(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ステンシル作成のためのプラテン及び放出流体制御システム
(51)【国際特許分類】
B41C 1/14 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B41C1/14 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511577
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2021060517
(87)【国際公開番号】W WO2022033732
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/072899
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519245622
【氏名又は名称】デュラルクローム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーウェル、ジョン セシル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルモン、シュロモ
【テーマコード(参考)】
2H084
【Fターム(参考)】
2H084AA30
2H084BB07
2H084BB08
2H084BB13
2H084CC10
(57)【要約】
スクリーンステンシルを作成するためのダイレクトツーメッシュ(DtM)スクリーンプリンタが提供される。DtMスクリーンプリンタは、噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定の位置に保持する、フレームを保持するための固定具と、キャビティとその上面における穴の配列とを有するプラテンと、プラテンの上面上に配置されるとともに予め延伸されたメッシュの一方側に当て付いて位置される放出流体で飽和される不織布と、不織布とは反対側の予め延伸されたメッシュの側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッドを支持するプリンタキャリッジとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンステンシルを作成するためのダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタであって、
予め延伸されたメッシュ上への噴射可能なエマルジョンの塗布中に前記予め延伸されたメッシュを所定位置に保持するためのフレームと、
前記フレームを保持するための固定具と、
キャビティと、穴の配列で穿孔された上面とを有するプラテンであって、前記キャビティが前記穴を通じて分配されるべき放出流体を保持する、プラテンと、
前記穿孔された上面に配置されるとともに、前記穴を通じて分配されて前記予め延伸されたメッシュの一方側に対して均一に分布した放出流体層を形成する前記放出流体を受けるように位置される不織布と、
前記プラテンの前記キャビティ内に前記放出流体を分配して前記放出流体層を形成するための放出流体制御システムと、
前記プラテンとは反対側の前記予め延伸されたメッシュの側に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するための印刷ヘッドを支持するプリンタキャリッジと、
を含むダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項2】
前記固定具は、前記噴射可能なエマルジョンの塗布中に前記フレームを前記予め延伸されたメッシュと共に所定の位置に確実に強固に保持する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項3】
前記プラテンは、前記放出流体を受けるための少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの前記キャビティ内へ放出流体を分配するための少なくとも1つの出力ポートとを有する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項4】
前記プラテンの前記穿孔された表面の前記穴が、少なくとも1つの前記キャビティまで延在する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項5】
前記不織布及び前記プラテンの上面は平坦であり、それにより、前記均一に分布した放出流体層及び前記噴射可能なエマルジョンから形成されたステンシルの平坦な底面を形成する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項6】
前記不織布は、前記穴を通じて押し進められた前記放出流体で飽和され、前記不織布上に前記均一に分布した層を形成する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項7】
前記不織布が親水性材料を含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項8】
前記放出流体は、硬化後の前記噴射可能なエマルジョンのための滑らかで非反応性の表面をもたらしつつドットゲインを抑制する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項9】
前記放出流体は、水と、前記放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項10】
前記噴射可能なエマルジョンは、約4cP~約15cPの低い粘度を有し、耐久性及び可撓性/弾性の両方を有する、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項11】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである、請求項8に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項12】
前記噴射可能なエマルジョンを硬化させてスクリーン印刷用のステンシルを形成するためのUV源を更に含む、請求項1に記載のダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタ。
【請求項13】
噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定の位置に保持する、フレームを保持するための固定具と、キャビティとプラテンの上面における穴の配列とを有するプラテンと、前記上面上に位置されるとともに前記予め延伸されたメッシュの一方側に当て付いて位置される平坦な不織布と、前記プラテンとは反対側の前記予め延伸されたメッシュの側に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッドを支持するプリンタキャリッジとを含む、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタと、
前記フレームを前記固定具に配置するステップと、
放出流体が前記穴を通過して前記不織布を飽和させ前記不織布の上面に均一に分布した放出流体層を形成するように前記プラテンの前記キャビティ内に前記放出流体を分配するステップと、
前記放出流体層内の前記放出流体が前記メッシュの下面を濡らすように、前記プラテンと前記メッシュとを1つにまとめるステップと、
前記メッシュ上に前記噴射可能なエマルジョンを印刷するステップと、
UV放射線を使用して前記噴射可能なエマルジョンを硬化させるステップと、
を含むプロセス。
【請求項14】
硬化後の前記噴射可能なエマルジョンがスクリーンステンシルを形成し、前記スクリーンステンシルの開口が表面上に画像を形成するために使用されるようになっている、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記放出流体は、その硬化後に前記噴射可能なエマルジョンに付着しない状態でドットゲインを抑制する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記放出流体は、水と、前記放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである、請求項13に記載のプロセス。
【請求項18】
前記メッシュ上に前記噴射可能なエマルジョンを印刷する前記ステップは、前記均一に分布した放出流体層と前記平坦な不織布とが前記噴射可能なエマルジョンから形成されるステンシルの平坦な底面を形成することを含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項19】
前記不織布が親水性材料を含む、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2020年8月14日に出願されたPCT出願第PCT/EP2020/072899号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、ブロッキングステンシルとも呼ばれるスクリーン印刷ステンシルによってインクを透過させないようにされる領域を除き、メッシュを使用してインクを基板上に転写する印刷技術である。ブレード又はスキージが、開放メッシュ開口部をインクで満たすためにスクリーンを横切って移動され、その後、逆行程が、スクリーンを接触線に沿って瞬間的に基板に接触させる。これにより、ブレードが通過した後にスクリーンが跳ね返るときに、インクが基板を濡らしてメッシュ開口部から引き出される。
【0003】
スクリーン印刷ステンシルの作成は、面倒で労働集約的な作業である。その作業は、幾つものプロセスステップ、化学製品、大量の水を必要とし、大部分が手動である作業である。それは、現在のスクリーン印刷ビジネスの最も自動化されていない部分である。
【0004】
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって明らかになり、図面中、同様の参照番号は、おそらく同一ではないが、同様の構成要素に対応する。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面に関連して説明されてもされなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の一例に係るダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを示す。
【
図2A】プラテン、フレーム及び固定具の上面図を示す。
【
図2B】
図2Aに示されるプラテン、フレーム、及び固定具の断面図を示す。
【
図2C】
図2Aに示されるプラテン、フレーム、及び固定具の断面図を示す。
【
図3】プラテン並びにプラテンの天板及び底板の上面図を示す。
【
図4A】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図4B】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図4C】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図4D】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図4E】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図4F】本開示の一例に係る、ダイレクトツーメッシュスクリーンプリンタを使用するスクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図5】エマルジョンによるメッシュのストランド(又は糸)の封入を助けるための放出流体の毛細管挙動の断面図を示す。
【
図6】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
【
図7】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
【
図8】本開示の一例に係る放出流体制御システムを示す。
【
図9】本開示の一例に係るスクリーン印刷の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
スクリーン印刷用のステンシルを形成するためにメッシュを直接コーティングするための以前の解決策の幾つかの例がある。ここで、これらについて説明する。
【0007】
メッシュ調製及びコーティング:
【0008】
エマルジョンの直接塗布:これは機械又は手のいずれかで行われる。スクリーンの両面は、適切な被覆を確保するためにエマルジョンでコーティングされなければならない。機械又は自動バージョンは、厳密には人間に取って代わる機械である。機械は、正確な量のエマルジョンを塗布し、均一な被覆率を得るのにはるかに正確である。機械は、一般に、廃棄物が少ない。
【0009】
毛細管フィルム:これらは、エマルジョンでプレコーティングされるフィルムである。メッシュを水で過飽和にし、フィルム(エマルジョン面下)を過飽和メッシュに当接させる。毛細管作用により、エマルジョンがメッシュ内に引き込まれる。これにより、厚さ及びカバーの両方において、エマルジョンのより正確なコーティングが得られる。エマルジョンがメッシュ内に拡散したら、フィルムを剥離する。
【0010】
スクリーンメッシュが乳化されたら、乾燥させなければならない。乾燥すると、ステンシルの画像転写又は作製の準備が整う。エマルジョンが乾燥すると、それは収縮してメッシュに適合し、粗い不均一な表面を引き起こす。(この粗い表面は、印刷プロセス中にスキージの劣化を加速させる。)
【0011】
今日の殆どのエマルジョンは、紫外線(UV)放射(すなわち、UV活性化)によって活性化されるが、可視光で活性化されてもよい。コーティングされると、ステンシルは、光へのいかなる暴露からも保護されなければならない(通常の可視光でさえ、硬化プロセスを開始するのに十分なUVを有する)。以下、エマルジョンはUV活性化/硬化したものとする。
【0012】
フィルムポジティブインク:透明なプラスチックシート上に完全に黒色のUV吸収剤層が印刷される。印刷は、通常、特殊なフィルムポジティブインク(フィルムポジティブインクとは、可視光及びUV光を完全に遮断する不透明度の高い黒色インクを意味する)を用いたレーザ又はインクジェットプリンタによって行われる。次いで、フィルムをプレコートメッシュに取り付け、UV光に曝露する。取り付けは、通常、取り外し可能なテープ(マスキングテープなど)によるものである。露光したら、フィルムを除去し、未硬化エマルジョンを洗い流す。
【0013】
しかしながら、この手法は全ての段階で非常に労働集約的であり、多くのステップを自動化することは不可能である。更に、それは、フィルムを取り付ける間、正しいフィルムを使用する間、印刷前に最終的なステンシルを調整する間などにエラーを起こしやすい。多くの化学薬品及び洗浄、並びに多くの消耗品(インク、フィルム)が必要とされる。
【0014】
熱スクリーン:この方法では、メッシュが熱活性化エマルジョンでプレコーティングされる。一般に、メッシュ(フレームを伴わない)をサーマルプリンタに入れ、エマルジョンを直接硬化/活性化する。完了したら、未露光エマルジョンを洗い流し、ステンシルをフレームに取り付け、印刷する。
【0015】
しかしながら、この手法は、限られたメッシュ数に悩まされる。また、エマルジョンは、一般に、それほど堅牢ではない。前処理されたメッシュは高価である。ステンシル位置合わせは、より集中的である。最後に、ステンシルは、取り付けられている間に損傷する可能性がある。
【0016】
コンピュータ-スクリーン(CtS):
【0017】
CtS-印刷:この方法では、コーティングされたメッシュが、高不透明度の黒色インクで乳化スクリーン上に直接印刷される。これは、フィルムを伴わないフィルムポジティブインクと同様である。全てのプロセスは同じである。
【0018】
しかしながら、これらの機械は、通常のインクジェットインクよりも高価である高不透明度インクを必要とする。
【0019】
CtS-ワックス:この方法は、CtS-Printedに近いが、ワックスを使用してUV光を遮断する。他は全て同じである。
【0020】
しかしながら、溶融ワックスの使用に起因して、これらの機械は穏やかであり得る。更に、それらは、ワックスを加熱してメッシュに塗布することを必要とする。
【0021】
CtS-直接露光:この技術は、UVレーザを使用してエマルジョンを直接露光する。
【0022】
しかしながら、この技術で使用される機械は、一般に非常に高価である。更に、このプロセスは、粗いグレードのメッシュでは同様に機能しない。最後に、UVレーザは、交換が必要な場合、依然として非常に高価である。
【0023】
上記の方法のそれぞれは、何らかの後処理/フォローアップを必要とする。熱活性化及びCtS直接露光を除いて、全てのステンシルは、画像ブロッキングが適用された後に露光されなければならない(フィルム又はCtS印刷及びワックスのいずれか)。このプロセスは、例えば、強力な開発者の場合、スクリーンあたり少なくとも約1~2分かかる。
【0024】
全てのスクリーンは、過剰なエマルジョンを洗い流さなければならない。エマルジョンが排液システムに入らないように注意しなければならない。スクリーンは洗浄後に完全に乾燥させなければならない。
【0025】
フィルム及び熱活性化方法の場合、適切な位置合わせを確保するために、完成したステンシルは、カルーセル上に配置されたときに微調整されなければならない。
【0026】
本開示:
【0027】
現在の技術の前述の説明から、より少ない化学物質及びより少ない水を使用するより単純な手法が望ましいことは明らかである。
【0028】
ダイレクトツーメッシュ(DtM)手法を使用して、インクジェット技術を用いてエマルジョンをスクリーン上に直接塗布し活性化/露光することによってステンシルを形成する。特に、本明細書の教示によれば、DtMスクリーンプリンタは、
予め延伸されたメッシュ上への噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュを所定位置に保持するためのフレームと、
フレームを保持するための固定具と、
キャビティと、穴の配列で穿孔された上面とを有するプラテンであって、キャビティが穴を通じて分配されるべき放出流体を保持する、プラテンと、
穿孔された上面に配置されるとともに、穴を通じて分配されて予め延伸されたメッシュの一方側に対して均一に分布した放出流体層を形成する放出流体を受けるように位置される不織布と、
プラテンのキャビティ内に放出流体を分配して放出流体層を形成するための放出流体制御システムと、
プラテンとは反対側の予め延伸されたメッシュの側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印刷ヘッドを支持するプリンタキャリッジと、
を含む。
【0029】
本明細書に開示及び特許請求の範囲に記載されるように、本明細書の教示によれば、不織布は、化学的、機械的、又は熱的プロセスを使用して、絡み合った繊維の結合又はフィルムの穿孔により作成された平坦な多孔性シート又はウェブ構造材料である。プラテンは、穿孔された上面を含み、不織布によって吸収された放出流体のレベルを導入して維持するために使用される。不織布は、穿孔された上面を通じて拡散した放出流体を急速に吸収して飽和するようになる。不織布は、予め延伸されたメッシュに対する放出流体の均一な分布を維持する。放出流体制御システムは、放出流体による不織布の飽和を制御し、それにより、エマルジョンをメッシュ上に印刷する間中、メッシュの本質的に一定の均一に分布した放出流体水分レベルを維持する。
【0030】
図1は、ダイレクトツーメッシュ(DtM)プリンタ100のブロック図を示す。DtMプリンタ100は、予め延伸されたメッシュ112及び不織布113を含むメッシュ支持システム110を含む。予め延伸されたメッシュは、フレーム114によって所定位置に保持される。不織布113は、プラテン124上に配置される。フレーム114は、固定具116によって保持される。固定具116は、噴射可能なエマルジョンの塗布中に、フレーム114を予め延伸されたメッシュ112と共に所定位置に確実に強固に保持する。他の構成において、フレーム114は、予め延伸されたメッシュ112及び不織布113を強固に保持する。
【0031】
本明細書で使用される場合、メッシュ112は、ここでは十字パターンで織られた、織物、繊維、金属、又は他の可撓性/延性材料の接続されたストランドから形成される。メッシュを構成する材料は、シルク;ポリエステル;ステンレス鋼等の金属;ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のプラスチック;又はガラス繊維を含む幾つかの織物のいずれかであってもよい。ストランドの直径は、スクリーン印刷で一般的な任意の直径であってもよく、メッシュサイズも、スクリーン印刷で一般的な任意のサイズであってもよい。より粗いメッシュは、一般に、より大きな直径(ゲージ)のストランドで織られており、エマルジョンのより厚い塗布を必要とする。
【0032】
不織布113は、実質的に均一な厚さを有する平坦な材料であり、化学的、機械的、熱的又は溶媒処理によって互いに結合された繊維から作られる。不織布113は、小さな繊維をシート又はウェブの形態で一緒に配置し、続いて繊維を機械的、熱的に結合することによって、又は温度を上昇させることによりウェブ上に結合剤を溶融することによって製造することができる。繊維は親水性であり、綿、セルロース、炭酸塩系材料、又は多くの異なる親水性材料のいずれかから作製され得る。不織布113は、放出流体122を保持する繊維間に穴又は開口を有する。
【0033】
DtMプリンタ100は、プラテン124によって予め延伸されたメッシュ112の下面に対して保持された放出流体122を含むプラテン支持システム120を更に含む。プラテン124は、放出流体122で飽和した不織布113を予め延伸されたメッシュ112の底部に対して強固に保持するための滑らかな平坦面を提供する。プラテン124は、穴が穿孔されて、滑らかであり、凹み及び亀裂に耐える表面を含む。プラテン124は、予め延伸されたメッシュ112に当て付く不織布113を飽和させるために穴を通じて押し進められる放出流体を貯蔵するためのキャビティを含む。また、プラテン124は、UV硬化源208(
図1には示されないが、
図2Dに示される)からエネルギーを散逸させるように作用することもできる。
【0034】
メッシュ112を配置する前に不織布113がプラテン124の穿孔された表面に当て付いて配置された時点で、放出流体122を不織布113に塗布することができる。例えば、放出流体制御システム126は、プラテン124のキャビティから不織布113内に放出される放出流体122の量を制御する。特に、放出流体制御システム126は、プラテン124の穿孔された上面を介して放出される放出流体の量を制御し、それにより、放出流体のメニスカス及び放出流体の毛細管作用によってエマルジョンがメッシュの糸の周りに巻き付くことができるように不織布113を飽和させる。
【0035】
放出流体122は、硬化性エマルジョンと反応しないことにより、印刷媒体中に広がる印刷流体の影響であるドットゲインを抑制する。ドットゲインは、エマルジョン流体が噴射された後に非常に迅速に硬化が起こるため、短時間だけ抑制される必要がある。
【0036】
最後に、DtMプリンタ100は、プリンタキャリッジ134に取り付けられた印字ヘッド132を含むインクジェットプリンタ130を含む。印字ヘッド132は、不織布113とは反対側の予め延伸されたメッシュ112の側に噴射可能なエマルジョンを印刷する。プリンタキャリッジ134は、噴射可能なエマルジョンを構築しながら、一回以上のパスにわたる正確な液滴配置をサポートするために、X直交方向及びY直交方向の両方において正確な高精度プリンタキャリッジである。実際に、エマルジョンは、非常に細かいものから非常に粗いものまで、広範囲のメッシュゲージに対応するように「構築」することができる。積層は、エマルジョンを構築するときに高分解能を維持するために使用することができる。
【0037】
印字ヘッド132は、サーマルインクジェット、圧電インクジェット、ドロップオンデマンドインクジェット、又は本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンを含む流体を噴射することができる他の適切な噴射印字ヘッドなどのインクジェット印字ヘッドであってもよい。
【0038】
任意の種類のものであってもよいスクリーンメッシュ112は、フレーム114上へと延伸される。不織布113がメッシュ112の下方で均一に分布した放出流体層を支持するように不織布113を飽和させるためにプラテン124の穿孔された表面を通じて分配された放出流体122と共にフレーム114がインクジェットプリンタ130に入れられる。次いで、噴射可能なエマルジョンは、インクジェットプリンタ130によってマスキング領域に塗布され、高強度UVランプ又はUV発光ダイオード(LED)などの他の適切なUV源で実質的に同時に露光される。UVランプ(又はLED)の波長は、最適な性能のために噴射可能なエマルジョンの反応範囲に調整することができる。本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンの場合、エマルジョンは395ナノメートル(nm)の波長で反応する。他の噴射可能なエマルジョンは、395nm未満を含む他の反応波長を有してもよい。粗いメッシュの場合、塗布は、必要なエマルジョン厚さを構築するためにマルチパス操作であってもよい。「粗いメッシュ」とは、緩い織りを有し、したがって細かいメッシュスクリーンよりもストランド間の隙間が大きいメッシュを意味する。メッシュ数は、tpi(1インチ当たりの糸数)又はT(1センチメートル当たりの糸数)のいずれかとして与えられる。例えば、335tpi(130T)メッシュ数は細かいメッシュであると考えられ、一方、110tpi(43T)メッシュ数は粗いメッシュであると考えられ、ここでメッシュ数は平方インチ当たりの糸交差の数である。110tpi(43T)は、一般的なテキスタイル印刷に最も一般的に使用される。
【0039】
本明細書に開示されるダイレクトツーメッシュ(Direct to Mesh)プロセスは、低粘度の噴射可能なエマルジョンの最近の開発によって可能になった。「低粘度」とは、約4センチポアズ(cP)~約15cP(約4ミリパスカル秒~約15ミリパスカル秒)の範囲を意味する。これらの噴射可能なエマルジョンは、UVプリンタで多種多様な材料にエンボス効果を作り出すために使用される。これらの新たな噴射可能なエマルジョンは、より弾性でもあるため、以前のエマルジョンの代替としてより容易に使用することができる。ステンシルを検証するために僅かなコントラストを提供するべくライトシアン又はライトマゼンタを使用することができるが、透明又は透明を含む任意の色を噴射可能なエマルジョンに使用することができる。
【0040】
本明細書に開示されるプロセスにおいて適切に使用され得る噴射可能なエマルジョンの例は、硬化後にエラストマー品質を伴うUV活性化アクリレートモノマーである。噴射可能なエマルジョンは、基板上に迅速に構築する高耐久性/耐性層の両方へと迅速に硬化する特殊なエンボス「ワニス」ポリマーである。また、硬化ポリマーは、耐久性があり、可撓性/弾性である(剛性であれば、使用中に容易に割れ、ステンシルを役に立たなくする)。VersaUV(Roland DG)技術は、本明細書の教示の実施に有用であり得る材料の一例である。
【0041】
放出流体122は、メッシュ112の下方に滑らかで非反応性の印刷面を提供する。また、放出流体は、印刷されたエマルジョンのドットゲインを制限するのにも役立つ。ドットゲインは、噴射された液滴(又はドット)がUV光源に対する暴露(すなわち、UV硬化)前に膨張又は広がるときに発生する。これは、ハーフトーンが使用される場合、すなわち、メッシュ内の全体よりも少ない空間がエマルジョンで充填される場合に特に重要である。しかしながら、ドットゲインは、エマルジョンが噴射された後にUV硬化が非常に迅速に起こるため、短期間だけ抑制される必要がある。
【0042】
放出流体122は、ドットゲインを管理する流体であり、放出流体122がメッシュ112からエマルジョンを持ち上げたり、溶解したり、分離したりしないように硬化エマルジョンと非反応性である。放出流体122のための流体は、表面張力、イオン混合物、極性又は非極性成分を変化させる界面活性剤又は湿潤剤の添加、又は流体が水性であるか非水性であるかどうかを含むがこれらに限定されない放出流体122の特定の特性を変更することによって、噴射可能なエマルジョンに関して変更又は調整することができる。
【0043】
放出流体122は、水のみ、又は放出流体の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤を伴う水系(例えば、蒸留水)であってもよい。乳化剤の例としては、界面活性剤として知られている乳化剤のクラスと共に、ポリソルベート、グリセリン及びグリコール、例えばブチルセロソルブが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、乳化剤は、放出流体122の蒸発を防止するために、少なくとも3体積%~5体積%の量で存在してもよい。放出流体122の更なる例としては、酢酸ブチル、キシレン、キシロール、ジメチルベンゼン、及びそれらの組み合わせなどの水系ワニスが挙げられる。
【0044】
現在の技術分野における大部分の調製物において、エマルジョンはかなり粗いものであり得る。これは、多くの場合、乾燥プロセス中にエマルジョンがメッシュに適合することによって引き起こされる。この粗いエマルジョン表面は、スキージで摩耗する可能性があり、スキージーブレードのリサーフェシング又は交換を必要とする。しかしながら、ダイレクトツーメッシュプロセスでは、噴射可能なエマルジョンがメッシュ内に構築されると、放出流体122が、メッシュストランドの封入を確保する(例えば、
図5及びその関連する説明を参照)。放出流体122による不織布113の飽和は、エマルジョンがメッシュ112と不織布113との間に平坦な表面を形成するようにする。
【0045】
メッシュ112に塗布されたエマルジョンはブロッキング領域にのみあるため、マスク領域へのUV光の反射からのオーバーシュート又は過剰露光のリスクは本質的に殆どない。これにより、はるかに滑らかでより鮮明な画像が提供される。(これらのオーバーシュート領域及び過剰露光領域は、画像内、特にエッジの周りにスポット又は液滴を生成する可能性がある。これらはピン穴の「逆」である。)
【0046】
穿孔された表面を有するプラテンの例が
図2A~
図3に示される。
【0047】
図2Aにおいて、プラテン124は、固定具116上に配置され、フレーム114によって取り囲まれる。固定具114は、印刷中にフレーム114及びプラテン124を所定位置に保持するクランプ(図示せず)を含むことができる。破線202及び204は、プラテン124の4つの内部キャビティ206~209を分離する内壁を特定する。一般に、壁202及び204などの壁は、プラテン124の内部の放出流体の流れを制御するためのものである。
図2Bは、プラテン124、固定具116及びフレーム114のA-A線方向の断面図を示す。断面図は、壁204によって分離されたキャビティ206及び207を示している。また、断面図は、プラテン124の上面210がキャビティ206及び207に通じる穴212で穿孔されることを示している。キャビティの容積を減少させ、各キャビティ内の放出流体の均一な分配を助けるために、キャビティにインサートを追加することができる。
図2Cは、インサート214及び216がそれぞれ内部キャビティ206及び207内に配置された、線A-Aで示される方向におけるプラテン124、固定具116、及びフレーム114の断面図を示す。インサート214及び216は、発泡体、プラスチック、又は木材から形成することができる。インサート214及び216は、放出流体の量を減少させる。
【0048】
プラテン124の各キャビティは、入力ポートを有し、出力ポートを有してもよい。特定の実施態様において、プラテン124は、入力ポートのみを有し、出力を有さなくてもよい。プラテン124がもはや使用されていないときに、放出流体の流れを制御し、放出流体を排出するために、出力ポートが含まれてもよい。出力ポートが含まれない場合、放出流体レベルを迅速に低下させるために、入力ポートは双方向である。また、プラテン124は、天板及び底板も備える。
【0049】
図3において、プラテン124は、天板302と底板304とに分離される。
図3は、底板304の長辺に沿って位置される入力ポート306a~306dと、底板304の短辺に沿って位置される出力ポート308a~308dとを示す。方向矢印310a~310dは、放出流体が入力ポート306a~306dを通じてキャビティ206~209に流入することを表す。方向矢印312a~312dは、キャビティ206~209から出力ポート308a~308dを通じた放出流体の流出を示す。拡大
図314は、底板304の長辺に位置される入力ポート306cを示す。他の実施態様において、出力ポートは、底板304の長辺に沿って位置されてもよく、入力ポートは、底板304の短辺に沿って位置されてもよい。更に他の実施態様において、入力ポート306a~306d及び/又は出力ポート308a~308dは、底板304の下面に位置されてもよい。拡大
図316は、底板304のキャビティ208の下方に位置される入力ポート306cの一例を示す。
【0050】
入力ポート及び出力ポートは、金属又はプラスチック製の返し付きの取付具であってもよい。例えば、底板304の長辺及び短辺、又は縁部に沿って位置された入力ポート及び出力ポートに関しては、真っ直ぐな返し付きの取付具を使用することができる。或いは、返し月のL字型取付具を下面取り付けのために使用できる。
【0051】
なお、底板304は、4つのキャビティに限定されない。他の実施態様において、底板304は、複数の入力ポート及び出力ポート(例えば、壁202及び204は省略される場合がある)を伴う単一のキャビティを含むことができる。他の実施態様では、底板304が2つのキャビティを有してもよく、各キャビティは、少なくとも1つの入力ポートと少なくとも1つの出力ポートとを有する。更に他の実施態様では、底板204が6つ以上のキャビティを有してもよく、各キャビティは、少なくとも1つの入力ポート及び少なくとも1つの出力ポートを有する。
【0052】
図3において、天板302は、天板の厚さを延長する穴の配列により穿孔される。拡大
図318は、天板302の上面を示す。天板302に位置された穴212は、放出流体の通過を可能にする。プラテン124の天板302は、滑らかで硬い平坦面をもたらす。放出流体がキャビティ206~209内に分配されて穴212の配列を通じて出現すると、天板302における穴212の分布は、放出流体がプラテン124の上面を均一にコーティングできるようにし、エマルジョンが塗布される均一で平坦な表面を確保するようにピンと張ったメッシュ112を穏やかに押す。「滑らか」とは、表面が規則的である限り、板302の表面が研磨/光沢又はつや消し/つや消しであることを意味する。
【0053】
プラテン124の穿孔された表面上に配置された不織布113を使用するダイレクトツーメッシュ(DtM)プロセスのステップの例が
図4A~
図4Fに示されており、
図4A~
図4Fは、プラテン124の穿孔された上面上に不織布113が配置されたDtM装置の断面図である。
【0054】
図4Aにおいて、フレーム114は、プラテン124を取り囲む。不織布113は、プラテン124の穿孔された上面に配置される。フレーム114を支持するための固定具116は、この図及び
図4B~
図4Eでは省略されている。フレーム固定具116は、当技術分野で現在使用されているものと同様である。
【0055】
図4Bにおいて、放出流体122は、プラテン124のキャビティを満たし、穴212を通って出現し、不織布113によって吸収される。不織布113は、放出流体によって飽和され、不織布113の上面113aに均一に分布した放出流体層402を形成する。以下、
図6及び
図7を参照して、プラテン124のキャビティ内及び不織布113内に放出流体を分配するための放出流体制御システムの例について説明する。
【0056】
図4Cでは、メッシュ112がフレーム114の上端にわたって配置される。プラテン124及び不織布113は、放出流体122の薄く均一に分布した放出流体層402が不織布113の表面113a上に支持された状態でメッシュ112の下方に位置される。幾つかの実施形態では、放出流体122の厚さが約20マイクロメートル(μm)であるが、いずれにせよメッシュのゲージよりも小さく、±0.5μm以内の平面度である。放出流体122は、メッシュ112をバックアップして、それが塗布される際に噴射可能なエマルジョンを良好に覆う。放出流体122は、不織布113への噴射可能なエマルジョンの付着を回避するように配合される。放出流体122の配合は、エマルジョンが不織布113に結合、反応、又は他の方法で付着するのを防ぐ。場合によっては、エマルジョンは、放出流体122と反応してもよいが、その相互作用/反応は、一般に、不織布113へのいかなる付着も可能にし得ない。不織布113に対する付着力がメッシュ112に対する接着力よりも大きい場合、エマルジョンはメッシュから離脱/剥離することができる。これにより、ピンホール又はベアパッチが発生する可能性がある。最悪の場合、それはメッシュを損傷させたり引き裂いたりする可能性がある。
【0057】
図4Dでは、プラテン124及び放出流体層402を伴う不織布113は、メッシュ112まで移動され、メッシュ112を締め付け、均一に分布した放出流体層402にメッシュ112の下面を押し込むことにより、エマルジョンを印刷するための滑らかで張力が付与された平らな表面がもたらされる。或いは、メッシュ112が取り付けられたフレーム114は、メッシュ112の下面が放出流体層402に押し込まれた状態で下方に移動されてもよい。メッシュ112は、不織布113に押し付けられ、それにより、不織布113が動くのを防止できる。
【0058】
図4Eにおいて、印字ヘッド132は、プリンタキャリッジ134(
図4Eには示されていないが、
図1には示されている)によって並進可能であり、ブロッキング画像又はステンシル406(
図4Fに見られる)をメッシュ112上に直接印刷(すなわち、エマルジョンを堆積させる)し、ブロッキング画像は、適切な印刷媒体上に印刷又はスクリーン印刷される実際の画像の逆又はネガである。印字ヘッド132は、矢印408で示す方向で横方向に移動して、メッシュ112上にスクリーンステンシル406を形成する。印字ヘッドから放出される「インク」は、前述のUV硬化噴射可能エマルジョンであり、これは、この例では、本質的にUV源410によって適用されるときにUV硬化される。一例では、UV源410は、矢印412によって示される方向で横方向に移動する。
図4Dは、メッシュ112を横切って移動する印字ヘッド132及びUV供給源410を示す。しかしながら、メッシュ112及びフレーム114(及び固定具116)を含むメッシュ支持システムは、印字ヘッド132及びUV光源410に対して並進され得る。UV源410は、メッシュ112の双方向印刷を容易にするために印字ヘッド132の両側に取り付けることができる。
【0059】
図4Fでは、結果として得られるステンシル406が示される。
図4Fは、メッシュ212のストランド414を覆うエマルジョンの拡大図を含む。均一に分布した放出流体層402は、エマルジョンがメッシュ112のストランド414を封入し、エマルジョンのための平坦な底面416を形成できるようにする。DtMでは、メッシュ112が滑らかなプラテン124及び平坦な不織布113によって支持されているため、分布された放出流体層402はメッシュ112の下方に均一に分布され、ステンシル406の下面416がほぼ平坦又は平坦である。ステンシル406は、一般に、プリンタから取り外され、更なる調製又は処理を何ら伴うことなく直ちに使用され得る。より厚いエマルジョン被覆(例えば、メッシュ上の20%を超えるエマルジョン)では、後工程硬化を使用して、ステンシルの硬化を完了することができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、プラテンの天板の上面は、ミラー、透明ガラス、又は白色ポリエチレンなどのUV反射材料又は別の材料でコーティングされて、メッシュ112の下面をコーティングするエマルジョンへ向かうUV光の上方への反射を生み出すことができる。
【0061】
このプロセスは、前(すなわち、エマルジョンの塗布)と後(未露光エマルジョン及びインクを洗い流す)の両方で追加の処理を必要とするCtS(コンピュータ対スクリーン)と区別するためにダイレクトツーメッシュ(DtM)と呼ばれる。DtMプロセスでは、一般に、噴射可能なエマルジョンの塗布の前後に追加の処理が行われず、したがってステンシル406の作成が簡単になる。
【0062】
図5は、エマルジョンによるメッシュ112のストランド(又は糸)の封入を助けるための放出流体層402の毛細管挙動の断面図を示す。放出流体122は、プラテン124のキャビティを満たし、穴212を通って出現して不織布113を飽和させ、不織布113の上面113aに均一に分布した放出流体層402を形成する。拡大
図502は、
図4Dに示されるメッシュ112及び放出流体層402のストランド414の拡大断面図を示す。放出流体は、メニスカスを有し、放出流体をメッシュ112のストランド間及びストランドの周囲の空間に充填させる毛細管現象を示す。放出流体のメニスカス及び毛細管作用の組み合わせにより、放出流体は、
図4Eを参照して前述した印刷中のエマルジョン508によるメッシュ112のストランド414の封入を容易にすることができる。拡大
図506は、
図4Fに示されるステンシル406を形成するためにエマルジョン508によって封入されたメッシュ112のストランド414を示す。また、不織布113の飽和によって生成された放出流体層402は、放出流体層402に対して平坦なエマルジョン表面を生成することに留意されたい。
【0063】
放出流体制御システム126の例が、
図6、
図7、及び
図8に示される。放出流体制御システムは、放出流体層402内の放出流体の量及びレベルを維持するために使用される。
【0064】
図6において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続される。この例において、放出流体制御システムは、流体レベルタンク602と、一端が流体レベルタンク602の基部に接続されて他端がパイプ又はホース606に接続される可撓性ホース604から形成された流体分配システムとを含み、パイプ又はホース606は、(例えば、
図3を参照して前述したようにプラテン124の側面又は底部を介して)プラテン124のキャビティ122に接続される。流体レベルタンク602、流体分配システム、及びプラテン124のキャビティは、放出流体を収容する。流体レベル入口タンク604の垂直位置は、機械式リフト610によって維持及び制御することができる。機械式リフト610は、例えば、ラチェットジャッキ又はスクリュージャッキであってもよい。流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルは、一点鎖線608で表されるように不織布113上に形成される放出流体層402の所望のレベルに対応するマーク614を含むリニアエンコーダなどの測定装置612で監視することができる。機械式リフト610を使用して、流体レベル入口タンク604を上昇又は下降させることができる。放出流体層402を形成するために分配される放出流体の量が流体レベル入口タンク602内の放出流体のレベル又は高さに対応するようにするために、大気圧及び重力に依存する。放出流体層402内の放出流体の量は、流体レベル入口タンク602を上昇又は下降させることによって制御される。機械式リフト610を使用して流体レベル入口タンク604を上昇させることなどによって、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルがマーク614より上に上昇すると、大気圧及び重力が更なる放出流体を放出流体層402に押し込む。或いは、機械式リフト610を使用して流体レベル入口タンク604を下げることなどによって、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルがマーク614より下に下げられると、大気圧及び重力が放出流体を流体分配システムを通じて押し戻して、流体レベル入口タンク604内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。
図6に示される放出流体制御システムは、0.8mmなど、約1mm未満の位置精度を与える。
【0065】
図7において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続される。この例において、放出流体制御システムは、放出流体リザーバ702、流体レベル入口タンク704、レベルセンサ706、及び排出ポンプ708を含む。放出流体リザーバ702は、ある量の放出流体122を収容する。放出流体が流体レベル入口タンク704を満たす速度は、制御弁712によって制御される。また、放出流体制御システムは、流体コネクタ714a~714dのネットワークを備える流体分配システムも含む。流体コネクタは、ポンプ、パイプ及び/又はホースの組み合わせであってもよい。方向矢印716a~716dは、放出流体が流体コネクタのネットワーク内を流れることができる方向を表す。コネクタ714aは、放出流体を流体レベルタンク704からプラテン124のキャビティ(例えば、
図3を参照して前述したようにプラテン124の底部又は側面を介して)に送る。コネクタ714bは、放出流体をコネクタ714aから排出ポンプ708に運ぶ。コネクタ714cは、放出流体を排出ポンプ708から放出流体リザーバ702に戻す。過剰な放出流体をプラテン124から放出流体リザーバ702に戻すために、コネクタ714dが含まれてもよい。或いは、コネクタ714dを省略し、放出流体を排出できるようにしてもよい。
【0066】
流体レベル入口タンク704は静止している。レベルセンサ706は、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルを測定して、そのレベルが放出流体層402内の放出流体の所望の量に対応するようにする。レベルセンサ706は、超音波センサであってもよく、超音波測距センサであってもよい。レベルセンサ706は、約0.1mm以内まで正確であり得る。制御弁712及び排出ポンプ708における流体体積計量は、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルの変化及び不織布113上に形成される放出流体層402内の放出流体の量の対応する変化を迅速に制御するために組み合わせて使用される。大気圧及び重力は、放出流体層402を形成するためにプラテン124の上面上に分配される放出流体の量が一点鎖線718によって表されるように流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルに対応するようにする。例えば、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルが、例えば、より多くの放出流体を流体レベル入口タンク704内に追加することによってプラテン124の上面より上に上昇される場合、大気圧及び重力は、更なる放出流体を放出流体層402内に押し込む。或いは、例えば、排出ポンプ708を使用することによって流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルがプラテン124の上面より下に低下される場合には、大気圧及び重力が放出流体をコネクタ714aを通じて押し戻して、流体レベル入口タンク704内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。
【0067】
図8において、放出流体制御システムの一例は、プラテン124及び固定具116に接続され、
図7の放出流体制御システムと同様である。この例において、放出流体制御システムは、放出流体リザーバ802と、オーバーフロータンク806(すなわち、排水桝)内に位置される流体レベル入口タンク804と、レベルセンサ808と、排出ポンプ810とを含む。また、放出流体制御システムは、流体コネクタ812a~812dのネットワークを備える流体分配システムを含む。流体コネクタは、ポンプ、パイプ及び/又はホースの組み合わせであってもよい。方向矢印814a~814dは、放出流体が流体コネクタのネットワーク内を流れることができる方向を表す。流体コネクタ812aの端部は、オーバーフロータンク806の基部の開口と、流体レベル入口タンク804の基部の開口とを貫通する。シールリング816aが、流体レベル入口タンク804の開口とコネクタ812aとの間に位置されて、放出流体122がオーバーフロータンク806に漏れるのを防止する。シールリング816bが、コネクタ812aとオーバーフロータンク806の開口との間に位置されて、放出流体122がオーバーフロータンク806から漏れるのを防止する。流体レベル入口タンク804内に位置されたコネクタ812aの端部は、開口を含んでもよく、又は放出流体の自由な流れを可能にするために穿孔されてもよい。流体レベル入口タンク804は、リニアエンコーダ又はスクリュージャッキなどの機械式リフト818を使用して上昇又は下降させることができる。排出ポンプ810は、放出流体を元の放出流体リザーバ802に圧送することによって、オーバーフロータンク806内の放出流体122のレベルが流体レベル入口タンク804内の放出流体122のレベルよりも低くなるようにするために使用される。放出流体122は、制御弁820を介して流体レベル入口タンク804に加えられる。或いは、コネクタ812dを省略し、放出流体を排出できるようにしてもよい。
【0068】
レベルセンサ808は、流体レベル入口タンク804の位置を測定して、レベルが放出流体層402内の放出流体の所望の量に対応するようにする。
図7の放出流体制御システムとは異なり、不織布113上に形成される放出流体層402内の放出流体の量は、任意の過剰な流体がオーバーフロータンク806内の流体レベル入口タンク804の側面をオーバーフローするように流体レベル入口タンク804を上昇又は下降させることによって制御される。放出流体のレベルがプラテン124の上面のレベルよりも上になるように流体レベル入口タンク804が上昇されると、大気圧及び重力が放出流体を放出流体層402内に押し込む。或いは、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルがプラテン124の上面のレベルを下回るように流体レベル入口タンク804が下げられると、大気圧及び重力が流体分配システムを介して放出流体を押し戻して、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルを上昇させ、それにより、放出流体層402内の放出流体の量が減少される又は放出流体層402が消失される。
【0069】
レベルセンサ808及び機械式リフト818は、流体レベル入口タンク804のレベルに関するレベルセンサ808からのフィードバック信号を受信するコンピュータシステム(図示せず)に接続されてもよい。コンピュータシステムは、流体レベル入口タンク804を上昇又は下降させるように機械式リフト818を電子的に制御することができる。
【0070】
図7に示される放出流体制御システムは、流体レベル入口タンク804内の放出流体のレベルを制御して放出流体層402のレベルを維持する際に高い精度及び正確度に依存することに留意されたい。これに対し、
図8に示される放出流体制御システムは、流体レベル入口タンク804を位置決めして放出流体層402のレベルを維持する際に高い精度及び正確度に依存する。
【0071】
図9は、スクリーン印刷用のステンシルを準備するための、本明細書の開示に係るDtMプロセス900の一例のフローチャートである。DtMプロセス900では、ダイレクトツーメッシュプリンタ100が用意される901。前述したように、DtMプリンタ100は、フレーム114を保持するための固定具116を含み、フレームは、噴射可能なエマルジョンの塗布中に予め延伸されたメッシュ112を所定位置に保持する。DtMプリンタ100のプラテン124は、放出流体122を保持するための少なくとも1つのキャビティを有する。不織布113は、プラテン124の穿孔された上面に配置される。最後に、DtMプリンタ100は、プラテン124とは反対側の予め延伸されたメッシュ112の側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印字ヘッド132を支持するプリンタキャリッジ134を含む。
【0072】
DtMプロセス900は、フレーム114を固定具116に配置するステップ902を継続させる。固定具116は、DtMプリンタ100の一部であり、多種多様なフレーム114のサイズを受けるようになっている。固定具116は、フレーム114を所定の位置に正確に保持するため、プリンタキャリッジ134はメッシュ112に正確に位置合わせされる。
【0073】
DtMプロセス900は、プラテン124のキャビティ内に放出流体122を分配するステップ903を続け、それにより、放出流体がプラテン124の穿孔された上面の穴の配列を通って分配されて不織布113を飽和させ、放出流体層402を形成する。不織布113は、放出流体層402を均等に分配する。これは、放出流体122が印刷プロセスで消費され得る又は良好な乳化剤であっても蒸発する時間がある、5,000DPIなどの非常に大きなステンシル又は非常に高いドット密度にとって重要であり得る。
【0074】
DTMプロセス900は、メッシュ112の下面に放出流体を塗布するために、メッシュ112を放出流体122と接触させるステップ904を継続させる。プラテン124の上面は、フレームの上面と面一に又はフレームの上面よりも上に位置される。例えば、プラテン124の上面は、メッシュに殆ど又は全く圧力を及ぼさなくてもよい。
【0075】
DtMプロセス900は、プラテン124の反対側のメッシュ112に噴射可能なエマルジョンを塗布するステップ905を継続させる。前述したように、噴射可能なエマルジョンは、インクジェット印字ヘッド132が噴射可能なエマルジョンを噴射するようになっているインクジェットプリンタ130によってメッシュ112に対して塗布される。
【0076】
DtMプロセス900は、UV放射を使用して噴射可能なエマルジョンを硬化させるステップ906で終了する。UV光源を使用して、LED又はハロゲンランプなどの噴射可能なエマルジョンを硬化させることができる。
【0077】
DtMプロセス900の終わりに、ステンシルが形成及び硬化され、例えば衣類などの適切な印刷面に印刷色をスクリーン印刷するために使用される準備が整う。特に、硬化後の噴射可能なエマルジョンはスクリーンステンシルを形成し、スクリーンステンシルの開口は、印刷面に画像を印刷するために使用される。
【0078】
開示された実施形態の前述の説明は、当業者が本開示を作成又は使用することを可能にするために提供されることが理解される。実施形態に対する様々な変更が当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に示される実施形態に厳密に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【国際調査報告】