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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】耐凍結性クイック接続継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/14 20060101AFI20231003BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F16L37/14
F16L21/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504823
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 US2021046406
(87)【国際公開番号】W WO2022066324
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,185
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/111,870
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,スティーヴン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,タイ・エイ
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
【Fターム(参考)】
3H015KA00
3J106AA04
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BE18
3J106BE40
3J106CA07
3J106EA03
3J106EB06
3J106EC01
3J106ED34
3J106EE02
3J106EF04
(57)【要約】
金属製継手アセンブリは、流体システム部品のチューブ端部12を上記継手アセンブリにロックするためのクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントを採用する。継手アセンブリ10は:第1の端部と、上記第1の端部の反対側の第2の端部との間の流体流路26を画定する、継手ボディ14であって、上記第1の端部は、第1の流体システム部品のチューブ端部12を受承するよう構成され、継手ボディ14は、上記第1の端部に隣接するクリップスロット34を画定し、上記継手ボディの材料は金属を含む、継手ボディ14と;クリップ16であって、上記クリップの材料は金属を含む、クリップ16とを含む。チューブ端部12を継手ボディ14の上記第1の端部に挿入する際には、クリップ16を、クリップスロット34を通してチューブ端部12の周りに挿入することにより、上記チューブ端部を、チューブ端部12が継手ボディ14内でロックされた接続状態に係合する。継手ボディ14は、本体28と、リング状端部30であって、本体28とリング状端部30との間にクリップスロット34を画定する、リング状端部30とを含み、本体28及びリング状端部30は、ブリッジ32によって互いに取り付けられる。耐凍結性のために、リング状端部30は、引張荷重500lbf(2200ニュートン)において、0.010インチ(0.25mm)以下まで、歪みを最小化するように構成される。上記継手ボディの内径に対する上記リング状端部の断面積の比は、21%~73%とすることができる。ブリッジ30は、上記継手ボディの外径の20%~70%の幅を有してよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体システムの部品を接続するための継手アセンブリであって、前記継手アセンブリは:
第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部との間の流体流路を画定する、継手ボディであって、前記第1の端部は、第1の流体システム部品のチューブ端部を受承するよう構成され、前記継手ボディは、前記第1の端部に隣接するクリップスロットを画定し、前記継手ボディの材料は金属を含む、継手ボディ;及び
クリップであって、前記クリップの材料は金属を含み、前記チューブ端部を前記継手ボディの前記第1の端部に挿入する際には、前記クリップを、前記クリップスロットを通して前記チューブ端部の周りに挿入することにより、前記チューブ端部を、前記チューブ端部が前記継手ボディ内でロックされた接続状態に係合する、クリップ
を備え、
前記継手ボディは、本体と、リング状端部であって、前記本体と前記リング状端部との間に前記クリップスロットを画定する、リング状端部とを含み、前記継手ボディは更にブリッジを含み、また前記本体及び前記リング状端部は、前記ブリッジによって互いに取り付けられ;
前記リング状端部は、引張荷重500lbf(2200ニュートン)において、0.010インチ(0.25mm)以下まで、歪みを最小化するように構成される、継手アセンブリ。
【請求項2】
前記継手ボディの内径に対する前記リング状端部の断面積の比は、21%~73%である、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項3】
前記継手アセンブリは3/8” SAE J2044オス型スタブに接続されるよう構成され、前記継手ボディの前記内径に対する前記リング状端部の前記断面積の前記比は、0.212の最小比、及び0.729の最大比を有する、請求項2に記載の継手アセンブリ。
【請求項4】
前記リング状端部は、0.400”(10mm)の長手方向寸法を有する、請求項3に記載の継手アセンブリ。
【請求項5】
前記ブリッジは、前記継手ボディの外径の20%~70%の幅を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項6】
前記クリップは、横方向セグメントから延在する第1及び第2の対向する脚を含み、前記接続状態では、前記横方向セグメントは前記継手ボディの前記ブリッジにわたって延在し、対向する前記脚は、前記クリップスロットを通って延在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項7】
前記クリップの対向する前記第1の脚及び前記第2の脚はそれぞれ:
前記横方向セグメントから延在する第1のセグメント;
前記第1のセグメントから、前記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第2のセグメントであって、前記第1の脚の前記第2のセグメントと、前記第2の脚の前記第2のセグメントとは、前記チューブ端部の周りをロックするために好適な中点の周りで反対方向に湾曲する、第2のセグメント;
前記第2のセグメントから、前記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第3のセグメント;並びに
前記第3のセグメントから、前記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第4のセグメントであって、前記第1の脚の前記第4のセグメント、及び前記第2の脚の前記第4のセグメントは、前記第1の脚の前記第3のセグメント、及び前記第2の脚の前記第3のセグメントから、反対方向にフレア状に広がる、第4のセグメント
を備える、請求項6に記載の継手アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のセグメントは、前記第1の脚の前記第1のセグメントと前記第2の脚の前記第1のセグメントとが平行になり、前記第3のセグメントがそれぞれ前記第1のセグメントと位置合わせされるように、前記横方向セグメントから略直角に延在する、請求項7に記載の継手アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の脚は第1のクリップ端部で終端し、前記第2の脚は第2のクリップ端部で終端し、前記第1の脚及び前記第2の脚は、前記第1のクリップ端部及び前記第2のクリップ端部から前記横方向セグメントに向かって幅広になっている、請求項6~8のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の脚の前記セグメントは、前記第2の脚の前記セグメントの鏡像である、請求項7~9のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項11】
前記継手ボディ及び/又は前記クリップはステンレス鋼製である、請求項1~10のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項12】
前記継手アセンブリはSAE J2044規格に適合する、請求項1~11のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項13】
前記接続状態において前記チューブ端部の外面に対する密閉を行う、密閉用要素を更に備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項14】
前記密閉用ボディの内径は溝を含み、前記密閉用要素は、前記溝内に位置決めされるOリングシールである、請求項13に記載の継手アセンブリ。
【請求項15】
前記継手ボディ及び前記クリップの金属材料は、50kpsi超の降伏強度を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項16】
前記継手ボディの前記第2の端部は、前記流体システムの第2の部品に接続されるよう構成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の継手アセンブリ。
【請求項17】
前記継手ボディの前記第2の端部は、ホースを受承するよう構成された、リブ付きニップルである、請求項16に記載の継手アセンブリ。
【請求項18】
前記継手ボディの前記第2の端部に接続されるシェルを更に備え、前記ニップル及び前記シェルは、前記ホースを受承するための空間を画定し、前記シェルは、前記ホースを前記継手アセンブリに接続するために、前記ホースの周りに圧着される、請求項17に記載の継手アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年9月25日出願の米国仮特許出願63/083,185号、及び2020年11月10日出願の米国仮特許出願第63/111,870号の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は参照により本出願に援用される。
【0002】
本出願は、一般に、流体システムの部品を接続するためのクイック接続継手、例えば液体燃料及び蒸気システム又は排出システムのためのクイック接続継手に関し、特に低温用途での使用のための耐凍結性クイック接続継手に関する。
【背景技術】
【0003】
流体システムの部品の接続のためのクイック接続継手は、該システムを通した流体の移送のために、多様な用途で使用される。クイック接続継手は、この継手を、噛合するチューブ端部に接合することによって動作する。一例は、SAE J2044規格に適合した液体燃料及び蒸気送達システム並びにこれに関連する排気システムのための、クイック接続継手の使用である。例示的な用途としては、ガソリン及びディーゼル燃料送達システム、並びにこれに関連する通気又は蒸発排出システムが挙げられる。従ってクイック接続継手は、相当な範囲の動作及び環境温度並びに圧力条件を含む、多様な環境及び動作条件下で、動作できる必要がある。例えばSAE J2044には、関連付けられた燃料送達及び排出システムに関する温度及び圧力動作範囲が記述されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「クイック(quick)」接続継手は、その名の通り、オペレータが比較的簡単に接続できるものである必要がある。しかしながら、従来の継手の構成はねじ山付き部品を採用することが多く、これらは互いに対して回転させる必要があり、これには専用のツールが必要となる場合がある。更に、従来のクイック接続継手は1つ以上の熱可塑性部品から作成されることが多く、これは、多様な環境及び動作条件への対応が困難であり得る。例えば、氷点下条件に曝露された場合、ディーゼル排出流体の膨張により、熱可塑性継手部品がひび割れる、又は破壊される場合がある。更に、燃料送達及び排気システムは、熱可塑性部品を劣化させる可能性がある高温下で動作する場合がある。従って従来のクイック接続継手は、接続の容易さ、並びに可能性のある多様な環境及び動作条件にわたる有効性に関して、不十分である場合がある。
【0005】
クイック接続継手のある1つの用途では、ディーゼル処理後排出システムは、亜酸化窒素の削減のために、液体尿素(高アンモニア溶液)を使用する。これらの流体の凍結温度は約13°Fであるため、寒冷地の環境条件では上記流体は凍結する可能性がある。尿素は凍結すると膨張し、流体搬送ホース及び継手に対して過剰な力を生成する。このような用途の従来のクイック接続継手は、耐化学性、使用の容易さ、低いコストを理由として、プラスチック製SAE J2044コネクタを利用している。上述のように、このような従来のプラスチック製継手は、流体の凍結時の高い引張荷重による継手の破損が発生しやすいため、従来のクイック接続継手の構成は、特に低温条件での使用には不十分なものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って当該技術分野には、接続が容易であり、また多様な温度及び圧力等の環境及び動作条件にわたって有効である、強化されたクイック接続継手に対する需要が存在する。例示的実施形態では、クイック接続継手は、液体燃料及び蒸気送達システム並びに関連する排出システムに関するSAE J2044規格に適合する。本出願の実施形態は、総金属製の継手の設計を採用し、その金属材料は50kpsi超の降伏強度を有し、また高温(例えば200°F超)、及びそれ以下になるとディーゼル排出システムに一般に使用される液体尿素が凍結し得る低温(例えば13°F未満)における動作に好適なものである。この総金属製の設計は、従来の構成に比べて継手の耐久性及び信頼性を大幅に向上させ、特に、搬送される流体が凍結して、膨張によって従来の熱可塑性継手部品を破砕する可能性がある条件下において好適である。従って本出願の継手の実施形態は本質的に耐凍結性であり、よって、有効な耐化学性及び使用の容易さを依然として提供しながら、従来の構成の欠点を克服する。
【0007】
例示的実施形態では、上記クイック接続継手は、金属製継手ボディと、上記継手ボディを流体システム部品のチューブ端部に接続するために使用される金属製ワイヤクリップ接続部品とを含む。ワイヤクリップを接続部品として使用すると、設計の複雑さ及びコストが低減され、ユーザにとっての使用の容易さが改善される。上記継手ボディ及び上記クリップ部品が金属で構成されていることにより、ユーザは、上記継手ボディの、チューブ又はホースに取り付けられる部分の設計及び構成について、設計の自由度を有する。従来のプラスチック材料では、このようなプラスチック材料の強度が比較的低いことにより、この設計の自由度は限定される。
【0008】
クリップ・トゥ・ボディ式アタッチメント(clip‐to‐body attachment)は、螺合接続を用いずに行われるため、組み立てのためにいずれかの継手部品(ボディ又はクリップ)の回転を必要としない。これは組み立ての容易さを向上させ、また特に、典型的なツールを用いて部品の回転を達成することが困難な狭い空間に好適である。上記クリップは、例えばスクリュードライバー、又は上記クリップを上記継手ボディから押し込むことができるプライヤーといった、一般的なハンドツールで取り外すことができるため、上記構成は、従来の構成では一般的であるような、上記継手に追加された専用の取り外し用部品を採用しない。上記クリップは軽量であり、接続されたチューブ部品のオス型端部に保持される。従って上記クリップは、上記クリップを所定の位置に維持するために、上記継手ボディによる追加の保持又は干渉を全く必要としない。対照的に、従来の継手は、上記チューブ端部の接続を補助するために、上記継手ボディの内側に打ち抜き加工されたステンレス鋼製のピースを使用するため、上記継手ボディを、組み立て及びチューブの接続の保持のために特別に形成する必要がある。そして、上記クリップの取り外しの容易さにより、上記継手の内部部品へのアクセス、例えばOリング又は他の密閉用部品へのアクセスが容易になり、これによって上記継手の整備が容易になる。従来の継手は、上記継手ボディによって所定の位置に圧延成形された打ち抜き加工済みピースを有し、これによって容易な整備が妨げられる。
【0009】
本発明のある態様は、金属製継手アセンブリであって、上記金属製継手アセンブリは耐凍結性であり、また、流体システム部品のチューブ端部を上記継手アセンブリにロックするためのクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントを採用する。例示的実施形態では、上記継手アセンブリは:第1の端部と、上記第1の端部の反対側の第2の端部との間の流体流路を画定する、継手ボディであって、上記第1の端部は、第1の流体システム部品のチューブ端部を受承するよう構成され、上記継手ボディは、上記第1の端部に隣接するクリップスロットを画定し、上記継手ボディの材料は金属を含む、継手ボディと;クリップであって、上記クリップの材料は金属を含む、クリップとを含む。上記チューブ端部を上記継手ボディの上記第1の端部に挿入する際には、上記クリップを、上記クリップスロットを通して上記チューブ端部の周りに挿入することにより、上記チューブ端部を、上記チューブ端部が上記継手ボディ内でロックされた接続状態に係合する。上記継手ボディは、本体と、リング状端部であって、上記本体と上記リング状端部との間に上記クリップスロットを画定する、リング状端部とを含み、上記本体及び上記リング状端部は、ブリッジによって互いに取り付けられる。耐凍結性とするために、上記リング状端部は、引張荷重500lbf(2200ニュートン)において、0.010インチ(0.25mm)以下まで、歪みを最小化するように構成される。歪みをこのように最小化するために、上記継手ボディの内径に対する上記リング状端部の断面積の比は、21%~73%とすることができる。上記ブリッジは、上記継手ボディの外径の20%~70%の幅を有してよい。
【0010】
上記クリップは、横方向セグメントから延在する第1及び第2の対向する脚を含み、上記接続状態では、上記横方向セグメントは上記継手ボディの上記ブリッジにわたって延在し、対向する上記脚は、上記クリップスロットを通って延在する。上記第1の脚及び上記第2の脚はそれぞれ:上記横方向セグメントから延在する第1のセグメント;上記第1のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第2のセグメントであって、上記第1の脚の上記第2のセグメントと、上記第2の脚の上記第2のセグメントとは、上記チューブ端部の周りをロックするために好適な中点の周りで反対方向に湾曲する、第2のセグメント;上記第2のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第3のセグメント;並びに上記第3のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第4のセグメントであって、上記第1の脚の上記第4のセグメント、及び上記第2の脚の上記第4のセグメントはそれぞれ、上記第1の脚の上記第3のセグメント、及び上記第2の脚の上記第3のセグメントから、反対方向にフレア状に広がる、第4のセグメントを含んでよい。上記第1のセグメントは、上記第1の脚の上記第1のセグメントと上記第2の脚の上記第1のセグメントとが平行になり、上記第3のセグメントがそれぞれ上記第1のセグメントと位置合わせされるように、上記横方向セグメントから略直角に延在してよい。
【0011】
本発明のこれらの特徴及び更なる特徴は、以下の説明及び添付の図面を参照すれば明らかになるだろう。この説明及び図面において、本発明の特定の実施形態は、本発明の原理を採用できる方法の一部を示すものとして詳細に開示されているが、本発明の範囲がこれに対応して制限されることはないことが理解される。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内のあらゆる変更、修正、及び均等物を含む。ある1つの実施形態に関して説明及び/又は図示される特徴は、1つ以上の他の実施形態において同一若しくは同様の方法で使用でき、並びに/又は上記他の実施形態の特徴と組み合わせて、若しくは上記他の実施形態の特徴の代わりに、使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本出願による例示的な継手アセンブリの斜視図を示す図であり、上記継手アセンブリは、チューブ端部に接続された状態で示されている。
図2図2は、図1の継手アセンブリ及びチューブ端部の斜視図を示す図であり、個々の部品は分離されている。
図3図3は、分離された状態の図1の継手アセンブリの継手ボディ部品の上面断面図を示す図である。
図4図4は、図3の継手ボディのチューブ接続用末端部分の拡大図を示す図である。
図5図5は、シェル部品に更に接続された、図3の継手ボディを示す図である。
図6図6は、分離された状態の図1の継手アセンブリのクリップ部品の側面図を示す図である。
図7図7は、図6のクリップ部品の端面図を示す図である。
図8図8は、低温用途のための耐凍結性継手を提供するために特に好適である、図4と同様に図示された、継手ボディのチューブ接続用末端部分の拡大図の非限定的な例を示す図である。
図9図9は、図8に示されているものに相当する継手ボディ構成の有限要素解析結果のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、本出願の実施形態を、図面を参照して説明する。図面では、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指すために使用される。図面は必ずしも正確な縮尺ではないことが理解されるだろう。
【0014】
本出願の実施形態は、接続が容易であり、また多様な温度及び圧力等の環境及び動作条件にわたって有効である、強化されたクイック接続継手アセンブリを提供する。例示的実施形態では、クイック接続継手アセンブリは、液体燃料及び蒸気送達システム並びに関連する排出システムに関するSAE J2044規格に適合する。本出願の実施形態は、総金属製の継手アセンブリの設計を採用し、その金属材料は50kpsi超の降伏強度を有し、また高温(例えば200°F超)における動作に好適なものである。この総金属製の設計は、従来の構成に比べて継手の耐久性及び信頼性を大幅に向上させ、特に、搬送される流体が凍結して、膨張によって従来の熱可塑性継手部品を破砕する可能性がある条件下において好適である。従って本開示の継手アセンブリの実施形態は本質的に耐凍結性である。
【0015】
図1は、本出願による例示的な継手アセンブリ10の斜視図を示す図であり、継手アセンブリ10は、チューブ端部12に接続された状態で示されている。図2は、図1の継手アセンブリ10及びチューブ端部12の斜視図を示す図であり、個々の部品は分離されている。例示的実施形態では、クイック接続継手アセンブリ10は、継手ボディ14と、継手ボディ14を流体システム部品のチューブ端部12に接続するために使用されるワイヤクリップ接続部品16とを含む。ワイヤクリップ16を接続部品として使用すると、設計の複雑さ及びコストが低減され、ユーザにとっての使用の容易さが改善される。
【0016】
例示的実施形態では、継手ボディ14及びクリップ16はいずれも、金属を含む材料で作製され、上記材料は、多様な範囲の動作及び環境条件に耐えることができる必要があり、動作圧力に耐えられる程度の強度を有する必要があり、また、特に燃料送達及び排気システムでの使用のために非腐食性である必要がある。好適な材料としては、炭素系若しくはステンレス鋼材料、又は真鍮が挙げられ、これらは上述の物理的要件を満たすものであり、またコスト効率が高い。めっきされた鋼鉄材料、例えばニッケルめっきされた鋼鉄が特定の用途に利用される場合があるが、めっきされた鋼鉄は比較的高価となる可能性があり、また特定の腐食性環境ではあまり容易には使用できない場合がある。上記継手ボディ及び上記クリップ部品が金属を含む材料で構成されていることにより、ユーザは、上記継手ボディの、チューブ又はホースに取り付けられる部分の設計及び構成について、設計の自由度を有する。従来のプラスチック材料では、このようなプラスチック材料の強度が比較的低いことにより、この設計の自由度は限定される。チューブ端部12を含む流体システム部品は、剛性プラスチック、鋼鉄若しくは他の金属、プラスチックでコーティングされた若しくはめっきされた鋼鉄、又は液体システムの部品に一般的に使用される他の好適な材料といった、流体流動システムで従来使用されているようないずれの好適な材料で作製できる。
【0017】
以下で更に詳述されるように、このクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントは、螺合接続を用いずに行われるため、組み立てのためにいずれかの継手部品(ボディ又はクリップ)の回転を必要とせず、これにより、従来の構成を上回る多数の利点がもたらされる。このクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントは、組み立ての容易さを向上させ、また特に、典型的なツールを用いて部品の回転を達成することが困難な狭い空間に好適である。クリップ16は、例えばスクリュードライバー、又は上記クリップを上記継手ボディから押し込む若しくは「ポップ(pop)」させることができるプライヤーといった、一般的なハンドツールで、継ぎ手ボディ14から取り外すことができるため、上記構成は、従来の構成では一般的であるような、上記継手ボディに追加された専用の取り外し用部品を採用しない。クリップ16は軽量でありながら、接続されたチューブ部品12のオス型端部に効果的に保持される。従って上記継手アセンブリは、上記クリップを所定の位置に維持するために上記継手ボディに組み込まれる追加の保持又は干渉用特徴部分を全く必要としない。クリップ16の取り外しの容易さにより、Oリング又は他の密閉用部品といった継手アセンブリの内部部品へのアクセスが容易になり、これによって継手の整備が容易になる。
【0018】
対照的に、従来の継手は典型的には、上記チューブ端部の接続及び保持を補助するために、上記継手ボディの内側に打ち抜き加工されたステンレス鋼製のピースを使用するため、上記継手ボディを、組み立て及びチューブの接続の保持のために特別に形成する必要がある。従来の継手は、上記継手ボディによって所定の位置に圧延成形された打ち抜き加工済み金属製J2044コネクタ又はピースを有し、これによって容易な整備が妨げられる。このような総金属製圧延成形ボディ設計は、一般的なハンドツールで分解できない。多くの従来の構成は、Oリングのためのプラスチック製スペーサー及びプラスチック製リテーナーも使用する。本出願の実施形態は、Oリングシールを受承する2つの保持部品(ボディ及びクリップ)しか含まず、これは、ディーゼル排気流体の膨張による硬氷結時にOリング保持部品が押し出される可能性を防ぐ。
【0019】
継手ボディ14は、第1の端部18と、第1の端部18の反対側の第2の端部20とを含む。第1の端部18は、チューブ端部12を受承するように構成される。以下で更に詳述されるように、チューブ端部12を継手ボディ14の第1の端部18に挿入すると、クリップ16は、チューブ端部12が継手ボディ14内でロックされるように、チューブ端部12及び継手ボディ14と係合し、これは接続状態と呼ばれる。この例では、継手ボディ14の外面は段差を有するが、継手ボディ14は特定の用途に好適ないずれの形状であってよい。図1、2に示されている例では、継手ボディ14の第2の端部20は、ホース又は類似の部品を受承するためのニップルとして構成されている。ニップルである第2の端部20は、複数のリブ22を備えるように構成される。ホースが第2の端部20を覆うように押し込まれると、リブ22はホースを継手アセンブリに保持するのを補助する。この例では、第2の端部20は、ホースを受承するためのリブ付きニップルとして構成されるが、いずれの特定の用途に好適となり得るような他のタイプの流体接続を第2の端部20として採用してよい。
【0020】
図3は、分離された状態の図1の継手アセンブリ10の継手ボディ部品14の上面断面図を示す図である。図4は、図3の継手ボディ14のチューブ接続用末端部分24の拡大図を示す図である。図1~4を併せて参照すると、チューブ接続用末端部分24は、継手ボディの第1の端部18に位置決めされる。継手ボディ14は、第1の端部18と第2の端部20との間に流体を通過させるための流体流路26を画定する。上記継手ボディは、本体28と、ブリッジ32を介して本体28に取り付けられるリング状端部30とを含む。本体28及びリング状端部30は、図1に示されている接続状態において最も容易に確認できる、クリップ16を受承するクリップスロット34を画定する。
【0021】
チューブ端部12を継手アセンブリ10に固定するために、チューブ端部12を継手ボディ14の第1の端部18に、第2の端部20に向かって挿入する。チューブ端部12は、クリップ16と相互作用できる、例えば1つ以上の隆起部又は突出部13等の相互作用特徴部分13を含んでよく(特に図2の分離された図を参照)、上記チューブ端部は、チューブ端部12のいずれの相互作用特徴部分13が、継手ボディ14の第1の端部18に対して、クリップスロット34を越えた位置に配置されるよう、十分に挿入される。上記チューブ端部をこのように位置決めすると、クリップ16はクリップスロット34に挿入される。クリップ16の構造及び動作の更なる詳細は、これ以降の図面を参照して以下で説明される。一般に、クリップ16は、横方向セグメント40から延在する対向する脚36、38を含む(図1、2を参照)。脚36、38は、各脚と横方向セグメントとが接合される位置において、横方向セグメント40と略直角(例えば90°±10°)を形成する。図1に示されている接続状態では、横方向セグメント40は継手ボディ14のブリッジ32にわたって延在する。クリップ脚36、38はクリップスロット34を通って延在するため、クリップは、継手ボディ14の本体28とリング状端部30との間のクリップスロット内の所定の位置に維持される。上記脚は、チューブ端部12のいずれの相互作用特徴部分13がクリップ16に比べて第1の端部18から離間した状態で、チューブ端部12の外面に密接に嵌合するよう構成される。このようにして、チューブ端部12の相互作用特徴部分(隆起部)13に対するクリップ脚36、38の相互作用により、チューブ端部が継手ボディ14から引き出されるのが防止される。
【0022】
クリップ16を支持するための表面を提供しながらクリップスロット34を形成するために、ブリッジ32は、本体28及びリング状端部30に比べて、継手ボディ14の部分的な部分として構成される。換言すれば、ブリッジ32は、幅が広い継手ボディ部品の周囲又は外周に比べて極めて小さい幅だけ延在し、これにより、上述のようにチューブ端部12を継手ボディ内にロックする様式で、クリップ16をクリップスロット34に挿入できる。従ってブリッジ32は、多くの従来の構成で使用されるようなプラスチック材料で継手ボディが作製されている場合には、継手アセンブリの、強度が低く破損の可能性があるポイントを構成する可能性がある。ブリッジ32を含む継手ボディ14は金属系材料製であるため、ブリッジ32は、強度の低さ又は破損を伴うことなくチューブ端部をロックできるようにするために十分な強度を有する。従って、これに類似する熱可塑性ブリッジは、クリップ16でチューブ端部12をロックすることに関連する力によって破壊される恐れがあるという点で、従来の熱可塑性材料は、継手アセンブリ10のクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントを収容するためには強度が不十分なものとなり得る。
【0023】
特に図3、4を参照すると、継手ボディ14の内径41は1つ以上の密閉用溝を含むことができ、これは継手ボディの内径に機械加工できる。図示されている例では、2つの密閉用溝42、44が設けられており、各密閉用溝は、例えばOリングシール43、45といった密閉用要素それぞれを受承できる(図5を参照)。上記密閉用要素は、接続状態にあるチューブ端部12の外面と継手ボディ14の内径41との間を、流体の漏れに対して密閉する。ある代替実施形態では、内径41は一定であってよく、密閉は、専用の密閉用要素を継手ボディに挿入することで実施される。このような密閉用要素は、好適な剛性材料製のプレスフィットフレームとして構成でき、これは上記フレーム内に1つ以上の密閉用部品(例えばOリングシール)を組み込む。よってこのような密閉用要素は、この密閉用要素がチューブ端部12の外面と継手ボディ14の内径41との間を流体の漏れに対して相当に密閉するように、継手ボディにプレスフィットされる。
【0024】
図5は、シェル部品46に接続された、図3の継手ボディ14を示す図である。シェル部品46は特に、継手ボディの第2の端部20がホースを受承するためのリブ付きニップルとして特に構成されている用途において、採用される。上記シェル部品46は、継手ボディ14と同等の金属系材料製であってよい。継手ボディ14は肩状部48を含み、シェル部品46は対向する肩状部50を含み、これらは互いに相互作用して、上記シェルを継手ボディに接続された状態で保持する。組み立て中、シェル46を継手ボディ14上で単に摺動させることによって、対向する肩状部48、50が位置合わせされる。図5は組み立ての初期状態を示す。このような初期状態では、シェル部品46は対向する肩状部50から半径方向外向きにフレア状に広がり、これにより、継手ボディのニップル端部20のリブ付き表面と、シェル46の内面とが、ホース受承空間52を画定する。更に、シェル部品46の内面は、複数の返し54を含む。
【0025】
ホースを継手アセンブリ10に接続するためには、ホース(図示せず)を、継手ボディ14のリブ付きかつニップル状の第2の端部20を覆うように押し込む。これによりホースはホース受承空間52内に位置し、リブ22によって部分的に保持される。次に、当該技術分野で公知の好適な圧着工具を用いて、シェル部品46をホース上に圧着し、返し54がホースの外面に食い込むことにより、継手アセンブリ10に対するホースの密接な接続が形成される。
【0026】
上述のように、チューブ端部12を継手アセンブリ10に固定するためには、チューブ端部12を継手ボディ14の第1の端部18に挿入し、クリップ16を用いてチューブ端部を継手ボディ14内にロックする。図6は、分離された状態の図1の継手アセンブリ10のクリップ部品16の側面図を示す図である。これも上述のように、クリップ16は、横方向セグメント40から延在する、対向する脚36、38を含む。更に脚36、38は、各脚と横方向セグメントとが接合される位置において、横方向セグメント40と略直角(例えば90°±10°)を形成する。
【0027】
図6の例で示されているように、脚36、38はそれぞれ複数のセグメントに分割されていてよく、図示されている例では、これらのセグメントは互いの鏡像であり、即ち第1の脚36のセグメントは第2の脚38のセグメントの鏡像である。ある例示的実施形態では、第1のセグメント60a/60bは、上述のように横方向セグメント40から略直角に延在する。従って、上記脚を個別に見ると、第1の脚36の第1のセグメント60aと、第2の脚38の第1のセグメント60bとは、本質的に互いに対して平行である。第2のセグメント62a/62bは、第1のセグメント60a/60bから、横方向セグメント40から離れる方向に延在する。第2のセグメント62a/62bは、図6中で特定されている中点「+」を中心とする曲率半径を有する湾曲セグメントであり、いずれの特定の用途のために構成されたチューブ端部12の周りをロックするために好適である。従って、上記脚を個別に見ると、第1の脚36の第2のセグメント62aと、第2の脚38の第2のセグメント62bとは、反対方向の湾曲を有し、従って上記第2のセグメントは接続状態にある場合に一体となってチューブ端部12を包囲するか又は取り囲み、これによってチューブ端部12を継手ボディ14内にロックする。第3のセグメント64a/64bは、上記第2のセグメントから、横方向セグメント40から離れる方向に、上述のように上記横方向セグメントに対して略直角に延在する。従って、上記脚を個別に見ると、第1の脚36の第3のセグメント64aと、第2の脚38の第3のセグメント64bとは、本質的に互いに対して平行であり、更に本質的に第1のセグメント60a/60bと位置合わせされている。第4のセグメント66a/66bは、上記第3のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在し、第4のセグメント66a/66bは、上記第3のセグメントに対して外向きにフレア状に広がっている。従って、上記脚を個別に見ると、第1の脚36の第4のセグメント66aと、第2の脚38の第4のセグメント66bとは、反対方向に、互いから離れるようにフレア状に広がっている。このフレアにはいずれの好適な角度を用いてよい。一般にフレア角は、組み立てのためにチューブ端部の周りの所定の位置に押し込まれた場合に、クリップの拡張を促進できるよう、十分に大きくなければならない。というのは、この角度が小さすぎると、クリップ脚の先端がチューブ端部に食い込んだ場合に、上記脚がオス型のチューブ端部を損傷する恐れがあるためである。
【0028】
図7は、図6のクリップ部品16の端面図を示す図である。図6、7に示されているように、フレア状に広がった第4のセグメント66a、66bはそれぞれ、第1のクリップ端部70及び第2のクリップ端部72で終端する。図7に示されているように、クリップ脚36、38は、クリップ端部70、72から横方向セグメント40に向かって幅広になっている。
【0029】
図1、2を図6、7と併せて参照すると、チューブ端部12は以下のように継手アセンブリ10に接続される。上述のように、チューブ端部12は、上記チューブ端部の相互作用特徴部分(隆起部)13が、継手ボディの第1の端部18に対して、クリップスロット34を越えた位置に配置されるように、継手ボディ14の第1の端部18に、第2の端部20に向かって十分に挿入される。上記チューブ端部がこのように位置決めされると、クリップ16がクリップスロット34に挿入される。クリップ16の、フレア状に広がった第4のセグメント66a、66bは、クリップの挿入を補助する。クリップ脚36、38は、図6の分離された状態の図に示されているように、本来の位置に付勢されるばねのように作用する。クリップ16をクリップスロット34にロック位置まで押し込むと、フレア状に広がった第4のセグメント66a、66bに対するチューブ端部12の押し込む動作によって、クリップ脚36、38が離間するように拡張され、これによってクリップをチューブ端部12の周りに挿入できる。上述のように、クリップ脚36、38は、クリップ端部70、72から横方向セグメント40に向かって幅広になっている。これにより、クリップスロット34を通してチューブ端部12の周りへとクリップを挿入したときに、クリップ脚を離間するように拡張するのが補助される。上記クリップは、チューブ端部32が湾曲した第3のセグメント64a、64bの間で静止するまで、クリップスロット34に挿入され、クリップ16の付勢によってチューブ端部12の緊密な保持が提供され、チューブ端部12の隆起部13との相互作用によって上記チューブ端部が所定の位置にロックされる。継手ボディ14のブリッジ32に対して相互作用する横方向セグメント40により、クリップスロット34へのクリップ16の更なる挿入が防止される。
【0030】
上述のように、図1に示されている接続状態では、クリップ16の横方向セグメント40は、継手ボディ14のブリッジ32にわたって延在する。クリップ16は、継手ボディ14の本体28とリング状端部30との間のクリップスロット34内の所定の位置に維持され、チューブ端部12の相互作用特徴部分13とクリップ脚36、38との相互作用により、チューブ端部が継手ボディ14から引き出されるのが防止される。更に、クリップ脚36、38がクリップ端部70、72から横方向セグメント40に向かう方向に幅広になっており、横方向セグメント40がクリップ16の最も幅広の部分となることによって、クリップ16が継手ボディ14のブリッジ32に対して強力に保持され、これにより、クリップがブリッジ32に対して相互作用することでチューブ端部を所定の位置にロックする際の、横方向セグメントにおけるクリップの破壊が排除される。
【0031】
クリップ16は、例えばスクリュードライバー、又は上記クリップを継手ボディ14から押し込む若しくは「ポップ(pop)」させることができるプライヤーといった、一般的なハンドツールで、継ぎ手ボディ14から取り外すことができる。特にツールの押し込む動作によって、クリップの付勢に対抗して離間するように脚36、38を拡張でき、これによって上記脚を、クリップが取り外されるまで、クリップスロットに沿ってチューブ端部を越えて押し込むことができる。従って上記構成は、従来の構成では一般的であるような、上記継手ボディに追加された専用の取り外し用部品を採用しない。クリップ16が取り外された後、チューブ端部12を継手ボディ14から引き抜くことができる。
【0032】
図8は、低温用途のための耐凍結性継手構成を提供するために特に好適である、図4と同様に図示された、継手ボディのチューブ接続用末端部分24の拡大図の非限定的な例を示す図である。図8はある特定の例を示しており、特定の用途に対しては変形形態が採用される場合があることが理解されるだろう。上述のように、クイック接続継手のある1つの用途では、ディーゼル処理後排出システムは、亜酸化窒素の削減のために、液体尿素(高アンモニア溶液)を使用する。これらの流体の凍結温度は約13°Fであるため、寒冷地の環境条件では上記流体は凍結する可能性がある。尿素は凍結すると膨張して、流体搬送ホース及び継手に対して過剰な力を生成し、図8の例は、このような条件下で継手の破損を回避するために、耐凍結性となるように設計された1つの構成を提供する。
【0033】
図8の例を参照すると、D1は継手ボディ14の内径を指し、継手ボディ14はここでも、ブリッジ32によって接続された本体28及びリング状端部30を含む。D2は継手ボディ14の外径を指す。W1はリング状端部30の長手方向寸法(即ち流体流の方向の寸法)を指し、W2はリング状端部30の、W1に対して垂直な幅寸法(即ち流体流の方向に対して垂直な寸法)を指す。従ってリング状端部30の断面積はW1×W2である。W3はブリッジ32の幅寸法を指し、S1は、本体28とリング状端部30との間に画定されるクリップスロット34の(流体流の方向の)長手方向寸法を指す。説明を目的として、図8には例示的な寸法がインチを単位として記載されている。
【0034】
SAE J2044/J2045仕様は、23℃(室温)において450N又は101lbfの最小引張力を要求する。しかしながら、現場での性能及び実験室での試験によって、この仕様は、流体の凍結の発生による継手の破損を防止するには不十分であると判断されている。実験室での試験により、ガラス充填ポリマーで5%を超えるプラスチック製継手の歪みで発生する、凍結による破損を防止するには、継手の引張強度が少なくとも500lbf(2200ニュートン)であることが好ましいと決定された。耐凍結性とみなされるための条件を満たす継手ボディを設計するために、以下の設計要素を、本出願の実施形態に従って最適化する。(1)継手の材料‐継手の材料は、凍結による破損を防止するために、及び例えばディーゼル排出処理システムで問題となり得る腐食に対する耐化学性のために、十分な強度に関して選択される。(2)継手の直径‐継手ボディの内径及び外径は、適切なサイズ設定、及び対応するSAE J2044チューブスタブの寸法との噛合に関して選択され、設置のための最大の間隔を提供できるように最小限に抑えられる。(3)ブリッジの構成‐ブリッジ(図の要素32)は、耐凍結性となるために必要な強度要件を満たすように構成される。(4)リング状端部‐凍結発生時又は引張試験中に引張荷重の集中を受ける、リング状端部(図の要素30)は、耐凍結性となるために必要な強度要件を満たすように構成される。
【0035】
継手の材料に関しては、ステンレス鋼は好適な材料の選択肢である。というのは、ステンレス鋼は尿素溶液に由来する腐食及び劣化に対する耐性を有し、また従来のガラス充填(15~30%)プラスチック(ポリアミド、PPA)の強度に比べてはるかに高い荷重において歪みを防止できる十分な強度を有しているためである。真鍮及びめっきされた炭素鋼は、尿素に対する耐腐食性が低いため、ディーゼル排出システム用途には好適でない場合があるが、腐食の問題を起こし得ない他の用途では、耐凍結性のために使用できる可能性がある。ステンレス鋼材料の特性は一般に以下の通りである:弾性率:28000ksi、引張強度:73000psi、降伏強度:31000psi。対照的に、典型的なナイロン12~30%ガラス充填ポリマーの特性は:弾性率:942ksi、引張破断強度17,400psiであり、破断時歪みはわずか5%である。このような特性は一般に、上述のような耐凍結性を提供するには不十分である。
【0036】
継手の内径及び外径に関しては、J2044仕様に従った特定の使用について継手外径D2は、対応するSAE J2044チューブスタブの寸法に対するサイズ要件に適合し、設置を容易にするために小さなプロファイルを維持し、2つ以上の継手を隣り合わせに設置する際の混雑を防止するために、1/2”(12.7mm)~3/4”(19mm)の範囲に制限される。主に使用されるSAE J2044チューブスタブのサイズとしては:1/4”(6.3mm)、5/16”(7.9mm)、3/8”(9.5mm)の直径が挙げられ、外径D2の上述の範囲は、対応するチューブスタブのサイズを収容するようにサイズ設定される。継手の内径は、使用される特定のSAE J2044チューブスタブのサイズ、及び当該技術分野では公知の、対応して指定されるビードの直径に対応して選択される。一般に、当該技術分野では公知であるように、内径D1は、取り付け及び挿入のための十分なクリアランスのために、ビードの直径+0.015”(0.4mm)~0.039”(1mm)に等しい。
【0037】
ブリッジの構成に関しては、例示的実施形態では、ブリッジ幅W3は、SAE J2044オス型チューブスタブへの効果的な係合を提供するための、ワイヤクリップ16の適切な間隔及び位置合わせを可能とするために、継手ボディの外径D1の20%~70%の範囲内である。継手ボディの外径D1の約20%未満のブリッジ幅W3は、耐凍結性となるために十分な引張強度を提供できず、継手ボディの外径D1の約70%より大きなブリッジ幅W3は、ワイヤクリップ16の効果的な設置のための十分な間隔を提供できない。例えば、SAE J2044 3/8”チューブスタブのために設計された継手について、ブリッジ幅W3は(2.7mm)0.100”~(9.6mm)0.375”となる。
【0038】
リング状端部の構成に関しては、有限要素解析(FEA)及び実験室での試験によって、リング状端部が凍結発生時に最高レベルの歪み又は変形を起こすことが決定されている。従って、凍結発生時の破損又は重大な歪みを防止するために、リング状端部は、尿素の凍結の発生時に生じる標的引張荷重500lbf(2200ニュートン)において、0.010”(0.25mm)以下まで、歪みを最小化するように構成される。この要件を満たすために、リング状端部は、3/8” SAE J2044オス型スタブに対して、2.9mm又は0.0045平方インチの最小断面積(W1×W2)を有するように構成される。継手の歪みを0.010”(0.25mm)以下まで最小化することにより、継手は、密閉の機能的要件、並びにシステムの保守及び/又は修理のために継手の連結を解除して再組み立てできる能力を維持できる。より一般的には、継手の内径D1に対してリング状端部の断面積を正規化すると、継手ボディの内径D1に対するリング状端部の断面積の比は21%~73%となる必要がある。例えばこのような正規化を3/8” SAE J2044オス型スタブに適用すると、0.212、即ち2.9/13.7の最小比が得られる。このような比率パラメータを維持しながら継手の設置に関する問題を回避するために、リング状端部の長手方向寸法W1を、およそ0.400”又は10mmに制限してよく、これにより、幅寸法W2は、0.729=10/13.7という最大の面積(W1×W2)/D1比を達成するようにサイズ設定される。
【0039】
FEAを用いて設計パラメータを調査して、上述のような複数の構成の有効性を同等に決定した。図9は、FEAの結果のグラフを示す図であり、上記結果は以下の表に記載されている。このようなFEAの結果を用いると、リング状端部は、引張荷重の印加中に最高レベルの歪みを維持する。FEAを繰り返すことにより、500lbfの荷重下で0.010”の変位に耐える、ステンレス鋼で作製されたリング状端部の断面積寸法を決定した。これらのFEAの結果は、耐凍結性構成を達成するためには、好適なリングの断面積が、継手ボディの外径D1に対する比として21%以上である必要があることを立証している。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明のある態様は、金属製継手アセンブリであって、上記金属製継手アセンブリは耐凍結性であり、また、流体システム部品のチューブ端部を上記継手アセンブリにロックするためのクリップ・トゥ・ボディ式アタッチメントを採用する。例示的実施形態では、上記継手アセンブリは:第1の端部と、上記第1の端部の反対側の第2の端部との間の流体流路を画定する、継手ボディであって、上記第1の端部は、第1の流体システム部品のチューブ端部を受承するよう構成され、上記継手ボディは、上記第1の端部に隣接するクリップスロットを画定し、上記継手ボディの材料は金属を含む、継手ボディと;クリップであって、上記クリップの材料は金属を含む、クリップとを含む。上記チューブ端部を上記継手ボディの上記第1の端部に挿入する際には、上記クリップを、上記クリップスロットを通して上記チューブ端部の周りに挿入することにより、上記チューブ端部を、上記チューブ端部が上記継手ボディ内でロックされた接続状態に係合する。上記継手ボディは、本体と、リング状端部であって、上記本体と上記リング状端部との間に上記クリップスロットを画定する、リング状端部とを含み、上記継手ボディは更にブリッジを含み、また上記本体及び上記リング状端部は、上記ブリッジによって互いに取り付けられる。耐凍結性とするために、上記リング状端部は、引張荷重500lbf(2200ニュートン)において、0.010インチ(0.25mm)以下まで、歪みを最小化するように構成される。上記継手アセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を、別個に又は組み合わせて含んでよい。
【0042】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手ボディの内径に対する上記リング状端部の断面積の比は、21%~73%である。
【0043】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手アセンブリは3/8” SAE J2044オス型スタブに接続されるよう構成され、上記継手ボディの上記内径に対する上記リング状端部の上記断面積の上記比は、0.212の最小比、及び0.729の最大比を有する。
【0044】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記リング状端部は、0.400”(10mm)の長手方向寸法を有する。
【0045】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記ブリッジは、上記継手ボディの外径の20%~70%の幅を有する。
【0046】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記クリップは、横方向セグメントから延在する第1及び第2の対向する脚を含み、上記接続状態では、上記横方向セグメントは上記継手ボディの上記ブリッジにわたって延在し、対向する上記脚は、上記クリップスロットを通って延在する。
【0047】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記クリップの対向する上記第1の脚及び上記第2の脚はそれぞれ:上記横方向セグメントから延在する第1のセグメント;上記第1のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第2のセグメントであって、上記第1の脚の上記第2のセグメントと、上記第2の脚の上記第2のセグメントとは、上記チューブ端部の周りをロックするために好適な中点の周りで反対方向に湾曲する、第2のセグメント;上記第2のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第3のセグメント;並びに上記第3のセグメントから、上記横方向セグメントから離れる方向に延在する、第4のセグメントであって、上記第1の脚の上記第4のセグメント、及び上記第2の脚の上記第4のセグメントはそれぞれ、上記第1の脚の上記第3のセグメント、及び上記第2の脚の上記第3のセグメントから、反対方向にフレア状に広がる、第4のセグメントを備える。
【0048】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記第1のセグメントは、上記第1の脚の上記第1のセグメントと上記第2の脚の上記第1のセグメントとが平行になり、上記第3のセグメントがそれぞれ上記第1のセグメントと位置合わせされるように、上記横方向セグメントから略直角に延在する。
【0049】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記第1の脚は第1のクリップ端部で終端し、上記第2の脚は第2のクリップ端部で終端し、上記第1の脚及び上記第2の脚は、上記第1のクリップ端部及び上記第2のクリップ端部から上記横方向セグメントに向かって幅広になっている。
【0050】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記第1の脚の上記セグメントは、上記第2の脚の上記セグメントの鏡像である。
【0051】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手ボディ及び/又は上記クリップはステンレス鋼製である。
【0052】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手アセンブリはSAE J2044規格に適合する。
【0053】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手アセンブリは更に、上記接続状態において上記チューブ端部の外面に対する密閉を行う、密閉用要素を含む。
【0054】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記密閉用ボディの内径は溝を含み、上記密閉用要素は、上記溝内に位置決めされるOリングシールである。
【0055】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手ボディ及び上記クリップの金属材料は、50kpsi超の降伏強度を有する。
【0056】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手ボディの上記第2の端部は、上記流体システムの第2の部品に接続されるよう構成される。
【0057】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手ボディの上記第2の端部は、ホースを受承するよう構成された、リブ付きニップルである。
【0058】
上記継手アセンブリのある例示的実施形態では、上記継手アセンブリは更に、上記継手ボディの上記第2の端部に接続されるシェルを含み、上記ニップル及び上記シェルは、上記ホースを受承するための空間を画定し、上記シェルは、上記ホースを上記継手アセンブリに接続するために、上記ホースの周りに圧着される。
【0059】
1つ以上の特定の実施形態に関して本発明を図示及び説明したが、本明細書及び添付の図面を読んで理解すれば、当業者には、これらと同等の代替形態及び修正形態が想起されることが明らかである。特に上述の要素(部品、アセンブリ、デバイス、構成物等)に関して、これらの要素の説明に使用されている用語(「手段(means)」への言及を含む)は、特段の指示のない限り、説明されている要素の指定された機能を実行するいずれの要素に対応することを意図したものであり、本明細書で例示されている本発明の1つ以上の例示的実施形態において該機能を実行する、開示されている構造と、構造的に同等でない要素である場合さえある。更に、本発明のある特定の特徴を、例示された複数の実施形態のうちの1つ以上だけを参照して上で説明した場合があるが、このような特徴は、いずれの又は特定の用途に必要かつ有利である場合には、他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることもできる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】