(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】残留アルコールのプラズマベース検出を伴う医療デバイス滅菌システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A61L2/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519488
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 IB2021000657
(87)【国際公開番号】W WO2022069937
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・トッド
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058CC01
4C058CC06
4C058CC07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058DD14
4C058KK06
(57)【要約】
方法は、医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に滅菌装置で滅菌プロセスを開始することを含む。この方法は、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために滅菌プロセスの1つ以上のパラメータ(例えば、プラズマ電力プロファイル)をモニタリングすることをさらに含む。モニタリングに基づいて、この方法は、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することをさらに含む。アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合、この方法は、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始することをさらに含む。アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されなかった場合、この方法は、医療デバイスの滅菌を完了することをさらに含む。医療デバイスは、胃腸内視鏡などの内視鏡を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に前記滅菌装置で滅菌プロセスを開始することと、
(b)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることと、
(c)(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在することを、前記モニタリングに基づいて判定するか、または、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないことを、前記モニタリングに基づいて判定することと、
(d)(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されなかった場合に、前記医療デバイスの滅菌を完了するか、または、
(iii)ある量のアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記滅菌プロセスを中止することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記医療デバイスは、内視鏡を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内視鏡は、胃腸内視鏡を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記滅菌プロセスは、負荷調整サイクルの後に滅菌サイクルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記負荷調整サイクルは、前記医療デバイス内の水分の減少または前記医療デバイスの温度の上昇のうちの一方または両方を行うように構成されることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モニタリングは、前記負荷調整サイクル中に実施される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記モニタリングは、前記滅菌サイクル中に実施される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記滅菌プロセスは、プラズマを前記滅菌チャンバに適用することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モニタリングすることは、前記プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アルコールが存在すると判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが不安定になると判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルコールが存在しないと判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが安定したままであると判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記プラズマを消すことを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記滅菌チャンバを排気することは、真空を前記滅菌チャンバに適用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記滅菌プロセスは、過酸化水素蒸気を前記滅菌チャンバに送達することを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記モニタリングすることは、前記過酸化水素蒸気と関連付けられた分解曲線をモニタリングすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アルコールが存在すると判定することは、前記過酸化水素蒸気の分解速度が予想分解曲線を上回ると判定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記滅菌チャンバを排気することは、真空を前記滅菌チャンバに適用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンを開始した後で、前記滅菌プロセスの少なくとも一部の後続の反復を再び実施することをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記後続の反復中に、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(a)前記後続の反復中にアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に依然として存在することを、前記モニタリングに基づいて判定することと、
(b)前記滅菌プロセスの前記少なくとも一部の所定数の反復が実施されたかどうかを判定することと、
(c)(i)前記所定数の反復が実施されていない場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンを開始するか、または、
(ii)前記所定数の反復が実施されている場合に、前記滅菌プロセスを中止することと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記滅菌プロセスを中止することは、前記医療デバイスを前記滅菌チャンバから取り出すようオペレータに促すことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記滅菌装置のプロセッサによって実施される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
方法であって、
(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に、前記滅菌チャンバ内にプラズマを発生させることと、
(b)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために、前記プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることと、
(c)モニタリングされた前記電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することと、を含む、方法。
【請求項26】
プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するという判定がもたらされ、前記方法は、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記プラズマを消すことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないという判定がもたらされ、前記方法は、前記医療デバイスの滅菌を完了することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
モニタリングされた前記電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが安定したままであるか、または不安定になるかを判定することを含む、請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
システムであって、
(a)滅菌チャンバであって、医療デバイスを受容するように動作可能である、滅菌チャンバと、
(b)プロセッサであって、前記滅菌チャンバ内の医療デバイスに対して滅菌プロセスを駆動するように動作可能であり、
(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングし、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを、前記モニタリングに基づいて判定し、
(iii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されるかどうかに基づいて、
(A)前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、
(B)前記医療デバイスの滅菌を完了するか、または、
(C)ある量のアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記滅菌プロセスを中止する、
ようにさらに構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
【請求項32】
プラズマ発生器をさらに含み、前記プラズマ発生器は、前記滅菌チャンバ内にプラズマを発生させるように動作可能である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記プラズマ発生器を駆動するように動作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記プロセッサは、前記プラズマ発生器の駆動と関連付けられた電力プロファイルをモニタリングするようにさらに構成されている、請求項32または33に記載のシステム。
【請求項35】
前記プロセッサは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後の前記電力プロファイルの挙動に基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記プロセッサは、前記電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で前記電力プロファイルが不安定になったことに基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定するように構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で前記電力プロファイルが安定したままであることに基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないと判定するように構成されている、請求項35または36に記載のシステム。
【請求項38】
前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記プラズマを消すように構成されている、請求項31から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記滅菌チャンバを排気するように構成されている、請求項31から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記滅菌チャンバを排気するために前記滅菌チャンバ内に真空を誘発するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特定の外科用器具、内視鏡などといった、再利用可能な医療デバイスは、再利用前に滅菌され、汚染されたデバイスが患者に使用されるかもしれない可能性を最小限にすることができる。さまざまな滅菌技術、例えば、ガスプラズマおよびエチレンオキシド(EtO)を伴うかまたは伴わない、蒸気、過酸化水素、および気相滅菌、が採用され得る。
【0002】
医療デバイスの滅菌は、カリフォルニア州アーバインのAdvanced Sterilization ProductsによるSTERRAD(登録商標) Systemなどの自動滅菌システムを用いて実施され得る。自動滅菌システムの例は、以下に記載されている:開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Power System for Sterilization Systems Employing Low Frequency Plasma」と題され、2005年9月6日に発行された、米国特許第6,939,519号;開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Sterilization with Temperature-Controlled Diffusion Path」と題され、2005年2月8日に発行された、米国特許第6,852,279号;開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Sterilization System Employing a Switching Module Adapter to Pulsate the Low Frequency Power Applied to a Plasma」と題され、2005年2月8日に発行された、米国特許第6,852,277号;開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Power System for Sterilization Systems Employing Low Frequency Plasma」と題され、2002年9月10日に発行された、米国特許第6,447,719号;開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Method of Sterilizing Medical Devices, Analyzing Biological Indicators, and Linking Medical Device Sterilization Equipment」と題され、2020年2月18日に発行された、米国特許第10,561,753号;および、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method for Sterilizing Endoscope」と題され、2020年7月23日に公開された、米国特許出願公開第2020/0230279号。それぞれの異なる医療デバイスは、異なる配置および滅菌プロセスを必要とし得る。
【0003】
さまざまなシステムおよび方法が、医療デバイスの滅菌のために作られ使用されてきたが、発明者(ら)より前に、本明細書に記載するような技術を作るかまたは使用した者はいないと考える。
【0004】
本発明は、添付図面と共に理解される特定の実施例に関する以下の説明からより良く理解されると考えられ、添付図面では、同様の参照符号は同じ要素を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】
図1のシステムと共に使用され得る滅菌キャビネットの一例の概略図を描く。
【
図3】
図2の滅菌キャビネットが医療デバイスを滅菌するために実施し得る、一組のステップの一例のフローチャートを描く。
【
図4】滅菌されている医療デバイスに残留アルコールがない場合の、滅菌サイクル中のプラズマ電力プロファイルの一例を示すグラフを描く。
【
図5】滅菌されている医療デバイスの上もしくは中に残留アルコールが存在している場合の、滅菌サイクル中のプラズマ電力プロファイルの一例を示すグラフを描く。
【
図6】
図2の滅菌キャビネット内の医療デバイスの上もしくは中の残留アルコールの存在を検出し、それに対処するために実施され得る、一組のステップの一例のフローチャートを描く。
【発明を実施するための形態】
【0006】
この技術の特定の実施例に関する以下の説明は、その範囲を制限するために使用されるべきではない。この技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点は、例示として、この技術を実施するために考えられる最良の態様の1つである、以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、この技術から逸脱することなく、他の異なる明白な態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0007】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上を、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせられることが、さらに理解される。したがって、以下に記載する教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに分離して見るべきではない。本明細書の教示が組み合わせられ得る種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると当業者には容易に明らかであろう。そのような変更および変形は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0008】
I.滅菌システムの概要
図1は、医療デバイス(例えば、内視鏡および他の医療デバイス)の滅菌と関連付けられた方法を実施するように構成され得る、相互接続されたデバイスの例示的なシステム(10)の概略図を描く。この実施例のシステム(10)は、滅菌キャビネット(100)と、生物学的インジケータ分析装置(102)と、通信ハブ(20)と、サーバ(106)と、ユーザーデバイス(108)と、無菌性ガイドデータベース(110)と、を含む。通信ハブ(20)は、以下でさらに詳細に説明されるように、滅菌キャビネット(100)と、生物学的インジケータ分析装置(102)と、通信ハブ(20)と、サーバ(106)と、ユーザーデバイス(108)と、無菌性ガイドデータベース(110)との間でのデータの伝送を提供するように構成される。
【0009】
図2は、滅菌キャビネット(100)に組み込まれ得る、例示的な一組の構成要素を描く。滅菌キャビネット(100)は、1つ以上の滅菌サイクルを実施するように構成され得、種々の滅菌サイクルが、種々のタイプおよび量の医療デバイス(例えば、内視鏡など)に適している。本実施例の滅菌キャビネット(100)は、滅菌チャンバ(152)を含み、これは、滅菌のため1つ以上の医療デバイスを受容するように構成される。滅菌キャビネット(100)は、滅菌モジュール(156)も含み、これは、滅菌剤カートリッジ(158)を受容し、カートリッジ(158)から滅菌チャンバ(152)内に滅菌剤を分配するように動作可能である。滅菌キャビネット(100)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)をさらに含み、これは、さまざまなユーザーインターフェース表示画面をレンダリングし、ユーザーがタッチスクリーンディスプレイ(160)に接触する形でユーザー入力を受信するように動作可能である。滅菌キャビネット(100)は、ボタン、キーパッド、キーボード、マウス、トラックボールなどを含むがこれらに制限されない、さまざまな他の種類のユーザー入力特徴部を含み得る。
【0010】
本実施例の滅菌キャビネット(100)は、プロセッサ(162)と、通信モジュール(164)と、読み取り装置(166)と、メモリ(168)と、をさらに含む。プロセッサ(162)は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、1つ以上のマイクロプロセッサおよび/またはさまざまな他の種類のハードウェアを含み得る。プロセッサ(162)は、滅菌キャビネット(100)のさまざまな構成要素と通信しており、データを処理し、制御アルゴリズムを実行して滅菌キャビネット(100)のさまざまな構成要素を駆動するように動作可能である。通信モジュール(164)は、滅菌キャビネット(100)と通信ハブ(20)との間で双方向通信を可能にするように構成される。通信モジュール(164)は、滅菌キャビネット(100)とサーバ(106)および/または無菌性ガイドデータベース(110)との間で双方向通信を可能にするように構成されてもよい。読み取り装置(166)は、生物学的インジケータおよび/または本明細書に記載されるような他のデバイスの識別タグを読み取るように動作可能である。メモリ(168)は、滅菌キャビネット(100)の構成要素を駆動するためにプロセッサ(162)により実行される、制御ロジックおよび命令を記憶するように動作可能である。メモリ(168)は、滅菌サイクルの設定、負荷調整サイクルの実施、滅菌サイクルの実施、および/または、さまざまな他の種類の情報と関連付けられた結果を記憶するように使用されてもよい。プロセッサ(162)、通信モジュール(164)、読み取り装置(166)、およびメモリ(168)を形成するのに使用され得る、さまざまな適切な構成要素および構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0011】
本実施例の滅菌キャビネット(100)は、過酸化水素センサ(154)をさらに含み、これは、滅菌チャンバ(152)と流体連通しており、過酸化水素センサ(154)は、滅菌チャンバ(152)内部の過酸化水素のレベルを検出するように動作可能である。いくつかのバージョンでは、過酸化水素センサ(154)は、紫外線を利用して、滅菌チャンバ(152)内部の過酸化水素のレベルを検出する。過酸化水素センサ(154)は、プロセッサ(164)と電気通信しており、プロセッサ(164)は、滅菌チャンバ(152)内部の過酸化水素のレベルを示す、過酸化水素センサ(154)からの信号を受信し得る。プロセッサ(164)は、過酸化水素センサ(154)により検出されるような滅菌チャンバ(152)内部の過酸化水素のリアルタイム検出レベルに応答して、滅菌キャビネット(100)が実施する滅菌サイクルと関連付けられたパラメータを自動的に調節し、かつ/または、他の措置を取るか、もしくは、特定の措置を取るのを控えることができる。
【0012】
本実施例の滅菌キャビネット(100)は、滅菌チャンバ(152)内部でプラズマを発生させるように動作可能であるプラズマ発生器(170)をさらに含む。プラズマ発生器(170)は、プロセッサ(164)と電気通信しており、プロセッサ(164)は、プラズマ発生器(170)を駆動するように動作可能である。プロセッサ(164)は、プラズマ発生器(170)が発生させるプラズマと関連付けられたパラメータを自動的に調節することができる。このようなプラズマに関連する調節は、メモリ(168)上に記憶されるような所定の滅菌サイクルルーチンに基づくことができる。さらに、または代わりに、このようなプラズマに関連する調節は、リアルタイムで感知されているデータに基づいていてもよい。ほんの一例として、プロセッサ(164)は、過酸化水素センサ(154)からのリアルタイムデータに少なくとも一部基づいて、プラズマ発生器(170)が発生させるプラズマと関連付けられたパラメータを調節し得る。前述したことに加え、プロセッサ(164)は、プラズマ発生器(170)を駆動する電力プロファイルと関連付けられたデータを追跡するように構成され得、プロセッサ(164)は、リアルタイムでプラズマ自体と直接関連付けられたデータを追跡することができる。プロセッサ(164)は、プラズマ発生器(170)を駆動する電力プロファイルからのリアルタイムデータに少なくとも一部基づいて、プラズマ発生器(170)が発生させるプラズマと関連付けられたパラメータをさらに調節し得る。
【0013】
前述したことに加え、滅菌キャビネット(100)は、本明細書で先に引用された特許文献:開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method for Sterilizing Medical Devices」と題され、2020年6月2日に発行された、米国特許第10,668,180号;および/または、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Method of Sterilizing Medical Devices, Analyzing Biological Indicators, and Linking Medical Device Sterilization Equipment」と題され、2020年2月18日に発行された、米国特許第10,561,753号、のいずれかの教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能とすることができる。
【0014】
場合によっては、生物学的インジケータが、滅菌プロセス中に、医療デバイスと共に滅菌キャビネット(100、150)内に含まれ得る。生物学的インジケータは、処置中に首尾よく滅菌されない限りは、その中に含まれる微生物を増殖させるように、設置前に活性化され得る。滅菌プロセス後、生物学的インジケータ内に存在する微生物の数は、生物学的インジケータ分析装置(102)によって判定されて、滅菌プロセスが生物学的インジケータについて成功したことを確認することができ、このことは、滅菌処置が医療デバイスについて成功したことも示すことになる。生物学的インジケータ分析装置(102)は、生物学的インジケータを受容し、生物学的インジケータの1つ以上の特徴を測定して、データを収集することができ、このデータは、生物学的インジケータが検査で陽性と出て、汚染が滅菌処置後に存在することを示すのか;または、検査で陰性と出て、汚染が滅菌処置後に存在しないことを示すのか、を判定するのに使用され得る。
【0015】
ほんの一例として、生物学的インジケータおよび生物学的インジケータ分析装置(102)は、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Self-Contained Biological Indicator」と題され、2021年2月2日に発行された、米国特許第10,907,126号;開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method for Analyzing Biological Indicators」と題され、2019年10月15日に発行された、米国特許第10,443,083号;開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Method of Sterilizing Medical Devices, Analyzing Biological Indicators, and Linking Medical Device Sterilization」と題され、2020年2月18日に発行された、米国特許第10,561,753号;および/または、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Biological Indicator with Variable Resistance」と題され、2020年4月28日に発行された、米国特許第10,632,220号、の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能とすることができる。
【0016】
サーバ(106)は、病院記録サーバまたは病院ローカルエリアネットワークサーバを含み得る。サーバ(106)は、滅菌キャビネット(100)が実施した滅菌処置に関する、滅菌キャビネット(100)からの情報、例えば、滅菌処置の持続時間および結果;特定の滅菌処置が生物学的汚染のその後の兆候をもたらしたかどうか;滅菌処置を開始、キャンセル、もしくは完了したユーザーもしくは専門家の身元確認;滅菌処置中に使用された消耗材料もしくは消耗品;診断情報およびシステムエラー;ならびに/または他の情報、を受信することができる。サーバ(106)は、通信ハブ(20)を介して生物学的インジケータ分析装置(102)からデータを受信することもできる。
【0017】
ユーザーデバイス(108)は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータなどのデバイス、スマートフォン、タブレット、もしくは他のモバイルコンピューティングデバイスなどのモバイルデバイス;または、類似の性能を有する専有デバイスを含み得、そのような性能には、通信ハブ(20)などのデバイスとの有線もしくは無線通信、プロセッサおよびメモリ、ディスプレイ、ユーザーインターフェース、ならびに他の性能が含まれる。ユーザーデバイス(108)は、通信ハブ(20)を介してシステム(10)の1つ以上の構成要素(100、102、110、106)と関連付けられた情報にアクセスし、その情報を閲覧するのに使用され得;また、通信ハブ(20)および接続されたデバイスの構成および設定を作るか、または変更するのに使用されることもできる。ユーザーデバイス(108)のユーザーは、例えば、デスクトップソフトウェアアプリケーション、モバイルデバイスソフトウェアアプリケーション、ウェブブラウザ、または、ユーザーデバイス(108)が通信ハブ(20)と情報を交換することを可能にし得る別のソフトウェアインターフェースを介して、情報を閲覧し、デバイスを構成することができる。ただ1つのユーザーデバイス(108)が通信ハブ(20)と通信しているものとして
図1に示されているが、いくつかのユーザーデバイス(108)が、通信ハブ(20)と通信していてよい。同様に、いくつかの滅菌キャビネット(100)、いくつかの生物学的インジケータ分析装置(102)、いくつかのサーバ(106)、およびいくつかの無菌性ガイドデータベース(110)が、通信ハブ(20)と通信していてよい。
【0018】
システム(10)の構成要素(100、102、110、106)はそれぞれ、任意の適切な有線および/もしくは無線通信技術、例えば、イーサネット、Wi-Fi、ブルートゥース、USB、赤外線、NFC、ならびに/または他の技術を介して、通信ハブ(20)と結合され得る。通信ハブ(20)は、本明細書に記載されるようなシステム(10)の構成要素(100、102、110、106)間でデータなどを中継することができ、通信ハブ(20)は、媒介物として機能する。通信ハブ(20)を形成するのに使用され得るさまざまな適切な構成要素および構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。ほんの一例として、通信ハブ(20)および/またはユーザーデバイス(108)は、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method to Link Medical Device Sterilization Equipment」と題され、2020年3月24日に発行された、米国特許第10,596,287号;および/または、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、「Method of Sterilizing Medical Devices, Analyzing Biological Indicators, and Linking Medical Device Sterilization Equipment」と題され、2020年2月18日に発行された、米国特許第10,561,753号、の教示の少なくとも一部に従って構成され、かつ動作可能とすることができる。
【0019】
II.滅菌プロセスの概要
図3は、システム(10)が医療デバイス(例えば、内視鏡など)を滅菌するために滅菌プロセスとして実施し得る、例示的な一組のステップを描く。最初に、滅菌キャビネット(100)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介して1つ以上の滅菌サイクルを表示し、その後、ユーザーから滅菌サイクル選択を受信する(ブロック200)ことができる。滅菌キャビネット(100)はまた、生物学的インジケータが、選択された滅菌サイクルと共に使用されるべきかどうかを示す命令を表示し;生物学的インジケータ識別を受信する(ブロック202)ことができる。生物学的インジケータは、滅菌サイクルが始まる前に滅菌チャンバ(152)の内側に配置され得、滅菌サイクル中は滅菌チャンバ(152)内にとどまることができる。よって、ユーザーは、生物学的インジケータが滅菌チャンバ(152)内に配置される前に、特定の生物学的インジケータを識別する(ブロック202)ことができる。
【0020】
滅菌サイクルの選択(ブロック200)および生物学的インジケータの識別(ブロック202)により、滅菌キャビネット(100)内部の医療デバイスの構成および配置について1つ以上の要件を定めることができる。滅菌チャンバ(152)のドアが開けられ得、命令が表示されて、生物学的インジケータの配置、医療デバイスの配置、滅菌チャンバ(152)のドアの閉鎖、および/または準備における他の変更を含む、滅菌サイクルの準備(ブロック204)において、ユーザーをガイドすることができる。実際の滅菌サイクルを開始する(ブロック208)前に、滅菌キャビネット(100)はまた、滅菌チャンバ(152)内に入れられた医療デバイスの負荷調整を実施する(ブロック206)ことができる。このような負荷調整(ブロック206)は、滅菌チャンバ(152)が密封されているのを確かめること;滅菌チャンバ(152)の中身を確かめること;滅菌チャンバ(152)の中身の物理特性、例えば水分レベル、中身の容積、中身の重量、内部温度、もしくは他の特性をチェックすること;および/または、熱処理、化学処理、プラズマ処理、もしくは、水分を低減し、温度を上げ、かつ/もしくは滅菌サイクルのために滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスを別様に準備するための他のタイプの処理を含み得る、1つ以上の調整ステップを実行すること、を含み得る。
【0021】
いったん負荷調整(ブロック206)が完了したら、選択された滅菌サイクル自体が実施され得る(ブロック208)。滅菌サイクル(ブロック208)は、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスを、加圧された滅菌剤ガス(例えば、過酸化水素蒸気など)、さらなる熱処理、化学処理、プラズマ処理、真空処理、および/または他のタイプの滅菌処置に曝露することを含み得る。滅菌サイクル(ブロック208)が完了した後、完全な滅菌結果が、タッチスクリーンディスプレイ(160)を介してユーザーに表示され;サーバ(106)に送信され;ローカルに印刷され;かつ/または、望ましい場合には、他のデバイスを介して表示、送信、および/もしくは保存され得る。ブロック208は本明細書では「滅菌サイクル」として示され説明されているが、
図3に示すプロセス全体は、プロセスの全てのステップ(ブロック200、202、204、206、208、210)を含め、概して、「滅菌プロセス」と理解され得る。
【0022】
滅菌キャビネット(100)は、滅菌サイクルの結果(ブロック210)を提供することもできる。この結果(ブロック210)の提供は、生物学的インジケータ分析装置(102)を介した生物学的インジケータの分析からの結果を含み得る。これらの結果は、滅菌サイクル(ブロック208)の完了時に生物学的インジケータ内に存在する汚染の陽性または陰性表示を含み得る。滅菌サイクル(ブロック208)の完了後に汚染が存在することを生物学的インジケータが示唆する場合、試験が陽性であること(positive test)をユーザーに警告することおよび滅菌サイクル履歴の分析などの追加の措置が取られて、他の過去のサイクルが汚染の原因となり得たかどうか;および/または、その後滅菌された医療デバイスが再滅菌を必要とし得るかどうか、を判定することができる。
【0023】
III.滅菌システム内の医療デバイスの上もしくは中にある残留アルコールの検出および対処
場合によっては、滅菌チャンバ(152)内部で滅菌される医療デバイスは、滅菌チャンバ(152)に入れられる前に再処理段階に供され得る。この再処理段階は、医療デバイスを再処理システムに入れることを含み得、再処理システムでは、医療デバイスは洗浄および消毒される。ほんの一例として、このような再処理は、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus and method to Identify Endoscope Type and Provide Tailored Reprocessing」と題され、2017年11月23日に公開され、現在では放棄されている、米国特許出願公開第2017/0332891号;開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method for Reprocessing a Medical Device」と題され、2019年2月12日に発行された、米国特許第10,201,269号;開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Dynamic Disinfectant Dosage with Concentrate Degradation Compensation」と題され、2019年6月25日に発行された、米国特許第10,328,170号;および/または、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus and Method to Measure Concentration of Disinfectant in Medical Device Reprocessing System」と題され、2020年7月7日に発行された、米国特許第10,702,619号、の教示の少なくとも一部に従って実行され得る。
【0024】
再処理段階の一環として、医療デバイスは、殺菌剤としての、および/または医療デバイスの乾燥を助けるための、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール)に曝露され得る。場合によっては、いくらかの残留アルコールが医療デバイスの上もしくは中に残っているかもしれない。内視鏡(例えば、胃腸内視鏡)の状況では、いくらかのそのような残留アルコールは、内視鏡内の1つ以上の作業チャネル内部に残り得る。残留アルコールがある医療デバイスを滅菌チャンバ(152)内に入れ、その後、残留アルコールが依然として医療デバイスの上もしくは中に残った状態で滅菌プロセスを起動すると、望ましくない結果がもたらされ得る。例えば、滅菌プロセス中に滅菌チャンバ(152)内にアルコールが存在すると、プラズマ発生器(170)が発生させるプラズマが不安定になり得る。例えば、
図4は、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスに残留アルコールがない場合に、負荷調整(ブロック206)中または滅菌サイクル(ブロック208)中などに、プラズマ発生器(170)により滅菌チャンバ(152)内で発生したプラズマと関連付けられた電力プロファイルのプロット(310)を示すグラフ(300)を描く。図示のとおり、プラズマ発生器(170)に送達される電力は、電力がプラズマの発生と関連付けられた下側閾値(320)を達成するプロット(310)の領域(312)の間は、約500ワットの安定した値を維持する。ほんの一例として、許容可能なプラズマ電力範囲は、約450ワット~約550ワットに及ぶことができ、閾値(320)は、約450ワットとすることができる。
【0025】
対照的に、
図5は、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスにいくらかの量の残留アルコールがある場合に、負荷調整(ブロック206)中または滅菌サイクル(ブロック208)中などに、プラズマ発生器(170)により滅菌チャンバ(152)内で発生したプラズマと関連付けられた電力プロファイルのプロット(360)を示すグラフ(350)を描く。図示のとおり、プラズマ発生器(170)に送達された電力は、電力がプラズマの発生と関連付けられた下側閾値(320)を達成したプロット(360)の第1の領域(362)の間、不安定になり、450ワット(前述したように、プラズマを発生させるための最小電力レベルを表し得る)未満に低下さえするが、電力は、最終的に、電力がプラズマの発生と関連付けられた下側閾値(320)を達成するプロット(360)の第2の領域(364)の間は、約500ワットの安定した値を達成する。プラズマ発生器(170)に送達される電力は、プラズマ発生器(170)の電極(不図示)におけるインピーダンスに影響を及ぼすアルコールの存在により、プロット(360)の第1の領域(362)の間は不安定となり得る。プラズマ電力プロファイルにおいて最終的に安定した値を達成するにもかかわらず、このような電力プロファイルの不安定な段階を回避し、それにより、グラフ(300)と関連付けられたプロファイルを常に達成することが望ましくなり得る。プロット(360)は、不安定になる前に電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた下側閾値(320)を達成したことを示すが、プラズマ電力プロファイルが、プラズマの発生と関連付けられた下側閾値(320)に達する前に不安定になるシナリオもあり得る。
【0026】
さらに、または代わりに、滅菌プロセス中の医療デバイスの上もしくは中におけるアルコールの存在は、滅菌チャンバ(152)内で滅菌されている医療デバイスの早期劣化を引き起こし得る。さらに、または代わりに、滅菌プロセス中の滅菌チャンバ(152)内のアルコールの存在は、滅菌プロセスの効力を損ない得る。さらに、または代わりに、滅菌プロセス中の滅菌チャンバ(152)内のアルコールの存在は、医療デバイスのその後の使用中に安全性リスクを生じ得る。少なくとも前述した理由で、滅菌プロセスが開始または完了する前に滅菌チャンバ(152)内のアルコールの存在を検出することが可能である、滅菌キャビネット(100)のバージョン、および滅菌キャビネット(100)を動作させる方法を提供することが望ましくなり得る。同様に、滅菌プロセスが開始または完了する前に滅菌チャンバ(152)内で検出されたアルコールを排除することが可能である、滅菌キャビネット(100)のバージョン、および滅菌キャビネット(100)を動作させる方法を提供することが望ましくなり得る。
【0027】
図5~
図6のグラフ(300、350)の比較において前述したように、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中におけるアルコールの存在は、プラズマ発生器(170)によって滅菌チャンバ(152)内で発生するプラズマと関連付けられた電力プロファイルに影響を及ぼし得る。よって、滅菌チャンバ(152)内で発生するプラズマと関連付けられた電力プロファイルは、滅菌チャンバ(152)内のアルコールの存在を検出するためにモニタリングされ得る。このようなモニタリングは、プロセッサ(162)、および/または、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるような、滅菌キャビネット(100)の任意の他の適切なハードウェア構成要素によって、実行され得る。
図6は、このようなモニタリングが実行され得る方法(400)を描く。ほんの一例として、方法(400)は、負荷調整段階(ブロック206)の一環として、滅菌サイクル(ブロック208)の一環として、かつ/または、任意の他の適切な時間に、実行され得る。さらにほんの一例として、方法(400)は、負荷調整段階(ブロック206)の前に実行され得る。
【0028】
図6に示すように、方法(400)は、プラズマ発生器(170)を介したプラズマの活性化(ブロック410)から始まる。電力がプラズマ発生器(170)に送達されると、電力プロファイルがモニタリングされ(ブロック420)、電力が、(例えば、
図4のプロット(310)の領域(312)に示すように)プラズマの発生と関連付けられた閾値(320)を超えた後で一定に保たれているかどうか;または、電力が、(例えば、
図5のプロット(360)の領域(362)に示すように)プラズマの発生と関連付けられた閾値(320)を超えた後で不安定になるかどうか、を判定する。前述したように、このようなモニタリング(ブロック420)は、プロセッサ(162)によって実行され得る。電力プロファイルが許容可能であるとプロセッサ(162)が判定した場合(ブロック430)、方法(400)は、通常の滅菌ルーチンを続けることができる(ブロック440)。方法(400)が負荷調整(ブロック206)の前にまたはその一環として実施される場合、滅菌キャビネット(100)は、この時点で負荷調整(ブロック206)を続けることができる(ブロック440)。方法(400)が負荷調整(ブロック206)と滅菌サイクル(ブロック208)との間に実施される場合、滅菌キャビネット(100)は、この時点で滅菌サイクル(ブロック208)を続けることができる(ブロック440)。あるいは、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、滅菌キャビネット(100)は、方法(400)に続き得る滅菌ルーチンの他のいかなる段階でも進めることができる(ブロック440)。
【0029】
プラズマ電力プロファイルが許容可能でなく、そのような電力プロファイル試験(ブロック430)が失敗しているとプロセッサ(162)が判定した場合(ブロック430)、プロセッサ(162)は、失敗限度(failure limit)に達しているかどうかを判定し得る(ブロック450)。以下で説明するように、滅菌キャビネット(100)は、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中における残留アルコールを排除しようとして、ルーチンを反復することができるが、プロセスが中止される(ブロック460)前にそのような反復が何回実施され得るかに関する限度を設定することが望ましくなり得る。いくつかのバージョンでは、方法(400)は、電力プロファイル試験の4回までの失敗(ブロック430)が許容され得るが、5回以上の失敗は許容されないように構成される。あるいは、任意の他の適切な失敗限度が使用され得る。どの失敗限度が使用されるかに関わらず、方法(400)は、失敗限度に達した場合には中止され得る(ブロック460)。方法(400)が中止された(ブロック460)場合、プロセッサ(162)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を駆動して、残留アルコールが検出されていて除去することができないことをオペレータに通知し;医療デバイスを滅菌チャンバ(152)から回収し、医療デバイスを滅菌チャンバ(152)に再び導入する前に医療デバイスを再処理システムに再び通すようオペレータにさらに指示することができる。あるいは、オペレータは、方法(400)が中止された(ブロック460)場合に任意の他の適切な措置を取るように促され得る。
【0030】
プラズマ電力プロファイルが許容可能でないとプロセッサ(162)が判定し(ブロック430)、失敗限度にまだ達していないとさらに判定した(ブロック450)場合、プロセッサ(162)は、タッチスクリーンディスプレイ(160)を駆動して、残留アルコールが検出されていて、滅菌キャビネット(100)が(例えば、負荷調整ブロック(206)を介して)残留アルコールを除去しようとするであろうことを、オペレータに通知し得る。プロセッサ(162)は、さらに、プラズマ発生器(170)を停止することによりプラズマを消すことができる(ブロック470)。プロセッサ(162)は次に、滅菌チャンバ(152)を排気することができる(ブロック480)。ほんの一例として、滅菌チャンバ(152)は、滅菌チャンバ(152)を排気するプロセス(ブロック480)の一環として、大気に通気され得る。さらに、または代わりに、真空が滅菌チャンバ(152)に適用されて、滅菌チャンバ(152)を排気することができる(ブロック480)。ほんの一例として、滅菌チャンバ(152)は、約1分間(例えば、真空ポンプを介して)能動的に排気され得る。
【0031】
いったん滅菌チャンバ(152)が十分に排気されたら(ブロック480)、方法(400)は、滅菌チャンバ(152)内でプラズマを活性化させること(ブロック410)によって別の反復を通じて再び開始され得る。プラズマの再活性化を達成する(ブロック410)ために、滅菌チャンバ(152)はまず、通気されて(ブロック490)、約500mTのプラズマ点火圧力を達成し、その後、プラズマ発生器(170)を活性化させて、プラズマを点火することができる(ブロック410)。
【0032】
場合によっては、プラズマを消し(ブロック470)、滅菌チャンバ(152)を排気し(ブロック480)、プラズマを再活性化させる(ブロック410)このプロセスにより、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中にある残留アルコールを低減または排除することができる。いくつかの変形例では、方法(400)は、残留アルコールを医療デバイスから除去するために、プロセスの一環として、追加のステップを含み得る。例えば、滅菌キャビネット(100)は、所定の期間にわたり、滅菌チャンバ(152)の中、および医療デバイスの上に、温かく乾燥した空気を循環させることができる。さらに、または代わりに、方法(400)は、プラズマを再活性化させる(ブロック410)前に、パルス方式で、滅菌チャンバ(152)を排気する(ブロック480)ステップと滅菌チャンバ(152)を通気する(ブロック490)ステップと、を繰り返し提供することができる。さらに、または代わりに、方法(400)は、滅菌チャンバ(152)を大気に通気し、次に、滅菌チャンバ(152)内の圧力を所定の期間にわたり気圧に保ち、滅菌チャンバ(152)内部での暖気対流を可能にすることと;その後、滅菌チャンバ(152)を排気して、蒸発したアルコールを除去することと、を提供し得る。さらに、または代わりに、方法(400)は、所定の期間にわたり、滅菌チャンバ(152)内の一定の圧力(例えば、約500mT)の維持を提供し得る。同様に、方法(400)は、一定の圧力で滅菌チャンバ(152)を隔離し、滅菌チャンバ(152)内の圧力の上昇をモニタリングして、水分が除去されたかどうか、または(例えば、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中における水分の存在に影響を受けて)水分が依然として滅菌チャンバ(152)内部に存在するかどうかを判定することができる。あるいは、前述したさまざまなステップに加え、またはその代わりに、任意の他のステップを行って、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中における残留アルコールの存在に対処することができる。
【0033】
残留アルコールを除去しようとしてステップが行われているいくつかのシナリオでは、方法(400)は、方法(400)の2回目またはその後の反復において、再活性化されたプラズマ(ブロック410)の、より長い持続時間を提供し得る。この再活性化されたプラズマ(ブロック410)の、より長い持続時間は、プラズマを消すステップ(ブロック470)、排気するステップ(ブロック480)、ならびに通気するステップ(ブロック490)(および、残留アルコールを除去しようとして行われていてよい任意の他のステップ)の間にかかった時間を相殺するように算出され得る。言い換えれば、プロセッサ(162)は、残留アルコールが医療デバイスの中に存在しない場合に、負荷調整(ブロック206)または滅菌サイクル(ブロック208)で予測され得るように、必要な総電力が送達されたことを確認するために、プラズマ電力曲線 対 時間を積分することができる。
【0034】
前述したように、方法(400)は、(頑固な残留アルコールにより)失敗限度に達するか、または、(残留アルコールが最終的に存在しなくなったことにより)プラズマ電力プロファイルが許容可能と分かるまで、反復され得る。
【0035】
方法(400)のいくつかの変形例では、(滅菌チャンバ(152)内部の医療デバイスの上もしくは中における過度の残留アルコールの存在により)滅菌チャンバ(152)内部の残留アルコールが単に多すぎることが、第1の反復で判定され得、そのため、滅菌プロセスは、残留アルコールを除去するために前述した反復を試みることさえなく、中止しなければならない。ほんの一例として、プロセッサ(162)は、2つ以上の条件が満たされた場合に残留アルコールの量が「過度」であると判定し得る。1つのそのような条件は、
図5を参照して前述した、不安定なプラズマ電力プロファイルを含み得る。もう1つのそのような条件は、目標のプラズマ圧力(例えば、約500mT)を達成するための過度に長い滅菌チャンバ(152)排気時間を含み得る。そのような時間が「過度」であるかどうかを判定するための時間の適切な閾値の例は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。このような条件の両方が同じサイクルで見つかった場合、プロセッサ(162)は、残留アルコールの量が「過度」であると判定することができ;残留アルコールを除去するために前述した反復を試みることなく滅菌プロセスを中止することができる。
【0036】
方法(400)のいくつかの変形例では、ある特定の他のパラメータが、プラズマ電力のモニタリングに加えて、またはその代わりに、モニタリングされて、残留アルコールが滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中にあるかどうかを判定することができる。ほんの一例として、過酸化水素蒸気が滅菌サイクル(ブロック208)中に滅菌剤として使用されるバージョンでは、プロセッサ(162)は、過酸化水素センサ(154)からの信号を追跡して、過酸化水素分解が予想曲線をたどるかどうか、または、過酸化水素蒸気が予想分解曲線から逸脱した速度で分解するかどうか、を判定することができる。滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中にアルコールが存在する場合、滅菌チャンバ(152)内の過酸化水素蒸気は、他の方法で予想されるよりも速く分解し得る。よって、過酸化水素分解の予想曲線からの実質的な逸脱は、滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中におけるアルコールの存在を示し得る。プロセッサ(162)は、過酸化水素センサ(154)からのそのようなリアルタイムデータを、方法(400)の変形例に含めることができる。ほんの一例として、過酸化水素センサ(154)からのリアルタイムデータは、残留アルコールが滅菌チャンバ(152)内の医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかの判定(ブロック430)の一環としてプラズマ電力プロファイルに加えて、またはその代わりに、分析され得る。
【0037】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示が組み合わせられるかまたは適用され得る、さまざまな非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願において、または本出願の後続出願において、いつでも提示され得るいかなる請求項の範囲も制限することを意図していないことを理解されたい。ディスクレーマーは意図していない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書中のさまざまな教示は、多くの他の方法でアレンジおよび適用され得ることが企図される。いくつかの変形例が、以下の実施例で言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下で言及する態様または特徴のいずれも、発明者によって、または発明者の利益承継人によって、後日そのようなものとして別様に明示的に示されない限り、重要とみなすべきではない。以下で言及するもの以外の追加の特徴を含む任意の請求項が、本出願で、または本出願に関する後続出願で提示された場合、それらの追加の特徴は、特許性に関する理由で追加されたものとはみなされない。
【0038】
実施例1
方法であって、(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に滅菌装置で滅菌プロセスを開始することと、(b)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることと、(c)(i)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在することを、モニタリングに基づいて判定するか、または(ii)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在しないことを、モニタリングに基づいて判定することと、(d)(i)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、(ii)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されなかった場合に、医療デバイスの滅菌を完了するか、または、(iii)ある量のアルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、滅菌プロセスを中止することと、を含む、方法。
【0039】
実施例2
医療デバイスは、内視鏡を含む、実施例1に記載の方法。
【0040】
実施例3
内視鏡は、胃腸内視鏡を含む、実施例2に記載の方法。
【0041】
実施例4
滅菌プロセスは、負荷調整サイクルの後に滅菌サイクルを含む、実施例1から3のいずれかに記載の方法。
【0042】
実施例5
負荷調整サイクルは、医療デバイス内の水分の減少または医療デバイスの温度の上昇のうちの一方または両方を行うように構成されることを含む、実施例4に記載の方法。
【0043】
実施例6
モニタリングは、負荷調整サイクル中に実施される、実施例4または5に記載の方法。
【0044】
実施例7
モニタリングは、滅菌サイクル中に実施される、実施例4から6のいずれかに記載の方法。
【0045】
実施例8
滅菌プロセスは、プラズマを滅菌チャンバに適用することを含む、実施例1から7のいずれかに記載の方法。
【0046】
実施例9
モニタリングすることは、プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることを含む、実施例8に記載の方法。
【0047】
実施例10
アルコールが存在すると判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、プラズマと関連付けられた電力プロファイルが不安定になると判定することを含む、実施例9に記載の方法。
【0048】
実施例11
アルコールが存在しないと判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で、プラズマと関連付けられた電力プロファイルが安定したままであると判定することを含む、実施例9に記載の方法。
【0049】
実施例12
医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンは、プラズマを消すことを含む、実施例8から11のいずれかに記載の方法。
【0050】
実施例13
医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンは、滅菌チャンバを排気することを含む、実施例11または12に記載の方法。
【0051】
実施例14
滅菌チャンバを排気することは、真空を滅菌チャンバに適用することを含む、実施例13に記載の方法。
【0052】
実施例15
滅菌プロセスは、過酸化水素蒸気を滅菌チャンバに送達することを含む、実施例1から14のいずれかに記載の方法。
【0053】
実施例16
モニタリングすることは、過酸化水素蒸気と関連付けられた分解曲線をモニタリングすることを含む、実施例15に記載の方法。
【0054】
実施例17
アルコールが存在すると判定することは、過酸化水素蒸気の分解速度が予想分解曲線を上回ると判定することを含む、実施例16に記載の方法。
【0055】
実施例18
医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンは、滅菌チャンバを排気することを含む、実施例1から17のいずれかに記載の方法。
【0056】
実施例19
滅菌チャンバを排気することは、真空を滅菌チャンバに適用することを含む、実施例18に記載の方法。
【0057】
実施例20
アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始した後で、滅菌プロセスの少なくとも一部の後続の反復を再び実施することをさらに含む、実施例1から19のいずれかに記載の方法。
【0058】
実施例21
後続の反復中に、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることをさらに含む、実施例20に記載の方法。
【0059】
実施例22
(a)後続の反復中にアルコールが医療デバイスの上もしくは中に依然として存在することを、モニタリングに基づいて判定することと、(b)滅菌プロセスの少なくとも一部の所定数の反復が実施されたかどうかを判定することと、(c)(i)所定数の反復が実施されていない場合に、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、または、(ii)所定数の反復が実施されている場合に、滅菌プロセスを中止することと、をさらに含む、実施例21に記載の方法。
【0060】
実施例23
滅菌プロセスを中止することは、医療デバイスを滅菌チャンバから取り出すようオペレータに促すことを含む、実施例22に記載の方法。
【0061】
実施例24
方法は、滅菌装置のプロセッサによって実施される、実施例1から23のいずれかに記載の方法。
【0062】
実施例25
方法であって、(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に、滅菌チャンバ内にプラズマを発生させることと、(b)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために、プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることと、(c)モニタリングされた電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することと、を含む、方法。
【0063】
実施例26
プロセッサを使用して、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するという判定がもたらされ、この方法は、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始することをさらに含む、実施例25に記載の方法。
【0064】
実施例27
医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンは、プラズマを消すことを含む、実施例26に記載の方法。
【0065】
実施例28
医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンは、滅菌チャンバを排気することを含む、実施例26または27に記載の方法。
【0066】
実施例29
プロセッサを使用して、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在しないという判定がもたらされ、この方法は、医療デバイスの滅菌を完了することをさらに含む、実施例25に記載の方法。
【0067】
実施例30
モニタリングされた電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、プラズマと関連付けられた電力プロファイルが安定したままであるか、または不安定になるかを判定することを含む、実施例25から29のいずれかに記載の方法。
【0068】
実施例31
システムであって、(a)滅菌チャンバであって、医療デバイスを受容するように動作可能である、滅菌チャンバと、(b)プロセッサであって、滅菌チャンバ内の医療デバイスに対して滅菌プロセスを駆動するように動作可能であり、(i)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングし、(ii)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを、モニタリングに基づいて判定し、(iii)アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されるかどうかに基づいて、(A)医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、(B)医療デバイスの滅菌を完了するか、または、(C)ある量のアルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、滅菌プロセスを中止する、ようにさらに構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
【0069】
実施例32
プラズマ発生器をさらに含み、プラズマ発生器は、滅菌チャンバ内にプラズマを発生させるように動作可能である、実施例31に記載のシステム。
【0070】
実施例33
プロセッサは、プラズマ発生器を駆動するように動作可能である、実施例32に記載のシステム。
【0071】
実施例34
プロセッサは、プラズマ発生器の駆動と関連付けられた電力プロファイルをモニタリングするようにさらに構成されている、実施例32または33に記載のシステム。
【0072】
実施例35
プロセッサは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後の電力プロファイルの挙動に基づいて、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定するように構成されている、実施例34に記載のシステム。
【0073】
実施例36
プロセッサは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で電力プロファイルが不安定になったことに基づいて、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定するように構成されている、実施例35に記載のシステム。
【0074】
実施例37
プロセッサは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で電力プロファイルが安定したままであることに基づいて、アルコールが医療デバイスの上もしくは中に存在しないと判定するように構成されている、実施例35または36に記載のシステム。
【0075】
実施例38
プロセッサは、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンの一環として、プラズマを消すように構成されている、実施例31から37のいずれかに記載のシステム。
【0076】
実施例39
プロセッサは、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンの一環として、滅菌チャンバを排気するように構成されている、実施例31から38のいずれかに記載のシステム。
【0077】
実施例40
プロセッサは、医療デバイスの上もしくは中のアルコールを低減もしくは排除するルーチンの一環として、滅菌チャンバを排気するために滅菌チャンバ内に真空を誘発するように構成されている、実施例39に記載のシステム。
【0078】
V.その他
参照により本明細書に組み込まれると言われる特許、刊行物、または他の開示資料の全部または一部は、組み込まれた資料が本開示に記載された既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。したがって、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載された開示は、参照により本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する資料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する資料またはその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれる。
【0079】
本発明のさまざまな実施形態を示し、説明したが、本明細書に記載される方法およびシステムのさらなる適応は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な変更によって達成することができる。このような可能性のある変更のいくつかは既に述べたが、他の変更は当業者には明らかであろう。例えば、上述した実施例、実施形態、幾何学的特徴、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきであり、明細書および図面に示され説明される構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0080】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に前記滅菌装置で滅菌プロセスを開始することと、
(b)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることと、
(c)(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在することを、前記モニタリングに基づいて判定するか、または、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないことを、前記モニタリングに基づいて判定することと、
(d)(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されなかった場合に、前記医療デバイスの滅菌を完了するか、または、
(iii)ある量のアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記滅菌プロセスを中止することと、を含む、方法。
(2) 前記医療デバイスは、内視鏡を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記内視鏡は、胃腸内視鏡を含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記滅菌プロセスは、負荷調整サイクルの後に滅菌サイクルを含む、実施態様1から3のいずれかに記載の方法。
(5) 前記負荷調整サイクルは、前記医療デバイス内の水分の減少または前記医療デバイスの温度の上昇のうちの一方または両方を行うように構成されることを含む、実施態様4に記載の方法。
【0081】
(6) 前記モニタリングは、前記負荷調整サイクル中に実施される、実施態様4または5に記載の方法。
(7) 前記モニタリングは、前記滅菌サイクル中に実施される、実施態様4から6のいずれかに記載の方法。
(8) 前記滅菌プロセスは、プラズマを前記滅菌チャンバに適用することを含む、実施態様1から7のいずれかに記載の方法。
(9) 前記モニタリングすることは、前記プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) アルコールが存在すると判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが不安定になると判定することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0082】
(11) アルコールが存在しないと判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが安定したままであると判定することを含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記プラズマを消すことを含む、実施態様8から11のいずれかに記載の方法。
(13) 前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、実施態様11または12に記載の方法。
(14) 前記滅菌チャンバを排気することは、真空を前記滅菌チャンバに適用することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記滅菌プロセスは、過酸化水素蒸気を前記滅菌チャンバに送達することを含む、実施態様1から14のいずれかに記載の方法。
【0083】
(16) 前記モニタリングすることは、前記過酸化水素蒸気と関連付けられた分解曲線をモニタリングすることを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) アルコールが存在すると判定することは、前記過酸化水素蒸気の分解速度が予想分解曲線を上回ると判定することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、実施態様1から17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記滅菌チャンバを排気することは、真空を前記滅菌チャンバに適用することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンを開始した後で、前記滅菌プロセスの少なくとも一部の後続の反復を再び実施することをさらに含む、実施態様1から19のいずれかに記載の方法。
【0084】
(21) 前記後続の反復中に、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングすることをさらに含む、実施態様20に記載の方法。
(22) (a)前記後続の反復中にアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に依然として存在することを、前記モニタリングに基づいて判定することと、
(b)前記滅菌プロセスの前記少なくとも一部の所定数の反復が実施されたかどうかを判定することと、
(c)(i)前記所定数の反復が実施されていない場合に、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンを開始するか、または、
(ii)前記所定数の反復が実施されている場合に、前記滅菌プロセスを中止することと、をさらに含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記滅菌プロセスを中止することは、前記医療デバイスを前記滅菌チャンバから取り出すようオペレータに促すことを含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記方法は、前記滅菌装置のプロセッサによって実施される、実施態様1から23のいずれかに記載の方法。
(25) 方法であって、
(a)医療デバイスが滅菌装置の滅菌チャンバ内に位置付けられている間に、前記滅菌チャンバ内にプラズマを発生させることと、
(b)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために、前記プラズマと関連付けられた電力プロファイルをモニタリングすることと、
(c)モニタリングされた前記電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することと、を含む、方法。
【0085】
(26) プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するという判定がもたらされ、前記方法は、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始することをさらに含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記プラズマを消すことを含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンは、前記滅菌チャンバを排気することを含む、実施態様26または27に記載の方法。
(29) プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することにより、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないという判定がもたらされ、前記方法は、前記医療デバイスの滅菌を完了することをさらに含む、実施態様25に記載の方法。
(30) モニタリングされた前記電力プロファイルに基づき、プロセッサを使用して、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定することは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で、前記プラズマと関連付けられた前記電力プロファイルが安定したままであるか、または不安定になるかを判定することを含む、実施態様25から29のいずれかに記載の方法。
【0086】
(31) システムであって、
(a)滅菌チャンバであって、医療デバイスを受容するように動作可能である、滅菌チャンバと、
(b)プロセッサであって、前記滅菌チャンバ内の医療デバイスに対して滅菌プロセスを駆動するように動作可能であり、
(i)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを検出するために前記滅菌プロセスの1つ以上のパラメータをモニタリングし、
(ii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを、前記モニタリングに基づいて判定し、
(iii)アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定されるかどうかに基づいて、
(A)前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除するルーチンを開始するか、
(B)前記医療デバイスの滅菌を完了するか、または、
(C)ある量のアルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定された場合に、前記滅菌プロセスを中止する、
ようにさらに構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
(32) プラズマ発生器をさらに含み、前記プラズマ発生器は、前記滅菌チャンバ内にプラズマを発生させるように動作可能である、実施態様31に記載のシステム。
(33) 前記プロセッサは、前記プラズマ発生器を駆動するように動作可能である、実施態様32に記載のシステム。
(34) 前記プロセッサは、前記プラズマ発生器の駆動と関連付けられた電力プロファイルをモニタリングするようにさらに構成されている、実施態様32または33に記載のシステム。
(35) 前記プロセッサは、電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後の前記電力プロファイルの挙動に基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在するかどうかを判定するように構成されている、実施態様34に記載のシステム。
【0087】
(36) 前記プロセッサは、前記電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達する前または後で前記電力プロファイルが不安定になったことに基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在すると判定するように構成されている、実施態様35に記載のシステム。
(37) 前記プロセッサは、前記電力レベルがプラズマの発生と関連付けられた閾値に達した後で前記電力プロファイルが安定したままであることに基づいて、アルコールが前記医療デバイスの上もしくは中に存在しないと判定するように構成されている、実施態様35または36に記載のシステム。
(38) 前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記プラズマを消すように構成されている、実施態様31から37のいずれかに記載のシステム。
(39) 前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記滅菌チャンバを排気するように構成されている、実施態様31から38のいずれかに記載のシステム。
(40) 前記プロセッサは、前記医療デバイスの上もしくは中の前記アルコールを低減もしくは排除する前記ルーチンの一環として、前記滅菌チャンバを排気するために前記滅菌チャンバ内に真空を誘発するように構成されている、実施態様39に記載のシステム。
【国際調査報告】