(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】粉末熱間等方圧加圧サイクル
(51)【国際特許分類】
B22F 3/15 20060101AFI20231003BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20231003BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20231003BHJP
C22C 14/00 20060101ALI20231003BHJP
B22F 9/14 20060101ALI20231003BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20231003BHJP
B01J 2/02 20060101ALI20231003BHJP
B01J 3/06 20060101ALI20231003BHJP
C22C 1/04 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
B22F3/15 M
B22F1/00 R
B22F1/05
C22C14/00 Z
B22F9/14 Z
B22F9/08 A
B01J2/02 A
B01J3/06 B
B01J3/06 P
C22C1/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519050
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 GB2021052442
(87)【国際公開番号】W WO2022064181
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プライス、ハワード・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート、ピーター・ニール
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー、ショーン
【テーマコード(参考)】
4G004
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4G004CA01
4K017AA04
4K017BA10
4K017BB01
4K017BB08
4K017BB09
4K017CA07
4K017EF01
4K017FA14
4K018AA06
4K018BA03
4K018BB04
4K018EA11
4K018KA70
(57)【要約】
物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製する方法であって、本方法は、前駆体を提供することと、ここにおいて、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備え、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を少なくとも部分的に作製することと、ここにおいて、前駆体をHIPすることは、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するために、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することを備え、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をその前駆体から作製する方法であって、前記方法は、
コンテナ中にα+βTi合金の粉末を封入することを含む、前記前駆体を提供することと、ここで、前記粉末は、電極誘導ガス噴霧(EIGA)によって形成され、
第1の圧力で前記前駆体を等方圧圧縮することによって前記前駆体を冷間圧縮し、それによって圧縮された前駆体を提供することと、
75MPa~150MPaの範囲におけるN番目の圧力で、及び850℃~950℃の範囲におけるN番目の温度で、圧縮された前記前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって前記物品を作製することと
を備え、前記第1の圧力対前記N番目の圧力の比率は、1:2~9:10の範囲である、方法。
【請求項2】
前記第1の圧力対前記N番目の圧力の比率は、2:3~17:20の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の圧力で前記前駆体を等方圧圧縮することによる前記前駆体の冷間加圧は、加熱又は冷却を適用することを伴わない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉末の粒子は、アルゴンが封入された気泡を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末の前記粒子は、少なくとも50μmの寸法を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記N番目の圧力から周囲圧力に向かって前記物品を等温減圧し、その後、前記N番目の温度から周囲温度に向かって、減圧された前記物品を冷却することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記N番目の圧力から周囲圧力に向かって前記物品を等温減圧することは、前記N番目の圧力から周囲圧力に向かって前記物品を等温減圧することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記N番目の温度から周囲温度に向かって、減圧された前記物品を冷却することは、第1の冷却速度で冷却し、その後、第2の冷却速度で冷却することを含み、前記第1の冷却速度は、前記第2の冷却速度よりも遅い、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体を冷却することは、前記前駆体を等圧冷却することを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体を等圧冷却することは、周囲圧力で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記N番目の温度から周囲温度に向かって、減圧された前記物品を冷却することは、前記N番目の温度からN+1番目の温度まで前記前駆体を等圧冷却することを含み、前記N+1番目の温度は、前記N番目の温度の少なくとも80%である、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体の冷間加圧は、周囲温度で行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記α+βTi合金は、Ti-6Al-4V合金である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記N番目の圧力は、90MPa~125MPaの範囲であり、前記N番目の温度は、875℃~925℃の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記物品は、航空宇宙コンポーネント、ビークルコンポーネント、又は医療コンポーネントである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間等方圧加圧に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末鍛造、熱間等方圧加圧(HIP)、金属射出成形(MIM)、電流支援焼結(ECAS)、及び付加製造(AM)を含む粉末冶金(PM)は、金属粉末、好ましくは球状金属粉末からの物品のニアネットシェイプ(NNS)作製を提供する。球状金属粉末は、典型的には、ガス噴霧(GA)、プラズマ球状化(PS)、プラズマ噴霧(PA)、及びプラズマ回転電極法(PREP)を含むプラズマ球状化又は噴霧によって作り出される。GA及びPAは、典型的には、PREPと比較して比較的より微細な粉末を作り出し、故に、いくつかのPM技法にとって好ましい。GA粉末中の汚染物質レベルは、PA粉末よりも比較的低く、故に、いくつかの金属にとって好ましくあり得る。しかしながら、GAは、GA粉末中の気孔としてのガスの巻き込みをもたらし得る。これらのガス気孔は、PM作製された物品の機械的特性、特に疲労特性に有害であり、HIPを使用しても完全には排除することができない。
【0003】
故に、PMを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、とりわけ、本明細書で特定されようと他で特定されようと、先行技術の欠点のうちの少なくともいくつかを少なくとも部分的に排除又は軽減する、HIPのための装置及び方法を提供することである。例えば、本発明の実施形態の目的は、PM作製された物品の機械的特性に対する巻き込まれたガス気孔の影響を弱めるHIPの方法を提供することである。例えば、本発明の実施形態の目的は、その機械的特性の制御を改善するHIPを使用して物品を少なくとも部分的に作製するための装置を提供することである。例えば、本発明の実施形態の目的は、HIPを使用して少なくとも部分的に作製され、従来のHIP使用して少なくとも部分的に作製された物品と比較して改善された機械的特性を有する物品を提供することである。
【0005】
第1の態様は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製する方法を提供し、本方法は、
前駆体を提供することと、ここにおいて、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備え、
前駆体を等方圧圧縮し、それによって圧縮された前駆体を提供することと、
温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、圧縮された前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を少なくとも部分的に作製することと
を備える。
【0006】
第2の態様は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するための熱間等方圧加圧(HIP)装置を提供し、本装置は、
閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するために、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することによって、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、その中に閉気孔を有する金属を備える前駆体をHIPし、それによって、物品を少なくとも部分的に作製するように構成される。
【0007】
第3の態様は、第1の態様の方法及び/又は第2の態様の装置に従って成形された物品を提供する。
【0008】
第4の態様は、第1の態様に記載の方法を少なくとも部分的に実施するように構成されたプロセッサ及びメモリを備えるコンピュータを提供する。
【0009】
第5の態様は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実行されると、コンピュータに、少なくとも部分的に第1の態様に記載の方法を実行させる命令を備えるコンピュータプログラムを提供する。
【0010】
第6の態様は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実行されると、コンピュータに、少なくとも部分的に第1の態様に記載の方法を実行させる命令を備える非一過性コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0011】
第7の態様は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製する方法を提供し、本方法は、前駆体を提供することと、ここにおいて、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備え、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を少なくとも部分的に作製することと、ここにおいて、前駆体をHIPすることは、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するために、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することを備え、を備える。
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明によると、添付の特許請求の範囲に記載したような方法が提供される。また、装置及び物品が提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項及び以下の説明から明らかになるであろう。
【0013】
[方法]
第1の態様は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製する方法を提供し、本方法は、
前駆体を提供することと、ここにおいて、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備え、
前駆体を等方圧圧縮し、それによって圧縮された前駆体を提供することと、
温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、圧縮された前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を少なくとも部分的に作製することと
を備える。
【0014】
好ましい一例では、第1の態様は、物品をその前駆体から作製する方法を提供し、本方法は、
コンテナ中にα+βTi合金の粉末を封入することを備える、前駆体を提供することと、ここにおいて、粉末は、電極誘導ガス噴霧(EIGA)によって形成され、
第1の圧力で前駆体を等方圧圧縮し、それによって圧縮された前駆体を提供することによる前駆体の冷間加圧と、
75MPa~150MPaの範囲のN番目の圧力で、及び850℃~950℃の範囲のN番目の温度で、圧縮された前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を作製することと
を備え、第1の圧力対N番目の圧力の比率は、1:2~9:10の範囲である。
【0015】
このようにして、前駆体のHIPの前に又は一部として前駆体を等方圧圧縮することによって、金属中の閉気孔の形態(即ち形状)がHIP中に制御され、それによって物品中の残留閉気孔の形態を画定する。特に、このようにして閉気孔の形態を制御することによって、物品中の残留閉気孔は、比較的より球状であり得、それによって、それに起因する有害な影響を減少させ得る。特に、比較的より球状の、理想的には球状の閉気孔は、例えば、楕円体又は環状体の閉気孔と比較して、比較的より低い応力集中をもたらす。このようにして、作製された物品の機械的特性に対する閉気孔の影響、例えば疲労特性に対する有害な影響は、従来のHIPを使用して少なくとも部分的に作製された物品と比較して弱められる。
【0016】
言い換えれば、本方法は、例えば、チタン合金粉末を使用して航空機コンポーネント(即ち物品)を製造するときに、HIPサイクルを修正することを備える。本方法は、EIGAなどの、アルゴンガスの巻き込みをもたらし得るGAによって作り出された粉末を使用するときに特に有益であるが、それは、汚染が低減することに起因して、PAによって作り出された粉末を使用するよりも好ましくあり得る。特に、アルゴンは、チタンに実質的に不溶性であり、このことから、HIP後であっても、巻き込まれたガスとして残る。本方法はまた、PMが電子ビーム粉末床選択的溶融又はレーザ粉末床選択的溶融などの溶融プロセスを伴うときであっても、ガスがその中の気孔中に巻き込まれたままであり得るため、ガス巻き込みの影響を受けやすい任意の粉末を使用して作製されるPM物品にも適している。
【0017】
本明細書で定義される温度、圧力、及び時間は、別段の記載がない限り、SI単位であることを理解されたい。一般に、HIP中に前駆体に適用される温度変化は、前駆体にわたる平衡化を必要とし、その持続時間は、温度変化の速度、温度変化の大きさ、前駆体の熱質量、前駆体の熱伝導率、及び/又は前駆体の寸法に少なくとも部分的に依存することを理解されたい。圧力は、HIP中に前駆体に印加される圧力であることを理解されたい(閉気孔中の圧力を参照)。温度変化とは対照的に、圧力変化は、前駆体全体によって直ちに経験される。
【0018】
HIPサイクルに対する修正は、粉末顆粒(即ち粒子)内の、アルゴンなどの巻き込まれた気泡(即ち閉気孔)が圧縮される方法と、これらの気泡が発達するその後の形状とを制御することを意図される。また、その後の高温熱処理サイクル(例えば、焼きなまし若しくは応力除去)又はサービス中の高温への曝露によって引き起こされる損傷を回避することも意図される。
【0019】
[作製]
本方法は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するものである。即ち、物品のその前駆体からの作製(即ち、製造、成形)は、本明細書に説明するようなHIPを含む。物品を作製することは、HIP前及び/又は後に他のステップを含み得ることを理解されたい。例えば、物品を作製することは、付加製造を含み得、それによって、HIP前に前駆体を提供する。例えば、物品を作製することは、HIP後に物品を熱処理、熱機械成形、及び/又は機械加工(即ち除去製造)することを含み得る。
【0020】
[物品]
本方法は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するものである。
【0021】
一例では、物品は、機体コンポーネントなどの航空宇宙コンポーネント、エンジンコンポーネントなどのビークルコンポーネント、又は埋め込み可能な医療デバイスなどの医療コンポーネントを備え、及び/又はそれらである。
【0022】
[前駆体]
本方法は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するものである。前駆体は、物品の前駆体、例えば、粉末、封入された粉末、鋳物、焼結部品、又は付加製造(AM)によって製造された部品であることを理解されたい。
【0023】
本方法は、前駆体を提供することを備え、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備える。即ち、前駆体は、その金属中に、その中に閉気孔を有する。例えば、閉気孔は、粉末粒子、鋳物、焼結部品、又はAMによって製造された部品中にあり得る。
【0024】
一例では、前駆体を提供することは、付加製造、例えば、第1の粒子を含む粒子のセットを備える粉末を選択的レーザ溶融することを備える。一例では、前駆体を提供することは、供給材料から前駆体を付加製造(AM)することを備え、例えば、粉末は、その中に閉気孔を有する金属を備え、及び/又は閉気孔は、AM中に形成される。即ち、前駆体は、AMによって提供され、その後、本明細書に説明するようにHIPされて、例えば、多孔性を低減し、及び/又はその密度を増大させる。
【0025】
一例では、前駆体は、第1の粒子を含む粒子のセットを備える粉末を備え、第1の粒子は、閉気孔を備える。一例では、前駆体を提供することは、例えばコンテナ中に、その中に閉気孔を有する金属の粉末を封入することを備える。典型的には、コンテナは、HIP後に機械加工することによって除去される。
【0026】
[付加製造]
ISO/ASTM 52900-15は、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積(DED)、材料押出、材料噴射、粉末床溶融結合(PBF)、シート積層、及び液槽光重合を含む、付加製造プロセスの7つのカテゴリーを定義している。これらの付加製造プロセスは公知である。
【0027】
特に、直接金属レーザ焼結(DLMS)、選択的熱焼結(SHS)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、レーザ金属堆積(LMD)、及び電子ビーム溶融(EBM)などのDED及びPBF技法は、金属粉末及び/又はワイヤ(フィラメントとしても知られる)などの供給材料から、例えば、金属物品を作製する(即ち、製造する、成形する)のに適している。同様に、ポリマー物品は、例えば、熱可塑性物質を含むポリマー組成物を備える粉末及び/又はフィラメントなどの供給材料から製造され得る。供給材料は、その溶融を含む高温、例えば、約
【0028】
【0029】
の範囲の温度Tに加熱され、ここで、Tmは、供給材料の絶対溶融温度(K)である。
【0030】
一例では、AMは、DED、例えば、ワイヤ又は粉末DED、及び/又はPBF、例えばDMLS、SHS、SLS、SLM、LMD、又はEBMを備え、及び/又はそれらである。
【0031】
金属
一例では、金属は、遷移金属、例えば、第1列、第2列、又は第3列遷移金属である。一例では、金属は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnである。一例では、金属は、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、又はCdである。一例では、金属は、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、又はHgである。
【0032】
非合金金属は、比較的高い純度、例えば、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、少なくとも99.95重量%、少なくとも99.99重量%、少なくとも99.995重量%、又は少なくとも99.999重量%の純度を有する金属を指すことを理解されたい。
【0033】
一例では、金属は、鉄合金又は非鉄合金、例えば、ステンレス鋼、Al合金、銅合金、Ti合金、Ni合金、又はそれらのそれぞれの合金の混合物、好ましくはそれらの対応する及び/又は適合性のある合金(例えば、同様の又は同じ公称組成物を有する)を備える。
【0034】
一例では、金属は、第1列遷移金属、例えばSc、Ti、Cr、Mn、Ni、若しくはCu、第2列遷移金属、例えばZr若しくはNb、III族元素、例えばAl、及び/又はそれらの混合物、例えば合金を備える。
【0035】
好ましい一例では、金属は、Ti合金、例えば、AMS 4911R、AMS 4928W、AMS 4965K、及びAMS 4905Fに準じた、以下に説明するようなTi-6Al-4V合金を備え、及び/又はそれから成る。
【0036】
[Ti合金]
一例では、金属は、Ti合金粉末、例えば、α+βTi合金、又はα+βTi合金のベータトランザス温度βtransusを超えて熱処理されたα+βTi合金を備え、及び/又はそれらである。
【0037】
[α+βTi合金]
Tiの原子半径の±15%以内の原子半径を有する元素は置換元素であり、Tiへのかなりの溶解度を有する。Tiの原子半径の59%未満の原子半径を有する元素、例えば、H、N、O、及びCは、格子間位置を占有し、実質的な溶解度も有する。Ti中の置換元素及び格子間元素の比較的高い溶解度は、析出硬化Ti合金を設計することを困難にする。しかしながら、Bは、C、O、N、及びHと類似しているが、それらよりも大きい半径を有し、従って、Tiホウ化物析出を誘発することが可能である。いくつかの合金では、Cu析出も可能である。
【0038】
置換元素は、α相及びβ相の安定性に対するそれらの効果に従って分類され得る。故に、Al、O、N、及びGaは、α安定剤であり、その一方で、Mo、V、W、及びTaは、全てβ安定剤である。Cu、Mn、Fe、Ni、Co、及びHもまた、β安定剤であるが、共析晶を形成する。共析反応はしばしば緩慢であり(置換原子が関与するので)、抑制される。Mo及びVは、β安定性に対して最も大きい影響を有し、一般的な合金元素である。Wは、その密度が高いことに起因して、滅多に添加されない。CuはTiCu2を形成し、それは、そのようなTi合金を時効硬化させ、熱処理可能にする。Zr、Sn及びSiは、中性元素である。
【0039】
格子間元素は、Ti格子に適切に適合せず、格子パラメータの変化を引き起こす。水素は、最も重要な格子間元素である。体心立方格子構造(BCC)Tiは、原子当たり3つの八面体間隙を有し、その一方で、六方最密充填構造(CPH)Tiは、原子当たり1つの八面体間隙を有する。従って、後者の方が大きく、そのため、O、N、及びCの溶解度は、α相において遙かにより高い。
【0040】
ほとんどのα+βTi合金(α-βTi合金、アルファ-ベータTi合金、二相Ti合金、又は2相Ti合金としても知られている)は、高い強度及び成形性を有し、β→α+β相場からの焼き入れ時に実質的な量のβが保持されることを可能にする4~6重量%のβ安定剤を含有する。典型的なα+βTi合金は、Ti-6Al-4V(別段の記載がない限り、全ての公称組成物は重量%)であり、その一方で、他のα+βTi合金は、Ti-6Al-6V-2Sn及びTi-6Al-2Sn-4Zr-Moを含む。Alは、合金密度を低減し、α相を安定化及び強化し、α+β→β変態温度を上昇させ、その一方で、Vは、熱間加工のためにより多くの量のより延性のβ相を提供し、α+β→β変態温度を低減する。表1は、選択されたα+βTi合金の公称組成物を示す。
【0041】
【0042】
表1:選択されたα+βTi合金の公称組成物;(a)焼きなまし状態に対して与えられる機械的特性;強度を増大させるために溶体化処理及び時効処理され得る;(b)溶体化処理及び時効処理された状態に対して与えられる機械的特性;焼きなまし状態では通常適用されない合金;(c)半商用合金;供給業者との交渉の対象となる機械的特性及び組成制限;(d)主に管合金;強度を増大させるために冷間引き抜きされ得る;(e)組み合わされたO2+2N2=0.27%;(f)代替の時効処理温度(480℃、又は900°F)を使用して同様に溶体化処理及び時効処理された;(g)他の元素合計(重量%、最大)0.40;(h)他の元素各々(重量%、最大)0.10;(i)Y(重量%、最大)0.005;(j)Y(重量%、最大)0.05;(k)Ru(重量%、最小)0.08、Ru(重量%、最大)0.14。
【0043】
Ti-6Al-4V(マルテンサイトα+βTi合金;Kβ=0.3)は、作り出される全てのTi合金の約半分を占め、その強度(1100MPa)、300℃での耐クリープ性、耐疲労性、良好な鋳造性、塑性加工性、熱処理性、及び溶接性のために一般的である。必要とされる機械的特性に応じて、Ti-6Al-4V合金、より一般にはα+βTi合金に適用される熱処理は、部分焼きなまし(600~650℃で約1時間)、完全焼きなまし(700~850℃に続いて約600℃まで炉冷し、続いて空冷)、又は溶体化(880~950℃に続いて水焼き入れ)及び時効処理(400~600℃)を含む。
【0044】
α+βTi合金は、航空宇宙用途で使用される構造材料の非常に重要な群を構成する。これらのα+βTi合金の微細構造は、熱機械プロセス及び/又は熱処理中に著しく変化させることができ、疲労挙動を含むそれらの機械的特性を特定の用途要件に合わせることを可能にする。
【0045】
α+βTi合金の微細構造の主なタイプは以下の通りである:
1.ラメラであって、ベータトランザス温度βtransusを超える単相β場の温度で変形又は熱処理が行われるときに徐冷後に形成され、直径が数百ミクロンの大きいBCCβ相グレイン内にHCPα相ラメラのコロニーを備える、及び、
2.等軸であって、2相α+β場(即ち、βトランザス温度βtransus未満)での変形後に形成され、β相行列中に分散された球状α相を備える。
【0046】
一例では、温度のセットのうちのM番目の温度は、α+βTi合金のベータトランザス温度βtransus未満である。
【0047】
ベータトランザス温度βtransusは、α+β→β変態が起こる温度であり、このことから、Ti合金がBCCβ相の体積分率Vf=1から成る最低温度である。
【0048】
ラメラ微細構造は、比較的低い引張延性、中程度の疲労特性、並びに良好な耐クリープ性及び耐亀裂成長性を特徴とする。機械的特性に関するラメラ微細構造の重要なパラメータは、βグレインサイズD、α相ラメラのコロニーのサイズd、α相ラメラの厚さt、及びラメラ間界面(β相)の形態を含む。一般に、冷却速度の増大は、微細構造の微細化につながり、α相コロニーサイズd及びα相ラメラ厚さtの両方が低減される。加えて、新しいα相コロニーは、β相境界上だけでなく、他のα相コロニーの境界上でも核形成する傾向があり、既存のα相ラメラに対して垂直に成長する。これは、「バスケットウィーブ」又はウィドマンシュテッテン微細構造と呼ばれる特徴的な微細構造の形成につながる。
【0049】
等軸微細構造は、室温での強度及び延性と、HCPα相の結晶学的組織に顕著に依存する疲労特性とのより良好なバランスを有する。
【0050】
特性の有利なバランスは、1次αグレインと、比較的小さいβグレイン(直径10~20μm)内の微細ラメラαコロニーとから成る二峰性微細構造の発達によって得ることができる。
【0051】
β相からの冷却後のα+βTi合金の相組成は、冷却速度によって少なくとも部分的に制御される。相変態の動力学は、α+βTi合金の化学組成に起因するβ相安定性係数Kβに少なくとも部分的に関連する。α+β→β相変態温度の範囲は、所望の微細構造の発達を意図された熱機械的プロセスの条件を少なくとも部分的に決定する。α+β→β相変態の開始温度及び終了温度は、β安定化元素の量に少なくとも部分的に応じて変化する(表2)。
【0052】
【0053】
表2:選択されたα+βTi合金のα+β→β相変態の開始温度及び終了温度(vh=vc=0.08℃s-1);ns:核形成開始;ps:析出開始;s:開始;f:終了。
【0054】
ベータトランザス温度βtransusを超えて実行された変形又は熱処理後のα+βTi合金の微細構造は、冷却速度に少なくとも部分的に依存する。比較的より高い冷却速度(>18℃s-1)は、β相安定性係数Kβ<1を有する合金の場合はマルテンサイトα’(α’’)微細構造をもたらし、より高いβ相安定性係数Kβを有する合金の場合は準安定性βM微細構造をもたらす。低い及び中程度の冷却速度は、大きいβ相グレイン内のα相ラメラのコロニーから成るラメラ微細構造の発達につながる。冷却速度の減少は、個々のα相ラメラの厚さt及びαコロニーのサイズdの両方の増大を引き起こす。これらは、次に、これらのα+βTi合金の降伏応力及び引張強度を低下させる。
【0055】
β相において熱処理されたα+βTi合金のラメラα相微細構造は、亀裂方向の頻繁な変化及び2次亀裂分岐に起因して、疲労挙動に対して有益な効果を有する。α相ラメラが大きすぎると、β相の薄層は、大量のエネルギーを吸収することができず、亀裂伝播を遅らせる。この場合、α相コロニーは、微細構造の単一要素として挙動する。この現象は、Ti-6Al-4Vなどのより小さいβ相安定性係数Kβを有するα+βTi合金においてより顕著である。β相の厚みが十分であれば、亀裂先端より先の領域が塑性変形する過程でエネルギーを吸収することが可能となり、亀裂伝播速度を遅くし、従って、疲労寿命を増大させることに寄与する。
【0056】
一例では、金属は、Tekna Plasma Systems Inc(カナダ)から入手可能な、-25/5、-45/15、-53/20、-105/45、及び-250/90の粒子サイズ分布としてASTM Grade 5及びGrade 23で入手可能なTekna Ti64(登録商標)、Carpenter Technology Corporation(アメリカ)から入手可能な、ASTM Grade 5及びGrade 23で入手可能なCarpenter CT PowderRange Ti64 S(登録商標)、Sandvik AB(スウェーデン)から入手可能であり、EIGAによって作り出れた、Osprey Ti-6Al-4V Grade 5(登録商標)及び/又はOsprey Ti-6Al-4V Grade 23(登録商標)、GKN Sinter Metals Engineering GmbH(ドイツ)から入手可能な、CPTi-Gr.1、Gr.2、Ti64-Gr.5、Gr.23、Ti6242、Ti5553、及び/又はBeta 21Sから選択されるTi合金を備え、及び/又はTi合金である。同様のTi合金は、LPW Ti6-4 High Performance Titanium、UNS R56400/R56407、3D Systems Ti Gr.23、Concept Laser CL 41 TI ELI、EOS Ti64ELI、Renishaw Ti6Al4V ELI-0406、SLM Solutions TiAl6V4、及びTRUMPF TitaniumT:64 ELI-A LMFを含む。一例では、金属は、Sandvik AB(スウェーデン)から入手可能なOsprey Alloy 625(登録商標)及び/又はOsprey Alloy 718(登録商標)、GKN Sinter Metals Engineering GmbH(ドイツ)から入手可能なIN625、IN718、及び/又はNi-Tiから選択されるNi合金を備え、及び/又はNi合金である。一例では、金属は、GKN Sinter Metals Engineering GmbH(ドイツ)から入手可能なAlSi7Mg、AlSi10Mg、及び/又はAl4047から選択されるAl合金を備え、及び/又はAl合金である。一例では、金属は、GKN Sinter Metals Engineering GmbH(ドイツ)から入手可能な304L、316L、420、及び/又は17-4PHから選択されるAl合金を備え、及び/又はAl合金である。一例では、金属は、GKN Sinter Metals Engineering GmbH(ドイツ)から入手可能な4340、4630、5120、8620、20MnCr5、42CrMo4、1.2709、H13、Fe-Si、及び/又はFe-Niから選択されるFe合金を備え、及び/又はFe合金である。
【0057】
一例では、金属は、Ti合金、例えばα+βTi合金を備え、及び/又はそれらであり、N番目の圧力は、75MPa~150MPaの範囲、好ましくは90MPa~125MPaの範囲であり、及び/又はN番目の温度は、850℃~950℃の範囲、好ましくは875℃~925℃の範囲である。
【0058】
[粉末]
粉末は、固体である粒子を備え、個別の及び/又は凝集した粒子を含み得ることを理解されたい。一例では、粒子は、球形などの形状などの規則的な形状を有する。一例では、粒子は、回転楕円体状、薄片状、又は顆粒状の形状などの不規則な形状を有する。
【0059】
一般に、粉末は、溶融による融合に適した任意の材料を備え得る。粉末は、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、W、Ag、Au、Pt、及び/又はそれらの合金などの金属を備え得る。一般に、粉末は、噴霧によって粒子が作り出され得る任意の金属を備え得る。これらの粒子は、ガス噴霧、密結合ガス噴霧、プラズマ噴霧若しくは水噴霧などの噴霧、又は当該技術分野で知られている他のプロセスによって作り出され得る。これらの粒子は、球状などの規則的な形状、及び/又は回転楕円体状、薄片状、若しくは顆粒状などの不規則な形状を有し得る。
【0060】
これらの粒子は、最大で300μm、最大で250μm、最大で200μm、最大で150μm、最大で100μm、最大で75μm、最大で50μm、最大で25μm、最大で15μm、最大で10μm、最大で5μm、又は最大で1μmのサイズを有し得る。これらの粒子は、少なくとも150μm、少なくとも100μm、少なくとも75μm、少なくとも50μm、少なくとも25μm、少なくとも15μm、少なくとも10μm、少なくとも5μm、又は少なくとも1μmのサイズを有し得る。好ましくは、これらの粒子は、10μm~200μmの範囲のサイズを有する。より好ましくは、これらの粒子は、60μm~150μmの範囲のサイズを有する。一例では、粉末は、5μm~200μm、好ましくは10μm~150μmの範囲のサイズを有する粒子を備える。例えば、Ti合金のL-PBFの場合、粉末は、好ましくは、15μm(D10)~45μm(D90)の範囲及び/又は20μm(D10)~63μm(D90)の範囲のサイズを有する粒子を備え、その一方で、Ti合金のEBMの場合、粉末は、好ましくは、45μm(D10)~105μm(D90)の範囲のサイズを有する粒子を備える。例えば、Ni、Al合金、及びステンレス鋼のL-PBFの場合、粉末は、好ましくは、15μm(D10)~53μm(D90)の範囲のサイズを有する粒子を備え、その一方で、Ni、Al合金、及びステンレス鋼のEBMの場合、粉末は、好ましくは、50μm(D10)~150μm(D90)の範囲のサイズを有する粒子を備える。
【0061】
規則的な形状の場合、サイズは、例えば、球体若しくはロッドの直径、又は直方体の側面を指し得る。サイズはまた、ロッドの長さを指し得る。不規則な形状の場合、サイズは、例えば粒子の最大寸法を指し得る。粒子サイズ分布は、10nm~3500マイクロメートルの粒子サイズを測定するように構成されたMalvern Mastersizer 3000などの装置における粒子の光散乱測定の使用によって測定され得、粒子は、機器製造業者の指示に従って、及び粒子が均一な密度であると仮定して、適切なキャリア液中に(粒子表面化学及び液体の化学的性質に適合する適切な分散剤と共に)湿式分散される。粒子サイズ分布は、ASTM B822-17 Standard Test Method for Particle Size Distribution of Metal Powders and Related Compounds by Light Scatteringに従って測定され得る。
【0062】
一例では、粒子は、比較的小さい粒子サイズD、例えば、最大50μm、好ましくは最大20μmを有する。一例では、粒子は、非単峰性(例えば、二峰性)粒子/又は非単分散(即ち、単一粒子サイズではない)サイズ分布を含む比較的広い粒子サイズD分布を有し、例えば、D90/D10は少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。一例では、粒子は、比較的高い安息角、例えば、少なくとも30°、より好ましくは少なくとも40°を有する。一例では、粒子は、粉末中の応力が全ての方向で等しくならないように比較的高い粉末異方性を有し、及び/又は粉末中の剪断応力が近位壁であり得るように比較的高い摩擦を有する。
【0063】
一例では、粉末は、添加剤、合金添加物、融剤、結合剤、及び/又はコーティングを備える。一例では、粉末は、異なる組成物を有する粒子、例えば、異なる組成物を有する粒子の混合物を備える。
【0064】
一般に、球状金属粉末は、粉末鍛造、熱間等方圧加圧(HIP)、金属射出成形(MIM)、電流支援焼結(ECAS)、及び付加製造(AM)を含む粉末冶金(PM)を介したニアネットシェイプ(NNS)作製のための供給材料として好ましい。
【0065】
例えば、チタン合金粉末の場合、PMのための重要な特性は、粒子サイズ、粒子サイズ分布、流動性、及び酸素含有量を含む化学組成を含む。粒子サイズ分布(PSD)の要件は、用途によって異なる:MIMの場合は≦45μm(325メッシュ)、SLMの場合は15μm~45μm、コールドスプレーの場合は10~45μm、及びEBMの場合は45μm~106μm。酸素は、チタン合金にとって強力な溶体強化剤であるが、過剰になると、延性及び破壊靱性が損なわれるであろう。典型的には0.2重量%未満である最終製造コンポーネントの工業規格の酸素要求量を満たすために、チタン合金粉末の酸素含有量は、≦0.15重量%であるべきである。好ましくは、粉末は、高純度、高真球度、及び流動性を有すると共に、巻き込まれたガス気泡多孔性を有さない。しかしながら、一般に、チタン合金粉末の酸素含有量は、粒子サイズに反比例する。更に、ほとんどのNNS法は、粉末が優れた流動性を有することを必要とし、それは、粉末形状及びサイズ、粒子間摩擦、材料のタイプ、並びに環境要因によって影響を及ぼされる。一般に、良好な流動性を有する粉末は、好ましくは球形を有し、粒子サイズは、比較的大きくあるべきである。即ち、粒子サイズが減少するにつれて流動性も減少する。更に、粉末は、好ましくは、良好な見掛け密度及びタップ密度を有し、それもまた、製造される部品の密度及び均一性に影響を及ぼす。
【0066】
典型的には、球状チタン粉末は、ガス噴霧(GA)、プラズマ球状化(PS)、プラズマ噴霧(PA)、及びプラズマ回転電極法(PREP)を含むプラズマ球状化又は噴霧によって作り出される。ガス噴霧は、自由落下ガス噴霧(FFGA)、密結合ガス噴霧(CCGA)、及び電極誘導ガス噴霧(EIGA)を含む。PREP粉末は、非常に高い純度及びほぼ完全な球形を有すると考えられる。しかしながら、PREP粉末の粒子サイズは、典型的には比較的粗く、例えば50μm~350μmであり、それは、SLM、EBM、及びMIM用途に望まれるものよりも粗い。しかしながら、比較的より微細な球状チタン合金粉末は、GA法及びPA法を介して作り出すことができる。GA及びPAチタン合金粉末の典型的な粒子サイズは、10μm~300μmの範囲である。
【0067】
全ての噴霧プロセスは、溶融、噴霧、及び凝固を含む。溶融は、典型的には、真空誘導溶融、RFプラズマアーク溶融を含むプラズマアーク溶融、誘導ドリップ溶融、又は直接プラズマ加熱による。噴霧は、液体金属を、不活性雰囲気中での飛行中に凝固する液滴に分解し、典型的には、高圧ガス、通常はアルゴンを使用して、ノズルを通る液体金属の流れを分解するように達成される。不活性雰囲気は、通常、酸素汚染を低減するために、超高純度アルゴン又はヘリウムである。
【0068】
EIGAは、一般に、セラミックを含まない粉末を作り出し、それにおいて、液体金属は、汚染を導入し得る任意の耐火金属又は他のセラミックコンポーネントと接触しない。特に、PAとは対照的に、EIGA粉末は、タングステン汚染がなく、故に好ましくあり得る。
【0069】
しかしながら、GAは、典型的には、サテライト粒子の形成をもたらし、サテライト粒子は、噴霧チャンバ中のガスの循環の結果として、跳ね返り、部分的に溶融した粒子と衝突する微粒子である。サテライト粒子は、粒子の自由流動に有害である。更に、GAは、典型的には、噴霧のために使用される高圧ガスが液体金属中に巻き込まれる結果として、粉末中でのガス気孔即ちガス気泡の形成をもたらす。これらのガス気孔は、PM物品の機械的特性、特に疲労特性に有害であり、HIPを使用しても完全には排除することができない。更に、これらのガス気孔は、物品のPBF及びその後のHIP後に残存し得る。
【0070】
より詳細には、EIGA粉末中のアルゴンの巻き込みは、例えば、凝固プロセス中に形成される名目上球形の単一の気泡の形態を取る。EIGA粉末製造プロセスでは、アルゴンは、溶融チタン(又はチタン合金)のガス流中に吹き込まれることによって粒子を生成するために使用される。気泡は、ある特定のサイズを超える粒子中にのみ生じる傾向があり、典型的には、直径が約50μm未満の粉末粒子中には見られない。粉末床選択的レーザ溶融AMの場合、使用されるEIGA粉末は、典型的には、15μm~45μmの粒子サイズ分布(PSD)を有し、そのためアルゴン巻き込みの問題を回避する。しかしながら、SLMにおいて使用されるこの比較的狭い粒子サイズ分布は、「タップ密度」(即ち、圧縮されていない粉末の密度)を増大させるために比較的広い粒子サイズ分布が必要とされる粉末HIPには適さない。これは、粉末HIPが、所望のニアネットシェイプ製品を作り出すために、粉末を包含する成形キャニスターの充填、排気、及び密封、並びにHIP中のその後の全体的な圧縮に依拠するので必要である。タップ密度が低すぎると、HIP中に過度の圧縮が生じ、よりコストが掛かる。しかしながら、EIGAチタン合金粉末は、タングステン汚染が回避されるので、HIPに望ましい。
【0071】
一例では、粉末は、ガス噴霧によって形成され、任意選択で、第1の粒子は、少なくとも50μmの寸法を有する。
【0072】
[閉気孔]
閉気孔は、巻き込まれたガスを包含することを理解されたい。例えば、ガスは、金属の粉末のGA中に巻き込まれるなど、金属の製造中に巻き込まれ得る。例えば、ガスは、ガスを備える保護雰囲気中での金属の粉末又は他の供給原料のAM中に巻き込まれ得る(より一般には多孔性として知られる)。気孔は閉じられている、即ち、巻き込まれたガスは、気孔中に包含されていることを理解されたい。一例では、ガスは不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、又はネオンなどの貴ガスである。一例では、ガスは、金属中で比較的低い溶解度を有する。一例では、前駆体の金属中の閉気孔は、1μm~250μmの範囲、好ましくは10μm~100μmの範囲、より好ましくは25μm~75μmの範囲の寸法、例えば直径を有する。閉気孔の体積は、その中に閉気孔を有する金属の体積よりも小さいことを理解されたい。一例では、前駆体の金属中の閉気孔は、球状又は実質的に球状である。一例では、前駆体の金属中の閉気孔は、実質的に球状であり、例えば、扁平回転楕円体、ここにおいて、a/2<c<a、又は扁長回転楕円体、ここにおいて、a<c<2a、である。前駆体の金属中の閉気孔の形態は、画像解析ソフトウェアと組み合わせて、取り付けられ研磨された金属組織試料の光学顕微鏡法を使用して、例えば、OLYMPUS(登録商標)Stream画像解析ソフトウェアと組み合わせてDP27デジタルカメラを装備されたOLYMPUSデジタルマイクロスコープDSX1000(オリンパス株式会社、日本から入手可能)を使用して決定され得る。このようにして、前駆体の金属中の閉気孔の2D形態学的決定が提供され得る。前駆体の金属中の閉気孔の形態のこの決定は破壊的であり、故に、前駆体の金属中の閉気孔の形態学的決定はその試料のものであり、故に統計的決定であることを理解されたい。加えて及び/又は代替として、前駆体の金属中の閉気孔の形態は、X線コンピュータ断層撮影(CT)などのCTを使用して、例えば、最大7Wで3μmの焦点スポットサイズ及び225Wで225μmの焦点スポットサイズを有し、1950×1500個のアクティブピクセル及び127μmのピクセルサイズを有するVarian 2520Dx検出器を装備されたXT H 225 ST(ベルギーのNikon Metrology Europe NVから入手可能)を使用して決定され得る。このようにして、例えば2Dスライスの再構成によって、前駆体の金属中の閉気孔の3D形態学的決定が提供され得る。前駆体の金属中の閉気孔の形態のこの決定は非破壊的であることを理解されたい。
【0073】
[HIP]
本方法は、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、前駆体をHIPし、それによって物品を少なくとも部分的に作製することを備える。
【0074】
HIPは公知である。一般に、HIPは、多孔性を低減し、故に金属を緻密化し、それによってその機械的特性及び/又は加工性を改善するために使用される。HIP中、前駆体は、所与の時間にわたって、典型的には50MPa~300MPaの高い等方圧ガス圧力で、典型的にはアルミニウムの場合は480℃~ニッケル基超合金の場合は1300℃超の高温に曝露される。ガスは不活性であり、典型的にはArである。同時の熱及び圧力は、塑性変形、クリープ、及び拡散接合の組み合わせを通じて内部ボイドを低減し、100%に近い緻密化をもたらす。HIPは、AMにおける後処理ステップとして使用され得る。
【0075】
当業者に知られているように、温度のセットのうちのN番目の温度、圧力のセットのうちのN番目の圧力、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間は、前駆体、金属、及び/又は物品に少なくとも部分的に従って決定されることを理解されたい。即ち、温度のセットのうちのN番目の温度、圧力のセットのうちのN番目の圧力、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間は、従来のように決定され得る。
【0076】
[調整]
前駆体を等方圧圧縮すること及び圧縮された前駆体をHIPすることは、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するために、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することを備える。即ち、従来のHIPとは対照的に、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットは、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するように調整される。例えば、温度のセットのうちのN番目の温度及び圧力のセットのうちのN番目の圧力までの加熱及び/又は加圧は、それぞれ、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するように調整され得る。例えば、温度のセットのうちのN番目の温度及び圧力のセットのうちのN番目の圧力からの冷却及び/又は減圧は、それぞれ、閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するように調整され得る。
【0077】
このようにして、前駆体を等方圧圧縮及びHIP中に温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することによって、金属中の閉気孔の形態(即ち形状)が、等方圧圧縮及びHIP中に制御され、それによって物品中の残留閉気孔の形態を画定する。特に、このようにして等方圧圧縮及びHIP中に閉気孔の形態を制御することによって、物品中の残留閉気孔は、比較的より球状であり得、それによって、それに起因する有害な影響を減少させ得る。特に、比較的より球状の、理想的には球状の閉気孔は、例えば、楕円体又は環状体の閉気孔と比較して、比較的より低い応力集中をもたらす。このようにして、作製された物品の機械的特性に対する閉気孔の影響、例えば疲労特性に対する潜在的に有害な影響は、従来のHIPを使用して少なくとも部分的に作製された物品と比較して弱められる。
【0078】
一例では、物品の金属中の閉気孔は、球状又は実質的に球状である。一例では、物品の金属中の閉気孔は、扁平回転楕円体、ここにおいて、a/2<c<a、又は扁長回転楕円体、ここにおいて、a<c<2a、である。物品の金属中の閉気孔の形態は、必要な変更を加えて、前駆体の金属中の閉気孔に関して以前に説明したように決定され得る。例えば、CTを使用することによって、HIPの結果としての金属中の閉気孔の形態の変化が検査され得る。一例では、物品の金属中の閉気孔の真球度Ψaは、前駆体の金属中の閉気孔の真球度Ψpの50%以内、好ましくは20%以内、より好ましくは10%以内である。一般に、体積V及び表面積Aを有する閉気孔の真球度Ψは、以下の式によって定義され得る:
【0079】
【0080】
一例では、物品の金属中の閉気孔の真球度Ψaは、少なくとも0.9、好ましくは少なくとも0.95、より好ましくは少なくとも0.975、最も好ましくは少なくとも0.99である。
【0081】
[加熱及び加圧]
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、加熱することなく実質的に圧力のセットのうちのN番目の圧力まで(例えば少なくとも90%まで)加圧し、その後、温度のセットのうちのN番目の温度まで加熱することによって、温度のセットのうちのN番目の温度まで加熱することを調整すること、及び/又は圧力のセットのうちのN番目の圧力まで加圧することを調整することを備える。このようにして、前駆体の粒子は、著しい加熱の前に、HIPの開始から等方圧圧縮され、そのため、例えば、焼結又は拡散接合が比較的少ないか又は全くない。
【0082】
一例では、前駆体を等方圧圧縮することは、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に圧力のセットのうちの0番目の圧力、例えば周囲圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を加圧することを備える。即ち、前駆体は、最初に、第1の持続時間にわたって第1の圧力まで加圧、例えば等方圧加圧される。
【0083】
一例では、第1の圧力対N番目の圧力の比率は、1:5~1:1の範囲、好ましくは1:4~19:20の範囲、より好ましくは1:2~9:10の範囲、最も好ましくは2:3~17:20の範囲、例えば3:4である。即ち、第1の圧力は、HIP圧力(即ちN番目の圧力)と比較して、比較的高い。
【0084】
一例では、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に圧力のセットのうちの0番目の圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を加圧することは、例えば、加熱若しくは冷却を適用することなく、及び/又は温度が5%以内で一定になるように、例えば、温度のセットのうちの第1の温度、例えば周囲温度で、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に圧力のセットのうちの0番目の圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を実質的に等温加圧することを備える。即ち、温度は、初期加圧中に維持され、例えば、ほぼ周囲温度(即ち第1の温度)に維持される。これは、例えば、上記で説明したような比較的高い圧力での冷間加圧と称され得る。このようにして、前駆体の粒子は、著しい加熱の前に、HIPの開始から等方圧圧縮され、そのため、例えば、焼結又は拡散接合が比較的少ないか又は全くない。より一般には、冷間加圧は、外部加熱を適用することなく、即ち、前駆体又はガスに熱を供給することなく、前駆体及び/又はガスの温度が加圧の結果として上昇し得ることに留意されたい。対照的に、従来のHIPにおける冷間加圧は、典型的には比較的低い圧力である。
【0085】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、温度のセットのうちの第2の温度まで前駆体を加熱することによって、持続時間のセットのうちの第2の持続時間中に圧力のセットのうちの第1の圧力から圧力のセットのうちのN番目の圧力まで前駆体を加圧することを備える。即ち、第1の圧力からN番目の圧力への圧力の増大は、第2の温度まで前駆体(及び故にガス)を加熱することによって達成され得る。
【0086】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、圧力のセットのうちのN番目の圧力で温度のセットのうちの第2の温度から温度のセットのうちのN番目の温度まで前駆体を加熱することを備える。即ち、前駆体は、HIP温度まで加熱され得、前駆体は、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたってHIPされる。
【0087】
[冷却及び減圧]
一例では、本方法は、N番目の圧力から周囲圧力に向かって物品を等温減圧し、その後、N番目の温度から周囲温度に向かって、減圧された物品を冷却することを備える。
【0088】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、圧力のセットのうちのN番目の圧力から、例えば周囲圧力まで(例えば、温度が5%以内で一定になるように)実質的に等温減圧し、その後、温度のセットのうちのN番目の温度から、例えば周囲温度に向かって冷却することによって、温度のセットのうちのN番目の温度からの冷却を調整し、及び/又は圧力のセットのうちのN番目の圧力からの減圧を調整することを備える。即ち、前駆体は、比較的熱い間に減圧され、その後比較的低い圧力で冷却される。このようにして、前駆体が減圧中に比較的高い温度に維持されるので、閉気孔の球状化が促進される。
【0089】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を冷却することを備え、任意選択で、温度のセットのうちのN+1番目の温度は、持続時間のセットのうちのN+1番目の持続時間中にN番目の温度の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくはN番目の温度の少なくとも90%、例えば、N番目の温度の少なくとも97.5%である。即ち、前駆体は、最初に冷却され得るが、温度は、N番目の温度と比較して、比較的高いままである。
【0090】
一例では、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を冷却することは、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を等圧冷却することを備える。即ち、初期冷却は、例えば、圧力の印加又は放出を伴わない。
【0091】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、減圧速度のセットのうちの第1の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+2番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+2番目の圧力まで前駆体を減圧することと、減圧速度のセットのうちの第2の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+3番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+3番目の圧力まで前駆体を減圧することと、任意選択で、減圧速度のセットのうちの第3の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+4番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+4番目の圧力まで前駆体を減圧することとを備え、第1の減圧速度は、第2の減圧速度よりも遅く、任意選択で、第2の減圧速度は、第3の減圧速度よりも遅く、任意選択で、前駆体を減圧することは、例えば、加熱又は冷却を適用することなく及び/又は温度が5%以内で一定になるように、例えば、温度のセットのうちのN番目の温度又は前記温度のうちのN+1番目の温度で前駆体を実質的に等温減圧することを備える。即ち、前駆体は、比較的より低い初期速度で減圧された後、その後比較的より高い速度で減圧される。加えて及び/又は代替として、一例では、第1の減圧速度、第2の減圧速度、及び任意選択で第3の減圧速度は、実質的に等しいか又は等しい。加えて及び/又は代替として、一例では、第1の減圧速度は、第2の減圧速度よりも速く、任意選択で、第2の減圧速度は、第3の減圧速度よりも速い。
【0092】
減圧中に前駆体を比較的高い温度に維持することによって、減圧中に膨張し得る閉気孔の球状化が促進される。減圧は、連続的な減圧、例えば流量コントローラによって規定されるような所定の速度での漸進的な減圧、及び/又は段階的な減圧、例えば部分的に放出することによる減圧、所定の持続時間にわたる保持、及び繰り返しを備え得ることを理解されたい。一般に、一定の印加された圧力で周期的ホールドを挿入することによって、システムがある程度の平衡に到達するか、又は到達に近づく機会が提供され得る。このようにして、閉気孔は、印加された圧力が低減されるにつれて、平衡膨張まで、又は平衡膨張に向かって膨張し得る。減圧速度が速すぎる場合には、閉気孔が裂けて亀裂が形成される可能性がある。しかしながら、閉気孔中の圧力は、閉気孔が膨張するにつれて減少するので、膨張するための駆動力は、ある程度の自己補正があるように減少する。それにもかかわらず、一定の圧力での滞留は、このプロセスが別の圧力低減ランプの前にある程度の平衡に到達することを可能にするための機会であり得る。故に、一例では、圧力のセットのうちの圧力まで前駆体を加圧することは、持続時間のセットのうちの持続時間にわたってその圧力に前駆体を保持することを備え、例えば、持続時間は、0.05時間~1時間の範囲内、好ましくは0.1時間~0.5時間の範囲である。加えて及び/又は代替として、減圧は、比較的低い速度で連続的又は漸進的であり得、その間にそのような平衡が生じ得る。
【0093】
一例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、冷却速度のセットのうちの第1の冷却速度で持続時間のセットのうちのN+5番目の持続時間中に温度のセットのうちのN+5番目の温度まで前駆体を冷却することと、冷却速度のセットのうちの第2の冷却速度で持続時間のセットのうちのN+6番目の持続時間中に温度のセットのうちのN+6番目の温度まで前駆体を冷却することとを備え、第1の冷却速度は、第2の冷却速度よりも遅く、任意選択で、前駆体を冷却することは、例えば周囲圧力で前駆体を等圧冷却することを備える。即ち、前駆体は、比較的より低い初期速度で冷却された後、その後比較的より高い速度で冷却される。このようにして、冷却中の閉気孔の球状化が促進される。
【0094】
[装置]
第2の態様は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するための熱間等方圧加圧(HIP)装置を提供し、本装置は、
閉気孔の形態を少なくとも部分的に制御するために、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することによって、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、その中に閉気孔を有する金属を備える前駆体をHIPし、それによって、物品を少なくとも部分的に作製するように構成される。
【0095】
HIP、物品、前駆体、金属、閉気孔、N番目の温度、温度のセット、N番目の圧力、圧力のセット、持続時間、持続時間のセット、作製、調整、制御、及び/又は閉気孔の形態は、第1の態様に関して説明した通りであり得る。
【0096】
[物品]
第3の態様は、第1の態様の方法及び/又は第2の態様の装置に従って成形された物品を提供する。
【0097】
一例では、物品は、機体コンポーネントなどの航空宇宙コンポーネント、エンジンコンポーネントなどのビークルコンポーネント、又は埋め込み可能な医療デバイスなどの医療コンポーネントを備え、及び/又はそれらである。
【0098】
コンピュータ、コンピュータプログラム、及び非一過性コンピュータ可読記憶媒体
第4の態様は、第1の態様に記載の方法を少なくとも部分的に実施するように構成されたプロセッサ及びメモリを備えるコンピュータを提供する。
【0099】
第5の態様は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実行されると、コンピュータに、少なくとも部分的に第1の態様に記載の方法を実行させる命令を備えるコンピュータプログラムを提供する。
【0100】
第6の態様は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実行されると、コンピュータに、少なくとも部分的に第1の態様に記載の方法を実行させる命令を備える非一過性コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0101】
[定義]
本明細書を通して、「備える(comprising)」又は「備える(comprises)」という用語は、指定されたコンポーネント(複数可)を含むが、他のコンポーネントの存在を除外しないことを意味する。「から本質的に成る(consisting essentially of)」又は「から本質的に成る(consists essentially of)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むが、不純物として存在する材料、コンポーネントを提供するために使用されるプロセスの結果として存在する不可避の材料、及び着色剤などの本発明の技術的効果を達成すること以外の目的のために添加されるコンポーネント、等を除いて、他のコンポーネントを除外することを意味する。「から成る(consisting of)」又は「から成る(consists of)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むが、他のコンポーネントを除外することを意味する。適切な場合はいつでも、文脈に応じて、「備える(comprises)」又は「備える(comprising)」という用語の使用はまた、「から本質的に成る(consist essentially of)」又は「から本質的に成る(consisting essentially of)」という意味を含むと解釈され得、また、「から成る(consist of)」又は「から成る(consisting of)」という意味を含むと解釈され得る。
【0102】
本明細書に記載した任意選択の特徴は、適切な場合、個々に、又は互いに組み合わせて、特に添付の特許請求の範囲に記載したような組み合わせで、のうちのいずれかで使用され得る。本明細書に記載したような本発明の各態様又は例証的な実施形態についての任意選択の特徴は、適切な場合、本発明の全ての他の態様又は例証的な実施形態にも適用可能である。言い換えれば、本明細書を読む当業者は、本発明の各態様又は例証的な実施形態についての任意選択の特徴を、異なる態様と例証的な実施形態との間で交換可能及び組み合わせ可能なものと見なすべきである。
【0103】
本発明をより良く理解するために、及び本発明の例証的な実施形態がどのように実施され得るかを示すために、例としてのみ、添付の図への参照が行われるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】その中に閉気孔を有する金属を備える前駆体の等方性HIPを概略的に図示する。
【
図2】その中に閉気孔を有する金属を備える前駆体の異方性HIPを概略的に図示する。
【
図3】その中に閉気孔を有する金属を備える前駆体の単軸性HIPを概略的に図示する。
【
図4】例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。
【
図5】例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。
【
図7】例証的な実施形態による方法及び従来の方法を概略的に図示する。
【
図8】例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0105】
図1は、その中に閉気孔pを有する金属Mを備える前駆体Pの等方性HIPを概略的に図示する。特に、
図1は、直径0.05mmから0.005mmへの球状気泡(即ち閉気孔p)の等方圧崩壊を概略的に示す。
【0106】
第1に、球状気泡(即ち閉気孔)は、(前駆体Pに印加される等方圧HIP圧力による閉気孔pの圧縮を示す、等しい長さの半径方向矢印によって概略的に例示するように)完全に対称的に単純に圧縮され、遙かにより小さい直径であるが依然として球状の形状の気泡に単純になり得る。典型的には、920℃で100MPaの圧力でHIPを受ける指定されたPSD(即ち、0.106mmの直径を有する顆粒)中の最大EIGA粒子の内側に完全に包含された約0.05mmの直径の非常に大きいEIGA気泡は、内部圧力が外部から印加されたHIP圧力に近づくように圧縮されると予想され、その予想は、そのような気泡は約1桁だけ直径が低減するであろう(即ち、AにおけるD=0.05mmからBにおけるD=0.005mmへ)というものである。HIP圧力を除去する際、特に、依然として非常に高い温度にある間に圧力が除去された場合に、いくらかの膨張が生じる可能性がある。しかしながら、HIP中の気泡の崩壊はまた、閉じた幾何学的状態における周囲表面の拡散接合をもたらし、そのため、任意のそのような膨張は、比較的軽微であると予想される。限られた又は無視できるHIP後膨張のみを伴うこの種の気泡圧縮は、最も好ましい結果として見られる。
【0107】
第2に、
図2は、その中に閉気孔pを有する金属Mを備える前駆体Pの異方性HIPを概略的に図示する(より長い矢は、優先的な崩壊方向を図示する)。特に、
図2は、(前駆体Pに印加された異方性HIP圧力による閉気孔pの方向性圧縮を示す不等長の半径方向矢印によって概略的に例示するような)0.05mmの直径(A)から球状気泡(即ち、圧力が全方向に均一に印加されていない)(B)への楕円体気泡の部分的等方圧崩壊を概略的に示す。
【0108】
そのため、球状気泡は、部分的に非対称に圧縮されて、楕円体の形状を有する押しつぶされた球形になり得る。この挙動は、周囲のグレインを通る圧力伝達が完全には均一でない場合に生じる可能性が高い。非対称崩壊の程度は、潜在的に、非常に誇張された楕円体の形状をもたらし得る。これは、外部HIP圧力の除去後の楕円体の内側の内部ガス圧力が、純粋に球状の気泡の場合よりも高い応力集中を生成するので、いくらか懸念される。極度に押しつぶされた楕円体では、内部圧力と幾何学的応力集中との組み合わせが、材料が引き裂かれるか又は開裂して、扁平に押しつぶされた半径でかなりの亀裂が形成されることを引き起こし得る可能性がある。
【0109】
第3に、
図3は、その中に閉気孔pを有する金属Mを備える前駆体Pの「HIPプロセス」中に生じる単軸性加圧による異方性気泡圧縮のより極端な場合を概略的に図示する。特に、
図3は、(前駆体Pに印加された単軸性HIP圧力による閉気孔pの単軸性圧縮を示す等長の平行な矢印によって概略的に例示するような)0.05mmの直径(A)から、中心拡散接合ゾーンを有するドーナツ形状の環状体二重気泡(Bを介してC)への球状気泡の単軸性崩壊を概略的に示す。
【0110】
そのため、HIP圧力の伝達が完全に又はほぼ完全に単軸性である場合、気泡は、対向する内面が極めて近接する準2次元プレートレットに押しつぶされ得る。関与するHIP圧力は、まさに中心領域が互いに接触して拡散接合することをもたらす可能性が高く、そのため、環状体の形状がもたらされることが予想される。これは、最も望ましくない結果であり、材料の完全性に対して実際に害があると予想される結果であると考えられる。
【0111】
第1の手法は、全ての粒子が開始から(即ち、著しい加熱の前に)等方圧圧縮されることを「促す」ことであり、そのため、著しい温度上昇があるとき、全ての表面が密接に接触することもなく焼結が開始される機会も制限され、粉末システム全体にわたって中断されない圧力経路を確実にする。
【0112】
故に、第1の態様に記載の方法は、比較的低い初期ガス圧力のみにまでアルゴンで圧力容器を事前充填し、次いで温度上昇を使用して必要な圧力増大の大部分を達成するHIPにおいて使用される標準的な手法ではなく、加熱開始前に非常に高レベルの「冷間加圧」を適用することによってより良好に機能し得る。後者の手法は、一般に、HIP産業において使用され、ここで、初期冷間加圧は、上限を定められ、最終目標圧力の25%を超えないであろう。チタン粉末HIPの場合、最終目標圧力は、少なくとも100MPaであり、そのため、使用される初期圧力は、25MPa以下である。この圧力上限は、最終目標圧力の25%を超える任意の冷間加圧(即ち周囲圧力)が、加熱段階中に圧力が高まるにつれてその後の放出を必要とするので、アルゴンガスが浪費されないことを確実にする。例えば、普遍気体の状態方程式(Universal Gas Equation)によると、最終目標温度及び圧力が920℃及び100MPaである場合、24.56MPaの圧力を超える任意の冷間加圧(即ち、例えば20℃)は、過剰圧力をもたらすか、又は目標圧力範囲内に留まるためにガスを放出する必要があるかのうちのいずれかであると予想されるであろう。対照的に、第1の態様に記載の方法は、目標圧力の約75%(例えば75MPa)まで冷間加圧し、次いで920℃まで加熱し得ることであり、温度が約118℃に達すると、圧力が100MPaの最終目標圧力に近づき、次いで加熱段階の残りに放出が必要になることが予想される。そうすることで、チタンが塑性的に変形し始め、粒内気泡が崩壊し始めると、粉末システムにわたって均一な等方圧圧力が存在し、非対称気泡崩壊はいかなる有意なレベルでも生じないことが予想される。
【0113】
第2の手法は、最大圧力及び温度でのHIP滞留が終了すると圧力及び温度が低減される方法を修正することである。先行技術では、温度及び圧力を同時に低減することが基準である。圧力が放出されると、HIPアルゴンガスが膨張し、温度が低減するであろう。これは冷却を助けるであろう。加えて、冷却プロセスを加速するために、「ガス焼き入れ」(即ち、低温ガスを注入すること)も適用され得る。提案された新規の手法は、存在し得る任意の楕円体気泡の再球状化を促すために、温度を高レベルに維持しながらHIP圧力を低減することである。これは、例えば、加熱又は冷却を適用することなく、完全HIP温度(例えば、チタン合金の場合、典型的には920℃)で実質的に等温的に行われ得るか、又は、代替として、完全HIP圧力のままでありながらの中間温度までのあるレベルの予冷が適用され得、その後、次いで、例えば、加熱又は冷却を適用することなく、実質的に等温的に(即ち、中間の低減された温度で)HIP圧力を低下させ得るか、のうちのいずれかであり得る。後者の手法は、チタンの流動応力の増大を提供し、一旦HIP減圧が開始されると、巻き込まれたアルゴン気泡の内側で次に生じる正差圧により良く耐えるために、ある程度の弾性を提供するであろう。さもなければ、損傷が生じる危険性があるであろう。いずれにしても、HIP容器減圧の速度は、圧力減衰の初期速度がより制限され、規定されたプロセスに従って漸進的に増大することが可能になるように制御されるべきである。HIP容器圧力が実質的に低減された後にのみ、温度の完全な低減が実施されるであろう。
【0114】
実質的に低減されたレベル(完全HIP温度又は中間及び部分的に低減された温度のうちのいずれかで)まで修正された減圧と、それに続く主冷却段階についての理論的根拠は、冷間加圧ステップの使用にもかかわらず形成された可能性がある任意の楕円体ガス気泡の球状化を可能にすることである。HIP容器の制御された減圧は、従って、予防措置であるが、損傷を与える形で生じる楕円体ガス気泡再膨張を軽減するために、冷間加圧ステップがない場合にも使用することができるものである(以下を参照)。そうでなければ、高温での予防的な漸進的な減圧なしでは、冷却段階中に生じるHIdP圧力の任意の突然の減少が、ガス気泡の内側とHIPされたコンポーネントとの間に驚くほど高い正差圧を生じさせる可能性があることが懸念されるであろう。これは、次いで、気泡のより望ましい遅い再膨張及び亀裂の形成ではなく、引き裂き又は開裂の傾向を生じさせる可能性があるか、又は少なくとも、サービス中にコンポーネント中の早期疲労亀裂開始の部位として次いで作用する可能性がある非球状化ガス気泡の保存の傾向を生じさせる可能性がある。
【0115】
図4は、例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。特に、
図4は、表3のサイクルについてのHIP温度及び圧力曲線を示す(最終目標圧力の75%までの「低温充填」(75MPa)、及び制御された(漸進的に増大する)速度の減圧より前の40℃の等圧冷却)。表3の安定化保持時間は、安全マージンを提供し、次の減圧段階が開始される前にガス気泡が最適レベルまで再膨張することを可能にするために延長することができることに留意されたい。
【0116】
【0117】
表3:最終目標圧力の75%までの「低温充填」(75MPa)、及び制御された(漸進的に増大する)速度の減圧より前の40℃の等圧冷却を使用するHIPサイクル(75MPa低温充填圧力の過渡的冷却及び延長された安定化保持)。
【0118】
図5は、例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。特に、
図5は、表4のサイクルについてのHIP温度及び圧力曲線を示す(最終目標圧力の75%までの「低温充填」(75MPa)、及び制御された(漸進的に増大する)速度の減圧より前の等圧冷却なし)。
【0119】
【0120】
表4:制御された(漸進的に増大する)速度の減圧より前の等圧冷却を伴わない最終目標圧力の75%までの「低温充填」(75MPa)を使用するHIPサイクル(75MPa低温充填圧力の等温冷却及び延長された安定化保持)。
【0121】
図6は、従来の方法を概略的に図示する。特に、
図6は、同時冷却及び減圧を伴う最終目標圧力(25MPa)の25%までの「低温充填」を使用する従来のHIPサイクルを示す(表5を参照)。
【0122】
【0123】
表5:同時冷却及び減圧を伴う最終目標圧力(25MPa)の25%までの「低温充填」を使用する従来のHIPサイクル(
図6を参照)。
【0124】
図7は、例証的な実施形態による方法及び従来の方法を概略的に図示する。特に、
図7は、好ましい実施形態と
図6の従来のHIPサイクルとの間の比較を示す。
【0125】
従来のHIPサイクルは、より短いサイクルであることに留意されたい(
図7を参照)。好ましい実施形態は、これがまた、等圧冷却を伴わないサイクルに約44分を追加し、説明した従来のプロセスよりも167分長い等圧冷却段階を含むので、最長サイクルである。
【0126】
EIGA粉末から作られた粉末HIP部品に従来のプロセスを適用することは、潜在的に、高度に楕円体の、更には環状体のガス気泡をもたらし、プロセス中に亀裂及び/又は裂けが生じる可能性は、その後の高温熱処理中又はサービス曝露中のうちのいずれかである。強化されたプロセスはまた、(例えば、付加製造された部品中の内部多孔性の排除のための)改善処理としてHIPを使用する他のプロセスへの適用性を有する。これは、レーザ及び電子ビーム選択的粉末床プロセスの両方を含む。レーザ粉末床の場合、使用されるアルゴンプロセスガスが劣った構築プロセスによって生成された多孔性に取り込まれるレーザ構築パラメータの最適未満のセットの使用を通じて、又は粉末ストック中に既に存在するアルゴン巻き込みを通じてのうちのいずれかで、アルゴンガス巻き込みが生じる可能性がある。後者は、SLMプロセスが典型的には15~45ミクロンの粉末グレードを使用し、一般にEIGAルートに関連する粒内アルゴン気泡の影響を受けないと考えられるので、可能性がより低い。対照的に、電子ビーム粉末床プロセスは、典型的には、より粗い粉末を使用し、粒内(即ち、前駆体ガス粒子内)アルゴンガス巻き込みを十分に含み得る。この形態のガス巻き込みは、真空環境の使用にもかかわらず、EB溶融プロセスに耐えることが可能であることが知られている。本発明は、従って、粉末HIPだけの場合よりも広い適用性を有する。
【0127】
図8は、例証的な実施形態による方法を概略的に図示する。
【0128】
本方法は、物品をその前駆体から少なくとも部分的に作製するものである。
【0129】
S801において、本方法は、前駆体を提供することを備え、前駆体は、その中に閉気孔を有する金属を備える。
【0130】
S802において、本方法は、前駆体を等方圧圧縮し、それによって圧縮された前駆体を提供することと、温度のセットのうちのN番目の温度で、圧力のセットのうちのN番目の圧力で、及び持続時間のセットのうちのN番目の持続時間にわたって、圧縮された前駆体を熱間等方圧加圧(HIP)し、それによって物品を少なくとも部分的に作製することとを備える。
【0131】
図9は、表6により要約されているように、より詳細に
図8の方法を概略的に図示する。
【0132】
【0133】
表6:最終目標圧力の75%までの低温充填及び制御された(漸進的に増大する)速度の減圧より前の等圧冷却を使用するHIPサイクル。
【0134】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、加熱することなく実質的に圧力のセットのうちのN番目の圧力まで加圧し、その後、温度のセットのうちのN番目の温度まで加熱することによって、温度のセットのうちのN番目の温度まで加熱することを調整すること、及び/又は圧力のセットのうちのN番目の圧力まで加圧することを調整することを備える。
【0135】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に、圧力のセットのうちの0番目の圧力、例えば周囲圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を加圧することを備える。
【0136】
この例では、第1の圧力対N番目の圧力の比率は、3:4である。
【0137】
この例では、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に圧力のセットのうちの0番目の圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を加圧することは、例えば、加熱又は冷却を適用することなく、例えば、温度のセットのうちの第1の温度、例えば周囲温度で、持続時間のセットのうちの第1の持続時間中に圧力のセットのうちの0番目の圧力から圧力のセットのうちの第1の圧力まで前駆体を実質的に等温加圧することを備える。
【0138】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、温度のセットのうちの第2の温度まで前駆体を加熱することによって、持続時間のセットのうちの第2の持続時間中に圧力のセットのうちの第1の圧力から圧力のセットのうちのN番目の圧力まで前駆体を加圧することを備える。
【0139】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、圧力のセットのうちのN番目の圧力で温度のセットのうちの第2の温度から温度のセットのうちのN番目の温度まで前駆体を加熱することを備える。
【0140】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、例えば、圧力のセットのうちのN番目の圧力から、例えば周囲圧力まで実質的に等温減圧し、その後、温度のセットのうちのN番目の温度から、例えば周囲温度に向かって冷却することによって、温度のセットのうちのN番目の温度からの冷却を調整し、及び/又は圧力のセットのうちのN番目の圧力からの減圧を調整することを備える。
【0141】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を冷却することを備え、任意選択で、温度のセットのうちのN+1番目の温度は、持続時間のセットのうちのN+1番目の持続時間中にN番目の温度の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%である。
【0142】
この例では、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を冷却することは、温度のセットのうちのN番目の温度から温度のセットのうちのN+1番目の温度まで前駆体を等圧冷却することを備える。
【0143】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、減圧速度のセットのうちの第1の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+2番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+2番目の圧力まで前駆体を減圧することと、減圧速度のセットのうちの第2の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+3番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+3番目の圧力まで前駆体を減圧することと、任意選択で、減圧速度のセットのうちの第3の減圧速度で持続時間のセットのうちのN+4番目の持続時間中に圧力のセットのうちのN+4番目の圧力まで前駆体を減圧することとを備え、第1の減圧速度は、第2の減圧速度よりも遅く、任意選択で、第2の減圧速度は、第3の減圧速度よりも遅く、任意選択で、前駆体を減圧することは、例えば、加熱又は冷却を適用することなく、例えば、温度のセットのうちのN番目の温度又は前記温度のうちのN+1番目の温度で前駆体を実質的に等温減圧することを備える。
【0144】
この例では、温度のセット、圧力のセット、及び/又は持続時間のセットを調整することは、冷却速度のセットのうちの第1の冷却速度で持続時間のセットのうちのN+5番目の持続時間中に温度のセットのうちのN+5番目の温度まで前駆体を冷却することと、冷却速度のセットのうちの第2の冷却速度で持続時間のセットのうちのN+6番目の持続時間中に温度のセットのうちのN+6番目の温度まで前駆体を冷却することとを備え、第1の冷却速度は、第2の冷却速度よりも遅く、任意選択で、前駆体を冷却することは、例えば周囲圧力で前駆体を等圧冷却することを備える。
【0145】
好ましい実施形態を示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義され、上記で説明したような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が行われ得ることが当業者によって認識されるであろう。
【0146】
本出願に関連して本明細書と同時に又は本明細書より前に提出され、本明細書と共に公衆の閲覧に供される全ての文献及び文書に注意が向けられ、全てのそのような文献及び文書の内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0147】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲及び図面を含む)中に開示した特徴の全て、及び/又はそのように開示した任意の方法若しくはプロセスのステップの全ては、そのような特徴及び/又はステップのうちの多くともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0148】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲及び図面を含む)中に開示した各特徴は、別段に明記されない限り、同一、同等、又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられ得る。このことから、別段に明記されない限り、開示した各特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴の一例に過ぎない。
【0149】
本発明は、前述の実施形態(複数可)の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲及び図面を含む)中に開示した特徴のうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせ、又はそのように開示した任意の方法若しくはプロセスのステップのうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【国際調査報告】