(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(54)【発明の名称】最適化された自己封止製造物層を備えるタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/12 20060101AFI20231003BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20231003BHJP
B60C 5/14 20060101ALI20231003BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B60C19/12 Z
B60C11/03 100B
B60C5/14 Z
B60C11/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519679
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 FR2021051646
(87)【国際公開番号】W WO2022069819
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】サラジン フレデリク
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BC05
3D131BC24
3D131CB11
3D131EB18V
3D131EB18X
3D131EB23V
3D131EB23X
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3D131EB24X
3D131EB31X
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3D131EB47X
3D131EB86V
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3D131EB99X
3D131EC01V
3D131EC12X
3D131LA13
3D131LA28
(57)【要約】
タイヤは、主周方向主切欠き(52、54、56、58)とリブ(62、64、66、68、70)とを備えるトレッドと、内部封止層と、自己封止製造物の層(80)とを備え、自己封止製造物の層(80)は、主周方向切欠き(52、54、56、58)と一致して延びて平均厚さEa>0を有する軸方向部分と、リブ(62、64、66、68、70)と一致して延びて平均厚さEb>0を有する軸方向部分とを備え、Eb<Eaである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド(14)であって、
Hsをトレッドパターン高さとした場合にHa/Hs≧50%となるような深さHaを有する少なくとも1つの周方向切欠き(52、54、56、58)(主周方向切欠きと呼ぶ)と、
少なくとも1つのリブ(62、64、66)と、
を備えるトレッド(14)と、
気密内部層(18)と、
前記気密内部層(18)の一部の半径方向内側を周方向に延びる自己封止製造物の層(80)と、
を備えるタイヤであって、
前記自己封止製造物の層(80)の周方向長さの少なくとも50%に亘って、前記自己封止製造物の層(80)は、
前記主周方向切欠き(52、54、56、58)と一致して軸方向に延び、自己封止製造物の平均厚さEa>0を有する軸方向部分(90’、92’、94’、96’)と、
前記リブ(62、64、66)と一致して軸方向に延び、Eb<Eaとなるような自己封止製造物の平均厚さEb≧0を有する軸方向部分と、
を備える、タイヤ(10)。
【請求項2】
前記主周方向切欠き(52、54、56、58)又は各主周方向切欠き(52、54、56、58)は、1.0mm以上、好ましくは5.0mm以上、より好ましくは8.0mm以上、さらにより好ましくは8.0mmから20.0mmまでの範囲にある軸方向幅を有する、請求項1に記載のタイヤ(10)。
【請求項3】
前各主周方向切欠き(52、54、56、58)記又は各主周方向切欠き(52、54、56、58)は、4.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲、好ましくは5.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲、さらに好ましくは5.5mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲にある深さを有する、請求項1又は2に記載のタイヤ(10)。
【請求項4】
前記自己封止製造物の層(80)は、軸方向厚肉部と呼ばれる少なくとも1つの軸方向部分(90、92、94、96)を備え、前記各厚肉軸方向部(90、92、94、96)又は各厚肉軸方向部(90、92、94、96)は、前記各主周方向切欠き又は各主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる前記各軸方向部分又は各軸方向部分の全部又は一部(90’、92’、94’、96’)と少なくとも部分的に合致し、前記各軸方向厚肉部(90、92、94、96)又は各軸方向厚肉部(90、92、94、96)は、前記自己封止製造物の層の半径方向内面曲線(89)上の隣接する2つの変曲点(81、82、83、84、85、86、87、88)によって軸方向に区切られ、前記軸方向厚肉部(90、92、94、96)の厚さは、前記変曲点の各々から前記軸方向厚肉部(90、92、94、96)の軸方向内側に向かう方向に増加し、前記軸方向厚肉部の軸方向幅Wxは、Laxを前記主周方向切欠き(52、54、56、58)の軸方向幅とした場合に、Wx/Lax≧0.50、好ましくはWx/Lax>1.00であるようになっている、請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項5】
Wx/Lax≦4.00、好ましくはWx/Lax≦3.00、より好ましくはWx/Lax≦2.00、さらにより好ましくはWx/Lax≦1.50、非常に好ましくはWx/Lax≦1.25である、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項6】
Ea≧1.10×Eb、好ましくはEa≧1.30×Eb、より好ましくはEa≧1.50×Ebである、請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項7】
Ea≦5.00×Eb、好ましくはEa≦4.00×Eb、より好ましくはEa≦2.50×Ebである、請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項8】
前記各リブ(62、64、66、68、70)又は各リブ(62、64、66、68、70)は、軸方向内端と軸方向外端とによって軸方向に区切られ、各軸方向内端及び外端は、
前記トレッド(14)の軸方向端(81、82)、及び
前記主周方向切欠き(複数可)(52、54、56、58)の軸方向内端又は外端(521、522、541、542、561、562、581、582)、
から選択され、
前記リブ(62、64、66、68、70)の前記軸方向内端及び外端は、互いに隣接している端部である、請求項1から7のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項9】
前記トレッド(14)は、
Nを前記タイヤ上に存在する主周方向切欠きの総数とした場合に、1からNまでの範囲にあるiについて、Hai/Hs≧50%、好ましくはHai/Hs≧75%、より好ましくはHai/Hs≧90%となるような深さHaiをそれぞれ有するN>1個の主周方向切欠き(52、54、56、58)と、
Qを前記タイヤ上に存在する中央リブの総数とした場合に、Q=N-1≧1個の中央リブ(62、64、66)であって、前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)が、隣接する2つの主周方向切欠き(52、54、56、58)の軸方向間に配置され、前記隣接する2つの主周方向切欠き(52、54、56、58)によって軸方向に区切られる中央リブ(62、64、66)と、
を備え、
前記自己封止製造物の層(80)は、
各々が前記N個の主周方向切欠き(52、54、56、58)の1つと一致して軸方向に延び、各々が自己封止製造物の平均厚さEai>0を有するN>1個の軸方向部分(90’、92’、94’、96’)と、
Q=N-1≧1個の軸方向部分(100’、102’、104’)であって、各々が前記Q個の中央リブ(62、64、66)又はそのうちの1つと一致して軸方向に延び、1からQまでの範囲にあるjについて各々が自己封止製造物の平均厚さEbj≧0を有し、前記N個の主周方向切欠き(52、54、56、58)のうちの2つと一致して軸方向に延びる前記自己封止製造物層(80)の隣接する2つの軸方向部分(90’、92’、94’、96’)の軸方向間に配置され、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ebj<Eaiであるようになっている軸方向部分(100’、102’、104’)と、
を備える、請求項1から8のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項10】
前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)は、横方向切欠き(74、75、76)を欠くか又は横方向切欠き(74、75、76)を備え、各々が、前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)の横方向切欠き数の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは100%について、以下の条件、
前記中央リブ(62、64、66)の前記横方向切欠き(74、75、76)は、厳密に1.6mm未満、好ましくは厳密に1.0mm未満、より好ましくは厳密に0.7mm未満の幅を有する、
前記中央リブ(62、64、66)の前記横方向切欠き(74、75、76)は、H/Hs<50%、好ましくはH/Hs≦30%となるような深さHを有する、
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1から9の内のいずれか1項に記載のタイヤ(10)。
【請求項11】
前記トレッド(14)は、
前記N個の主周方向切欠き(52、54、56、58)と前記Q個の中央リブ(62、64、66)とを備える軸方向中央部(PO)であって、各軸方向最外の軸方向主周方向切欠き(52、54)の各軸方向外端(521、541)によって軸方向に区切られる軸方向中央部と、
前記タイヤ(10)の正中面に関して前記軸方向中央部(PO)の各軸方向側に1つずつ前記軸方向中央部(PO)の軸方向外側に配置された第1及び第2の軸方向側部(P1、P2)であって、前記トレッド(14)の各軸方向端(41、42)から各軸方向最外の軸方向主周方向切欠き(52、54)の軸方向外端(521、541)まで軸方向に延びる第1及び第2の軸方向側部(P1、P2)と、
を備え、
各第1及び第2の軸方向側部(P1、P2)はそれぞれ、第1及び第2の側方リブ(68、70)を備え、前記第1及び第2の側方リブ(68、70)の少なくとも1つは、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠き(77、78)を備え、
前記自己封止製造物の層(80)は、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠き(77、78)を備える前記第1又は第2の側方リブ(68、70)と一致して軸方向に延びて自己封止製造物の平均厚さEc>0を有する少なくとも1つの軸方向部分(90”、92”)を備え、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ebj<Ecであるようになっている、請求項9又は10に記載のタイヤ(10)。
【請求項12】
各第1及び第2の側方リブ(68、70)は、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠き(77、78)を備え、
前記自己封止製造物の層(80)は、それぞれ前記第1及び第2の側方リブ(68、70)と一致して軸方向に延び、Ec1>0且つEc2>0であって、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%がEbj<Ec1且つEbj<Ec2となるような自己封止製造物の平均厚さEc1、Ec2をそれぞれに有する、第1及び第2の軸方向部分(90”、92”)を備える、請求項1から11のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項13】
前記横方向切欠き(77、78)又は各横方向切欠き(77、78)は、0.7mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.6mm以上の幅を有する、請求項11又は12に記載のタイヤ(10)。
【請求項14】
前記横方向切欠き(77、78)又は各横方向切欠き(77、78)は、2.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲、好ましくは4.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲、さらに好ましくは5.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲にある深さを有する、請求項11から13のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項15】
前記自己封止製造物の層(80)の各軸方向端(81、82)は、それぞれ前記トレッド(14)の各軸方向端(41、42)に関連して、前記トレッド(14)の前記軸方向幅の20%以下、好ましくは10%以下の距離で、好ましくは前記トレッド(14)の各軸方向端の軸方向内側に配置される、請求項1から14のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。タイヤは、例えばリムなどの支持要素と協働して空洞を形成し、この空洞が大気圧を超える圧力まで加圧可能であるように意図されたケーシングを意味すると理解される。本発明によるタイヤは、タイヤの主軸に関して回転対称性を示す実質的にトロイダル形状の構造を有する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2629964号は、タイヤが走行する時にトレッド面を介して地面と接触するように意図されたトレッドを備える。トレッドは、主周方向切欠きと中央リブとを備え、各中央リブは、隣接する2つの主周方向切欠きの軸方向間に配置され、隣接する2つの主周方向切欠きによって軸方向に区切られる。
【0003】
欧州特許第2629964号のタイヤは、タイヤが取付け支持体、例えばリムに取り付けられた場合に、膨張ガスに対して気密である空洞を形成するように意図された気密内部層と、気密内部層の一部の半径方向内側を周方向に延びる自己封止製造物の層とを備える。
【0004】
穿孔物によってタイヤに孔が開いた場合、自己封止製造物の層により、穿孔物で生じた孔をタイヤ内圧の作用下で封止することが可能となる。なぜなら、タイヤ内圧の作用下で、自己封止製造物は、空気が外側に向かって流れる孔に流れ込むようにできており、それを封止して膨張ガスに対する気密性を再確立するからである。数多くの自己封止製造物が先行技術、特に米国特許第4426468号、欧州特許第1090069号、国際公開第99/62998号、米国特許第4113799号、米国特許第4115172号、米国特許第4913209号、米国特許第5085942号、米国特許第5295525号、仏国特許第295587号及び欧州特許第2167329号に記載されている。
【0005】
自己封止製造物層の存在は、穿孔に対抗するのに有効であると判明しているが、必然的に、自己封止製造物層のないタイヤよりも重くなる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2629964号
【特許文献2】米国特許第4426468号
【特許文献3】欧州特許第1090069号
【特許文献4】国際公開第99/62998号
【特許文献5】米国特許第4113799号
【特許文献6】米国特許第4115172号
【特許文献7】米国特許第4913209号
【特許文献8】米国特許第5085942号
【特許文献9】米国特許第5295525号
【特許文献10】仏国特許第295587号
【特許文献11】欧州特許第2167329号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、封止製造物の層を備えたタイヤであって、できるだけ軽量で、その自己封止製造物層が先行技術のタイヤの自己封止製造物層と実質的に同じ程度に穿孔に対して有効であるタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の1つの主題は、
-Hsをトレッドパターン高さとした場合にHa/Hs≧50%となるような深さHaを有する少なくとも1つの周方向切欠き(主周方向切欠きと呼ぶ)と、
-少なくとも1つのリブと、
を備えるトレッドと、
-気密内部層と、
-気密内部層の一部の半径方向内側を周方向に延びる自己封止製造物の層と、
を備えるタイヤであって、
自己封止製造物層の周方向長さの少なくとも50%に亘って、自己封止製造物の層は、
-主周方向切欠きと一致して軸方向に延び、自己封止製造物の平均厚さEa>0を有する軸方向部分と、
-リブと一致して軸方向に延び、Eb<Eaとなるような自己封止製造物の平均厚さEb≧0を有する軸方向部分と、を備える。
【0009】
本発明に関与する発明者らは、穿孔のリスクが最も高いトレッドの軸方向部分は、トレッド厚が相対的に小さい部分であると判断した。本発明によれば、これらの軸方向部分は、トレッドパターン高さの少なくとも半分に等しい深さを有する主周方向切欠きを備える。従って、本発明は、これらの主周方向切欠きと一致して自己封止製造物の相対的に大きい平均厚さEaを提供し、それによって、主周方向切欠きに生じる穿孔に対する自己封止製造物層の高い有効性を保証することが可能となる。
【0010】
タイヤの重量を低減するために、本発明者らは、主周方向切欠きの半径方向内側に位置する部分より大きなトレッド厚を有するタイヤのリブは、穿孔のリスクが低いと判断した。これは、一方では、穿孔物が比較的短い場合にトレッド厚がタイヤを穿孔から保護し、他方では、相対的に大きな厚さのトレッドが、相対的に小さな厚さの場合よりも大幅に穿孔に耐えるからである。従って、本発明は、自己封止製造物の相対的に小さな、或いはゼロの平均厚さEbをリブと一致して提供し、それによってタイヤの重量を著しく低減することが可能となる。
【0011】
穿孔物のせいでタイヤに孔が開いた場合、自己封止製造物の層は、穿孔物で生じた孔をタイヤ内圧の作用下で封止することを可能にする。なぜなら、タイヤ内圧の作用下で、自己封止製造物は、空気が外側に向かって流れる孔に流れ込むようにできており、それを封止して膨張ガスに対する気密性を再確立するからである。
【0012】
有利には、特定の実施形態において、自己封止製造物の層は、単一の自己封止製造物で構成される。これらの実施形態では、自己封止製造物は、タイヤが取付け支持体に取り付けられた場合に、自己封止製造物とタイヤの取付け支持体、例えばリムとによって少なくとも部分的に区切られた空洞内に存在する膨張ガスと接触して配置される。
【0013】
本発明に従って、特定の実施形態では、1又は2以上の主周方向切欠きと、相対的に大きな非ゼロの厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々が当該主周方向切欠き又は主周方向切欠きのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、1又は2以上のリブと、相対的に小さな非ゼロの厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々が当該リブ又はリブのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、を有することが可能である。
【0014】
別の実施形態では、1又は2以上の主周方向切欠きと、相対的に大きな非ゼロの厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々が当該主周方向切欠き又は主周方向切欠きのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、1又は2以上のリブと、ゼロ厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々が当該リブ又はリブのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、を有することが可能である。
【0015】
別の実施形態では、1又は2以上の主周方向切欠きと、相対的に大きな非ゼロの厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々が主周方向切欠きのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、複数のリブと、相対的に小さな非ゼロの厚さを備えた1又は2以上の軸方向部分であって、各々がリブのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分と、を有することが可能である。
【0016】
当該又は各周方向切欠きは、タイヤのトレッド上に随意的に存在することができ相対的に小さな深さを有し、従って穿孔リスクがより低い他の補完的な周方向切欠きに対して、その相対的に大きな深さHaのために主周方向切欠きと呼ばれる。
【0017】
トレッドの主周方向切欠きと又はリブと一致して配置される自己封止製造物層の軸方向部分は、タイヤの回転軸に垂直な2つの周面であって、その各々が主周方向切欠き又はリブの軸方向端を通過する周面によって規定される軸方向端で区切られた自己封止製造物の軸方向部分である。従って、自己封止製造物層の軸方向厚肉部と呼ばれる軸方向部分が、主周方向切欠きの軸方向幅よりも大きい軸方向幅を有する場合、自己封止製造物層の軸方向厚肉部の一部だけが主周方向切欠きと一致して設置される。自己封止製造物層の軸方向厚肉部が、主周方向切欠きの軸方向幅よりも小さい軸方向幅を有する場合、自己封止製造物層の軸方向厚肉部の全体が主周方向切欠きと一致して設置される。同様に、自己封止製造物層の軸方向薄肉部と呼ばれる軸方向部分が、リブの軸方向幅よりも大きい軸方向幅を有する場合、自己封止製造物層の軸方向薄肉部の一部だけがリブと一致して設置される。自己封止製造物層の軸方向薄肉部が、リブの軸方向幅よりも小さい軸方向幅を有する場合、自己封止製造物層の軸方向薄肉部の全体がリブと一致して設置される。
【0018】
本発明は、それが本質的な特徴を構成することなく、主周方向切欠きが特に深い、すなわち、Ha/Hs≧75%、より好ましくはHa/Hs≧90%である実施形態で有利である。
【0019】
自己封止製造物の層は、その周方向長さの少なくとも50%に亘って本発明の本質的な特徴を示すので、タイヤが自己封止製造物層の周方向長さの最大50%に亘って自己封止製造物の層を持たない実施形態、或いは自己封止製造物の層が、さもなければその周方向長さの100%に亘って本質的な特徴を示さない、自己封止製造物層の周方向長さの100%に亘って延びる実施形態を想定することが可能となる。もちろん、本発明の効果を最大にするために、自己封止製造物の層は、その周方向長さの少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、理想的には100%に亘って本発明の本質的な特徴を示す。
【0020】
本発明は、自己封止製造物の層がその周方向長さの全部又は一部に亘って、不連続的に又は連続的に周方向に延びる実施形態を想定することを可能にする。好適には、穿孔に対する自己封止製造物層の高い有効性を保証するために、当該又は各切欠きと一致して、且つ当該又は各リブと一致して延びる自己封止製造物層の各軸方向部分は、自己封止製造物層の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、理想的には100%に亘って、連続的に周方向に延びる。
【0021】
本発明は、同様に、周方向に可変の厚さを有する自己封止製造物層の軸方向部分を想定することを可能にする。しかしながら、質量の利益を最大にし、各主周方向切欠き及び各リブと一致する自己封止製造物層の一様な有効性を保証するために、当該又は各主周方向切欠きと一致して、且つ当該又は各リブと一致して延びる自己封止製造物層の各軸方向部分の平均厚さは、自己封止製造物層の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、理想的には100%に亘って、周方向で実質的に一定である。
【0022】
主周方向切欠き又はリブと一致して軸方向に延びる自己封止製造物層の軸方向部分の各平均厚さEa、Ebは、自己封止製造物層の軸方向部分の軸方向端部間における自己封止製造物層の、複数の子午断面での厚さを平均化することによって測定され、例えば、全てミリメートル単位で測定される。平均厚さが周方向に実質的に一定である好ましい事例では、子午断面の数を減らすことが採用されることになる。平均厚さが周方向に一定でない場合は、多数の子午断面、例えば16個の断面を採用し、全ての子午断面で測定された厚さを平均することになる。或る点で測定された厚さとは、もちろん、自己封止製造物層の半径方向外面と半径方向内面との間の、この点を通過する最短直線距離である。子午断面における各断面は、様々な幾何学的変数、特に厚さを正確に測定するために、自己封止製造物の層を劣化させることなく取られることに留意されたい。特に、非常に高圧のウォータジェット切削プロセスが利用されることになる。
【0023】
新品のタイヤでは、切欠き深さとは、タイヤが走行している時の、切欠きの底部と地面上への突出部との最大半径方向距離である。切欠き深さの最大値は、トレッドパターン高さと呼ばれる。
【0024】
切欠きとは、溝又はサイプのいずれかを意味し、トレッド面上に開口する空間を形成する。
【0025】
サイプ又は溝は、トレッド面上に2つの主要な特徴的寸法である、幅及び曲線長を有し、曲線長が幅の2倍に少なくとも等しいようになっている。従って、サイプ又は溝は、その曲線長を決定し、底面によって連結される少なくとも2つの主側面によって区切られ、その2つの主側面は、切欠きの幅と呼ばれる非ゼロの距離だけ互いに離間している。
【0026】
新品のタイヤについて、切欠きの幅は、切欠きが面取りされていない場合にはトレッド面と合致する半径方向側面で、切欠きが面取りされている場合には切欠きの半径方向最外側面と面取り部の半径方向最内側面とで測定された2つの主側面間の最大距離である。この幅は、主側面に対して実質的に垂直に測定される。
【0027】
一方、切欠きの軸方向幅は、タイヤの軸方向に、例えばタイヤの子午断面で測定される。
【0028】
サイプは、特にタイヤが新品であって、とりわけタイヤが公称荷重の下で公称圧力であることを含む通常の走行状態の場合に、その主側面間の距離が、サイプを画定する主側面同士を接地面で少なくとも部分的に接触させるのに適するようになっている。
【0029】
溝は、とりわけタイヤが公称荷重の下で公称圧力であることを含む通常の走行状態の下で、その主側面間の距離がこれら主側面を互いに接触させないようになっている。
【0030】
切欠きは、横方向又は周方向とすることができる。
【0031】
横方向切欠きは、その切欠きが、タイヤの周方向に対して30°より厳密に大きい、好ましくは45°以上の角度を成す平均方向に延びるようになっている。平均方向とは、切欠きの両端を結ぶ最短曲線であり、トレッド面に平行である。横方向切欠きは、連続的とすることができる、つまり、トレッドパターンブロック又は別の切欠きで中断されないので、その長さを決定する2つの主側面が横方向切欠きの長さに亘って途切れない。横方向切欠きは同様に、不連続とすることができる、つまり、1又は2以上のトレッドパターンブロック及び/又は1又は2以上の別の切欠きで中断されるので、その長さを決定する2つの主側面が1又は2以上のトレッドパターンブロック及び/又は1又は2以上の別の切欠きで途切れる。
【0032】
周方向切欠きは、その切欠きが、タイヤの周方向に対して30°以下、好ましくは10°以下の角度を成す平均方向に延びるようになっている。平均方向とは、切欠きの両端を結ぶ最短曲線であり、トレッド面に平行である。周方向切欠きが連続である場合、両端は互いに一致し、タイヤを1周する曲線で結ばれる。周方向切欠きは、連続的とすることができる、つまり、トレッドパターンブロック又は別の切欠きで中断されないので、その長さを決定する2つの主側面がタイヤの全周に亘って途切れない。周方向切欠きは同様に、不連続とすることができる、つまり、1又は2以上のトレッドパターンブロック及び/又は1又は2以上の別の切欠きで中断されるので、その長さを決定する2つの主側面が、タイヤの全周に亘って1又は2以上のトレッドパターンブロック及び/又は1又は2以上の別の切欠きで途切れる。
【0033】
タイヤの正中面の外側に位置する周方向切欠きの場合、その側面は軸方向内面及び軸方向外面と呼ばれ、軸方向内面は、所与の方位角で、正中面に関して軸方向外面の軸方向内側に配置される。
【0034】
各周方向切欠きは、軸方向内端と軸方向外端とを備える。周方向切欠きが面取りを有するか否かに関わらず、各軸方向内端及び外端は、トレッド面上に位置し、従ってタイヤが走行する地面と接触する周方向切欠きの各軸方向縁と一致する。
【0035】
横方向切欠きの場合、その側面は前面及び後面と呼ばれ、前面は、所与の周方向線に関してその縁が後面の縁よりも先に接地面に入る側面である。
【0036】
一部の実施形態では、それが主周方向切欠きであるか否かを問わず、当該又は各周方向切欠きは面取りされる。周方向切欠きの面取りは、直線面取り又は丸面取りとすることができる。直線面取りは、軸方向内面及び外面に対して傾斜している平坦面が、周方向切欠きを軸方向に区切る軸方向内縁又は外縁まで続くことで形成される。丸面取りは、それが続く軸方向内面又は外面に接線的に合流する湾曲面で形成される。周方向切欠きの面取りは、高さと幅とによって特徴付けられ、これらは、面取りが続く軸方向内面又は外面の共通の点と周方向切欠きを軸方向に区切る軸方向内縁又は外縁との間の半径方向距離及び軸方向距離にそれぞれ等しい。
【0037】
一部の実施形態では、当該又は各横方向切欠きは面取りされる。言い換えれば、各横方向切欠きは、当該横方向切欠きを周方向に区切り、当該横方向切欠きを半径方向内方に区切る底面で互いに繋がれる前面及び後面によって、半径方向に画定される。横方向切欠きの面取りは、直線面取り又は丸面取りとすることができる。直線面取りは、前面及び後面に対して傾斜している平坦面が、横方向切欠きを周方向に区切る前縁又は後縁まで続くことで形成される。丸面取りは、これが続く前面又は後面に接線的に合流する湾曲面で形成される。横方向切欠きの面取りは、高さ及び幅によって特徴付けられ、これらは、面取りが続く前面又は後面の共通の点と、横方向切欠きを周方向に区切る前縁又は後縁との間の、半径方向距離及び前面又は後面に垂直な方向の距離にそれぞれ等しい。
【0038】
従来の方法では、トレッドの軸方向端は、欧州タイヤ及びリム技術機構、すなわち「ETRTO」規格(2019)の意味において、公称リムに取り付けられ、その公称圧力まで膨らんだ無負荷タイヤが走行する地面と接触するトレッド面のタイヤの軸方向端として決定される。トレッド面とタイヤの残部との間に明らかな境界がある場合、トレッドの軸方向端は簡単に決定される。トレッド面がタイヤのサイドウォールの外面と連続している場合、トレッドの各軸方向端は、トレッド面への接線と軸方向との成す角度が30°に等しい点を通過する。子午断面において、その角度が絶対値で30°に等しい点が複数存在する場合、半径方向最外点が採用される。
【0039】
本発明によるタイヤは、タイヤの回転軸と実質的に一致する回転軸を中心とするトロイダル形状を有する。この回転軸は、当業者が従来から使用している3つの方向、軸方向、周方向及び半径方向を規定する。
【0040】
「軸方向」という表現は、タイヤの回転軸に実質的に平行な方向、すなわちタイヤの回転軸を意味する。
【0041】
「周方向」という表現は、軸方向に対してもタイヤの半径に対しても実質的に垂直な(言い換えれば、タイヤの回転軸を中心とする円に接する)方向を意味する。
【0042】
「半径方向」という表現は、タイヤの半径に沿う方向、つまり、タイヤの回転軸と交差してその軸に対して実質的に垂直なあらゆる方向を意味する。
【0043】
正中面(Mで示す)という表現は、2つのビードの軸方向中間に位置しクラウン補強体の軸方向中央を通る、タイヤの回転軸に対して垂直な平面を意味すると理解される。
【0044】
タイヤの赤道周面(Eと表記)という表現は、子午断面において、正中面及び半径方向に垂直な、タイヤの赤道を通る平面を意味すると理解される。タイヤの赤道は、子午断面(周方向に垂直で半径方向及び軸方向に平行な平面)において、タイヤの回転軸に平行であり、地面と接触するように意図したトレッドの半径方向最外点と、支持体と接触するように意図したタイヤの半径方向最内点との間で等距離に位置する軸であり、これら2点間の距離はHに等しい。
【0045】
子午面とは、タイヤの回転軸に平行でそれを含み、周方向に垂直な平面であると理解される。
【0046】
「からの半径方向内側に」及び「からの半径方向外側に」は、それぞれ、「からよりもタイヤの回転軸に近い」及び「からよりもタイヤの回転軸から遠い」を意味すると理解される。「からの軸方向内側に」及び「からの軸方向外側に」は、それぞれ、「からよりもタイヤの正中面に近い」及び「からよりもタイヤの正中面から遠い」を意味すると理解される。
【0047】
ビードとは、タイヤを取付け支持体に、例えばリムを備えたホイールに取り付けることができるように意図されたタイヤの部分であると理解される。従って、各ビードは特に、タイヤの取付けを可能にするリムのフランジと接触することが意図される。
【0048】
表現「aとbとの間」で示す値の範囲は、aより大からbより小に広がる(つまり、端点a及びbを除外する)値の範囲を表すのに対して、表現「aからbまで」で示す値の範囲は、aからbまで広がる(つまり、厳密な端点a及びbを含む)値の範囲を意味する。
【0049】
本発明の特定の好ましい実施形態では、本タイヤは、欧州タイヤ及びリム技術機構、又は「ETRTO」規格(2019)に準拠して規定された乗用車に向けられる。このようなタイヤは、欧州タイヤ及びリム技術機構又は「ETRTO」規格(2019)に準拠して、断面高さH及び公称断面幅Sによって特徴付けられる子午断面内に断面を有し、その場合、パーセンテージで表される比率H/Sが最大で90に等しく、好ましくは最大で80に等しく、より好ましくは最大で70に等しく、少なくとも30に等しく、好ましくは少なくとも40に等しく、公称断面幅Sは、少なくとも115mmに等しく、好ましくは少なくとも155mmに等しく、より好ましくは少なくとも175mmに等しく、最大で285mmに等しく、好ましくは最大で315mmに等しく、より好ましくは最大で285mmに等しく、さらにより好ましくは最大で55mmに等しいようになっている。さらに、タイヤの取付けリムの直径を規定するリムフランジにおける直径Dは、少なくとも12インチに等しく、好ましくは少なくとも16インチに等しく、最大で24インチに等しく、好ましくは最大で20インチに等しい。
【0050】
特に乗用車用及び多目的車用のタイヤの場合に、主周方向切欠きは、比較的幅広の主周方向溝であり、穿孔のリスクが非常に高く、従って本発明が特に有利となる実施形態では、当該又は各主周方向切欠きは、1.0mm以上、好ましくは5.0mm以上、より好ましくは8.0mm以上、さらにより好ましくは8.0mmから20.0mmmの範囲にある軸方向幅を有する。
【0051】
特に乗用車用及び多目的車用のタイヤの場合に、主周方向切欠きは、比較的深く、穿孔のリスクが非常に高く、従って本発明が特に有利となる実施形態では、当該又は各主周方向切欠きは、4.0mmからトレッドパターン高さまでの範囲、好ましくは5.0mmからトレッドパターン高さまでの範囲、より好ましくは5.5mmからトレッドパターン高さまでの範囲にある深さを有する。
【0052】
有利には、自己封止製造物の層は、起こり得る孔を効果的に封止することができるように、主周方向切欠きの近くで、主周方向切欠きの軸方向幅に対して有意な軸方向幅を有する。従って、自己封止製造物の層は、軸方向厚肉部と呼ばれる少なくとも1つの軸方向部分を備え、この軸方向厚肉部は、当該又は各主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる当該又は各軸方向部分の全部又は一部と少なくとも部分的に一致し、当該又は各軸方向厚肉部は、自己封止製造物の層の半径方向内面曲線上の隣接する2つの変曲点によって軸方向に区切られ、軸方向厚肉部の厚さは、当該変曲点の各々から当該軸方向厚肉部の軸方向内側に向かう方向に増加し、軸方向厚肉部の軸方向幅Wxは、Wx/Lax≧0.50、好ましくはWx/Lax>1.00であるようになっており、ここでLaxは当該主周方向切欠きの軸方向幅である。
【0053】
従って、上記で規定したように、軸方向厚肉部は、主周方向切欠きの軸方向幅よりも小さいが、それでも起こり得る孔を効果的に封止するのに十分な軸方向幅を有することができる。この場合、軸方向厚肉部は、主周方向切欠きと一致して延びる自己封止製造物層の軸方向部分の一部と一致する。同様に、軸方向厚肉部は、好ましくは、主周方向切欠きの軸方向幅以上である軸方向幅を有することができる。この場合、軸方向厚肉部の一部が、主周方向切欠きと一致して延びる自己封止製造物層の軸方向部分と合致する。
【0054】
変曲点とは、子午断面において、自己封止製造物層の半径方向内面曲線の湾曲方向が変化する点を表す。それは、気密層と接触する自己封止製造物層の半径方向内面曲線の終点も同様に表す。当該又は各軸方向厚肉部の軸方向幅は、例えば子午断面で測定した、2つの変曲点間の軸方向における距離である。
【0055】
有利には、Wx/Lax≦4.00、好ましくはWx/Lax≦3.00、より好ましくはWx/Lax≦2.00、さらにより好ましくはWx/Lax≦1.50、非常に好ましくはWx/Lax≦1.25である。タイヤの重量を過度に増加させないために、特にタイヤのショルダ部でのパンク防止性能を最適化するのに好ましいことが判明していない限り、軸方向に過度に幅広の軸方向厚肉部を設けないことが好ましい。従って、軸方向最外の主周方向切欠きに対応する軸方向厚肉部は上記の条件を満たさない可能性があるのに対し、他の主周方向切欠きに対応する他の軸方向厚肉部はそれらの条件を満たすことができる。
【0056】
一部の好ましい実施形態では、Ea≧1.10×Eb、好ましくはEa≧1.30×Eb、より好ましくはEa≧1.50×Ebである。Eaの所与の値に対して、比率Ea/Ebが大きいほど、リブと一致して軸方向に延びる軸方向部分の平均厚さEbは小さくなり、質量の利益は大きくなる。Ebの所与の値に対して、比率Ea/Ebが大きいほど、主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる軸方向部分の平均厚さEaが大きくなり、これにより、主周方向切欠きに起こり得る孔に関する封止の有効性が促進される。
【0057】
特定の実施形態では、Ea≦5.00×Eb、好ましくはEa≦4.00×Eb、より好ましくはEa≦2.50×Ebである。Eaの所与の値に対して、比率Ea/Ebが小さいほど、リブと一致して軸方向に延びる軸方向部分の平均厚さEbが大きくなり、相対的には少ないとしてもやはり存在する、リブに起こり得る孔に関する封止の有効性が向上する。Ebの所与の値に対して、比率Ea/Ebが小さいほど、主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる部分の平均厚さEaが減少し、これにより、自己封止製造物の質量を低減することが可能になる。
【0058】
上記のように、質量の利益と、主周方向切欠きにおける起こり得る孔に関する封止の有効性との妥協点を最大にすることを可能にする実施形態では、Ea-Eb≧0.5mm、好ましくはEa-Eb≧1.0mmである。
【0059】
上述した乗用車用及び多目的車用のタイヤにおいて、各平均厚さEaは、有利には2.0mmから5.0mmまで、好ましくは2.5mmから4.5mmまでの範囲にあり、平均厚さEbは、有利には0.5mmから4.0mmまで、好ましくは1.0mmから3.0mmまでの範囲にある。
【0060】
有利には、当該又は各リブは、軸方向内端と軸方向外端とによって軸方向に区切られ、各軸方向内端及び外端は、
-トレッドの軸方向端、及び
-主周方向切欠き(複数可)の軸方向内端又は外端、
から選択され、リブの軸方向内端及び外端は、互いに隣接する端部である。
【0061】
トレッドの軸方向端と、主周方向切欠きの軸方向内端又は外端によって軸方向に区切られたリブの場合、それがトレッドの側部に位置することから、一般に側方リブと呼ぶことになる。主周方向切欠きの軸方向内端又は外端と、別の主周方向切欠きの隣接する軸方向外端又は内端とによって軸方向に区切られたリブの場合、それがトレッドの中央部に位置することから、一般に中央リブと呼ぶことになる。
【0062】
トレッドの当該又は各リブを中央リブと記載することで、タイヤの正中面に関するその位置決めが制限されることはない。
【0063】
「隣接する端部」という表現は、隣接する端部の軸方向間に主周方向切欠きの軸方向内端又は外端が配置されないことを意味すると理解されよう。
【0064】
トレッドが、1又は2以上の中央リブを軸方向に区切る、複数の主周方向切欠きを備える実施形態では、自己封止製造物層の厚さが、主周方向切欠きと一致して位置する場合の相対的に大きな平均厚さと、リブ(複数可)と一致して位置する場合の相対的に小さな平均厚さとの間で変化するように提供されることが有利である。従って、トレッドは、
-Nをタイヤ上に存在する主周方向切欠きの総数とした場合に、1からNまでの範囲にあるiについて、Hai/Hs≧50%、好ましくはHai/Hs≧75%、より好ましくはHai/Hs≧90%となるような深さHaiをそれぞれ有するN>1個の主周方向切欠きと、
-Qをタイヤ上に存在する中央リブの総数とした場合に、Q=N-1≧1個の中央リブであって、当該又は各中央リブが、隣接する2つの主周方向切欠きの軸方向間に配置され、隣接する2つの主周方向切欠きによって軸方向に区切られる中央リブと、
を備え、自己封止製造物の層は、
-各々がN個の主な周方向切欠きの1つと一致して軸方向に延び、各々が自己封止製造物の平均厚さEai>0を有するN>1個の軸方向部分と、
-Q=N-1≧1個の軸方向部分(複数可)であって、各々がQ個の中央リブ(複数可)の1つと一致して軸方向に延び、1からQまでの範囲にあるjについて各々が自己封止製造物の平均厚さEbj≧0を有し、N個の主周方向切欠きのうちの2つと一致して軸方向に延びる自己封止製造物層の隣接する2つの軸方向部分の軸方向間に配置され、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ebj<Eaiであるようになっている軸方向部分と、
を備える。
【0065】
この実施形態では、1つの変形形態において、Ea1=Ea2=・・・EaN、及びEb1=Eb2=・・・EbQであり、従って、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の100%に対して関係Ebj<Eaiが満たされる。別の変形形態では、Eaiの特定の値は、自己封止製造物の層に望まれる有効性と質量の利益との妥協点に応じて他の値と異なることができ、質量の利益を最大にすることが望まれる場合、関係Ebj<Eaiは、各iの値について、jの値の少なくとも50%に対して、好ましくはjの値の100%に対して満たされるとすることができる。同様に、同じ理由で、Ebjの特定の値は他の値と異なることができる。
【0066】
「隣接する主周方向切欠き」とは、隣接する主周方向切欠き同士の軸方向間に主周方向切欠きが配置されないことを意味すると理解されよう。同様に、「N個の主周方向切欠きのうちの2つの主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる隣接する軸方向部分」とは、N個の主周方向切欠きのうちの1つと一致して軸方向に延びる軸方向部分が、隣接する軸方向部分同士の軸方向間に配置されないことを意味すると理解されよう。
【0067】
上記に示したように、質量の利益と、主周方向切欠きに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする特定の実施形態では、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Eai≧1.10×Ebj、好ましくはEai≧1.30×Ebj、より好ましくはEai≧1.50×Ebjであるようになっている。
【0068】
上記に示したように、質量の利益と、リブに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする別の実施形態では、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Eai≦5.00×Ebj、好ましくはEai≦4.00×Ebj、より好ましくはEai≦2.50×Ebjであるようになっている。
【0069】
上述のように、質量の利益と、主周方向切欠きに起こり得る孔に関する封止の有効性との妥協点を最大にすることを可能にする実施形態では、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Eai-Ebj≧0.5mm、好ましくはEai-Ebj≧1.0mmであるようになっている。
【0070】
既に上記に示したように、上述した乗用車用及び多目的車用のタイヤにおいて、各平均厚さEaiは、有利には2.0mmから5.0mmまで、好ましくは2.5mmから4.5mmまでの範囲にあり、平均厚さEbjは、有利には0.5mmから4.0mmまで、好ましくは1.0mmから3.0mmまでの範囲にある。
【0071】
乗用車用及び多目的車用のほとんどのタイヤでは、N=2、3又は4である。
【0072】
当該又は各中央リブにおける穿孔のリスクを低減し、ひいては当該又は各中央リブと一致する自己封止製造物の質量を低減できるようにするために、当該又は各中央リブは、横方向切欠きを欠くか又は横方向切欠きを備えており、それぞれ、中央リブの横方向切欠き数の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは100%について、以下の条件のうちの少なくとも1つを満たす:
-中央リブの横方向切欠きは、厳密に1.6mm未満、好ましくは厳密に1.0mm未満、より好ましくは厳密に0.7mm未満の幅を有する、
-中央リブの横方向切欠きは、H/Hs<50%、好ましくはH/Hs≦30%となるような深さHを有する。
【0073】
特定の実施形態では、トレッドは、
-N個の主周方向切欠きとQ個の中央リブとを備える軸方向中央部であって、各軸方向最外の軸方向主周方向切欠きの各軸方向外端によって軸方向に区切られる軸方向中央部と、
-タイヤの正中面に関して軸方向中央部の各軸方向側に1つずつ軸方向中央部の軸方向外側に配置された第1及び第2の軸方向側部であって、トレッドの各軸方向端から各軸方向最外の軸方向主周方向切欠きの軸方向外端まで軸方向に延びる第1及び第2の軸方向側部と、を備え、
各第1及び第2の軸方向側部はそれぞれ、第1及び第2の側方リブを備え、第1及び第2の側方リブの少なくとも1つは、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠きを備え、
自己封止製造物の層は、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠きを備える第1又は第2の側方リブと一致して軸方向に延びて自己封止製造物の平均厚さEc>0を有する少なくとも1つの軸方向部分を備え、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ebj<Ecであるようになっている。
【0074】
これらの実施形態では、主周方向切欠き(複数可)及び中央リブ(複数可)とは別に、タイヤは他の軸方向部分、この例では第1及び第2の側方リブを備え、側方リブ(複数可)に作られた相対的に深い横方向切欠きの存在により、穿孔のリスクがある。これら第1及び第2の側方リブにおける穿孔に対する有効性を保証するために、先の実施形態は、第1及び第2の側方リブの少なくとも1つと一致する自己封止製造物層の軸方向部分を備える。
【0075】
これらの実施形態では、1つの変形形態において、Eb1=Eb2=・・・EbQであり、従って、1からQまでの範囲にあるjの値の100%に対して、関係Ebj<Ecが満たされる。別の変形形態では、Ebiの特定の値は、自己封止製造物の層に望まれる有効性と質量の利益との妥協点に応じて他の値と異なることができ、質量の利益を最大にすることが望まれる場合、関係Ebj<Ecは、jの値の少なくとも50%に対して、好ましくはjの値の75%に対して、より好ましくはjの値の100%に対して満たされることになる。
【0076】
質量の利益と、側方リブに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする特定の実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec≧1.10×Ebj、好ましくはEc≧1.30×Ebj、より好ましくはEc≧1.50×Ebjであるようになっている。
【0077】
上記に示したように、質量の利益と、各中央リブに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする別の実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec≦5.00×Ebj、好ましくはEc≦4.00×Ebj、より好ましくはEc≦2.50×Ebjであるようになっている。
【0078】
上述のように、質量の利益と、側方リブに起こり得る孔に関する封止の有効性との妥協点を最大にすることを可能にする実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec-Ebj≧0.5mm、好ましくはEc-Ebj≧1.0mmであるようになっている。
【0079】
好ましくは、各第1及び第2の側方リブは、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%となるような深さHtを有する少なくとも1つの横方向切欠きを備え、自己封止製造物の層は、それぞれ第1及び第2の側方リブと一致して軸方向に延び、Ec1>0且つEc2>0であって、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%がEbj<Ec1且つEbj<Ec2となるような自己封止製造物の平均厚さEc1、Ec2をそれぞれに有する、第1及び第2の軸方向部分を備える。
【0080】
上記に示したように、質量の利益と、各中央リブに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする特定の実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec1≧1.10×Ebj且つEc2≧1.10×Ebj、好ましくはEc1≧1.30×Ebj且つEc2≧1.30×Ebj、より好ましくはEc1≧1.50×Ebj且つEc2≧1.50×Ebjであるようになっている。
【0081】
上記に示したように、質量の利益と、各中央リブに起こり得る孔に関する封止の有効性とを高めることを可能にする別の実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec1≦5.00×Ebj且つEc2≦5.00×Ebj、好ましくはEc1≦4.00×Ebj且つEc2≦4.00×Ebj、より好ましくはEc1≦2.50×Ebj且つEc2≦2.50×Ebjであるようになっている。
【0082】
上述のように、質量の利益と、各側方リブに起こり得る孔に関する封止の有効性との妥協点を最大にすることを可能にする実施形態では、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、より好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec1-Ebj≧0.5mm且つEc2-Ebj≧0.5mm、好ましくはEc1-Ebj≧1.0mm且つEc2-Ebj≧1.0mmであるようになっている。
【0083】
有利には、自己封止製造物の層は、起こり得る孔を効果的に封止することができるように、側方リブの近くで、各側方リブの軸方向幅に対して有意な軸方向幅を有する。従って、自己封止製造物の層は、軸方向厚肉部と呼ばれる少なくとも1つの軸方向部分を備え、当該又は各軸方向厚肉部は、第1及び第2の側方リブの少なくとも1つと、好ましくは各第1及び第2の側方リブと一致して軸方向に延びる当該又は各軸方向部分の全部又は一部と少なくとも部分的に合致し、当該又は各軸方向厚肉部は、自己封止製造物の層の半径方向内面曲線上の隣接する2つの変曲点によって軸方向に区切られ、軸方向厚肉部の厚さは、当該変曲点の各々から当該軸方向厚肉部の軸方向内側に向かう方向に増加し、軸方向厚肉部の軸方向幅Wyは、Wy/Lcy≧0.50、好ましくはWy/Lcy>1.00であり、ここでLcyは当該側方リブの軸方向幅である。
【0084】
従って、上記で規定したように、軸方向厚肉部は、当該第1及び第2の側方リブの一方の、又は各第1及び第2の側方リブの軸方向幅よりも小さいが、それでも起こり得る孔を効果的に封止するのに十分な軸方向幅を有することができる。この場合、軸方向厚肉部は、当該第1及び第2の側方リブの一方と、又は各第1及び第2の側方リブと一致して延びる自己封止製造物層の軸方向部分の一部と合致する。同様に、軸方向厚肉部は、好ましくは、当該第1及び第2の側方リブの一方の、又は各第1及び第2の側方リブの軸方向幅以上である軸方向幅を有することができる。この場合、軸方向厚肉部の一部は、当該第1及び第2の側方リブの一方と、又は各第1及び第2の側方リブと一致して延びる自己封止製造物層の軸方向部分と合致する。
【0085】
特に乗用車用及び多目的車用のタイヤの場合に、横方向切欠きが比較的幅広の横方向溝であり、穿孔のリスクが非常に高く、従って本発明が特に有利となる実施形態では、当該又は各横方向切欠きは、0.7mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.6mm以上の幅を有する。
【0086】
特に乗用車用及び多目的車用のタイヤの場合に、横方向切欠きが比較的深く、穿孔のリスクが非常に高く、従って本発明が特に有利となる実施形態では、当該又は各横方向切欠きは、2.0mmからトレッドパターン高さまでの範囲、好ましくは4.0mmからトレッドパターン高さまでの範囲、より好ましくは5.0mmからトレッドパターン高さまでの範囲にある深さを有する。
【0087】
トレッドの軸方向幅の大部分に亘って自己封止製造物層の効果を最大にするために、自己封止製造物層の各軸方向端は、それぞれトレッドの各軸方向端に対して、トレッドの軸方向幅の20%以下、好ましくは10%以下の距離で、好ましくはトレッドの各軸方向端の軸方向内側に配置される。
【0088】
従来の方法では、タイヤは、クラウンと、2つのサイドウォールと、2つのビードとを備え、各サイドウォールが各ビードをクラウンに連結させる。また従来の方法では、クラウンは、トレッドと、トレッドの半径方向内側に配置されたクラウン補強体とを備える。タイヤはまた、各ビードに固定され、各サイドウォール内を半径方向に及びクラウン内を軸方向に延びるカーカス補強体を備える。
【0089】
従来の方法では、クラウン補強体は、補強要素を含む少なくとも1つのクラウン層を備える。これらの補強要素は、布地又は金属繊維状要素であることが好ましい。
【0090】
ETRTOで規定されるラジアルタイヤとして知られるタイヤの性能的側面を獲得することを可能にする実施形態では、カーカス補強体は、少なくとも1つのカーカス層を備え、当該又は各カーカス層は、カーカス繊維状補強要素を備え、各カーカス繊維状補強要素は、タイヤの周方向と絶対値で80°から90°までの範囲の角度を成す主方向に実質的に沿って延びる。
【0091】
本発明は、単に非限定的な例として図面に関連して与えられる、以下の説明を読むことでより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるタイヤに関する、タイヤの回転軸に平行な子午断面図である。
【
図3】
図1のタイヤの製造方法を説明するタイヤの回転軸に平行な子午断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態によるタイヤに関する、
図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
タイヤの通常の軸方向(Y)、半径方向(Z)及び周方向(X)にそれぞれ対応する基準系X、Y、Zが、タイヤに関する図に示してある。
【0094】
以下の説明では、取得した測定値は、無負荷で非膨張のタイヤに関して又は子午面内のタイヤの部分に関して取得される。
【0095】
図1は、本発明による、参照番号10で表されるタイヤを示す。タイヤ10は、軸方向Yと実質的に平行な回転軸の周りに実質的なトライダル形状を有する。タイヤ10は、乗用車向けであり、サイズ245/45R18を有する。様々な図において、タイヤ10は新品として、つまりまだ走行していないものとして示される。
【0096】
タイヤ10はクラウン12を備え、クラウン12は、走行時に地面と接触することが意図されたトレッド14と、クラウン12内を周方向Xに延びるクラウン補強体16とを備える。タイヤ10はまた、膨張ガスに対して気密な層18を備え、この気密層は、ひとたびタイヤ10が取付け支持体、例えばリムに取り付けられると、タイヤ10の取付け支持体で閉じられた内部空洞を区切ることが意図されている。
【0097】
クラウン補強体16は、ワーキング補強体20とフープ補強体22とを備える。ワーキング補強体16は、少なくとも1つのワーキング層を備え、この場合、2つのワーキング層を備え、半径方向外側ワーキング層26と、その半径方向内側に配置された半径方向内側ワーキング層24とを備える。
【0098】
フープ補強体22は、少なくとも1つのフーピング層を備え、この場合、1つのフーピング層28を備える。
【0099】
クラウン補強体16は、半径方向にトレッド14を載せている。この場合、フープ補強体22、この事例ではフーピング層28は、ワーキング補強体20の半径方向外側に配置され、従って半径方向でワーキング補強体20とトレッド14との間に挿入される。
【0100】
タイヤ10は、クラウン12を半径方向内方へ延長する2つのサイドウォール30を備える。タイヤ10はまた、サイドウォール30の半径方向内側に2つのビード32を有する。各サイドウォール30は、各ビード32をクラウン12に連結させる。
【0101】
タイヤ10は、各ビード32に固定された、この例ではビードワイヤ33の周りに巻き付けられたカーカス補強体34を備える。カーカス補強体34は、各サイドウォール30内で半径方向に、クラウン12内で軸方向に、及びクラウン補強体16の半径方向内側に延びる。クラウン補強体16は、半径方向にトレッド14とカーカス補強体34との間に配置される。カーカス補強体34は、少なくとも1つのカーカス層36を備える。
【0102】
各ワーキング層24、26、フーピング層28及びカーカス層36は、対応する層の1又は2以上の繊維状補強要素が埋め込まれたエラストマ母材を備える。
【0103】
フープ補強体22、この事例ではフーピング層28は、1又は2以上のフーピング繊維状補強要素を備え、それらは、主方向において周方向へ螺旋状に巻かれ、タイヤ10の周方向Xと、絶対値で10°以下、好ましくは7°以下、より好ましくは5°以下である角度AFを成す。この場合、AF=-5°である。
【0104】
半径方向内側ワーキング層24と半径方向外側ワーキング層26の各々は、主方向に延びてそれぞれに反対向きの角度AT1及びAT2を成すワーキング繊維状補強要素を備え、それらの角度は、タイヤ10の周方向Xに対して、絶対値で厳密には10°より大きい、好ましくは15°から50°までの範囲の、より好ましくは15°から39°までの範囲の角度である。この場合、AT1=-26°であり、AT2=+26°である。
【0105】
カーカス層36は、主方向D3に延びてタイヤ10の周方向Xと、絶対値で60°以上、好ましくは80°から90°までの範囲にある、この場合、AC=+90°である角度ACを成すカーカス繊維状補強要素を備える。
【0106】
各フーピング繊維状補強要素は従来、2つの多繊維プライを備え、各多繊維プライは、脂肪族ポリアミド、この例ではナイロンの単繊維の紡績糸で構成されて番手が140texに等しく、これら2つの多繊維プライは、一方向に1m当たり250巻きで螺旋状に個々に撚られ、次いで反対方向に1m当たり250巻きで螺旋状に撚り合わされる。これら2つの多繊維プライは、互いに螺旋状に巻かれる。変形形態として、脂肪族ポリアミド、この事例ではナイロンの単繊維の紡績糸で構成されて番手が140texに等しい1つの多繊維プライと、芳香族ポリアミド、この事例ではアラミドの単繊維の紡績糸で構成されて番手が167texに等しい1つの多繊維プライと、を備えるフーピング繊維状補強要素を利用することができ、これら2つの多繊維プライは、一方向に1m当たり290巻きで螺旋状に個々に撚られ、次いで反対方向に1m当たり290巻きで螺旋状に撚り合わされる。これら2つの多繊維プライは、互いに螺旋状に巻かれる。この変形形態は、AT1=-29°とAT2=+29°を与えることになる。
【0107】
各ワーキング繊維状補強要素は、2本の鋼製単繊維を14mmのピッチで螺旋状に巻いた集合体であり、各鋼製単繊維は0.30mmに等しい直径を有する。変形形態として、0.23mmに等しい直径を有し、第1方向、例えばZ方向に12.5mmのピッチで螺旋状に互いに巻かれた2本の単繊維の内層と、第1方向とは反対の第2方向、例えばS方向に12.5mmのピッチで内層の周りに螺旋状に巻き付けられた4本の単繊維の外層とを備えた6本の鋼製単繊維の集合体を利用することができる。別の変形形態では、各ワーキング繊維状補強要素は、0.30mmに等しい直径を有する1本の鋼製単繊維で構成される。より一般的には、鋼製単繊維は、0.25mmから0.32mmまでの範囲の直径を有する。
【0108】
各カーカス繊維状補強要素は従来、2つの多繊維プライを備えており、各多繊維プライがポリエステル、この事例ではPETの単繊維の紡績糸で構成され、これら2つの多繊維プライは、個々に一方向に1m当たり240巻きで螺旋状に撚られた後で、反対方向に1m当たり240巻きで撚り合わされる。これら多繊維プライの各々は、220texに等しい番手を有する。他の変形形態では、144texに等しい番手と1m当たり420巻きに等しい撚り、或いは334texに等しい番手と1m当たり270巻きに等しい撚りを利用することができる。
【0109】
図1及び2を参照すると、トレッド14はトレッド面38を備え、それによってトレッド14が地面と接触する。トレッド面38は、タイヤ10が走行する時に路面と接触することが意図される。トレッドは、正中面Mの各側に配置された各点Nを通る第1及び第2の軸方向縁41、42によって軸方向に区切られ、その場合、この点を通るトレッド面38に対する接線Tと、軸方向Yに平行な直線Rとの角度は30°に等しい。
【0110】
トレッド14は、軸方向中央部P0と、タイヤ10の正中面Mに関して軸方向中央部P0の各軸方向側に1つずつ軸方向中央部P0の軸方向外側に配置された第1及び第2の軸方向側部P1、P2と、を備える。
【0111】
図示の実施形態に特有のものではないが、軸方向中央部P0は、新品時のタイヤ10に関するトレッド面38の軸方向幅Lの50%以上、好ましくは60%以上であり、80%以下、好ましくは70%以下である軸方向幅L0を有する。各第1及び第2の軸方向側部P1、P2は、新品時のタイヤ10に関するトレッド面38の軸方向幅Lの25%以下、好ましくは20%以下であり、5%以上、好ましくは10%以上である軸方向幅L1、L2を有する。中央部P0の軸方向幅L0と、各第1及び第2の軸方向側部P1、P2の軸方向幅L1、L2との比は、3.0以上、好ましくは3.0から5.0までの範囲、より好ましくは4.0から4.5までの範囲にある。
【0112】
軸方向中央部P0は、N>1個の主周方向切欠き、この事例ではN個の主周方向溝を備え、それぞれ参照番号52、54、56、58で表す第1、第2、第3及び第4の主周方向切欠きを備えている。第1及び第2の主周方向切欠き52、54は、タイヤ10の正中面Mの各軸方向側に1つずつ配置され、トレッド14の軸方向最外の主周方向切欠きである。
【0113】
各主周方向切欠き52から58は、それぞれ参照番号521、541、561、581で表される軸方向外端と、それぞれ参照番号522、542、562、582で表される軸方向内端とによって軸方向に区切られる。軸方向中央部P0は、第1主周方向切欠き52の軸方向外端521から、第2主周方向切欠き54の軸方向外端541まで軸方向に延びる。
【0114】
各主周方向切欠き52から58は、それぞれ参照番号Ha1、Ha2、Ha3、Ha4で表され、4.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、好ましくは5.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、より好ましくは5.5mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲にある深さを有する。各深さHa1、Ha、Ha3、Ha4は、トレッドパターン高さHsの50%以上である。この事例では、Hs=Ha3=Ha4=6.5mm、Ha1=Ha2=6.0mmである。従って、各主周方向切欠き52、54、56、58は、Hs=6.5mmのため、Hai/Hs≧75%であるようになっており、この事例ではHai/Hs≧90%であるようになっている(iは1から4までの範囲)。
【0115】
各主周方向切欠き52から58は、それぞれ参照番号La1、La2、La3、La4で表され、1.0mm以上、好ましくは5.0mm以上、より好ましくは8.0mm以上、さらにより好ましくは8.0mmから20.0mmまでの範囲にある軸方向幅を有する。この事例では、La1=La2=10.0mm、La3=La4=12.5mmである。
【0116】
軸方向中央部P0は、Q=N-1≧1個の中央リブ、この事例では、それぞれ参照番号62、64、66で表される第1、第2及び第3の中央リブを備える。各中央リブ62、64、66は、隣接する2つの主周方向切欠き52から58の軸方向間に配置され、隣接する2つの主周方向切欠き52から58によって軸方向に区切られる。
【0117】
各中央リブ62、64、66は、軸方向内端及び軸方向外端によって軸方向に区切られ、各軸方向内端及び軸方向外端は各々、主周方向切欠き52から58の軸方向内端又は軸方向外端である。各中央リブ62、64、66の軸方向内端及び外端は、互いに隣接している。この特定の事例では、第1中央リブ62は、第1主周方向切欠き52の軸方向内端522と、第3主周方向切欠き56の軸方向外端561とによって軸方向に区切られる。第2中央リブ64は、第3主周方向切欠き56の軸方向内端562と、第4主周方向切欠き58の軸方向内端582とによって軸方向に区切られる。第3中央リブ66は、第4主周方向切欠き58の軸方向外端581と、第2主周方向切欠き54の軸方向内端542とによって軸方向に区切られる。
【0118】
軸方向中央部P0は、中央リブ62、64、66に形成された付加的な周方向切欠きを備える。この事例では、各中央リブ62、64、66は、それぞれ付加的な周方向切欠き71、72、73を備える。各付加的な周方向切欠き71、72、73は、厳密にはトレッドパターン高さHsの50%未満、好ましくはトレッドパターン高さHsの30%以下、より好ましくはトレッドパターン高さHsの10%から30%までの範囲、この場合には1.0mmから4.0mmまでの範囲にある深さを有し、この事例では2.0mmに等しい深さを有する。各付加的な周方向切欠き71、72、73は、各中央リブ62、64、66の各軸方向幅のそれぞれ4%から15%まで、好ましくは4%から10%までの範囲、この場合には3.0mm以下、好ましくは1.0mmから3.0mmまでの範囲にあるそれぞれの軸方向幅を有し、この事例では1.0mmに等しい軸方向幅を有する。
【0119】
さらに、各中央リブ62、64、66は横方向切欠き74、75、76を備え、それらは、各中央リブ62、64、66の横方向切欠き74、75、76の数の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは100%に関して、以下の条件の少なくとも1つを満たす:
-中央リブの横方向切欠きは、厳密に1.6mm未満、好ましくは厳密に1.0mm未満、より好ましくは厳密に0.7mm未満の幅を有する、
-中央リブの横方向切欠きは、H/Hs<50%、好ましくはH/Hs≦30%となるような深さHを有する。
【0120】
この特定の事例では、各中央リブ62、64、66は、各中央リブ62、64、66の横方向切欠き74、75、76の数の100%に関して、各横方向切欠き74、75、76が厳密に0.7mm未満の幅を有するという条件を満たす横方向切欠き74、75、76を備える。この点で、各中央リブ62、64、66は、僅かに切り取られると言及される。
【0121】
第1軸方向側部P1は、トレッド14の第1軸方向端41から、第1主周方向切欠き52の軸方向外端521まで軸方向に延びる。第2軸方向側部P2は、トレッド14の第2軸方向端42から、第2主周方向切欠き54の軸方向外端541まで軸方向に延びる。
【0122】
各第1及び第2の軸方向側部P1、P2はそれぞれ、参照番号68、70で表される第1及び第2の側方リブを備え、この例ではそれぞれ各第1及び第2の側方リブ68、70で構成されている。このように、タイヤ10は、P=2>1個の側方リブを備える。従って、第1側方リブ68は、2つの互いに隣接する端部によって、この例ではトレッド14の軸方向端41と第1主周方向切欠き52の軸方向外端521とによって、軸方向に区切られる。第2側方リブ70は、2つの互いに隣接する端部によって、この例ではトレッド14の軸方向端42と第2主周方向切欠き54の軸方向外端541とによって、軸方向に区切られる。各第1及び第2の側方リブ68、70は、それぞれ参照番号Lc1、Lc2で表される軸方向幅を有し、ここではLc1=Lc2=33mmが当てはまる。
【0123】
各第1及び第2の側方リブ68、70は、Ht/Hs≧50%、好ましくはHt/Hs≧75%、より好ましくはHt/Hs≧90%となるような深さHtを有する横方向切欠き77、78を備える。各横方向切欠き77、78は、2.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、好ましくは4.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、さらにより好ましくは5.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲にある深さHtを有し、この事例では、Ht=6.0mmである。各横方向切欠き77、78は、0.7mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.6mm以上の幅を有する。この点で、各側方リブ68、70は、深く切り取られると言及される。
【0124】
図1を参照すると、タイヤ10は、気密内部層18の一部の半径方向内側を周方向に、且つ少なくとも部分的にトレッド14と一致して延びる自己封止生成物層80も備えている。自己封止製造物は先行技術から公知であり、特に、国際公開第2020/009849号、国際公開第2011/092122号及び国際公開第2011/092123号に記載される製造物の中から選択することができる。自己封止製造物の層は、トレッド14の各軸方向端41、42に関連して、それぞれトレッドの軸方向幅の20%以下、好ましくは10%以下の軸方向距離でそれぞれ配置された2つの軸方向端81、82によって軸方向に区切られる。この例では、各軸方向端81、82が各軸方向端81、82の軸方向内側に配置される実施形態が優先されるとしても、各軸方向端81、82は、各端部41、42とそれぞれ半径方向に整列する。
【0125】
自己封止製造物の層80は、L≧1、この例ではL=4>1個の、軸方向厚肉部と呼ばれる、この事例では参照番号90、92、94、96で表される軸方向部分、さらに、M≧1、この例ではM=3>1個の、軸方向薄肉部と呼ばれる、この事例では参照番号100、102、104で表される軸方向部分を備える。
図1に示すように、各軸方向厚肉部及び軸方向薄肉部は、自己封止製造物の層80の半径方向内面曲線89上にある2つの変曲点81、82、83、84、85、86、87、88によって区切られる。各軸方向厚肉部90から96は、各軸方向厚肉部90から96の厚さが当該変曲点の各々から各軸方向厚肉部の軸方向内側に向かう方向に増加するように、隣接する2つの変曲点によって軸方向に区切られる。各軸方向薄肉部100から104は、各軸方向薄肉部100から104の厚さが当該変曲点の各々から当該軸方向薄肉部の軸方向内側に向かう方向に減少するように、隣接する2つの変曲点によって軸方向に区切られる。
【0126】
各軸方向厚肉部90から96及び軸方向薄肉部100から104は、自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%に亘って、本例では100%に亘って、周方向に連続して延びる。各軸方向厚肉部90、92、94、96のそれぞれの平均厚さEE1、EE2、EE3、EE4と、各軸方向薄肉部100、102、104のそれぞれの平均厚さEM1、EM2、EM3は、自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%に亘って、本例では100%に亘って、周方向に実質的に一定である。この例では、EE1=EE2=EE3=EE4=3.45mm、EM1=EM2=EM3=1.95mmである。 各軸方向厚肉部90、92、94、96は、それぞれに各主周方向切欠き52、54、56、58と一致して軸方向に延びる軸方向部分90’、92’、94’、96’をそれぞれに備える。このように、自己封止製造物の層80は、N個の主周方向切欠き52から58のうちの1つと軸方向に一致して延びる、N=4個の軸方向部分90’から96’を備える。各軸方向部分90’から96’は、自己封止製造物の平均厚さEai>0を有する(iは1から4までの範囲)。この例では、Ea1=Ea2=Ea3=Ea4=3.50mmである。
【0127】
各軸方向厚肉部90、92はまた、第1及び第2の側方リブ68、70と一致して軸方向に延びる軸方向部分90”、92”をそれぞれに備える。各部分90”、92”はそれぞれ、平均厚さEc1>0、Ec2>0を有する。この例では、Ec1=Ec2=3.50mmである。
【0128】
各軸方向薄肉部102、102、104は、それぞれに各中央リブ62、64、66と一致して軸方向に延びる軸方向部分100’、102’、104’をそれぞれに備える。このように、自己封止製造物の層80は、Q個の中央リブ62、64、66のうちの1つと軸方向に一致して延びる、Q=N-1=3個の軸方向部分100’、102’、104’を備える。各軸方向部分100’、102’、104’は、隣接する2つの軸部分90’から96’の軸方向間に配置される。各軸方向部分100’、102’、104’は、自己封止製造物の平均厚さEbj≧0を有する(jは1から3までの範囲)。この例では、Eb1=Eb2=Eb3=2.00mmである。
【0129】
1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、この事例では1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ebj<Eai、Ebj<Ec1及びEbj<Ec2であるようになっていることに留意されたい。
【0130】
また、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、この事例では1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、一方で、Eai≧1.10×Ebj、好ましくはEai≧1.30×Ebj、より好ましくはEai≧1.50×Ebjであり、他方では、Eai≦5.00×Ebj、好ましくはEai≦4.00×Ebj、より好ましくはEai≦2.50×Ebjであるようになっていることにも留意されたい。この事例では、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Eai/Ebj=1.75であるようになっている。
【0131】
また、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、この事例では1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、一方で、Ec1≧1.10×Ebj且つEc2≧1.10×Ebj、好ましくはEc1≧1.30xEbj且つEc2≧1.30xEbj、より好ましくはEc1≧1.50xEbj且つEc2≧1.50xEbjであり、他方では、Ec1≦5.00xEbj且つEc2≦5.00xEbj、好ましくはEc1≦4.00xEbj且つEc2≦4.00xEbj、さらに好ましくはEc1≦2.50xEbj且つEc2≦2.50xEbjであるようになっていることにも留意されたい。この事例では、1からQまでの範囲にあるjの値の100%が、Ec1/Ebj=1.75且つEc2/Ebj=1.75であるようになっている。
【0132】
各軸方向厚肉部90、92、94、96は、少なくとも部分的に、それぞれ各軸方向部分90’、92’、94’、96’の全部又は一部と合致する。この例では、
図1から分かるように、各軸方向厚肉部90、92、94、96は、それぞれ各主周方向切欠き52、54、56、58の軸方向幅以上の軸方向幅を有する。このように、各軸方向厚肉部94、96は、それぞれ軸方向幅W3、W4を有するので、一方では、W3/La3≦4.00且つW4/La4≦4.00、好ましくはW3/La3≦3.00且つW4/la4≦3.00、より好ましくはW3/La3≦2.00且つW2/La2≦2.00、さらにより好ましくはW3/La3≦1.50且つW4/La4≦1.50、非常に好ましくはW3/La3≦1.25且つW4/La4≦1.25である。この例では、W3=W4=13.5mmなので、W3/La3=W4/La4=1.08である。
【0133】
さらに、各軸方向厚肉部90、92は、少なくとも部分的に、各軸方向部分90”、92”の全部又は一部と合致する。この例では、
図1から分かるように、各軸方向厚肉部90、92は、それぞれ各主周方向切欠き90”、92”の軸方向幅以上の軸方向幅を有する。このように、各軸方向厚肉部90、92は、それぞれ軸方向幅W1、W2を有するので、一方では、W1/Lc1≧0.50且つW2/Lc2≧0.50、好ましくはW1/Lc1>1.00且つW2/Lc2>1.00である。この例では、W1=W2=44mmなので、W1/Lc1=W2/Lc2=1.33である。
【0134】
さらに、W1/La1≧0.50且つW2/La2≧0.50、好ましくはW1/La1>1.00且つW2/La2>1.00、この事例ではW1/La1=W2/La2=4.40が当てはまる。
【0135】
様々な軸方向部分90から96、90’から96’、90”、92”、100から104及び100’から104’が満たす条件の全ては、自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、本例では100%に亘って満たされている。
【0136】
各切欠き52から58及び各リブ62から70と一致して延びる自己封止製造物の層の各軸部分90’から96’、90”、92”及び100’から104’は、自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、本例では100%に亘って、周方向に連続して延びる。
【0137】
各軸方向部分90’から96’、90”、92”及び100’から104’の平均厚さEa1からEa4、Ec1、Ec2及びEb1からEb3は、自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、本例では100%に亘って周方向に実質的に一定である。
【0138】
ここで、タイヤ10の製造方法について、
図3を参照しながら説明する。
【0139】
自己封止製造物の層80のない、加硫状態の新しいタイヤを用意する。
【0140】
押出し加工デバイスと、15mmに等しい幅と0.9mmに等しい厚さとを有する自己封止製造物のストリップ200を適用するためのデバイスとを用意する。このようなデバイスは、特に国際公開第2015/173120号に記載されている。変形形態では、自己封止製造物のビーズを使用することが可能である。
【0141】
自己封止製造物のストリップ200は、タイヤの気密層18の半径方向内側に、複数回の周方向巻きによって、この例では33回の周方向巻きによって巻き付けられる。この巻付けステップは、ストリップ200を周方向巻きに巻き付けるための原理に従って実施され、その結果が
図3に示してある。
【0142】
ストリップ200の巻付けは、軸方向端81から始まり、軸方向端82に到達した時に停止する。ストリップ200は、2つの軸方向端81、82の間で中断することなく巻き付けられる。
【0143】
巻付けステップの間、ストリップ200は、自己封止製造物の層80の各軸方向厚肉部90、92、94、96に亘ってNai>1回の半径方向に重ねた周方向巻きによってそれ自身に巻き付けられる(iは1から4までの範囲)。ストリップ200は、自己封止製造物の層80の各軸方向薄肉部100、102、104に亘ってNbj>1回の半径方向に重ねた周方向巻きによってそれ自身に巻き付けられる(jは1からMまでの範囲)。1からLまでの範囲にあるiのいずれの値についても、1からMまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からMまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、この事例では1からMまでの範囲にあるjの値の100%が、Nbj<Naiであるようになっている。この特定の事例では、各軸方向厚肉部90、92についてNa1=Na2=5、各軸方向厚肉部94、96についてNa3=Na4=4、並びに各軸方向薄肉部100、102、104についてNb1=Nb2=Nb3=3が当てはまる。
【0144】
1からLまでの範囲にあるiのいずれの値についても、1からMまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%、好ましくは1からMまでの範囲にあるjの値の少なくとも75%、この事例では1からMまでの範囲にあるjの値の100%が、一方ではNai/Nbj≧1.20、他方ではNai/Nbj≦3.00、好ましくはNai/Nbj≦2.75、より好ましくはNai/Nbj≦2.50であるようになっていることに留意されたい。
【0145】
この巻付けステップを実行するために、巻付け原理は、自己封止製造物の層80の厚さを軸方向に変化させるための複数のパラメータを含む。これらのパラメータには、ストリップ200の巻付けピッチ、ストリップ200を適用するためのデバイスに対するストリップ200の巻付け速度、タイヤ10内にストリップ200を適用するためのデバイスに対するタイヤ10の軸方向移動速度、ストリップ200を押し出すためのデバイスの押出し速度、ストリップ200の幅、さもなければストリップ200の厚さが含まれる。これらのパラメータのうちの1つだけを変化させるか又は複数のパラメータを同時に変化させるかを選択することが可能である。有利には、この場合、ストリップ200の巻付けピッチだけを変化させて、自己封止製造物の層80の厚さを自己封止製造物の層80の周方向長さの少なくとも50%に亘って、好ましくは少なくとも75%に亘って、より好ましくは少なくとも95%に亘って、この事例では100%に亘って軸方向に変化させ、
図3に示す層を得るようにした。ここで、本発明の第2の実施形態によるタイヤについて、
図4を参照して説明する。第1の実施形態と同様の要素は、同一の参照番号で表される。
【0146】
第1の実施形態によるタイヤと比較すると、各軸方向厚肉部90から96は、各主周方向切欠き52から58とそれぞれ一致して軸方向に延びる各軸方向部分90’から96’の部分と、それぞれ完全に合致する。
【0147】
さらに、自己封止製造物の層は、いずれの軸方向薄肉部100、102、104も備えていない。このように、各中央リブ62、64、66とそれぞれ一致して軸方向に延びる各軸方向部分100’、102’、104’は、自己封止製造物の厚さがゼロである。従って、Eb1=Eb2=Eb3=0である。各軸方向部分100’、102’、104’は、軸方向に隣接する軸方向部分90’から96’の2つの軸方向間に配置され、また、2つの軸方向部分90”と92”の軸方向間に配置されている。第2の実施形態によるタイヤ10の製造方法の間、変化させるのは、もはやストリップを取り付けるピッチではなく、軸方向に隣接する軸方向部分90’から96’の間で実質的にゼロとなるストリップ200の厚さである。従って、ストリップ200は、2つの軸方向端81、82の間で、この事例では3度、ストリップ200の中断を伴って巻き付けられる。
【0148】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0149】
具体的には、各中央リブ62、64、66に横方向切欠きのない実施形態を想定することも可能である。この場合、各中央リブ62、64、66は、切り取られないと言うことができる。
【符号の説明】
【0150】
10 タイヤ
12 クラウン
14 トレッド
16 クラウン補強体
18 気密内部層
20 ワーキング補強体
22 フープ補強体
24 半径方向内側ワーキング層
26 半径方向外側ワーキング層
28 フーピング層
30 サイドウォール
32 ビード
33 ビードワイヤ
34 カーカス補強体
36 カーカス層
38 トレッド面
41 トレッドの第1軸方向縁
42 トレッドの第2軸方向縁
52 第1主周方向切欠き
54 第2主周方向切欠き
56 第3主周方向切欠き
58 第4主周方向切欠き
521、541、561、581 各切欠きの軸方向外端
522、542、562、582 各切欠きの軸方向内端
62 第1中央リブ
64 第2中央リブ
66 第3中央リブ
68 第1側方リブ
70 第2側方リブ
71、72、73 各中央リブの付加的な切欠き
74、75、76 (各中央リブの)横方向切欠き
80 自己封止製造物の層
81、82 自己封止製造物の層の軸方向端
81から88 自己封止製造物の層の半径方向内面曲線の変曲点
89 自己封止製造物の層の半径方向内面曲線
90、92、94、96 自己封止製造物の層の軸方向厚肉部
90’、92’、94’、96’ 厚肉部の各主周方向切欠きと並ぶ軸方向部分
90”、92” 第1及び第2の側方リブと一致して軸方向に延びる軸方向部分
100、102、104 自己封止製造物の層の軸方向薄肉部
100’、102’、104’ 薄肉部の各中央リブと並ぶ軸方向部分
L0 軸方向中央部の軸方向幅
L1 第1軸方向側部の軸方向幅
L2 第2軸方向側部の軸方向幅
La1、La2、La3、La4 各主周方向切欠きの軸方向幅
Lc1 第1側方リブの軸方向幅
Lc2 第2側方リブの軸方向幅
M タイヤの正中面
N 正中面の各側に配置された各点
P0 トレッドの軸方向中央部
P1 トレッドの第1軸方向側部
P2 トレッドの第2軸方向側部
R 点Nを通る軸方向Yに平行な直線
T 点Nを通るトレッド面に対する接線
W1、W2、W3、W4 軸方向厚肉部の軸方向幅
X 周方向
Y 軸方向
Z 半径方向
【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド(14)であって、
Hsをトレッドパターン高さとした場合にHa/Hs≧50%となるような深さHaを有する少なくとも1つの周方向切欠き(52、54、56、58)(主周方向切欠きと呼ぶ)と、
少なくとも1つのリブ(62、64、66)と、
を備えるトレッド(14)と、
気密内部層(18)と、
前記気密内部層(18)の一部の半径方向内側を周方向に延びる自己封止製造物の層(80)と、
を備えるタイヤであって、
前記自己封止製造物の層(80)の周方向長さの少なくとも50%に亘って、前記自己封止製造物の層(80)は、
前記主周方向切欠き(52、54、56、58)と一致して軸方向に延び、自己封止製造物の平均厚さEa>0を有する軸方向部分(90’、92’、94’、96’)と、
前記リブ(62、64、66)と一致して軸方向に延び、Eb<Eaとなるような自己封止製造物の平均厚さEb≧0を有する軸方向部分と、
を備える、タイヤ(10)。
【請求項2】
前記主周方向切欠き(52、54、56、58)又は各主周方向切欠き(52、54、56、58)は、1.0mm以上にある軸方向幅を有する、請求項1に記載のタイヤ(10)。
【請求項3】
前各主周方向切欠き(52、54、56、58)記又は各主周方向切欠き(52、54、56、58)は、4.0mmから前記トレッドパターン高さまでの範囲にある深さを有する、請求項1又は2に記載のタイヤ(10)。
【請求項4】
前記自己封止製造物の層(80)は、軸方向厚肉部と呼ばれる少なくとも1つの軸方向部分(90、92、94、96)を備え、前記各厚肉軸方向部(90、92、94、96)又は各厚肉軸方向部(90、92、94、96)は、前記各主周方向切欠き又は各主周方向切欠きと一致して軸方向に延びる前記各軸方向部分又は各軸方向部分の全部又は一部(90’、92’、94’、96’)と少なくとも部分的に合致し、前記各軸方向厚肉部(90、92、94、96)又は各軸方向厚肉部(90、92、94、96)は、前記自己封止製造物の層の半径方向内面曲線(89)上の隣接する2つの変曲点(81、82、83、84、85、86、87、88)によって軸方向に区切られ、前記軸方向厚肉部(90、92、94、96)の厚さは、前記変曲点の各々から前記軸方向厚肉部(90、92、94、96)の軸方向内側に向かう方向に増加し、前記軸方向厚肉部の軸方向幅Wxは、Laxを前記主周方向切欠き(52、54、56、58)の軸方向幅とした場合に、Wx/Lax≧0.50であるようになっている、請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項5】
Wx/Lax≦4.00である、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項6】
Ea≧1.10×Ebである、請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項7】
Ea≦5.00×Ebである、請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項8】
前記各リブ(62、64、66、68、70)又は各リブ(62、64、66、68、70)は、軸方向内端と軸方向外端とによって軸方向に区切られ、各軸方向内端及び外端は、
前記トレッド(14)の軸方向端(81、82)、及び
前記主周方向切欠き(複数可)(52、54、56、58)の軸方向内端又は外端(521、522、541、542、561、562、581、582)、
から選択され、
前記リブ(62、64、66、68、70)の前記軸方向内端及び外端は、互いに隣接している端部である、請求項1から7のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項9】
前記トレッド(14)は、
Nを前記タイヤ上に存在する主周方向切欠きの総数とした場合に、1からNまでの範囲にあるiについて、Hai/Hs≧50%となるような深さHaiをそれぞれ有するN>1個の主周方向切欠き(52、54、56、58)と、
Qを前記タイヤ上に存在する中央リブの総数とした場合に、Q=N-1≧1個の中央リブ(62、64、66)であって、前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)が、隣接する2つの主周方向切欠き(52、54、56、58)の軸方向間に配置され、前記隣接する2つの主周方向切欠き(52、54、56、58)によって軸方向に区切られる中央リブ(62、64、66)と、
を備え、
前記自己封止製造物の層(80)は、
各々が前記N個の主周方向切欠き(52、54、56、58)の1つと一致して軸方向に延び、各々が自己封止製造物の平均厚さEai>0を有するN>1個の軸方向部分(90’、92’、94’、96’)と、
Q=N-1≧1個の軸方向部分(100’、102’、104’)であって、各々が前記Q個の中央リブ(62、64、66)又はそのうちの1つと一致して軸方向に延び、1からQまでの範囲にあるjについて各々が自己封止製造物の平均厚さEbj≧0を有し、前記N個の主周方向切欠き(52、54、56、58)のうちの2つと一致して軸方向に延びる前記自己封止製造物層(80)の隣接する2つの軸方向部分(90’、92’、94’、96’)の軸方向間に配置され、1からNまでの範囲にある各iの値について、1からQまでの範囲にあるjの値の少なくとも50%が、Ebj<Eaiであるようになっている軸方向部分(100’、102’、104’)と、
を備える、請求項1から8のいずれかに記載のタイヤ(10)。
【請求項10】
前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)は、横方向切欠き(74、75、76)を欠くか又は横方向切欠き(74、75、76)を備え、各々が、前記中央リブ(62、64、66)又は各中央リブ(62、64、66)の横方向切欠き数の少なくとも50%について、以下の条件、
前記中央リブ(62、64、66)の前記横方向切欠き(74、75、76)は、厳密に1.6mm未満の幅を有する、
前記中央リブ(62、64、66)の前記横方向切欠き(74、75、76)は、H/Hs<50%となるような深さHを有する、
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1から9の内のいずれか1項に記載のタイヤ(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
欧州特許第2629964号は、走行する時にトレッド面を介して地面と接触するように意図されたトレッドを備えるタイヤを開示する。トレッドは、主周方向切欠きと中央リブとを備え、各中央リブは、隣接する2つの主周方向切欠きの軸方向間に配置され、隣接する2つの主周方向切欠きによって軸方向に区切られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
各主周方向切欠き52から58は、それぞれ参照番号Ha1、Ha2、Ha3、Ha4で表され、4.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、好ましくは5.0mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲、より好ましくは5.5mmからトレッドパターン高さHsまでの範囲にある深さを有する。各深さHa1、Ha2、Ha3、Ha4は、トレッドパターン高さHsの50%以上である。この事例では、Hs=Ha3=Ha4=6.5mm、Ha1=Ha2=6.0mmである。従って、各主周方向切欠き52、54、56、58は、Hs=6.5mmのため、Hai/Hs≧75%であるようになっており、この事例ではHai/Hs≧90%であるようになっている(iは1から4までの範囲)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
各軸方向厚肉部90、92、94、96は、少なくとも部分的に、それぞれ各軸方向部分90’、92’、94’、96’の全部又は一部と合致する。この例では、
図1から分かるように、各軸方向厚肉部90、92、94、96は、それぞれ各主周方向切欠き52、54、56、58の軸方向幅以上の軸方向幅を有する。このように、各軸方向厚肉部94、96は、それぞれ軸方向幅W3、W4を有するので、一方では、W3/La3≦4.00且つW4/La4≦4.00、好ましくはW3/La3≦3.00且つW4/la4≦3.00、より好ましくはW3/La3≦2.00且つ
W4/La4≦2.00、さらにより好ましくはW3/La3≦1.50且つW4/La4≦1.50、非常に好ましくはW3/La3≦1.25且つW4/La4≦1.25である。この例では、W3=W4=13.5mmなので、W3/La3=W4/La4=1.08である。
【国際調査報告】