IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローカス ロボティクス コーポレイションの特許一覧

特表2023-542647ロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231003BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06Q10/087
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516157
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021049236
(87)【国際公開番号】W WO2022055849
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】17/017,833
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】519067275
【氏名又は名称】ローカス ロボティクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャケ、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、マイケル チャールズ
【テーマコード(参考)】
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522CC05
3F522DD02
3F522DD22
3F522DD32
3F522GG23
3F522LL57
5L049AA16
(57)【要約】
誘導空間における、事前仕分け及びロボット支援収納タスクを実行するシステム及び方法は、複数の物品保管器アレイのそれぞれを、誘導空間内に画定した複数の区域のうちの1つに割り当てるステップと、倉庫全体にわたる場所に保管されるべき、複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンするステップと、少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品に対応する識別情報を受信するステップに応答して、少なくとも1つのスキャンした物品のそれぞれを倉庫内に収納するための、保管場所を表す物品データを取得するステップと、保管場所から、保管場所が位置する、倉庫の複数の区域のうちの対応する区域を判断するステップと、スキャンした、仕分けされていない各物品を、複数の区域のうちの対応する区域に割り当てられた、物品保管器アレイのうちの1つの相互連結されたコンテナに入れるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導空間における、事前仕分け及びロボット支援収納タスクの実行方法であって、前記方法が、
複数の物品保管器アレイのそれぞれを、前記誘導空間内に画定した複数の区域のうちの1つに割り当てるステップであり、各物品保管器アレイが、複数の相互連結されたコンテナを備え、前記相互連結されたコンテナのそれぞれが、収納タスクに関連する物品を保管するためのものである、割り当てるステップと、
走査デバイスによって、倉庫全体にわたる場所に保管されるべき、複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンするステップと、
集中型サーバによって、前記少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品に対応する識別情報を受信するステップに応答して、前記少なくとも1つのスキャンした物品のそれぞれを前記倉庫内に収納するための、保管場所を表す物品データを取得するステップと、
前記保管場所から、前記保管場所が位置する、前記倉庫の前記複数の区域のうちの対応する区域を判断するステップと、
スキャンした、仕分けされていない各物品を、前記複数の区域のうちの前記対応する区域に割り当てられた、前記物品保管器アレイのうちの1つの相互連結されたコンテナに入れるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記スキャンした、仕分けされていない物品が入れられた、前記物品保管器アレイをロボットに導入するステップと、
前記導入した物品保管器アレイの前記複数の相互連結されたコンテナのそれぞれに関連する収納タスクの割当てを、前記集中型サーバから少なくとも1台のロボットへ送信するステップと、
前記ロボットのプロセッサによって、前記ロボットでの前記収納タスクの割当ての受信に応答して、前記収納タスクの割当てを実行するために、前記倉庫全体にわたる場所に前記ロボットを誘導するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、前記複数の区域のうちの前記対応する区域の識別表示を表示するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各物品保管器アレイが、前記個々のコンテナではなく前記物品保管器アレイ自体に関連する、アレイ識別子を備え、且つ
各物品保管器アレイが、前記物品保管器アレイの前記個々のコンテナのそれぞれに関連するコンテナ識別子を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記割り当てるステップが、
前記走査デバイスによって、前記物品保管アレイの前記アレイ識別子をスキャンするステップと、
前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のユーザ・インタフェースでのユーザ入力に応答して、前記物品保管器アレイを前記複数の区域のうちの1つに割り当てるステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記割り当てるステップが、
前記集中型サーバで、前記少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品のうちの最初の物品が入れられる、前記物品保管器アレイの前記アレイ識別子を、前記複数の区域のうちの前記対応する区域と関連付けるステップ
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記走査デバイスによって、保管されるべき追加の仕分けされていない物品の物品識別子をスキャンするステップと、
前記集中型サーバによって、前記追加のスキャンした、仕分けされていない物品に対応する、識別情報を受信するステップに応答して、前記追加のスキャンした物品を前記倉庫内に収納するための、追加の保管場所を表す追加の物品データを取得するステップと、
前記追加のスキャンした物品の前記追加の保管場所から、前記追加のスキャンした物品が、同じ対応区域に対応することを判断するステップと、
前記追加のスキャンした、仕分けされていない物品を、前記同じ対応する区域に割り当てられた前記物品保管器アレイの前記相互連結されたコンテナのうちの、空のコンテナに入れるステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、前記物品保管器アレイの前記相互連結されたコンテナのうちの、前記空のコンテナの識別表示を表示するステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物品保管器アレイが、前記ロボットに固定されたアーマチュアに装着され、前記物品保管器アレイが、前記ロボットの表面の上方に位置する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記誘導するステップが、前記ロボットによって、前記導入された物品保管器アレイの前記相互連結されたコンテナのうちの、どれが各収納タスクの割当ての実行に関連しているかを作業者に知らせるために、コンテナ識別番号及びコンテナの色のうちの少なくとも一方を表示するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
誘導空間内でロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステムであって、前記システムが、
それぞれが複数の相互連結されたコンテナを備える、複数の物品保管器アレイであり、前記相互連結されたコンテナのそれぞれが、収納タスクに関連する物品を保管するためのものである、物品保管器アレイと、
複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンするよう構成された、少なくとも1つの走査デバイスであり、前記物品識別子が、集中型サーバに記憶された物品データに関連付けられ、前記物品データが、倉庫内で収納するための保管場所を表す、走査デバイスと、
命令を記憶するメモリを備える、前記集中型サーバと
を具備し、前記命令が、プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記複数の物品保管器アレイのそれぞれを、前記誘導空間内に画定した複数の区域のうちの1つに割り当てさせ、
前記倉庫全体にわたる場所に保管されるべき、前記複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンさせ、
前記少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品に対応する識別情報を受信することに応答して、前記物品データを取得させ、
前記保管場所から、前記保管場所が位置する、前記倉庫の前記複数の区域のうちの対応する区域を判断させ、
スキャンした、仕分けされていない各物品を、前記複数の区域のうちの前記対応する区域に割り当てられた、前記物品保管器アレイのうちの1つの相互連結されたコンテナに関連付けさせる、
システム。
【請求項12】
少なくとも1台のロボットをさらに備え、前記ロボットが、
前記スキャンした、仕分けされていない物品が入れられた、前記物品保管器アレイを導入するための移動式基部と、
前記ロボットで、前記物品保管器アレイの前記複数のコンテナのそれぞれに関連する、前記集中型サーバからの収納タスクの割当てを受信するためのトランシーバと、
前記トランシーバによる前記収納タスクの割当ての受信に応答して、前記物品保管器アレイの前記複数のコンテナのそれぞれに関連する前記収納タスクの割当てを実行するために、前記倉庫全体にわたる場所に前記ロボットを誘導するよう構成されたプロセッサと
を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の区域のうちの前記対応する区域、又は前記関連する相互連結されたコンテナの少なくとも一方の、識別表示を表示するよう構成された、前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のディスプレイをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
各物品保管器アレイが、
前記個々のコンテナではなく前記物品保管器アレイ自体に関連する、アレイ識別子と、
前記物品保管器アレイの前記個々のコンテナのそれぞれに関連する、コンテナ識別子と
を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記物品保管アレイの前記アレイ識別子をスキャンさせ、且つ
前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のユーザ・インタフェースでのユーザ入力に応答して、前記物品保管器アレイを前記複数の区域のうちの1つに割り当てさせる
命令も記憶する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記集中型サーバで、前記少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品のうちの最初の物品が入れられる、前記物品保管器アレイの前記アレイ識別子を、前記複数の区域のうちの前記対応する区域と関連付けさせる
命令も記憶する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
保管されるべき追加の仕分けされていない物品の、物品識別子をスキャンさせ、
前記追加のスキャンした、仕分けされていない物品に対応する、識別情報を受信することに応答して、前記追加のスキャンした物品を前記倉庫内に収納するための、追加の保管場所を表す追加の物品データを取得させ、
前記追加のスキャンした物品の前記追加の保管場所から、前記追加のスキャンした物品が、同じ対応区域に対応することを判断させ、
前記追加のスキャンした、仕分けされていない物品を、前記同じ対応する区域に割り当てられた前記物品保管器アレイの前記相互連結されたコンテナのうちの、空のコンテナに関連付けさせる
命令も記憶する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、前記物品保管器アレイの前記相互連結されたコンテナのうちの、前記関連する空のコンテナの識別表示を表示させる
命令も記憶する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記物品保管器アレイが、前記ロボットに固定されたアーマチュアに装着され、前記物品保管器アレイが、前記ロボットの表面の上方に位置する、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記物品保管器アレイが、前記少なくとも1台のロボットの表面の上に配設される、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年9月11日に出願された米国特許出願第17/017,833号の優先権の利益を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
この発明は、ロボット支援収納タスクに関し、より詳細には、ロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットで製品を注文して宅配してもらうのは、非常に人気のあるショッピング手法である。かかる注文を適時正確且つ効率的なやり方で履行することは、控え目に言っても、物流上困難である。仮想ショッピング・カートの「チェック・アウト」釦をクリックすると、「注文」が作成される。注文には、特定の住所に出荷されるべき物品のリストが含まれる。「履行」のプロセスには、こうした物品を大規模倉庫から物理的に取り出すこと、すなわち「ピッキング」、物品を梱包すること、及び指定された住所に物品を出荷することが含まれる。したがって、注文履行プロセスの重要な目標は、できるだけ多くの物品をできるだけ短時間で出荷することである。
【0004】
注文履行プロセスは通常、注文に列挙されたものを含む、多くの製品を収納する大規模倉庫で行われる。したがって、注文履行のタスクの中に、注文に列挙されている様々な物品を見つけて収集するために、倉庫を移動するタスクがある。加えて、最終的に出荷されることになる製品は、まず倉庫で受け取り、倉庫全体にわたって整然としたやり方で保管箱に保管又は「配置」する必要があり、それにより製品は、出荷のために簡単に取り出すことができる。
【0005】
大規模倉庫では、配送され、注文されている商品が、互いに非常に離れて倉庫に保管され、他の多数の商品の間に分散される場合がある。人間の作業者しか使わずに商品の配置(「収納」)及びピッキングを行う注文履行プロセスの場合、作業者は、長時間歩く必要があり、非効率的で時間がかかる可能性がある。履行プロセスの効率は、単位時間当たりに出荷される物品の数の関数なので、時間の増加が効率を低下させる。
【0006】
効率及び生産性を高めるために、ロボット支援注文履行システムが使用されている。いくつかのシステムでは、ロボットの基部が複数の注文を実行するために、複数の個々の入れ物が、移動式ロボットの基部上に配置されている。かかるシステムは、米国特許出願公開第2015/0073589号で説明されている。しかし、このシステムは非効率であり、かかるロボット支援注文履行システムの効率及びスループットをさらに高めるために、諸改善が必要である。
【0007】
かかる非効率の1つは、仕分けされていない物品の収納に関連するものである。たとえば、オンラインの注文が倉庫に返品されるときに、大量の混在する仕分けされていない物品が、後で収納するために受取りドックに積み上げられる可能性がある。従来の収納方法では、概して、仕分けされていない物品を先着順で収納する必要があり、カート又はトートには、単に地理的に無関係な一連の物品が積載され、次いで人間のピッキング担当者が、収納タスクを実行するために、非常に混乱した非効率的な移動経路選定に従って送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0073589号
【特許文献2】米国特許出願第15/807,672号
【特許文献3】米国特許出願第15/254,321号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、ロボット支援収納タスクを実行するために、事前仕分けするシステム及び方法が提供される。
【0010】
一態様では、誘導空間での、事前仕分け及びロボット支援収納タスクの実行方法が提供される。この方法は、複数の物品保管器アレイ(storage array)のそれぞれを、誘導空間内に画定した複数の区域のうちの1つに割り当てるステップを含み、各物品保管器アレイが、複数の相互連結されたコンテナを備え、相互連結されたコンテナのそれぞれは、収納タスクに関連する物品を保管するためのものである。この方法は、走査デバイスによって、倉庫全体にわたる場所に保管されるべき、複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンするステップも含む。この方法は、集中型サーバによって、少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品に対応する識別情報を受信するステップに応答して、少なくとも1つのスキャンした物品のそれぞれを倉庫内に収納するための、保管場所を表す物品データを取得するステップも含む。この方法は、保管場所から、保管場所が位置する、倉庫の複数の区域のうちの対応する区域を判断するステップも含む。この方法は、スキャンした、仕分けされていない各物品を、複数の区域のうちの対応する区域に割り当てられた、物品保管器アレイのうちの1つの相互連結されたコンテナに入れるステップも含む。
【0011】
いくつかの実施例では、この方法は、スキャンした、仕分けされていない物品が入れられた、物品保管器アレイをロボットに導入するステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、導入した物品保管器アレイの複数の相互連結されたコンテナのそれぞれに関連する収納タスクの割当てを、集中型サーバから少なくとも1台のロボットへ送信するステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、ロボットのプロセッサによって、ロボットでの収納タスクの割当ての受信に応答して、収納タスクの割当てを実行するために、倉庫全体にわたる場所にロボットを誘導するステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、複数の区域のうちの対応する区域の識別表示を表示するステップも含む。
【0012】
いくつかの実施例では、各物品保管器アレイは、個々のコンテナではなく物品保管器アレイ自体に関連する、アレイ識別子を備える。いくつかの実施例では、各物品保管器アレイは、物品保管器アレイの個々のコンテナのそれぞれに関連するコンテナ識別子を備える。いくつかの実施例では、この方法は、走査デバイスによって、物品保管器アレイのアレイ識別子をスキャンするステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のユーザ・インタフェースでのユーザ入力に応答して、物品保管器アレイを複数の区域のうちの1つに割り当てるステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、集中型サーバで、少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品のうちの最初の物品が入れられる、物品保管器アレイのアレイ識別子を、複数の区域のうちの対応する区域と関連付けるステップも含む。
【0013】
いくつかの実施例では、この方法は、走査デバイスによって、保管されるべき追加の仕分けされていない物品の物品識別子をスキャンするステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、集中型サーバによって、追加のスキャンした、仕分けされていない物品に対応する、識別情報を受信するステップに応答して、追加のスキャンした物品を倉庫内に収納するための、追加の保管場所を表す追加の物品データを取得するステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、追加のスキャンした物品の追加の保管場所から、追加のスキャンした物品が、同じ対応区域に対応することを判断するステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、追加のスキャンした、仕分けされていない物品を、同じ対応区域に割り当てられた物品保管器アレイの相互連結されたコンテナのうちの、空のコンテナに入れるステップも含む。いくつかの実施例では、この方法は、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、物品保管器アレイの相互連結されたコンテナのうちの、空のコンテナの識別表示を表示するステップも含む。いくつかの実施例では、物品保管器アレイが、ロボットに固定されたアーマチュアに装着され、物品保管器アレイは、ロボットの表面の上方に位置する。いくつかの実施例では、誘導するステップが、ロボットによって、導入された物品保管器アレイの相互連結されたコンテナのうちの、どれが各収納タスクの割当ての実行に関連しているかを作業者に知らせるために、コンテナ識別番号及びコンテナの色のうちの少なくとも一方を表示するステップを含む。
【0014】
別の態様では、誘導空間内でロボット支援収納タスクを実行するための、事前仕分けシステムが提供される。事前仕分けシステムは、それぞれが複数の相互連結されたコンテナを備える、複数の物品保管器アレイを具備し、相互連結されたコンテナのそれぞれは、収納タスクに関連する物品を保管するためのものである。事前仕分けシステムは、複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンするよう構成された、少なくとも1つの走査デバイスも備え、物品識別子は、集中型サーバに記憶された物品データに関連付けられ、物品データは、倉庫内で収納するための保管場所を表す。事前仕分けシステムは、命令を記憶するメモリを備える、集中型サーバも具備する。命令は、プロセッサによって実行されると、システムに、複数の物品保管器アレイのそれぞれを、誘導空間内に画定した複数の区域のうちの1つに割り当てさせる。命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、倉庫全体にわたる場所に保管されるべき、複数の仕分けされていない物品のうちの少なくとも1つの物品識別子をスキャンさせる。命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品に対応する識別情報を受信することに応答して、物品データを取得させる。命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、保管場所から、保管場所が位置する、倉庫の複数の区域のうちの対応する区域を判断させる。命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、スキャンした、仕分けされていない各物品を、複数の区域のうちの対応する区域に割り当てられた、物品保管器アレイのうちの1つの相互連結されたコンテナに関連付けさせる。
【0015】
いくつかの実施例では、事前仕分けシステムは、少なくとも1台のロボットも備える。いくつかの実施例では、ロボットは、スキャンした、仕分けされていない物品が入れられた、物品保管器アレイを導入するための移動式基部を備える。いくつかの実施例では、ロボットは、物品保管器アレイの複数のコンテナのそれぞれに関連する、集中型サーバからの収納タスクの割当てをロボットで受信するための、トランシーバを備える。いくつかの実施例では、ロボットは、トランシーバによる収納タスクの割当ての受信に応答して、物品保管器アレイの複数のコンテナのそれぞれに関連する収納タスクの割当てを実行するために、倉庫全体にわたる場所にロボットを誘導するよう構成されたプロセッサを備える。いくつかの実施例では、事前仕分けシステムは、複数の区域のうちの対応する区域又は関連する相互連結されたコンテナの少なくとも一方の、識別表示を表示するよう構成された、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のディスプレイも備える。いくつかの実施例では、各物品保管器アレイは、個々のコンテナではなく物品保管器アレイ自体に関連する、アレイ識別子を備える。いくつかの実施例では、各物品保管器アレイは、物品保管器アレイの個々のコンテナのそれぞれに関連するコンテナ識別子を備える。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、物品保管器アレイのアレイ識別子をスキャンさせる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方のユーザ・インタフェースでのユーザ入力に応答して、物品保管器アレイを複数の区域のうちの1つに割り当てさせる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、集中型サーバで、少なくとも1つのスキャンした、仕分けされていない物品のうちの最初の物品が入れられる、物品保管器アレイのアレイ識別子を、複数の区域のうちの対応する区域と関連付けさせる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、保管されるべき追加の仕分けされていない物品の、物品識別子をスキャンさせる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、追加のスキャンした、仕分けされていない物品に対応する、識別情報を受信することに応答して、追加のスキャンした物品を倉庫内に収納するための、追加の保管場所を表す追加の物品データを取得させる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、追加のスキャンした物品の追加の保管場所から、追加のスキャンした物品が、同じ対応区域に対応することを判断させる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、追加のスキャンした、仕分けされていない物品を、同じ対応する区域に割り当てられた物品保管器アレイの相互連結されたコンテナのうちの空のコンテナへ入れるように、ユーザへの指示を表示させる。いくつかの実施例では、命令はまた、プロセッサによって実行されると、システムに、走査デバイス又はコンピュータ処理デバイスの少なくとも一方で、物品保管器アレイの相互連結されたコンテナのうちの、関連する空のコンテナの識別表示を表示させる。いくつかの実施例では、物品保管器アレイが、ロボットに固定されたアーマチュアに装着され、物品保管器アレイは、ロボットの表面の上方に位置する。いくつかの実施例では、物品保管器アレイは、少なくとも1台のロボットの表面の上に配設される。
【0016】
本発明のこうした特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】注文履行倉庫の上面図である。
図2A図1に示す倉庫内で使用されるロボットのうちの1台の、基部の正面図である。
図2B図1に示す倉庫内で使用されるロボットのうちの1台の、基部の斜視図である。
図3】アーマチュアを装備し、図1に示す棚の前に停車した図2A及び図2Bのロボットの斜視図である。
図4】ロボットのレーザ・レーダを使用して作成された、図1の倉庫の部分的マップの図である。
図5】倉庫全体にわたって分散された基準マーカの場所を突き止めて、基準マーカのポーズを記憶するプロセスを示す流れ図である。
図6】基準識別表示をポーズにマッピングした表である。
図7】箱の場所を基準識別表示にマッピングした表である。
図8】製品のSKUをポーズにマッピングするプロセスを示す流れ図である。
図9】様々な実施例による、荷揃えエリア(staging area)及び複数の収納区域を備える、注文履行倉庫の上面図である。
図10A】本発明による、アーマチュア及び保管器アレイを装備したロボットの斜視図である。
図10B】本発明による保管器アレイの別の実施例の斜視図である。
図11】棚の前で停車した図10Aのロボット及び保管アレイの斜視図である。
図12】本発明による、保管器アレイを運ぶロボットのための、ロボット導入プロセスを示す流れ図である。
図13】この発明に従って使用される保管器アレイの、特性に関するデータの表である。
図14図10A及び図11に示されたロボットのタブレットの、ディスプレイの図である。
図15A】様々な実施例による、荷揃えエリアの斜視図である。
図15B】様々な実施例による、4つのコンテナの保管器アレイの斜視図である。
図15C】様々な実施例による、2つのコンテナの保管器アレイの斜視図である。
図16】様々な実施例による、事前仕分け及び荷揃えエリアの斜視図である。
図17】例示的なコンピュータ処理システムの構成図である。
図18】例示的な分散型ネットワークのネットワーク図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示並びにその様々な特徴及び利点の詳細を、添付図面に記載及び/又は例示され、以下の説明で詳述される非限定的な実施例及び実例を参照して、より完全に説明する。図面に示した特徴は、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではなく、一実施例の特徴は、本明細書で明示的に述べられていない場合でも、当業者が認識するはずである他の実施例と共に使用され得ることに留意されたい。よく知られている構成要素及び処理技法の説明は、本開示の実施例を不必要に不明瞭にしないために、省略される場合がある。本明細書で使用される実例は、本開示が実施され得るやり方を容易に理解させること、及び当業者が本開示の実施例を実施するのをより一層可能にすることを、単に意図している。したがって、本明細書の実例及び実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して同様の部分を表すことに留意されたい。
【0019】
本発明は、ロボット支援収納タスクを実行するための、事前仕分けシステムに関する。どんな特定のロボットの用途にも限定されるものではないが、本発明が使用され得る1つの好適な用途は、倉庫内での物品収納である。この用途でのロボットの使用法について説明し、ロボット支援収納タスクに関する状況を提示することとするが、その用途に限定されるものではない。
【0020】
図1を参照すると、典型的な注文履行倉庫10には、注文に含まれる可能性がある様々な物品で満たされた棚12が含まれる。動作中、倉庫管理サーバ15から注文16が入ってくる流れが、注文サーバ14に到着する。注文サーバ14は、とりわけ、誘導プロセス中のロボット18に割り当てるために、注文に優先順位を付けてグループ化することができる。ロボットが、処理ステーション(たとえば、ステーション100)で、操作者によって誘導されるとき、注文16がロボット18に割り当てられ、実行するために無線で伝達される。注文サーバ14は、倉庫管理システム・サーバ15及び倉庫管理ソフトウェアと相互運用するよう構成された、個別のソフトウェア・システムを備える別々のサーバであってもよく、又は注文サーバの機能が、倉庫管理ソフトウェアに統合され、倉庫管理サーバ15上で稼働してもよいことが、当業者には理解されよう。
【0021】
好ましい実施例では、図2A及び図2Bに示すロボット18は、レーザ・レーダ22を具備する自律型車輪付き基部20を備える。基部20は、ロボット18が注文サーバ14及び/又は他のロボットからの命令を受信及びデータを送信するのを可能にするトランシーバ(図示せず)、及び1対のデジタル光学カメラ24a及び24bも特徴とする。ロボットの基部はまた、自律型車輪付き基部20に給電する、バッテリを再充電するための充電ポート26も備える。基部20はさらに、ロボットの環境を表す情報を取り込むために、レーザ・レーダ及びカメラ24a及び24bからデータを受信するプロセッサ(図示せず)を特徴とする。図3に示すように、倉庫10内の誘導に関連する様々なタスクを実行するばかりでなく、棚12上に配置された基準マーカ30へ移動するための、プロセッサと共に動作するメモリ(図示せず)がある。基準マーカ30(たとえば、2次元バー・コード)は、注文された物品の大箱/場所に対応する。本発明の誘導手法については、図4図8に関連して以下で詳細に説明する。基準マーカはまた、この発明の態様に従って充電ステーションを識別するために使用され、かかる充電ステーションの基準マーカへの誘導は、注文された物品の大箱/場所への誘導と同じである。ロボットが充電ステーションに移動すると、より正確な誘導手法を使用してロボットを充電ステーションにドッキングする。かかる誘導手法については、以下で説明する。
【0022】
再び図2Bを参照すると、基部20は、物品を運ぶためにトート又は大箱が格納され得る上面32を備える。その1つを図3に示す、複数の交換可能なアーマチュア40のいずれか1つと係合する、連結部34も示している。図3の特定のアーマチュア40は、物品を収容するトート44を運ぶためのトート保持器42(この場合は棚)、及びタブレット48を支持するためのタブレット保持器46(又はラップトップ/他のユーザ入力デバイス)を特徴とする。いくつかの実施例では、アーマチュア40は、物品を運ぶための1つ又は複数のトートを支持する。他の実施例では、基部20は、収容された物品を運ぶための1つ又は複数のトートを支持する。本明細書で使用する用語「トート」は、貨物保持器、大箱、籠、棚、そこから物品を吊るすことができる竿、缶、木枠、置き棚、台、架台、コンテナ、箱、キャニスタ、容器、及び収納庫を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
ロボット18は、現在のロボット技術では、倉庫10内を動き回るのには優れているが、ロボットが対象物を操作することに関連する技術的な難しさのため、棚から物品を迅速且つ効率的にピッキングして、物品をトート44内に配置することはあまり得意ではない。物品をピッキングするより効率的なやり方は、注文された物品を棚12から物理的に取り外し、ロボット18の上、たとえばトート44内に物品を置くというタスクを実行する、通常は人間である構内操作者50を使用することである。ロボット18は、構内操作者50が読み取ることができるタブレット48(又はラップトップ/他のユーザ入力デバイス)を介して、又は構内操作者50が使用する携帯用デバイスに注文を送信することによって、構内操作者50に注文を伝達する。
【0024】
ロボット18は、注文サーバ14から注文16を受信すると、たとえば図3に示す、倉庫の最初の場所に進む。ロボットは、メモリに記憶され、プロセッサによって実行される誘導ソフトウェアに基づいて進む。誘導ソフトウェアは、レーザ・レーダ22、特定の物品を見つけることができる、倉庫10内の場所に対応する基準マーカ30の基準識別表示(「ID」)を識別するメモリ内の内部テーブル、並びに誘導するためのカメラ24a及び24bによって収集される、環境に関するデータに依存する。
【0025】
正しい場所(ポーズ)に到着すると、ロボット18は、物品が保管されている棚12の前にロボット自体を停車させ、構内操作者50が物品を棚12から取り出してトート44の中に入れるのを待つ。ロボット18が他に取り出す物品を有する場合は、その場所に進む。次いで、ロボット18によって取り出された物品は、図1の処理ステーション100に送られ、そこで梱包され出荷される。処理ステーション100は、この図に関して、ロボットを誘導し、荷降ろし/梱包することができると説明されてきたが、ロボットが、ステーションで、誘導又は荷降ろし/梱包のいずれかが行われるよう構成されてもよい。すなわち、ロボットが、単一の機能の実行に制限されていてもよい。
【0026】
当業者は、各ロボットが1つ又は複数の注文を履行している場合があり、各注文が1つ又は複数の物品で構成される場合があることを理解されよう。通常、効率を高めるために何らかの形のルート最適化ソフトウェアが含まれることになるが、これはこの発明の範囲を超えるものであり、したがって本明細書では説明しない。
【0027】
本発明の説明を簡略化するために、単一のロボット18及び操作者50で説明する。しかし、図1から明らかなように、典型的な履行操作には、連続した注文の流れを履行するために、倉庫内で互いに作業する多くのロボット及び操作者が含まれる。
【0028】
この発明の基本誘導手法ばかりでなく、物品が位置する倉庫内の基準マーカに関連付けられた基準ID/ポーズへの、取り出されるべき物品のSKUのセマンティック・マッピングについても、図4図8に関連して以下で詳細に説明される。
【0029】
1台又は複数のロボット18を使用して、倉庫10のマップを作成する必要があり、また倉庫全体にわたって分散された、様々な基準マーカの場所を判断する必要がある。これを行うために、ロボット18のうちの1台又は複数が、倉庫を移動しながら、ロボットのレーザ・レーダ22、及び未知の環境のマップを構築又は更新する演算問題である、自己位置推定と環境マップ作成との同時実行(SLAM:simultaneous localization and mapping)を利用して、図4のマップ10aを構築/更新する。一般的なSLAMの近似解法には、粒子フィルタ及び拡張カルマン・フィルタが含まれる。SLAM GMapping手法が好適な手法であるが、任意の好適なSLAM手法を使用できる。
【0030】
ロボット18は、ロボットのレーザ・レーダ22を利用して、スペース全体にわたって移動し、レーザ・レーダが環境をスキャンするときに受信する反射に基づいて、オープン・スペース112、壁114、物体116、及びスペース内の棚12などの、他の静的障害物を識別して、倉庫10のマップ10aを作成する。
【0031】
マップ10aを構築しながら、(又はその後にマップ10aを更新しながら)、1つ又は複数のロボット18は、カメラ26を使用して倉庫10全体にわたって移動し、環境をスキャンし、倉庫全体に分散され、物品が保管される図3の32及び34などの大箱の近位にある棚の上の基準マーカ(2次元バー・コード)の場所を探し出す。ロボット18は、原点110などの既知の始点又は原点を、基準として使用する。ロボット18が、図3及び図4の基準マーカ30などの基準マーカの場所を、ロボットのカメラ26を使用して探し出すと、倉庫内の原点110に対する場所が決定される。
【0032】
ホイール・エンコーダ及び方位センサを使用することにより、ベクトル120及び倉庫10内のロボットの位置を判断できる。ロボット18は、基準マーカ/2次元バー・コードの取り込まれた画像及びその既知のサイズを使用して、基準マーカ/2次元バー・コードの、ロボットに対する向き及びロボットからの距離、つまりベクトル130を判断することができる。ベクトル120及び130が既知であれば、原点110と基準マーカ30との間のベクトル140を判断することができる。ベクトル140、及びロボット18に対する基準マーカ/2次元バー・コードの判断された向きから、基準マーカ30の4元数(x、y、z、ω)で定義されるポーズ(位置と向き)を判断することができる。
【0033】
基準マーカ位置特定プロセスを説明する、図5の流れ図200について説明する。これは、初期のマッピング・モードで、ロボット18がピッキング、配置、及び/又は他のタスクを実行中に、倉庫内の新しい基準マーカに遭遇すると実行される。ステップ202で、カメラ26を使用するロボット18が画像を取り込み、ステップ204で、取り込まれた画像内の基準マーカを探索する。基準マーカが画像内で発見された場合(ステップ204)、ステップ206で、基準マーカが、ロボット18のメモリ34にある図6の基準テーブル300に既に記憶されているかどうかを判断する。基準情報が既にメモリに記憶されている場合、流れ図はステップ202に戻り、別の画像を取り込む。基準情報がメモリ内にない場合、ポーズが、上記のプロセスに従って判断され、ステップ208で、基準対ポーズのルックアップ・テーブル300に追加される。
【0034】
各ロボットのメモリに記憶され得るルックアップ・テーブル300には、基準マーカごとに基準識別表示1、2、3など、及び各基準識別表示に関連付けられた基準マーカ/バー・コードのポーズが含まれる。ポーズは、向きを含む倉庫内のx、y、z座標、又は4元数(x、y、z、ω)で構成される。
【0035】
各ロボットのメモリにも記憶され得る図7の別のルックアップ・テーブル400は、倉庫10内の大箱の場所(たとえば、402a~f)を列挙したものであり、大箱の場所は、特定の基準ID404、たとえば番号「11」と関連付けられている。この実例では、大箱の場所は7つの英数字で構成されている。最初の6文字(たとえばL01001)は、倉庫内の棚の場所に関連し、最後の文字(たとえばA~F)は、棚の場所にある個々の大箱を特定する。この実例では、基準ID「11」に関連付けられた6つの相異なる大箱の場所がある。各基準ID/マーカに関連付けられた、1つ又は複数の大箱があり得る。
【0036】
英数字の大箱の場所は、物品が保管される倉庫10内の物理的場所に一致するので、人間、たとえば図3の操作者50には理解可能である。ただし、ロボット18には無意味である。場所を基準IDにマッピングすることにより、ロボット18は、図6の表300の情報を使用して基準IDのポーズを判断し、次いで、本明細書で説明するようにポーズに移動できる。
【0037】
この発明による注文履行プロセスが、図8の流れ図500に示されている。ステップ502で、注文サーバ14は、倉庫管理システム15から、取り出されるべき1つ又は複数の物品で構成され得る注文を取得する。注文割当てプロセスはかなり複雑であり、この開示の範囲を超えていることに留意されたい。かかる注文割当てプロセスの1つは、2016年9月1日に出願された、共通所有されている米国特許出願第15/807,672号、名称「Order Grouping in Warehouse Order Fulfillment Operations」に説明されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。ロボットは、単一のロボットが複数の注文を実行できるように、箱又は区画ごとに1つずつ、トート・アレイ群を有することができることにも留意されたい。かかるトート・アレイ群の実例は、2016年9月1日に出願された、米国特許出願第15/254,321号、名称「Item Storage Array for Mobile Base in Robot Assisted Order-Fulfillment Operations」に説明されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
続けて図8を参照すると、ステップ504で、物品のSKU番号が倉庫管理システム15によって判断され、ステップ506で、SKU番号から大箱の場所が判断される。次いで、注文の大箱の場所のリストがロボット18に送信される。ステップ508で、ロボット18は、大箱の場所を基準IDと関連付け、ステップ510で、基準IDから各基準IDのポーズを取得する。ステップ512で、ロボット18は、図3に示すようなポーズに移動し、そこで操作者は、適切な大箱から取り出されるべき物品をピッキングして、ロボット上に置くことができる。
【0039】
倉庫管理システム15/注文サーバ14によって取得されたSKU番号及び大箱の場所など、物品固有の情報が、ロボット18のタブレット48に送信されてもよく、それにより操作者50は、ロボットが各基準マーカの場所に到着したときに、取り出されるべき特定の物品について知ることができる。
【0040】
SLAMのマップ及び既知の基準IDのポーズを用いて、ロボット18は、様々なロボット誘導技法を使用して、基準IDのいずれか1つに容易に移動できる。好ましい手法は、倉庫10内のオープン・スペース112、並びに壁114、棚(棚12など)、及び他の障害物116の知識を前提として、基準マーカのポーズへの初期ルートを設定することを含む。ロボットは、ロボットのレーザ・レーダ26を使用して倉庫を移動し始めると、他のロボット18及び/又は操作者50などの固定の又は動的な任意の障害物がロボットの経路にあるかどうかを判断し、基準マーカのポーズへのロボットの経路を繰り返し更新する。ロボットは、約50ミリ秒ごとに1回、ロボットのルートを再計画し、障害物を回避しながらも最も効率的で効果的な経路を常に探索する。
【0041】
その両方を本明細書で説明する、SLAM誘導技法と組み合わせた製品のSKU/基準IDから基準ポーズへのマッピング技法を用いて、ロボット18は、通常使用される、倉庫内の場所を判断するためのグリッド線及び中間基準マーカを必要とする、より複雑な誘導手法を使用する必要なく、非常に効率的且つ効果的に倉庫の空間を移動できる。
【0042】
物品保管器アレイ
上記で説明されたように、互いに固定された2つ以上のトート又はコンテナを備える保管器アレイ、又は複数の区画を備える単一のユニットを使用して、効率を高めることができる。トート、コンテナ、及び区画という用語(上記で説明された用語の中でもとりわけ)は、本明細書では交換可能に使用され得る。この発明による保管器アレイの一実施例を、図10Aに関して説明する。ロボット18aが、車輪付き基部20aの上面36aを含め、図示されている。アーマチュア40aは、第1の端部で車輪付きベース20aに連結され(この図では連結は見えない)、他方の端部で、タブレット48aを支持するタブレット保持器46aに連結している。アーマチュア40aは、図3のアーマチュア40とは異なり、物品を収容するトート44を運ぶためのトート保持器42を備えていない。保管器アレイ44aは、その代わりに、車輪付きベース20aの上面36aに配置される。
【0043】
この実施例では、保管器アレイ44aは、3つの保管コンテナ602、604、及び606を備え、保管コンテナは互いに垂直に積み重ねられ、固定的に相互連結されて一体化したアレイを形成している。保管器アレイ44aの各コンテナ602、604、及び606は、それぞれバー・コード・ラベル612、614、及び616上に配設された、バー・コードを有する。また、各バー・コード・ラベル上に、各コンテナに関連する番号があり、図11の作業者50aなどの人間の作業者が番号を読み取り、相異なる容器を識別することができる。この実例での番号は、コンテナ602、604、及び606にそれぞれ関連する、「T81001」、「T81002」、及び「T81003」である。コンテナは、コンテナ間の区別をより容易にするために、様々に着色することができる。たとえば、コンテナ602は、全体又は一部を青色に着色することができる。コンテナ604は、全体又は一部を黄色に着色することができ、容器606は全体又は一部を緑色に着色することができる。
【0044】
加えて、保管器アレイ44aに関連するバー・コード・ラベル620が備えられる。バー・コード・ラベル620はまた、作業者50aが様々な保管器アレイの中で保管器アレイを識別するための保管器アレイ識別番号、この場合は「001」を有している。バー・コード・ラベル620は、コンテナ602の側面に配置されているが、このラベルは、保管器アレイ上の様々な場所に配置することができる。
【0045】
別法として、保管器アレイ44aを支持するために、アーマチュア40aに保持器が設けられてもよい。図10Bに示されている保管器アレイ44a’など、ロボット18aの表面36aの上方のアーマチュアからぶら下がっているものを含む、他の任意の保管器アレイ構成が使用できることに留意されたい。図10Aの構成要素に相当する図10Bの構成要素は、プライム(‘)記号付きで示されている。いずれの場合も、保管器アレイは取外し可能であるため、様々なタイプの保管器アレイを、倉庫内で利用されているすべてのロボット18aと共に使用することができる。
【0046】
作業者は、ロボットをシステムに導入し、倉庫管理システム(「WMS:warehouse management system」)15に、ロボット18aが注文を受けて実行するために利用可能であるという通知を行うことで、ロボットによる「ピッキング」プロセスを開始することができる。作業者は、導入プロセスにおいて、ロボットのタブレット48aのタッチスクリーンを介して、又はハンドヘルド型無線デバイスを介してロボット18aと相互作用し、ロボットを作動させることができる。ロボットは、次いで、注文活動を受ける準備ができていることをWMS15に伝達する。作業者はまた、保管器アレイ44aなどの保管器アレイを、ロボット18aに準備する。
【0047】
作業者は、各コンテナ602、604、及び606を個々に導入し、コンテナごとのバー・コード・ラベル612、614、及び616をスキャンすることによって、それぞれの注文を順次取得するのではなく、3つの個々のコンテナすべてについて、注文を効率的に生成するために、保管器アレイ44aに関連するバー・コード・ラベル620だけをスキャンすることができる。このプロセスは、図12の流れ図650に関連して説明される。
【0048】
流れ図650のプロセスは、作業者がステップ652で、この実例では識別番号001を有するバー・コード・ラベル620である、物品保管器アレイのバー・コード620をスキャンすると始まる。識別表示は、WMS15に送信され、WMS15は次いで、注文を割り当てるために使用される特定の保管器アレイの、1つ又は複数の特性を取得する。
【0049】
図13の表660は、WMS15に記憶され、アレイ識別表示662で示される物品保管器アレイ44aの特性ばかりでなく、倉庫で使用可能なすべての物品保管器アレイの特性を含む。特性には、たとえば、保管器アレイの区画数、区画のID番号、区画の色、及び区画のサイズが含まれ得る。物品保管器アレイ44aの場合、区画数、すなわち3は、表660の場所664に見られ、コンテナ602、604、及び606にそれぞれ関連する区画のID番号「T81001」、「T81002」、及び「T81003」は、場所666に見られる。区画の色(たとえば青色、黄色、及び緑色)は場所668に見られ得る。区画のサイズ(たとえば寸法Aインチ×Bインチ×Cインチ)は、場所670に見られ得る。実際の寸法を記憶するのではなく、区画のサイズを示すコードを記憶することができる。個々の保管器アレイの区画は、すべて同じサイズであってもよく、又は相異なるサイズであってもよい。
【0050】
図12の流れ図650を再度参照すると、ステップ656で、保管器アレイの少なくとも1つの特性を使用して、注文O、O、~Oが判断され、ステップ658で、注文がロボット18aに送信される。最も単純な実施態様では、注文を判断するために使用される特性は、アレイのコンテナの数だけであり得る。WMS15は、保管器アレイ44aの場合、図13の表660から3つのコンテナがあることを知り、次いで「ピッキング」の待ち行列(すなわち、WMS15によって、ある所定の基準に基づいて優先順位が割り当てられた、注文をピッキングする待ち行列)から、次の3つの注文O、O、及びOを選択し、注文をコンテナ602、604、及び606にそれぞれ関連する区画T81001、T81002、及びT81003に割り当てることができる。また、各コンテナ/区画に関連する色分け及びID番号も送信される(又は以前に記憶されている)。割り当てられるべき注文は、倉庫内の物品の場所に基づいて、又は他の基準を使用して、集約することもできる。これは、注文が、待ち行列から順番にピッキングされるのとは相異なる順序で、ピッキングされる場合があることを意味する。
【0051】
もちろん、注文を割り当てるために、コンテナの数と共に他の特性を使用することができる。たとえば、さらに区画のサイズを使用して、注文にある物品のサイズと、利用可能なコンテナのサイズとを組み合わせることができる。注文は、この場合、「ピッキング」の待ち行列から順番に選択されない場合があるが、サイズに基づいて物品を区画により適切に一致させるために、順不同でピッキングされ得る。図13の表660は、保管器アレイの追加の特性を表す、追加の列が含められ得ることを示すために、コンテナのサイズの列に隣接する曲線を有するように示されている。
【0052】
ロボット18aは、保管器アレイへ注文を受けると、倉庫内の場所に移動して、注文のピッキングを実行し始める。ロボット18aは、ルート最適化手法を使用して、受けた3つの注文からピッキングの順序を判断することができる。これにより、O、次いでO、最後にOを順番にピッキングするのではなく、停留と停留との間に差し込まれる、別の注文のピッキングが生じる場合がある。ピッキングされるべき物品について、WMS15からの注文には、製品SKUが含まれることになる。上記で説明されたように、ロボット18aは、SKUから、図11の場所630など、製品が倉庫内に配置される大箱番号/場所を判断する。ロボット18aは、次いで、大箱の場所を基準ID(図7参照)に関連付け、基準IDから製品SKUに関連するポーズを判断し、ロボットはポーズに移動する。
【0053】
ロボット18aは、図11に示されている場所などの場所で一度、タブレット48aを介して作業者50aに、ピッキング・タスクを伝達することができる。図14に示されているように、タブレット48aのディスプレイ680は、保管器アレイ44aのコンテナ602に対応する場所682に、コンテナ番号「T81001」を示している。これは、ピッキングすべき物品をこのコンテナに入れる必要があることを、作業者に知らせている。加えて、この白黒の図面では見えないが、コンテナ番号を囲むエリア684の色は、コンテナの色に一致しており、作業者50はこれにより、物品がどこに置かれるべきかをさらに容易に知ることになる。この実例では、領域684は、コンテナ602(「T8001」)も青色で着色されていることを示すために、青色で着色されている。
【0054】
ディスプレイ680上の場所690では、作業者50aが、図11でのロボット18aに近接した大箱の場所630に対応する大箱の場所、この場合は「L-01-047-B」を読むように、表示される。また、ディスプレイ680上には、物品、この場合は「シャツ」、サイズ「中」、色「青色」、及び数量「1」が表示されている。またUPCコードも、作業者が、物品が正確に一致していることを確認するために提示され得る。作業者は、この情報から、識別された大箱の場所の物品を容易に探し出し、物品を保管器アレイ44aの適切なコンテナに入れることができる。
【0055】
一体化したアレイを形成する相互連結されたコンテナを備える、上記で説明された保管器アレイ44aにより、導入及び注文の割当てプロセスがより効率的になり合理化されるばかりでなく、作業者のミスの補正が、より容易且つより簡単になる。生じる可能性のある一般的なミスは、物品を間違ったコンテナ入れることである。複数の個別のコンテナの場合、相互連結/一体化された保管器アレイとは対照的に、不適切なコンテナに入れられた物品は、コンテナがプロセス全体にわたって移動し、分離されるので、正しいコンテナに再連結することがより困難になる。この発明による保管器アレイ44aでは、相互連結されたコンテナは、プロセス全体にわたって一体のままであり、相互連結されたコンテナ間のミスの補正が、より容易になる。
【0056】
ロボット支援収納の実行
いくつかの実施例では、収納する物品が以前に識別されており、WMS15の「収納」待ち行列に入っている限りにおいて、注文がコンテナごとの「配置」(「収納」)タスクを含む場合に、保管器アレイのコンテナごとに、一連の注文の「ピッキング」を実行するのではなく、作業者は、保管器アレイ44aに物品を積載することができる。図12のステップ652で、作業者が物品保管器アレイ44aのバー・コードをスキャンすると、識別表示がWMS15に送信され、WMS15は次いで、特定の保管器アレイ44aの1つ又は複数の特性を取得し、注文を割り当てる。しかしこの場合、生成された注文は、配置される(収納される)べき物品に関するものであり、WMS15は、注文を「収納」待ち行列から取り出し、上記で説明されたものと同じやり方で、保管器アレイ44aの1つ又は複数の特性に基づいて、個々のコンテナ602、604、及び606に割り当てる。この注文情報は、タブレットのディスプレイを介して作業者に提示され、作業者は、生成された注文に従ってコンテナ602、604、及び606に積載する。注文の収納は、上記で説明された注文のピッキングと一致するやり方で実行される。
【0057】
しかし、上記で説明されたように、たとえばオンラインの注文が倉庫に返品されるか、又は混在した新しい在庫品が配送されると、大量の混在する仕分けされていない物品が、後で収納するために受取りドックに積み上げられる可能性がある。従来の収納方法は、仕分けされていない物品を先着順で収納する必要があり、カート又はトートには、単に位置的に分散した一連の物品が積載され、次いで人間のピッキング担当者が、収納タスクを実行するために、非常に混乱した非効率的な移動経路選定に従って送られる。このように、従来の収納は、時間がかかり、コスト効率が悪く、物理的に要求の厳しい作業である。
【0058】
ここで図9及び図15A図15Cを参照すると、いくつかの実施例では、収納する複数の仕分けされていない物品1501を、荷揃えエリア901(たとえば、積載ドック、配送エリア、保管エリア、事前仕分け専用エリア、又は他の任意の好適な場所)に配置することができる。作業者は、走査デバイス1503を用いて、仕分けされていない物品1501のそれぞれをスキャンし、保管器アレイ1544a、1544bのコンテナ1502、1504、1506、1508、1510、1512に先着順で積載することができる。かかる実施例では、ユーザが、収納する物品の物品識別子をスキャンし、コンテナ1502、1504、1506、1508、1510、1512のうちの1つに関連するコンテナ識別子をスキャンして、物品をコンテナに関連付け、物品を関連するコンテナ1502、1504、1506、1508、1510、1512に入れることによって、積載を実行することができる。
【0059】
識別子は、本明細書で使用される「物品識別子」、「コンテナ識別子」、又は「アレイ識別子」のいずれであるかに関わらず、物品、コンテナ、又はアレイに対応する識別情報に関連する、任意のスキャン可能な(同じ意味で「読取り可能な」)マーキング、ラベル、又はデバイスを指す。識別子は、たとえば、物品(又は物品の包装)、コンテナ、又はアレイに印刷、エッチング、彫刻などが施された、1次元又は2次元バー・コードのマーキングの形態をとることができる。かかる識別子は、物品(又は物品の包装)、コンテナ、又はアレイに装着された、1次元若しくは2次元バー・コード又はRFIDチップを含む、ラベルの形態をとることができる。かかる識別子はさらに又は別法として、物品(又は物品の包装)、コンテナ、又はアレイ自体に埋め込まれた、RFIDチップを含むことができる。
【0060】
識別子は、いくつかの実施例では、UPCコード又はSKUのように単純な、識別情報に関連付けることができる。ただし識別子には、倉庫環境において、より複雑な識別情報が含まれる場合がある。識別子は、たとえば、いくつかの実施例では、スキャナによってスキャンされた/読み取られた個々の物品、コンテナ、又はアレイに対応する、固有の情報を記憶する「番号札」であってもよい。番号札は、この開示を考慮すると当業者には明らかとなるように、たとえば、部品番号、UPC又はSKU番号、名前、数量、改版、シリアル番号、製造日、有効期限、ロット番号、地理的場所及び場所の履歴、現在の倉庫又は施設内でのこの製品を貯蔵する場所、在庫状況、保管場所、どの組織/企業が物品、コンテナ、又はアレイに関係してきたかの履歴、各組織のどの従業員が物品、コンテナ、又はアレイ、それらの組合せを扱ってきたかの履歴、並びに他の任意の所望の製品情報などの情報に関連する、シリアル化された識別子であり得る。
【0061】
使用される識別子が番号札である場合、物品を配置するために倉庫内でのポーズを判断するマッピング・プロセスは、番号札情報に含まれる倉庫の貯蔵場所(SKUではなく)からポーズにマッピングすることで簡略化され得る。ピッキング・プロセスなどに関連して、図8について上記で説明された、SKUからマッピングする場合は、ステップ504で、物品のSKU番号が倉庫管理システム15によって判断され、ステップ506で、SKU番号から大箱の場所が判断される。このプロセスは、SKUから大箱の場所にマッピングするのではなく、大箱の場所から直接開始することができる。ロボット18は、大箱の場所から基準IDを判断でき、基準IDから、各基準IDのポーズを取得することができる。
【0062】
保管器アレイ1544a、1544bのコンテナ1502、1504、1506、1508、1510、1512のうちの少なくとも1つに物品が割り当てられると、作業者(又は別の作業者)は次いで、上記で説明されたように、保管器アレイ1544a、1544b全体に関連するアレイ識別子をスキャンし、ロボット918上にアレイを導入することができる。次いで、ロボット918を倉庫に急送することができ、上記で説明された注文のピッキングと一致するやり方で、注文の収納を実行することができる。このようにして、ロボット918は、保管器アレイ1544a、1544bへの積載中に、他のピッキング又は収納作業を自由に実行できることによって停止時間を省き、活動状態である収納作業中だけ占有されている。さらに、ロボット支援収納タスクを実現することで、物品の前処理を最小限に抑え、ロボットの停止時間を最小限に抑え、人間のピッキング担当者ではなくロボットの、保管器アレイ1544a、1544bに関連する収納タスクを実行するのに必要なルートの移動を可能にする、収納の実行が可能となることによって、人員及び機器使用の非効率性が軽減される。このようにして、人間のピッキング担当者は、倉庫のフロアに留まり、荷揃えエリア901(たとえば、積載ドック、配送エリア、保管エリア、事前仕分け専用エリア、又は他の任意の好適な場所)まで歩く必要なしに、また人間の作業者が、収納タスクを実行するために特化した非効率的なルートを移動する必要なしに、通常通り継続してロボットを受け持つことができる。
【0063】
ロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分け
本明細書で提供される、ロボット支援収納タスク(「配置」タスクとも呼ばれる)を実行する事前仕分けシステムは、コンテナへの物品の積載中に仕分けされていない物品を事前仕分けすることによって、経路選定、機器、及び人員の使用の非効率性をさらに軽減する。具体的には、倉庫内の場所によってグループ化することにより、収納する物品をより効率的に事前に仕分けすることで、さらなる効率を得ることができる。ここで図16を参照すると、いくつかの実施例では、事前に仕分けされた各物品又は物品のグループを、対応する区域固有の保管器アレイ1644a~dのコンテナに割り当てることができる。各保管器アレイは、ロボット18aに割り当てることができ、保管器アレイ1644a~dがいっぱいになるか、さもなければ配置準備ができると、ロボット18aを倉庫に急送することができ、ロボット及び作業者は、ピッキング及び配置作業に関して上記で説明されたやり方で、各コンテナに割り当てられた収納タスクを実行することができる。
【0064】
保管器アレイ44a、1544a、1544b、1644a~dは、本明細書では、水平に向けられ、積み重ねられたトート44a、1544b、及び/又は積み重ねられて区分けされ、上から積載するよう構成されたトート1544a、1644a~dとして示され、説明されているが、保管器アレイのどんなスタイル若しくは構成、又はその組合せも、様々な実施例に従って使用できることが、この開示を考慮すると明らかとなろう。たとえば、いくつかの実施例では、前/後/横から積載するために、その垂直面に開口部を有する、垂直に向けられた「キュービ」スタイルのアレイを、ロボット18aに配設、吊下げ、さもなければ取外し可能に装着することができる。いくつかの実施例では、かかるアレイは、たとえば、図10Bに示されている保管器アレイ44a’と同様であり得る。いくつかの実施例では、ロボット18aは、ロボット18aの車輪付き基部20の上面の上方に配置された、棚又は他の水平面を備えることができる。いくつかの実施例では、かかる棚は、複数のコンテナに区分けすることができる。
【0065】
ここで図9及び図16を参照すると、仕分けされていない物品1601は、仕分けされていない物品1601を事前仕分けするための、倉庫900内の荷揃えエリア901に配置することができる。それぞれが複数のコンテナを備える、複数の区域固有の保管器アレイ1644a~dは、仕分けされていない物品1601を保管器アレイに割り当てるために、荷揃えエリア901に又は近接して配置することができる。倉庫900の区域910、920、930、940は、WMS15、注文サーバ14、又は倉庫情報を記憶する他の任意のサーバ902などの、集中型サーバのメモリに記憶され、倉庫内のすべての保管場所(たとえば大箱の場所)の局所化されたサブセットを表すことができ、これにより保管場所のサブセットのそれぞれが、WMS15、注文サーバ14、又は他の任意のサーバ902のメモリ内で、倉庫のそれぞれの区域910、920、930、940と関連付けられる。事前仕分けを容易にするために、仕分けされていない物品1601を、スキャナ1603を使ってスキャンすると、スキャナ1603及び/又はワークステーション・コンピュータ1606は、スキャンした物品の保管場所に対応する区域910、920、930、940を表示することができる。作業者は、次いで、図15を参照して上記で説明されたように、表示された区域に関連する区域固有の保管器アレイ1644a~dのうちの1つのコンテナに、物品を積載することができる。
【0066】
上記で言及されたように、区域固有の保管器アレイ1644a~dはそれぞれ、荷揃えエリア901で、区域910、920、930、940のうちの特定の1つに割り当てることができる。いくつかの実施例では、区域の割当ては、図16に示されているように、特定の区域用にラベル付けされた積載場所1650a~dに、それぞれの区域固有の保管器アレイ1644a~dを配置するのと同じ程度に簡単であり得る。たとえば、図16に示されているように、区域固有の保管器アレイ1644aは、区域910用に指定された積載場所1650aに配置される。同様に、区域固有の保管器アレイ1644bは、区域920用に指定された積載場所1650bに配置され、区域固有の保管アレイ1644cは、区域930用に指定された積載場所1650cに配置され、区域固有の保管アレイ1644dは、区域940用に指定された積載場所1650dに配置される。
【0067】
WMS15、注文サーバ14、又は他の任意のサーバ902が、保管器アレイ1644a~dごとに区域の割当てを判断することが望まれる限りにおいて、作業者は、走査デバイス1603を使用して、保管器アレイ1644a~d全体に関連するアレイ識別子をスキャンし、走査デバイス1603及び/又はワークステーション・コンピュータ1606によって、保管器アレイ1644a~dを特定の区域910、920、930、940に割り当てることができる。
【0068】
別法として、いくつかの実施例では、保管器アレイ1644a~dのうちの1つの最初のコンテナに最初の物品を積載すると、走査デバイス1603、ワークステーション・コンピュータ1606、WMS15、注文サーバ14、又は他の任意のサーバ902のうちの少なくとも1つが、そのメモリ内で、その特定の保管器アレイ1644a~dを、最初の物品の保管場所に関連する区域910、920、930、940と関連付けることができる。したがって、物品が入れられる保管器アレイ1644a~dが、物品の物品保管場所に対応する区域910、920、930、940に、自動的に割り当てられることになる。スキャナ1603及び/又はワークステーション・コンピュータ1606は、次いで、割り当てられた区域910、920、930、940に関連する、後からスキャンされた物品に関して、区域910、920、930、940自体を表示するのではなく、又は表示することに加えて、その特定の保管器アレイ及び/又は特定の推奨されるコンテナの識別表示を表示することができる。
【0069】
図15を参照して上記で説明されたロボット支援収納と同様に、保管器アレイ1644a~dのうちの1つの、コンテナのうちのそれぞれ1つに、少なくとも1つの物品を積載すると、次いでロボット918上に、保管器アレイ1644a~dを導入することができる。次いで、ロボット918を倉庫に急送することができ、上記で説明された注文のピッキングと一致するやり方で、注文の収納を実行することができる。
【0070】
収納タスクは区域ごとに事前に仕分けされているので、ロボット918は、倉庫全体にわたる様々な異なる場所に対して、可能性がある経路選定を行うのではなく、比較的効率的で局所的な移動経路を辿ることができる。したがって、この用途のロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステムは、非効率的で無駄な移動時間を削減し、ひいてはロボット918の無駄なバッテリ充電時間を削減する。ロボット支援収納タスクを実行するための事前仕分けシステムはまた、人間の作業者50が、通常のピッキング及び配置作業を中断させる、どんな必要性もなくする。
【0071】
非限定的で例示的なコンピュータ処理デバイス
図17は、図1図14を参照して上記で説明された様々な実施例に従って、使用され得る例示的なコンピュータ処理デバイス1710、又はコンピュータ処理デバイスの一部の構成図である。コンピュータ処理デバイス1710には、例示的な実施例を実施するための、1つ又は複数のコンピュータ実行可能命令又はソフトウェアを記憶する、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体が含まれる。非一時的コンピュータ可読媒体には、1つ又は複数のタイプのハードウェア・メモリ、非一時的有形媒体(たとえば、1つ又は複数の磁気記憶ディスク、1つ又は複数の光ディスク、1つ又は複数のフラッシュ・ドライブ)などが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。コンピュータ処理デバイス1710に含まれるメモリ1716は、たとえば、本明細書で開示されている動作を実行するための、コンピュータ可読且つコンピュータ実行可能命令又はソフトウェアを記憶することができる。メモリは、たとえば、図1図14に関連して論じられた、開示された様々な動作を実行するようプログラムされた、ソフトウェア・アプリケーション1740を記憶することができる。コンピュータ処理デバイス1710には、メモリ1716に記憶されたコンピュータ可読でコンピュータ実行可能な命令又はソフトウェア、及びシステム・ハードウェアを制御する他のプログラムを実行するために、設定可能及び/又はプログラム可能なプロセッサ1712及び関連するコア1714、並びに任意選択で、1つ又は複数の追加の設定可能及び/又はプログラム可能な処理デバイス、たとえばプロセッサ1712’及び関連するコア1714’(たとえば、複数のプロセッサ/コアを有する計算デバイスの場合)も含まれ得る。プロセッサ1712及びプロセッサ1712’はそれぞれ、シングル・コアのプロセッサ又はマルチ・コア(1714及び1714’)のプロセッサであり得る。
【0072】
コンピュータ処理デバイス内の基礎構造及びリソースを動的に共有できるように、コンピュータ処理デバイス1710で、仮想化を使用することができる。仮想マシン1724は、プロセスが、複数のコンピュータ処理リソースではなく、ただ1つのコンピュータ処理リソースだけを使用していると見えるように、複数のプロセッサ上で稼働するプロセスを扱うために設けられ得る。1つのプロセッサで、複数の仮想マシンを使用することもできる。
【0073】
メモリ1716には、これらに限定されるものではないが、DRAM、SRAM、EDO RAMなどの計算デバイス・メモリ又はランダム・アクセス・メモリが含まれ得る。メモリ1716には、さらに他のタイプのメモリ、又はそれらの組合せも含まれ得る。
【0074】
ユーザは、例示的な実施例に従って実現され得る、1つ又は複数のユーザ・インタフェース1702を表示できる、コンピュータ・モニタなどの視覚表示デバイス1701、111A~Dを介して、コンピュータ処理デバイス1710と相互作用することができる。コンピュータ処理デバイス1710には、ユーザから入力を受け取るための他のI/Oデバイス、たとえば、キーボード又は任意の好適な多点接触式インタフェース1718、ポインティング・デバイス1720(たとえば、マウス)が含まれ得る。キーボード1718及びポインティング・デバイス1720は、視覚表示デバイス1701に結合され得る。コンピュータ処理デバイス1710には、他の好適な従来のI/O周辺デバイスが含まれ得る。
【0075】
コンピュータ処理デバイス1710には、データ、並びに本明細書に開示されている動作を実行する、コンピュータ可読命令及び/又はソフトウェアを記憶するための、ハードドライブ、CD-ROM、又は他のコンピュータ可読媒体などであるがこれらに限定されるものではない、1つ又は複数の記憶デバイス1734も含まれ得る。例示的な記憶デバイス1734はまた、例示的な実施例を実施するのに必要な任意の好適な情報を記憶する、1つ又は複数のデータベースを記憶することができる。データベースは、データベース内の1つ又は複数の項目を追加、削除、及び/又は更新するために、任意の好適なタイミングで、手動で又は自動で更新され得る。
【0076】
コンピュータ処理デバイス1710には、1つ又は複数のネットワーク・デバイス1732を介して、1つ又は複数のネットワーク、たとえば、構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、或いは標準電話回線、LAN若しくはWANリンク(たとえば802.11、T1、T3、56kb、X.25)、広帯域接続(たとえばISDN、フレーム・リレー、ATM)、無線接続、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN:controller area network)、又は上記のいずれか若しくはすべての何らかの組合せを含むがこれらに限定されるものではない、様々な接続を介したインターネットとインタフェースをとるよう構成された、ネットワーク・インタフェース1722が含まれ得る。ネットワーク・インタフェース1722には、組込ネットワーク・アダプタ、ネットワーク・インタフェース・カード、PCMCIAネットワーク・カード、カード・バス・ネットワーク・アダプタ、無線ネットワーク・アダプタ、USBネットワーク・アダプタ、モデム、又はコンピュータ処理デバイス1710が、通信して、本明細書で説明されている動作を実行できる、任意のタイプのネットワークとインタフェースをとるのに好適な、他の任意のデバイスが含まれ得る。さらに、コンピュータ処理デバイス1710は、ワークステーション、デスクトップ・コンピュータ、サーバ、ラップトップ、ハンドヘルド・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、又は通信が可能であり、本明細書で説明されている動作を実行するのに十分なプロセッサの能力及びメモリ容量を有する、他の形態のコンピュータ処理若しくは電気通信デバイスなどの、任意の計算デバイスであり得る。
【0077】
コンピュータ処理デバイス1710は、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティング・システム(Microsoft、Redmond、ワシントン州)の任意のバージョン、Unix及びLinux(登録商標)オペレーティング・システムの様々なリリース、MacintoshコンピュータのMAC OS(登録商標)(Apple,Inc.、Cupertino、カリフォルニア州)オペレーティング・システムの任意のバージョン、任意の組込オペレーティング・システム、任意のリアルタイム・オペレーティング・システム、任意のオープン・ソースのオペレーティング・システム、任意の独自のオペレーティング・システム、又はコンピュータ処理デバイス上で稼働し、本明細書で説明されている動作を実行できる、他の任意のオペレーティング・システムなど、任意のオペレーティング・システム1726を稼働させることができる。例示的な実施例では、オペレーティング・システム1726は、ネイティブ・モード又はエミュレーション・モードで稼働され得る。例示的な実施例では、オペレーティング・システム1726は、1つ又は複数のクラウド・マシン・インスタンス上で稼働され得る。
【0078】
図18は、ある分散型の実施例の、例示的な計算デバイスの構成図である。図1図14、及び上記の例示的な議論の一部は、それぞれが個別の又は共通のコンピュータ処理デバイス上で動作する、倉庫管理システム15、注文サーバ14、又は他のサーバ902を参照しているが、その代わりに、倉庫管理システム15、注文サーバ14、又は他のサーバ902のうちのいずれでも、ネットワーク1805を介して別々のサーバ・システム1801a~dに、及び場合によってはキオスク、デスクトップ・コンピュータ・デバイス1802、又は携帯型コンピュータ・デバイス1803などのユーザ・システムに、分散されてもよいことが認識されよう。たとえば、注文サーバ14は、ロボット18のタブレット48間で分散されてもよい。一部の分散型システムでは、倉庫管理システムのソフトウェア及び/又は注文サーバのソフトウェアのいずれか一方又は両方のモジュールは、サーバ・システム1801a~d上に別個に位置することができ、ネットワーク1805を介して互いに通信することができる。
【0079】
本発明の前述の説明により、当業者は、現在その最良の形態であると考えられるものを作成及び使用することができるが、当業者は、本明細書での具体的な実施例及び実例の変形、組合せ、及び同等物の存在を、理解及び認識するであろう。上記の本発明の実施例は、実例にすぎないことを意図している。当業者は、ここに添付される特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲から逸脱することなく、特定の実施例に対して変更、修正、及び変形を行うことができる。したがって、本発明は、上記で説明された実施例及び実例によって限定されない。
【0080】
本発明及びその好ましい実施例を説明してきたが、新規であるとして特許請求され、特許証によって保護されるものは、以下である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
【国際調査報告】