(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】原料組成物の調製
(51)【国際特許分類】
C03C 1/02 20060101AFI20231003BHJP
C03B 3/02 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C03C1/02
C03B3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516573
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 FR2021051638
(87)【国際公開番号】W WO2022064150
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム デュピュー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム バルバ ロサ
【テーマコード(参考)】
4G014
4G062
【Fターム(参考)】
4G014AB00
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(57)【要約】
【課題】カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスを得るのに適切な工場の溶融チャンバに投入されるのに適切な原料組成物を調製する方法の提供。
【解決手段】方法は、原料組成物に含まれることに適切なミネラルウールの混合物を粉砕して、粉砕後に得られる粒状混合物が、30kg/m
3以上の見掛け密度を有するようにする少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスを得るのに適合している設備の溶融チャンバに供給されるのに適合している原料組成物を調製する方法であって、前記原料組成物に含まれるのに適合しているミネラルウール混合物を粉砕して、粉砕後に得られる粒状混合物が、30kg/m
3以上かつ500kg/m
3以下のかさ密度を有するようにする少なくとも1つのステップ含む、方法。
【請求項2】
前記原料組成物の合計質量に対する前記粒状混合物の質量割合が、5%以上、好ましくは20%以上、好ましくは40%以上、好ましくは60%以上、好ましくは70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上、好ましくは99%以上である、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
カレットを前記粒状混合物に加えるステップを含み、このカレットの質量が、前記粒状混合物の合計質量の1%以上である、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
用いられるフィーダーの寸法特徴及び/又は所望の供給速度値の関数として、前記粉砕された粒状混合物の所望のかさ密度値を決定する予備ステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記ミネラルウール混合物が、前記混合物の合計質量の1%を超える含水量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項6】
メッシュサイズが20mm未満であるスクリーンを備える少なくとも1つのグラインダーを用いる、請求項1~5のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項7】
好ましくは請求項1~6のいずれか一項に記載の調製方法によって得られる、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスを得るのに適切な設備の溶融チャンバに供給されるのに適切な原料組成物(4)であって、30kg/m
3以上かつ500kg/m
3以下のかさ密度を有する粒状混合物(2)を含む、原料組成物(4)。
【請求項8】
前記粒状混合物の合計質量の少なくとも1%の質量のカレットを含む、請求項7に記載の原料組成物(4)。
【請求項9】
カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン及び/又は板ガラス/中空ガラスを得るための、請求項7又は8に記載の原料組成物を溶融する方法。
【請求項10】
前記原料組成物が、スクリューフィーダーによって供給され、好ましくは、前記原料組成物を含有するバッファーサイロから供給される、請求項9に記載の溶融方法。
【請求項11】
前記原料組成物が、1日当たり5トン以上の供給速度で供給される、請求項9又は10に記載の溶融方法。
【請求項12】
前記原料組成物が、ガラス溶融物のレベルより下に供給され、好ましくは、前記溶融方法は、浸漬バーナーを備える溶融チャンバを用いる、請求項9~11のいずれか一項に記載の溶融方法。
【請求項13】
前記原料組成物が、ガラス溶融物のレベルより上に供給され、好ましくは、前記溶融方法は、前記ガラス溶融物のレベルより上に配置されたバーナーを備える溶融チャンバを用いる、請求項9~11のいずれか一項に記載の溶融方法。
【請求項14】
カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスの製造方法であって、請求項9~13のいずれか一項に記載の溶融方法を含む、製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の製造方法により得られる、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス炉での焼成に適している原料組成物を調製する方法に関する。本発明はさらに、このようにして得られる原料組成物、及びこの組成物を溶融する方法に関する。最後に、本発明は、カレット、ガラスウール及び/若しくはロックウール、テキスタイルガラスヤーン及び/若しくは板ガラス、又は中空ガラス(ボトル、フラスコ等)の製造方法、又は前記溶融する方法に従う、係る製造方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
より詳しくは、本発明に係る原料組成物は、ミネラルウール混合物から得られる。本発明の意味において、そのようなミネラルウール混合物は、1つ又はそれより多くのタイプの鉱物繊維を含み、この鉱物繊維は、前記繊維の製造(工場廃棄物)由来の、建築現場(建設現場廃棄物又は解体現場廃棄物)由来の、及び/又は最終製品からのそのような繊維の回収を、それらが用いられたか否かにかかわらず可能にするリサイクルチャネル由来のものである。実際に、ミネラルウール製造の様々な段階は、一定の量の廃棄物を生成し、これは、前記ミネラルウール混合物の組成物に入る。この廃棄物は、例えば、製品(及び/又は廃棄製品)の切断により生じることがあり、したがって、「バインダー」と呼ばれかつ繊維マットの機械的な結合を保証することが意図される樹脂などの大量の有機材料を含有し得る。他のタイプの材料を鉱物繊維と組み合わせることができ、その例は、紙、アルミニウム若しくはれき青質のフィルム、又は木製パレット部品である。そのような鉱物繊維は、特に、ガラス及び/又は岩石からなってよい。したがって、それらは、それぞれ、ガラスウール及びロックウールとして知られている。これらの鉱物繊維は、通常、有機バインダー、並びに他の金属材料及び/又は有機材料と組み合わされる。
【0003】
この文脈において、特許EP1771391B1の本文に記載されているように、カレット、言いかえれば、後のガラス溶融プロセスにおいてガラス化可能な原材料として使用するのに適している鉱物材料を製造するように、そのようなミネラルウール混合物をガラス炉において溶融することによって「リサイクルする」ことが知られている。ミネラルウール廃棄物のそのようなリサイクルの多くの利点の中には、ガラス炉のエネルギー効率の改善がある。なぜならば、収集されたミネラルウール混合物及び/又はその溶融に由来するカレットは、とりわけ、大量のシリカを含む「従来の」原料組成物より溶融しやすいからである。
【0004】
これらの利点にもかかわらず、本発明者らは、実際に、そのようなミネラルウール混合物が、炉に、例えばスクリューフィーダーを介して導入される場合、かなりの体積を占めることを見出した。一定の供給体積では、いわゆる「従来の」原料組成物と比較して、そのようなミネラルウール混合物からなる原料組成物の使用は、時間の単位当たりに炉に導入される原材料の質量を著しく低減する傾向がある。言いかえれば、そのようなミネラルウールの混合物の原材料としての使用は、したがって、炉の供給速度、ひいてはその効率を低減し、これは、産業の文脈では、法外な欠点であると判明する可能性がある。
【0005】
この技術的問題の自然な解決策は、例えば、より大きいスクリューフィーダーを用いることによって、原材料供給手段の容量を増加させることである。しかし、この解決策には、欠点がないわけではない。なぜならば、それは、フィーダーの構造的な変更を要求し、より一般的には、そのサイズが、供給される組成物の性質に依存するようになるからである。
【0006】
特許請求の範囲に記載された発明は、上文に記載された欠点に対する技術的解決策を与えることを意図している。より詳しくは、少なくとも1つの実施態様において、提案された技術は、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスを得るのに適合している設備の溶融チャンバに供給されるのに適合している原料組成物を調製する方法に関し、前記方法は、原料組成物に含まれるのに適合しているミネラルウール混合物を粉砕して、粉砕後に得られる粒状混合物が、30kg/m3以上のかさ密度を有するようにする少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする。
【0007】
本明細書の全体にわたって、「かさ密度」という用語は、この混合物を構成する凝集体(粒)を分離する間隙を含む総体積の単位当たりの砕かれた混合物の質量を指す。本発明の目的ために、このかさ密度は、本明細書に記載の手順に従って測定されるか、等価な結果を得ることを可能にするあらゆる手順によって測定される。
【0008】
粉砕されるミネラルウール混合物は、1つ又はそれより多くのタイプの鉱物繊維を含み、この鉱物繊維は、前記繊維の製造由来の、建築現場(建設又は解体)由来の、及び/又は最終製品からのそのような繊維の回収を、それらが用いられたか否かにかかわらず可能にするリサイクルチャネル由来のものである。そのような鉱物繊維は、特に、ガラス及び/又は岩石からなってよい。したがって、それらは、それぞれ、ガラスウール及びロックウールとして知られている。
【0009】
本発明に係る調製方法は、粉砕によってミネラルウール混合物のかさ密度を増加させて、ひいては、満足な供給速度にていわゆる「従来の」ガラス炉で焼成することができる粒状混合物を得ることを可能にする。本明細書において詳述されるように、そのような粒状混合物の使用は、特に、ガラス溶融物のレベルより下での標準的な供給条件の下で、1日当たり5トン以上の供給速度値を達成することを可能にする。かさ密度のそのような最小値の選択は、特に、供給速度の理論値と、標準的な操作条件の下で測定される係る速度の実際の値との間で経験的に観察された差を考慮に入れる。
【0010】
特定の実施態様によれば、得られる粒状混合物は、50kg/m3以上、好ましくは70kg/m3以上、好ましくは90kg/m3以上、好ましくは100kg/m3以上のかさ密度を有する。
【0011】
粒状混合物のかさ密度の増加は、炉の供給速度、ひいては炉の生産性を増加させる。
【0012】
特定の実施態様によれば、粉砕の後に得られる粒状混合物は、500kg/m3以下のかさ密度を有する。
【0013】
本明細書において詳述されるように、浸漬バーナー炉での溶融試験工程の実施は、かさ密度の一定の値より上では、導入される原料組成物の一部が、その高い揮発性に起因して、煙道ガスと一緒に放出される傾向があることを明らかにした。このことは、これらのガスを処理する作業を複雑にし、炉の生産性を低減し、したがって、主な産業の欠点を表す。この点で、本明細書において詳述されるように、500kg/m3以下のかさ密度を有する粒状混合物の使用は、許容可能な粒状混合物の煙道損失率を維持することを可能にし、なぜならばその割合が3%未満だからである。
【0014】
特定の実施態様によれば、得られる粒状混合物は、400kg/m3以下、好ましくは300kg/m3以下、より好ましくは220kg/m3以下のかさ密度を有する。
【0015】
粒状混合物のかさ密度を制限することにより、原材料の煙道損失割合を低減することが可能となり、したがって、煙道ガスの処理が容易になる。
【0016】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物の合計質量に対する前記粒状混合物の質量割合は、5%以上、好ましくは20%以上、好ましくは40%以上、好ましくは60%以上、好ましくは70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上、好ましくは99%以上である。
【0017】
特定の実施態様によれば、調製方法は、カレットを前記粒状混合物に加えるステップを含み、このカレットの質量は、粒状混合物の合計質量の1%以上である。
【0018】
本発明者らは、粒状混合物(すなわち粉砕後)へのカレットの添加が、そのレオロジー挙動を変更し、ひいては、特に、原材料の供給中に、その輸送を容易にする傾向があることを観察した。これは、粒状混合物の「流動化」と呼ばれる。1%の最小の割合は、粒状混合物のこの流動化効果が明らかとなるための最小閾値に対応する。
【0019】
カレットの導入は、それが、例えば、浸漬バーナー炉において望ましくない化合物を除去することによって、さらなる使用のために処理されることを可能にするという追加の利点を有する。
【0020】
1つの特定の実施態様によれば、カレットの質量は、粒状混合物の合計質量の20%以下である。
【0021】
カレット自体が、かなりのエネルギーコストで原材料を溶融することによって製造されるため、粒状混合物の合計質量の20%より大きい割合でのカレットの添加、ひいては溶融は、プロセスのエネルギー効率を全体として受け入れられないほど低下させる傾向がある。
【0022】
1つの特定の実施態様によれば、前記追加されるカレットは、1~5mmの粒状度を有する。
【0023】
この文書において、「粒状度」は、ふるい分けによって決定される凝集体のサイズを意味する。1~10mmのカレット粒状度範囲を選択することにより、カレットによる粒状混合物の流動化が最適化される。
【0024】
1つの特定の実施態様によれば、調製方法は、用いられるフィーダーの寸法特徴及び/又は所望の供給速度値の関数として、粉砕された粒状混合物の所望のかさ密度値を決定する予備ステップを含む。
【0025】
原料組成物を調製する方法は、所望の密度値をあらかじめ決定し、その後、所望の密度値を考慮に入れることによって、目的の供給速度を達成するように、既知の寸法特徴を有するフィーダーを用いることによって調節することができる。
【0026】
特定の実施態様によれば、前記ミネラルウール混合物は、前記混合物の合計質量の1%を超える含水量を有する。
【0027】
本明細書において詳述されるように、ミネラルウール混合物の含水量を増加させることにより、水の添加に関連する質量供給から独立して、粉砕の後に得られる粒状混合物のかさ密度をさらに増加させることが可能となることが、粉砕機での一連の試験で確認された。実際に、水は、繊維間にキャピラリー状のブリッジを生成することによりバインダーとして機能し、このことは、繊維がより良好に一緒に結合することを可能にする。
【0028】
特定の実施態様において、水は、粉砕の前及び/又は粉砕中に、例えばスプレーすることによって供給される。
【0029】
粉砕プロセス中のミネラルウール混合物の加湿についての追加の利点は、ダストの排出が低減されることである。
【0030】
1つの特定の実施態様によれば、前記ミネラルウール混合物は、2%を超える、優先的には3%を超える含水量を有する。
【0031】
含水量を増加させることは、粒状混合物のかさ密度をさらに増加させる。粒状混合物をベルト上で運ぶ場合には、25%の上限が閾値に対応し、この閾値を超えると粒状混合物がコンベヤーベルトに付着する傾向があり、ひいてはそれを詰まらせ、かつ/または損傷させる傾向がある。
【0032】
1つの特定の実施態様によれば、調製方法は、メッシュサイズが20mm未満であるスクリーンを備える少なくとも1つのグラインダーを用いる。
【0033】
そのようなメッシュサイズの選択により、30kg/m3以上のかさ密度を有する粒状混合物を得ることが可能となる。
【0034】
1つの特定の実施態様によれば、前記スクリーンのメッシュサイズは、20mm未満であり、好ましくは15mm未満であり、好ましくは10mm未満である。
【0035】
ますます小さいメッシュサイズの選択は、ますます高い密度を有する粒状混合物をもたらす。
【0036】
1つの特定の実施態様によれば、グラインダーは、150rpmを超える速度、好ましくは175rpmを超える速度、より好ましくは200rpmを超える速度で回転するように適合される。
【0037】
グラインダーの収率は、そのドラムの回転速度と共に増加する傾向がある。
【0038】
1つの特定の実施態様によれば、前記粉砕ミネラルウール混合物は、接着剤を除いて、以下を含む:
SiO2:30~75質量%、
CaO+MgO:5~40質量%、
Al2O3:0~30質量%、
Na2O+K2O:0~20質量%、
酸化鉄:0~15質量%。
【0039】
1つの特定の実施態様によれば、前記粉砕ミネラルウール混合物は、(当業者によって「黒ガラス」とも呼ばれる)ロックウールからなり、それは、接着剤を除いて、以下を含む:
SiO2:30~50質量%、
Al2O3:10~22質量%、
CaO+MgO:20~40質量%、
酸化鉄:3~15質量%、
Na2O+K2O:1~10質量%。
【0040】
1つの特定の実施態様によれば、前記粉砕ミネラルウール混合物は、ガラスウールからなり、それは、接着剤を除いて、以下を含む:
SiO2:50~75質量%、
Al2O3:0~8質量%、
CaO+MgO:5~20質量%、
酸化鉄:0~3質量%、
Na2O+K2O:12~20質量%、
B2O3:2~10質量%。
【0041】
1つの特定の実施態様によれば、前記粉砕ミネラルウール混合物は、接着剤を除いて、以下を含む:
SiO2:39~44質量%、
Al2O3:16~27質量%、
CaO:6~20質量%、
MgO:1~5質量%、
Na2O:0~15質量%、
K2O:0~15質量%、
Na2O+K2O:12~20質量%、
P2O5:0~3質量%、
Fe2O3:1.5~15質量%
B2O3:0~2質量%、
TiO2:0~2質量%。
【0042】
本発明はさらに、好ましくは係る調製方法によって得られる、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスを得るのに適合している設備の溶融チャンバに供給されるのに適合している原料組成物であって、30kg/m3以上のかさ密度を有する粒状混合物を含むことを特徴とする原料組成物に関する。
【0043】
特定の実施態様によれば、粒状混合物は、50kg/m3以上、好ましくは70kg/m3以上、好ましくは90kg/m3以上、好ましくは110kg/m3以上のかさ密度を有する。
【0044】
特定の実施態様によれば、粒状混合物は、500kg/m3以下、好ましくは400kg/m3以下、好ましくは300kg/m3以下、好ましくは200kg/m3以下、好ましくは160kg/m3以下、好ましくは140kg/m3以下のかさ密度を有する。
【0045】
特定の実施態様によれば、原料組成物は、少なくとも30質量%の粒状混合物、好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、さらにより好ましくは少なくとも95質量%、さらにより好ましくは少なくとも98質量%の粒状混合物を含む。
【0046】
特定の実施態様によれば、原料組成物は、粒状混合物の合計質量の少なくとも1%の質量のカレットを含む。
【0047】
1つの特定の実施態様によれば、カレットの質量は、粒状混合物の合計質量の20%以下である。
【0048】
本発明はさらに、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン及び/又は板ガラス/中空ガラスを得るための、係る原料組成物を溶融させるためのプロセスに関する。
【0049】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物は、フィードスクリューによって供給され、好ましくは、前記原料組成物を含有するバッファーサイロから供給される。
【0050】
フィードサイクルで動作するピストンと比較して、エンドレススクリューは、連続供給を可能にし、これは、ガラス溶融物のレベルより下に供給する場合に特に有用である。
【0051】
好ましくは出口にはかりを備えた、バッファーサイロを使用することにより、供給機に供給される質量を正確に調整することが可能となる。
【0052】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物は、1日当たり5トン以上の供給速度で供給される。
【0053】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物は、1日当たり7トン以上、好ましくは1日当たり9トン以上、好ましくは1日当たり10トン以上の供給速度で供給される。
【0054】
炉の全体の収率は、その供給速度と共に増加するため、それを増加させることには興味がもたれる。請求項7及び請求項8のうちの1つに係る原料組成物の使用は、そのような供給速度値を達成することをより容易にする。
【0055】
特定の実施態様によれば、粒状混合物のかさ密度は、周期的に、手動で及び/又は自動で測定される。
【0056】
特定の実施態様によれば、粒状混合物のかさ密度は、所望の供給速度に応じて、手動で及び/又は自動で調節される。
【0057】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物は、ガラス溶融物のレベルより下に供給され、好ましくは、前記溶融方法は、浸漬バーナーを備える溶融チャンバを用いる。
【0058】
本明細書において、「水ガラス」、「ガラス溶融物」という用語は、ガラス炉へ導入されたこれらのガラス化可能な材料の溶融生成物を指す。本発明の目的に関し、「浸漬バーナー」は、それらが生み出す火炎、及び/又は製造される燃焼ガスが、ガラス溶融物自体の中で発生するように構成されたバーナーである。通常、それらは、底部と同一面になるように配置され、その結果、火炎が、液化(溶融)しているガラス化可能な材料の塊の中で発生するようになる。したがって、それらは、その側壁、底部壁を通過してよく、かつ/またはボールト又は任意の適切な上部構造からそれらを吊るすことによって、上から吊り下げられてよい。これらのバーナーは、それらのガス供給ラインが、それらが通過する壁と同一面になるようなものであってよい。火炎が壁に近すぎて、耐火材料の早期の損耗を引き起こすことを回避するように、これらのダクトが、ガラス化可能な材料の塊に少なくとも部分的に「入る」ことが好ましい場合がある。燃焼ガスだけを注入することを選択することも可能であり、燃焼は、溶融チャンバ自体の外部で実施される。
【0059】
浸漬バーナー炉の使用は、「従来の」溶融と比較して、生産歩留まりのかなりの増加を可能にする。実際に、浸漬バーナーによる溶融は、液化しているガラス化可能な材料内に対流混合を生み出す。まだ液化されていない材料と既に溶融されているものとのこの混合物は、非常に効率的であり、同一の化学組成のガラス化可能な材料で、従来の加熱手段によるよりも低い温度でかつ/またははるかに速く、溶融が起こることを可能にする。このようにして、信頼性が低くかつ/または急速に損耗する機械的な撹拌手段に頼る必要なしに、「撹拌される」溶融物の非常に好ましい特徴が達成される。これは、炉のエネルギーコストの低減のためだけでなく、設備の製造に用いられる耐火材料の選択のためにも非常に興味深い:なぜならば、それらは、それほど熱くならず、それほど迅速に腐食しないからである。
【0060】
特定の実施態様によれば、前記原料組成物は、ガラス溶融物のレベルより上に供給され、好ましくは、前記溶融方法は、ガラス溶融物のレベルより上に配置された火炎バーナーを備える溶融チャンバを用いる。
【0061】
前記原料組成物をガラス溶融物のレベルより上に供給することの利点は、前記組成物中に存在する有機物を、それらがガラス溶融物に導入される前に燃やすことができ、したがって、これらの有機物が構成する追加のエネルギー源を利用しつつガラス溶融物の汚染を制限できることである。
【0062】
この文脈において、ガラス溶融物の表面に供給されるバッチの厚さの低減は、その溶融を容易にしつつ、1つ又は複数の排気筒を通って飛び出す粒子のリスクを制限する。したがって、本発明による組成物は特に適切である。なぜならば、それは、同等の質量について、低減された体積、ひいては低減された厚さを有するからである。
【0063】
本発明はさらに、カレット、ガラス及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスの製造方法であって、係る溶融方法を含む、製造方法に関する。
【0064】
この文書において議論されるように、そのような溶融方法の実施は、特に有利な製造歩留まりを達成することを可能にする。
【0065】
本発明はさらに、係る製造方法に従って得られる、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスに関する。
【0066】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単に例示的で非限定的な例として与えられる特定の実施態様の以下の説明、及び添付の
図1から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施態様に係る、カレット、ガラスウール及び/又はロックウール、テキスタイルガラスヤーン、板ガラス及び/又は中空ガラスの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1を含む本明細書の全体にわたって、同一の参照番号は、別段の示唆がない限り、類似するか同一の要素を表す。
【0069】
本発明は、記載されかつ/または表された特定の実施態様によって全く制限されないこと、及び他の実施態様が完全に可能であることがさらに理解される。
【0070】
図1は、本発明の特定の実施態様に係る、ガラス製品(5)を製造する方法を示すフロー図である。従来の方法において、ミネラルウール混合物(1)から少なくとも部分的に得られる原材料(4)は、ガラス炉に供給され(ステップS3)、溶融され(ステップS4)、その後、ガラス製品(5)に加工される。
【0071】
既知の方法に従って、溶融した混合物を、代わりに、冷却し、そして、断片化することによってカレットを得ることができ、繊維に成形することによってガラスウール又はロックウールを得ることができ、ガラステキスタイルヤーンに紡糸することができ、かつ/またはスズフロートに注ぐことによって板ガラスを得ることができ、これらの工業的応用の各々は、本明細書の全体にわたって「ガラス製品(5)」という表現で示される。
【0072】
本発明の特定の実施態様によれば、そのような製造方法は、粒状混合物(2)から少なくとも部分的に得られる原料組成物(4)を溶融させることを含み、粒状混合物(2)のかさ密度は30kg/m3以上である。
【0073】
粒状混合物(2)のかさ密度を測定するための容易に再現可能な手順によれば、粒状混合物はまず、質量及び体積がわかっている容器、例えばバケツに注がれる。容器は、十分な精度を有しかつ以下の式を満たすことによって混合物の沈降を制限するアスペクト比を尊重するために、少なくとも20リットルのサイズである必要がある:
【0074】
【数1】
(式中、L
maxは粒子のフェレー径との類似性による、所定方向での容器の最大の範囲であり、Vは前記容器の体積である。)
【0075】
混合物の沈降を最小限にするために、バケツを動かしたり混合物を機械的に圧縮したりすることなく、混合物を優しく注ぐことを保証することも重要である。次いで、充填されたバケツは秤量され、注がれた混合物の質量が決定される。かさ密度は、バケツの体積に対する測定された混合物の質量の比である。
【0076】
かさ密度を特徴づけるこのような方法は、「フレーク」としても知られている繊維凝集体のサイズを簡単に見積もる任意の代替方法より著しく正確で厳密であることに注目されたい。実際に、あらゆるミネラルウール混合物(1)は、拡張可能又は圧縮可能な体積の鉱物繊維の凝集体としてみることができ、それは、より小さくかつ/またはより低密度の繊維の複数の凝集体に、それ自体を分割することができる。したがって、追加の情報がない場合、鉱物繊維凝集体のサイズは、生成物を特徴づけるデータ及び/又は2つの生成物を比較するデータとして使用することができない。
【0077】
ガラス供給速度の値を、炉の様々な操作パラメータ及び入れた組成物のかさ密度の、変化の関数としてより正確に評価するために、本発明者らは、それぞれ20kg/m3及び110kg/m3のかさ密度を有する2つのガラスウール廃棄物のバッチを運ぶ試験工程を実施した。
【0078】
2つのタイプの試験が実施された:
- 「低温」試験、スクリューフィーダーに、所定の期間にわたってガラスウール廃棄物を供給し、次いで、これをフィーダーの出口で収集し、秤量して、フィーダーの質量流量を推定する。
- 動作中の溶融炉の入口に同じバッチ投入機が配置されるいわゆる「高温」試験。既知の質量の廃棄物が供給され、この全量を供給するのにかかった時間が記録されて、供給速度が計算される。
【0079】
両方の試験について、エンドレスフィードスクリューは、30cmのピッチ及び直径を有する。充填率は100%であり、充填されたスクリュー投入ホッパーは、定量供給を保証する。
【0080】
これらの2つの工業試験と平行して、理論上の供給速度値が、同じ操作条件下で下記式に基づいて計算され、この式は、スクリューによって運ばれる供給速度Qの概算(kg/s)を与える:
Q=r*d*V*π*R2*H
(式中、rはスクリューの充填速度であり、dは供給される混合物の密度(kg/s)であり、Vはエンドレススクリューの回転速度(s-1;標準的な供給条件下では10rpm)であり、Rはスクリューの半径(m)であり、Hはスクリューのピッチの値(m)である。)
【0081】
以下の表1は、様々なかさ密度を有する4つのガラスウールサンプルについて得られた結果を示す。これらの4つのサンプルは、様々なスクリュー回転速度でエンドレススクリューを介して炉に供給される。
【表1】
【0082】
理論上の供給速度値と低温試験で得られた結果との比較では、無視できる差が観察される。したがって、スクリュー輸送理論(理論値)は、低温の結果の比較的正確な見積もりを与えることができる。
【0083】
他方では、供給速度の理論値と、高温条件で実施された試験により得られた結果とを比較する場合、驚くべきことに、理論値の20%~40%の、供給速度の著しい減少が観察される。いくつかの仮説は、経験的に観察されるそのような値の差を場合により正当化することができ、仮説としては、投入される混合物にガラス溶融物によってかけられる圧力、及び/又は炉からの燃焼ガスの上昇が挙げられ、これらのガスは、次いでスクリューの利用可能なスペースの一部を占める。
【0084】
そのような不一致を考慮に入れつつ、産業の現実に直接適用できる。例えば、溶融炉の収益性の理由で、炉の中への原材料の最小の供給速度が、1日当たり5トン、すなわち208kg/時間であるのがよいことは一般に受け入れられる。当業者が、理論、又は冷却試験、すなわち、高温試験より実施するのが著しくより容易な試験において得られる結果に固執するならば、標準的な投入条件の下では、20kg/m3のかさ密度のガラスウール廃棄物の使用が、232kg/時間の投入速度、すなわち満足な速度を得るのに十分であるという結論に達するであろう。
【0085】
しかし、そうではない。サンプル番号1で実施された高温試験(表1を参照)は、実際に得られる供給速度が150kg/m3であり、すなわち、設定された基準をはるかに下回る流量であることを示す。
【0086】
同等の操作条件について、40%の最大偏差を考慮に入れると、208.8kg/m3、すなわち設定された最小閾値とほとんど等しい値の供給速度を得るのに必要なかさ密度は、実際には30kg/m3である。
【0087】
かさ密度のこの閾値を得ることは、自明ではない。なぜならば、それは、本発明者らによって実施された一連の複雑な(高温)試験の結果であるからである。
【0088】
粒状混合物のかさ密度を増加させるために、本発明者らは、標準的な産業用製造グラインダーを用いて、ガラスウール廃棄物の3つのバッチを粉砕する試験工程を実施し、その後、得られた粒状混合物のかさ密度をこれらのバッチの各々について測定した。この工程の目的は、特に、グラインダーの様々なパラメータ及び湿潤率の、粉砕ミネラルウール混合物のかさ密度に対する影響を評価することであった。
【0089】
第一のバッチは、標準的なガラスウールパネルだけで構成された。
【0090】
第二のバッチは、この第一のバッチに8.8kgの湿らせたガラスウール廃棄物を加えたものに対応する。
【0091】
第三のバッチは、この第二のバッチに6.4kgの湿らせたガラスウール廃棄物を加えたものに対応する。
【0092】
これらの3つのバッチに基づいて、5つの(5)試験が実施された。試験1~3は、グラインダーの設定を変更して、第一のバッチで実施される。試験番号4は、第二のバッチで実施され、試験番号5は、第三のバッチで実施された。
【0093】
以下の表2は、これらの試験の各々から得られた結果を示す。さらなる説明がない場合、この表において指定されていないすべてのパラメータは、これらの各試験間で同じである。
【表2】
【0094】
試験1及び2の結果を比較すると、グラインダースクリーンのメッシュサイズを15mmから10mmに低減することにより、得られる粒状混合物のかさ密度が72%増加し、グラインダーの容量が9.6%増加することが観察される。
【0095】
試験2及び3の結果を比較すると、ドラムの回動速度を150から210毎分回転数(rpm)に増加させることにより、得られる粒状混合物のかさ密度が6.5%増加することを理解することができる。
【0096】
試験1及び4の結果を比較すると、粉砕ガラスウール混合物への湿った廃棄物材料の添加が、得られる粒状混合物のかさ密度及びグラインダーの容量を増加させることを理解することができる。これは、試験4及び5の比較によって確認され、そこでは、湿潤廃棄物の割合を増加させることより、粉砕混合物のかさ密度及びグラインダーの容量がさらに増加することが観察される。
【国際調査報告】