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  • 特表-箔型コイル用の巻装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】箔型コイル用の巻装方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20231003BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01F41/04 D
H01F30/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518397
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2021129882
(87)【国際公開番号】W WO2023029212
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111011053.X
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515114625
【氏名又は名称】海鴻電気有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】許 凱旋
(72)【発明者】
【氏名】梁 慶寧
(72)【発明者】
【氏名】周 登霊
(72)【発明者】
【氏名】張 淑▲ジン▼
(72)【発明者】
【氏名】周 利波
(72)【発明者】
【氏名】関 輝淋
(72)【発明者】
【氏名】梁 毅雄
(57)【要約】
本発明は、プロセスのステップとして、鉄心を固定し、巻線金型を用意するステップS1と、層毎にコイルに必要な箔材の周長を算出するステップS2と、箔材に所定距離毎に1つの寸法標識を付けるステップS3と、箔材を巻線機に設置するステップS4と、コイルの頭部を固定し、且つ変圧器に1つの基準点を設置するステップS5と、コイルの巻き付けを開始するステップS6と、設定された標準要求に合致するように巻き付けたか否かを検出するステップS7と、コイルの尾部を固定するステップS8と、を含むことを特徴とする箔型コイル用の巻装方法を開示し、この巻装方法は、層毎にコイル巻装の緊密さをコントロールしてコイルの短絡防止能力を確保すると共に、その後の製品生産の材料使用を調整して材料使用の精確化制御を実現することができ、更に後続の製品性能分析に実際データを蓄える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスのステップとして、
鉄心(1)を巻線機に固定し、次に中空構造である巻線金型(2)を用意し、前記巻線金型(2)を鉄心(1)の鉄心脚を挿入するように配置するステップS1と、
前記鉄心(1)、前記巻線金型(2)、箔材(3)及び絶縁材料の実寸法を測定し、層毎にコイル(4)に必要な前記箔材(3)の周長を算出するステップS2と、
前記箔材(3)に所定距離毎に1つの寸法標識(5)を付けるステップS3と、
前記箔材(3)を巻線機に設置するステップS4と、
コイル(4)の頭部を固定し、且つ変圧器に1つの基準点(6)を設置するステップS5と、
前記コイル(4)の巻き付けを開始し、前記コイル(4)を前記基準点(6)まで巻き付けると、前記基準点(6)に位置する箔材から最も近い標識(5)までの距離を測定し、且つこの層のコイル(4)に実際に使用された前記箔材(3)の周長を算出するステップS6と、
ステップS6で実際に使用された前記箔材(3)の周長をステップS2で算出された前記箔材(3)の周長と比較し、設定された標準要求に合致する場合に、巻装を継続し、要求に合致しない場合に、プロセスの標準要求を満たすようになるまで調整するステップS7と、
巻装が完了した後、前記コイル(4)の尾部を固定するステップS8と、を含むことを特徴とする箔型コイル用の巻装方法。
【請求項2】
前記ステップS1における前記巻線金型は左側金型、中部金型及び右側金型を含み、前記中部金型を前記左側金型と前記右側金型との間に接続することを特徴とする請求項1に記載の箔型コイル用の巻装方法。
【請求項3】
前記ステップS3における前記距離が50~100mmであることを特徴とする請求項1に記載の箔型コイル用の巻装方法。
【請求項4】
前記ステップS5における前記基準点(6)を前記コイル(4)の頭部位置に設置することを特徴とする請求項1に記載の箔型コイル用の巻装方法。
【請求項5】
ステップS7における前記標準要求が0~3mmであることを特徴とする請求項1に記載の箔型コイル用の巻装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器の技術分野に関し、特に、箔型コイル用の巻装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器産業の発展に伴い、競争がますます激しくなってきており、各生産企業は、製品の市場競争力を高めるために、自社の製品製造プロセスの革新を重要視し、製品の性能と品質を高め、材料使用量を抑え、生産管理費を低減するようになってきている。
【0003】
変圧器は電力システムにおける主な変電設備として、一定の短絡防止能力を有することを要求されるが、箔型コイルは材料費、人件費、短絡防止性能が線を巻き付けた従来のコイルより優れるので、好まれてきている。
【0004】
箔型コイルの箔材は、一般に長くて使用長さを把握することが困難であることに加えて、その幅が広くて、一般に層毎にコイルが1巻しかないので、箔型コイルの軸方向での短絡力をほとんど無視できるが、箔型コイルの層数が多いため、巻装過程で緊密に巻き付けられないことで層間隙間が発生しやすい。また、箔材が一般に薄くて、短絡が発生したら、短絡力によって箔材が変形、変位しやすい。したがって、箔を巻き付けるコイルの使用量及び巻装過程での緊密さを制御することでコイル材料使用の精確化制御を確保してコイルの短絡防止能力を向上させるためのプロセスが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術に存在する技術的問題の一つを解決することを目的とする。そのため、本発明は、コイル材料使用の精確化制御を確保してコイルの短絡防止能力を向上させる箔型コイル用の巻装方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る箔型コイル用の巻装方法は、プロセスのステップとして、
鉄心を巻線機に固定し、次に中空構造である巻線金型を用意し、前記巻線金型を鉄心の鉄心脚を挿入するように配置するステップS1と、
前記鉄心、前記巻線金型、箔材及び絶縁材料の実寸法を測定し、層毎にコイルに必要な前記箔材の周長を算出するステップS2と、
前記箔材に所定距離毎に1つの寸法標識を付けるステップS3と、
前記箔材を巻線機に設置するステップS4と、
コイルの頭部を固定し、且つ変圧器に1つの基準点を設置するステップS5と、
前記コイルの巻き付けを開始し、前記コイルを前記基準点まで巻き付けると、前記基準点に位置する箔材から最も近い標識までの距離を測定し、且つこの層のコイルに実際に使用された前記箔材の周長を算出するステップS6と、
ステップS6で実際に使用された前記箔材の周長をステップS2で算出された前記箔材の周長と比較し、設定された標準要求に合致する場合に、巻装を継続し、要求に合致しない場合に、プロセスの標準要求を満たすようになるまで調整するステップS7と、
巻装が完了した後、前記コイルの尾部を固定するステップS8と、を含む。
【0007】
本発明の実施例に係る箔型コイル用の巻装方法によれば、少なくとも下記のような有用な効果を有する。この巻装方法は、層毎にコイル巻装の緊密さをコントロールしてコイルの短絡防止能力を確保すると共に、その後の製品生産の材料使用を調整して材料使用の精確化制御を実現することができ、更に後続の製品性能分析に実際データを蓄える。
【0008】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記ステップS1における前記巻線金型は左側金型、中部金型及び右側金型を含み、前記中部金型を前記左側金型と前記右側金型との間に接続する。
【0009】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記ステップS3における前記距離が50~100mmである。
【0010】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記ステップS5における前記基準点を前記コイルの頭部位置に設置する。
【0011】
本発明のいくつかの実施例によれば、ステップS7における前記標準要求が0~3mmである。
【0012】
本発明の付加態様とメリットは、一部が以下の説明に示されるが、一部が以下の説明により明らかになり、又は本発明の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、添付図面と実施例を参照しながら本発明を更に説明する。
【0014】
図1】本発明の巻装構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例は添付図面に示されており、始めから終わりまで、同一或いは類似の符号は同一或いは類似の素子、又は同一或いは類似の機能を有する素子を示す。以下に添付図面を参考して説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0016】
本発明の説明において、方位に関する説明、例えば「上」、「下」などが指す方位或いは位置関係は、図面に基づいて示す方位或いは位置関係であり、本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、その指す装置或いは素子が必ず特定の方位を持ち、特定の方位で構成或いは操作されなければならないとは提示或いは暗示するわけではないので、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0017】
本発明の説明において、「複数」は2つ以上を意味する。「第1」、「第2」と言及した場合、技術的特徴を区分するためのものに過ぎず、相対的重要性を提示又は暗示し、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定し、或いは提示される技術的特徴の前後関係を暗示的に指定するように理解すべきではない。
【0018】
本発明の説明において、別途明確な限定がない限り、「設置」、「取り付け」、「接続」といった技術用語は、広義に理解すべきであり、当業者であれば、技術的解決手段の具体的な内容に応じて上記技術用語の本発明における具体的な意味を理解できる。
【0019】
図1を参照すると、プロセスのステップとして、
鉄心1を巻線機に固定し、次に、中空構造であり、左側金型、中部金型及び右側金型を含み、前記中部金型が前記左側金型と前記右側金型との間に接続される巻線金型2を用意し、前記巻線金型2を鉄心1の鉄心脚を挿入するように配置するステップS1と、
前記鉄心1、前記巻線金型2、箔材3及び絶縁材料の実寸法を測定し、層毎にコイル4に必要な前記箔材3の周長を算出するステップS2と、
前記箔材3に所定距離毎に1つの寸法標識5を付け、前記距離が50~100mmであり、最も好ましくは50mmであるステップS3と、
前記箔材3を巻線機に設置するステップS4と、
コイル4の頭部を固定し、且つ変圧器に1つの基準点6を設置し、基準点6を変圧器の任意位置に設置でき、一般に前記コイル4の頭部位置に設置するステップS5と、
前記コイル4の巻き付けを開始し、前記コイル4を前記基準点6まで巻き付けると、前記基準点6に位置する箔材から最も近い標識5までの距離を測定し、且つこの層のコイル4に実際に使用された前記箔材3の周長を算出するステップS6と、
ステップS6で実際に使用された前記箔材3の周長をステップS2で算出された前記箔材3の周長と比較し、設定された標準要求に合致する場合に、巻装を継続し、要求に合致しない場合に、プロセスの標準要求を満たすようになるまで調整し、前記標準要求が0~3mmであるステップS7と、
巻装が完了した後、前記コイル4の尾部を固定するステップS8と、を含む箔型コイル用の巻装方法である。
【0020】
上記巻装方法は、層毎にコイル4の巻装の緊密さをコントロールしてコイル4の短絡防止能力を確保すると共に、その後の製品生産の材料使用を調整して材料使用の精確化制御を実現することができ、更に後続の製品性能分析に実際データを蓄える。
【0021】
以上、本発明の好ましい具体的実施例を詳細に説明した。当業者であれば、創造的な労力を要することなく本発明の構想に基づいて多種の修正と変更を行えることは理解すべきである。従って、当業者が本発明の構想により従来技術を基に論理解析、推理又は有限の実験を行うことによって得る技術的解決手段は、全て請求の範囲の主張する保護範囲に含まれるものとすべきである。
図1
【国際調査報告】