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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】検体回収デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/50 20060101AFI20231004BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61B17/50
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506265
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021043380
(87)【国際公開番号】W WO2022026501
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/057,511
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/189,388
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】メイキー イアン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG36
4C160MM32
(57)【要約】
低侵襲手術手技中の検体の収容回収を補助するために収斂性のメッシュを利用する、検体回収デバイスを開示する。本デバイスは、検体の隔離と取り出しとを容易にすることができ、かつ、検体回収デバイスを引張って内部の織り繊維を作動させることから提供される張力によって検体を収斂させかつ引き延ばすことを通じて、従来の抜き取りバッグより小さい切開部を通って検体を取り出すことを可能にする。2穴式の開口部が検体の最適な方向付けを可能にする。ある一定の局面において、本デバイスは、引張り張力をより大きな面積にわたって分散させるように構成され、それにより、取り出し中に検体が裂ける可能性を低減させる。大きな検体が、容易に取り出せるサイズおよび形状まで安全に縮められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体回収デバイスであって、
対象の体壁における開口部に対して近位かつ外部に位置づけられるように構成された近位開口部と;
該対象の体腔の内側に置かれるように構成されている、該近位開口部と反対側の該デバイス端部における遠位開口部と;
該デバイスの長軸に沿って検体用内腔を形成する、該近位開口部から該遠位開口部まで延在している可撓性の細長ボディと;
該細長ボディを囲んでいるもしくはこれによって囲まれているか、または該細長ボディの単層を形成しており、かつ、該近位開口部から該遠位開口部まで延在している、狭縮可能で管状の織り合わせメッシュ構造であって、該管状の織り合わせメッシュが、該デバイスの、より大きい断面直径を有する拡張構成と、該拡張構成と比較してより小さい断面直径を有する狭縮構成とを有する、該狭縮可能で管状の織り合わせメッシュ構造と;
該細長ボディの内面上および/または該管状メッシュの内面上に位置づけられた複数の表面突起であって、該遠位開口部を通ってチャネル内に引き入れられた、該対象の身体由来の検体に接触するように構成され、かつ、該チャネルを通って該近位開口部に向かう検体の動きは可能にするが該遠位開口部に向かう検体の動きは妨害するように構成されている、該複数の表面突起と
を含み、該拡張構成と該狭縮構成とは、該デバイスの長さを変化させることを通じて交換可能である、検体回収デバイス。
【請求項2】
拡張構成におけるメッシュ構造が、0.01~5000 cmの長さと0.01~1500 cmの平均断面直径とを有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
狭縮構成におけるメッシュ構造が、0.07~7000 cmの長さと0.005~1200 cmの平均断面直径とを有する、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
上縁と細長ボディの表面および/またはメッシュ表面との間の角度を有する表面突起が、90°またはそれ以下である、請求項1~3のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項5】
突起の下縁と、細長ボディおよび/またはメッシュの内面との間で形成される角度が、90°またはそれ以上である、請求項1~4のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項6】
突起が、ウェッジ、スパイク、かえし、フック、またはループである、請求項1~5のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項7】
遠位開口部が、検体を受けるための開放構成でスリーブを保持するように構成された可撓性リングであり、該リングが、該遠位開口部を閉じるための機構を伴って構成されている、請求項1~6のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項8】
検体をスリーブ内に含有するように遠位開口部を閉じるためのシンチを含む、請求項1~7のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項9】
シンチが、パースストリング(purse-string)シンチ、引き紐、スナップ、クリップ、ジップ式ロック、スライド式ロック、折り畳み式フード、または、インターロック縁部を伴うロックである、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
スリーブの近位端がハンドルを形成している、請求項1~9のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項11】
可撓性の細長ボディが不透過性材料を含む、請求項1~10のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項12】
不透過性材料が、織り合わせメッシュ内に組み込まれているか、または別個の層を形成している、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
織り合わせメッシュ構造が、ファブリック、プラスチック、縫合糸材料、金属、またはそれらの任意の組み合わせで作製される、請求項1~12のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項14】
メッシュ構造が、2~1000本のスレッドを含む組紐である、請求項1~13のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項15】
織り合わせメッシュが、ダイヤモンド形の織り、長軸に沿った織り、または短軸に沿った織りである、請求項1~13のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の表面突起がメッシュ構造の一部である、請求項1~15のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項17】
細長ボディが、該ボディの長軸に平行な支持構造をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項18】
支持構造が、膨らませ可能なピラーである、請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
膨らませ可能なピラーが、気体または流体で可逆的に膨らませ可能である、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
細長ボディが、該ボディの長軸に垂直な収斂構造をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項21】
収斂構造が、膨らまされるとボディ内腔内の検体を収斂させるように構成された、膨らませ可能なリングまたはチューブである、請求項20のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項22】
膨らませ可能なリングまたはチューブが、気体または流体で可逆的に膨らませ可能である、請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
スリーブが、該スリーブの近位セクションより大きい直径を有する遠位セクションを含む、請求項1~22のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項24】
検体回収デバイスであって、
検体を受けるためのボディ内腔を形成する可撓性の細長ボディであって、該ボディが、該デバイスの長軸に沿ったボディチューブの形態で近位開口部から遠位開口部まで延在し、該ボディチューブが、該近位開口部から該遠位開口部まで延在する狭縮可能で管状の織り合わせメッシュまたは組紐を含み、該管状メッシュまたは組紐が拡張構成と狭縮構成とを有し、該ボディチューブが、該狭縮構成における断面直径と比較して、該拡張構成における、より大きな、該デバイスの横断面に沿った断面直径を有し、かつ、該近位および遠位開口部が、検体がボディ内に位置づけられた時にシールされるように構成されている、可撓性の細長ボディと;
該細長ボディの内面上に位置づけられた複数の表面突起であって、該表面突起が、検体に接触するように、かつ、該チャネルを通って該近位開口部に向かう検体の動きは可能にするが該遠位開口部に向かう検体の動きは妨害するように構成されている、該複数の表面突起と
を含み、
(i)体腔の内側に置かれるように、かつ(ii)体壁を通した取り出しのために該デバイスの該内腔内で検体の外形(profile)を縮めるために該デバイスの長さを変化させることを通じて狭縮されるように構成されている、検体回収デバイス。
【請求項25】
遠位開口部が、シンチ、ラッソ(lasso)、折り畳みシール、ジップ式ロックシール、接着剤シール、またはフードシールを含む、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
遠位開口部が、溶融またはステープリングによってシールされるように構成されている、請求項24または25記載のデバイス。
【請求項27】
スリーブが、該スリーブの近位セクションより大きい直径を有する遠位セクションを含む、請求項24~26のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項28】
拡張構成におけるメッシュ構造が、0.01~5000 cmの長さと0.01~1500 cmの平均断面直径とを有する、請求項24~27のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項29】
狭縮構成におけるメッシュ構造が、0.07~7000 cmの長さと0.005~1200 cmの平均断面直径とを有する、請求項24~28のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項30】
表面突起が、近位端側に角度付けされており、それによって検体の近位方向の動きを提供しかつ遠位方向の動きを妨害する、請求項24~29のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項31】
突起が、ウェッジ、スパイク、かえし、フック、またはループである、請求項24~31のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項32】
遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部が、検体回収中にスリーブを開いたまま保持するように構成された可撓性リングである、請求項24~31のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項33】
遠位開口部上にロック機構を含む、請求項24~32のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項34】
ロック機構が、シンチロック、引き紐、スナップ、クリップ、ジップ式ロック、スライド式ロック、または、インターロック縁部を伴うロックである、請求項34記載のデバイス。
【請求項35】
可撓性の細長ボディが不透過層を含む、請求項24~35のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項36】
不透過層が、織り合わせメッシュ内に組み込まれているか、または該織り合わせメッシュの内側もしくは外側で別個の層を形成している、請求項24~36のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項37】
織り合わせメッシュが、ファブリック、プラスチック、縫合糸材料、金属、またはそれらの任意の組み合わせから作製される、請求項24~37のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項38】
織り合わせメッシュが、2~1000本のスレッドを含む組紐である、請求項24~38のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項39】
織り合わせメッシュが、ダイヤモンド形の織り、長軸に沿った織り、または短軸に沿った織りである、請求項24~39のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項40】
前記複数の表面突起が織り合わせメッシュの一部である、請求項24~40のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項41】
ボディが、該ボディの長軸に平行な支持構造をさらに含む、請求項24~41のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項42】
支持構造が、膨らませ可能なピラーである、請求項42記載のデバイス。
【請求項43】
膨らませ可能なピラーが、気体または流体で可逆的に膨らませ可能である、請求項43記載のデバイス。
【請求項44】
遠位開口部が、ボディの最大直径より大きい直径を有する、請求項1~44のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項45】
請求項24記載のデバイスを含有するように構成されたアプリケーターであって、配置中に該デバイスを含有するためのデバイス用内腔を形成する、アプリケーターと;
該アプリケーター内に含有された請求項24記載のデバイスと
を含む、検体回収システム。
【請求項46】
デバイスの近位端がアプリケーターに機能的に連結されている、請求項46記載のシステム。
【請求項47】
アプリケーターが、体壁をまたぐ医療デバイスを通して体腔内に挿入されるように構成されている、請求項46または47記載のシステム。
【請求項48】
体壁をまたぐ医療デバイスがトロカールである、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
請求項1記載のデバイスを、体壁を横切って配置する段階;
該デバイスのボディ内腔内に検体を位置づける段階;
該デバイスを長くする段階;および
該検体を含有している該デバイスを体腔から引張る段階
を含む、対象からサンプルを回収するための方法。
【請求項50】
デバイスの遠位開口部をシールする段階をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
請求項24記載のデバイスを体腔内に配置する段階;
該デバイスのボディ内腔内に検体を位置づける段階;
該デバイスの近位および遠位開口部をシールする段階;
該デバイスを狭縮させる段階;ならびに
該検体を含有している該デバイスを該体腔から引張る段階
を含む、対象からサンプルを回収するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権に関する段落
本出願は、2020年7月28日に提出された米国特許仮出願第63/057,511号、および2021年5月17に提出された同第63/189,388号に対する優先権を主張する;これら仮出願の各々は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府の資金援助を受けた研究に関する記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
背景
低侵襲手術の分野は一般的なものになってきた。大きな検体が低侵襲技法を用いて切除されている。より大きなこれら検体の取り出しを限定しているのがポートサイズである。検体を取り出すための現行の方法は、腹腔鏡の検体回収バッグ内に入れ、それを体腔から引き出すというものである。この抜き取り方法は、バッグの底部で検体がひとかたまりになる状態を引き起こす。抜き取りを完了させるために、余分の力またはより大きな穴が必要となる。体腔から検体を取り出すためのさらなるデバイスに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
概要
ある一定の態様は検体回収デバイスに関する。本検体回収デバイスは、デバイスまたはデバイスの一部分が引き延ばされる際に、短軸の寸法に対して相対的に収斂する。この収斂が検体の外形(profile)を縮め、検体の効率的な取り出しを可能にする。本検体回収デバイスは、現在の標準的なケアより小さい切開部を通して手術検体を取り出すことができる。本デバイスは、検体の最適な方向付けを可能にする1つまたは2つの開口部を有してもよい。本デバイスは、例えばスリーブなど、内部の織りメッシュ構造または組紐を含有してもよい。メッシュまたは組紐構造は、拡張構成および狭縮構成という2つの構成を提供する。本デバイスは、取り出し中の検体のすべりを低減できる、方向的妨害性のある(directionally resistant)高摩擦の壁を有してもよい。反対向きの、スリーブの入口ポートから出る方向における検体の動きをその壁が妨げている間に、検体がスリーブ内に動かされてもよい。本デバイスは、防水カプセル化デバイスを作ることができる、不透過性の壁または層と、シンチング(cinching)機構とを含んでもよい。ある一定の態様において、検体を含有するために閉じることができる2つの開口部を有するスリーブが配置される。他の態様において、スリーブは、検体を含有するために閉じることができる1つの開口部、バッグ状の構成を有してもよい。さまざまな態様が、織りメッシュ構造を操作しそして体腔からの検体の取り出しを容易にすることによって、検体外形を管理する能力を維持する。
【0005】
検体回収デバイスは、近位開口部および遠位開口部(代替的に遠位開口部)と、近位開口部から遠位開口部まで延在している可撓性の細長ボディまたはスリーブと、近位開口部から遠位開口部まで延在している狭縮可能で管状の織り合わせメッシュまたは組紐構造と、任意で、複数の表面突起(スリーブの内面上に位置する表面突起)とを含有してもよい。
【0006】
近位開口部は、対象の体壁における開口部に対して近位かつ外部に位置づけられるように構成されてもよい。いくつかの局面において、近位開口部は、折り畳み可能リング、またはループを形成するための折り畳み可能材料のセクションであってもよい。それは、ハンドルなどの他の器具を受けるように構成されてもよい。折り畳み可能リングは、リングの折り畳みもしくは展開、またはリングがその他閉じられることを可能にする、ヒンジかまたは同様のデバイスおよび/もしくは機構かを有してもよい。いくつかの局面において、折り畳み可能な近位リングは、デバイスの長軸に垂直な軸の上かまたはこれに沿って、折り畳みまたは展開できる。いくつかの局面において、近位開口部リングは、それに取り付けられたハンドルを有してもよい。近位開口部リングは、体壁の外側で本デバイスを確実固定することができ、かつそのために構成されてもよい。近位開口部はまた、スリーブ直径を狭縮させるため、デバイス内に位置づけられた検体を取り出すため、かつ/またはデバイスを取り出すための、引き手ポイントも提供する。ある一定の局面において、引き手ポイントはハンドルとは独立しており、ハンドル部分が変わらぬまま留まっている間にデバイスの(確実固定された検体を含有している)スリーブまたはボディを取り出すことを可能にする。検体操作部分は、検体取り出しデバイスの外部に配置されたアクセスボディまたはチューブ内の、取り出し可能位置であってもよい。ある一定の局面において、ハンドルまたは他のデバイスをその中に挿入できる内腔を有するリングまたはループを作るために、メッシュを折り畳むことによってリングが形成されてもよい。リングは、スリーブの終端部分をそれ自体の上に折り畳むことによって形成されてもよい。ある一定の局面において、検体取り出しデバイス全体が体腔内に導入されてもよく、ゆえに、ある一定の態様について外部部分は任意である。
【0007】
遠位開口部は、近位開口部と反対側のデバイスの端部にあってもよく、またはスリーブの閉じた端部にあってもよい。いくつかの局面において、遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部は、直径(特に内径)を変化させること、または閉じられること(例えば開口部をシンチするなど、開口部の内径を最小にすること)ができる、可撓性または膨らませ可能なリングであってもよい。本デバイスは、遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部の内径を変化させることができる、ロックもしくはシンチなどの機構、または膨らませ可能なリングを含んでいてもよい。抜き取り中に、検体の内容物の本質的に全部、または全部を含有するために、遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部の直径が低減されてもよく、かつ、遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部が閉じられてもよい。いくつかの局面において、ロックは、シンチロック、引き紐、スナップ、クリップ、フックおよびループ(例えばVELCRO(商標))、ジッパー、ジップ式ロック、スライド式ロック、またはインターロック縁部を伴うロック(例えば、おす/めすコンプリメント(male/female compliment))などであってもよい。いくつかの局面において、遠位開口部、近位開口部、または遠位および近位開口部のリングは、検体の取り出し前に対象の体腔内で水密シールを形成している。そのシールは、検体が操作、収斂、および/またはスクィーズされて体内から引き出される際に検体から排出される可能性がある体液またはデブリを、含有するかまたは実質的に含有するように、設計されてもよい。いくつかの局面において、ロックは、水密シールの形成を容易にすることができる。近位および遠位開口部は、検体の最適な方向付けを可能にしてもよい。ある一定の局面において、遠位開口部は、配置前、配置中、または配置後に閉じられてバッグ構造を形成してもよい。配置前である場合、スリーブは事実上、スリーブ構成と同じ収斂特性を備えたバッグである。
【0008】
可撓性の細長ボディまたはスリーブは、対象の体壁における開口部を横切るように構成されたデバイスの長軸に沿ってチャネルを形成してもよく、かつ、それを通して検体取り出し用の器具を体腔内に導入できるアクセスチャネルを提供するように構成されてもよい。可撓性の細長ボディもしくはスリーブ、またはその少なくとも一部分が、透明であってもよい。可撓性の細長ボディもしくはスリーブ、またはその少なくとも一部分が、不透水性のプラスチックなど、可撓性、折り畳み可能、かつ不透水性の材料を含む第一の材料で作製されてもよい。第一の材料は、検体抜き取り中のこぼれを防ぐために、体液、細胞に対して不透過性であってもよい。いくつかの局面において、第一の材料は、不透水性、生体適合性、かつ透明なプラスチックである。
【0009】
いくつかの局面において、細長ボディもしくはスリーブが、管状の織り合わせメッシュもしくは組紐構造に組み込まれてもよく、そしてメッシュもしくは組紐構造と細長ボディとが単層を形成してもよい;または、細長ボディもしくはスリーブが、メッシュもしくは組紐構造を囲んでいるまたはこれに囲まれていてもよく(同様に、メッシュもしくは組紐構造が、細長ボディもしくはスリーブに囲まれているかまたはこれを囲んでいてもよく)、そして細長ボディもしくはスリーブと、メッシュもしくは組紐構造とが、別個の層を形成してもよい。いくつかの局面において、例えば不透過性材料などの第一の材料を、メッシュもしくは組紐構造内に、またはメッシュもしくは組紐構造上に、コーティングおよび/または添加することによって、細長ボディもしくはスリーブがメッシュもしくは組紐構造に組み込まれてもよい。
【0010】
狭縮可能で管状の織り合わせメッシュまたは組紐構造は、拡張構成および狭縮構成という2つの構成を有してもよい。管状メッシュまたは組紐構造は、デバイスの長軸に垂直な横断プレーン(transverse plain)に沿った断面直径について、狭縮構成における断面直径と比較してより大きい断面直径を拡張構成において有してもよい。本明細書において用いるうえで、デバイスの断面直径、細長ボディまたはスリーブの断面直径、細長ボディおよび管状メッシュまたは組紐によって形成されるチャネルの断面直径は、ボディの長軸に垂直な横断プレーンに沿った、それぞれのパーツの断面直径を指す。拡張構成と狭縮構成とは、デバイスとメッシュまたは組紐との長さを変化させることを通じて交換可能であってもよく、ここで、デバイスとメッシュまたは組紐とを長くすることによってメッシュまたは組紐が拡張構成から狭縮構成に変化してもよく、そしてデバイスとメッシュまたは組紐とを短くすることによってメッシュまたは組紐が狭縮構成から拡張構成に変化してもよい。いくつかの局面において,拡張構成における管状メッシュまたは組紐は、0.01~5000 cmであるかまたは、0.01、0.05、0.1、1、5、10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、および5000 cmのうち、少なくともいずれか1つか、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間である、長さと;0.01~1500 cmであるかまたは、0.01, 0.05, 0.1, 1, 5, 10, 50, 100, 500, 1000, および1500 cmのうち、少なくともいずれか1つか、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間である、平均断面直径とを有してもよい。いくつかの局面において、狭縮構成における管状メッシュまたは組紐は、0.07~7000 cmであるかまたは、0.07、0.1、1、5、10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、および7000 cmのうち、少なくともいずれか1つか、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間である、長さと;0.005~1200 cmであるかまたは、0.005、0.01、0.05、0.1、1、5、10、50、100、500、800、1000、および1200 cmのうち、少なくともいずれか1つか、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間である、平均断面直径とを有してもよい。概して、拡張/狭縮したスリーブの直径および長さは、スリーブが設計される際にカプセル化および身体からの取り出しの対象とされる検体の寸法より、やや大きい。細長ボディによって形成されるチャネルの長さおよび断面直径は、管状メッシュまたは組紐の長さおよび断面直径に依存してもよく、その逆もまたしかりである。例えば、チャネルの断面直径は、管状メッシュまたは組紐の断面直径を低減することによって低減されてもよく、それは管状メッシュまたは組紐を長くすることによって行われてもよい。メッシュまたは組紐構造と本デバイスとは、狭縮構成より大きいが拡張構成より小さい断面直径を伴うなど、拡張構成と狭縮構成との中間である構成もまた取ってもよい。デバイスとメッシュまたは組紐構造との長さを変化させることによって、デバイスが諸構成の間で切り替わってもよい。チャネル直径におけるそうした変化は、チャネル内の検体を圧迫でき、ゆえに、従来の抜き取りバッグより小さな切開部を通して検体を取り出すことが可能になる。メッシュまたは組紐は、例えば医療用途に好適な第二の材料など、任意の好適な生体適合性材料で作製されてもよい。第二の材料は、ファブリック、プラスチック、縫合糸材料、金属(例えば、平らなもしくは丸みの付いたワイヤ)、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それに限定されるわけではない。いくつかの特定の局面において、メッシュは、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンおよび/もしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、またはそれらの任意の組み合わせで作製されてもよい。管状メッシュまたは組紐と本デバイスとの長さは、近位開口部、遠位開口部、もしくは近位および遠位開口部を、引張るもしくは押すことによって;メッシュおよび細長ボディの材料を、近位もしくは遠位開口部のリング上に巻き上げることによって;近位リングを折り畳むかもしくは展開することによって;または、それらの任意の組み合わせによって、変えられてもよい。いくつかの局面において、織り合わせメッシュは、検体の最適な圧迫に必要な、長さと狭縮/収斂との望ましい比を実現するために、2~1000本の個々のストランド/スレッドなど、個々のストランド/スレッドを備えた組紐を含有してもよい。いくつかの局面において、メッシュは、らせん状の組紐を含有してもよい。
【0011】
前記複数の表面突起は、細長ボディおよび/または管状メッシュの内面上に位置づけられてもよい。いくつかの局面において、管状メッシュが細長ボディを囲んでいてもよく、そして前記複数の表面突起が細長ボディの内面上に位置づけられてもよい。いくつかの局面において、管状メッシュが細長ボディによって囲まれていてもよく、そして前記複数の表面突起が管状メッシュの内面上に位置づけられてもよい。いくつかの局面において、管状メッシュと細長ボディとが単層を形成してもよく、そして表面突起がその単層の内面上に位置づけられてもよい。表面突起は、方向的妨害性のある、デバイスの高摩擦の内面を形成してもよく、そして、前記複数の表面突起は、遠位開口部を通ってチャネル内に引き入れられた、対象の身体由来の検体に接触するように構成されてもよく、かつ、チャネルを通って近位開口部に向かう検体の動きは可能にするが遠位開口部に向かう検体の動きは妨害するように構成される。前記複数の表面突起と、狭縮構成にある時などの管状メッシュとは、引張り張力をより大きな面積にわたって分散させてもよく、それにより、取り出し中に手術検体がひとかたまりになる可能性と、取り出し中に検体が裂ける可能性とを低減させて、比較的小さな切開部を通して検体を取り出すことを可能にする。細長ボディと管状メッシュとの内面は、デバイスの内側に向いている、それぞれのパーツの表面であってもよい。
【0012】
表面突起は、近位開口部に近い上縁と、遠位開口部に近くてもよい下縁とを有してもよい。上縁と、例えば細長ボディおよび/またはメッシュの内面など、表面突起がその上に位置づけられている表面との間に形成される角度は、90°またはそれ以下であってもよい。いくつかの局面において、上縁と、表面突起がその上に位置づけられている表面との間に形成される角度は、15°~90°であってもよく、または、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、および90°のうち、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間であってもよい。下縁と、表面突起がその上に位置づけられている表面との間に形成される角度は、90°またはそれ以上であってもよい。いくつかの局面において、下縁と、表面突起がその上に位置づけられている表面との間に形成される角度は、100°~170°であってもよく、または、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、および170°のうち、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間であってもよい。表面突起は、チャネルに沿った、方向性のある検体の動きを提供することができる、任意の好適な形状をしていてよい。いくつかの局面において、表面突起は、毛、針、ウェッジ、スパイク、かえし、フック、および/またはループであってもよい。いくつかの局面において、表面突起は、細長ボディおよび/またはメッシュ構造の一部であってもよい。いくつかの局面において、表面突起は、かえし付きのスレッドまたは縫合糸など、別個の要素によって、細長ボディおよび/またはメッシュ構造に追加または組み込まれてもよい。
【0013】
対象、対象の身体部分、対象由来の検体は、本デバイスの一部ではない。
【0014】
本発明の他の態様も本出願全体を通して論じられている。本発明の1つの局面に関して論じられるいずれの態様も、本発明の他の局面にもまた適用されうるのであり、逆もまたしかりである。本明細書に説明する各態様は、本発明のすべての局面に適用可能な、本発明の態様であると理解される。本明細書に論じるいずれの態様も、本発明のいずれかの方法または組成に関して実施されうるものと企図されており、逆もまたしかりである。さらに、本発明の組成およびキットが、本発明の方法を実現するために用いられてもよい。
【0015】
「1つの(a)」または「1つの(an)」という語の使用は、添付の特許請求の範囲および/または本明細書において「含む(comprising)」という用語とともに用いられる時に、「1つの(one)」を意味する可能性があるが、「1つまたは複数の(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」、および「1つまたは1つより多い(one or more than one)」の意味ともまた矛盾しない。
【0016】
本出願全体を通して、「約(about)」という用語は、その値が、その値を決定するために利用されたデバイスまたは方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すために用いられる。
【0017】
添付の特許請求の範囲における「または(もしくは)(or)」という用語の使用は、代替的選択肢のみを参照することが明示的に示されているかまたは代替的選択肢が相互排他的であるのでない限り、「および(ならびに)/または(もしくは)(and/or)」を意味するために用いられる;ただし本開示は、代替的選択肢のみと「および(ならびに)/または(もしくは)」とを参照する定義を支持する。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる、「含む(comprising)」(ならびに、「comprise」および「comprises」など、comprisingの任意の変化形)、「有する(having)」(ならびに、「have」および「has」など、havingの任意の変化形)、「含む(including)」(ならびに、「includes」および「include」など、includingの任意の変化形)、または「含有する(containing)」(ならびに、「contains」および「contain」など、containingの任意の変化形)の語は、包含的またはオープンエンドであり、具陳されていない追加の要素または方法の段階を排除しない。
【0019】
本明細書において用いる、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「~によって特質付けられる(characterized by)」、または他の任意のそのバリエーションは、明示的にその他示される限定の対象にはなるが、具陳される構成要素を非排他的に含むことを包含することが意図されている。例えば、要素(例えば構成要素、特徴、もしくは段階)のリストを「含む」デバイスおよび/または方法は、必ずしもそれらの要素(または、構成要素、特徴、もしくは段階)のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されてはいないか、またはそのデバイスおよび/もしくは方法に固有ではない、他の要素(または、構成要素、特徴、もしくは段階)を含む可能性もある。
【0020】
本明細書において用いる、「~からなる(consists of)」および「~からなる(consisting of)」という移行句は、指定されていない要素、段階、または構成要素を排除する。例えば、添付の特許請求の範囲において用いられる「~からなる(consists of)」または「~からなる(consisting of)」は、その請求項を、それに通常的に付随する不純物(すなわち、所与の構成要素内の不純物)を除いて、その請求項において具体的に具陳される構成要素、材料、または段階に限定する。「~からなる(consists of)」または「~からなる(consisting of)」という句が、請求項の前提部の直後ではなく本体部の条項内に出現する場合、「~からなる(consists of)」または「~からなる(consisting of)」という句は、その条項内に記述された要素(または構成要素もしくは段階)のみを限定する;他の要素(または構成要素)がその請求項全体から排除されるわけではない。
【0021】
本明細書において用いる、「本質的に~からなる(consists essentially of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句は、材料、段階、特徴、構成要素、または要素を、字義どおり開示されるそれらに追加して含むが、ただしそれは、これらの追加的な材料、段階、特徴、構成要素、または要素が、添付の特許請求される本発明の基本的および新規的な特質に著しく影響を及ぼさない限りにおいてである、化学組成および/または方法を定義するために用いられる。「本質的に~からなる」という用語は、「含む」と「~からなる」との間の中間を占める。
【0022】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、当業者にはこの詳細な説明から本発明の精神および範囲内におけるさまざまな変更および改変が明らかになると考えられるので、以下の詳細な説明および具体例は、本発明の具体的態様を示してはいるものの、実例として与えられるにすぎないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面は本明細書の一部をなし、かつ、本発明のある一定の局面をさらに例証するために本明細書に含まれる。これら図面のうち1つまたは複数を、本明細書に提示する具体的諸態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、本発明がよりよく理解されうる。
【0024】
図1A】1つの態様に基づくデバイスを示す。図1Aは、拡張構成におけるデバイスおよび管状メッシュ構造を示す。
図1B】1つの態様に基づくデバイスを示す。図1Bは、狭縮構成におけるデバイスおよび管状メッシュ構造を示す。
図1C】1つの態様に基づくデバイスを示す。図1Cは、狭縮構成におけるデバイスおよび管状メッシュ構造と、デバイスの折り畳み可能近位開口部リングの折り畳みとを示す。
図1D】1つの態様に基づくデバイスを示す。図1Dは、対象の体内におけるデバイスを示す。
図2図2A~Dは、本発明の4つの実施例に基づく表面突起の側面図を示す;図2Aは毛または針、図2Bはウェッジ、図2Cはスパイクまたは角度付きスパイク、そして図2Dはかえしまたはフック形状の表面突起である。
図3図3A~Cは、3つの態様に基づくデバイスの断面の上面図を示す。図3A:デバイス100については、メッシュ構造108が細長ボディ106を囲んでおり、表面突起110は細長ボディの内面上に位置づけられる。図3B:デバイス200については、メッシュ構造208が細長ボディ206によって囲まれており、表面突起210はメッシュ構造208の内面上に位置づけられる。図3C:デバイス300については、細長ボディがメッシュ構造内に組み込まれて単層308を形成しており、表面突起310は308の内面上に位置づけられる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
図1を参照しながら本発明の1つの態様に基づくデバイスを説明する。デバイス100は、近位開口部102と、遠位開口部104と、近位開口部102から遠位開口部104まで延在しかつデバイスの長軸107に沿ってチャネル105を形成している細長の可撓性ボディ106と、長軸107に沿って近位開口部102から遠位開口部104まで延在している、狭縮可能で管状の織り合わせメッシュ構造108とを有してもよい。狭縮可能なメッシュ構造は、ダイヤモンド形、側方(lateral)、水平方向(horizontal)、またはらせん状の織り(weave)を有していてもよい。管状メッシュ構造は、患者から取り出される組織、臓器、腫瘍、または他の生物学的構造に付随する可能性がある、細胞または病理学的代謝産物の動きを制限する、不透膜と連結されてもよい。不透膜は、管状メッシュの内面、外面、または内面および外面を形成してもよい。ある一定の局面において、不透膜は薄い熱可塑性材料である。ある一定の局面において、織りは、管状メッシュの内容物に収斂力を印加できるような織りである。収斂力は、水平方向、側方、または水平方向および側方であってもよい。収斂力は、デバイスのボディ、近位端、遠位端、または近位端および遠位端を、ひねるかまたはこれにねじりを印加することによって、生成されてもよい。収斂力は、抜き取りを補助するために管状メッシュの内容物を形作るために用いられてもよい。細長の可撓性ボディは、デバイスのボディ内の内容物をシールし、かつ抜き取りがより容易になるように内容物を形作るために内容物を操作することを可能にする、近位、遠位、または近位および遠位のシーリング機構を有してもよい。デバイスまたは管状メッシュコンポーネントの両端部をシールすると、チャネル105が内容物用の内腔またはバッグに変換される。シーリング機構は、シンチ、ラッソ(lasso)、折り畳み、ステープリング、ジップ式ロック、フード、接着剤、クランプ、熱溶融、化学溶融、または、デバイスからの流体もしくは材料のこぼれを防ぐ他のシーリング機構であってもよい。
【0026】
腹腔鏡手術は、外科医がカメラおよび腹腔鏡器具を操舵する空間を作るために(気腹法)、腹膜腔(腹腔)内に二酸化炭素(CO2)を吹き込むことを必要とする。抜き取りスリーブは中空のシリンダーであるので、CO2ガスの漏出を可能にする。したがって、ある一定の局面において、本デバイスは、腹腔からの加圧ガスの漏出を防ぐために、シリンダーの内腔内に位置する弁を含んでもよい。この弁は、体腔内の空気圧を維持することを可能にする。弁は、腹腔鏡トロカール上の弁と同様の、対向する2つのリーフレットであってもよい。
【0027】
デバイス100において、メッシュ構造108が細長ボディ106を囲んでおり、そして108と106とが別個の層を形成している。ある一定の局面において、ユニークな識別子がスリーブに織り込まれるか、印刷されるか、または取り付けられて、識別およびカタログ化などを可能にしてもよい。
【0028】
複数の表面突起110が細長ボディ106の内面109上に位置づけられて、方向的妨害性のある表面を形成してもよい。細長ボディの外面はメッシュ構造108に接触してもよい。近位開口部102は折り畳み可能リングであってもよい。いくつかの局面において、近位開口部102のリングは、リング102とデバイスとを保持するため、および/またはリングを折り畳むための、ハンドルなどのアッタチメント111を含有してもよい。遠位開口部104は、直径を変えることができる可撓性リングであってもよい。デバイスは、遠位開口部リングの直径を変えることができるロック112を含有してもよい。ロックは、シンチロック、引き紐、スナップ、クリップ、ジップ式ロック、スライド式ロック、または、インターロック縁部を伴うロックであってもよい。
【0029】
ある一定の局面において、ロックは、ラッソ114を含有するシンチロックであってもよい。遠位開口部リング104の直径は、ロック112とラッソ114とを使用して変えられてもよい。遠位開口部は、検体の取り出し前に対象の体腔内で水密シールなどのシールを形成してもよい。そのシールは、検体がスクィーズされて体内から引き出される際に検体から排出される可能性がある体液および/またはデブリを含有するように設計されてもよい。遠位開口部104は、細長ボディ106を検体上に動かすことを容易にするための半剛性のハンドルとして作用するように設計されてもよい。
【0030】
管状の織り合わせメッシュ構造は、チューブ開口部の対向する端部を近位および遠位開口部に備えた、中空の管状メッシュであってもよい。チューブは、対称的または非対称的なチューブであってもよい。チューブの断面直径は、チューブの長さにわたって同じままでもよく、または変化してもよい。チューブの長さにわたるチューブの断面直径は、対称的に、または非対称的に/不規則に、変化してもよい。チューブの1つの端部におけるチューブの断面直径は、チューブの反対側の端部と同じか、それより小さいか、またはそれより大きくてもよい。チューブの中央部分におけるチューブの断面直径は、チューブの端部のそれと同じか、それより小さいか、かつ/またはそれより大きくてもよい。管状メッシュ構造を長くすることによって、チューブの断面直径、例えば平均断面直径が低減されてもよい。いくつかの局面において、織り合わせメッシュ構造が螺旋状の組紐を含有してもよい。いくつかの局面において、織り合わせメッシュ構造108は、検体の最適な圧迫に必要な、長さと狭縮/収斂との望ましい比を実現するために、2~1000本、または、それらの間のすべての値と範囲とを含めて、2、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000本であるストランド/スレッドなど、個々のストランド/スレッドを備えた組紐を含有してもよい。ある一定の態様において、検体がスリーブ内に含有された時にこれを収斂させることによって、検体のサイズを(例えば検体の長さを)伸展および/または(例えば幅もしくは直径を)低減させるための、設計要素が利用される。その収斂は、スリーブ内腔のサイズまたは内径を、低減させまたは長くするために、織り合わせメッシュを操作することによって機械的に印加されてもよく、または、スリーブの全部もしくは一部分を膨らませることによって液圧的に印加されてもよい。
【0031】
ある一定の態様において、スリーブまたはボディが、膨らませ可能なチューブまたはピラーを組み込んでいてもよい。膨らませ可能なチューブまたはピラーは、1つの態様において、検体をより容易にスリーブシリンダー内に引き入れることを可能にするために、シリンダーの長さに沿った剛性をもたらすように構成される。他の局面において、必要であればスリーブに安定性または他の構造的支持を提供するためにチューブまたはピラーが含まれる。チューブまたはピラーは、織り合わせメッシュ構造に対して内部に、外部に、または内部と外部とに、位置づけられてもよい。チューブまたはピラーは、気体(窒素、空気など)または液体(例えば水、生理食塩水など)で膨らませることまたはしぼませることができる、中空かつ閉じたチューブまたはブラダー(bladder)である。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の、膨らませ可能なチューブまたはピラーが存在してもよい。チューブまたはピラーは、それらの間のすべての値と範囲とを含めて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10 mm、またはcmであるピッチで、ボディの長軸に平行か、ボディの長軸に垂直か、またはボディの長軸の周りで渦巻き状に、位置づけられてもよい。チューブまたはピラーはそれぞれ、チューブまたはピラーの長軸に沿った測定で、個々に0.01~5000 cmであってもよい。すべてのチューブまたはピラーが同じ長さである必要はなく、アライメントされている必要もない(すなわち、チューブまたはピラーは、互いに対してオフセットされた構成にあってもよい)。チューブまたはピラーは、個々に膨らまされるように、または、グループもしくはサブグループとして膨らまされるように、構成されてもよい。特定の局面において、近位、遠位、または近位および遠位のいずれであれ、終端部のチューブまたはピラーが独立して膨らまされて、スリーブまたはボディの、その近位、遠位、または近位および遠位の開口部を閉塞してもよい。
【0032】
メッシュ構造は拡張構成と狭縮構成とを有してもよい。図1Aは拡張構成におけるメッシュ構造とデバイスとを示し、図1Bは狭縮構成におけるメッシュ構造とデバイスとを示す。メッシュ構造およびデバイスの長さは、狭縮構成と比較して拡張構成においてより短くてもよい。長軸107に垂直な横断プレーンに沿った、メッシュ構造およびデバイスの平均断面直径は、狭縮構成と比較して拡張構成においてより大きくてもよい。メッシュ構造およびデバイスはまた、狭縮構成より大きいが拡張構成より小さい断面直径と、狭縮構成より短いが拡張構成より長い長さとを伴うなど、拡張構成と狭縮構成との中間である構成も取ってもよい。デバイスおよびメッシュ構造の長さを変化させることによって、デバイスが諸構成の間で切り替わってもよい。デバイスの長さは、近位102および/もしくは遠位104の開口部リングを用いて引張るもしくは押すことによって;かつ/または、メッシュと細長ボディとの縁部を近位102および遠位104の開口部リングの周りで回転させることによって;または、折り畳み可能な近位リング102を折り畳むことによって;またはそれらの任意の組み合わせによって、変化されてもよい。チャネル105の長さおよび断面直径は、それぞれ管状メッシュの長さおよび断面直径の増大または低減に伴って、増大または低減してもよい。
【0033】
図1Cに、狭縮構成におけるメッシュ構造とデバイスとを示す。折り畳み可能な近位リング102は、双方向矢印Aによって示される方向に沿って、デバイスの長軸107に垂直な横軸の周りで、折り畳みおよび展開できる。折り畳み可能な近位リング102は、リングが折り畳みおよび展開することを可能にする、ヒンジまたは同様のデバイスを含有してもよい。図1Aおよび図1Bは展開構成にあるリング102を示している。図1Cはリング102の折り畳みを示している。図1Cはまた、図1Aおよび1Bにおけるリング直径より小さい直径を有する、遠位開口部104のリングも示している。
【0034】
図1Dを参照すると、対象の体腔の内側のデバイス100が示されている。近位開口部102は、対象の体壁116における開口部118に対して近位かつ外部に位置づけられるように構成されてもよい。デバイスは、対象の身体からの検体120を確保するように構成されてもよい。表面突起110は、検体がチャネル105内で近位開口部102に向かって、総じて矢印Bで示される方向に動くことを可能にする、方向的妨害性のある表面を作り出してもよいが、検体が遠位開口部104に向かって反対方向に動くことには実質的に妨害してもよい。116、118、120はデバイスの一部ではない。
【0035】
表面突起は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるUS20170181767A1において論じられているような表面突起と同様の構造、形状、サイズ、およびアレンジメントを有してもよい。図2を参照すると、4つの態様に基づく表面突起の側面図が示されている。表面突起の非限定的な形状には、図2Aの毛もしくは針、図2Bのウェッジ、図2Cのスパイクもしくは角度付きスパイク、および/または、図2Dのかえしもしくはフックの形状が含まれうる。さまざまな形状を備えた表面突起を有するデバイスが使用されてもよい。
【0036】
表面突起110は、近位開口部に向かった上縁またはキャッチエッジ122a~dと、遠位開口部に向かった下縁またはスライドエッジ124a~dとを有してもよい。上縁122a~dは、例えば細長ボディおよび/または管状メッシュの内面など、突起がその上に位置づけられている表面109a~dとともに、角度126a~dを形成してもよい。下縁124a~dは表面109a~dとともに角度130a~dを形成してもよい。角度126a~dは、90°もしくはそれ以下であってもよく;5°~90°もしくは15°~90°であってもよく;または、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、および90°のうち、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間であってもよい。角度130a~dは、90°もしくはそれ以上であってもよく;100°~170°であってもよく;または、100, 105, 110, 115, 120, 125, 130, 135, 140, 145, 150, 155, 160, 165, および170°のうち、いずれか1つに等しいか、もしくはいずれか2つの間であってもよい。上縁122a~dおよび下縁124a~dは、図2A~Cのまっすぐな様式で、および/または図2Dの丸みの付いた様式で、内面109a~dに接触してもよく、そして角度126a~dおよび130a~dは、上縁122a~dおよび下縁124a~dの大部分がそれぞれ表面109a~dとともに作る角度であってもよい。表面突起110は、上述したように、方向的妨害性を表面109a~dにもたらすことができる好適な様式で、内面109a~dにおいてアレンジされてもよい。そのアレンジメントは対称的および/または非対称的であってもよい。表面109a~d上の表面突起の非限定的なアレンジメントには、ランダムなアレンジメント、表面の円形バンドを形成する円形アレンジメント、らせん状のアレンジメント、ジグザグのアレンジメント、またはそれらの任意の組み合わせが含まれうる。
【0037】
表面突起は、それらの間のすべての値と範囲とを含めて、多くとも、少なくとも、またはおよそ、1 mm2あたり0.1、1、10、100、1000、10,000、100,000、1000,000個である密度で、細長ボディおよび/またはメッシュ構造の内面に存在してもよい。突起は、円形、楕円形、偏長形、三角形、正方形、長方形、偏菱形、台形、ダイヤモンド形、または他の幾何学形状である、内面に平行な断面を有してもよい。ある一定の関連において、ウェッジは、とがった、まっすぐな、またはカーブした縁部を有してもよい。カーブした縁部は、ウェッジから外に、またはウェッジに向かって、カーブしてもよい。そのカーブは(チーズ削り器と同様に)半円形または楕円形であってもよい。さらなる局面において、縁部は、サンプルの表面を貫通できるように鋭利である。ある一定の局面において、突起は、それらの間のすべての値と範囲とを含めて、0.5、5、50、100、500 μm~1、2、3、4、5 mmである高さ(例として図2の高さ128a~dを参照)を有してもよい。突起は、それらの間のすべての値と範囲とを含めて、0.1、0.5、5、50、100、500 μm~1、2、3、4、5 mmである幅または直径(例として図5の幅または直径132a~dを参照)を有してもよい。いくつかの局面において、その幅または直径は、突起の高さ、長さ、または高さと長さとに沿って、変化またはテーパーしてもよい。ある一定の関連において、幅または直径は突起の基部における断面を指し、幅または直径が突起の高さに沿って変化するさまざまな構成も存在する;例えば、突起は、基部から先端または縁部に向かってテーパーしてもよい。ある一定の関連において、突起またはテクスチャは、表面上または表面内に、成形されるか、エンボス加工されるか、またはエッチングされる。
【0038】
デバイス100については、メッシュ構造108が細長ボディ106を囲んでいるが、メッシュ構造が細長ボディによって囲まれているか、または細長ボディがメッシュ構造内に組み込まれているデバイスも容易に作ることができる。図3Aを参照すると、軸107に垂直な横断面に沿った、デバイス100の断面の上面図が示されている。デバイス100については、メッシュ構造108が細長ボディ106を囲んでおり、表面突起110は細長ボディの内面上に位置づけられる。図3Bを参照すると、別の態様に基づくデバイス200の同様の図、例えば、デバイス200の長軸に垂直な横断面に沿った、デバイス200の断面の上面図が示されている。デバイス200については、メッシュ構造208が細長ボディ206によって囲まれており、表面突起210はメッシュ構造208の内面上に位置づけられる。図3Cを参照すると、別の態様に基づくデバイス300の同様の図、例えば、デバイス300の長軸に垂直な横断面に沿った、デバイス300の断面の上面図が示されている。デバイス300については、細長ボディがメッシュ構造内に組み込まれて単層308を形成しており、表面突起310は308の内面上に位置づけられる。
【0039】
スリーブは、検体をスリーブまたはボディ内に容易に入れることができるように構成されてもよい。ある一定の態様において、スリーブまたはボディの収斂/拡張特性が、検体をスリーブまたはボディ内に容易に入れることを可能にするために必要な唯一の特性であってもよい;しかし、他の特性/設計が含まれてもよい。ある一定の態様において、デバイスのボディまたはスリーブは、外向きにカールされまたは巻き上げられた位置で位置づけられる。検体が導入されたら、スリーブまたはボディが広げられて検体を覆う。スリーブまたはボディはまた、検体より幅広であるベル形状の遠位開口部と、容易なアクセスを可能にするための、スリーブまたはボディの近位部分とを有してもよい。他の局面において、スリーブまたはボディまでのアクセスポイントを拡張状態に保つように構成された可撓性リングが、スリーブまたはボディの遠位開口部に位置づけられてもよい。リングは、曲げまたはひねることができ、なおかつ開放構成を作業中に保持できる、ゴムまたは可撓性の熱可塑性物質であってもよい。ある一定の局面において、遠位の可撓性リングに対して近位に、閉じるための機構が位置づけられる。
【0040】
ある一定の手術において、腹腔内にトロカールを挿入するための切開部を形成するために、患者の腹壁の皮膚がメスで切開される。本明細書に説明するデバイスがトロカールを介して腹腔内に配置されてもよい。腹壁は、皮膚と、脂肪などの皮下組織と、筋肉組織とで形成されている。腹腔鏡手術において、腹腔を伸展させるために二酸化炭素ガスを腹腔内に注入する気腹法が行われる。気腹法により、腹腔内で処置を行うための空間が確保される。デバイスは体壁をまたぐが、体腔の内側に完全に配置されるのであってもよい。配置のため、デバイスは、送達アームと呼ばれる配置用デバイスと併せて使用される。ある一定の局面において、本明細書に説明するデバイスが、切開部を通って体腔内に直接挿入されてもよい。他の局面において、本明細書に説明するデバイスはトロカールを通って配置されてもよく、それは典型的に直径5 mm、12 mm、または15 mmのトロカールである。ある一定の局面において、送達アームは、腹壁を通って腹腔内までスリーブデバイスを送達できるように、スリーブデバイスを収斂状態に保つ外部シースからなる。デバイスは、体内に配置された時に、検体を含有してもよく、かつ、体腔から取り出せるよう準備するために検体の収斂を可能にしてもよい。ある一定の局面において、体腔の内側に配置されたデバイスは、検体を内腔内に受けるために、デバイスの1つの端部上に開口部を有してもよい。開口部は本明細書に説明するようにシールされてもよく、そして検体は取り出せるように準備されてもよい。ある一定の局面において、デバイスは、標準的な検体回収システム(例えば、バッグ、牽引子、およびモルセレーターなど)とともに使用されるように構成されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
【国際調査報告】