(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】圧力解放装置、電池セル、電池および電気設備
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20231003BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20231003BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20231003BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/103
H01M50/202 501S
H01M50/209
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504586
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2021115768
(87)【国際公開番号】W WO2023028865
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柯海波
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011DD05
5H012AA01
5H012AA07
5H012BB01
5H012DD05
5H012FF01
5H040AA37
5H040AS07
5H040AS12
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AS26
5H040AT01
5H040AT02
5H040AY03
5H040AY06
(57)【要約】
本願は、圧力解放装置、電池セル、電池及び電気設備を提供する。圧力解放装置は、圧力解放本体と圧力解放構造とを備え、圧力解放構造は、圧力解放本体に設けられる第1、第2および第3のスコア溝を含み、第1のスコア溝と第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝および第3のスコア溝はいずれも第2のスコア溝と交差し、第1、第2および第3のスコア溝は共同で圧力解放部を画定する。圧力解放部は、電池セル内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を境界として開いて電池セル内部の圧力を解放する。圧力解放装置は圧力解放過程において、圧力解放部が第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝で開かれることにより、圧力解放装置の圧力解放面積を広め、さらに圧力解放装置の圧力解放効率を上げ、電池セルの発火・爆発のリスクを低減し、電池セルの安全性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルに用いられる圧力解放装置であって、
圧力解放本体と、
前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とが間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝がいずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝が共同で圧力解放部を画定する圧力解放構造と、
を備え、
前記圧力解放部は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置。
【請求項2】
前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝は、前記第2のスコア溝を境界とする二つの前記圧力解放部を共同で画定する請求項1に記載の圧力解放装置。
【請求項3】
二つの前記圧力解放部は、前記第2のスコア溝の両側に対称に分布している請求項2に記載の圧力解放装置。
【請求項4】
前記第2のスコア溝は、第1の脆弱部、第2の脆弱部および第3の脆弱部を有し、前記第1のスコア溝と前記第1の脆弱部で交差し、前記第3のスコア溝と前記第3の脆弱部で交差し、前記第2のスコア溝の延在方向において、前記第2の脆弱部は前記第1の脆弱部と前記第3の脆弱部との間に位置し、
前記圧力解放本体は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに、前記第2のスコア溝において前記第2の脆弱部から前記第1の脆弱部および前記第3の脆弱部へと開裂して第1の亀裂を形成し、前記圧力解放本体に前記第1の亀裂が形成された後に前記圧力解放部が前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝に沿って開くように構成される請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項5】
前記圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられ、前記第2のスコア溝と前記第2の脆弱部で交差する第4のスコア溝をさらに含む請求項4に記載の圧力解放装置。
【請求項6】
前記第1のスコア溝の深さ、前記第2のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも前記第4のスコア溝の深さよりも小さい請求項5に記載の圧力解放装置。
【請求項7】
前記第1のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも前記第2のスコア溝の深さに等しい請求項6に記載の圧力解放装置。
【請求項8】
前記第1のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも前記第2のスコア溝の深さよりも小さく、前記第2のスコア溝の深さは、前記第4のスコア溝の深さに等しい請求項5に記載の圧力解放装置。
【請求項9】
前記第1のスコア溝の深さは、前記第3のスコア溝の深さに等しい請求項8に記載の圧力解放装置。
【請求項10】
前記第1のスコア溝は第1端を有し、前記第3のスコア溝は第2端を有し、前記第4のスコア溝は第3端を有し、前記第1端、前記第2端および前記第3端は、前記第2のスコア溝の幅方向において前記第2のスコア溝の同じ側に位置し、
前記第1のスコア溝の前記第1端から前記第1の脆弱部までの長さは、第1の長さであり、前記第3のスコア溝の前記第2端から前記第3の脆弱部までの長さは、第2の長さであり、前記第4のスコア溝の前記第3端から前記第2の脆弱部までの長さは、第3の長さであり、前記第3の長さは前記第1の長さおよび前記第2の長さよりも短い請求項5~9のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項11】
前記第1の長さは、前記第2の長さに等しい請求項10に記載の圧力解放装置。
【請求項12】
前記第1の脆弱部は、前記第1のスコア溝の中間位置にあり、前記第2の脆弱部は、前記第4のスコア溝の中間位置にあり、前記第3の脆弱部は、前記第3のスコア溝の中間位置にあり、
前記第4のスコア溝の長さは、前記第1のスコア溝の長さおよび前記第3のスコア溝の長さよりも短い請求項5~11のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項13】
前記第1のスコア溝の長さは、前記第3のスコア溝の長さに等しい請求項12に記載の圧力解放装置。
【請求項14】
前記第4のスコア溝は、前記第2のスコア溝と交差しかつ垂直に配置されている請求項5~13のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項15】
前記第1の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚および前記第3の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚は、いずれも前記第2の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚よりも大きい請求項4~14のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項16】
前記第2のスコア溝の延在方向において、前記第2のスコア溝は、対向する第4端および第5端を有し、前記第1のスコア溝は、前記第3のスコア溝よりも前記第4端に近接し、前記第3のスコア溝は、前記第1のスコア溝よりも前記第5端に近接し、
前記第4端は、前記第1のスコア溝の前記第3のスコア溝から離れた方向に沿って前記第1のスコア溝を超えており、および/または前記第5端は、前記第3のスコア溝の前記第1のスコア溝から離れた方向に沿って前記第3のスコア溝を超えている請求項1~15のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項17】
前記圧力解放本体には、凹部が設けられており、前記圧力解放構造は、前記凹部の底面に設けられている請求項1~16のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項18】
前記圧力解放本体の内部には、電極アセンブリを収容するための収容室が形成されており、前記圧力解放本体は、前記収容室を画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁には、前記圧力解放構造が設けられている請求項1~16のいずれか一項に記載の圧力解放装置。
【請求項19】
前記圧力解放構造は、前記壁の外面に設けられている請求項18に記載の圧力解放装置。
【請求項20】
前記壁には、前記壁の外面から内面へと凹む凹部が設けられており、前記圧力解放構造は、前記凹部の底面に設けられている請求項18に記載の圧力解放装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の圧力解放装置を備える電池セル。
【請求項22】
請求項21に記載の電池セルと、
前記電池セルを収容するための筐体と、
を備える電池。
【請求項23】
請求項22に記載の電池を備える電気設備。
【請求項24】
圧力解放本体を提供することと、
前記圧力解放本体に圧力解放構造を加工することと、
を含む圧力解放装置の製造方法であって、
前記圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝は、いずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝は圧力解放部を共同で画定し、前記圧力解放部は、電池セル内部の圧力または温度が閾値に達したときに前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置の製造方法。
【請求項25】
圧力解放本体を提供するための提供装置と、
前記圧力解放本体に圧力解放構造を加工するための加工装置と、
を備える圧力解放装置の製造設備であって、
前記圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝は、いずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝は圧力解放部を共同で画定し、前記圧力解放部は、電池セル内部の圧力または温度が閾値に達したときに前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置の製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に属し、具体的には圧力解放装置、電池セル、電池および電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、例えば携帯電話、ノートパソコン、バッテリーカー、電気自動車、電動飛行機、電動船舶、電気自動車玩具、電動船舶玩具、電動飛行機玩具、電動工具などの電子機器に広く使用されている。
【0003】
電池技術の発展では、電池セルの性能を向上させる以外、安全性も考慮すべき問題である。
【0004】
したがって、電池セルの安全性を如何に向上させるかは、電池技術において緊急に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、電池セルの安全性を効果的に向上させることができる圧力解放装置、電池セル、電池および電気設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は、電池セルに用いられる圧力解放装置であって、圧力解放本体と、前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とが間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝がいずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝が共同で圧力解放部を画定する圧力解放構造と、を備え、前記圧力解放部は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置を提供する。
【0007】
上記技術案では、圧力解放構造における第1のスコア溝と第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝および第3のスコア溝は、いずれも第2のスコア溝と交差し、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝の三者は、共同で圧力解放部を画定し、電池セルの熱暴走による電池セル内部の圧力または温度が閾値に達したときに、圧力解放部は、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を境界として開き、電池セル内部の圧力を解放する目的を実現する。圧力解放装置は圧力解放過程において、圧力解放部が第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝で開かれることにより、圧力解放部の開き面積が大きく、圧力解放装置の圧力解放面積を広め、さらに圧力解放装置の圧力解放効率を上げ、電池セルの熱暴走による発火、爆発のリスクを低減し、電池セルの安全性を高める。
【0008】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝は、前記第2のスコア溝を境界とする二つの前記圧力解放部を共同で画定する。
【0009】
上記技術案では、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝が前記第2のスコア溝を境界とする二つの圧力解放部を共同で画定することにより、圧力解放過程において、二つの圧力解放部は反対方向に開くように素早く開くことができ、十分な圧力解放面積を確保すると同時に、圧力解放部の開放効率を向上させ、迅速な圧力解放を実現する。
【0010】
一部の実施例では、二つの前記圧力解放部は、前記第2のスコア溝の両側に対称に分布している。
【0011】
上記技術案では、二つの圧力解放部が第2のスコア溝の両側に対称に分布しているため、二つの圧力解放部は、大きさ、形状が同じとなり、二つの圧力解放部の同時開放に寄与し、一つの圧力解放部が先に開き、もう一つの圧力解放部が後から開き、ひいては開かないといった事態は起こりにくい。
【0012】
一部の実施例では、前記第2のスコア溝は、第1の脆弱部、第2の脆弱部および第3の脆弱部を有し、前記第1のスコア溝と前記第1の脆弱部で交差し、前記第3のスコア溝と前記第3の脆弱部で交差し、前記第2のスコア溝の延在方向において、前記第2の脆弱部は前記第1の脆弱部と前記第3の脆弱部との間に位置し、前記圧力解放本体は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに、前記第2のスコア溝において前記第2の脆弱部から前記第1の脆弱部および前記第3の脆弱部へと開裂して第1の亀裂を形成し、前記圧力解放本体に前記第1の亀裂が形成された後に前記圧力解放部が前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝に沿って開くように構成される。
【0013】
上記技術案では、第2の脆弱部は第1の脆弱部と第3の脆弱部との間に位置し、第2の脆弱部は圧力解放の開始位置であり、電池セル内部の圧力又は温度が閾値に達したときに、圧力解放本体は、第2のスコア溝に沿って第2の脆弱部から両側の第1の脆弱部および第3の脆弱部へと開裂し、次に圧力解放本体は、第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開裂し、これにより、圧力解放部は、圧力解放本体が第2のスコア溝に沿って開裂した後に、第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開き、圧力解放部の迅速な開きを実現し、圧力解放効率を高める。
【0014】
一部の実施例では、前記圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられ、前記第2のスコア溝と前記第2の脆弱部で交差する第4のスコア溝をさらに含む。
【0015】
上記技術案では、第4のスコア溝は第2のスコア溝と第2の脆弱部で交差し、つまり、第4のスコア溝と第2のスコア溝とが交差した位置に第2の脆弱部が形成される。圧力解放本体に第4のスコア溝を設ける方法で第2の脆弱部を形成することは、構造が簡単で製造コストが低い。また、圧力解放の初期段階において、圧力解放本体は、第2のスコア溝および第4のスコア溝に沿って開裂可能であり、圧力解放部が全開になる前に部分的な圧力解放を実現する。
【0016】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝の深さ、前記第2のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも前記第4のスコア溝の深さよりも小さい。
【0017】
上記技術案では、第1のスコア溝の深さ、第2のスコア溝の深さおよび第3のスコア溝の深さがいずれも第4のスコア溝の深さよりも小さく、すなわち、第1のスコア溝、第2のスコア溝、第3のスコア溝および第4のスコア溝の中に、第4のスコア溝の深さが最も深いため、第4のスコア溝と第2のスコア溝とが交差してなす第2の脆弱部は一層弱くなり、圧力解放本体は第1の脆弱部や第3の脆弱部よりも第2の脆弱部で一層破裂しやすくなり、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体が第2のスコア溝に沿って第2の脆弱部から両側の第1の脆弱部および第3の脆弱部へと開裂することを確保する。
【0018】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも前記第2のスコア溝の深さに等しい。
【0019】
上記技術案では、第1のスコア溝の深さ、第2のスコア溝および第3のスコア溝の深さが等しいため、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝の加工成形が容易となる。また、第1のスコア溝の深さと第3のスコア溝の深さとが等しいため、圧力解放本体が第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開裂する際の一致性を確保でき、圧力解放部の迅速な開放に寄与する。
【0020】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝の深さおよび前記第3のスコア溝の深さは、いずれも第2のスコア溝の深さよりも小さく、前記第2のスコア溝の深さは、前記第4のスコア溝の深さに等しい。
【0021】
上記技術案では、第4のスコア溝の深さは第2のスコア溝の深さに等しく、かつ第1のスコア溝や第3のスコア溝の深さよりも大きく、このような構造により、第4のスコア溝と第2のスコア溝とが交差してなす第2の脆弱部は一層弱くなり、圧力解放本体は第1の脆弱部や第3の脆弱部よりも第2の脆弱部で一層破裂しやすく、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体が第2のスコア溝に沿って第2の脆弱部から両側の第1の脆弱部および第3の脆弱部へと開裂することを確保する。
【0022】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝の深さは、前記第3のスコア溝の深さに等しい。
【0023】
上記技術案では、第1のスコア溝の深さは第3のスコア溝の深さに等しく、圧力解放本体が第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開裂する際の一致性を確保でき、圧力解放部の迅速な開放に寄与する。
【0024】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝は第1端を有し、前記第3のスコア溝は第2端を有し、前記第4のスコア溝は第3端を有し、前記第1端、前記第2端および前記第3端は、第2のスコア溝の幅方向において前記第2のスコア溝の同じ側に位置し、前記第1のスコア溝の前記第1端から前記第1の脆弱部までの長さは、第1の長さであり、前記第3のスコア溝の前記第2端から前記第3の脆弱部までの長さは、第2の長さであり、前記第4のスコア溝の第3端から前記第2の脆弱部までの長さは、第3の長さであり、前記第3の長さは前記第1の長さおよび前記第2の長さよりも短い。
【0025】
上記技術案では、第3の長さは第1の長さおよび第2の長さよりも短いため、圧力解放本体が第4のスコア溝に沿って開裂したとしても、長い亀裂を形成することがなく、圧力解放本体が第4のスコア溝に沿って開裂し過ぎて第1のスコア溝または第3のスコア溝の位置において圧力解放本体が開裂できなくなる事態は生じにくく、圧力解放部が第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開くことに寄与する。
【0026】
一部の実施例では、前記第1の長さは、前記第2の長さに等しい。
【0027】
上記技術案では、第1の長さは第2の長さに等しく、すなわち、第1のスコア溝と第3のスコア溝とは第2のスコア溝の同じ側における長さが等しいため、圧力解放部をより規則的に開くことができる。
【0028】
一部の実施例では、前記第1の脆弱部は、前記第1のスコア溝の中間位置にあり、前記第2の脆弱部は、前記第4のスコア溝の中間位置にあり、前記第3の脆弱部は、前記第3のスコア溝の中間位置にあり、前記第4のスコア溝の長さは、前記第1のスコア溝の長さおよび前記第3のスコア溝の長さよりも短い。
【0029】
上記技術案では、第1の脆弱部、第2の脆弱部および第3の脆弱部がそれぞれ第1のスコア溝、第4のスコア溝および第3のスコア溝の中間位置にあるため、圧力解放本体は、第2のスコア溝の両側に二つの圧力解放部を形成し、圧力解放過程において、二つの圧力解放部は反対方向に開くように素早く開くことができ、二つの圧力解放部の開き幅はほぼ一致する。また、第4のスコア溝の長さが第1のスコア溝の長さおよび第3のスコア溝の長さよりも短いことは、圧力解放部が第1のスコア溝および第3のスコア溝に沿って開くことに寄与する。
【0030】
一部の実施例では、前記第1のスコア溝の長さは、前記第3のスコア溝の長さに等しい。
【0031】
上記技術案では、第1のスコア溝の長さと第3のスコア溝の長さとが等しく、圧力解放部の開放過程では、圧力解放本体が第1のスコア溝および第3のスコア溝において完全に開くことに寄与する。
【0032】
一部の実施例では、前記第4のスコア溝は、前記第2のスコア溝と交差しかつ垂直に配置されている。
【0033】
上記技術案では、第4のスコア溝が第2のスコア溝と交差しかつ垂直に配置されているため、第4のスコア溝と第2のスコア溝との交差位置に応力は一層集中し、圧力解放本体は第2の脆弱部で一層破裂しやすくなる。
【0034】
一部の実施例では、第1の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚および前記第3の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚は、いずれも前記第2の脆弱部における前記圧力解放本体の壁厚よりも大きい。
【0035】
上記技術案では、圧力解放本体は、第1の脆弱部における壁厚および第3の脆弱部における壁厚が第2の脆弱部における壁厚よりも大きく、すなわち、第2の脆弱部における圧力解放本体の壁厚がより薄いため、圧力解放本体は、第1の脆弱部および第3の脆弱部よりも第2の脆弱部で一層破裂しやすく、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体が第2のスコア溝から第2の脆弱部に沿って両側の第1の脆弱部および第3の脆弱部へと開裂することを確保する。
【0036】
一部の実施例では、前記第2のスコア溝の延在方向において、前記第2のスコア溝は対向する第4端および第5端を有し、前記第1のスコア溝は、前記第3のスコア溝よりも前記第4端に近接し、前記第3のスコア溝は、前記第1のスコア溝よりも前記第5端に近接し、前記第4端は、前記第1のスコア溝の前記第3のスコア溝から離れた方向に沿って前記第1のスコア溝を超えており、および/または前記第5端は、前記第3のスコア溝の前記第1のスコア溝から離れた方向に沿って前記第3のスコア溝を超えている。
【0037】
上記技術案では、第2のスコア溝の第4端は、第1のスコア溝の第3のスコア溝から離れた方向に沿って第1のスコア溝を超えており、第1のスコア溝と第2のスコア溝との交差位置に第1の脆弱部を形成することに寄与し、圧力解放本体は、第2のスコア溝に沿って開裂した後に、第1の脆弱部を起点として第1のスコア溝に沿って一層開裂しやすくなる。第2のスコア溝の第5端は、第3のスコア溝の第1のスコア溝から離れた方向に沿って第3のスコア溝を超えており、第3のスコア溝と第2のスコア溝との交差位置に第3の脆弱部を形成することに寄与し、圧力解放本体は、第2のスコア溝に沿って開裂した後に、第3の脆弱部を起点として第3のスコア溝に沿って一層開裂しやすくなる。
【0038】
一部の実施例では、前記圧力解放本体には、凹部が設けられており、前記圧力解放構造は、前記凹部の底面に設けられている。
【0039】
上記技術案では、圧力解放構造が凹部の底面に設けられているため、圧力解放構造における各スコア溝の深さを深く加工する必要がなく、各スコア溝の成形難易度を低減する。
【0040】
一部の実施例では、前記圧力解放本体の内部には、電極アセンブリを収容するための収容室が形成されており、前記圧力解放本体は、前記収容室を画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁には、前記圧力解放構造が設けられている。
【0041】
上記技術案では、圧力解放本体の内部には、電極アセンブリを収容するための収容室が形成されており、圧力解放本体の複数の壁によって収容室が画定されており、つまり、圧力解放装置は電極アセンブリを収容できるケース構造であり、圧力解放装置は収容機能と圧力解放機能を兼備している。
【0042】
一部の実施例では、前記圧力解放構造は、前記壁の外面に設けられている。
【0043】
上記技術案では、圧力解放構造が壁の外面に設けられているため、圧力解放構造における各スコア溝の加工は容易になる。
【0044】
一部の実施例では、前記壁には、前記壁の外面から内面へと凹む凹部が設けられており、前記圧力解放構造は、前記凹部の底面に設けられている。
【0045】
上記技術案では、圧力解放構造が凹部の底面に設けられており、圧力解放構造における各スコア溝の深さを深く加工する必要がなく、各スコア溝の成形難易度を低減する。また、凹部が壁の外面から内面へと凹んでいるため、凹部は圧力解放部に回避空間を提供することができ、圧力解放部が開いた後に少なくとも一部を凹部内に収容させ、圧力解放部が開いた後に占める壁の外面以外の空間を減少させる。
【0046】
第2の態様では、本願の実施例は、第1の態様のいずれか一つの実施例に係る圧力解放装置を備える電池セルを提供する。
【0047】
第3の態様では、本願の実施例は、第2の態様のいずれか一つの実施例に係る電池セルと、前記電池セルを収容するための筐体とを備える電池を提供する。
【0048】
第4の態様では、本願の実施例は、第3の態様のいずれか一つの実施例に係る電池を備える電気設備を提供する。
【0049】
第5の態様では、本願の実施例は、圧力解放本体を提供することと、前記圧力解放本体に圧力解放構造を加工することと、を含む圧力解放装置の製造方法であって、圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝がいずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝が共同で圧力解放部を画定し、前記圧力解放部は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置の製造方法を提供する。
【0050】
第6の態様では、本願の実施例は、圧力解放本体を提供するための提供装置と、前記圧力解放本体に圧力解放構造を加工するための加工装置と、を備える圧力解放装置の製造設備であって、圧力解放構造は、前記圧力解放本体に設けられる第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を含み、前記第1のスコア溝と前記第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、前記第1のスコア溝および前記第3のスコア溝がいずれも前記第2のスコア溝と交差し、前記第1のスコア溝、前記第2のスコア溝および前記第3のスコア溝が共同で圧力解放部を画定し、前記圧力解放部は、前記電池セルの内部の圧力または温度が閾値に達したときに第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を境界として開いて前記電池セルの内部の圧力を解放するように構成される圧力解放装置の製造設備を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は実施例の説明にとって必要な図面を簡単に説明する。下記図面は本願の一部の実施例を示したものに過ぎないため、範囲を限定するものと見なしてはならず、当業者であれば、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいて他の関連図面をさらに取得できることは理解されるべきである。
【0052】
【
図1】本願の一部の実施例に係る車両の構造概略図である。
【
図2】本願の一部の実施例に係る電池の構造概略図である。
【
図3】本願の一部の実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図4】本願の一部の実施例に係る圧力解放装置の部分図である。
【
図6】本願の別の一部の実施例に係る圧力解放装置の構造概略図である。
【
図8】本願の更なる一部の実施例に係る圧力解放装置の構造概略図である。
【
図9】本願の一部の実施例に係る圧力解放装置の製造方法のフローチャートである。
【
図10】本願の一部の実施例に係る圧力解放装置の製造設備の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本願の目的、技術案および利点をより明確化するために、以下は本願の実施例における図面を参照し、本願の実施例に係る技術案を詳しく説明する。明らかに、ここで説明される実施例は本願の全部の実施例ではなく、一部に過ぎない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な努力をせずに得られる他の実施形態はいずれも本願の範囲内である。
【0054】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本願に係る当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明するためだけであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲および図面の簡単な説明における「含む」や「有する」という用語、並びにそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものである。本願の明細書や特許請求の範囲または上記図面における「第1」「第2」などの用語は、特定の順序や主従関係を表すためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。
【0055】
本明細書で言う「実施例」は、実施例に記載の特定の特徴、構造または特性を組み合わせたものが本願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各箇所に現れるこの用語は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と互いに排他的で独立または代替の実施例を意味するものでもない。
【0056】
本願の説明において、特に明記・限定しない限り、技術用語の「装着」、「つながる」、「接続」、「取付」などは、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体化でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよい。当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願におけるこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0057】
本願の「および/または」という用語は、関連する対象の関連関係を説明するものに過ぎず、3つの関係があり得ることを意味する。「Aおよび/またはB」を例にすると、単にA、AとBの両方、単にBという3つの場合があり得る。また、本文中の「/」は、一般的に前後の関連対象が「または」という関係を有すると示す。
【0058】
本願の実施例では、同じ図面符号は同じ部品を示し、かつ簡略化するために、異なる実施例では、同じ部品に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示す本願の実施例における各種部材の厚さ、縦横などの寸法、および、一体型装置の全体の厚さ、縦横などの寸法は、例示的なものであり、本願を何ら限定するものではないと理解すべきである。
【0059】
本願に現れた「複数」とは2つ以上(2つを含む)を意味する。
【0060】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池などが含まれてもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。電池セルは、円筒形、平板形、直方体または他の形状などであってもよく、本願の実施例ではそれに対する限定もない。電池セルは、パッケージの仕方によって、一般的に円筒型セル、角型セル、パウチ型セルの3種類に大別されるが、本願の実施例ではそれに対する限定もない。
【0061】
本願の実施例で言及する電池は、より高い電圧と容量を提供するための1つまたは複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本願で言う電池は、電池モジュールまたは電池パックを含んでもよい。電池は通常、1つまたは複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含んでいる。筐体は、液体やその他の異物による電池セルの充放電への影響を防止できる。
【0062】
電池セルは、正極シート、負極シートおよびセパレータからなる電極アセンブリと電解液とを含む。電池セルは、主に正極シートと負極シートとの間での金属イオンの移動によって作動する。正極シートは、正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗布されている正極集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極タブとしている。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム、マンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極活物質層が塗布されている負極集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は負極タブとしている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボンやシリコンなどであってもよい。溶断することなく大電流が通れるように、正極タブは複数個で積層してなり、負極タブは複数個で積層してなる。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)またはPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。また、電極アセンブリは巻回型構造でも積層型構造でもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0063】
電池技術の発展は、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータ、さらに電池の安全性など、さまざまな設計要素を同時に考慮する必要がある。
【0064】
電池セルでは、電池セルの安全性を確保するために、一般に電池セルに圧力解放装置を設け、圧力解放装置によって電池セル内部の圧力を解放して電池セルの安全性を確保する。
【0065】
本発明者は、電池セルに圧力解放装置が設けられたとしても、電池セルによる発火・爆発のリスクが依然として存在することを見出した。本発明者らが更に検討した結果、従来の圧力解放装置は、圧力解放本体にスコア溝を設け、圧力を解放する際に、圧力解放本体がスコア溝の位置から開裂して排出物をスコア溝の位置から排出することにより、圧力解放の目的を達成することが一般的であった。圧力解放装置は、通常「一」字型のスコア溝を採用し、圧力解放面積が小さく、圧力解放効率が低いため、電池セルの熱暴走時にその内部の排出物が迅速に排出できず、発火・爆発の状況が発生し、安全性に問題がある。
【0066】
これに鑑みて、本願の実施例では、圧力解放本体に第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝が設けられ、第1のスコア溝と第3のスコア溝とは間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝と第3のスコア溝は、いずれも第2のスコア溝と交差し、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝は、電池セル内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝を境界として開いて電池セル内部の圧力を解放するように構成される圧力解放部を共同で画定する圧力解放装置を提供する。
【0067】
このような圧力解放装置において、圧力解放部が第1のスコア溝、第2のスコア溝および第3のスコア溝で開かれることにより、圧力解放部の開き面積が大きく、圧力解放装置の圧力解放面積を広め、さらに圧力解放装置の圧力解放効率を上げ、電池セルの熱暴走による発火・爆発のリスクを低減し、電池セルの安全性を高める。
【0068】
本願の実施例に記載の技術案は、電池セル、電池および電池を用いた電気設備に適用可能である。
【0069】
電気設備は、車両、携帯電話、携帯式装置、ノートパソコン、船舶、宇宙機、電動玩具、電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙船などを含む。電動玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具、電動飛行機玩具などの据置型または移動型電動玩具を含む。電動工具は、金属切削用電動工具、研削用電動工具、組立用電動工具、鉄道用電動工具、例えば、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバー、電動ハンマ、インパクトドリル、コンクリート振動子、電動削りくずなどを含む。本願の実施例では、前記電気設備に対して特別な制限がない。
【0070】
以下の実施例では、説明の便宜上、車両を例として電気設備を説明する。
【0071】
図1を参照すると、
図1は本願の一部の実施例に係る車両1000の構造概略図である。車両1000の内部には、電池100が設けられており、電池100は、車両1000の底部または頭部または後部に設けられてもよい。電池100は、車両1000の給電に適用し、例えば、車両1000の動作電源として電池100を使用することができる。
【0072】
車両1000は、コントローラ200およびモータ300を備えてもよい。コントローラ200は、電池100のモータ300への給電、例えば、車両1000の始動時、ナビゲーション時、走行時の作業用電力を制御することに用いられる。
【0073】
本願の一部の実施例では、電池100は、車両1000の動作電源として機能するだけではなく、車両1000の駆動用電源としても機能し、ガソリンや天然ガスの代替又は部分的な代替として、車両1000に駆動力を提供することが可能である。
【0074】
図2を参照すると、
図2は、本願の一部の実施例に係る電池100の構造概略図である。電池100は、電池セル20を収容するための筐体10と、電池セル20とを備える。
【0075】
筐体10は、電池セル20を収容する部品であり、電池セル20に収容室を提供し、様々な構造を採用してもよい。一部の実施例では、筐体10は、第1部分11と第2部分12を含んでもよく、電池セル20を収容する収容室を形成するように第1部分11と第2部分12とを嵌合する。第1部分11および第2部分12は、例えば、直方体、円筒体など様々な形状であってもよい。第1部分11は、一方の側が開放した中空構造であってもよく、第2部分12も、一方の側が開放した中空構造であってもよく、第2部分12の開放側を第1部分11の開放側に嵌合すると、収容空間を有する筐体10を形成する。第1部分11の一方の側が開放した中空構造で、第2部分12が板状構造で、第2部分12を第1部分11の開放側に嵌合すると、収容空間を有する筐体10を形成することも可能である。第1部分11と第2部分12は、封止素子によって封止されてもよく、封止素子として、シールリング、封止材などであってもよい。
【0076】
電池100では、電池セル20は一つでも複数でもよい。電池セル20が複数である場合、複数の電池セル20同士は、直列接続または並列接続または直並列接続であってもよい。直並列接続は、複数の電池セル20において直列接続がありながら並列接続もあることを指す。複数の電池セル20を直列接続または並列接続または直並列接続して電池モジュールを形成してから、複数の電池モジュールを直列接続または並列接続または直並列接続して一つの全体を形成し、筐体10内に収容してもよい。全ての電池セル20同士を直接直列接続または並列接続または直並列接続してから、全ての電池セル20で構成したもの全体を筐体10内に収容してもよい。
【0077】
一部の実施例では、電池100は、母線部材をさらに含んでもよい。複数の電池セル20の直列接続または並列接続または直並列接続を実現するために、複数の電池セル20同士は母線部材を介して電気接続することが可能である。母線部材は、例えば銅、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属導体であってもよい。
【0078】
図3を参照すると、
図3は、本願の一部の実施例に係る電池セル20の分解図である。電池セル20は、ケース21、電極アセンブリ22、エンドキャップ23、絶縁体24および圧力解放装置25を備える。
【0079】
ケース21は、電極アセンブリ22を収容するための部品であり、一端が開口した中空構造であってもよい。ケース21は、例えば、円筒体、直方体など様々な形状であってもよい。ケース21の材質は、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金など様々な種類であってもよい。
【0080】
ケース21内の電極アセンブリ22は一つでも、複数でもよい。例えば、
図3に示すように、電極アセンブリ22は複数であり、複数の電極アセンブリ22は積層して設けられている。
【0081】
電極アセンブリ22は、電池セル20中で電気化学反応が行われる部品である。電極アセンブリ22は、正極シート、負極シートおよびセパレータを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極シート、セパレータおよび負極シートが巻回きしてなす巻回型構造型でも、正極シート、セパレータおよび負極シートが積層してなす積層型構造でもよい。
【0082】
正極シートは、正極集流体と、正極集電体の対向する両側に塗布された正極活物質層とを含んでもよい。負極シートは、負極集電体と、負極集電体の対向する両側に塗布された負極活物質層とを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極タブ221と負極タブ222を有し、正極タブ221は正極シート上に正極活物質層が塗布されていない部分であってもよく、負極タブ222は負極シート上に負極活物質層が塗布されていない部分であってもよい。
【0083】
エンドキャップ23は、ケース21の開口に嵌合して電池セル20の内部環境と外部環境とを隔離する部品である。エンドキャップ23は、ケース21の開口に嵌合し、ケース21と共同で電極アセンブリ22、電解液および他の部品を収容するための空間を画定する。エンドキャップ23の形状は、ケース21の形状に合わせることが可能である。例えば、ケース21が直方体構造である場合、エンドキャップ23はケース21に適合した矩形の板状構造であり、さらに、ケース21が円筒体構造である場合、エンドキャップ23はケース21に適合した円形の板状構造である。エンドキャップ23の材質も、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金など様々な種類であってもよく、エンドキャップ23の材質は、ケース21の材質と同じであっても異なってもよい。
【0084】
エンドキャップ23には、電極アセンブリ22に電気接続されて電池セル20の電気エネルギーを出力するための電極端子が設けられてもよい。電極端子は、正極タブ221に電気接続されるための正極電極端子231と、負極タブ222に電気接続されるための負極電極端子232とを備えてもよい。正極電極端子231と正極タブ221とは直接接続されていても、間接接続されていてもよく、負極電極端子232と負極タブ222とは直接接続されていても、間接接続されていてもよい。例示的には、正極電極端子231は、一つの集電部材26を介して正極タブ221に電気接続され、負極電極端子232はもう一つの集電部材26を介して負極タブ222に電気接続される。
【0085】
絶縁体24は、ケース21と電極アセンブリ22とを分離する部品であり、絶縁体24によってケース21と電極アセンブリ22との絶縁隔離を実現する。絶縁体24は、絶縁材質であり、例えばプラスチック、ゴムなどの絶縁性材質であってもよい。例示的には、絶縁体24は、電極アセンブリ22の外周を周方向に被覆するが、電極アセンブリ22が複数である場合、絶縁体24は、複数の電極アセンブリ22全体の外周を周方向に被覆すると理解できる。
【0086】
圧力解放装置25は、電池セル20内部の圧力を解放する部品である。電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、圧力解放装置25によって電池セル20内部の圧力を解放する。以下は、図面を参照しながら、圧力解放装置25の具体的な構造に対して詳しく説明する。
【0087】
図4を参照すると、
図4は本願の一部の実施例に係る圧力解放装置25の構造概略図である。圧力解放装置25は、電池セル20に用いられ、圧力解放本体251および圧力解放構造252を含む。圧力解放構造252は、圧力解放本体251に設けられる第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を含み、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523はいずれも第2のスコア溝2522と交差し、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は共同で圧力解放部2524を画定する。ここで、圧力解放部2524は、電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開いて電池セル20内部の圧力を解放するように構成される。
【0088】
圧力解放本体251は、エンドキャップ23に取り付けられる部品であってもよく、例えば、圧力解放本体251がエンドキャップ23に取り付けられる板状構造であり、具体的には、圧力解放本体251がエンドキャップ23に取り付けられる防爆シートであってもよい。圧力解放本体251は、電極アセンブリ22を収容するためのケース21であってもよい。例示的には、
図4において、ケース21は圧力解放本体251であり、圧力解放構造252における各スコア溝(例えば、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523)は、いずれもケース21に直接加工して形成することができる。
【0089】
第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、打ち抜き成形、フライス加工成形など様々な方法で成形することができ、本願の実施例では、それに対する特別な制限がない。第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、直線に沿って延びる直線型溝であってもよく、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、例えば弧線型溝のような非直線型溝であってもよい。第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523が直線に沿って延びる直線型溝である場合、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは平行に設けられてもよく、非平行に設けられてもよく、第1のスコア溝2521と第2のスコア溝2522とは垂直に設けられてもよく、非垂直に設けられてもよく、第3のスコア溝2523と第2のスコア溝2522とは垂直に設けられてもよく、非垂直に設けられてもよい。第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、いずれも断面がV字状のV字型溝であってもよい。
【0090】
圧力解放部2524は、圧力解放本体251において第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523によって共同で画定される領域であり、圧力解放部2524の三辺は、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523に対応する位置にそれぞれあるとも理解できる。電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、圧力解放部2524は、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開き、つまり、圧力解放本体251は、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の位置で開裂して圧力解放部2524の開放を実現し、圧力解放本体251は第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の位置において完全に開裂してもよく、一部開裂してもよい。圧力解放部2524が開いた後、圧力解放本体251は、圧力解放部2524に対応する位置に開口を形成し、電池セル20内部の排出物(ガス、電解液など)は該開口を通じて排出でき、電池セル20内部の圧力を解放する目的を実現する。圧力解放部2524は、開放過程において、電池セル20内部の排出物の流れ方向に沿って反転して開かれることが可能である。
【0091】
なお、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者によって共同で画定される圧力解放部2524は、1つであってもよく、二つであってもよい。例えば、第2のスコア溝2522が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523の一端に設けられ、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者で「コ」の字に近い構造を構成すると、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は、一つの圧力解放部2524を画定する。また、第2のスコア溝2522が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523の中間位置に設けられ、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者で「H」字に近い構造を構成すると、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は、二つの圧力解放部2524を画定する。
【0092】
圧力解放装置25では、圧力解放構造252における第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523は、いずれも第2のスコア溝2522と交差し、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は共同で圧力解放部2524を画定し、電池セル20の熱暴走で電池セル20内部の圧力又は温度が閾値に達したときに、圧力解放部2524は、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開き、電池セル20内部の圧力を解放する目的を実現する。圧力解放装置25は圧力解放過程において、圧力解放部2524が第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523で開かれることにより、圧力解放部2524の開き面積が大きく、圧力解放装置25の圧力解放面積を広め、さらに圧力解放装置25の圧力解放効率を上げ、電池セル20の熱暴走による発火・爆発のリスクを低減し、電池セル20の安全性を高める。
【0093】
一部の実施例では、
図5を参照すると、
図5は
図4に示す圧力解放装置25の部分図である。第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、第2のスコア溝2522を境界とする二つの圧力解放部2524を共同で画定している。
【0094】
第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は、「H」字に近い構造を構成してもよい。二つの圧力解放部2524の大きさは、等しくてもよく、異なってもよい。
【0095】
第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523が、第2のスコア溝2522を境界とする二つの圧力解放部2524を共同で画定しているため、圧力解放過程において、二つの圧力解放部2524は反対方向に開くように素早く開くことができ、十分な圧力解放面積を確保すると同時に、圧力解放部2524の開放効率を向上させ、迅速な圧力解放を実現する。
【0096】
一部の実施例では、二つの圧力解放部2524は第2のスコア溝2522の両側に対称に分布している。
【0097】
第2のスコア溝2522は、二つの圧力解放部2524の対称軸と見なすことができ、二つの圧力解放部2524は、第2のスコア溝2522に対して対称的である。
【0098】
二つの圧力解放部2524が第2のスコア溝2522の両側に対称に分布しているため、二つの圧力解放部2524は大きさ、形状が同じとなり、二つの圧力解放部2524の同時開放に寄与し、一つの圧力解放部2524が先に開き、もう一つの圧力解放部2524が後から開き、ひいては開かないといった事態は起こりにくい。
【0099】
一部の実施例では、
図5を引き続き参照すると、第2のスコア溝2522は、第1の脆弱部2525、第2の脆弱部2526および第3の脆弱部2527を有し、第1のスコア溝2521と第1の脆弱部2525で交差し、第3のスコア溝2523と第3の脆弱部2527で交差し、第2のスコア溝2522の延在方向において、第2の脆弱部2526は、第1の脆弱部2525と第3の脆弱部2527との間に位置し、圧力解放本体251は、電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第2のスコア溝2522において、第2の脆弱部2526から第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂して第1の亀裂を形成し、圧力解放本体251に第1の亀裂が形成された後に圧力解放部2524が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開くように構成される。
【0100】
第1の脆弱部2525、第2の脆弱部2526および第3の脆弱部2527は、第3のスコア溝2523の三つの脆弱位置であり、第1の脆弱部2525は、圧力解放本体251が第1のスコア溝2521において最初に破裂する位置であり、第2の脆弱部2526は、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522において最初に破裂する位置であり、第3の脆弱部2527は、圧力解放本体251が第3のスコア溝2523において最初に破裂する位置である。圧力解放本体251は、電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第2のスコア溝2522が第2の脆弱部2526から第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂して第1の亀裂を形成するように構成され、理解できるように、第2の脆弱部2526は第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも薄く、つまり、圧力解放本体251において、第2の脆弱部2526は第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも破裂しやすく、圧力解放過程において、第2の脆弱部2526が先に破裂することにより、圧力解放本体251が第2の脆弱部2526から第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂して第1の亀裂を形成する。
【0101】
第2のスコア溝2522と第1のスコア溝2521とは第1の脆弱部2525で交差し、第2のスコア溝2522と第1のスコア溝2521との交差位置は、すなわち第1の脆弱部2525であり、第2のスコア溝2522と第1のスコア溝2521とは交差して第1の脆弱部2525を形成する。第2のスコア溝2522と第3のスコア溝2523とは第3の脆弱部2527で交差し、第2のスコア溝2522と第3のスコア溝2523との交差位置は、すなわち第3の脆弱部2527であり、第2のスコア溝2522と第3のスコア溝2523とは交差して第3の脆弱部2527を形成する。成形工程において、圧力解放本体251に第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を加工した後に、第1のスコア溝2521と第2のスコア溝2522との交差位置には第1の脆弱部2525が形成され、第3のスコア溝2523と第2のスコア溝2522との交差位置には第3の脆弱部2527が形成される。
【0102】
第2の脆弱部2526から第1の脆弱部2525までの距離と、第2の脆弱部2526から第3の脆弱部2527までの距離とは等しくても、異なってもよい。第2の脆弱部2526は様々な方法で形成可能であり、例えば、第2のスコア溝2522は深さが徐々に変化する漸進型の溝であり、第2のスコア溝2522の深さは第2の脆弱部2526の位置から両端へと徐々に小さくなり、第2のスコア溝2522の最も深い位置に第2の脆弱部2526を形成する。また、例えば、第2のスコア溝2522と交差して第2の脆弱部2526を形成するもう一つのスコア溝を圧力解放本体251に設ける。
【0103】
本実施例では、第2の脆弱部2526は、第1の脆弱部2525と第3の脆弱部2527との間に位置し、第2の脆弱部2526は圧力解放の開始位置であり、電池セル20内部の圧力又は温度が閾値に達したときに、圧力解放本体251は、第2のスコア溝2522に沿って第2の脆弱部2526から両側の第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂し、次に圧力解放本体251は、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開裂することにより、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522に沿って開裂した後に、圧力解放部2524は、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開き、圧力解放部2524の迅速な開放を実現し、圧力解放効率を高める。
【0104】
一部の実施例では、
図6および
図7を参照すると、
図6は、本願の別の一部の実施例に係る圧力解放装置25の構造概略図であり、
図7は
図6に示す圧力解放装置25の部分図である。圧力解放構造252は、圧力解放本体251に設けられる第4のスコア溝2528をさらに含み、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とは第2の脆弱部2526で交差する。
【0105】
第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差することは、第4のスコア溝2528の一端が第2のスコア溝2522に接続され、例えば、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが「T」字に近い構造を形成することでもよく、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差して配置され、例えば、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが「十」字構造を形成することでもよい。
【0106】
第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とは、第2の脆弱部2526で交差し、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522との交差する位置は、すなわち第2の脆弱部2526であり、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とは交差して第2の脆弱部2526を形成する。成形工程において、圧力解放本体251に第4のスコア溝2528および第2のスコア溝2522を加工した後に、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522との交差位置には第2の脆弱部2526が形成される。
【0107】
第4のスコア溝2528は、直線に沿って延びる直線型溝であってもよい。第4のスコア溝2528は、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523との間に位置する。第4のスコア溝2528と第1のスコア溝2521とは、平行に設けられてもよく、非平行に設けられてもよく、第4のスコア溝2528と第3のスコア溝2523とは、平行に設けられてもよく、非平行に設けられてもよい。
【0108】
第4のスコア溝2528は、打ち抜き成形、フライス加工成形など様々な方法で成形することができる。第4のスコア溝2528は、断面がV字状のV字型溝であってもよい。
【0109】
本実施例では、圧力解放本体251に第4のスコア溝2528を設ける方法で第2の脆弱部2526を形成するが、構造が簡単で製造コストが低い。また、圧力解放の初期段階において、圧力解放本体251は、第2のスコア溝2522および第4のスコア溝2528に沿って開裂可能であり、圧力解放部2524が全開になる前に部分的な圧力解放を実現する。
【0110】
一部の実施例では、第1のスコア溝2521の深さ、第2のスコア溝2522の深さおよび第3のスコア溝2523の深さは、いずれも第4のスコア溝2528の深さよりも小さい。
【0111】
第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528の中に、第4のスコア溝2528の深さが最も深く、第4のスコア溝2528の位置における圧力解放本体251の壁厚が最も薄いため、圧力解放本体251は第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522との交差位置の第2の脆弱部2526で一層破裂しやすくなる。
【0112】
第1のスコア溝2521の深さ、第2のスコア溝2522の深さおよび第3のスコア溝2523の深さが、いずれも第4のスコア溝2528の深さよりも小さいため、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差してなす第2の脆弱部2526は一層弱くなり、圧力解放本体251は、第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも第2の脆弱部2526で一層破裂しやすくなり、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522に沿って第2の脆弱部2526から両側の第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂することを確保する。
【0113】
例示的には、第1のスコア溝2521の深さおよび第3のスコア溝2523の深さは、いずれも第2のスコア溝2522の深さに等しい。
【0114】
第1のスコア溝2521の深さ、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者の深さが等しいため、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の加工成形が容易となる。また、第1のスコア溝2521の深さと第3のスコア溝2523の深さとが等しく、第1のスコア溝2521の位置における圧力解放本体251の壁厚と第3のスコア溝2523の位置における壁厚とがほぼ一致するため、圧力解放本体251が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開裂する際の一致性を確保でき、圧力解放部2524の迅速な開放に寄与する。
【0115】
別の一部の実施例では、第1のスコア溝2521の深さおよび第3のスコア溝2523の深さは、いずれも第2のスコア溝2522の深さよりも小さく、第2のスコア溝2522の深さは、第4のスコア溝2528の深さに等しい。
【0116】
第3のスコア溝2523の深さは、第4のスコア溝2528の深さに等しく、第1のスコア溝2521の深さおよび第3のスコア溝2523の深さは、いずれも第2のスコア溝2522の深さよりも小さく、理解できるように、第1のスコア溝2521の深さおよび第3のスコア溝2523の深さも、いずれも第4のスコア溝2528の深さよりも小さい。
【0117】
第4のスコア溝2528の深さは、第2のスコア溝2522の深さに等しくかつ第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523の深さよりも大きく、このような構造により、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差してなす第2の脆弱部2526は、第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも弱く、圧力解放本体251は、第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも第2の脆弱部2526で一層破裂しやすくなり、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522に沿って第2の脆弱部2526から両側の第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂することを確保する。
【0118】
例示的には、第1のスコア溝2521の深さは、第3のスコア溝2523の深さに等しい。第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523の加工成形は容易となる。圧力解放本体251が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開裂する際の一致性を確保でき、圧力解放部2524の迅速な開放に寄与する。
【0119】
一部の実施例では、
図7を引き続き参照すると、第1のスコア溝2521は第1端2521aを有し、第3のスコア溝2523は第2端2523aを有し、第4のスコア溝2528は第3端2528aを有し、第2のスコア溝2522の幅方向において、第1端2521a、第2端2523aおよび第3端2528aは、第2のスコア溝2522の同じ側に位置する。第1のスコア溝2521が第1端2521aから第1の脆弱部2525までの長さは第1の長さであり、第3のスコア溝2523が第2端2523aから第3の脆弱部2527までの長さは第2の長さであり、第4のスコア溝2528が第3端2528aから第2の脆弱部2526までの長さは第3の長さであり、第3の長さは第1の長さおよび第2の長さよりも短い。
【0120】
第1端2521aは、第1のスコア溝2521がその延在方向における一端であり、第2端2523aは、第3のスコア溝2523がその延在方向における一端であり、第3端2528aは、第4のスコア溝2528がその延在方向における一端である。
【0121】
第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523が共同で一つの圧力解放部2524を画定する実施例では、例えば、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は「コ」の字に近い構造を構成し、第1のスコア溝2521の第2のスコア溝2522から離れた一端は第1端2521aであり、第3のスコア溝2523の第2のスコア溝2522から離れた一端は第2端2523aである。
図7に示すように、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523が共同で二つの圧力解放部2524を画定する実施例では、例えば、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523の三者は「H」の字に近い構造を構成し、第1のスコア溝2521がその延在方向における両端は、いずれも第1端2521aであってもよく、第3のスコア溝2523がその延在方向における両端は、いずれも第2端2523aであってもよい。
【0122】
本実施例では、第3の長さが第1の長さおよび第2の長さよりも短いため、圧力解放本体251は、第4のスコア溝2528に沿って開裂したとしても、長い亀裂を形成することがなく、圧力解放本体251が第4のスコア溝2528に沿って開裂し過ぎて第1のスコア溝2521または第3のスコア溝2523の位置において圧力解放本体251が開裂できなくなる事態は生じにくく、圧力解放部2524が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開くことに寄与する。
【0123】
例示的には、第1の長さは第2の長さに等しい。すなわち、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523は、第2のスコア溝2522の同じ側における長さが等しく、圧力解放部2524が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523の位置で開裂する長さが等しい。
【0124】
一部の実施例では、
図7を引き続き参照すると、第1の脆弱部2525は第1のスコア溝2521の中間位置にあり、第2の脆弱部2526は、第4のスコア溝2528の中間位置にあり、第3の脆弱部2527は、第3のスコア溝2523の中間位置にある。第4のスコア溝2528の長さは、第1のスコア溝2521の長さおよび第3のスコア溝2523の長さよりも短い。
【0125】
第1の脆弱部2525は、第1のスコア溝2521の中間位置にあり、すなわち、第2のスコア溝2522によって第1のスコア溝2521は同じ長さの二つの部分に分かれている。第2の脆弱部2526は、第4のスコア溝2528の中間位置にあり、すなわち、第2のスコア溝2522によって第4のスコア溝2528は同じ長さの二つの部分に分かれている。第3の脆弱部2527は、第3のスコア溝2523の中間位置にあり、すなわち、第2のスコア溝2522によって第3のスコア溝2523は長さの等しい二つの部分に分かれている。
【0126】
第1の脆弱部2525、第2の脆弱部2526および第3の脆弱部2527がそれぞれ第1のスコア溝2521、第4のスコア溝2528および第3のスコア溝2523の中間位置にあり、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522の両側に二つの圧力解放部2524を形成するため、圧力解放過程において、二つの圧力解放部2524は、反対方向に開くように素早く開くことができ、二つの圧力解放部2524の開き幅はほぼ一致する。また、第4のスコア溝2528の長さは、第1のスコア溝2521の長さおよび第3のスコア溝2523の長さよりも短く、圧力解放部2524が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523に沿って開くことに寄与する。また、第4のスコア溝2528が比較的に短いため、製造コストを低減できる。
【0127】
一部の実施例では、第1のスコア溝2521の長さは、第3のスコア溝2523の長さに等しい。圧力解放部2524の開放過程において、圧力解放本体251が第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523において完全に開裂することに寄与する。
【0128】
一部の実施例では、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とは、交差しかつ垂直に配置されている。
【0129】
第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差するということは、第4のスコア溝2528の両端が、第2のスコア溝2522の幅方向における第2のスコア溝2522の両側まで延在し、かつ第2のスコア溝2522の両端が、第4のスコア溝2528の幅方向における第4のスコア溝2528の両側まで延在することを意味する。例えば、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが「十」字に近い構造を形成する。
【0130】
本実施例では、第4のスコア溝2528がその延在方向における両端は、いずれも第3端2528aであってもよい。
【0131】
本実施例では、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差しかつ垂直に配置されているため、第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522との交差位置において応力が一層集中となり、圧力解放本体251が第2の脆弱部2526で一層破裂しやすくなる。
【0132】
一部の実施例では、第1の脆弱部2525における圧力解放本体251の壁厚と、第3の脆弱部2527における圧力解放本体251の壁厚は、いずれも第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚よりも大きい。
【0133】
第1のスコア溝2521と第2のスコア溝2522とが交差して第1の脆弱部2525を形成する場合を例にすると、第1の脆弱部2525における圧力解放本体251の壁厚は、圧力解放本体251に第1のスコア溝2521および第2のスコア溝2522を設けた後に第1の脆弱部2525に残る部分の肉厚を意味する。第4のスコア溝2528と第2のスコア溝2522とが交差して第2の脆弱部2526を形成する場合を例にすると、第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚は、圧力解放本体251に第4のスコア溝2528および第2のスコア溝2522を設けた後に第2の脆弱部2526に残る部分の肉厚を意味する。第2のスコア溝2522と第3のスコア溝2523とが交差して第3の脆弱部2527を形成する場合を例にすると、第3の脆弱部2527における圧力解放本体251の壁厚は、圧力解放本体251に第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を設けた後に第3の脆弱部2527に残る部分の肉厚を意味する。
【0134】
第1のスコア溝2521の深さ、第2のスコア溝2522の深さおよび第3のスコア溝2523の深さをいずれも第4のスコア溝2528の深さよりも小さくすることにより、第1の脆弱部2525における圧力解放本体251の壁厚および第3の脆弱部2527における圧力解放本体251の壁厚がいずれも第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚よりも大きいことを実現することができる。第1のスコア溝2521の深さおよび第3のスコア溝2523の深さをいずれも第2のスコア溝2522の深さよりも小さくし、第2のスコア溝2522の深さを第4のスコア溝2528の深さに等しくすることにより、第1の脆弱部2525における圧力解放本体251の壁厚および第3の脆弱部2527における圧力解放本体251の壁厚がいずれも第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚よりも大きいことを実現することもできる。第1のスコア溝2521を深さが徐々に変化する漸進型の溝に設け、第2の脆弱部2526の位置から両端へと第2のスコア溝2522の深さを徐々に小さくすることにより、第1の脆弱部2525における圧力解放本体251の壁厚および第3の脆弱部2527における圧力解放本体251の壁厚がいずれも第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚よりも大きいことを実現することもできる。
【0135】
本実施例では、圧力解放本体251の第1の脆弱部2525における壁厚と第3の脆弱部2527における壁厚は、第2の脆弱部2526における壁厚よりも大きく、すなわち、第2の脆弱部2526における圧力解放本体251の壁厚はより薄く、圧力解放本体251が第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527よりも第2の脆弱部で一層破裂しやすくなり、これにより、圧力解放過程において、圧力解放本体251が第2のスコア溝2522に沿って第2の脆弱部2526から両側の第1の脆弱部2525および第3の脆弱部2527へと開裂することを確保する。
【0136】
一部の実施例では、第2のスコア溝2522の延在方向において、第2のスコア溝2522は、対向する第4端2522aと第5端2522bとを有し、第1のスコア溝2521は、第3のスコア溝2523よりも第4端2522aに近接し、第3のスコア溝2523は、第1のスコア溝2521よりも第5端2522bに近接する。第4端2522aは、第1のスコア溝2521の第3のスコア溝2523から離れた方向に沿って第1のスコア溝2521を超えており、および/または第5端2522bは、第3のスコア溝2523の第1のスコア溝2521から離れた方向に沿って第3のスコア溝2523を超えている。
【0137】
第4端2522aが、第1のスコア溝2521の第3のスコア溝2523から離れた方向に沿って第1のスコア溝2521を超えており、かつ第5端2522bが、第3のスコア溝2523の第1のスコア溝2521から離れた方向に沿って第3のスコア溝2523を超えていると、つまり、第2のスコア溝2522の両端は、それぞれ第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523を超えており、理解できるように、第2のスコア溝2522と第1のスコア溝2521とが交差して配置されており、第2のスコア溝2522と第3のスコア溝2523とが交差して配置されている。
【0138】
第2のスコア溝2522の第4端2522aは、第1のスコア溝2521の第3のスコア溝2523から離れた方向に沿って第1のスコア溝2521を超えており、第1のスコア溝2521と第2のスコア溝2522との交差位置に第1の脆弱部2525を形成することに寄与し、圧力解放本体251は、第2のスコア溝2522に沿って開裂した後に、第1の脆弱部2525を起点として第1のスコア溝2521に沿って一層開裂しやすくなる。第2のスコア溝2522の第5端2522bは、第3のスコア溝2523の第1のスコア溝2521から離れた方向に沿って第3のスコア溝2523を超えており、第3のスコア溝2523と第2のスコア溝2522との交差位置に第3の脆弱部2527を形成することに寄与し、圧力解放本体251は、第2のスコア溝2522に沿って開裂した後に、第3の脆弱部2527を起点として第3のスコア溝2523に沿って一層開裂しやすくなる。
【0139】
一部の実施例では、
図8を参照すると、
図8は本願の更なる一部の実施例に係る圧力解放装置25の構造概略図である。圧力解放本体251には、凹部2511が設けられており、圧力解放構造252は、凹部2511の底面に設けられている。
【0140】
凹部2511の底面は、凹部2511の側面と繋がる面である。凹部2511が矩形である場合を例とすると、凹部2511は四つの側面を有し、四つの側面は、底面の縁の周りに設置されている。
【0141】
凹部2511は、圧力解放本体251の表面から圧力解放本体251の内部へと凹む構造である。圧力解放構造252は、凹部2511の底面に設けられ、すなわち、圧力解放構造252における全てのスコア溝は、いずれも凹部2511の底面に設けられる。圧力解放構造252が第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を含む実施例では、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、いずれも凹部の底面に設けられる。圧力解放構造252が第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528を含む実施例では、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528は、いずれも凹部の底面に設けられる。
【0142】
成形工程において、まず圧力解放本体251に凹部2511を加工し、次に凹部2511の底面に各スコア溝を加工してもよい。
【0143】
凹部2511は、例えば長方形、円形など様々な形状であってもよい。
図8には、凹部2511は長方形である。
【0144】
本実施例では、圧力解放構造252が凹部2511の底面に設けられるため、圧力解放構造252における各スコア溝の深さを深く加工する必要がなく、各スコア溝の成形難易度を低減する。
【0145】
一部の実施例では、
図8を引き続き参照すると、圧力解放本体251内部には、電極アセンブリ22を収容するための収容室が形成され、圧力解放本体251は収容室を画定する複数の壁を有し、少なくとも一つの壁には圧力解放構造252が設けられる。
【0146】
圧力解放本体251の少なくとも一つの壁に圧力解放構造252が設けられることは、一つの壁に圧力解放構造252が設けられてもよく、複数の壁の全てに圧力解放構造252が設けられてもよい。圧力解放構造252は、壁の外面に設けられてもよく、壁の内面に設けられてもよい。
【0147】
圧力解放本体251は、例えば、直方体、円筒形など様々な形状であってもよい。圧力解放本体251が直方体である場合を例にすると、圧力解放本体251は五つの壁を有してもよく、一つの底壁と四个側壁は一緒に囲んで一端が開口した収容室を形成し、底壁には圧力解放構造252が設けられる。圧力解放本体251が円筒体である場合を例にすると、圧力解放本体251は、二つの壁、すなわち、一つの底壁と、底壁の縁を囲んで設けられる一つの周壁とを有してもよく、周壁と底壁は一緒に囲んで一端が開口した収容室を形成し、底壁には圧力解放構造252が設けられる。
【0148】
本実施例では、圧力解放本体251内部に電極アセンブリ22を収容するための収容室が形成され、圧力解放本体251の複数壁が収容室を画定するため、圧力解放装置25は、電極アセンブリ22を収容可能なケース21となり、圧力解放装置25は、収容機能と圧力解放機能とを兼備することになる。
【0149】
一部の実施例では、圧力解放構造252における各スコア溝を加工するように、圧力解放構造252は、壁の外面に設けられている。
【0150】
一部の実施例では、
図8を引き続き参照すると、圧力解放本体251に凹部2511が設けられており、圧力解放構造252が凹部2511の底面に設けられている場合、凹部2511は、圧力解放本体251の壁に設けられて壁の外面から内面へと凹んでいる。
【0151】
壁の内面は、電極アセンブリ22に面する壁の表面であり、壁の外面は、電極アセンブリ22から離れた方向に面する壁の表面である。
【0152】
圧力解放構造252は、凹部2511の底面に設けられており、圧力解放構造252における各スコア溝の深さを深く加工する必要がなく、各スコア溝の成形難易度を低減する。また、凹部2511が壁の外面から内面へと凹んでいるため、凹部2511は、圧力解放部2524に回避空間を提供でき、圧力解放部2524が開いた後に少なくとも一部を凹部2511内に収容させ、圧力解放部2524が開いた後に占める壁の外面以外の空間を減少させる。
【0153】
本願の実施例は、上述したいずれか一つの実施例に係る圧力解放装置25を備える電池セル20を提供する。
【0154】
本願の実施例は、電池セル20を収容するための筐体10と、上述したいずれか一つの実施例に係る電池セル20とを備える電池100を提供する。
【0155】
本願の実施例は、上述したいずれか一つの実施例に係る電池100を備える電気設備を提供する。
【0156】
電気設備は、上述したいずれか一つの電池100を適用する設備であってもよい。
【0157】
図6を参照すると、本願の実施例は電極アセンブリ22を収容するためのハウジングをさらに提供し、ハウジングには圧力解放構造252が設けられており、圧力解放構造252は、ハウジングに設けられる第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528を含み、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは、間隔をあけて設けられ、第4のスコア溝2528は、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523との間に位置し、第1のスコア溝2521、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528は、いずれも第2のスコア溝2522と交差し、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は共同で圧力解放部2524を画定し、圧力解放部2524は、電池セル20内部の圧力または温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開いて電池セル20内部の圧力を解放するように構成される。このような構造を有するハウジングは、広い圧力解放面積を有するため、圧力解放効率が向上し、電池セル20の熱暴走による発火・爆発のリスクを低減し、電池セル20の安全性が向上する。
【0158】
本願の実施例は圧力解放装置25の製造方法を提供する。
図9を参照すると、
図9は、本願の一部の実施例に係る圧力解放装置25の製造方法のフローチャートであり、該方法は、以下のステップを含む。
【0159】
S100:圧力解放本体251を提供する。
【0160】
S200:圧力解放本体251に圧力解放構造252を加工する。
【0161】
ここで、圧力解放構造252は、圧力解放本体251に設けられる第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を含み、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは、間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523は、いずれも第2のスコア溝2522と交差し、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は、電池セル20内部の圧力又は温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開いて電池セル20内部の圧力を解放するように構成される圧力解放部2524を共同で画定する。
【0162】
一部の実施例では、圧力解放構造252は、圧力解放本体251に設けられ、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523との間に位置する第4のスコア溝2528をさらに含む。第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522、第3のスコア溝2523および第4のスコア溝2528は、いずれも打ち抜き成形で圧力解放本体251に成形される。
【0163】
なお、上記実施例に係る製造方法によって製造される圧力解放装置25の関連構造について、前述した各実施例に係る圧力解放装置25を参照してもよく、ここでは省略する。
【0164】
また、本願の実施例は、圧力解放装置25の製造設備2000をさらに提供する。
図10を参照すると、
図10は本願の一部の実施例に係る圧力解放装置25の製造設備2000の概略ブロック図であり、製造設備2000は、圧力解放本体251を提供するための提供装置2100と、圧力解放本体251に圧力解放構造252を加工する加工装置2200とを備える。
【0165】
ここで、圧力解放構造252は、圧力解放本体251に設けられる第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を含み、第1のスコア溝2521と第3のスコア溝2523とは、間隔をあけて設けられ、第1のスコア溝2521および第3のスコア溝2523は、いずれも第2のスコア溝2522と交差し、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523は圧力解放部2524を共同で画定し、圧力解放部2524は、電池セル20内部の圧力又は温度が閾値に達したときに、第1のスコア溝2521、第2のスコア溝2522および第3のスコア溝2523を境界として開いて電池セル20内部の圧力を解放するように構成される。
【0166】
なお、上記実施例に係る製造設備2000によって製造される圧力解放装置25の関連構造について、前述した各実施例に係る圧力解放装置25を参照してもよく、ここでは省略する。
【0167】
また、矛盾がない限り、本願の実施例および実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0168】
上述の実施例は、単に本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、これを限定するものではない。当業者からすれば、本願は種々の変更や変形を有してもよい。本願の精神及び原則内で行われたあらゆる修正、同等の置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0169】
10-筐体
11-第1部分
12-第2部分
20-電池セル
21-ケース
22-電極アセンブリ
221-正極タブ
222-負極タブ
23-エンドキャップ
231-正極電極端子
232-負極電極端子
24-絶縁体
25-圧力解放装置
251-圧力解放本体
2511-凹部
252-圧力解放構造
2521-第1のスコア溝
2521a-第1端
2522-第2のスコア溝
2522a-第4端
2522b-第5端
2523-第3のスコア溝
2523a-第2端
2524-圧力解放部
2525-第1の脆弱部
2526-第2の脆弱部
2527-第3の脆弱部
2528-第4のスコア溝
2528a-第3端
26-集電部材
100-電池
200-コントローラ
300-モータ
1000-車両
2000-製造設備
2100-提供装置
2200-加工装置
【国際調査報告】