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特表2023-542735新規のナフタルイミドスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】新規のナフタルイミドスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 221/14 20060101AFI20231003BHJP
   C07C 13/547 20060101ALI20231003BHJP
   C07C 1/22 20060101ALI20231003BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C07D221/14
C07C13/547 CSP
C07C1/22
C09K3/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519597
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2021013398
(87)【国際公開番号】W WO2022071774
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127042
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,チョンリム
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,デヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドクラク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ユナ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジウン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB76
(57)【要約】
本発明は、ナフタルイミドスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関し、より詳しくは、i線波長(365nm)の光に対する吸光度に優れ、有機溶媒への溶解性が高く、熱的安定性に優れ、良好な酸発生率を示すナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】
(式中、R1は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり;R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は下記式(II)
【化2】
(式中、R1、m及びnは、前記式(I)で定義されたものと同義であり;R2は、水素原子である)で示されるナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物。
【請求項2】
1が、一つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;一つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;である請求項1に記載のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物。
【請求項3】
1が、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基又はトシル基である請求項1に記載のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物。
【請求項4】
以下の化合物から選ばれる請求項1に記載のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物:
【化3】
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物;及び
バインダー樹脂;
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項7】
下記式(III)
【化4】
(式中、R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は(IV)
【化5】
(式中、R2は、水素原子であり;m及びnは、前記式(III)で定義されたものと同義である)で示されるアセナフテン誘導体化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の式(III)又は式(IV)で示されるアセナフテン誘導体化合物の製造方法であって、
下記式(III’)
【化6】
(式中、R2、m及びnは、請求項7の式(III)で定義されたものと同様である)
又は下記式(IV’)
【化7】
(式中、R2、m及びnは、請求項7の式(IV)で定義されたものと同様である)で示される化合物を還元する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフタルイミドスルホン酸誘導体、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関し、より詳しくは、i線波長(365nm)の光に対する吸光度に優れ、有機溶媒への溶解性が高く、熱的安定性に優れ、良好な酸発生率を示すナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光酸発生剤は、光照射により酸を発生する化合物であり、そこから発生する酸は、フォトレジスト組成物の成分によっては、組成物中の成分の一部を分解したり、架橋反応を起こしたりして、組成物中の重合体の極性を変化させる。このような重合体の極性の変化により、露光部と非露光部との間で現像液への溶解度に差が生じ、結果として、ポジ型又はネガ型のリソグラフィーが可能となる。
【0003】
フォトレジスト組成物の場合、その中の光酸発生剤は、微細パターンを形成できるように、照射光に対して良好なエネルギー感度を有するべきである。しかしながら、従来の光酸発生剤を単独で使用すると、フォトレジストの感度を十分に高めることができないという問題があった。
【0004】
そのため、少量でも十分な感度が得られる優れた光感度を有し、コスト削減効果及び優れた感度によって露光量の低減と増産が可能な光酸発生剤の開発が求められている。また、フォトレジストの主溶媒に対する光酸発生剤の溶解度が向上することにより、各組成物の製造が容易になるという利点がある。
【0005】
ナフタルイミド化合物、光感度向上と溶解度改善のために、様々な開発が行われている。例えば、特許文献1には、-70℃の極低温条件と1-ブチルリチウムなどの金属化合物を用いてナフタルイミド化合物を製造することが開示されており、特許文献2及び特許文献3には、臭素置換化合物を用いたナフタルイミド化合物の製造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国 特開 第10-2017-0125980号
【特許文献2】韓国 特開 第10-2017-0042726号
【特許文献3】韓国 特開 第10-2012-0114353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、i線波長(365nm)の吸光度に優れ、有機溶媒への溶解性が高く、熱的安定性に優れ、良好な酸発生率を示すナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物、並びにそれを含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の第1側面は、下記式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、R1は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり;R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は下記式(II)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1、m及びnは、前記式(I)で定義したものと同義であり;R2は、水素原子である)で示されるナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物を提供する。
【0013】
本発明の第2側面は、前記本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤を提供する。
【0014】
本発明の第3側面は、前記本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物;及びバインダー樹脂;を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0015】
本発明の第4側面は、下記式(III)
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は(IV)
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、R2は、水素原子であり;m及びnは、前記式(III)で定義されたものと同義である)で示されるアセナフテン誘導体化合物を提供する。
本発明の第5側面は、前記式(III)又は式(IV)で示されるアセナフテン誘導体化合物の製造方法であって、
下記式(III’)
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、R2、m及びnは、前記式(III)で定義されたものと同様である)
又は下記式(IV’)
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、R2、m及びnは、前記式(IV)で定義されたものと同様である)で示される化合物を還元する工程を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、フォトレジスト用溶媒への溶解度が高く、熱的安定性に優れ、フォトリソグラフィー用の光(例えば、i線波長(365nm)の光)に対する感度が非常に優れているため、フォトレジスト組成物の光酸発生剤成分として使用することで、少量の使用で現像性、テーパー角、パターン安定性などに優れたパターンを提供することができ、また、露光及びポストベーク工程で光酸発生剤から発生するガス放出を最小限に抑えることができるため、汚染を低減することができ、それによって発生する可能性のある欠陥を最小限に抑えることができるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、下記式(I)
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、R1は、置換された若しくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換された若しくは非置換のアリール基、置換された若しくは非置換のアリールアルキル基、又は置換された若しくは非置換のアルキルアリール基であり;R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は下記式(II)
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、R1、m及びnは、前記式(II)で定義したものと同義であり;R2は、水素原子である)で示される。
【0031】
より具体的には、前記式(I)及び式(II)において、R1は、置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であってもよい。
【0032】
より具体的には、前記式(I)及び式(II)において、R1は、一つ以上のハロゲン原子又は脂環式炭化水素基で置換された若しくは非置換の、C1~C12の直鎖状アルキル基又はC3~C12の分岐状アルキル基;一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC3~C12の脂環式炭化水素基;一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC6~C20のアリール基;一つ以上のハロゲン原子又はC1~C12のアルキルチオ基で置換された若しくは非置換のC7~C20のアリールアルキル基;又は一つ以上のハロゲン原子で置換された若しくは非置換のC7~C20のアルキルアリール基;であってもよい。
【0033】
さらに具体的には、前記R1は、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基又はトシル基であってもよい。
【0034】
本発明において、「アルキル」部分を構成する置換基には、直鎖状又は分枝状のすべての形態が含まれ、「シクロアルキル」には、単環系だけでなく多環系の炭化水素も含まれる。本発明において、「アリール」は、芳香族炭化水素から1個の水素を除去することによって誘導される有機ラジカルであり、各環に適切には4~7個、好ましくは5又は6個の環原子を含む単環又は融合環系を含み、さらに複数のアリールが単結合で連結されている形態も含む。また、本発明において、C1~C12アルキル基は、より具体的にはC1~C10アルキル、さらに具体的にC1~C6アルキルであり、C6~C20アリール基は、より具体的にC6~C18アリールであり、C3~C12シクロアルキル基は、より具体的にC3-C10シクロアルキルであってもよい。
【0035】
一実施形態において、本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、下記化合物から選ぶことができるが、これらに特に限定されるものではない。
【0036】
【化9】
【0037】
本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、フォトレジスト用溶媒への溶解度が高く、熱的安定性に優れ、フォトリソグラフィー用の光感度が非常に優れているため、フォトレジスト組成物中の光酸発生剤成分として非常に有用である。
【0038】
したがって、本発明の別の側面によれば、本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物を含む光酸発生剤及びフォトレジスト組成物が提供される。
【0039】
本発明のフォトレジスト組成物は、本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物;及びバインダー樹脂;を含み、前記ナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、光酸発生用成分として含まれる。
【0040】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、ヒドロキシスチレン又はその誘導体の重合体;アクリル酸又はその誘導体の重合体;メタクリル酸又はその誘導体の重合体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体から選ばれる2つ以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン及びそれらの誘導体から選ばれる2つ以上の単量体の共重合体;シクロオレフィン、無水マレイン酸、アクリル酸及びそれらの誘導体から選ばれる3つ以上の単量体の共重合体;シクロオレフィン、マレイミド、アクリル酸及びそれらの誘導体から選ばれる3つ以上の単量体の共重合体;ポリノルボルネン;メタセシス開環重合体;及び前記重合体中のアルカリ融解制御能を有する酸不安定基で部分的に置換した重合体;及びそれらの組み合わせから選ばれるが、特にこれらに限定されるものではない。前記重合体に導入される酸不安定基としては、3級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、アリール基置換アルキル基、テトラヒドロピラン-2-イル基などの複素脂環基、3級アルキルカルボニル基、3級アルキルカルボニルアルキル基、アルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0041】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、ヒドロキシスチレン又はその誘導体の重合体;アクリル酸又はその誘導体の重合体;メタクリル酸又はその誘導体の重合体;ヒドロキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体から選ばれる2つ以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン及びそれらの誘導体から選ばれる2つ以上の単量体の共重合体;ヒドロキシスチレン、スチレン、アクリル酸、オレフィン、シクロオレフィン、無水マレイン酸及びそれらの誘導体から選ばれる3つ以上の単量体の共重合体;及びそれらの組み合わせから選ばれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0042】
一実施形態において、前記「誘導体」は、例えば、元の化合物のアルキル又はアルコキシ(より具体的には、C1~C10アルキル又はアルコキシ置換形態)、又は元の化合物が酸化合物である場合、そのアルキル(より具体的には、C1~C10アルキル)エステルであってよいが、特に限定されない。
【0043】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、例えば、以下の単量体から選ばれる2つ以上の単量体の共重合体であってもよい:
【0044】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート及びヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-メチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレート、3-エチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレートなど、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド。
【0045】
一実施形態において、前記バインダー樹脂は、側鎖にアクリル不飽和結合を有する重合体であってもよく、これは、例えば、カルボン酸を含む共重合体にエポキシ化合物を付加反応させた共重合体であってもよい。
【0046】
より具体的には、前記カルボン酸を含む共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含む単量体と、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどの単量体1種以上を共重合して得ることができ、このようなカルボン酸含有共重合体にグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物を40~180℃の温度で付加反応して得られる共重合体をバインダー樹脂として使用することができる。
【0047】
一実施形態において、前記バインダー樹脂の重量平均分子量は、2,000~300,000、より具体的には4,000~100,000であってもよく、その分散度は1~10であってもよいが、特にこれらに限定されない。
【0048】
一実施形態において、現像性を高め、露光量を最小化するために、光酸発生剤として使用される前記ナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、本発明のフォトレジスト組成物100重量%に対して、0.01~10重量%、0.01~9重量%、0.01~8重量%、0.01~7重量%、0.01~6重量%、0.01~5重量%、0.01~4重量%、0.01~3重量%、0.01~2重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.4重量%、0.01~0.35重量%、0.01~0.3重量%、0.01~0.2重量%、0.05~10重量%、0.05~9重量%、0.05~8重量%、0.05~7重量%、0.05~6重量%、0.05~5重量%、0.05~4重量%、0.05~3重量%、0.05~2重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.05~0.4重量%、0.05~0.35重量%、0.05~0.3重量%、0.05~0.2重量%、0.1~10重量%、0.1~9重量%、0.1~8重量%、0.1~7重量%、0.1~6重量%、0.1~5重量%、0.1~4重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、0.1~0.4重量%、0.1~0.35重量%、0.1~0.3重量%、0.1~0.2重量%、0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.2~7重量%、0.2~6重量%、0.2~5重量%、0.2~4重量%、0.2~3重量%、0.2~2重量%、0.2~1重量%、0.2~0.5重量%、0.2~0.4重量%、0.2~0.35重量%、0.2~0.3重量%、0.25~10重量%、0.25~9重量%、0.25~8重量%、0.25~7重量%、0.25~6重量%、0.25~5重量%、0.25~4重量%、0.25~3重量%、0.25~2重量%、0.25~1重量%、0.25~0.5重量%、0.25~0.4重量%、0.25~0.35重量%、0.25~0.3重量%、0.3~10重量%、0.3~9重量%、0.3~8重量%、0.3~7重量%、0.3~6重量%、0.3~5重量%、0.3~4重量%、0.3~3重量%、0.3~2重量%、0.3~1重量%、0.3~0.5重量%、0.3~0.4重量%、0.3~0.35重量%、0.35~10重量%、0.35~9重量%、0.35~8重量%、0.35~7重量%、0.35~6重量%、0.35~5重量%、0.35~4重量%、0.35~3重量%、0.35~2重量%、0.35~1重量%、0.35~0.5重量%、0.35~0.4重量%、0.4~10重量%、0.4~9重量%、0.4~8重量%、0.4~7重量%、0.4~6重量%、0.4~5重量%、0.4~4重量%、0.4~3重量%、0.4~2重量%、0.4~1重量%、0.4~0.5重量%の量で含まれてもよく、より具体的には0.1~5重量%の量で含まれてもよいが、特にこれらに限定されない。
【0049】
一実施形態において、本発明のフォトレジスト組成物100重量%に対して、パターン特性の調節と薄膜物性を与えるために、前記バインダー樹脂は、例えば、30~99重量%、35~99重量%、40~99重量%、45~99重量%、50~99重量%、30~97重量%、35~97重量%、40~97重量%、45~97重量%、50~97重量%、30~95重量%、35~95重量%、40~95重量%、45~95重量%、50~95重量%、30~93重量%、35~93重量%、40~93重量%、45~93重量%、50~93重量%、30~90重量%、35~90重量%、40~90重量%、45~90重量%、50~90重量%、30~85重量%、35~85重量%、40~85重量%、45~85重量%、50~85重量%、30~80重量%、35~80重量%、40~80重量%、45~80重量%、50~80重量%、30~75重量%、35~75重量%、40~75重量%、45~75重量%、50~75重量%、30~70重量%、35~70重量%、40~70重量%、45~70重量%、50~70重量%、30~65重量%、35~65重量%、40~65重量%、45~65重量%、50~65重量%、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、45~60重量%、50~60重量%、30~55重量%、35~55重量%、40~55重量%、45~55重量%、50~55重量%の量で含まれてもよく、より具体的には50~99重量%の量で含まれてもよいが、特にこれらに限定されない。
【0050】
本発明のフォトレジスト組成物は溶媒をさらに含むことができる。
【0051】
前記溶媒としては、バインダー樹脂、光酸発生剤及びその他化合物との相溶性を考慮し、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート(EEP)、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(PGMEP)、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコール酢酸メチル、ジエチレングリコール酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグリム(Diglyme)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの溶媒を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
一実施形態において、組成物の粘度を1~50cps範囲に調節するために、前記溶媒が、例えば、本発明のフォトレジスト組成物100重量%中に0.9~60重量%の量で含まれてもよいが、特にこれらに限定されない。
【0053】
本発明のフォトレジスト組成物は、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤などの相溶性を有する添加剤をさらに含むことができる。
【0054】
一実施形態において、前記式(I)で示されるナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、下記反応スキーム1に示すように製造することができ、前記式(II)で示されるナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物は、下記反応スキーム2に示すように製造することができる。
<反応スキーム1>
【0055】
【化10】
【0056】
(式中、R1、R2、m及びnは、前記式(I)で定義されたものと同義である)
<反応スキーム2>
【0057】
【化11】
【0058】
(式中、R1、R2、m及びnは、前記式(II)で定義されたものと同義である)
したがって、本発明の別の側面によれば、本発明のナフタルイミドスルホン酸誘導体化合物製造の中間体として、下記式(III)
【0059】
【化12】
【0060】
(式中、R2は、水素原子又はt-ブチル基であり;mは、1~4の整数であり;nは、0~2の整数である)
又は(IV)
【0061】
【化13】
【0062】
(式中、R2は、水素原子であり;m及びnは、前記式(III)で定義されたものと同義である)で示されるアセナフテン誘導体化合物及びその製造方法が提供される。
【0063】
本発明による前記アセナフテン誘導体化合物の製造方法は、前記式(III)又は式(IV)で示されるアセナフテン誘導体化合物の製造方法であって、
下記式(III’)
【0064】
【化14】
【0065】
(式中、R2、m及びnは、前記式(III)で定義されたものと同様である)
又は下記式(IV’)
【0066】
【化15】
【0067】
(式中、R2、m及びnは、前記式(IV)で定義されたものと同様である)で示される化合物を還元する工程を含む。
【0068】
一実施形態において、前記還元工程は、塩基、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、t-ブトキシカリウム又はこれらの組み合わせの存在下で、高温、例えば、100~180℃の温度で行うことができる。
【0069】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲がこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例
【0070】
実施例1: 4-シクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)の製造
反応1: 5-シクロプロパンカルボニルアセナフテンの合成
アセナフテン5.0g(32.4mmol)をジクロロメタンに加え、10℃以下に冷却した。これに塩化アルミニウム4.55g(34.0mmol)を加えて30分間撹拌した後、ジクロロメタンに希釈したシクロプロパンカルボニルクロリド3.39g(32.4mmol)をゆっくりと加えて反応物を5℃以下で1時間撹拌した。次に反応生成物に精製水を加え、30分間撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、5-シクロプロパンカルボニルアセナフテン6.03g(83.7%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):1.08-1.02(2H,m),1.31-1.35(2H,m),2.63-2.74(1H,m),3.40(4H,m),7.31-7.36(2H,m),7.51-7.56(1H,dd),8.10-8.12(1H,d),8.42-8.44(1H,d)
MS(m/z): 222
【0071】
反応2: 5-シクロプロピルメチルアセナフテンの合成
5-シクロプロパンカルボニルアセナフテン5.75g(25.9mmol)、カルバジン酸メチル3.50g(38.8mmol)、酢酸4.66g(77.6mmol)をエタノールに溶解し、加熱還流した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、エタノールを減圧除去した。濃縮残渣に酢酸エチルと精製水を加え、撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣を水酸化カリウム7.27g(129.5mmol)とトリエチレングリコールに加え、140℃に加熱撹拌した後、室温まで冷却し、n-ヘプタンと精製水を加えて撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n-ヘプタン単独)で精製して、固体の5-シクロプロピルメチルアセナフテン4.24g(65.4%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.23-0.27(2H,m)0.52-0.56(2H,m),1.12-1.20(1H,m),2.93-2.94(2H,d),3.35-3.42(4H,m),7.21-7.24(1H,d),7.27-7.28(1H,d),7.37-7.39(1H,d),7.44-7.47(1H,dd),7.71-7.73(1H,d)
MS(m/z): 208
【0072】
反応3: 4-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物の合成
酢酸に5-シクロプロピルメチルアセナフテン15.0g(72.0mmol)を加え、ジクロム酸ナトリウム二水和物107.3g(360.1mmol)を加え、混合物を室温で撹拌し、加熱還流した。その後、室温まで冷却後反応混合物を氷水に注いだ。生成した固体をろ過し、精製水とエタノールで順次洗浄した。得られた固体を乾燥して、4-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物13.70g(75.4%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.36(2H,m),0.64-0.70(2H,m),1.14-1.23(1H,m),3.14-3.16(2H,d),7.82-7.86(2H,m),8.51-8.54(1H,dd),8.58-8.60(1H,d),8.63-8.65(1H,dd)
MS(m/z): 252
【0073】
反応4: N-ヒドロキシ-4-シクロプロピルメチルナフタルイミドの合成
エタノールに4-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物13.40g(53.1mmol)を加え、ヒドロキシルアミン塩酸塩5.54g(79.7mmol)とピリジン6.30g(79.7mmol)を加え、加熱還流した。エタノールを減圧下で除去して、粗N-ヒドロキシ-4-シクロプロピルメチルナフタルイミド13.30g(粗収率:93.7%)を得た後、これをさらに精製することなく次の反応に用いた。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.30-0.34(2H,m),0.64-0.69(2H,m),1.12-1.21(1H,m),3.14-3.16(2H,d),7.79-7.84(2H,m),8.49-8.51(1H,d),8.61-8.63(1H,d),8.67-8.69(1H,d),8.72(1H,b)
MS(m/z): 267
【0074】
反応5: 4-シクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)の合成
N-ヒドロキシ-5-シクロプロピルメチルナフタルイミド13.75g(51.4mmol)をジクロロメタンに加え、トリエチルアミン10.41g(102.9mmol)を加え、30分間撹拌後、5℃以下に冷却した。トリフルオロメタンスルホニルクロリド8.67g(51.4mmol)を加えた後、室温で撹拌した。その後、精製水を加えて撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、4-シクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(1)16.24g(79.1%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.35(2H,m),0.65-0.70(2H,m),1.13-1.21(1H,m),3.15-3.16(2H,d),7.83-7.87(2H,m),8.54-8.56(1H,dd),8.62-8.64(1H, d),8.67-8.69(1H,dd)
MS(m/z): 399
【0075】
以下の化合物は、前記実施例1と同様の方法で製造した。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例2: 2,5-ジシクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(9)の製造
反応1: 3,6-シクロヘキサンカルボニルアセナフテンの合成
アセナフテン6.0g(38.9mmol)をジクロロメタンに加え、10℃以下に冷却した。それに塩化アルミニウム10.89g(81.7mmol)を加えて30分間撹拌した後、ジクロロメタンに希釈したシクロヘキサンクロリド12.55g(85.6mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を5℃以下で1時間撹拌した。次に、反応生成物に精製水を加え、30分間撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、3,6-ジシクロヘキサンカルボニルアセナフテン10.30g(70.7%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):1.08-1.02(2H,m),1.31-1.35(2H,m),2.63-2.74(1H,m)),3.41-3.48(2H,t),3.78-3.85(2H,t)7.36-7.41(2H,m),8.13-8.15(1H,d),8.45-8.47(1H,d)
MS(m/z): 290
【0078】
反応2: 3,6-ジシクロヘキシルメチルアセナフテンの合成
3,6-ジシクロヘキサンカルボニルアセナフテン10.75g(28.0mmol)、カルバジン酸メチル7.58g(84.1mmol)、酢酸10.10g(168.2mmol)をエタノールに溶解し、反応混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、エタノールを減圧下で除去した。濃縮残渣に酢酸エチルと精製水を加え、撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣を水酸化カリウム15.71g(280.0mmol)とトリエチレングリコールに加え、140℃に加熱、撹拌後、室温まで冷却し、n-ヘプタンと精製水を加えて撹拌し、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、3,6-ジシクロヘキシルメチルアセナフテン4.27g(58.2%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.23-0.27(4H,m),0.52-0.56(4H,m),1.12-1.20(2H,m),2.87-2.88(2H,d),2.90-2.91(2H,d),3.35-3.42(2H,t),3.42-3.69(2H,t),7.25-7.29(1H,d),7.31-7.32(1H,d),7.47-7.50(1H,d),7.73-7.75(1H,d)
MS(m/z): 262
【0079】
反応3: 2,5-ジシクロプロピルメチルナフチル酸無水物の合成
3,6-ジシクロヘキシルメチルアセナフテン2.35g(6.8mmol)を酢酸に加え、ジクロム酸ナトリウム二水和物10.10g(33.9mmol)を加え、混合物を室温で撹拌し、加熱還流した。次いで、室温まで冷却後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルを投入して撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、2,5-ジシクロプロピルメチルナフチル酸無水物1.78g(67.2%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.36(4H,m),0.64-0.70(4H,m),1.14-1.23(2H,m),3.14-3.16(2H,d),3.17-3.19(2H,d),7.82-7.86(2H,m),8.58-8.60(1H,d),8.63-8.65(1H,d)
MS(m/z): 306
【0080】
反応4: N-ヒドロキシ-2,5-ジシクロプロピルメチルナフタルイミドの合成
2,5-ジシクロプロピルメチルナフチル酸無水物5.24g(13.4mmol)をエタノールに加え、ヒドロキシルアミン塩酸塩1.40g(20.1mmol)とピリジン1.59g(20.1mmol)を加え、混合物を加熱還流した。エタノールを減圧除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:2)で精製して、N-ヒドロキシ-2,5-ジシクロプロピルメチルナフタルイミド3.54g(65.1%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.30-0.34(4H,m),0.64-0.69(4H,m),1.12-1.21(2H,m),3.14-3.16(2H,d),3.17-3.19(2H,d),7.81-7.86(2H,m),8.62-8.64(1H,d),8.67-8.69(1H,d),8.71(1H,b)
MS(m/z): 321
【0081】
反応5: 2,5-ジシクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(9)の合成
N-ヒドロキシ-2,5-ジシクロプロピルメチルナフタルイミド4.08g(10.1mmol)をジクロロメタンに加え、トリエチルアミン2.04g(20.1mmol)を加え、混合物を30分間撹拌し、5℃以下に冷却した。トリフルオロメタンスルホニルクロリド1.70g(10.1mmol)を加えた後、混合物を室温で撹拌した。その後、精製水を加え、撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、2,5-ジシクロプロパンメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(9)3.52g(65.1%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.35(4H,m),0.65-0.70(4H,m),1.13-1.21(2H,m),3.15-3.16(2H,d),3.20-3.21(2H,d),7.83-7.87(2H,d),8.62-8.64(1H,d),8.67-8.69(1H,d)
MS(m/z): 453
【0082】
以下の化合物を前記実施例2と同様の方法で製造した。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例3: 4-t-ブチルアセナフテン(16)の製造
アセナフテン15.00g(97.3mmol)をジクロロメタンに加え、10℃以下に冷却した。それに塩化アルミニウム0.65g(4.9mmol)を加えて30分間撹拌した後、t-ブチルブロミド13.33g(97.3mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を加熱還流し、撹拌した。次に、反応生成物に精製水を加え、30分間撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、4-t-ブチルアセナフテン(16)12.03g(58.8%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):1.44(9H,s),3.32-3.41(4H,m),7.11-7.12(1H,d),7.29-7.38(2H,m),7.76-7.81(2H,m)
MS(m/z): 210
【0085】
実施例4: 3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(17)の製造
反応1: 4-t-ブチル-6-シクロプロパンカルボニルアセナフテンの合成
4-t-ブチルアセナフテン(16)5.0g(23.8mmol)をジクロロメタンに加え、10℃以下に冷却した。そこに塩化アルミニウム3.33g(25.0mmol)を加えて30分間撹拌した後、ジクロロメタンに希釈したシクロプロパンカルボニルクロリド2.49g(23.8mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を5℃以下で1時間撹拌した。次に反応生成物に精製水を加え、30分間撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、4-t-ブチル-6-シクロプロパンカルボニルアセナフテン4.56g(68.9%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):1.08-1.02(2H,m),1.31-1.35(2H,m),1.43(9H,s),1.50(9H,s),2.63-2.74(1H,m)),3.40(4H,m),7.34-7.36(1H,d),7.53-7.54(1H,d),8.11-8.13(1H,d),8.39-8.40(1H,d)
MS(m/z): 278
【0086】
反応2: 4-t-ブチル-6-シクロプロピルメチルアセナフテンの合成
4-t-ブチル-6-シクロプロパンカルボニルアセナフテン5.36g(19.3mmol)、カルバジン酸メチル2.60g(28.9mmol)、酢酸3.47g(57.8mmol)をエタノールに溶解し、反応混合物を加熱還流した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、エタノールを減圧除去した。濃縮残渣に酢酸エチルと精製水を加え、撹拌後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物を水酸化カリウム5.41g(96.5mmol)とトリエチレングリコールに加え、140℃に加熱し、撹拌後、室温まで冷却し、n-ヘプタンと精製水で撹拌し、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:10)で精製して、4-t-ブチル-6-シクロプロピルメチルアセナフテン2.66g(52.3%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.23-0.27(2H,m),0.52-0.56(2H,m),1.12-1.20(1H,m),1.50(9H,s),2.93-2.94(2H,d),3.35-3.42(4H,m),7.25-7.26(1H,d),7.32-7.33(1H,d),7.40-7.41(1H,d),7.66-7.67(1H,d)
MS(m/z): 264
【0087】
反応3: 3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物の合成
4-t-ブチル-6-シクロプロピルメチルアセナフテン10.05g(38.0mmol)を酢酸に加え、ジクロム酸ナトリウム二水和物56.63g(190.0mmol)を加え、混合物を室温で撹拌した後、加熱還流した。その後、室温まで冷却した後、エタノールを減圧留去し、酢酸エチルと精製水を加えて撹拌し、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物7.25g(61.9%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.36(2H,m),0.64-0.70(2H,m),1.14-1.23(1H,m),1.50(9H,s),3.14-3.16(2H,d),7.79-7.81(1H,d),8.58-8.60(1H,d),8.66-8.68(1H,d),8.71-8.72(1H,d)
MS(m/z): 308
【0088】
反応4: N-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフタルイミドの合成
3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフチル酸無水物10.80g(35.0mmol)をエタノールに加え、ヒドロキシルアミン塩酸塩3.65g(52.5mmol)とピリジン4.16g(52.5mmol)を加え、混合物を加熱還流した。エタノールを減圧除去し、酢酸エチルと精製水を加え、撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、N-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフタルイミド8.23g(72.7%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.30-0.34(2H,m),0.64-0.69(2H,m),1.12-1.21(1H,m),1.50(9H,s),3.14-3.16(2H,d),7.74-7.76(1H,d),8.57-8.59(1H,d),8.69-8.71(1H,d),8.76-8.77(1H,d),8.79(1H,b)
MS(m/z): 323
【0089】
反応5: 3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(17)の合成
N-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチルナフタルイミド10.65g(32.9mmol)をジクロロメタンに加え、トリエチルアミン6.66g(65.9mmol)を加え、混合物を30分間撹拌し、5℃以下に冷却した。トリフルオロメタンスルホニルクロリド5.55g(32.9mmol)を加えた後、室温で撹拌した。その後、精製水を加え、撹拌した後、有機層を分離した。分離した有機層を精製水で2回洗浄し、集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。有機層を減圧留去して得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:n-ヘプタン=1:4)で精製して、3-t-ブチル-5-シクロプロピルメチル-ナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート(17)10.55g(70.3%)を得た。
1H NMR(δppm;CDCl3):0.31-0.35(2H,m),0.65-0.70(2H,m),1.13-1.21(1H,m),1.50(9H,s),3.15-3.16(2H,d),7.77-7.79(1H,d),8.61-8.62(1H,d),8.70-8.72(1H,d),8.77-8.78(1H,d)
MS(m/z): 455
【0090】
以下の化合物を前記実施例4と同様の方法で製造した。
【0091】
【表3】
【0092】
バインダー樹脂製造
a)バインダー樹脂1の製造
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200mLとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを500mLの重合容器に加え、アセトキシスチレン、スチレン、t-ブトキシメタクリレートを各50:25:25のモル比で固形分が40重量%になるように加えた後、窒素の雰囲気下、70℃で5時間撹拌重合し、バインダー樹脂1を製造した。このようにして得られた共重合体の重量平均分子量は、25,000、分散度2.0であることが確認された。
【0093】
b)バインダー樹脂2の製造
500mLの重合容器に、PGMEA200mlとAIBN1.5gを加え、アセトキシスチレン、スチレン、t-ブトキシメタクリレート、メチルメタクリレートを各40:25:25:10のモル比で固形分が40重量%になるように加えた後、窒素の雰囲気下、70℃で5時間撹拌重合し、共重合体を合成した。この反応器にN,N-ジメチルアニリン0.3gとグリシジルメタクリレート20モル比を加えた後、100℃で10時間撹拌し、側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体であるバインダー樹脂2を製造した。このようにして得られた共重合体の重量平均分子量は20,000、分散度2.1であることが確認された。
【0094】
溶解度の測定
フォトレジスト組成物の製造において、光酸発生剤の溶解度は非常に重要である。したがって、フォトレジスト組成物で主に使用される溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEA)及びシクロヘキサンに対する溶解度を下記式(V)の化合物と比較して下記表1に示した。
【0095】
【化16】
【0096】
【表4】
【0097】
熱的安定性の測定
光酸発生剤がフォトレジスト製造工程において熱的に安定であると、安定性の点で非常に優れた効果を期待することができる。したがって、5%の重量損失が発生したる温度を、熱重量分析装置を使用し、前記式(V)の化合物と比較した。
【0098】
【表5】
【0099】
実施例のフォトレジスト組成物の製造
紫外線遮断膜と撹拌機を備えた反応混合槽に、下記表3に示す成分及び含量に従って、バインダー樹脂1~2;光酸発生剤としての化合物1、2、4、11、18;及びFC-430(3M社のレベリング剤、0.02重量%)を順次添加し、混合物を室温で撹拌した後、溶媒としてPGMEAを100重量%になるように加えて、フォトレジスト組成物を製造した。
【0100】
【表6】
【0101】
比較例のフォトレジスト組成物の製造
光酸発生剤として化合物5の代わりに下記式(V)の光酸発生剤を使用したことを除いて、前記組成物1の製造と同様の方法でフォトレジスト組成物を製造した。
【0102】
【化17】
【0103】
フォトレジスト組成物の評価
前記実施例及び比較例のフォトレジスト組成物の評価をガラス基板上で行い、フォトレジスト組成物のパターン安定性及びテーパー角を測定し、その評価結果を下記表4に示した。
1)パターン安定性
フォトレジストをシリコーンウエハ基板上にスピンコーティングし、90℃で1分間ホットプレートで乾燥し、ライン-スペース(10μm-10μm)工程マスクを使用して露光し、露光後、ベーキング工程を経た後、2.384%トリメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像した。現像後のスペース部のパターンの幅を測定した。
【0104】
2)テーパー角
フォトレジストをシリコーンウエハ基板上にスピンコーティングし、90℃で1分間ホットプレートで乾燥し、ライン-スペース(10μm-10μm)工程マスクを使用して露光し、露光後ベーキング工程を経た後、2.384%TMAH水溶液で現像した。現像後のスペース部のテーパー角を測定し、85~90゜を良好、85゜未満又は91゜超を不良とした。
【0105】
【表7】
【国際調査報告】