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特表2023-542554生分解性容器を製造するためのプリフォーム及びそのための樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(54)【発明の名称】生分解性容器を製造するためのプリフォーム及びそのための樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20231002BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20231002BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231002BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20231002BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20231002BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20231002BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231002BHJP
   C08L 25/14 20060101ALI20231002BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
B29C49/06
C08K3/013
C08K5/10
C08K5/053
C08K3/01
C08L63/00
C08L25/14
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518982
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021051725
(87)【国際公開番号】W WO2022066885
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/082,570
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521514831
【氏名又は名称】メレディアン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デューリー,カースン
(72)【発明者】
【氏名】マン,マイケル
【テーマコード(参考)】
4F208
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4F208AA24
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR12
4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG28
4F208LG42
4J002AB043
4J002AE032
4J002BC073
4J002CD003
4J002CF002
4J002CF031
4J002CF181
4J002CF191
4J002DA038
4J002DA046
4J002DE109
4J002DE149
4J002DE239
4J002DJ036
4J002DJ049
4J002DK006
4J002EC056
4J002EK007
4J002ER007
4J002EU227
4J002FD013
4J002FD018
4J002FD019
4J002FD098
4J002FD202
4J002FD203
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GG01
4J200AA04
4J200AA15
4J200AA16
4J200AA17
4J200BA03
4J200BA05
4J200BA12
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA17
4J200BA20
4J200DA17
4J200DA18
4J200EA07
4J200EA10
(57)【要約】
【解決すべき課題】HAベースの材料を容器に成形する際の諸問題を軽減する、PHAベースの材料のためのプリフォームを提供する。
【解決手段】以下の構造を有するランダムモノマー繰り返し単位から誘導されるポリマーを約40~約99重量%含む、生分解性容器用のプリフォームである:
【化1】
(式中、Rは、CH及びC~C19アルキル基からなる群から選択され、ポリマーは、プリフォームの約20~約99重量%を構成し、R=CHであるモノマー単位が、ポリマーの75~99モル%を構成し、プリフォームが、本体を有し、プリフォームの本体全体にわたり均一な壁厚を有する)。また、プリフォームを形成するために適合された樹脂も開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性容器のプリフォームを形成するために適合された樹脂であって:
約0.1~約10重量%の少なくとも1種の核剤と;
約0.05~約3重量%の少なくとも1種の溶融強度向上剤と;
約40~約99重量%の、以下の構造を有するランダムモノマー繰り返し単位から誘導されるポリマー:
【化1】
(式中、Rは、CH及びC~C19アルキル基からなる群から選択され、R=CHである前記モノマー単位は、前記ポリマーの75~99モル%を構成し、前記プリフォームは、前記プリフォームの本体全体にわたって均一な壁厚を有する本体を有する)と、を含む樹脂。
【請求項2】
前記樹脂が、約40~約99重量%のポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーと、約1~約60重量%の追加の添加剤とを含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
前記ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーが、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(P3HB-co-P3HHx)である、請求項2に記載の樹脂。
【請求項4】
前記プリフォームの前記均一な壁厚は、約1.5mm~約5mmの範囲の厚さから選択される、請求項1に記載の樹脂。
【請求項5】
前記プリフォームは、約75mm~約120mmの範囲の長さを有する、請求項1に記載の樹脂。
【請求項6】
再加熱された後の前記プリフォームが、約0.4~約0.5g/mmの範囲の最終質量対高さ比を有する、請求項1に記載の樹脂。
【請求項7】
プリフォームは、PCO1810、PCO1881、30/25、29/25、26mm仕上げ等からなる群から選択される仕上げを有する、請求項1に記載の樹脂。
【請求項8】
前記樹脂は、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセビケート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、及びポリ(ブチレンサクシネート-co-アジペート)、並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを、約1重量%~約60重量%更に含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項9】
前記樹脂は、カーボンブラック、赤外線吸収顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される再加熱剤を、約0.1重量%~約5重量%更に含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項10】
前記樹脂は、炭酸カルシウム、タルク、デンプン、酸化亜鉛、中性アルミナ、及びそれらの混合物からなる群から選択される充填剤を、約0.1重量%~約10重量%更に含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項11】
前記樹脂は、セバシン酸塩;クエン酸塩;アジピン酸と、コハク酸と、グルカル酸との脂肪エステル;乳酸塩;アルキルジエステル;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;炭酸プロピレン;約200~約10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール;数平均分子量が約400~約10,000g/モルのポリ(エチレン)グリコール;植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド誘導体又はそれらの混合物;ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカン酸のモノマー残基を少なくとも18モル%含むポリ(ヒドロキシアルカン酸)コポリマー;及びこれらの混合物からなる群から選択される可塑剤を、最大約15重量%含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項12】
プリフォームが、射出成形プロセス又は圧縮成形プロセスにより製造される、請求項1に記載の樹脂。
【請求項13】
前記樹脂が、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ポリヒドロキシブチレート、窒化硼素、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種の核剤を、約0.1重量%~約10重量%含む、請求項1に記載の樹脂。
【請求項14】
前記樹脂が、多官能性エポキシド;エポキシ官能性、スチレン-アクリルポリマー;有機過酸化物;オキサゾリン;カルボジイミド;及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶融強度向上剤を、約0.05重量%~約3重量%含む、請求項1に記載の樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生分解性容器、特に生分解性容器用プリフォームを製造するための組成物及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチックの危機が叫ばれている中、プラスチックは生物に優しい代替品に置き換えられ続けている。プラスチック問題の大きな原因となっているのが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製の水ボトルである。2017年には1分間に100万本のPET水ボトルが販売されたと推定されている。PETボトルが完全に分解されるのに約450年かかることを考えると、地球はPETボトルで過剰に汚染されつつある。更にPETはリサイクルできるが、アメリカなどの一部の先進国では、使用されたPETボトルのわずかな部分しかリサイクルされておらず、その他の途上国では、リサイクルシステムがまったく存在しない。リサイクルインフラが整っていないこれらの国では、PETボトルはしばしば海洋に流れ、マイクロプラスチックに分解され、海洋生物が餌と間違えて摂取することで、生態系にダメージを与え始める。
【0003】
PETに代わる他のバイオポリマーも利用可能ではあるが、代替品として使い物になるというものはほとんどない。というのは、ポリ(ブチレンサクシネート)のように成形が難しかったり、例えばポリ(乳酸)製のボトルなど、たとえ成形できたとしてもバリア性が非常に悪いものであったりするためである。また、許容できる時間内に分解できるか、又は高温/高圧を使用することなく分解できるバイオポリマーはほとんどない。本明細書で「PHA」と呼ばれるポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、外部の手段を必要とせずに迅速に分解し、成形用に配合できるため、PETの優れた代替品となる。
【0004】
現在、PETボトルの製造は、プリフォームを再加熱射出延伸吹込み成形することで行われている。PETボトルの成形は、1工程又は2工程のいずれかのプロセスで実施することができる。1工程のプロセスでは、プリフォームを所望のネックフィニッシュとプリフォーム形状を持つプリフォーム金型に射出成形する。次に、同じ装置でプリフォームをヒーターで調整し、空気とストレッチロッドを用いてボトル型に吹き込む。2工程のプロセスは同様であるが、プリフォームは、別体の射出プレス機で射出される。射出後、プリフォームは再加熱され、ストレッチロッドと空気でボトル型に吹き込まれる。現在、ほとんどのボトルは2工程のプロセスで作られているが、これは吹込み成形の前にプリフォームを作り、輸送し、保管することで、生産量を最大化することができるからである。
【0005】
吹込み成形の際、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製のボトルや容器のプリフォームは、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱されるが、プリフォームが元の形から変形することはほとんどない。更にPETは再加熱や吹込み成形の際に自己調節されるため、PETベースのプリフォームは通常、プリフォームに沿って異なる厚みを持ち、ボトル金型の必要な部分に材料を移動・分配しやすくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、PHA系材料は室温以下のTgを持ち、PETとは大きく異なる特性を持っている。そのため、PHAプリフォームに柔軟性を持たせるためには、プリフォームをPHAの溶融温度付近で加熱する必要があり、その結果、PHA材料は流動し始めて、プリフォームの当初の設計から変形してしまう。一般的な再加熱延伸吹込み成形の設定において、PET吹込み成形で使用されるプリフォームの設計では、ひとたびPHAプリフォームを、柔軟性を付与するのに必要な温度まで再加熱すると、そのプリフォームは、ほぼ半分のサイズまで収縮してしまう。更にPHAベースの材料にはPET材料のような自己調節性がないため、ひとたび材料が柔軟性を有すると、PHA材料は不規則に流れ、プリフォーム内と最終容器内との材料分布における違いが発生する。PHAプリフォームの不規則な流れが発生すると、プリフォームが薄くなり、吹抜けが発生しやすくなったり、又はPHAプリフォームから作られた容器が、容器全体で厚みのばらつきが生じたりするという問題を生じる。最後に、PHAベースのプリフォーム材料を再加熱する場合、PHA材料が、放射熱のかなりの量を吸収し、厚い部分は薄い部分よりも多くの熱を、柔軟になるためには必要とする。PHA系材料をPET系プリフォームに成形する場合、プリフォームの長さ方向に厚みが異なるため、温度差が生じ、成形プロセス中に材料が吹抜けやすくなる。したがって、必要とされるのは、PHAベースの材料を容器に成形する際の前述の問題を軽減する、PHAベースの材料のためのプリフォームである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みて、PHA材料の成形性を改善する容器用PHAプリフォームが提供される。いくつかの実施形態において、本開示は、生分解性容器用のプリフォームを提供し、プリフォームは、約40~約99重量%の、以下の構造を有するランダムモノマー繰り返し単位から誘導されるポリマー:
【化1】
(式中、Rは、CH及びC~C19アルキル基からなる群から選択され、ポリマーは、プリフォームの約20~約99重量%を構成し、R=CHであるモノマー単位が、ポリマーの75~99モル%を構成し、プリフォームが、本体を有し、プリフォームの本体全体にわたり均一な壁厚を有する)を含む。
【0008】
プリフォームはまた、典型的には、約0.1~約10重量%の少なくとも1種の核剤と、約0.005~約3重量%の少なくとも1種の溶融強度向上剤とを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、約40~約99重量%のポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーと、約1~約60重量%の追加の添加剤とを含む。
【0010】
他の実施形態において、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(P3HB-co-P3HHx)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、プリフォームの均一な壁厚は、約1.5mm~約5mmの範囲の厚さから選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、約75mm~約120mmの範囲の長さを有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、再加熱された後のプリフォームは、約0.4~約0.5g/mmの範囲の最終質量対高さ比を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、PCO1810、PCO1881、3
0/25、29/25、26mm仕上げ等から選択される仕上げを有する。
【0015】
特定の実施形態において、プリフォームは、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ポリヒドロキシブチレート、窒化硼素、及びそれらの混合物から選ばれる、少なくとも1種の核剤を、約0.1重量%~約10重量%含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、生分解性容器及びプリフォームは、多官能性エポキシド;エポキシ官能性、スチレン-アクリルポリマー;有機過酸化物;オキサゾリン;カルボジイミド;及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの溶融強度向上剤を約0.05重量%~約3重量%更に含む。いくつかの実施形態において、溶融強度向上剤の量は、約0.05~約1重量%である。
【0017】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、カーボンブラック、赤外線吸収顔料、及びそれらの混合物から選択される再加熱剤を、約0.1重量%~約5重量%含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、炭酸カルシウム、タルク、デンプン、酸化亜鉛、中性アルミナ、及びそれらの混合物から選択される充填剤を、約0.1重量%~約20重量%含む。いくつかの実施形態において、充填剤の量は、より好ましくは約0.1重量%~約10重量%である。
【0019】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、セバシン酸塩;クエン酸塩;アジピン酸と、コハク酸と、グルカル酸との脂肪エステル;乳酸塩;アルキルジエステル;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;炭酸プロピレン;約200~約10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール;数平均分子量が約400~約10,000g/モルのポリ(エチレン)グリコール;植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド誘導体又はそれらの混合物;ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカン酸のモノマー残基を少なくとも18モル%含むポリ(ヒドロキシアルカン酸)コポリマー;及びこれらの混合物から選択される可塑剤を、最大約15重量%含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、プリフォームは、射出成形プロセス又は圧縮成形プロセスによって製造される。
【0021】
いくつかの実施形態において、プリフォームの本体全体に均一な壁厚を有する本体を有する生分解性プリフォームから、生分解性容器を製造するための方法が提供される。この方法は、再加熱射出延伸吹込み成形、射出吹込み成形、及び射出延伸吹込み成形から選択されるプロセスで容器を形成することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、生分解性プリフォームは、約25mL~約40Lの範囲の体積を有する生分解性容器に成形される。
【0023】
全体に均一な壁厚を有する、本明細書に記載のPHAプリフォームを使用する利点は、均一な壁厚が、加熱及び溶融中にプリフォーム全体にわたって温度を一定に保つのに役立つことである。開示されたプリフォームの別の利点は、プリフォームが比較的短く、比較的高い質量対高さ比を有することである。比較的短く、比較的厚いプリフォームは、再加熱後の変形が少なく、より一貫した再現性のある結果を提供する。また、短くて厚いプリフォームは、プリフォーム全体の材料温度の差が少なく、材料全体に吹き抜けが発生しやすい領域が少なくなるため、吹込み中に容器モールド内の材料の流れをよりよく調整する
ことができる。
【0024】
別の一態様において、本開示はまた、上述の生分解性プリフォームを形成するために適合される樹脂を提供する。この樹脂は、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)及び任意選択的に他のポリマー、並びにプリフォームに関して上述したような他の添加剤で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1-3】本開示による、PHA材料から作られた3つの異なる設計のプリフォーム(実寸大ではない)の断面図である。
図4】所定量のPHA材料から作られた、サイズの異なる第1、第2、及び第3のプリフォームを示す図である。
図5】再加熱前の第1のプリフォームと、再加熱後の第1のプリフォームのいくつかの例とを示す図である。
図6図5の第1のプリフォームから作られた自由吹込み成形物品を示す図である。
図7図5の第1のプリフォームを再加熱する場合の、温度プロファイルを表すグラフである。
図8】再加熱前の第2のプリフォームと、再加熱後の第2のプリフォームのいくつかの例を示す図である。
図9図8の第2のプリフォームから作られた自由吹込み成形物品を示す図である。
図10図8の第2のプリフォームを再加熱する場合の、温度プロファイルを表すグラフである。
図11】再加熱前の第3のプリフォームと、再加熱後の第3のプリフォームのいくつかの例を示す図である。
図12図11の第3のプリフォームから作られた自由吹込み成形物品を示す図である。
図13図11の第3のプリフォームを再加熱する場合の、温度プロファイルを表すグラフである。
図14】再加熱前後の第1、第2、及び第3のプリフォーム間の、サイズ比較を示す図である。
図15】再加熱後の第1、第2及び第3のプリフォームを、互いに横に並べて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、プラスチック容器に容易に加工できる生分解性材料から作られた、プリフォームのニーズに応えるものである。また、生分解性材料及びそれから作られた容器は、生分解性及び/又は堆肥化可能性を向上させた、使い捨て容器のニーズに応えるものである。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ASTM」は、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「アルキル」とは、直鎖状又は分枝状であってよく、置換(一置換又は多置換)又は非置換であってよい、飽和炭素含有鎖を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」とは、一価不飽和(すなわち、鎖中に二重結合が1つ)又は多価不飽和(すなわち、鎖中に二重結合が2つ以上)であってよく、直鎖状又は分岐状であってよく、置換(一置換又は多置換)又は非置換であってよい、炭素含有鎖をいう。
【0030】
本明細書で使用される場合、「PHA」は、下に示す式を有するランダムなモノマー繰り返し単位を有する、本明細書に記載のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を意味する:
【化2】
(式中、Rは、CH及びC~C19アルキル基からなる群から選択される)。RがCHであるモノマー単位は、ポリマーの約75~約99モル%である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「P3HB」は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「P3HHx」は、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)を意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「生分解性」とは、ASTMのD5511(嫌気性及び好気性環境)、ASTMの5988(土壌環境)、ASTMのD5271(淡水環境)、又はASTMのD6691(海洋環境)に従って、化合物が、微生物や自然環境因子によって、最終的にCO及び水、又はバイオマスに完全に分解される能力を意味する。生分解性は、ASTMのD6868及び欧州EN13432を用いて判定することもできる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「堆肥化可能」とは、以下の3つの要件を満たす材料を意味する:(1)当該材料が、固形廃棄物の堆肥化施設で処理できること、(2)当該材料が上記のように処理された場合、最終的に堆肥になること、及び(3)上記の堆肥が土壌に使用される場合、当該材料が、産業及び家庭での堆肥化性に関するASTMのD6400にしたがって、土壌中で最終的に生分解されること。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ガラス転移温度」又は「Tg」は、ポリマーの非晶質領域が脆い、ガラス状状態から、ゴム状で柔軟な形態に変換される点である。
【0036】
本明細書で言及されるすべてのコポリマー組成比は、特にそうではないと具体的に示されない限り、モル比を意味する。
【0037】
特にそうではないと注記されない限り、本明細書で言及される全ての分子量は、ASTMのD5296に従って決定される重量平均分子量である。
【0038】
本開示の目的のために、本明細書に記載のプリフォームは、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)材料から作られるが、モノマー繰り返し単位の少なくとも約50モル%、より好ましくは少なくとも約60モル%;より好ましくは少なくとも約70モル%;より好ましくは少なくとも約75~98モル%、しかし100%未満が、RとしてCHを有する。いくつかの実施形態において、モノマー繰り返し単位のうちの半分未満の部分は、3~19個の炭素原子を含有すアルキル基から選択されるRを有する。したがって、コポリマーは、RとしてC~C19アルキル基であるモノマー繰り返し単位を、約0~約30モル%、好ましくは約1~約25モル%、特により好ましくは約2~約10モル%含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、本開示と共に使用するための好ましいPHAコポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(P3HB-co-P3HHx)である。特定の実施形態において、このPHAコポリマーは、好ましくは、約94~約98モル%の、3-ヒドロキシブチレートである繰り返し単位と、約2~約6モル%の、3-ヒドロキシヘキサノエートである繰り返し単位とから構成される。
【0040】
生分解性PHAの合成法
本明細書に記載のプリフォームの製造に使用される、生分解性PHA材料の生物学的合成法は、適切な生物(天然のもの又は遺伝子操作されたもの)を用い、適切な供給原料(単一成分又は多成分)を用いた発酵によって実施され得る。生物学的合成法はまた、目的のコポリマーを発現するように遺伝子操作された細菌種を用いて、実施されてもよい(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,650,555号を参照されたい)。
【0041】
溶融温度
好ましくは、本発明の生分解性PHAは、約30℃~約170℃、より好ましくは約90℃~約165℃、更により好ましくは約130℃~約160℃の溶融温度(Tm)を有する。
【0042】
成形品
本開示によれば、ポリマー容器は、ポリマー又はコポリマー材料(例えば、PHA)を含む樹脂から形成され、これらは、ガスによって、雌型によって規定される形状に射出成形、圧縮成形、又は吹込み成形される。特に、成形品は、炭酸の液体及び非炭酸の液体、並びに粉末、ペレット、カプセルなどを含むがこれらに限定されない乾燥材料を保持するプラスチックボトルであり得る。
【0043】
熱可塑性材料の射出成形は、PHA樹脂材料が、溶融するまで加熱され、次に密閉された金型に押し込まれて成形され、最後に冷却して固化するという、多工程プロセスである。こうして得られたPHAプリフォームは、開口端と閉塞端とを持つチューブに似ており、開口端にはネジ切りがされることがある。
【0044】
再熱射出延伸吹込み成形が、通常、ボトルやその他の中空物の製造に使用される(EPSE-3を参照)。このプロセスでは、PHAプリフォームを加熱し、密閉された中空の金型に入れる。その後、プリフォームは空気とストレッチロッドによって膨張し、PHA
が金型の壁に押し付けられる。その後、冷却用の空気により、金型内で成形品が固化される。その後、金型が開かれ、成形品が金型から取り出される。
【0045】
吹込み成形は、射出成形よりも容器の作製目的では好まれているが、それは吹込み成形プロセスでは、極めて薄い壁をより容易に作製できるからである。薄肉化は、最終製品に含まれるPHAが少なくなるということを意味し、製造サイクルタイムが短縮できることが多いため、その結果として材料の節約やスループットの向上によるコストダウンが実現される。また、押出吹込み成形も、薄肉容器を製造するために用いられ得る。
【0046】
PHAプリフォーム
PHAプリフォームの設計及び構造は、プリフォームの再加熱挙動、プリフォームの温度プロファイル、及び再加熱後のプリフォームの吹込み性に、大きな影響を与える。プリフォームの厚さ及び長さが、プリフォームの性能にどのように影響するかを決定するために、図1図4に示すような、異なる長さの3つのプリフォーム10、12、及び14を、20gのPHA材料から作製した。プリフォーム10は、81mmの全長L、4.14mmの均一な壁厚T(ねじ端部を除く)、14mmの内径D、及び3.1mmのエンドキャップ厚ECを有していた。プリフォーム12は、101mmの全長L、3.07mmの均一な壁厚T(ねじ端部を除く)、13.1mmの内径D、及び2.5mmのエンドキャップ厚ECを有していた。プリフォーム14は、111mmの全長L、2.72mmの均一な壁厚T(ねじ端部を除く)、13.7mmの内径D、及び2.2mmのエンドキャップ厚ECを有していた。プリフォームを10個の加熱ゾーンを有するオーブンで、プリフォームが、吹込み加工するのに十分な程に柔軟になるまで加熱した。プリフォーム10、12、14の壁厚が異なるため、各プリフォームに対して異なるオーブン温度設定を使用した。オーブン設定は、再現可能な自由吹込みの結果をもたらす最良のオーブン温度を見つけるために、各プリフォームについて微調整された。使用されたオーブン温度設定(各加熱ゾーンのランプの%電力として表示される)は、以下の表に示されている。
【表1】
【0047】
以下の図に示すように、プリフォームを自由吹込みするのに十分な柔軟性を誘発するのに十分な熱を提供するオーブン設定は、プリフォームの変形を招いた。より薄く、より長いプリフォーム12及び14は、全体的なオーブン設定によって証明されるように、より少ない熱を必要とした。プリフォーム14はまた、プリフォームの長さに起因して、エンドキャップを十分に加熱するためにゾーン7を使用することを必要とした。
【0048】
図5は、再加熱前のプリフォーム10A、及び再加熱後のプリフォーム10Aの変形10B~10Fの繰り返し例を示す図である。プリフォーム10は、再加熱時に最小限の収縮を経験したが、それでも図6に図示されるように大きな自由吹込み物品に吹込むことが可能であった。プリフォーム10の変形は小さく、プリフォームが、オーブン内で片側に倒れるようなことはなかった。
【0049】
以下の表2及び図7は、複数のプリフォーム10の異なるゾーンの温度プロファイルを示し、ゾーン1はプリフォームの頂部である。プリフォームの内部温度は、デジタルプログラマブルサーマルセンサーで測定し、プリフォームの外部温度は、前方指向赤外線レーダーカメラ(forward-looking infrared radar camera、FLIR)を用いて測定した。プリフォームの内側は、外側よりも冷たく、また、内側と外側との温度差は、約10℃であり、プリフォーム10の長さ全体にわたって一貫して増加するということが確認された。プリフォームの長さに沿った異なるゾーンについてのプリフォーム10の内部温度(℃)は、以下の表に与えられる。
【表2】
【0050】
上の表に見られるように、プリフォーム内部の温度はプリフォームの全長にわたって一定であり、これにより一貫した柔軟性が得られ、吹抜けが発生しやすい領域を避けることができる。図8は、再加熱前のプリフォーム12A、及び再加熱後のプリフォーム12Aの変形12B~12Fの繰り返し例を示す図である。プリフォーム12は、再加熱後に著しい収縮を経験したが、それでも、図6の自由吹込み物品よりも小さい自由吹込み物品(図9)へと吹込むことができた。プリフォーム12の変形は、プリフォーム10の変形よりも大きかったが、プリフォームが、オーブン内で片側に倒れるという結果には至らなかった。
【0051】
以下の表3及び図10は、複数のプリフォーム12の異なるゾーンの温度プロファイルを示し、ゾーン1はプリフォームの頂部である。プリフォームの内部温度は、プリフォームの頂部に向かうほど冷たく、プリフォームの底部に向かうほど高温であった。プリフォ
ームの長さ全体にわたって温度差があり、その結果、吹抜けが発生しやすい部分があった。プリフォームに弱い部分があると、プリフォームから、図6のような大きな成形品の自由吹込みを成功裏に行うこと、又は容器の吹込み成形を成功裏に行うことの妨げとなる。プリフォームの内部温度と外部温度との差は、プリフォームの長さに沿った場所によって変化した。プリフォームの長さに沿った異なるゾーンについてのプリフォーム12の内部温度(℃)は、以下の表に与えられる。
【表3】
【0052】
図11は、再加熱前のプリフォーム14Aと、再加熱後のプリフォーム14Aの変形状況14B~14Fの繰り返し例を示す図である。プリフォーム14は、再加熱後に著しい収縮及び変形を経験した。プリフォーム14から作られた自由吹込み物品(図12)は、図6及び図9の自由吹込み物品よりも小さかった。プリフォーム14は、再加熱中にオーブンに触れたり、倒れたりすることが繰り返された。より低いオーブン温度を使用することが試みられたが、プリフォーム14を柔軟にすることができないという結果となった。
【0053】
以下の表4及び図13は、複数のプリフォーム14の異なるゾーンの温度プロファイルを示し、ゾーン1はプリフォームの頂部である。再加熱中にプリフォーム14が倒れたり、片側に傾いたりするため、プリフォーム14の温度プロファイルを、信頼性をもって測定することは困難であった。プリフォームの長さに沿った異なるゾーンについてのプリフォーム14の内部温度(℃)は、以下の表に与えられる。
【表4】
【0054】
図14及び15は、再加熱の前後のプリフォーム10、12、及び14の各々の比較を提供する。プリフォーム10とプリフォーム12の本体は、いずれも約46~50mmに縮んだが、プリフォーム14はプリフォームが片側に倒れたりオーブンに触れたりして、信頼性をもって測定することができなかった。
【0055】
前述の実施例に基づいて、プリフォームの設計が、再加熱中のプリフォームの変形を制御するために重要であることが観察された。最も短いプリフォーム10は、背のより高いプリフォーム12及び14よりも変形が少なかったが、まだ柔軟性があり、再加熱後の変形が少なかった。より長いプリフォーム12及び14は、再加熱中の均一性及び再現性に、より問題が多くあった。壁が厚く、丈の短いプリフォーム10は、背の高いプリフォーム12及び14と比較して、より大きなフリー吹込み成形品を作り、再加熱中の吹抜けの傾向がより低かった。プリフォーム10はまた、プリフォーム12及び14よりも高い、再加熱中の材料分布の均一性を有していた。再加熱中、プリフォーム10は、プリフォーム12及び14と比較して、より冷たい内部温度を有していたが、プリフォームの長さ全体にわたって、温度差がより小さかった。プリフォーム12及び14は、再加熱中にプリフォームの長さ全体にわたって、はるかに大きな温度差を有していた。
【0056】
PHAプリフォーム製剤
本開示に従って製造されるPHAプリフォームは、約40~99重量%のポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーと約1~約60重量%のポリマー改質剤とを含むことができる樹脂から形成される。いくつかの実施形態において、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(P3HB-co-P3HHx)である。他の実施形態において、PHA組成物は、ポリ(ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(ヒドロキシデカノエート)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、約25~約50モル%のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む、少なくとも一種のポリ(ヒドロキシプロピル)を約1.0~約15.0重量%含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、PHA樹脂製剤は、セバシン酸塩、クエン酸塩、アジピン酸と、コハク酸と、グルカル酸との脂肪エステル、乳酸塩、アルキルジエステル、クエン酸塩、アルキルメチルエステル、二安息香酸塩、プロピレンカーボネート、200~10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール、400~10,0
00g/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコール、植物油のエステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸塩、グリセロール、イソソルビド誘導体、又はこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤を、約0.5重量%~約15重量%の量で含む。
【0058】
他の実施形態において、PHA樹脂製剤は、好ましくは、硫黄、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イノシトール、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、ポリエステルワックス、2:1;2:1結晶構造化学物質を有する化合物、窒化硼素、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の核剤を、約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1~約20重量%の量で含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、PHA樹脂製剤は、好ましくは、約0~約1重量%、例えば約1~約0.5重量%の溶融強度向上剤/レオロジー調整剤を含む。この溶融強度向上剤は、例えば、多官能性エポキシド;エポキシ官能性の、スチレン-アクリルポリマー;ジ-t-ブチルペルオキシドのような有機過酸化物;オキサゾリン;カルボジイミド;及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0060】
理論に縛られずに言えば、この添加剤は、PHA製剤の溶融強度を高めるための架橋剤として作用すると考えられている。あるいは、いくつかの事例においては、溶融強度向上剤の量は、約0.05~約3重量%である。より好ましい溶融強度向上剤としては、有機過酸化物、エポキシド、及びカルボジイミドを、好ましくは、PHA製剤の約0.05~約0.2重量%の量で含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、PHA樹脂製剤は、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセビケート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、及びポリ(ブチレンサクシネート-co-アジペート)、並びにそれらのコポリマー及びブレンドから選択される、1種以上のパフォーマンス向上ポリマーを含み得る。性能向上ポリマーは、約1~約60重量%の範囲内で、製剤中に存在することができる。いくつかの実施形態において、約0.1~約15重量%のポリ乳酸繊維が、ポリマー製剤に含まれ、ポリマー製剤から作られた容器の構造的支持を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態において、ポリマー配合物は、カーボンブラック又は別の赤外線吸収材料などの再加熱剤を、約0.1~約5重量%含む。他の実施形態において、ポリマーは、炭酸カルシウム、タルク、デンプン、酸化亜鉛、中性アルミナ、及びそれらの混合物から選択される充填剤を、約0.1~約20重量%(好ましくは約0.1~約10重量%)含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、ポリマー製剤は、スリップ剤を含む。最も一般的なスリップ剤は、長鎖の、脂肪酸アミド、例えば、エルカミド及びオレアミドである。1種以上のスリップ剤、例えばステアリン酸カルシウム又は脂肪酸アミドは、典型的にはポリマー製剤に含まれる。製剤に含まれる場合、スリップ剤の量は、ポリマー製剤の総重量に対して約0.1~約3重量%の範囲内であり得る。
【0064】
本開示による生分解性容器用のプリフォームを作るために使用され得る例示的な配合物は、以下の表に示される。
【表5】
【0065】
提供された配合で、プリフォーム配合から製造されたPHA容器は、急速に分解するはずであるが、分解速度は容器の設計に依存し、肉厚の材料は完全に分解するまでに、より
時間がかかる。容器は、TUV Austria Program OK 12に従って分解を受け、少なくとも24ヶ月の貯蔵寿命を有し、ASTMのE96に基づいて決定される約20g/m/日以下の水蒸気透過率を有することが好ましい。容器は、約25mL~約40L以上の範囲の容積を有することができる。
【0066】
また、本開示は、以下の実施形態によって更に説明される:
【0067】
実施形態1.生分解性容器のためのプリフォームであって、該プリフォームが:約0.1~約10重量%の少なくとも1種の核剤と;約0.05~約3重量%の少なくとも1種の溶融強度向上剤と;約40~約99重量%の、以下の構造を有するランダムモノマー繰り返し単位から誘導されるポリマー:
【化3】
(式中、Rは、CH及びC~C19アルキル基からなる群から選択され、R=CHであるモノマー単位は、ポリマーの75~99モル%を構成し、プリフォームは、プリフォームの本体全体に均一な壁厚を有する本体を有している)と、を含む、生分解性容器。
【0068】
実施形態2.プリフォームが、約40~約99重量%のポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーと、約1~約60重量%の追加の添加剤とを含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0069】
実施形態3.ポリ(ヒドロキシアルカノエート)コポリマーが、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(P3HB-co-P3HHx)からなる、実施形態2に記載のプリフォーム。
【0070】
実施形態4.プリフォームの均一な壁厚は、約1.5mm~約5mmの範囲の厚さから選択される、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0071】
実施形態5.プリフォームは、約75mm~約120mmの範囲の長さを有する、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0072】
実施形態6.再加熱された後のプリフォームが、約0.4~約0.5g/mmの範囲の最終質量対高さ比を有する、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0073】
実施形態7.プリフォームは、PCO1810、PCO1881、30/25、29/25、26mm仕上げ等からなる群から選択される仕上げを有する、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0074】
実施形態8.プリフォームは、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセビケート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、及びポリ(ブチレンサクシネート-co-アジペート)、並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを、約1重量%~約60重量%更に含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0075】
実施形態9.プリフォームが、カーボンブラック、赤外線吸収顔料、及びそれらの混合
物からなる群から選択される約0.1重量%~約5重量%の再加熱剤を更に含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0076】
実施形態10.プリフォームは、炭酸カルシウム、タルク、デンプン、酸化亜鉛、中性アルミナ、及びそれらの混合物からなる群から選択される充填剤を、約0.1重量%~約10重量%更に含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0077】
実施形態11.プリフォームは、セバシン酸塩;クエン酸塩;アジピン酸と、コハク酸と、グルカル酸との脂肪エステル;乳酸塩;アルキルジエステル;アルキルメチルエステル;ジベンゾエート;炭酸プロピレン;約200~約10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール;数平均分子量が約400~約10,000g/モルのポリ(エチレン)グリコール;植物油のエステル;長鎖アルキル酸;アジペート;グリセロール;イソソルビド誘導体又はそれらの混合物;ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカン酸のモノマー残基を少なくとも18モル%含むポリ(ヒドロキシアルカン酸)コポリマー;及びこれらの混合物からなる群から選択される可塑剤を、最大約15重量%含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0078】
実施形態12.プリフォームが、射出成形プロセス又は圧縮成形プロセスによって製造される、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0079】
実施形態13.再加熱射出延伸吹込み成形、射出吹込み成形、及び射出延伸吹込み成形からなる群から選択されるプロセスで、容器を成形することを含む、実施形態1に記載の生分解性プリフォームから生分解性容器を製造するための方法。
【0080】
実施形態14.生分解性プリフォームが、約25mL~約40Lの範囲の容積を有する生分解性容器に成形される、実施形態13に記載の方法。
【0081】
実施形態15.プリフォームが、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ポリエステルワックス、ナノクレイ、ポリヒドロキシブチレート、窒化硼素、及びそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の核剤を、約0.1重量%~約10重量%含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0082】
実施形態16.プリフォームは、多官能性エポキシド;エポキシ官能性、スチレン-アクリルポリマー;有機過酸化物;オキサゾリン;カルボジイミド;及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の溶融強度向上剤を、約0.05重量%~約3重量%含む、実施形態1に記載のプリフォーム。
【0083】
本開示に係る好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。それは、網羅的であること、又は開示された正確な形態に本開示を限定することを意図していない。明らかな修正又は変形は、上記の教示に照らして可能である。実施形態は、本開示の原理及びその実用的な応用の最良の例示を提供し、それによって、当業者が、企図される特定の使用に適するように様々な実施形態及び様々な修正を伴って本開示を利用できるようにする努力において選択及び記載されている。すべてのそのような修正及び変形は、添付の請求項が公正に、合法的に、かつ公平に権利を有する幅に従って解釈される場合、それらによって決定される本開示の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】