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特表2023-542656対象物の表面領域における屈折率を決定する方法及び装置
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  • 特表-対象物の表面領域における屈折率を決定する方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】対象物の表面領域における屈折率を決定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/92 20190101AFI20231003BHJP
   B29C 48/05 20190101ALI20231003BHJP
   B29C 48/09 20190101ALI20231003BHJP
   B29C 48/07 20190101ALI20231003BHJP
   G01N 21/3581 20140101ALI20231003BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/05
B29C48/09
B29C48/07
G01N21/3581
G01N21/41 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516628
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2021072820
(87)【国際公開番号】W WO2022058112
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020124261.1
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511082609
【氏名又は名称】シコラ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】シコラ ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ホレ アルミン
【テーマコード(参考)】
2G059
4F207
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059AA05
2G059BB08
2G059CC20
2G059EE01
2G059HH01
2G059HH05
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059KK01
4F207AG01
4F207AG08
4F207AM23
4F207AP20
4F207AQ02
4F207AR06
4F207AR20
4F207KA01
4F207KA17
4F207KM06
4F207KM16
4F207KW50
(57)【要約】
本発明は、まだ周囲温度まで完全に冷却されていない生産システムから送られてくる加熱されたストランド状又は板状の対象物(10)の表面領域における屈折率を決定する方法であって、
a)前記対象物(10)の表面(16)に対して入射角でテラヘルツ放射を照射する、ステップと、
b)前記対象物(10)の前記表面(16)から反射された前記テラヘルツ放射を受信する、ステップと、
c)前記対象物(10)の表面領域における屈折率を、放射された前記テラヘルツ放射と反射された前記テラヘルツ放射の比から決定する、ステップと、
d)前記屈折率を決定する際に、前記テラヘルツ放射の反射部分における前記対象物(10)の表面特性の影響を考慮する、ステップと、
を有することを特徴とする方法であり、
さらに、本発明は、対応する装置に関するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まだ周囲温度まで完全に冷却されていない生産システムから送られてくる加熱されたストランド状又は板状の対象物(10)の表面領域における屈折率を決定する方法であって、
a)前記対象物(10)の表面(16)に対して入射角でテラヘルツ放射を照射する、ステップと、
b)前記対象物(10)の前記表面(16)から反射された前記テラヘルツ放射を受信する、ステップと、
c)前記対象物(10)の表面領域における屈折率を、放射された前記テラヘルツ放射と反射された前記テラヘルツ放射との比から決定する、ステップと、
d)前記屈折率を決定する際に、前記テラヘルツ放射の反射部分における前記対象物(10)の表面特性に及ぼす影響を考慮する、ステップと
を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ステップd)において、前記対象物(10)の表面形状による影響が考慮されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップd)において、反射率が既知の前記対象物(10)、好ましくは反射率が実質的に1の前記対象物(10)に対して、較正を行うことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記較正のために、前記対象物(10)の表面に、反射率が既知のコーティング、好ましくは反射率が実質的に1のコーティングが施されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングは、箔コーティング又はスプレーコーティングであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップd)において、前記対象物(10)の前記表面(16)の異なる位置に、及び/又は前記対象物(10)の前記表面(16)に対する異なる入射角で前記テラヘルツ放射を照射し、反射された前記テラヘルツ放射を受信し、最大の強度を有する反射された前記テラヘルツ放射の部分から屈折率を決定することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記テラヘルツ放射のための送信機(20)が、少なくとも1つの回動軸の周りに前記テラヘルツ放射を送信しながら回動し、かつ/あるいは前記対象物(10)の周りを回転することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象物(10)の断面にわたる平均屈折率も決定されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記平均屈折率は、前記対象物(10)に照射された前記テラヘルツ放射及び前記対象物(10)から反射された前記テラヘルツ放射からも決定されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記平均屈折率と前記対象物(10)の表面領域における前記屈折率との比較を用いて、前記対象物(10)が周囲温度まで完全に冷却される過程での収縮を推測することを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップd)において、前記対象物(10)によって反射される前記テラヘルツ放射の予想強度は、有限要素法を用いること、前記テラヘルツ放射に対する前記送信機(20)の放射特性を考慮すること、及び前記送信機(20)の前記対象物(10)に対する距離を考慮することにより決定されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象物(10)の表面領域における温度は、前記対象物(10)の前記表面領域において決定された屈折率から決定されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象物(10)はパイプ(10)であり、前記パイプ(10)の壁部の内面(18)から反射した前記テラヘルツ放射も受信し、前記壁部の前記内面(18)における屈折率を、照射した前記テラヘルツ放射と前記壁部の前記内面(18)から反射した前記テラヘルツ放射との比から決定することを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記壁部の前記内面(18)における屈折率を用いて、前記壁部の前記内面(18)における温度、及び/又は前記壁部の前記内面(18)の温度と前記対象物(10)の表面領域における温度との間の温度差、及び/又は前記壁部の前記内面(18)の温度と前記対象物(10)の表面領域における温度との間の温度勾配を決定することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象物(10)は、押出システムから送られてくるストランド状又は板状のプラスチック物体(10)であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記テラヘルツ放射は、パルステラヘルツ放射又はFMCWテラヘルツ放射であることを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
まだ周囲温度まで完全に冷却されていない生産システムから送られてくる加熱されたストランド状又は板状の対象物(10)の表面領域における屈折率を決定するための装置であって、
前記対象物(10)の表面(16)に対して入射角で前記テラヘルツ放射を送信するための送信機(20)と、
前記対象物(10)の前記表面(16)から反射された前記テラヘルツ放射を受信するための受信機(20)と、
前記対象物(10)の表面領域における屈折率を、照射された前記テラヘルツ放射と反射された前記テラヘルツ放射との比から決定するように設計されている評価装置(30)と、
を備え、
前記評価装置(30)は、前記屈折率を決定する際に、前記対象物(10)の表面特性が反射された前記テラヘルツ放射の部分に及ぼす影響も考慮するように設計されていることを特徴とする、装置。
【請求項18】
前記テラヘルツ放射を照射するための前記送信機(20)を、前記対象物の前記表面上の異なる位置、及び/又は前記対象物の前記表面に対する異なる入射角に調整可能な調整装置も備え、前記受信機は反射した前記テラヘルツ放射を受信するように設計されており、前記評価装置(30)は最大の強度を有する反射した前記テラヘルツ放射の部分から屈折率を決定するように設計されていることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記調整装置は、前記送信機(20)を少なくとも1つの回動軸の周りに回動させるための装置、及び/又は前記テラヘルツ放射を送信しながら前記送信機(20)を前記対象物(10)の周りに回転させるための装置を備えることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記対象物(10)はパイプ(10)であり、前記受信機(20)はパイプ(10)の壁部の内面(18)によって反射した前記テラヘルツ放射も受信するように設計されており、前記評価装置(30)は、反射した前記テラヘルツ放射の部分と既知の入射角とを用いて前記壁部の前記内面(18)における屈折率を決定するように設計されていることを特徴とする、請求項17から請求項19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記対象物(10)の表面領域における温度を測定するために、材料に依存しない温度測定装置、好ましくはパイロメータも設けられ、前記評価装置(30)は、測定された温度と、前記壁部の前記内面(18)の温度と前記対象物(10)の表面領域における温度との間で決定された温度差と、から前記壁部の前記内面(18)の温度を決定するように設計されていることを特徴とする、請求項17から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記装置は、ハンドヘルド装置であることを特徴とする、請求項17から請求項21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記テラヘルツ放射は、パルステラヘルツ放射又はFMCWテラヘルツ放射であることを特徴とする、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の前記方法を実行するように設計されていることを特徴とする、請求項17から請求項23のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲温度まで完全に冷却されていない生産システムから送られてくる加熱されたストランド状又はプレート状の対象物の表面領域における屈折率を決定する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、押出システムにおいて、ストランド状又は板状のプラスチック対象物は製造され、搬送方向に沿って、例えば冷却ラインを通して、周囲温度まで完全に冷却され、それに伴って完全に硬化されるまで搬送される。押出システムを出た直後、コンベヤラインの延長線上の領域では、対象物はまだ完全に冷却されておらず、ゆえに硬化していない。
【0003】
WO2016/139155A1(特許文献1)及びDE102018128248A1(特許文献2)から、ストランド状又は板状のプラスチック対象物の屈折率が、対象物にテラヘルツ放射を照射し、対象物によって反射されたテラヘルツ放射を受信することによって決定できる方法及びデバイスが知られている。これは、対象物の断面又は対象物の照射面にわたる平均屈折率である。これに基づいて、対象物の幾何学的パラメータ、例えばパイプの肉厚を、屈折率が当初不明であっても、確実に決定することができる。
【0004】
特に、押出装置から出た直後の対象物を測定する場合、この方法で確認された幾何学的パラメータは、対象物が完全に冷却された状態の実際の幾何学的パラメータから逸脱することがある。対象物が完全に冷却され硬化した後に屈折率や幾何学的パラメータを求めた方が、より信頼性の高い結果を得ることができるだろう。一方、幾何学的パラメータが誤っている場合、できるだけ早く生産プロセスに介入することができるようにして、それによってスクラップを最小限に抑えるためにも、例えば、押出システムから出た後、できるだけ早く幾何学的パラメータを決定することが望まれる。
【0005】
そのため、対象物がまだ完全に冷却されておらず、硬化していない状態で測定しても、屈折率を正確に決定できるようにする必要がある。
【0006】
冒頭で説明した屈折率を決定するための方法及び先行技術から知られている方法はまた、例えば携帯用測定装置、いわゆるハンドヘルドユニットで屈折率を確実に決定するのに最適に適しているわけではない。したがって、そのような場合でも屈折率を確実に決定することができるようにすることがさらに必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/139155号
【特許文献2】独国特許出願公開第102018128248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、説明した先行技術に基づき、本発明の目的は、対象物がまだ完全に冷却されていない状態でも、屈折率を確実に決定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立請求項1及び請求項17を通じて目的を達成するものである。有利な実施形態は、従属請求項、説明、及び図に開示されている。
【0010】
最初に挙げたタイプの方法について、本発明は、
a)対象物の表面に対して入射角でテラヘルツ放射を照射する、ステップと、
b)対象物の表面から反射されたテラヘルツ放射を受信する、ステップと、
c)対象物の表面領域における屈折率を、放射されたテラヘルツ放射と反射されたテラヘルツ放射の比から決定する、ステップと、
d)屈折率を決定する際に、対象物の表面特性がテラヘルツ放射の反射部分に及ぼす影響を考慮する、ステップと
を経て目的を達成する。
【0011】
目的を達成するための上述のタイプの装置は、
‐対象物の表面に対して入射角でテラヘルツ放射を送信するための送信機と、
‐対象物の表面から反射されたテラヘルツ放射を受信するための受信機と、
‐対象物の表面領域における屈折率を、放射されたテラヘルツ放射と反射されたテラヘルツ放射の比から決定するように設計されている評価装置と
を備え、
‐評価装置は、屈折率を決定する際に、対象物の表面特性がテラヘルツ放射の反射部分に及ぼす影響も考慮するように設計されている。
【0012】
生産システムから送られてくる本発明による測定対象物は、加熱状態であり、周囲温度まで完全に冷却されていない。したがって、その内部には、まだ完全に硬化しておらず、さらに冷却することで初めて硬化する粘性成分が存在する可能性がある。一方、対象物の表面領域は既に硬化している。追加冷却による硬化の過程で、材料は収縮する。生産システムは、例えば、押出システムであってもよい。対象物は、それに応じて、押出システムで押し出された対象物とすることができる。対象物は、例えば、プラスチック製の物体であってもよい。対象物は、例えば、パイプであってもよい。さらに、対象物は、本発明によるテラヘルツ照射中に搬送方向に沿って搬送され、例えば、その長手軸に沿ってストランド状の物体であってもよい。このために、本発明による装置は、搬送装置を備えていてもよい。さらに、本発明による装置は、対象物そのものを構成することもできる。
【0013】
本発明では、テラヘルツ放射は、既知と仮定される入射角で対象物の表面に放射される。対象物の表面は、その反射率に応じて、入射したテラヘルツ放射を少なくとも部分的に反射する。反射されたテラヘルツ放射は、受信機で受信される。テラヘルツ放射は、例えば、10GHz~3THzの周波数範囲内に存在し得る。いわゆるミリ波であってもよい。テラヘルツ放射を放出する送信機と、反射されたテラヘルツ放射を受信する受信機とは、実質的に同じ場所に配置することができる。例えば、これらは、送受信機において一緒に統合されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、まず、対象物の既に大きく冷却され硬化した表面領域において、屈折率を確実に測定できるという概念に基づいている。これは、まだ完全に冷えていない対象物には粘性部分があり、この粘性部分とすでに硬化した成分との間に狭い移行領域、いわゆる再結晶領域があるという洞察に基づいている。したがって、全体として、密度や強度、ひいては屈折率に関する特性が大きく異なる3種類の層が存在することになる。先行技術に関して冒頭で述べた方法で、粘性部分をまだ有する対象物の全断面にわたって平均屈折率を測定した場合、特にまだ粘性のある成分に関して、完全に硬化した状態の材料の屈折率に対応しない屈折率の値が得られることがある。このことは、パイプの肉厚などの幾何学的パラメータの決定に歪な影響を与える可能性がある。
【0015】
本出願人の調査によれば、粘性部分を有するパイプをさらに完全に冷却して硬化させる過程において、パイプの長さ及び直径は、常温までさらに冷却してもわずかな変化、すなわち1%未満にとどまることが判明した。しかし、完全に冷却して硬化するまでの間に、約10%のパイプ材料の収縮を確認することができる。この収縮は、実質的にすべて対象物の材料の未だ粘性のある部分に起因していると結論づけることができる。材料の屈折率は材料の密度によって変化するため、未だ粘性のある部分を有する対象物の平均屈折率を求めると、測定誤差が生じる可能性がある。これは、本発明に従って提供されるように、既に完全に冷却され、したがって硬化した対象物の表面領域で屈折率を測定することによって回避することができる。
【0016】
表面領域の屈折率を測定するには、おなじみのフレネル方程式を使用する。この方程式は、対象物の表面で反射されたテラヘルツ放射と、既知の入射角から表面に放射されたテラヘルツ放射との比から、表面領域、特に対象物の表面における屈折率を算出することができる。対象物の求める反射率、すなわち照射された放射強度に対する反射された放射強度の比は、照射された放射強度が既知であれば、受信した反射放射の部分から確認することができる。反射率は、対象物の表面領域における屈折率と対象物の環境との間の数学的関係を示している。対象物の環境の屈折率は既知であり、空気については1と仮定することができる。入射角は、最も単純なケースで0°、すなわち放射を垂直入射とすることができる。フレネル方程式は、次のように簡略化できる。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、
R:反射率
:対象物の環境の屈折率(空気は1)
:対象物の表面領域の屈折率
を示している。
【0019】
しかし、本発明者らによる追加の調査により、テラヘルツ放射を使用して、周囲温度まで完全に冷却されていない生産システムから送られてくる加熱されたストランド状又はプレート状の対象物の屈折率を決定するためのこの方法の使用が非常に複雑であることが判明した。これは特に、入射した放射に関連して反射した放射の部分を決定する場合に当てはまる。入射するテラヘルツ放射の強度レベルは、対象物からの距離によって大きく変化し、テラヘルツ放射が表面から反射する部分は、位置関係、特に対象物の表面によって変化することが明らかにされた。
【0020】
対象物からの距離や曲率は、慎重な測定設定を行うことで効果的に設定し、考慮することができる。しかし、対象物の表面は、測定セットアップの範囲内ではほとんど影響を与えることができないため、状況は異なる。特にテラヘルツ放射を使用する場合に起こるこの問題を克服するために、本発明による屈折率の決定において、対象物の表面特性がテラヘルツ放射の反射部分に及ぼす影響を考慮することが提供される。これにより、反射部分を変化させる表面による影響が考慮され、屈折率の決定結果の対応する歪みが回避され得る。例えば、テラヘルツ放射の極めて垂直な照射、ひいては反射、すなわち0°の入射角での反射が、それによって常に達成され得る。フレネル方程式で屈折率を求める際の入力変数として、対象物の表面状態が困難であったり未知であったりしても、確実に設定できる入射角は非常に重要である。
【0021】
屈折率は、使用されるテラヘルツ放射の周波数にも影響されることに留意されたい。ここで屈折率について述べる場合、それは使用されるテラヘルツ放射の周波数に対する屈折率を意味する。
【0022】
一実施形態によれば、対象物の表面形状の影響をステップd)において考慮することができる。この実施形態では、特に、凹み、隆起、溝などの不規則な表面形状が、例えば0°などの既知と仮定される入射角を、実際の入射角、したがって反射角から逸脱させるという概念に基づいている。これは、表面形状を考慮することで回避することができる。
【0023】
別の実施形態によれば、ステップd)において、既知の反射率、好ましくは実質的に1の反射率を有する対象物に対して、較正を行うことができる。較正のために、対象物の表面は、既知の反射率、好ましくは実質的に1の反射率を有するコーティングで提供することができる。較正に使用される対象物は、その表面屈折率に関して決定される対象物、すなわち、生産システムから送られてくる対象物そのものとすることができる。次に、テラヘルツ照射中に搬送方向に沿って搬送される例えば対象物の表面形状が、その搬送方向、例えばその長手方向において大きく変化しないことが仮定される。これは、例えば、押出システムから送られてくる対象物についてよく近似することができる。例えば、較正のために、測定対象物の表面は、定義された反射率、好ましくはできるだけ高い反射率、例えば1の反射率を有するかのように扱われることができる。例えば、コーティングは、箔コーティング又はスプレーコーティングであり得る。箔は、例えば、薄い金属箔であり得る。スプレーコーティングは、例えば、水スプレーコーティング、又は高反射率を有する別の液体によるコーティングであり得る。
【0024】
本発明による測定が、テラヘルツ放射のための送信機(及び受信機)が一定の配置の下で実施される場合、テラヘルツ放射の(実際の)入射角は、放射の反射部分から推測することができ、その理由は、通常の入射における放射の反射部分が、例えば、1の既知の反射率に対応しなければならないからである。ここでずれがあれば、想定した入射角0°からのずれが推論されることになる。また、このようにして設けられた面を使用して、反射された放射部分が既知の反射率、例えば約1に最も対応する送信機(及び受信機)の配置を探すことによって、送信機(及び受信機)を対応させて再配置し、法線入射を見つけ出すことが考えられる。実際の測定対象物による較正は、対象物の実際の表面形状を用いて較正を行うため、最良の結果を得ることができる。しかし、表面形状を含む対象物の形状が、既知の反射率を有する別の物体、例えば金属ストランド、特に金属パイプや金属板に対応すると近似的に仮定できる場合、測定対象物とは異なるものを較正に使用することも可能である。較正に使用する対象物に対する送信機と受信機との位置関係(距離など)は、実際に測定される対象物と非常に正確に一致しなければならない。上述の較正は、本発明による未処理対象物の屈折率を決定する前と後の両方で実施することができる。屈折率の決定結果に対する表面処理による影響を避けるために、本発明による未処理対象物の屈折率を決定した後に較正を実施することが好ましい場合がある。この場合、当然ながら、送受信機の再調整は不要である。
【0025】
別の実施形態によれば、ステップd)において、テラヘルツ放射は、対象物の表面の異なる位置に、及び/又は対象物の表面に対する異なる入射角で放射することができ、反射されたテラヘルツ放射が受信され、屈折率は、最大の強度を有する反射されたテラヘルツ放射の部分から決定される。したがって、テラヘルツ放射の送信機(受信機)の配置を変えて最大反射放射パワーを求める、すなわち、法線入射を求めることができる。そして、最大の反射放射強度の周辺では、入射角が実質的に0°に対応すると仮定される。この点に関する別の実施形態によれば、テラヘルツ放射のための送信機(及び受信機)は、少なくとも1つの回動軸の周りにテラヘルツ放射を送信しながら回動することができ、及び/又は対象物の周りを回転することができる。原理的には、管状の対象物の周囲を円形に周回したり、入射角を一次元的又は二次元的に変化させたり、例えば、送信機と受信機とを振り子運動させたりすることが可能であると考えられる。各場合、最大強度を把握し、屈折率を決定するための基礎として使用することができる。そのためには、例えば、送信機と受信機を電気的又は機械的に(急速に)傾けたり、螺旋状にしたりすることが考えられる。この点では、例えば、いわゆるガルバノスキャナーが考えられる。最大強度は、原理的には、例えば包絡曲線に対して合わせ込むことで決定することができる。この実施形態は、特に、対象物の表面を迅速に走査するための装置、特に、ハンドヘルドユニットを持つ手の避けられないぐらつきと比較して、迅速に走査するための装置を使用することによってハンドヘルドユニットの支持体が省略された、ハンドヘルドユニットについても考え得る。もちろん、すべてが対象物の表面にテラヘルツ放射を照射し、反射放射を受信する複数の送信機及び受信機を、例えば異なる場所に、又は対象物の円周上に分散して設けることも原理的には考えられるだろう。そして、最も高い強度を持つ反射放射を、その後の評価に使用することができる。最大値を把握することに追加又は代替して、受信した反射テラヘルツ放射の平均値から、又は受信した反射テラヘルツ放射の二次平均値から、平均屈折率を決定することも可能である。
【0026】
別の実施形態によれば、平均屈折率は、さらに、対象物の断面にわたって決定することができる。この平均屈折率は、対象物に放射され、対象物から反射されたテラヘルツ放射から決定することもでき、この場合、少なくとも部分的に対象物を透過して輝き、対象物の内部境界面から反射された放射部分も受信して評価する。この点における屈折率は、例えば、WO2016/139155A1(特許文献1)又はDE102018128248A1(特許文献2)に記載されているように決定することができる。それに応じて、これらの文書を参照する。有利な点は、対象物の表面領域における屈折率を決定するためのものと同じ測定及び評価装置、特に同じ送信機及び受信機を使用することができることである。異なる表面からの反射信号は、測定のために個別に評価できるように、時間又は周波数によって識別できることが理解される。テラヘルツ放射は、特にFMCWモード(周波数変調連続波)、又はパルスモードで放射することができる。
【0027】
別の実施形態によれば、平均屈折率と対象物の表面領域の屈折率との比較は、対象物が周囲温度まで完全に冷却される過程での収縮を推測するために使用することができる。材料の屈折率は、とりわけ温度に依存し、特に材料の密度に依存する。まだ粘性のある部分は、完全に冷却された領域よりも密度が低いので、そのようなまだ粘性のある部分の屈折率も低くなる。したがって、粘性領域も考慮した平均屈折率と、粘性領域を考慮しない表面屈折率との差から、粘性領域の存在とその部分を推測することができ、したがって予想収縮率を確実に推測することができる。これは、測定が押出システムなどの生産システムから出た直後に実質的に行われる場合にも当てはまる。
【0028】
別の実施形態によれば、ステップd)において、対象物によって反射されるテラヘルツ放射の予想強度は、有限要素法を用いて、テラヘルツ放射に対する送信機の放射特性、及び送信機の対象物までの距離を考慮に入れて決定することができる。この予想される反射テラヘルツ波の部分は、特に、入射角=反射角=0°の法線入射のときの部分に相当する。実際に測定された反射放射の強度が期待値から逸脱している場合、想定される入射角0°からの逸脱を推測することができ、これを数学的に考慮するか、測定設定で修正することができる。
【0029】
別の実施形態によれば、対象物の表面領域における温度は、対象物の表面領域における決定された屈折率から決定することができる。説明したように、屈折率は温度依存性である。したがって、屈折率を決定する位置又は場所における温度は、決定された屈折率から推論することができる。
【0030】
別の実施形態によれば、対象物はパイプであってもよく、パイプの壁部の内面から反射されたテラヘルツ放射も受信され、壁部の内面における屈折率は、照射されたテラヘルツ放射と壁部の内面から反射されたテラヘルツ放射との比から決定される。もちろん、材料を通る経路に沿ったテラヘルツ放射の減衰も考慮する必要がある。
【0031】
この点に関する別の実施形態によれば、壁部の内面における屈折率は、壁部の内面における温度、及び/又は壁部の内面の温度と対象物の(外)表面領域における温度との間の温度差及び/又は温度勾配を決定するために用いることができる。このような温度の考慮により、例えば、材料(バッチ)変化が検出され、計算して取り除かれるため、本発明による屈折率の決定は、このような変化とは無関係に行われることができる。さらに、温度差または温度勾配を考慮することは、例えばパイプ壁などの断面で組成や屈折率が変化する材料で特に興味深いことである。これは、例えば、強く反射する境界面を持つ発泡材料の場合である。原理的には、本発明は、特に対象物に層状構造がある場合、材料中の複数の異なる材料層の屈折率を決定するために使用することも可能である。この目的のために、層間の境界層で反射されるテラヘルツ放射は、屈折率を決定するために評価することができる。
【0032】
また、対象物の表面領域における決定された温度と、壁部の内面における決定された温度とから、対象物の平均温度を決定することも考えられる。また、対象物の断面にわたる決定された平均屈折率から、対象物の平均温度を決定することも考えられるだろう。そして、決定された2つの対象物の平均温度を比較することができる。この比較から、対象物の材料特性の変化、例えば材料の変化、成分の混合、バッチの変化などを推測することが可能である。また、高温計のような材料に依存しない温度測定装置を用いて、対象物の表面領域の温度を測定することも考えられる。壁部の内面における温度は、測定された温度と、壁部の内面の温度と対象物の表面領域における温度との間で決定された温度差とから決定することができる。したがって、材料に依存しない絶対的な内部温度は、内部に対応する温度測定装置を設けることなく決定することができるが、これも実際には不可能なことが多い。
【0033】
このようにして測定された、例えばパイプの壁部の外表面と内表面との絶対表面温度から、例えば上記のように求めた平均屈折率から求めた平均温度との比較により、対応した差異が生じた場合には、他の材料の混入、新しいロットなどの材料変化を推測することが可能である。
【0034】
原理的には、対象物の表面特性、特に表面形状を考慮するために、例えばレーザー放射によって、表面を光学的に追加測定することも可能であろう。そして、本発明による表面屈折率を決定する際に、表面のあらゆる形状を考慮することができる。レーザー三角測量は、例えば、測定に使用することができる。
【0035】
また、対象物の送受信機と反対側に反射板を設けると、送信機の強度の変動や受信機の感度の変動によって測定結果が左右されるのを防ぐのに有利である。
【0036】
別の実施形態によれば、本発明による装置は、ハンドヘルドユニット、すなわち手動で持ち運べるユニットであり得る。このようにして、屈折率を外部から非常に簡単な方法で確実に決定することができる。また、本発明により、携帯型ユニットを使用する場合にも、信頼性の高い測定が可能となる。
【0037】
本発明による装置、特にその評価装置は、本発明による方法を実施するように設計することができる。したがって、本発明による方法は、本発明による装置によって実施することができる。
【0038】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による装置の第1図である。
図2】本発明による装置の第図1から第2図である。
図3】被検対象物の表面形状の影響を可視化するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図中、特に断りのない限り、同じ符号は同じものを指している。
【0041】
図1は、本発明による装置を垂直断面図で示したものである。図2は、図1からの装置を水平断面図で示す。図1及び図2に示す例示的な実施形態では、生産システム、例えば押出システムから送られてくるまだ周囲温度まで完全に冷却されておらず、その表面の領域では既に大部分が冷却されて完全に硬化しているが、その内部ではまだ粘性部分を有する加熱された対象物10が、図1では図面の平面に垂直に延びるその中心長手軸(シリンダ軸)に沿って、図2では下から上に延びている、適当な搬送装置(詳細には図示せず)により、装置を通って搬送される。本実施例における対象物10は、円筒形のプラスチックパイプ10である。パイプ10の断面が円形であることは、図1に示す断面説明図において容易に判別できる。特に、パイプ10の壁12は、中空スペース14を区画する、円形断面を有する外面16と、同じく円形断面を有する内面18を有している。
【0042】
図1及び図2に示す本発明による装置はまた、テラヘルツ放射を照射するための送信機と、送信機によって照射されパイプ10の境界面によって反射されたテラヘルツ放射を受信するための受信機とを備え、送信機及び受信機は、図示の例では、テラヘルツ送受信機20によって形成されている。もちろん、空間的に分離した、例えば対向する、送信機及び受信機も提供され得る。参照符号22は、放射光学系を概略的に表し、本実施例では、テラヘルツ放射用の両凸レンズ21及び円筒レンズ23を備える。もちろん、他の放射線光学系も考えられる。例えば、両凸レンズと円筒レンズとを組み合わせたものを使用することも可能である。さらに、送受信機20と放射光学系22とによって形成される光学系の光軸25が、パイプ10の長手軸に対して垂直であることは、図1及び図2において識別可能である。送受信機、すなわち送受信機20は、さらに、線28によって評価装置30に接続されている。放射線は、パイプ10の中心に集束する必要はなく、他の任意のビーム特性を有することができることに留意されたい。特に、平行放射線も放射され得る。さらに、照射される放射は、適切な調整装置によってその方向を制御可能に変更することが可能である。
【0043】
符号26は、装置内を案内したパイプ10の長手軸方向に走る長手軸を有するテラヘルツ放射用の円筒状に湾曲した反射板を示す。反射板26の曲率中点は、円筒形反射板26の焦点線がパイプ10の長手軸と一致するように、測定されるパイプ10の曲率中点と一致する。反射板26は、測定信号を増幅し、受信機によって受信された異なる測定信号の識別を向上させることを可能にする。さらに、送信機及び受信機の送信力または受信感度の揺らぎを補うのに役立つ。反射板26は、異なる幾何学的形状を有することも可能であることに留意されたい。また、反射板26を完全に省くことももちろん可能である。
【0044】
図1及び図2に示す本発明による装置、特に送受信機20により、テラヘルツ放射は、可能であれば0°の入射角でパイプ10の外面16に放射される。対象物の外面16から反射されたテラヘルツ放射は、今度は送受信機20によって受信される。評価装置30によって、表面領域、特にパイプ10の外面16における屈折率が、照射されたテラヘルツ放射と反射されたテラヘルツ放射との比から決定される。屈折率は、特に、フレネル方程式を用いることにより、上記で説明した方法で算出することができる。
【0045】
図3に示す図は、この手順の基本的な問題点を説明するものである。この目的のために、完全に冷却され硬化した円形円筒形のプラスチックパイプ10の試験として、図1及び図2に示す装置をプラスチックパイプ10の周囲で360°回転させ、各場合にテラヘルツ放射をプラスチックパイプ10の外面16に放射し、この外面16から反射したテラヘルツ放射を、再び送受信機20によって受信した。プラスチックパイプ10がほぼ均質な屈折率を有すると仮定すると、反射したテラヘルツ放射の測定された強度振幅は、回転によってわずかに影響されるだけであるはずである。
【0046】
図3は、回転の過程で送受信機20によって実際に受信された反射テラヘルツ放射の強度振幅を示す。Y軸に反射テラヘルツ放射の強度を任意の単位でプロットし、X軸に装置、特に送受信機20の回転角度をプロットしている。その結果、プラスチックパイプの材質の屈折率の不規則性からは説明できない、20%以上の強度変動が生じることが明らかになった。この変動は、プラスチックパイプの表面特性、特に不規則な表面形状に起因している。これにより、テラヘルツ放射の入射角、したがって反射角も、送受信機20の回転中の表面の形状に応じて変化し、その結果、反射したテラヘルツ放射の受信強度に対応する変動が発生する。
【0047】
この問題を解決するために、例えば、全回転にわたって受ける放射強度の最大値を求め、これを基に入射角0°を想定した屈折率を算出することができる。この評価は、最大強度が生じるときの入射角が実質的に0°であると仮定したものである。
【0048】
パイプ10の表面特性、特にパイプ10の表面形状による影響を考慮するために、本発明による装置で他の手順も可能である。したがって、送受信機20は、例えば、テラヘルツ放射がパイプ10の外面16上の異なる位置に、及び/又はパイプ10の外面16に対する異なる入射角で放射されるように、旋回又は螺旋状にすることができる。その結果、受信した反射放射部分から最大値を決定し、屈折率を決定するためのさらなる評価の基礎として使用することができる。送受信機20は、移動のためにその内部に組み込まれた調整器具を有することができる。
【0049】
また、既知の反射率、好ましくは1の反射率を有する測定されるパイプ10に対して較正を行うことも可能である。これを行うには、パイプ10の表面に、本発明による屈折率を決定した後、例えば箔コーティングまたはスプレーコーティングなどの既知の反射率、好ましくは実質的に1の反射率を有するコーティングを施し、本発明による反射テラヘルツ放射の測定を再度実施することができる。既知の反射率に基づいて予想される反射された放射強度からの偏差がある場合、これは、以前に決定した屈折率を補正するためにその後計算することによって考慮され得る。
【0050】
図1及び図2に示すように、パイプ10は、照射されたテラヘルツ放射に対して少なくとも部分的に透過しており、照射されたテラヘルツ放射は、したがって、パイプ10の境界面でも追加して反射し、これらの追加反射放射部分は送受信機20によっても受信されるので、例えばWO2016/139155A1(特許文献1)又はDE102018128248A1(特許文献2)に記載のように、パイプ10の横断面に渡る平均屈折率を決定するのに図1と2に示した装置を使うこともできる。この点に関して、引用文献を参照されたい。
【0051】
温度はまた、上記に説明されたように、例えばパイプ10の外面16及び/又は内面18における、又はパイプ10の断面にわたる平均温度も、これに基づいて決定することができる。例えば外面16の温度もパイロメータのような材料に依存しない温度測定装置によって測定される範囲において、パイプ10の内面18における温度の材料に依存しない絶対値も、上で説明した方法で確認することができる。
【0052】
さらに、その完全な冷却、ひいては完全な硬化の間のパイプ10の収縮は、決定された平均屈折率とパイプ10の外面16の領域における決定された屈折率との比較から推論することができる。
【0053】
このようにして得られた屈折率に基づいて、パイプ10の追加の幾何学的パラメータを、例えば、パイプ10の異なる境界面で反射された放射部分の伝搬時間測定を用いることによって、知ることができる。これは、例えば、符号32によって図中に示される外径、又は符号34、36によって示されるパイプ10の壁厚に関連する。光学的な壁の厚さ又は光学的な直径について伝搬時間の測定値を用いて決定された値は、それ自体既知の方法で屈折率について得られた値を用いて幾何学的な壁の厚さ又は直径に変換され得る。
【0054】
図に示す装置は、例えばパイプ10を中心に回転するように設計された恒久的な設置が可能であり、また、携帯可能なハンドヘルド装置とすることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 対象物/パイプ
12 壁
14 中空スペース
16 外面
18 内面
20 送受信機
21 両凸レンズ
22 放射線光学
23 円筒形レンズ
25 光軸
26 反射板
28 線
30 評価装置
32 外径
34 肉厚
36 肉厚
図1
図2
図3
【国際調査報告】