセンブリのペア、すなわち、符号40T、40Bでそれぞれ示される上部サブアセンブリおよび下部サブアセンブリを含むことが分かる。2つのサブアセンブリは同一であり、互いに連動して動作し、完全に同期しており、本明細書で以下に開示するように、選択されたギヤ比で、伝達プレート94からギヤプレート100に回転運動を伝達するように構成されており、サブアセンブリの一方はギヤのアップシフトを担い、サブアセンブリの他方はギヤのダウンシフトを担っている。
【0047】
明確にするために、説明は上部サブアセンブリ40Tに向けられているが、下部サブアセンブリ40Bは、逆さまに配置されて逆方向に動作するが同一であることは明らかである。また、ギヤ伝動装置は、以下に例示するように、他の構成を取ることができることを理解されたい。
【0048】
上部ギヤ比変更機構サブアセンブリ40Tは、多角形(本実施例では六角形)のアクスル120を含み、その半径方向遠位端がハウジング28の上部半径方向アクスル支持部42によって、その半径方向近位端がハウジング28のハブにおける開口部62内で回転可能に支持され、両アクスル支持部42、62は、六角形のアクスル120を滑らかに回転支持するためのベアリング66を備えて構成されている。ピニオンギヤ124は、六角形のアクスル120の頂部(半径方向遠位端)に回転可能に固定され、伝達プレート94の周縁ギヤリング96と常に係合している。伝達ピニオンギヤ126は、アクスルに回転可能に固定されているが、六角形のアクスル120に沿って軸方向に変位可能であり、伝達ピニオンギヤはピニオンギヤ124と回転可能に連結されており、すなわち両者はアクスル120の長手方向軸に沿って回転するように構成されている。
【0049】
伝達ピニオンギヤ126の形状およびサイズは、
図8A~
図8Cを参照して本明細書で以下に説明するように、ギヤリング110
1~110
20のいずれかの歯116と噛み合うように構成されている。
【0050】
上部ギヤ比変更機構サブアセンブリ40Tは、ハウジング28の支持部52によって近位端が回転可能に固定され、ハウジング28の中間部分で支持部ブッシュ39内にあるネジ付きロッド130をさらに含む。ギヤ比変更機構40が上部サブアセンブリ40Tおよび下部サブアセンブリ40Bを含むことに注目すると、ネジ付きロッド130は共通であり、よって、ネジ付きロッド130の下部分134に対して上部分132上のネジ切り方向が反対である。上部ネジ切り部分132の遠位端には、操作ピニオンギヤ138が取り付けられ、この操作ピニオンギヤは、組み立て位置において、ハウジング28のスパーギヤ支持部52の外側に配置されている。このため、この配置では、上部サブアセンブリ40Tと下部サブアセンブリ40Bとが反対方向に、すなわち鏡で写したように動作し、最終的に、2つのサブアセンブリの伝達ピニオンギヤ126が互いに向かって移動するか、または互いに離れるように移動するようになっている。
【0051】
ソレノイド142は、ハウジング28内の支持隔壁間に固定され、ハウジング内に収容された動力源(再充電可能なバッテリ)およびCPU(ともに
図12の構成で見られる)に電気的に接続され、ユーザインタフェース、例えば遠隔操作式のギヤシフトコントロール(図示せず)により制御される。ソレノイド142は、シャフト144を、通常の突出位置と一時的に後退した位置との間で、軸方向に変位させるように構成されている。しかしながら、上部サブアセンブリ40Tおよび下部サブアセンブリ40Bのソレノイドはそれぞれ、後述するように、ギヤアップシフトまたはギヤダウンシフトのいずれかを担うことを理解されたい。
【0052】
操作ピニオンギヤ138と実質的に同一の第1のギヤコグ148が、ピニオンギヤ支持部46においてハウジング28に回転可能に固定され、第1のギヤコグ148は、ピニオンギヤ支持部46に152で固定された付勢板バネ150(
図6Fおよび
図6G)によって時計回りに回転するように付勢され、第1のギヤコグ148は、154(
図6F)でいくつかの歯が欠けており、本明細書において後述するように、ソレノイド142のシャフト144上に固定された拘束アーム160によって拘束可能な横方向ラッチ156を備える。第1のギヤコグ148は、操作ピニオンギヤ138と係合している。通常の静止位置では、拘束アーム160によって横方向ラッチ156が拘束されるとき、第1のギヤコグ148は、歯の欠けた部分が操作ピニオンギヤ138を向くように配置され、それらの間に相互作用が起きないようになっている。
【0053】
第2のギヤ変更ピニオンギヤ164は、第1のギヤコグ148と一体であるか、またはそれと一体化されて、回転ペアを生成し、第2のギヤ変更ピニオンギヤ164は、第1のギヤコグ148の歯の欠けた部分から角度的にシフトされているが、166(
図6F)においていくつかの歯を欠いており、第2のギヤ変更ピニオンギヤ164は、伝達プレート94の周縁ギヤリング96に係合している。通常の静止位置では、拘束アーム160によって横ラッチ156が拘束されるときに、第2のギヤ変更ピニオンギヤ164は、歯の欠けた部分が周縁ギヤリング96に向くように配置され、それにより、それらの間に相互作用が生じないようになっている。
【0054】
ナットのペア(第1のナット170および第2のナット172)は、コイル状の圧縮バネ174、176のペアがそれらの間に配置された状態で、ネジ付きロッド132にネジで取り付けられている。操作レバーの形態のマニピュレータ(ギヤ伝達レバー180)の第1の端部は、2つのコイル状の圧縮バネ174、176の間でネジ付きロッド132に取り付けられ、マニピュレータ(ギヤ伝達レバー180)の反対側の端部は、ベアリング182を介して伝達ピニオンギヤ126を回転可能に保持している。
【0055】
ギヤ比変更機構40の動作は次の通りである。ギヤを変更することが必要になると、コマンド信号(アップシフトまたはダウンシフト)が(例えば、個人によって)CPUに対して生成され、CPUが、上部サブアセンブリ40Tおよび下部サブアセンブリ40Bの一方のそれぞれのソレノイド142に対して制御信号を生成して、一時的に後退させる。アップシフトは、伝達ピニオンギヤを、より小さいギヤリングに向けて半径方向内側に変位させ、ダウンシフトは、伝達ピニオンギヤを、より大きいギヤリングに向けて半径方向外側に変位させることを理解されたい。
【0056】
ギヤアップシフトコマンドが生成されたと仮定すると、CPUは、上部サブアセンブリ40Tのソレノイド142にそれぞれの信号を生成して一時的に後退させ、それにより、付勢された第1のギヤコグ148を、それに固定された第2のギヤ変更ピニオンギヤ164とともに時計回り方向に回転させ、その結果、第2のギヤ変更ピニオンギヤ164のギヤ部分が伝達プレート94の周縁ギヤリング96に係合し、それにより、第1のギヤコグ148の対応する回転、および操作ピニオンギヤ138およびそれに連結されたロッド130の回転(反時計方向)とともに、第2のギヤ変更ピニオンギヤ164が一回転する。
【0057】
ネジ付きロッド130の各回転は、それぞれの第1のナット170および第2のナット172の下方(半径方向内側)への軸方向変位を伴い、その結果、マニピュレータ(ギヤ伝達レバー180)の対応する下方(半径方向内側)への変位が生じ、それに連結された伝達ピニオンギヤ126も半径方向内側に変位して、より小さいギヤリングと係合する。追加のアップシフトコマンドは、上記のような追加の動作シーケンスをもたらし、長いアップシフトコマンドは、ギヤ比がいくつかの比によってアップシフトされ得るように、連続するアップシフト信号を生成する。
【0058】
ギヤダウンシフトは、上部サブアセンブリ40Tのソレノイド142に制御信号を生成するのではなく、必要な変更を加えて、CPUによって下部サブアセンブリ40Bに生成される。
【0059】
注目すべきは、シフト信号が上部サブアセンブリ40Tと下部サブアセンブリ40Bの一方のソレノイドに生成されるとき、上部サブアセンブリ40Tと下部サブアセンブリ40Bの他方のソレノイドはアイドル状態を保ち、操作ピニオンギヤが周縁ギヤリング96と係合することはなく、よって一方のサブアセンブリの動作をそれぞれ妨げることはなく、その逆もまた同様である。そのために、第1のギヤコグ148が静止位置にあるとき、歯の欠けた部分は操作ピニオンギヤ138を向く。しかしながら、ネジ付きロッド130が回転すると、横ラッチ156と操作ピニオンギヤ138とのギヤの噛み合いにより、上部サブアセンブリ40Tと下部サブアセンブリ40Bのどちらが作動したかにかかわらず、上部サブアセンブリ40Tと下部サブアセンブリ40Bの両方の伝達ピニオンギヤ126を軸方向に鏡に写すように(互いに向かうように、または互いに離れるように)変位させる。上述したように、これは、ネジ付きロッド130が一体である(上部分132と下部分134とからなるが、それらが反対のネジ山を有する)ために生じる。
【0060】
組み立て位置では、ギヤプレート100は、ハウジング28に回転可能に固定され、軸方向の離脱が防止され、それによって、出力シャフト102がホイールラチェット105によって支持され、ハウジング28がブッシング/ベアリング108上に支持されている。組み立て位置では、2つの伝達ピニオンギヤ126は、ギヤリング110
1~110
20(
図8A~
図8C)のうちの1つの歯と噛み合っている。ギヤの運動学は、
図9Aおよび
図9Bを参照して説明されている。回転運動が矢印190の方向で入力シャフト22に加えられると、(太陽ギヤリング74と同様に)ピニオンギヤが反対方向に回転し(矢印192)、伝達プレート94の内歯リングギヤ88が同じ方向に回転し(矢印194)、同様に伝達プレート94が回転し(矢印196)、その結果、アクスル120と伝達ピニオンギヤ126はアクスル120の長手方向軸に沿って矢印198の方向で回転する。アクスル120は、その長手方向軸を中心に回転すると同時に、矢印199の方向で、(ハウジング28とともに)伝達プレート94の上を回転することが理解されよう。伝達ピニオンギヤ126は、ギヤリング110
1~110
20のうちの1つの歯116と結合しており、それにより、伝達ピニオンギヤ126の矢印198の方向の回転は、ギヤプレート100、出力シャフト102およびそれに連結されたラチェット機構105の、矢印200の方向の回転運動を伴なう。
【0061】
ギヤがシフトされると、伝達ピニオンギヤがギヤプレートのそれぞれのギヤリングの間を滑らかに半径方向に変位し、それによりギヤの伝達比がそれぞれ変更され、アップシフトは、伝達ピニオンギヤをより小さいギヤリングに向けて半径方向内側に変位させ、ダウンシフトは伝達ピニオンギヤをより大きいギヤリングに向けて半径方向外側に変位させる。伝達ピニオンギヤ126およびギヤリング1101~11020のギヤ歯は、歯数が各ギヤのそれぞれのピッチ円の半径に比例するように設計されており、噛み合うギヤのピッチ円はスリップすることなく互いに滑らかに転がること、すなわちギヤプレート上の任意の2つの歯のピッチは一定で伝達ピニオンギヤ126のピッチと等しいことを理解されたい。
【0062】
図11には、先の例のギヤ伝動装置20が示されているが、伝達ピニオンギヤ126がギヤプレート100の半径方向最外側のギヤリング110
20(しばしば「ラストギヤ」と呼ばれる)に変位され、すなわちギヤ遷移がダウンシフトされている。
【0063】
ここで
図12を参照すると、全体が符号220で示される、本開示の変形例に係るギヤ伝動装置が示されており、前の図面と同様の要素は、200だけシフトされているが、同様の符号で示されている。
【0064】
ギヤ伝動装置220は、基本的にギヤ伝動装置20と同様であり、本開示の原理に従うが、主な相違点は、全体が符号240で示されるギヤ比変更機構にある。上部サブアセンブリ240Tおよび下部サブアセンブリ240B(一方はアップシフト用、他方はダウンシフト用)の代わりに、ギヤ比変更機構240は、ギヤ列345を介して、ネジ付きロッド330に固定的に取り付けられたギヤ347と係合するステップモータ342を含む単一のアセンブリを有するように構成されている。このロッドも、それらのネジ方向に向かい合う上部分332および下部分334からなる。
【0065】
ネジ付きロッド330に取り付けられているのは、コイル状の圧縮バネ374、376の間に配置された2つのギヤ伝達レバー380であり、それらバネは第1のナット370および第2のナット372の間で支持され、各々の伝達レバー380は、それぞれの伝達ピニオンギヤ326を保持し、それら伝達ピニオンギヤはアクスル320に沿って半径方向に軸方向に自由に変位することができ、それによって回転が拘束されている。
【0066】
ギヤ伝動装置220は、動力源、すなわち再充電可能なバッテリ245と、コントローラ、すなわちPCB247とをさらに含む。
【0067】
この配置では、ステップモータ372がPCB247から回転信号を受信していずれかの方向に(アップシフト/ダウンシフトコマンドにそれぞれ応答して)回転し、回転信号がステップモータ372を回転させ、それによりネジ付きロッド330の対応する回転、および2つのギヤ伝達レバー380のそれぞれの変位(鏡で写したような変位)をもたらし、それぞれの伝達ピニオンギヤ326が(同じく鏡で写したように)半径方向にそれぞれ変位することを伴うようになっている。
【0068】
ダウンシフトおよびアップシフトは、ステップモータ372の回転方向によって指示されることが理解されよう。さらに、単一のシフトコマンドは、1つのギヤリングのみのギヤシフトをもたらし、長いシフトコマンドは、複数の比のギヤ変更をもたらし、それは、ギヤリング110
1~110
20(
図12では見られない)に沿った、アクスル320に沿った伝達ピニオンギヤ326の半径方向の変位によってもたらされる。
【0069】
図13には、ギヤ伝動アセンブリ400が示され、このギヤ伝動アセンブリは、本開示の任意の構成に係るギヤ伝動装置402を含み、このギヤ伝動装置402は、ケーシング404内に封入され、このハウジングは、ギヤ伝動装置402全体を包囲するディスク状の形状を有し、入力シャフト406とフリーハブ112(出力シャフト408に連結されている)のみが、ハウジングのハブからその両側で突出し、さらにキャリアプレート拘束ピン414が、遊星ギヤアセンブリのキャリアプレートを回転可能に固定するためにケーシングを通って突き出しているか、またはケーシングに連結されている。このケーシングの配置は、ギヤ伝動装置402を保護するのに有用である。
【国際調査報告】