(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】液相質量分析サンプリングと電気噴霧との組み合わせ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20231003BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20231003BHJP
H01J 49/04 20060101ALI20231003BHJP
H01J 49/16 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
G01N27/62 F
G01N27/62 G
H01J49/04 040
H01J49/04 130
H01J49/16 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515841
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2021116191
(87)【国際公開番号】W WO2022052855
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202010935536.8
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523085175
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼▲聯▼捷生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG LIANJIE BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】R304, Building 1, Guan-Tai Biotechnology Cooperation And Breeding Center, Songshan Lake High-tech Industrial Development Zone Dongguan, Guangdong 523808, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】朱建雄
【テーマコード(参考)】
2G041
2G052
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA05
2G041EA03
2G041GA19
2G041LA08
2G052AA30
2G052AD46
2G052CA04
2G052CA19
2G052CA23
2G052ED04
2G052ED06
2G052FD07
2G052GA24
(57)【要約】
本発明は分析機器分野に適用し、液相質量分析における電気噴霧のためのサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを提供し、プローブ本体と先端部を備え、前記先端部は前記プローブ本体から全部または一部が連続的に収縮してなり、前記先端部に溶液担持構造が設けられる。該多機能プローブを備える液相質量分析サンプリングと電気噴霧の組み合わせ装置をさらに提供し、サンプル注入ロボットアーム、サンプル注入針ホルダ、イオン源封止室をさらに備える。本発明によるイオン源は、サンプリング針でもあるが、サンプリング量が少なく(0.1~10μL程度)と針洗浄が速いという特点を有し、また、従来のサンプル注入方法と比較して、本発明は針ポンプとサンプル注入バルブを省き、安定性と検出の感度を大幅に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相質量分析における電気噴霧のためのサンプリングとサンプル注入用多機能プローブであって、前記多機能プローブはプローブ本体と先端部を備え、前記先端部は前記プローブ本体から全部または一部が連続的に収縮してなり、前記先端部に溶液担持構造が設けられ、該溶液担持構造は1本または複数本の溝であり、前記流路の末端は前記先端部の末端に重なる、サンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項2】
前記1本または複数本の溝の横断面は、略「V」形、「U」形または「Ω」形である、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項3】
前記先端部の外表面及び前記1本または複数本の溝の内表面に50μm以下の非粘着性層が共に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項4】
前記先端部の一部又は全部は導電材料からなり、且つ一部が導電材料である場合に前記先端部の外側に噴霧用電圧に接続される装置が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項5】
前記サンプリングとサンプル注入用多機能プローブは血液サンプルの質量分析に用いられ、前記先端部は斜め切り欠きを有し、且つ内部に極性吸着材が充填される、ことを特徴とする請求項1-4のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項6】
前記極性吸着材は化学修飾により極性が強化された植物繊維であり、表面に極性基が結合されたシリカゲル微粒子、または完全に炭化せずに極性基が結合されたナノ材料またはその組み合わせである、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項7】
液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置であって、請求項1-6のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを備え、イオン源封止室をさらに備え、前記イオン源封止室は質量分析計の入り口に気密的に突き合わせて相対的に固定され、前記イオン源封止室はサンプル注入針ホルダを含み、前記サンプル注入針ホルダに前記多機能プローブの挿入を可能にするための針入れ口が設けられる、液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置。
【請求項8】
前記組み合わせ装置は、自動化操作を実現するように、サンプル注入ロボットアームをさらに備える、ことを特徴とする請求項7に記載の組み合わせ装置。
【請求項9】
前記サンプル注入針ホルダの前記イオン源封止室における位置は、前記プローブホルダーを貫通した前記多機能プローブの針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、且つ前記質量分析計の入り口からの距離が2~20mmとなるように設置される、ことを特徴とする請求項7または8に記載の組み合わせ装置。
【請求項10】
液相質量分析サンプル注入方法であって、請求項1-6のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを利用してサンプリングするステップS1と、
前記サンプリングとサンプル注入用多機能プローブをイオン源封止室に挿入し、針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、高圧電気の作用で噴霧するステップS2と、を含む、液相質量分析サンプル注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析機器分野に関し、具体的にサンプルを直接につけてサンプルを電気噴霧イオン化する多機能プローブ、及び液相質量分析サンプリングと電気噴霧との組み合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液相質量分析装置は現在最も先進的な化学分析機器の一つであり、分析機器の発展の方向を導いている。質量分析システムの最も基本的な機能部材として、イオン源は質量分析計の感度、精度及び適用範囲を大きく左右する。現在、電気噴霧イオン源は液相質量分析で最も広く応用されているイオン源であり、その応用範囲は生体高分子及び無機、有機小分子の分析と検出を包含し、現代の質量分析の新しい時代を開く。
【0003】
従来の電気噴霧イオン源は、針先高電圧放電により毛細管の出口端に流れる溶液を霧化し、これにより、溶液中の溶質のイオン化を実現し、毛細管の出口は針先状でなければならない。現在、より一般的に認められたイオン化メカニズムは、毛細管出口の先端に送液されたサンプル溶液が自然に円錐状の液体コーンを形成し、毛細管の先端に印加された数千ボルトの直流高圧が液体コーンの表面に伝達されて電荷を帯び、高密度の表面電荷によって液玉が破裂して高電荷を帯びた霧玉が形成され、飛び過程において霧玉内の溶媒が持続的に蒸発し、体積が持続的に縮小し、表面電荷密度が持続的に増大し、霧玉表面の電荷密度が表面張力限界(レイリー限界とも呼ばれる)を超えると、クーロン爆発が発生し、より細い霧玉が形成され、この過程は、比較的短い時間で複数回繰り返され、最終的にサンプル内の大きな分子がプロトンを1個以上持ってきたり、プロトンを1個以上脱いで帯電した霧玉から飛んできたりして、単電荷または多電荷のガス状イオンを発生させることである。プロトンの付加は単価または多価のプラスイオンを生成し、脱プロトンは単価または多価のマイナスイオンを生成する。質量分析計の動作原理は、これらのイオンを収集し、質量で分離し、検出することである。
【0004】
現段階では、電気噴霧の溶液導入方法は、主に2種類があり、1つは液体クロマトグラフィーと連結して液体質併用(LC/MS)を形成し、サンプルは比較的大流量(通常約0.1-2.0ミリリットル/分)の移動相で押してカラムを通過し、サンプル中の成分はカラムで分離された後、1本の毛細管によってイオン源に導入され、イオン源の内部の噴霧毛細管と突き合わせ、高電圧と補助噴霧ガスの二重作用で霧化とイオン化を行い、生成したイオンが質量分析計によって収集して分析検出を行い、もう1つはマイクロフローシリンジポンプまたは高電圧自体によってサンプル溶液をイオン源の内部の噴霧針に流して噴霧とイオン化を行うように直接駆動し、この形式は通常標準品質スペクトルに使用され、LC/MSによるサンプル分析を行う前に一般にこのように質量分析計の各種のパラメータを最適化する必要がある。このような微小流量の注射では、流量は通常1-20マイクロリットル/分間であり、一般に補助噴霧ガスを加えることなくサンプル溶液を十分に霧化することができ、イオン化効率はLC/MSより高く、検出感度もその分高いが、信号が不安定であり、定量分析には直接使用できない。この導入方式を採用したのは特殊なイオン源である超微量電気噴霧イオン源(nano-spray)があり、このようなイオン源の噴霧毛細管の内径は一般50ミクロン未満で、流量は約毎分数ナノリットルから数百ナノリットルに上昇し、噴霧用電圧は1~2kVであり、この直流電圧は毛細管内部のサンプル溶液の流れを駆動する役割も果たし、噴霧は質量分析サンプル注入口に数ミリメートル近づいたところで行われ、噴霧効率は極めて高く、溶液中にマトリックスが存在しても霧化効率に大きく影響しない。nano-sprayのイオン化効率が高いが、タンパク質やDNAなどの生体高分子の質量分析にのみ適用されることが多く、それを用いて得られた質量分析信号が不安定であるため、定量分析に使用できない。
【0005】
一般に、電気噴霧イオン源の噴霧量が小さいほど、霧化がより良くなり、イオン化効率も高くなり、そして、霧化が良いほど、マトリックス効果が小さくなるが、噴霧が小さくなると、信号が不安定になり、定量分析に使用できない。その反対、十分に安定した質量分析信号を得るには、噴霧溶液の流量は十分に大きくなければならず、一般に50マイクロリットル/分間を超える必要がある。nano-sprayイオン源の信号が定量分析に十分安定している場合、LC/MS中のLC(液体クロマトグラフィー)は不要になり、LC/MSにおける液体クロマトグラフィーの主な役割は、マトリックス効果を排除すること、即ち、サンプル中の電気噴霧効率に影響を与える可能性があるマトリックスを測定対象物質から分離し、測定対象物をより単純な状態でイオン源に入り、電気噴霧及びイオン化され、クロマトグラフィー分離がなければ、サンプル中のマトリックスが電気噴霧イオン源におけるサンプル溶液の霧化を著しく妨げる可能性があり、測定対象物の質量分析信号が一般に低下ひいては完全に測定されない可能性がある。液体クロマトグラフィーの分離が検出信号の分解能の向上に与える寄与は、LC/MSシステムにおいて実際に完全に無視できるが、さらにローエンドの質量分析計は異なる分子の分解能が最高のクロマトグラフよりも無限に高い。このため、LC/MS中の液体クロマトグラフィーは、マトリックス効果を除去する効果、及び電気噴霧信号を安定させる効果という2つの効果しか持たず、どちらも定量分析に必要な条件である。しかし、質量分析の定量は、液体クロマトグラフィーをフロントエンドとして使用するには支払うコストは、大量の人工と機器時間をかけて方法を開発することであり、分析時間を質量分析スキャンの1秒から数秒まで数分ないし数十分に延ばし、その結果、液体クロマトグラフィーで常に発生する目詰まり、液漏れ、カラム効率の変化、イオン源の汚染等による分析過程の頻繁なエラーにより、LC/MSは分析の分野で最も使用し難い機器になり、液体クロマトグラフィーに接続された電気噴霧により定量分析に利用できる質量分析信号が得られるが、噴霧量が多く、霧化効率が低く、イオン化効率が低く、LC/MSの電気噴霧イオン源はnano-sprayイオン源よりも感度が一般的に100倍以上低い。
【0006】
無論、噴霧効率がnano-sprayに匹敵する安定したイオン源を発明できれば、測定対象サンプル溶液を質量分析計に直接導入して定量することができ、数秒で1つのサンプルを分析することができ、また、機器システムも簡単で安定し、操作が容易で便利になり、マトリックス効果が明らかにならず、感度が桁違いに向上する可能性もある。
【0007】
現在、質量分析の定量分析を微量噴霧で実現する装置が数多く登場しており、代表的的にDART(Direct Analysis at Real Time)イオン源と紙噴霧装置である。DARTは針先放電脱離キャリアガスを用いてプラズマを形成し、プラズマ火炎でサンプル液斑に砲撃することで測定対象物をイオン化でき、DARTの感度は通常の電気噴霧イオン源に匹敵するが、生物切片のようなサンプルを直接定量測定することができ、多くのin-situイオン化質量分析分析装置はDARTと類似し、紙噴霧イオン源は長尺の三角状に切った紙片に溶媒を加えて湿らせ、さらに、微量のサンプル溶液を紙面に滴下し、紙三角の尖った角を質量分析計の入り口に合わせ、紙三角に数千ボルトの直流高圧を印加し、紙面上のサンプルスポットは高電圧で尖った角に向かって移動し、最後に尖った角で噴霧とイオン化され、得られた感度がLC/MSより若干劣るが、液体クロマトグラフィーの使用は省かれ、面倒さは液体クロマトグラフィーよりも大きいかもしれない。上記の2つのイオン化装置には自動化が容易ではないという共通の欠点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施例は、従来の液相質量分析装置信号が不安定し、イオン化効率が低い問題を解決するために、サンプルのつけ、輸送及び液相質量分析における電気噴霧に使用される組み合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例は以下のように実現され、液相質量分析におおける電気噴霧のためのサンプリングとサンプル注入用多機能プローブであって、前記多機能プローブはプローブ本体と先端部を備え、前記先端部は前記プローブ本体から全部または一部が連続的に収縮してなり、前記先端部に溶液担持構造が設けられ、該溶液担持構造は1本または複数本の溶液流路であり、前記流路の末端は前記先端部の末端に重なる。
【0010】
さらに、前記溶液流路は斜めに切り欠かれた毛細管である。
【0011】
さらに、前記1本または複数本の溶液流路は複数本の平行溝であり、前記複数本の平行溝は直線型又は/及び「S」線状溝を含み、前記複数本の平行溝の末端は前記先端部の末端に交差する。
【0012】
さらに、前記1本または複数本の溶液流路は1本または複数本の螺旋状溝であり、前記1本または複数本の螺旋状溝は前記先端部を取り囲んで、先端部の末端まで延びている。
【0013】
さらに、前記1本または複数本の溶液流路の幅は前記プローブ本体の半径以下である。
【0014】
さらに、前記1本または複数本の溶液流路の横断面は、略「V」形、「U」形または「Ω」形である。
【0015】
さらに、前記先端部の外表面及び前記1本または複数本の溶液流路の内表面に50μm以下の非粘着性層が設けられる。
【0016】
さらに、前記先端部の一部又は全部は導電材料からなり、且つ一部が導電材料である場合に前記先端部の外側に噴霧用電圧に接続される装置が設けられる。
【0017】
さらに、前記多機能プローブは血液サンプルの質量分析に用いられ、前記先端部は斜め切り欠きを有し、且つ内部に極性吸着材が充填される。
【0018】
さらに、前記極性吸着材は化学修飾により極性が強化された植物繊維であり、表面に極性基が結合されたシリカゲル微粒子、または完全に炭化せずに極性基が結合されたナノ材料またはその組み合わせである。
【0019】
さらに、前記多機能プローブは1つの先端のみがある。
【0020】
さらに、前記多機能プローブは突き合わせ構造をさらに備え、前記突き合わせ構造は注射針接続スリーブ、磁気棒、磁気吸引棒またはバヨネット付きジョイントを含む。
【0021】
本発明の実施例は液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置をさらに提供し、上記のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを備え、イオン源封止室をさらに備え、前記イオン源封止室は質量分析計の入り口に気密的に突き合わせて相対的に固定され、前記イオン源封止室はサンプル注入針ホルダを含み、前記サンプル注入針ホルダに前記多機能プローブの挿入を可能にするための針入れ口が設けられる。
【0022】
さらに、前記液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置は、サンプル注入ロボットアームをさらに備え、前記サンプル注入ロボットアームは、前記多機能プローブがサンプルの置かれる位置でサンプルをつけてから、プローブホルダーまで移動し、降下してプローブホルダーを通って前記封止室に伸び込んで所定の噴霧位置に到達するように前記多機能プローブを駆動するために使用され、前記サンプル注入ロボットアームは直線移動の組み合わせ、回転移動の組み合わせ、または直線移動と回転移動との組み合わせを有する任意の変位装置であってもよい。
【0023】
さらに、前記サンプル注入針ホルダの前記イオン源封止室における位置は、前記プローブホルダーを貫通した前記多機能プローブの針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、且つ前記質量分析計の入り口からの距離が2~20mmとなるように設置される。
【0024】
さらに、前記サンプル注入針ホルダに前記多機能プローブ上のサンプル溶液に1-7kVの直流高電圧を印加するための高電圧コネクタが設けられる。
【0025】
本発明の実施例は液相質量分析サンプル注入方法をさらに提供し、上記のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを利用してサンプリングするステップS1を含む。
【0026】
さらに、前記方法は、サンプル注入ステップS2をさらに含み、具体的に、前記サンプリングとサンプル注入用多機能プローブをイオン源封止室に挿入し、針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、高圧電気の作用で噴霧する。
【0027】
本発明は以下の利点を有し、(1)噴霧針は多機能プローブであり、サンプリングとサンプル溶液の輸送機能を兼ね、(2)霧化効率が非常に高く、霧玉直径が1μm未満であり、(3)信号が安定し、連続的なサンプル注入によって得られた相対誤差は15%より小さく、質量分析定量要求を満たし、(4)マトリックス効果がまったくなく、メタノールで配置した標準サンプル溶液は、ブランク血液サンプルをタンパク質沈殿させた後に得られるメタノール上清液で配置した同じ濃度の標準溶液と比較して、本発明によるイオン源を同様に導入し、得られた信号強度はほぼ一致し、この結果は、血液サンプル中のマトリックスが質量分析信号に顕著な抑制効果をもたらさないことを示し、(5)本発明によるイオン源は、サンプリング針でもあるが、サンプリング量が少なく(0.1~10μL程度)と針洗浄が速いという特点を有し、また、従来のサンプル注入方法と比較して、本発明は針ポンプとサンプル注入バルブを省き、(6)補助ガスは必要ではなく、(7)感度がLC/MSよりも2~100倍高く、(8)液体クロマトグラフィーを液相質量分析サンプル入力として使用することによる問題を解消し、質量分析を敏感で迅速かつ容易にする。(9)速度が非常に速く、従来のLC/MS分析よりも5~50倍速く、(10)生産コストが非常に低く、LC/MSシステムのコストを20%以上下げることができ、分析の人件費と消耗品コストを80%以上下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例による液相質量分析の直接サンプル注入とイオン化の組み合わせ装置の全体模式図である。
【
図2a】本発明の実施例による針先部分が1つの流路の多機能プローブ模式図である。
【
図2b】本発明の実施例による針先部分が1つの流路の多機能プローブ模式図である。
【
図2c】本発明の実施例による針先部分が1つの流路の多機能プローブ模式図である。
【
図3】本発明の実施例による針の表面に複数本の平行な流路が刻まれた多機能プローブ模式図である。
【
図4】本発明の実施例による針の表面にねじ流路が刻まれた多機能プローブ模式図である。
【
図5】本発明の実施例による毛細管多機能プローブ模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明が解決しようとする技術的問題、技術的解決手段及び有益な効果をより明らかにさせるために、以下、図面及び実施例を組み合わせ、本発明を更に詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するためにのみ使用され、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0030】
図1に示すように、本発明は液相質量分析の直接サンプル注入とイオン化の組み合わせ装置を提供し、サンプル注入ロボットアーム1、サンプル盤2、サンプル注入針ホルダ3、高電圧コネクタ4、サンプリングとサンプル注入用多機能プローブ5、イオン源封止室6及び質量分析計の入り口7を備え、サンプル盤は測定対象サンプルまたは標準サンプルを貯蔵するために使用され、サンプル注入針ホルダ3はサンプル注入ロボットアーム1の末端(移動端)に設けられ、高電圧コネクタ4及びサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ5はサンプル注入針ホルダ3に接続される。イオン源封止室6と質量分析計の入り口7は質量分析計(図示せず)に設けられ、サンプル注入質量分析検出を実現するために、サンプリングとサンプル注入用多機能プローブ5をイオン源封止室6に挿入することができる。具体的な操作過程において、サンプル注入針ホルダ3とイオン源封止室6は質量分析計に対して固定され、サンプル注入ロボットアーム1は多機能プローブ5を駆動して移動させてサンプリングとサンプル注入を完成する。
【0031】
本願における図面に示す割合は単に模式的な作用であり、関連部品の寸法を限定するものではない。
【0032】
本発明の液相質量分析の直接サンプル注入とイオン化の組み合わせ装置は、サンプリングとサンプル注入用多機能プローブを設けることによって、針刺しによるサンプリングとサンプル注入により、サンプリングとサンプル注入の時間が短縮され、操作効率を向上させる。
【0033】
具体的に、
図2a-2c及び
図3-5に示すように、多機能プローブ5はプローブ本体51と先端部52を備え、先端部は前記プローブ本体から全部または一部が連続的に滑らかに収縮してなり、1つの先端のみがあり、サンプル注入に使用される。前記多機能プローブ5は使い捨て針として使用することができ、使用後に廃棄または集中的に再生することができ、これにより、サンプル液の残留を完全に回避し、針洗浄時間を短縮することができる。幾つかの実施例において、該多機能プローブ5は、洗浄後もサンプリング及び供給を継続してもよい。
【0034】
具体的に、前記多機能プローブ5の材質は、強度が高く、化学的安定性に優れ、剛性が高く、脆性が低い金属、セラミック、石英及びガラス等とすることができ、ステンレス鋼、タングステン鋼、高炭素鋼等の高強度合金材料が好ましい。多機能プローブ5は絶縁材料で製造されると、プローブ上の流路内に導電構造を設ける必要があり、また、該導電構造は、噴霧用電圧装置を接続するように、流路の上方のプローブの表面に1つの導電点または導電リングを集め、多機能プローブ5が導電材料で製造されると、上記導電構造を別途設ける必要はない。プローブ本体は中実構造であり、好ましくは柱状構造であり、他の構造と比べて、柱状構造は多機能プローブ5の取付速度を向上させることができる。前記先端部に溶液担持構造が設けられ、サンプリングとサンプル注入時に滴下しないようにサンプルを運ぶことができ、その担持された液体サンプル量は注射式サンプル注入針に対して体積が小さい。具体的に、該溶液担持構造は1本または複数本の溝であり、前記溝の末端が前記先端部の末端に重なる。その流路部分(サンプリング及び電気噴霧用部分)の長さが10~35mmであり、直径φが0.2~3mmであり、好ましくはφが0.4~1.7mmであり、流路部分の長さ、大きさ及び形状は操作または取付の必要に応じて任意に選択可能であり、具体的に、流路の幅は針の半径を超えなく、好ましくは0.1mm~針の半径であり、流路の深さは0.1mmから針体を貫通するまでのものであり、流路は縦方向に直線、曲線または針の回りの螺旋線形状であり、流路の横断面は「V」形、「U」形、「Ω」形または他の任意の他の形状であってもよい。針先の直径が0.5~1.5mmであり、針先の端部から長さ3~3.5mmの範囲内の表面(流路内表面を含む)に50μm以下の非粘着性層を加工し、前記非粘着性層はテフロン(登録商標)であってもよいし、他の材料であってもよく、加工にはプラズマ溶射、電気研磨、メッキ、塗布などの一般的な表面処理プロセスを採用し、針先端部の表面に緻密な金属酸化物、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、またはグラフェンなどの薄層を形成する。また、多機能プローブ5の流路内にはシリカゲル、繊維、活性炭、ベントナイトなどの吸着材、またはこのような材料が化学修飾された高極性フィラーなどが緊密に充填または塗布され、サンプル中の成分を電気噴霧中に分離し、霧化雲に順次に入ってイオン化される目的を達成する。一具体的な実施例において、針先は中空の斜め口であり、斜め口の長さは約1~5mmであり、斜め口以上はプローブ本体であり、最も上端にさらに突き合わせ構造、例えば注射針接続スリーブ(ルアーテーパー)、磁気棒、磁気吸引棒、バヨネット付きジョイントまたは容易に手動又は自動にサンプル注入器のロボットアームによって掴まれまたは突き合わせられる任意の装置が設けられる。
【0035】
図2a-2cには、本発明における多機能プローブの一実施例を示し、該実施例による多機能プローブは金属製の中実針で、針先部分には1つの流路しかなく、多機能プローブの先端部の中心に位置する。針先は斜め切り欠きであり、実験室用のスプーンのような形状であり、流路の横断面は「Ω」形であり、長さが3~10mmである。針の総長さは50~150mmであり、針先端から25~50mmの部分はサンプル注入及び噴霧部分であり、直径が0.4~1mmであり、プローブ本体部分の直径は1.5~3mmである。針先上の流路の大きさ、多機能プローブが毎回につけるサンプル溶液の量は5μL以下であり、好ましくは0.5~2μLである。
【0036】
図3には、本発明における多機能プローブの他の実施例を示し、該実施例による多機能プローブは表面に複数本の平行な流路が刻まれた中実の金属針であり、流路は多機能プローブの先端部の周囲部分に位置する。プローブ本体の直径は0.3~2mmであり、針全体の長さが30~35mmであり、先端の収縮部の長さが3-10mmであり、流路は直線または「S」線で針先に集め、流路の長さが3~20mmであり、深さが0.1~1mmであり、流路の数が限られなく、多機能プローブの先端部の表面をいっぱいに刻むことができる。
【0037】
図4には、本発明における多機能プローブの他の実施例を示し、該実施例による多機能プローブは表面にねじ流路が刻まれた金属針であり、流路は多機能プローブの先端部の周囲部分に位置する。プローブ本体の直径は0.3~2mmであり、針全体の長さが30~35mmであり、先端の収縮部の長さが3-10mmであり、ねじ流路は1本または複数本であってもよく、流路は針先以上の3~20mmから多機能プローブの先端部を針先まで螺旋状に取り囲み、最も浅い深さが0.1mmであり、最も深い深さは針を貫通するものである。
【0038】
図5には、本発明における多機能プローブの他の実施例を示し、該実施例による多機能プローブは血液サンプルの直接質量分析に用いられ、血液サンプル濃度を測定する際に、針先端の一部を斜め口に切り取った毛細管多機能プローブを使用し、毛細管内(斜め口部分を含む)に極性の強い吸着材、例えば化学修飾された後に極性が強化された植物繊維、表面に極性基が結合されたシリカゲル微粒子、完全に炭化せずに極性基が結合されたナノ材料などが充填され、これらの材料は血液サンプル中の極性の大きい、または水溶性の良い原生物質に対して非常に強い吸着効果を有し、ほとんどの薬物分子に対する吸着は微弱である。多機能プローブを血液サンプルをつけた後、サンプル中の原生物質がフィラーに吸着され、噴霧の過程で、強く吸着された血液サンプル中の原生物質は血液サンプル中の液体とともに多機能プローブの針先に噴霧されないため、マトリックス効果が生じない。本実施例における血液サンプルにすべて抗凝固剤が添加されているので、粘稠過ぎる血液サンプルは水で1~3倍に希釈する必要があるが、メタノール、アセトニトリル、過塩素酸等の蛋白沈殿剤で血液サンプルを処理し、上清液を取って分析してもよい。フィラーの脱落を防止するため、充填時にフィラーに0.1%~3%のバインダーを混入する必要があり、用いられるバインダーは乾燥後、水、メタノール、アセトニトリル等のサンプルを溶解するためによく使用される溶媒に不溶でなければならない。
【0039】
上記多機能プローブ5はサンプル注入ロボットアーム1の末端部位(自由移動端)に取り付けられる。
図1に示すように、サンプル注入ロボットアーム1はスプライン軸で摺動し、多機能プローブ5を駆動してサンプル注入とサンプリングを行う。多機能プローブ5は、サンプル注入ロボットアーム1によって駆動されて、移動範囲はサンプル注入器内のサンプル盤2上の全てのサンプル及び質量分析計イオン源上のサンプル注入針ホルダ3をカバーし、サンプリングとサンプル注入の自動化操作を実現する。サンプル注入針ホルダ3の頂端は針が入るように漏斗状の針入れ口であり、中心に多機能プローブ5が貫通し、出入り自在にする穴を有し、サンプル注入針ホルダ3はイオン源封止室6のハウジングに固定され、具体的な固定方式は前記プローブホルダーを貫通した前記多機能プローブ5の針先が質量分析計の入り口7に位置合わせているのが可能であることを確保する必要があり、且つ質量分析計の入り口7からの距離が2~20mmであり、好ましくは質量分析計の入り口7の中心線との角度は0~90度の間である。
【0040】
具体的な実施例において、自動サンプル注入器は質量分析計と組み合わせ、質量分析計との相対位置が固定されている。
【0041】
具体的に、イオン源封止室6は質量分析計の入り口7に気密的に突き合わせて相対的に固定され、外部環境と遮断され、内部は質量分析計の入り口7を介して質量分析計の内部と真空連通している。イオン源封止室6の内部の容積は、多機能プローブ5が噴霧することで形成された楕円球形の霧化雲を少なくとも収納することができ、長軸が5~30mmで、短軸が5~20mmである。サンプル注入針ホルダ3は、針入れ口の内側に設けられる高電圧コネクタ4をさらに備え、多機能プローブ5上のサンプル溶液に1~7kVの直流高電圧を印加するために使用される。高電圧コネクタ4は、多機能プローブ5上の導電部位に安定して接触できる任意の導電コネクタであってもよく、弾性を有する接触子、穴があいており、穴の内径が多機能プローブ5の導電部位の外径と一致している金属片、内輪に導電性接触子がついている導電リングなどであり、高圧輸送リード線の一端は高電圧コネクタ4に接続され、他端は質量分析計の噴霧用電圧給電器に接続される。安全のため、前記高圧接続構造4の露出部分は絶縁体で包まれているか、人の手が届かない構造に隠されている。
【0042】
本願の実施例は、液相質量分析のサンプル注入とイオン化の統合されたシステムを提供し、上記の液相質量分析の直接サンプル注入とイオン化の組み合わせ装置を備える。
【0043】
本発明の実施例による液相質量分析のサンプル注入とイオン化の統合されたシステムが作動する場合に、サンプル注入ロボットアーム1は多機能プローブ5をサンプル盤2の指定されたサンプルボトルに移動し、針上の流路がサンプル溶液の液面以下に入るまで、下に動いてサンプルボトルの頂部のシールガスケットを刺し、1~2秒滞在し、溶液が針先上の流路に充填され、次に、上昇して針を抜き、サンプルボトルから針を抜くときに、サンプルボトルのシールガスケットは針の表面の溶液を消すだけで、流路内の溶液に影響を与えなく、また、流路の毛細効果により、流路内のサンプル溶液は移動中にほとんど動かなく、滴下しない。サンプル溶液をつけた後、サンプル注入ロボットアーム1は多機能プローブ5を質量分析計の入り口に移り、このとき、多機能プローブ5は電気噴霧針として機能し、針先は質量分析計の入り口7に位置合わせ、入口から2~20mm離れ、入口の中心軸線との角度は0~90度であり、1~7kVの直流高圧電源を投入し、運んだサンプル溶液を針先で噴霧とイオン化させる。質量分析計の入り口のイオン収集電位及び質量分析計内部の真空吸引力により封止室内の霧化雲が全部質量分析計の内部に入り、これにより、100%収集が実現される。
【0044】
本発明の実施例は、液相質量分析のサンプル注入とイオン化の一体操作方法をさらに提供し、上記システムにより実行される。
【0045】
本発明の液相質量分析のサンプル注入とイオン化の一体システムは以下の利点を有し、(1)噴霧針は多機能プローブであり、サンプリングとサンプル溶液の輸送機能を兼ねる。(2)霧化効率が非常に高く、霧玉直径が1μm未満である。(3)信号が安定し、連続的なサンプル注入によって得られた相対誤差は15%より小さく、質量分析定量要求を満たす。(4)マトリックス効果がまったくなく、メタノールで配置した標準サンプル溶液は、ブランク血液サンプルをタンパク質沈殿させた後に得られるメタノール上清液で配置的した同じ濃度の標準溶液と比較して、本発明によるイオン源を同様に導入し、得られた信号強度はほぼ一致し、この結果は、血液サンプル中のマトリックスが質量分析信号に顕著な抑制効果をもたらさないことを示す。(5)本発明によるイオン源は、サンプリング針でもあるが、サンプリング量が少なく(0.1~10μL程度)と針洗浄が速いという特点を有し、また、従来のサンプル注入方法と比較して、本発明は針ポンプとサンプル注入バルブを省き、装置の構造を比較的簡潔にする。(6)任意の補助ガスは必要ではない。(7)感度がLC/MSよりも2~100倍高い。(8)液体クロマトグラフィーを液相質量分析サンプル入力として使用することによる問題を解消し、質量分析を敏感で迅速かつ容易にする。(9)速度が非常に速く、従来のLC/MS分析よりも5~50倍速い。(10)生産コストが非常に低く、LC/MSシステムのコストを20%以上下げることができ、分析の人件費と消耗品コストを80%以上下げることができる。
【0046】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の原則内で行った任意の修正、等価置換及び改善等は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相質量分析における電気噴霧
定量測定のためのサンプリングとサンプル注入用多機能プローブであって、前記多機能プローブはプローブ本体と先端部を備え、前記先端部は前記プローブ本体から全部または一部が連続的に収縮してなり、前記先端部に溶液担持構造が設けられ、該溶液担持構造は1本または複数本の溝であり、前記
溝の末端は前記先端部の末端に重な
り、
前記多機能プローブが毎回につけるサンプル溶液の量は0.5~5μLであり、前記溝の深さは0.1mmから前記多機能プローブを貫通するまでのものである、サンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項2】
前記1本または複数本の溝の横断面は、略「V」形、「U」形または「Ω」形である、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項3】
前記先端部の外表面及び前記1本または複数本の溝の内表面に50μm以下の非粘着性層が共に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項4】
前記先端部の一部又は全部は導電材料からなり、且つ一部が導電材料である場合に前記先端部の外側に噴霧用電圧に接続される装置が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項5】
前記サンプリングとサンプル注入用多機能プローブは血液サンプルの質量分析に用いられ、前記先端部は斜め切り欠きを有し、且つ内部に極性吸着材が充填される、ことを特徴とする請求項1-4のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項6】
前記極性吸着材は化学修飾により極性が強化された植物繊維であり、表面に極性基が結合されたシリカゲル微粒子、または完全に炭化せずに極性基が結合されたナノ材料またはその組み合わせである、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブ。
【請求項7】
液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置であって、請求項1-6のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを備え、イオン源封止室をさらに備え、
前記イオン源封止室の内部の容積は、多機能プローブが前記内部に噴霧することで形成された楕円球形の霧化雲を少なくとも収納することができ、前記イオン源封止室は質量分析計の入り口に気密的に突き合わせて相対的に固定され、前記イオン源封止室はサンプル注入針ホルダを含み、前記サンプル注入針ホルダに前記多機能プローブの挿入を可能にするための針入れ口が設けられ
、前記サンプル注入針ホルダは、針入れ口の内側に設けられる高電圧コネクタをさらに備え、前記組み合わせ装置は、自動化操作を実現するように、サンプル注入ロボットアームをさらに備える、液相質量分析のサンプリング及び電気噴霧用組み合わせ装置。
【請求項8】
前記サンプル注入針ホルダの前記イオン源封止室における位置は、前記プローブホルダーを貫通した前記多機能プローブの針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、且つ前記質量分析計の入り口からの距離が2~20mmとなるように設置される、ことを特徴とする請求項
7に記載の組み合わせ装置。
【請求項9】
液相質量分析サンプル注入方法であって、請求項1-6のいずれかに記載のサンプリングとサンプル注入用多機能プローブを利用してサンプリングするステップS1と、
前記サンプリングとサンプル注入用多機能プローブをイオン源封止室に挿入し、針先が質量分析計の入り口に位置合わせていて、高圧電気の作用で噴霧するステップS2と、を含む、液相質量分析サンプル注入方法。
【国際調査報告】