(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】スルーフォーカス曲線を平坦化するための光学レンズデザイン
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20231004BHJP
G02C 7/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566111
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2021058600
(87)【国際公開番号】W WO2022064363
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュビン・フィリップ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ナンキビル・デレク
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ミンハン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリビー・グレゴリー
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BD03
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な方法は、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定することを含んでもよい。例示的な方法は、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて度数プロファイルを調整することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を含み、
前記度数プロファイルは、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて最適化される、眼用レンズ。
【請求項2】
前記バンプ関数は多焦点機能を含む、請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項4】
前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方又はターゲット母集団の瞳孔サイズ及び輻輳分散に基づいて構成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状を構成することによって構成されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
前記本体は、前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状及び前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項8】
前記本体は、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記度数プロファイルを呈するように構成されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記本体は、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように構成されている、請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイジングすることによって変更される、請求項9に記載のレンズ。
【請求項11】
前記レンズをアポダイジングすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、請求項10に記載のレンズ。
【請求項12】
透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、請求項11に記載のレンズ。
【請求項13】
前記透過率は多項式関数に基づく、請求項12に記載のレンズ。
【請求項14】
前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、請求項11に記載のレンズ。
【請求項15】
前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、請求項1に記載のレンズ。
【請求項16】
前記TFFは、
【数1】
によって定義される、請求項15に記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近視、老眼、及び新生の老眼は、世界中の多くの領域において高い有病率を有する。この状態に関して最も懸念されるのが、例えば、5又は6ジオプターを超える高度近視への進行の可能性であり、高度近視は、視覚補助具なしで機能する能力に劇的に影響を与える。高度近視は、また、網膜疾患、白内障及び緑内障のリスク増大にも関連している。更に、レンズ着用者は、従来のレンズを使用して精巣を経験し得る。
【0002】
国際公開第2012/173891号は、効果的な焦点深度の付随的な増加を引き起こす、ユーザに知覚可能なぼやけを生成する急速に増加する電力分配によって囲まれたレンズ内の中央ゾーンを記載する。焦点深度は、近視の進行を遅延させ、ユーザによる連続的及び長期的な治療を可能にするために、調節及び調節遅れからの全体的な調節力及び応力からの応力を緩和するために増加する。しかしながら、レンズ設計の改善が必要である。追加的又は代替的に、老眼及び/又は新生老眼の改善が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な方法は、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを決定するステップを含み得る。方法は、レンズを通って伝搬する光の少なくとも強度が変化して標的アポダイゼーションプロファイルを示すように、レンズの本体を構成することによってレンズを形成することを含み得る。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズを加えることによって変更され得る。例示的な方法は、スルー焦点曲線の形状測定基準(例えば、焦点の合わせの平坦性メトリック、曲率、勾配、RMS)を最小化することに少なくとも基づいて、電力プロファイルを調整するステップを含み得る。一例として、電力プロファイルは、ターゲット輻射又はそれに隣接する貫通焦点曲線を平坦化することに基づいて構成され得る。例示的な方法は、調整された電力プロファイルを示すためにレンズを形成するステップを含み得る。
【0004】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な眼科レンズは、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを呈するように構成された本体を備え得る。パワープロファイルは、スルー焦点曲線の形状測定基準を少なくとも最小化することに基づいて最適化され得る。特定の態様では、バンプ機能は、多焦点機能を含み得る。
【0005】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な眼科レンズは、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを呈するように構成された本体を備え得る。電力プロファイルは、視力矯正を提供することができ、スルー焦点曲線の形状測定基準を最小化することに少なくとも基づいて、近視進行を遅くするか、又は新しい老眼又は老眼を治療するように更に最適化され得る。
【0006】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な方法は、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを決定するステップを含み得る。例示的な方法は、スルー焦点曲線の形状測定基準を少なくとも最小化することに基づいて、電力プロファイルを調整するステップを含み得る。例示的な方法は、調整された電力プロファイルを示すためにレンズを形成するステップを含み得る。
【0007】
本明細書に記載のレンズ、システム、及び方法は、着用者の必要性に基づくことができる視力矯正を提供し得る。本明細書に記載のレンズ、システム、及び方法は、近視進行を遅延させるのに有効であり得る。本明細書に記載のレンズ、システム、及び方法は、老眼又は新生老眼の治療に有効であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は以下のとおりである。
【
図1】異なるコンタクトレンズ設計に対するスルー焦点網膜画像の平坦性と観察された軸方向長さ治療効果との間の例示的な相関関係を示す。
【
図2A】調整された中心位置を有する例示的なバンプ機能を示す。
【
図2B】調整された振幅を有する例示的なバンプ機能を示す。
【
図2C】調整された幅を有する例示的なバンプ機能を示す。
【
図2D】調整された平坦性を有する例示的なバンプ機能を示す。
【
図3A】第1の例示的な設計の電力プロファイルの例示的なプロットを示す。両方のプロットでは、6つの異なる屈折誤差を有する対象の設計が示され、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=6D。
図3Aは、電力プロファイルを示す。
図3Bは、設計が屈折によって変化し得る方法を強調するために、屈折を差し引いた電力プロファイルを示す。
【
図3B】第1の例示的な設計の電力プロファイルの例示的なプロットを示す。両方のプロットでは、6つの異なる屈折誤差を有する対象の設計が示され、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=6D。
図3Aは、電力プロファイルを示す。
図3Bは、設計が屈折によって変化し得る方法を強調するために、屈折を差し引いた電力プロファイルを示す。
【
図4】第1の例示的な設計及び例示的な二焦点設計(ベースラインレンズ)についての3Dのほぼ一貫性の周りの通過焦点画質曲線を示す。
【
図5】第1の例示的な設計の治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図6】第2の例示的な設計の透過率プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図7】第2の例示的な設計及び例示的な二焦点設計(ベースラインレンズ)についての3Dのほぼ一貫性の周りの通過焦点画質曲線を示す。
【
図8】第2の例示的な設計の治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図9】第3の例示的な設計の電力プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図10】第3の例示的な設計及び例示的な二焦点設計(ベースラインレンズ)についての3Dのほぼ一貫性の周りの通過焦点画質曲線を示す。
【
図11】第3の例示的な設計の治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図12】第4の例示的な設計の電力プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図13】ベースラインレンズの電力プロファイルの例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、レンズに関連する貫通焦点曲率の平坦性と近視進行を遅延させるための有効性との間の関係を認識する。
【0010】
例示的な例として、近視は、眼が光学システムの焦点距離に対して長すぎるために発生すると考えることができる。近視の発達及び進行のために近くの作業が有意な危険因子であることが示されている。一方、人間は、ほぼ作業中に調節遅れ又は負の球面収差を示すことが多く、遠視ぼけをもたらす。その結果、眼は、画像を焦点にするように成長し、近視の進行をもたらす。このために、眼は、波面発散、近視、又は遠視の兆候を検出するためのいくつかの機構を有する必要がある。点拡散関数貫通焦点の非対称性は、眼の発散の兆候を検出するための眼の能力を助け、いくつかの他の機構によって焦点を合わせることができる。次いで、その信号の強度は、貫通焦点曲線の急峻度又は平坦性に関連付けられる。より急な通過焦点曲線は、より信頼性が高い信号をもたらし、より平坦な曲線は、より弱い信号をもたらす。したがって、高視ぼけが存在する可能性が高いことを考えると、より平坦な貫通焦点曲線を提供することによって、検出された信号を減衰させることが望ましい場合がある。
【0011】
したがって、新規のレンズ設計及び方法は、形成されたレンズが使用されて、着用者の視力矯正を提供し、近視の進行を遅らせるように、この関係を考慮に入れることができる。本開示に記載されるように、レンズ設計は、機能的視力矯正を提供しながら、焦点曲線を平らにするように構成され得る。二焦点レンズは、近視進行の遅延における有効性も示しているが、そのような二焦点レンズは、しばしば視力を犠牲にすることに留意されたい。本明細書に記載されるように、例えば、レンズの電力プロファイルの一部として特定のバンプ機能を組み込むことによって、より平坦な貫通焦点曲線(例えば、貫通焦点曲線の形状測定基準)が構成されているレンズは、近視進行を遅延させる可能性を実証しながら、二焦点レンズ(例えば、
図13に示される電力プロファイルを有するベースラインレンズ)上に改善された視力を提供する。例示的な設計は、老眼又は新たな老眼のための視力矯正にも適用可能である。
【0012】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な方法は、電力プロファイル関数に基づいて電力プロファイルを決定するステップを含み得る。電力プロファイル機能は、ベース光学力、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能によって定義され得る。バンプ機能という用語は、「バンプ」又は偏差(例えば、増加)及び下地曲線をもたらす数学的表現として定義され得る。一例として、本明細書で使用されるバンプ機能は、例えば、半径方向位置に対するレンズの別個の部分における光電力のバンプ又は正の偏差を表し得る。バンプ機能という用語が使用されるが、結果として生じる電力プロファイルに複数の「バンプ」を作成する多焦点機能を使用することができる。例示的な例として、バンプ機能の球面収差及び/又はパラメータは、標的集団の特性に基づいて構成され得る。標的集団は、1つ以上の個体を含み得る。標的集団は、共通の特徴を有する複数の眼を含み得る。標的集団を定義する例示的な特徴は、近視進行を有するもの(例えば、近視進行を伴う小児)又は新生の老眼を有するものを含み得る。そのような特性は、瞳孔サイズ又は対気分散、又は処方強度、又は組み合わせを含み得る。他の構成が使用されてもよい。特性は、特定の処方についての瞳孔サイズ又は相対的な分散のうちの1つ以上を含み得る。
【0013】
例示的な方法は、スルー焦点曲線の形状測定基準(例えば、焦点の合わせの平坦性メトリック、曲率、勾配、RMS)を最小化することに少なくとも基づいて、電力プロファイルを調整するステップを含み得る。最小化という用語は、ターゲットの矛盾又はその近くの偏差の少なくとも量に対する要望として定義され得る。最小化という用語は、通過焦点曲線の変化率及び変化の程度を最小限に抑えるための要望によって表されるような少ない偏差量に対する要望として定義され得る。しかしながら、完全に平坦な貫通焦点曲線は適切な視力矯正を提供しない可能性があるため、要因間のバランスが必要であり得る。したがって、最小化は必ずしも最小として定義されるわけではないが、本明細書に記載されるように、より平坦な曲線に向かう決定係数として使用される。一例として、1つ以上の電力プロファイルは、非調整プロファイルと比較して、関連する貫通焦点曲線の曲率の増加した平坦性に基づいて調整され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、通過焦点の平坦性(TFF)メトリックは、
【0015】
【数1】
式中、v
tは、目標の矛盾であり、δは、目標の矛盾の周りの離散偏差である(例示的な実施形態では、δは、端点及び介在終点を含む0.05~0.3Dである)、f(v)スルー焦点視覚的性能(視力)であり、定義によって、矛盾することができ、vまた、他の範囲を使用することができる。例えば、δは、0.1~0.3D(エンドポイント及び介在エンドポイントを含む)であってもよく(又はδは、エンドポイント及び介在エンドポイントを含む0.001~0.10Dであってもよい。これらの目的のために、v及びδは、典型的には、ジオプターの単位で表され、f(v)典型的には、-10logMARの単位で表される。本明細書で使用される通過焦点平坦性メトリックは、目標の矛盾の周りで取られた通過焦点視覚的性能関数の導関数(勾配)の絶対値の積分である。したがって、より小さい平坦性メトリックは、目標の矛盾近くのより平坦な通過視覚的性能に対応する。貫通焦点曲線の形状測定基準を最小化することは、本明細書で定義される通過焦点平坦性測定基準を最小化することを含み得る。
【0016】
例示的な方法は、調整された電力プロファイルを示すためにレンズを形成するステップを含み得る。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状を構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状及びレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズを通って伝播する光が屈折されて調整された電力プロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することを含み得る。レンズを通って伝播する光の強度は、アポダイゼーションを介して変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づき得る。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、Stilis-Crawford効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、又はそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部又はそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率及び光学ゾーン半径よりも小さい半径に位置付けられた最小透過率を有し得る。他の構成が使用されてもよい。
【0017】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な眼科レンズは、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを呈するように構成された本体を備え得る。パワープロファイルは、スルー焦点曲線の形状測定基準を少なくとも最小化することに基づいて最適化され得る。バンプ機能は、多焦点機能を含み得る。本体は、レンズの幾何学的形状を構成することによって構成され得る。本体は、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズの幾何学的形状及びレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズを通って伝播する光が屈折されて、調整された電力プロファイルを呈するように構成され得る。本体は、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が、標的アポダイゼーションプロファイルを示すように変更されるように構成され得る。レンズを通って伝播する光の強度は、アポダイゼーションを介して変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づき得る。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、Stilis-Crawford効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、又はそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部又はそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率及び光学ゾーン半径よりも小さい半径に位置付けられた最小透過率を有し得る。他の構成が使用されてもよい。
【0018】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な眼科レンズは、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを呈するように構成された本体を備え得る。
【0019】
パワープロファイルは、視力矯正を提供することができ、スルー焦点曲線の形状測定基準を最小化することに少なくとも基づいて、近視進行を遅らせるか、又は老眼又は新生の老眼を治療するように更に最適化され得る。本体は、レンズの幾何学的形状を構成することによって構成され得る。本体は、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズの幾何学的形状及びレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズを通って伝播する光が屈折して電力プロファイルを呈するように構成され得る。
【0020】
本体は、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が、標的アポダイゼーションプロファイルを示すように変更されるように構成され得る。レンズを通って伝播する光の強度は、アポダイゼーションを介して変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づき得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づき得る。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、Stilis-Crawford効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、又はそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部又はそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率及び光学ゾーン半径よりも小さい半径に位置付けられた最小透過率を有し得る。他の構成が使用されてもよい。
【0021】
本明細書に記載されるのは、眼科レンズを形成するためのシステム及び/又は方法である。例示的な方法は、ベース光学力によって定義される電力プロファイル関数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離での球面収差の量、及びバンプ機能に基づいて、電力プロファイルを決定するステップを含み得る。例示的な方法は、スルー焦点曲線の形状測定基準を少なくとも最小化することに基づいて、電力プロファイルを調整するステップを含み得る。例示的な方法は、調整された電力プロファイルを示すためにレンズを形成するステップを含み得る。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状を構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状及びレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズを通って伝播する光が屈折されて調整された電力プロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することを含み得る。
【0022】
レンズを形成することは、レンズを通って伝搬する光の少なくとも強度が変化して標的アポダイゼーションプロファイルを示すように、レンズの本体を構成することを含み得る。レンズを通って伝播する光の強度は、アポダイゼーションを介して変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づき得る。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、Stilis-Crawford効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、又はそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部又はそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率及び光学ゾーン半径よりも小さい半径に位置付けられた最小透過率を有し得る。他の構成が使用されてもよい。
【0023】
他の方法及びレンズ設計を使用することができる。
【実施例】
【0024】
近視は、典型的には、過度の軸方向伸長又は眼の伸びによって生じる。動物実験に基づき、眼の軸方向伸長は、網膜像の質及び焦点に影響され得る。ヒトにおける近視発症の危険因子のうちの1つは、精密作業である。若年者の眼がコンタクトレンズを通して近くの物体を見るとき、調節システムは水晶体を能動的に調整して、網膜上又は網膜のわずかに後ろに鋭い焦点を形成する。3つの要因(調節システムの変化、レンズの偏心、集団収差変動)を考慮に入れた最新の網膜画質モデルは、
図1に示されるように、異なるコンタクトレンズデザインに対するスルーフォーカス網膜画像品質の平坦度と治療効果との相関関係を見出した。
【0025】
図1は、スルーフォーカス網膜画像の平坦度と異なるコンタクトレンズデザインの観察された治療効果との間の例示的な相関関係を示す。
【0026】
現在のデザインの度数プロファイルは、以下のように説明することができる。
p(r)=p0+sa×r2+Ψ(r), (2)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(ミリメートル(mm))を表し、p0は、レンズ(例えば、球面度数、円筒形度数、又はそれらの組み合わせを含むことができる近軸度数)の基本度数(ジオプター(D))を表し、saは、球面収差量(D/mm2)を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、Ψ(r)は、式(3)で更に説明されるバンプ関数を表す。
【0027】
【数2】
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(mm)を表し、hは、バンプ関数の高さ(D)であり、r
0は、バンプ関数の中心位置(mm)を表し、dは、バンプの幅(mm)を表し、nは、バンプの平坦度を表すn≧1の整数である。
【0028】
図2A~
図2Dは、例示的なバンプ関数、及び定義されたパラメータの各々の役割を示す。様々な例示的なバンプ関数を
図2A~
図2Dにプロットする。典型的な多焦点ステップと比較すると、バンプ関数の度数プロファイル変化は、漸進的かつ連続的である。この特徴が光学デザインの一部である場合、比較的平坦なスルーフォーカス画像品質曲線でターゲット視力補正を達成するためのデザインがより容易である。
【0029】
表1は、処方Rx=-3DFIGSの例示的なデザインの度数プロファイルのパラメータ値を示す。
図3A~
図3Bは、6つの異なる屈折異常を有する対象についての例示的なデザインの度数プロファイルのプロットを示し、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=6Dである。Rxは、対象の明らかな球面屈折を示す。
図3Aは、度数プロファイルを示し、
図3Bは、デザインが屈折によって変化し得る方法を強調するために差し引かれた屈折を伴う度数プロファイルを示す。
【0030】
【0031】
図13に示される度数プロファイルを有する例示的なベースラインレンズと比較して、新しいデザイン(デザインI)のシミュレートされた距離視力は、視力の約1.2ライン良好である(VA-10LogMAR)。更に、新しいデザインのスルーフォーカス曲線は、ベースラインレンズのスルーフォーカス曲線(
図4に示すように)よりも平坦であるため、この新しいデザインは、ベースラインレンズ(
図5でモデル化されているように)よりも近視進行を遅延させる際により効果的であると予想される。
【0032】
実際に、異なる調節状態での若年者の眼の収差パターンに応じて、新しいデザインのパラメータ範囲を以下の表2に要約する。
【0033】
【0034】
式1及び式2は、レンズデザインの度数プロファイルを概説する。実際には、デザインは、レンズの幾何学的形状を調整することによって、及び/又はレンズの内部勾配屈折率プロファイルを変更することによって製造され得る。その結果、レンズを通って伝播する光が屈折し、所望の度数プロファイルが得られる。
【0035】
更に、光強度はまた、透過率の中心から周辺までレンズをアポダイズする方法によって調整され得る。そのような透過率プロファイルは、任意の形態をとり得、レンズの中心から半径方向に変化し得る。例えば、透過率プロファイルは、レンズの中心から中間点まで減少し、次いで中間点から周辺点まで再び増加し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォード効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、又はそれを含み得る。透過率は、瞳中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部又はそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率及び光学ゾーン半径よりも小さい半径に位置付けられた最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。透過率プロファイルは、一連のポイント数によって制御される区分的立方体エルミート補間多項式曲線などの多くの数式又は式によって表すことができる(Fritsch et al.,Monotone Piecewise Cubic Interpolation,SIAM J.Numerical Analysis,Vol.17,1980,pp.238-46参照)。透過率プロファイルは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義され得る。一例として、透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ半径)よりも小さく配置される。別の例として、透過率は、例えば以下のような多項式関数に基づく。
T=(-0.4179r^7+5.1596r^6-24.399r^5+54.5187r^4-57.4684r^3+35.308r^2-46.6963r^+100.1505)/100
【0036】
そのようなアポダイゼーションプロファイルを有するレンズは、レンズが作製される反応性モノマー混合物に光吸収化合物を組み込むことによって、レンズが間に作製される金型上に光吸収パターンをパッド印刷することによって、製造されてもよく、その後、硬質アポダイズドインサートをレンズに埋め込むことによって、レンズ内又はレンズ上への光吸収化合物の含浸又は化学グラフトの作製後方法などによって、硬化時にレンズに組み込まれる。光吸収化合物は、反応性又は非反応性、有機若しくは有機金属染料、コーティングされた若しくはコーティングされていないナノ粒子など、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0037】
本開示は、屈折及びアポダイゼーションによって光を操作する例示的なデザイン(デザインII)を提供する。デザインIIの度数プロファイルは、デザインIと同じである。デザインIIの度数プロファイルを説明するために使用されるパラメータ値は、表1のものと同じである。透過率プロファイルを説明する制御点を表3に要約する。
【0038】
【0039】
デザインIIの透過率プロファイルを
図6に示す。度数プロファイル及び透過率アポダイゼーションプロファイルの組み合わせた特徴の結果として、デザインIIの視力補正の有効性は類似しており、デザインIよりもわずかに良好であり、ベースラインレンズよりも良好である。一例として、デザイン2は、約-2VA-10LogMARとしてモデル化されたベースラインレンズと比較して、-.75VA-10LogMARとしてモデル化された。しかしながら、デザインIIのスルーフォーカス曲線がデザインIよりも平坦であるため(
図7対
図4)、デザインIIは、デザインI及びベースラインレンズよりも近視進行の遅延においてより効果的であると予想される(
図8対
図5)。
【0040】
バンプデザインモダリティに加えて、多焦点デザイン形態を使用して、近視を制御する際の視力補正及び治療効果の最大のバランスのとれた利益をもたらすこともできる。これらの多焦点デザインはまた、老眼又は出現しつつある老眼のための視力補正に適用可能である。
【0041】
多焦点デザインの度数プロファイルは、以下のように説明することができる。
p(r)=p0+sa×r2+Μ(r) (4)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離を表し、p0は、レンズのベース度数を表し、saは、球面収差量を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、M(r)は、式(5)で更に説明される多焦点機能を表し、
【0042】
【数3】
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(mm)を表し、
【0043】
【数4】
は、第1の追加ゾーン(mm)の内側境界及び外側境界の位置を表し、
【0044】
【数5】
は、第2の追加ゾーン(mm)の内側境界及び外側境界の位置を表し、追加度数は、追加度数(D)の大きさを表す。
【0045】
式4及び式5は、レンズデザインの度数プロファイルを指定することができる。実際には、デザインは、レンズの幾何学的形状を調整することによって、及び/又はレンズの内部勾配屈折率プロファイルを変更することによって製造され得る。その結果、レンズを通って伝播する光が屈折し、所望の度数プロファイルが得られる。他の方法を用いることもできる。
【0046】
あるいは、多焦点デザインの度数プロファイルは、以下のように説明され得る。
p(r)=p0+sa×r2+N(r), (6)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離を表し、p0は、レンズのベース度数を表し、saは、球面収差量を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、N(r)は、式(7)で更に説明されるバンプ多焦点機能を表す。
【0047】
【0048】
【数7】
は、第1のバンプ追加ゾーンの中心位置を表し、
【0049】
【数8】
は、第1のバンプ追加ゾーンの中心位置を表す。
【0050】
式(7)及び表4に記載されているデザインパラメータを使用したそのような例示的な多焦点デザイン(デザインIII)(Rx:-3D)の度数プロファイルを
図9に示す。
【0051】
【0052】
ベースラインレンズと比較して、デザインIIIの模擬距離視力は、1文字良好である。更に、デザインIIIのスルーフォーカス曲線がベースラインレンズのものよりも平坦であるため(
図10)、デザインIIIは、ベースラインレンズよりも近視進行を遅延させる際により効果的であると予想される(
図11)。
【0053】
実際には、異なる調節状態での若年者の眼の収差パターンに応じて、例示的な多焦点デザインのパラメータ範囲は、以下の表に要約される。
【0054】
【0055】
上記のデザインは、スルーフォーカス曲線を平坦にし、良好な視力補正を維持することを意図している。デザインは、老眼又は出現しつつある老眼のための視力補正にも適用可能である。したがって、近視制御のために元々作成された新しいデザインI、II、及びIIIも、出現しつつある老眼及び老眼の補正に適用可能である。
【0056】
式(6)を使用した別の例示的なデザイン(DesignIV)(Rx:-3D)の度数プロファイル及び出現しつつある老眼(EP)を補正するための表6に記載されたデザインパラメータを
図12に示す。
【0057】
【0058】
図示及び説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定することと、
少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて前記度数プロファイルを調整することと、
前記調整された度数プロファイルを示すように前記レンズを形成することと、を含む方法によって形成される、眼用レンズ。
(2) 前記レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状を構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(3) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、実施態様1に記載のレンズ。
(4) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、ターゲット母集団の特性に基づいて構成される、実施態様1に記載のレンズ。
(5) 前記特性は、瞳孔サイズ又は輻輳分散のうちの少なくとも1つである、実施態様4に記載のレンズ。
【0060】
(6) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方又はターゲット母集団の瞳孔サイズ及び輻輳分散に基づいて構成される、実施態様1に記載のレンズ。
(7) レンズを形成することは、内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(8) レンズを形成することは、前記レンズの前記幾何学的形状及び前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(9) レンズを形成することは、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記調整された度数プロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(10) レンズを形成することは、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを更に含む、実施態様1に記載のレンズ。
【0061】
(11) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイジングすることによって変更される、実施態様10に記載のレンズ。
(12) 前記レンズをアポダイジングすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様11に記載のレンズ。
(13) 透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様12に記載のレンズ。
(14) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様13に記載のレンズ。
(15) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、実施態様12に記載のレンズ。
【0062】
(16) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(17) 前記TFFは、
【0063】
【数9】
によって定義される、実施態様16に記載のレンズ。
(18) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を含み、
前記度数プロファイルは、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて最適化される、眼用レンズ。
(19) 前記バンプ関数は多焦点機能を含む、実施態様18に記載のレンズ。
(20) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、実施態様18に記載のレンズ。
【0064】
(21) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方又はターゲット母集団の瞳孔サイズ及び輻輳分散に基づいて構成される、実施態様18に記載のレンズ。
(22) 前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状を構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(23) 前記本体は、前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(24) 前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状及び前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(25) 前記本体は、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記度数プロファイルを呈するように構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
【0065】
(26) 前記本体は、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(27) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイジングすることによって変更される、実施態様26に記載のレンズ。
(28) 前記レンズをアポダイジングすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様27に記載のレンズ。
(29) 透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様28に記載のレンズ。
(30) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様29に記載のレンズ。
【0066】
(31) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、実施態様28に記載のレンズ。
(32) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様18に記載のレンズ。
(33) 前記TFFは、
【0067】
【数10】
によって定義される、実施態様32に記載のレンズ。
(34) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を含み、
前記度数プロファイルは、視力補正を提供し、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて、近視進行を遅らせるか又は老眼を治療するように更に最適化されている、眼用レンズ。
(35) 前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状を構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
【0068】
(36) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、実施態様34に記載のレンズ。
(37) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方又はターゲット母集団の瞳孔サイズ及び輻輳分散に基づいて構成される、実施態様34に記載のレンズ。
(38) 前記本体は、前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(39) 前記本体は、前記レンズの前記幾何学的形状及び前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(40) 前記本体は、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記度数プロファイルを呈するように構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
【0069】
(41) 前記本体は、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(42) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイジングすることによって変更される、実施態様41に記載のレンズ。
(43) 前記レンズをアポダイジングすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様42に記載のレンズ。
(44) 透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様43に記載のレンズ。
(45) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様44に記載のレンズ。
前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、実施態様43に記載のレンズ。
【0070】
(46) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様34に記載のレンズ。
(47) 前記TFFは、
【0071】
【数11】
によって定義される、実施態様47に記載のレンズ。
(48) 眼科用レンズを形成する方法であって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、及びバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定することと、
少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて前記度数プロファイルを調整することと、
前記調整された度数プロファイルを呈するようにレンズを形成することと、を含む方法。
(49) 前記レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(50) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、実施態様48に記載の方法。
【0072】
(51) 前記球面収差、及び前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方又はターゲット母集団の瞳孔サイズ及び輻輳分散に基づいて構成される、実施態様48に記載の方法。
(52) レンズを形成することは、内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(53) レンズを形成することは、前記レンズの前記幾何学的形状及び前記レンズの前記内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(54) レンズを形成することは、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記調整された度数プロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(55) レンズを形成することは、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
【0073】
(56) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイジングすることによって変更される、実施態様55に記載の方法。
(57) 前記レンズをアポダイジングすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様56に記載の方法。
(58) 透過率の最大値は瞳中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様57に記載の方法。
(59) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様58に記載の方法。
(60) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、実施態様57に記載の方法。
【0074】
(61) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様48に記載の方法。
(62) 前記TFFメトリックは、
【0075】
【数12】
によって定義される、実施態様61に記載の方法。
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-04-27
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近視、老眼、および出現しつつある老眼は、世界中の多くの地域で高い有病率を示して
いる。近視に関する1つの懸念点は、例えば、5または6ジオプターを超える高度近視への進行の可能性であり、高度近視は、視覚補助具なしで機能する能力に劇的に影響を与える。高度近視は、また、網膜疾患、白内障および緑内障のリスク増大にも関連している。更に、レンズ着用者は、従来のレンズを使用して眼精疲労を感じることがある。
【0002】
国際公開第2012173891号は、効果的な焦点深度の付随的な増加を引き起こす、ユーザに知覚可能なぼけを生成する、急速に増加する度数分布によって囲まれたレンズの中央ゾーンを記載している。焦点深度の増加は、調節および調節ラグからの全体的な調
節努力および負荷からの負荷を緩和して、近視の進行を遅らせ、ユーザによる継続的かつ長期的な治療を可能にする。しかしながら、レンズデザインの改善が必要である。追加的または代替的に、老眼および/または出現しつつある老眼の改善が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離におけ
る球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定するステップを含んでもよい。方法は、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することによってレンズを形成することを含んでもよい。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズをアポダイズすることによって変更され得る。例示的な方法は、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリック(例えば、スルーフォー
カス平坦度メトリック、曲率、勾配、RMS)を最小化することに基づいて、度数プロフ
ァイルを調整するステップを含んでもよい。一例として、度数プロファイルは、ターゲット輻輳またはその近傍のスルーフォーカス曲線を平坦化することに基づいて構成され得る。例示的な方法は、調整された度数プロファイルを呈するためにレンズを形成するステップを含んでもよい。
【0004】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な眼用レンズは、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を備えてもよい。度数プロファイ
ルは、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて最適化され得る。特定の態様では、バンプ関数は多焦点関数を含み得る。
【0005】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な眼用レンズは、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を備えてもよい。度数プロファイ
ルは、視力矯正を提供することができ、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリッ
クを最小化することに基づいて、近視進行を遅らせるかまたは出現しつつある老眼もしく
は老眼を治療するように更に最適化され得る。
【0006】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離におけ
る球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定するステップを含んでもよい。例示的な方法は、少なくともスル
ーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて度数プロファイルを調整するステップを含んでもよい。例示的な方法は、調整された度数プロファイルを呈するためにレンズを形成するステップを含んでもよい。
【0007】
本明細書に記載されるレンズ、システム、および方法は、着用者の必要性に基づくことができる視力矯正を提供し得る。本明細書に記載されるレンズ、システム、および方法は、近視進行を遅らせるのに有効であり得る。本明細書に記載されるレンズ、システム、お
よび方法は、老眼または出現しつつある老眼の治療に有効であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は以下のとおりである。
【
図1】異なる
コンタクトレンズデザインに対する
スルーフォーカス網膜画像の平坦
度と観察された軸方向長さ治療効果との間の例示的な相関関係を示す。
【
図2A】調整された中心位置を有する例示的な
バンプ関数を示す。
【
図2B】調整された振幅を有する例示的な
バンプ関数を示す。
【
図2C】調整された幅を有する例示的な
バンプ関数を示す。
【
図2D】調整された
平坦度を有する例示的な
バンプ関数を示す。
【
図3A】第1の例示的な
デザインの
度数プロファイルの例示的なプロットを示す。両方のプロット
において、6つの異なる屈折
異常を有する対象
についての
デザインが示され、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=
6Dである。
度数プロファイルを示す。
【
図3B】第1の例示的な
デザインの
度数プロファイルの例示的なプロットを示す。両方のプロット
において、6つの異なる屈折
異常を有する対象
についてのデザインが示され、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=
6Dである。
デザインが屈折によって変化し得る方法を強調するため
に差し引か
れた屈折を
伴う度数プロファイルを示す。
【
図4】第1の例示的な
デザインおよび例示的な二焦点
デザイン(ベースラインレンズ)
の3Dの輻輳付近に関するスルーフォーカス画質曲線を示す。
【
図5】第1の例示的な
デザインの治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図6】第2の例示的な
デザインの透過率プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図7】第2の例示的な
デザインおよび例示的な二焦点
デザイン(ベースラインレンズ)
の3Dの輻輳付近に関するスルーフォーカス画質曲線を示す。
【
図8】第2の例示的な
デザインの治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図9】第3の例示的な
デザインの
度数プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図10】第3の例示的な
デザインおよび例示的な二焦点
デザイン(ベースラインレンズ)
の3Dの輻輳付近に関するスルーフォーカス画質曲線を示す。
【
図11】第3の例示的な
デザインの治療効果に関するモデル予測を示す。
【
図12】第4の例示的な
デザインの
度数プロファイルの例示的なプロットを示す。
【
図13】ベースラインレンズの
度数プロファイルの例示的なプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、レンズに関連するスルーフォーカス曲率の平坦化と近視進行を遅らせるための有効性との間の関係を認識するものである。
【0010】
例示的な例として、近視は、眼が光学システムの焦点距離に対して長くなりすぎたために発生すると考えることができる。近用作業が近視の発症および進行の大きな危険因子であることが示されている。一方、人間は、近用作業中に調節ラグまたは負の球面収差を示すことが多く、遠視ぼけがもたらされる。その結果、画像に焦点を合わせようと眼は大き
くなり、近視の進行がもたらされる。このために、近視または遠視の波面発散の兆候を検出するための何らかのメカニズムが眼に備わっていなければならない。点拡がり関数スル
ーフォーカスの非対称性は、何らかの他のメカニズムによってスルーフォーカスで得られ
る波面発散の兆候を検出する眼の能力に役立ち得る。次いで、その信号の強度は、スルー
フォーカス曲線の急峻度または平坦度に関連付けられる。より急峻なスルーフォーカス曲線は、より信頼性が高い信号をもたらし、より平坦な曲線は、より弱い信号をもたらす。したがって、遠視ぼけが存在する可能性が高いとすれば、より平坦なスルーフォーカス曲線を提供することによって、検出された信号を減衰させることが望ましいと思われる。
【0011】
そのため、新規の
レンズデザインおよび方法は、形成されたレンズ
を使用して、着用者の視力矯正を提供し、近視の進行を遅らせるように、この関係を考慮に入れることができる。本開示に記載されるように、
レンズデザインは、機能的
な視力矯正を提供
しつつ、
ス
ルーフォーカス曲線を
平坦化するように構成
されてもよい。二焦点レンズは、近視進行
を
遅らせる効果も示しているが、そのような二焦点レンズは、しばしば視力を犠牲にすることに留意されたい。本明細書に記載されるように、例えば、レンズの
度数プロファイルの一部として特定の
バンプ関数を組み込むことによって、より平坦な
スルーフォーカス曲線(例えば、
スルーフォーカス曲線の形状
メトリック)が構成されているレンズは、近視進行を
遅らせる可能性を実証
しつつ、二焦点レンズ(例えば、
図13に示される
度数プロフ
ァイルを有するベースラインレンズ)
を上回る改善された視力を提供する。例示的な
デザ
インは、老眼
または出現しつつある老眼のための視力矯正にも適用可能である。
【0012】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定するステップを含んでもよい。度数プロファイル関数は、ベース光度数、レンズの幾何学的中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義され得る。バンプ関数という用語は、基礎となる曲線に「バンプ」または偏差(例えば、増加)をもたらす数学的表現として定義され得る。一例として、本明細書で使用されるバンプ関数は、例えば、半径方向位置に対するレンズの別個の部分における光度数のバンプまたは正の偏差を表し得る。バンプ関数という用語が使用されるが、結果として生じる度数プロファ
イルに複数の「バンプ」を作り出す多焦点関数を使用してもよい。例示的な例として、球
面収差 および/またはバンプ関数のパラメータが、ターゲット母集団の特性に基づいて
構成されてもよい。ターゲット母集団は、1つ以上の個体を含み得る。ターゲット母集団は、共通の特性を有する複数の眼を備え得る。ターゲット母集団を定義する例示的な特性は、近視進行を有する者(例えば、近視進行を伴う小児)または出現しつつある老眼を有する者を含み得る。そのような特性は、瞳孔サイズまたは輻輳分散、または処方強度、ま
たは組み合わせを含み得る。他の特性が使用されてもよい。特性は、特定の処方における瞳孔サイズ又輻輳分散のうちの1つもしくは複数を含み得る。
【0013】
例示的な方法は、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリック(例えば、スルー
フォーカス平坦度メトリック、曲率、勾配、RMS)を最小化することに基づいて、度数
プロファイルを調整するステップを含んでもよい。最小化という用語は、ターゲット輻輳
またはその近くで最小量の偏差を要望するものとして定義され得る。最小化という用語は、スルーフォーカス曲線の変化率および変化の程度を最小限に抑えるための要望によって表されるような最小量の偏差を要望するものとして定義され得る。しかしながら、完全に平坦なスルーフォーカス曲線は適切な視力矯正を提供しない可能性があるため、各要因間のバランスが必要であり得る。したがって、最小化は必ずしも最小として定義されるわけではないが、本明細書に記載されるように、より平坦な曲線に向かう決定要因として使用される。一例として、1つまたは複数の度数プロファイルは、非調整プロファイルと比較して、関連するスルーフォーカス曲線の曲率の平坦度増加に基づいて調整され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックは、
【0015】
【数1】
式中、v
tは、
ターゲット輻輳であり、δは、
ターゲット輻輳の周りの
輻輳偏差
であり(例示的な実施形態では、δは、
終点および介在終点を含む0.05~0.3Dである)、f(v)は、
スルーフォーカス視覚性能(視力)であり、
これは定義によって、
輻輳v
応じて変化する。他の範囲を使用してもよい。例えば、δは、0.1~0.3D(
終点お
よび介在
終点を含む)であってもよく、
またはδは、
終点および介在
終点を含む0.001~0.10Dであってもよい。これらの目的のために、v
およびδは、典型的には、ジオプターの単位で表され、f(v)
は、典型的には、-10logMARの単位で表される。本明細書で使用される
スルーフォーカス平坦度メトリックは、
ターゲット輻輳の周りで取られた
スルーフォーカス視覚性能関数の導関数(勾配)の絶対値の積分である。したがって、より小さい
平坦度メトリックは、
ターゲット輻輳の近くのより平坦な
スルーフォ
ーカス視覚性能に対応する。
スルーフォーカス曲線の形状
メトリックを最小化することは、本明細書で定義される
スルーフォーカス平坦度メトリックを最小化することを含み得る。
【0016】
例示的な方法は、調整された度数プロファイルを示すためにレンズを形成するステップを含み得る。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状を構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レ
ンズを形成することは、レンズの幾何学的形状およびレンズの内部勾配屈折率プロファイ
ルを構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズを通って伝播する光が屈折して調整された度数プロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することを含み得る。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズをアポダイズすることによって変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づいてもよい。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォード効果
に基づいてもよい。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、またはそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーンエ
ッジまたはその近傍で増加するまで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率および光学ゾーン半径よりも小さい半径に配置された最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。
【0017】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な眼用レンズは、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を備えてもよい。度数プロファイ
ルは、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて最適化され得る。バンプ関数は、多焦点関数を含み得る。本体は、レンズの幾何学的形状を構成することによって構成され得る。本体は、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズの幾何学的形状およびレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズを通って伝播する光が屈折して調整された度数プロファイルを呈するように構成され得る。本体は、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプ
ロファイルを呈するように構成され得る。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズを
アポダイズすることによって変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づいてもよい。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォード効果に基づいてもよい。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、またはそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーンエッジまたはその近傍で増加するまで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率および光学ゾーン半径よりも小さい半径に配置された最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。
【0018】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な眼用レンズは、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を備えてもよい。
【0019】
度数プロファイルは、視力矯正を提供することができ、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて、近視進行を遅らせるかまたは老眼もし
くは出現しつつある老眼を治療するように更に最適化され得る。本体は、レンズの幾何学的形状を構成することによって構成され得る。本体は、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズの幾何学的形状およびレンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成され得る。本体は、レンズを通って伝播する光が屈折して度数プロファイルを呈するように構成され得る。
【0020】
本体は、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼ
ーションプロファイルを呈するように構成され得る。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズをアポダイズすることによって変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づいてもよい。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づいてもよい。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォード効果に基づいてもよい。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、またはそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーンエッジまたはその近傍で増加するまで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率および光学ゾーン半径よりも小さい半径に配置された最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。
【0021】
本明細書に記載されるのは、眼用レンズを形成するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離におけ
る球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定するステップを含んでもよい。例示的な方法は、少なくともスル
ーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて度数プロファイルを調整するステップを含んでもよい。例示的な方法は、調整された度数プロファイルを呈するためにレンズを形成するステップを含んでもよい。レンズの形成は、レンズの幾何学的形状を構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズを形成することは、レンズの幾何学的形状および
レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含み得る。レンズを形成すること
は、レンズを通って伝播する光が屈折して調整された度数プロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することを含み得る。
【0022】
レンズを形成することは、少なくともレンズを通って伝播する光の強度が変化してター
ゲットアポダイゼーションプロファイルを呈するように、レンズの本体を構成することを含んでもよい。レンズを通って伝播する光の強度は、レンズをアポダイズすることによっ
て変更され得る。レンズのアポダイゼーションは、任意の形態をとることができる透過率プロファイルに基づいてもよい。一例として、透過率プロファイルは、レンズの中心から半径方向に変化し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォ
ード効果に基づいてもよい。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、またはそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーンエッジまたはその近傍で増加するまで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率および光学ゾーン半径よりも小さい半径に配置された最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。
【0023】
他の方法およびレンズデザインが使用されてもよい。
【実施例】
【0024】
近視は、典型的には、過度の軸方向伸長
または眼の伸びによって生じる。動物実験に
よ
れば、眼の軸方向伸長は、網膜像の質
および焦点に影響され得る。ヒトにおける近視発症の危険因子のうちの1つは、精密作業である。若年者の眼がコンタクトレンズを通して近くの物体を見るとき、調節システムは水晶体を能動的に調整して、網膜上
または網膜のわずかに後ろに鋭い焦点を形成する。3つの要因(調節システムの変化、レンズの偏心、集団収差変動)を考慮に入れた最新の網膜画質モデル
により、
図1に示されるように、異なるコンタクトレンズデザインに対する
スルーフォーカス網膜画像品質の平坦度と治療効果との相関関係
が見出された。
【0025】
図1は、異なる
コンタクトレンズデザインに対するスルーフォーカス網膜画像の平坦度
と観察された治療効果との間の例示的な相関関係を示す。
【0026】
現在のデザインの度数プロファイルは、以下のように説明することができる。
p(r)=p0+sa×r2+Ψ(r), (2)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(ミリメートル(mm))を表し、p0は、レンズ(例えば、球面度数、円筒形度数、またはそれらの組み合わせを含むことができる近軸度数)の基本度数(ジオプター(D))を表し、saは、球面収差量(D/mm2)を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、Ψ(r)は、式(3)で更に説明されるバンプ関数を表す。
【0027】
【数2】
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(mm)を表し、hは、バンプ関数の高さ(D)であり、r
0は、バンプ関数の中心位置(mm)を表し、dは、バンプの幅(mm)を表し、nは、バンプの平坦度を表すn≧1の整数である。
【0028】
図2A~
図2Dは、例示的なバンプ関数、
および定義されたパラメータの各々の役割を示す。様々な例示的なバンプ関数を
図2A~
図2Dにプロットする。典型的な多焦点ステップと比較すると、バンプ関数の度数プロファイル変化は、漸進的かつ連続的である。この特徴が光学デザインの一部である場合、比較的平坦なスルーフォーカス画像品質曲線でターゲット視力
矯正を達成するためのデザインがより容易である。
【0029】
表1は、処方Rx=-3DFIGSの例示的なデザインの度数プロファイルのパラメータ値を示す。
図3A~
図3Bは、6つの異なる屈折異常を有する対象についての例示的なデザインの度数プロファイルのプロットを示し、Rx=-9D、Rx=-6D、Rx=-3D、Rx=2D、Rx=4D、Rx=6Dである。Rxは、対象の明らかな球面屈折を示す。
図3Aは、度数プロファイルを示し、
図3Bは、デザインが屈折によって変化し得る方法を強調するために差し引かれた屈折を伴う度数プロファイルを示す。
【0030】
【0031】
図13に示される度数プロファイルを有する例示的なベースラインレンズと比較して、新しいデザイン(デザインI)の
模擬距離視力は、視力の約
1.2行良好である(VA-10LogMAR)。更に、新しいデザインのスルーフォーカス曲線は、ベースラインレンズのスルーフォーカス曲線
よりも平坦であるため(図4に示すように)、この新しいデザインは、ベースラインレンズ
よりも近視進行を遅延させる際により効果的であると予想
される(図5でモデル化されているように)。
【0032】
実際に、異なる調節状態での若年者の眼の収差パターンに応じて、新しいデザインのパラメータ範囲を以下の表2に要約する。
【0033】
【0034】
式1および式2は、レンズデザインの度数プロファイルを概説する。実際には、デザインは、レンズの幾何学的形状を調整することによって、および/またはレンズの内部勾配屈折率プロファイルを変更することによって製造され得る。その結果、レンズを通って伝播する光が屈折し、所望の度数プロファイルが得られる。
【0035】
更に、光強度はまた、透過率の中心から周辺までレンズをアポダイズする方法によって調整され得る。そのような透過率プロファイルは、任意の形態をとり得、レンズの中心から半径方向に変化し得る。例えば、透過率プロファイルは、レンズの中心から中間点まで減少し、次いで中間点から周辺点まで再び増加し得る。別の例として、透過率プロファイルは、スタイルズ-クローフォード効果に基づくことができる。別の例として、透過率プロファイルは、非単調に変化する曲線であり得るか、またはそれを含み得る。透過率は、瞳孔中心でより高くてもよく、光学ゾーン縁部またはそれに隣接する増加まで中心から半径方向外向きに減少してもよい。透過率プロファイルは、光学ゾーンの中心に最大透過率および光学ゾーン半径よりも小さい半径に配置された最小透過率を有し得る。他のプロファイルが使用されてもよい。透過率プロファイルは、一連のポイント数によって制御される区分的立方体エルミート補間多項式曲線などの多くの数式または式によって表すことができる(Fritsch et al.,Monotone Piecewise Cubic Interpolation,SIAM J.Numerical Analysis,Vol.17,1980,pp.238-46参照)。透過率プロファイルは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義され得る。一例として、透過率の最大値は瞳孔中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ半径)よりも小さく配置される。別の例として、透過率は、例えば以下のような多項式関数に基づく。
T=(-0.4179r^7+5.1596r^6-24.399r^5+54.5187r^4-57.4684r^3+35.308r^2-46.6963r^+100.1505)/100
【0036】
そのようなアポダイゼーションプロファイルを有するレンズは、レンズが作製される反応性モノマー混合物に光吸収化合物を組み込むことによって、レンズが間に作製される金型上に光吸収パターンをパッド印刷することによって、製造されてもよく、その後、硬質アポダイズドインサートをレンズに埋め込むことによって、レンズ内またはレンズ上への光吸収化合物の含浸または化学グラフトの作製後方法などによって、硬化時にレンズに組み込まれる。光吸収化合物は、反応性または非反応性、有機もしくは有機金属染料、コーティングされたもしくはコーティングされていないナノ粒子など、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0037】
本開示は、屈折およびアポダイゼーションによって光を操作する例示的なデザイン(デザインII)を提供する。デザインIIの度数プロファイルは、デザインIと同じである。デザインIIの度数プロファイルを説明するために使用されるパラメータ値は、表1のものと同じである。透過率プロファイルを説明する制御点を表3に要約する。
【0038】
【0039】
デザインIIの透過率プロファイルを
図6に示す。度数プロファイル
および透過率アポダイゼーションプロファイルの組み合わせた特徴の結果として、デザインIIの視力
矯正の有効性は類似しており、デザインIよりもわずかに良好であり、ベースラインレンズよりも良好である。一例として、デザイン2は、約-2VA-10LogMARとしてモデル化されたベースラインレンズと比較して、-.75VA-10LogMARとしてモデル化された。しかしながら、デザインIIのスルーフォーカス曲線がデザインIよりも平坦であるため(
図7対
図4)、デザインIIは、デザインI
およびベースラインレンズよりも近視進行の遅延においてより効果的であると予想される(
図8対
図5)。
【0040】
バンプデザインモダリティに加えて、多焦点デザイン形態を使用して、近視を制御する際の視力矯正および治療効果の最大のバランスのとれた利益をもたらすこともできる。これらの多焦点デザインはまた、老眼または出現しつつある老眼のための視力矯正に適用可能である。
【0041】
多焦点デザインの度数プロファイルは、以下のように説明することができる。
p(r)=p0+sa×r2+M(r) (4)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離を表し、p0は、レンズのベース度数を表し、saは、球面収差量を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、M(r)は、式(5)で更に説明される多焦点関数を表し、
【0042】
【数3】
rは、
幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離(mm)を表し、
【0043】
【数4】
は、第1の追加ゾーン(mm)の内側境界
および外側境界の位置を表し、
【0044】
【数5】
は、第2の追加ゾーン(mm)の内側境界
および外側境界の位置を表し、追加度数は、追加度数(D)の大きさを表す。
【0045】
式4および式5は、レンズデザインの度数プロファイルを指定することができる。実際には、デザインは、レンズの幾何学的形状を調整することによって、および/またはレンズの内部勾配屈折率プロファイルを変更することによって製造され得る。その結果、レンズを通って伝播する光が屈折し、所望の度数プロファイルが得られる。他の方法を用いることもできる。
【0046】
あるいは、多焦点デザインの度数プロファイルは、以下のように説明され得る。
p(r)=p0+sa×r2+N(r) , (6)
rは、幾何学的なレンズ中心からの半径方向距離を表し、p0は、レンズのベース度数を表し、saは、球面収差量を表し、p(r)は、レンズ度数プロファイルを表し、N(r)は、式(7)で更に説明されるバンプ多焦点関数を表す。
【0047】
【0048】
【数7】
は、第1のバンプ追加ゾーンの中心位置を表し、
【0049】
【数8】
は、第1のバンプ追加ゾーンの中心位置を表す。
【0050】
式(7)
および表4に記載されているデザインパラメータを使用したそのような例示的な多焦点デザイン(デザインIII)(Rx:-3D)の度数プロファイルを
図9に示す。
【0051】
【0052】
ベースラインレンズと比較して、デザインIIIの模擬距離視力は、1文字良好である。更に、デザインIIIのスルーフォーカス曲線がベースラインレンズのものよりも平坦であるため(
図10)、デザインIIIは、ベースラインレンズよりも近視進行を遅延させる際により効果的であると予想される(
図11)。
【0053】
実際には、異なる調節状態での若年者の眼の収差パターンに応じて、例示的な多焦点デザインのパラメータ範囲は、以下の表に要約される。
【0054】
【0055】
上記のデザインは、スルーフォーカス曲線を平坦にし、良好な視力矯正を維持することを意図している。デザインは、老眼または出現しつつある老眼のための視力矯正にも適用可能である。したがって、近視制御のために元々作成された新しいデザインI、II、お
よびIIIも、出現しつつある老眼および老眼の補正に適用可能である。
【0056】
式(6)を使用した別の例示的なデザイン(
Design IV)(Rx:-3D)の度数プロファイル
および出現しつつある老眼(EP)を補正するための表6に記載されたデザインパラメータを
図12に示す。
【0057】
【0058】
図示および説明されたものは、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、説明および図示した特定の設計および方法からの変更がそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定することと、
少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて前記度数プロファイルを調整することと、
前記調整された度数プロファイルを示すように前記レンズを形成することと、を含む方法によって形成されている、眼用レンズ。
(2) 前記レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状を構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(3) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成されている、実施態様1に記載のレンズ。
(4) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、ターゲット母集団の特性に基づいて構成されている、実施態様1に記載のレンズ。
(5) 前記特性は、瞳孔サイズまたは輻輳分散のうちの少なくとも1つである、実施態様4に記載のレンズ。
【0060】
(6) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方またはターゲット母集団の瞳孔サイズおよび輻輳分散に基づいて構成されている、実施態様1に記載のレンズ。
(7) レンズを形成することは、前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(8) レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状および前記レンズの内部勾
配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(9) レンズを形成することは、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記調整された度数プロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(10) レンズを形成することは、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを更に含む、実施態様1に記載のレンズ。
【0061】
(11) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイズすることによって変更される、実施態様10に記載のレンズ。
(12) 前記レンズをアポダイズすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様11に記載のレンズ。
(13) 透過率の最大値は瞳孔中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様12に記載のレンズ。
(14) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様13に記載のレンズ。
(15) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定されている、実施態様12に記載のレンズ。
【0062】
(16) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様1に記載のレンズ。
(17) 前記TFFは、
【数9】
によって定義される、実施態様16に記載のレンズ。
(18) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、
およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を含み、
前記度数プロファイルは、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて最適化
されている、眼用レンズ。
(19) 前記バンプ関数は多焦点
関数を含む、実施態様18に記載のレンズ。
(20) 前記球面収差、
および前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成
されている、実施態様18に記載のレンズ。
【0063】
(21) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方またはターゲット母集団の瞳孔サイズおよび輻輳分散に基づいて構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(22) 前記本体は、前記レンズの幾何学的形状を構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(23) 前記本体は、前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(24) 前記本体は、前記レンズの幾何学的形状および前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(25) 前記本体は、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記度数プロファイルを呈するように構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
【0064】
(26) 前記本体は、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように構成されている、実施態様18に記載のレンズ。
(27) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイズすることによって変更される、実施態様26に記載のレンズ。
(28) 前記レンズをアポダイズすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様27に記載のレンズ。
(29) 透過率の最大値は瞳孔中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様28に記載のレンズ。
(30) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様29に記載のレンズ。
【0065】
(31) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定
されている、実施態様28に記載のレンズ。
(32) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様18に記載のレンズ。
(33) 前記TFFは、
【数10】
によって定義される、実施態様32に記載のレンズ。
(34) 眼用レンズであって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、
およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを呈するように構成された本体を含み、
前記度数プロファイルは、視力
矯正を提供し、少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて、近視進行を遅らせるか
または老眼を治療するように更に最適化されている、眼用レンズ。
(35) 前記本体は、前記レンズの
幾何学的形状を構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
【0066】
(36) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(37) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方またはターゲット母集団の瞳孔サイズおよび輻輳分散に基づいて構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(38) 前記本体は、前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(39) 前記本体は、前記レンズの幾何学的形状および前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することによって構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(40) 前記本体は、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記度数プロファイルを呈するように構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
【0067】
(41) 前記本体は、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように構成されている、実施態様34に記載のレンズ。
(42) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイズすることによって変更される、実施態様41に記載のレンズ。
(43) 前記レンズをアポダイズすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様42に記載のレンズ。
(44) 透過率の最大値は瞳孔中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様43に記載のレンズ。
(45) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様44に記載のレンズ。
前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定されている、実施態様43に記載のレンズ。
【0068】
(46) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様34に記載のレンズ。
(47) 前記TFFは、
【数11】
によって定義される、実施態様47に記載のレンズ。
(48)
眼用レンズを形成する方法であって、
ベース光度数、レンズの幾何学中心からの半径方向距離における球面収差の量、
およびバンプ関数によって定義される度数プロファイル関数に基づいて度数プロファイルを決定することと、
少なくともスルーフォーカス曲線の形状メトリックを最小化することに基づいて前記度数プロファイルを調整することと、
前記調整された度数プロファイルを呈するようにレンズを形成することと、を含む方法。
(49) 前記レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(50) 前記球面収差、
および前記バンプ関数のパラメータは、屈折処方によって変化するように構成される、実施態様48に記載の方法。
【0069】
(51) 前記球面収差、および前記バンプ関数のパラメータは、特定の処方またはターゲット母集団の瞳孔サイズおよび輻輳分散に基づいて構成される、実施態様48に記載の方法。
(52) レンズを形成することは、前記レンズの内部勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(53) レンズを形成することは、前記レンズの幾何学的形状および前記レンズの内部
勾配屈折率プロファイルを構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(54) レンズを形成することは、前記レンズを通って伝播する光が屈折して前記調整された度数プロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
(55) レンズを形成することは、少なくとも前記レンズを通って伝播する光の強度が変化してターゲットアポダイゼーションプロファイルを示すように、前記レンズの本体を構成することを含む、実施態様48に記載の方法。
【0070】
(56) 前記レンズを通って伝播する前記光の強度は、前記レンズをアポダイズすることによって変更される、実施態様55に記載の方法。
(57) 前記レンズをアポダイズすることは、透過率が非単調に変化する、連続関数によって定義される透過率プロファイルに基づく、実施態様56に記載の方法。
(58) 透過率の最大値は瞳孔中心にあり、最小値は光学ゾーン(OZ)半径よりも小さく配置されている、実施態様57に記載の方法。
(59) 前記透過率は多項式関数に基づく、実施態様58に記載の方法。
(60) 前記レンズ上の半径位置に対する前記透過率プロファイルの形状は、前記中心から中間点への減少、次いで周辺点への増加によって画定される、実施態様57に記載の方法。
【0071】
(61) 前記形状メトリックは、スルーフォーカス平坦度(TFF)メトリックを含む、実施態様48に記載の方法。
(62) 前記TFFメトリックは、
【数12】
によって定義される、実施態様61に記載の方法。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項16】
前記TFFは、
【数1】
によって定義される、請求項15に記載のレンズ。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】全図
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【国際調査報告】