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特表2023-542590筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231003BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231003BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/204 401F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500399
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2020128859
(87)【国際公開番号】W WO2022099661
(87)【国際公開日】2022-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 智明
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲輝▼
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
(57)【要約】
本発明は筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法を提供し、エネルギー貯蔵デバイスの分野に属する。筐体は冷却装置と複数の壁を含み、複数の壁に囲まれて電池セルを収容するための収容空間が形成され、且つ少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、第1流路は電池セルの熱暴走による排出物を、筐体の外に排出するために用いられる。冷却装置は、第1流路内に設けられ、冷却装置を流れる排出物を冷却するために用いられる。冷却装置は排出物と冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む。冷却構造を設置することにより排出物と冷却装置との接触面積を増大させ、それにより冷却装置は排出物からより多くの熱を奪うことができ、冷却装置の冷却能力を向上させる。温度を低下させる冷却装置の効果はさらにあり、排出物の発火、燃焼の可能性を低下させ、電池の安全性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを含む電池に用いられ、複数の壁と、冷却装置と、を含み、
前記複数の壁に囲まれて前記電池セルを収容するための収容空間が形成され、且つ少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、前記第1流路は前記電池セルの熱暴走による排出物を、筐体の外に排出するために用いられ、
前記冷却装置は、前記第1流路内に設けられ、前記冷却装置を流れる排出物を冷却するために用いられ、
前記冷却装置は前記排出物と前記冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む、筐体。
【請求項2】
前記冷却構造は、前記排出物が通過する第2流路を含む、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記冷却装置の外表面及び/又は前記冷却装置の内部に、前記第2流路が形成される、請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記冷却装置は前記第1流路の延伸方向において対向する第1端及び第2端を含み、前記第2流路は前記第1端及び前記第2端を貫通する、請求項2又は3に記載の筐体。
【請求項5】
前記第2流路は、直線状、曲線状、又は折れ線状に延伸する、請求項2~4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記冷却構造は、互いに独立した複数の前記第2流路を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記冷却装置は複数の冷却管を含み、各冷却管の内部に前記第2流路が形成される、請求項2~6のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項8】
前記冷却構造は、前記第2流路と連通し、前記排出物を滞留させるために用いられる滞留空間をさらに含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項9】
前記冷却構造は、前記第2流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置される複数の滞留空間を含む、請求項8に記載の筐体。
【請求項10】
前記滞留空間は、前記第2流路の延伸方向に垂直な位置から、前記第2流路内の前記排出物の流動方向に向かって傾斜して配置される、請求項8又は9に記載の筐体。
【請求項11】
前記冷却装置は複数の第1冷却部材を含み、
前記複数の第1冷却部材は前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記複数の第1冷却部材に、前記排出物を通過させる第1開口が設けられ、前記複数の第1冷却部材の前記第1開口は連通し、それにより前記第2流路を形成し、各隣接する2つの第1冷却部材の間に前記滞留空間が形成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項12】
前記冷却装置は複数の第2冷却部材を含み、
前記複数の第2冷却部材は前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記複数の第2冷却部材に、前記排出物を通過させる第2開口が設けられ、各隣接する2つの冷却部材の前記第2開口は、それぞれの、前記第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、前記複数の第2冷却部材の前記第2開口は連通し、それにより前記第2流路を形成する、請求項2に記載の筐体。
【請求項13】
前記第1流路内に設けられ、前記電池セルが熱暴走した時に前記第1流路内に消防媒体を放出するように構成される消防機構をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項14】
前記消防機構は、前記第1流路内の前記排出物の流動方向において、前記冷却装置の下流又は上流に位置し、又は、前記消防機構と前記冷却装置は、前記流動方向に垂直な方向に積み重ねて配置される、請求項13に記載の筐体。
【請求項15】
前記第1流路内に設けられ、前記第1流路内の排出物の情報パラメータを検出するために用いられる検出装置をさらに含み、
前記消防機構は、前記情報パラメータが予め設定された値に達した時に、前記第1流路内に前記消防媒体を放出するために用いられる、請求項13又は14に記載の筐体。
【請求項16】
前記第1流路内に設けられ、前記排出物と前記消防媒体が前記第1流路から排出される前に混合するための混合装置をさらに含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項17】
前記混合装置は、前記排出物及び前記消防媒体を遮断し、流動方向を変化させることにより、前記排出物と前記消防媒体が、前記第1流路から排出される前に混合するための遮断構造を含む、請求項16に記載の筐体。
【請求項18】
前記遮断構造は複数の遮断部材を含み、
前記複数の遮断部材は、前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をおいて配置され、各前記遮断部材に第3開口が設置され、各隣接する2つの前記第3開口は、それぞれの、前記第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置される、請求項17に記載の筐体。
【請求項19】
前記遮断構造の前記第1流路の延伸方向における投影は、前記第1流路の前記延伸方向における投影を覆う、請求項17又は18に記載の筐体。
【請求項20】
前記遮断構造はスクリューブレードを含み、前記スクリューブレードの中心線は、前記第1流路の中心軸と重なり又は平行である、請求項17~19のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項21】
前記遮断構造は複数のスクリューブレードを含み、前記複数のスクリューブレードは前記第1流路の延伸方向に沿って配置され、且つ各隣接する2つのスクリューブレードの回転方向は逆である、請求項17~20のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項22】
少なくとも1つの壁の内部に、延伸方向が同じである複数の第1流路が形成され、
前記複数の第1流路における各2つの第1流路は互いに独立しており、又は、
前記複数の第1流路のうちの少なくとも2つの第1流路は連通している、請求項1~21のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項23】
前記複数の第1流路のうちの少なくとも2つの第1流路は連通しており、前記排出物は、少なくとも2つの前記第1流路内の前記冷却装置を順に流れた後に前記筐体の外に排出される、請求項22に記載の筐体。
【請求項24】
前記第1流路は入口を含み、
前記入口にスペーサが設けられ、前記スペーサは前記電池セルが熱暴走した時に前記入口を開くように配置され、それにより前記排出物は前記入口を通過して前記第1流路内に入ることができる、請求項1~23のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項25】
セパレータは、前記電池セルが熱暴走した時に破壊されて、前記入口を開けるように配置される、請求項24に記載の筐体。
【請求項26】
さらに減圧機構を含み、
前記第1流路は出口を含み、前記減圧機構は前記出口に設けられ、減圧機構は前記電池セルが熱暴走した時に前記出口を開き、それにより前記第1流路内の排出物は前記出口を通して前記筐体から排出される、請求項1~25のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項27】
電池セルと、請求項1~26のいずれか一項に記載の筐体と、を含み、前記電池セルは前記収容空間内に収容される電池。
【請求項28】
請求項27に記載の電池を含む、電力消費装置。
【請求項29】
電池セルを提供するステップと、筐体を提供するステップと、前記電池セルを収容空間内に収容するステップと、を含み、
前記筐体は、複数の壁と、冷却装置と、を含み、
前記複数の壁に囲まれて電池セルを収容するための収容空間が形成され、且つ少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、前記第1流路は電池セルの熱暴走による排出物を、前記筐体の外に排出するために用いられ、
前記冷却装置は、前記第1流路内に設けられ、前記冷却装置を流れる排出物を冷却するために用いられ、
前記冷却装置は前記排出物と前記冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む、電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵デバイスの分野に関し、特に、筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展におけるキーポイントである。このような状況において、電動車両は省エネルギーで環境に優しいというその利点から、自動車産業の持続可能な発展における重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させる以外に、安全上の問題も無視できない課題である。従って、電池の安全性をどのように強化するかは、電池技術における早急に解決すべき技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は電池の安全性を向上させる筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法を提供する。
【0005】
第1態様によれば、本願の実施例は、電池セルを含む電池に用いられ、複数の壁と、冷却装置と、を含み、前記複数の壁に囲まれて前記電池セルを収容するための収容空間が形成され、且つ少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、前記第1流路は前記電池セルの熱暴走による排出物を、前記筐体の外に排出するために用いられ、前記冷却装置は、前記第1流路内に設けられ、前記冷却装置を流れる排出物を冷却するために用いられ、前記冷却装置は前記排出物と前記冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む筐体を提供する。
【0006】
上記解決手段において、筐体内の少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、筐体内に位置する電池セルの熱暴走による排出物は第1流路を通して筐体の外に排出することができる。第1流路内に冷却装置が設けられ、排出物が第1流路内の冷却装置を流れる時、冷却装置は排出物と熱交換を行い、排出物を冷却し、排出物の温度を下げるという目的を達成する。冷却装置は冷却構造を含み、冷却構造を設置することにより排出物と冷却装置との接触面積を増大させ、それにより冷却装置は排出物からより多くの熱を奪うことができ、冷却装置の冷却能力を向上させる。温度を低下させる冷却装置の効果はさらにあり、排出物の発火、燃焼の可能性を低下させ、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記冷却構造は、前記排出物が通過する第2流路を含む。
【0008】
上記解決手段において、冷却構造は排出物が通過する第2流路を含み、すなわち、冷却装置は第2流路を設置する方式によって冷却装置と煙道ガスとの接触面積を増大させることができ、これは構造がシンプルである。排出物が冷却装置を流れる過程で、排出物は第2流路内を流れ、これは冷却装置が排出物を冷却することに有利である。
【0009】
いくつかの実施例において、前記冷却装置の外表面及び/又は前記冷却装置の内部に、前記第2流路が形成される。
【0010】
上記解決手段において、冷却装置の外表面に第2流路を形成することができ、これは第2流路の成形を容易にする。又は冷却装置内に第2流路を形成することもでき、この場合排出物が冷却装置を流れる過程で、排出物は冷却装置の内部で方向を決めて流すことができる。なお、冷却装置の外表面と冷却装置の内部にいずれも第2流路を形成して、それにより冷却装置を十分に利用し、冷却装置と排出物との接触面積をできるだけ大きくすることもできる。
【0011】
いくつかの実施例において、前記冷却装置は前記第1流路の延伸方向において対向する第1端及び第2端を含み、前記第2流路は前記第1端及び前記第2端を貫通する。
【0012】
上記解決手段において、第2流路は、冷却装置の延伸方向に対向する第1端及び第2端を貫通し、すなわち、排出物が冷却装置を流れる過程で、排出物は冷却装置の一端から流入し、他端から流出し、排出物が第1流路内を流れる時間を増加させ、すなわち排出物と冷却装置との接触時間を増加させることができ、排出物と冷却装置との熱交換時間がより長くなり、冷却装置の冷却による温度を下げる能力を向上させる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記第2流路は、直線状、曲線状、又は折れ線状に延伸する。
【0014】
上記解決手段において、第2流路は直線状であってもよく、このような構造の第2流路は成形が容易であり、加工コストが低い。第2流路は曲線状又は折れ線状であってもよく、このような構造の第2流路は第2流路内の排出物の流路を長くし、排出物と冷却装置との接触時間をさらに増加させる。
【0015】
いくつかの実施例において、前記冷却構造は、互いに独立した複数の前記第2流路を含む。
【0016】
上記解決手段において、冷却装置は互いに独立した複数の第2流路を含むことができ、全ての第2流路を排出物が通過して、排出物が冷却装置を流れる過程で第2流路のより多くの壁面と接触させるようにすることができ、冷却装置の冷却による温度を下げる能力を向上させる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記冷却装置は複数の冷却管を含み、各冷却管の内部に前記第2流路が形成される。
【0018】
上記解決手段において、冷却装置は複数の冷却管を含み、各冷却管の内部に第2流路が形成され、すなわち、内部に第2流路が形成された複数の冷却管を冷却装置として利用し、それにより排出物を冷却することができ、これは全体構造がシンプルである。また、冷却管の間にさらに、排出物が通過する隙間を形成することができ、すなわち、排出物が冷却装置を流れる過程で、排出物は冷却管の内壁に接触するだけでなく、冷却管の外壁にも接触し、このような構造の冷却装置は、排出物に対してより良好な冷却による温度を下げる能力を有する。
【0019】
いくつかの実施例において、前記冷却構造は滞留空間をさらに含み、前記滞留空間は前記第2流路と連通し、前記滞留空間は前記排出物を滞留させるために用いられる。
【0020】
上記解決手段において、滞留空間は排出物に対する滞留作用を果たすことができ、排出物が第2流路内を流れる時、排出物は滞留空間内に流入し、排出物を滞留空間内に一時的に滞留させることができ、排出物と冷却装置の熱交換時間を延長する。
【0021】
いくつかの実施例において、前記冷却構造は、前記第2流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置される複数の滞留空間を含む。
【0022】
上記解決手段において、冷却構造は第2流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置される複数の滞留空間を含み、排出物が第2流路内を流れる過程で、排出物は複数の滞留空間内に入り、複数の滞留空間は排出物を複数回滞留させることができ、排出物と冷却装置の熱交換時間をさらに延長する。
【0023】
いくつかの実施例において、前記滞留空間は、前記第2流路の延伸方向に垂直な位置から、前記第2流路内の前記排出物の流動方向に向かって傾斜して配置される。
【0024】
上記解決手段において、滞留空間が傾斜して配置されることにより、排出物が第2流路内から滞留空間内に流入しやすく、滞留空間から第2流路内には流入しにくく、それにより排出物の滞留空間内での滞留時間を延長する。
【0025】
いくつかの実施例において、前記冷却装置は複数の第1冷却部材を含み、前記複数の第1冷却部材は前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記複数の第1冷却部材に、前記排出物を通過させる第1開口が設けられ、前記複数の第1冷却部材の前記第1開口は連通し、それにより前記第2流路を形成し、各隣接する2つの第1冷却部材の間に前記滞留空間が形成される。
【0026】
上記解決手段において、冷却装置は第1流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置された複数の冷却部材を含み、複数の冷却部材の第1開口は第2流路を形成し、各隣接する2つの第1冷却部材の間に滞留空間が形成され、このような構造の冷却装置は構造がシンプルであり、第1流路及び滞留空間の成形の難度を効果的に低下させる。
【0027】
いくつかの実施例において、前記冷却装置は複数の第2冷却部材を含み、前記複数の第2冷却部材は前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、前記複数の第2冷却部材に、前記排出物を通過させる第2開口が設けられ、各隣接する2つの冷却部材の前記第2開口は、それぞれの、前記第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、前記複数の第2冷却部材の前記第2開口は連通し、それにより前記第2流路を形成する。
【0028】
上記解決手段において、各隣接する2つの第2冷却部材の第2開口は、それぞれの、第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置されることにより、第2流路を蛇行させて配置し、排出物は1つの第2冷却部材の第2開口を通過した後、次の第2冷却部材の遮断作用で流動方向が変化し、排出物の流動経路が長くして、排出物と冷却装置の熱交換時間を延長させる。
【0029】
いくつかの実施例において、前記筐体は、前記第1流路内に設けられ、前記電池セルが熱暴走した時に前記第1流路内に消防媒体を放出するように配置される消防機構をさらに含む。
【0030】
上記解決手段において、消防機構は電池セルが熱暴走した時に第1流路内に消防媒体を放出することができ、消防媒体を排出物と混合して、排出物の温度を下げ、排出物の濃度を低下させることにより、難燃の目的を達成する。
【0031】
いくつかの実施例において、前記消防機構は、前記第1流路内の前記排出物の流動方向において、冷却装置の下流又は上流に位置する。又は、前記消防機構と前記冷却装置は、前記流動方向に垂直な方向に積み重ねて配置される。
【0032】
上記解決手段において、消防機構は冷却装置の下流に設置されてもよく、電池セルの熱暴走による排出物を冷却装置に流して冷却してから、消防機構から放出された消防媒体と混合することができる。消防機構は冷却装置の上流に設置されてもよく、電池セルの熱暴走による排出物を、まず消防機構から放出された消防媒体と混合してから、冷却装置に流して冷却することができる。なお、消防機構と冷却装置は排出物の第1流路内の流動方向に垂直な方向に積み重ねて配置することができ、それにより全体構造をよりコンパクトにして、空間を節約する。
【0033】
いくつかの実施例において、前記筐体は、前記第1流路内に設けられ、前記第1流路内の排出物の情報パラメータを検出するために用いられる検出装置をさらに含む。
【0034】
前記消防機構は、前記情報パラメータが予め設定された値に達した時に、前記第1流路内に前記消防媒体を放出するために用いられる。
【0035】
上記解決手段において、消防機構は、検出装置が第1流路内の排出物の情報パラメータが予め設定された値に達したことを検出した場合、消防機構は第1流路内に消防媒体を放出し、消防機構による消防媒体の放出を実現する。
【0036】
いくつかの実施例において、前記筐体は、前記第1流路内に設けられ、前記排出物と前記消防媒体が前記第1流路から排出される前に混合するための混合装置をさらに含む。
【0037】
上記解決手段において、第1流路内の混合装置は排出物と消防媒体とを第1流路から排出する前に混合することができ、排出物と消防媒体をより十分に混合して、濃度が局所的に高すぎるリスクを低下させる。
【0038】
いくつかの実施例において、前記混合装置は、前記排出物及び前記消防媒体を遮断し、流動方向を変化させることにより、前記排出物と前記消防媒体が前記第1流路から排出される前に混合するための遮断構造を含む。
【0039】
上記解決手段において、混合装置における遮断構造は、排出物と消防媒体を遮断し、流動方向を変化させる方式により、排出物と消防媒体を混合し、排出物と消防媒体をより十分に混合する。
【0040】
いくつかの実施例において、前記遮断構造は複数の遮断部材を含み、前記複数の遮断部材は、前記第1流路の延伸方向に沿って間隔をおいて配置され、各前記遮断部材に第3開口が設置され、各隣接する2つの前記第3開口は、それぞれの、前記第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置される。
【0041】
上記解決手段において、各隣接する2つの遮断部材の第3開口はそれぞれの、第1流路の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、排出物と消防媒体は1つの遮断部材の第3開口を通過してから、排出物と消防媒体は次の遮断部材の遮断作用で流動方向が変化し、遮断部材の遮断作用を利用して排出物と消防媒体を十分に混合し、このような複数の遮断部材を用いる遮断構造は構造形式が簡単であり、排出物と消防媒体に対して良好な混合効果を発揮することができる。さらに、このような構造の遮断部材は、排出物と消火媒体の流路を長くし、排出物に対する冷却効果を強化することができる。
【0042】
いくつかの実施例において、前記遮断構造の前記第1流路の延伸方向における投影は、前記第1流路の前記延伸方向における投影を覆う。
【0043】
上記解決手段において、遮断構造の第1流路の延伸方向における投影は、第1流路の延伸方向における投影を覆い、このような構造の遮断構造は排出物及び消防媒体に対してより良好な遮断作用を果たし、排出物と消防媒体をより十分に混合させる。
【0044】
いくつかの実施例において、前記遮断構造はスクリューブレードを含み、前記スクリューブレードの中心線は、前記第1流路の中心軸と重なり又は平行である。
【0045】
上記解決手段において、排出物と消防媒体がスクリューブレードを流れる時、排出物と消防媒体はスクリューブレードの作用で螺旋を呈して流動し、排出物と消防媒体をスクリューブレードの作用で十分に混合させる。
【0046】
いくつかの実施例において、前記遮断構造はスクリューブレードを含み、前記複数のスクリューブレードは前記第1流路の延伸方向に沿って配置され、且つ各隣接する2つのスクリューブレードの回転方向は逆である。
【0047】
上記解決手段において、遮断構造における各隣接する2つのスクリューブレードの回転方向が逆であることにより、排出物と消防媒体が遮断構造を流れる過程で、排出物と消防媒体は異なる回転方向のスクリューブレードの作用で異なる回転方向の螺旋を呈して流動し、遮断構造が排出物と消防媒体をより十分に混合する。
【0048】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの壁の内部に、延伸方向が同じである複数の第1流路が形成され、前記複数の第1流路における各2つの第1流路は互いに独立しており、又は、前記複数の第1流路のうちの少なくとも2つの第1流路は連通している。
【0049】
上記解決手段において、筐体の壁の内部に、延伸方向が同じである複数の第1流路が形成される場合、各2つの第1流路は互いに独立していてもよく、少なくとも2つの第1流路が連通していてもよい。各2つの第1流路が互いに独立している場合、排出物は各第1流路内を流れる過程で互いに干渉せず、少なくとも2つの第1流路が連通している場合、1つの第1流路内に入った排出物は、該第1流路と連通する他の第1流路内に入ってもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、前記複数の第1流路のうちの少なくとも2つの第1流路は連通しており、前記排出物は、前記少なくとも2つの第1流路内の前記冷却装置を順に流れた後に前記筐体の外に排出されることができる。
【0051】
上記解決手段において、少なくとも2つの第1流路が連通している場合、排出物は、少なくとも2つの第1流路内の冷却装置を順に流れた後に筐体の外に排出され、排出物が筐体の中から筐体の外に至る過程で、排出物は異なる第1流路内の複数の冷却装置によって冷却され、排出物の温度を下げる効果がより高い。
【0052】
いくつかの実施例において、前記第1流路は入口を含み、前記入口にスペーサが設けられ、前記スペーサは前記電池セルが熱暴走した時に前記入口を開くように配置され、それにより前記排出物は前記入口を通過して前記第1流路内に入ることができる。
【0053】
上記解決手段において、第1流路の入口にスペーサが設けられ、正常な状態(電池セルが熱暴走していない)で、スペーサは筐体の収容空間内の粒子が第1流路内に入ることを防止して、第1流路の入口が粒子で塞がれるリスクを低下させることができる。電池セルが熱暴走した場合、スペーサは第1流路の入口を開くことができ、それにより電池セルの熱暴走による排出物は入口から第1流路内にスムーズに入る。
【0054】
いくつかの実施例において、前記セパレータは、前記電池セルが熱暴走した時に破壊されて、前記入口を開けるように配置される。
【0055】
いくつかの実施例において、前記筐体はさらに減圧機構を含み、前記第1流路は出口を含み、前記減圧機構は前記出口に設けられ、減圧機構は前記電池セルが熱暴走した時に前記出口を開き、それにより前記第1流路内の排出物は前記出口を通して前記筐体から排出される。
【0056】
上記解決手段において、第1流路の出口に減圧機構が設置され、正常な状況で、減圧機構は圧力を平衡させる役割を果たすことができる。電池セルが熱暴走した時、減圧機構は第1流路の出口を開き、排出物を筐体の外へスムーズに排出することができる。
【0057】
第2態様によれば、本願の実施例は、電池セルと、第1態様又は第1態様のいずれかの実施例が提供する筐体と、を含み、前記電池セルは前記収容空間内に収容される電池を提供する。
【0058】
上記解決手段において、電池内の筐体内の冷却装置は、排出物と冷却装置との接触面積を増大させることができる冷却構造を有するため、冷却装置はより高い冷却効果を有し、排出物の発火、燃焼の可能性を低下させ、電池の安全性を向上させる。
【0059】
第3態様によれば、本願の実施例は、第2態様で提供される電池を含む電力消費装置を提供する。
【0060】
第4態様によれば、本願の実施例は、電池セルを提供するステップと、筐体を提供するステップと、前記電池セルを前記収容空間内に収容するステップと、を含み、前記筐体は、複数の壁と、冷却装置と、を含み、前記複数の壁に囲まれて電池セルを収容するための収容空間が形成され、且つ少なくとも1つの壁の内部に第1流路が形成され、前記第1流路は電池セルの熱暴走による排出物を、前記筐体の外に排出するために用いられ、前記冷却装置は、前記第1流路内に設けられ、前記冷却装置を流れる排出物を冷却するために用いられ、前記冷却装置は前記排出物と前記冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む電池の製造方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するめに、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に説明し、理解すべきことは、以下に示された図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【0062】
図1】本願のいくつかの実施例に係る車両の構造概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造概略図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る筐体の構造概略図である。
図4】本願の別の実施例に係る筐体の構造概略図である。
図5図3に示すいくつかの実施例に係る筐体のA-A断面図である。
図6図3に示す別の実施例に係る筐体のA-A断面図である。
図7図3に示すいくつかの実施例に係る筐体のB-B断面図である。
図8図3に示す別の実施例に係る筐体のB-B断面図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る冷却装置が第1流路内に配置される構造概略図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る冷却装置の断面図である。
図11】本願の別の実施例に係る冷却装置の断面図である。
図12】本願のさらに別の実施例に係る冷却装置の断面図である。
図13図11に示すいくつかの実施例に係る冷却装置のC-C断面図である。
図14図11に示す別の実施例に係る冷却装置のC-C断面図である。
図15図11に示すさらに別の実施例に係る冷却装置のC-C断面図である。
図16】本願のさらに別の実施例に係る冷却装置の断面図である。
図17】本願の別の実施例に係る冷却装置の断面図である。
図18】本願のいくつかの実施例に係る冷却装置が第1流路内に配置される断面図。
図19】本願の別の実施例に係る冷却装置が第1流路内に配置される構造概略図である。
図20】本願のさらに別の実施例に係る冷却装置が第1流路内に配置される構造概略図である。
図21】本願の別の実施例に係る冷却装置が第1流路内に配置される構造概略図である。
図22】本願のいくつかの実施例に係る消防機構及び冷却装置が第1流路内に配置される概略図である。
図23】本願の別の実施例に係る消防機構及び冷却装置が第1流路内に配置される概略図である。
図24】本願のさらに別の実施例に係る消防機構及び冷却装置が第1流路内に配置される概略図である。
図25】本願のいくつかの実施例に係る消防機構の制御原理図である。
図26図22図24に示す消防機構の構造概略図である。
図27】本願のいくつかの実施例に係る消防機構、冷却装置及び混合装置が第1流路内に配置される構造概略図である。
図28】本願のいくつかの実施例に係る遮断構造の構造概略図である。
図29】本願の別の実施例に係る遮断構造の構造概略図である。
図30図29に示す遮断機構のD矢視図である。
図31】本願のいくつかの実施例に係る電池の製造方法の概略フローチャートである。
【0063】
図面において、図面は実際の比率に従って描かれたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0065】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願において出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。本願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0066】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所に該「実施例」という語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0067】
本願の記載において説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0068】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0069】
本願の実施例において、同一の符号は同一の部材を示し、異なる実施例においては、簡潔にするために同一の部材の詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さ、幅等の寸法、及び集積装置の全体の厚さ、長さ、幅等の寸法は例示的な説明に過ぎず、本願を何ら限定するものではない。
【0070】
本願に出現する「複数」は2つ以上(2つを含む)を指す。
【0071】
本願の実施例において、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含むことができ、本願の実施例はこれに限定されない。電池セルは円筒、扁平体、直方体、又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれにも限定されない。電池セルは一般的にパッケージの方式により円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれにも限定されない。
【0072】
本願の実施形態で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ以上の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。電池は、一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充放電に影響を及ぼすことを防止する。
【0073】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータで構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極シートと負極シートとの間を移動することによって動作する。正極シートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極シートは負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコン等であってもよい。大電流によって溶断が発生しないことを保証するために、正極タブの数は複数であり且つ一体に積層され、負極タブの数は複数であり且つ一体に積層される。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回式構造であってもよく、又は積層式構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展には多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率等の性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0074】
電池の使用過程で、電池内の電池セルの内部に短時間に大量のガスが発生し、温度が急速に上昇し、電池セル上の防爆弁が開き、大量の排出物を電池の筐体内に排出され、筐体内のガスが大量に溜まり、温度が上昇して、最終的に電池が爆発し発火する現象を、電池の熱暴走と称する。
【0075】
本願で言及する電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極シート、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧のガス(例えばH2、CO等の可燃性ガス)、火炎等を含むがこれらに限定されない。
【0076】
発明者らは、電池において、電池セルの熱暴走による排出物は温度及び濃度が高く、排出物を空気中にそのまま排出すると、排出物が酸素を豊富に含む空気と接触して、発火しやすく、爆発を引き起こし、安全上の大きなリスクが存在することを発見した。
【0077】
これに鑑みて、本願の実施例は、電池の筐体の少なくとも1つの壁内に第1流路を形成し、第1流路内に冷却装置を設置し、冷却装置は電池セルの熱暴走による排出物と冷却装置との接触面積を増大させるための冷却構造を含む技術的解決手段を提供し、それにより冷却装置の冷却能力を向上させ、排出物の発火、燃焼の可能性を低下させ、電池の安全性を向上させることができる。
【0078】
本願の実施例に説明された技術的解決手段は電池を使用する様々な電力消費装置に適用され、該電力消費装置は車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、宇宙船、電動玩具、電動工具などであってもよい。車両はガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。宇宙船は航空機、ロケット、スペースシャトル及びスペースシップ等を含む。電動玩具はゲーム機、電動自動車玩具、電動船舶玩具及び電動航空機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動工具は電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、電動インパクトドライバ、コンクリートバイブレータ及び電動カンナ等の金属切削電動工具、研磨電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具を含む。本願の実施例は上記電力消費装置について特に限定しない。
【0079】
図1図31は、本願の筐体、電池、電力消費装置及び電池の製造方法を例示的に示す。
【0080】
以下の実施例では説明の便宜上、電力消費装置を車両1000として説明する。
【0081】
図1を参照し、図1は本願のいくつかの実施例に係る車両1000の構造概略図であり、車両1000の内部に電池100が設置され、電池100は車両1000の底部又は前側又は後側に設置されてもよい。電池100は、車両1000へ電力を供給するために用いることができ、例えば、車両1000の動作電源として用いることができる。
【0082】
車両1000はさらにコントローラ200及びモータ300を含むことができ、コントローラ200は、電池100がモータ300へ電力を供給するように制御するために用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の作業電力の必要を賄う。
【0083】
本願のいくつかの実施例において、電池100は車両1000の動作電源としてだけでなく、車両1000の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1000に駆動動力を提供することができる。
【0084】
電池100内の電池セル30の数は、必要に応じて1つ又は複数とすることができる。電池セル30が複数であれば、複数の電池セル30の間は直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続とは複数の電池セル30間の接続に直列接続だけでなく並列接続もあることを指す。電池100において、複数の電池セル30の間はそのまま直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、当然ながら、複数の電池セル30が、まず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体に形成されてもよい。すなわち、複数の電池セル30が電池100を構成するためにそのまま用いられてもよく、又はまず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールが電池100を構成してもよい。
【0085】
図2を参照し、図2は本願のいくつかの実施例に係る電池100の構造概略図である。電池100は筐体10と、電池セル30と、を含むことができ、電池セル30は筐体10内に収容される。
【0086】
電池100内に電池セル30が複数ある場合、複数の電池セル30はアレイ配列で筐体10内に配置することができる。例えば、図2に示すように、複数の電池セル30は4*11の矩形アレイ配列で筐体10内に配置され、つまり、電池100内の電池セル30は4列(図2では2列を示す)に分かれており、各列の電池セル30は11個である。なお、各列の電池セル30は直列接続又は並列接続又は直並列接続の方式で電池モジュールを構成することができ、各電池モジュールも直列接続又は並列接続又は直並列接続の方式で一体に接続し、且つ筐体10内に収容することができる。
【0087】
なお、電池100はさらに他の部材を含むことができ、例えば、電池100はさらにバス部材(図示せず)を含み、バス部材によって複数の電池セル30の間の電気的な接続を実現し、それにより複数の電池セル30の並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現する。別の例として、電池100は熱管理部材(図示せず)をさらに含み、熱管理部材は、電池セル30の温度を調節する流体を収容するために用いられる。熱管理部材に収容される流体は液体又は気体、例えば水、水とエチレングリコールとの混合液又は空気等であってもよい。熱管理部材は電池セル30の温度を調節するものであり、電池セル30を加熱するものであっても、電池セル30を冷却するものであってもよい。電池セル30を冷却する場合、熱管理部材は冷却部材、冷却システム又は冷却プレート等と称することもできる。
【0088】
筐体10は電池セル30を収容するために用いられ、筐体10は様々な構造であってもよく、以下では図面を参照しながら筐体10の構造を詳細に説明する。
【0089】
図3を参照し、図3は本願のいくつかの実施例に係る筐体10の構造概略図であり、筐体10は冷却装置11と、複数の壁12と、を含む。複数の壁12に囲まれて電池セル30を収容するための収容空間13が形成され、且つ少なくとも1つの壁12の内部に第1流路14が形成され、第1流路14は電池セル30の熱暴走による排出物を、筐体10の外に排出するために用いられる。冷却装置11は第1流路14内に設けられ、冷却装置11は冷却装置11を流れる排出物を冷却するために用いられ、冷却装置11は、排出物と冷却装置11との接触面積を増大させるための冷却構造111を含む。
【0090】
上記構造において、筐体10内の少なくとも1つの壁12の内部に第1流路14が形成され、筐体10内に位置する電池セル30の熱暴走による排出物は第1流路14を通して筐体10の外に排出することができる。第1流路14内に冷却装置11が設けられ、排出物が第1流路14内で冷却装置11を流れる時、冷却装置11は排出物と熱交換を行い、排出物を冷却し、排出物の温度を下げるという目的を達成する。冷却装置11は冷却構造111を含み、冷却構造111を設置することにより排出物と冷却装置11との接触面積を増大させ、それにより冷却装置11は排出物からより多くの熱を奪うことができ、冷却装置11の冷却能力を向上させる。温度を低下させる冷却装置11の効果はさらにあり、排出物の発火、燃焼の可能性を低下させ、電池100の安全性を向上させる。
【0091】
なお、冷却装置11内に冷却構造111を設置することにより冷却装置11と排出物との接触面積を増大させ、理解できるように、排出物が第1流路14内を流れる過程で、排出物と冷却構造111が設置されていない冷却装置11との接触面積は、排出物と冷却構造111が設置された冷却装置11との接触面積より小さい。
【0092】
一例として、冷却装置11内の冷却構造111は、排出物と筐体10との接触面積を増大させるために用いられる。例えば、第1流路14内に冷却装置11が設置されていない場合、排出物が第1流路14を通過して筐体10から流出する過程における筐体10との接触面積をA1とし、第1流路14内に冷却構造111を含む冷却装置11が設置されている場合、排出物が第1流路14を通過して筐体10から流出する過程における筐体10との接触面積をA2とすると、ただし、A1<A2である。
【0093】
筐体10は中空の直方体、円筒構造等であってもよい。第1流路14の断面は円形、楕円形、矩形等であってもよく、ここでいう断面は第1流路14の延伸方向に垂直な断面である。
【0094】
なお、筐体10のいずれか1つの壁12に、1つの第1流路14が形成されていてもよく、複数の第1流路14が形成されていてもよく、各第1流路14にいずれも冷却装置11が設けられる。1つの壁12に複数の第1流路14が形成されている場合、該壁12における第1流路14は、互いに独立していてもよく、互いに連通していてもよい。筐体10の複数の壁12に第1流路14が形成されている場合、壁12と壁12との間の第1流路14は、互いに独立していてもよく、互いに連通していてもよい。1つの第1流路14と別の第1流路14とは互いに独立しており、両者は互いに連通していない。
【0095】
一例として、筐体10の成形過程において、まず各壁12を成形加工し、壁12内に第1流路14を形成させ、次に各壁12を組み立てて、筐体10を形成することができる。
【0096】
なお、本願の実施例において、筐体10の壁12における第1流路14の配置方向は、筐体10の具体的な形状に応じて設定することができる。例えば、筐体10が円筒であれば、第1流路14は筐体10の周方向に沿って延伸してもよく、筐体10の軸方向に沿って延伸してもよい。別の例として、筐体10が直方体であれば、筐体10の側壁上の第1流路14は、筐体10の側壁の長さ方向に沿って延伸してもよく、筐体10の壁12の高さ方向に沿って延伸してもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、引き続き図3を参照し、筐体10内部の電池セル30を収容するための収容空間13は、一端が開口した構造であってもよく、電池セル30は筐体10の開口端から電池セル30内に入れることができる。箱体10が直方体であることを例として、箱体10は1つの底壁及び4つの側壁を有し、すなわち箱体10は5つの壁12を有し、箱体10の底壁及び/又は側壁内に第1流路14を形成することができる。電池セル30を筐体10に入れた後、筐体10の開口を塞ぐことができ、例えば、筐体カバー(図示せず)で開口を塞ぐことにより、電池セル30に、密封された環境を提供する。
【0098】
いくつかの実施例において、引き続き図4を参照し、図4は本願の別の実施例に係る筐体10の構造概略図であり、筐体10内部の電池セル30を収容するための収容空間13は、密閉された密封空間であってもよい。筐体10は第1部分15及び第2部分16を含むことができ、第1部分15は一端が開口した中空構造であり、第2部分16は第1部分15の開口部をカバーし、第2部分16と第1部分15とにより電池100を収容するための密閉空間が画定される。第1部分15及び第2部分16は、直方体、円筒構造などを構成することができる。第1部分15と第2部分16で直方体の筐体10を構成することを例として、筐体10は1つの底壁、4つの側壁及び1つの天井壁を有し、すなわち筐体10は6つの壁12を有し、第1部分15は1つの底壁と4つの側壁で構成された一端が開口した中空構造であり、第2部分16は天井壁であり、第2部分16は第1部分15の開口部をカバーして筐体10を形成し、筐体10の少なくとも1つの壁12内に第1流路14を形成することができる。
【0099】
本願の実施例において、図5を参照し、図5図3に示すいくつかの実施例に係る筐体10のA-A断面図であり、第1流路14は入口141及び出口142を含み、電池セル30の熱暴走による排出物は入口141を通過して第1流路14内に入り、第1流路14内の排出物は出口142を通過して筐体10から排出することができる。入口141は筐体10の壁12の内面に設けることができ、出口142は、筐体10の壁12の外面に設けることができる。
【0100】
筐体10において、各第1流路14に入口141及び出口142を個別に設けてもよく、複数の第1流路14が入口141及び出口142を共用してもよい。なお、筐体10において、一部の第1流路14が入口141と出口142を共用してもよく、例えば、筐体10が直方体であり、筐体10が6つの壁12を有し、各壁12における各第1流路14が入口141と出口142を共用する場合、箱体10は全体として6つの入口141と6つの出口142とを有する。又は、筐体10において、全ての第1流路14が入口141と出口142とを共用してもよく、その場合筐体10は全体として1つの入口141と1つの出口142とを有する。非限定的な例では、筐体10の底壁内及び側壁内のいずれにも第1流路14が形成され、各第1流路14に入口141と出口142とが個別に設けられる。別の非限定的な例では、筐体10の底壁内、側壁内及び天井壁内のいずれにも第1流路14が形成され、各第1流路14に入口141と出口142とが個別に設けられる。
【0101】
本願の実施例において、電池セル30の熱暴走による排出物は第1流路14を通過して筐体10に排出される必要がある。しかし正常な状況(電池セル30が熱暴走していない)では、筐体10の収容空間13内の粒子が第1流路14の入口141を塞いでしまい、電池セル30の熱暴走による排出物を排除できなくなるおそれがある。
【0102】
そのため、本願の実施例において、図6を参照し、図6図3に示す別の実施例に係る筐体10のA-A断面図であり、第1流路14の入口141にスペーサ17を設置することができ、スペーサ17は電池セル30が熱暴走した時に入口141を開くように配置され、それにより排出物は入口141を通過して第1流路14内に入ることができる。
【0103】
正常な状態(電池セル30が熱暴走していない)で、スペーサ17は筐体10の収容空間13内の粒子が第1流路14内に入ることを防止して、第1流路14の入口141が粒子で塞がれるリスクを低下させることができる。電池セル30が熱暴走した場合、スペーサ17は第1流路14の入口141を開くことができ、それにより電池セル30の熱暴走による排出物は入口141から第1流路14内にスムーズに入る。
【0104】
いくつかの実施例において、セパレータ17は、前記電池セル30が熱暴走した時に破壊されて、入口141を開けるように配置され、すなわちセパレータ17が破壊される方式で第1流路14の入口141が開けられる。
【0105】
スペーサ17は、筐体10内の圧力上昇により破壊されてもよく、筐体10内の温度上昇により融解し破壊されてもよい。一例として、スペーサ17は、第1流路14の入口141に設置された薄膜であってもよい。
【0106】
なお、スペーサ17は他の構造であってもよく、例えば、スペーサ17は第1流路14の入口141に設置された開閉弁であってもよく、筐体10内の圧力又は温度が予め設定された値に達すると、該開閉弁は第1流路14の入口141を開き、排出物が入口141から第1流路14内にスムーズに入るようにすることができる。
【0107】
いくつかの実施例において、第1流路14の入口141に濾過ネット(図示せず)を増設することができ、それにより筐体10内の粒子を濾過する。
【0108】
なお、第1流路14の入口141に濾過ネットとスペーサ17を同時に設置してもよく、図6に示すように、第1流路14の入口141にスペーサ17のみを設置してもよく、第1流路14の入口141に濾過ネットのみを設置してもよい。
【0109】
本願の実施例において、冷却装置11は第1流路14内に固定することができる。例えば、冷却装置11は連結部材又は接着する方式で第1流路14内に固定される。いくつかの実施例において、連結部材はボルト、ねじ等であってもよい。なお、冷却装置11は、第1流路14内に直接配置されてもよい。
【0110】
いくつかの実施例において、第1流路14の壁面に遮断部143が設けられ、遮断部143は冷却装置11と第1流路14の入口141との間に位置し、遮断部143は冷却装置11に対して遮断作用を果たすことができ、冷却装置11が第1流路14内で変位することにより入口141が遮られて、排出物が第1流路14を通過して筐体10から正常に排出されることに影響が及ぶリスクを低下させる。
【0111】
第1流路14の入口141に濾過ネット及び/又はスペーサ17が設置される場合、図6に示すように、第1流路14の壁面に遮断部143が設置され、遮断部143は冷却装置11と第1流路14の入口141との間に位置し、遮断部143は冷却装置11に対して遮断作用を果たすことができ、冷却装置11が第1流路14内で変位することにより濾過ネット及び/又はスペーサ17と衝突し、濾過ネット及び/又はスペーサ17の損傷を引き起こすリスクを低下させる。
【0112】
また、幾つかの実施例において、引き続き図6を参照し、筐体10はさらに減圧機構18を含み、減圧機構18は第1流路14の出口142に設けられ、減圧機構18は電池セル30が熱暴走した時に出口142を開き、それにより第1流路14内の排出物は出口142を通して筐体10から排出される。
【0113】
正常な状況で、減圧機構18は圧力を平衡させる役割を果たすことができる。減圧機構18は、電池セル30の熱暴走により筐体10の内部圧力又は温度が予め設定された値に達した時に第1流路14の出口142を開き、排出物を筐体10の外へスムーズに排出することができる。減圧機構18は例えば防爆弁、ガス弁、減圧弁又は安全弁等を用いることができる。
【0114】
幾つかの実施例において、図7及び図8を参照し、図7図3に示す別の実施例に係る筐体10のB-B断面図であり、図8図3に示す別の実施例に係る筐体10のB-B断面図である。筐体10において、少なくとも1つの壁12の内部に延伸方向が同じである複数の第1流路14が形成され、すなわち、筐体10において、1つの壁12の内部に、延伸方向が同じである複数の第1流路14が形成されてもよく、複数の壁12の内部に、いずれも延伸方向が同じである複数の第1流路14が形成されてもよい。理解されるように、各第1の流路14内に冷却装置11が設けられる。
【0115】
図7に示すように、筐体10のいずれか1つの壁12において、複数の第1流路14における各2つの第1流路14は互いに独立していてもよく、すなわちいずれか2つの第1流路14は連通せず、収容空間13内の排出物は1つの第1流路14の入口141(図7に図示せず)から該第1流路14に入った後、冷却装置11を流れてから該第1流路14の出口142を通過して筐体10から排出され、排出物は各第1流路14内を流れる過程で互いに干渉しない。
【0116】
図8に示すように、筐体10のいずれか1つの壁12において、複数の第1流路14のうちの少なくとも2つの第1流路14が連通していてもよく、1つの第1流路14内に入った排出物は、該第1流路14と連通する別の流路内に入ってもよい。いくつかの実施例において、排出物は、少なくとも2つの第1流路14内の冷却装置11を順に流れた後に筐体10の外に排出される。つまり、排出物が筐体10の中から筐体10の外に至る過程で、排出物は「Z」字形を呈して流動し、排出物は異なる第1流路14内の複数の冷却装置11によって順に冷却され、排出物の温度を下げる効果がより高い。
【0117】
一例として、図8に示すように、筐体10が直方体であり、且つその1つの側壁に、互いに連通する2つの第1流路14が設けられることを例として、2つの第1流路14内の2つの冷却装置11は第1流路14の延伸方向に間隔をおいて配置され、2つの第1流路14は連結孔144を介して連通し、連結孔144は第1流路14の延伸方向において2つの冷却装置11の間に位置する。図8において、第1流路14の延伸方向は、側壁の長さ方向と一致している。
【0118】
本願の実施例において、冷却装置11の作用は第1流路14内に入る排出物を冷却することである。冷却装置11は様々な構造形式であってもよく、冷却装置11の冷却構造111も様々な構造形式であってもよく、以下では図面を参照しながら冷却装置11及び冷却構造111の具体的な構造を詳細に説明する。
【0119】
本願の実施例において、冷却装置11は熱交換性能に優れた材質、例えば、金属、セラミック等を用いることができる。金属は、銅、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などであってもよい。
【0120】
幾つかの実施例において、図9を参照し、図9は本願のいくつかの実施例に係る冷却装置11が第1流路14内に配置される構造概略図であり、冷却構造111は冷却装置11の周壁に形成される凹溝112を含むことができ、冷却装置11の周壁の少なくとも一部と第1流路14の壁面との間に、排出物が通過する隙間が存在する。排出物が冷却装置11を流れると、排出物は凹溝112に入り、凹溝112の溝壁12と接触する。冷却装置11に凹溝112を設置することにより排出物と冷却装置11との接触面積を増大させ、冷却装置11の冷却能力を向上させる。
【0121】
理解されるように、図9に示すように、冷却装置11の周壁に複数の凹溝112が設けられ、それにより排出物と冷却装置11との接触面積をさらに増大させ、冷却装置11の冷却能力を向上させる。
【0122】
一例として、図9において、冷却装置は第1流路の延伸方向に沿って配置された長尺状の部材である。
【0123】
なお、冷却構造111はさらに他の構造形式であってもよく、いくつかの実施例において、図10図12を参照し、図10は本願のいくつかの実施例に係る冷却装置11の断面図であり、図11は本願の別の実施例に係る冷却装置11の断面図であり、図12は本願のさらに別の実施例に係る冷却装置11の断面図である。冷却構造111は排出物が通過する第2流路113を含み、すなわち、冷却装置11は第2流路113を設置する方式によって冷却装置11と煙道ガスとの接触面積を増大させることができ、これは構造がシンプルである。排出物が冷却装置11を流れる過程で、排出物は第2流路113内を流れ、これは冷却装置11が排出物を冷却することに有利である。
【0124】
図10に示すように、冷却装置11の外表面に第2流路113を形成することができ、これは第2流路113の成形を容易にする。図11に示すように、冷却装置11内に第2流路113を形成することもでき、この場合排出物が冷却装置11を流れる過程で、排出物は冷却装置11の内部で方向を決めて流すことができる。なお、図12に示すように、冷却装置11の外表面と冷却装置11の内部にいずれも第2流路113を形成して、それにより冷却装置11を十分に利用し、冷却装置11と排出物との接触面積をできるだけ大きくすることもできる。
【0125】
なお、冷却装置11の外表面に形成された第2流路113の断面は、図10に示すように開口であり、密閉されない。冷却装置11の内部に形成された第2流路113の断面は、図11に示すように密閉である。ここでいう断面は第2流路113の延伸方向に垂直な断面である。
【0126】
いくつかの実施例において、図13図15を参照し、図13図11に示すいくつかの実施例に係る冷却装置11のC-C断面図であり、図14図11に示す別の実施例に係る冷却装置11のC-C断面図であり、図15図11に示すさらに別の実施例に係る冷却装置11のC-C断面図である。冷却装置11は第1流路14の延伸方向において対向する第1端114及び第2端115を含み、第2流路113は第1端114及び第2端115を貫通し、すなわち、排出物が冷却装置11を流れる過程で、排出物は冷却装置11の一端から流入し、他端から流出して、排出物が第1流路14内を流れる時間を増大させ、すなわち排出物と冷却装置11との接触時間を増大させることができ、排出物と冷却装置11との熱交換時間がより長くなり、冷却装置11の冷却による温度を下げる能力を向上させる。
【0127】
一例として、冷却装置11は第1流路14の延伸方向に沿って配置された長尺状の部材である。
【0128】
冷却装置11の外側輪郭の大きさは第1流路14の内側輪郭の大きさに適合させることができ、すなわち、冷却装置11と第1流路14の壁面との間には隙間が存在せず、排出物は第2流路113のみを通過して冷却装置11を流れる。一例として、冷却装置11が第1流路14の延伸方向に沿って配置された円筒構造である場合、冷却装置11の外径は第1流路14の内径と適合する。なお、冷却装置11と第1流路14の壁面との間に隙間が存在してもよく、その場合排出物は該隙間と第2流路113を通過して冷却装置11を流れる。
【0129】
いくつかの実施例において、冷却装置11における第2流路113は、直線状、曲線状、又は折れ線状に延伸させることができる。図13に示すように、冷却装置11における第2流路113が直線状に延伸する場合、このような構造の第2流路113は成形が容易であり、加工コストが低い。図14及び図15に示すように、第2流路113が曲線状又は折れ線状に延伸する場合、このような構造は第2流路113内の排出物の流路を長くし、排出物と冷却装置11との接触時間をさらに増加させる。
【0130】
なお、冷却装置11上の第2流路113が曲線状に延伸する場合、第2流路113は平面内の曲線状であってもよく、すなわち第2流路113の中心線は平面内に位置する。第2流路113は空間内に位置する曲線状、例えば螺旋であってもよい。図14において、第2流路113は、平面内に位置する曲線状である。冷却装置11における第2流路113が直線状に延伸する場合、第2流路113の延伸方向は第1流路14の延伸方向と一致してもよく、ゼロではない夾角で設定されてもよい。一例として、図13に示すように、第2流路113の延伸方向は、第1流路14の延伸方向と一致する。図13図15において、第2流路113は、いずれも冷却装置11内に形成されている。
【0131】
また、第2流路113の断面の形状は様々な形状であってもよく、本願の実施例は限定しない。例えば、図11図13に示すように、第2流路113の断面は円形であってもよい。別の例として、図16を参照し、図16は本願のさらに別の実施例に係る冷却装置11の断面図であり、第2流路113の断面は矩形であってもよい。さらに、図17を参照し、図17は本願の別の実施例に係る冷却装置11の断面図であり、冷却装置11において、少なくとも一部の第2流路113の断面は異なり、各第2流路113の断面の形状は矩形、台形、三角形等のうちの少なくとも2種類であってもよい。
【0132】
本願の実施例において、冷却構造111における第2流路113は1つであっても複数であってもよく、図10図17は冷却構造111が複数の第2流路113を含む形態を示す。なお、冷却構造111が複数の第2流路113を含む場合、複数の第2流路113は互いに独立していてもよく、少なくとも2つの第2流路113は互いに連通してもよい。
【0133】
冷却構造111における複数の第2流路113が互いに独立している場合、冷却装置11は一体式構造であってもよく、図10図17に示すように、冷却装置11に複数の第2流路113が直接形成され、又は、冷却装置11は分割式構造であってもよく、すなわち冷却装置11は複数の部分に分けられ、各部分に第2流路113が形成される。
【0134】
本願の幾つかの実施例において、図18を参照し、図18は本願のいくつかの実施例に係る冷却装置11が第1流路14内に配置される断面図であり、冷却装置11は分割式構造であり、冷却装置11は複数の冷却管116を含み、各冷却管116の内部に第2流路113が形成される。すなわち、内部に第2流路113が形成された複数の冷却管116を利用して冷却装置11とし、それにより排出物を冷却することができ、これは構造全体がシンプルであり、冷却装置11の製造の難度を低下させる。また、冷却管116の間にさらに、排出物が通過する隙間を形成することができ、すなわち、排出物が冷却装置11を流れる過程で、排出物は冷却管116の内壁に接触するだけでなく、冷却管116の外壁にも接触し、このような構造の冷却装置11は、排出物に対してより良好な冷却による温度を下げる能力を有する。
【0135】
冷却装置11内の複数の冷却管116は第1流路14内に直接積み重ねられ、冷却管116の間は互いに当接され、固定しないことができる。又は複数の冷却管116を固定した後、さらに複数の冷却管116を一体として第1流路14内に取り付けることもできる。一例として、複数の冷却管116における各冷却管116は溶接、接着の方式で固定することができる。
【0136】
いくつかの実施例において、図19を参照し、図19は本願の別の実施例に係る冷却装置11が第1流路14内に配置される構造概略図である。冷却構造111は滞留空間117をさらに含み、滞留空間117は第2流路113と連通し、滞留空間117は排出物を滞留させる。ここで言及した滞留は一時的な滞留である。
【0137】
滞留空間117は排出物に対する滞留作用を果たすことができ、排出物が第2流路113内を流れる時、排出物は滞留空間117内に流入し、排出物を滞留空間117内に一時的に滞留させることができ、排出物と冷却装置11の熱交換時間を延長する。
【0138】
本実施例において、第2流路113は冷却装置11の内部及び/又は冷却装置11の外表面に形成することができる。冷却構造111における第2流路113は1つであっても複数であってもよい。一例として、図19において、冷却装置11における第2流路113は1つであり、第2流路113は冷却装置11の内部に形成されている。
【0139】
冷却構造111において第2流路113と連通する滞留空間117は1つ又は複数であってもよい。
【0140】
いくつかの実施例において、冷却構造111は、第2流路113の延伸方向に沿って間隔をあけて配置される複数の滞留空間117を含む。
【0141】
排出物が第2流路113内を流れる過程で、排出物は複数の滞留空間117内に入り、複数の滞留空間117は排出物を複数回滞留させることができ、排出物と冷却装置11の熱交換時間をさらに延長する。
【0142】
いくつかの実施例において、引き続き図19を参照し、滞留空間117は、第2流路113の延伸方向に垂直な位置から、第2流路113内の排出物の流動方向Xに向かって傾斜して配置される。
【0143】
滞留空間117が傾斜して配置されることにより、排出物が第2流路113内から滞留空間117内に流入しやすく、滞留空間117から第2流路113内には流入しにくく、それにより排出物の滞留空間117内での滞留時間を延長する。
【0144】
ここで、第2流路113は入口端1131及び出口端1132を有し、排出物は第2流路113内の流動方向X、即ち入口端1131から出口端1132に向かう方向にある。滞留空間117は、第2流路113の延伸方向に垂直な位置から、第2流路113内の排出物の流動方向Xに向かって傾斜して配置され、すなわち滞留空間117の第2流路113に接続される部分は、滞留空間117の他の部分よりも入口端1131に近い。
【0145】
本実施例において、滞留空間117は、第2流路113の壁面に設けられた穴であってもよく、第2流路113を取り囲む空間であってもよい。
【0146】
いくつかの実施例において、引き続き図19を参照し、冷却装置11は複数の第1冷却部材118を含み、複数の第1冷却部材118は第1流路14の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、各第1冷却部材118に、排出物を通過させる第1開口1181が設けられ、複数の第1冷却部材118の第1開口1181は連通し、それにより第2流路113を形成し、各隣接する2つの第1冷却部材118の間に滞留空間117が形成される。このような構造の冷却装置11は構造がシンプルであり、第1流路14及び滞留空間117の成形の難度を効果的に低下させる。
【0147】
なお、第1冷却部材118は第1流路14の壁面に直接固定してもよく、又は第1連結体118aを介して複数の第1冷却部材118を接続してから、全体を第1流路14内に取り付けてもよい。例えば、図19に示すように、冷却装置11はさらに第1連結体118aを含み、各第1冷却部材118はいずれも第1連結体118aに連結される。一例として、第1連結体118aは中空管状構造であり、第1連結体118aは第1流路14内に位置し、第1冷却部材118は第1連結体118aの内壁に固定される。
【0148】
いくつかの実施例では、図19において、第1冷却部材118は第1冷却板1182及び第2冷却板1183を含み、第1冷却板1182及び第2冷却板1183は第1連結体118aの内壁に対向して配置され、第1冷却板1182と第2冷却板1183との間に第1開口1181が形成され、各隣接する2つの第1冷却板1182の間に1つの滞留空間117が形成され、各隣接する2つの第2冷却板1183の間に1つの滞留空間117が形成される。
【0149】
他の実施例において、第1冷却部材118は環状板体であってもよく、各隣接する2つの第1冷却部材118の間に形成された滞留空間117は、すなわち第2流路113を取り囲む空間である。
【0150】
上記各実施例から分かるように、第2流路113は冷却装置11の外表面及び/又は冷却装置11の内部に形成することができる。なお、第2流路113の配置形態はこれに限定されない。
【0151】
いくつかの実施例において、引き続き図20図21を参照し、図20は本願のさらに別の実施例に係る冷却装置11が第1流路14内に配置される構造概略図であり、図21は本願の別の実施例に係る冷却装置11が第1流路14内に配置される構造概略図である。冷却装置11は複数の第2冷却部材119を含み、複数の第2冷却部材119は第1流路14の延伸方向に沿って間隔をあけて配置され、各第2冷却部材119に排出物を通過させる第2開口1191が設けられ、各隣接する2つの冷却部材の第2開口1191は、それぞれの、第1流路14の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、複数の第2冷却部材119の第2開口1191は連通し、それにより第2流路113を形成する。
【0152】
各隣接する2つの第2冷却部材119の第2開口1191は、それぞれの、第1流路14の延伸方向に沿う投影をずらして設置されることにより、第2流路113を蛇行させて配置し、排出物は1つの第2冷却部材119の第2開口1191を通過した後、次の第2冷却部材119の遮断作用で流動方向が変化し、排出物の流動経路が増大して、排出物と冷却装置11の熱交換時間を延長させる。
【0153】
なお、各隣接する2つの第2冷却部材119の第2開口1191は、それぞれの、第1流路14の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、「ずらして設置される」とは、一部をずらした設置、すなわち2つの第2開口1191の第1流路14の延伸方向における投影が部分的に重なるように設けられてもよく、完全にずらした設置、すなわち2つの第2開口1191の第1流路14の延伸方向における投影に、重なる部分がないように設けられてもよい。
【0154】
本願の実施例において、第2冷却部材119は第1流路14の壁面に直接固定してもよく、又は第2連結体119aを介して複数の第2冷却部材119aを接続してから、全体として第1流路14内に取り付けてもよい。例えば、図20図21に示すように、冷却装置11はさらに第2連結体119aを含み、各第2冷却部材119はいずれも第2連結体119aに連結される。一例として、第2連結体119aは中空管状構造であり、第2連結体119aは第1流路14内に配置され、第2冷却部材119は第2連結体119aの内壁に固定される。
【0155】
一例として、図20図21では、第2冷却部材119はプレート状部材である。各隣接する2つの第2冷却部材119の第2開口1191は、第1流路14の延伸方向に沿って相互に完全にずらして設置される。図20に示すように、第2開口1191は、第2冷却部材119に設けられた穴であってもよく、図21に示すように、第2開口1191は、第2冷却材119の端部と第2連結体119aの内壁とにより画定される開口であってもよい。
【0156】
いくつかの実施例において、図22図24を参照し、図22は本願のいくつかの実施例に係る消防機構19及び冷却装置11が第1流路14内に配置される概略図であり、図23は本願の別の実施例に係る消防機構19及び冷却装置11が第1流路14内に配置される概略図であり、図24は本願のさらに別の実施例に係る消防機構19及び冷却装置11が第1流路14内に配置される概略図である。筐体10はさらに消防機構19を含み、消防機構19は第1流路14内に設けられ、消防機構19は電池セル30が熱暴走した時に第1流路14内に消防媒体を放出するように配置され、消防媒体を排出物と混合して、排出物の温度を下げ、排出物の濃度を低下させることにより、難燃の目的を達成する。
【0157】
一例として、消防媒体は、消防ガス又は消防ガスを生成することができる消防固体又は消防液体であってもよい。消防固体、消防液体は、相変化により消防ガスを発生させることができ、化学反応により消防ガスを生成させることもできる。
【0158】
消防ガスは、消火可能な不活性ガス、二酸化炭素ガス、ヘプタフルオロプロパンガス、六フッ化硫黄等の不燃性ガスを含むが、これらに限定されない。
【0159】
消防機構19は様々な配置方式を有し、例えば、図22に示すように、第1流路14内の排出物の流動方向Xにおいて、消防機構19は冷却装置11の下流に位置し、電池セル30の熱暴走による排出物は冷却装置11を流れて冷却されてから、消防機構19から放出された消防媒体と混合させることができる。別の例として、図23に示すように、第1流路14内の排出物の流動方向Xにおいて、消防機構19は冷却装置11の上流に位置し、電池セル30の熱暴走による排出物はまず消防機構19から放出された消防媒体と混合されてから、冷却装置11を流れて冷却される。又は、図24に示すように、消防機構19と冷却装置11とは、流動方向Xに垂直な方向において積み重ねて配置される。ここで、流動方向Xは、第1流路14内の排出物の流動方向Xであり、第1流路14内の排出物の流動方向Xは、すなわち第2流路113内の排出物の流動方向Xである。
【0160】
いくつかの実施例において、筐体10はさらに検出装置20を含み、検出装置20は第1流路14内に設けられ、検出装置20は第1流路14内の排出物の情報パラメータを検出するために用いられる。消防機構19は、情報パラメータが予め設定された値に達した時に、第1流路14内に消防媒体を放出するために用いられる。
【0161】
検出装置20は濃度センサ、温度センサ等であってもよい。検出装置20が濃度センサである場合、検出装置20は第1流路14内の排出物のガス濃度を検出することができ、ガス濃度が予め設定された値に達すると、消防機構19は第1流路14内に消防媒体を放出し、消防機構19による消防媒体の放出を実現する。検出装置20が温度センサである場合、検出装置20は第1流路14内の排出物の温度を検出することができ、温度が予め設定された値に達すると、消防機構19は第1流路14内に消防媒体を放出し、消防機構19による消防媒体の放出を実現する。
【0162】
図25を参照し、図25は本願のいくつかの実施例に係る消防機構19の制御原理図であり、検出装置20及び消防機構19はいずれも制御システム21と電気的に接続することができ、検出装置20が、第1流路14内の排出物の情報パラメータが予め設定された値に達したことを検出した場合、制御システム21は消防機構19を制御して第1流路14内に消防媒体を放出し、消防機構19による消防媒体の自動放出を実現する。一例として、制御システム21は、BMS(Battery Management System、電池管理システム)であってもよい。
【0163】
いくつかの実施例において、図26を参照し、図26図22図24に示す消防機構19の構造概略図であり、消防機構19はハウジング191及びトリガ装置192を含むことができ、トリガ装置192はハウジング191に取り付けられ、ハウジング191の内部に収容キャビティ1911及び第3流路1912が形成され、収容キャビティ1911は消防媒体を収容するために用いられ、第3流路1912は排出物を通過させ、トリガ装置192は、検出装置20が第1流路14内の排出物の情報パラメータが予め設定された値に達したことを検出した場合に開き、それにより収容キャビティ1911内の消防媒体が第3流路1912内に入り且つ排出物と混合するために用いられる。
【0164】
ここで、トリガ装置192は制御システム21に電気的に接続される。一例として、トリガ装置192は電動開閉弁であってもよい。
【0165】
また、いくつかの実施例において、図27を参照し、図27は本願のいくつかの実施例に係る消防機構19、冷却装置11及び混合装置22が第1流路14内に配置される構造概略図であり、筐体10はさらに混合装置22を含み、混合装置22は第1流路14内に設けられ、混合装置22は排出物と消防媒体とを第1流路14から排出する前に混合するために用いられ、それにより排出物と消防媒体をより十分に混合して、濃度が局所的に高すぎるリスクを低下させる。
【0166】
理解されるように、第1流路14内の排出物の流動方向Xにおいて、混合装置22は消防機構19の下流に位置する。なお、混合装置22は冷却装置11の上流に位置してもよく、冷却装置11の下流に位置してもよい。一例では、図27において、第1流路14内の排出物の流動方向Xにおいて、冷却装置11は消防機構19の上流に位置し、消防機構19は混合装置22の上流に位置する。
【0167】
いくつかの実施例において、混合装置22は遮断構造221を含み、遮断構造221は排出物及び消防媒体を遮断し、流動方向Xを変化させることにより、前記排出物と前記消防媒体が前記第1流路14から排出する前に混合されるようにする。
【0168】
遮断構造221は、排出物と消防媒体を遮断し、流動方向Xを変化させる方式により、排出物と消防媒体を混合し、排出物と消防媒体をより十分に混合する。
【0169】
いくつかの実施例において、引き続き図27を参照し、遮断構造221はスクリューブレード2211を含み、スクリューブレード2211の中心線は、第1流路14の中心軸と重なり又は平行である。
【0170】
排出物と消防媒体がスクリューブレード2211を流れる時、排出物と消防媒体はスクリューブレード2211の作用で螺旋を呈して流動し、排出物と消防媒体をスクリューブレード2211の作用で十分に混合させる。
【0171】
遮断構造221内のスクリューブレード2211は、1つ又は複数であってもよい。いくつかの実施例において、スクリューブレード2211が複数ある場合、複数のスクリューブレード2211を第1流路14の延伸方向に沿って配置し、各隣接する2つのスクリューブレード2211の回転方向を逆に設定することができる。このような構造により、排出物と消防媒体が遮断構造221を流れる過程で、排出物と消防媒体は異なる回転方向のスクリューブレード2211の作用で異なる回転方向の螺旋を呈して流動し、遮断構造221が排出物と消防媒体をより十分に混合する。
【0172】
いくつかの実施例において、図28図29を参照し、図28は本願のいくつかの実施例に係る遮断構造221の構造概略図であり、図29は本願の別の実施例に係る遮断構造221の構造概略図である。遮断構造221は複数の遮断部材2212を含み、複数の遮断部材2212は、第1流路14の延伸方向に沿って間隔をおいて配置され、各遮断部材2212に第3開口2213が設置され、各隣接する2つの第3開口2213は、それぞれの、第1流路14の延伸方向に沿う投影をずらして設置される。
【0173】
排出物と消防媒体は1つの遮断部材2212の第3開口2213を通過してから、排出物と消防媒体は次の遮断部材2212の遮断作用で流動方向が変化し、遮断部材2212の遮断作用を利用して排出物と消防媒体を十分に混合し、このような複数の遮断部材2212を用いる遮断構造221は構造形式が簡単であり、排出物と消防媒体に対して良好な混合効果を生成することができる。さらに、このような構造の遮断部材2212は、排出物と消火媒体の流路を長くし、排出物に対する冷却効果を強化することができる。
【0174】
なお、各隣接する2つの遮断部材2212の第3開口2213は、それぞれの、第1流路14の延伸方向に沿う投影をずらして設置され、「ずらして設置される」とは、一部をずらした設置、すなわち2つの第3開口2213の第1流路14の延伸方向における投影が部分的に重なるように設けられてもよく、完全にずらした設置、すなわち2つの第3開口2213の第1流路14の延伸方向における投影に重なる部分がないように設けられてもよい。
【0175】
本願の実施例において、遮断部材2212は第1流路14の壁面に直接固定してもよく、又は第3連結体2214を介して複数の遮断部材2212を接続してから、全体として第1流路14内に取り付けてもよい。例えば、図28図29に示すように、遮断構造221はさらに第3連結体2214を含み、各遮断部材2212はいずれも第3連結体2214に接続される。一例として、第3連結体2214は中空管状構造であり、第3連結体2214は第1流路14内に配置され、遮断部材2212は第3連結体2214の内壁に固定される。
【0176】
一例として、図28図29では、遮断部材2212はプレート状部材である。各隣接する2つの遮断部材2212の第3開口2213は、第1流路14の延伸方向に沿って完全にずらして設置される。図28に示すように、第3開口2213は、遮断部材2212に設けられた穴であってもよく、図29に示すように、第3開口2213は、遮断部材2212の端部と第3連結体2214の内壁とにより画定される開口であってもよい。
【0177】
いくつかの実施例において、図30を参照し、図30図29に示す遮断機構221のD矢視図であり、D矢視図は図29のD方向の図である。遮断構造221の第1流路14の延伸方向における投影は、第1流路14のその延伸方向における投影を覆い、ここでの覆うとは、完全に覆うことである。このような構造の遮断構造221は排出物及び消防媒体に対してより良好な遮断作用を果たし、排出物と消防媒体をより十分に混合させる。
【0178】
いくつかの実施例において、遮断構造221はさらに、図27に示されるようなスクリューブレード2211構造と、図28~29に示されるような複数の遮断部材2212の構造とを含むことができる。例えば、第1流路14内に複数の遮断部材2212及びスクリューブレード2211が配置され、第1流路14内の排出物の流動方向Xにおいて、スクリューブレード2211は複数の遮断部材2212の下流に位置する。
【0179】
なお、他の実施例において、混合装置22は上記各実施例における遮断構造221であってもよく、又は他の構造、例えば、混合装置22は第1流路14内に回転可能又は移動可能に設置された可動部材を含み、可動部材の回転又は移動により、消防媒体と排出物との混合を実現するものであってもよい。
【0180】
また、いくつかの実施例において、図31は本願のいくつかの実施例に係る電池100の製造方法の概略フローチャートであり、電池100の製造方法は、以下のステップを含む。
【0181】
S100:電池セル30を提供する。
【0182】
S200:筐体10を提供する。筐体10は、
【0183】
複数の壁12と、冷却装置11と、を含み、複数の壁12に囲まれて電池セル30を収容するための収容空間13が形成され、且つ少なくとも1つの壁12の内部に第1流路14が形成され、第1流路14は電池セル30の熱暴走による排出物を、筐体10の外に排出するために用いられ、
【0184】
冷却装置11は第1流路14内に設けられ、冷却装置11は冷却装置11を流れる排出物を冷却するために用いられ、
【0185】
冷却装置11は、排出物と冷却装置11との接触面積を増大させるための冷却構造111を含む。
【0186】
S300:電池セル30を筐体10の収容空間13内に収容する。
【0187】
本実施例で詳細に説明しない部分は上記各実施例を参照することができる。
【0188】
なお、本願における実施例及び実施例における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0189】
以上の実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な修正及び変更が可能である。本願の主旨及び原則の範囲内でなされる任意の修正、等価置換、改良等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0190】
10 筐体
11 冷却装置
111 冷却構造
112 凹溝
113 第2流路
1131 入口端
1132 出口端
114 第1端
115 第2端
116 冷却管
117 滞留空間
118 第1冷却部材
118a 第1連結体
1181 第1開口
1182 第1冷却板
1183 第2冷却板
119 第2冷却部材
119a 第2連結体
1191 第2開口
12 壁
13 収容空間
14 第1流路
141 入口
142 出口
143 遮断部
144 連結孔
15 第1部分
16 第2部分
17 セパレータ
18 減圧機構
19 消防機構
191 ハウジング
1911 収容キャビティ
1912 第3流路
192 トリガ装置
20 検出装置
21 制御システム
22 混合装置
221 遮断構造
2211 スクリューブレード
2212 遮断部材
2213 第3開口
2214 第3連結体
30 電池セル
100 電池
200 コントローラ
300 モータ
1000 車両
X 流動方向
図1
図2
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図31
【国際調査報告】