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特表2023-542791電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231004BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231004BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/342 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506304
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2020122000
(87)【国際公開番号】W WO2022082397
(87)【国際公開日】2022-04-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB02
5H012FF01
5H012FF08
5H040AA37
5H040AS07
5H040AY08
5H040NN01
(57)【要約】
本出願は、電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備を提供し、電池の技術分野に属するものである。その中で、該電池は、電極端子が設けられる電池セルと、消防媒体を収納するための消防パイプラインと、消防パイプラインを固定するための固定具と、を含み、前記固定具は、前記電極端子と接続される。本出願の実施例において電池セルに電極端子と接続される固定具が設けられ、該固定具により消防パイプラインが固定され、熱暴走した電池セルをリアルタイムに制御することにより、電池の使用安全が確保される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子が設けられる電池セルと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインと、
前記消防パイプラインを固定するための固定具と、
を含み、
前記固定具は、前記電極端子と接続される、電池。
【請求項2】
前記固定具は、収納部を含み、前記収納部は、前記電極端子を収納するためのものであり、前記収納部は、前記電極端子に当接されることにより前記固定具の変位を制限する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記収納部は、開口を有することにより、前記電極端子の少なくとも一部が前記開口を介して露出するように構成される、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記収納部は、前記固定具を貫通するビアホールである、請求項2又は3に記載の電池。
【請求項5】
前記固定具は、第1凸部をさらに含み、前記第1凸部は、前記収納部の外周を取り巻くように設けられ、前記第1凸部は、前記電池セルから離れる方向に沿って前記電極端子に凸出する、請求項2~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記電池の固定具は、前記固定具と前記電池セルとの間に設けられ、前記電池セルに弾性的に当接されることにより前記固定具と前記電池セルとの間に組み立て誤差が存在することを許容するようにする第2凸部をさらに含み、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記第2凸部は、前記固定具に設けられ、前記固定具の前記電池セルに近い表面に凸出する、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2凸部は、弾性を有する、請求項6又は7に記載の電池。
【請求項9】
前記固定具は、前記固定具を貫通する収納孔をさらに含み、前記第2凸部は、繋がる固定部と凸起部とを含み、前記固定部の一端は、前記凸起部と接続されるためのものであり、他端は、前記収納孔の一部の孔壁と接続されるためのものであり、前記凸起部と前記収納孔のその他の孔壁との間に、間隔を有し、前記凸起部は、前記固定具の前記電池セルに近い表面に凸出し、しかも、前記凸起部は、前記電池セルから離れる方向の力を受けたとき、前記固定部に基づいて前記電池セルから離れる方向に沿って折り曲げられることができる、請求項6~8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第2凸部は、複数あり、複数の前記第2凸部が分布する位置は、前記固定具が前記電池セルに当接されたときバランスよく力を受けるようにする、請求項6~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記電池セルは、除圧機構をさらに含み、前記除圧機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になると作動して前記内部圧力を放出するためのものであり、
前記消防パイプラインは、前記除圧機構が作動すると前記電池セルへ前記消防媒体を排出するように配置され、
前記固定具は、第1脆弱領域を有し、前記第1脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると、前記消防媒体が前記第1脆弱領域を通じて前記電池セルへ流れるように配置される、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記第1脆弱領域は、ビアホールに設けられ、あるいは、
前記第1脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると破壊されてビアホールを形成するように配置される、請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記消防パイプラインの除圧機構への投影面積は、前記除圧機構の面積より小さい、請求項11又は12に記載の電池。
【請求項14】
前記固定具は、バックルをさらに含み、前記バックルは、前記消防パイプラインを前記固定具に固定するためのものであり、前記バックルは、前記消防パイプラインの中軸線方向に沿った第1脆弱領域の両側に設けられる、請求項11~13のいずれか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記固定具は、前記消防パイプラインの少なくとも一部を収納するための第1凹槽をさらに含み、前記第1脆弱領域と前記バックルとは、いずれも前記第1凹槽内に設けられる、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記電池は、バス部材を取り付けるためのセパレート部材をさらに含み、前記バス部材は、前記電極端子と接続され、前記固定具は、前記セパレート部材と前記電池セルとの間に位置することにより前記固定具の変位が制限される、請求項11~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記セパレート部材は、前記除圧機構が作動すると前記電池セルからの放出物が前記第2脆弱領域を通じて前記消防パイプラインを破壊することができるための第2脆弱領域を含む、請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記消防パイプラインの前記セパレート部材との接続方式は、粘着である、請求項16又は17に記載の電池。
【請求項19】
前記セパレート部材と接続されるための防護部材をさらに含み、
前記防護部材は、第3脆弱領域を含み、前記第3脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると前記電池セルからの放出物が前記第3脆弱領域を通じて前記消防パイプラインを破壊することができるためのものである、請求項16~17のいずれか1項に記載の電池。
【請求項20】
前記消防パイプラインの前記防護部材との接続方式は、粘着である、請求項19に記載の電池。
【請求項21】
前記消防パイプラインが前記防護部材に粘着されるときの接着剤の塗布位置は、前記第3脆弱領域を避ける、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
請求項1~21に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギを提供するためのものである、電力利用装置。
【請求項23】
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるステップと、
固定具を取り付けるとともに前記固定具を前記電極端子と接続するステップと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに前記消防パイプラインを前記固定具に固定するステップと、
を含む電池の調製方法。
【請求項24】
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるための電池セル取り付け装置と、
固定具を取り付けるとともに前記固定具を前記電極端子と接続するための固定具取り付け装置と、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに前記消防パイプラインを前記固定具に固定するための消防パイプライン取り付け装置と、
を含む電池の調製設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の技術分野に関し、特に電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンなどの電池は、エネルギー密度が高く、出力密度が高く、循環使用の回数が多く、格納時間が長いなどの利点を有するため、電気自動車に広く利用されている。
【0003】
ところが、電池の自然発火は、電気自動車の安全事故を引き起こす要因であるので、電池の自然発火を防ぐために、既存の技術において一般的に消防パイプラインを設けるが、いかに消防パイプラインを取り付けるかは、ずっと業界での一つの難題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、消防パイプラインを電池に固定することにより熱暴走した電池セルにリアルタイムに消防を作用させて電池の使用安全を確保する電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備を提供する。
【0005】
本出願の第1方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインと、
消防パイプラインを固定するための固定具と、を含み、固定具は、電極端子と接続される、電池を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、固定具は、電極端子を収納するための収納部を含み、収納部は、電極端子に当接されることにより固定具の変位を制限する。
【0007】
いくつかの実施例において、収納部は、開口を有することにより、電池端子の少なくとも一部が開口を介して露出するように構成される。
【0008】
いくつかの実施例において、収納部は、固定具を貫通するビアホールである。
【0009】
いくつかの実施例において、固定具は、第1凸部をさらに含み、第1凸部は、収納部の外周を取り巻くように設けられ、第1凸部は、電池セルから離れる方向に沿って電極端子に凸出する。
【0010】
いくつかの実施例において、電池は、固定具と電池セルとの間に設けられ、電池セルに弾性的に当接されることで固定具と電池セルとの間に組み立て誤差が存在することを許容するようにする第2凸部をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例において、第2凸部は、固定具に設けられ、固定具の電池セルに近い表面に凸出する。
【0012】
いくつかの実施例において、第2凸部は、弾性を有する。
【0013】
いくつかの実施例において、固定具は、固定具を貫通する収納孔をさらに含み、第2凸部は、繋がる固定部と凸起部とを含み、固定部の一端は、凸起部と接続されるためのものであり、他端は、収納孔の一部の孔壁と接続されるためのものであり、凸起部と収納孔のその他の孔壁との間に間隔を有し、凸起部は、固定具の電池セルに近い表面に凸出し、しかも、凸起部は、電池セルから離れる方向の力を受けたとき、接続部に基づいて電池セルから離れる方向に沿って折り曲げられることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、第2凸部は、複数あり、複数の第2凸部が分布する位置は、固定具が電池セルに当接されるときにバランスよく力を受けるようにする。
【0015】
いくつかの実施例において、電池セルは、除圧機構をさらに含み、除圧機構は、電池セルの内部圧力又は温度が閾値になると作動して内部圧力を放出するためのものであり、
消防パイプラインは、除圧機構が作動すると電池セルへ消防媒体を排出するように配置され、
固定具は、第1脆弱領域を有し、第1脆弱領域は、除圧機構が作動すると消防媒体が第1脆弱領域を通じて電池セルへ流れるように配置される。
【0016】
いくつかの実施例において、第1脆弱領域は、ビアホールに設けられ、あるいは、第1脆弱領域は、除圧機構が作動すると破壊されてビアホールを形成するように配置される。
【0017】
いくつかの実施例において、消防パイプラインの除圧機構への投影面積は、除圧機構の面積より小さい。
【0018】
いくつかの実施例において、固定具は、バックルをさらに含み、バックルは、消防パイプラインを固定具に固定するためのものであり、バックルは、消防パイプラインの中軸線方向に沿った第1脆弱領域の両側に設けられる。
【0019】
いくつかの実施例において、固定具は、消防パイプラインの少なくとも一部を収納するための第1凹槽をさらに含み、第1脆弱領域とバックルとは、いずれも第1凹槽内に設けられる。
【0020】
いくつかの実施例において、電池は、バス部材を取り付けるためのセパレート部材をさらに含み、バス部材は、電極端子と接続され、固定具は、セパレート部材と電池セルとの間に位置することにより固定具の変位が制限される。
【0021】
いくつかの実施例において、セパレート部材は、除圧機構が作動すると、電池セルからの放出物が第2脆弱領域を通じて消防パイプラインを破壊することができるための第2脆弱領域を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、消防パイプラインのセパレート部材との接続方式は、粘着である。
【0023】
いくつかの実施例において、セパレート部材と接続されるための防護部材をさらに含み、
防護部材は、第3脆弱領域を含み、第3脆弱領域は、除圧機構が作動すると電池セルからの放出物が第3脆弱領域を通じて消防パイプラインを破壊することができるようにする。
【0024】
いくつかの実施例において、消防パイプラインの防護部材との接続方式は、粘着である。
【0025】
いくつかの実施例において、消防パイプラインが防護部材に粘着されるときの接着剤の塗布位置は、第3脆弱領域を避ける。
【0026】
本出願の実施例のもう一つの方面によれば、上述した電池を含む電力利用装置を提供し、その中で、上記電池は、電気エネルギを提供するためのものである。
【0027】
本出願の実施例のさらなる方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるステップと、
固定具を取り付けるとともに、該固定具を電極端子と接続するステップと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに、該消防パイプラインを前記固定具に固定するステップと、を含む、電池の調製方法を提供する。
【0028】
本出願の実施例の他方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるための電池セル取り付け装置と、
固定具を取り付けるとともに固定具を電極端子と接続するための固定具取り付け装置と、
消防媒体を収納するための前記消防パイプラインを固定具に取り付けるための消防パイプライン取り付け装置と、を含む電池の調製設備を提供する。
【0029】
本出願の実施例において、固定具を設けることにより消防パイプラインが電極端子にしっかり固定され、さらに、消防パイプラインが電池セルにリアルタイムに消防を行って電池の使用安全を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本出願の実施例又は既存の技術での技術方案をより分かりやすく説明ために、以下、実施例又は既存技術の説明のためにその使用が必要な図面について、簡単に紹介し、明らかなように、以下、説明される図面は、本出願のいくつかの実施例にすぎず、本分野での業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面をさらに取得することができる。
【0031】
ここで説明される図面は、本出願に対するさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の一部を構成し、本出願の模式的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を不当に制限するために構成されるものではない。
【0032】
図1-A】本出願のいくつかの実施例の電力利用装置の構造模式図である。
図1-B】本出願のいくつかの実施例の電池の構造模式図である。
図1-C】本出願のいくつかの実施例の電池における電池モジュールの構造模式図である。
図1-D】本出願のいくつかの実施例の電池モジュールにおける電池セルの構造模式図である。
図2】本出願の一実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図3】一実施例の電池モジュールの部分拡大模式図である。
図4図3のA―A断面図である。
図5図3のB―B断面図である。
図6】一実施例において固定具が電池セルと接続された模式図である。
図7】一実施例の固定具の構造模式図である。
図8図7のC―C断面図である。
図9図7の上面模式図である。
図10】本出願のもう一つの実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図11】本出願のさらなる実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図12】本出願のいくつかの実施例の電池の調製方法のフローチャートである。
図13】本出願のいくつかの実施例の電池の調製設備の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本出願の目的、技術方案及び利点をより明確・明らかにさせるために、図面及び実施例に合わせて本出願をより詳しく説明する。理解すべきことは、ここで説明される具体的な実施例が、本出願を解釈するためのものにすぎず、本出願の好ましい実施例であり、これに基づいて本出願の保護範囲を制限するものではなく、それゆえに、本出願の構造、形状、原理に基づいて行われた等価変化は、いずれも本出願の保護範囲内に包含されるべきである。
【0034】
別途に定義されない限り、本文で用いられるすべての技術や科学術語は、本出願の技術分野での業者が一般的に理解する意味と同じものであり、本文で出願される明細書において用いられる術語は、具体的な実施例を説明する目的のものであり、本出願を制限する旨がなく、本出願の明細書、特許の請求範囲及び図面の説明において「を含む」、「を有する」という術語及びそれらのいかなる変形は、不排他的な包含を函蓋することを意図する。
【0035】
本文で「実施例」を言及するのは、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性にあわせて本出願の少なくとも一つの実施例に含まれることができることを意味する。明細書における各々の位置で表れる該「実施例」という詞句は、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、その他の実施例と互いに排斥する独立又は代替の実施例でもない。本分野での業者が明示的・暗黙的に理解するのは、本文で説明される実施例がその他の実施例と組み合わせることができることである。
【0036】
本文で「及び/又は」という術語は、関連対象の関連関係を説明するものにすぎず、3つの関係を表すことができ、例えば、A及び/又はBは、Aが単独して存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独して存在することの3つの場合を表すことができる。なお、本文で「/」という符号は、一般に前後の関連対象が「又は」の関係にあることを表す。
【0037】
又、本出願の明細書、特許の請求範囲又は上述した図面における「第1」、「第2」などの術語は、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序を説明するためのものではなく、明示的にあるいは暗黙的に一つ又はそれより多くの該特徴を含むことができる。
【0038】
本出願での説明において、別途に説明しない限り、「複数」の意味は、2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、2組以上(2組を含む)を指す。
【0039】
本出願での説明において、説明が必要なのは、別途に明確な規定や限定がない限り、「取り付ける」、「繋がる」、「接続される」という術語は、広義的に理解すべきものであり、例えば、機械構造における「繋がる」又は「接続される」が、物理的に接続されることを指してもよく、例えば、物理的に接続されることが、固定的に接続されてもよく、例えば固定具により固定的に接続され、例えばネジ、ボルト又はその他の固定具により固定的に接続され、物理的に接続されることが、取り外し可能に接続されてもよく、例えば互いにクランプ又は係合して接続され、物理的に接続されることが、一体に接続されてもよく、例えば、はんだ付け、粘着又は一体成型して接続が形成されることにより接続を行う。回路構造における「繋がる」又は「接続される」は、物理的に接続されることを指すこと以外、さらに電気的に接続され又は信号接続されることを指してもよく、例えば、直接に繋がってもよく、即ち物理的に接続されてもよく、中間の少なくとも一つの素子を介して間接に繋がってもよく、回路が通じ合うことができればよく、さらに2つの素子の内部の連通であってもよく、信号接続は、回路により信号接続されること以外、媒介、例えば無線電波により信号接続されてもよい。本分野での業者にとって、具体的な場合にあわせて本出願の実施例における上記の術語の具体的な意味を理解することができる。
【0040】
以下の実施例において明確に各々の方位を説明するために、いくつかの方位用語を用いることができ、例えば、図1―Dの座標系において電池の各々の方位方向を定義し、x方向は、電池セル400の長さ方向を示し、y方向は、水平面内でx方向と垂直な方向であり、電池セル400の幅方向を示し、z方向は、x方向とy方向と垂直な方向であり、電池の高さ方向を示す。又、以上に述べられたx方向、y方向及びz方向などは、本実施例の電池の各部材の操作や構造に対する指示方向の表記が絶対的なものではなく相対的なものであることを説明するためのものであり、しかも、電池の各部材が図中に示される位置にあると、これらの指示が適切であるにも関わらず、これらの位置が変化すると、この変化に対応するために、これらの方向について異なるように解釈すべきである。
【0041】
同様の方位に対する理解に基づいて、本出願の説明で、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの術語により指示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本出願を便宜的に且つ簡略的に説明するためのものにすぎず、指示された装置又は素子が、必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成・操作されることを明示又は示唆するものではなく、本出願を制限するものと理解すべきではない。
【0042】
充電可能な電池は、二次電池又は動力電池ともいえ、現在、相対的に広く使用される充電可能な電池は、リチウム電池、例えば、リチウム・硫黄電池、ナトリウム・リチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であるが、これに限定されない。説明の便宜上、本文で充電可能な電池を電池と総称してもよい。
【0043】
電池の安全特性は、電池を評価するための一つの重要な特性であり、使用時又は充電時にできるだけ電池の安全性を確保するのが必要である。
【0044】
電池は、一般的に複数の電池セルを接続して組み合わせてなるものであり、電池セルに外部短絡、過充電、針刺し、プレート衝撃などの状況が発生すると、電池セルが熱暴走しやすくなる。電池が熱暴走すると、該電池セルの内部に放出物が生じ、該放出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極極片、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧気体、火炎などを含むが、これに限定されない。これらの放出物は、放出過程中で熱拡散することにより、その他の電池セルを熱暴走させ、ひいては爆発などの事故を引き起こしかねない。
【0045】
電池セルの熱暴走に対して、現在の有効な方案は、消防パイプラインを設けるものであり、即ち、電池セルが熱暴走すると、消防パイプラインを用いて消防を行うことにより、電池セルの爆発又は失火を阻止又は遅延させる。消防パイプラインは、一般にケース内に設けられ、電池セルが熱暴走すると、消防パイプラインは、消防媒体を放出して消防を実現する。しかし、発明者は、消防パイプラインが設けられているが、上記の消防パイプラインを用いた電池に、電池の熱暴走時にリアルタイムに消防を行うことができない問題があることを見出した。上記の問題に対して、発明者は、消防パイプラインの位置及び消防方式を変えるように試みるが、いずれも上記の問題の解決に至らない。発明者は、長期間に研究を重ねた結果、消防パイプラインが取り付けられた電池に、依然として安全リスクが存在することは、消防パイプラインが電池の熱暴走過程中で位置が変化し、これによって、消防パイプラインが熱暴走した箇所にリアルタイムに消防作用を提供することができないからであるのをさらに見出した。即ち、消防パイプラインをしっかり固定したことがない。
【0046】
これに鑑みて、本出願は、電極端子の固定具との接続により、固定具を電池セルに固定し、しかも、該固定具により消防パイプラインを固定することで、既存の技術において消防パイプラインが、電池の熱暴走過程中で位置が変化し、これによって、リアルタイムに消防を行うことができない問題を克服できる電池を提供することを目的とする。
【0047】
本出願の実施例の電池は、電気エネルギを動力源として提供する各種の電力利用装置に適用できる。ここで、電力利用装置は、電気自動車、電気列車、電気自転車、ゴルフカート、無人機又は船舶などを含んでもよいが、これに限定されない。そして、電力利用装置は、電池のみを用いて動力を提供する装置であってもよく、ハイブリッド型の装置であってもよい。電池は、電力利用装置に電気エネルギを提供し、電気モーターにより電動装置を駆動して行進させるものである。
【0048】
例えば、図1―Aは、本出願の一実施例の電力利用装置の構造模式図を示し、電力利用装置は、自動車であってもよく、自動車は、燃料車、ガス燃料車又は代替燃料車であってもよく、代替燃料車は、二次電池式電気自動車、ハイブリッド型自動車又は航続距離延長型自動車などであってもよい。自動車は、電池200と、コントローラー210と、モーター220とを含む。電池200は、コントローラー210とモーター220とに給電するためのものであり、自動車の操作電源と駆動電源として、例えば、電池200は、自動車の起動、ナビゲーションや運転時の動作電力需要のためのものである。例えば、電池200は、コントローラー210に給電し、コントローラー210は、電池200をモーター220へ給電するように制御し、モーター220は、電池200の電力を自動車の駆動電源として受けて用いて、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して自動車に駆動動力を提供する。
【0049】
電池が高い機能をもって使用需要を満たすために、電池200は、互いに接続された複数の電池モジュールを含んでもよく、図1―Bに示すように、電池200は、第1筐体201と、第2筐体202と複数の電池モジュール300とを含み、その中で、第1筐体201と第2筐体202とは、互いに係合し、複数の電池モジュール300は、第1筐体201と第2筐体202とに取り囲まれて形成される空間内に配置される。
【0050】
図1―Cに示すように、電池モジュール300は、複数の電池セル400を含み、複数の電池セル400は、大きい電流又は電圧を実現するように直列、並列又は直並列方式により接続されることができ、その中で、直並列とは、直列と並列を組み合わせたものである。例えば、図1―Cに示すように、電池セル400は、縦置きしてもよく、電池セル400の高さ方向と鉛直方向とは一致し、複数の電池セル400は、幅方向に沿って並行に設けられ、あるいは、電池セル400は、横置きしてもよく、電池セル400の幅方向と鉛直方向とは一致し、複数の電池セル400は、幅方向に沿って少なくとも1層積み重ねられることができ、各層には、長さ方向に沿って間隔をおいて設けられる複数の電池セル400が含まれる。
【0051】
本分野での業者に本出願の改善した点を明確に了解させるために、まず、電池セル400の全体構造を説明する。
【0052】
図1―Dに示すように、電池セル400は、筐体40と、電極ユニット30と端蓋ユニット10とを含み、端蓋ユニット10は、端蓋板10’ を含み、端蓋板10’は、筐体40と接続され(例えば、はんだ付けられ)て電池セル400のハウジングを形成し、電極ユニット30は、筐体40内に設けられ、筐体40内に電解液が充填されている。電池セル400は、立方体状、直方体状又は円柱体状であってもよい。
【0053】
実際の使用需要に応じて、電極ユニット30は、単一又は複数設けられてもよい。図1―Dに示すように、電池内に独立して巻き付けられた電極ユニット30が少なくとも2つ設けられてもよい。電極ユニット30は、第1極片、第2極片及び隣り合う第1極片と第2極片との間に位置するセパレータを一緒に巻き付ける又は積み重ねることにより本体部が形成されることができ、その中で、セパレータは、隣り合う第1極片と第2極片との間に介在する絶縁体である。本体部は、対向する2つの端面を有する。本実施例において、例示的に第1極片を正極片とし、第2極片を負極片として説明する。正極活性物質は、正極片の塗布領域に塗布され、負極活性物質は、負極片の塗布領域に塗布される。本体部の塗布領域から延出した複数の未塗布領域は、タブとして積層される。電極ユニットは、2つのタブ301、即ち正タブと負タブとを含む。正タブは、正極片の塗布領域から延出し、負タブは、負極片の塗布領域から延出する。
【0054】
端蓋ユニット10は、電極ユニット30の頂部に設けられ、図1―Dに示すように、端蓋ユニット10は、端蓋板10’と2つの電極端子5とを含み、2つの電極端子5は、それぞれ正極端子と負極端子であり、電極端子5ごとに、1つの接続部材20が対応して設けられ、接続部材20は、端蓋10’と電極ユニット30との間に位置する。
【0055】
例えば、図1―Dにおいて、電極ユニット30のタブ301は頂部に位置し、正極タブは、1つの接続部材20により正極端子と接続され、負極タブは、もう1つの接続部材20により負極端子と接続される。例えば、電池セル400は、それぞれ筐体40の両端に設けられる2つの端蓋ユニット10を含んでもよく、端蓋ユニット10ごとに、1つの端子5が設けられる。
【0056】
端蓋板10’に、防爆部材がさらに設けられてもよく、電池セル400内の気体が多すぎると、リアルタイムに電池セル400内の気体を放出して爆発の発生を回避する。
【0057】
端蓋板10’に、排気孔が設けられ、排気孔は、端蓋10’の長さ方向に沿った中間位置に設けられてもよい。防爆部材は、除圧機構6を含み、除圧機構6は、排気孔に設けられ、通常の状態で、除圧機構6は、排気孔に封止するように取り付けられるが、電池が膨張することによりハウジング内の気圧が既定値を上回るまで高くなると、除圧機構6が作動して起動し、気体を除圧機構6を通じて外へ放出する。
【0058】
除圧機構6は、電池セル400の内部圧力又は内部温度が予定の閾値に達するときに内部圧力及び/又は内部物質を放出するように作動する素子又は部材である。除圧機構6は、具体的には例えば防爆弁、空気弁、除圧弁又は安全弁などの形式を採用してもよく、しかも、具体的には感圧又は感温の素子又は構造を採用してもよく、即ち、電池セル400の内部圧力又は温度が予定の閾値に達するとき、除圧機構6が動作を執行し、あるいは、除圧機構6に設けられた脆弱構造が破壊されることにより、内部圧力の放出のための開口又は通路が形成されることができる。本出願で言われる閾値とは、圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値の設計は、設計需要によって異なり、例えば危険がある又は制御不能なリスクがあると認められる電池セル400の内部圧力又は内部温度値に基づいて該閾値を設計又は規定してもよい。そして、該閾値は、例えば電池セル400における正極極片、負極極片、電解液やセパレータの1つ又は複数の使用材料による可能性がある。
【0059】
本出願で言及された「作動」とは、除圧機構6が動作を行い又は一定の状態にイネーブルされることにより、電池セル400の内部圧力が放出されることになる。除圧機構6が行う動作は、除圧機構6の少なくとも一部が破裂され、破砕され、引き裂かれあるいは開放されることなどを含んでもよいが、これに限定されない。除圧機構6が作動すると、電池セル400の内部の高温高圧物質は、放出物として作動した箇所から外へ排出される。こうすると、圧力又は温度の制御が可能なときに電池セル400に除圧を行うことができ、これによって、より厳重な潜在的事故の発生を回避することができる。本出願で言及された電池セル400からの放出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極極片、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧気体、火炎などを含むが、これに限定されない。高温高圧の放出物は、電池セル400における除圧機構6が設けられた方向へ放出され、より具体的には、除圧機構6が作動した区域へ向かう方向に沿って放出されることができ、このような放出物の勢いや破壊力は非常に大きい可能性があり、ひいては、該方向における例えば蓋体などの1つ又は複数の構造を突破するのに十分な可能性がある。
【0060】
いくつかの実施例において、図1―Dに示すように、端蓋板10’に電池セル400内へ電解液を注入するためのビアホールが設けられ、ビアホールは、円孔、楕円孔、多角形孔又はその他の形状の孔を採用でき、しかも、端蓋板10’の高さ方向に沿って延伸することができる。端蓋板10’にビアホールを閉塞するための注液部材2が設けられる。
【0061】
図2図9は、本出願の一実施例において電池に消防パイプラインが固定された構造模式図である。
【0062】
本出願の実施例の消防パイプラインは、消防媒体を収納するためのものであり、ここでの消防媒体は、流体であってもよく、該流体は、液体又は気体であってもよい。除圧機構が該消防パイプラインを破壊しないとき、該消防パイプラインは、いかなる物質を収納しなく、除圧機構が作動するとき、消防パイプラインは、消防媒体を収納するようになり、例えば、弁を開閉することにより消防媒体が消防パイプラインに入ることを制御することができる。あるいは、除圧機構が破壊されないとき、該消防パイプラインは、常に消防媒体を収納することができ、該消防媒体は、さらに電池セルの温度調整に用いられることができる。温度調整とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合に、該消防パイプラインは、複数の電池セルの温度を下げるための冷却流体を収納するのに用いられ、このとき、消防パイプラインは、冷却部材、冷却系又は冷却パイプラインなどと称されてもよく、その中に収納された消防媒体は、冷却媒体又は冷却流体と称されてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却気体と称されてもよい。上記の消防媒体は、より良い温度調整の効果を得るために循環して流れることが好ましい。消防媒体は、水、水とグリコールとの混合液あるいは空気などであることが好ましい。
【0063】
図2図6を参照し、電池セル400に固定具80が設けられており、該固定具80は、電池セル400の電極端子5と接続され、消防パイプライン70が固定具80に固定されることにより、消防パイプライン70を電池セル400に固定することが実現されることになり、その中で、消防パイプライン80は、消防媒体を収納するためのものである。
【0064】
本出願において、消防パイプライン70を電極端子5に固定することにより、消防パイプライン70の固定方法を簡略化し、消防パイプライン70の固定のための操作をより簡単に行える一方、消防パイプラインに対する固定効果を確保し、消防パイプラインが電池の熱暴走過程中で位置が変化し、ひいてはリアルタイムに消防を行うことができないことを回避する。
【0065】
図6は、本実施例において固定具80が電池セル400と接続された模式図を示す。
【0066】
固定具80には、電池セル400の電極端子5を収納するための収納部が設けられ、該収納部は、電極端子5に当接されることにより固定具80の変位を制限する。
【0067】
1つの可能な方案において、収納部は、さらに開口を有することにより、電池端子5の少なくとも一部が該開口を介して露出するように構成されてもよい。
【0068】
バス部材91は、電池セル400を電気的に接続するのに用いられ、バス部材91は、収納部の開口を通じて電極端子5と接続されて固定具80のz方向の移動を制限する。
【0069】
1つの可能な方案において、バス部材91は、はんだ付け方式により電極端子5に固定されてもよい。
【0070】
上記の構造を採用することにより、固定具80が収納部により電極端子5と整合され、従って、固定具80は、x方向とy方向に移動できなくなり、バス部材91が固定具80の上に設けられることにより、固定具80もz方向に移動できなくなり、電極端子5とバス部材91との協力作用により、固定具80が、常に電池セル400の除圧機構6の上方に固定され、さらに消防パイプラインの位置を完全に制限して消防パイプラインと除圧機構6との相対的位置の固定を実現する。
【0071】
図7図9は、いくつかの実施例の固定具80の構造模式図を示す。
【0072】
固定具80は、本体81と本体81の両側に設けられる接続部82とを含み、例えば、2つの接続部82は、それぞれ本体81のx方向に沿った対向する両側に位置する。
【0073】
固定具80の収納部は、該接続部82を貫通するビアホール821であり、ビアホール821は、電極端子5に嵌設されている。本出願のもう一つの実施例において、固定具80の収納部は、該接続部82を貫通せず、該接続部82における開口を有する1つの凹み腔であり、該凹み腔は、電極端子5に嵌設され、即ち、電極端子5の一部は、凹み腔内に収納される。しかし、説明の便宜上、以降の実施例において、いずれも固定具80の収納部は、該接続部82を貫通するビアホール821であることを例として説明する。
【0074】
該固定具80の上面に第1凸部822が設けられ、その中で、、固定具80の上面は、固定具80の電池セル400から離れる表面であり、該第1凸部822は、ビアホール821の外部を取り巻くように設けられ、ビアホール821が電極端子5に嵌設されたとき、該第1凸部822は、該電池セル400から離れる方向に沿って該電極端子5に凸出する。第1凸部822が設けられることにより、電極端子5の上部に取り付けられる他構造部材が直接に第1凸部に作用することができるようにし、電極端子5の受けた力を低減し、電極端子5の変形を防止し、さらに電極端子5に取り付けられる固定具及び固定具80に取り付けられる消防パイプライン70の安定な取り付けを確保し、電池の安全性能を向上させる。
【0075】
該接続部82には、第2凸部823がさらに設けられる。該第2凸部823は、固定具80に凸出し、ビアホール821が電極端子5に嵌設されたとき、該第2凸部823は、電池セル400の表面に近づき、電池セル400に弾性的に当接されることで、固定具80と電池セル400との間に組み立て誤差が存在することを許容し、即ち、第2凸部823が電池セル400に弾性的に当接されることで、複数の固定具80の上面をできるだけ面一にさせることができ、消防パイプライン70が同時に複数の固定具80に固定されることに利する。
【0076】
図8図9に示すように、該接続部82には、貫通する収納孔824と第2凸部823とが設けられ、その中で、第2凸部823は、固定部8231と凸起部8232とを含み、その中で、該固定部8231の一端は、凸起部8232と繋がるためのものであり、他端は、収納孔824の一部の孔壁と接続されるためのものであり、凸起部8232と収納孔824のその他の孔壁との間に間隔を有する。固定具84が電池セル400に固定されるとき、凸起部8232が固定具80に凸出し、その凸出する方向は、消防パイプライン70から離れる方向であり、即ち、該凸起部8232は、固定具80に凸出するとともに、電池セル400の表面に近づく。そして、凸起部8232は、弾性を有し、それは、電池セル400から離れる方向の力を受けたとき、接続部に基づいて電池セル400から離れる方向に沿って折り曲げられることができる。第2凸部823は、弾性を有し、それは、固定具80が電池セル400に当接されるとき、バランスよく力を受け、しかも、固定具80と電池セル400、消防パイプライン70との間に組み立て誤差が存在することを許容し、固定具80と電池セル400、消防パイプライン70との取り付けの難しさを低下させる。
【0077】
いくつかの可能な方案において、第2凸部823の数と位置は、実際の状況に応じて設けられてもよい。例えば、第2凸部823は、固定具80に設けられ、しかも、それは、固定具80と電池セル400との間に配置される。複数の第2凸部823が分布する位置は、固定具80が電池セル400に当接されるときバランスよく力を受けるようにすればよく、例えば、複数の第2凸部823は、ビアホール821を取り巻くように対称的に分布してもよく、あるいは、複数の第2凸部823は、本体81に対して対称的に分布してもよく、これによって、固定具80が電池セル400に当接されるとき、バランスよく力を受けるようにする。同様に、該第2凸部823は、弾片などの他構造であってもよく、それは、弾性を有し、電池セル400と固定具800とに弾性的に当接され、固定具80と電池セル400との間に組み立て誤差が存在することを許容する需要を満すことができればよい。
【0078】
該電池セル400には、除圧機構6が設けられ、該除圧機構6は、電池セル400の内部圧力又は温度が閾値になると作動して内部圧力を放出するためのものであり、消防パイプライン70は、除圧機構6が作動すると電池セル400へ消防媒体を排出するように配置される。除圧機構6が塞がれることにより、さらに除圧機構6を押し開くことができないことを防ぐとともに、消防パイプライン70から排出する消防媒体が、除圧機構6を通じて電池セル400に入ることができるために、固定具80には、第1脆弱領域811がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セル400からの放出物が第1脆弱領域811を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が第1脆弱領域811を通じて電池セル400へ流れることができるように配置される。
【0079】
第1脆弱領域811は、本体81に設けられる。該第1脆弱領域811の位置は、除圧機構6の上方であって、消防パイプライン70の下方に位置し、第1脆弱領域811と除圧機構6とが相対的に設けられることは、消防パイプライン70の消防媒体をできるだけ除圧機構6を通じて電池セル400内部に入らせ、さらに熱暴走した電池セル400に良好な消防作用を働かせるためであり、消防パイプライン70の第1脆弱領域811への投影面積は、除圧機構6の面積より小さい。
【0080】
いくつかの可能な方案において、第1脆弱領域811は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第1脆弱領域811に融点が小さい材料を用い、あるいは、第1脆弱領域811の厚さを減少させて第1脆弱領域811の強度を小さくさせ、除圧機構6が作動するとき放出物に破壊され易くてビアホールを形成する。
【0081】
いくつかの可能な方案において、第1脆弱領域811は、さらに、除圧構造6が作動し、電池セル400へ流れる消防媒体が溢れ出したとき、溢れ出した消防媒体を収納し、溢れ出した消防媒体が隣り合う電池セルへ流入することを回避することができるために設けられる。図5に示すように、第1脆弱領域811は、ビアホールに設けられ、あるいは、除圧機構6が作動するとビアホールを形成するときに、固定具80が一定の厚さを有するので、該ビアホールは、消防媒体を収納するための1つの収納池になることができる。
【0082】
図4に示すように、固定具80の本体81には、さらにバックル812が設けられ、該バックル812は、第1脆弱領域811の消防パイプライン70の中軸線方向に沿った両側に設けられ、消防パイプライン70を固定具80に固定するためのものである。間隔をおいて設けられたバックル812により消防パイプライン70の固定を実現するのは、加工工程を簡略化することだけではなく、同時により多くの組み立て誤差を許容することもでき、消防パイプライン70の固定具80への組み立てに利する。
【0083】
固定具80の上面、即ち電池セル400から離れる表面には、補強筋構造814が設けられ、その中で、本体81には、第1凹槽がさらに設けられ、本体81の補強筋構造814は、第1凹槽の外側に設けられる。第1脆弱領域811とバックル812とは、いずれも該第1凹槽内に位置し、該第1凹槽は、消防パイプライン70の少なくとも一部、例えば消防パイプライン70の少なくとも一部の底部を収納することができる。
【0084】
いくつかの可能な方案において、バックル812が該第1凹槽内に位置するとき、バックル812と第1凹槽とは、液体を収納するための収集池を形成することができ、例えば、除圧構造6が作動すると、該第1凹槽は、放出物と消防媒体とが本体81の両側における電極端子5の方向へ流れることをブロックするために用いられることができ、該バックル812は、放出物と消防媒体とが消防パイプライン70の軸線方向に沿って流れることをブロックし、有効に放出物と消防媒体とが隣り合うセル電池に入ることを防止することができる。
【0085】
いくつかの実施例において、固定具80は、プラスチック部材を採用してもよい。プラスチック部材は、一体注射方式により作成されることができ、生産効率が高い。
【0086】
本実施例の固定具80は、電池セル400の電極端子5と接続されることにより消防パイプライン70を電池セルに固定し、熱暴走した電池セル400をリアルタイムに制御し、電池の使用安全を確保するだけではなく、消防パイプライン70の取り付けがより容易になり、同時に、固定具80のバックル812、第1凹槽及び第1脆弱領域811がいずれも液体を収納するための収集池を形成し、放出物と消防媒体とが電極端子5及び隣り合う電池セルに流入することを防止できるようにする。
【0087】
図10は、本出願の電池に消防パイプラインが設けられたもう一つの実施例の構造模式図である。第2実施例は第1実施例との主な相違点が、電池にセパレート部材92がさらに設けられることである。
【0088】
いくつかの可能な方案において、該セパレート部材92は、絶縁材料を採用して作成され、絶縁の作用を有する。
【0089】
固定具80は、セパレート部材92と電池セル400との間に設けられ、しかも、セパレート部材92の一部は、固定具80と消防パイプライン70との間に位置する。
【0090】
いくつかの可能な方案において、該セパレート部材92は、さらにバス部材91を取り付けるために用いられ、該バス部材91は、電極端子5と接続され、固定具80は、セパレート部材92と電池セル400との間に位置することで、固定具80の変位、即ち固定具80が電池セル400から離れる方向に沿って移動するのを制限する。
【0091】
除圧機構6の位置が塞がれることにより除圧機構6を押し開くことができないことを防止するため、同時に消防パイプライン70から排出する消防媒体を電池セル400に入らせることができるため、該セパレート部材92には、第2脆弱領域921がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セルからの放出物の通過が可能になり、放出物が第2脆弱領域921を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が電池セル400へ流れるように配置される。
【0092】
いくつかの可能な方案において、第2脆弱領域921は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第2脆弱領域921に、融点が小さい材料を用い、あるいは、第2脆弱領域921の厚さを減少させ、第2脆弱領域921は、除圧機構6が作動するとき放出物に破壊されてビアホールを形成する。
【0093】
該セパレート部材92には、第2凹槽922が設けられ、該第2凹槽922は、第1凹槽に対応して設けられ、第2脆弱領域921は、該第2凹槽922内に設けられ、該第2凹槽922内には、複数のビアホールがさらに設けられ、該ビアホールは、消防パイプライン70の中軸線方向に沿った第2脆弱領域921の両側に設けられ、固定具80のバックル812は、該ビアホールを通じて消防パイプライン70を固定する目的を実現する。
【0094】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70は、粘着方式によりセパレート部材92に接続されてもよい。例えば、構造接着剤を採用して粘着されてもよい。
【0095】
図11は、本出願の電池に消防パイプラインが設けられたさらなる実施例の構造模式図である。それは上記の実施例との主な相違点が、電池に防護部材93がさらに設けられることである。
【0096】
いくつかの可能な方案において、該防護部材93は、絶縁材料を採用して作成されてもよく、例えば該防護部材93、マイカ層であってもよい。
【0097】
該防護部材93は、セパレート部材92の上に敷設され、電極端子5を被着し、電極端子5が放出物又は消防媒体による短絡が発生することを防止し、消防パイプライン5は、防護部材93の上に位置する。
【0098】
除圧機構6の位置が塞がれることにより除圧機構6を押し開くことができないことを防止するため、同時に消防パイプライン70から排出する消防媒体を電池セル400に入らせて良好な消防効果を実現することができるため、該防護部材93には、第3脆弱領域931がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セルからの放出物の通過が可能になり、放出物が第3脆弱領域931を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が電池セル400へ流れるように配置される。
【0099】
いくつかの可能な方案において、第3脆弱領域931は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第3脆弱領域931には、融点が小さい材料を用い、あるいは、第3脆弱領域931の厚さを減少させ、第3脆弱領域931は、除圧機構6が作動すると放出物に破壊されてビアホールを形成する。
【0100】
該防護部材92には、第3凹槽932が設けられ、該第3凹槽932は、第1凹槽に対応して設けられ、第3脆弱領域931は、該第3凹槽932内に設けられ、該第3凹槽932内には、複数のビアホールがさらに設けられ、該ビアホールは、消防パイプライン70の中軸線方向に沿った第3凹槽932の両側に設けられ、固定具80のバックル812は、該ビアホールを通じて消防パイプライン70を固定する目的を実現する。同時に、該第3凹槽932は、ケース内の熱空気が消防パイプライン70上に冷却されて形成された結露水及び消防媒体を収納することができ、第3凹槽932は、固定具80のバックル812とともに各電池セル400の上方に収集池を形成することができ、放出物と消防媒体とが電極端子5及び隣り合う電池セルに流れることをブロックするのに用いられる。
【0101】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70は、粘着方式により防護部材93に接続されてもよく、あるいは、防護部材93をセパレート部材92と一緒に固定し、消防パイプライン70を固定具80のみに固定してもよい。
【0102】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70が防護部材93に粘着されるときの接着剤の塗布位置は、排泄物が該第3脆弱領域931をスムーズに突破することができるために第3脆弱領域931を避ける。
【0103】
図12は、本出願の電池を調製するいくつかの実施例の方法のフローチャートである。該電池は、上記の各実施例の電池である。該方法は、電池の調製設備に適用できる。
【0104】
S101で、電極端子が設けられる電池セルを取り付ける。
【0105】
S102で、固定具を取り付けるとともに、固定具を電極端子に接続する。
【0106】
S101で、消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに、上記消防パイプラインを上記固定具に固定する。
【0107】
該実施例において取り付け過程中で、固定具を電極端子に接続し、固定具で消防パイプラインを固定するのは、既存の技術に比べて、消防パイプラインをしっかり固定し、簡単に取り付け、操作しやすいことである。
【0108】
図13は、本出願の電池の調製設備のいくつかの実施例の構成模式図である。該電池は、上記の各実施例の電池である。該電池の調製設備500は、電池セル取り付け装置510と、固定具取り付け装置520と消防パイプライン取り付け装置530とを含む。
【0109】
電池セル取り付け装置510は、電極端子が設けられる電池セルを取り付けるために用いられる。
【0110】
固定具取り付け装置520は、消防パイプラインを固定するための固定具を取り付け、しかも、固定具を電極端子に接続するために用いられる。
【0111】
消防パイプライン取り付け装置530は、消防パイプラインを固定具に取り付けるために用いられ、該消防パイプラインは、消防媒体を収納するためのものである。
【0112】
該実施例の電池の調製設備を採用すれば、固定具を電極端子に接続し、固定具で消防パイプラインを固定することができ、既存の技術に比べて、消防パイプラインをしっかり固定し、簡単に取り付け、操作しやすくなる。
【0113】
本出願の上述した各保護テーマ及び各実施例の特徴の間は、互いに鑑みることができ、構造から許容すれば、本分野での業者は、異なる実施例の技術特徴を柔軟に組み合わせてより多くの実施例を形成することができる。
【0114】
以上、本出願により提供される電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備を詳しく説明した。本文で具体的な実施例を適用して本出願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例での説明は、本出願の方法及びその核心思想を理解するのみに用いられる。指摘すべきことは、本技術分野での業者にとって、本出願の原理を逸脱しない前提で、本出願に若干の改良や修飾をさらに加えることができ、これらの改良や修飾も本出願の特許の請求保護範囲内に収まる。
【符号の説明】
【0115】
200 電池
210 コントローラー
220 モーター
201 第1筐体
202 第2筐体
300 電池モジュール
400 電池セル
40 筐体
30 電極ユニット
10 端蓋ユニット
10’ 端蓋板
20 接続部材
5 電極端子
301 タブ
6 除圧機構
2 注液部材
70 消防パイプライン
80 固定具
81 本体
82 接続部
821 ビアホール
822 第1凸部
823 第2凸部
824 収納孔
811 第1脆弱領域
812 バックル
814 補強筋構造
91 バス部材
92 セパレート部材
921 第2脆弱領域
922 第2凹槽
93 防護部材
931 第3脆弱領域
932 第3凹槽
500 電池の調製設備
510 電池セル取り付け装置
520 固定具取り付け装置
530 消防パイプライン取り付け装置
図1-A】
図1-B】
図1-C】
図1-D】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の技術分野に関し、特に電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンなどの電池は、エネルギー密度が高く、出力密度が高く、循環使用の回数が多く、格納時間が長いなどの利点を有するため、電気自動車に広く利用されている。
【0003】
ところが、電池の自然発火は、電気自動車の安全事故を引き起こす要因であるので、電池の自然発火を防ぐために、既存の技術において一般的に消防パイプラインを設けるが、いかに消防パイプラインを取り付けるかは、ずっと業界での一つの難題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、消防パイプラインを電池に固定することにより熱暴走した電池セルにリアルタイムに消防を作用させて電池の使用安全を確保する電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備を提供する。
【0005】
本出願の第1方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインと、
消防パイプラインを固定するための固定具と、を含み、固定具は、電極端子と接続される、電池を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、固定具は、電極端子を収納するための収納部を含み、収納部は、電極端子に当接されることにより固定具の変位を制限する。
【0007】
いくつかの実施例において、収納部は、開口を有することにより、電池端子の少なくとも一部が開口を介して露出するように構成される。
【0008】
いくつかの実施例において、収納部は、固定具を貫通するビアホールである。
【0009】
いくつかの実施例において、固定具は、第1凸部をさらに含み、第1凸部は、収納部の外周を取り巻くように設けられ、第1凸部は、電池セルから離れる方向に沿って電極端子に凸出する。
【0010】
いくつかの実施例において、電池は、固定具と電池セルとの間に設けられ、電池セルに弾性的に当接されることで固定具と電池セルとの間に組み立て誤差が存在することを許容するようにする第2凸部をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例において、第2凸部は、固定具に設けられ、固定具の電池セルに近い表面に凸出する。
【0012】
いくつかの実施例において、第2凸部は、弾性を有する。
【0013】
いくつかの実施例において、固定具は、固定具を貫通する収納孔をさらに含み、第2凸部は、繋がる固定部と凸起部とを含み、固定部の一端は、凸起部と接続されるためのものであり、他端は、収納孔の一部の孔壁と接続されるためのものであり、凸起部と収納孔のその他の孔壁との間に間隔を有し、凸起部は、固定具の電池セルに近い表面に凸出し、しかも、凸起部は、電池セルから離れる方向の力を受けたとき、固定部に基づいて電池セルから離れる方向に沿って折り曲げられることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、第2凸部は、複数あり、複数の第2凸部が分布する位置は、固定具が電池セルに当接されるときにバランスよく力を受けるようにする。
【0015】
いくつかの実施例において、電池セルは、除圧機構をさらに含み、除圧機構は、電池セルの内部圧力又は温度が閾値になると作動して内部圧力を放出するためのものであり、
消防パイプラインは、除圧機構が作動すると電池セルへ消防媒体を排出するように配置され、
固定具は、第1脆弱領域を有し、第1脆弱領域は、除圧機構が作動すると消防媒体が第1脆弱領域を通じて電池セルへ流れるように配置される。
【0016】
いくつかの実施例において、第1脆弱領域は、ビアホールに設けられ、あるいは、第1脆弱領域は、除圧機構が作動すると破壊されてビアホールを形成するように配置される。
【0017】
いくつかの実施例において、消防パイプラインの除圧機構への投影面積は、除圧機構の面積より小さい。
【0018】
いくつかの実施例において、固定具は、バックルをさらに含み、バックルは、消防パイプラインを固定具に固定するためのものであり、バックルは、消防パイプラインの中軸線方向に沿った第1脆弱領域の両側に設けられる。
【0019】
いくつかの実施例において、固定具は、消防パイプラインの少なくとも一部を収納するための第1凹槽をさらに含み、第1脆弱領域とバックルとは、いずれも第1凹槽内に設けられる。
【0020】
いくつかの実施例において、電池は、バス部材を取り付けるためのセパレート部材をさらに含み、バス部材は、電極端子と接続され、固定具は、セパレート部材と電池セルとの間に位置することにより固定具の変位が制限される。
【0021】
いくつかの実施例において、セパレート部材は、除圧機構が作動すると、電池セルからの放出物が第2脆弱領域を通じて消防パイプラインを破壊することができるための第2脆弱領域を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、消防パイプラインのセパレート部材との接続方式は、粘着である。
【0023】
いくつかの実施例において、セパレート部材と接続されるための防護部材をさらに含み、
防護部材は、第3脆弱領域を含み、第3脆弱領域は、除圧機構が作動すると電池セルからの放出物が第3脆弱領域を通じて消防パイプラインを破壊することができるようにする。
【0024】
いくつかの実施例において、消防パイプラインの防護部材との接続方式は、粘着である。
【0025】
いくつかの実施例において、消防パイプラインが防護部材に粘着されるときの接着剤の塗布位置は、第3脆弱領域を避ける。
【0026】
本出願の実施例のもう一つの方面によれば、上述した電池を含む電力利用装置を提供し、その中で、上記電池は、電気エネルギを提供するためのものである。
【0027】
本出願の実施例のさらなる方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるステップと、
固定具を取り付けるとともに、該固定具を電極端子と接続するステップと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに、該消防パイプラインを前記固定具に固定するステップと、を含む、電池の調製方法を提供する。
【0028】
本出願の実施例の他方面によれば、
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるための電池セル取り付け装置と、
固定具を取り付けるとともに固定具を電極端子と接続するための固定具取り付け装置と、
消防媒体を収納するための前記消防パイプラインを固定具に取り付けるための消防パイプライン取り付け装置と、を含む電池の調製設備を提供する。
【0029】
本出願の実施例において、固定具を設けることにより消防パイプラインが電極端子にしっかり固定され、さらに、消防パイプラインが電池セルにリアルタイムに消防を行って電池の使用安全を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本出願の実施例又は既存の技術での技術方案をより分かりやすく説明ために、以下、実施例又は既存技術の説明のためにその使用が必要な図面について、簡単に紹介し、明らかなように、以下、説明される図面は、本出願のいくつかの実施例にすぎず、本分野での業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面をさらに取得することができる。
【0031】
ここで説明される図面は、本出願に対するさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の一部を構成し、本出願の模式的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を不当に制限するために構成されるものではない。
【0032】
図1-A】本出願のいくつかの実施例の電力利用装置の構造模式図である。
図1-B】本出願のいくつかの実施例の電池の構造模式図である。
図1-C】本出願のいくつかの実施例の電池における電池モジュールの構造模式図である。
図1-D】本出願のいくつかの実施例の電池モジュールにおける電池セルの構造模式図である。
図2】本出願の一実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図3】一実施例の電池モジュールの部分拡大模式図である。
図4図3のA―A断面図である。
図5図3のB―B断面図である。
図6】一実施例において固定具が電池セルと接続された模式図である。
図7】一実施例の固定具の構造模式図である。
図87のC―C断面図である。
図9図7の上面模式図である。
図10】本出願のもう一つの実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図11】本出願のさらなる実施例の電池に消防パイプラインが設けられた構造模式図である。
図12】本出願のいくつかの実施例の電池の調製方法のフローチャートである。
図13】本出願のいくつかの実施例の電池の調製設備の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本出願の目的、技術方案及び利点をより明確・明らかにさせるために、図面及び実施例に合わせて本出願をより詳しく説明する。理解すべきことは、ここで説明される具体的な実施例が、本出願を解釈するためのものにすぎず、本出願の好ましい実施例であり、これに基づいて本出願の保護範囲を制限するものではなく、それゆえに、本出願の構造、形状、原理に基づいて行われた等価変化は、いずれも本出願の保護範囲内に包含されるべきである。
【0034】
別途に定義されない限り、本文で用いられるすべての技術や科学術語は、本出願の技術分野での業者が一般的に理解する意味と同じものであり、本文で出願される明細書において用いられる術語は、具体的な実施例を説明する目的のものであり、本出願を制限する旨がなく、本出願の明細書、特許の請求範囲及び図面の説明において「を含む」、「を有する」という術語及びそれらのいかなる変形は、不排他的な包含を函蓋することを意図する。
【0035】
本文で「実施例」を言及するのは、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性にあわせて本出願の少なくとも一つの実施例に含まれることができることを意味する。明細書における各々の位置で表れる該「実施例」という詞句は、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、その他の実施例と互いに排斥する独立又は代替の実施例でもない。本分野での業者が明示的・暗黙的に理解するのは、本文で説明される実施例がその他の実施例と組み合わせることができることである。
【0036】
本文で「及び/又は」という術語は、関連対象の関連関係を説明するものにすぎず、3つの関係を表すことができ、例えば、A及び/又はBは、Aが単独して存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独して存在することの3つの場合を表すことができる。なお、本文で「/」という符号は、一般に前後の関連対象が「又は」の関係にあることを表す。
【0037】
又、本出願の明細書、特許の請求範囲又は上述した図面における「第1」、「第2」などの術語は、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序を説明するためのものではなく、明示的にあるいは暗黙的に一つ又はそれより多くの該特徴を含むことができる。
【0038】
本出願での説明において、別途に説明しない限り、「複数」の意味は、2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、2組以上(2組を含む)を指す。
【0039】
本出願での説明において、説明が必要なのは、別途に明確な規定や限定がない限り、「取り付ける」、「繋がる」、「接続される」という術語は、広義的に理解すべきものであり、例えば、機械構造における「繋がる」又は「接続される」が、物理的に接続されることを指してもよく、例えば、物理的に接続されることが、固定的に接続されてもよく、例えば固定具により固定的に接続され、例えばネジ、ボルト又はその他の固定具により固定的に接続され、物理的に接続されることが、取り外し可能に接続されてもよく、例えば互いにクランプ又は係合して接続され、物理的に接続されることが、一体に接続されてもよく、例えば、はんだ付け、粘着又は一体成型して接続が形成されることにより接続を行う。回路構造における「繋がる」又は「接続される」は、物理的に接続されることを指すこと以外、さらに電気的に接続され又は信号接続されることを指してもよく、例えば、直接に繋がってもよく、即ち物理的に接続されてもよく、中間の少なくとも一つの素子を介して間接に繋がってもよく、回路が通じ合うことができればよく、さらに2つの素子の内部の連通であってもよく、信号接続は、回路により信号接続されること以外、媒介、例えば無線電波により信号接続されてもよい。本分野での業者にとって、具体的な場合にあわせて本出願の実施例における上記の術語の具体的な意味を理解することができる。
【0040】
以下の実施例において明確に各々の方位を説明するために、いくつかの方位用語を用いることができ、例えば、図1―Dの座標系において電池の各々の方位方向を定義し、x方向は、電池セル400の長さ方向を示し、y方向は、水平面内でx方向と垂直な方向であり、電池セル400の幅方向を示し、z方向は、x方向とy方向と垂直な方向であり、電池の高さ方向を示す。又、以上に述べられたx方向、y方向及びz方向などは、本実施例の電池の各部材の操作や構造に対する指示方向の表記が絶対的なものではなく相対的なものであることを説明するためのものであり、しかも、電池の各部材が図中に示される位置にあると、これらの指示が適切であるにも関わらず、これらの位置が変化すると、この変化に対応するために、これらの方向について異なるように解釈すべきである。
【0041】
同様の方位に対する理解に基づいて、本出願の説明で、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの術語により指示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本出願を便宜的に且つ簡略的に説明するためのものにすぎず、指示された装置又は素子が、必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成・操作されることを明示又は示唆するものではなく、本出願を制限するものと理解すべきではない。
【0042】
充電可能な電池は、二次電池又は動力電池ともいえ、現在、相対的に広く使用される充電可能な電池は、リチウム電池、例えば、リチウム・硫黄電池、ナトリウム・リチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であるが、これに限定されない。説明の便宜上、本文で充電可能な電池を電池と総称してもよい。
【0043】
電池の安全特性は、電池を評価するための一つの重要な特性であり、使用時又は充電時にできるだけ電池の安全性を確保するのが必要である。
【0044】
電池は、一般的に複数の電池セルを接続して組み合わせてなるものであり、電池セルに外部短絡、過充電、針刺し、プレート衝撃などの状況が発生すると、電池セルが熱暴走しやすくなる。電池が熱暴走すると、該電池セルの内部に放出物が生じ、該放出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極極片、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧気体、火炎などを含むが、これに限定されない。これらの放出物は、放出過程中で熱拡散することにより、その他の電池セルを熱暴走させ、ひいては爆発などの事故を引き起こしかねない。
【0045】
電池セルの熱暴走に対して、現在の有効な方案は、消防パイプラインを設けるものであり、即ち、電池セルが熱暴走すると、消防パイプラインを用いて消防を行うことにより、電池セルの爆発又は失火を阻止又は遅延させる。消防パイプラインは、一般にケース内に設けられ、電池セルが熱暴走すると、消防パイプラインは、消防媒体を放出して消防を実現する。しかし、発明者は、消防パイプラインが設けられているが、上記の消防パイプラインを用いた電池に、電池の熱暴走時にリアルタイムに消防を行うことができない問題があることを見出した。上記の問題に対して、発明者は、消防パイプラインの位置及び消防方式を変えるように試みるが、いずれも上記の問題の解決に至らない。発明者は、長期間に研究を重ねた結果、消防パイプラインが取り付けられた電池に、依然として安全リスクが存在することは、消防パイプラインが電池の熱暴走過程中で位置が変化し、これによって、消防パイプラインが熱暴走した箇所にリアルタイムに消防作用を提供することができないからであるのをさらに見出した。即ち、消防パイプラインをしっかり固定したことがない。
【0046】
これに鑑みて、本出願は、電極端子の固定具との接続により、固定具を電池セルに固定し、しかも、該固定具により消防パイプラインを固定することで、既存の技術において消防パイプラインが、電池の熱暴走過程中で位置が変化し、これによって、リアルタイムに消防を行うことができない問題を克服できる電池を提供することを目的とする。
【0047】
本出願の実施例の電池は、電気エネルギを動力源として提供する各種の電力利用装置に適用できる。ここで、電力利用装置は、電気自動車、電気列車、電気自転車、ゴルフカート、無人機又は船舶などを含んでもよいが、これに限定されない。そして、電力利用装置は、電池のみを用いて動力を提供する装置であってもよく、ハイブリッド型の装置であってもよい。電池は、電力利用装置に電気エネルギを提供し、電気モーターにより電動装置を駆動して行進させるものである。
【0048】
例えば、図1―Aは、本出願の一実施例の電力利用装置の構造模式図を示し、電力利用装置は、自動車であってもよく、自動車は、燃料車、ガス燃料車又は代替燃料車であってもよく、代替燃料車は、二次電池式電気自動車、ハイブリッド型自動車又は航続距離延長型自動車などであってもよい。自動車は、電池200と、コントローラー210と、モーター220とを含む。電池200は、コントローラー210とモーター220とに給電するためのものであり、自動車の操作電源と駆動電源として、例えば、電池200は、自動車の起動、ナビゲーションや運転時の動作電力需要のためのものである。例えば、電池200は、コントローラー210に給電し、コントローラー210は、電池200をモーター220へ給電するように制御し、モーター220は、電池200の電力を自動車の駆動電源として受けて用いて、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して自動車に駆動動力を提供する。
【0049】
電池が高い機能をもって使用需要を満たすために、電池200は、互いに接続された複数の電池モジュールを含んでもよく、図1―Bに示すように、電池200は、第1筐体201と、第2筐体202と複数の電池モジュール300とを含み、その中で、第1筐体201と第2筐体202とは、互いに係合し、複数の電池モジュール300は、第1筐体201と第2筐体202とに取り囲まれて形成される空間内に配置される。
【0050】
図1―Cに示すように、電池モジュール300は、複数の電池セル400を含み、複数の電池セル400は、大きい電流又は電圧を実現するように直列、並列又は直並列方式により接続されることができ、その中で、直並列とは、直列と並列を組み合わせたものである。例えば、図1―Cに示すように、電池セル400は、縦置きしてもよく、電池セル400の高さ方向と鉛直方向とは一致し、複数の電池セル400は、幅方向に沿って並行に設けられ、あるいは、電池セル400は、横置きしてもよく、電池セル400の幅方向と鉛直方向とは一致し、複数の電池セル400は、幅方向に沿って少なくとも1層積み重ねられることができ、各層には、長さ方向に沿って間隔をおいて設けられる複数の電池セル400が含まれる。
【0051】
本分野での業者に本出願の改善した点を明確に了解させるために、まず、電池セル400の全体構造を説明する。
【0052】
1―Dに示すように、電池セル400は、筐体40と、電極ユニット30と端蓋ユニット10とを含み、端蓋ユニット10は、端蓋板10’ を含み、端蓋板10’は、筐体40と接続され(例えば、はんだ付けられ)て電池セル400のハウジングを形成し、電極ユニット30は、筐体40内に設けられ、筐体40内に電解液が充填されている。電池セル400は、立方体状、直方体状又は円柱体状であってもよい。
【0053】
実際の使用需要に応じて、電極ユニット30は、単一又は複数設けられてもよい。図1―Dに示すように、電池内に独立して巻き付けられた電極ユニット30が少なくとも2つ設けられてもよい。電極ユニット30は、第1極片、第2極片及び隣り合う第1極片と第2極片との間に位置するセパレータを一緒に巻き付ける又は積み重ねることにより本体部が形成されることができ、その中で、セパレータは、隣り合う第1極片と第2極片との間に介在する絶縁体である。本体部は、対向する2つの端面を有する。本実施例において、例示的に第1極片を正極片とし、第2極片を負極片として説明する。正極活性物質は、正極片の塗布領域に塗布され、負極活性物質は、負極片の塗布領域に塗布される。本体部の塗布領域から延出した複数の未塗布領域は、タブとして積層される。電極ユニットは、2つのタブ301、即ち正タブと負タブとを含む。正タブは、正極片の塗布領域から延出し、負タブは、負極片の塗布領域から延出する。
【0054】
端蓋ユニット10は、電極ユニット30の頂部に設けられ、図1―Dに示すように、端蓋ユニット10は、端蓋板10’と2つの電極端子5とを含み、2つの電極端子5は、それぞれ正極端子と負極端子であり、電極端子5ごとに、1つの接続部材20が対応して設けられ、接続部材20は、端蓋10’と電極ユニット30との間に位置する。
【0055】
例えば、図1―Dにおいて、電極ユニット30のタブ301は頂部に位置し、正極タブは、1つの接続部材20により正極端子と接続され、負極タブは、もう1つの接続部材20により負極端子と接続される。例えば、電池セル400は、それぞれ筐体40の両端に設けられる2つの端蓋ユニット10を含んでもよく、端蓋ユニット10ごとに、1つの電極端子5が設けられる。
【0056】
端蓋板10’に、防爆部材がさらに設けられてもよく、電池セル400内の気体が多すぎると、リアルタイムに電池セル400内の気体を放出して爆発の発生を回避する。
【0057】
端蓋板10’に、排気孔が設けられ、排気孔は、端蓋10’の長さ方向に沿った中間位置に設けられてもよい。防爆部材は、除圧機構6を含み、除圧機構6は、排気孔に設けられ、通常の状態で、除圧機構6は、排気孔に封止するように取り付けられるが、電池が膨張することによりハウジング内の気圧が既定値を上回るまで高くなると、除圧機構6が作動して起動し、気体を除圧機構6を通じて外へ放出する。
【0058】
除圧機構6は、電池セル400の内部圧力又は内部温度が予定の閾値に達するときに内部圧力及び/又は内部物質を放出するように作動する素子又は部材である。除圧機構6は、具体的には例えば防爆弁、空気弁、除圧弁又は安全弁などの形式を採用してもよく、しかも、具体的には感圧又は感温の素子又は構造を採用してもよく、即ち、電池セル400の内部圧力又は温度が予定の閾値に達するとき、除圧機構6が動作を執行し、あるいは、除圧機構6に設けられた脆弱構造が破壊されることにより、内部圧力の放出のための開口又は通路が形成されることができる。本出願で言われる閾値とは、圧力閾値又は温度閾値であってもよく、該閾値の設計は、設計需要によって異なり、例えば危険がある又は制御不能なリスクがあると認められる電池セル400の内部圧力又は内部温度値に基づいて該閾値を設計又は規定してもよい。そして、該閾値は、例えば電池セル400における正極極片、負極極片、電解液やセパレータの1つ又は複数の使用材料による可能性がある。
【0059】
本出願で言及された「作動」とは、除圧機構6が動作を行い又は一定の状態にイネーブルされることにより、電池セル400の内部圧力が放出されることになる。除圧機構6が行う動作は、除圧機構6の少なくとも一部が破裂され、破砕され、引き裂かれあるいは開放されることなどを含んでもよいが、これに限定されない。除圧機構6が作動すると、電池セル400の内部の高温高圧物質は、放出物として作動した箇所から外へ排出される。こうすると、圧力又は温度の制御が可能なときに電池セル400に除圧を行うことができ、これによって、より厳重な潜在的事故の発生を回避することができる。本出願で言及された電池セル400からの放出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極極片、セパレータの破片、反応により生成された高温高圧気体、火炎などを含むが、これに限定されない。高温高圧の放出物は、電池セル400における除圧機構6が設けられた方向へ放出され、より具体的には、除圧機構6が作動した区域へ向かう方向に沿って放出されることができ、このような放出物の勢いや破壊力は非常に大きい可能性があり、ひいては、該方向における例えば蓋体などの1つ又は複数の構造を突破するのに十分な可能性がある。
【0060】
いくつかの実施例において、図1―Dに示すように、端蓋板10’に電池セル400内へ電解液を注入するためのビアホールが設けられ、ビアホールは、円孔、楕円孔、多角形孔又はその他の形状の孔を採用でき、しかも、端蓋板10’の高さ方向に沿って延伸することができる。端蓋板10’にビアホールを閉塞するための注液部材2が設けられる。
【0061】
図2図9は、本出願の一実施例において電池に消防パイプラインが固定された構造模式図である。
【0062】
本出願の実施例の消防パイプラインは、消防媒体を収納するためのものであり、ここでの消防媒体は、流体であってもよく、該流体は、液体又は気体であってもよい。除圧機構が該消防パイプラインを破壊しないとき、該消防パイプラインは、いかなる物質を収納しなく、除圧機構が作動するとき、消防パイプラインは、消防媒体を収納するようになり、例えば、弁を開閉することにより消防媒体が消防パイプラインに入ることを制御することができる。あるいは、除圧機構が破壊されないとき、該消防パイプラインは、常に消防媒体を収納することができ、該消防媒体は、さらに電池セルの温度調整に用いられることができる。温度調整とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合に、該消防パイプラインは、複数の電池セルの温度を下げるための冷却流体を収納するのに用いられ、このとき、消防パイプラインは、冷却部材、冷却系又は冷却パイプラインなどと称されてもよく、その中に収納された消防媒体は、冷却媒体又は冷却流体と称されてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却気体と称されてもよい。上記の消防媒体は、より良い温度調整の効果を得るために循環して流れることが好ましい。消防媒体は、水、水とグリコールとの混合液あるいは空気などであることが好ましい。
【0063】
図2図6を参照し、電池セル400に固定具80が設けられており、該固定具80は、電池セル400の電極端子5と接続され、消防パイプライン70が固定具80に固定されることにより、消防パイプライン70を電池セル400に固定することが実現されることになり、その中で、消防パイプライン70は、消防媒体を収納するためのものである。
【0064】
本出願において、消防パイプライン70を電極端子5に固定することにより、消防パイプライン70の固定方法を簡略化し、消防パイプライン70の固定のための操作をより簡単に行える一方、消防パイプラインに対する固定効果を確保し、消防パイプラインが電池の熱暴走過程中で位置が変化し、ひいてはリアルタイムに消防を行うことができないことを回避する。
【0065】
図6は、本実施例において固定具80が電池セル400と接続された模式図を示す。
【0066】
固定具80には、電池セル400の電極端子5を収納するための収納部が設けられ、該収納部は、電極端子5に当接されることにより固定具80の変位を制限する。
【0067】
1つの可能な方案において、収納部は、さらに開口を有することにより、電池端子5の少なくとも一部が該開口を介して露出するように構成されてもよい。
【0068】
バス部材91は、電池セル400を電気的に接続するのに用いられ、バス部材91は、収納部の開口を通じて電極端子5と接続されて固定具80のz方向の移動を制限する。
【0069】
1つの可能な方案において、バス部材91は、はんだ付け方式により電極端子5に固定されてもよい。
【0070】
上記の構造を採用することにより、固定具80が収納部により電極端子5と整合され、従って、固定具80は、x方向とy方向に移動できなくなり、バス部材91が固定具80の上に設けられることにより、固定具80もz方向に移動できなくなり、電極端子5とバス部材91との協力作用により、固定具80が、常に電池セル400の除圧機構6の上方に固定され、さらに消防パイプラインの位置を完全に制限して消防パイプラインと除圧機構6との相対的位置の固定を実現する。
【0071】
図7図9は、いくつかの実施例の固定具80の構造模式図を示す。
【0072】
固定具80は、本体81と本体81の両側に設けられる接続部82とを含み、例えば、2つの接続部82は、それぞれ本体81のx方向に沿った対向する両側に位置する。
【0073】
固定具80の収納部は、該接続部82を貫通するビアホール821であり、ビアホール821は、電極端子5に嵌設されている。本出願のもう一つの実施例において、固定具80の収納部は、該接続部82を貫通せず、該接続部82における開口を有する1つの凹み腔であり、該凹み腔は、電極端子5に嵌設され、即ち、電極端子5の一部は、凹み腔内に収納される。しかし、説明の便宜上、以降の実施例において、いずれも固定具80の収納部は、該接続部82を貫通するビアホール821であることを例として説明する。
【0074】
該固定具80の上面に第1凸部822が設けられ、その中で、、固定具80の上面は、固定具80の電池セル400から離れる表面であり、該第1凸部822は、ビアホール821の外部を取り巻くように設けられ、ビアホール821が電極端子5に嵌設されたとき、該第1凸部822は、該電池セル400から離れる方向に沿って該電極端子5に凸出する。第1凸部822が設けられることにより、電極端子5の上部に取り付けられる他構造部材が直接に第1凸部に作用することができるようにし、電極端子5の受けた力を低減し、電極端子5の変形を防止し、さらに電極端子5に取り付けられる固定具及び固定具80に取り付けられる消防パイプライン70の安定な取り付けを確保し、電池の安全性能を向上させる。
【0075】
該接続部82には、第2凸部823がさらに設けられる。該第2凸部823は、固定具80に凸出し、ビアホール821が電極端子5に嵌設されたとき、該第2凸部823は、電池セル400の表面に近づき、電池セル400に弾性的に当接されることで、固定具80と電池セル400との間に組み立て誤差が存在することを許容し、即ち、第2凸部823が電池セル400に弾性的に当接されることで、複数の固定具80の上面をできるだけ面一にさせることができ、消防パイプライン70が同時に複数の固定具80に固定されることに利する。
【0076】
図8図9に示すように、該接続部82には、貫通する収納孔824と第2凸部823とが設けられ、その中で、第2凸部823は、固定部8231と凸起部8232とを含み、その中で、該固定部8231の一端は、凸起部8232と繋がるためのものであり、他端は、収納孔824の一部の孔壁と接続されるためのものであり、凸起部8232と収納孔824のその他の孔壁との間に間隔を有する。固定具80が電池セル400に固定されるとき、凸起部8232が固定具80に凸出し、その凸出する方向は、消防パイプライン70から離れる方向であり、即ち、該凸起部8232は、固定具80に凸出するとともに、電池セル400の表面に近づく。そして、凸起部8232は、弾性を有し、それは、電池セル400から離れる方向の力を受けたとき、固定部に基づいて電池セル400から離れる方向に沿って折り曲げられることができる。第2凸部823は、弾性を有し、それは、固定具80が電池セル400に当接されるとき、バランスよく力を受け、しかも、固定具80と電池セル400、消防パイプライン70との間に組み立て誤差が存在することを許容し、固定具80と電池セル400、消防パイプライン70との取り付けの難しさを低下させる。
【0077】
いくつかの可能な方案において、第2凸部823の数と位置は、実際の状況に応じて設けられてもよい。例えば、第2凸部823は、固定具80に設けられ、しかも、それは、固定具80と電池セル400との間に配置される。複数の第2凸部823が分布する位置は、固定具80が電池セル400に当接されるときバランスよく力を受けるようにすればよく、例えば、複数の第2凸部823は、ビアホール821を取り巻くように対称的に分布してもよく、あるいは、複数の第2凸部823は、本体81に対して対称的に分布してもよく、これによって、固定具80が電池セル400に当接されるとき、バランスよく力を受けるようにする。同様に、該第2凸部823は、弾片などの他構造であってもよく、それは、弾性を有し、電池セル400と固定具80とに弾性的に当接され、固定具80と電池セル400との間に組み立て誤差が存在することを許容する需要を満すことができればよい。
【0078】
該電池セル400には、除圧機構6が設けられ、該除圧機構6は、電池セル400の内部圧力又は温度が閾値になると作動して内部圧力を放出するためのものであり、消防パイプライン70は、除圧機構6が作動すると電池セル400へ消防媒体を排出するように配置される。除圧機構6が塞がれることにより、さらに除圧機構6を押し開くことができないことを防ぐとともに、消防パイプライン70から排出する消防媒体が、除圧機構6を通じて電池セル400に入ることができるために、固定具80には、第1脆弱領域811がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セル400からの放出物が第1脆弱領域811を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が第1脆弱領域811を通じて電池セル400へ流れることができるように配置される。
【0079】
第1脆弱領域811は、本体81に設けられる。該第1脆弱領域811の位置は、除圧機構6の上方であって、消防パイプライン70の下方に位置し、第1脆弱領域811と除圧機構6とが相対的に設けられることは、消防パイプライン70の消防媒体をできるだけ除圧機構6を通じて電池セル400内部に入らせ、さらに熱暴走した電池セル400に良好な消防作用を働かせるためであり、消防パイプライン70の第1脆弱領域811への投影面積は、除圧機構6の面積より小さい。
【0080】
いくつかの可能な方案において、第1脆弱領域811は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第1脆弱領域811に融点が小さい材料を用い、あるいは、第1脆弱領域811の厚さを減少させて第1脆弱領域811の強度を小さくさせ、除圧機構6が作動するとき放出物に破壊され易くてビアホールを形成する。
【0081】
いくつかの可能な方案において、第1脆弱領域811は、さらに、除圧機構6が作動し、電池セル400へ流れる消防媒体が溢れ出したとき、溢れ出した消防媒体を収納し、溢れ出した消防媒体が隣り合う電池セルへ流入することを回避することができるために設けられる。図5に示すように、第1脆弱領域811は、ビアホールに設けられ、あるいは、除圧機構6が作動するとビアホールを形成するときに、固定具80が一定の厚さを有するので、該ビアホールは、消防媒体を収納するための1つの収納池になることができる。
【0082】
図4に示すように、固定具80の本体81には、さらにバックル812が設けられ、該バックル812は、第1脆弱領域811の消防パイプライン70の中軸線方向に沿った両側に設けられ、消防パイプライン70を固定具80に固定するためのものである。間隔をおいて設けられたバックル812により消防パイプライン70の固定を実現するのは、加工工程を簡略化することだけではなく、同時により多くの組み立て誤差を許容することもでき、消防パイプライン70の固定具80への組み立てに利する。
【0083】
固定具80の上面、即ち電池セル400から離れる表面には、補強筋構造814が設けられ、その中で、本体81には、第1凹槽がさらに設けられ、本体81の補強筋構造814は、第1凹槽の外側に設けられる。第1脆弱領域811とバックル812とは、いずれも該第1凹槽内に位置し、該第1凹槽は、消防パイプライン70の少なくとも一部、例えば消防パイプライン70の少なくとも一部の底部を収納することができる。
【0084】
いくつかの可能な方案において、バックル812が該第1凹槽内に位置するとき、バックル812と第1凹槽とは、液体を収納するための収集池を形成することができ、例えば、除圧機構6が作動すると、該第1凹槽は、放出物と消防媒体とが本体81の両側における電極端子5の方向へ流れることをブロックするために用いられることができ、該バックル812は、放出物と消防媒体とが消防パイプライン70の軸線方向に沿って流れることをブロックし、有効に放出物と消防媒体とが隣り合う電池セル400に入ることを防止することができる。
【0085】
いくつかの実施例において、固定具80は、プラスチック部材を採用してもよい。プラスチック部材は、一体注射方式により作成されることができ、生産効率が高い。
【0086】
本実施例の固定具80は、電池セル400の電極端子5と接続されることにより消防パイプライン70を電池セルに固定し、熱暴走した電池セル400をリアルタイムに制御し、電池の使用安全を確保するだけではなく、消防パイプライン70の取り付けがより容易になり、同時に、固定具80のバックル812、第1凹槽及び第1脆弱領域811がいずれも液体を収納するための収集池を形成し、放出物と消防媒体とが電極端子5及び隣り合う電池セルに流入することを防止できるようにする。
【0087】
図10は、本出願の電池に消防パイプラインが設けられたもう一つの実施例の構造模式図である。第2実施例は第1実施例との主な相違点が、電池にセパレート部材92がさらに設けられることである。
【0088】
いくつかの可能な方案において、該セパレート部材92は、絶縁材料を採用して作成され、絶縁の作用を有する。
【0089】
固定具80は、セパレート部材92と電池セル400との間に設けられ、しかも、セパレート部材92の一部は、固定具80と消防パイプライン70との間に位置する。
【0090】
いくつかの可能な方案において、該セパレート部材92は、さらにバス部材91を取り付けるために用いられ、該バス部材91は、電極端子5と接続され、固定具80は、セパレート部材92と電池セル400との間に位置することで、固定具80の変位、即ち固定具80が電池セル400から離れる方向に沿って移動するのを制限する。
【0091】
除圧機構6の位置が塞がれることにより除圧機構6を押し開くことができないことを防止するため、同時に消防パイプライン70から排出する消防媒体を電池セル400に入らせることができるため、該セパレート部材92には、第2脆弱領域921がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セルからの放出物の通過が可能になり、放出物が第2脆弱領域921を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が電池セル400へ流れるように配置される。
【0092】
いくつかの可能な方案において、第2脆弱領域921は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第2脆弱領域921に、融点が小さい材料を用い、あるいは、第2脆弱領域921の厚さを減少させ、第2脆弱領域921は、除圧機構6が作動するとき放出物に破壊されてビアホールを形成する。
【0093】
該セパレート部材92には、第2凹槽922が設けられ、該第2凹槽922は、第1凹槽に対応して設けられ、第2脆弱領域921は、該第2凹槽922内に設けられ、該第2凹槽922内には、複数のビアホールがさらに設けられ、該ビアホールは、消防パイプライン70の中軸線方向に沿った第2脆弱領域921の両側に設けられ、固定具80のバックル812は、該ビアホールを通じて消防パイプライン70を固定する目的を実現する。
【0094】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70は、粘着方式によりセパレート部材92に接続されてもよい。例えば、構造接着剤を採用して粘着されてもよい。
【0095】
図11は、本出願の電池に消防パイプラインが設けられたさらなる実施例の構造模式図である。それは上記の実施例との主な相違点が、電池に防護部材93がさらに設けられることである。
【0096】
いくつかの可能な方案において、該防護部材93は、絶縁材料を採用して作成されてもよく、例えば該防護部材93、マイカ層であってもよい。
【0097】
該防護部材93は、セパレート部材92の上に敷設され、電極端子5を被着し、電極端子5が放出物又は消防媒体による短絡が発生することを防止し、消防パイプライン70は、防護部材93の上に位置する。
【0098】
除圧機構6の位置が塞がれることにより除圧機構6を押し開くことができないことを防止するため、同時に消防パイプライン70から排出する消防媒体を電池セル400に入らせて良好な消防効果を実現することができるため、該防護部材93には、第3脆弱領域931がさらに設けられ、それは、除圧機構6が作動すると、電池セルからの放出物の通過が可能になり、放出物が第3脆弱領域931を通じて消防パイプライン70を破壊することにより、消防パイプライン70内の消防媒体が電池セル400へ流れるように配置される。
【0099】
いくつかの可能な方案において、第3脆弱領域931は、直接にビアホールに設けられてもよく、ビアホール以外の方式を採用して実現されてもよく、例えば第3脆弱領域931には、融点が小さい材料を用い、あるいは、第3脆弱領域931の厚さを減少させ、第3脆弱領域931は、除圧機構6が作動すると放出物に破壊されてビアホールを形成する。
【0100】
該防護部材93には、第3凹槽932が設けられ、該第3凹槽932は、第1凹槽に対応して設けられ、第3脆弱領域931は、該第3凹槽932内に設けられ、該第3凹槽932内には、複数のビアホールがさらに設けられ、該ビアホールは、消防パイプライン70の中軸線方向に沿った第3凹槽932の両側に設けられ、固定具80のバックル812は、該ビアホールを通じて消防パイプライン70を固定する目的を実現する。同時に、該第3凹槽932は、ケース内の熱空気が消防パイプライン70上に冷却されて形成された結露水及び消防媒体を収納することができ、第3凹槽932は、固定具80のバックル812とともに各電池セル400の上方に収集池を形成することができ、放出物と消防媒体とが電極端子5及び隣り合う電池セルに流れることをブロックするのに用いられる。
【0101】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70は、粘着方式により防護部材93に接続されてもよく、あるいは、防護部材93をセパレート部材92と一緒に固定し、消防パイプライン70を固定具80のみに固定してもよい。
【0102】
いくつかの可能な方案において、消防パイプライン70が防護部材93に粘着されるときの接着剤の塗布位置は、排泄物が該第3脆弱領域931をスムーズに突破することができるために第3脆弱領域931を避ける。
【0103】
図12は、本出願の電池を調製するいくつかの実施例の方法のフローチャートである。該電池は、上記の各実施例の電池である。該方法は、電池の調製設備に適用できる。
【0104】
S101で、電極端子が設けられる電池セルを取り付ける。
【0105】
S102で、固定具を取り付けるとともに、固定具を電極端子に接続する。
【0106】
S103で、消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに、上記消防パイプラインを上記固定具に固定する。
【0107】
該実施例において取り付け過程中で、固定具を電極端子に接続し、固定具で消防パイプラインを固定するのは、既存の技術に比べて、消防パイプラインをしっかり固定し、簡単に取り付け、操作しやすいことである。
【0108】
図13は、本出願の電池の調製設備のいくつかの実施例の構成模式図である。該電池は、上記の各実施例の電池である。該電池の調製設備500は、電池セル取り付け装置501と、固定具取り付け装置502と消防パイプライン取り付け装置503とを含む。
【0109】
電池セル取り付け装置501は、電極端子が設けられる電池セルを取り付けるために用いられる。
【0110】
固定具取り付け装置502は、消防パイプラインを固定するための固定具を取り付け、しかも、固定具を電極端子に接続するために用いられる。
【0111】
消防パイプライン取り付け装置503は、消防パイプラインを固定具に取り付けるために用いられ、該消防パイプラインは、消防媒体を収納するためのものである。
【0112】
該実施例の電池の調製設備を採用すれば、固定具を電極端子に接続し、固定具で消防パイプラインを固定することができ、既存の技術に比べて、消防パイプラインをしっかり固定し、簡単に取り付け、操作しやすくなる。
【0113】
本出願の上述した各保護テーマ及び各実施例の特徴の間は、互いに鑑みることができ、構造から許容すれば、本分野での業者は、異なる実施例の技術特徴を柔軟に組み合わせてより多くの実施例を形成することができる。
【0114】
以上、本出願により提供される電池、電力利用装置及び電池の調製方法、設備を詳しく説明した。本文で具体的な実施例を適用して本出願の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例での説明は、本出願の方法及びその核心思想を理解するのみに用いられる。指摘すべきことは、本技術分野での業者にとって、本出願の原理を逸脱しない前提で、本出願に若干の改良や修飾をさらに加えることができ、これらの改良や修飾も本出願の特許の請求保護範囲内に収まる。
【符号の説明】
【0115】
200 電池
210 コントローラー
220 モーター
201 第1筐体
202 第2筐体
300 電池モジュール
400 電池セル
40 筐体
30 電極ユニット
10 端蓋ユニット
10’ 端蓋板
20 接続部材
5 電極端子
301 タブ
6 除圧機構
2 注液部材
70 消防パイプライン
80 固定具
81 本体
82 接続部
821 ビアホール
822 第1凸部
823 第2凸部
824 収納孔
811 第1脆弱領域
812 バックル
814 補強筋構造
91 バス部材
92 セパレート部材
921 第2脆弱領域
922 第2凹槽
93 防護部材
931 第3脆弱領域
932 第3凹槽
500 電池の調製設備
501 電池セル取り付け装置
502 固定具取り付け装置
503 消防パイプライン取り付け装置
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子が設けられる電池セルと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインと、
前記消防パイプラインを固定するための固定具と、
を含み、
前記固定具は、前記電極端子と接続される、電池。
【請求項2】
前記固定具は、収納部を含み、前記収納部は、前記電極端子を収納するためのものであり、前記収納部は、前記電極端子に当接されることにより前記固定具の変位を制限する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記収納部は、開口を有することにより、前記電極端子の少なくとも一部が前記開口を介して露出するように構成される、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記固定具は、第1凸部をさらに含み、前記第1凸部は、前記収納部の外周を取り巻くように設けられ、前記第1凸部は、前記電池セルから離れる方向に沿って前記電極端子に凸出する、請求項2又は3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記電池の固定具は、前記固定具と前記電池セルとの間に設けられ、前記電池セルに弾性的に当接されることにより前記固定具と前記電池セルとの間に組み立て誤差が存在することを許容するようにする第2凸部をさらに含み、請求項1~のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記第2凸部は、前記固定具に設けられ、前記固定具の前記電池セルに近い表面に凸出する、請求項に記載の電池。
【請求項7】
前記固定具は、前記固定具を貫通する収納孔をさらに含み、前記第2凸部は、繋がる固定部と凸起部とを含み、前記固定部の一端は、前記凸起部と接続されるためのものであり、他端は、前記収納孔の一部の孔壁と接続されるためのものであり、前記凸起部と前記収納孔のその他の孔壁との間に、間隔を有し、前記凸起部は、前記固定具の前記電池セルに近い表面に凸出し、しかも、前記凸起部は、前記電池セルから離れる方向の力を受けたとき、前記固定部に基づいて前記電池セルから離れる方向に沿って折り曲げられることができる、請求項5又は6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2凸部は、複数あり、複数の前記第2凸部が分布する位置は、前記固定具が前記電池セルに当接されたときバランスよく力を受けるようにする、請求項5~7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記電池セルは、除圧機構をさらに含み、前記除圧機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になると作動して前記内部圧力を放出するためのものであり、
前記消防パイプラインは、前記除圧機構が作動すると前記電池セルへ前記消防媒体を排出するように配置され、
前記固定具は、第1脆弱領域を有し、前記第1脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると、前記消防媒体が前記第1脆弱領域を通じて前記電池セルへ流れるように配置される、請求項1~のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第1脆弱領域は、ビアホールに設けられ、あるいは、
前記第1脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると破壊されてビアホールを形成するように配置される、請求項に記載の電池。
【請求項11】
前記消防パイプラインの除圧機構への投影面積は、前記除圧機構の面積より小さい、請求項又は10に記載の電池。
【請求項12】
前記固定具は、バックルをさらに含み、前記バックルは、前記消防パイプラインを前記固定具に固定するためのものであり、前記バックルは、前記消防パイプラインの中軸線方向に沿った第1脆弱領域の両側に設けられる、請求項9~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記固定具は、前記消防パイプラインの少なくとも一部を収納するための第1凹槽をさらに含み、前記第1脆弱領域と前記バックルとは、いずれも前記第1凹槽内に設けられる、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記電池は、バス部材を取り付けるためのセパレート部材をさらに含み、前記バス部材は、前記電極端子と接続され、前記固定具は、前記セパレート部材と前記電池セルとの間に位置することにより前記固定具の変位が制限される、請求項9~13のいずれか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記セパレート部材は、前記除圧機構が作動すると前記電池セルからの放出物が前記第2脆弱領域を通じて前記消防パイプラインを破壊することができるための第2脆弱領域を含む、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記セパレート部材と接続されるための防護部材をさらに含み、
前記防護部材は、第3脆弱領域を含み、前記第3脆弱領域は、前記除圧機構が作動すると前記電池セルからの放出物が前記第3脆弱領域を通じて前記消防パイプラインを破壊することができるためのものである、請求項14~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギを提供するためのものである、電力利用装置。
【請求項18】
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるステップと、
固定具を取り付けるとともに前記固定具を前記電極端子と接続するステップと、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに前記消防パイプラインを前記固定具に固定するステップと、
を含む電池の調製方法。
【請求項19】
電極端子が設けられる電池セルを取り付けるための電池セル取り付け装置と、
固定具を取り付けるとともに前記固定具を前記電極端子と接続するための固定具取り付け装置と、
消防媒体を収納するための消防パイプラインを取り付けるとともに前記消防パイプラインを前記固定具に固定するための消防パイプライン取り付け装置と、
を含む電池の調製設備。
【国際調査報告】