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特表2023-542794電池、電気装置、電池の製造方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電池、電気装置、電池の製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231004BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231004BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231004BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20231004BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231004BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231004BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20231004BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20231004BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20231004BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20231004BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/342
H01M50/249
H01M50/284
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M50/204 401D
H01M50/507
H01M50/588
H01M50/591 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506541
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020121990
(87)【国際公開番号】W WO2022082387
(87)【国際公開日】2022-04-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】汪 文礼
(72)【発明者】
【氏名】胡 浪超
(72)【発明者】
【氏名】薛 城
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA07
5H012BB02
5H031AA09
5H031CC02
5H031KK04
5H031KK06
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS04
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040DD03
5H040DD26
5H043AA09
5H043BA11
5H043CA03
5H043CA04
5H043FA04
(57)【要約】
電池の安全性を高めることができる電池、電気装置、電池の製造方法および装置である。電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構を含む電池セルと、消防媒体を収容し、圧力解放機構の作動時に消防媒体を排出するための消防配管とを備える電池であって、消防配管は、ガスが消防配管に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層で被覆されている。本願の実施例に係る電池において、電池セルには圧力解放機構が設けられており、圧力解放機構が作動する場合、その排出物が消防配管を破壊し、消防配管内の消防媒体を流出させて電池セルへ流すことにより、電池セルに対して降温を行う。同時に、消防配管は、消防配管上に凝縮液が形成される確率を下げることに使用できる隔離層で被覆されているため、凝縮液による電池の影響を低減ないし防止し、電池の安全性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル(20)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記内圧を解放するための圧力解放機構(213)を含む電池セル(20)と、
消防媒体を収容し、前記圧力解放機構(213)の作動時に前記消防媒体を排出するための消防配管(30)と、
を備える電池(10)であって、
前記消防配管(30)は、ガスが前記消防配管(30)に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記電池は、複数の電池セル(20)の電気接続を実現するための母線ユニット(121)と、前記複数の電池セル(20)の電気エネルギーを出力するための母線接続ポート(122)を含む母線部材(12)と、をさらに備え、
前記消防配管(30)は、前記母線接続ポート(122)に対応する領域において絶縁層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池は、前記複数の電池セル(20)の状態を感知するための感知ユニット(151)と、感知回路(152)と、前記感知回路(152)を介して前記複数の電池セル(20)の状態信号を出力するための感知ポート(153)と、を含む感知部材(15)をさらに備え、
前記消防配管(30)は、前記感知ポート(153)に対応する領域において前記隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記母線接続ポート(122)と前記感知部材(15)の感知ポート(153)は、前記複数の電池セル(20)の同じ側に位置することを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記消防配管(30)は、互いに平行に設けられ、かつ前記複数の電池セル(20)の積層方向に沿って延在している複数の第1の部分(301)と、各第2の部分(302)が前記複数の第1の部分(301)における隣接する二つの第1の部分(301)の端部に接続される少なくとも一つの第2の部分(302)と、を含む電池であって、
前記複数の第1の部分(301)は、前記複数の電池セル(20)の複数の前記圧力解放機構(213)において前記複数の電池セル(20)内部から離れた側に設けられていることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記電池の感知部材(15)の感知ポート(153)は、前記複数の第1の部分(301)の端部の対応領域に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記母線部材(12)の母線接続ポート(122)は、前記電池の感知部材(15)の感知ポート(153)の側に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2の部分(302)の少なくとも一部の領域は、前記隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記隔離層(31)で被覆されている前記第2の部分(302)の領域の第1平面における正射影と、前記複数の電池セル(20)の前記第1平面における正射影とが互いに重なっておらず、前記第1平面は前記複数の電池セル(20)の高さ方向に垂直な平面であることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記消防配管(30)の消防媒体入口または消防媒体出口は、前記第1の部分(301)に接続され、前記第1の部分(301)と前記消防媒体入口または前記消防媒体出口との接続領域は、前記隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記第1の部分(301)は、前記隔離層(31)で被覆されておらず、前記複数の電池セル(20)を冷却するために用いられることを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記隔離層(31)は非吸収性材料であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記隔離層(31)は、気泡がいずれも密閉気泡となる独立気泡フォームであることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記隔離層(31)は、前記消防配管(30)と母線部材(12)との隔離に用いられることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記消防配管(30)と前記電池セル(20)との間に設けられる絶縁媒体層をさらに備えることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記隔離層(31)の厚さは1mmを超えていることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の電池(10)を備えることを特徴とする電気装置。
【請求項18】
前記電気装置は、車両、船舶または宇宙機である請求項17に記載の電気装置。
【請求項19】
電池セル(20)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構(213)を含む電池セル(20)を提供すること(310)と、
消防媒体を収容し、前記圧力解放機構(213)の作動時に前記消防媒体を排出するための消防配管(30)を提供すること(320)と、
を含む電池の製造方法(300)であって、
前記消防配管(30)は、ガスが前記消防配管(30)に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする電池の製造方法(300)。
【請求項20】
前記製造方法は、複数の電池セル(20)の電気接続を実現するための母線ユニット(121)と、前記複数の電池セル(20)の電気エネルギーを出力するための母線接続ポート(122)と、を含む母線部材(12)を提供することをさらに含み、
前記消防配管(30)は、前記母線接続ポート(122)に対応する領域において絶縁層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記製造方法は、前記複数の電池セル(20)の状態を感知するための感知ユニット(151)と、感知回路(152)と、前記感知回路(152)を介して前記複数の電池セル(20)の状態信号を出力するための感知ポート(153)と、を含む感知部材(15)を提供することをさらに含み、
前記消防配管(30)は、前記感知ポート(153)に対応する領域において前記隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記隔離層(31)で被覆されている前記消防配管(30)の領域の第1平面における正射影と、前記複数の電池セル(20)の前記第1平面における正射影とが互いに重なっておらず、前記第1平面は複数の前記電池セル(20)の高さ方向に垂直な平面であることを特徴とする請求項19~21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記隔離層(31)は非吸収性材料であることを特徴とする請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
電池セル(20)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構(213)を含む電池セル(20)の提供と、
消防媒体を収容し、前記圧力解放機構(213)の作動時に前記消防媒体を排出するための消防配管(30)の提供と、に用いられる提供モジュール(410)を含む電池の製造装置(400)であって、
前記消防配管(30)は、ガスが前記消防配管(30)に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層(31)で被覆されていることを特徴とする電池の製造装置(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、電池分野に関し、より具体的には電池、電気装置、電池の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー・排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。このような状況において、電気自動車は、省エネルギーで環境に優しいという利点から、自動車産業の持続可能な発展にとって重要な構成部分となっている。電気自動車からすれば、電池技術もまたその発展につながる重要な要素である。
【0003】
電池技術の開発において、電池の性能向上以外、安全性問題も無視できない課題である。電池の安全性が保証されていないなら、その電池は使用できない。そのため、電池の安全性をいかに高めるかは、電池技術において緊急に解決すべき技術課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、電池の安全性を高めることができる電池、電気装置、電池の製造方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに作動して該内圧を解放するための圧力解放機構を含む電池セルと、消防媒体を収容し、該圧力解放機構の作動時に該消防媒体を排出するための消防配管とを備える電池であって、該消防配管は、ガスが該消防配管に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層で被覆されている。
【0006】
本願の実施例に係る電池は、一つまたは複数の電池セルを含んでもよい。該電池セルには、電池セルの内部の温度または圧力が閾値に達したときに作動して内圧を解放できる圧力解放機構が設けられ、圧力解放機構に対応する上方には、消防配管が設けられ、圧力解放機構が作動する場合、圧力解放機構によって排出される排出物が消防配管を破壊し、消防配管内に収容されている消防媒体を流出させて電池セルへ流すことにより、電池セルに対して降温を行うことができる。同時に、該消防配管は、消防配管上に凝縮液が形成される確率を下げることに用いられることができる隔離層で被覆されているため、凝縮液による電池の影響を低減ないし防止し、電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例では、該電池は、複数の電池セルの電気接続を実現するための母線ユニットと、該複数の電池セルの電気エネルギーを出力するための母線接続ポートとを含む母線部材をさらに備え、該消防配管は、該母線接続ポートに対応する領域において該絶縁層で被覆されている。
【0008】
本願の実施例では、母線接続ポートに対応する消防配管の領域を隔離層で被覆することにより、凝縮液が母線接続ポートに対応する領域において形成される確率を下げ、該凝縮液による母線接続ポートの電気的性能の影響を低減ないし防止する。また、隔離層は、消防配管と、母線接続ポートに接続される電気接続部材とのスプライス接続による短絡・発火問題を防止し、電池の安全性を高めるためにも使用できる。
【0009】
いくつかの実施例では、該電池は、該複数の電池セルの状態を感知するための感知ユニットと、伝送回路と、該伝送回路を介して該複数の電池セルの状態信号を出力するための感知ポートとを含む感知部材をさらに備え、該消防配管は、該感知ポートに対応する領域において該隔離層で被覆されている。
【0010】
本願の実施例では、感知ポートに対応する消防配管の領域を隔離層で被覆することにより、凝縮液が感知ポートに対応する領域において形成される確率を下げ、凝縮液による感知ポートの電気的性能の影響を低減ないし防止し、電池の安全性を高める。
【0011】
いくつかの実施例では、該母線接続ポートと該感知部材の感知ポートは、該複数の電池セルの同じ側に位置している。
【0012】
本願の実施例では、該母線接続ポートに対応する消防配管の領域と、該感知ポートに対応する消防配管の領域と同じまたは近い領域であってもよい。したがって、母線接続ポートに対応する消防配管の領域と、該感知ポートに対応する消防配管の領域とが異なる場合に比べて、本願の実施例の発明を採用する場合、消防配管の複数の異なる領域を隔離層で被覆する必要がなく、一つの領域だけ隔離層で被覆すれば、凝縮液による母線接続ポートおよび感知ポートの影響を低減ないし防止でき、電池の安全性を確保する前提で、隔離層の使用量を減少でき、コスト削減と同時に、消防配管による冷却・降温効果をより高めることもできる。
【0013】
いくつかの実施例では、該消防配管は、互いに平行に設けられ、かつ該複数の電池セルの積層方向に沿って延在している複数の第1の部分と、各第2の部分が該複数の第1の部分の隣接する二つの第1の部分の端部に接続される少なくとも一つの第2の部分とを含み、該複数の第1の部分は、該複数の電池セルの該複数の圧力解放機構において該複数の電池セル内部から離れた側に設けられている。
【0014】
いくつかの実施例では、該電池の感知部材の感知ポートは、該複数の第1の部分の端部の対応領域に設けられている。
【0015】
いくつかの実施例では、該母線部材の母線接続ポートは該電池の感知部材の感知ポートの側に設けられている。
【0016】
いくつかの実施例では、該第2の部分の少なくとも一部の領域は、該隔離層で被覆されている。
【0017】
本願の実施例では、第1の部分の端部に接続される第2の部分の少なくとも一部の領域はいずれも隔離層で被覆されており、第2の部分において形成される凝縮液による伝送インターフェースおよび/または母線接続ポートの影響を低減ないし防止する。
【0018】
いくつかの実施例では、該隔離層で被覆されている該第2の部分の領域の第1平面における正射影と、該複数の電池セルの該第1平面における正射影とが互いに重なっておらず、該第1平面は該複数の電池セルの高さ方向に垂直な平面である。
【0019】
本願の実施例では、消防配管を複数の電池セルの上方に密に設けることが可能であり、消防配管と複数の電池セルとの距離を縮めることにより、複数の電池セルに対する消防配管の降温・冷却効果を高める。
【0020】
いくつかの実施例では、消防配管の消防媒体入口または消防媒体出口は、該第1の部分に接続され、該第1の部分と該消防媒体入口または該消防媒体出口の接続領域は、該隔離層で被覆されている。
【0021】
本願の実施例では、第1の部分の端部に接続される消防媒体入口または消防媒体出口は隔離層で被覆され、消防媒体入口または消防媒体出口上に形成される凝縮液による伝送インターフェースおよび/または母線接続ポートの影響を低減ないし防止する。
【0022】
いくつかの実施例では、該第1の部分は該隔離層で被覆されておらず、該複数の電池セルを冷却するために用いられる。
【0023】
本願の実施例では、第1の部分は隔離層で被覆されておらず、その隔離層未被覆の第1の部分は、電池セルに対する冷却・降温のために使用できる。
【0024】
いくつかの実施例では、該隔離層は、非吸収性材料である。
【0025】
本願の実施例では、消防配管における消防媒体が消防液である場合、該隔離層は非吸収性材料である。消防配管が消防液を排出した後、隔離層が該消防液を吸収して冷却・降温効果に影響を及ぼすことを防止するとともに、隔離層に液体が混入する確率を減らし、液体による電池セルや電池内の他の電気的構造の影響を低減する。
【0026】
いくつかの実施例では、該隔離層は、気泡がいずれも密閉気泡となる独立気泡フォームである。
【0027】
本願の実施例では、隔離層は、気泡がいずれも密閉気泡となる独立気泡フォームであり、良好な耐衝撃性、反発弾性、柔軟性、断熱性、耐水性、防水性などの利点を有し、消防配管への被覆が容易である。
【0028】
いくつかの実施例では、該隔離層は、該消防配管と該母線部材との隔離に用いられる。
【0029】
いくつかの実施例では、電池は該消防配管と該電池セルとの間に設けられる絶縁媒体層をさらに備える。
【0030】
いくつかの実施例では、該隔離層の厚さは1mmを超えている。
【0031】
本願の実施例では、良好な断熱保温性能を確保するために、隔離層の厚さは1mmを超えている。また、隔離層が1mmを超える厚さを有する独立気泡フォームであれば、消防配管が衝撃を受けて電池内の他の部品と衝突したときに、クッションの役割を果たすことができる。
【0032】
第2の態様では、第1の態様または第1の態様の何れか一つの実施例に記載の電池を備える電気装置を提供する。
【0033】
いくつかの実施例では、該電気装置は車両、船舶または宇宙機である。
【0034】
第3の態様では、電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構を含む電池セルを提供することと、消防媒体を収容し、該圧力解放機構の作動時に該消防媒体を排出するための消防配管を提供することとを含む電池の製造方法であって、該消防配管は、ガスが消防配管に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層で被覆されている電池の製造方法を提供する。
【0035】
いくつかの実施例では、該方法は、複数の電池セルの電気接続を実現するための母線ユニットと、該複数の電池セルの電気エネルギーを出力するための母線接続ポートとを含む母線部材を提供することをさらに含み、該消防配管は、該母線接続ポートに対応する領域において該絶縁層で被覆されている。
【0036】
いくつかの実施例では、該方法は、該複数の電池セルの状態を感知するための感知ユニットと、伝送回路と、該伝送回路を介して該複数の電池セルの状態信号を出力するための感知ポートとを含む感知部材を提供することをさらに含み、該消防配管は、該感知ポートに対応する領域において該隔離層で被覆されている。
【0037】
いくつかの実施例では、該隔離層で被覆されている該消防配管の領域の第1平面における正射影と、該複数の電池セルの該第1平面における正射影とが互いに重なっておらず、該第1平面は該複数の電池セルの高さ方向に垂直な平面である。
【0038】
いくつかの実施例では、該隔離層は非吸収性材料である。
【0039】
第4の態様では、上述の第3の態様の方法を実行するためのモジュールを備える電池の製造装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
ここで説明される図面は本願をさらに理解するためのものであり、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例およびその説明は本願を解釈するためのものであり、本願を不当に制限するものではない。
【0041】
図面においては、
図1】本願の一実施例に係る車両の概略図である。
図2】本願の一実施例に係る電池の構造概略図である。
図3】本願の一実施例に係る電池モジュールの構造概略図である。
図4】本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
図5】本願の一実施例に係る電池の概略分解図である。
図6】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
図7】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
図8】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
図9】本願の別の実施例に係る消防配管の構造概略図である。
図10図9の消防配管の概略平面図である。
図11】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
図12図11の消防配管の概略平面図である。
図13】本願の別の実施例に係る電池の概略分解図である。
図14】本願の一実施例に係る電池を部分拡大した構造概略図である。
図15】本願の別の実施例に係る電池を部分拡大した構造概略図である。
図16】本願の一実施例に係る電池の概略平面図である。
図17】本願の一実施例に係る電池の製造方法のフロチャートである。
図18】本願の一実施例に係る電池の製造装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本願の実施例の目的、発明および利点をより明確化するために、以下は本願の実施例に係る図面を参照し、本願の実施例の発明を明確に説明する。無論、記載された実施例は本願のいくつかの実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な努力をせずに得られる全ての他の実施例はいずれも本願の範囲に属する。
【0043】
特に定義しない限り、本願で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本願に係る当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語は、具体的には実施例を説明するためだけであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲および上記図面の簡単な説明における「含む」や「有する」という用語、並びにそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図するものである。本願の明細書、特許請求の範囲および上記図面における技術用語の「第1」「第2」などは、単に異なる対象を区別するために使用され、特定の順序、または主従関係を記載するものとして理解されるべきではない。
【0044】
本明細書で言う「実施例」は、実施例に記載の特定の特徴、構造または特性を組み合わせたものが本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各箇所に現れるこの用語は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と互いに排他的で独立または代替の実施例を意味するものでもない。当業者は、本願に記載された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的にも暗黙的にも理解できる。
【0045】
本願の実施例の説明において、特に明記・限定しない限り、技術用語の「装着」、「つながる」、「接続」、「取り付け」などは、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体化でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよく、両素子の内部的な連通であってもよい。当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願におけるこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0046】
本願の「および/または」という用語は、関連する対象の関連関係を説明するものに過ぎず、3つの関係があり得ることを意味する。「Aおよび/またはB」を例にすると、単にA、AとBの両方、単にBという3つの場合があり得る。また、本文中の「/」は、一般的に前後の関連対象が「または」という関係を有すると示す。
【0047】
本願の実施例では、同じ図面符号は同じ部品を示し、かつ簡略化するために、異なる実施例では、同じ部品に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示す本願の実施例における各種部材の厚さ、縦横などの寸法、および、集積装置の全体の厚さ、縦横などの寸法は、例示的なものであり、本願を何ら限定するものではないと理解すべきである。
【0048】
本願の「複数」という用語は2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を意味し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0049】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池などが含まれてもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。電池セルは、円筒形、平板形、直方体形または他の形状などであってもよく、本願の実施例ではそれに対する限定もない。電池セルは、パッケージの仕方によって、一般的に円筒型セル、角型セル、パウチ型セルの3種類に大別されるが、本願の実施例ではそれに対する限定もない。
【0050】
本願の実施例で言及する電池は、より高い電圧と容量を提供するための1つまたは複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本願で言う電池は、電池モジュールまたは電池パックを含んでもよい。電池は通常、1つまたは複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含んでいる。筐体は、液体やその他の異物による電池セルの充放電の影響を防止できる。
【0051】
電池セルは、正極シート、負極シートおよびセパレータからなる電極アセンブリと電解液とを含む。電池セルは、主に正極シートと負極シートの間での金属イオンの移動によって作動する。正極シートは、正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布されている集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとしている。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活性材料はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム、マンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極ラグとしている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活性材料はカーボンやシリコンなどであってもよい。溶断することなく大電流が通れるように、正極ラグは複数個で積層してなり、負極ラグは複数個で積層してなる。セパレータの材質は、PP、PEなどであってもよい。また、電極アセンブリは捲回型構造でも積層型構造でもよく、本願の実施例はこれに限定されない。電池技術の発展は、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータ、さらに電池の安全性など、さまざまな設計要素を考慮する必要がある。
【0052】
電池セルの場合、主な安全上のリスクは、充電・放電の過程に起因し、同時に適切な周囲温度の設計も考えられる。不必要な損傷を効果的に回避するために、一般的に電池セルには少なくとも3つの保護対策が施されている。具体的には、保護対策として、少なくともスイッチング素子、適切なセパレータ材料の選択、および圧力解放機構が挙げられる。スイッチング素子とは、電池セル内の温度や抵抗値が一定の閾値に達すると、電池の充電や放電を停止させる素子である。セパレータは、正極シートと負極シートとの隔離に用いられ、温度が一定の値まで上昇すると、それに付着ているミクロンレベル(あるいはナノレベル)の微細孔を自動的に溶かすことにより、金属イオンがセパレータを通過できなくなり、電池セルの内部反応を終了させることができる。
【0053】
圧力解放機構とは、電池セルの内圧または温度が所定の閾値に達したときに作動して内圧または温度を解放する素子や部材を指す。該閾値の設計は、設計ニーズによって異なる。前記閾値は、電池セル内の正極シート、負極シート、電解液およびセパレータのうちの1つまたは複数の材料によって決められる。圧力解放機構は、例えば防爆弁、ガス弁、圧力解放弁または安全弁などの形を採用してもよく、具体的には感圧や感温性の素子や構造を採用可能である。つまり、電池セルの内圧または温度が所定の閾値に達した時に、圧力解放機構が作動し、または圧力解放機構に設けられている弱い構造が破壊され、それにより内圧または温度を解放するための開口または通路を形成する。
【0054】
本願で言う「作動」とは、圧力解放機構が動作を行い、または一定の状態まで活性化されて、電池セルの内圧や温度を解放させることを意味する。圧力解放機構による動作は、圧力解放機構の少なくとも一部が破損、粉砕、破断、開放されたなどの場合を含み得るが、これらに限定されない。圧力解放機構が作動する場合、電池セルの内部の高温高圧物質は、作動した箇所から排出物として外部に排出される。このように、制御可能な圧力または温度で、電池セルの圧力を解放することにより、潜在しているより重大な事故を回避することができる。
【0055】
本願で言う電池セルからの排出物は、電解液、溶解または分解された正極・負極シート、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、火炎などが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
電池セルの圧力解放機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡や過充電などが発生した場合、電池セル内に生じた熱暴走で圧力や温度が上昇する可能性がある。この場合、圧力解放機構の作動によって内圧および温度を外に解放できるため、電池セルの爆発や発火を防止できる。
【0057】
現在の圧力解放機構の設計ソリューションは、主に電池セル内部の高圧および熱を解放すること、つまり前記排出物を電池セルの外に排出することに注目している。高温高圧の排出物は、電池セルの圧力解放機構が設けられている方向、より具体的には圧力解放機構が作動している領域の方向に向けて排出されるため、そのような排出物は、その方向の一つまたは複数の構造を突破して安全性問題を引き起こすほど強力で破壊的である可能性がある。また、電池セル内部で熱暴走が生じた後も、高圧や高熱が発生し続け、持続的な安全上の懸念を招く可能性がある。
【0058】
上記課題に対し、電池の筐体に消防システムを設け、消防システムの消防配管を、電池セルの圧力解放機構が設けられた壁の上方に設けることが考えられる。圧力解放機構が作動すると、消防配管が消防媒体を排出するので、圧力解放機構から排出される排出物に対して降温を行って排出物の危険性を低減することができる。消防媒体は、作動した後の圧力解放機構を介して電池セルにさらに流入できるので、電池セルに対して更なる降温を行い、電池の安全性を向上させる。例えば、圧力解放機構の作動時に電池セルから排出される排出物を利用して該消防配管を破壊し、消防媒体を消防配管から排出させることができる。
【0059】
本願の実施例における消防配管は、消防媒体を収容するために用いられる。ここでの消防媒体は流体であってもよく、該流体は液体または気体であってもよい。圧力解放機構が該消防配管を破壊していない場合、該消防配管に何らかの物質が含まれていなくてもよいが、圧力解放機構が作動した場合、消防配管に消防媒体を収容させるようにし、例えば、消防配管への消防媒体の移動をスイッチ弁によって制御してもよい。あるいは、圧力解放機構が破壊されていない場合、該消防配管に消防媒体が終始含まれていることも可能であり、該消防媒体は電池セルの温度調節にも使用できる。温度調節は複数の電池セルを加熱または冷却することを指す。電池セルに対して冷却または降温を行う場合、該消防配管は複数の電池セルの温度を下げるための冷却流体を収容することに用いられる。この場合、消防配管は冷却部材、冷却システムまたは冷却管などとも呼ばれ、その収容される消防媒体は、冷却媒体または冷却流体とも呼ばれ、より具体的には、冷却液または冷却ガスとも呼ばれる。選択的には、より良い温度調節効果に達成するために、前記消防媒体は循環流動するものでもよい。選択的には、消防媒体は、水、水とエチレングリコールの混合液、空気などであってもよい。
【0060】
高温多湿の環境に電池を置くと、電池筐体内に凝縮液が発生しやすく、安全上の懸念を招き、電池の安全性に影響を及ぼしてしまう。具体的には、電池内の高温多湿のガスが温度の低い部材、例えば、電池筐体内の消防配管に接触すると、凝縮液を形成する。該凝縮液が電池内の電気接続領域に滴下すると、電池の安全性に影響を及ぼす可能性がある。
【0061】
これに鑑みて、本願は、温度が低い電池内の部材、例えば消防配管に対して隔離層で被覆し、ガスと消防配管を隔離することにより、消防配管上に凝縮液を形成する確率を下げ、凝縮液による電池内の電気接続領域や他の電気領域の影響を低減ないし防止し、電池の安全性を向上させることができる発明を提供する。
【0062】
電池の筐体には、上述した電池セルおよび消防配管の他に、熱管理部材、母線部材や電池の他の部品が含まれてもよい。いくつかの実施例では、筐体には、電池セルを固定するための構造が設けられてもよい。筐体の形状は、収容される複数の電池セルによって決められる。いくつかの実施例では、筐体は六つの壁を持つ方形であってもよい。
【0063】
熱管理部材は、複数の電池セルの温度を調節するように流体を収容するために用いられる。ここで、流体は液体でも気体でもよく、温度調節は複数の電池セルを加熱または冷却することを指す。電池セルに対して冷却または降温を行う場合、該熱管理部材は複数の電池セルの温度を下げるように冷却流体を収容することに用いられる。この場合、熱管理部材は冷却部材、冷却システムまたは冷却シートなどとも呼ばれ、その収容される消防媒体は、冷却媒体または冷却流体とも呼ばれ、より具体的には、冷却液または冷却ガスとも呼ばれる。また、熱管理部材は加熱して複数の電池セルを加温することに用いられてもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。選択的には、より良い温度調節効果に達成するために、前記消防媒体は循環流動するものでもよい。選択的には、消防媒体は、水、水とエチレングリコールの混合液、空気などであってもよい。
【0064】
母線部材は複数の電池セル同士の電気接続、例えば並列接続/直列接続/直並列接続のために用いられる。母線部材は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セル同士の電気接続を可能にする。いくつかの実施例では、母線部材は、溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。「高圧キャビティ」に対応して、母線部材によって形成される電気接続は、「高圧接続」とも呼ばれる。
【0065】
母線部材のほか、電池内には、電池セルの状態を感知するための感知部材がさらに設けられてもよい。本願の実施例では、電池内の電気接続は、母線部材によって形成される電気接続および/または感知部材における電気接続を含んでもよい。
【0066】
電池の筐体には、筐体内外の圧力を平衡させるための圧力平衡機構がさらに設けられてもよい。例えば、筐体内の圧力が筐体外より高い場合、筐体内部のガスは圧力平衡機構を介して筐体外に流れることができる。筐体内の圧力が筐体外より低い場合、筐体外部のガスは圧力平衡機構を介して筐体内部に流れることができる。
【0067】
上述した電池筐体における個々の部品は、本願の実施例を限定するものとして理解されるべきではなく、言い換えれば、本願の実施例の電池筐体は、上述した部品を含んでもよく、上述した部品を含まなくてもよいことが理解されるべきである。
【0068】
本願の実施例に記載の発明はいずれも、電池を使用する各種の装置、例えば、携帯電話、携帯式装置、ノートパソコン、電気自転車、電動玩具、電動工具、電気自動車、船舶、宇宙機に適用可能であり、宇宙船として、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙船などが挙げられる。
【0069】
なお、本願の実施例に記載の発明は、上述した装置に適用されるだけではなく、電池を使用する全ての装置にも適用可能であると理解すべきであるが、説明を簡略化するために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0070】
例えば、図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造概略図を示している。車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ50、コントローラ50、および電池10が設けられていてもよく、コントローラ30は、モータ50への電池10の給電を制御するために用いられる。例えば、車両1の底部や前部や後部に、車両1に給電するための電池10を設けてもよい。例として、電池10を車両1の動作電源として、車両1の回路システムに適用し、例えば車両1の始動時、ナビゲーション時、走行時の作業用電力のニーズに応じて使用することができる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として機能するだけではなく、車両1の駆動用電源としても機能し、ガソリンや天然ガスの代替又は部分的な代替として、車両1に駆動力を提供することが可能である。
【0071】
異なる電力ニーズに応えるため、電池は複数のセルを含んでもよい。複数の電池セル同士は、並列接続/直列接続/直並列接続が可能であり、直並列接続とは並列接続と直列接続の混合を指す。電池は電池パックとも呼ばれる。選択的には、複数の電池セルは、並列接続/直列接続/直並列接続して電池モジュールを形成してから、複数の電池モジュールが並列接続/直列接続/直並列接続して電池を形成してもよい。つまり、複数の電池セルが電池を直接形成することもできれば、電池モジュールを形成してから、電池モジュールで電池を形成することもできる。
【0072】
図2に示すように、筐体は二つの部分を含んでもよいが、ここではそれぞれ第1の部分の筐体111と第2の部分の筐体112と言い、第1の部分の筐体111と第2の部分の筐体112が嵌合されている。第1の部分の筐体111と第2の部分の筐体112の形状は複数の電池セル20の組み合せてなる形状によって決められる。第1の部分の筐体111および第2の部分の筐体112の両方とも一つの開口を有してもよい。例えば、第1の部分の筐体111および第2の部分の筐体112の両方とも、それぞれ1つの開口面のみを有する中空の直方体であってもよく、第1の部分の筐体111の開口と第2の部分の筐体112の開口は対向して設けられ、かつ第1の部分の筐体111と第2の部分の筐体112が互いに篏合されて密閉キャビティを有する筐体を形成している。複数の電池セル20は、互いに並列接続/直列接続/直並列接続して組み合わせた後に、第1の部分の筐体111と第2の部分の筐体112が篏合されてなる筐体内に設けられている。
【0073】
選択的には、電池10は他の構造を含んでもよいが、ここでは省略する。例として、該電池10は、複数の電池セル20同士の電気接続、例えば並列接続/直列接続/直並列接続を実現するための母線部材をさらに含んでもよい。具体的には、母線部材は、電池セル20に接続する電極端子を介して電池セル20同士の電気接続を実現できる。さらに、母線部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定されることができる。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構を介して筐体から引出されてもよい。選択的には、導電機構は母線部材に属してもよい。
【0074】
異なる電力ニーズに応じて、電池セル20の数は任意の数値に設置してもよい。大容量化、高出力化を実現するために、複数の電池セル20は、直列接続/並列接続/直並列接続の形態で接続することが可能である。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い場合があるため、装着の便宜上、電池セル20をグループ化し、各組の電池セル20で電池モジュールを形成してもよい。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は制限がなく、必要に応じて設置できる。例えば、図3は電池モジュールの一例を示すものである。電池は、複数の電池モジュールを含んでもよい。これらの電池モジュールは、直列接続/並列接続/直並列接続の形態で接続することが可能である。図3には、x方向は、電池モジュールの幅方向、y方向は電池モジュールの長さ方向、z方向は電池モジュールの高さ方向である。
【0075】
図4は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造概略図を示している。電池セル20は一つまたは複数の電極アセンブリ22、ケース211および蓋板212を含む。図4に示す座標系は図3と同じである。ケース211および蓋板212がハウジングまたは電池パック21を形成する。ケース211の壁および蓋板212はともに電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、一つまたは複数の電極アセンブリ22を組み合わせてなる形状によって決められる。例えば、ケース211は、中空の直方体または正方体または円筒体であってもよく、かつケース211のうちの一つの面は、一つまたは複数の電極アセンブリ22がケース211内に配置できるような開口を有する。例えば、ケース211が中空の直方体または正方体である場合、ケース211のうちの一つの平面は開口面であり、つまり該平面は壁体を有しないため、ケース211が内外に貫通している。ケース211が中空の円筒体である場合、ケース211の端面は開口面であり、つまり該端面が壁体を有しないため、ケース211が内外に貫通している。蓋板212は、開口を被覆しながらケース211に接続されることで、電極アセンブリ22を置くための密閉キャビティを形成する。ケース211内には電解質、例えば電解液が充填されている。
【0076】
該電池セル20は、二つの電極端子214をさらに含んでもよい。二つの電極端子214は蓋板212に設けられてもよい。蓋板212は通常、平板形状であり、二つの電極端子214は蓋板212の平板面に固定され、二つの電極端子214はそれぞれ正極端子214aと負極端子214bである。各々の電極端子214には、蓋板212と電極アセンブリ22の間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214とを電気接続するための一つの接続部材23または集電体23とも呼ばれる部材が対応して設けられている。
【0077】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221aおよび第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aが負極タブである。一つまたは複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは一つの接続部材23を介して一つの電極端子に接続され、一つまたは複数の電極アセンブリ22の第2タブ212aは、別の接続部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aが一つの接続部材23を介して正極タブに接続される場合、負極端子214bは別の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0078】
該電池セル20は、実際の使用ニーズに応じて、電極アセンブリ22が一つまたは複数に設けられてもよい。図4に示すように、電池セル20内には、4つの独立した電極アセンブリ22が設けられている。
【0079】
電池セル20には、電池セル20の内圧または温度が閾値に達したときに、内圧または温度を解放するための圧力解放機構213がさらに設けられてもよい。圧力解放機構213は可能な各種の圧力解放構造であってもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。例えば、圧力解放機構213は感温式圧力解放機構であってもよく、感温式圧力解放機構は、圧力解放機構213が設けられている電池セル20の内部温度が閾値に達すると溶融できるように設けられ、および/または、圧力解放機構213は感圧式圧力解放機構であってもよく、感圧式圧力解放機構は、圧力解放機構213が設けられている電池セル20の内部の気圧が閾値に達すると破裂できるように設けられる。
【0080】
図5は、本願の実施例の電池10の概略分解図を示している。図5に示すように、該電池10は、電池セル20と消防配管30を備えてもよい。電池セル20は、該電池セル20の内圧または温度が閾値に達したときに作動して該内圧を解放するための圧力解放機構213を含む。
【0081】
一例として、電池10は少なくとも一つの電池セル20を含んでもよい。例えば、図5の場合、2×9個の電池セル20を含む電池10を例として挙げられている。任意の一つ電池セル20について、該電池セル20は前記圧力解放機構213を含んでもよい。
【0082】
選択的には、該圧力解放機構213は電池セル20の任意の位置に設けられてもよい。電池セル20が図5に示す直方体である場合、圧力解放機構213は該直方体の任意の壁に設けられてもよい。例えば、圧力解放機構213は図5における各電池セル20の最上方の壁に設けられてもよく、つまり圧力解放機構213と電池セル20の電極端子は同じ壁に設けられてもよい。
【0083】
消防配管30は、消防媒体を収容し、圧力解放機構213が作動した際に消防媒体を排出するために用いられる。消防配管30は、ガスが消防配管30に接触して凝縮液を生成することを遮断するための隔離層31で被覆されている。
【0084】
具体的には、圧力解放機構213が作動する場合、消防配管30は消防媒体を排出することにより、圧力解放機構213から排出される排出物に対して降温を行い、排出物の危険性を低減することができる。消防媒体は、作動した後の圧力解放機構213を介してさらに電池セル20内部に流入可能であるため、電池セル20に対してさらに降温を行い、電池の安全性を高めることができる。選択的には、該消防媒体は冷却媒体または冷却流体とも呼ばれ、より具体的には、冷却液または冷却ガスとも呼ばれる。また、選択的には、より良い温度調節効果に達成するために、該消防媒体は循環流動するものであってもよい。一部の実施形態では、消防媒体は、水、水とエチレングリコールの混合液、空気などであってもよい。
【0085】
選択的には、本願の実施例では、消防配管30は実際の用途に応じて任意の形状に設定してもよい。例えば、消防配管30の断面の形状について、実際の用途に応じて任意の形状に設定してもよい。スペースの利用率や施工性を考慮して、消防配管30を、図5に示すような扁平状配管にしてもよく、あるいは、円筒管など他の形状にしてもよい。なお、説明の便宜上、本願の実施例では、図5に示す形状を例として説明する。
【0086】
さらに、図5に示すように、前記消防配管30は、ガスが消防配管30に接触して凝縮液を生成することを遮断するための隔離層31で被覆されているので、該凝縮液による電池10内の電池セル20、電気接続領域および他の電気構造の影響を低減する。
【0087】
したがって、本願の実施例の電池10は、一つまたは複数の電池セル20を含んでもよい。該電池セル20には、電池セル20の内部の温度または圧力が閾値に達したときに作動して内圧を解放できる圧力解放機構213が設けられ、圧力解放機構213に対応する上方には、消防配管30が設けられ、圧力解放機構213が作動する場合、消防配管30内に収容されている消防媒体を流出させて電池セル20へ流すことにより、電池セル20に対して降温を行うことができる。同時に、該消防配管30は、該消防配管30上に凝縮液が形成される確率を下げることに使用できる隔離層31で被覆されているため、凝縮液による電池の影響を低減し、電池10の安全性を向上させる。
【0088】
選択的には、隔離層31はガスと消防配管30との遮断に使用できるほか、該隔離層31の材料は保温断熱材料であってもよい。その熱伝導率が小さく、周囲温度および消防配管30の温度による影響が小さく、かつ高温多湿のガスが隔離層31の表面に凝縮液を形成することも容易ではない。
【0089】
一部の実施形態では、消防配管30における消防媒体が消防液である場合、該隔離層31は非吸収性材料であってもよい。消防配管30が消防液を排出した後、隔離層31が該消防液を吸収して冷却・降温効果に影響を及ぼすことを防止するとともに、隔離層31に液体が混入する確率を減らし、液体による電池セル20や電池10内の他の電気的構造の影響を低減する。
【0090】
一例として、前記隔離層31は、気泡がいずれも密閉気泡となる独立気泡フォームであってもよく、良好な耐衝撃性、反発弾性、柔軟性、断熱性、耐水性、防水性などの利点を有し、消防配管30への被覆が容易である。
【0091】
一例として、良好な断熱保温性能を確保するために、隔離層31の厚さは1mmを超えてもよい。また、隔離層が1mmを超える厚さを有する独立気泡フォームであれば、消防配管が衝撃を受けて電池内の他の部品と衝突したときに、クッションの役割を果たすことができる。
【0092】
隔離層31は独立気泡発泡フォームの他に、保温性、非吸収性などの特性を有する他の隔離材料であってもよく、その厚さも実際のニーズに応じて設計してもよいと理解できる。本願の実施例では、隔離層31の具体的な種類および厚さに対する限定がない。
【0093】
図6は、本願の実施例に係る別の種類の電池10の構造概念図を示している。
【0094】
図6に示すように、本願の実施例では、電池10は、母線ユニット121および母線接続ポート122を含む母線部材12をさらに備える。
【0095】
具体的には、母線部材12は、複数の母線ユニット121を含み、該複数の母線ユニット121は電池10内の複数の電池セル20の電気接続を実現するためであり、かつ複数の母線ユニット121における各母線ユニット121は隣接する電池セル20の電気接続を実現するために用いられる。具体的には、各母線ユニット121は隣接する電池セル20の電極端子を接続することによって電池セル20の電気接続を実現する。
【0096】
また、母線部材12は、電池10における複数の電池セル20の電気エネルギーを出力するための複数の母線接続ポート122をさらに備える。
【0097】
なお、本願の実施例では、該複数の母線接続ポート122は少なくとも1組の母線接続ポート122であり、各組の母線接続ポート122は一つの正極接続ポートおよび一つの負極接続ポートを含み、電池10における1組の電池セル20の電気エネルギーを出力するために用いられる。説明の便宜上、該1組の母線接続ポート122に対応する1組の電池セル20は、一つの電池セル群と呼ばれてもよい。電池10は、一つまたは者複数の電池セル群を含んでもよく、つまり対応的に、1組または複数組の母線接続ポート122を含む。電池10が複数の電池セル群を含む場合、複数組の母線接続ポート122は電気接続部材を介して互いに接続され、電池10の電気エネルギー出力ポートを形成することに用いられる。
【0098】
一例として、図6に示すように、一つの実施形態では、該電池10は二つの母線接続ポート122、つまり1組の母線接続ポート122を含み、電池10における複数の電池セル20は一つの電池セル群である。該二つの母線接続ポート122は一つの電池セル群の同じ側に位置してもよい。さらに、該組母線接続ポート122には、正極接続ポートと負極接続ポートは隣接して設けられてもよく、該一つの電池セル群の電気エネルギーを出力するために用いられる。
【0099】
本願の実施例では、消防配管30内の前記母線接続ポートに対応する領域を隔離層31で被覆することにより、凝縮液が母線接続ポート122に対応する領域において形成される確率を下げ、凝縮液による母線接続ポート122の電気的性能の影響を低減ないし防止する。また、隔離層31は、消防配管30と、母線接続ポート122に接続される電気接続部材とのスプライス接続による短絡・発火問題を防止し、電池10の安全性をさらに高めるためにも使用できる。
【0100】
前記母線接続ポート122は電池10における複数の電池セル20の電気エネルギーを出力することに用いられるため、母線接続ポート122に凝縮液が形成されると、母線接続ポート122の電気エネルギーの伝送に影響を与える一方、凝縮液が金属材質の母線接続ポート122および母線接続ポート122間の電気接続部材にも腐食を与えやすく、母線接続ポート122の電気的性能にさらに影響を及ぼすと理解できる。
【0101】
また、凝縮液が二つの母線接続ポート122の間に形成され、かつ該二つの母線接続ポート122の間の電位差が大きい場合、凝縮液は二つの母線接続ポート122の間の短絡を引き起こした結果、複数の電池セル20に大電流が発生し、同時に大量の熱が発生することが、電池セル20の損傷ないし爆発につながり、安全事故を引き起こしてしまう。
【0102】
一例として、本願の実施例では、電池セル20において、圧力解放機構213および電極端子214はいずれも電池セル20の第1壁に位置する。複数の電池セル20の第1壁は同じ平面に位置すると理解できる。説明の便宜上、以下は複数の電池セル20の第1壁が位置する面を複数の電池セル20の第1の面と呼ぶ。
【0103】
選択的には、図6の母線部材12が複数の電池セル20に取り付けられる場合、母線部材12において、複数の電池セル20の電極端子を接続するための母線ユニット121は、前記第1の面に設けられてもよく、さらに、母線接続ポート122は第1の面のエッジ、例えば、第1の面の片側に設けられてもよく、かつ電気接続部材との接続を容易にするために、該母線接続ポート122は第1の面に位置する第1の板と第1の板に垂直な第2の板からなる曲折構造として形成されてもよい。
【0104】
選択的には、消防配管30は前記母線部材12の上方、つまり第1の面の上方に設けられてもよく、消防配管30が圧力解放機構213によって排出される排出物から破壊を受ける場合、その中の消防媒体は重力により排出され、圧力解放機構213の排出物に対して降温・冷却することができる。
【0105】
本願の実施例では、母線接続ポート122が第1の面に近いある側に位置する場合、母線接続ポート122に対応する消防配管30の領域は、消防配管30内の該ある側の上方に位置する領域を含むが、これに限らず、該母線接続ポート122に対応する消防配管30の領域は、母線接続ポート122との距離が近い。
【0106】
該母線接続ポート122に対応する消防配管30の領域と母線接続ポート122との距離が近いため、該対応する領域において凝縮液が形成されると、母線接続ポート122に滴下しやすく、該母線接続ポート122の電気性能に影響を及ぼしてしまう。したがって、まず、該対応する領域を隔離層31で被覆し、凝縮水の形成確率を下げる必要がある。
【0107】
一例として、図7は、本願の実施例に係る別の電池10の構造概略図を示している。
【0108】
図7に示すように、本願の実施例では、電池10は、感知ユニット151と、伝送回路152と、感知ポート153とを含む感知部材15をさらに備える。
【0109】
複数の感知ユニット151は、複数の電池セル20の状態を感知するために用いられる。一例として、感知ユニット151は、複数の電池セル20の温度、電圧、電流などの状態信号を感知するための少なくとも一つのセンサーを含むが、これに限らない。該感知ユニット151が感知した複数の電池セル20の状態信号は、少なくとも1つの伝送回路152を介して伝送され、該伝送回路152は、例えば電気信号伝送線または回路基板であってもよい。回路基板は、薄くて装着しやすいフレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)を含むが、これに限らない。伝送回路152の一端には、伝送回路152において伝送される状態信号を出力するための感知ポート153が設けられている。
【0110】
選択的には、本願の実施例では、消防配管30は、前記感知ポート153に対応する領域において隔離層31で被覆されている。
【0111】
図7に示すように、感知部材15において、伝送回路152は複数の電池セル20の圧力解放機構213が設けられた第1の面の上方に位置し、一例として、感知ポート153は、図6における母線接続ポート122と同様に、第1の面に近い側に設けられてもよい。
【0112】
本願の実施例では、感知ポート153が第1の面に近いある側に設けられる場合、消防配管30内の感知ポート153に対応する領域は、消防配管30内の該ある側の上方に位置する領域を含むが、これに限らず、該消防配管30内の感知ポート153に対応する領域は、感知ポート153との距離が近い。
【0113】
該消防配管30内の感知ポート153に対応する領域と感知ポート153との距離が近いため、該対応する領域において凝縮液が形成されると、母線接続ポート122に滴下しやすく、該感知ポート153の複数の電池セル20の状態信号の伝送に影響を及ぼしてしまう。したがって、該対応する領域を隔離層31で被覆し、凝縮液の形成確率を下げる必要がある。
【0114】
一部の実施形態では、前記感知部材15における感知ポート153と、母線部材12における母線接続ポート122とは、複数の電池セル20の同じ側に位置する。
【0115】
例えば、上述の図6および図7には、感知部材15における感知ポート153と、母線部材12における母線接続ポート122とは、第1の面に近い同じ側に設けられている。この場合、該母線接続ポート122に対応する消防配管30の領域は、該感知ポート153に対応する消防配管30の領域と同じまたは近接した領域であってもよい。
【0116】
したがって、母線接続ポート122に対応する消防配管30の領域と、該感知ポート153に対応する消防配管30の領域とが異なる場合に比べて、本願の実施例の発明を採用する場合、消防配管30の複数の異なる領域を隔離層31で被覆する必要がなく、一つの領域だけ隔離層31で被覆すれば、凝縮液による母線接続ポート122および感知ポート153の影響を低減ないし防止でき、電池の安全性を確保する前提で、隔離層31の使用量を減少でき、コスト削減と同時に、隔離層30未被覆の消防配管31の領域を相対的に増やし、消防配管30による温度調節効果をさらに高めることもできる。
【0117】
一部の実施形態では、電池10は、前記消防配管30と電池セル20の間に設けられる絶縁媒体層をさらに備える。
【0118】
選択的には、電池セル20の圧力解放機構213が作動する場合、圧力解放機構213によって排出される排出物は圧力解放機構213の上方を被覆している絶縁媒体層の対応する位置を速やかに溶融し、電池セル20の内部温度および圧力を解放できるため、圧力解放機構213の位置における絶縁媒体層の材料の融点は通常低い。
【0119】
本願の実施例における絶縁媒体層は、電池セル20の圧力解放機構213が位置する壁と消防配管30との間の絶縁に用いられる。電池10には複数の電池セル20が配置可能であることを考慮すると、電池セル20を多く設ける場合、電池10への装着を容易にするために、複数の電池セル20は広い面積の絶縁媒体層に対応してもよい。
【0120】
選択的には、電池10には二層の絶縁媒体層を含んでもよく、母線接続ポート122および感知ポート153だけを残し、前記母線部材12における母線ユニット121および/または感知部材15における感知ユニット151と、感知回路152とを上下から被覆するために用いられる。
【0121】
選択的には、絶縁媒体層に対応する消防配管30の領域は隔離層31で被覆されなくてもよい。消防配管30の該領域において凝縮液が形成されていても、絶縁媒体層は、それによって被覆された母線ユニット121および/または感知ユニット151および感知回路152から、凝縮液を絶縁隔離することに使用でき、さらに、該絶縁媒体層は、凝縮液と電池セル20との絶縁隔離にも使用できる。
【0122】
説明の便宜上、以下は絶縁媒体層で母線ユニット121、感知ユニット151および感知回路152を被覆してなる構造を伝送アセンブリと呼ぶ。
【0123】
一例として、図8は、伝送アセンブリ16の構造概略図を示している。該伝送アセンブリ16は消防配管30と電池セル20との間に設けられており、かつ該伝送アセンブリ16は2×9個の電池セル20に対応している。
【0124】
選択的には、母線部材12における母線接続ポート122と、感知部材15における感知ポート153とはいずれも、絶縁媒体層161の同じ側に位置する。いくつかの実施例では、図8に示すように、二つの感知ポート153はそれぞれ二つの母線接続ポート122の両側に位置している。
【0125】
本願の実施例では、前記母線部材12における母線ユニット121と、感知部材15における感知ユニット151と、感知回路152とを絶縁媒体層161で被覆して伝送アセンブリ16を形成する。消防配管30において、絶縁媒体層161に対応する領域を隔離層31で被覆せず、母線接続ポート122および感知ポート153に対応する領域を隔離層31で被覆してもよい。これにより、消防配管30は比較的に小さい面積の領域だけが隔離層31で被覆され、凝縮液による母線接続ポート122および感知ポート153の影響の低減ないし防止のために用いられる。一方、他の比較的に大きい面積の領域が隔離層31で被覆されていないため、消防配管30はより良好な冷却・降温作用を発揮する。したがって、本願の実施例の発明によれば、電池10の安全性をさらに高めることができる。
【0126】
前記伝送アセンブリ16は、絶縁媒体層161、その中の母線部材12、感知部材15に加えて、さらに例えば消防配管30のブラケットなど他の構造部品を含んでもよいと理解できる。本願の実施例では、この伝送アセンブリ16の具体的な構造に対する限定がない。
【0127】
上述した図6図8の実施例では、感知部材15における感知ポート153と、母線部材12における母線接続ポート122とが複数の電池セル20の同じ側に位置する場合のみが示されているとさらに理解できる。なお、感知部材15における感知ポート153と、母線部材12における母線接続ポート122とが複数の電池セル20の異なる側に位置してもよいと理解できる。例えば、母線部材12における母線接続ポート122は前記第1の面における第1側に位置し、感知部材15における感知ポート153は前記第1の面の第1側と対向する第2側に位置する。本願の実施例では、感知ポート153と母線接続ポート122の具体的な位置に対する限定がない。
【0128】
以上、図4図8を参照し、本願の消防配管30を被覆する隔離層31と、母線部材12や感知部材15との位置関係を説明した。以下、図9図18を参照し、消防配管30の設計および消防配管30における隔離層31の位置の設計を説明する。
【0129】
図9は、本願の実施例に係る消防配管30の立体構造概略図を示している。図10は、図9に係る消防配管30の平面図を示している。
【0130】
選択的には、消防配管30は、複数の第1の部分301および少なくとも一つの第2の部分302を含み、該複数の第1の部分301は互いに平行に設けられ、かつ複数の電池セル20の積層方向(図中のy方向)に沿って延在し、該少なくとも一つの第2の部分302における各第2の部分302は、複数の第1の部分301の隣接する二つの第1の部分の端部に接続される。
【0131】
なお、該複数の第1の部分301は、ほぼ平行であってもよく、複数の第1の部分301のうちの2つの第1の部分301は、わずかな夾角、例えば5度以内の夾角を有していてもよい。
【0132】
選択的には、消防配管30における第1の部分301は直管であってもよく、第2の部分302はU字管、直管、または他の形状の配管であってもよい。例えば、図10に示すように、第2の部分302の中央部は直管であり、直管の両端は第1の部分301を接続するための円弧状曲がり角付き配管に接続されている。無論、上記の例の他にも、第1の部分301および第2の部分302は、互いに連通する他の形状の配管であってもよく、本願の実施例はそれに対する具体的な限定がない。
【0133】
一例として、図9および図10に示す実施例では、消防配管30は、3つの第1の部分301と2つの第2の部分302を含む。該3つの第1の部分301と2つの第2の部分302からなる消防配管30は、S字管に近いものであってもよい。
【0134】
選択的には、図9および図10に示すように、消防配管30の両端には、消防媒体入口303および消防媒体出口304がさらに含まれている。該消防媒体入口303と消防媒体出口304は、2つの第1の部分301の端部にそれぞれ接続されており、図中の消防媒体入口303および消防媒体出口304の横に示す破線枠付きの領域は、消防媒体入口303および消防媒体出口304と、第1の部分301の端部との接続領域である。
【0135】
選択的には、該消防媒体入口303と消防媒体出口304は、入口弁と出口弁にそれぞれ接続されてもよい。入口弁は、消防配管30に消防媒体を充填するために用いられる一方、出口弁は消防媒体を外に排出するために用いられるが、入口弁および出口弁を同時に設けることにより消防配管30内の消防媒体の循環を実現できる。また、弁の位置は実際の用途に応じて設けることができる。例えば、入口弁と出口弁を電池10の対向する二つの側にそれぞれ設ける。また、例えば、電池10が複数組の弁を含む場合、複数組の弁のうちの入口弁を全て同じ側に設けるとともに、複数組の弁のうちの出口弁を同じ対向する側に設けることができるが、本願の実施例はこれに限られない。
【0136】
図11は、上述した図9および図10における消防配管30と複数の電池セル20を組み合わせてなる電池10の構造概略図を示している。図12は、図11に係る電池10の平面概略図である。
【0137】
一例として、図11および図12には、電池10は、6×18個の電池セル20を含み、積層方向において、1×18個の電池セル20を一列の電池セル20と呼ぶ。選択的には、該複数の電池セル20の上方に二つの消防配管30が設けられ、各消防配管30において、3つの第1の部分301が逐一に対応するように、隣接する3列の電池セル20の上方に位置する。二つの第2の部分302は、隣接する二つの第1の部分301の端部にそれぞれ接続されている。
【0138】
図11および図12に示すように、電池セル20における圧力解放機構の位置に応じて、消防配管30における複数の第1の部分301は、複数の電池セル20の複数の圧力解放機構の上方に設けられており、つまり、該消防配管30における複数の第1の部分301は、該複数の圧力解放機構の該複数の電池セル20の内部から離れた側に設けられてもよい。
【0139】
選択的には、本願の実施例では、消防配管30における第1の部分301の長さは、1列の電池セル20の長さに相当してもよい。例えば、該第1の部分301の長さは、1列の電池セル20における圧力解放機構213を繋いだ長さよりも長く、1列の電池セル20の長さと同じかまたは短い。つまり、第1の部分301の端部は、1列の電池セル20の両側の上方に位置する。さらに、第1の部分301の端部は、1列の電池セル20の両側の中央部の上方に位置する。
【0140】
第2の部分302は、二つの第1の部分301の端部との接続に用いられるため、該第2の部分302は対応的に2列の電池セル20の両側に位置すると考えられる。
【0141】
選択的には、前記二つの消防配管30は、複数の電池セル20の上方において任意の配列方法で設けられてもよい。一例として、図12に示すように、二つの消防配管30は複数の電池セル20の上方においてミラー配列されている。また、該二つの消防配管30はアレイなどの他の方法で配列されてもよい。本願の実施例ではそれに対する具体的な限定がない。
【0142】
図11および図12では、6列の電池セル20を含み、かつ一つの消防配管30が3列の電池セル20に対応している電池10を例示しているが、一つの消防配管30は、2列、4列または4列以上の電池セル20に対応してもよく、本願の実施例ではそれに対する具体的な限定がないと理解できる。また、電池10は2つの消防配管30を含むことに限られず、1つの消防配管30のみ、あるいは3つまたは3つ以上の消防配管30を含んでもよい。本願の実施例ではそれに対する具体的な限定もない。
【0143】
選択的には、該電池10は感知部材15をさらに備える。電池10が複数列の電池セル20を含む場合、各列の電池セル20に対応して一つの感知回路152が設けられ、複数の感知回路152の端部の複数の感知ポート153は、前記複数の第1の部分301の端部の対応領域に設けられる。
【0144】
選択的には、該電池10は母線部材12をさらに備える。選択的には、電池10が複数列の電池セル20を含む場合、各列または複数列の電池セル20は一つの電池モジュールを形成し、対応的に一つの母線部材12が設けられ、該母線部材12の母線接続ポート122は感知部材15の感知ポート153の側に設けられる。
【0145】
一部の実施形態では、絶縁媒体層161は、母線部材12における母線ユニット121と、感知部材15における感知ユニット151と、感知回路152とを被覆し、伝送アセンブリ16を形成する。母線部材12における母線接続ポート122と、感知部材15における感知ポート153はいずれも、絶縁媒体層161の同じ側に位置する。選択的には、該絶縁媒体層161の面積は、電池10における複数の電池セル20の第1壁が位置する平面の面積と同じまたは近くてもよい。
【0146】
一例として、図13は、伝送アセンブリ16と消防配管30の構造概略図を示している。
【0147】
選択的には、該伝送アセンブリ16は、対応的に、図11における6×18個の電池セル20(図13に未図示)と二つの消防配管30の間に設けられてもよい。選択的には、絶縁媒体層161の片側のエッジには、6つの感知ポート153および6つの母線接続ポート122が設けられている。
【0148】
本願の実施例では、消防配管30における第1の部分301は、感知部材15における感知回路152(未図示)の上方に位置してもよく、第2の部分302は、絶縁媒体層161の両側のエッジにおいて隣接する二つの第1の部分301が接続されている。
【0149】
感知ポート153、母線接続ポート122および消防配管30の位置関係を説明しやすくするために、図14および図15には、電池10の部分拡大した構造概略図を2種類示している。
【0150】
図14に示すように、2列の電池セル20の上方には二つの第1の部分301が設けられており、二つの第1の部分301の端部の間に第2の部分302が接続されている。二つの第1の部分301では、各第1の部分301のうちの一つの端部は、1列の電池セル20の片側のエッジの上方に位置している。また、1列の電池セル20の片側のエッジには、感知部材15の一つの感知ポート153がさらに設けられており、かつ該感知ポート153は、第1の部分301の端部の下方に近接しているように設けられている。該第1の部分301の端部付近に凝縮液が形成される確率を下げ、凝縮液による感知ポート153の影響を低減または防止するために、第1の部分301の端部の周囲に隔離層31を設けてもよい。
【0151】
一部の実施形態では、第1の部分301の端部に接続される第2の部分302の少なくとも一部の領域は隔離層31で被覆されている。
【0152】
一例として、図14に示すように、前記二つの第1の部分301の端部に接続される第2の部分302の少なくとも一部の領域は隔離層31で被覆されており、該第2の部分302は、感知ポート153が設けられた電池セル20の側のエッジに位置し、凝縮液が形成されると、感知ポート153に影響を及ぼしやすい。
【0153】
第2の部分302が第1の部分301の端部に接続される以外、第1の部分301の端部に接続可能な他の部材もある。
【0154】
選択的には、本願の実施例では、消防配管30の消防媒体入口303または消防媒体出口304は第1の部分301に接続され、該消防媒体入口303または消防媒体出口304と第1の部分301との接続領域は隔離層31で被覆されている。
【0155】
図15に示すように、2列の電池セル20の上方には、二つの第1の部分301が設置されており、消防配管30の消防媒体出口304(または消防媒体入口303でもよい)はそのうちの一つの第1の部分301に接続され、もう一つの第1の部分301の端部は第2の部分302に接続されている。
【0156】
図14と類似するように、図15では、感知ポート153は第1の部分301の端部の下方に近接しているように設けられ、一方の感知ポート153は消防媒体出口304に近く、他方の感知ポート153は第2の部分302に近い。第1の部分301の端部付近に凝縮液が形成される確率を下げ、凝縮液による感知ポート153の影響を低減するために、該第1の部分301と消防媒体入口303または消防媒体出口304との接続領域(破線枠で図示)を隔離層31で被覆し、および第2の部分302の少なくとも一部の領域を隔離層31で被覆してもよく、凝縮液による感知ポート153の影響を低減ないし防止する。
【0157】
さらに、母線部材12の母線接続ポート122は、感知部材15の感知ポート153の側に設けられている。
【0158】
一例として、図14および図15に示すように、1列の電池セル20では、その端部の中央領域に一つの感知ポート153が設けられており、感知ポート153の側に一つの母線接続ポート122が設けられており、感知ポート153および母線接続ポート122は、1列の電池セル20の同じ側のエッジに設けられている。
【0159】
図14および図15に示すように、該母線接続ポート122は、第1の部分301の端部の斜め下方に設けられている。該第1の部分301の端部付近に凝縮液が形成される確率を下げ、凝縮液による母線接続ポート122の影響を低減するために、第1の部分301の端部の周囲に隔離層31を設けてもよい。
【0160】
図14および図15から分かるように、母線接続ポート122と第1の部分301の端部との距離は、伝送インターフェース153と第1の部分301の端部との距離よりもわずかに大きく、消防配管30上に被覆された隔離層31が凝縮液の形成による伝送インターフェース153の影響を低減できるなら、凝縮液の形成による母線接続ポート122の影響も低減できる。
【0161】
したがって、一部の実施形態では、第1の部分301端部に接続される第2の部分302における少なくとも一部の領域をいずれも隔離層31で被覆する場合、第2の部分302に形成される凝縮液による伝送インターフェース153の影響を低減するとともに、凝縮液による母線接続ポート122の影響も低減できる。さらに、消防配管30の消防媒体入口303または消防媒体出口304は第1の部分301に接続され、該消防媒体入口303または消防媒体出口304と第1の部分301との接続領域は、隔離層31で被覆され、接続領域に形成される凝縮液による伝送インターフェース153の影響を低減するとともに、凝縮液による母線接続ポート122の影響も低減できる。
【0162】
選択的には、一部の実施形態では、図14に示すように、第2の部分302における直管部分は隔離層31で被覆されているが、第2の部分302における第1の部分302に接続される接続部は、隔離層31で被覆されていない。
【0163】
選択的には、図14および15に示すように、第1の部分301は隔離層31で被覆されていなくてもよく、隔離層31で被覆されていない該第1の部分301および/または第2の部分302における接続部は、電池セル20の温度を調節するために使用可能である。
【0164】
選択的には、別の実施形態では、第2の部分302における直管部分および第1の部分302に接続される接続部はいずれも隔離層31で被覆されている。あるいは、凝縮液の形成確率をさらに下げるために、消防配管30における第1の部分301の端部およびその付近の他の領域が隔離層31で被覆されていてもよい。
【0165】
選択的には、隔離層31で被覆された第2の部分302の領域の第1平面における正射影は、複数の電池セル20の第1平面における正射影と少なくとも一部重なっており、第1平面は複数の電池セル20の高さ方向に垂直な平面である。
【0166】
選択的には、消防媒体入口303および/または消防媒体出口304と第1の部分301との接続領域において隔離層31で被覆されている領域の第1平面における正射影は、複数の電池セル20の該第1平面における正射影と少なくとも一部重なっている。
【0167】
一部の実施形態では、該第1平面は、上述した複数の電池セル20の第1の面が位置する平面でもよく、該複数の電池セル20の第1平面における正射影は、複数の電池セル20の第1の面である。
【0168】
別の実施形態では、該第1平面は、複数の電池セル20の第1の面に平行する平面でもよく、該複数の電池セル20の第1平面における正射影は、複数の電池セル20の第1の面の第1平面における正射影である。
【0169】
図16は、電池10の概略平面図を示している。
【0170】
図16に示すように、隔離層31で被覆されている第2の部分302の領域が複数の電池セル20の第1の面における正射影(図中の一部の黒い領域)は、複数の電池セル20の第1の面と少なくとも一部重なっている。
【0171】
また、消防媒体入口303および消防媒体出口304と第1の部分301との接続領域において隔離層31で被覆されている領域が複数の電池セル20の第1の面における正射影(図中の別の黒い領域)は、複数の電池セル20の第1の面と少なくとも一部重なっている。
【0172】
選択的には、消防配管30において隔離層31が設けられる領域は、図16に示す場合の他に、隔離層31で被覆されている第2の部分302の領域の第1平面における正射影と、複数の電池セル20が該第1平面における正射影とが互いに重なっていなくてもよい。
【0173】
また、隔離層31で被覆されている第2の部分302の領域のほかに、隔離層31で被覆されている消防配管30の他の領域が第1平面における正射影は、複数の電池セル20の該第1平面における正射影と互いに重なっていなくてもよい。例えば、消防媒体入口303および消防媒体出口304と第1の部分301との接続領域において隔離層31で被覆されている領域が第1平面における正射影は、複数の電池セル20の該第1平面における正射影とも互いに重なっていない。
【0174】
言い換えれば、該実施形態では、隔離層31で被覆されている消防配管30の全ての領域の第1平面における正射影は、複数の電池セル20の該第1平面における正射影といずれも互いに重なっていない。
【0175】
上述の本願の実施例の発明によれば、消防配管30を複数の電池セル20の上方に密に設けることができ、消防配管30と複数の電池セル20との距離を短くすることにより、消防配管30が複数の電池セル20に対する温度調節効果を高める。同時に、電池10内の高さ方向において消防配管30が占める空間を減少し、電池10のエネルギー密度を高める。
【0176】
本願の実施例は電気装置をさらに提供し、該電気装置は上述した各実施例に係る電池10を含んでもよい。選択的には、電気装置は、車両1、船舶または宇宙機であってもよい。
【0177】
以上は本願の実施例の電池用筐体、電池および電気装置を説明した。以下は本願の実施例の電池の製造方法および装置を説明する。詳しく説明しない部分について、上述した各実施例を参照されたい。
【0178】
図17は、本願の実施例に係る電池の製造方法300のフロチャートを示している。図17に示すように、該方法300は、
310:電池セル20の内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構213を含む電池セル20を提供することと、
320:消防媒体を収容し、圧力解放機構213の作動時に消防媒体を排出するための消防配管30を提供することと、を含んでもよく、消防配管30は、ガスが該消防配管30に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層31で被覆されている。
【0179】
図18は、本願の実施例に係る電池の製造装置400の概略ブロック図を示している。図18に示すように、電池の製造装置400は、提供モジュール410および装着モジュール420を備えてもよい。
【0180】
提供モジュール410は、電池セル20の内圧または温度が閾値に達したときに作動して内圧を解放するための圧力解放機構213を含む電池セル20の提供と、消防媒体を収容し、該圧力解放機構213の作動時に消防媒体を排出するための消防配管30の提供と、に用いられ、消防配管30は、ガスが消防配管30に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層31で被覆されている。
【0181】
最後に、上述した実施例は、単に本願の発明を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。上述した実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者なら、上述の各実施例に記載の発明に対する修正またはその一部の技術的特徴を同等のものに置換することが依然として可能であるが、これらの修正または置換により、対応する発明の本質が本願の各実施例の発明の範囲から逸脱することがないと理解できる。
【符号の説明】
【0182】
10 電池
20 電池セル
30 消防配管
31 隔離層
213 圧力解放機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【図
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
例えば、図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造概略図を示している。車両1はガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40、コントローラ50、および電池10が設けられていてもよく、コントローラ50は、モータ40への電池10の給電を制御するために用いられる。例えば、車両1の底部や前部や後部に、車両1に給電するための電池10を設けてもよい。例として、電池10を車両1の動作電源として、車両1の回路システムに適用し、例えば車両1の始動時、ナビゲーション時、走行時の作業用電力のニーズに応じて使用することができる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として機能するだけではなく、車両1の駆動用電源としても機能し、ガソリンや天然ガスの代替又は部分的な代替として、車両1に駆動力を提供することが可能である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221aおよび第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aが負極タブである。一つまたは複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは一つの接続部材23を介して一つの電極端子に接続され、一つまたは複数の電極アセンブリ22の第2タブ221aは、別の接続部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aが一つの接続部材23を介して正極タブに接続される場合、負極端子214bは別の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
選択的には、電池10には二層の絶縁媒体層を含んでもよく、母線接続ポート122および感知ポート153だけを残し、前記母線部材12における母線ユニット121および/または感知部材15における感知ユニット151と、伝送回路152とを上下から被覆するために用いられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
選択的には、絶縁媒体層に対応する消防配管30の領域は隔離層31で被覆されなくてもよい。消防配管30の該領域において凝縮液が形成されていても、絶縁媒体層は、それによって被覆された母線ユニット121および/または感知ユニット151および伝送回路152から、凝縮液を絶縁隔離することに使用でき、さらに、該絶縁媒体層は、凝縮液と電池セル20との絶縁隔離にも使用できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
説明の便宜上、以下は絶縁媒体層で母線ユニット121、感知ユニット151および伝送回路152を被覆してなる構造を伝送アセンブリと呼ぶ。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
本願の実施例では、前記母線部材12における母線ユニット121と、感知部材15における感知ユニット151と、伝送回路152とを絶縁媒体層161で被覆して伝送アセンブリ16を形成する。消防配管30において、絶縁媒体層161に対応する領域を隔離層31で被覆せず、母線接続ポート122および感知ポート153に対応する領域を隔離層31で被覆してもよい。これにより、消防配管30は比較的に小さい面積の領域だけが隔離層31で被覆され、凝縮液による母線接続ポート122および感知ポート153の影響の低減ないし防止のために用いられる。一方、他の比較的に大きい面積の領域が隔離層31で被覆されていないため、消防配管30はより良好な冷却・降温作用を発揮する。したがって、本願の実施例の発明によれば、電池10の安全性をさらに高めることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
以上、図4図8を参照し、本願の消防配管30を被覆する隔離層31と、母線部材12や感知部材15との位置関係を説明した。以下、図9~図16を参照し、消防配管30の設計および消防配管30における隔離層31の位置の設計を説明する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
選択的には、該電池10は感知部材15をさらに備える。電池10が複数列の電池セル20を含む場合、各列の電池セル20に対応して一つの伝送回路152が設けられ、複数の伝送回路152の端部の複数の感知ポート153は、前記複数の第1の部分301の端部の対応領域に設けられる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0145】
一部の実施形態では、絶縁媒体層161は、母線部材12における母線ユニット121と、感知部材15における感知ユニット151と、伝送回路152とを被覆し、伝送アセンブリ16を形成する。母線部材12における母線接続ポート122と、感知部材15における感知ポート153はいずれも、絶縁媒体層161の同じ側に位置する。選択的には、該絶縁媒体層161の面積は、電池10における複数の電池セル20の第1壁が位置する平面の面積と同じまたは近くてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
本願の実施例では、消防配管30における第1の部分301は、感知部材15における伝送回路152(未図示)の上方に位置してもよく、第2の部分302は、絶縁媒体層161の両側のエッジにおいて隣接する二つの第1の部分301が接続されている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0162】
選択的には、一部の実施形態では、図14に示すように、第2の部分302における直管部分は隔離層31で被覆されているが、第2の部分302における第1の部分301に接続される接続部は、隔離層31で被覆されていない。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0164
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0164】
選択的には、別の実施形態では、第2の部分302における直管部分および第1の部分301に接続される接続部はいずれも隔離層31で被覆されている。あるいは、凝縮液の形成確率をさらに下げるために、消防配管30における第1の部分301の端部およびその付近の他の領域が隔離層31で被覆されていてもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0179
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0179】
図18は、本願の実施例に係る電池の製造装置400の概略ブロック図を示している。図18に示すように、電池の製造装置400は提供モジュール410を備えてもよい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記内圧を解放するための圧力解放機構を含む電池セルと
消防媒体を収容し、前記圧力解放機構の作動時に前記消防媒体を排出するための消防配管と
を備える電池であって、
前記消防配管は、ガスが前記消防配管に接触して凝縮液を形成することを遮断するための隔離層で被覆されていることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電池は、複数の電池セル(20)の電気接続を実現するための母線ユニット(121)と、前記複数の電池セル(20)の電気エネルギーを出力するための母線接続ポート(122)を含む母線部材(12)と、をさらに備え、
前記消防配管は、前記母線接続ポートに対応する領域において絶縁層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池は、前記複数の電池セルの状態を感知するための感知ユニットと伝送回路と、前記伝送回路を介して前記複数の電池セルの状態信号を出力するための感知ポートと、を含む感知部材をさらに備え、
前記消防配管は、前記感知ポートに対応する領域において前記隔離層で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記母線接続ポートと前記感知部材の感知ポートは、前記複数の電池セルの同じ側に位置することを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記消防配管は、互いに平行に設けられ、かつ前記複数の電池セルの積層方向に沿って延在している複数の第1の部分と、各第2の部分が前記複数の第1の部分における隣接する二つの第1の部分の端部に接続される少なくとも一つの第2の部分と、を含む電池であって、
前記複数の第1の部分は、前記複数の電池セルの複数の前記圧力解放機構において前記複数の電池セル内部から離れた側に設けられていることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記電池の感知部材の感知ポートは、前記複数の第1の部分の端部の対応領域に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記母線部材の母線接続ポートは、前記電池の感知部材の感知ポートの側に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の電池。
【請求項8】
前記第2の部分の少なくとも一部の領域は、前記隔離層で被覆されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記隔離層で被覆されている前記第2の部分の領域の第1平面における正射影と、前記複数の電池セルの前記第1平面における正射影とが互いに重なっておらず、前記第1平面は前記複数の電池セルの高さ方向に垂直な平面であることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記消防配管の消防媒体入口または消防媒体出口は、前記第1の部分に接続され、前記第1の部分と前記消防媒体入口または前記消防媒体出口との接続領域は、前記隔離層で被覆されていることを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記第1の部分は、前記隔離層で被覆されておらず、前記複数の電池セルを冷却するために用いられることを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記隔離層は非吸収性材料であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記隔離層は、気泡がいずれも密閉気泡となる独立気泡フォームであることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記隔離層は、前記消防配管と母線部材との隔離に用いられることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記消防配管(30)と前記電池セル(20)との間に設けられる絶縁媒体層をさらに備えることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記隔離層の厚さは1mmを超えていることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の電池を備えることを特徴とする電気装置。
【請求項18】
前記電気装置は、車両、船舶または宇宙機である請求項17に記載の電気装置。
【国際調査報告】