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特表2023-542797管状反応器のための触媒キャリア及び関連する方法における、又はそれらに関連する改良
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】管状反応器のための触媒キャリア及び関連する方法における、又はそれらに関連する改良
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20231004BHJP
   B01J 8/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B01J8/02 C
B01J8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507373
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 GB2021052491
(87)【国際公開番号】W WO2022064212
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】2015186.6
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518329767
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ デイヴィー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】クラークソン、ジェイ サイモン
(72)【発明者】
【氏名】クラクストン、ヘンリー アーサー
(72)【発明者】
【氏名】マラム、ベンジャミン ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4G070
【Fターム(参考)】
4G070AA05
4G070AB05
4G070AB07
4G070BB08
4G070CA03
4G070CA15
4G070CB15
4G070DA05
4G070DA06
(57)【要約】
管状反応器の反応管に挿入するための触媒キャリア(10)は、触媒を保持するための容器と、容器と反応管との間をシールするためのシール(104)とを備える。
シール(104)は、少なくとも第1のシール層(126)及び第2のシール層(127)を備え、各々は、ノッチ(161)によって分離された複数の偏向可能な舌部(160)を備える。
第2のシール層(127)は、第2のシール層(127)のノッチ(161)が第1のシール層(126)の偏向可能な舌部(160)と位置合わせされるように、第1のシール層(126)に対して回転方向にオフセットされる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状反応器の反応管に挿入するための触媒キャリアであって、使用時に触媒を保持するための容器と、前記容器と前記反応管の内面との間をシールするためのシールとを備え、
前記反応管への前記触媒キャリアの設置を容易にするために、使用時に前記反応管の長手方向軸と位置合わせすることができる長手方向軸を有し、
前記シールが、少なくとも第1のシール層及び第2のシール層を備え、
前記第1のシール層及び前記第2のシール層はそれぞれ、ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部を備え、
前記第2のシール層は、前記第2のシール層の前記ノッチが前記第1のシール層の前記偏向可能な舌部と位置合わせされるように、前記第1のシール層に対して前記触媒キャリアの前記長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされる、触媒キャリア。
【請求項2】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層が、互いに重なり合い、任意選択的に面接触している、請求項1に記載の触媒キャリア。
【請求項3】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層が、別個のシール要素を備える、請求項1又は2に記載の触媒キャリア。
【請求項4】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層が、一体型シール要素の第1の部分及び第2の部分を構成し、任意選択的に、前記一体型シール要素が螺旋状要素である、請求項1又は2に記載の触媒キャリア。
【請求項5】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の各々が、その複数の偏向可能な舌部を形成するノッチ付き外縁部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項6】
前記ノッチが、前記それぞれのシール層の外縁部に向かって平行であるか又は分岐する側壁を備え、任意選択的に、前記ノッチがU字形又はV字形である、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項7】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層が、前記容器から垂直に延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項8】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の前記舌部の少なくとも遠位端が、前記容器の端部に向かって角度が付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項9】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の各々が環状要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項10】
ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部をそれぞれ備える3つ以上のシール層を備え、各シール層は、各シール層の前記ノッチが他のシール層のうちの少なくとも1つが有する前記偏向可能な舌部と位置合わせされるように、他のシール層のうちの少なくとも1つに対して前記触媒キャリアの前記長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされ、任意選択的に、各シール層の前記ノッチは、一方又は両方の隣接するシール層の前記偏向可能な舌部と位置合わせされる、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項11】
前記触媒キャリアが、4つ、5つ又は6つのシール層を備える、請求項10に記載の触媒キャリア。
【請求項12】
前記1つ以上のシール層の内縁部が互いに取り付けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項13】
各シール層が、前記シール層の互いに対する相対的な回転位置合わせを保持するために、前記容器上の相補的なキー溝又はキーと係合するためのキー又はキー溝を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項14】
各容器が、下端における底面と、上端における上面と、前記底面と前記上面との間に延在するキャリア外壁とを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項15】
前記シール層が、前記キャリア外壁及び/又は前記上面に取り付けられている、請求項14に記載の触媒キャリア。
【請求項16】
前記キャリア外壁が複数の開口を備え、前記シール層が前記複数の開口の上方で前記キャリア壁に取り付けられている、請求項14又は15に記載の触媒キャリア。
【請求項17】
各容器が、使用時に触媒を保持するための環状チャンバを更に備え、前記環状チャンバは、内側チャネルを画定する有孔内側チャンバ壁と、有孔外側チャンバ壁と、前記環状チャンバを閉鎖する上面と、前記環状チャンバを閉鎖する底面とを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項18】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の厚さが異なる、請求項1~17のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項19】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の材料が異なる、請求項1~18のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項20】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の前記ノッチの形状が異なる、請求項1~19のいずれか一項に記載の触媒キャリア。
【請求項21】
管状反応器の反応管に触媒キャリアを設置する方法であって、
i)前記触媒キャリアを前記反応管内に押し込むように構成された可動ラムを備える設置ツールを提供するステップと、
ii)前記触媒キャリアの容器が前記反応管内に受容されるように、前記可動ラムを使用して前記触媒キャリアを前記反応管内に押し込むステップと、
iii)前記触媒キャリアを前記反応管に押し込むことにより、前記触媒キャリアのシールを前記反応管の内面に接触させて変形させ、前記シールの少なくとも第1のシール層及び第2のシール層が、前記シールと前記内面との前記接触により変形するステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層の両方が複数のノッチを備え、前記触媒キャリアを前記反応管に押し込むことにより、前記ノッチが少なくとも部分的に閉じられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のシール層及び前記第2のシール層が両方とも、ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部を備え、前記触媒キャリアを前記反応管内に押し込むことにより、前記第1のシール層及び前記第2のシール層のうちの一方の前記複数の偏向可能な舌部が、前記第1のシール層及び前記第2のシール層のうちのもう一方の前記ノッチを少なくとも部分的にシールする、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記シールが、触媒を収容する前記触媒キャリアの前記重量より大きい、100N未満の挿入に対する抵抗を提供する、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管状反応器のための触媒キャリア及び関連する方法における、又はそれらに関連する改良に関する。特に、本開示は、管状反応器の反応管に挿入される触媒キャリアのシール構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のいわゆる固定床管状反応器は、通常は円筒形であり、通常は触媒粒子が直接充填される複数の管を含む反応器シェルを備える。使用時、伝熱媒体は、これらの管の外側の反応器のシェルを通って流れ、それによって、管壁を横切る熱交換によって管内の触媒の温度を調節する。したがって、反応が発熱反応である場合、伝熱媒体は、熱が触媒から除去されることを可能にし、反応が吸熱反応である場合、伝熱媒体は、熱を触媒に提供する。
【0003】
いくつかの反応では、反応の熱効果は中程度であり、その結果、問題にならないか、又は容易に管理できる。場合によっては、熱効果は十分に小さく、大径の管を使用してもよい。これは、管内に大量の触媒が存在するという利点を有する。
【0004】
しかしながら、より大きな発熱反応又は吸熱反応のためには、安定した動作温度を維持して有害な影響の発生を回避するために、反応器内の条件を制御できるように、管壁を介して熱伝達媒体への効率的な熱伝達が存在することが必要である。発熱反応の場合、このような影響には、副反応の発生、触媒活性部位の焼結などによる触媒への損傷、最悪の場合には熱暴走が含まれ得る。吸熱反応に対する有害な影響には、反応のクエンチが含まれ得る。
【0005】
所望の効率を達成するために、単位長さ当たりの管壁の表面積は最大化されなければならない。これは、過去において、より多数のより小径の管を設置することによって達成されてきた。いくつかの反応において、サイズ制限によって、管が約15~40mm程度の内径しかないことが示される。しかしながら、この多数の管の使用は、反応器のコスト及び複雑さを増大させる。
【0006】
したがって、これらの問題を軽減する試みにおいて、特により大きな発熱反応又は吸熱反応のための代替的な手法が開発されており、この手法では、触媒は、反応管に直接充填されず、代わりに、反応管内に位置するように構成された複数の触媒キャリアに収容される。
【0007】
このような触媒キャリアの第1のタイプは、国際公開第2011/048361号に記載されている。この配置は、より大きな発熱反応又は吸熱反応に対してさえも、より大きな管及びより大きな体積のより小さな触媒粒子を使用することができるように、管壁における熱伝達を最適化しようとするものである。国際公開第2011/048361号に記載された触媒キャリアは、使用時に触媒を保持するための環状容器を備える。容器は、管を画定する有孔内壁と、有孔外壁と、環状容器を閉鎖する上面と、環状容器を閉鎖する底面とを有する。管の底部を閉鎖する表面は、環状容器の内壁によって形成される。スカートは、容器の底面又はその近くの位置からシールの位置より下の位置まで、環状容器の有孔外壁から上方に延在する。シールは、上面又はその近くに配置され、スカートの外面を越えて延在する距離だけ容器から延在する。
【0008】
このような触媒キャリアの第2のタイプは、国際公開第2012/136971号に記載されている。この構成では、触媒キャリアは、使用時にモノリス触媒を保持するための容器を備え、当該容器は、容器を閉鎖する底面と、当該容器の底面からシールの位置より下の位置まで上方に延び、そこから間隔を置いて配置されたスカートとを有し、当該スカートは、モノリス触媒の外面とスカートとの間に空間が存在するように配置され、シールは、モノリス触媒の上面又はその近くに配置され、スカートの外面を越えて延在する距離だけモノリス触媒から延在する。
【0009】
このような触媒キャリアの第3のタイプは、国際公開第2016/050520号に記載されている。この構成において、触媒キャリアは、使用時に触媒を保持するための容器を備える。容器は、容器を閉鎖する底面と、上面とを有する。キャリア外壁は、底面から上面まで延在し、シールは、キャリア外壁を越えて半径方向に延在する距離だけ容器から延在する。キャリア外壁は、シールの下方に配置された開口を有する。
【0010】
このような触媒キャリアのシールは、使用時に重要な機能を果たす。シールは、反応器内の液体及びガスの流れが所望の経路に従うことを確実にしなければならない。特に、反応物が容器の外側と反応管の内面との間を通過することによって、容器内に収容された触媒をバイパスしないことを、シールは確実にしなければならない。
【0011】
触媒キャリアが反応管に挿入されるとき、シールが座屈を受けないことが重要である。これは、座屈がシールと反応管の内面との間の隙間を開き、液体及びガスのためのバイパス流路を形成する可能性があるからである。更に、設置中にシールを変形させるために、大きく予測不可能な力が必要とされる場合があり、これによって、管の装填が困難になる可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、従来の設計における問題を克服する触媒キャリア用シールを提供することである。
【発明の概要】
【0013】
本開示の第1の態様では、管状反応器の反応管に挿入するための触媒キャリアであって、使用時に触媒を保持するための容器と、反応管の内面と容器との間をシールするためのシールとを備える触媒キャリアが提供される。
触媒キャリアは、反応管への触媒キャリアの設置を容易にするために、使用時に反応管の長手方向軸と位置合わせすることができる長手方向軸を有し、
シールは、少なくとも第1のシール層及び第2のシール層を備え、
第1のシール層及び第2のシール層はそれぞれ、ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部を備え、
第2のシール層は、第2のシール層のノッチが第1のシール層の偏向可能な舌部と位置合わせされるように、第1のシール層に対して触媒キャリアの長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされている。
【0014】
したがって、1つのシール層の偏向可能な舌部を使用して、別のシール層におけるノッチを閉じ、少なくとも部分的にシールすることができる。
【0015】
有利には、本開示のシールは、反応管の内面と共にシールを形成するのに特に良好に適合され得る。偏向可能な舌部は、反応管の全内径の変化及び内面の形状の変化にシールが適合する手段を提供する。
【0016】
ノッチは、シールが座屈することなく変形することを可能にする。
【0017】
加えて、少なくとも2つのシール層の使用は、各シール層がより薄くされることを可能にし、したがって、同等の厚さの単一層と比較して、より可撓性である。このようなシール層の使用はまた、各シール層と管壁との間の閉鎖を改善する。
【0018】
少なくとも2つのシール層の使用は、液体及びガスがノッチを通ってバイパスすることを防止する有効な手段を提供することができる。
【0019】
シールは、主に触媒キャリアの周りの材料のバイパスを防止又は低減するように機能する。実際には、シールは、すべてのバイパスを防止する必要はない。許容され得るバイパスの程度は、用途及び管当たりに存在する触媒キャリアの数によって決まる。触媒キャリアの周りの材料のバイパスは、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満、より好ましくは2体積%未満である。
【0020】
シールはまた、管の内壁に対して抵抗力を提供するように機能してもよい。抵抗力は、望ましくは、触媒を収容する触媒キャリアが追加の支持なしで管内の定位置に留まるようなものである。自己支持型触媒キャリアは、いくつかの用途において有利であり得る。
【0021】
シールはまた、触媒キャリア及びそれが配置される管の内壁の周囲の空間が均一であるように、管内で触媒キャリアを中心に置くように機能してもよい。センタリングは、熱伝達及び管を通る材料の効率的な流れを助ける。
【0022】
第1のシール層及び第2のシール層は、互いに重なってもよい。任意選択的に、第1及び第2のシール層は、設置前にキャリア上で面接触していてもよい。挿入前に各シール層の間に軸方向の隙間を設けてもよいが、バイパスを最小限に抑えるために、反応管内への設置時にシール層が面接触(又は少なくとも実質的に面接触)していることが好ましい。
【0023】
第1のシール層及び第2のシール層は、別個のシール要素を備えてもよい。あるいは、第1のシール層及び第2のシール層は、一体型シール要素の第1の部分及び第2の部分を構成してもよい。任意選択的に、一体型シール要素は螺旋状要素であってもよい。
【0024】
第1のシール層及び第2のシール層の各々は、その複数の偏向可能な舌部を形成するノッチ付き外縁部を備えてもよい。例えば、各シール層は、単一片のシート材料から形成されてもよい。ノッチ付き外縁部は、切断、スタンピングなどの適切な手段によって形成されてもよい。所望であれば、シールに対して追加のステップを実行して、バリを除去するか、形状が形成された後にシール材料の特性を変化させて、その弾性を変えてもよい。
【0025】
ノッチは、それぞれのシール層の外縁部に向かって平行であるか又は分岐する側壁を備えてもよい。ノッチは、U字形又はV字形であってもよい。ノッチの形状は、製造を容易にするために変更されてもよい。例えば、スタンピングプロセスに適合されたU字形を使用することができる。隣接するシールのノッチ形状は、同じであっても異なっていてもよい。有益なことに、ノッチの側壁間に初期間隔を設けることは、シール層が反応管壁によって変形されるときに、ノッチが座屈することなく少なくとも部分的に閉じることを可能にし得る。
【0026】
第1のシール層及び第2のシール層は、容器から垂直に延在してもよい。あるいは、第1のシール層及び第2のシール層の舌部の少なくとも遠位端は、容器の端部に向かって角度を付けられてもよい。このような配置は、触媒キャリアの反応管への挿入の容易さを改善し得る。
【0027】
第1のシール層及び第2のシール層は、環状要素を備えてもよい。環状要素は、反応管の内面の形状に適合してもよい。環状要素は円形であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、触媒キャリアは、3つ以上のシール層を備えてもよく、各シール層は、ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部を備え、各シール層は、各シール層のノッチが他のシール層のうちの少なくとも1つが有する偏向可能な舌部と位置合わせされ得るように、他のシール層のうちの少なくとも1つに対して触媒キャリアの長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされてもよい。任意選択的に、各シール層のノッチは、一方又は両方の隣接するシール層の偏向可能な舌部と位置合わせされてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、触媒キャリアは、4つ、5つ、又は6つのシール層を備えてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、シール層は、触媒キャリアに個別に取り付けられてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ以上のシール層の内縁部は、互いに取り付けられてもよい。取り付けは、シール層が容器に取り付けられる前又は後に行われてもよい。
【0032】
各シール層は、シール層の互いに対する相対的な回転位置合わせを保持するために、容器上の相補的なキー溝又はキーと係合するためのキー又はキー溝を備えてもよい。有益なことに、これは、異なるシール層の偏向可能な舌部及びノッチの正確な位置合わせを確実にするのに役立ち得る。
【0033】
各容器は、下端における底面と、上端における上面と、底面と上面との間に延在するキャリア外壁とを備えてもよい。シール層は、キャリア外壁及び/又は上面に取り付けられてもよい。
【0034】
キャリア外壁は、複数の開口を備えてもよく、シール層は、複数の開口の上方でキャリア壁に取り付けられてもよい。
【0035】
各容器は、使用時に触媒を保持するための環状チャンバを更に備えることができ、当該環状チャンバは、内側チャネルを画定する有孔内側チャンバ壁と、有孔外側チャンバ壁と、環状チャンバを閉鎖する上面と、環状チャンバを閉鎖する底面とを有することができる。
【0036】
第1のシール層及び第2のシール層の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なる厚さは、例えば可撓性、剛性、圧縮性などを含む、異なる特性を伴う異なるシール層を構成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、各シール層の厚さは、15ミクロン~500ミクロン(0.015mm~0.5mm)である。シール層は、同じ厚さを有してもよいし、異なる厚さを有してもよい。例えば、より厚い下側/外側シールは、取り扱い中の挿入抵抗及び堅牢性を提供し、より薄い第2の上側/内側シール層は、第1の層に対してシールするための可撓性を提供する。
【0037】
第1のシール層及び第2のシール層の材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、シール層は、管状反応器の意図された反応に対して非反応性である材料から形成される。例えば、材料は、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、他の合金、又は反応条件に耐えることができる任意の材料であってもよい。
【0038】
本開示の第2の態様では、管状反応器の反応管内に触媒キャリアを設置する方法が提供され、方法は、
i)触媒キャリアを反応管内に押し込むように構成された可動ラムを備える設置ツールを提供するステップと、
ii)触媒キャリアの容器が反応管内に受容されるように、可動ラムを使用して触媒キャリアを反応管内に押し込むステップと、
iii)触媒キャリアを反応管に押し込むことにより、触媒キャリアのシールを反応管の内面に接触させて変形させ、シールの少なくとも第1のシール層及び第2のシール層が、シールと内面との接触により変形するステップと、を含む。
【0039】
第1のシール層及び第2のシール層は、両方とも複数のノッチを備えてもよく、触媒キャリアを反応管に押し込むことにより、ノッチを少なくとも部分的に閉じることができる。
【0040】
第1のシール層及び第2のシール層は両方とも、ノッチによって分離された複数の偏向可能な舌部を備えてもよく、触媒キャリアを反応管内に押し込むことにより、第1のシール層及び第2のシール層のうちの一方の複数の偏向可能な舌部が、第1のシール層及び第2のシール層のうちのもう一方のノッチを少なくとも部分的にシールすることができる。
【0041】
シールは、触媒キャリアの重量及び強度に応じて、100Nまでの挿入に対する抵抗力を提供することができる。最小抵抗力は、触媒を収容する触媒キャリアの重量に等しくてもよい。いくつかの実施形態では、抵抗力は、0.5Nより大きく70N未満、好ましくは15Nより大きく50N未満であってもよい。
【0042】
シールは、触媒キャリアに固定されてもよいし、触媒キャリアに取り外し可能に取り付けられてもよい。取り外し可能に取り付けられたシールは、例えば触媒充填中又は輸送中にシールが損傷又は変形した場合に有利であり得る。
【0043】
本方法及び触媒キャリアは、広範囲のプロセスに有用に使用され得る。好適な用途の例としては、メタノールの製造のための反応、アンモニアの製造のための反応、メタン化反応、シフト反応、無水マレイン酸の形成のような酸化反応、及びエチレンオキシド反応などの発熱反応のためのプロセス及び反応器が挙げられる。特に好ましい使用は、フィッシャー・トロプシュ反応を実施するためのプロセス及び反応器である。
【0044】
予備改質、脱水素などの吸熱反応も、本発明の方法及び触媒キャリアと共に実施することができる。
【0045】
本開示の触媒キャリアは、意図される反応に好適な任意の触媒で充填されても、部分的に充填されてもよい。例えば、フィッシャー・トロプシュ触媒をフィッシャー・トロプシュ反応に使用することができる。コバルト含有フィッシャー・トロプシュ触媒が好ましい。触媒は、触媒粒子又は触媒モノリスとして提供されてもよい。触媒は、単一の触媒床又は複数の触媒床として提供され得る。触媒キャリアは、触媒を通る軸方向及び/又は半径方向の流れを促進するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、触媒キャリアは、触媒を通る半径方向の流れを優先的に促進するように構成されてもよい。
【0046】
本開示の触媒キャリアは、任意の適切な材料から形成され得る。このような材料は、一般に、管状反応器の操作条件に耐えるように選択される。触媒キャリアは、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、他の合金、又は反応条件に耐えることができる任意の材料から製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
次に、添付の図面を参照して本開示の実施形態を例としてのみ説明する。
図1】触媒キャリアの斜視図である。
図2図1の触媒キャリアの断面図である。
図3図1の触媒キャリアの分解斜視図である。
図4】触媒キャリアのシール層の平面図である。
図5】複数のシール層の配置を示す概略側面図である。
図6】触媒キャリアの第1のシール層及び第2のシール層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、本開示の態様及び実施形態を、単に例として、触媒キャリアの例示的な構成を参照して説明する。しかしながら、本開示によれば、触媒キャリアは様々な一般的な形態をとり得ることが理解されるであろう。例えば、本明細書に記載された実施例と同様に、触媒キャリア10は、国際公開第2011/048361号、国際公開第2012/136971号、及び国際公開第2016/050520号に開示されているものを含むがこれらに限定されない他の一般的な形態をとってもよく、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
更に、本明細書において、例えば、上部、底部、上側、下側、上方、下方などの用語が有する向きへの言及は、参照されている図面に示されているような部品の向きに関して使用されているが、実際の使用においてそのような部品の潜在的な向きを制限するものと見なされるべきではない。例えば、垂直に向けられるものとして説明された部品は、水平に向けられてもよい。
【0050】
本開示による触媒キャリア10の一例が、例として図1図3に示されている。
【0051】
触媒キャリア10は、一般に、使用時にそれが配置される反応管の内部寸法よりも小さい寸法であるようなサイズの容器を備えてもよい。典型的には、触媒キャリア10が反応管内の所定の位置にあるときに反応管の内壁と相互作用するようなサイズのシールが設けられる(以下で更に説明する)。キャリアの長さ及び直径などのパラメータは、異なる反応及び反応管の構成に対応するように選択されてもよい。
【0052】
図1図3に示すように、触媒キャリア10は、使用時に触媒の粒子を保持するための容器100を備えてもよい。容器100は、一般に、容器100の下端を閉鎖する底面101と、容器100の上端にある上面102とを有することができる。キャリア外壁103は、底面101から上面102まで延在してもよい。シール104は、キャリア外壁103を越えて延在する距離だけ容器100から延在してもよい。キャリア外壁103は、シール104の下方に位置する開口105を有してもよい。
【0053】
図2に示すように、少なくともいくつかの実施形態では、触媒キャリア10は、より具体的には、使用時に触媒を保持するための環状容器110を備えてもよい。環状容器110は、内側チャネル112を画定する有孔内側容器壁111と、有孔内側容器壁111の周りに同心円状に配置され得る有孔外側容器壁113とを備えてもよい。環状上面114は、環状容器110の上端を閉鎖することができ、環状底面115は、環状容器110の下端を閉鎖することができる。内側チャネル112の下端は、内側チャネル112の下端に設けられ得る1以上の排出開口(図示せず)を除いて、チャネル端面116によって閉鎖されてもよい。チャネル端面116は、内側容器壁111と一体的に又は別個に形成されてもよい。
【0054】
図3の分解図に示されるように、触媒キャリア10は、例えば溶接を含む任意の適切な手段によって一緒に組み立てられ得るいくつかの個々の構成要素から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような構成要素は、有孔内側管120、有孔中間管121、外側管122、底部キャップ123、環状上部リング124、上部キャップ125、及び1つ以上の環状シール層126、127を含むことができる。
【0055】
触媒キャリア10は、任意の適切な材料で形成されてもよい。このような材料は、一般に、反応器の動作条件に耐えるように選択される。一般に、触媒キャリアは、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、他の合金、又は反応条件に耐えることができる任意の材料から製造される。
【0056】
構成要素(環状シール層126、127以外)の好適な厚さは、約0.1mm~約1.0mm程度、好ましくは約0.3mm~約1.0mm程度である。
【0057】
有孔内側管120は、有孔内側容器壁111を備えてもよい。有孔中間管121は、有孔外側容器壁113を備えてもよい。外側管122は、キャリア外壁103を備えてもよく、開口105を画定することができる。底部キャップ123は、底面101及び/又は環状底面115を備えてもよい。底部キャップ123はまた、チャネル端面116を含むように有孔内側管120を横切って延在してもよい。環状上部リング124及び上部キャップ125は、環状上面114を含むことができ、上面102の少なくとも一部を含むことができる。
【0058】
有孔内側管120及び有孔中間管121における孔のサイズは、触媒を環状容器110内に保持しながら、触媒を通る反応物及び生成物の均一な流れを可能にするように選択される。したがって、それらのサイズは、使用される触媒粒子のサイズに依存することが理解されるであろう。別の構成では、孔は、触媒が環状容器110内に保持されることを確実にするために、より大きいが、孔を覆うフィルタメッシュを有するようなサイズであってもよい。
【0059】
孔は、任意の好適な構成であってもよいことが理解されるであろう。実際、壁又は管が有孔と記載されている場合、必要なことは、反応物及び生成物が壁又は管を通過できるようにする手段が存在することだけである。
【0060】
シール104は、少なくとも第1のシール層126及び第2のシール層127を備えてもよい。シール104は、3つ以上のシール層126、127を備えてもよい。例えば、それは4つ、5つ又は6つのシール層を備えてもよい。
【0061】
図4は、1つのシール層126の例を示す。図5は、シール104を形成するために複数のシール層126a~126fがどのように設けられ得るかを示す。図6は、2つのシール層126、127から形成されたシール104の別の例を示す。
【0062】
シール層126、127は、一体型シール要素、例えば、螺旋状要素の部分を構成してもよい。あるいは、図4図6に示すように、各シール層126、127は、別個のシール要素を備えてもよい。
【0063】
第1のシール層126及び第2のシール層127は、互いに重なり合っている。好ましくは、層126、127は面接触している。
【0064】
各シール層126、127は別個のシールリングを備えてもよい。
【0065】
各シール層126、127は可撓性であってもよい。
【0066】
各シール層126、127は環状要素を備えてもよい。各環状要素の外縁部は、概して、反応管の内面の形状に一致するように構成されてもよい。
【0067】
環状要素は円形であってもよい。いくつかの例では、外径は80~90mm、任意選択的に約85mmであってもよい。環状要素は、触媒キャリア10の容器を受け入れるための中央開口部162を有することができる。中央開口部162は、55~65mm、任意選択的に約60mmの直径を有することができる。
【0068】
外径は、触媒キャリア10が設置される反応管の内径を考慮して、触媒キャリア10の所望の挿入力を達成するように選択されてもよい。好ましくは、触媒を収容する触媒キャリアの重量より大きい、100N未満の挿入抵抗が望ましい。
【0069】
各シール層126、127は、ノッチ161によって分離された複数の偏向可能な舌部160を備える。したがって、第1のシール層126及び第2のシール層127(及び任意の追加のシール層)の各々は、ノッチ付き外縁部163を備えてもよい。
【0070】
各シール層126、127は、5~80個の偏向可能な舌部160、任意選択的に8~60個の偏向可能な舌部160、任意選択的に約40個の偏向可能な舌部160を備えてもよい。
【0071】
偏向可能な舌部160の各対は、1つのノッチ161によって分離されてもよい。
【0072】
各シール層126、127は、単一片のシート材料から形成されてもよい。ノッチ付き外縁部163は、切断、スタンピングなどの適切な手段によって形成されてもよい。
【0073】
各シール層126、127の材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。各シール層126、127は、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、他の合金、又は反応条件に耐えることができる任意の材料から形成されてもよい。
【0074】
各シール層126、127の厚さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、可撓性、剛性、圧縮性などを含む異なる特性を有する異なるシール層を構成するために、異なる厚さが使用されてもよい。各シール層126、127は、必要な挿入力及び偏向可能な舌部160の可撓性を達成するように選択される厚さを有してもよい。いくつかの例では、各シール層126、127の厚さは、15ミクロン~500ミクロン(0.015mm~0.5mm)であってもよい。
【0075】
ノッチ161は、図4の例のような比較的狭い幅から、図6の例のような比較的広い幅まで変化してもよい。
【0076】
ノッチ161は、それぞれのシール層126、127の外縁部に向かって平行であるか又は分岐する(図6に最も明確に見られる)側壁164を備えてもよい。ノッチ161は、U字形又はV字形であってもよい。
【0077】
第2のシール層127は、好ましくは、第2のシール層127のノッチ161が第1のシール層126の偏向可能な舌部160と位置合わせされるように、第1のシール層126に対して触媒キャリア10の長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされる。
【0078】
第1のシール層126及び第2のシール層127は、容器100から垂直に延在してもよい。あるいは、第1のシール層126及び第2のシール層127は、容器100の上端に向かって、例えば上面102に向かって角度が付けられてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、触媒キャリア10は、3つ以上のシール層126、127を備えてもよく、各シール層は、ノッチ161によって分離された複数の偏向可能な舌部160を備える。各シール層126、127は、各シール層126、127のノッチ161が他のシール層126、127のうちの少なくとも1つが有する偏向可能な舌部160と位置合わせされ得るように、他のシール層126、127のうちの少なくとも1つに対して触媒キャリア10の長手方向軸を中心に回転方向にオフセットされてもよい。好ましくは、各シール層126、127のノッチ161は、一方又は両方の隣接するシール層126、127の偏向可能な舌部160と位置合わせされてもよい。例えば、図5に示すように、シール層126cのノッチ161は、シール層126b及び126dの両方の偏向可能な舌部160と位置合わせされる。
【0080】
シール層126、127の内縁部は、互いに取り付けられてもよい。取り付けは、シール層126、127が例えば溶接によって容器100に取り付けられる前又は後に行われてもよい。
【0081】
各シール層126、127は、シール層126、127の互いに対する相対的な回転位置合わせを保持するために、容器100上の相補的なキー溝又はキーと係合するためのキー又はキー溝(図示せず)を備えてもよい。
【0082】
各シール層126、127の内側部分は、上部キャップ125と環状上部リング124との間に挟まれて保持されるクランプ面を画定することができる。
【0083】
図1図3に戻ると、底面101、例えば底部キャップ123は、別の触媒キャリア10の上端と係合するように成形されてもよい。例えば、底面101は、有孔内側管120の周りに環状凹部130を備えてもよい。上部キャップ125は、別の触媒キャリア10の環状凹部130に係合するように成形されてもよい。例えば、上部キャップ125は、環状プラグ本体132から立ち上がる環状リング131を備えてもよい。環状リング131は、環状凹部130内に受容されるような形状及びサイズであってもよい。
【0084】
底面101、例えば、底部キャップ123及び/又はチャネル端面116は、1つ以上の排出孔を含んでもよい。1つ以上の排出孔が存在する場合、それらはフィルタメッシュによって覆われてもよい。
【0085】
環状上部リング124は、外側管122の上端に係合するような形状及びサイズであってもよい。上部キャップ125の環状プラグ本体132は、環状上部リング124の中央開口と係合するように構成された外径を有することができる。上部キャップ125と環状上部リング124との係合は、シール104のシール層126、127を挟んで適所に保持するように機能することができる。
【0086】
上部キャップ125は、液体及びガスが内側チャネル112の上端に入ることを可能にするために、環状プラグ本体132内に中央入口134を備えてもよい。環状リング131は、液体及びガスが中央入口134に到達することを可能にする側方開口133を備えてもよい。
【0087】
上部キャップ125及び環状上部リング124は共に、環状容器110の上端を閉鎖するために使用され得る触媒キャリア10の蓋を構成してもよい。あるいは、単一の構成要素から形成された蓋が使用されてもよい。
【0088】
キャリア外壁103は、平滑であってもよく、又は成形されていてもよい。好適な形状としては、プリーツ、波形などが挙げられる。
【0089】
キャリア外壁103の開口105は、任意の構成であってもよい。いくつかの実施形態では、開口105は、穴又はスロットであってもよい。
【0090】
キャリア外壁103は、シール104の上方に続いてもよい。したがって、シール104は、触媒キャリア10の上部に、任意選択的に上面102の一部として配置されてもよく、又は、キャリア外壁103の開口105の上方に配置されるならば、キャリア外壁103上の適切な点に配置されてもよい。
【0091】
使用時には、触媒キャリア10は、任意の適切な手段によって反応管内に設置することができる。触媒キャリア10は、可動ラムを使用して反応管内に押し込むことができる。挿入の間、触媒キャリア10のシール104は、反応管の内面に接触して変形する。特に、触媒キャリア10を反応管に押し込むことにより、シール104の第1のシール層126及び第2のシール層127は、反応管の内面によって係合されるので、互いに接触するように偏向される。
【0092】
第1のシール層126及び第2のシール層127の変形によって、一方又は両方の層のノッチ161が少なくとも部分的に閉じ得る。好ましくは、第1のシール層126及び第2のシール層127のうちの少なくとも一方の複数の偏向可能な舌部160は、第1のシール層126及び第2のシール層127のうちのもう一方のノッチ161を少なくとも部分的にシールする。
【0093】
シール104は、触媒を収容する触媒キャリアの重量より大きい、100N未満の挿入に対する抵抗を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】