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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】流体圧ポンプ装置用のバッファ
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
F15B11/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512806
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021048420
(87)【国際公開番号】W WO2022047373
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/072,470
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512321121
【氏名又は名称】クリアモーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】セルデン,ブライアン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リーダー,エリック,ファレス
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,クライブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン スタードゥイネン,マティス
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,キャメロン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マクベイ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プロシェル,アンドリュー,キーガン
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA70
3H089BB05
(57)【要約】
流体圧システム、並びに差動バッファによる、流体圧システム内での流れ及び/又は圧力の変動の伝播を低減するための方法が説明されている。差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、及び第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを含み得る。バリアは、受動的な相殺的干渉によって、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内での圧力及び/又は流れの変動を軽減するように動き得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧装置、流体圧負荷、及び差動バッファを含む、流体圧システムの動作方法であって:
前記流体圧装置の第1のポートと第2のポートとの間に作動差圧及び変動差圧を発生させるポンプとして前記流体圧装置を動作させることであって、ここで、前記変動差圧は前記作動差圧に重ね合わせられる、動作させること;
前記第1のポートに流体接続される第1の流体容積及び前記第2のポートに流体接続される第2の流体容積にさらされる前記差動バッファのバリアの前後間に、全差圧を加えることであって、ここで、前記全差圧は、前記作動差圧と前記変動差圧の和以下である、全差圧を加えること;及び
前記流体圧負荷に伝えられる前記変動差圧を少なくとも部分的に軽減するために、前記バリアの少なくとも一部分を変位させること
を含む、方法。
【請求項2】
前記バリアはダイアフラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイアフラムはエッジでクランプされており、及び前記ダイアフラムの少なくとも一部分を変位させることは、前記ダイアフラムの少なくとも一部分を変形させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体圧負荷は流体圧アクチュエータである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記流体圧システムはアクティブサスペンションシステムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
流体圧システム用の差動バッファであって:
第1の内部体積部;
第2の内部体積部;
前記第1の内部体積部に流体接続された第1の流路であって、流体圧装置に流体接続されるように構成される第1の流路;
前記第2の内部体積部に流体接続された第2の流路であって、ここで、前記第2の流路は、前記流体圧装置に流体接続されるように構成され、ここで、前記第1の流路及び前記第2の流路は、前記第1の流路及び前記第2の流路における圧力変動の相関係を維持するように構成される、第2の流路;及び
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と前記第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアであって、ここで、前記バリアは、前記第1の内部体積部と前記第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて動くように構成され、及び前記バリアは、中立位置の方へ向かって付勢される、バリア
を含む、差動バッファ。
【請求項7】
前記第1の流路は第1のイナータンスを有し、及び前記第2の流路は、前記第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有する、請求項6に記載の差動バッファ。
【請求項8】
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項7に記載の差動バッファ。
【請求項9】
さらに、少なくとも1つのスプリングを含み、ここで、前記バリアはピストンであり、及び前記少なくとも1つのスプリングは、前記ピストンを前記中立位置の方へ向かって付勢するように構成される、請求項6~8のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項10】
前記バリアは、前記圧力差に基づいて弾性変形されるように構成された少なくとも1つのダイアフラムを含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムを含む、請求項10に記載の差動バッファ。
【請求項12】
前記バリアは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項6~11のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項13】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項12に記載の差動バッファ。
【請求項14】
前記バリアは、受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減するように構成される、請求項6~13のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項15】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項14に記載の差動バッファ。
【請求項16】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項14又は15に記載の差動バッファ。
【請求項17】
前記相関係は、約90°~270°の、前記第1の流路及び前記第2の流路内の前記圧力変動の相差である、請求項6~16のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項18】
差動バッファの動作方法であって:
流体を、第1の圧力で、前記差動バッファの第1の内部体積部に流体接続された第1の流路に受け入れることであって、ここで、前記第1の流路内の前記流体は、第1の相を有する第1の圧力変動を含む、受け入れること;
流体を、第2の圧力で、前記差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れることであって、ここで、前記第2の流路内の前記流体は、前記第1の相とは異なる第2の相を有する第2の圧力変動を含む、受け入れること;
流体圧装置から前記差動バッファまで、前記第1の相と前記第2の相との間の相関係を維持すること;
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを、中立位置の方へ向かって付勢すること;及び
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の圧力差に基づいて、前記バリアを動かすこと
を含む、方法。
【請求項19】
さらに、前記バリアの前記動きゆえの受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記バリアはピストンであり、及び前記バリアを前記中立位置の方へ向かって付勢することは、少なくとも1つのスプリングによって前記ピストンに力を加えることを含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記バリアは少なくとも1つのダイアフラムを含み、前記バリアを動かすことは、前記圧力差に基づいて、前記少なくとも1つのダイアフラムを弾性変形させることを含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の流路は第1のイナータンスを有し、及び前記第2の流路は、前記第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有する、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のイナータンスは、前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記バリアは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は、前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項18~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の圧力領域は、前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記相関係を維持することは、前記第1の相と前記第2の相との間の相差を約60°~300°に維持することを含む、請求項18~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
第1の内部体積部;
第2の内部体積部;
前記第1の内部体積部に流体接続された第1の流路であって、第1のイナータンスを有する第1の流路;
前記第2の内部体積部に流体接続された第2の流路であって、前記第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有する第2の流路;及び
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と前記第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアであって、ここで、前記バリアは、前記第1の内部体積部と前記第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて動くように構成され、及び前記バリアは、中立位置の方へ向かって付勢される、バリア
を含む、流体圧システム用の差動バッファ。
【請求項31】
さらに、少なくとも1つのスプリングを含み、ここで、前記バリアはピストンであり、及び前記少なくとも1つのスプリングは、前記ピストンを前記中立位置の方へ向かって付勢するように構成される、請求項30に記載の差動バッファ。
【請求項32】
前記バリアは、前記圧力差に基づいて弾性変形されるように構成された少なくとも1つのダイアフラムを含む、請求項30に記載の差動バッファ。
【請求項33】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムを含む、請求項32に記載の差動バッファ。
【請求項34】
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項30~33のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項35】
前記第1のイナータンスは、前記第2のイナータンスの10%以内である、請求項30~33のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項36】
前記バリアは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は、前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項30~35のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項37】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項36に記載の差動バッファ。
【請求項38】
前記バリアは、受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減するように構成される、請求項30~37のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項39】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項38に記載の差動バッファ。
【請求項40】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項38又は39に記載の差動バッファ。
【請求項41】
差動バッファの動作方法であって:
流体を、第1の圧力で、前記差動バッファの第1の内部体積部に流体接続された第1の流路に受け入れることであって、ここで、前記第1の流路は第1のイナータンスを有する、受け入れること;
流体を、第2の圧力で、前記差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れることであって、ここで、前記第2の流路は、前記第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有する、受け入れること;
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを、中立位置の方へ向かって付勢すること;及び
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の圧力差に基づいて、前記バリアを動かすこと
を含む、方法。
【請求項42】
さらに、前記バリアの前記動きゆえの受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記バリアはピストンであり、及び前記バリアを前記中立位置の方へ向かって付勢することは、少なくとも1つのスプリングによって前記ピストンに力を加えることを含む、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記バリアは少なくとも1つのダイアフラムを含み、前記バリアを動かすことは、前記圧力差に基づいて、前記少なくとも1つのダイアフラムを弾性変形させることを含む、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスの10%以内である、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記バリアは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
流体圧システム用の差動バッファであって:
第1の内部体積部;
第2の内部体積部;及び
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と前記第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムであって、少なくとも1つの動作条件において、前記第1の内部体積部と前記第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、弾性変形するように構成される少なくとも1つのダイアフラム
を含む、差動バッファ。
【請求項53】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムを含む、請求項52に記載の差動バッファ。
【請求項54】
前記複数のダイアフラムは6~12個のダイアフラムを含む、請求項53に記載の差動バッファ。
【請求項55】
前記複数のダイアフラムは、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムを含み、前記第1の内部体積部は、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムとの間に配置された第1の室を含み、前記第2の内部体積部は、前記第1のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第2の室を含み、及び前記第2の内部体積部は、前記第2のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第3の室を含む、請求項53に記載の差動バッファ。
【請求項56】
さらに、前記複数のダイアフラムのそれぞれの間に配置された少なくとも1つのスペーサーを含み、前記少なくとも1つのスペーサー及び前記複数のダイアフラムは、スタックに配置されている、請求項53に記載の差動バッファ。
【請求項57】
前記少なくとも1つのスペーサーは環状であり、及び前記複数のダイアフラムの各ダイアフラムはディスク形である、請求項56に記載の差動バッファ。
【請求項58】
前記少なくとも1つのスペーサーは、前記複数のダイアフラムのうちの1つに当接する少なくとも1つの曲線エッジを含み、前記少なくとも1つの曲線エッジは、前記複数のダイアフラムから離れるように曲線を描いている、請求項56又は57に記載の差動バッファ。
【請求項59】
前記少なくとも1つのスペーサーは、第1のスペーサー及び第2のスペーサーを含み、これらスペーサーは、前記第1のスペーサーと前記第2のスペーサーとの間で前記複数のダイアフラムのうちの1つをクランプすることによって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部との間に前記複数のダイアフラムのうちの1つを固定するように構成される、請求項56又は57に記載の差動バッファ。
【請求項60】
前記第1の内部体積部は第1のイナータンスを有し、前記第2の内部体積部は第2のイナータンスを有し、及び前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項52~59のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項61】
前記少なくとも1つのダイアフラムは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項52~60のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項62】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項61に記載の差動バッファ。
【請求項63】
前記少なくとも1つのダイアフラムは、受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減するように構成される、請求項52~62のいずれか1項に記載の差動バッファ。
【請求項64】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項63に記載の差動バッファ。
【請求項65】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項63又は64に記載の差動バッファ。
【請求項66】
差動バッファの動作方法であって:
流体を、第1の圧力で、前記差動バッファの第1の内部体積部に受け入れること;
流体を、第2の圧力で、前記差動バッファの第2の内部体積部に受け入れること;及び
前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の圧力差に基づいて、前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と前記第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムを弾性変形させること
を含む、方法。
【請求項67】
さらに、前記少なくとも1つのダイアフラムの前記動きゆえの受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムである、請求項66~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記複数のダイアフラムは6~12個のダイアフラムを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記複数のダイアフラムは、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムを含み、前記第1の内部体積部は、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムとの間に配置された第1の室を含み、前記第2の内部体積部は、前記第1のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第2の室を含み、及び前記第2の内部体積部は、前記第2のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第3の室を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の内部体積部は第1のイナータンスを有し、前記第2の内部体積部は第2のイナータンスを有し、前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項66~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記少なくとも1つのダイアフラムは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項66~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
第1の流体圧装置ポート及び第2の流体圧装置ポートが設けられた流体圧装置と;
第1のアクチュエータポート及び第2のアクチュエータポートが設けられた流体圧アクチュエータと;
差動バッファであって:
前記第1の流体圧装置ポート及び前記第1のアクチュエータポートに接続される第1の内部体積部;
前記第2の流体圧装置ポート及び前記第2のアクチュエータポートに接続される第2の内部体積部;及び
前記第1の内部体積部の少なくとも一部分と前記第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムであって、前記第1の内部体積部と前記第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて弾性変形するように構成される少なくとも1つのダイアフラム
を含む、差動バッファと
を含む、流体圧システム。
【請求項77】
前記少なくとも1つのダイアフラムは複数のダイアフラムを含む、請求項76に記載の流体圧システム。
【請求項78】
前記複数のダイアフラムは6~12個のダイアフラムを含む、請求項77に記載の流体圧システム。
【請求項79】
前記複数のダイアフラムは、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムを含み、前記第1の内部体積部は、前記第1のダイアフラムと前記第2のダイアフラムとの間に配置された第1の室を含み、前記第2の内部体積部は、前記第1のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第2の室を含み、及び前記第2の内部体積部は、前記第2のダイアフラムの、前記第1の室とは反対側に配置された第3の室を含む、請求項77に記載の流体圧システム。
【請求項80】
さらに、前記複数のダイアフラムのそれぞれの間に配置された少なくとも1つのスペーサーを含み、前記少なくとも1つのスペーサー及び前記複数のダイアフラムは、スタックに配置されている、請求項77に記載の流体圧システム。
【請求項81】
前記少なくとも1つのスペーサーは環状であり、及び前記複数のダイアフラムの各ダイアフラムはディスク形である、請求項80に記載の流体圧システム。
【請求項82】
前記少なくとも1つのスペーサーは、前記複数のダイアフラムに当接する少なくとも1つの曲線エッジを含み、前記少なくとも1つの曲線エッジは、前記複数のダイアフラムから離れるように曲線を描いている、請求項80に記載の流体圧システム。
【請求項83】
前記少なくとも1つのスペーサーは、第1のスペーサー及び第2のスペーサーを含み、これらスペーサーは、前記第1のスペーサーと前記第2のスペーサーとの間で前記複数のダイアフラムのうちの1つをクランプすることによって、前記第1の内部体積部と前記第2の内部体積部との間に、前記複数のダイアフラムのうちの1つを固定するように構成される、請求項80に記載の流体圧システム。
【請求項84】
前記第1の内部体積部は第1のイナータンスを有し、前記第2の内部体積部は第2のイナータンスを有し、及び前記第1のイナータンスは前記第2のイナータンスと実質的に等しい、請求項76~83のいずれか1項に記載の流体圧システム。
【請求項85】
前記少なくとも1つのダイアフラムは、前記第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び前記第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を含み、前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域の50%以内である、請求項76~84のいずれか1項に記載の流体圧システム。
【請求項86】
前記第1の圧力領域は前記第2の圧力領域と実質的に等しい、請求項85に記載の流体圧システム。
【請求項87】
前記少なくとも1つのダイアフラムは、受動的な相殺的干渉によって、前記第1の内部体積部及び前記第2の内部体積部内の圧力変動を軽減するように構成される、請求項76~86のいずれか1項に記載の流体圧システム。
【請求項88】
前記圧力変動は、0.01~50psiの圧力を有する、請求項87に記載の流体圧システム。
【請求項89】
前記圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有する、請求項87又は88に記載の流体圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本出願は、35 U. S. C. § 119(e)下において、2020年8月31日出願の米国仮特許出願第63/072,470号の優先権の利益を主張し、その開示全体を本願明細書に援用する。
【0002】
分野
[0002] 開示した実施形態は、流体圧システムにおける圧力変動を軽減するための方法及びシステムに関し得る。いくつかの実施形態は、流体圧ポンプ装置用の差動バッファに関し得る。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 電力を蓄える、変換する、及び/又は伝送するために流体を利用する流体圧システムが、大規模工場から自動車までの様々な業界及び応用で用いられている。そのような流体圧システムは、一般的に、例えば、流体圧ポンプ、弁、様々なリザーバ又はアキュムレータ、タンク、流体室、フィルター、膜、他の流体圧構成要素、及びこれらの構成要素間に延在する流路など、様々な構成要素を含み得る。これらの様々な構成要素及び接続部を通る及び/又はそれらの間の流体圧流体の流れは、流体の圧力及び/又は流れの変動を生じ得、これが、構成要素の振動及び/又は音響ノイズを生じ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] いくつかの実施形態では、流体圧装置、流体圧負荷、及び差動バッファを含む、流体圧システムの動作方法は、流体圧装置の第1のポートと第2のポートとの間に作動差圧(operational differential pressure)及び変動差圧を生じさせるポンプとして流体圧装置を動作させることであって、ここで、変動差圧は作動差圧に重ね合わせられることを含む。方法はまた、第1のポートに流体接続される第1の流体容積(fluid volume)及び第2のポートに流体接続される第2の流体容積にさらされる差動バッファのバリアの前後間に、全差圧を加えることであって、ここで、全差圧は、作動差圧と変動差圧の和以下であることと、流体圧負荷へ伝えられる変動差圧を少なくとも部分的に軽減するために、バリアの少なくとも一部分を変位させることとを含む。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、流体圧システム用の差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、第1の内部体積部に流体接続された第1の流路であって、流体圧装置に流体接続されるように構成される第1の流路、及び第2の内部体積部に流体接続された第2の流路を含む。第2の流路は、流体圧装置に流体接続されるように構成され、並びに第1の流路及び第2の流路は、第1の流路及び第2の流路における圧力変動の相関係を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の流路のイナータンス(inertance)及び/又はインピーダンスは、第2の流路のイナータンス及び/又はインピーダンスと事実上等しい。差動バッファはまた、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのバリアを含み、ここで、バリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて動くように構成され、及びここで、バリアは、中立位置の方へ向かって付勢され得る。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、差動バッファの動作方法が、流体を、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に流体接続された第1の流路に受け入れることであって、ここで、第1の流路内の流体は、第1の相を有する第1の圧力変動を含むこと、及び流体を、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れることであって、ここで、第2の流路内の流体は、第1の相とは異なる第2の相を有する第2の圧力変動を含むことを含む。方法はまた、流体圧装置から差動バッファまで、第1の相と第2の相との間の相関係を維持すること、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを、中立位置の方へ向かって付勢すること、及び第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差に基づいて、バリアを動かすことを含む。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、流体圧システム用の差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、第1の内部体積部に流体接続された第1の流路であって、第1のイナータンスを有する第1の流路、及び第2の内部体積部に流体接続された第2の流路であって、第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有する第2の流路を含む。差動バッファはまた、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを含み、ここで、バリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて動くように構成され、及びここで、バリアは、中立位置の方へ向かって付勢され得る。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、差動バッファの動作方法は、流体を、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に流体接続された第1の流路に受け入れることであって、ここで、第1の流路は第1のイナータンスを有すること、及び流体を、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れることであって、ここで、第2の流路は、第1のイナータンスの50%以内の第2のイナータンスを有することを含む。方法はまた、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを、中立位置の方へ向かって付勢すること、及び第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差に基づいて、バリアを動かすことを含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、流体圧システム用の差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、及び第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムであって、少なくとも1つの動作条件において、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、変形する(例えば弾性的に)ように構成される少なくとも1つのダイアフラムを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、差動バッファの動作方法は、流体を、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に受け入れること、流体を、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に受け入れること、及び第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差に基づいて、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムを変形させる(例えば、弾性的に)ことを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、流体圧システムは、第1の流体圧装置ポート及び第2の流体圧装置ポートが設けられた流体圧装置と、第1のアクチュエータポート及び第2のアクチュエータポートが設けられた流体圧アクチュエータと、差動バッファとを含む。差動は、第1の流体圧装置ポート及び第1のアクチュエータポートに流体圧的に接続された第1の内部体積部、第2の流体圧装置ポート及び第2のアクチュエータポートに流体圧的に接続された第2の内部体積部、並びに第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムであって、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、変形する(例えば弾性的に)ように構成される少なくとも1つのダイアフラムを含む。
【0012】
[0012] 上述の概念、及び下記で説明する追加的な概念は、本開示はこの点に関して限定されないため、任意の好適な組み合わせで配置されてもよいことが認識されるべきである。さらに、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付図面と併せて考慮されるときに、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0013】
図面の簡単な説明
[0013] 添付図面は、縮尺通りであることを意図しない。図面では、様々な図面に示される各同一又はほぼ同一の構成要素は、同様の符号で表され得る。分かりやすくするために、全ての図面において全ての構成要素に符号が付されていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014]例示的な流体圧装置の瞬間状態に応じた流量リップル(flow volume ripple)の間の関係を示すグラフを示す。
図2】[0015]流体圧装置の各側に1つずつで2つのガス充填アキュムレータ(gas filled accumulators)を含む、従来技術の流体圧回路の一実施形態の概略図を示す。
図3】[0016]ばね仕掛けの摺動ピストンを含む差動バッファを備える流体圧システムの例示的な実施形態の概略図を示す。
図4】[0017]ばね仕掛けの摺動ピストンを含む分岐差動バッファを備える流体圧システムの別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図5】[0018]曲げ可能なプレート(flexure plates)を含む差動バッファの例示的な実施形態の概略図を示す。
図6】[0019]曲げ可能なプレートを含む差動バッファを備える流体圧システムの例示的な実施形態の概略図を示す。
図7】[0020]いくつかの実施形態による例示的な円形曲げ可能なプレートの撓みを示すグラフを示す。
図8】[0021]いくつかの実施形態による第2の例示的な円形曲げ可能なプレートの撓みを示すグラフを示す。
図9】[0022]いくつかの実施形態による第3の例示的な円形曲げ可能なプレートの撓みを示すグラフを示す。
図10】[0023]いくつかの実施形態による第4の例示的な円形曲げ可能なプレートの撓みを示すグラフを示す。
図11】[0024]差動バッファの一実施形態の斜視図を示す。
図12】[0025]図11の差動バッファの分解斜視図を示す。
図13】[0026]図11の差動バッファのスペーサーリングの一実施形態の平面図を示す。
図14】[0027]図11の差動バッファの第2のスペーサーリングの実施形態の平面図を示す。
図15】[0028]図11の差動バッファの曲げ可能なプレートの一実施形態の平面図を示す。
図16A】[0029]線16A-16Aに沿って取った図11の差動バッファの第1の断面を示す。
図16B】[0030]線16B-16Bに沿って取った図11の差動バッファの第2の断面を示す。
図17A】[0031]第1の状態にあるダイアフラム及びスペーサーの一実施形態の側面の概略図を示す。
図17B】[0032]第2の状態にある図17Aのダイアフラム及びスペーサーを示す。
図18】[0033]流体圧回路の動作方法の一実施形態のためのフローチャートである。
図19】[0034]流体圧回路の動作方法の別の実施形態のフローチャートである。
図20】[0035]流体圧回路の動作方法の別の実施形態のフローチャートである。
図21】[0036]流体圧回路の動作方法の別の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
[0037] 場合によっては、流体圧システム内の流体圧ポンプ、例えば容積型ポンプ(positive displacement pumps)は、流れ及び/又は圧力の変動を誘発し得、これはまた、吸気ポート及び吐出ポートの双方においてリップルとも呼ばれ得る。これらの変動は、流体圧回路の至る所の様々な点に伝えられ得る。変動は、過度なノイズの発生、流体圧システムの1つ以上の構成要素の摩耗及び引き裂きの促進、及び/又はいくつかの周波数範囲内でのシステム性能の低下を生じ得る。変動はまた、流体圧システムのノイズ及び/又は振動の増加を生じ得る。コンプライアント(Compliant)なリザーバ(例えば、アキュムレータ)が、流れ及び圧力の変化に適応させるために従来使用されており、並びに流体圧回路の様々な部分への流れ及び/又は圧力の変動の伝達を部分的に軽減し得る。しかしながら、本発明者らが認識したところでは、アキュムレータの使用は、量の増加の原因となるとき、ポンプの前後間に所望の圧力差分(pressure differential)を確立するために、より大きなポンプ容量を必要とすることになるかもしれない。さらに、アキュムレータは圧縮されるため、アキュムレータのコンプライアンスは、ある種のアキュムレータでは低下するかもしれず(例えば、リザーバは、より硬質になるかもしれない)、場合によっては、コンプライアンスは、非線形に変化し得る(例えば、ガスアキュムレータの場合)。さらに、圧縮性流体を用いるアキュムレータは、環境条件(例えば、温度)に基づいて性能が変化することがあり、流体圧システムでの変動を軽減するか又は相殺するためのアキュムレータの能力のばらつきを生じる。従って、本発明者らが認識したところでは、従来の流体圧アキュムレータには、流体圧システムでの圧力又は流れの変動の影響を低下させるために用いられるとき、いくつかの欠点がある。
【0016】
[0038] 上記を考慮して、本発明者らは、流体圧ポンプによって発生された圧力及び/又は流れの変動を軽減するように構成された流体圧システム用の差動バッファの利益を認識した。差動バッファは、流体圧システムの他の部分に伝わる流れ及び/又は圧力の変動の大きさを低下させるために、流体圧ポンプの別個のポートに接続された異なる流路に沿ったロケーションに存在する流れ及び/又は圧力の変動に存在する相差を用い得る。
【0017】
[0039] 具体的には、差動バッファは、2つの内部体積部間の作動圧力差分に重ね合わせられ得る圧力差分の変動を部分的に又は全体的に相殺するために用いられ得る。いくつかの流体圧システムでは、ポンプとして使用としてされ得る流体圧装置が、吸入ポート及び排出ポートの双方で流れリップルを発生させ得る。流体圧装置が可逆的である場合、同じポートが、交互に、吸入ポート又は排出ポートの機能を果たし得る。流体圧システムのいくつかの実施形態では、流体圧装置は、一定又は可変の作動圧力差分で、作動流(operational flow)を発生させ得る(一定、例えば、ゼロの流れとしても、又は可変としてもよい)。流体圧装置はまた、作動流に重ね合わせられる流れリップルを発生させ得る。このリップルは、作動流に対して過剰な流れ又は不足した流れを含み得る。いくつかの実施形態では、流れリップルは、時間に応じて、1つのポートにおいて、第2のポートにおける流れリップル波形の原像又は鏡像とし得る。流体圧システムのいくつかの実施形態では、差動バッファ内での1つ以上のバリアの少なくとも一部分の変位は、流体圧装置の1つ以上のポートにおける流れの超過分又は流れの不足分を全体的に又は部分的に補償するために使用され得る。いくつかの実施形態では、差動バッファは、全体的に又は部分的に、流れリップルの超過分又は流れリップルの不足分が流体圧装置に到達することを受動的に軽減させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、この軽減は、流れリップル、又は結果として生じる圧力リップルが、アクチュエータに到達する前に実施され得る。
【0018】
[0040] 作動圧力差分は、一定でも又は可変でもよい。いくつかの実施形態では、流れ及び/又は圧力の変動に関連付けられた2つの内部体積部間の圧力差分は、流れ及び/又は圧力の変動を軽減するか又はなくすために、各内部体積部に関連付けられた瞬間的な体積の同等の変化を誘発するために使用され得る。内部体積部の正反対の体積変化は、2つの内部体積部内の流れ及び/又は圧力の変動間の相差ゆえの相殺的干渉によって、流れ及び/又は圧力の変動を軽減し得る。特定の実施形態については、本開示は、差動バッファが組み込まれる任意の特定のタイプの流体圧回路に限定されないため、様々なタイプのリザーバ及びアキュムレータを含む流体圧回路において開示の差動バッファが使用される実施形態を含め、さらに下記で詳述する。
【0019】
[0041] いくつかの実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを含み得る。バリアは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内での圧力の上昇及び/又は低下及び/又は流れの増加及び/又は減少に適応するように動くように構成され得る。特に、バリアは、圧力及び/又は流れの変動に応答して動き得る。バリアは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の流体の圧力にさらされ得る。従って、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差分によって、第1の内部体積部内の流れの増加又は圧力の上昇及び第2のフローチャンネル内の流れの減少又は圧力の低下に適応するために、バリアが、位置をシフトしたり又は形状を変えたりするようにし得る。上述の通り、流れ及び/又は圧力の変動は、第1のチャンネルと第2のチャンネルとの間に、シフトされた相又は逆相を有し得、バリアの動きが、相殺的干渉によって流れ及び/又は圧力の変動を軽減し得るか又はなくし得るようにする。圧力及び/又は流れの瞬間変化は、バリアの動き又はその形状の変化に基づく第1の内部体積部及び第2の内部体積部の体積の変化によって適応され得る。いくつかの実施形態では、バリアを動かすことは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部の一方の体積を増加させ、並びに第1の内部体積部及び第2の内部体積部の他方の体積を対応して減少させ得、これは、第1及び第2の内部体積部内の流れ及び/又は圧力の変動を少なくとも部分的に軽減させる。
【0020】
[0042] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファは、複数の内部体積部に配置された複数のバリアを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数のバリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間に配置され得る。第1の内部体積部は、複数の分岐部、室、及び/又は経路を含み得、これは、複数のバリアによって、第2の内部体積部の対応する分岐部、室、及び/又は経路から分離される。いくつかの実施形態では、複数のバリアの各バリアは、第1の内部体積部の一部分及び第2の内部体積部の対応する部分と関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、差動バッファは、複数の内部体積部を含み得、ここで、各対の内部体積部は、それぞれの対の内部体積部の少なくとも一部分を分離する少なくとも1つのバリアを含む。
【0021】
[0043] いくつかの実施形態では、第1の内部体積部と第2の内部体積部を分離するバリアは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部の可撓性壁を形成し得、これは、2つの内部体積部間に配置され、及び下記で詳述するように、変形されることができ、各内部体積部の体積を対応して変える。例えば、バリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、弾性的に、又は塑性的に変形するように構成されたダイアフラムとし得る。そのような実施形態では、ダイアフラムは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部の共有壁の少なくとも一部分を形成し得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、適切な断面及び形状のプレートとして構成され得る。
【0022】
[0044] 他の実施形態では、第1の内部体積部を第2の内部体積部から分離するバリアは、1つ以上の対応するシリンダー内に可動式に(例えば、摺動自在に)配置される少なくとも1つのピストンとし得る。いくつかの実施形態では、ピストンの第1の側は、第1の内部体積部にさらされ、及びピストンの第2の反対側は、第2の内部体積部にさらされる。この実施形態によれば、ピストンは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、シリンダー内で動き得る。
【0023】
[0045] いくつかの特定のタイプのバリアを本明細書で説明するが、本開示はそのように限定されないため、本明細書で開示する様々な実施形態では、2つの内部体積部間の圧力差分に基づいて動くように構成された任意の好適なバリアが用いられてもよいことが理解されるべきである。さらに、本開示はそのように限定されないため、差動バッファにおいて、任意のタイプの任意の好適な数のバリアが用いられてもよい。
【0024】
[0046] いくつかの実施形態では、本発明者らは、相殺的干渉によって、複数の流路における圧力及び/又は流れの変動の軽減を容易にするために、そのような圧力及び/又は流れの変動間の所望の相関係を維持するように配置された差動バッファの利益を認識した。すなわち、差動バッファと関連付けられ、流体圧装置(例えば、流体圧モータ、又はポンプ)のポートに接続された第1の流路及び第2の流路は、2つの流路の1つ以上の特性において対称性を有し得、流体圧装置で発生した圧力及び/又は流れの変動が、差動バッファのバリアにおいて所望の相関係を保持するようにする。本発明者らは、差動バッファに、及び/又は流体圧装置と差動バッファとの間の関連付けられた流路に、そのような対称性がないと、差動バッファの有効性は、所望の相殺的干渉が所望の周波数範囲内に存在しないかもしれないため、低下され得ることを認識した。例えば、場合によっては、差動バッファ内での対称性の欠如に起因する相シフトは、圧力及び/又は流れの変動の建設的干渉を生じ得、摩耗及びノイズの関連の負の効果を高める。従って、本発明者らは、差動バッファに対称性をもたらし得、単独で又は任意の組み合わせで使用され得るいくつかの配置構成を認識した。特に、本発明者らは、中立位置の方へ向かって付勢され得るバリア、流体圧システム内の様々な接続点間に等しい若しくは事実上等しいイナータンス及び/又はインピーダンスを有する第1及び第2の流路、2つの関連の内部体積部にさらされる等しい若しくは事実上等しい圧力領域を有するバリア、上記の組み合わせ、及び/又はさらに下記で詳述するような他の構成を含む差動バッファを認識した。
【0025】
[0047] いくつかの実施形態では、差動バッファは、中立位置の方へ向かって付勢され得る少なくとも1つのバリアを含み、中立位置では、事実上ゼロの圧力差分がバリアの前後間に加えられる。少なくとも1つのバリアを付勢することによって、作動圧力差の変動に応答しながら、第1の内部体積部内の流体と第2の内部体積部内の流体との間の作動圧力差へ、バリアを動的に調整することを可能にし得る。本明細書では、「作動圧力差(operational pressure difference)」又は「作動圧力差分(operational pressure differential)」は、流体圧アクチュエータを動作させるために用いられる流体圧装置(例えば、ポンプ)によって発生した圧力差分を指し得る。作動圧力差は、特定の応用及び/又は動作モード次第で、時間が経つにつれて変化しても又は一定でもよい。本明細書で説明したような、いずれの流れの変動、及びそれらの流れの変動によって誘発され得る圧力変動も、作動圧力差又は作動圧力差分を変化させ得る。すなわち、流れの変動から生じる圧力変動は、作動圧力差に重ね合わせられ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバリアは、1つ以上の付勢部材によって中立位置へ付勢され得る。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバリアは、1つ以上のスプリングによって中立位置へ付勢され得る。いくつかのそのような実施形態では、差動バッファは、バリアを中立位置の方へ向かって付勢するように構成された、バリアの1つの側と係合した単一のスプリング、中立位置の方へ向かう方向にバリアに力を加えるように構成された、バリアの第1の側と係合された第1のスプリング及びバリアの第2の側と係合された第2のスプリング、バリアの第1の側と係合された複数の第1のスプリング及びバリアの第2の側と係合された複数の第2のスプリング、又は任意の他の好適な構成を含み得る。いくつかの実施形態では、差動バッファは、中立位置の方へ向かう方向にバリアに力を加えるように構成された、バリアの第1の側と係合された第1の組のスプリング及びバリアの第2の側と係合された第2の組のスプリングを含み得る。付勢部材は、限定されるものではないが、圧縮ばね、引張りばねスプリング、ガススプリング、又は任意の他の好適な付勢構造を含み得る。いくつかの実施形態では、バリアは、バリアの材料の弾性によって、中立位置の方へ向かって付勢され得る。すなわち、バリアは、2つの内部体積部間の境界面を横切って延在し得、内部体積部間の圧力差に基づいて弾性変形するようにする。バリアは、バリア自体の弾性の材料特性によって、中立位置の方へ向かって付勢され得る。従って、いくつかの実施形態では、バリアは、外部の付勢部材を全く使用せずに、中立位置の方へ向かって付勢され得る。
【0026】
[0048] いくつかの実施形態では、差動バッファは、同様の、等価の、又は同一のイナータンス及び/又はインピーダンスを有する第1の流路及び第2の流路によって、流体圧装置に流体接続され得、流体圧装置の前後間で発生される圧力及び/又は流れの変動の大きさ及び相差が、差動バッファ内のバリアの前後間で部分的に又は全体的に再現されるようにする。いくつかの実施形態では、第1の流路は第1のイナータンス及び/又はインピーダンスを有し、及び第2の流路は第2のイナータンス及び/又はインピーダンスを有する。いくつかの実施形態では、流路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、差動バッファの少なくとも1つのポートと流体圧装置の1つのポートとの間に延在する流路全体のイナータンス及び/又はインピーダンスを指し得る。いくつかの実施形態では、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内とし得る。いくつかの実施形態では、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2のイナータンス及び/又はインピーダンスの40%、30%、20%、10%、5%、又は2%以内とし得る。いくつかの実施形態では、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2のイナータンス及び/又はインピーダンスと実質的に等しい又は等しいとし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、第1の流路及び第2の流路に関するイナータンス及び/又はインピーダンス値の他の好適な関係が用いられてもよい。
【0027】
[0049] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファは、例えば、相殺的干渉によって、圧力及び/又は流れの変動を軽減するように構成され得る。差動バッファは、相差を、及びいくつかの実施形態では、流体圧装置と差動バッファの2つの内部体積部との間に延在する2つの流路内での差圧及び/又は流れの変動間の大きさの関係を維持するように構成され得る。本明細書では、用語「差圧変動」は、定常作動圧力又は可変作動圧力に重ね合わせられる、2つの流路内の複数の点間の(例えば、流体圧装置の複数のポートにおける)差圧の揺れを指す。本明細書では、用語「差動流変動」は、定常作動流又は可変作動流に重ね合わせられる、2つの流路の複数の点間の(例えば、流体圧装置の複数のポートにおける)差動流の揺れを指す。
【0028】
[0050] いくつかの実施形態では、差動バッファ内の1つ以上のバリアの対向する側に位置する2つ以上の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動間の相差は、180度に等しい又はほぼ等しく(例えば、170~190度)、これは、2つの内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動間の逆相関係に対応し得る。およそ180度の相差は、差動バッファ内で最大の相殺的干渉を可能にし得る。およそ180度の相差は、流体圧システム内に存在し得、ここで、流体圧装置(例えば、ポンプ)と差動バッファとの間の2つの流路のイナータンスは、互いに等しい、事実上等しい、又は実質的に等しい。いくつかの実施形態では、差動バッファ内の2つ以上の関連の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動間の相差は、30度~330度(例えば、180度±150度)、60度~300度(例えば、180度±120度)、90度~270度(例えば、180度±90度)、135度~225度(例えば、180度±45度)、及び150度~210度(例えば、180度±30度)であるか、又はそれに等しい。これらの範囲内の相差は、2つ以上の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動間に少なくともある程度の相殺的干渉をもたらし得る。例えば、いくつかの実施形態では、60度~300度であるか、又はそれに等しい相差は、圧力及び/又は流れのリップルの少なくとも50%の軽減をもたらし得、並びに90度~270度であるか、又はそれに等しい相差は、圧力及び/又は流れのリップルの少なくとも70%の軽減をもたらし得る。いくつかの実施形態では、バリアの対向する側での圧力及び/又は流れの変動間の相関係は、全相差が変化する間、維持され得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つの内部体積部のいずれかでの圧力及び/又は流れの変動の相は、360度の任意の倍数(例えば、360度、720度など)だけ変更され得、2つの体積部内に効果的な逆相関係が維持され、及びこれらの変動は、述べた総相差に含まれることを意図する。本開示の目的として、360度の倍数だけオフセットされるこれらの範囲は、上述の範囲内に入ると理解されるべきである。上述の通り、流体圧装置と差動バッファとの間に延在する1つ以上の流路は、流体圧装置の複数のポートにおいて発生される圧力及び/又は流れの変動間の相関係を維持するように構成され得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、流体圧システムにおいて任意の好適な相差及び/又は相関係が用いられてもよい。
【0029】
[0051] いくつかの実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部内の流体にさらされる第1の圧力領域、及び第2の内部体積部内の流体にさらされる第2の圧力領域を有するバリアを含む。第1の圧力領域及び第2の圧力領域は、プレート、ピストン、又は加圧流体にさらされる他の構造の変形可能な領域である。第1の圧力領域及び第2の圧力領域の相対的なサイズ次第で、バリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差分の影響下で、異なって動き得る。従って、例えば、相殺的干渉によって、圧力及び/又は流れの変動を効果的に相殺するために、第1の圧力領域及び第2の圧力領域は、互いに事実上等しいとし得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力領域は、第2の圧力領域の50%以内とし得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力領域は、第2の圧力領域の40%、30%、20%、10%、5%、又は2%以内とし得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力領域は、第2の圧力領域と実質的に等しい又は等しいとし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、バリアの他の好適な圧力領域が用いられてもよい。
【0030】
[0052] いくつかの実施形態では、差動バッファの動作方法は、流体を、第1の圧力で、差動バッファに流体接続された第1の流路に受け入れることであって、ここで、第1の流路は第1のイナータンス及び/又はインピーダンスを有すること、及び流体を、第2の圧力で、差動バッファに流体接続された第2の流路に受け入れることであって、ここで、第2のフローチャンネルは、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%、又は上述したような他の適切な百分率以内の第2のイナータンス及び/又はインピーダンスを有することを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、第1の流路に流体接続された第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の流路に流体接続された第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離するバリアを、中立位置の方へ向かって付勢することを含む。方法はまた、第1の圧力と第2の圧力との間の作動圧力差、並びに圧力及び/又は流れの変動によって生じた圧力差に基づいて、バリアを動かすことを含む。バリアを動かすことは、相殺的干渉によって、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動を相殺し得るか又はそうでなければ軽減し得る。
【0031】
[0053] いくつかの実施形態では、ポンプの効率を上げるために、流体圧回路の高圧部分から低圧部分への漏れを減らすことが望ましいとし得る。従って、本発明者らは、シリンダー中のピストンの代わりに、流体圧システム用の差動バッファにおいて、バリアとしてダイアフラムを使用する利益を認識し、ここで、ダイアフラムは、ダイアフラムの前後間の漏れが皆無かそれに近い圧力変動に適応するように構成される。いくつかの実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部、及び第2の内部体積部、及び第1の内部体積部の少なくとも一部分を第2の内部体積部の少なくとも一部分から分離する少なくとも1つのダイアフラムを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の共通の共有壁の少なくとも一部分を形成し得る。少なくとも1つのダイアフラムは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差分に基づいて、動く又は形状を変えるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムは、少なくとも1つのダイアフラムがさらされる圧力差分に基づいて、変形する(例えば、弾性変形する)ように構成され得る。少なくとも1つのダイアフラムの変形は、第1の内部体積部の体積の増加を引き起こすが、第2の内部体積部の体積の対応する(例えば、同等の)減少を引き起こし得る。このようにして、少なくとも1つのダイアフラムの撓みから生じる体積の変化は、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動を同時に相殺するために使用され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムは、例えば、差動バッファでの全体的な又は部分的な相殺的干渉によって、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力及び/又は流れの変動を相殺するか又はそうでなければ軽減するように構成され得る。
【0032】
[0054] いくつかの実施形態では、差動バッファの動作方法は、流体を、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に受け入れること、流体を、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に受け入れること、及び第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差に基づいて、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の少なくとも一部分とを分離する少なくとも1つのダイアフラムを変形させる(例えば、弾性的に)ことを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムの変形又は撓みは、例えば、相殺的干渉によって、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力変動を部分的に又は全体的に相殺し得る。いくつかの実施形態では、方法は、複数のダイアフラムを変形させる又は撓ませることを含み得る。
【0033】
[0055] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファは、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部とを分離する少なくとも1つのダイアフラムを含み得る。本発明者らが認識したところでは、ダイアフラムのサイズ、形状及び材料特性は、様々な応用における様々な圧力差分に対するダイアフラムの応答に影響を及ぼす。例えば、マルチダイアフラムバッファは、単一ダイアフラム差動バッファよりも大きなコンプライアンス(例えば、より低いスティフネス)を有してもよく、ここで、ダイアフラムは、同じサイズ、形状及び構成である。代替的な例として、複数(マルチ)ダイアフラムバッファは、単一のダイアフラムバッファよりも小さいコンプライアンス(例えば、より高いスティフネス)を有してもよく、ここで、複数のダイダイアフラム及び単一のダイアフラムは、同じ全圧力領域を有する。さらに、本発明者らが認識したところでは、ダイアフラムが、塑性変形の開始前及び/又は差動バッファの別の部分に接触する前に、ある一定の範囲の弾性変形を有し得、ダイアフラムの動きが底を打つ(bottoms out)ようにする。それゆえ、本発明者らが認識したところでは、追加的なダイアフラムを提供することによって、差動バッファの所望のスティフネスを可能にし得、これは、ダイアフラムが底を打たなくても圧力及び/又は流れの変動を事実上軽減し得るが、通常の動作の最中に1つ以上のダイアフラムが隣接する構造、例えば別のダイアフラムに接触する実施形態も考えられる。いくつかの実施形態では、動作中のダイアフラムの移動範囲は、隣接するダイアフラムとの接触を回避するように選択され得る。しかしながら、通常の動作中に1つ以上のダイアフラムが隣接するダイアフラムに接触する実施形態も考慮される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムは、複数のダイアフラムを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のダイアフラムは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個のダイアフラムを含み得る。対応して、複数のダイアフラムは、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、又は3個よりも少ないダイアフラムを含み得る。限定されるものではないが、2~12個、6~12個、8~12個、2~6個、及び/又は任意の他の適切な範囲のいくつかのダイアフラムを含む、ダイアフラムの数の範囲が考えられる。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、単一のダイアフラムを含む、任意の好適な数のダイアフラムが用いられてもよい。
【0034】
[0056] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファのダイアフラムは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて、通常の動作において弾性変形するように構成され得る。いくつかの実施形態では、塑性変形の初期量は、バッファを調整するとき及び/又はシステムの初期動作中のいずれかに生じ得ることが理解されるべきである。しかしながら、システムのこの初期の調整後、いくつかの実施形態では、ダイアフラムのさらなる変形は、実質的に弾性的に回復可能な変形とし得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、少なくとも1つのスペーサーがダイアフラムの一方の側に配置された状態で、差動バッファ内に位置決めされて支持され得る。場合によっては、2つのスペーサーがダイアフラムの両側に配置され、ダイアフラムがスペーサー間に配置されるようにして、それらの間にダイアフラムを固定する。すなわち、2つのスペーサーは、ダイアフラムをクランプして、ダイアフラムの位置を2つのスペーサー間に固定し得る。いずれの場合も、少なくとも1つのスペーサーは、ダイアフラムの周辺、周囲、又は他のエッジをしっかりと固定するように構成され得、スペーサーから半径方向内側に配置されたダイアフラムの部分が、ダイアフラムの前後間の作動差圧並びに差圧変動に応答して変形したり又は撓んだりし得るようにする。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのスペーサーは、リングとして構成され得(例えば、環状形状を有する)、及び対応するダイアフラムは、円形ディスクの形(例えば、シリンダー状)に形作られても、又はそうでなければ平坦なプレートに形作られてもよい。そのような実施形態では、ダイアフラムの撓んだ部分は、半球の形状又は他の曲線の幾何学的形状を取り得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、ダイアフラムの前後間に差圧がないときに、ある曲率を有し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、ダイアフラム及び/又はスペーサーは、任意の好適な形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、ダイアフラムの前後間の差圧にさらされる、固定されたダイアフラムの表面の複数の部分は、撓むことが可能にされ得るが、ダイアフラムの固定された部分の形状は、一定のままである。例えば、いくつかの実施形態では、応力が加わっていないダイアフラムの傾斜はゼロであり(例えば、差動バッファのハウジングに対して)、ダイアフラムの固定された領域の傾斜は、ゼロのままとし得るが、ダイアフラムの表面の残りの部分は、表面が差圧にさらされると、撓む(例えば、クランプされたエッジ拘束状態)。
【0035】
[0057] 本発明者らがまた認識したところでは、いくつかの実施形態では、1つ以上の差動バッファスペーサーは、ダイアフラムが変形している最中に応力集中部(stress risers)を回避しながら、ダイアフラムを固定するように構成され得る。特に、本発明者らは、ダイアフラムに当接する曲線エッジを含むスペーサーの利益を認識した。曲線エッジは、ダイアフラムから離れるように曲線を描き得、尖鋭な箇所(例えば、角)がないため、ダイアフラムは、動作中に撓むときに、鋭い角と相互作用しない。本開示はそのように限定されないため、曲線エッジは、任意の好適な曲率半径を有してもよい。
【0036】
[0058] いくつかの実施形態では、スペーサーは、ダイアフラムとのシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、シールは、金属間シールとし得る。いくつかの実施形態では、シールは、突起及び溝を含み得る。いくつかの実施形態では、シールは、シーリングガスケットを含み得る。他の実施形態では、シールは、プレートとスペーサーを一緒に接合する接着剤によって達成され得る。他の実施形態では、プレートのシール及び取り付けは、ろう付け又は溶融の使用、及びプレートとスペーサーとの間の空間への金属フィラーの流動によって達成され得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、エラストマーシーリングオプションを含め、任意の好適なシーリング配置構成が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサーは、1つ以上の締結具によってダイアフラムに固定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、スペーサーは、1つ以上のボルトによって、ダイアフラムに固定され得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、スクリュー、ボルト、リベットなどを含む任意の好適な締結具が用いられてもよく、並びに溶接を含む他のタイプの接続部が使用されてもよい。
【0037】
[0059] 上述の通り、差動バッファのダイアフラムは、2つの内部体積部間の圧力差分に基づいて、変形したり又は撓んだりするように構成され得る。ダイアフラムは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に応答して、所望の動作範囲にわたってダイアフラムが弾性変形することができるようにする十分な弾性を示す材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、プレートとして形成され得る。プレートは、鋼、調質合金鋼、炭素ばね鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ゴム、バルク金属ガラス、プラスチック、又は任意の他の好適な材料などの材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、一定厚さの円形プレートとして形成され得る。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、ダイアフラムの厚さは一定でなくてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のダイアフラムのいくつかの特性は、流体圧システム内での設計圧力差分へのそれらの応答を決定するために選択され得る。これらの特性は、限定されるものではないが、伸び限界値(例えば、負荷が加えられたときにダイアフラムが永久的に変形する前に生じる変形の測定値)、降伏強度(例えば、追加的な応力が応力-ひずみ曲線の塑性領域中に移る応力)、引張り強度(例えば、材料が伸長し始める応力)、硬度(例えば、局所的塑性変形に対する抵抗)、ヤング率、及び疲労強度(例えば、繰り返し負荷によって損傷が累積し始める)を含み得る。いくつかの実施形態では、プレートの伸び限界値は、2%~7%、2%~10%、及び/又は任意の他の適切な範囲とし得る。いくつかの実施形態では、伸び限界値は、元の長さに対する長さの変化の比に関して測定される(すなわち、ΔL/L×100)。いくつかの実施形態では、プレートの降伏強度は、1000MPa~1500MPaとし得る。いくつかの実施形態では、プレートの引張り強度は、1200~2100MPa又は1300~2100MPaとし得る。いくつかの実施形態では、プレートの硬度は40~52HRCとし得る。いくつかの実施形態では、プレートのヤング率は200~210GPaとし得る。いくつかの実施形態では、疲労強度は650~1050MPaとし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、任意の好適な材料特性が、単独で、又はこれらの例示的な範囲内に入る若しくはその範囲外の任意の組み合わせで用いられ得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムは、表面仕上げを有し得、及び/又はダイアフラムの疲労抵抗を高めるために、ボールクリーニングされても(ball cleaned)、ショットピーニングされても(shot peened)、又は他の処理を受けてもよい。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、例示的な範囲は、本明細書で説明する例示的な実施形態で用いられ得る材料に関して上記で提供されているものの、任意の適切な材料特性を有する任意の適切な材料が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、本開示はそのように限定されないため、上述の範囲からの材料特性は、ダイアフラム材料のために単独で又は任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0038】
[0060] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファのスペーサーは、2つの内部体積部間の圧力差分に基づいて変形したり又は撓んだりするダイアフラムを固定するように構成され得る。スペーサーは、ダイアフラムを保持し、且つ弾性変形に関連付けられた力に抵抗するように構成され得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、プラスチック、セラミック又は任意の他の好適な材料などの金属で形成され得る。スペーサーは、ダイアフラムを固定し且つ流体圧システムに繰り返し負荷を与えるのに好適な材料特性を有し得る。これらの特性は、限定されるものではないが、降伏強度(例えば、追加的な応力が応力-ひずみ曲線の塑性領域に移る応力)、引張り強度(例えば、材料が伸長し始める応力)、及び硬度(例えば、局所的塑性変形に対する抵抗)を含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサーの降伏強度は、370~675MPaとし得る。いくつかの実施形態では、スペーサーの引張り強度は440~1020MPaとし得る。いくつかの実施形態では、スペーサーの硬度は71HRB~32HRCとし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、任意の好適な材料特性は、単独で、又はこれらの例示的な範囲内に入る若しくはその範囲外の任意の組み合わせでスペーサーに用いられてもよい。
【0039】
[0061] いくつかの実施形態では、流体圧システムは、空間が制約され得(例えば、車両の内部)、所望の特性を保持しながら、差動バッファのサイズを小さくすることが有益とし得る。従って、本発明者らがまた認識したところでは、積み重ねられた形態を用いる差動バッファの利益は、非積み重ねの差動バッファと比べて、比較的小さいパッケージを含む。いくつかの実施形態では、差動バッファは、積み重ねられた形態に複数のダイアフラムを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のダイアフラムは、差動バッファ縦軸に沿って並列に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数のダイアフラムのそれぞれは、第1の内部体積部の一部分と第2の内部体積部とを分離し得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、複数のダイアフラムのそれぞれの間に配置されて、ダイアフラムを固定し、及び複数のダイアフラムのそれぞれの間に空間を提供し得る。各対のダイアフラムは、それらの間に、第1の内部体積部又は第2の内部体積部の一部を形成し得る室を画成し得る。フロー室は、複数の対のダイアフラムの間で交互になってもよく、第1の内部体積部と関連付けられた各室は、第2の内部体積部と関連付けられたフロー室に隣接する。そのような配置構成は、差動バッファの所望のスティフネスを達成するために、所望通りにダイアフラムを差動バッファに追加することを可能にするため、圧力及び/又は流れの変動の特定の範囲が軽減され得る。
【0040】
[0062] 積み重ねられた形態を有する差動バッファの例示的な一実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、第1のダイアフラム、及び第2のダイアフラムを含み得る。第1の内部体積部は、第1のダイアフラムと第2のダイアフラムとの間に配置された第1の室を含み得る。第2の内部体積部は、第1のダイアフラムの、第1の室とは反対側に配置された第2の室を含み得る。第2の内部体積部はまた、第2のダイアフラムの、第1の室とは反対側に配置された第3の室を含み得る。従って、そのような実施形態では、差動バッファは、積み重ねられた一連の第2の内部体積部、第1の内部体積部、及び第2の内部体積部に配置された室を含む。第1の内部体積部が第2の内部体積部よりも高い圧力であるとき、第1の室の体積は、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムが第1の室内の圧力によって第2の室及び第3の室の方へ向かって強制的に変形されるため、拡張し得る。反対に、第2の内部体積部が第1の内部体積部よりも高い圧力であるとき、第1の室の体積は、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムが第2の室及び第3の室内の圧力によって互いの方へ向かって強制的に変形されるため、縮小し得る。いくつかの実施形態では、第1の室、第2の室、及び第3の室は、第1のスペーサー、第2のスペーサー、及び第3のスペーサーによってそれぞれ形成され得、第1のダイアフラム及び第2のダイアフラムの周辺を固定する。いくつかの実施形態では、ダイアフラム間の交互の内部体積部室の構造は、積み重ねられた形態で繰り返されて、所望の範囲の圧力及び/又は流れの変動を軽減するための所望のスティフネスを備える差動バッファを提供し得る。例えば、6~12個のダイアフラムが、対応する7~13個の室で用いられてもよい。
【0041】
[0063] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファの第1の内部体積部及び第2の内部体積部は、スペーサー及びダイアフラムを通って(例えば、1つ以上のチャンネルを通って)少なくとも部分的に形成され得る。そのような配置構成は、製造を単純化し、及びまた、積み重ねられた差動バッファのためにコンパクトな配置構成を提供し得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部の一部分及び第2の内部体積部の一部分は、差動バッファの縦軸に対して平行とし得る。そのような実施形態によれば、第1の内部体積部の一部分及び第2の内部体積部の一部分は、内部体積部間の圧力差分に基づいてダイアフラムが変形する方向に対して平行に延び得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部の一部分及び第2の内部体積部の一部分は、スペーサーに、及びスペーサーと係合したダイアフラムの周辺に形成され得る。1つ以上のスペーサーは、内部体積部の1つ以上の室を接続するように構成された1つ以上の開口を含み得る。このようにして、ダイアフラム及び/又はスペーサーは、平坦なプレートとして打ち抜かれたり又は他の方法で製造されたりしてもよく、これが、差動バッファの一部分を形成するために積み重ねられ得る。第1の内部体積部及び第2の内部体積部は、差動バッファのスペーサー及びダイアフラムに形成された、適切に位置合わせされた隣接する孔、切り欠き部、又は開口によって、形成され得る。
【0042】
[0064] いくつかの実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部、第2の内部体積部、及び第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部とを分離する、ピストンとして構成されたバリアを含み得る。差動バッファはまた、ピストンを中立位置の方へ向かって付勢するように構成された1つ以上のスプリングを含み得る。本発明者らが認識したところでは、1つ以上のスプリングのばね定数は、圧力差分に応答する差動バッファの能力に影響を与え、並びにまた、流体圧システム内の圧力及び/又は流れの変動を軽減する。いくつかの実施形態では、ばね定数は、繰り返し負荷下での疲労応力に対するスプリングの感受性並びにより小さい圧力及び/又は流れの変動を軽減するためのスプリングの能力に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、差動バッファのばね定数(spring constant)は1500~3000N/mmとし得る。場合によっては、ダイアフラムを含む差動バッファは、ダイアフラムが中立位置から変形するときに流体圧流体にさらされるダイアフラムの表面に対して垂直に向けられた方向において1500~3000N/mmのばね定数(spring rate)を有し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、この範囲を上回る又は下回るばね定数が考えられる。いくつかの実施形態では、差動バッファは、差動バッファに全体的に組み合わせたばね定数をもたらすように構成される複数のスプリングを含み得る。いくつかの実施形態では、差動バッファは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上のいくつかのスプリングを含み得る。それに応じて、差動バッファは、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個以下のいくつかのスプリングを含み得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、任意の好適な数のスプリングが用いられてもよい。いくつかの実施形態では、第1のスプリングは、ピストンの第1の側に配置され得、及び第2のスプリングは、ピストンの第2の反対側に配置され得る。いくつかの実施形態では、2組のスプリングは、ピストンの対向する側に配置され得る。これらの実施形態によれば、対向するスプリングは、ピストンの位置次第で、引張及び圧縮の双方を行うのではなく、所望通りに圧縮又は引張のみを行い得る。いくつかの実施形態では、スプリングの組の個々のスプリングのばね定数は、3000~8000N/mmとし得る。いくつかの実施形態では、ピストンの第1の側に配置されたスプリングは、ピストンの第2の側に配置されたスプリングとは異なるばね定数を有し得る。そのような配置構成は、ピストンを所望の中立位置へ付勢して、圧力及び/又は流れの変動に事実上適応し得る。
【0043】
[0065] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、ピストンとして構成されたバリアを含む差動バッファは、端部停止部間でのピストンのある長さの移動を可能にするシリンダーを含み得る。そのある長さの移動は、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の作動圧力差分によってピストンがいずれの端部停止部にも到達させることがないようにする、ピストンのある範囲の動きを可能にし得る。ピストンが、所与の作動圧力差分ゆえに端部停止部に配置される場合、圧力及び/又は流れの変動ゆえの圧力差分のより多くの小さな変化によってピストンを動かさないようにし、それにより、圧力及び/又は流れの変動を相殺するピストンの能力を阻害する。好適な長さの移動は、少なくとも一部には、ばね定数及び流体圧システム内の期待圧力差分に基づき得る。いくつかの実施形態では、シリンダーの長さは50mm~100mmとし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、任意の好適な長さのシリンダーが用いられてもよい。
【0044】
[0066] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、ピストンが、差動バッファ内のバリアとして用いられるとき、ピストンは、圧力差分、シリンダー内でのピストンの許容誤差、及び使用されるシールに基づいて、ピストンにわたって漏れやすいかもしれない。場合によっては、ピストンにわたるある程度の漏れは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力及び/又は流れの変動を軽減するのを助け得るため、有益とし得る。例えば、ピストンにわたって流れる流体の量は、圧力及び/又は流れの変動によって生じた圧力及び/又は流れの正の増加の効果を減少させ得る。しかしながら、本発明者らがまた認識したところでは、そのような漏れは、流体圧システムの効率に悪影響を及ぼし得、及び流体圧装置のためのポンピング能力に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、差動バッファのピストンは、システム内の流体圧装置の漏れの10%以内の漏れを有し得る。いくつかの実施形態では、差動バッファのピストンは、流体圧装置の漏れの1%~5%の漏れを有し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、ピストンのための任意の好適な漏れが用いられてもよい。
【0045】
[0067] いくつかの実施形態では、流体圧システムは、流体圧装置、流体圧アクチュエータ、及び差動バッファを含み得る。流体圧装置は、ポンプ、少なくとも1つの動作モードでポンプとして動作される流体圧モータ、又は少なくともいくつかの実施形態では、流体を能動的にポンプでくみ上げるように構成された他の流体圧パワーパックを含む。例えば、いくつかの実施形態では、流体圧装置は、ジェローターポンプ(gerotor pump)、ギアポンプ、ピストンポンプ、斜板ポンプ、又は別の好適な流体圧ポンプとし得る。流体圧装置は、流体圧的な第1の流体圧装置ポート及び第2の流体圧装置ポートを含み得る。流体圧アクチュエータは、流体圧モータ、サーボ弁、流体圧シリンダー、又は流体圧装置からの流体圧を、力、トルク、及び/又は動きに変換するように構成された他の流体圧パワーパックとし得る。流体圧アクチュエータは、第1のアクチュエータポート及び第2のアクチュエータポートを含み得る。差動バッファは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部を含み得る。第1の流体圧装置ポートは、第1の内部体積部を経由して第1のアクチュエータポートに流体圧的に接続され得、及び第2の流体圧装置ポートは、第2の内部体積部を経由して第2のアクチュエータポートに流体圧的に接続され得る。差動バッファはまた、第1の内部体積部の少なくとも一部分と第2の内部体積部の一部分とを分離するバリア(例えば、少なくとも1つのダイアフラム又はピストン)を含み得る。バリアは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の作動圧力差分及び/又は圧力変動若しくはリップルに応答して、動く(例えば、ハウジングに対して位置を変える)又は撓む(例えば、ハウジングに対する所与の位置において形状を変える)ように構成され得る。差動バッファは、本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、流体圧装置によって発生された圧力及び/又は流れの変動を軽減するように機能し得る。
【0046】
[0068] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファは、フロースルー(flow-through)形態又は分岐形態に配置され得る。フロースルー形態では、差動バッファは、第1の内部体積部と関連付けられる第1のポート及び第2のポート、並びに第2の内部体積部と関連付けられる第3のポート及び第4の部分を含み得る。差動バッファの第1のポート及び第3のポートは、流体圧装置に流体接続され得(例えば、流路を経由して)、そこでは、第2のポート及び第4のポートは、流体圧アクチュエータに流体接続される(例えば、流路を経由して)。このようにして、流体圧装置から流体圧アクチュエータまで流れる流体は、差動バッファの内部体積部を通って流れる。差動バッファが分岐形態を有する代替的な実施形態では、差動バッファは、第1の内部体積部に関連付けられた第1のポート、及び第2の内部体積部に関連付けられた第2のポートを含み得る。第1のポートは、流体圧装置と流体圧アクチュエータとの間の第1の流路に接続され得(例えば、第1の分岐接続部を経由して)、及び第2のポートは、流体圧装置と流体圧アクチュエータとの間の第2の流路に接続され得る(例えば、第2の分岐接続部を経由して)。この実施形態では、流体は、差動バッファを流れることなく、流体圧装置と流体圧アクチュエータとの間を流れ得、差動バッファへの流路は、第1の流路及び第2の流路に分岐する。場合によっては、分岐形態を用いて、差動バッファの分岐部は、閾値周波数を上回る圧力変動からの差動バッファへのアクセスを阻止し得る。本開示はそのように限定されないため、所望のパッケージング及び軽減されることが意図される圧力及び/又は流れの変動の周波数次第で、フロースルー又は分岐形態が用いられてもよい。
【0047】
[0069] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、流体圧システムは、差動バッファの2つの内部体積部間の動作圧力差で動作し得る。すなわち、作動圧力差(例えば、圧力変動を含まない圧力差)が流体圧システムに存在し得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差は、0~3000psi(例えば、0~21MPa)とし得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差は0~1000psi(例えば、0~7MPa)とし得る。流体圧装置によって発生した圧力変動は、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間に発生した作動圧力差を下回る。例えば、いくつかの実施形態では、圧力変動によって生じた変動する圧力差は、0~500psi(例えば、0~3.5MPa)、0~1450psi(例えば、0~10MPa)、及び/又は任意の他の適切な圧力範囲とし得る。いくつかの実施形態では、圧力変動によって生じた変動する圧力差は、0.01~50psi(例えば、0.00007~0.345MPa)とし得る。これらの実施形態によれば、変動する圧力差は、作動圧力差に重ね合わせられ得、及び正又は負のいずれかとし得る(例えば、±0~3.5MPa、±0~10MPa、又は±0.00007~0.345MPa)。変動する圧力差は、作動圧力差よりも小さくてもよい。従って、差動バッファは、流体圧システムの作動圧力差よりも低い相対的な変動する圧力差で、圧力変動を軽減するように構成され得る。これを達成するために、差動バッファは、底を打つことなく、作動圧力差分と圧力変動による任意の圧力差分との和に適応するように構成され得る。本明細書では、「底を打つ」は、差動バッファのバリアが、変動する圧力差に応答して一方向に動くことができない(例えば、別のバリアと接触する、差動バッファの別の部分と接触する、移動の終わりに到達するなどから)位置を示し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、任意の好適な作動圧力差が用いられてもよく、及び圧力変動からの任意の所望の圧力差が軽減されてもよい。
【0048】
[0070] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、流体圧システム内の圧力変動は、差動バッファが軽減するように構成される周波数又は周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、圧力変動は、0~2000Hzの周波数を有し得る。いくつかの実施形態では、圧力変動は、0~400Hzの周波数を有し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、流体圧装置によって発生した圧力変動のいずれかの関連する周波数が、差動バッファによって軽減され得る。本開示はそのように限定されないため、特定の周波数範囲内の圧力及び/又は流れの変動を軽減することは、圧力及び/又は流れの変動が、周波数範囲内のどの周波数でも一様に軽減され得ること又は周波数範囲のサブセットが、軽減のための標的にされ得ることを意味する。
【0049】
[0071] 流体圧アクチュエータ(例えば、流体圧アクティブサスペンションシステムアクチュエータ)のいくつかの実施形態では、動作パラメータは、生み出され得る力の帯域幅である。高帯域幅の流体圧アクチュエータのいくつかの実施形態では、アクチュエータ本体からの流れのかなりの部分が、関連の流体圧装置を通過し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の回転する流体圧装置構成要素の回転の慣性が、システムの帯域幅を限定し得る。いくつかの実施形態では、流体圧装置の変位も、流体圧装置構成要素が、アクチュエータで生成される所与の流れに対してどの程度回転する必要があり得るかを決定し得る。いくつかの実施形態では、内部ギアポンプが、20~40kg/mの範囲内の変位比までの回転の慣性と一緒に使用され得る。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、この範囲を上回る及び下回る変位比まで回転の慣性のある流体圧装置が考えられる。
【0050】
[0072] いくつかの実施形態では、流体圧装置(例えば、ジェローターポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、斜板ポンプなど)は、流体圧装置が一定の角速度で動作するときでも(例えば一定の動作流)、圧力及び/又は流れの変動を発生させ得る。そのような流れは、例えば:流体圧装置の構成要素の角度位置に応じた、(i)流体圧装置の変位及び/又は(ii)漏れの変動によって引き起こされ得る。例えば、ジェローターポンプの場合、内側又は外側ロータの角度位置に応じた、流体圧装置の変位の変動は、流体圧装置の固有特性とし得、及び/又は例えば、製造許容誤差又は不完全性ゆえとし得る。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施形態では、流体圧装置内の漏れの変動は、流体圧装置内の高圧部と低圧部との間の経路長ゆえとし得る。そのような経路長は、流体圧装置の構成要素の角度位置に応じて変わり得る。
【0051】
[0073] 流体圧システムのいくつかの実施形態では、流体圧装置の両側の流路は、流体圧負荷(例えば、アクチュエータ又はサーボ弁)が起動されるまで、独立したままである、すなわち互いに別個である。いくつかの動作条件下で、いくつかの実施形態では、流体圧装置の両側は、流量リップルを発生させ得、これが、次に、音響ノイズを誘発し得る。本明細書では、用語「流路」又は「流体流路」は、流体圧システム内の一点から別の点へ液体又は流体圧流体を運ぶ導管、チャンネル、チューブ、通路(passage)、通路(passageway)、又は任意の他のタイプの流路を指し得る。
【0052】
[0074] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、差動バッファは、圧力及び/又は流れの変動の影響を受けやすいとし得る任意の流体圧システム内で用いられ得る。本開示はそのように限定されないため、例えば、差動バッファは、海洋システム(例えば、ボート、潜水艦など)、自動車システム(例えば、車、トラック、ATV、バイク、トラクタートレーラー)、建築システム(例えば、掘削機、ブルドーザーなど)、航空システム(例えば、飛行機、ヘリコプターなど)、サスペンションシステム(例えば、アクティブサスペンションシステム、セミ-アクティブサスペンションシステムなど)又は任意の他の好適なシステム内の流体圧システム内で用いられ得る。
【0053】
[0075] 本明細書で説明する様々な実施形態では、本明細書で説明する流れ及び/又は圧力の変動の相差は、任意の適切な方法で測定され得る。例えば、場合によっては、変動は、流体圧システム内の述べたロケーションに位置するフローセンサー及び/又は圧力センサーを使用して測定され得る。或いは、コンピュータ流体動力学分析ツールなどの流体動力学シミュレーションソフトウェアが、流体圧システムの様々なロケーション内での流れ及び/又は圧力の変動の相関係及び/又は大きさを決定するために使用され得る。
【0054】
[0076] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、流体圧システム内の流路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、流体圧システムのコンピュータ流体動力学シミュレーションによって測定され得る。いくつかの実施形態では、そのようなコンピュータシミュレーションは、流体圧システム内の圧力及び/又は流れの変動間の所望の相関係が、圧力及び/又は流れの変動を減衰させることを可能にするために、所望通り維持されるかどうかを決定するために、用いられ得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ流体動力学シミュレーションから計算された、適合するイナータンス及び/又はインピーダンスは、流体圧システムの2つの側間の流れリップルの所望の相関係及び/又は相差を維持するように構成された流体圧システムを示し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、流体圧システム内の流体通路のための任意の好適なイナータンス、例えば、1×10MPa/(m/s)~1×10MPa/(m/s)、又は3×10MPa/(m/s)が用いられ得る。さらに、本開示はそのように限定されないため、流体通路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、何らかの経験による及び/又はコンピュータ方法の適切な方法で決定され得る。さらに、差動バッファのバリアの対向する側に位置する2つの流体容積間の、本明細書で開示するような所望の相関係の発生は、本明細書で説明するような所望の圧力及び/又は流れのリップルの軽減をもたらすために、流体圧装置に差動バッファを接続する流路の、所望の適合した関係を有する、例えば事実上等価のイナータンス及び/又はインピーダンスを示し得る。
【0055】
[0077] 本明細書で説明する例示的な実施形態によれば、「相殺」、「軽減」、又は「減衰」は、流体圧システムの2つ部分(例えば、流体圧装置の2つの対向するポートに接続された別個の流路)間の体積部の変動の大きさ及び/又は影響が、低減され得る、又は事実上なくされ得るように、流体圧システムの差動バッファのバリアの2つの側での圧力及び/又は流れの変動が所望の相関係を維持するときに発生するものである。具体的には、圧力及び/又は流れのリップルによって誘発されたバリアの動きは、流体圧システムの異なる部分内の、例えば、負荷における対応する体積部の変動の大きさ及び/又は影響を低減させるために、流体圧システムの別個の部分におけるこれらの圧力及び/又は流れの変動を少なくとも部分的に補償し得る。それゆえ、本明細書で説明する例示的な実施形態による差動バッファは、上述したような圧力及び/又は流れのリップルに関連付けられた悪影響を低下させ得る。
【0056】
[0078] 図面を検討すると、特定の非限定的な実施形態がさらに詳細に説明されている。本開示は、本明細書で説明する特定の実施形態のみに限定されないため、これらの実施形態に関して説明した様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法が、個別に及び/又は任意の所望の組み合わせのいずれかで使用され得ることが理解されるべきである。
【0057】
[0079] 図1は、例示的な流体圧装置の瞬間状態に応じた流量リップルの間の関係を示すグラフを示す。いくつかの実施形態では、流体圧装置が一定の角速度で動作しているときでも、流体圧装置中への及びそこからの瞬間的な容積流(volume flow)は、変動し得る。これらの変動は流量リップルと呼ばれ得る。ある条件下で、例えば、所与の第1の周波数での流れを変更するために、例えば、流体圧装置の角速度が意図的に変更されるとき、より高い周波数の流量リップルが、作動流(operational flow)に重ね合わせられ得る。流量リップルは、流体圧装置の一方の側での瞬間的な過剰な流体流量及び反対側での対応する瞬間的な不足した流体流量に起因し得る。流量リップルの量は、図1に示すように、流体圧装置の瞬間状態次第とし得る。閉鎖又は開放流体圧システムでは、流体圧装置によって発生した流体圧流量リップルは、高周波圧力変動(例えば、圧力リップル)に変換され得、これは、流体圧装置のいずれかの側また両側で、作動圧力に重ね合わせられ得る(作動圧力が一定であるか又は可変であるかに関わらず)。圧力リップルの発生は、不快なレベルの音響ノイズの発生、及び/又は様々な構成要素での摩耗及び引き裂きの促進などの、他の不快な効果を生じ得る。いくつかの実施形態では、流体圧装置の作動回転速度は、0から100Hzまで又は0から400Hzまで様々とし得る。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、これらの範囲を上回る作動回転速度が考えられる。いくつかの実施形態では、流量リップル周波数及び/又は圧力リップル周波数は、流体圧装置の作動周波数よりも5~10倍大きいとし得る。いくつかの実施形態では、流量リップル周波数及び/又は圧力リップル周波数は、流体圧装置の作動周波数よりも10~20倍大きいとし得る。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、指示範囲を上回る及びそれを下回る双方の圧力リップル周波数が考えられる。
【0058】
[0080] 上述の説明を考慮して、及びこれらの用語間の関係を前提として、流れリップル及び圧力リップルは、関係があるとし得、及び本開示では区別しないで使用され得る。
【0059】
[0081] 図2は、第1のガス充填(gas filled)アキュムレータ201及び第2のガス充填アキュムレータ202を含む、従来技術の流体圧回路200の一実施形態の概略図を示す。第1のガス充填アキュムレータ201は、第1の流路208によって、流体圧装置204の第1の流体圧装置ポート204a及び流体圧アクチュエータ206の第1のアクチュエータポート206aに流体接続されている。第2のアキュムレータ202は、第2の流路210によって、流体圧装置204の第2の流体圧装置ポート204b及びアクチュエータ206の第2のアクチュエータポート206bに流体接続されている。第1のアキュムレータ201及び第2のアキュムレータ202のそれぞれは、流体圧回路に絶対コンプライアンス(absolute compliance)をもたらし得、及び少なくとも部分的に、流体圧装置によって発生した流量リップルを軽減し得、及びアクチュエータ206に到達する可能性がある圧力リップルの発生を減少させ得る。本明細書では、用語「絶対コンプライアンス」は、1つのロケーションで流体圧回路に作用する、分岐又はフロースルーのコンプライアンス装置を指す。図2に示すように、流体圧アクチュエータは、アクチュエータ206のシリンダー状体積部内に摺動自在に受け入れられるピストン212を含む。ピストン212は、力を加えるために使用され得るロッド214に結合される。ピストン212はまた、アクチュエータ内の内部体積部を、第1の体積部、圧縮体積部216と、第2の体積部、拡張体積部218とに分離する。圧縮体積部は、アクチュエータが圧縮すると圧縮される体積部である一方で、拡張体積部は、アクチュエータが拡張すると圧縮される体積部である。
【0060】
[0082] 図2に示す実施形態では、第1のガス充填アキュムレータ201及び第2のガス充填アキュムレータ202のガス充填体積部はそれぞれ、流体圧回路200のそれぞれの側のコンプライアンスを決定するガススプリングの機能を果たし得る。そのようなアキュムレータを用いない場合、流量リップルは、ガスよりも体積弾性率(bulk modulus)が遥かに高いとし得る体積充填(volume filled)流体圧オイル又は他の液体に作用し得る。液体充填回路とのそのような相互作用は、コンプライアンスを備えるシステムよりも大きい圧力リップルを生み出し得る。しかしながら、図2に示すような2アキュムレータ形態では、流体圧回路のノイズ特性は、第1のアキュムレータ201及び第2のアキュムレータ202の一方また双方の性能に関係し得る。第1及び第2のアキュムレータが適切に機能しない場合、流体圧回路の両側が負荷(例えば、流体圧アクチュエータ206)に接続されるため、流体圧回路全体のノイズ特性は低下し得る。さらに、上述したようないくつかの実施形態では、アキュムレータにおいてガス媒体を使用することは、望ましくないふるまいを生じ得る。例えば、一方又は双方のアキュムレータのスティフネスは、温度の非線形関数とし得、これは、システムの動作又は環境条件とともに変化し得る。
【0061】
[0083] 図3は、圧力及び/又は流れの変動を軽減するように構成された差動バッファ302を備える流体圧システム300の例示的な実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、図3に示すように、差動バッファ302は、差動バッファ302のハウジング内にあるシリンダー303内に摺動自在に受け入れられる可動ピストン304を含む。差動バッファはまた、第1のスプリング308a及び第2のスプリング308bを含み、それらピストンは、ピストンの対向する側と関連付けられ、及びピストン304と差動バッファ302のハウジングとの間に置かれている。スプリングは、シリンダー303の縦軸に沿ってピストンを反対方向に付勢するように配置される。すなわち、第1のスプリング及び第2のスプリングは協働して、ピストン304を中立位置へ付勢する。図3の実施形態では、差動バッファ302は、流体圧装置310と流体圧アクチュエータ312との間に動作可能に置かれる。図3の流体圧アクチュエータ312は、ピストン313a、ピストンロッド313b、圧縮体積部313c、及び拡張体積部313dを含む。圧縮体積部は、アクチュエータ312が圧縮されるときに圧縮される一方で、拡張体積部は、アクチュエータ312が拡張されるときに圧縮される。いくつかの実施形態では、本開示はこの点に関して限定されないため、流体圧アクチュエータは別の流体圧負荷で置き換えられてもよい。
【0062】
[0084] 図3の実施形態では、差動バッファ302は、フロースルー差動バッファとして構成される。差動バッファは、4個のポート(例えば、第1のポート302a、第2のポート302b、第3のポート302c、及び第4のポート302d)を含み、そのうちの2つが、任意の所与の時点で流入ポートとし得る一方で、他の2つのポートは、流出ポートとし得る。第1のポート302a及び第2のポート302bは、ピストン304の第1の側にある差動バッファの第1の内部体積部305aと関連付けられる。第3のポート302c及び第4のポート302dは、第1の側とは反対のピストン304の第2の側にある差動バッファの第2の内部体積部305bと関連付けられる。図3に示すフロースルー形態では、流体圧装置310への及びそこからの全体の流れ、又は事実上全体の流れが、差動バッファ302の第1の内部体積部及び第2の内部体積部を流れ得る。流体圧システム300では、流体流路316は、差動バッファの第4のポート302dをアクチュエータ312の第1のアクチュエータポート312aに流体接続する一方で、流体流路318は、差動バッファの第2のポート302bをアクチュエータ312の第2のアクチュエータポート312bに流体圧的に接続する。第1のポート302aは、流体流路301aを経由して第1の流体圧装置ポート310aに流体接続される。第3のポート302cは、流体流路301bを経由して第2の流体圧装置ポート310bに流体接続される。図3に示すようないくつかの実施形態では、流体圧システム300は、加圧アキュムレータ320(例えば、ガス充填アキュムレータ)を含み得、これは、流体流路316又は別の好適な流体流路に流体接続され得る。例えば、加圧アキュムレータ320(例えば、ガス充填アキュムレータ)は、流体流路318に流体圧的に接続され得る。その代わりに又はそれに加えて、加圧アキュムレータ(例えば、ガス充填アキュムレータ)は、流体流路318に流体圧的に接続されてもよい。図3の実施形態では、差動バッファ302によって、流体流路316又は流体流路318をポート312a及び312bの方へ向かってそれぞれ流れる流体において、圧力又は流れリップルが全体的に又は部分的に軽減され得る。
【0063】
[0085] 図3の実施形態によれば、流体圧システム300の対向する側にある様々な流路は、同様の(例えば、等価の)イナータンス及び/又はインピーダンスを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部305aのイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の内部体積部305bのイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内であり、並びに、いくつかの実施形態では、第1の内部体積部305aのイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の内部体積部305bのイナータンス及び/又はインピーダンスと等しい。いくつかの実施形態では、第1のポート302aと第1の流体圧装置ポート310aとの間の流路301aのイナータンス及び/又はインピーダンスと、第3のポート302cと第2の流体圧装置ポート310bとの間の流路301bのイナータンス及び/又はインピーダンスとは、互いに50%以内であり、並びに、いくつかの実施形態では、互いに等しい。例えば、流体圧装置310の第1の流体圧装置ポート310a及び第2の流体圧装置ポート310bをバッファの対応する第1のポート302a及び第3のポート302cに接続する第1及び第2の流路は、上述の通り、互いに予め決められた範囲内(例えば、50%以内)の適合するイナータンス及び/又はインピーダンスを有し得、流体圧装置へ又はそこから伝わる圧力及び/又は流れの変動の所望の相関係をもたらす。いくつかの実施形態では、流路301a及び流路301bのイナータンス及び/又はインピーダンスは、互いに50%以内でなくてもよいが、差動バッファ302の流体圧装置310間の圧力及び/又は流れの変動間に所望の相関係(例えば、逆相関係)を維持し得る。いくつかの実施形態では、流体流路316及び流体流路318は、等価又は同様のイナータンス及び/又はインピーダンスを有し得る(例えば、流体流路316のイナータンス及び/又はインピーダンスは、流体流路318のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内とし得る)が、そのような配置構成は、差動バッファによる圧力及び/又は流れの変動の軽減に影響を与えなくてもよい。
【0064】
[0086] いくつかの動作モードでは、差動バッファ302は、流体圧アクチュエータ312を駆動するときに(例えば、アクティブサスペンションシステムにおいて)流体圧装置310によって生じた一定及び/又は可変の作動差圧にさらされ得る。そのような差動バッファはまた、流体圧装置の一方の側又は両側に適切な度合いのコンプライアンスをもたらしながら、流体圧装置の一方の側又は両側の流量リップルを同時に吸収しても又は軽減してもよい。いくつかの実施形態では、図3のもののような差動バッファは、300~600psi(例えば、2.1~4.1MPa)の範囲の差圧にさらされ得るが、0.1~10psi(例えば、0.0007~0.0689MPa)の範囲の圧力リップルを発生させ得る流量リップルを軽減する。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の範囲の圧力が考えられる。
【0065】
[0087] いくつかの実施形態では、本明細書の例示的な実施形態による差動バッファは、0psi~1000psi(例えば、0~7MPa)の範囲内の作動差圧、又は、本開示はそのように限定されないため、作動差圧のこの範囲の1つ以上の部分的な範囲にさらされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書の例示的な実施形態による差動バッファは、0.01~50psi(例えば、0.00007~0.345MPa)の範囲内の圧力リップル、又は本開示はそのように限定されないため、圧力リップルのこの範囲の1つ以上の部分的な範囲を軽減する(例えば、減衰させる)ように構成され得る。本開示はそのように限定されないため、例えば、約100psi~600psi(例えば、0.69~4.1MPa)又はそれに等しい作動圧力範囲、及び0.1~20psi(例えば、0.0007~0.138MPa)の範囲内の圧力リップル、及び/又は任意の他の適切な組み合わせの範囲を含む、上述の範囲の様々な組み合わせが考えられる。特定の圧力範囲内の圧力リップル又は流れリップルを軽減することは、必ずしも、圧力リップルが、その範囲の初めから終わりまで又はさらにはその範囲内の各圧力で一様に軽減されることを指示するものではない。
【0066】
[0088] 図3に示す差動バッファ302の一例では、ピストン304は、60mmの直径を含み得、及び7800Nの力にさらされ得る一方で、60Nの力しか生じないとし得るリップル圧力を吸収するように働く。いくつかの実施形態では、ピストン304を通過したときの漏れは、上述の通り流体圧装置310の効率に悪影響を与え得る。これは、流体圧装置は、そのような漏れを埋め合わせるためにより多くの流体量をポンプでくみ上げる必要があるかもしれないためである。しかしながら、本発明者らが認識したところでは、漏れが少ない状態でより高いレベルの差圧に耐えるために、ピストン304とシリンダー303との間にシールが用いられ得る。しかしながら、そのようなシールは、場合によっては、シール摩擦のレベルを著しく高め得る。本発明者らが認識したところでは、これらの摩擦力は、低振幅であるが高周波の流れリップルを吸収する差動バッファの有効性を低下させ得る。従って、いくつかの実施形態では、ピストン304とシリンダー303との間にシールが用いられ得るが、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、ピストンとシリンダーとの間にシールが用いられなくてもよい。
【0067】
[0089] 図4は、ばね仕掛けの摺動ピストンを含む分岐差動バッファ402を備える流体圧システム400の別の例示的な実施形態の概略図を示す。分岐差動バッファ402は、差動バッファ402のハウジングにあるシリンダー状体積部403内に摺動自在に受け入れられる可動ピストン404を含む。差動バッファは、第1のスプリング408a及び第2のスプリング408bを含み、それらスプリングは、ピストン404とピストンの対向する側にある差動バッファ402のハウジングとの間に置かれ、及びピストンをシリンダー状体積部403の縦軸に沿って反対方向に付勢するように配置される。第1のスプリング408a及び第2のスプリング408bは、ピストン404を中立位置へと付勢するように構成される。しかしながら、図4の実施形態では、差動バッファ402は、流体圧装置410及び流体圧アクチュエータ412と流体圧的に並列形態に位置決めされる。すなわち、差動バッファ402は、分岐形態において、流体圧装置410と流体圧アクチュエータ412との間の流路から離れて位置しているが、図3の実施形態では、差動バッファは、フロースルー形態において、流体圧装置と流体圧アクチュエータとの間の流路に沿って位置している。図4の実施形態では、差動バッファは、第1の流路414に接続された第1のポート405a、及び第2の流路416に接続された第2のポート405bを含む。第1のポート405aは、差動バッファの第1の内部体積部407aを第1の流路414に接続する。従って、第1の内部体積部407aは流体圧装置410及び流体圧アクチュエータ412に流体接続される。第2のポート405bは、差動バッファの第2の内部体積部407bを第2の流路416に接続する。従って、第2の内部体積部407bは、流体圧装置410及び流体圧アクチュエータ412に流体接続される。2ポート差動バッファ402はフロースルーバッファではないことに留意すべきである。それゆえ、流体圧装置410のポート410a及び410bとアクチュエータ412のポート412a及び412bのそれぞれとの間の流体流は、差動バッファを通過する必要はなく、第1の流路414及び第2の流路416を経由してアクチュエータへ直接(例えば、差動バッファを通過しないで)流れてもよい。当然ながら、場合によっては、直接流路が、流体圧装置とアクチュエータを流体接続し得るが、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、流体は、例えば、弁、制限部(restrictions)、アキュムレータ、及び/又は任意の他の適切な流体圧構成要素を含め、流体圧装置と流体圧アクチュエータとの間の任意のタイプ及び数の流体圧構成要素を通過し得る。この形態では、差動バッファは、差動バッファの第1のポート405a及び第2のポート405bに到達し得る圧力又は流量リップルに作用し得る。本開示はそのように限定されないため、差動バッファは、分岐又はフロースルー形態を含み得る。
【0068】
[0090] 図3の実施形態におけるように、図4の差動バッファ402は、ピストン404によって分離される第1の内部体積部407a及び第2の内部体積部407bを含む。従って、第1の内部体積部407aと第2の内部体積部407bとの間の圧力差は、第1のスプリング408a及び第2のスプリング408bの付勢力に抗してピストンを動かすように構成される。ピストンの動きは、例えば、受動的な相殺的干渉によって、圧力及び/又は流れの変動を軽減し得る。
【0069】
[0091] 図5は、曲げ可能なプレート(flexure plate)として配置されたダイアフラムとして構成された複数のバリアを含む、差動バッファ500の例示的な実施形態の概略図を示す。図5に示すように、差動バッファ500は、第1の曲げ可能なプレート502、第2の曲げ可能なプレート504、第3の曲げ可能なプレート506、及び第4の曲げ可能なプレート508を含む。さらに、図5の差動バッファは、第1のポート500a、第2のポート500b、第3のポート500c、及び第4のポート500dの設けられたフロースルーバッファとして構成される。従って、図5の曲げ可能なプレート差動バッファ500は、流体圧システムにおいて、図3に示す実施形態の差動バッファ302の代わりとなり得る。そのような例示的な流体圧システムについて、図6を参照して下記でさらに説明する。
【0070】
[0092] 図5に示すように、差動バッファは、第1の内部体積部501a及び第2の内部体積部501bを含む。第1の内部体積部は、第1のポート500aと第2のポート500bとの間に延在する。第2の内部体積部は、第3のポート500cと第4のポート500dとの間に延在する。図5の実施形態によれば、第1のポート500a及び第3のポート500cは、流体圧装置(例えば、ポンプ)のポートに流体圧的に接続され得る。第2のポート500b及び第4のポート500dは、流体圧アクチュエータのポートに流体圧的に接続され得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、ポートの接続は逆にされてもよい。第1の内部体積部501aは、第1の室550a及び第2の室550bを含む。第2の内部体積部501bは、第3の室550c、第4の室550d、及び第5の室550eを含む。室のそれぞれは、曲げ可能なプレート502、504、506、508のうちの少なくとも1つに隣接して配置される。図5の実施形態によれば、第1の内部体積部及び第2の内部体積部の室は、順番に交互になる。すなわち、第1の内部体積部の室は、第1及び第2の内部体積部の2つの対向する室間に配置されたダイアフラム(例えば、曲げ可能なプレート)の反対側にある第2の内部体積部の1つ以上の室に隣接する。同様に、第2の内部体積部の室は、第1の内部体積部の1つ以上の室に隣接している。しかしながら、いくつかの実施形態では、同じ内部体積部が曲げ可能なプレートの対向する側に配置されるロケーションが差動バッファ内にはなくてもよい。このようにして、図5に示す例示的な差動バッファの曲げ可能なプレートのそれぞれは、第1の内部体積部501aと第2の内部体積部501bとの間の差圧にさらされ、及びその圧力差に基づいて変形したり又は撓んだりする。図5の特定の実施形態では、第1の曲げ可能なプレート502は、第2の室550b内の圧力及び第5の室550e内の圧力にさらされ、第2の曲げ可能なプレート504は、第2の室550b内の圧力及び第4の室550d内の圧力にさらされ、第3の曲げ可能なプレート506は、第1の室550a及び第4の室550d内の圧力にさらされ、並びに第4の曲げ可能なプレート508は、第1の室550a内の圧力及び第3の室550c内の圧力にさらされる。本開示はそのように限定されないため、図5に示す交互の構造、及び/又は曲げ可能なプレートの数は、所望のスティフネスを備える差動バッファの所望の形状因子を達成するために、拡大されても、又は減少されてもよい。
【0071】
[0093] 図5の実施形態によれば、曲げ可能なプレート502、504、506、508は、流体圧回路内の作動圧力差分並びに流体圧装置によって発生した圧力変動に適応するために、通常の動作の最中に弾性変形を可能にするように、適切なスティフネスを備えて構成され得る。スティフネスは、各プレートの寸法並びに第1の内部体積部501a及び第2の内部体積部501bの各室の厚さに基づいて、少なくとも部分的に決定され得る。いくつかの実施形態では、各室によってもたらされる曲げ可能なプレート間の相対空間は、曲げ可能なプレートのスティフネスを決定し得、差動バッファの通常の動作の最中に、曲げ可能なプレートが互いに触れない又は他の方法で室を妨害しないようにする。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、いくつかの他の実施形態では、いくつか又は全てのプレートは、所与の圧力差分で互いに接触することが可能であってもよい。いくつかの実施形態では、2枚のプレートが互いに接触するとき、接触するプレートのコンプライアンスは、実質的に増加し得る。いくつかのそのような場合には、圧力差分が大きすぎる場合、隣接する曲げ可能なプレートは、互いに接触するように十分に変形し得、その時点で、曲げ可能なプレートは、スティフネスを著しく高め、それにより、差圧を軽減する。従って、曲げ可能なプレートの材料特性は、前述したように、所望の作動圧力差分に適切な性能をもたらすように選択され得る。
【0072】
[0094] 図6は、図5の差動バッファと同様の曲げ可能なプレートを含む差動バッファ500を備える流体圧システム600の例示的な実施形態の概略図を示す。流体圧システム600では、曲げ可能なプレート差動バッファ500の第1のポート500a及び第3のポート500cは、流体圧装置610の第1の流体圧装置ポート610a及び第2の流体圧装置ポート610bのそれぞれに流体圧的に接続される。差動バッファ500の第2のポート500bは、流体圧アクチュエータ614の拡張体積部618に流体圧的に接続される(例えば、第1のアクチュエータポート614aを経由して)一方で、第4のポート500dは、アクチュエータ614の圧縮体積部612に流体圧的に接続される(例えば、第2のアクチュエータポート614bを経由して)。図6の実施形態によれば、流体圧システムはまた、第4のポート500dに流体圧的に接続されたアキュムレータ616(例えば、ガス充填アキュムレータ)を含む。
【0073】
[0095] 図6の実施形態では、第1の内部体積部501aの第1の室550a及び第2の室550b内の圧力は、互いに等価又は事実上等価とし得る。さらに、第1の内部体積部の作動圧力、拡張体積部618内の圧力、及び流体圧装置610の第1の流体圧装置ポート610aにおける作動圧力は、互いに等価又は事実上等価とし得る。当然ながら、いくつかの実施形態では、これらの作動圧力は、流体圧装置610とアクチュエータ614との間の圧力損失に起因して、互いに異なり得る。図6の実施形態によれば、圧力及び/又は流れの変動によって生じるいずれの圧力差も、第1の流体圧装置ポート610aに存在し得るが、第1の内部体積部501a内で軽減されても又は相殺され得る。従って、圧力及び/又は流れの変動は、拡張体積部618内には存在しないかもしれないか、又は減少されていてもよい。同様に、第2の内部体積部501bの第3の室550c(第4のプレート508とハウジング552との間に配置された)、第4の室550d(第2のプレート504と第3のプレート506との間に配置された)、及び第5の室550e(第1のプレート502とハウジング552との間に配置された)内の作動圧力は、互いに等価又は事実上等価である。さらに、第2の内部体積部の圧力、圧縮体積部612内の圧力、及び流体圧装置610の第2の流体圧装置ポート610bにおける圧力は、互いに等価又は事実上等価とし得る。当然ながら、いくつかの実施形態では、これらの作動圧力は、流体圧装置610とアクチュエータ614との間の圧力損失に起因して、互いに異なり得る。図6の実施形態によれば、圧力及び/又は流れの変動によって生じるいずれの圧力差も、第2の流体圧装置ポート610bに存在し得るが、第2の内部体積部501b内で軽減されても又は相殺されてもよい。従って、圧力及び/又は流れの変動は、圧縮体積部612内には存在しないかもしれないか、又は減少されていてもよい。図5を参照して説明したように、曲げ可能なプレートは、流体圧装置610によって発生した圧力及び/又は流れのリップルに適応し、及びそれを軽減するか又は相殺するために、変形し得る(例えば、弾性的に)。
【0074】
[0096] 図6の実施形態によれば、流体圧システム600の対向する側にある様々な流路は、少なくとも流体圧装置と差動バッファとの間に同様(例えば、等価)のイナータンス及び/又はインピーダンスを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の内部体積部501aのイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の内部体積部501bのイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内であり、及び、いくつかの実施形態では、第1の内部体積部501aのイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の内部体積部501bのイナータンス及び/又はインピーダンスと等しい。いくつかの実施形態では、第2のポート500bと第1の流体圧アクチュエータポート614aとの間の流路のイナータンス及び/又はインピーダンス、並びに第4のポート500dと第2の流体圧アクチュエータポート614bとの間の流路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、互いに50%以内であり、及び、いくつかの実施形態では、互いに等しい。いくつかの実施形態では、第1のポート500aと第1の流体圧装置ポート610aとの間の流路のイナータンス及び/又はインピーダンス、並びに第3のポート500cと第2の流体圧装置ポート610bとの間の流路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、互いに50%以内であり、及び、いくつかの実施形態では、互いに等しい。例えば、流体圧装置610の第1の流体圧装置ポート610a及び第2の流体圧装置ポート610bを、バッファ500の対応する第1のポート500a及び第3のポート500cに接続する第1及び第2の流路は、上述したような、互いに予め決められた範囲内(例えば、50%以内)の適合するイナータンス及び/又はインピーダンスを有し得、流体圧装置へ又はそこから伝わる圧力及び/又は流れの変動の所望の相関係をもたらす。いくつかの実施形態では、第1の流体圧装置ポート610aと第2の流体圧アクチュエータポート614bとの間の流路全体のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の流体圧装置ポート610bと第1の流体圧アクチュエータポート614aとの間の流路全体のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内であり、及び、いくつかの実施形態では、互いに等しい。
【0075】
[0097] 例示的な図6のもののような流体圧システムのいくつかの動作モードでは、アキュムレータが位置する流体圧装置の側の圧力は、流体圧装置が動作している間中、実質的に一定のままとし得るが、流体圧装置の他方の側の圧力は、著しく変わり得る。図6の例示的な流体圧システム600では、圧縮体積部612及びアキュムレータ616の作動圧力は、アキュムレータ616に起因して、実質的に一定のままとし得る一方で、拡張体積部内の圧力は、流体圧装置610の動作状態次第で、実質的に変わり得る。その結果、例示的な流体圧システム600では、第1の室550a及び第2の室550b内の圧力は、著しく変わり得る一方で、第3の室550c、第4の室550d、及び第5の室550e内の圧力は、比較的一定のままとし得る。図6の実施形態では、差動バッファ500の室は、差動バッファ500のハウジング552がアキュムレータ616及び圧縮体積部612の比較的一定の作動圧力にさらされるように、配置される。その結果、ハウジング552は、流体圧システム内の極度の圧力及び圧力の変動から保護され得る。或いは、いくつかの実施形態では、アキュムレータ616のロケーションは変更されてもよいため、アキュムレータは、システムの拡張側に流体的に位置し、及び拡張体積部の圧力は、アキュムレータ圧力と等価又は事実上等価である。そのような実施形態では、アキュムレータハウジングの保護を維持するために、流体圧システム内の流路は変えられてもよく、室550c、550d、及び550e内の圧力は、ここでも、比較的一定のアキュムレータ圧力と等価又は事実上等価である。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、第1の内部体積部501a又は第2の内部体積部501bの室は、圧力変動にさらされ得る。
【0076】
[0098] 図5及び図6の差動バッファ500の曲げ可能なプレート502、504、506、及び508などの、例示的な差動バッファのダイアフラムの撓みの量に基づいて、方程式、非線形解析(例えば、有限要素解析を使用する)、及び/又は他の適切な方法を使用して、所与の撓み並びに一部分で実現される最大応力でのバッファの体積スティフネス(volumetric stiffness)を計算し得る。本発明者らがまた認識したところでは、体積スティフネスの著しい上昇は、分離するダイアフラムの特定の幾何学的形状次第で、より大きな撓みで達成され得る。いくつかの実施形態では、所望の最大スティフネスは、400psi(例えば、2.76MPa)の作動圧力差分(例えば、アクチュエータが流体圧装置によって能動的に駆動されているときの最大差圧)において、10psi未満の作動圧力差分におけるスティフネスの2.5倍未満に限定され得る。
【0077】
[0099] 本発明者らが認識したところでは、少なくとも1つのダイアフラムを含む差動バッファ用のダイアフラムの厚さの選択では、ダイアフラムの厚さとスティフネスの非線形性、最大応力、及び全体の総パッケージ体積との間に矛盾があり得る。より厚いダイアフラムは、同じ圧力領域及び圧力差分では、撓みが少ないかもしれない。より厚いダイアフラムはまた、より低い最大応力を示し得るが、より大きな総パッケージ体積を必要とするかもしれない。より厚いダイアフラムは、より大きな応力を受ける領域を有し、それにより、ダイアフラムの前後間の所与の圧力差分では、ダイアフラムでの応力を低く及び撓みを少なくするだけでなく、より薄いダイアフラムに対してダイアフラムのサイズを大きくしもする。例えば、直径60mmの円形の圧力領域(例えば、加圧流体にさらされるプレートの変形可能な領域)を有する、厚さ1.06mmのプレートは、3.5MPaで、最大で1.2mm撓み得る。10枚のそのようなプレートを備える差動バッファは、150~250Pa/mmのスティフネスを達成し、及びおよそ100ccの全体積を占め得る。同じ圧力領域を備える1.4mmのより厚いプレートは、3.5MPaで、0.76mm撓み得、及び同じ総体積スティフネス目標(1.06mmのプレートを備える差動バッファとして)を達成する18枚のプレートは、およそ150ccの全体積を必要とし得る。より薄いプレートは、およそ2×のスティフネス非線形性及び1600MPaの最大応力を有し得るが、より厚いプレートは、1.25×のスティフネス非線形性及び1200MPaの最大応力を有し得る。これらのプレートの期待される撓みは、下記に説明する図面に示されている。
【0078】
[0100] 図7は、プレートの厚さの半分を下回る撓みでの、クランプ又は固定されたエッジ拘束状態で曲がる(bending)円形プレートの撓みの推定値のグラフ700を示す。特に、理論に縛られたくはないが、図7は、薄いプレートの撓みに関するRoarkの方程式の視覚化を示し、且つ円形プレートの曲げモード及び体積スティフネスの推定値を示す。非線形シミュレーション(例えば、有限要素解析)は、図7に示す撓み限界値を越える応力を予測するために使用され得る。図7に示すような撓みの推定値は、差動バッファに用いられる円形プレートのための適切な形態を推定するために用いられ得る。当然ながら、いくつかの実施形態では、本開示はそのように限定されないため、非線形シミュレーションが、ダイアフラムの撓み限界値の前及び後の応力を予測するために使用されてもよい。
【0079】
[0101] 図8は、最大差圧500psi(例えば、3.45MPa)での、1.5mmのクランプされた円形曲げ可能なプレートの撓みの推定値のグラフ750を示す。特に、理論に縛られたくはないが、図8は、薄いプレートの撓みに関するRoarkの方程式の視覚化を示し、且つ円形プレートの曲げモード及び体積スティフネスの推定値を示す。図8に示すような撓みの推定値は、差動バッファで用いられる円形プレートのために適切な形態を推定するために用いられ得る。図8のグラフは、プレートの厚さの半分を下回る最大撓みで拘束された、クランプ又は固定されたエッジのふるまいを示す。このプレートは、プレートの弾性レジームでの最大圧力設計を満たし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、非線形シミュレーションが、異なるプレート形態及び曲げモードに基づくプレートでの応力を予測するために、図8に示す解決法の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0080】
[0102] 図9は、プレートの厚さの半分を下回る撓みで、単純に支持される円形プレート(例えば、モーメントのない)の撓みの推定値のグラフ800を示す。特に、理論に縛られたくはないが、図9は、円形プレートの曲げモード及び体積スティフネスの推定値に関する、薄いプレートの撓みに関するRoarkの方程式の視覚化を示す。図9に示すような撓みの推定値は、差動バッファに用いられる円形プレートのための適切な形態を推定するために用いられ得る。単純に支持される拘束システムは、固定されたエッジ拘束状態の5倍のコンプライアンスを有し得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、非線形シミュレーションが、異なるプレート形態及び曲げモードに基づくプレートの応力を予測するために、図9に示す解決法の代わりに又はそれに加えて使用されてもよい。
【0081】
[0103] 図10は、クランプされた円形プレートの撓みの推定値のグラフ850を示す。特に、理論に縛られたくはないが、図10は、円形プレートの曲げモード及び体積スティフネスの推定値に関する、薄いプレートの撓みに関するRoarkの方程式の視覚化を示す。図10に示すような撓みの推定値は、差動バッファに用いられる円形プレートのための適切な形態を推定するために用いられ得る。この実施形態は、スティフネス要求を満たし得るが、他の例示的な配置構成と比べて、より大きい直径のバッファを備える。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、非線形シミュレーションが、異なるプレート形態及び曲げモードに基づくプレートの応力を予測するために、図10に示す解決法の代わりに又はそれに加えて使用されてもよい。
【0082】
[0104] 上述の通り、いくつかの実施形態では、複数のクランプされた曲げ可能なプレートを含む差動バッファは、4ポートのフロースルー装置として構成され得る。いくつかの実施形態では、ダイアフラムの撓み可能部分(例えば、圧力領域)から半径方向外側に位置するプレートのクランプ領域は、切り欠き部を含み得、これは、例えば、第1のフローチャンネル及び第2のフローチャンネルを含む、差動バッファ内部体積部の1つ以上のフローチャンネルを経路設定するために用いられ得る。図11は、曲げ可能なプレート910として配置された複数のダイアフラムを含む差動バッファ900の一実施形態の斜視図を示す。差動バッファはまた、複数のスペーサー920、930を含み、これらスペーサーは、曲げ可能なプレート910を固定し、且つまた隣接する曲げ可能なプレート間の介在室を形成するように構成される。スペーサー920、930及び曲げ可能なプレートは、差動バッファを通るフローチャンネルを形成するために用いられる。図12の実施形態によれば、差動バッファは、フロースルー差動バッファとしてとして構成されるが、本開示はそのように限定されないため、差動バッファが分岐形態を有する代替的な実施形態が考えられる。図11に示すように、差動バッファは、第1のエンドキャップ940及び第2のエンドキャップ950を含み、それらエンドキャップは、曲げ可能なプレート910とスペーサー920、930とのアセンブリを一緒に含んで固定するために用いられる。第1のエンドキャップは、曲げ可能なプレート910、スペーサー920、930、及び第2のエンドキャップに形成された孔と位置合わせする複数の貫通孔942を含み得る。従って、いくつかの実施形態では、差動バッファアセンブリを一緒にクランプするために好適な締結具(例えば、ボルト、スタッド及びナット、リベットなど)が用いられ得る。差動バッファ900の機能について、図12~16Bを参照してさらに説明する。
【0083】
[0105] 図12は、図11の差動バッファ900の分解斜視図を示す。図12の例示的な実施形態の差動バッファは、10枚の曲げ可能なプレート910を含む。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、任意の適切な数の曲げ可能なプレートが用いられてもよい。差動バッファはまた、第1のスペーサー920及び第2のスペーサー930を含む。第1のスペーサー及び第2のスペーサーは双方とも、介在する曲げ可能なプレート910を分離して固定するように機能する。しかしながら、第1のスペーサー及び第2のスペーサーは、各曲げ可能なプレート910のいずれかの側に交互にフロー室を提供するために、フロー切り欠き部(flow cutouts)の点で異なる。図12の実施形態では、スペーサーリングの厚さは、曲げ可能なプレート910間の室に適切な体積を確立し、これにより、設計された作動圧力差分で、互いに触れることなく、プレートを撓ませることを可能にする。曲げ可能なプレート及びスペーサー920、930の双方の周辺にあるフローチャンネルは、プレート間室のそれぞれが、差動バッファの外部ポートに流体接続されることを可能にする。フローチャンネルは、さらに図12~16Bに示され、且つそれらを参照して説明される。差動バッファ900はまた、曲げ可能なプレート及びスペーサーのスタックのいずれかの端部に配置される第1のエンドキャップ940及び第2のエンドキャップ950を含む。曲げ可能なプレート、スペーサー、及びエンドキャップは、ボルト又は他の締結具を使用することによって、一緒にクランプされ得、このボルトなどは、第1のエンドキャップ940にある孔942に通して取り付けられて、第2のエンドキャップ950に形成された対応する孔952に螺入され得る。スペーサー及びスペーサー間に配置されたプレートは、ボルトによってもたらされるクランプ力に起因して、金属間流体シールを形成し得る。その代わりに又はそれに加えて、本開示はそのように限定されないため、プレート、スペーサー、及びエンドキャップのうちのいくつか又は全ては、例えば、ろう付け及び/又は溶接、例えば電子ビーム溶接などの任意の他の適切な取り付け方法によって、互いにしっかりと取り付けられ得るか、又はそうでなければまとめられ得る。図12の実施形態によってもたらされた、積み重ねられたプレート構成は、個々のプレート910及びスペーサー920、930が、例えば、プレートストックから打ち抜かれる及び/又は機械加工されて、最終形態に組み立てられ得るため、差動バッファの単純化された製造を可能にする。
【0084】
[0106] 図12の実施形態では、2つの内部体積部の2つのフローチャンネルは、差動バッファ900を関連の流体圧装置の2つの側に接続するために使用され得る。これらの2つのフローチャンネルは、曲げ可能なプレート910、第1のスペーサー920、及び第2のスペーサー930のいくつか又は全てを通って延在し、それにより、流れを適切なプレート間室又はプレートとエンドキャップとの間の室へと方向付け得る。図12の例示的な実施形態は、流体を流体圧装置から流体圧アクチュエータへ送るために使用され得るチャンネルを含む2つの内部体積部を含む。図12に示すように、第1のスペーサー920は、第2のスペーサー930と交互になって、差動バッファの2つの側と関連付けられる、交互になるフロー室を提供する。差動バッファを通る流体の流路について、図16A~16Bを参照してさらに説明する。
【0085】
[0107] 図13は、図12に示す差動バッファの第1のスペーサー920の上面図を示す。この図面では、3個の第1のフロー切り欠き部1000が、第1のスペーサー及び2つの当接する曲げ可能なプレート(図12参照)によって画成されたプレート間室1002を、圧力の頻繁で著しいスイングを受ける流体圧装置の可変圧力側(例えば、図6に示す第2の流体圧装置ポート610b参照)に流体接続するために使用され得る。切り欠き部1000として構成された開口は、いくつかの実施形態では図13に示すように用いられ得るが、他の実施形態では、任意の適切な開口が用いられてもよく、これは、プレート間室に接続される(例えば、開口は、プレート間室の周囲の一部分を形成する)。第2のフロー切り欠き部1004は、プレート間室1002を流体圧アクチュエータの可変圧力側に流体接続するために使用され得る(例えば、図6に示す第1のアクチュエータポート614a参照)。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、第1のフロー切り欠き部1000及び第2のフロー切り欠き部は、プレート間室1002を流体圧装置(例えば、図6の第1の流体圧ポート610a参照)及び流体圧アクチュエータ(例えば、第2のアクチュエータポート614b参照)の比較的一定の圧力側に接続するように構成され得る。使用される用語「一定圧力」及び「可変圧力」は、相対的な用語であり、絶対的な用語ではないことに留意されたい。図6に示すもののような、流体圧システムの「一定圧力」側はまた、圧力の測定可能なスイングを受け得る。アクチュエータが流体圧装置によって駆動される典型的な動作条件下では、そのような流体圧システムの流体圧装置の「一定圧力」側は、アキュムレータに流体接続される側であるため、一般に、可変圧力側よりも著しく小さい圧力のスイングを経験する。第1のスペーサー920はまた、スペーサー920を通過するが差動バッファの対向する側に流体接続する第1の貫通チャンネル1008及び第2の貫通チャンネル1010を含む。例えば、第1のフロー切り欠き部1000及び第2のフロー切り欠き部1004が差動バッファの第1の内部体積部と関連付けられる場合、第1の貫通チャンネル1008及び第2の貫通チャンネル1010は、差動バッファの第2の内部体積部と関連付けられる。図13に示すようないくつかの実施形態では、第2の貫通チャンネル1010はまた、差動バッファ900のハウジング内の流体に流体接続される。第2の貫通チャンネル1010の外部開口は、バッファハウジングをより高いピーク圧力のより動的な可変圧力変動から守るために、流体圧システムのアキュムレータ側からの圧力によって差動バッファを取り囲むために使用され得る。図13の実施形態は、特定の数及び/又は形状の開口(例えば、切り欠き部)及びチャンネルを含むが、本開示はそのように限定されないため、差動バッファ内に第1の内部体積部及び第2の内部体積部を提供するために、適切な形状及びサイズの任意の好適な数のチャンネル又は開口が用いられてもよい。
【0086】
[0108] 図13に示すように、第1のスペーサー920はまた、締め付けボルト又は他の締結具が第1のスペーサー920を通過することを可能にする貫通孔1006を含む。貫通孔1006は、曲げ可能なプレート、第2のスペーサー、並びに第1及び第2のエンドキャップに形成された孔と位置合わせし得、差動バッファが、簡単に積み重ねられ、組み立てられ、及び固定され得るようにする。
【0087】
[0109] 図13の実施形態によれば、第1のスペーサー920は、ほぼ環状であり、リングとして形作られる。第1のスペーサーは、少なくとも部分的に円形ディスクに形成された曲げ可能なプレートを支持するように構成される。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、スペーサーは、任意の好適な形状を有してもよい。場合によっては、組み立ての最中、プレートのスタックにある切り欠き部及び孔を位置合わせすることは困難とし得る。従って、図13に示すようないくつかの実施形態では、第1のスペーサーは、例えば、平坦部1012などのインデキシング特徴(indexing feature)を含み得、これは、第1のスペーサーを、差動バッファの曲げ可能なプレート、他の第1のスペーサー、第2のスペーサー、及び/又はエンドキャップと位置合わせするために使用され得る。いくつかの実施形態では、差動バッファは、差動バッファの複数の構成要素のインデキシング平坦部を平面に置くことによって、位置合わせされ得る。当然ながら、図13の実施形態では平坦部が用いられるものの、本開示はそのように限定されないため、差動バッファ内で複数のスペーサーとプレートを位置合わせするために、任意の好適な形状、窪み、又は突起又は特徴が用いられてもよい。
【0088】
[0110] 図14は、図12に示す差動バッファの第2のスペーサー930の上面図を示す。この図面では、3個の第3のフロー切り欠き部1050が、第2のスペーサー及び2つの当接する曲げ可能なプレート(図12参照)によって画成されたプレート間室1052を、圧力の頻繁で著しいスイングを受けない流体圧装置の一定圧力側(例えば、アキュムレータ側)(例えば、図6に示す第1の流体圧装置ポート610a参照)に流体接続するために使用され得る。切り欠き部1050として構成される開口は、いくつかの実施形態では図14に示すように用いられ得るが、他の実施形態では、プレート間室1052に接続される任意の適切な開口が用いられてもよい(例えば、開口は、プレート間室の周囲の一部分を形成する)。第4のフロー切り欠き部1054は、プレート間室1052を流体圧アクチュエータの一定圧力側(例えば、図6に示す第2のアクチュエータポート614b参照)に流体接続するために使用され得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、第3のフロー切り欠き部1050及び第4のフロー切り欠き部1054は、プレート間室1052を流体圧装置(例えば、図6の第2の流体圧ポート610b参照)及び流体圧アクチュエータ(例えば、第1のアクチュエータポート614a参照)の可変圧力側に接続するように構成され得る。図13を参照して上記で説明したように、使用される用語「一定圧力」及び可変圧力は、相対的な用語であり、絶対的な用語ではない。第2のスペーサー930はまた、第2のスペーサー930を通過するが差動バッファの対向する側に流体接続する第3の貫通チャンネル1058及び第2の貫通チャンネル1056を含む。例えば、第3のフロー切り欠き部1050及び第4のフロー切り欠き部1054が、差動バッファの第2の内部体積部と関連付けられる場合、第3の貫通チャンネル1058及び第4の貫通チャンネル1056は、差動バッファの第1の内部体積部と関連付けられる。図14の実施形態は、特定の数、形状、及びサイズの開口及びチャンネルを含むが、本開示はそのように限定されないため、差動バッファに第1の内部体積部及び第2の内部体積部を提供するために、任意の適切な数、形状、及びサイズのチャンネルが用いられてもよい。
【0089】
[0111] 図14に示すように、第2のスペーサー930はまた、締め付けボルト又は他の締結具が第2のスペーサーを通過することを可能にする貫通孔1060を含む。貫通孔1060は、曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、他の第2のスペーサー、並びに第1及び第2のエンドキャップに形成された孔と位置合わせし得、差動バッファが簡単に積み重ねられて組み立てられ得るようにする。
【0090】
[0112] 図14の実施形態によれば、第2のスペーサー930は、環状であり、及びリングとして形作られる。第2のスペーサーは、少なくとも部分的に円形ディスクに形成された曲げ可能なプレートを支持するように構成される。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、第2のスペーサーは任意の好適な形状を有してもよい。場合によっては、組み立ての最中、円形プレートのスタックを位置合わせするのは困難とし得る。従って、図14に示すようないくつかの実施形態では、図13を参照して説明したように、第2のスペーサーは、第2のスペーサーを差動バッファの曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、他の第2のスペーサー、及び/又はエンドキャップと位置合わせするために使用され得るインデキシング平坦部1062を含み得る。
【0091】
[0113] 図15は、図12に示す曲げ可能なプレート910の上面図を示す。図15に示すように、曲げ可能なプレートは、曲げ可能なプレートの周辺に配置された複数の開口(例えば、切り欠き部)を含み、これは、流体通路を提供し且つ図13及び図14を参照して説明した開口とチャンネルを相互接続する。特に、曲げ可能なプレートは、第1のスペーサーの第1のフロー開口を第2のスペーサーの第3の貫通チャンネルに接続するように構成された第1のフロー切り欠き部1100を含む。曲げ可能なプレートはまた、第1のスペーサーの第2のフロー切り欠き部を第2のスペーサーの第4の貫通チャンネルに接続するように構成された第2のフロー切り欠き部1104を含む。曲げ可能なプレートはまた、第1のスペーサーの第1の貫通チャンネルを第2のスペーサーの第3のフロー切り欠き部に接続するように構成された第3のフロー孔1108を含む。曲げ可能なプレートはまた、第1のスペーサーの第2の貫通チャンネルを第2のスペーサーの第4のフロー切り欠き部に接続するように構成された第4のフロー孔1110を含む。このようにして、曲げ可能なプレートは、第1のスペーサーと第2のスペーサーとの間に流体相互接続部を提供する。
【0092】
[0114] 図15に示すように、曲げ可能なプレート910はまた、締め付けボルト又は他の締結具が曲げ可能なプレートを通過することを可能にする貫通孔1106を含む。貫通孔1106は、他の曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、第2のスペーサー、並びに第1及び第2のエンドキャップに形成された孔と位置合わせし得、差動バッファが簡単に積み重ねられて組み立てられ得るようにする。
【0093】
[0115] 図15の実施形態によれば、曲げ可能なプレート910はディスクとして形作られる。曲げ可能なプレートは、図13及び図14の環状スペーサーによって支持されるように構成される。曲げ可能なプレートの中心部分1102は、異なるプレート間フロー室にある曲げ可能なプレートの前後間の圧力差分に応えて変形する、曲がる(flex)、又は撓むように構成される。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、曲げ可能なプレートは、切り欠き部のある又はない、任意の好適な形状を有してもよい。場合によっては、組み立ての最中、円形プレートのスタックを位置合わせするのは困難とし得る。従って、図15に示すようないくつかの実施形態では、図13~14を参照して説明したように、曲げ可能なプレートは、曲げ可能なプレートを差動バッファの他の曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、第2のスペーサー、及び/又はエンドキャップと位置合わせするために使用され得るインデキシング平坦部1112を含み得る。
【0094】
[0116] 図16Aは、差動バッファの第1の内部体積部1150を示す、図11の差動バッファ900の線16A-16Aに沿って取った第1の断面を示す。図16Aに示すように、積み重ねられた曲げ可能なプレート910、第1のスペーサー920、及び第2のスペーサー930は、曲げ可能なプレート間に配置された複数のプレート間室を含む第1の内部体積部を形成する。図16Aに示すように、プレート間室は、第2の内部体積部(図16B参照)に接続されるプレート間室と交互になる。図16Aに示すように、曲げ可能なプレートは、第1のスペーサー920の第1のフロー切り欠き部1000を第2のスペーサー930の第3の貫通チャンネル1058に接続する第1のフロー切り欠き部1100を含む。曲げ可能なプレートはまた、第1のスペーサーの第2のフロー切り欠き部1004を第2のスペーサーの第4の貫通チャンネル1056に接続する第2のフロー切り欠き部1104を含む。従って、第1の内部体積部1150は、積み重ねられた曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、及び第2のスペーサーによって形成される。図16Aに示すように、差動バッファを通過する第1の内部体積部は、第1のポート1160a及び第2のポート1160bで終端し、これらは、それぞれ、流体圧装置及び流体圧アクチュエータのポートに流体圧的に接続され得る。図16Aの実施形態によれば、第1のポート及び第2のポートは、第2のエンドキャップ950に配置される。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、第1のポート及び第2のポートの任意の好適なロケーションが用いられてもよい。
【0095】
[0117] 図16Bは、差動バッファの第2の内部体積部1152を示す、図11の差動バッファ900の線16B-16Bに沿って取った第2の断面を示す。図16Bに示すように、積み重ねられた曲げ可能なプレート910、第1のスペーサー920、及び第2のスペーサー930は、曲げ可能なプレート間に配置された複数のプレート間室を含む第2の内部体積部を形成する。図16Bに示すように、プレート間室は、第1の内部体積部(図16A参照)に接続されるプレート間室と交互になる。図16Bに示すように、曲げ可能なプレートは、第1のスペーサーの第1の貫通チャンネル1008を第2のスペーサーの第3のフロー切り欠き部1050に接続する第3のフロー孔1108を含む。曲げ可能なプレートはまた、第1のスペーサーの第2の貫通チャンネル1010を第2のスペーサーの第4のフロー切り欠き部1054に接続する第4のフロー孔1110を含む。さらに、プレート間室1052を通って第2のスペーサー930の切り欠き部1050に流入する流体は、その後、第1のスペーサー920内の第2の貫通チャンネル1010を通って差動バッファの外側ハウジングに流入する。図16Bに示すように、第1のエンドキャップ940は、第1のエンドキャップ開口944及び第2のエンドキャップ開口946を含み、これらはまた、第2の内部体積部に接続し、及び曲げ可能なエンドプレートと第1のエンドキャップとの間の流体室を提供する。同様に、第2のエンドキャップ950は、第3のエンドキャップ開口954及び第4のエンドキャップ開口956を含み、これらはまた、第2の内部体積部に接続し、及び曲げ可能なエンドプレートと第2のエンドキャップとの間に流体室を提供する。従って、第2の内部体積部1152は、積み重ねられた曲げ可能なプレート、第1のスペーサー、第2のスペーサー、第1のエンドキャップ940、及び第2のエンドキャップ950によって形成される。図16Bに示すように、差動バッファを通過する第2の内部体積部1152は、第3のポート1160c及び第4のポート1160dで終端し、これらは、それぞれ、流体圧装置及び流体圧アクチュエータのポートに流体圧的に接続され得る。
【0096】
[0118] 図16Bに示すように、第1のスペーサー920は、差動バッファのハウジングに開口する第2の貫通チャンネル1010を含む。同様に、第1のエンドキャップは第1のハウジング開口948を含み、及び第2のエンドキャップ950は、差動バッファの外側ハウジングに開口する第2のハウジング開口958を含む。第2の貫通チャンネル1010、第1のハウジング開口948、及び第2のハウジング開口958は、バッファハウジングを、より高いピーク圧力のより動的な可変圧力変動から守るために、流体圧システムのアキュムレータ側からの圧力によって差動バッファを取り囲む(例えば、外側ハウジングの内側に)ために用いられる。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、差動バッファは、取り囲む流体圧力室を含まなくてもよい。
【0097】
[0119] 図17Aは、第1の状態にある、曲げ可能なプレート910、第1のスペーサー920、及び第2のスペーサー930として構成されたダイアフラムの一実施形態の側面の概略図を示す。いくつかの実施形態では、図17Aに示す概略図は、図11~16Bの実施形態のスペーサーと曲げ可能なプレートとの間の係合を表し得る。図17Aに示すように、曲げ可能なプレート910は、第1のスペーサー920及び第2のスペーサー930に当接している。曲げ可能なプレート910は、第1の内部体積部1150と第2の内部体積部1152を分離し、及び曲げ可能なプレートは、第1の内部体積部と第2の内部体積部との間の圧力差に基づいて変形するように構成される。第1及び第2のスペーサーは、曲げ可能なプレートに係合し、及び前述したように、スペーサーと曲げ可能なプレートとの間にシールを形成する。図17Aの実施形態によれば、スペーサー920は、スペーサー920の内側境界を形成する曲線エッジ921を含み得る。曲線エッジは曲げ可能なプレートから離れるように曲線を描いて、曲線エッジが、曲げ可能なプレートが第1のスペーサーの方へ向かって(例えば、曲線エッジ921によって画成された開口中へ)変形するための空間を提供するように構成される。曲線エッジは、曲げ可能なプレートが変形することを可能にする一方で、第1のスペーサーの尖鋭な境界に関連付けられるスペーサー及び/又は曲げ可能なプレート内の応力集中部を回避する及び/又は減らす。第1のスペーサーのように、第2のスペーサー930は、第2のスペーサーの内側境界を形成する曲線エッジ931を含み得る。曲線エッジ931は、曲げ可能なプレート910が第2のスペーサーの方へ向かって変形することを可能にする一方で、第2のスペーサーの尖鋭な境界に関連付けられるスペーサー及び/又は曲げ可能なプレート内の応力集中部を回避する及び/又は減らす。
【0098】
[0120] 図17Bは、第2の状態にある、図17Aのダイアフラム(例えば、曲げ可能なプレート910)及びスペーサー920、930を示す。図17Bに示すように、曲げ可能なプレートは、第1の内部体積部1150と第2の内部体積部1152との間の圧力差分に基づいて、変形される。特に、第1の内部体積部1150の圧力は、第2の内部体積部の圧力よりも大きく、曲げ可能なプレートを、第1の内部体積部から離れるように弾性変形させる。従って、曲げ可能なプレートは、曲線エッジ921によって画成された第1のスペーサー920の開口中へと変形している。図17Bに示すように、曲線エッジは、曲げ可能なプレート910が、第1のスペーサー及び第2のスペーサーによって差動バッファのハウジングに対してゼロ傾斜に保持される曲げ可能なプレートの一部分から、非ゼロ傾斜を有する曲げ可能なプレートの一部分まで移行すること可能にする。いくつかの実施形態では、ゼロ傾斜は、変形されていない状態の曲げ可能なプレートの平面に対して平行であると定義され得、ここでは、実質的にゼロの圧力差分が曲げ可能なプレート又は他のダイアフラムの前後間に加えられる。曲線エッジ921は、尖鋭部(例えば、四角形のエッジ)に関連付けられ得る応力集中部を回避するように、曲げ可能なプレートを支持し得る。曲げ可能なプレートが反対方向に変形するとき(例えば、第2の内部体積部1152の圧力が第1の内部体積部1150の圧力よりも大きいとき)、第2のスペーサー930の曲線エッジは、同様に機能し、及び曲げ可能なプレート内での応力の集中を回避し得る又は減らし得る。当然ながら、本開示はそのように限定されないため、他の実施形態では、スペーサーのためのエッジの任意の好適な形状が用いられてもよい。
【0099】
[0121] 図18は、流体圧回路の動作方法の一実施形態のためのフローチャートである。ブロック1200では、流体は、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に流体接続された第1の流路に受け入れられ、ここで、第1の流路は、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスを有する。ブロック1202では、流体は、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れられ、ここで、第2の流路は、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内の第2のイナータンス及び/又はインピーダンスを有する。いくつかの実施形態では、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2のイナータンス及び/又はインピーダンスと実質的に又は事実上等しいとし得る。いくつかの実施形態では、第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、流体圧回路内の差動バッファと流体圧装置(例えば、ポンプ)との間に延在する追加的な流路を含み得る。同様に、第2のイナータンス及び/又はインピーダンスは、流体圧回路内の差動バッファと流体圧装置(例えば、ポンプ)との間に延在する追加的な流路を含み得る。そのような実施形態によれば、第1の内部体積部を含む流体圧回路の第1の流体圧装置流路の第1のイナータンス及び/又はインピーダンスは、第2の流路を含む流体圧回路の第2の流体圧装置流路の第2のイナータンス及び/又はインピーダンスの50%以内又はそれと等しいとし得る。ブロック1204では、第1の内部体積部と第2の内部体積部を分離するバリアは、中立位置の方へ向かって付勢され得る。ブロック1206では、バリアは、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差に基づいて動かされる。いくつかの実施形態では、バリアを動かすことは、圧力差に基づいて少なくとも1つのシリンダー内で少なくとも1つのピストンを動かすことを含み得る。いくつかの実施形態では、バリアを動かすことは、少なくとも1つのダイアフラムを変形させる(例えば、弾性的に)ことを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力差は、流体圧回路の作動圧力差とし得る。すなわち、第1の圧力差は、圧力変動を含まなくてもよい。ブロック1208では、バリアは、第1の圧力と第2の圧力との間の第2の圧力差に基づいて動かされる。第2の圧力差は、圧力変動によって生じる圧力差とし得る。第2の圧力差に基づくバリアの動きは、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力変動を相殺し得るか又はそうでなければ軽減し得る。
【0100】
[0122] 例示的な図18のフローチャートは例示的な方法の順序を示すが、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、ブロック1200、1202、1204、1206、及び1208のステップは、任意の順序で又は実質的に同時に起こってもよいことに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、流体は、第1の流路及び第2の流路に同時に受け入れられ得る。別の例として、いくつかの実施形態では、流体の流れ及びバリアの動きは、流体の流れの非圧縮性ゆえに、事実上同時に起こってもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第2の圧力差に関連付けられた流れ及び/又は圧力の変動は、流体の流れ及びバリアの動きと事実上同時に起こってもよい。
【0101】
[0123] 図19は、流体圧回路の動作方法の別の実施形態のフローチャートである。ブロック1250では、流体は、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に受け入れられる。ブロック1252では、流体は、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に受け入れられる。ブロック1254では、第1の内部体積部と第2の内部体積部を分離する少なくとも1つのダイアフラムは、第1の圧力と第2の圧力との間の第1の圧力差に基づいて、弾性変形される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのダイアフラムは、複数のダイアフラムとしてもよい。いくつかの実施形態では、複数のダイアフラムは、6~12個のダイアフラムとしてもよい。いくつかの実施形態では、第1の圧力差は、流体圧回路の作動圧力差とし得る。すなわち、第1の圧力差は、圧力変動を含まなくてもよい。ブロック1256では、少なくとも1つのダイアフラムは、第1の圧力と第2の圧力との間の第2の圧力差に基づいて、弾性変形される。第2の圧力差は、圧力変動によって生じた圧力差とし得る。第2の圧力差に基づく少なくとも1つのダイアフラムの変形は、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の圧力変動を軽減し得る。
【0102】
[0124] 例示的な図19のフローチャートは例示的な方法の順序を示すが、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、ブロック1250、1252、1254、及び1256のステップは、任意の順序で又は同時に起こってもよいことに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、流体は、第1の内部体積部及び第2の内部体積部に同時に受け入れられ得る。別の例として、いくつかの実施形態では、流体の流れ及び少なくとも1つのダイアフラムの変形は、流体の流れの非圧縮性ゆえに、事実上同時に起こってもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第2の圧力差に関連付けられた流れ及び/又は圧力の変動は、流体の流れ及び少なくとも1つのダイアフラムの変形と事実上同時に起こってもよい。
【0103】
[0125] 図20は、流体圧回路の動作方法の一実施形態のためのフローチャートである。ブロック1300では、流体は、第1の圧力で、差動バッファの第1の内部体積部に流体接続される第1の流路に受け入れられ、ここで、第1のフローチャンネル内の流体は、第1の相を有する圧力変動を含む。ブロック1302では、流体は、第2の圧力で、差動バッファの第2の内部体積部に流体接続された第2の流路に受け入れられ、ここで、第2の流路内の流体は、第1の相とは異なる第2の相を有する圧力変動を含む。いくつかの実施形態では、圧力変動は、流体圧装置(例えば、ポンプ)によって発生され得る。いくつかの実施形態では、第1の相及び第2の相は、互いに対して逆である。例えば、第2の圧力変動の相は、およそ180度だけシフトされ得るか、又は第1の相に対して、本明細書で説明する他の適切な相対的な相関係にある。この述べられた相関係は、述べた相関係に、360度の任意の倍数の追加を含むことを意図する。ブロック1304では、第1の相と第2の相との間の相関係は、流体圧装置と差動バッファとの間で維持される。例えば、いくつかの実施形態では、図18の例示的な実施形態を参照して説明したように、第1の流路及び第2の流路のイナータンス及び/又はインピーダンスは、互いに50%以内とし得る。この例によれば、相差が維持され得る。他の実施形態では、第1の相と第2の相との間の相差は変更され得るが、第1の相と第2の相との間の相関係は実質的に維持され得る。例えば、第1の相及び/又は第2の相は、第1の相と第2の相との間の相関係を維持しながら、360度の任意の倍数でシフトし得る。
【0104】
[0126] 図20の実施形態によれば、ブロック1306では、第1の内部体積部と第2の内部体積部を分離するバリアは、中立位置の方へ向かって付勢され得る。ブロック1308では、バリアは、第1の圧力と第2の圧力との間の圧力差に基づいて、動かされる。いくつかの実施形態では、バリアを動かすことは、圧力差に基づいて、少なくとも1つのシリンダー内で少なくとも1つのピストンを動かすことを含み得る。いくつかの実施形態では、バリアを動かすことは、少なくとも1つのダイアフラムを変形させる(例えば、弾性的に)ことを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の圧力差は、流体圧回路の作動圧力差とし得る。ブロック1310では、バリアは、第1の圧力変動及び第2の圧力変動に基づいて、動かされる。第1の圧力変動及び第2の圧力変動に基づいてバリアを動かすことによって、第1の相と第2の相との間の相関係ゆえに、第1の内部体積部及び第2の内部体積部内の第1及び第2の圧力変動を相殺し得るか又はそうでなければ軽減し得る。
【0105】
[0127] 例示的な図20のフローチャートは例示的な方法の順序を示すが、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、ブロック1300、1302、1304、1306、1308、及び1310のステップは、任意の順序で又は同時に起こってもよいことに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、流体は、第1の流路及び第2の流路に同時に受け入れられ得る。別の例として、いくつかの実施形態では、流体の流れ及びバリアの動きは、流体の流れの非圧縮性ゆえに、事実上同時に起こってもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第2の圧力差に関連付けられた流れ及び/又は圧力の変動は、流体の流れ及びバリアの動きと事実上同時に起こってもよい。
【0106】
[0128] 図21は、流体圧回路の動作方法の一実施形態のためのフローチャートである。ブロック1350では、流体圧装置は、流体圧装置の第1のポートと第2のポートとの間に作動差圧及び変動差圧を発生させるポンプとして動作され、ここで、変動差圧は、作動差圧に重ね合わせられる。変動差圧は作動差圧を下回り、及び変動差圧と作動差圧の組み合わせは、全差圧に貢献し得る。ブロック1352では、全差圧は、第1のポートに流体接続される第1の流体容積及び第2のポートに流体接続される第2の流体容積にさらされる差動バッファのバリアの前後間に加えられる。図21の実施形態によれば、全差圧は、作動差圧と変動差圧との和以下である。全差圧は、変動差圧と作動差圧との組み合わせによって発生された、差動バッファにおける、組み合わせた圧力波とし得る。全差圧は、差動バッファにおける変動差圧の干渉ゆえに、変動差圧と作動差圧を追加したものとは異なり得る。ブロック1354では、バリアの少なくとも一部分は、流体圧負荷へ伝えられる変動差圧を少なくとも部分的に軽減するために、変位される。従って、差動バッファは、変動する圧力差分がいずれかの流体圧負荷(例えば、流体圧アクチュエータ)に到達する前に、変動する圧力差分を減衰し得る。いくつかの実施形態では、流体圧負荷(例えば、流体圧アクチュエータ)の第1の体積部の方へ向かって流れる、流体圧装置の第1のポートからの流れは、バリアの第1の側にさらされる。同様に、流体圧負荷(例えば、流体圧アクチュエータ)の第2の体積部の方へ向かって流れる、流体圧装置の第2のポートからの流れは、バリアの第2の側にさらされる。少なくとも部分的に逆相を有する第1のポート及び第2のポートからの流れの変動は、流体圧システムの第1の側と第2の側との間の体積変化を引き起こし得、これは、本明細書の例示的な実施形態に従って説明したようなバリアの変位によって適応される。このようにして、流れの変動に関連付けられた圧力変動は、第1の体積部又は第2の体積部を経由して流体圧負荷へ伝えられる前に、減衰される。
【0107】
[0129] 例示的な図21のフローチャートは例示的な方法の順序を示すが、本開示はそのように限定されないため、いくつかの実施形態では、ブロック1350、1352、及び1354のステップは、任意の順序で又は同時に起こってもよいことに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、流体圧装置の動作、全差圧を加えること、及びバリアの少なくとも一部分の変位は、事実上同時に(例えば、同時に)起こってもよい。
【0108】
[0130] 様々な実施形態及び例と併せて本教示を説明したが、本教示をそのような実施形態又は例に限定することを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者に認識されるように、様々な代替例、修正例、及び等価物を含む。従って、上述の説明及び図面は、例にすぎない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】