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特表2023-542765グリッパ、グリッパステーション、及び環状タイヤ構成要素をグリップするための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】グリッパ、グリッパステーション、及び環状タイヤ構成要素をグリップするための方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/08 20060101AFI20231004BHJP
   B29D 30/32 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B29D30/08
B29D30/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569611
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2022070925
(87)【国際公開番号】W WO2023025496
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2029073
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519009895
【氏名又は名称】ブイエムアイ・ホラント・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】VMI Holland B.V.
【住所又は居所原語表記】Gelriaweg 16,8161 RK EPE,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ベルフェン、ティメン・アントン
(72)【発明者】
【氏名】ヌッセルデル、ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ベーク、ビレム・マリヌス
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD12
4F215VK12
4F215VL13
4F215VP34
4F215VP35
(57)【要約】
本発明は、グリッパ、グリッパステーション、及び環状タイヤ構成要素をグリップするための方法に関し、本グリッパは、グリッパ軸を中心として周方向に分配されており、かつ半径方向内側のエンドポイント及び半径方向外側のエンドポイントを有する主要範囲にわたり、グリッパ軸と直角の半径方向に少なくともベクトル成分を伴って移動可能である複数のグリッパ部材を備え、本グリッパは、複数のグリッパ部材の半径方向への移動を主要範囲内の部分範囲に制限するためのリミッタを更に備え、部分範囲は、主要範囲に対する調整可能な部分範囲位置を有し、本グリッパは、複数のグリッパ部材の半径方向への移動を同調させるための同調部材を備え、同調部材は、主要範囲を規定し、リミッタは、部分範囲を規定するように同調部材を制限するように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状タイヤ構成要素をグリップするためのグリッパであって、前記グリッパは、グリッパ軸を中心として周方向に分配されており、かつ半径方向内側のエンドポイント及び半径方向外側のエンドポイントを有する主要範囲にわたり、前記グリッパ軸と直角の半径方向に少なくともベクトル成分を伴って移動可能である複数のグリッパ部材を備え、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を前記主要範囲内の部分範囲に制限するためのリミッタを更に備え、前記部分範囲は、前記主要範囲に対する調整可能な部分範囲位置を有し、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を同調させるための同調部材を備え、前記同調部材は、前記主要範囲を規定し、前記リミッタは、前記部分範囲を規定するように前記同調部材を制限するように配置されている、グリッパ。
【請求項2】
前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有する、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能である、請求項2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整可能である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整可能である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記同調部材は、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備え、前記駆動部材は、前記複数のインデックス位置のうちのいずれかのインデックス位置における前記インデックス要素に接続可能である結合要素を備える、請求項5に記載のグリッパ。
【請求項7】
前記結合要素は手動で操作可能である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項8】
前記結合要素は遠隔で制御可能である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項9】
前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方に対して移動させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、請求項3~8のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項10】
前記駆動部材は、前記部分範囲を規定するシリンダ、好ましくは空気圧シリンダを備える、請求項2~9のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項11】
前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項12】
前記螺旋状スロットは、前記螺旋状プレートの角度変位と前記複数のグリッパ部材の半径方向変位との比が、前記主要範囲内の前記螺旋状プレートのいずれの角度位置でも同じになるように成形されている、請求項11に記載のグリッパ。
【請求項13】
前記同調部材は、前記周方向に分配された、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備える、請求項11又は12に記載のグリッパ。
【請求項14】
前記同調部材は、前記同調部材を前記駆動部材に対して回転させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、請求項11~13のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項15】
前記第1のハンドリング要素は、前記グリッパ軸と平行な方向に前記螺旋状プレートから突出している、請求項14に記載のグリッパ。
【請求項16】
前記部分範囲は、前記主要範囲の50パーセント未満、好ましくは、前記主要範囲の30パーセント未満である、請求項1~15のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項17】
各グリッパ部材には、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材に保持するための保持位置と、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材からリリースするためのリリース位置との間で移動可能である保持部材が設けられている、請求項1~16のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項18】
各グリッパ部材には、前記グリッパ軸と平行又は実質的に平行な排出方向に前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材から排出するための排出部材が設けられている、請求項1~17のいずれか一項に記載のグリッパ。
【請求項19】
前記保持部材は、前記保持部材が前記保持位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を阻止するとともに、前記保持部材が前記リリース位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を可能にするように構成されている、請求項17及び18に記載のグリッパ。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のグリッパを備えるグリッパステーションであって、前記グリッパステーションは、前記部分範囲位置を設定するための、前記グリッパの外部にある調整部材を更に備える、グリッパステーション。
【請求項21】
前記調整部材は調整位置に位置し、前記グリッパステーションは、前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記部分範囲位置を設定するための前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させるためのマニピュレータを更に備える、請求項20に記載のグリッパステーション。
【請求項22】
前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであるように配置され、前記マニピュレータは、前記部分範囲位置を調整するために前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方を前記調整部材に対して移動させるように配置されている、請求項21に記載のグリッパステーション。
【請求項23】
前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備え、前記マニピュレータは、前記第1のハンドリング要素が前記調整部材によって係合されているときに、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方に対して移動させるように配置される、請求項21又は22に記載のグリッパステーション。
【請求項24】
前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置され、前記同調部材は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備える、請求項21又は22に記載のグリッパステーション。
【請求項25】
請求項1~19のうちのいずれか一項に記載のグリッパを使用して環状タイヤ構成要素をグリップするための方法であって、前記方法は、
- 前記同調部材によって規定される前記主要範囲に対する前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記部分範囲を規定し、前記複数のグリッパ部材の移動を前記部分範囲に制限するための前記リミッタを用いて前記同調部材を制限することと、
を行うステップを備える、方法。
【請求項26】
前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有し、前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能であり、前記方法は、
- 前記駆動部材を前記結合解除状態に切り替えることと、
- 前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記駆動部材を前記結合状態に切り替えることと、
を行うステップを更に備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、
- 前記部分範囲位置を設定するための調整部材を前記グリッパの外部の調整位置に設けることと、
- 前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させることと、
前記グリッパが前記調整位置にあるときに、前記調整部材を用いて前記部分範囲位置を設定することと、
を行うステップを更に備える、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであり、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記部分範囲位置を調整するために前記調整部材に対して移動される、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、グリッパと、グリッパステーションと、環状ビード、環状ビードリング、環状エイペックスフィラー、又は環状ビードエイペックスアセンブリなどの環状タイヤ構成要素をグリップするための方法とに関する。
【0002】
KR 2014 0050790 Aは、グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の支持体と、ビードワイヤを小さい直径と係合させ、かつビードワイヤを大きい直径と係合させるのに十分なグリップ範囲にわたり、グリッパ軸と直角の半径方向に支持体を同調的に拡張するための湾曲スロットを有する回転プレートとを有する調整可能なビードワイヤグリッパを開示している。ビードワイヤをグリップする前に、複数の支持体は、グリップ範囲の半径方向内側のエンドポイントに戻される。続いて、支持体が正しい直径でビードワイヤに係合するまで、支持体は半径方向に拡張される。したがって、異なるサイズのビードワイヤに、部品を交換する必要なしに好都合に係合することができる。
【0003】
既知のビードワイヤグリッパの欠点は、ビードワイヤの束が比較的大きい同じ直径を有する場合、各ビードワイヤに最終的に係合するように支持体をグリップ範囲のかなりの部分にわたり繰り返し移動させなければならないことである。繰り返しの移動により、貴重なサイクルタイムを不要に消費してしまう。更に、全グリップ範囲にわたり支持体を移動させるのに必要な駆動は、支持体を正しい直径に確実に及び/又は正確に位置付けるのに最適に適しているわけではない場合がある。
【0004】
DE 10 2013 102583 A1は、セグメントを有するビード移送リングを開示しており、各セグメントは、それぞれのセグメントをそれぞれの範囲内で半径方向に移動させるためのそれ自体の駆動シリンダと、リングボディに対する駆動シリンダの位置を調整するためのそれ自体の調整機構とを有する。調整機構は、追加のシリンダを使用して作動される。
【発明の概要】
【0005】
DE 10 2013 102583 A1に開示されるビード移送リングの欠点は、セグメントごとの個別の調整機構により、ビード移送リングの全体的な複雑さ、重量、コスト、及び保守の必要が増大することである。更に、空気圧で動作する様々なシリンダの移動を同調させるのは困難である場合があり、これにより、1つ又は複数の調整機構が残りの調整機構に対して適所を外れて固定され、及び/又は1つ又は複数のセグメントがそれらのそれぞれの駆動シリンダによって他のセグメントに対して同調的に移動されなくなる恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、グリッパと、グリッパステーションと、環状タイヤ構成要素をグリップするための方法とを提供することであり、異なる直径のタイヤ構成要素をより確実に及び/又は正確にグリップすることができる。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、環状タイヤ構成要素をグリップするためのグリッパを提供し、本グリッパは、グリッパ軸を中心として周方向に分配されており、かつ半径方向内側のエンドポイント及び半径方向外側のエンドポイントを有する主要範囲(main range)にわたり、グリッパ軸と直角の半径方向に少なくともベクトル成分を伴って移動可能である複数のグリッパ部材を備え、本グリッパは更に、複数のグリッパ部材の半径方向への移動を主要範囲内の部分範囲(subrange)に制限するためのリミッタを備え、部分範囲は、主要範囲に対する調整可能な部分範囲位置を有し、本グリッパは、複数のグリッパ部材の半径方向への移動を同調させるための同調部材を備え、同調部材は、主要範囲を規定し、リミッタは、部分範囲を規定するように同調部材を制限するように配置されている。
【0008】
同調部材を制限することによって、リミッタは、すべてのグリッパ部材の移動を部分範囲に間接的かつ同調的に制限することができる。湾曲スロットを有する回転プレートを同調部材として使用することはKR 2014 0050790 Aに開示されているが、そのような同調部材は、DE 10 2013 102583 A1のビード移送リングに適用されたとき、個別の駆動シリンダを同調的に再位置付けするための個別の調整機構の代替形態として合理的にみなすことができるにすぎない。セグメントの動作可能な移動は依然として個別の駆動シリンダによって駆動される。KR 2014 0050790 AとDE 10 2013 102583 A1の組合せは、すべてのグリッパ部材の移動を部分範囲に間接的かつ同調的に制限することを目的として同調部材の移動を制限するリミッタを使用することを何ら開示も示唆もしていない。この差別化できる特徴の技術的利点は、本発明に係るグリッパが大幅に複雑でなくなることであり、これにより重量又はコストを節約し、及び/又は保守をより少なくすることができる。更に、グリッパ部材をより同調的に制御することができ、それによって、タイヤ構成要素をグリップするときの確実性及び正確性を向上させる。
【0009】
好ましくは、リミッタは、同調部材を駆動するための駆動部材を備え、駆動部材は、部分範囲を規定する駆動ストロークを有する。換言すれば、駆動部材は、駆動ストローク内だけで、すなわち、部分範囲に対応する制限された駆動範囲にわたり同調部材を移動させることができる。
【0010】
より好ましくは、駆動部材は、同調部材を部分範囲内で駆動するための結合状態と、駆動部材が部分範囲位置を調整するために同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能である。換言すれば、結合解除状態では、駆動部材及び同調部材のうちの一方は、別の直径の環状タイヤ構成要素をグリップするための主要範囲に対する部分範囲位置を調整するために、駆動部材及び同調部材のうちの他方に対して移動することが可能とされる。部分範囲位置が調整されたら、主要範囲に対する部分範囲位置を固定するために、駆動部材を結合状態に再び切り替えることができる。
【0011】
1つの特定の実施形態では、駆動部材は、同調部材に対して無段階で調整可能である。したがって、グリッパを任意の直径で調整することができる。
【0012】
代替として、駆動部材は、同調部材に対して段階的に調整可能である。段階は、環状タイヤ構成要素の一般的な直径、すなわち、一般的なインチサイズに対応していてよい。
【0013】
そのような段階的な調整の1つの実施形態では、同調部材は、部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備え、駆動部材は、複数のインデックス位置のうちのいずれかのインデックス位置におけるインデックス要素に接続可能である結合要素を備える。したがって、インデックス要素は、係合する環状タイヤ構成要素の直径における特定の段階に対応する部分範囲位置を選択するためにインデックス位置のいずれか1つに(再び)位置付けられてよい。
【0014】
結合要素は手動で操作可能であってよいし、又は遠隔で制御可能であってよい。手動操作は、比較的ローテクであり、すなわち、ピンをインデックス孔に挿入することによるものであり得る。しかしながら、これには危険な可能性のある環境でのオペレータの介入が必要となる。遠隔で、すなわち、空気圧で、水圧で、電気的に、及び/又は電子的に、結合要素を制御することによって、オペレータの介入が必要でなくなる。換言すれば、部分範囲の調整を少なくとも部分的に自動化することができる。
【0015】
更なる実施形態では、駆動部材及び同調部材のうちの一方は、駆動部材及び同調部材のうちの該一方を駆動部材及び同調部材のうちの他方に対して移動させるために、グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える。グリッパの外部にある、すなわち、グリッパの一部ではない調整部材を有することによって、グリッパ自体に、部分範囲位置を調整するための調整部材が必要なくなる。具体的には、グリッパは、駆動部材及び同調部材のうちの一方を駆動部材及び同調部材のうちの他方に対してロックする調整部材を必要としない。
【0016】
更なる実施形態では、駆動部材は、部分範囲を規定するシリンダ、好ましくは空気圧シリンダを備える。空気圧シリンダは、部分範囲に対応する制限された範囲にわたり同調部材を駆動するのに好適な制限された駆動ストロークを有する。
【0017】
1つの特定の実施形態では、同調部材は、グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、螺旋状プレートは、それぞれのカムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により複数のグリッパ部材を半径方向に駆動するようにグリッパ軸を中心として回転可能であり、リミッタは、螺旋状プレートのグリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置されている。螺旋状プレートは、好都合なことにグリッパ部材の移動を同調させることができる。
【0018】
螺旋状スロットは、螺旋状プレートの角度変位と複数のグリッパ部材の半径方向変位との比が、主要範囲内の螺旋状プレートのいずれの角度位置でも同じになるように成形されている。したがって、部分範囲は、該部分範囲が主要範囲内のどこに位置付けられているかにかかわらず、同じサイズを有することができる。
【0019】
好ましくは、同調部材は、周方向に分配された、部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備える。インデックス要素は、主要範囲内の一連の段階、すなわち、最も一般的なタイヤ構成要素の直径又はインチサイズに基づく一連の段階についての部分範囲位置を選択するために使用することができる。
【0020】
追加又は代替として、同調部材は、同調部材を駆動部材に対して回転させるために、グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える。これは、ここでは螺旋状プレートのコンテキストであるが、第1のハンドリング部材及び外部の調整部材に関連して上述したものと同じ技術的利点を有する。
【0021】
好ましくは、第1のハンドリング要素は、グリッパ軸と平行な方向に螺旋状プレートから突出している。したがって、第1のハンドリング要素は、調整部材によって容易に係合及び/又はロックされ得、これは螺旋状プレートと共に該第1のハンドリング要素が進む経路に該調整部材を位置付けることによって行われる。
【0022】
別の実施形態では、部分範囲は、主要範囲の50パーセント未満、好ましくは、主要範囲の30パーセント未満である。部分範囲が主要範囲よりもかなり小さいとき、多くのサイクルタイムを節約することができ、及び/又は移動を更により正確にすることができる。
【0023】
別の実施形態では、各グリッパ部材には、タイヤ構成要素をそれぞれのグリッパ部材に保持するための保持位置と、タイヤ構成要素をそれぞれのグリッパ部材からリリースするためのリリース位置との間で移動可能である保持部材が設けられている。保持位置では、保持部材は、タイヤ構成要素のそれぞれのグリッパ部材からの意図的でないリリースを防止することができる。
【0024】
別の実施形態では、各グリッパ部材には、グリッパ軸と平行又は実質的に平行な排出方向にタイヤ構成要素をそれぞれのグリッパ部材から排出するための排出部材が設けられている。排出部材は、タイヤ構成要素がグリッパからリリースされることになっているときにタイヤ構成要素がそれぞれのグリッパ部材から実際に排出されることを促進する又は確実にすることができる。
【0025】
前の2つの実施形態を組み合わせた実施形態では、保持部材は、保持部材が保持位置にあるときにタイヤ構成要素のそれぞれのグリッパ部材からの排出方向への排出を阻止するとともに、保持部材がリリース位置にあるときにタイヤ構成要素のそれぞれのグリッパ部材からの排出方向への排出を可能にするように構成されている。したがって、保持部材及び排出部材は、保持部材が活動状態であるときにタイヤ構成要素を排出することができないように協働することができる。
【0026】
第2の態様によれば、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つに係るグリッパを備えるグリッパステーションを提供し、本グリッパステーションは更に、部分範囲位置を設定するための、グリッパの外部にある調整部材を備える。
【0027】
グリッパステーションは、上記グリッパを含み、したがって特に外部の調整部材に関連して同じ技術的利点を有する。
【0028】
好ましくは、調整部材は調整位置に位置し、グリッパステーションは更に、グリッパが調整部材から離隔している動作位置と、グリッパが部分範囲位置を設定するための調整部材と相互動作する調整位置との間でグリッパを移動させるためのマニピュレータを備える。動作位置では、グリッパは、環状タイヤ構成要素に係合し、及び/又はそれをグリップするために使用され得る。調整位置では、調整部材は、グリッパの要素のうちの1つの、グリッパの他の要素に対する位置を固定することによって、すなわち、部分範囲位置を設定又は調整するように、グリッパの挙動を変えることができる。
【0029】
より好ましくは、調整部材は、部分範囲位置の設定中、調整位置に静止したままであるように配置され、マニピュレータは、部分範囲位置を調整するために駆動部材及び同調部材のうちの一方を調整部材に対して移動させるように配置されている。結果として、調整部材は受動構成部品とすることができる。
【0030】
追加又は代替として、駆動部材及び同調部材のうちの一方は、グリッパが調整位置に移動されたときに調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備え、マニピュレータは、第1のハンドリング要素が調整部材によって係合されているときに、駆動部材及び同調部材のうちの他方を駆動部材及び同調部材のうちの該一方に対して移動させるように配置されている。マニピュレータは通常グリッパを環状タイヤ構成要素に対して位置付けるために使用されるが、ここではその駆動及び/又は運動自由度も部分範囲位置を調整するために使用され得る。
【0031】
更なる実施形態では、同調部材は、グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、螺旋状プレートは、それぞれのカムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により複数のグリッパ部材を半径方向に駆動するようにグリッパ軸を中心として回転可能であり、リミッタは、螺旋状プレートのグリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置され、同調部材は、グリッパが調整位置に移動されたときに調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備える。これは、ここではグリッパステーション全体のコンテストであるが、第1のハンドリング部材及び外部の調整部材に関連して上述したものと同じ技術的利点を有する。
【0032】
第3の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による実施形態のいずれか1つに係るグリッパを使用して環状タイヤ構成要素をグリップするための方法を提供し、本方法は、
- 同調部材によって規定される主要範囲に対する部分範囲位置を調整することと、
- 部分範囲を規定し、複数のグリッパ部材の移動を該部分範囲に制限するためのリミッタを用いて同調部材を制限することと、
を行うステップを備える。
【0033】
本方法は、本発明の第1の態様に係るグリッパの実用的な実装に関するものであり、したがって同じ技術的利点を有するので、以下で繰り返して説明しない。
【0034】
好ましくは、リミッタは、同調部材を駆動するための駆動部材を備え、駆動部材は、部分範囲を規定する駆動ストロークを有し、駆動部材は、同調部材を部分範囲内で駆動するための結合状態と、駆動部材が部分範囲位置を調整するために同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能であり、本方法は更に、
- 駆動部材を結合解除状態に切り替えることと、
- 部分範囲位置を調整することと、
- 駆動部材を結合状態に切り替えることと、
を行うステップを備える。
【0035】
1つの特定の実施形態では、駆動部材は、同調部材に対して無段階で調整される。代替として、駆動部材は、同調部材に対して段階的に調整される。
【0036】
更なる実施形態では、本方法は更に、
- 部分範囲位置を設定するための調整部材をグリッパの外部の調整位置に設けることと、
- グリッパが調整部材から離隔している動作位置と、グリッパが調整部材と相互動作する調整位置との間でグリッパを移動させることと、
- グリッパが調整位置にあるときに、調整部材を用いて部分範囲位置を設定することと、
を行うステップを備える。
【0037】
好ましくは、調整部材は、部分範囲位置の設定中、調整位置に静止したままであり、駆動部材及び同調部材のうちの一方は、部分範囲位置を調整するために調整部材に対して移動される。
【0038】
本明細書において説明及び図示される様々な態様及び特徴は、可能な場合はいつでも、個々に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載の態様及び特徴は、分割特許出願の主題となる可能性がある。
【0039】
本発明について、添付の概略図に示す例示的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の例示的な実施形態に係る複数のグリッパ部材を有するグリッパの正面図を示す。
図2図2A、2Bは、複数のグリップ部材を部分範囲内で移動させるステップ中における、図1に係るグリッパの背面図を示す。
図3A】主要範囲に対する部分範囲の部分範囲位置を調整するステップ中における、図1に係るグリッパと調整部材とを備えるグリッパステーションの背面図を示す。
図3B】主要範囲に対する部分範囲の部分範囲位置を調整するステップ中における、図1に係るグリッパと調整部材とを備えるグリッパステーションの背面図を示す。
図3C】主要範囲に対する部分範囲の部分範囲位置を調整するステップ中における、図1に係るグリッパと調整部材とを備えるグリッパステーションの背面図を示す。
図4図3Aの線IV-IVによるグリッパの断面図を示す。
図5A】タイヤ構成要素をグリッパから排出するための方法の任意選択的なステップ中におけるグリッパ部材の詳細を示す。
図5B】タイヤ構成要素をグリッパから排出するための方法の任意選択的なステップ中におけるグリッパ部材の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図2A、及び図2Bは、環状タイヤ構成要素91、92をグリップするためのグリッパ1を示す。図3A図3Cは、グリッパ1を位置付けるためのマニピュレータ4と、後に詳述する方法でグリッパ1の構成を調整するための該グリッパ1の外部にある調整部材8とを更に備える、グリッパステーション100の一部としてのグリッパ1を示す。
【0042】
図1は、簡易化した形のマニピュレータ4を示す。マニピュレータ4は、アーム40と、該アーム40の遠位端にあるヘッド41とを備える。アーム40及び/又はヘッド41は、様々な軸を中心としていてよいし、又はそれに沿っていてよい。マニピュレータ4は、例えば多軸ロボットであってよい。マニピュレータ4の基部は図示していない。
【0043】
図1に示すように、グリッパ1は、異なるサイズ、具体的には異なる直径D1、D2の環状タイヤ構成要素91、92に係合する又はそれをグリップするように構成される。環状タイヤ構成要素91、92は、タイヤ製造において使用されるビード、ビードリング、エイペックス、又はビードエイペックスであってよい。環状タイヤ構成要素91、92は、半仕上げの製品であってよいし、又は生タイヤ若しくは未加硫タイヤにすでに一体化又は統合されていてよい。したがって、環状タイヤ構成要素91、92に係合することによって、グリッパ1は、個々の該タイヤ構成要素91、92に、又は生タイヤ若しくは未加硫タイヤ全体に係合する。
【0044】
図1で最もよくわかるように、グリッパ1は、グリッパ軸Aを中心として周方向Cに分配された複数のグリッパ部材2を備える。グリッパ部材2は、グリッパ軸Aと直角の半径方向Rに移動可能であるか、又は該半径方向Rに少なくともベクトル成分を伴って移動可能である。具体的には、グリッパ1には、グリッパ部材2が半径方向Rに移動するときにグリッパ部材2を直線的にガイドするための複数の直線ガイド10が設けられている。好ましくは、直線ガイド10は、固定関係でマニピュレータ4に取り付けられており、それによりそのヘッド41に対して静止したままとなる。各グリッパ部材2には、半径方向外向き方向に環状タイヤ構成要素91、92に接触するように好適に成形されたグリッパ本体20が設けられている。
【0045】
図2A及び図2Bに示すように、グリッパ部材2は、主要範囲Mを横断して、それに沿って、又はそれにわたり半径方向Rに移動可能である。主要範囲Mは、半径方向内側のエンドポイントE1及び半径方向外側のエンドポイントE2によって規定され、又はそれらの内側に広がる。グリッパ1は、グリッパ部材2の半径方向Rへの移動を同調させるための同調部材3を備える。換言すれば、同調部材3により、すべてのグリッパ部材2が半径方向内向き及び半径方向外向きに同時に及び/又は同程度に移動されることが確実になる。
【0046】
この例では、同調部材3は、グリッパ軸Aを中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロット31を有する螺旋状プレート30を備える。各グリッパ部材2は、それぞれの螺旋状スロット31に受容されたカムフォロア21を備える。螺旋状プレート30は、それぞれのカムフォロア21とそれらのそれぞれの螺旋状スロット31との相互動作によりグリッパ部材2を半径方向Rに駆動するようにグリッパ軸Aを中心として回転可能である。
【0047】
螺旋状プレート30は、ヘッド41上に回転可能に取り付けられている。具体的には、マニピュレータ4は、螺旋状プレート30をヘッド41に対して回転させるための調整ドライブ42を備える。螺旋状プレート30が回転している間、グリッパ部材2を担持する直線ガイド10がヘッド41に対して固定の向きのままであるように構成されていることに留意されたい。したがって、螺旋状プレート30の回転により、該グリッパ部材2に関連付けられたカムフォロア21が螺旋状スロット31を通って移動し、それによって、それぞれのグリッパ部材2を螺旋状プレート30の回転方向に応じて半径方向内向き又は外向きに強制的に移動させる。
【0048】
螺旋状スロット31は、グリッパ軸Aに対して比較的小さい角度又はピッチで螺旋状になっており、それにより、螺旋状プレート30の回転の角度ごとに、グリッパ部材2が半径方向Rにほんのわずかに移動するようになっている。この例では、グリッパ部材2が全主要範囲Mを横断して変位するには、120度より大きい、具体的には180度より大きい回転が必要となる。螺旋状スロット31の長さが、グリッパ部材2の主要範囲Mを規定する。
【0049】
図2A及び図2Bに示すように、グリッパ1は更に、グリッパ部材2の半径方向Rへの移動を主要範囲M内の部分範囲Sに制限するために、選択的にグリッパ部材2に結合されたりグリッパ部材2から結合解除されたりし得るリミッタ5を備える。具体的には、リミッタ5は、同調部材3を制限するように、より具体的には、螺旋状プレート30のグリッパ軸Aを中心とした回転を、図2Bに示す制限された角度変位Hに制限するように構成又は配置される。
【0050】
好ましくは、螺旋状スロット31は、螺旋状プレート30の角度変位と複数のグリッパ部材2の半径方向変位との比が、主要範囲M内の螺旋状プレート30のいずれの角度位置でも同じになるように成形されている。したがって、部分範囲Sは、該部分範囲Sが主要範囲M内のどこに位置付けられているかにかかわらず、同じサイズを有することができる。
【0051】
この例では、リミッタ5は、グリッパ部材2の移動を機械的又は物理的に制限するように構成されている。好ましくは、リミッタ5は、同調部材3を駆動するための駆動部材50を備える、又は駆動部材50である。より特定すると、駆動部材50は、図2Bに示すように、部分範囲Sを規定する駆動ストロークXを有してよい。この例では、駆動部材50は、駆動ストロークXにわたって移動するようにプランジャを駆動するシリンダ51、好ましくは空気圧シリンダを備える。プランジャの直線運動を螺旋状プレート30のグリッパ軸Aを中心とした回転に変換するために、プランジャは、結合要素55を介して同調部材3、より特定すると螺旋状プレート30に接続される。
【0052】
本発明の範囲に含有される、駆動部材50に対する多くの変形形態、例えば、他の任意のタイプの直線ドライブ、螺旋状プレート30及び/又はギア上に直接係合する回転ドライブ、螺旋状プレート30に対して機械的にトルクをかける、チェーン、又はベルト等が可能であることは当業者には明らかであろう。
【0053】
結合要素55は、駆動部材50が同調部材3を部分範囲S内で駆動することができる結合状態と、駆動部材50が該部分範囲Sの位置Pを調整するために同調部材3に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能である。部分範囲位置Pは、主要範囲Mに対する部分範囲S全体の位置と解釈されたい。この例では、部分範囲位置Pは、そのエンドポイントのうちの一方のエンドポイントの半径方向位置によって概略的に表されている。
【0054】
図4に概略的に示すように、結合要素55は、例えば、空気圧で又はサーボモータを用いて、結合状態と結合解除状態とで切り替わるように遠隔で又は自動的に制御されてよい。代替として、結合要素55は、手動で、すなわち、ノブを引いたり押したりすることによって操作されるように構成されてもよい。
【0055】
この例示的な実施形態では、図2A及び図2Bで最もよくわかるように、同調部材3は、周方向Cに分配された、部分範囲Sにおける異なる段階に対応する複数のインデックス位置P1、P2、...、Pnを規定するインデックス要素35を備える。インデックス位置P1、P2、...、Pnは、例えば、図1に示す環状タイヤ構成要素91、92の一般的な直径D1、D2、例えば、一般的なインチサイズに対応していてよい。
【0056】
この例では、インデックス要素35は、複数のインデックス位置P1、P2、...、Pnを表す複数のアパーチャ、開口部、又は凹部を有するディスクによって形成されている。インデックス要素35は、グリッパ軸Aを中心として共に回転するように螺旋状プレート30に結合されており、又はそれと一体である。結合要素55には、駆動部材50が同調部材3から結合解除され、グリッパ軸Aを中心として同調部材3に対して自由に回転するときに結合要素55をインデックス位置P1、P2、...、Pnと位置が合った状態にしておくためにインデックス要素35のリムに係合するガイドシュー56が設けられていてよい。結合要素55は、インデックス位置P1、P2、...、Pnのいずれかで同調部材3に結合又は接続されるように構成される。換言すれば、駆動部材50は、同調部材3に対して段階的に調整可能である。より特定すると、結合要素55は、図4に概略的に示すように、インデックス位置P1、P2、...、Pnのうちの1つに挿入可能であるピンを備えていてよい。
【0057】
代替として、結合要素は、任意の角度位置で同調部材3にクランプ係合するようにクランプタイプ(図示せず)のものであってもよい。そのような実施形態では、駆動部材は、同調部材3に対して無段階で調整可能である。
【0058】
駆動部材50を同調部材3に対して移動させる、又はその逆を行うことによって、部分範囲Sは、主要範囲Mに対する調整可能な部分範囲位置Pを有する。換言すれば、部分範囲位置Pは、半径方向内側のエンドポイントE1に若しくはその近くに、半径方向外側のエンドポイントE2に若しくはその近くに、又は主要範囲Mに沿った様々な中間位置に位置してよい。例えば、図2Aは、インデックス位置Pnに対応する部分範囲位置Pに部分範囲Sが配置されて、それにより部分範囲Sが半径方向外側のエンドポイントE2に又はその近くにきているのを示している。図3Cは、中間インデックス位置のうちの1つに対応する部分範囲位置Pに部分範囲Sが調整されて、それにより部分範囲Sが該半径方向外側のエンドポイントE2から離隔しているのを示している。
【0059】
図3A図3Cに示すように、部分範囲位置Pは、上記調整部材8を使用して調整することができる。この例では、調整部材8は、グリッパ1の外部にあり、すなわち、グリッパ1の一部ではない。代替として、調整部材(図示せず)が、外部の調整手段を必要とすることなく部分範囲位置Pを調整するために、グリッパ1及び/又はマニピュレータ4上に、例えば、位置設定ドライブの形態で設けられてもよい。
【0060】
図3A図3B、及び図3Cに示すように、同調部材3には、調整部材8によって係合可能である第1のハンドリング要素71及び第2のハンドリング要素72が設けられている。この例では、第1のハンドリング要素71は、螺旋状プレート30上の第1の係合位置に位置し、グリッパ軸Aと平行又は実質的に平行な方向に該螺旋状プレート30から突出している。第2のハンドリング要素72は、螺旋状プレート30上の第1の係合位置の半径方向内側にある第2の係合位置に位置し、グリッパ軸Aと平行又は実質的に平行な方向に該螺旋状プレート30から突出している。
【0061】
調整部材8は調整位置に位置する。マニピュレータ4は、グリッパ1が調整部材8から離隔している動作位置と、グリッパ1が部分範囲位置Pを設定するための調整部材8と相互動作する調整位置との間でグリッパ1を移動させるように構成、プログラム、及び/又は制御される。
【0062】
より具体的には、調整部材8は、ロックフィンガ81、キャッチフィンガ82、及び該ロックフィンガ81と該キャッチフィンガ82との間のロック凹部83を画定する調整体80を備える。キャッチフィンガ82は、ロックフィンガ81よりも長く、及び/又はロックフィンガ81を越えて延在する。このため、キャッチフィンガ82は、グリッパ軸Aを中心として螺旋状プレート30を回転させたとき、及びグリッパ1が図3B及び図3Cに示す調整位置にあるときに、第1のハンドリング要素71及び/又は第2のハンドリング要素72が進む経路に配置され得る。図3Bの場合、キャッチフィンガ82が第2のハンドリング要素72の経路のみにあるとき、螺旋状プレート30は依然として1つの回転方向に回転することができる。
【0063】
しかしながら、グリッパ1が調整部材8と係合するように更に移動されると、図3Cに示すように、ロックフィンガ81は、グリッパ軸Aを中心として螺旋状プレート30を回転させたときに第1のハンドリング要素71が進む経路に位置するようになる。次いで、第1のハンドリング要素71は、ロックフィンガ81とキャッチフィンガ82との間のロック凹部83にロックされ、螺旋状プレート30の回転を両方の回転方向において阻止することができる。第2のハンドリング要素72は、通常、ロックフィンガ81の届かないところに留まる。
【0064】
任意選択的に、調整部材8は、グリッパ1と調整部材8との相互動作を検出するように構成される。調整部材8は、例えば、図3Bにおいて破線及び実線でそれぞれ示されている検出前及び検出後の調整部材8の位置で概略的に示すように、係合したら同調部材3と共に短い検出距離にわたり移動して該移動の検出を可能にすることが可能であってもよい。
【0065】
係合したら、同調部材3の角度位置を調整部材8に対して固定することができ、駆動部材50が結合解除状態にあれば、駆動部材50を固定された同調部材3に対して回転させることができる。マニピュレータ4又はそのアーム40は、同調部材3に対する駆動部材50の角度位置を有効に変更するように回転されてよい。より具体的には、結合要素55がインデックス要素35から係脱すると、駆動部材50は、結合要素55が選択されたインデックス位置P1、P2、...、Pnと係合され得る箇所で結合要素55が該選択されたインデックス位置P1、P2、...、Pnと位置合わせされるまで、インデックス要素35にわたり及び/又はインデックス要素35に対して自由に移動することができる。結合要素55及び/又はインデックス要素35には、それらの間の小さい位置ずれを吸収するために好適な面取り、センタリング及び/又はガイド表面が設けられていてよい。
【0066】
直線ガイド10及びそこに支持されたグリッパ部材2もマニピュレータ4及び/又は駆動部材50と同程度に移動し、それによって、該グリッパ部材2に関連付けられたカムフォロア21をそれぞれの螺旋状スロット31を通って移動させ、それによって、該グリッパ部材2の半径方向位置を選択された部分範囲位置Pにしたがって変化させることに留意されたい。
【0067】
同調部材3の角度位置を固定し、該同調部材3に対して駆動部材50を移動させるのではなく、代替として、駆動部材50を固定してもよく、代わりに同調部材3を移動させてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0068】
図5A及び図5Bに示すように、各グリッパ部材2には、任意選択的に、タイヤ構成要素91、92をグリッパ本体20に保持するための保持部材61、及び/又はタイヤ構成要素91、92をグリッパ本体20から排出するための排出部材65が設けられていてよい。具体的には、保持部材61と排出部材65は、保持部材61が活動状態であるときにタイヤ構成要素91、92を排出することができないように協働するように構成されていてよい。
【0069】
図5Aで最もよくわかるように、保持部材61は、タイヤ構成要素91、92のグリッパ本体20からの排出方向Cへの排出を防止又は阻止するために、タイヤ構成要素91、92と並んで保持位置にある保持フィンガ62を備える。この例では、排出方向Cは、図1及び図4に示すようにグリッパ軸Aと平行又は実質的に平行である。グリッパ部材2には、半径方向Rに延在するリリーススロット63が設けられており、保持部材61は、例えばガイドピン64を使用して、リリーススロット63と摺動可能に係合される。したがって、保持部材61は、半径方向内向きにリリース方向Bに図5Aに示す保持位置から図5Bに示すリリース位置まで引かれ得る。
【0070】
この例では、排出部材65は、例えば、保持部材61における又はその表面上のヒンジ点66によって、グリッパ部材2に対してヒンジ式で支持された排出フィンガとして形成されている。グリッパ部材2には更に、排出方向Cへの少なくとも成分を伴う排出部材65のグリッパ部材2に対する相対移動を発生させるための排出アクチュエータ67、例えばシリンダが設けられている。排出部材65は、図5Aに示す待機位置と、図5Bに示す排出位置との間で移動可能である。待機位置から排出位置に向かって移動するとき、排出部材65は、タイヤ構成要素91、92に接触し、好ましくは、タイヤ構成要素91、92がグリッパ本体20によって半径方向Rに支持されなくなるまで、タイヤ構成要素91、92を排出方向Eにグリッパ本体20から押し出すように構成される。
【0071】
図5Aでは、タイヤ構成要素91、92が一方側の保持フィンガ62と他方側の排出部材65との間にロックされることに留意されたい。このため、保持フィンガ62及び排出部材65は、タイヤ構成要素91、92をグリッパ軸Aと平行な方向にグリップ又はクランプするようにある程度協働してよい。
【0072】
次に、上記グリッパ1を使用して図1の環状タイヤ構成要素91、92をグリップするための方法について図1図2A図2B図3A図3C、及び図4を参照して簡単に説明する。
【0073】
図2A及び図2Bは、グリッパ部材2が、選択された部分範囲位置P、すなわち、図1の特定の直径D1、D2の環状タイヤ構成要素91、92のそれぞれをグリップするための選択された部分範囲位置Pにおける部分範囲Sの外側位置間で移動するように駆動部材50によって制御されている動作位置にあるグリッパ1を示す。
【0074】
図3Aは、キャッチフィンガ82が第2のハンドリング要素72の経路にある調整位置にグリッパ1が移動した状態を示す。駆動部材50は、結合解除状態、すなわち結合要素55をインデックス要素35から係脱する結合解除状態に切り替わっている。
【0075】
図3Bは、第2のハンドリング要素72が調整部材8のキャッチフィンガ82に接触し、任意選択的に該第2のハンドリング要素72がキャッチされたことの検出をトリガするまで、マニピュレータ4の調整ドライブ42がグリッパ軸Aを中心として同調部材3を回転させた状態を示す。螺旋状プレート30の回転により、グリッパ1も半径方向内向きに主要範囲Mの半径方向内側のエンドポイントE1に向かって移動している。半径方向内側のエンドポイントE1に到達したら、マニピュレータ4は、図3Cに示すように、グリッパ1の第1のハンドリング要素71を調整部材8のロック凹部83と係合するように移動させ、それによって同調部材3を両方の回転方向に回転しないようにロックする。
【0076】
図3Cは、前述の方法で部分範囲位置Pを調整するために、マニピュレータ4及び/又はそのヘッド41が、駆動部材50を同調部材3に対して移動させるようにグリッパ軸Aを中心として回転した後の状態を示す。この例では、駆動部材50は、主要範囲Mの中央領域に対応する選択されたインデックス位置まで約60度にわたり回転されている。ここで結合要素55は、インデックス要素35に結合又は再接続され得、それによって、新たに選択された部分範囲位置P、すなわち、環状タイヤ構成要素91、92の異なる直径D1、D2のための新たに選択された部分範囲位置Pに同調部材3を駆動するように駆動部材50をセットアップする。ここでマニピュレータ4はグリッパ1を図2Aの動作位置に戻るように移動させることができ、それによって、グリッパ1と調整部材8との係合が終了する。
【0077】
上の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。上の説明から、本発明の範囲によって包含される多くの変形形態が当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0078】
1…グリッパ
10…ガイド
2…グリッパ部材
20…グリッパ本体
21…カムフォロア
3…同調部材
30…螺旋状プレート
31…螺旋状スロット
35…インデックス要素
4…マニピュレータ
40…アーム
41…ヘッド
42…調整ドライブ
5…リミッタ
50…駆動部材
51…シリンダ
55…結合要素
56…ガイドシュー
61…保持部材
62…保持フィンガ
63…リリーススロット
64…ガイドピン
65…排出部材
66…排出ヒンジ
67…排出アクチュエータ
71…第1のハンドリング要素
72…第2のハンドリング要素
8…調整部材
80…調整体
81…ロックフィンガ
82…キャッチフィンガ
83…ロック凹部
91…第1の環状タイヤ構成要素
92…第2の環状タイヤ構成要素
100…グリッパステーション
A…グリッパ軸
B…リリース方向
C…排出方向
D1…第1の直径
D2…第2の直径
E1…半径方向内側のエンドポイント
E2…半径方向外側のエンドポイント
H…角度変位
M…主要範囲
P…部分範囲位置
P1、P2、...、Pn…インデックス位置
R…半径方向
S…部分範囲
X…駆動ストローク
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状タイヤ構成要素をグリップするためのグリッパであって、前記グリッパは、グリッパ軸を中心として周方向に分配されており、かつ半径方向内側のエンドポイント及び半径方向外側のエンドポイントを有する主要範囲にわたり、前記グリッパ軸と直角の半径方向に少なくともベクトル成分を伴って移動可能である複数のグリッパ部材を備え、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を前記主要範囲内の部分範囲に制限するためのリミッタを更に備え、前記部分範囲は、前記主要範囲に対する調整可能な部分範囲位置を有し、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を同調させるための同調部材を備え、前記同調部材は、前記主要範囲を規定し、前記リミッタは、前記部分範囲を規定するように前記同調部材を制限するように配置されている、グリッパ。
【請求項2】
前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有する、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能である、請求項2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整可能である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整可能である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記同調部材は、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備え、前記駆動部材は、前記複数のインデックス位置のうちのいずれかのインデックス位置における前記インデックス要素に接続可能である結合要素を備える、請求項5に記載のグリッパ。
【請求項7】
前記結合要素は手動で操作可能である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項8】
前記結合要素は遠隔で制御可能である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項9】
前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方に対して移動させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、請求項に記載のグリッパ。
【請求項10】
前記駆動部材は、前記部分範囲を規定するシリンダを備える、請求項に記載のグリッパ。
【請求項11】
前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置されている、請求項に記載のグリッパ。
【請求項12】
前記螺旋状スロットは、前記螺旋状プレートの角度変位と前記複数のグリッパ部材の半径方向変位との比が、前記主要範囲内の前記螺旋状プレートのいずれの角度位置でも同じになるように成形されている、請求項11に記載のグリッパ。
【請求項13】
前記同調部材は、前記周方向に分配された、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備える、請求項11に記載のグリッパ。
【請求項14】
前記同調部材は、前記同調部材を前記駆動部材に対して回転させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、請求項11に記載のグリッパ。
【請求項15】
前記第1のハンドリング要素は、前記グリッパ軸と平行な方向に前記螺旋状プレートから突出している、請求項14に記載のグリッパ。
【請求項16】
前記部分範囲は、前記主要範囲の50パーセント未満である、請求項に記載のグリッパ。
【請求項17】
各グリッパ部材には、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材に保持するための保持位置と、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材からリリースするためのリリース位置との間で移動可能である保持部材が設けられている、請求項に記載のグリッパ。
【請求項18】
各グリッパ部材には、前記グリッパ軸と平行な排出方向に前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材から排出するための排出部材が設けられている、請求項に記載のグリッパ。
【請求項19】
各グリッパ部材には、前記グリッパ軸と平行な排出方向に前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材から排出するための排出部材が設けられ、
前記保持部材は、前記保持部材が前記保持位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を阻止するとともに、前記保持部材が前記リリース位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を可能にするように構成されている、請求項17に記載のグリッパ。
【請求項20】
請求項に記載のグリッパを備えるグリッパステーションであって、前記グリッパステーションは、前記部分範囲位置を設定するための、前記グリッパの外部にある調整部材を更に備える、グリッパステーション。
【請求項21】
前記調整部材は調整位置に位置し、前記グリッパステーションは、前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記部分範囲位置を設定するための前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させるためのマニピュレータを更に備える、請求項20に記載のグリッパステーション。
【請求項22】
前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであるように配置され、前記マニピュレータは、前記部分範囲位置を調整するために前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方を前記調整部材に対して移動させるように配置されている、請求項21に記載のグリッパステーション。
【請求項23】
前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備え、前記マニピュレータは、前記第1のハンドリング要素が前記調整部材によって係合されているときに、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方に対して移動させるように配置される、請求項21に記載のグリッパステーション。
【請求項24】
前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置され、前記同調部材は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備える、請求項21に記載のグリッパステーション。
【請求項25】
請求項に記載のグリッパを使用して環状タイヤ構成要素をグリップするための方法であって、前記方法は、
- 前記同調部材によって規定される前記主要範囲に対する前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記部分範囲を規定し、前記複数のグリッパ部材の移動を前記部分範囲に制限するための前記リミッタを用いて前記同調部材を制限することと、
を行うステップを備える、方法。
【請求項26】
前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有し、前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能であり、前記方法は、
- 前記駆動部材を前記結合解除状態に切り替えることと、
- 前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記駆動部材を前記結合状態に切り替えることと、
を行うステップを更に備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、
- 前記部分範囲位置を設定するための調整部材を前記グリッパの外部の調整位置に設けることと、
- 前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させることと、
前記グリッパが前記調整位置にあるときに、前記調整部材を用いて前記部分範囲位置を設定することと、
を行うステップを更に備える、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであり、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記部分範囲位置を調整するために前記調整部材に対して移動される、請求項29に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
上の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。上の説明から、本発明の範囲によって包含される多くの変形形態が当業者には明らかであろう。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 環状タイヤ構成要素をグリップするためのグリッパであって、前記グリッパは、グリッパ軸を中心として周方向に分配されており、かつ半径方向内側のエンドポイント及び半径方向外側のエンドポイントを有する主要範囲にわたり、前記グリッパ軸と直角の半径方向に少なくともベクトル成分を伴って移動可能である複数のグリッパ部材を備え、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を前記主要範囲内の部分範囲に制限するためのリミッタを更に備え、前記部分範囲は、前記主要範囲に対する調整可能な部分範囲位置を有し、前記グリッパは、前記複数のグリッパ部材の前記半径方向への移動を同調させるための同調部材を備え、前記同調部材は、前記主要範囲を規定し、前記リミッタは、前記部分範囲を規定するように前記同調部材を制限するように配置されている、グリッパ。
[2] 前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有する、[1]に記載のグリッパ。
[3] 前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能である、[2]に記載のグリッパ。
[4] 前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整可能である、[3]に記載のグリッパ。
[5] 前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整可能である、[3]に記載のグリッパ。
[6] 前記同調部材は、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備え、前記駆動部材は、前記複数のインデックス位置のうちのいずれかのインデックス位置における前記インデックス要素に接続可能である結合要素を備える、[5]に記載のグリッパ。
[7] 前記結合要素は手動で操作可能である、[6]に記載のグリッパ。
[8] 前記結合要素は遠隔で制御可能である、[6]に記載のグリッパ。
[9] 前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方に対して移動させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、[3]~[8]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[10] 前記駆動部材は、前記部分範囲を規定するシリンダ、好ましくは空気圧シリンダを備える、[2]~[9]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[11] 前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置されている、[1]~[10]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[12] 前記螺旋状スロットは、前記螺旋状プレートの角度変位と前記複数のグリッパ部材の半径方向変位との比が、前記主要範囲内の前記螺旋状プレートのいずれの角度位置でも同じになるように成形されている、[11]に記載のグリッパ。
[13] 前記同調部材は、前記周方向に分配された、前記部分範囲位置における異なる段階に対応する複数のインデックス位置を規定するインデックス要素を備える、[11]又は[12]に記載のグリッパ。
[14] 前記同調部材は、前記同調部材を前記駆動部材に対して回転させるために、前記グリッパの外部にある調整部材によって係合可能である第1のハンドリング要素を備える、[11]~[13]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[15] 前記第1のハンドリング要素は、前記グリッパ軸と平行な方向に前記螺旋状プレートから突出している、[14]に記載のグリッパ。
[16] 前記部分範囲は、前記主要範囲の50パーセント未満、好ましくは、前記主要範囲の30パーセント未満である、[1]~[15]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[17] 各グリッパ部材には、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材に保持するための保持位置と、前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材からリリースするためのリリース位置との間で移動可能である保持部材が設けられている、[1]~[16]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[18] 各グリッパ部材には、前記グリッパ軸と平行又は実質的に平行な排出方向に前記タイヤ構成要素をそれぞれの前記グリッパ部材から排出するための排出部材が設けられている、[1]~[17]のいずれか一項に記載のグリッパ。
[19] 前記保持部材は、前記保持部材が前記保持位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を阻止するとともに、前記保持部材が前記リリース位置にあるときに前記タイヤ構成要素のそれぞれの前記グリッパ部材からの前記排出方向への排出を可能にするように構成されている、[17]及び[18]に記載のグリッパ。
[20] [1]~[19]のいずれか一項に記載のグリッパを備えるグリッパステーションであって、前記グリッパステーションは、前記部分範囲位置を設定するための、前記グリッパの外部にある調整部材を更に備える、グリッパステーション。
[21] 前記調整部材は調整位置に位置し、前記グリッパステーションは、前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記部分範囲位置を設定するための前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させるためのマニピュレータを更に備える、[20]に記載のグリッパステーション。
[22] 前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであるように配置され、前記マニピュレータは、前記部分範囲位置を調整するために前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方を前記調整部材に対して移動させるように配置されている、[21]に記載のグリッパステーション。
[23] 前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備え、前記マニピュレータは、前記第1のハンドリング要素が前記調整部材によって係合されているときに、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの他方を前記駆動部材及び前記同調部材のうちの前記一方に対して移動させるように配置される、[21]又は[22]に記載のグリッパステーション。
[24] 前記同調部材は、前記グリッパ軸を中心として周方向に分配された複数の螺旋状スロットを有する螺旋状プレートを備え、前記複数のグリッパ部材の各グリッパ部材は、前記複数の螺旋状スロットのそれぞれの螺旋状スロットに受容されたカムフォロアを備え、前記螺旋状プレートは、それぞれの前記カムフォロアとそれらのそれぞれの螺旋状スロットとの相互動作により前記複数のグリッパ部材を前記半径方向に駆動するように前記グリッパ軸を中心として回転可能であり、前記リミッタは、前記螺旋状プレートの前記グリッパ軸を中心とした回転を制限するように配置され、前記同調部材は、前記グリッパが前記調整位置に移動されたときに前記調整部材によって係合される第1のハンドリング要素を備える、[21]又は[22]に記載のグリッパステーション。
[25] [1]~[19]のうちのいずれか一項に記載のグリッパを使用して環状タイヤ構成要素をグリップするための方法であって、前記方法は、
- 前記同調部材によって規定される前記主要範囲に対する前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記部分範囲を規定し、前記複数のグリッパ部材の移動を前記部分範囲に制限するための前記リミッタを用いて前記同調部材を制限することと、
を行うステップを備える、方法。
[26] 前記リミッタは、前記同調部材を駆動するための駆動部材を備え、前記駆動部材は、前記部分範囲を規定する駆動ストロークを有し、前記駆動部材は、前記同調部材を前記部分範囲内で駆動するための結合状態と、前記駆動部材が前記部分範囲位置を調整するために前記同調部材に対して自由に移動する結合解除状態とで切り替え可能であり、前記方法は、
- 前記駆動部材を前記結合解除状態に切り替えることと、
- 前記部分範囲位置を調整することと、
- 前記駆動部材を前記結合状態に切り替えることと、
を行うステップを更に備える、[25]に記載の方法。
[27] 前記駆動部材は、前記同調部材に対して無段階で調整される、[26]に記載の方法。
[28] 前記駆動部材は、前記同調部材に対して段階的に調整される、[26]に記載の方法。
[29] 前記方法は、
- 前記部分範囲位置を設定するための調整部材を前記グリッパの外部の調整位置に設けることと、
- 前記グリッパが前記調整部材から離隔している動作位置と、前記グリッパが前記調整部材と相互動作する前記調整位置との間で前記グリッパを移動させることと、
前記グリッパが前記調整位置にあるときに、前記調整部材を用いて前記部分範囲位置を設定することと、
を行うステップを更に備える、[25]~[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30] 前記調整部材は、前記部分範囲位置の設定中、前記調整位置に静止したままであり、前記駆動部材及び前記同調部材のうちの一方は、前記部分範囲位置を調整するために前記調整部材に対して移動される、[29]に記載の方法。
【国際調査報告】