(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】イチョウ葉を含む抗コクシジウム用組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
A23K 20/116 20160101AFI20231003BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20231003BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20231003BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20231003BHJP
A61K 36/16 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A23K20/116
A61P33/02 171
A61K31/365
A61K31/352
A61K36/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519071
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 KR2021013038
(87)【国際公開番号】W WO2022065914
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0125244
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギュヨル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミン・ア
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギョン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ‐ジェ
【テーマコード(参考)】
2B150
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
2B150AD21
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086CA01
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4C086ZB38
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4C088AB02
4C088AC05
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4C088NA14
4C088ZB38
4C088ZC61
(57)【要約】
本出願は、イチョウ葉を含む抗コクシジウム用組成物およびその用途に関し、一例によるイチョウ葉を含む組成物は、コクシジウム症を誘導可能な胞子小体に対する直接死滅効果、前記胞子小体の細胞侵入抑制効果、および/または細胞内の前記胞子小体の増殖抑制効果に優れ、生体内コクシジウム症の予防、改善、および治療効果に優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、コクシジウム症の予防、または改善用飼料組成物。
【請求項2】
前記コクシジウム症は、アイメリア属(Eimeria sp.)原虫によって誘導されるものである、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項3】
前記コクシジウム症の予防または改善は、下記の(1)~(4)からなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載の飼料組成物:
(1)病変スコア、糞便オーシスト排出量、および斃死率からなる群より選択された1種以上が減少;
(2)コクシジウム症による体重減少の抑制;
(3)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が増加;および
(4)アイメリア属原虫の細胞侵入、細胞内の前記原虫の増殖、またはこれらすべてが減少。
【請求項4】
イチョウ葉を含む、コクシジウム症の予防、または改善用飼料組成物。
【請求項5】
前記イチョウ葉は、イチョウ葉の原物、乾燥物、粉砕物、および抽出物からなる群より選択された1種以上である、請求項4に記載のコクシジウム症の予防、または改善用飼料組成物。
【請求項6】
前記イチョウ葉抽出物は、水、炭素数1~4個の直鎖または分枝鎖アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、エチルアセテート、ブチルアセテート、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン、およびこれらの混合物から構成された群より選択される抽出溶媒を用いた溶媒抽出方法で抽出されたものである、請求項5に記載の飼料組成物。
【請求項7】
前記コクシジウム症は、アイメリア属(Eimeria sp.)原虫によって誘導されるものである、請求項4に記載の飼料組成物。
【請求項8】
前記コクシジウム症の予防または改善は、下記の(1)~(4)からなる群より選択された1種以上である、請求項4に記載の飼料組成物:
(1)病変スコア、糞便オーシスト排出量、および斃死率からなる群より選択された1種以上が減少;
(2)コクシジウム症による体重減少の抑制;
(3)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が増加;および
(4)アイメリア属原虫の細胞侵入、細胞内の前記原虫の増殖、またはこれらすべてが減少。
【請求項9】
前記飼料組成物は、前記有効成分を全体重量を基準として1%(w/w)以下の濃度で含む飼料である、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項10】
前記飼料組成物は、前記イチョウ葉を全体重量を基準として1%(w/w)以下の濃度で含む飼料である、請求項4に記載の飼料組成物。
【請求項11】
前記飼料組成物は、飼料添加剤である、請求項1~8のいずれか1項に記載の飼料組成物。
【請求項12】
ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物。
【請求項13】
イチョウ葉を含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物。
【請求項14】
ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物。
【請求項15】
イチョウ葉を含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか1項に記載の飼料組成物;請求項12または13に記載の薬学組成物;および請求項14または15に記載の抗原虫用組成物からなる群より選択された組成物をヒトを除いた動物に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年9月25日付の大韓民国特許出願第10-2020-0125244号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、イチョウ葉を含む抗コクシジウム用組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
コクシジウム症は、アイメリア(Eimeria)というアピコンプレックス門(phyluma picomplexan)に属する原生動物寄生虫によって引き起こされる腸関連疾患であって、コクシジウム症に感染すると、消化障害、下痢、体重減少の症状を呈し、ひいては家畜の斃死まで起こし、全世界の農家に経済的に大きな影響を及ぼす(Williams RB.A compartmentalised model for the estimation of the cost of coccidiosis to the world’s chicken production industry.Int J Parasitol.1999;29(8):1209-1229)。
【0004】
ここ数年間、多くの研究関係者によって、コクシジウム症を治療するための治療剤としてオーシスト細胞壁の形成あるいは原虫の無性および有性生殖を阻害可能なイオノフォア(ionophore)または化学的合成製剤(chemically synthetic coumpounds)のような抗コクシジウム剤が開発された。しかし、イオノフォアと化学的合成製剤を交互に処理するシャトルプログラム(shuttle program)の長期的な使用による薬剤耐性を持つ原虫などが出現するなどの副作用が発生した。
【0005】
特に、抗生剤の誤用・乱用により動物に蓄積された抗生剤は、肉類を通して人間が抗生剤を摂取することで深刻な問題となっており、畜産物内の抗生剤残留問題により世界各国で抗生剤の投薬を禁止する傾向にある。したがって、薬剤に耐性を持つ菌株の出現および体内残留問題などの副作用を示す既存の抗コクシジウム剤の代替剤に関する開発および研究が急がれるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国公開特許第2008-0160000号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の一例は、ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、コクシジウム症の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0008】
本出願の他の例は、イチョウ葉を含む、コクシジウム症の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0009】
本出願のさらに他の例は、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、コクシジウム症の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0010】
本出願のさらに他の例は、イチョウ葉を含む、コクシジウム症の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0011】
本出願のさらに他の例は、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上を有効成分として含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供する。
【0012】
本出願のさらに他の例は、イチョウ葉を含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供する。
【0013】
本出願のさらに他の例は、前記組成物をヒトを除いた動物に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法を提供する。
【0014】
本出願のさらに他の例は、前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/または前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。
【0015】
本出願のさらに他の例は、イチョウ葉のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;イチョウ葉のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/またはイチョウ葉のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願の一例は、ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)を有効成分として含む、コクシジウム症の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0017】
前記ギンコライドAは、C20H24O9の分子式を有し、下記の化学式1の構造を有する化合物として、例えば、CAS No.15291-75-5、UNII-TAZ2DPR77B、CHEMBL465161、BN52020、DTXSID10873222、および/またはHMS2089P12であってもよい。
【0018】
【0019】
前記ギンコライドBは、C20H24O10の分子式を有し、下記の化学式2の構造を有する化合物として、例えば、イチョウラクトン(Ginkgo lactone)と名付けられ、CAS No.15291-77-7、BN52021、および/またはAK160212であってもよい。
【0020】
【0021】
前記ギンコライドCは、C20H24O11の分子式を有し、下記の化学式3の構造を有する化合物として、例えば、CAS No.15291-76-6、SCHEMBL16452771、MFCD02094178、ZINC85507063、および/またはAKOS025311463であってもよい。
【0022】
【0023】
前記ケルセチンは、C15H10O7の分子式を有し、下記の化学式4の構造を有する化合物として、例えば、メレチン(Meletin)、ソホレチン(Sophoretin)、および/またはキサンタウリン(Xanthaurine)と名付けられ、CAS No.117-39-5であってもよい。
【0024】
【0025】
前記ケンフェロールは、C15H10O6の分子式を有し、下記の化学式5の構造を有する化合物として、例えば、ロビゲニン(Robigenin)、ラムノルテイン(Rhamnolutein)、ポプルネチブ(Populnetib)、トリフォリチン(Trifolitin)、および/またはペラルギデノロン(Pelargidenolon)と名付けられ、CAS No.520-18-3であってもよい。
【0026】
【0027】
前記ビロバライドは、C15H18O8の分子式を有し、下記の化学式6の構造を有する化合物として、例えば、CAS No.33570-04-6、UNII-M81D2O8H7U、またはCHEBI:3103であってもよい。
【0028】
【0029】
前記ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択される化合物は、市販のものを購入するか、天然物から抽出および分離して得るか、通常の有機合成方法で製造することができるが、これに限定されない。
【0030】
本出願において、化合物の塩は、陽イオンと陰イオンとが静電的引力によって結合している物質である塩の中で生理学上許容される塩を意味することができ、例えば、飼料組成物に許容可能な塩、薬学的に許容可能な塩、および/または抗原虫用組成物に許容可能な塩を意味することができる。例えば、前記塩は、金属塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などからなる群より選択された1種以上であってもよい。一例において、前記金属塩は、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)、アルミニウム塩などからなる群より選択された1種以上であってもよく;有機塩基との塩は、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩などからなる群より選択された1種以上であってもよいし;無機酸との塩は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩などからなる群より選択された1種以上であってもよく;有機酸との塩は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩などからなる群より選択された1種以上であってもよいし;塩基性アミノ酸との塩は、アルギニン、リシン、オルニチンなどとの塩などからなる群より選択された1種以上であってもよく;酸性アミノ酸との塩は、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0031】
本出願において、抗コクシジウム効能(活性、効果)に優れているのは、下記の(1)~(5)からなる群の中から選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)を意味するものであってもよい:
(1)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が対照群に比べて高い;
(2)コクシジウム症が誘導された動物個体に投与されて、対照群に比べて斃死率、病変スコア(lesion score)(例えば、盲腸病変スコア)、および/または糞便オーシスト(oocyst)排出量を減少させる;
(3)コクシジウム症の誘導による体重減少を抑制する;
(4)対照群に比べてコクシジウム症を誘導する原虫に対する殺虫活性が高い;および
(5)対照群に比べてコクシジウム症を誘導する原虫の細胞侵入および/または細胞内の前記原虫の増殖抑制効果が高い。
【0032】
本出願において、前記対照群は、陰性対照群(何ら処理されない群であるか、水および/またはバッファー処理群)および/または既存の公知の抗コクシジウム剤(例えば、ジクラズリル(diclazuril)、サリノマイシン(salinomycin)、および/または没食子酸(gallic acid))を含む陽性対照群を意味することができる。
【0033】
一例による組成物は、下記の(1)~(6)からなる群の中から選択された1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、または6種すべて)の特性を持つことができ、その特性は対照群より優れたものであり得る:
(1)抗コクシジウム活性に優れる;
(2)コクシジウム症を誘導する原虫に対する抗原虫効果に優れる;
(3)耐酸性に優れる;
(4)耐熱性に優れる;
(5)生体内安定性および/または安全性に優れる;および
(6)増体量改善効果に優れる。
【0034】
一例による組成物は、耐酸性および/または耐熱性に優れ、体内に投与されて優れた抗コクシジウム活性を長期間維持することができ、生体内安定性に優れ、多様な温度および/またはpH範囲の環境でも優れた抗コクシジウム活性を維持することができ、多様な製品(例えば、飼料添加剤)への適用が可能であり、保管安定性に優れることができる。
【0035】
一例による組成物は、体内投与時、腸以外の他の組織および臓器(例えば、血液、肝、腎臓、および/または脾臓など)などに吸収されず、体内残留量が少なくて、生体内安全性に優れることができる。
【0036】
一例において、増体量改善効果に優れるというのは、個体に投与されて個体の体重を増加させる効果に優れていることを意味することができ、一例において、前記増体量は、1日あたりの増体量を意味することができ、前記個体は、コクシジウム症が誘導された個体であってもよい。
【0037】
一例による組成物は、既存の公知の抗コクシジウム剤(例えば、スルファキノキサリン、スルファクロロピラジン、およびスルファメタジンのようなスルファ剤、サリノマイシン、およびモネンシンソジウムのようなポリエーテルイオノフォア抗生物質、アンプロリウム、ジクラズリル、没食子酸、および/またはトルトラズリル)より同等以上の抗コクシジウム活性を示しながらも、副作用や薬物耐性を誘発せず、毒性の低い天然物(イチョウ葉)を含むか、体内に残留せず、長期間使用しても安全であり得る。
【0038】
本出願において、「予防」とは、一例による組成物の投与によって疾患の発病を抑制または遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、一例による組成物の投与によって疾患の疑いおよび発病個体の症状が好転または有利に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、一例による組成物の投与で疾患が治療される状態に関連するパラメータ、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるすべての行為を意味することができる。前記疾患は、コクシジウム症を意味することができる。
【0039】
一例において、前記ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上を含む組成物は、イチョウ葉を含む組成物であってもよく、前記イチョウ葉は、イチョウ葉原物、乾燥物、粉砕物、および抽出物からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0040】
他の態様は、イチョウ葉(ginkgo leaf)を含む、コクシジウム症の予防、または改善用飼料組成物を提供することができる。
【0041】
一例による組成物は、抗コクシジウム活性を示す成分としてイチョウ葉を含むことができ、前記イチョウ葉は、イチョウ葉原物、乾燥物、粉砕物、および抽出物からなる群より選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)であってもよい。
【0042】
前記イチョウ葉は、イチョウ科のイチョウ(Ginkgo biloba)の葉を意味することができる。イチョウ葉は、他のほとんどの裸子植物とは異なり、扇形状で中間部位が分かれており、一例において、前記イチョウ葉は、春に出た青い葉(緑色の葉)および/または秋に紅葉した黄色の葉であってもよい。かなり前から漢方で薬剤として使用されてきており、現代医学でもイチョウ葉抽出物は脳および末梢血管血流量の低下、感覚神経疾患、記憶力および認知機能の低下などにおける治療剤として使用されており、抗癌抑制効果も報告されている。
【0043】
一例において、前記イチョウ葉は、黄色く紅葉する前の青い葉(緑色の葉)または黄色く紅葉した黄色の葉を意味するものであってもよい。
【0044】
前記イチョウ葉原物は、加工(例えば、乾燥、粉砕、および/または抽出)していないイチョウ葉を意味するものであってもよい。
【0045】
前記イチョウ葉乾燥物は、前記イチョウ葉原物を乾燥して得られるものであり、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、常温乾燥、および/または凍結乾燥などの方法により得られる。
【0046】
前記イチョウ葉粉砕物は、前記イチョウ葉原物および/または前記イチョウ葉乾燥物を粉砕および/または破砕して得られるものであってもよく、粉砕機を用いて得られたものであってもよい。
【0047】
一例において、前記イチョウ葉を50~90℃で4時間~24時間乾燥した後、粉砕機を用いて粉砕してイチョウ葉粉末を製造することができる。
【0048】
本出願において、「抽出物」とは、生薬を適切な浸出液に搾り出し、浸出液を蒸発させて濃縮した製剤を意味するもので、抽出処理によって得られる抽出液、抽出液の希釈液または濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、これらの粗精製物、および/または精製物であってもよい。前記イチョウ葉原物は、当業界にて公知の一般的な抽出方法、分離および精製方法を利用して製造することができる。前記抽出方法としては、具体的には、熱湯抽出、熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出、または超音波抽出などの方法を使用することができる。
【0049】
一例において、前記イチョウ葉抽出物は、市販のものを購入するか、医薬または食品業界にて通常知られた抽出方法および抽出溶媒を適切に選択して製造することができる。例えば、前記抽出方法は、通常の抽出方法として、溶媒抽出法、超音波抽出法、ろ過法、および/または還流抽出法などを含むことができる。一例において、前記イチョウ葉抽出物は、抽出溶媒として抽出するか、抽出溶媒として抽出して製造した抽出物に分画溶媒を加えて分画することによって製造することができる。例えば、前記イチョウ葉抽出物は、水、炭素数1~4個の直鎖または分枝鎖アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、エチルアセテート、ブチルアセテート、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン、およびこれらの混合物から構成された群より選択される抽出溶媒を用いた溶媒抽出方法で抽出されたものであってもよい。具体的には、前記炭素数1~4個のアルコールは、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、および/またはtert-ブタノールであってもよい。前記抽出溶媒を乾燥したイチョウ葉の分量に1倍~10倍添加して抽出することができ、具体的には、2倍~3倍添加して抽出することができる。抽出温度は、30℃~100℃、50℃~90℃、または60℃~80℃であってもよい。また、抽出時間は、10時間~48時間、12時間~30時間、または18時間~24時間であってもよい。同時に、抽出回数は、1回~5回、または2回~4回、繰り返し抽出することができる。
【0050】
本出願において、「コクシジウム症(coccidiosis、コクシジア症)」は、コクシジウム原虫(コクシジウム症を誘導可能な原虫、例えば、アイメリア属コクシジウム原虫)が消化管上皮で粘膜下組織の細胞質内に寄生し、上皮を破壊させ、腸炎を起こす疾患であって、肉鶏農場で水っぽい便、下痢および血便で増体率の低下と出荷日齢の延長で経済的被害をもたらす原虫性疾病である。コクシジウム症は、肉鶏だけでなく、鳥類およびほ乳動物でも発現し、具体的には、前記コクシジウム症は、ウシ、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、実験動物であるマウス、およびラットなどにも感染することがあり、特にニワトリなどの家禽類に致命的な損傷をきたしうる。一例において、前記コクシジウム症は、急性型コクシジウム症、亜急性型コクシジウム症、および慢性型コクシジウム症などを含むことができる。前記急性型コクシジウム症は、感染後48時間以内に血便、元気消失、貧血を呈し、感染した個体が斃死することがあり、前記亜急性型コクシジウム症は、感染後に血液性下痢および/または貧血症状を呈し、前記慢性型コクシジウム症は、感染後1~2日間下痢後に水っぽい便および/または体重減少の症状を呈することがある。
【0051】
コクシジウム原虫種のオーシスト(Oocyst、嚢胞、虫卵)が高い湿度と温度で胞子虫(Sporulated Oocyst)に成熟する場合に感染性があり、個体の体内で一定の生活史(life cycle)を経た後、糞便でオーシストを排泄すれば伝播が行われやすく、オーシスト生活史が繰り返される。コクシジウム原虫種のオーシスト(嚢胞)は外部環境に対して抵抗性が大きく、嚢胞壁は内外の2層から構成されていることが知られている。嚢胞壁の外層はゼラチン物質として物理的な外圧に強く抵抗し、内層は核蛋白に豊富で化学的刺激、例えば、消毒剤に強く抵抗することができる。コクシジウム原虫種のオーシストは4個の胞子嚢(sporocysts)を含むことができ、前記胞子嚢は各2つの胞子小体(sporozoites)を含むことができ、オーシスト形態で動物に感染後、胞子嚢と胞子小体形態で放出されて細胞内で増殖し、有性生殖および/または無性生殖を経た胞子小体はオーシストを形成して糞便で排出される。一例において、胞子小体は原虫と同一の意味で使われ、前記胞子小体(原虫)は病変を起こしうる。
【0052】
一例によれば、前記コクシジウム症は、アイメリア属(Eimeria sp.)原虫によって誘導されるものであってもよい。一例において、前記アイメリア属原虫は、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina:砂嚢球胞子虫)、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella:鶏盲腸球胞子虫)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima:マキシマ球胞子虫)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix:ネカトル球胞子虫)、アイメリア・ブルネッチィ(Eimeria brunetti:ブルネット球胞子虫)、アイメリア・ハガニ(Eimeria hagani:ハガニ球胞子虫)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis:ミチス球胞子虫)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox:早熟球胞子虫)、アイメリア・ミバティ(Eimeria mivati:ミバト球胞子虫)、アイメリア・アウラチ(Eimeria aurati)、アイメリア・バウエリ(Eimeria baueri)、アイメリア・レピドシレニス(Eimeria lepidosirenis)、アイメリア・ロイシスシ(Eimeria leucisci)、アイメリア・ルチル(Eimeria rutile)、アイメリア・バナシ(Eimeria vanasi)、アイメリア・アンフィスバエニアルム(Eimeria amphisbaeniarum)、アイメリア・ウィッチェリ(Eimeria witchery)、アイメリア・イエメネンサエ(Eimeria yemenensae)、アイメリア・アデノエイデス(Eimeria adenoeides)、アイメリア・コルキシ(Eimeria colchici)、アイメリア・クルバタ(Eimeria curvata)、アイメリア・ディスパーサ(Eimeria dispersa)、アイメリア・デュオデナリス(Eimeria duodenalis)、アイメリア・フラテルクラエ(Eimeria fraterculae)、アイメリア・ガロパボニス(Eimeria gallopavonis)、アイメリア・インノクア(Eimeria innocua)、アイメリア・メレアグリディス(Eimeria meleagridis)、アイメリア・メレアグリミチス(Eimeria meleagrimitis)、アイメリア・ファシアニ(Eimeria phasiani)、アイメリア・プロセラ(Eimeria procera)、アイメリア・プルプレイセファリ(Eimeria purpureicephali)、アイメリア・アーサタ(Eimeria ahsata)、アイメリア・アラバメンシス(Eimeria alabamensis)、アイメリア・アリジェビ(Eimeria alijevi)、アイメリア・アスフェロニカ(Eimeria aspheronica)、アイメリア・アルロインギ(Eimeria arloingi)、アイメリア・アルンデリ(Eimeria arundeli)、アイメリア・バクエンシス(Eimeria bakuensis)、アイメリア・ボビス(Eimeria bovis)、アイメリア・カメリ(Eimeria cameli)、アイメリア・カプリナ(Eimeria caprina)、アイメリア・カプロビナ(Eimeria caprovina)、アイメリア・クリステンセニ(Eimeria christenseni)、アイメリア・クレトリオノミイス(Eimeria clethrionomyis)、アイメリア・コエシコラ(Eimeria coecicola)、アイメリア・コントルタ(Eimeria contorta)、アイメリア・コウエシー(Eimeria couesii)、アイメリア・クランダリス(Eimeria crandallis)、アイメリア・ダマヘンシス(Eimeria dammahensis)、アイメリア・ドウレリ(Eimeria dowleri)、アイメリア・エキシグア(Eimeria exigua)、アイメリア・ファルシホルミス(Eimeria falciformis)、アイメリア・ファラサニ(Eimeria farasanii)、アイメリア・フェリシ(Eimeria ferrisi)、アイメリア・フラベセンス(Eimeria flavescens)、アイメリア・ガラチ(Eimeria gallatii)、アイメリア・グラヌロサ(Eimeria granulosa)、アイメリア・ヒルシ(Eimeria hirci)、アイメリア・インテスチナリス(Eimeria intestinalis)、アイメリア・イレシドュア(Eimeria irresidua)、アイメリア・イントリカタ(Eimeria intricata)、アイメリア・ジョルチジェビ(Eimeria jolchijevi)、アイメリア・クリグスマニ(Eimeria krijgsmanni)、アイメリア・ラリメレンシス(Eimeria larimerensis)、アイメリア・マクサニエンシス(Eimeria macusaniensis)、アイメリア・マグナ(Eimeria magna)、アイメリア・マルコニ(Eimeria marconii)、アイメリア・メディア(Eimeria media)、アイメリア・メラヌリ(Eimeria melanuri)、アイメリア・ミオキシ(Eimeria myoxi)、アイメリア・ナグプレンシス(Eimeria nagpurensis)、アイメリア・ニーシュルジ(Eimeria nieschulzi)、アイメリア・ニナコリアヤキモバエ(Eimeria ninakohlyakimovae)、アイメリア・オビノイダリス(Eimeria ovinoidalis)、アイメリア・パリダ(Eimeria pallida)、アイメリア・パルストリス(Eimeria palustris)、アイメリア・パピラタ(Eimeria papillata)、アイメリア・パーフォランス(Eimeria perforans)、アイメリア・フォカエ(Eimeria phocae)、アイメリア・ピレアタ(Eimeria pileata)、アイメリア・ピピストレルス(Eimeria pipistrellus)、アイメリア・ピリホルミス(Eimeria piriformis)、アイメリア・プリオノテムニ(Eimeria prionotemni)、アイメリア・プロシオニス(Eimeria procyonis)、アイメリア・プンクタテ(Eimeria punctate)、アイメリア・ローブロウキ(Eimeria roobroucki)、アイメリア・サウジエンシス(Eimeria saudiensis)、アイメリア・セアランデリ(Eimeria sealanderi)、アイメリア・セパラタ(Eimeria separata)、アイメリア・スチデ(Eimeria stiedae)、アイメリア・ウルシニ(Eimeria ursini)、アイメリア・ヴェルミフォルミス(Eimeria vermiformis)、アイメリア・ウェイブリゲンシス(Eimeria weybridgensis)、アイメリア・ウォバチ(Eimeria wobati)、およびアイメリア・ツェルニ(Eimeria zuernii)からなる群の中から選択される1種以上であってもよい。
【0053】
一例による組成物は、下記表1に記載されたアイメリア属原虫からなる群より選択された1種以上の原虫によって誘導されたコクシジウム症の予防、改善、および/または治療効果に優れたものであり、下記表1に記載されたアイメリア属原虫は、それぞれ表1に記載された動物のコクシジウム症を誘導するものであってもよい。
【0054】
【0055】
一例による組成物は、アイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナ、および/またはアイメリア・マキシマによって誘導されたコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に効果が優れたものであり得る。
【0056】
一例において、前記コクシジウム症の予防または改善は、下記の(1)~(4)からなる群より選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)を意味することができ、例えば、対照群(陰性対照群および/または陽性対照群)より下記の(1)~(4)からなる群より選択された1種以上が減少、抑制、および/または増加したものであってもよい:
(1)病変スコア(例えば、盲腸病変スコア)、糞便オーシスト排出量、および斃死率からなる群より選択された1種以上が減少;
(2)コクシジウム症による体重減少の抑制;
(3)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が増加;および
(4)アイメリア属原虫の細胞侵入、細胞内の前記原虫の増殖、またはこれらすべてが減少。
【0057】
一例において、前記病変スコアを決定する病変スコアリング方法は、Johnson JK&Reid WM(1970)文献(Joyce Johnson,W.Malcolm Reid,Anticoccidial drugs:Lesion scoring techniques in battery and floor-pen experiments with chickens,Experimental parasitology,1970)を参照して行われ、前記病変スコアは0~4等級であってもよい。
【0058】
一例において、前記病変スコアは、盲腸、十二指腸、および/または腔腸で測定された病変スコアを意味することができ、各器官(盲腸、十二指腸、および/または腔腸)で測定されたそれぞれの病変スコアの合計で計算される。
【0059】
一例において、前記糞便オーシスト排出量は、個体から排出された糞便を収集して、顕微鏡を用いるか、カウンティングチャンバ(例えば、McMaster chamber)などを用いて測定される。
【0060】
一例において、前記斃死率は、コクシジウム症が誘導された動物個体の斃死率を意味するものであってもよく、死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除外できる。
【0061】
一例において、コクシジウム症が誘導された個体は、コクシジウム症が誘導されていない個体より体重が減少することができ、一例による組成物は、コクシジウム症が誘導による体重減少を抑制することができる。
【0062】
一例において、前記抗コクシジウム総合指数は、下記の数式1で計算され、数式1で病変スコアは前述した方法のように計算される。
【0063】
(数1)
抗コクシジウム総合指数(ACI)=(攻撃接種後の生存率(%))+(陰性対照群対比の1日あたりの増体量(%))-(病変スコア×10)-(糞便オーシスト排出量指数)
【0064】
前記攻撃接種は、コクシジウム症を誘導可能な原虫の投与(例えば、口腔接種など)を意味することができる。一例において、前記生存率は、攻撃接種後5~10日目、7~10日目、8~10日目、7~9日目、7~8日目、または7日目に測定された生存率であり、死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除いて生存率を測定することができる。
【0065】
前記数式1中、陰性対照群対比の増体量は、陰性対照群(例えば、原虫が非感染した陰性対照群)の値を基準に計算された百分率で計算された値であってもよい。
【0066】
前記数式1での病変スコアは前述した通りである。
【0067】
前記数式1中、糞便オーシスト排出量指数は、陰性対照群(例えば、原虫が感染した陰性対照群)の値を基準に百分率を計算して、計算した結果値が0%以上~1%未満の水準であれば0、1%以上~26%未満の水準であれば5、26%以上~51%未満の水準であれば10、51%以上~76%未満の水準であれば20、76%以上~100%以下の水準は40で数値化された値であってもよい。
【0068】
一例において、前記有効成分(ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上)は、飼料組成物に1w/w%以下、1w/w%未満、10-1w/w%以下、5×10-2w/w%以下、2.5×10-2w/w%以下、2×10-2w/w%以下、1.25×10-2w/w%以下、10-2w/w%以下、9×10-3w/w%以下、8×10-3w/w%以下、7×10-3w/w%以下、6×10-3w/w%以下、5×10-3w/w%以下、4×10-3w/w%以下、10-7w/w%以上、10-6w/w%以上、10-5w/w%以上、10-4w/w%以上、5×10-4w/w%以上、10-3w/w%以上、1.5×10-3w/w%以上、2×10-3w/w%以上、3×10-3w/w%以上、4×10-3w/w%以上、5×10-3w/w%以上、10-7~1w/w%、10-7~10-1w/w%、10-7~5×10-2w/w%、10-7~10-2w/w%、10-7~5×10-3w/w%、10-7~4×10-3w/w%、10-7~10-3w/w%、10-7~5×10-4w/w%、10-7~10-4w/w%、10-7~10-5w/w%、10-6~1w/%、10-6~10-1w/w%、10-6~5×10-2w/w%、10-6~10-2w/w%、10-6~5×10-3w/w%、10-6~4×10-3w/w%、10-6~10-3w/w%、10-6~5×10-4w/w%、10-6~10-4w/w%、10-6~10-5w/w%、10-5~1w/w%、10-5~10-1w/w%、10-5~5×10-2w/w%、10-5~10-2w/w%、10-5~5×10-3w/w%、10-5~4×10-3w/w%、10-5~10-3w/w%、10-5~5×10-4w/w、10-5~10-4w/w%、10-4~1w/w%、10-4~10-1w/w%、10-4~5×10-2w/w%、10-4~10-2w/w%、10-4~5×10-3w/w%、10-4~4×10-3w/w%、10-4~10-3w/w%、10-4~5×10-4w/w%、10-3~1w/w%、10-3~10-1w/w%、10-3~5×10-2w/w%、10-3~10-2w/w%、10-3~5×10-3w/w%、10-3~4×10-3w/w%、10-3~2×10-3w/w%、または10-3~1.5×10-3w/w%含まれる。
【0069】
一例において、前記飼料組成物は、前記有効成分を全体重量を基準として前記範囲で含む飼料(例えば、動物に最終的に摂取される配合飼料および/または単味飼料)であってもよい。
【0070】
一例において、前記有効成分(ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上)は、飼料組成物に10000ppm以下、5000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、125ppm以下、125ppm未満、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、65ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、0.001ppm以上、0.01ppm以上、0.1ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、30ppm以上、40ppm以上、50ppm以上、0.001~1000ppm、0.001~500ppm、0.001~300ppm、0.001~200ppm、0.001~125ppm、0.001~100ppm、0.001~90ppm、0.001~80ppm、0.001~70ppm、0.001~60ppm、0.001~50ppm、0.001~40ppm、0.001~30ppm、0.003~1000ppm、0.003~500ppm、0.003~300ppm、0.003~200ppm、0.003~125ppm、0.003~100ppm、0.003~90ppm、0.003~80ppm、0.003~70ppm、0.003~60ppm、0.003~50ppm、0.003~40ppm、0.003~30ppm、0.01~1000ppm、0.01~500ppm、0.01~300ppm、0.01~200ppm、0.01~125ppm、0.01~100ppm、0.01~90ppm、0.01~80ppm、0.01~70ppm、0.01~60ppm、0.01~50ppm、0.01~ppm、0.01~30ppm、0.1~1000ppm、0.1~500ppm、0.1~300ppm、0.1~200ppm、0.1~125ppm、0.1~100ppm、0.1~90ppm、0.1~80ppm、0.1~70ppm、0.1~60ppm、0.1~50ppm、0.1~40ppm、0.1~30ppm、1~1000ppm、1~500ppm、1~300ppm、1~200ppm、1~125ppm、1~100ppm、1~90ppm、1~80ppm、1~70ppm、1~60ppm、1~50ppm、1~40ppm、1~30ppm、3~1000ppm、3~500ppm、3~300ppm、3~200ppm、3~125ppm、3~100ppm、3~90ppm、3~80ppm、3~70ppm、3~60ppm、3~50ppm、3~40ppm、3~30ppm、5~1000ppm、5~500ppm、5~300ppm、5~200ppm、5~125ppm、5~100ppm、5~90ppm、5~80ppm、5~70ppm、5~60ppm、5~50ppm、5~40ppm、5~30ppm、10~1000ppm、10~500ppm、10~300ppm、10~200ppm、10~125ppm、10~100ppm、10~90ppm、10~80ppm、10~70ppm、10~60ppm、10~50ppm、10~40ppm、または10~30ppmの濃度で含まれる。
【0071】
一例において、前記範囲で前記有効成分(ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上)を含む場合、前記範囲外に前記有効成分を含む場合より抗コクシジウム活性に優れたものであり得る。
【0072】
一例において、前記イチョウ葉は、飼料組成物に1w/w%以下、1w/w%未満、10-1w/w%以下、5x10-2w/w%以下、2.5x10-2w/w%以下、2x10-2w/w%以下、1.25x10-2w/w%以下、10-2w/w%以下、9x10-3w/w%以下、8x10-3w/w%以下、6.25x10-3w/w%以下、7x10-3w/w%以下、6x10-3w/w%以下、5x10-3w/w%以下、4x10-3w/w%以下、10-7w/w%以上、10-6w/w%以上、10-5w/w%以上、10-4w/w%以上、5x10-4w/w%以上、10-3w/w%以上、1.5x10-3w/w%以上、2x10-3w/w%以上、3x10-3w/w%以上、4x10-3w/w%以上、5x10-3w/w%以上、6.25x10-3w/w%以上、10-7~1w/w%、10-7~10-1w/w%、10-7~5x10-2w/w%、10-7~10-2w/w%、10-7~5x10-3w/w%、10-7~4x10-3w/w%、10-7~10-3w/w%、10-7~5x10-4w/w%、10-7~10-4w/w%、10-7~10-5w/w%、10-6~1w/w%、10-6~10-1w/w%、10-6~5x10-2w/w%、10-6~10-2w/w%、10-6~5x10-3w/w%、10-6~4x10-3w/w%、10-6~10-3w/w%、10-6~5x10-4w/w%、10-6~10-4w/w%、10-6~10-5w/w%、10-5~1w/w%、10-5~10-1w/w%、10-5~5x10-2w/w%、10-5~10-2w/w%、10-5~5x10-3w/w%、10-5~4x10-3w/w%、10-5~10-3w/w%、10-5~5x10-4w/w%、10-5~10-4w/w%、10-4~1w/w%、10-4~10-1w/w%、10-4~5x10-2w/w%、10-4~10-2w/w%、10-4~5x10-3w/w%、10-4~4x10-3w/w%、10-4~10-3w/w%、10-4~5x10-4w/w%、10-3~1w/w%、10-3~10-1w/w%、10-3~5x10-2w/w%、10-3~10-2w/w%、10-3~5x10-3w/w%、10-3~4x10-3w/w%、10-3~2x10-3w/w%、または10-3~1.5x10-3w/w%含まれる。
【0073】
一例において、前記飼料組成物は、前記有効成分を全体重量を基準として前記範囲で含む飼料(例えば、動物に最終的に摂取される配合飼料および/または単味飼料)であってもよい。
【0074】
一例において、前記イチョウ葉は、飼料組成物に10000ppm以下、5000ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、125ppm以下、125ppm未満、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、65ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、0.001ppm以上、0.01ppm以上、0.1ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、30ppm以上、40ppm以上、50ppm以上、0.001~1000ppm、0.001~500ppm、0.001~300ppm、0.001~200ppm、0.001~125ppm、0.001~100ppm、0.001~90ppm、0.001~80ppm、0.001~70ppm、0.001~60ppm、0.001~50ppm、0.001~40ppm、0.001~30ppm、0.003~1000ppm、0.003~500ppm、0.003~300ppm、0.003~200ppm、0.003~125ppm、0.003~100ppm、0.003~90ppm、0.003~80ppm、0.003~70ppm、0.003~60ppm、0.003~50ppm、0.003~40ppm、0.003~30ppm、0.01~1000ppm、0.01~500ppm、0.01~300ppm、0.01~200ppm、0.01~125ppm、0.01~100ppm、0.01~90ppm、0.01~80ppm、0.01~70ppm、0.01~60ppm、0.01~50ppm、0.01~40ppm、0.01~30ppm、0.1~1000ppm、0.1~500ppm、0.1~300ppm、0.1~200ppm、0.1~125ppm、0.1~100ppm、0.1~90ppm、0.1~80ppm、0.1~70ppm、0.1~60ppm、0.1~50ppm、0.1~40ppm、0.1~30ppm、1~1000ppm、1~500ppm、1~300ppm、1~200ppm、1~125ppm、1~100ppm、1~90ppm、1~80ppm、1~70ppm、1~60ppm、1~50ppm、1~40ppm、1~30ppm、3~1000ppm、3~500ppm、3~300ppm、3~200ppm、3~125ppm、3~100ppm、3~90ppm、3~80ppm、3~70ppm、3~60ppm、3~50ppm、3~40ppm、3~30ppm、5~1000ppm、5~500ppm、5~300ppm、5~200ppm、5~125ppm、5~100ppm、5~90ppm、5~80ppm、5~70ppm、5~60ppm、5~50ppm、5~40ppm、5~30ppm、10~1000ppm、10~500ppm、10~300ppm、10~200ppm、10~125ppm、10~100ppm、10~90ppm、10~80ppm、10~70ppm、10~60ppm、10~50ppm、10~40ppm、または10~30ppmの濃度で含まれる。
【0075】
一例において、前記範囲で前記イチョウ葉を含む場合、前記範囲外に前記イチョウ葉を含む場合より抗コクシジウム活性に優れたものであり得る。
【0076】
本出願において、「飼料」とは、動物が食べて、摂取し、消化させるための、またはこれに適当な任意の天然または人工規定食、一片食など、または前記一片食の成分を意味することができる。一例による飼料組成物には、濃厚飼料、および/または特殊飼料が追加的に含まれる。前記濃厚飼料は、小麦、燕麦、トウモロコシなどの穀類を含む種子果実類、穀物を精製して得る副産物として米ぬか、ふすま、大麦ぬかなどを含むぬか類、豆、油菜、胡麻、アマニ、ココヤシなどを採油して得る副産物である油かす類と、サツマイモ、ジャガイモなどからデンプンを抜いた残りであるデンプンかすの主成分である残存デンプン質類などのかす類、魚粉、魚かす、魚類から得られた新鮮な液状物を濃縮させたものであるフィッシュソリュブル(fish soluble)、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉乳、牛乳からチーズ、脱脂乳からカゼインを製造する際の残液であるホエー(whey)を乾燥した乾燥ホエーなどの動物質飼料、酵母、クロレラ、および/または海藻類などであってもよい。
【0077】
一例による飼料組成物は、最終的に動物が摂取する形態の飼料、飼料に配合可能な食餌補助剤、および/または飼料添加剤を意味することができる。前記食餌補助剤とは、例えば、治療剤または消化剤を動物に提供する製剤含有組成物で、通常、生体の熱量摂取供給源、つまり、エネルギー供給源ではないが、通常の動物飼料に追加して摂取される組成物を意味することができる。前記飼料添加剤とは、栄養素の補充および体重減少の予防、飼料内繊維素の消化利用性増進、乳質改善、繁殖障害の予防および受胎率の向上、夏期高温ストレスの予防などの多様な効果を目的として飼料に添加する物質を意味する。一例において、コクシジウム症の予防、改善、または治療を目的として添加される物質を意味することができる。
【0078】
一例において、前記飼料組成物は、飼料添加剤であってもよく、一例による飼料添加剤が飼料(例えば、動物に最終的に摂取される配合飼料および/または単味飼料)に配合される時、全体の飼料重量を基準として、0.001%(w/w)以上、0.005%(w/w)以上、0.01%(w/w)以上、0.05%(w/w)以上、0.1%(w/w)以上、0.5%(w/w)以上、1%(w/w)以下、0.5%(w/w)以下、0.1%(w/w)以下、0.05%(w/w)以下、0.01%(w/w)以下、0.005%(w/w)以下、0.001~1%(w/w)、0.001~0.5%(w/w)、0.001~0.1%(w/w)、0.001~0.05%(w/w)、0.001~0.01%(w/w)、0.001~0.005%(w/w)、0.005~1%(w/w)、0.005~0.5%(w/w)、0.005~0.1%(w/w)、0.005~0.05%(w/w)、0.005~0.01%(w/w)、0.01~1%(w/w)、0.01~0.5%(w/w)、0.01~0.1%(w/w)、0.01~0.05%(w/w)、0.05~1%(w/w)、0.05~0.5%(w/w)、0.05~0.1%(w/w)、0.1~1%(w/w)、0.1~0.5%(w/w)、または0.5~1%(w/w)の重量で添加されて、飼料原料、補助飼料、補助剤、および/または一例による有効成分以外の他の種類の添加剤などと配合されてもよい。
【0079】
一例において、前記範囲で前記飼料添加剤を含む場合、前記範囲外に前記飼料添加剤を含む場合より抗コクシジウム活性に優れたものであり得る。
【0080】
一態様は、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)を有効成分として含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物を提供することができる。
【0081】
他の態様は、イチョウ葉を含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物を提供することができる。
【0082】
一例による薬学組成物は、単一剤としても使用することができ、公認されたコクシジウム症の予防または治療効果を持つことが知られた薬学組成物を追加的に含み、合製剤として製造して使用してもよい。薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤を追加して薬剤学的単位投与型で剤形化することができる。
【0083】
本出願において、「薬学的に許容可能な」とは、生物体を大きく刺激せず、投与活性物質の生物学的活性および特性を阻害しないことを意味する。一例により、薬学的に許容可能な担体を含む前記薬学組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内容液剤、油剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、および坐剤からなる群より選択されるいずれか1つの剤形を有することができる。
【0084】
前記薬学組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤、または賦形剤を用いて調製されてもよい。
【0085】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、1つ以上の化合物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製されてもよい。また、単純な賦形剤のほか、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤も使用可能である。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、油剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンのほか、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。
【0086】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0087】
一例において、前記薬学組成物は、それぞれの使用目的に合わせて、通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤などの多様な形態に剤形化して使用可能であり、経口投与するか、静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などを含む多様な経路を通して投与されてもよい。
【0088】
一例において、前記薬学組成物には、追加的に担体、賦形剤または希釈剤などがさらに含まれてもよいし、含有できる適した担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油などが挙げられる。また、前記薬学組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などを追加的にさらに含んでもよい。
【0089】
一例において、前記薬学組成物中の有効成分(例えば、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上)またはイチョウ葉の有効量は、患者(個体)の年齢、性別、体重により異なり、一般には、体重1kgあたり、0.0001~0.001mg/kg、0.0001~0.01mg/kg、0.0001~0.1mg/kg、0.0001~1mg/kg、0.0001~10mg/kg、0.0001~100mg/kg、0.0001~250mg/kg、0.0001~500mg/kg、0.0001~1000mg/kg、0.001~0.01mg/kg、0.001~0.1mg/kg、0.001~1mg/kg、0.001~10mg/kg、0.001~100mg/kg、0.001~250mg/kg、0.001~500mg/kg、0.001~1000mg/kg、0.01~0.1mg/kg、0.01~1mg/kg、0.01~10mg/kg、0.01~100mg/kg、0.01~250mg/kg、0.01~500mg/kg、0.01~1000mg/kg、0.1~1mg/kg、0.1~10mg/kg、0.1~100mg/kg、0.1~250mg/kg、0.1~500mg/kg、0.1~1000mg/kg、1~10mg/kg、1~100mg/kg、1~250mg/kg、1~500mg/kg、1~1000mg/kg、10~100mg/kg、10~250mg/kg、10~500mg/kg、10~1000mg/kg、100~250mg/kg、100~500mg/kg、100~1000mg/kg、250~500mg/kg、250~1000mg/kg、または500~1000mg/kgを毎日または隔日投与するか、1日1~3回に分けて投与することができる。しかし、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢などによって増減できるので、前記投与量がいかなる方法でも本出願の範囲を限定するものではない。一例において、前記組成物が腹腔投与される場合、0.001~250mg/kgの濃度で投与されてもよい。
【0090】
一例において、前記薬学組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、および疾患の重症度などに応じてその範囲が多様であり得る。
【0091】
一例において、前記薬学組成物中の有効成分(例えば、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群より選択された1種以上)またはイチョウ葉が前記薬学組成物に含まれる濃度は前述した通りである。
【0092】
一例において、前記薬学組成物は、多様な経路を通して対象に投与可能である。前記投与は、任意の適切な方法で個体(患者)に所定の物質を提供することを意味することができ、前記薬学組成物の投与経路は、目的組織に到達できる限り、一般的なすべての経路を通して経口投与および/または非経口投与できる。非経口投与時、皮膚外用、腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、および/または胸部内注射を選択することができる。また、一例による組成物は、有効成分を標的細胞に伝達できる任意の装置を用いて投与されてもよい。
【0093】
一態様は、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上(例えば、いずれか1種、2種以上、3種以上、またはすべて)を有効成分として含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供することができる。
【0094】
他の態様は、イチョウ葉を含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供することができる。アイメリア属原虫については前述した通りである。
【0095】
一例において、前記アイメリア属原虫に対する抗原虫活性(効果、効能)に優れているのは、下記の(1)および/または(2)の特性を意味することができ、例えば、対照群(陰性対照群および/または陽性対照群)に比べて下記の(1)および/または(2)の特性を示すものであってもよい:
(1)アイメリア属原虫を死滅させる効果に優れる;および/または
(2)アイメリア属原虫の細胞侵入効果および/または細胞内の前記原虫の増殖効果抑制。
【0096】
一例において、ギンコライドA、ギンコライドB、ギンコライドC、ケルセチン、ケンフェロール、ビロバライド、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上またはイチョウ葉は、抗原虫用組成物に飼料組成物および/または薬学組成物で前述したような濃度範囲で含まれる。一例において、前述した濃度範囲で有効成分を含む組成物は、濃度範囲以外の範囲で含む場合より抗原虫活性に優れたものであり得る。
【0097】
さらに他の態様は、前記組成物(例えば、前記飼料組成物、前記飼料添加剤、前記薬学組成物、および/または前記抗原虫用組成物)を動物に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法を提供することができる。一例において、前記組成物を投与する段階の前に、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療を必要とする個体(患者)を確認(選別)する段階を追加的に含むことができる。前記組成物およびコクシジウム症については前述した通りである。一例によれば、前記個体を確認する段階は、個体から分離された糞便からコクシジウムを誘導可能な原虫のオーシストを検出する段階を含むことができる。
【0098】
一例によるコクシジウム症の予防、改善、または治療方法において、前記組成物の投与方法、投与経路、および/または投与量については前述した通りである。
【0099】
一例によれば、前記組成物は、薬学的に有効な量で投与することができる。本出願において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他の医学分野にてよく知られた要素に応じて決定可能である。一例によれば、前記組成物は、個別治療剤として投与するか、他の抗コクシジウム剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは同時に、別途に、または順次に投与されてもよいし、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定可能である。
【0100】
一例において、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療方法が適用される対象は、コクシジウム症が発病したか、発病しうる動物を意味し、前記動物は、ヒト、ウマ、ウシ、マウス、ラット、イヌ、ネコなどを含む哺乳類、家禽類(例えば、種鶏、肉鶏、および/または産卵鶏など)などを含む鳥類、魚類、両生類、および/または爬虫類などであってもよい。
【0101】
一例において、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療方法が適用される動物は、前記表1に記載された動物からなる群より選択された1種以上であってもよく、例えば、ヒト、ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、ハト、オウム、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、レイヨウ、オリックス、サル、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、タヌキ、リス、コウモリ、モルモット、ラクダ、リマ、アルパカ、ウォンバット、トカゲ、キンギョ、フナ、ティラピア、バーベル、ハイギョ、およびヨーロッパのチャブからなる群より選択された1種以上であってもよい。一例において、前記動物は、ヒトを除いた動物であってもよい。
【0102】
他の態様は、前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/または前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。
【0103】
他の態様は、イチョウ葉のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;イチョウ葉のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/またはイチョウ葉のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。
【0104】
前記用途において、前記ギンコライドA(Ginkgolide A)、ギンコライドB(Ginkgolide B)、ギンコライドC(Ginkgolide C)、ケルセチン(Qercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、およびこれらの塩からなる群より選択された1種以上、イチョウ葉、コクシジウム症、抗原虫、およびアイメリア属原虫については前述した通りである。
【発明の効果】
【0105】
一例によるイチョウ葉を含む組成物は、コクシジウム症を誘導可能な原虫に対する直接死滅効果、前記原虫の細胞侵入抑制効果、および/または細胞内の前記原虫の増殖抑制効果に優れ、生体内コクシジウム症の予防、改善、および治療効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】アイメリア・テネラの攻撃接種後、イチョウ葉粉末、抗コクシジウム剤(ジクラズリル、サリノマイシン)の処理による抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)を示す。
【
図2】イチョウ葉粉末、抗コクシジウム剤(ジクラズリル、サリノマイシンおよび没食子酸)の処理によるアイメリア・テネラの細胞侵入および増殖抑制効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
以下、本発明を以下の実施例によってより具体的に説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるわけではない。
【0108】
実施例1.イチョウ葉粉末の生体内(in vivo)抗コクシジウム活性
【0109】
実施例1-1.実験施設
大韓民国の慶尚南道(キョンサンナムド)所在の動物実験施設で生体内(in vivo)抗コクシジウム効能評価試験を行った。1日齢雌ロス(Ross)肉鶏の体重を個別的に測定し、ランダムに群を分けて実験に使用した。実験設計に関する事項および条件は表2に記載した。
【0110】
【0111】
韓国養鶏仕様管理指針に従って飼育場を管理した。試験開始前にケージ(cage)および飼育場は洗浄および消毒した。飼育場の温度40~41℃および40~50%の湿度を維持し、連続してモニタリングした。
【0112】
実施例1-2.イチョウ葉粉末の製造
イチョウ葉を江原道(カンウォンド)平昌郡(ピョンチャングン)美灘面(ミタンミョン)所在のチョンオクサン農園、および忠清北道(チュンチョンブクド)提川市(チェチョンシ)水山面(スサンミョン)所在のチェチョン銀行農場で確保して使用した。7~9月に生産された緑色のイチョウ葉を60℃の乾燥機に10時間乾燥し、100粉体粉砕機を用いて粉砕してイチョウ葉粉末を製造し、これを後の実験で使用した。
【0113】
実施例1-3.実験設計
飼料は大韓飼料A1-初餌製品を使用しており、飼料に各素材(ジクラズリル(柳韓洋行社のYUHAN DICLA製品)、サリノマイシン(チェイルバイオ社のチェイルサリノ-60製品)、没食子酸(Sigma製品)、前記実施例1-2で製造したイチョウ葉粉末)を下記表3に記載された濃度でそれぞれ添加して自己配合した。一般飼料および配合された飼料には抗生剤と補充剤を使用しておらず、各素材以外に抗コクシジウム剤を添加しなかった。実験期間にかけて肉鶏に飼料を自由食で摂取させた。対照群または試験群別にランダム配置されたケージに1日齢肉鶏を30頭ずつ入れて飼育し、一般飼料(A1-初餌製品)を7日間給餌後、前記で製造した配合飼料を対照群または試験群別に区分して摂取させた。
【0114】
対照群(陰性対照群または陽性対照群)および試験群に投与された飼料のフォーミュレーションとアイメリア・テネラによるコクシジウム症誘導の有無は下記表3に記載した。
【0115】
コクシジウム症誘導は、90%以上成熟した(sporulation)アイメリア・テネラのオーシスト(oocyst、虫卵)を、14日齢肉鶏に個体1匹あたり10,000個のオーシストを経口チューブ式で口腔接種(攻撃接種)して行った。
【0116】
【0117】
実施例1-4.イチョウ葉粉末の抗コクシジウム活性の測定
前記実施例1-3で設計した試験群別の抗コクシジウム効能は抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)として示し、抗コクシジウム総合指数は下記の数式2によって計算した。ACI点数は200点満点であり、ACI点数が高いほど、抗コクシジウム能に優れていることを意味し、120点以上140点未満であれば、抗コクシジウム素材として効果があると判断し、140点以上~160点未満であれば、抗コクシジウム素材として優れていると判断し、160点以上の場合、抗コクシジウム効果が非常に優れていると判断する(Luis Miguel De Pablos et al.,Anticoccidial activity of maslinic acid against infection with Eimeria tenella in chickens,Parasitol Res,2010)。
【0118】
(数2)
抗コクシジウム総合指数(ACI)=(攻撃接種後の生存率(%))+(陰性対照群対比の1日あたりの増体量(RWG、%))-(病変スコア×10)-(糞便オーシスト排出量指数)
【0119】
1)生存率:斃死個体数を毎日記録し、斃死の原因を把握するために死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除外した。攻撃接種後8日目までの生存率(%)を抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。
【0120】
各対照群および試験群における生存率を下記表4に示した。
【0121】
【0122】
また、イチョウ葉粉末は4週の給餌期間の斃死率が0%であり、剖検時の主要臓器(腎臓、脾臓、肝、心臓)の病変も確認されておらず、イチョウ葉粉末125ppm水準で安全性も確保した。
【0123】
2)1日あたりの増体量:個体に原虫を攻撃接種する前と攻撃接種後7日目の体重をケージ別に体重を測定し、その差を日数で割って1日あたりの増体量(ADG、g/d)を計算した。各実験群の1日あたりの増体量(ADG、average daily gain;g/d)を非感染した陰性対照群の増体量(ADG、g/d)で割り、100を掛けて計算した「陰性対照群対比の1日あたりの増体量(RWG、%)」を抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。
【0124】
各対照群および試験群で測定した1日あたりの増体量(ADG、g/d)および陰性対照群対比の1日あたりの増体量(RWG、%)を下記表5に示した。
【0125】
【0126】
3)病変スコアリング:攻撃接種後8日目にケージ別に肉鶏を4匹ずつ剖検し、腸を切開開放した。肉鶏の盲腸部位におけるそれぞれのコクシジウム病変に対してスコアリングした。病変スコアリング方法はJohnson JK&Reid WM(1970)文献(Joyce Johnson,W.Malcolm Reid,Anticoccidial drugs:Lesion scoring techniques in battery and floor-pen experiments with chickens,Experimental parasitology,1970)を参照して行った。病変スコア(Lesion score)は0-4等級があり、0点は正常盲腸、1点は軽微な感染症状、2点は重症度の感染症状、3点の場合は深刻な感染症状、および4点は非常に深刻な感染症状を呈したり斃死を起こした場合に相当する。測定された盲腸病変スコアに10を掛けて病変指数を計算し、これを抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。
【0127】
各対照群および試験群で測定された盲腸病変スコアを下記表6に記載した。
【0128】
【0129】
4)糞便オーシスト排出量:攻撃接種6~8日目の全体糞便をケージ別に回収して均等にミキシング後、1gずつ計3回にわたってランダムにサンプリングを進行させた。塩水を用いて糞便1g中にあるオーシストを浮かべた後、McMaster chamberを用いてオーシスト排出量を測定し、その結果を下記表7に記載した。
【0130】
【0131】
各グループ別のオーシスト排出量を感染した陰性対照群のオーシスト排出量で割り、100を掛けて、感染した陰性対照群対比のオーシスト排出量(%)を計算した。計算した感染した陰性対照群対比のオーシスト排出量が0%~1%未満の水準であれば0、1%以上~26%未満は5、26%以上~51%未満は10、51%以上~76%未満は20、76%以上~100%以下は40でオーシスト排出量指数を算出し、これを抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。
【0132】
前述のように、前記数式2によって測定した各試験群別の抗コクシジウム総合指数を下記表8に示した。表8に示されているように、イチョウ葉粉末摂取群における抗コクシジウム総合指数が、陽性対照群であるジクラズリルまたはサリノマイシン摂取群より高くて、優れた抗コクシジウム効能を示すことが分かった。
【0133】
【0134】
前記表4~表7から確認できるように、アイメリア・テネラを攻撃接種した感染した陰性対照群は、非感染した陰性対照群に比べてコクシジウム症が発生して生存率および体重増加量が減少し、病変指数および糞便オーシスト排出量が増加した。抗コクシジウム対照群として使用されたサリノマイシン摂取群およびジクラズリル摂取群は、感染した陰性対照群に比べて生存率および体重増加量が増加し、病変指数および糞便オーシスト排出量が減少した。イチョウ葉粉末摂取群は、感染した陰性対照群に比べて生存率および体重増加量が改善され、病変指数および糞便オーシスト排出量が減少した。これはサリノマイシン60ppmおよびジクラズリル1ppmより優れた効果である。
【0135】
前述のように、前記数式2によって測定した各試験群別の抗コクシジウム総合指数は
図1および前記表8に示した。
図1および表8に示されているように、イチョウ葉粉末摂取群における抗コクシジウム総合指数が、陽性対照群であるジクラズリルまたはサリノマイシン摂取群より高くて、優れた抗コクシジウム効能を示すことが分かった。
【0136】
実施例2.イチョウ葉粉末のアイメリア(Eimeria)属原虫に対する直接死滅効果
本実施例において大多数の農家に感染していると知られている代表的なアイメリア3種(E.tenella、E.acervulina、E.maxima)に対して原虫(胞子小体)の直接死滅能評価を進行させた。
【0137】
各原虫のオーシスト一定量をガラスビーズの入ったチューブに入れて粉砕した後、破砕されたオーシスト細胞壁およびその他の残骸を除去するために、パーコール比重差原理(percoll density gradient)を利用して内部胞子嚢(sporocysts)を精製し、PBS溶液で洗浄した。内部胞子小体(sporozoites)の脱嚢のために、アイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナおよびアイメリア・マキシマの胞子嚢にそれぞれソジウムタウロコール酸(sodium taurocholic acid、Sigma aldrich、USA)およびトリプシン(trypsin、Gibco、USA)を含む試薬を処理してインキュベーション後、PBS溶液で1回洗浄し、原虫を得た。
【0138】
イチョウ葉粉末および抗コクシジウム剤であるサリノマイシンとジクラズリルおよび没食子酸(以下、素材)をそれぞれ1~500ppmの多様な濃度でアイメリア3種の原虫と反応させた後、顕微鏡観察により生きている原虫(胞子小体)だけをカウントした。この時、PBSを処理した陰性対照群に対する各素材処理時の原虫死滅率(%)を測定し、原虫を50%直接死滅させた最小濃度を下記表9に示した。
【0139】
【0140】
前記表9に示されているように、没食子酸処理群では500ppmまでコクシジウムを誘導可能な原虫に対する50%直接死滅効果が現れず、ジクラズリルの場合にも、アイメリア・アセルブリナおよびアイメリア・マキシマに対して500ppmまで原虫に対する50%直接死滅効果が現れなかった。イチョウ葉粉末(緑色の葉、黄色の葉)の処理群において、他の群より顕著に低い濃度でもアイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナまたはアイメリア・マキシマを50%死滅させることが可能で、原虫死滅効果が顕著に優れていることを確認することができた。
【0141】
実施例3.イチョウ葉粉末のアイメリア(Eimeria)原虫に対する細胞侵入および細胞内増殖抑制効果
本実施例において、アイメリア感染および増殖されると知られている代表的な動物細胞のMDBK細胞株を用いて、イチョウ葉粉末の細胞内の原虫侵入および細胞内の原虫の増殖抑制能を調べた。
【0142】
実施例3-1.イチョウ葉粉末処理による原虫の細胞侵入抑制効果
MDBK細胞(ATCC購入)100,000個を24ウェルプレートに分注した後、温度37℃で12時間インキュベーションした。前記実施例2の方法と類似にアイメリア・テネラの原虫を獲得した。1つのウェルに原虫を200,000匹ずつ細胞が分注されたウェルに添加し、それぞれの素材(イチョウ葉粉末および抗コクシジウム剤であるサリノマイシン、ジクラズリルおよび没食子酸)を濃度別(0.5~10ppm)に細胞に処理して、温度41℃で24時間培養した。陰性対照群は、アイメリア・テネラの原虫を感染させたMDBK細胞であり、陽性対照群は、サリノマイシン、ジクラズリルまたは没食子酸溶液をアイメリア・テネラ原虫と共にインキュベーションしたグループを意味する。その後、細胞に侵襲しない原虫を除去するために、PBS溶液を用いて細胞を2回洗浄した。ピペッティングにより細胞と細胞中に入っている原虫を切り離した後、細胞からDNAを抽出し、E.tenella ITS-1(Internal transcribed spacer-1)遺伝子特異的なプライマーを用いてPCRを行った。使用したプライマーの配列は下記表10に記載した。
【0143】
【0144】
素材別に洗浄前/後のCt値を比較し、陰性対照群の△Ct値で補正して、それぞれの素材処理による原虫の細胞侵入抑制率(%)を計算し、その結果を
図2および下記表11に示した。
【0145】
実施例3-2.イチョウ葉粉末処理による原虫の細胞内増殖抑制効果
MDBK細胞(ATCC購入)100,000個を24ウェルプレートに分注した後、温度37℃で12時間インキュベーションした。前記実施例2の方法と類似にアイメリア・テネラの原虫を獲得した。1つのウェルに原虫200,000匹を細胞が分注されたウェルに添加し、温度41℃で24時間培養後、細胞に付いていない原虫を除去するために、PBS溶液を用いて細胞を2回洗浄した。濃度別にそれぞれの素材(イチョウ葉粉末および抗コクシジウム剤であるサリノマイシン、ジクラズリルおよび没食子酸)を細胞に処理した後、温度41℃で24時間追加培養した。陰性対照群は、原虫を感染させたMDBK細胞であり、陽性対照群は、サリノマイシンおよびジクラズリル溶液をアイメリア・テネラ原虫と共にインキュベーションしたグループを意味する。ピペッティングにより細胞と細胞中で増殖した原虫を切り離した後、細胞からDNAを抽出し、E.tenella ITS-1(Internal transcribed spacer-1)遺伝子特異的なプライマーを用いてPCRを行った。使用したプライマー配列は前記表10に記載した。
【0146】
陰性対照群対比の素材処理群でのCt値を比較して、素材処理による原虫の細胞侵入抑制率(%)および細胞内の原虫の増殖抑制率(%)を計算し、その結果を
図2および下記表11に示した。
【0147】
【0148】
図2および前記表11に示されているように、アイメリア・テネラ原虫の細胞侵入抑制率および細胞内の原虫の増殖抑制率を素材別に確認した結果、イチョウ葉粉末は5ppm、10ppmともにおいて原虫の細胞侵入と細胞内の原虫の増殖を40%以上抑制させた。イチョウ葉粉末10ppmのアイメリア・テネラ原虫の細胞侵入抑制効果と細胞内の原虫の増殖効果は、サリノマイシンおよびジクラズリルより優れていた。没食子酸と比較時、原虫の細胞侵入抑制効果は低いが、細胞内の原虫の増殖抑制効果ははるかに高かった。市販中の抗コクシジウム剤であるジクラズリルおよび没食子酸は、それぞれ原虫の細胞侵入または細胞内の原虫の増殖抑制の1つの効果のみ見られるが、サリノマイシンおよびイチョウ葉粉末は両方とも効果を発揮し、特にイチョウ葉粉末は、サリノマイシンに比べて細胞内の原虫の増殖抑制でより良い効果を示した。
【0149】
実施例4.イチョウ葉粉末の構成成分別の抗コクシジウム効能評価
イチョウ葉粉末の構成成分のうち、抗コクシジウム効能を示す素材を確認するために、ギンコライド(ginkgolide)A、ギンコライド(ginkgolide)B、ギンコライド(ginkgolide)C、ケルセチン(Quercetin)、ケンフェロール(Kaempferol)、ビロバライド(Bilobalide)、またはイチョウ葉粉末を処理して、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria Acervulina)原虫死滅率を評価した。各素材別の濃度は5~500ppmに選定し、その後、前記実施例2と類似の方法で原虫死滅率(%)を測定して、これを下記表12に示した。
【0150】
【0151】
前記表12から確認できるように、イチョウ葉粉末は、実施例2の結果と同様に、アイメリア・アセルブリナ原虫を16ppm以上で50%死滅させ、63ppm以上で100%死滅させた。ギンコライドBおよびギンコライドCは、125ppmの濃度以上でアイメリア・アセルブリナ原虫死滅能力を示した。ギンコライドAは、31ppmの濃度以上でアイメリア・アセルブリナ原虫死滅能力を示した。ビロバライドおよびケルセチンは、63ppmの濃度以上でアイメリア・アセルブリナ原虫死滅能力を示し、500ppm以上で50%以上の死滅率を示した。ケンフェロールは、125ppm以上で原虫死滅能力を示し、500ppm以上で50%以上の死滅率を示した。
【0152】
実施例5.イチョウ葉粉末の耐酸性評価
本実施例におけるイチョウ葉の耐酸性を評価しようとした。前記実施例1-2で製造したイチョウ葉粉末に塩酸(HCl)溶液を添加して、pH2.0、2.5および3.0となるように調整した後、温度40℃で1時間静置した。以後、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を添加して中性化(pH7.0)させ、PBS溶液を用いて希釈した10~500ppmの多様な濃度のイチョウ葉粉末溶液にアイメリア・マキシマ(E.maxima)原虫(胞子小体)200,000匹を露出させて、4時間温度41℃で反応した。その後、前記実施例2と類似の方法で原虫死滅率(%)を測定して、これを下記表13に示した。表13にて、原虫単独の場合、イチョウ葉粉末を処理しない群を意味し、対照群の場合、塩酸溶液に処理しないイチョウ葉粉末処理群を意味する。表13に示されているように、イチョウ葉粉末は、強い酸性条件でもコクシジウム症を誘導する原虫に対する死滅効能が消えないことを確認することができた。
【0153】
【0154】
実施例6.イチョウ葉粉末の耐熱性評価
本実施例におけるイチョウ葉の耐熱性を評価しようとした。前記実施例1-2で製造したイチョウ葉粉末を温度85~95℃に15分間露出させた後、熱を冷やし、PBS溶液で1、10、50、100ppmの濃度にそれぞれ希釈した。アイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)原虫200,000匹を1~100ppmの多様な濃度でイチョウ葉粉末に4時間温度41℃で反応させて、前記実施例2と類似の方法で原虫死滅率(%)を測定して、これを表14に示した。表14にて、原虫単独は、イチョウ葉粉末を処理しない群を意味し、対照群は、高温条件を処理しないイチョウ葉粉末処理群を意味する。
【0155】
表14に示されているように、イチョウ葉粉末は、高温の悪条件の中でもコクシジウム症を誘導する原虫に対する死滅効能が消えないことを確認することができた。
【0156】
【0157】
以上の説明から、本発明の属する技術分野における当業者は、本発明がその技術的な思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。これに関連して、以上に述べた実施例はあらゆる面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【配列表】
【国際調査報告】