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特表2023-542739呼吸治療システムの使用を決定するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】呼吸治療システムの使用を決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20231003BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20231003BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231003BHJP
   A61B 5/333 20210101ALI20231003BHJP
   A61B 5/389 20210101ALI20231003BHJP
   A61B 5/369 20210101ALI20231003BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/08
A61B5/11 100
A61B5/333
A61B5/389
A61B5/369
A61B5/01 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519676
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 IB2021058813
(87)【国際公開番号】W WO2022070022
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】63/084,978
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522102697
【氏名又は名称】レズメド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッド、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
(72)【発明者】
【氏名】コステロ、マイケル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リオン、グレーム アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C038SS08
4C038SS09
4C038ST09
4C038SV05
4C038VA15
4C038VB31
4C038VC20
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB04
4C117XE13
4C117XE14
4C117XE17
4C117XE18
4C117XE19
4C117XE26
4C117XE29
4C117XE52
4C117XE64
4C127AA01
4C127AA02
4C127AA03
4C127GG05
4C127GG11
(57)【要約】
睡眠セッションにおいて、センサによってユーザに関連する生理学的データを生成することを含む方法。この方法は、生成された生理学的データを、1つ以上のプロセッサを含む電子機器によって処理して、治療中データと治療外データとを区別することをさらに含む。治療中データは、ユーザに連結された呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データである。治療外データは、呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データである。この方法は、治療外データに少なくとも部分的に基づいて、睡眠尺度を電子機器によって決定することをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
呼吸治療システムと、
睡眠セッション中に前記呼吸治療システムのユーザに関連する生理学的データを生成するように構成されるセンサと、
機械可読命令を記憶する記憶装置と、
生成された生理学的データを処理して、治療中データと治療外データとを区別することであって、
(i)前記治療中データは、前記ユーザに連結された前記呼吸治療システムが前記ユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データであり、
(ii)前記治療外データは、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データであること、及び
前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含む電子機器と、を含むシステム。
【請求項2】
前記センサは、前記電子機器に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電子機器は、スマートデバイスである、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサは、前記睡眠セッション外の前記ユーザに関連する第3の生理学的データを生成するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記生理学的データは、睡眠関連データを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記生理学的データは、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、総睡眠時間、総就床時間、覚醒時刻、離床時刻、総浅い睡眠時間、総深い睡眠時間、総REM睡眠時間、覚醒の数、入眠潜時、呼吸速度、心拍数、心拍数可変性、温度、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子機器はまた、前記生成された生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザが睡眠中であることを決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの呼吸の変化を検出すること、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの移動の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数可変性の変化を検出すること、前記ユーザの中核温度の変化を検出すること、前記ユーザに関連する脳波(EEG)信号の変化を検出すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に前記加圧空気を供給していると決定することを含む、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記呼吸治療システムからのフロー信号が前記ユーザの呼吸を示すことを決定することを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記睡眠尺度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)、睡眠効率、睡眠周期の数、断片化指数、睡眠アーキテクチャ、睡眠段階の数及び/又は持続時間、前記ユーザの覚醒の数及び/又は持続時間、総睡眠時間、入眠潜時、睡眠開始後覚醒パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療中データに少なくとも部分的に基づく、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記電子機器はまた、治療中睡眠尺度と治療外睡眠尺度を決定し、前記治療中睡眠尺度が前記治療中データから決定され、前記治療外睡眠尺度が前記治療外データから決定されるように、
前記機械可読命令を実行するように構成され、前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療外睡眠尺度と前記治療中睡眠尺度に少なくとも部分的に基づく、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療中睡眠尺度は、治療中無呼吸低呼吸指数(AHI)であり、前記治療外睡眠尺度は、治療外AHIである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記電子機器はまた、治療中睡眠持続時間と治療外睡眠持続時間を決定し、前記治療中睡眠持続時間が前記治療中睡眠尺度に関連付けられるとともに、前記治療外睡眠持続時間が前記治療外睡眠尺度に関連付けられるように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療中睡眠持続時間と前記治療外睡眠持続時間に少なくとも部分的に基づく、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記電子機器はまた、前記ユーザの将来の睡眠セッションの推定された総睡眠持続時間に少なくとも部分的に基づいて、前記将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記推定された睡眠尺度を決定することはまた、治療中睡眠尺度と治療外睡眠尺度に少なくとも部分的に基づく、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電子機器はまた、前記呼吸治療システムが加圧空気を前記ユーザの前記気道に供給しない前記睡眠セッションの一部の推定された治療中睡眠尺度を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記電子機器はまた、前記呼吸治療システムが加圧空気を前記ユーザの前記気道に供給する前記睡眠セッションの一部の推定された治療外睡眠尺度を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記電子機器はまた、前記ユーザの将来の睡眠セッションに対する目標睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記将来の睡眠セッションの推定された総睡眠持続時間を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記推定された総睡眠持続時間は、治療中睡眠持続時間、治療外睡眠持続時間、又は両方を含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ユーザの前記目標睡眠尺度は、治療中睡眠尺度、治療外睡眠尺度、又は両方を含む、請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記治療中データは、前記呼吸治療システムから受信された生理学的データを含み、前記電子機器はまた、
前記呼吸治療システムから受信された前記生理学的データに基づいて呼吸睡眠尺度を決定すること、及び
前記呼吸睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて、決定された睡眠尺度を調整するように、前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記呼吸治療システムから受信された前記生理学的データは、呼吸速度、呼吸深度、呼吸可変性、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記ユーザの呼吸モードを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記電子機器はまた、前記決定された睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて通信が送信されるように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記通信は、前記睡眠尺度を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記通信は、(a)治療外睡眠持続時間に比べて治療中睡眠持続時間を増加させること、(b)以前の治療中睡眠持続時間に比べて前記治療中睡眠持続時間を増加させること、又は(c)両方を前記ユーザに推奨することを含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項29】
前記通信は、(a)治療中睡眠持続時間に比べて治療外睡眠持続時間を減少させること、(b)以前の治療外睡眠持続時間に比べて前記治療外睡眠持続時間を減少させること、又は(c)両方を前記ユーザに推奨することを含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項30】
前記治療外睡眠持続時間は、ゼロに減少される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記通信は、前記ユーザに対して総睡眠持続時間を増加させる推奨を含む、請求項26~29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記通信は、治療中睡眠尺度、治療中睡眠持続時間、治療外睡眠尺度、治療外睡眠持続時間、将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度、前記将来の睡眠セッションの目標睡眠尺度、前記将来の睡眠セッションの目標睡眠持続時間、治療外睡眠持続時間の目標減少、又は治療中睡眠持続時間の目標増加、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項33】
イベントのパターン、イベントのクラスタ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項1~32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記呼吸治療システムの動きに関連するノイズ、前記ユーザの移動に関連するノイズ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項1~33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記呼吸治療システムが前記ユーザに連結され、前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給するときに前記ユーザの呼吸に関連するノイズ、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給しないときに前記ユーザの呼吸に関連するノイズ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項1~34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記電子機器はまた、前記センサによって生成された音声データを分析して、
(i)前記呼吸治療システムが操作されることと、(ii)前記呼吸治療システムが操作され、前記ユーザが着用するユーザインタフェースを介して前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給することとを区別するように、前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記電子機器はまた、前記センサによって生成された音声データを分析して、
前記呼吸治療システムが操作されており、前記ユーザがユーザインタフェースを着用しており、前記呼吸治療システムが前記ユーザインタフェースを介して前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給していることを検出するように、前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記電子機器はまた、前記センサによって生成された音声データを分析して、前記ユーザの呼気を示す特徴、前記呼吸治療システムのユーザインタフェースの漏れを示す特徴、又は両方を識別するように、前記機械可読命令を実行するように構成され、
前記ユーザの前記呼気及び前記呼吸治療システムの前記ユーザインタフェースの前記漏れ又は両方を示す前記特徴は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、
請求項1~37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記ユーザの前記呼気の前記特徴及び前記呼吸治療システムの前記ユーザインタフェースの前記漏れの前記特徴の両方を示す時に生成された生理学的データは、前記治療中データに含まれる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記電子機器はまた、前記ユーザが経験した1つ以上の併存疾患に関連する第2の生理学的データを生成するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される、請求項1~39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記睡眠セッションにおいて、前記第2の生理学的データを生成する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記1つ以上の併存疾患の発生率、前記1つ以上の併存疾患の進行、又は両方は、前記睡眠尺度、前記治療中睡眠尺度、前記治療中睡眠持続時間、前記治療外睡眠尺度、及び前記治療外睡眠持続時間のうちの1つ以上に関連付けられる、請求項40又は41に記載のシステム。
【請求項43】
方法であって、
睡眠セッション中にセンサによってユーザに関連する生理学的データを生成することを含み、
生成された生理学的データを、1つ以上のプロセッサを含む電子機器によって処理して、治療中データと治療外データとを区別し、
(i)前記治療中データは、前記ユーザに連結された呼吸治療システムが前記ユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データであり、
(ii)前記治療外データは、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データであり、及び
前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を前記電子機器によって決定する、方法。
【請求項44】
前記センサは、前記電子機器に含まれる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記電子機器は、スマートデバイスである、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記睡眠セッション外の前記ユーザに関連する第3の生理学的データを前記センサによって生成することをさらに含む、
請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記生理学的データは、睡眠関連データを含む、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記生理学的データは、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、総睡眠時間、総就床時間、覚醒時刻、離床時刻、総浅い睡眠時間、総深い睡眠時間、総REM睡眠時間、覚醒の数、入眠潜時、呼吸速度、心拍数、心拍数可変性、温度、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記生成された生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザが睡眠中であることを前記電子機器によって決定することをさらに含む、
請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの呼吸の変化を検出すること、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの移動の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数可変性の変化を検出すること、前記ユーザの中核温度の変化を検出すること、前記ユーザに関連する脳波(EEG)信号の変化を検出すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に前記加圧空気を供給していると決定することを含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記呼吸治療システムからのフロー信号が前記ユーザの呼吸を示すことを決定することを含む、請求項49~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記睡眠尺度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)、睡眠効率、睡眠周期の数、断片化指数、睡眠アーキテクチャ、睡眠段階の数及び/又は持続時間、前記ユーザの覚醒の数及び/又は持続時間、総睡眠時間、入眠潜時、睡眠開始後覚醒パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項43~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療中データに少なくとも部分的に基づく、請求項43~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
治療中睡眠尺度と治療外睡眠尺度を決定し、前記治療中睡眠尺度が前記治療中データから決定され、前記治療外睡眠尺度が前記治療外データから決定されることをさらに含み、前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療外睡眠尺度と前記治療中睡眠尺度に少なくとも部分的に基づく、
請求項43~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記治療中睡眠尺度は、治療中無呼吸低呼吸指数(AHI)であり、前記治療外睡眠尺度は、治療外AHIである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
治療中睡眠持続時間と治療外睡眠持続時間を決定し、前記治療中睡眠持続時間は、前記治療中睡眠尺度に関連付けられるとともに、前記治療外睡眠持続時間は、前記治療外睡眠尺度に関連付けられることを含む、
請求項55又は請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記睡眠尺度を決定することはまた、前記治療中睡眠持続時間と前記治療外睡眠持続時間に少なくとも部分的に基づく、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ユーザの将来の睡眠セッションの推定された総睡眠持続時間に少なくとも部分的に基づいて前記将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度を決定することをさらに含む、
請求項43~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記推定された睡眠尺度を決定することはまた、治療中睡眠尺度と治療外睡眠尺度に少なくとも部分的に基づく、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記呼吸治療システムが加圧空気を前記ユーザの前記気道に供給しない前記睡眠セッションの一部の推定された治療中睡眠尺度を決定することをさらに含む、
請求項43~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記呼吸治療システムが加圧空気を前記ユーザの前記気道に供給する前記睡眠セッションの一部の推定された治療外睡眠尺度を決定することをさらに含む、
請求項43~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ユーザの将来の睡眠セッションに対する目標睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記将来の睡眠セッションの推定された総睡眠持続時間を決定することをさらに含む、
請求項43~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記推定された総睡眠持続時間は、治療中睡眠持続時間、治療外睡眠持続時間、又は両方を含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ユーザの前記目標睡眠尺度は、治療中睡眠尺度、治療外睡眠尺度、又は両方を含む、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記治療中データは、前記呼吸治療システムから受信された生理学的データを含み、そして前記方法は、
前記呼吸治療システムから受信された前記生理学的データに基づいて呼吸睡眠尺度を決定すること、及び
前記呼吸睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて、決定された睡眠尺度を調整することをさらに含む、請求項43~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記呼吸治療システムから受信された前記生理学的データは、呼吸速度、呼吸深度、呼吸可変性、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記ユーザの呼吸モードを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記電子機器によって、前記決定された睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて通信が送信されることをさらに含む、
請求項43~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記通信は、前記睡眠尺度を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記通信は、(a)治療外睡眠持続時間に比べて治療中睡眠持続時間を増加させること、(b)以前の治療中睡眠持続時間に比べて前記治療中睡眠持続時間を増加させること、又は(c)両方を前記ユーザに推奨することを含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記通信は、(a)治療中睡眠持続時間に比べて治療外睡眠持続時間を減少させること、(b)以前の治療外睡眠持続時間に比べて前記治療外睡眠持続時間を減少させること、又は(c)両方を前記ユーザに推奨することを含み、前記治療中睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムに連結されている持続時間であり、前記治療外睡眠持続時間は、前記ユーザが睡眠中にあり、前記呼吸治療システムから前記加圧空気を受け取らない持続時間である、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項72】
前記治療外睡眠持続時間は、ゼロに減少される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記通信は、前記ユーザに対して総睡眠持続時間を増加させる推奨を含む、請求項68~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記通信は、治療中睡眠尺度、治療中睡眠持続時間、治療外睡眠尺度、治療外睡眠持続時間、将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度、前記将来の睡眠セッションの目標睡眠尺度、前記将来の睡眠セッションの目標睡眠持続時間、治療外睡眠持続時間の目標減少、又は治療中睡眠持続時間の目標増加、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項75】
イベントのパターン、イベントのクラスタ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項43~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記呼吸治療システムの動きに関連するノイズ、前記ユーザの移動に関連するノイズ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項43~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記呼吸治療システムが前記ユーザに連結され、前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給するときに前記ユーザの呼吸に関連するノイズ、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給しないときに前記ユーザの呼吸に関連するノイズ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項43~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記センサによって生成された音声データを分析して、(i)前記呼吸治療システムが操作されることと、(ii)前記呼吸治療システムが操作され、前記ユーザが着用するユーザインタフェースを介して前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給することとを区別することをさらに含む、
請求項43~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記センサによって生成された音声データを分析して、前記呼吸治療システムが操作されており、前記ユーザがユーザインタフェースを着用しており、前記呼吸治療システムが前記ユーザインタフェースを介して前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給していることを検出することをさらに含む、
請求項43~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記センサによって生成された音声データを分析して、前記ユーザの呼気を示す特徴、前記呼吸治療システムのユーザインタフェースの漏れを示す特徴、又はその両方を識別することをさらに含み、
前記ユーザの前記呼気及び前記呼吸治療システムの前記ユーザインタフェースの前記漏れ又は両方を示す前記特徴は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、
請求項43~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記ユーザの前記呼気の前記特徴及び前記呼吸治療システムの前記ユーザインタフェースの前記漏れの前記特徴の両方を示す時に生成された生理学的データは、前記治療中データに含まれる、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記ユーザが経験した1つ以上の併存疾患に関連する第2の生理学的データを生成することをさらに含む、請求項43~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記睡眠セッションにおいて、前記第2の生理学的データを生成する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記1つ以上の併存疾患の発生率、前記1つ以上の併存疾患の進行、又は両方は、前記睡眠尺度、前記治療中睡眠尺度、前記治療中睡眠持続時間、前記治療外睡眠尺度、及び前記治療外睡眠持続時間のうちの1つ以上に関連付けられる、請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、
機械可読命令を格納しているメモリと、を含み、
前記制御システムは、前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによって実行されるときに、請求項43~84のいずれか1項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項86】
睡眠尺度を決定するためのシステムであって、請求項43~84のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成される制御システムを含む、システム。
【請求項87】
コンピュータによって実行されると、コンピュータに請求項43~84のいずれか1項に記載の方法を実施させる命令を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項88】
前記コンピュータプログラムプロダクトは、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項87に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項89】
電子機器であって、
機械可読命令を格納しているメモリと、
センサが睡眠セッション中にユーザに関連する生理学的データを生成すること、
生成された生理学的データを処理して、治療中データと治療外データとを区別することであって、
(i)前記治療中データは、前記ユーザに連結された呼吸治療システムが前記ユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データであり、
(ii)前記治療外データは、前記呼吸治療システムが前記ユーザの前記気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データであること、及び
前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を決定するように、
前記機械可読命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を含む電子機器。
【請求項90】
前記生理学的データは、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、総睡眠時間、総就床時間、覚醒時刻、離床時刻、総浅い睡眠時間、総深い睡眠時間、総REM睡眠時間、覚醒の数、入眠潜時、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項89に記載の電子機器。
【請求項91】
前記センサは、圧力センサ、流量センサ、温度センサ、運動センサ、マイクロフォン、スピーカー、音響センサ、無線周波数(RF)受信機、RF送信機、RFセンサ、カメラ、赤外線センサ、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ、心電図(ECG)センサ、脳波(EEG)センサ、容量センサ、力センサ、歪みゲージセンサ、筋電図(EMG)センサ、酸素センサ、検体センサ、湿度センサ、LiDARセンサ、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項89又は90に記載の電子機器。
【請求項92】
前記センサは、前記電子機器に含まれる、請求項89~91のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項93】
前記電子機器は、スマートデバイスである、請求項89~92のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項94】
前記スマートデバイスは、スマートウォッチ、スマートフォン、動き追跡器、タブレット、スマートスピーカー、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項93に記載の電子機器。
【請求項95】
前記制御システムは、前記機械可読命令を実行して、前記生成された生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザが睡眠中であることを決定する、
請求項89~94のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項96】
前記ユーザが睡眠中であることを決定することは、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの呼吸の変化を検出すること、前記治療外データに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの移動の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数の変化を検出すること、前記ユーザの心拍数可変性の変化を検出すること、前記ユーザの中核温度の変化を検出すること、前記ユーザに関連する脳波(EEG)信号の変化を検出すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項95に記載の電子機器。
【請求項97】
前記睡眠尺度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)、睡眠効率、睡眠周期の数、断片化指数、睡眠アーキテクチャ、睡眠段階の数及び/又は持続時間、前記ユーザの覚醒の数及び/又は持続時間、総睡眠時間、入眠潜時、睡眠開始後覚醒パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項89~96のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項98】
イベントのパターン、イベントのクラスタ、又は両方は、前記治療外データと前記治療中データとを区別するために使用される、請求項89~97のいずれか1項に記載の電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ユーザが呼吸治療システムを使用しているかどうかを決定するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、ユーザが呼吸治療システムを使用することと呼吸治療システムを使用しないこととの間で区別し、呼吸治療システムを使用及び使用しない生理学的効果を数値化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの個人は、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)等の睡眠呼吸障害(SDB)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、胸壁障害及び不眠等の睡眠関連及び/又は呼吸障害に罹患している。これらの障害は、呼吸治療システムを使用して治療される場合が多く、他の障害は、異なる技術を使用して治療されることができる。しかしながら、一部のユーザにとっては、このようなシステムの使い心地が悪く、使用しにくく、高価であり、審美性が低く、及び/又はこのシステムを使用することに関連付けられた便益が認識されない。その結果、一部のユーザは、呼吸治療を使用しないときに、症状の重症度の実証がなく、及び/又は呼吸治療を使用するときに、症状に対する利益実証がない場合、呼吸治療システムを非勤勉に使用することを選択する。呼吸治療システムのいくつかの利点を数値化することは、勤続度の向上を助けることができる。本開示は、これら及び他の問題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示のいくつかの実装形態によれば、システムは、呼吸治療システムと、睡眠セッション中に呼吸治療システムのユーザに関連する生理学的データを生成するように構成されるセンサと、機械可読命令を記憶する記憶装置と、電子機器と、を含む。電子機器は、生成された生理学的データを処理して、治療中データと治療外データとを区別するように、機械可読命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含む。治療中データは、呼吸治療システムがユーザに連結され、ユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データである。治療外データは、呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データである。電子機器はまた、治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を決定するために、機械可読命令を実行するように構成される。
【0004】
本開示のいくつかの実装形態によれば、方法は、睡眠セッション中にセンサによってユーザに関連する生理学的データを生成することを含む。この方法は、生成された生理学的データを、1つ以上のプロセッサを含む電子機器によって処理して、治療中データと治療外データとを区別することをさらに含む。治療中データは、呼吸治療システムがユーザに連結され、ユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データである。治療外データは、呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データである。この方法は、治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を電子機器によって決定することをさらに含む。
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、電子機器は、機械可読命令を記憶する記憶装置と、センサが睡眠セッション中にユーザに関連する生理学的データを生成すること、生成された生理学的データを処理して、治療中データと治療外データを決定することであって、(i)治療中データは、ユーザに連結された呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データであり、(ii)治療外データは、呼吸治療システムがユーザの気道に加圧空気を供給しない時に生成される生理学的データであること、及び治療外データに少なくとも部分的に基づいて睡眠尺度を決定するように、機械可読命令を実行するように構成される1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示のいくつかの実装形態に係る、システムの機能ブロック図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実装形態に係る、図1のシステム、ユーザ、及び同床者の少なくとも一部の斜視図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションの例示的なタイムラインを示す。
図4図4は、本開示のいくつかの実装形態に係る、図3の睡眠セッションに関連する例示的な睡眠図を示す。
図5図5は、本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠尺度を決定するための方法の流れ図である。
図6A図6Aは、本開示のいくつかの実装形態に係る、治療中と治療外とを区別するための音声アーチファクトを示す。
図6B図6Bは、本開示のいくつかの実装形態に係る、治療中と治療外とを区別するための音声アーチファクトの別の例を示す。
図7図7は、本開示のいくつかの実装形態に係る、イベントのマッピングを示す。
図8図8は、本開示のいくつかの実装形態に係る、ヒストグラムとイベントグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記の概要は、本開示の各実装形態又はあらゆる態様を示すことを意図していない。本開示のさらなる特徴及び利益は、下記の詳細な説明及び図面から明らかである。
【0008】
本開示は、様々な変形及び代替形態が可能であるが、本開示の具体的な実装形態及び実施形態が図面に例として示されており、本明細書において詳述される。しかしながら、それは、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲によって限定される本開示の精神及び範囲内にある全ての変更物、均等物及び代替物を網羅するということを理解すべきである。
【0009】
多くの個人は、睡眠関連障害及び/又は呼吸障害に患っている。睡眠関連及び/又は呼吸障害としては、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、混合型無呼吸及び低呼吸等他のタイプの無呼吸等の睡眠呼吸障害(SDB)、呼吸努力関連覚醒(RERA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、急速眼球運動(REM)行動障害(RBDとも呼ばれる)、夢内容の行動化(DEB)、高血圧、糖尿病、卒中、不眠症、及び胸壁障害が挙げられる。
【0010】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、中咽頭後壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせによる睡眠セッション中の上気道の閉塞や遮断等のイベントによって特徴付けられる。より一般的には、無呼吸とは、一般的に、空気の閉塞によって生じる呼吸の休止(閉塞性睡眠時無呼吸)又は呼吸機能の停止(中枢性睡眠時無呼吸と称されることが多い)のことである。一般的に、個人は、閉塞性睡眠時無呼吸イベント中に、約15秒~約30秒で呼吸を停止する。
【0011】
他の種類の無呼吸としては、低呼吸、過呼吸及び高炭酸ガス血症が挙げられる。低呼吸は、一般的に、閉塞した気道ではなく、狭窄気道によって生じる遅い呼吸又は浅い呼吸によって特徴付けられる。過呼吸は、一般的に、呼吸の深さ及び/又は速度の増大によって特徴付けられる。高炭酸ガス血症は、一般的に、血中の二酸化炭素量の急増又は過剰によって特徴付けられ、通常、低呼吸によって生じられるものである。
【0012】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、そのうち、CSRサイクルとして知られる換気の漸増及び漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素及び再酸素化の繰り返しによって特徴付けられる。
【0013】
肥満過換気症候群(OHS)は、不十分な呼吸の原因が他に無い状態における、重症肥満及び覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、努力性呼吸、離床時の頭痛と日中の過度な眠気が含まれる。
【0014】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、空気の動きに対するレジスタンスの増加、呼吸の呼気相の延長及び肺の正常な弾力性の喪失等、ある特性を共通して有する下気道疾患群のいずれかを含む。
【0015】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接的又は神経病理を間接的に介して筋肉の機能を損なう多数の疾病及び病気を含む。胸壁障害は、呼吸筋と胸郭の間に非効率連結をもたらす胸郭変形群である。
【0016】
呼吸努力関連覚醒(RERA)イベントは、一般的に、睡眠からの覚醒に至る10秒以上の呼吸努力の増加によって特徴付けられ、無呼吸又は低呼吸イベントの基準を満たさない。RERAは、睡眠からの覚醒に至る呼吸努力の増加によって特徴付けられるが、無呼吸又は低呼吸の基準を満たさない一連の呼吸と定義される。これらのイベントは、(1)食道の陰圧が漸増するパターンが、陰圧レベルの急低下及び覚醒によって終了し、(2)イベントが10秒以上続く、という両方の基準を満たす必要がある。いくつかの実装形態では、鼻カニューレ/圧力トランスデューサシステムが、RERAの検出に十分かつ信頼できる。RERA検出器は、呼吸治療装置から導出された実際のフロー信号に基づき得る。例えば、フロー制限尺度が、フロー信号に基づいて決定され得る。その後、覚醒の尺度が、フロー制限尺度及び換気量の急増の尺度に基づいて導出され得る。1つのかかる方法が、レスメド社に付与された国際特許公開第2008/138040号及び米国特許公開第9358353号に記載されており、各文献の開示内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
これらを始めとする障害は、個人の睡眠中に起こる特定イベント(例えば、いびき、無呼吸、低呼吸、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん発作、けいれん又はそれらの任意の組み合わせ)によって特徴付けられる。
【0018】
無呼吸低呼吸指数(AHI)とは、睡眠セッション中の睡眠時無呼吸の重症度を示すのに使用される指数である。AHIは、睡眠セッション中にユーザが経験した無呼吸イベント及び/又は低呼吸イベントの数を、その睡眠セッションにおける全睡眠時間数で除算することによって求められる。このイベントは、例えば、少なくとも10秒以上続く呼吸の一時停止であり得る。5未満のAHIは、正常とみなされる。5以上15未満のAHIは、軽度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。15以上30未満のAHIは、中程度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。30以上のAHIは、重度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。小児では、1よりも大きいAHIは、異常とみなされる。睡眠時無呼吸は、AHIが正常であるとき、又はAHIが正常もしくは軽度であるときに、「制御されている」とみなすことができる。AHIは、酸素飽和度と組み合わせて、閉塞性睡眠時無呼吸の重症度を示すのに使用することもできる。
【0019】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るシステム100が示されている。システム100は、制御システム110、記憶装置114、電子インタフェース119、1つ以上のセンサ130、及び1つ以上のユーザ装置170を含む。いくつかの実装形態では、システム100は、任意選択的に、呼吸治療システム120、動き追跡器180又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0020】
制御システム110は、1つ以上のプロセッサ112(以下、プロセッサ112と呼ばれる)を含む。制御システム110は、一般的に、システム100の様々な構成要素を制御(例えば、作動)し、及び/又はシステム100の構成要素によって取得及び/又は生成されたデータを分析するために使用される。プロセッサ112は、汎用又は特殊用途プロセッサ又はマイクロプロセッサであってもよい。図1には1つのプロセッサ112が示されているが、制御システム110は、単一の筐体内に存在し得るか、互いに離れて位置し得る任意の適切な数のプロセッサ(例えば、1つのプロセッサ、2つのプロセッサ、5つのプロセッサ、10つのプロセッサ等)を含んでもよい。制御システム110は、例えば、ユーザ装置170の筐体、呼吸治療システム120の一部(例えば、筐体)及び/又はセンサ130うちの1つ以上の筐体に連結すること、及び/又はそれらの内部に位置付けることができる。制御システム110は、(1つのそのような筐体内に)集中させるか、(物理的に区別される2つ以上のそのような筐体内に)分散させることができる。制御システム110を収容する2つ以上の筐体を含むこのような実装形態では、このような筐体は、互いに近接し、及び/又は離れて位置付けられてもよい。
【0021】
記憶装置114は、制御システム110のプロセッサ112が実行可能な機械可読命令を記憶する。記憶装置114は、例えば、ランダムアクセスメモリ装置又はシリアルアクセスメモリ装置、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ装置等の任意の適切なコンピュータ可読記憶装置又は媒体であり得る。図1に1つの記憶装置114が示されているが、システム100は、任意の適切な数の記憶装置114(例えば、1つの記憶装置、2つの記憶装置、5つの記憶装置、10個の記憶装置等)を含み得る。記憶装置114は、呼吸治療装置122の筐体、ユーザ装置170の筐体、1つ以上のセンサ130の筐体又はそれらの任意の組み合わせに連結され、及び/又はそれらの内部に配置されてもよい。制御システム110と同様に、記憶装置114は、(1つのそのような筐体内に)集中させるか、(物理的に区別される2つ以上のそのような筐体内に)分散させることができる。
【0022】
いくつかの実装形態では、記憶装置114(図1)は、ユーザに関連するユーザプロファイルを記憶する。ユーザプロファイルは、例えば、ユーザに関連する人口統計情報、ユーザに関連する生体統計情報、ユーザに関連する医療情報、自己報告によるユーザフィードバック、ユーザに関連する睡眠パラメータ(例えば、1つ以上の以前の睡眠セッションから記録された睡眠関連パラメータ)、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。人口統計情報は、例えば、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの人種、ユーザの地理位置、交際状況、不眠症又は睡眠時無呼吸の家族歴、ユーザの雇用状況、ユーザの教育状況、ユーザの社会経済状況、又はそれらの任意の組み合わせを示す情報を含み得る。医療情報は、例えば、ユーザに関連する1つ以上の病状、ユーザによる薬剤使用又はその両方を示す情報を含み得る。医療情報データは、反復睡眠潜時検査(MSLT)の結果もしくはスコア及び/又はピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)のスコアもしくは値をさらに含み得る。自己報告によるユーザフィードバックは、自己報告による主観的な睡眠スコア(例えば、劣悪、普通、良好)、ユーザの自己報告による主観的なストレスレベル、ユーザの自己報告による主観的な疲労度、ユーザの自己報告による主観的な健康状態、ユーザが経験した最近のライフイベント、又はそれらの任意の組み合わせを示す情報を含み得る。
【0023】
電子インタフェース119は、データを記憶装置114に格納し、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析できるように、1つ以上のセンサ130からデータ(例えば、生理学的データ及び/又は音声データ)を受信するように構成される。電子インタフェース119は、有線接続又は無線接続(例えば、RF通信プロトコル、WiFi通信プロトコル、ブルートゥース(登録商標)通信プロトコル、セルラーネットワーク等)を用いて、1つ以上のセンサ130と通信することができる。電子インタフェース119は、アンテナ、受信機(例えば、RF受信機)、送信機(例えば、RF送信機)、送受信機、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。電子インタフェース119は、本明細書に記載のプロセッサ112及び記憶装置114と同一又は同様の1つ以上のプロセッサ及び/又は1つ以上の記憶装置も含んでもよい。いくつかの実装形態では、電子インタフェース119は、ユーザ装置170に連結又は統合される。他の実装形態では、電子インタフェース119は、制御システム110及び/又は記憶装置114に連結されるか、それらと(例えば、筐体内で)統合される。
【0024】
上述したように、いくつかの実装形態では、システム110は、任意選択的に、呼吸治療システム120(呼吸システムとも呼ばれる)を含む。呼吸治療システム120は、呼吸圧力治療装置122(呼吸治療装置122又は流れ発生器とも呼ばれる)、ユーザインタフェース124、導管126(チューブ又は空気回路とも呼ばれる)、表示装置128、加湿タンク129、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、制御システム110、記憶装置114、表示装置128、センサ130のうちの1つ以上、及び加湿タンク129は、呼吸治療装置122の一部である。呼吸圧力治療とは、ユーザの呼吸サイクル全体を通じて大気に対して名目上陽である(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器等の陰圧治療に対して)制御された目標圧力で、ユーザの気道の入口に空気供給を印加することを指す。呼吸治療システム120は、一般的に、1つ以上の睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢型睡眠時無呼吸又は混合型睡眠時無呼吸)に罹患している個人を治療するために使用される。
【0025】
呼吸治療装置122は、一般的に、(例えば、1つ以上の圧縮機を駆動する1つ以上のモータを使用して)ユーザに輸送される加圧空気を生成するために使用される。いくつかの実装形態では、呼吸治療装置122は、ユーザに輸送される連続的な一定の空気圧を生成する。他の実装形態では、呼吸治療装置122は、2つ以上の所定の圧力(例えば、第1の所定の空気圧及び第2の所定の空気圧)を生成する。さらに別の実装形態では、呼吸治療装置122は、所定の範囲内で様々な異なる空気圧を生成するように構成される。例えば、呼吸治療装置122は、例えば、少なくとも約6cmHO、少なくとも約10cmHO、少なくとも約20cmHO、約6cmHO~約10cmHO、約7cmHO~約12cmHO等で輸送を行うことができる。呼吸治療装置122は、(周囲圧力に対して)陽圧を維持しながら、例えば、約-20L/分~約150L/分の所定の流量で加圧空気を輸送することもできる。
【0026】
ユーザインタフェース124は、ユーザの顔の一部と係合し、呼吸治療装置122からユーザの気道に加圧空気を輸送し、睡眠セッション中に気道が狭窄及び/又は閉塞することを防止することを支援する。これにより、睡眠セッション中のユーザの酸素摂取量も増加させることができる。適用される療法に応じて、ユーザインタフェース124は、例えば、ユーザの顔の領域又は一部とシールを形成して、治療を発効させるために周囲圧力と十分に異なる圧力、例えば、周囲圧力に対する約10cmHOの陽圧でのガスの輸送を容易にすることができる。酸素輸送等の他の治療形態において、ユーザインタフェースは、約10cmHOの陽圧でのガス供給の気道への輸送を容易するのに十分なシールを含まないことがある。
【0027】
図2に示すように、いくつかの実装形態では、ユーザインタフェース124は、ユーザの鼻と口を覆う顔マスクである。代替として、ユーザインタフェース124は、ユーザの鼻に空気を提供する鼻マスク、又はユーザの鼻孔に空気を直接輸送する鼻枕マスクであり得る。ユーザインタフェース124は、ユーザの一部(例えば顔)にインタフェースを位置付け、及び/又は安定させるための複数のストラップ(例えば面ファスナを含む)と、ユーザインタフェース124とユーザとの間での気密シールを提供するのを支援する形状適合性クッション(例えば、シリコーン、プラスチック、発泡体等)と、を含み得る。ユーザインタフェース124は、ユーザ210によって吐き出された二酸化炭素及び他のガスを逃がせるようにするための1つ以上の通気孔も含み得る。他の実装形態では、ユーザインタフェース124は、マウスピース(例えば、ユーザの歯に適合するように成形されたナイトガードマウスピース、下顎再配置装置等)を含み得る。
【0028】
導管126(空気回路又はチューブとも呼ばれる)により、空気は、呼吸治療システム120の2つの構成要素、例えば呼吸治療装置122とユーザインタフェース124との間に流れることができる。いくつかの実装形態では、導管に吸気及び呼気用の別々の枝管が存在し得る。他の実装形態では、単枝型導管は、吸気及び呼気の両方に使用される。
【0029】
呼吸治療装置122、ユーザインタフェース124、導管126、表示装置128及び加湿タンク129のうちの1つ以上は、1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、流量センサ、又はより一般的には、本明細書に記載の他のセンサ130のいずれか)を含み得る。これらの1つ以上のセンサは、例えば、呼吸治療装置122によって供給された加圧空気の空気圧及び/又は流量を測定するために使用することができる。
【0030】
表示装置128は、一般的に、呼吸治療装置122に関する、静止画像、動画像又はその両方を含む画像及び/又は情報を表示するために使用される。例えば、表示装置128は、呼吸治療装置122の状態に関する情報(例えば、呼吸治療装置122がオン/オフであるか否か、呼吸治療装置122によって輸送されている空気の圧力、呼吸治療装置122によって輸送されている空気の温度等)及び/又は他の情報(例えば、睡眠スコア又は治療スコア(myAirTMスコアとも呼ばれる)、現在の日付/時刻、ユーザ210の個人情報等)を提供することができる。いくつかの実装形態では、表示装置128は、画像を表示すように構成されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を入力インタフェースとして含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示装置128は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイ等であり得る。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又はタッチセンシティブ基板、マウス、キーボード、又は呼吸治療装置122と対話する人間のユーザによって行われた入力をセンシングするように構成される任意のセンサシステムであり得る。
【0031】
加湿タンク129は、呼吸治療装置122に連結又は統合され、呼吸治療装置122から送られた加圧空気を加湿するために使用することができるリザーバを含む。呼吸治療装置122は、ユーザに提供された加圧空気を加湿するために、加湿タンク129内の水を加熱するヒーターを含み得る。なお、いくつかの実装形態では、導管126は、ユーザに送られた加圧空気を加熱する(例えば、導管126に連結され及び/又は埋め込まれた)加熱要素も含み得る。
【0032】
呼吸治療システム120は、例えば、人工呼吸器、又は持続気道陽圧(CPAP)システム、自動気道陽圧(APAP)システム、バイレベル又は可変気道陽圧(BPAP又はVPAP)システム等の気道陽圧(PAP)システム、又はそれらの任意の組み合わせとして用いることができる。CPAPシステムは、(例えば、睡眠医師によって決定された)所定の空気圧をユーザに輸送する。APAPシステムは、例えば、ユーザに関連する呼吸データに基づいて、ユーザに輸送される空気圧を自動的に変化させる。BPAP又はVPAPシステムは、第1の所定圧力(例えば、吸気気道陽圧又はIPAP)及び第1の所定圧力より低い第2の所定圧力(例えば、呼気気道陽圧又はEPAP)を輸送するように構成される。
【0033】
図2を参照すると、いくつかの実装形態に係るシステム100(図1)の一部が示されている。呼吸治療システム120のユーザ210及び同床者220は、ベッド230に位置付けられ、マットレス232に横たわっている。ユーザインタフェース124(例えば、顔面マスク)は、睡眠セッション中のユーザ210によって着用され得る。ユーザインタフェース124は、導管126を介して呼吸治療装置122に流体的に連結及び/又は接続される。次に、呼吸治療装置122は、導管126及びユーザインタフェース124を介して加圧空気をユーザ210に輸送して、ユーザ210の喉内の空気圧を上昇させ、それによって睡眠セッション中に気道が閉鎖し、及び/又は狭窄になることを防止することを支援する。呼吸治療装置122は、図2に示すようにベッド230に直接隣接するナイトテーブル240上、又はより一般的には、ベッド230及び/又はユーザ210にほぼ隣接する任意の表面又は構造上に配置することができる。
【0034】
図1に戻り、システム100の1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカー142、無線周波数(RF)受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、湿度センサ176、LiDARセンサ178又はそれらの組み合わせを含む。一般的に、1つ以上のセンサ130のそれぞれは、記憶装置114又は1つ以上の他の記憶装置により受信及び記憶されたセンサデータを出力するように構成される。
【0035】
1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、運動センサ138、マイクロフォン140、スピーカー142、RF受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、検体センサ174、湿度センサ176及びLiDARセンサ178のそれぞれを含むものとして図示及び記載されているが、より一般的には、1つ以上のセンサ130は、本明細書に記載及び/又は図示された各センサの任意の組み合わせ及び任意の個数を含み得る。
【0036】
1つ以上のセンサ130は、例えば、生理学的データ、音声データ又は両者を生成するのに使用することができる。1つ以上のセンサ130によって生成された生理学的データは、睡眠セッションにおけるユーザに関連する睡眠-覚醒信号と、1つ以上の睡眠関連パラメータとを決定するために制御システム110によって使用され得る。睡眠-覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、急速眼球運動(REM)段階、第1のノンレム段階(「N1」と称されることが多い)、第2のノンレム段階(「N2」と称されることが多い)、第3のノンレム段階(「N3」と称されることが多い)又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の睡眠状態を示すことができる。また、睡眠-覚醒信号には、ユーザが就床した時刻、ユーザが離床した時刻、ユーザが入眠しようとした時刻等を決定するために、タイムスタンプを付与することができる。睡眠-覚醒信号は、睡眠セッション中に、例えば、1秒につき1サンプル、30秒につき1サンプル、1分につき1サンプル等所定のサンプリングレートでセンサ130によって測定することができる。睡眠-覚醒信号に基づいて睡眠セッション中にユーザのために決定できる1つ以上の睡眠関連パラメータとしては、総就寝時間、総睡眠時間、入眠潜時、中途覚醒パラメータ、睡眠効率、断片化指数、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。典型的な睡眠セッション全体において、個人は、異なる睡眠周期を構築するパターンで4つの睡眠段階の間に移動する。完全な睡眠周期は、一般的に90~100分持続する。完全な睡眠セッションにおいて、個人は、通常、4~5つの睡眠期間を完了する。本明細書においてさらに詳細に記載されるように、睡眠段階と睡眠周期は睡眠図に描かれることができる。
【0037】
1つ以上のセンサ130によって生成された生理学的データ及び/又は音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザに関連する呼吸信号を決定することができる。呼吸信号は、一般的に、睡眠セッション中のユーザの呼吸又は気息を示す。呼吸信号は、例えば、呼吸速度、呼吸速度可変性、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベント数、イベントのパターン、呼吸治療装置122の圧力設定、又はそれらの任意の組み合わせを示し得る。イベントは、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合型無呼吸、低呼吸、マスク漏れ(例えば、ユーザインタフェース124からの漏れ)、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん発作、けいれん又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0038】
圧力センサ132は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る圧力データを出力する。いくつかの実装形態では、圧力センサ132は、呼吸治療システム120のユーザの呼吸(例えば、吸気及び/又は呼気)及び/又は周囲圧力を示すセンサデータを生成する空気圧センサ(例えば、気圧センサ)である。このような実装形態では、圧力センサ132は、呼吸治療装置122に連結又は統合することができる。圧力センサ132は、例えば、容量センサ、電磁センサ、圧電センサ、歪みゲージセンサ、光学センサ、電位差センサ又はそれらの任意の組み合わせであり得る。一例では、圧力センサ132は、ユーザの血圧を決定するために用いることができる。
【0039】
流量センサ134は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る流量データを出力する。いくつかの実装形態では、流量センサ134は、呼吸治療装置122からの空気流量、導管126を通る空気流量、ユーザインタフェース124を通る空気流量、又はそれらの任意の組み合わせを決定するために用いられる。このような実装形態では、流量センサ134は、呼吸治療装置122、ユーザインタフェース124又は導管126に連結又は統合することができる。流量センサ134は、例えば、回転流量計(例えば、ホール効果流量計)、タービン流量計、オリフィス流量計、超音波流量計、熱線センサ、渦流センサ、膜センサ、又はそれらの任意の組み合わせ等の質量流量センサであり得る。
【0040】
温度センサ136は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る温度データを出力する。いくつかの実装形態では、温度センサ136は、ユーザ210(図2)の中核体温、ユーザ210の皮膚温度、呼吸治療装置122から及び/又は導管126を通って流れる空気の温度、ユーザインタフェース124内の空気の温度、周囲温度又はそれらの任意の組み合わせを示す温度データを生成する。温度センサ136は、例えば、熱電対センサ、サーミスタセンサ、シリコンバンドギャップ温度センサもしくは半導体ベースのセンサ、抵抗温度検出器、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0041】
マイクロフォン140は、記憶装置114に記憶され、及び/又は制御システム110のプロセッサ112によって分析され得る音声データを出力する。マイクロフォン140によって生成された音声データは、睡眠セッション中の1つ以上の音(例えば、ユーザ210からの音)として再生可能である。本明細書においてさらに詳細に記載されるように、またマイクロフォン140からの音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザが経験したイベントを(例えば、制御システム110を使用して)識別することができる。マイクロフォン140は、呼吸治療装置122、ユーザインタフェース124、導管126又はユーザ装置170に連結又は統合することができる。
【0042】
スピーカー142は、一般的にシステム100のユーザ(例えば、図2のユーザ210)に聞こえることができる音波を出力する。スピーカー142は、例えば、目覚まし時計として使用するか、又は(例えば、イベントに応答して)ユーザ210に警告又はメッセージを再生するために使用することができる。いくつかの実装形態では、スピーカー142は、マイクロフォン140によって生成された音声データをユーザに伝えるために使用することができる。スピーカー142は、呼吸治療装置122、ユーザインタフェース124、導管126又はユーザ装置170に連結又は統合することができる。
【0043】
マイクロフォン140及びスピーカー142は、独立した装置として使用することができる。いくつかの実装形態では、マイクロフォン140及びスピーカー142は、例えばそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2018/050913号及び国際公開第2020/104465号に記載されるように、音響センサ141に組み合わせることができる。このような実装形態では、スピーカー142は、所定の間隔で音波を生成又は放出し、マイクロフォン140は、スピーカー142から放出された音波の反射を検出する。スピーカー142によって生成又は放出された音波は、ユーザ210又は同床者220(図2)の睡眠を妨げないように、人間の耳に聞こえない周波数(例えば、20Hz未満又は約18kHz超)を有することができる。制御システム110は、マイクロフォン140及び/又はスピーカー142からのデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ210(図2)の位置及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を決定することができる。
【0044】
いくつかの実装形態では、センサ130は、(i)マイクロフォン140と同じ又は類似し、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンと、(ii)マイクロフォン140と同じ又は類似するが、音響センサ141に統合された第1のマイクロフォンとは独立しかつ別体である第2のマイクロフォンと、を含む。
【0045】
RF送信機148は、所定の周波数及び/又は所定の振幅(例えば、高周波帯域内、低周波帯域内、長波信号、短波信号等)を有する電波を生成及び/又は放射する。RF受信機146は、RF送信機148から放射された電波の反射を検出し、このデータは、制御システム110によって分析されることにより、ユーザ210(図2)の位置及び/又は本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を決定することができる。RF受信機(RF受信機146及びRF送信機148又は別のRFペアのいずれか)は、制御システム110、呼吸治療装置122、1つ以上のセンサ130、ユーザ装置170、又はそれらの任意の組み合わせの間での無線通信に使用することもできる。RF受信機146及びRF送信機148は、独立した別体の要素として図1に示されるが、いくつかの実装形態では、RF受信機146及びRF送信機148は、RFセンサ147の一部として組み合わされる。いくつかのこのような実装形態では、RFセンサ147は、制御回路を含む。RF通信の具体的な形式は、WiFi、Bluetooth(登録商標)等であり得る。
【0046】
いくつかの実装形態では、RFセンサ147は、メッシュシステムの一部である。メッシュシステムの一例は、それぞれが移動式/可動式又は固定式であり得るメッシュノード、メッシュルータ及びメッシュゲートウェイを含み得るWiFiメッシュシステムである。このような実装形態では、WiFiメッシュシステムは、それぞれがRFセンサ147と同一又は類似のRFセンサを含む、WiFiルータ及び/又はWiFiコントローラ、及び1つ以上の衛星(例えば、アクセスポイント)を含む。WiFiルータ及び衛星は、WiFi信号を使用して互いに連続的に通信する。WiFiメッシュシステムは、物体又は人の移動が信号を部分的に妨害することによってルータと衛星との間のWiFi信号の変化(例えば、受信された信号強度の差)に基づいて運動データを生成するために使用することができる。運動データは、運動、呼吸、心拍数、歩行、転倒、挙動等又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。
【0047】
カメラ150は、記憶装置114に記憶できる1つ以上の画像(例えば、静止画像、動画像、熱画像又はそれらの組み合わせ)として再生可能な画像データを出力する。カメラ150からの画像データは、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために制御システム110により用いることができる。例えば、カメラ150からの画像データを使用して、ユーザの位置を識別し、ユーザ210がベッド230(図2)に就床する時刻を決定し、及びユーザ210がベッド230から離床する時刻を決定することができる。
【0048】
赤外線(IR)センサ152は、記憶装置114に記憶できる1つ以上の赤外線画像(例えば、静止画像、動画像、又はその両方)として再生可能な赤外線画像データを出力する。IRセンサ152からの赤外線データは、ユーザ210の温度及び/又はユーザ210の動きを含む、睡眠セッション中の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために使用することができる。IRセンサ152はまた、ユーザ210の存在、位置、及び/又は動きを測定する際に、カメラ150と組み合わせて使用することもできる。例えば、IRセンサ152は、約700nmと約1mmとの間の波長を有する赤外光を検出することができるのに対し、カメラ150は、約380nmと約740nmとの間の波長を有する可視光を検出することができる。
【0049】
PPGセンサ154は、例えば、心拍数、心拍数可変性、心周期、呼吸速度、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、推定血圧パラメータ、又はそれらの任意の組み合わせ等の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために使用できる、ユーザ210(図2)に関連付けられた生理学的データを出力する。PPGセンサ154は、ユーザ210によって着用され、ユーザ210が着用する衣類及び/又は布地に埋め込み、ユーザインタフェース124及び/又はその関連するヘッドギア(例えば、ストラップ等)に埋め込み及び/又は連結することができる。
【0050】
ECGセンサ156は、ユーザ210の心臓の電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態では、ECGセンサ156は、睡眠セッション中にユーザ210の一部の上又はその周囲に配置された1つ以上の電極を含む。ECGセンサ156からの生理学的データを使用して、例えば、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定することができる。
【0051】
EEGセンサ158は、ユーザ210の脳の電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態では、EEGセンサ158は、睡眠セッション中にユーザ210の頭皮の上又はその周囲に配置された1つ以上の電極を含む。EEGセンサ158からの生理学的データを使用して、例えば、睡眠セッション中の任意の所与の時間におけるユーザ210の睡眠状態を決定することができる。いくつかの実装形態では、EEGセンサ158は、ユーザインタフェース124及び/又はその関連するヘッドギア(例えば、ストラップ等)に統合することができる。
【0052】
容量センサ160、力センサ162及び歪みゲージセンサ164は、記憶装置114に記憶され、本明細書に記載の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために制御システム110によって使用され得るデータを出力する。EMGセンサ166は、1つ以上の筋肉により生み出された電気的活動に関連付けられた生理学的データを出力する。酸素センサ168は、(例えば、導管126内又はユーザインタフェース124における)ガスの酸素濃度を示す酸素データを出力する。酸素センサ168は、例えば、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、光学酸素センサ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130は、ガルバニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、酸素測定センサ又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0053】
検体センサ174は、ユーザ210の呼気中の検体の存在を検出するために使用することができる。検体センサ174によって出力されたデータは、記憶装置114に記憶され、ユーザ210の息における任意の検体の同一性及び濃度を決定するために制御システム110により用いることができる。いくつかの実装形態では、検体センサ174は、ユーザ210の口の付近に配置されて、ユーザ210の口から吐き出された息に含まれる検体を検出する。例えば、ユーザインタフェース124がユーザ210の鼻及び口を覆う顔面マスクである場合、検体センサ174は、顔面マスク内に配置されてユーザ210の口の呼吸を監視することができる。他の実装形態では、ユーザインタフェース124が鼻マスク又は鼻枕マスクである場合に、検体センサ174は、ユーザ210の鼻の付近に配置されてユーザの鼻からの呼気中の検体を検出することができる。別の実装形態では、ユーザインタフェース124が鼻マスク又は鼻枕マスクである場合、検体センサ174は、ユーザ210の口の付近に配置することができる。この実装形態では、検体センサ174は、ユーザ210の口から不用意に任意の空気が漏れているか否かを検出するために使用することができる。いくつかの実装形態では、検体センサ174は、炭素系化学物質又は化合物を検出するために使用することができる揮発性有機化合物(VOC)センサである。いくつかの実装形態では、検体センサ174は、ユーザ210が鼻又は口で呼吸しているか否かを検出するために使用することもできる。例えば、ユーザ210の口の付近又は(ユーザインタフェース124が顔面マスクである実装形態では)顔面マスク内に配置された検体センサ174によって出力されたデータにより検体の存在が検出された場合、制御システム110は、ユーザ210が口で呼吸しているという指標としてこのデータを使用することができる。
【0054】
湿度センサ176は、記憶装置114に記憶され、制御システム110によって使用され得るデータを出力する。湿度センサ176は、ユーザを取り囲む様々な領域(例えば、導管126又はユーザインタフェース124の内部、ユーザ210の顔付近、導管126とユーザインタフェース124との接続部付近、導管126と呼吸治療装置122との接続部付近等)における湿度を検出するために使用することができる。したがって、いくつかの実装形態では、湿度センサ176をユーザインタフェース124又は導管126内に配置又は統合して、呼吸治療装置122からの加圧空気の湿度を監視することができる。他の実装形態では、湿度センサ176は、湿度レベルを監視する必要がある任意の領域付近に配置される。湿度センサ176はまた、例えば寝室内の空気等、ユーザ210を取り囲む周囲環境の湿度を監視するために用いることができる。
【0055】
光検出及び測距(LiDAR)センサ178は、深度感知に使用することができる。このような光学センサ(例えば、レーザセンサ)は、物体を検出し、周囲環境(例えば、生活空間)の3次元(3D)マップを作成するために使用することができる。LiDARは、一般的に、パルスレーザを利用して飛行時間を計測する。LiDARは、3Dレーザスキャンとも呼ばれる。このようなセンサの一使用例では、LiDARセンサ166を有する固定又はモバイル機器(スマートフォン等)は、センサから5メートル以上離れた領域を測定し、マッピングすることができる。例えば、LiDARデータは、電磁式RADARセンサによって推定された点群データと融合することができる。LiDARセンサ178はまた、人工知能(AI)を使用して、(RADARに対して高反射性であり得る)ガラス窓等、RADARシステムに問題を引き起こす可能性のある空間内の地物を検出し分類することにより、RADARシステムのジオフェンスを自動的に作成し得る。例えば、LiDARはまた、人の身長、及び人が座ったとき、倒れたとき等に生じる身長の変化を推定するために使用することができる。LiDARは、環境の3Dメッシュ表現を形成するために使用することができる。さらなる用途では、電波が通過する固体表面(例えば電波透過性材料)に対して、LiDARがそのような表面で反射し得ることにより、異なるタイプの障害物の分類が可能となる。
【0056】
図1では別々に示されるが、1つ以上のセンサ130の任意の組み合わせを、呼吸治療装置122、ユーザインタフェース124、導管126、加湿タンク129、制御システム110、ユーザ装置170(例えば、スマートフォン等のスマートデバイス)又はそれらの任意の組み合わせを含むシステム100の構成要素のうちの任意の1つ以上に統合及び/又は連結することができる。例えば、マイクロフォン140及び/又はスピーカー142は、ユーザ装置170に統合されるか及び/又はユーザ装置170に連結され、そして圧力センサ130及び/又は流量センサ132は、呼吸治療装置122に統合されるか及び/又は呼吸治療装置122に連結される。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つは、呼吸治療装置122、制御システム110又はユーザ装置170に連結されず、睡眠セッション中のユーザ210に概ね隣接して配置される(例えば、ユーザ210の一部の上に配置されるか又は接触する、ユーザ210によって着用される、ナイトスタンドに連結されるか又はその上に配置される、マットレスに連結される、天井に連結される、等)。
【0057】
ユーザ装置170(図1)は、表示装置172を含む。ユーザ装置170は、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ等のモバイル機器であり得る。代替的に、ユーザ装置170は、外部センシングシステム、テレビ(例えば、スマートテレビ)又は別のスマートホーム装置(例えば、スマートスピーカー、例えばGoogle HomeTM、Google NestTM、Amazon EchoTM、Amazon Echo ShowTM、AlexaTMイネーブルデバイス等)であり得る。いくつかの実装形態では、ユーザ装置は、ウェアラブル装置(例えば、スマートウォッチ)である。表示装置172は、一般的に、静止画像、動画像又はその両方を含む画像を表示するために使用される。いくつかの実装形態では、表示装置172は、画像を表示すように構成されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)及び入力インタフェースを含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)として機能する。表示装置172は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイ等であり得る。入力インタフェースは、例えば、タッチスクリーン又はタッチセンサ式基板、マウス、キーボード、又はユーザ装置170と対話する人間のユーザによって行われた入力をセンシングするように構成される任意のセンサシステムであり得る。いくつかの実装形態において、1つ以上のユーザデバイスは、システム100によって使用される、及び/又はシステム100に含まれることができる。
【0058】
動き追跡器180は、一般的に、ユーザに関連する動き尺度を決定するための生理学的データの生成を容易にするために使用される。動き尺度は、例えば、歩数、走行距離、登る歩数、身体動きの持続時間、身体動きのタイプ、身体動きの強度、立位にかかる時間、呼吸速度、平均呼吸速度、休憩呼吸速度、最大呼吸速度、呼吸速度可変性、心拍数、平均心拍数、休憩心拍数、最大心拍数、心拍数可変性、燃焼したカロリー数、血酸素飽和度、皮膚電気活動(皮膚コンダクタンス又は皮膚電気反応とも呼ばれる)、ユーザの位置、ユーザの姿勢、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。動き追跡器180は、運動センサ138(例えば、1つ以上の加速度計及び/又はジャイロスコープ)、PPGセンサ154及び/又はECGセンサ156等の1つ以上の本明細に記載のセンサ130を含む。
【0059】
いくつかの実装形態では、動き追跡器180は、スマートウォッチ、リストバンド、指輪又はパッチ等のユーザによって着用され得るウェアラブル装置である。例えば、図2を参照すると、動き追跡器180は、ユーザ210の腕に着用される。動き追跡器180は、ユーザが着用する衣類又は着物に連結されるか、又は連結され得る。代替的に、動き追跡器180はまた、ユーザ装置170に連結されるか、又は統合され得る(例えば、同一筐体内に配置される)。より一般的には、動き追跡器180は、制御システム110、記憶装置114、呼吸治療システム120、及び/又はユーザ装置170に通信可能に連結されるか、又は物理的に統合され得る(例えば、筐体内に配置される)。
【0060】
制御システム110及び記憶装置114は、システム100の独立した別体の構成要素として記載され図1に示されるが、いくつかの実装形態では、制御システム110及び/又は記憶装置114は、ユーザ装置170及び/又は呼吸治療装置122に統合される。代替的に、いくつかの実装形態では、制御システム110又はその一部(例えば、プロセッサ112)は、クラウドに配置し(例えば、サーバに統合され、モノのインターネット(IoT)装置に統合され、クラウドに接続され、エッジクラウド処理を受ける)、1つ以上のサーバ(例えば、リモートサーバ、ローカルサーバ等、又はそれらの任意の組み合わせ)に配置することができる。
【0061】
システム100は、上記構成要素の全てを含むものとして示されるが、本開示の実装形態によれば、生理学的データを生成し、ユーザのために推奨される通知又は動作を決定するためのシステムには、より多くの又はより少ない構成要素を含んでもよい。例えば、第1の代替システムは、制御システム110、記憶装置114、及び1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つを含む。別の例として、第2の代替システムは、制御システム110、記憶装置114、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つ、及びユーザ装置170を含む。さらに別の例として、第3の代替システムは、制御システム110、記憶装置114、呼吸治療システム120、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つ、及びユーザ装置170を含む。したがって、本明細書に示され記載された構成要素の任意の一部を使用し、及び/又は1つ以上の他の構成要素と組み合わせて、様々なシステムを形成することができる。
【0062】
本明細書で使用されるように、睡眠セッションは、例えば、初期開始時間及び終了時間に基づいて様々な方法で定義されることができる。図3を参照すると、睡眠セッションの例示的なタイムライン300が示されている。タイムライン300は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(t睡眠)、第1の微小覚醒MA及び第2の微小覚醒MA、覚醒時刻(t覚醒)及び起床時間(t起床)を含む。
【0063】
本明細書で使用されるように、睡眠セッションは、様々な方法で定義されることができる。例えば、睡眠セッションは、初期開始時間及び終了時間で定義されることができる。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、ユーザが睡眠に入っている持続時間、即ち、睡眠セッションが開始時間及び終了時間を有し、睡眠セッション中にユーザが終了時間まで覚醒する。つまり、ユーザが覚醒している任意の時間帯は、睡眠セッションに含まれていない。睡眠セッションの第1の定義によれば、ユーザが同じ夜で複数回覚醒及び入眠した場合、覚醒間隔によって分離された各睡眠間隔は、睡眠セッションであるものとする。
【0064】
代替的に、いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、開始時間及び終了時間を有し、睡眠セッションにおいて、ユーザが覚醒した連続持続時間が覚醒持続時間閾値よりも低いものであれば、ユーザは覚醒することができるが、睡眠セッションは終了しない。覚醒持続時間閾値は、睡眠セッションのパーセンテージとして定義されることができる。覚醒持続時間閾値は、例えば、睡眠セッションの約20%、睡眠セッション持続時間の約15%、睡眠セッション持続時間の約10%、睡眠セッション持続時間の約5%、睡眠セッション持続時間の約2%等、又は任意の他の閾値パーセントであり得る。いくつかの実装形態では、覚醒持続時間閾値は、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分、約2分等の固定時間量、又は任意の他の時間量として定義される。
【0065】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、夜にユーザが最初に就床した時間と、翌朝ユーザが最後に起床した時間との間の全時間として定義される。換言すれば、睡眠セッションは、ユーザが初めて入眠したいとき(例えば、ユーザが就眠試行前にまずテレビを見たり、スマートフォンを使用したりする意志がない場合)から始まり(現在の夜の第1の時間(例えば、午後10:00)の第1の日付(例えば、2020年1月6日月曜日)と呼ばれてもよい)、ユーザが翌朝睡眠に戻りたくなくて初めてベッドから離床する時(翌朝の第2の時間(例えば、午前7:00)の第2の日付(例えば、2020年1月7日火曜日)と呼ばれてもよい)まで終了する期間として定義することができる。
【0066】
いくつかの実装形態では、ユーザは、睡眠セッションの開始を手動で定義することができるか、及び/又は睡眠セッションを手動で終了することができる例えば、ユーザは、(例えば、クリック又はタップによって)ユーザ装置170(図1)の表示装置172に表示される1つ以上のユーザ選択可能要素を選択して、睡眠セッションを手動で開始又は終了することができる。
【0067】
図3を参照すると、睡眠セッションの例示的なタイムライン300が示されている。タイムライン300は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時刻(t睡眠)、第1の微小覚醒MA及び第2の微小覚醒MA、覚醒A、覚醒時刻(t覚醒)及び起床時間(t起床)を含む。
【0068】
就床時刻tベッドは、ユーザの入眠前の(例えば、ユーザがベッドに横たわったり座ったりする時)初期就床(例えば、図2におけるベッド230)の時間に関連付けられる。就床時刻tベッドは、ユーザが睡眠のために就床する時刻と、ユーザが他の理由で(例えば、TVを見る)就床する時刻との間で区別するために、ベッド閾値持続時間に基づいて識別することができる。例えば、床閾値持続時間は、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間等であり得る。本明細書では、ベッドを参照して就床時刻tベッドを説明するが、より一般的には、就床時刻tベッドは、ユーザが最初に任意の位置(例えば、寝椅子、椅子、寝袋等)に入って寝る時間を指すことができる。
【0069】
入眠時刻(GTS)は、ユーザが就床(tベッド)してから最初に就眠試行の時間に関連付けられる。例えば、就床した後、ユーザは、就眠試行前にリラックスするために1つ以上の活動をすることができる(例えば、本を読む、テレビを見る、音楽を聴く、ユーザ装置170を使う等)。初期睡眠時刻(t睡眠)は、ユーザが初期入眠時間である。例えば、初期睡眠時刻(t睡眠)は、ユーザが最初に第1のノンレム睡眠段階に入る時刻であり得る。
【0070】
覚醒時刻t覚醒は、ユーザが睡眠に戻らずに覚醒する(例えば、ユーザが夜中に覚醒し、睡眠に戻るのとは逆)時間に関連付けられる時刻である。ユーザは、初期入眠後に、短い持続時間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分等)を有する複数の無意識微小覚醒(例えば、微小覚醒MA及びMA)のうちの1つを経験することができる。覚醒時刻t覚醒とは反対に、ユーザは、微小覚醒MA及びMA)のうちのそれぞれ後に睡眠に戻る。同様に、ユーザは、最初入眠後に1つ以上の意識的覚醒(例えば、覚醒A)(例えば、起きて浴室に行く、子供やペットの世話をする、睡眠歩行等)を有することができる。しかしながら、ユーザは、覚醒A後に睡眠に戻る。したがって、覚醒時刻t覚醒は、例えば、覚醒閾値持続時間(例えば、ユーザが少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間等覚醒した)に基づいて定義することができる。
【0071】
同様に、離床時刻t離床は、ユーザがベッドから離床して、睡眠セッションを終了する(例えば、ユーザが夜間に起きて浴室に行く、子供やペットの世話をする、睡眠歩行等とは逆)時間に関連付けられる。換言すれば、離床時刻t離床は、ユーザが次の睡眠期間(例えば、次の夜)まで、ベッドに戻らずに最後にベッドから離床する時刻である。したがって、離床時刻t離床は、例えば、離床閾値持続時間(例えば、ユーザがすでに少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間等をベッドから離床した)に基づいて定義されることができる。第2の後続睡眠セッションの就床時刻tベッド時間は、離床閾値持続時間(例えば、ユーザがすでに少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間等をベッドから離床した)に基づいて定義されることもできる。
【0072】
上述したように、初期tベッドと最終t離床との間の夜間では、ユーザが覚醒して、ベッドから1回以上離床することができる。いくつかの実装形態では、最終覚醒時刻t覚醒及び/又は最終離床時刻t離床は、イベント(例えば、入眠又は離床)後の所定の閾値持続時間に基づいて識別又は決定される。このような閾値持続時間は、ユーザカスタマイズのものであってもよい。夜に就床し、その後朝覚醒及び離床する標準ユーザの場合、約12~約18時間の任意の期間(ユーザ覚醒(t覚醒)又は離床(t離床)とユーザ就床(tベッド)、入眠(tGTS)又は睡眠(t睡眠)との間)を使用することができる。ベッドでより長い期間をかかるユーザの場合、より短い閾値期間(例えば、約8時間~約14時間)を使用することができる。閾値期間は、ユーザの睡眠動きを監視するシステムに基づいて初期的に選択及び/又は後で調整されてもよい。
【0073】
総就床時間(TIB)は、就床時刻tベッドと離床時刻t離床との間の持続時間である。総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻と覚醒時刻との間の持続時間に関連付けられ、それらの間の任意の意識的又は無意識的な覚醒及び/又は微小覚醒を含まない。一般的に、総睡眠時間(TST)は、総就床時間(TIB)よりも短い(例えば、1分短い、10分短い、1時間短い等)。例えば、図3のタイムライン300を参照すると、総睡眠時間(TST)は、初期睡眠時刻t睡眠と覚醒時刻t覚醒との間を跨いでいるが、第1の微小覚醒MA、第2の微小覚醒MA及び覚醒Aの持続時間を含まない。図に示すように、この例では、総睡眠時間(TST)は、総就床時間(TIB)よりも短い。
【0074】
いくつかの実装形態では、総睡眠時間(TST)は、持続総睡眠時間(PTST)として定義されることができる。このような実装形態では、持続総睡眠時間は、所定の初期部分又は第1のノンレム段階(例えば、浅い睡眠段階)の期間を含まない。例えば、所定の初期部分は、約30秒~約20分、約1分~約10分、約3分~約5分等であり得る。持続総睡眠時間は、持続睡眠の尺度であり、睡眠-覚醒睡眠図を滑らかにする。例えば、ユーザが最初に入眠したとき、ユーザは、第1のノンレム段階に非常に短い時間(例えば、約30秒)にあり、次に、覚醒段階の短い期間(例えば、1分)に戻り、その後、第1のノンレム段階に戻ることができる。この例では、持続総睡眠時間は、第1のノンレム段階の第1の例(例えば、約30秒)を含まない。
【0075】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tベッド)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するもの、即ち、総就床時間(TIB)として定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(t睡眠)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、総睡眠時間(TST)として定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、入眠時刻(tGTS)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するものとして定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、就床時刻(tベッド)から始まり、覚醒時刻(t覚醒)で終了するものとして定義される。いくつかの実装形態では、睡眠セッションは、初期睡眠時刻(t睡眠)から始まり、離床時刻(t離床)で終了するものとして定義される。
【0076】
図4を参照すると、いくつかの実装形態に係る、タイムライン300(図3)に対応する例示的な睡眠図400が示されている。図に示すように、睡眠図400は、睡眠-覚醒信号401と、覚醒段階軸410と、REM段階軸420と、浅い睡眠段階軸430と、深い睡眠段階軸440と、を含む。睡眠-覚醒信号401と軸410~440のうちの1つとの間の交差は、睡眠セッション中に任意の所与の時間の睡眠段階を示す。
【0077】
睡眠-覚醒信号401は、ユーザに関連する生理学的データ(例えば、本明細書に記載のセンサ130のうちの1つ以上によって生成されたもの)に基づいて生成することができる。睡眠-覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、REM段階、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の睡眠状態を示すことができる。いくつかの実装形態では、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階のうちの1つ以上は、グループ化され、浅い睡眠段階又は深い睡眠段階に分類されることができる。例えば、浅い睡眠段階は、第1のノンレム段階を含むことができ、深い睡眠段階は、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階を含むことができる。図4に示される睡眠図400は、浅い睡眠段階軸430と深い睡眠段階軸440とを含むが、いくつかの実装形態では、睡眠図400は、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階及び第3のノンレム段階のうちのそれぞれに用いられる軸を含むことができる。他の実装形態では、睡眠-覚醒信号は、呼吸信号、呼吸速度、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、又はそれらの任意の組み合わせを示すことができる。睡眠-覚醒信号を記述する情報は、記憶装置114に記憶されることができる。
【0078】
睡眠図400は、入眠潜時(SOL)、睡眠後覚醒開始(WASO)、睡眠効率(SE)、睡眠断片化指数、睡眠ブロック、又はそれらの任意の組み合わせ等の1つ以上の睡眠関連パラメータを決定するために使用することができる。
【0079】
入眠潜時(SOL)は、入眠時刻(tGTS)と初期睡眠時刻(t睡眠)との間の時間として定義される。換言すれば、入眠潜時は、ユーザが初期就眠試行後、実際の入眠にかかる時間を示す。いくつかの実装形態では、入眠潜時は、持続入眠潜時(PSOL)として定義される。持続入眠潜時と入眠潜時の異なる点は、持続入眠潜時が入眠時刻と所定量の持続睡眠との間の持続時間として定義されていることである。いくつかの実装形態では、所定量の持続睡眠は、例えば、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内に少なくとも10分寝り、覚醒し、第1のノンレム段階及び/又はその間の移動が2分を超えないことを含むことができる。換言すれば、持続入眠潜時は、例えば、8分まで、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内で持続睡眠することが必要である。他の実装形態では、所定量の持続睡眠は、初期睡眠時間後の第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM段階内の少なくとも10分の睡眠を含むことができる。このような実装形態では、所定量の持続睡眠は、任意の微小覚醒(例えば、10秒の微小覚醒の場合、10分の期間を再開しない)を含まなくてもよい。
【0080】
睡眠後覚醒開始(WASO)は、初期睡眠時間と覚醒時刻との間のユーザの覚醒の総持続時間に関連付けられる。したがって、睡眠後覚醒開始は、意識的であっても無意識であっても、睡眠セッション中の一時的及び微小覚醒(例えば、図4に示される微小覚醒MAとMA)を含む。いくつかの実装形態では、睡眠後覚醒開始(WASO)は、所定の長さ(例えば、10秒より大きい、30秒より大きい、60秒より大きい、約5分より大きい、約10分より大きい等)の覚醒を有する総持続時間のみを含む持続睡眠後覚醒開始(PWASO)として定義される。
【0081】
睡眠効率(SE)は、総就床時間(TIB)と総睡眠時間(TST)との比率として決定される。例えば、総就床時間が8時間であるとともに、総睡眠時間が7.5時間である場合、この睡眠セッションの睡眠効率は93.75%である。睡眠効率は、ユーザの睡眠衛生を示す。例えば、ユーザが睡眠前に就床し、他の活動(例えば、テレビを見る)に時間をかけた場合、睡眠効率は低下する(例えば、ユーザはペナルティが科される)。いくつかの実装形態では、睡眠効率(SE)は、総就床時間(TIB)及びユーザ就眠試行総時間に基づいて算出することができる。このような実装形態では、ユーザ就眠試行の総時間は、入眠(GTS)時刻と本明細書に記載の離床時刻との間の持続時間として定義される。例えば、総睡眠時間が8時間(例えば、午後11時~午前7時)で、入眠時刻が午後10:45で、離床時刻が午前7:15である場合、このような実装形態では、睡眠効率パラメータは約94%と計算される。
【0082】
断片化指数は、睡眠セッション中の覚醒の数に少なくとも部分的に基づいて決定される。例えば、ユーザが2つの微小覚醒(例えば、図4に示される微小覚醒MAと微小覚醒MA)を有する場合、断片化指数を2と表すことができる。いくつかの実装形態では、断片化指数は、整数の所定範囲(例えば、0~10)の間で変倍する。
【0083】
睡眠ブロックは、任意の睡眠段階(例えば、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階及び/又はREM)と覚醒段階との間の過渡に関連付けられる。睡眠ブロックは、例えば30秒の解像度で計算することができる。
【0084】
いくつかの実装形態では、本明細に記載のシステム及び方法は、睡眠-覚醒信号を含む睡眠図を生成又は分析して、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時間(t睡眠)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MAとMA)、覚醒時刻(t覚醒)、離床時刻(t離床)、又はそれらの任意の組み合わせを、睡眠図の睡眠-覚醒信号に少なくとも部分的に基づいて決定又は認識することを含むことができる。
【0085】
他の実装形態では、1つ以上のセンサ130は、就床時刻(tベッド)、入眠時刻(tGTS)、初期睡眠時間(t睡眠)、1つ以上の第1の微小覚醒(例えば、MAとMA)、覚醒時刻(t覚醒)、離床時刻(t離床)、又はそれらの組み合わせを決定又は認識することに使用され、さらに睡眠セッションを定義することができる。例えば、運動センサ138、マイクロフォン140、カメラ150又はそれらの組み合わせ等によって生成されたデータに基づいて就床時刻tベッドを決定することができる。例えば、運動センサ138からのデータ(例えば、ユーザが移動していないことを示すデータ)、カメラ150からのデータ(例えば、ユーザが移動していないことを示すデータ、及び/又はユーザがランプをオフにしたことを示すデータ)、マイクロフォン140からのデータ(例えば、TVオフを示すデータ)、ユーザ装置170からのデータ(例えば、ユーザがユーザ装置170を使用しないことを示すデータ)、圧力センサ132及び/又は流量センサ134からのデータ(例えば、ユーザが呼吸治療装置122をオンにすることを示すデータ、ユーザがユーザインタフェース124を着用することを示すデータ等)、又はそれらの任意の組み合わせに基づいて入眠時刻を決定することができる。
【0086】
図5を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係る、ユーザの睡眠尺度を決定するための方法500が開示される。方法500の1つ以上のステップ又は態様は、本明細書に記載のシステム100の任意の要素又は態様を使用して実現することができる。
【0087】
方法500のステップ502は、睡眠セッションを使用するユーザに関連する生理学的データを生成することを含む。本明細に記載の1つ以上のセンサ130(図1)によって生理学的データを生成し、そこから生理学的データを受信することができる。受信した生理学的データは、移動、心拍数、心拍数可変性、心臓波形、呼吸速度、呼吸速度可変性、呼吸深度、湿気量、吸気振幅、呼気振幅、吸気量、呼気量、吸気対呼気比、発汗、温度(例えば、体温、中核体温、表面温度等)、血中酸素、フォトプレチスモグラム、脈拍伝導時間、血圧、又はそれらの任意の組み合わせ等の1つ以上の生理学的パラメータを示すことができる。生理学的データは、例えば、本明細に記載の電子インタフェース119及び/又はユーザ装置170によって、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つから受信し、記憶装置114(図1)に記憶することができる。生理学的データは、電子インタフェース119又はユーザ装置170によって、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つから直接的又は間接的(例えば、1つ以上の媒介を利用して)に受信することができる。
【0088】
いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つは、睡眠セッション外で、ユーザに関連する生理学的データ、例えば、動き関連生理学的データを生成する。例えば、生理学的データは、本明細書で説明したように、睡眠セッション中に呼吸治療システム120、ユーザ装置170、又は動き追跡器180に連結又は統合された第1のセンサによって生成又は取得することができ、動き関連生理学的データ等の追加の生理学的データは、睡眠セッション外で、第1のセンサ、又はユーザ装置170又は動き追跡器180に連結又は統合された第2のセンサによって生成又は取得することができる。ユーザは、通常の日常ルーチン中にユーザ装置170又は動き追跡器180をオンにすることができ、ユーザ装置170又は動き追跡器180は、ユーザが覚醒しているときに生理学的データを生成することができる。動き関連生理学的データは、歩数、走行距離、登る歩数、身体動きの持続時間、身体動きのタイプ、身体動きの強度、立位にかかる時間、呼吸速度、平均呼吸速度、休憩呼吸速度、呼吸速度可変性、心拍数、平均心拍数、休憩心拍数、最大心拍数、心拍数可変性、燃焼したカロリー数、血酸素飽和度、皮膚電気活動(皮膚コンダクタンス又は皮膚電気反応とも呼ばれる)、又はそれらの任意の組み合わせ等のユーザに関連する動き尺度を決定するために使用することができる。いくつかの実装形態では、ユーザ装置170又は動き追跡器180電子機器は、睡眠セッション中に生理学的データを生成するために使用することができる。いくつかの実装形態では、追加的又は代替的に、呼吸治療システム120は、生理学的データを生成するために使用することができる。
【0089】
方法500のステップ504は、ステップ502で生成された生理学的データを処理して、治療中データと治療外データとを区別することを含む。治療中データは、ユーザが呼吸治療システム120に連結されて(即ち、ユーザは導管を介して呼吸治療システムに接続される呼吸治療装置のユーザインタフェースを着用して)、且つ呼吸治療システム120がユーザの気道に加圧空気を供給する時に生成される生理学的データである。一方、治療外データは、ユーザが睡眠中にあるとともに、呼吸治療システム120がユーザの気道に加圧空気を供給しない(その間、ユーザは呼吸治療システム120に連結するか、連結しなくてもよい)時に生成される生理学的データである。治療中データは、一般に、ユーザが呼吸治療システム120を使用しており、呼吸及び/又は睡眠関連障害(例えば、OSA、SDB等)を治療するための所定の治療に準拠している時に生成されるものである。治療外データは、そのシーン外で生成される。例えば、ユーザが睡眠中であるが、呼吸治療システム120を使用しない時に生成される生理学的データは、治療外データとする。いくつかの実装形態では、治療外データは、ユーザが覚醒している時に生成される生理学的データを含むことができる。
【0090】
いくつかの実装形態では、睡眠セッションにおいて、システム100は、治療中データ及び治療外データの両方を生成することができる。睡眠セッションでは、1つ以上の期間を有することができ、ここで、ユーザは、その睡眠関連又は呼吸障害を治療するために呼吸治療システム120を使用しない。一例では、ユーザは、呼吸治療システム120と連結し、その就寝時間に入眠し、且つ夜間で覚醒して浴室へ行くことができる。ユーザが浴室へ行った後にベッドに戻ると、呼吸治療システム120の使用を忘れたり、使用しないことを決めたりする可能性がある。この例では、睡眠セッションの第1の部分の間では、ユーザは呼吸治療システム120を使用し、そして睡眠セッションの第2の部分の間では、ユーザは呼吸治療システム120の使用を忘れたり、使用しないことを決めたりする。したがって、システム100は、睡眠セッションの第1の部分の間に治療中データを生成するとともに、睡眠セッションの第2の部分の間に治療外データを生成することができる。睡眠セッションの2つの部分の文脈で説明されているが、睡眠セッションの2つ以上の部分まで延長することができ、これは、ユーザがユーザインタフェース124を何回着脱することによるものである。
【0091】
呼吸治療システム120を使用することは、呼吸及び/又は睡眠関連障害に関する影響に対する有効な治療である。一部のユーザにとっては、呼吸治療システム120は、顕著な積極的な効果をもたらすが、一部のユーザは、治療中の比較的微妙な積極的な効果が気にならない可能性がある。積極的な効果が明らかでない場合、ユーザは、呼吸治療システム120を勤勉に使用しない可能性がある。例えば、積極的な効果が気にならないユーザは、夜中に覚醒し、睡眠戻し時に呼吸治療システム120を使用しない可能性がある。場合によっては、ユーザは、一夜又は複数の夜をスキップする呼吸治療システム120の使用をいっそ忘れてしまう可能性がある。ユーザは、呼吸治療システム120が良好な睡眠を得るために必要であるものではないと感じ、勤続度が時間の経過に応じて弱まる場合もある。1つ以上のセンサ130は、ユーザが呼吸治療システム120を使用するだけでなく、ユーザが呼吸治療システム120を使用しないときにユーザを監視することができる。好ましくは、ユーザが呼吸治療システム120を使用しないか、又は呼吸治療システム120を部分的に使用する睡眠セッション中に、ユーザの睡眠の質を監視する方法が有利である。したがって、ユーザに関連する動き追跡器180及び/又はユーザ装置170は、呼吸治療システム120がオフにされても、又はユーザから分離された場合にも生理学的データを蓄積し続ける。
【0092】
呼吸治療システム120はまた、ユーザ210が経験した1つ以上の併存疾患に関連する第2の生理学的データを生成することができる。この第2の生理学的データは、呼吸治療システム120に統合及び/又は連結された1つ以上のセンサ、例えば、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136によって生成されることができる。追加的又は代替的に、この第2の生理学的データは、動き追跡器180及び/又はユーザ装置170に含まれる少なくとも1つ以上のセンサ、例えば、センサ130又は任意の他の適切なセンサによって生成されることができる。第2の生理学的データは、例えば、ユーザ、医師又は介護者からの主観的入力に基づいて生成することができることも想定される。いくつかの実装形態では、1つ以上のセンサは、ユーザの血圧を測定及び/又は監視するための血圧センサを含むことができる具体的な例としては、睡眠セッション中にユーザの血圧を測定及び/又は監視するための夜間血圧センサが挙げられる。血圧センサは、例えば、収縮期血圧及び/又は拡張期血圧を測定することができる。血圧センサは、ユーザが着用可能な膨張式アームバンド及び圧力センサを含む血圧計であり得る。血圧センサは、高血圧等の併存疾患を監視することができる。血圧センサは、制御システム110、記憶装置114、呼吸治療システム120、ユーザ装置170、動き追跡器180、及び/又はスマートフォン等のスマートデバイスと通信可能に連結及び/又は物理的に統合されてもよい(例えば、筐体内に)。実装形態では、1つ以上の併存疾患は、フォトプレチスモグラム(PPG)センサ、(ECG)センサ等の1つ以上の三段センサによって検出及び/又は監視することができる冠状動脈疾患、不整脈等の心血管疾患を含む。実装形態では、この1つ以上のセンサは、ユーザの血液レベルを測定及び/又は監視するための血糖センサを含むことができる。具体的な例としては、ユーザによって皮膚中に又は皮膚上に着用することができ、通常、間質液におけるグルコースレベルを血糖レベルの指示として所定の時間間隔で測定する連続グルコースモニタリングセンサが挙げられる。このような1つ以上のセンサによって検出及び/又は監視することができる様々な併存疾患としては、糖尿病等の代謝障害が挙げられる。さらなる実装形態では、1つ以上のセンサは、血液酸素飽和度(SpO2)センサ、肺活量計、検体センサ(例えば、呼気における二酸化炭素、一酸化窒素(NO)、及び/又は一酸化炭素(CO)を測定及び/又は監視するために使用される)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。このような1つ以上の三段センサによって検出及び/又は監視することができる1つ以上の併存疾患としては、COPD及び喘息等の呼吸疾患が挙げられる。1つ以上の併存疾患に関連する第2の生理学的データの生成は、ユーザ、治療医師及び/又は他の関係者が、1つ以上の併存疾患の発生率及び/又は進行を、1つ以上の睡眠セッション中にユーザに関連する生理学的データに関連付けることを可能にし、及び/又は1つ以上の併存疾患の発生率及び/又は進行を、呼吸治療に対するユーザの使用に関連付けることを可能にする。このようにして、1つ以上の併存疾患の発生率、進行(例えば、改善、悪化又は変化なし)、又は発生率及び進行の両方は、ユーザインタフェース124がユーザと係合している時、及びユーザインタフェース124がユーザと係合していない時に監視されて得た睡眠の質、治療遵从等のパラメータに関連付けられることができる。また、本明細書で開示される睡眠スコア又は治療スコアは、1つ以上の併存疾患に関連する生理学的データを入力とすることを含むことができ、そして呼吸治療システム120の使用又は不使用が1つ以上の併存疾患の発生率及び/又は進行にどのように影響を与えるかを出力とすることを含むこともできる。
【0093】
いくつかの実装形態では、ステップ504において、マイクロフォン140によって生成された音声データに基づいて、治療中データと治療外データとを区別することができる。呼吸治療システム120が動作するとき、呼吸治療システム120からのノイズは、ユーザの寝室又は睡眠領域における環境ノイズの特徴を変化させる。呼吸治療システム120からのノイズは、運動音調、呼吸治療システム120の加圧空気生成によるホワイトノイズ等を含み得る。本開示のいくつかの実装形態によれば、これらの音声アーチファクトの一例は、図6Aに示されている。図6Aでは、呼吸治療システム120がオンにすると、レベル602に示されるように、環境ノイズは比較的高いレベルにあるが、オフになると、レベル604に示されるように、環境ノイズは比較的低いレベルにある。図6Aでは、x軸は時間を表し、y軸は周波数を表す。いくつかの実装形態では、マイクロフォン140からの音声データが、比較的高いノイズフロア(例えば、レベル604)よりも低いノイズフロアを示す時に得られた生理学的データは、治療外データとして分類される。
【0094】
いくつかの実装形態では、マイクロフォン140からの音声データが、比較的高いノイズフロア(例えば、レベル602)を示す時に生理学的データが得られる場合、治療中のデータをこのように分類することができる。ユーザインタフェースが除去された後、呼吸治療装置は、オフにする前に自動的に閉鎖(又は待機に入る)することができ、又は流れ発生器からの空気流を減少させることができ(一般に、軽いブロー形式で、ユーザインタフェースが顔に配置されると、治療圧力まで上昇されることができる)、これらの動作は、開示されたシステムによって検出可能な区分的なノイズを生成する。実装形態では、マイクロフォン140によって生成された音声データに基づいて治療中データと治療外データとを区別又はさらに区別することができ、この音声データは、ユーザインタフェースを着用しているときのユーザの呼吸を指示し、即ちユーザインタフェースを通過した呼吸が、ユーザインタフェースなしに大気への呼吸とは異なる。他の実装形態では、マイクロフォン140によって生成された音声データに基づいて治療中データと治療外データとを区別又はさらに区別することができ、この音声データは、ユーザがベッドから離床すること及び/又はベッドに戻ることを示す。実装形態では、ユーザは、ユーザインタフェースを除去してベッドから離床する可能性があり、離床時にノイズよりも大きなノイズを発生させ、呼吸治療装置がオフにしているか、又は流れ発生器からの空気流が減少するときに、低減されたノイズを発生してしまう。ユーザは、その後にベッドに戻り、ユーザインタフェースを着用する可能性があり、ベッドに戻るとき及び呼吸治療装置がオン又は流れ発生器からの空気流が増加する時に、周囲ノイズよりも大きなノイズを発生してしまう。
【0095】
いくつかの実装形態では、音響センサ141は、生理学的データを取得するために使用され、音響センサ141に関連付けられた音声が取り込まれる。例えば、周波数変調連続波(FMCW)波形606は、背景環境ノイズと区別可能となる。FMCW波形606は、18 kHzと20 kHzとの間で上下に走査することができる。いくつかの実装形態では、一般的に、1秒当たり16個の三角形があり、三角形チャープのそれぞれは、48 kHzのオーディオサンプリングレートで約3000個のサンプルを含む。
【0096】
取り込まれた音声信号には、(i)呼吸治療装置122が動作していること、(ii)ユーザ210がユーザインタフェース124を着用していること(したがって、治療中)、又は(i)及び(ii)の両方を示すアーチファクトが存在するかもしれない。図6Bは、本開示のいくつかの実装形態に係る、オーディオアーティファクトを含む、経時的に取り込まれた音声信号が示されている。図6Bでは、取り込まれた音声信号から「A」で指示された音調を観察することができる。音調Aは、ユーザ210の呼気に関連付けられる。取り込まれた音声信号からもう1つの音調(「B」で指示された)を検出することができる。音調Bは、顔面マスクからの加圧空気の漏れ(即ち、ユーザインタフェース124内の漏れ)を示す。顔面マスク内の漏れは、呼吸治療装置122が動作中、ユーザ210がユーザインタフェース124を着用し、治療を受けていることを示す。有利に、ユーザ210の環境中に他の音(例えば、いびき)が存在しても、音調及び/又は特徴(例えば、音調Aと音調B)は識別可能である。音調及び/又は特徴は、図6Bに示されるように、周波数により分けられることができる。
【0097】
他の態様では、呼吸治療装置122の操作/動作は、区分的な音声信号を生成する操作モードを含む。例えば、呼吸治療装置122は、吸気中に患者(即ち、ユーザ210)に対する最適な治療を維持し、呼気中に圧力を減少させ、ユーザ210が呼気しやすくなり、そして音響センサ141等の音響センサによって検出可能な区分的な音声信号を生成する呼気圧力軽減(EPR)特徴を含んでもよい。
【0098】
いくつかの実装形態では、ステップ502で生成された生理学的データは、図3に関連して言及したように、ユーザの就床する時刻が、ユーザの実際入眠時刻とは異なる可能性があるので、ユーザが睡眠中であるか否かを決定するために使用される。1つ以上のセンサ130は、例えば、ユーザの呼吸の変化を聞くことができ、リズム感のある比較的深い呼吸は、ユーザが睡眠中であることを示すことができる。いくつかの実装形態では、いびきイベントは、ユーザが睡眠中であることを示すフラグとして機能することができるいくつかの実装形態では、動きデータは、特にユーザが長時間位置を変更又は切り替えない場合、ユーザが睡眠中であることを示すことができる。いくつかの実装形態では、ユーザの心拍数の変化、ユーザの心拍数可変性の変化、ユーザの中核温度の変化、ユーザに関連するEEG信号の変化、又はそれらの任意の組み合わせは、ユーザが睡眠中であるか否かを決定するために使用することができる。いくつかの実装形態では、呼吸治療システム120に含まれるセンサ130のうちの少なくとも1つは、ユーザの呼吸パターンの変化が、ユーザが睡眠中であることを決定するために使用することができるように、ユーザの呼吸を示すフロー信号を提供する。
【0099】
いくつかの実装形態では、ステップ504において、イベントのパターン又はクラスタイベントのパターンは、治療中データと治療外データとを区別するために使用することができる。イベントは、無呼吸、低呼吸、又は図1に関連して言及した睡眠不良に関連する任意の他のイベント又は症状を含む。一例では、図7は、本開示のくつかの実装形態に係るイベントのマッピングの図700が示されている。図700は、異なる個人が睡眠中にいるときの個人の各々の複数のイベントのパターンが示されている。「記録」とラベル付けされた図700のy軸上の数字のそれぞれは、特定の個人を示し、「時間」とラベル付けされた図700のx軸は、睡眠セッション中の時間を示す。各点(例えば、点710)は、特定の時間で発生したイベントを示す。いくつかの点は、連続的に近接するとともに、図700の解像度に基づいて線として表することができる。異なる個人は、イベントの重篤度又は頻度に基づいてグループ化されることができる。図700は、グループ702、グループ704、グループ706及びグループ708を含む。グループ702内の個人は、互いに非常に近くないイベントを経験したので、睡眠セッション全体にわたって時間が比較的疎であり、且つ数が少ない。グループ708内の個人は、グループ702に比べて、互いに近接し、且つより頻繁なイベントを経験し、睡眠セッション全体にわたって数が比較的多い。グループ704及び706のうちのこれらの個人は、数と頻度がグループ708よりも小さいが、グループ706よりも大きいイベントを経験する。いくつかの実装形態では、グループ702内の個人は、0~5のAHI値を有し、グループ704内の個人は、5~15のAHI値を有し、グループ706内の個人は、15~30のAHI値を有し、グループ708内の個人は、30より大きいAHI値を有する。ユーザが夜中に覚醒し、呼吸治療システム120の使用を忘れた例では、イベントのクラスタは、治療中データを治療外データから分離することに寄与することが可能となる。
【0100】
図8を参照すると、本開示のいくつかの実装形態によれば、個人に睡眠図800及び対応するイベント図801を提供する。睡眠図800は、例示的な睡眠セッション中の経時的睡眠-覚醒信号804が示されている。睡眠-覚醒信号804は、生理学的データが測定されているかどうか(欠失)、個人が覚醒しているかどうか(覚醒)、又は個人が浅い睡眠段階、深い睡眠段階、又はREM睡眠段階のいずれか1つにあるかどうかを追跡する。イベント図801は、睡眠セッション中に個人の1つ以上のクラスタイベント806を示す。睡眠セッション中で、個人は、治療外にあり、個人が治療外にある睡眠セッションの一部は、マーク802によって示される(例えば、時間822と時間834との間)。
【0101】
睡眠図800では、時間820において、個人は、ベッド上で覚醒している(睡眠-覚醒信号804によって示されるように)。個人は、入眠し、浅い睡眠(睡眠-覚醒信号804によって示されるように)に入り、睡眠中である時に、治療中にある。時間822の前に、個人は、睡眠から覚醒するとともに、時間822から時間834まで、個人は、再び入眠するが、治療外にある。時間834の後に、個人は、覚醒して呼吸治療システム120を使用し、それによって治療中に戻る。時間836で、個人は、1日から覚醒することによって、睡眠セッションを終了させる。
【0102】
イベント図801では、クラスタイベント806は、マーク802によって示される睡眠セッションの治療外の一部間に発生するように示されている。第1のグループ(例えば、クラスタ)のイベントは、時間824から始まり、第2のグループのイベントは、時間826から始まり、第3のグループのイベントは、時間828から始まり、第4のグループのイベントは、時間830から始まり、第5のグループのイベントは、時間832から始まる。他のグループにおけるイベントのいずれかに比べて、第1のグループのイベントは、必ずしも常にこのような場合ではないが、より短い持続時間を持続する。個人のイベント図801は、制御システム110がクラスタイベント806の存在を決定することが許容される。睡眠図800及びイベント図801は、制御システム110が、クラスタイベント806の存在及びイベントがどの睡眠状態又は睡眠段階に発生するかを決定することが許容される。有利に、これは、個人が治療外にあるより大きな信頼度を提供する。いくつかの実装形態では、クラスタイベント806の存在は、治療外データと治療中データとを区別するために使用される。いくつかの実装形態では、治療中に比べて、より多くのイベントが治療外で発生することが予想されるので、制御システム110は、閾値を使用して、ある頻度及び/又は持続時間を超えるクラスタイベント806が、個人が治療外にあることを示すことを決定することができる。いくつかの実装形態では、制御システム110は、クラスタイベント806間の間隔を使用して、個人が治療外にあることを決定することができる。
【0103】
いくつかの実装形態では、呼吸治療装置122がオンであるか、オフであるかは、呼吸治療装置122からの加圧空気の空気流れ及び/又は音声強度の検出に基づいて決定されることができる。検出された空気流れ及び/又は音声強度は、ユーザインタフェース124がユーザに連結されているかどうかを決定するために使用することができる。ユーザインタフェース124がユーザに連結されている場合、収集されたデータは、治療中データとして決定される。いくつかの実装形態では、イベントのタイプは、治療中データと治療外データとを区別するために使用することができる。例えば、制御システム110は、生理学的データから、ユーザが無呼吸又は低呼吸イベントを経験していると推定することができる。ユーザが治療中に、通常、そのようなイベントを経験しない場合、そのようなイベント又はそれ以上の数のそのようなイベントが検出された場合、制御システム110は、ユーザが治療外にあると決定することができる。いくつかの実装形態では、動き追跡器180及び/又はユーザ装置170は、ユーザインタフェース124から漏れを示す音声データをピックアップし、それにより、ユーザが治療中にあると決定することができる。
【0104】
いくつかの実装形態では、イベントのパターン又はクラスタイベントのパターンは、本明細書で言及される他の方法と組み合わせて、信頼度又は正確性を増加させながら、治療中データと治療外データとを区別することができる。例えば、マイクロフォン140からの音声データは、呼吸治療装置122がオンにすることを示すことができ、制御システム110は、治療中データが収集されていると決定することができる。この決定は、後でイベントのパターンとクロスチェックすることができる。図7で言及したイベントのパターンが、イベントの重篤度がユーザが治療中にあるときの重篤度と一致することを示す場合、ユーザを治療中にあると分類する信頼度を増加させる。イベントのパターンによって指示することがそうでない場合、信頼度が低下する。
【0105】
方法500のステップ506は、ステップ504の治療外データに少なくとも部分的に基づいてユーザの睡眠尺度を決定する。睡眠尺度は、睡眠セッション中のユーザの睡眠の質の指示であり、この睡眠の質は、例えば、睡眠持続時間、睡眠アーキテクチャ等に基づくことができる。追加的又は代替的に、睡眠尺度は、睡眠セッション中にユーザが経験した治療効果の指示であり、この治療効果は、例えば、AHI、イベントのパターン等に基づくことができる。いくつかの実装形態では、睡眠尺度は、治療中データに少なくとも部分的に基づく。睡眠セッションの治療外データは、ユーザが睡眠中であるとともに、治療目的として睡眠セッション中に呼吸治療システム120を使用しない持続時間内に生成される。睡眠セッションの治療中データは、ユーザが睡眠中であるとともに、治療目的として睡眠セッション中に呼吸治療システム120を使用する持続時間内に生成される。したがって、睡眠セッション中に、ユーザの総睡眠時間は、治療中睡眠持続時間及び/又は治療外睡眠持続時間を含むことができる。治療中睡眠持続時間は、ユーザが呼吸治療システム120を使用する睡眠持続時間である。治療外睡眠持続時間は、ユーザが呼吸治療システム120を使用しない睡眠持続時間である。治療中睡眠持続時間及び治療外睡眠持続時間は、治療中データ及び治療外データからそれぞれ決定されることができる。
【0106】
治療中睡眠持続時間及び治療外睡眠持続時間は、総睡眠時間を分割するために使用することができる。治療中睡眠持続時間の治療中睡眠尺度は、治療中データで決定されることができ、治療外睡眠持続時間の治療外睡眠尺度は、治療外睡眠データで決定されることができる。治療中睡眠尺度は、治療中睡眠持続時間の間のユーザの睡眠の質の指示であり、治療外睡眠尺度は、治療外睡眠持続時間の間のユーザの睡眠の質の指示である。総睡眠時間が治療外睡眠持続時間及び治療中睡眠持続時間の両方を含むいくつかの実装形態では、ステップ506で決定された睡眠尺度は、治療中睡眠尺度と治療外睡眠尺度との重み付け組み合わせである。
【0107】
いくつかの実装形態では、重み付け組み合わせは、以下のように計算される。
SM=(SMオン×Tオン+SMオフ×Tオフ)/T睡眠
ここで、SMは、睡眠尺度であり、SMオンは、治療中睡眠尺度であり、SMオフは、治療外睡眠尺度であり、Tオンは、治療中睡眠持続時間であり、Tオフは、治療外睡眠持続時間であり、T睡眠は、総睡眠時間である。T睡眠=Tオン+Tオフ。治療外データ又は治療中データのうちの1つのみの場合であっても、重み付け組み合わせ式を使用して睡眠尺度を決定することが可能である。つまり、睡眠セッション中に、ユーザは、睡眠中に呼吸治療システム120を全く使用しない可能性があるため、治療中データが存在しない場合があり、又はユーザは、総睡眠時間内に呼吸治療システム120を使用する可能性があるため、治療外データは存在しない。そのような場合には、或いはTオンはゼロに設定され、或いはTオフはゼロに設定され、睡眠尺度は、それぞれSMオン又はSMオフの値を採用する。
【0108】
いくつかの実装形態では、睡眠尺度は、ユーザのAHI値を含む。治療外睡眠尺度は、治療外AHI値であってもよく、治療中睡眠尺度は、治療中AHI値であってもよい。呼吸又は睡眠関連障害に患っているユーザの場合、治療外AHIは治療中AHI値よりも高いことが予想される。
【0109】
いくつかの実装形態では、睡眠尺度は、ステップ502の生理学的データに少なくとも部分的に基づく1つ以上の睡眠関連パラメータを含む。この1つ以上の睡眠関連パラメータは、例えば、ユーザが経験した1つ以上のイベントの標識、1時間当たりのイベントの数、イベントのパターン、総睡眠時間、総就床時間、覚醒時刻、離床時刻、睡眠図、総浅い睡眠時間、総深い睡眠時間、総REM睡眠時間、覚醒の数、入眠潜時、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。イベントは、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、体位型無呼吸、閉塞型無呼吸、混合型無呼吸、低呼吸、顔面マスク漏れ(例えば、ユーザインタフェース124から)、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増加、努力性呼吸、喘息発作、てんかん発作、けいれん又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、睡眠関連パラメータは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開特許第WO WO 2015/006364号に記載された睡眠スコア等の睡眠スコアを含み得る。
【0110】
いくつかの実装形態では、決定された睡眠尺度を較正する。例えば、呼吸治療システム120は、圧力センサ132、流量センサ134、及びマイクロフォン140等のセンサ130の少なくとも一部を含み、睡眠セッションの治療中睡眠尺度を決定するために使用することができる。呼吸治療システム120は、呼吸速度、呼吸深度、呼吸可変性、又はそれらの任意の組み合わせを含むユーザの呼吸モードを含む生理学的データを生成することができる。呼吸治療システム120に加えて、ユーザ装置170及び/又は動き追跡器180は、治療中睡眠尺度を決定するために使用することもできる。ユーザ装置170及び/又は動き追跡器180から決定された治療中睡眠尺度は、呼吸治療システム120によって決定された治療中睡眠尺度に少なくとも部分的に基づいて調整することができる。いくつかの実装形態では、線形因子は、呼吸治療システム120によって決定された治療中睡眠尺度をユーザ装置170及び/又は動き追跡器180によって決定された治療中睡眠尺度で除算して、線形因子を決定するように、2つの治療中睡眠尺度に関連付けられる。いくつかの実装形態では、複数の睡眠セッション(例えば、2つの睡眠セッション、5つの睡眠セッション等)にて線形因子を計算し、回帰して、平均因子を求め、この平均因子は、呼吸治療システム120によって決定された治療中睡眠尺度とユーザ装置170及び/又は動き追跡器180によって決定された治療中睡眠尺度との間の任意の変動を捕捉する。
【0111】
いくつかの実装形態では、システム100は、睡眠中に呼吸治療システム120をより勤勉に使用することをユーザに奨励するように適合されている。決定された睡眠尺度(ステップ506)をユーザに通知するための通信を送信することができ、それは治療中睡眠尺度、治療外睡眠尺度、又は両方を含むことができる。例えば、通信をユーザ装置170に送信して、決定された睡眠尺度をユーザに通知する(ステップ506)。ユーザ装置170は、決定された睡眠尺度を表示装置172にて表示することができ、呼吸治療システム120は、睡眠尺度を表示装置128にて表示することができる。通信は、ユーザ装置170、動き追跡器180、及び/又は呼吸治療システム120のいずれかに統合されたスピーカー142を介した音声放送であり得る。いくつかの実装形態では、通信は、決定された睡眠尺度の異なる解釈に対して異なる色を示すレベルを複数有する可視光ポインタであり得る。例えば、異なる色は、良好睡眠尺度、不良睡眠尺度又は中性睡眠尺度を示すことができる。具体例としては、治療中睡眠尺度を特定の色で示して、良好(正)睡眠尺度を示すことができ、治療外睡眠尺度を異なる色で示して、不良(負)睡眠尺度を示すことができる。
【0112】
いくつかの実装形態では、通信は、ユーザに対する将来の睡眠セッションの推奨を含むことができる。例えば、通信は、睡眠尺度に関する最近の睡眠セッションの治療中睡眠持続時間に比べて、ユーザが、将来の睡眠セッション中の治療中睡眠持続時間を増加させるべきであるという推奨を含むことができる。通信は、睡眠尺度に関する最近の睡眠セッションの治療外睡眠持続時間に比べて、ユーザが、将来の睡眠セッション中の治療中睡眠持続時間を増加させるべきであるという推奨を含むことができる。いくつかの実装形態では、通信は、ユーザが将来の睡眠セッション中の総睡眠持続時間を増加させるべきであるという推奨を含むことができる。
【0113】
いくつかの実装形態では、将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度は、ユーザの将来の睡眠セッションに対する推定された総睡眠持続時間に少なくとも部分的に基づいて決定されることができる。例えば、推定された総睡眠持続時間は、期間においてユーザの平均睡眠持続時間に基づくことができる。この期間は、1日、数日、1週間、1ヶ月、1日以上の勤務日、1つの週末のうちの1日以上等であり得る。一例では、将来の睡眠セッションが月曜日である場合、月曜日の以前の睡眠セッションの総睡眠持続時間を、推定された総睡眠持続時間として使用することができる。
【0114】
将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度は、最近の睡眠セッションの治療中睡眠尺度及び/又は最近の睡眠セッションの治療外睡眠尺度に少なくとも部分的に基づくこともできる。推定された睡眠尺度は、推定された治療中睡眠尺度、推定された治療外睡眠尺度、及びユーザが治療中にある場合で推定された総睡眠持続時間の部分と、ユーザが治療外にある場合で推定された睡眠持続時間の部分との重み付け組み合わせであり得る。
【0115】
いくつかの実装形態では、将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度は、ユーザに提供される通信に含まれる。推定された睡眠尺度は、呼吸治療システム120をより勤勉に使用することをユーザに奨励するのを補助するように、ユーザに提供されることができる。いくつかの実装形態では、ユーザが治療中にある場合で推定された総睡眠持続時間の部分とユーザが治療外にある場合で推定された睡眠持続時間の部分は、最近の睡眠セッション情報に基づいて調整される。例えば、総睡眠時間が8時間であり、ユーザが治療中に5時間かかり、治療外に3時間かかる場合、ユーザが治療中にある場合で推定された睡眠持続時間の部分を6時間、7時間又は8時間まで上向きに調整することができ、ユーザが治療外にある場合で推定された睡眠持続時間の部分を2時間、1時間又は0時間に比例して下向きに調整することができる。これらの値は、ユーザがその治療中睡眠持続時間を増加させるとともに、その治療外睡眠持続時間を減少させる場合、決定された睡眠セッションがかなり改善されることができることを示すために、将来の睡眠セッションの推定された睡眠持続時間を提供するように、重み付け組み合わせにおいて使用されることができる。逆に、同様の計算を行って、治療中睡眠持続時間を減少させるとともに、治療外睡眠持続時間を増加させると、睡眠尺度に悪い影響を与えることをユーザに示すことができる。
【0116】
いくつかの実装形態では、将来の睡眠セッションの目標睡眠尺度は、ユーザがその将来の睡眠セッションの治療中睡眠持続時間の量を増加させるべきであること、及びユーザがその将来の睡眠セッションの治療外睡眠持続時間の量を減少させるべきであることを決定するために使用される。いくつかの実装形態では、以下の式を解いて、治療中睡眠持続時間の増加量及び治療外睡眠持続時間の減少量を決定する。
SM目標=(SMオン×(Tオン+T)+SMオフ×(Tオフ-T))/T睡眠
ここで、SM目標は、目標睡眠尺度であり、SMオンは、治療中睡眠尺度であり、SMオフは、治療外睡眠尺度であり、Tオンは、治療中睡眠持続時間であり、Tオフは、治療外睡眠持続時間であり、Tは、将来の睡眠セッション中の治療中睡眠持続時間(治療外睡眠持続時間減少)の増加量であり、T睡眠は、総睡眠時間であるT睡眠=Tオン+Tオフ。任意の所定のSM目標について、ユーザのために量Tを解いて、ユーザに伝送することができる。例えば、通信は、呼吸治療システム120の追加のT持続時間を使用して、その目標睡眠尺度の推奨を達成するようにユーザに指示することを含むことができる。いくつかの実装形態では、T=Tオフのため、任意の治療外睡眠持続時間を解消した。
【0117】
いくつかの実装形態では、総睡眠時間は同じではない。つまり、治療中睡眠持続時間の増加量は、治療外睡眠持続時間の減少量に等しくない。このような実装形態では、推定された総睡眠持続時間は、治療中睡眠持続時間、治療中睡眠持続時間の増加量を治療外睡眠持続時間に加算し、治療外睡眠持続時間の減少量を減算することによって決定される。
【0118】
本明細書で言及される異なる睡眠尺度のいずれかは、通信に含まれることができる。例えば、通信は、治療中睡眠尺度、治療中睡眠持続時間、将来の睡眠セッションの推定された睡眠尺度、将来の睡眠セッションの目標睡眠尺度、将来の睡眠セッションの目標睡眠持続時間、治療外睡眠持続時間の目標減少、治療中睡眠持続時間の目標増加、将来の睡眠セッション中の推定された総睡眠持続時間、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0119】
以下の請求項1~98のいずれか1つ以上からの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその任意の一部をその他の請求項1~98のいずれか1つ以上又はその組み合わせからの1つ以上の要素、態様、ステップ又はその任意の一部と組み合わせることにより、本開示の1つ以上のさらなる実装形態及び/又は請求項を形成することができる。
【0120】
本開示を1つ以上の特定の実施例又は実装形態を参照して説明したが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であることを認識するであろう。これらの実装形態及びその明確な変更はそれぞれ、本開示の精神及び範囲内にあると考えられる。本開示の各態様による追加の実装形態は、本明細書に記載の実装形態のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせてもよいことも企図される。
〔関連出願の相互参照〕
【0121】
本願は、2020年9月29日に提出された米国仮特許出願第63/084978号の利益及び優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】