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特表2023-542828ディーゼル酸化触媒を含有するビスマット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ディーゼル酸化触媒を含有するビスマット
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/78 20060101AFI20231004BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20231004BHJP
   B01J 23/644 20060101ALI20231004BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B01J29/78 A
B01J35/04 301L
B01J23/644 A
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514094
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021076630
(87)【国際公開番号】W WO2022069465
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】20199186.6
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンケ・ヴェルツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・デ・トニ
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB09
4D148AC04
4D148BA01Y
4D148BA03X
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4D148BA36Y
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4D148BA41X
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4D148DA03
4D148DA11
4D148DA20
4G169AA03
4G169AA11
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA03B
4G169BA04B
4G169BA13A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC25A
4G169BC25B
4G169BC42B
4G169BC43B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA13
4G169CA14
4G169CA15
4G169DA06
4G169EA13
4G169EA19
4G169EA22
4G169EC28
4G169EC29
4G169EE06
4G169EE09
4G169FC08
4G169ZA19B
(57)【要約】
本発明は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する支持基材と、4つの物質ゾーンA、B、C及びDとを含む触媒であって、物質ゾーンBがビスマスを含む触媒に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、4つの物質ゾーンA、B、C及びDとを含む触媒であって、
・物質ゾーンAは、端部aから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
・物質ゾーンBは、端部bから長さLの一部分にわたって延在し、白金及びビスマスを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・物質ゾーンCは、端部aから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
・物質ゾーンDは、端部bから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
物質ゾーンC及びDは、物質ゾーンA及びBの上に配置されている、触媒。
【請求項2】
物質ゾーンAは、白金及びパラジウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
物質ゾーンAは、いかなるビスマスも含まないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
物質ゾーンBは、酸化ビスマス(Bi)の形態で又はアルミニウム若しくはアルミニウム及びケイ素の複合酸化物の形態でビスマスを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記複合酸化物中のビスマスは、前記複合酸化物に基づいてかつビスマス元素として計算して、1~15重量%の量でアルミニウム又はアルミニウム及びケイ素と共に存在することを特徴とする、請求項4に記載の触媒。
【請求項6】
ビスマスとアルミニウム又はビスマスとアルミニウムとケイ素からなる前記複合酸化物は、白金の担体材料であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の触媒。
【請求項7】
物質ゾーンBは、いかなるパラジウムも含有しないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
物質ゾーンCは、白金を含みパラジウムを含まない、又は白金及びパラジウムを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
物質ゾーンDは、白金を含みパラジウムを含まない、又は白金及びパラジウムを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
物質ゾーンC及びDは同一であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
物質ゾーンAは、ビスマス及び白金を含み、パラジウムを含まないことを特徴とする、請求項1及び4~10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
物質ゾーンA及びBは同一であることを特徴とする、請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
物質ゾーンA及びB並びに物質ゾーンC及びDはそれぞれ同一であることを特徴とする、請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
前記触媒は、前記担体基材の端部bから出発して、物質ゾーンDにわたる長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含む物質ゾーンEを含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項15】
前記触媒は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、4つの物質ゾーンA、B、C及びDとを含み、
・端部aから出発して、物質ゾーンAは長さLの40~60%にわたって延在し、3:1~1:3の重量比で白金及びパラジウムを含み、
・端部bから出発して、物質ゾーンBは長さLの40~60%にわたって延在し、アルミニウム及びビスマスの複合酸化物、又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物上に担持された白金を含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・端部aから出発して、物質ゾーンCは長さLの40~60%にわたって延在し、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
・端部bから出発して、物質ゾーンDは長さLの40~60%にわたって延在し、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
物質ゾーンC及びDは、物質ゾーンA及びBの上に配置されている、請求項1に記載の触媒。
【請求項16】
前記触媒は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、5つの物質ゾーンA、B、C、D及びEとを含み、
・物質ゾーンA及び物質ゾーンBは同一であり、アルミニウム及びビスマス、又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物上に担持された白金を含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・物質ゾーンC及び物質ゾーンDは同一であり、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
・物質ゾーンEは、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
物質ゾーンC及びDは物質ゾーンA及びBの上に配置され、物質ゾーンEは物質ゾーンDの上に配置される、請求項1に記載の触媒。
【請求項17】
リーンバーンエンジンで作動するモータービークルの排気ガスを浄化する方法であって、前記排気ガスを請求項1~16のいずれか一項に記載の触媒上に通し、ここで、前記排気ガスは端部aで前記触媒に入り、端部bで前記触媒を出ることを特徴とする、方法。
【請求項18】
排気ガスシステムであって、
a)請求項1~16のいずれか一項に記載の触媒
及び
b)SCR触媒を含む、排気ガスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の触媒活性物質ゾーンを含むディーゼル酸化触媒であって、1つの物質ゾーンがビスマスを含有する、ディーゼル酸化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル機関などのリーンバーン燃焼機関で運転されるモータービークルの排気ガスは、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NO)に加えて、シリンダーの燃焼室内における燃料の不完全燃焼に起因する成分もまた含有する。通常は主にガス形態でも存在する残留炭化水素(HC)に加えて、これらは「ディーゼルすす」又は「すす粒子」とも称される粒子排出物を含む。
【0003】
このような排気ガスを浄化するためには、特定の成分を、できる限り完全に無害な化合物へと変換しなければならず、これは、好適な触媒を使用することによってのみ実現可能である。
【0004】
炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)は、ディーゼル酸化触媒(DOC)を使用して酸化し得る。従来のディーゼル酸化触媒は、特に、適切な担体酸化物、例えば酸化アルミニウム上の白金及び/又はパラジウムを含有する。
【0005】
酸素の存在下で、排気ガスから窒素酸化物を除去するための既知の方法は、好適な触媒上でのアンモニアによる選択的接触還元(SCR)である。本方法では、排気ガスから除去されるべき窒素酸化物が、アンモニアを使用して窒素及び水に変換される。
【0006】
すす粒子は、ディーゼル微粒子フィルタ(DPE)を使用して排気ガスから非常に効果的に除去することができ、セラミック材料製のウォールフローフィルタが特に有用であることが証明されている。微粒子フィルタには、触媒活性コーティングを施すこともできる。例えば、欧州特許第1820561(A1)号では、フィルタ処理されたすす粒子の燃焼を促進する触媒層を有するディーゼル微粒子フィルタのコーティングを記載している。ディーゼル微粒子フィルタはSCR触媒でコーティングすることもでき、その場合、単にSDPFと呼ばれる。
【0007】
ディーゼルエンジンの排気ガス後処理のために、上述の構成要素のうちの2つ以上からなる排気ガス後処理システムが使用される。このようなシステムの重要な構成要素は、ディーゼル酸化触媒である。その目的は主に一酸化炭素と炭化水素とを反応させることであるが、一酸化窒素(NO)を酸化し、DPF、SCR及びSDPFなど流出側に配置された構成要素で必要とされる二酸化窒素(NO)を形成することでもある。
【0008】
広い動作ウィンドウにわたって上述の汚染物質を反応させる排気ガス後処理システムは、将来の法律に準拠する必要がある。これに関連して、一方では一酸化炭素と炭化水素を可能な限り低い温度で反応させ、他方では全作動範囲にわたって十分な二酸化窒素を提供するディーゼル酸化触媒の開発及び最適化は、技術的課題である。
【0009】
ここで、触媒上に特定の方法で配置されたビスマス含有物質ゾーンを有するディーゼル酸化触媒が、この技術的課題を満たすことが見出されている。
【0010】
ビスマス含有ディーゼル酸化触媒は、既知である。例えば、米国特許第5,911,961号は、白金及びビスマスが二酸化チタン上に担持されている触媒を記載している。
【0011】
欧州特許第1927399(A2)号は、酸化アルミニウム及び白金を担持するビスマスを含む担体材料を開示している。
【0012】
米国特許第2003/027719号は、パラジウム及び銀、並びにパラジウムに最も近いものとしてビスマスを含有する酸化触媒に関する。
【0013】
米国特許2012/302439号は、ビスマス及び/又はマンガンでドープされたパラジウム-金触媒を開示している。
【0014】
国際公開第2017/064498(A1)号は、ビスマス又はアンチモン及び白金族金属を含有する酸化触媒を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、4つの物質ゾーンA、B、C及びDとを含む触媒に関し、
・物質ゾーンAは、端部aから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
・物質ゾーンBは、端部bから長さLの一部分にわたって延在し、白金及びビスマスを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・物質ゾーンCは、端部aから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
・物質ゾーンDは、端部bから長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
物質ゾーンC及びDは、物質ゾーンA及びBの上に配置されている。
【0016】
物質ゾーンAは、特に10:1~1:5、好ましくは3:1~1:3の重量比で白金及びパラジウムを含む。
【0017】
白金及びパラジウムは、物質ゾーンAにおいて、好ましくは10~200g/ft、例えば20~180g/ft又は40~150g/ftの量で存在し、記載された量は白金及びパラジウムの量の合計である。
【0018】
物質ゾーンAが白金及びパラジウムを含む場合、それは好ましくはビスマスを含まない。
【0019】
物質ゾーンBの白金及びパラジウムは、一般に担体材料上に存在する。この目的について当業者によく知られている全ての材料が、担体材料とみなされる。担体材料は、BET表面積が30~250m/g、好ましくは100~200m/g(DIN66132に従って決定)であり、特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、セリウム/チタン混合酸化物、及びこれらの材料のうちの少なくとも2つの混合物又は混合酸化物である。
【0020】
酸化アルミニウム、セリウム/チタン混合酸化物、マグネシウム/アルミニウム混合酸化物、及びアルミニウム/ケイ素混合酸化物が好ましい。酸化アルミニウムを使用する場合、特に好ましくは、例えば、1~6重量%、特に4重量%の酸化ランタンによって安定化されている。
【0021】
アルミニウム/ケイ素混合酸化物が使用される場合、それは、特に5~30重量%、好ましくは5~10重量%の酸化ケイ素含量を有する。
【0022】
物質ゾーンAは、特に炭化水素の酸化のための物質ゾーンAのライトオフより低い温度で、炭化水素を吸蔵するための材料であってもよい。このような吸蔵材料は、特に炭化水素を収容するのに十分な大きさのチャネルを有するゼオライトである。この目的のために好ましいゼオライトは、構造型BEAのものである。
【0023】
物質ゾーンBは、例えば酸化ビスマス(Bi)の形態のビスマスを含む。しかしながら、それは、特にアルミニウム又はアルミニウム及びケイ素との複合酸化物の形態で存在し、ケイ素含量は、例えばアルミニウム及び酸化ケイ素の重量に基づいて、5~30重量%、好ましくは5~15重量%である。ビスマスは、複合酸化物に基づきかつビスマス元素として計算して、例えば1~15重量%、好ましくは2~7重量%の量で存在する。
【0024】
本発明によれば、複合酸化物は理想的には白金のための担体材料として役立つ。
【0025】
アルミニウム及びビスマス又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物に基づきかつ白金金属として計算して、白金は、特に10~200g/ft、例えば20~180g/ft又は40~150g/ftの量で存在する。
【0026】
物質ゾーンBは、好ましくはパラジウムを含まない。
【0027】
物質ゾーンL及びLの長さは合わせて、担体基材の長さLに対応する。物質ゾーンLは特に、長さLの20~80%、好ましくは40~60%の長さを有する。好ましい実施形態において、L及びLはそれぞれ、長さLの50%にわたって延在する。
【0028】
物質ゾーンCは、特に20:1~1:1、好ましくは14:1~2:1の重量比で白金を含みパラジウムを含まず、又は白金及びパラジウムを含む。
【0029】
白金及びパラジウムは、好ましくは10~200g/ft、例えば20~180g/ft又は40~150g/ftの量で物質ゾーンCに存在し、記載された量は、物質ゾーンCが白金を含みパラジウムを含まない場合の白金の量であるか、又は物質ゾーンCが白金及びパラジウムを含む場合の白金及びパラジウムの量の合計である。
【0030】
物質ゾーンCの白金及びパラジウムは、一般に担体材料上に存在する。この目的について当業者によく知られている全ての材料が、担体材料とみなされる。担体材料は、BET表面積が30~250m/g、好ましくは100~200m/g(DIN66132に従って決定)であり、特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、セリウム/チタン混合酸化物、及びこれらの材料のうちの少なくとも2つの混合物又は混合酸化物である。
【0031】
酸化アルミニウム、セリウム/チタン混合酸化物、マグネシウム/アルミニウム混合酸化物、及びアルミニウム/ケイ素混合酸化物が好ましい。酸化アルミニウムを使用する場合、特に好ましくは、例えば、1~6重量%、特に4重量%の酸化ランタンによって安定化されている。
【0032】
アルミニウム/ケイ素混合酸化物を使用する場合、それは、特に5~30重量%、好ましくは5~10重量%の酸化ケイ素含量を有する。
【0033】
物質ゾーンCは、特に炭化水素の酸化のための物質ゾーンAのライトオフより低い温度で、炭化水素を吸蔵するための材料であってもよい。このような吸蔵材料は、特に炭化水素を収容するのに十分な大きさのチャネルを有するゼオライトである。この目的のために好ましいゼオライトは、構造型BEAのものである。
【0034】
物質ゾーンDは、特に20:1~1:1、好ましくは14:1~2:1の重量比で白金を含みパラジウムを含まず、又は白金及びパラジウムを含む。
【0035】
白金及びパラジウムは、好ましくは10~200g/ft、例えば20~180g/ft又は40~150g/ftの量で物質ゾーンDに存在し、記載された量は、物質ゾーンCが白金を含みパラジウムを含まない場合の白金の量であるか、又は物質ゾーンCが白金及びパラジウムを含む場合の白金及びパラジウムの量の合計である。
【0036】
物質ゾーンDの白金及びパラジウムは、一般に担体材料上に存在する。この目的について当業者によく知られている全ての材料が、担体材料とみなされる。担体材料は、BET表面積が30~250m/g、好ましくは100~200m/g(DIN66132に従って決定)であり、特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、セリウム/チタン混合酸化物、及びこれらの材料のうちの少なくとも2つの混合物又は混合酸化物である。
【0037】
酸化アルミニウム、セリウム/チタン混合酸化物、マグネシウム/アルミニウム混合酸化物、及びアルミニウム/ケイ素混合酸化物が好ましい。酸化アルミニウムを使用する場合、特に好ましくは、例えば、1~6重量%、特に4重量%の酸化ランタンによって安定化されている。
【0038】
アルミニウム/ケイ素混合酸化物が使用される場合、それは、特に5~30重量%、好ましくは5~10重量%の酸化ケイ素含量を有する。
【0039】
物質ゾーンDは、特に炭化水素の酸化のための物質ゾーンAのライトオフより低い温度で、炭化水素を吸蔵するための材料であってもよい。このような吸蔵材料は、特に炭化水素を収容するのに十分な大きさのチャネルを有するゼオライトである。この目的のために好ましいゼオライトは、構造型BEAのものである。
【0040】
物質ゾーンL及びLの長さは合わせて、担体基材の長さLに対応する。物質ゾーンLは特に、長さLの20~80%、好ましくは40~60%の長さを有する。好ましい実施形態において、L及びLはそれぞれ、長さLの50%にわたって延在する。
【0041】
本発明の一実施形態において、物質ゾーンC及びDは同一であり、すなわち、それらは同一の成分を同一の量で含有する。したがって、この場合、均一な物質ゾーンは、担体基材の全長Lにわたって延在し、物質ゾーンA及びBを覆う。
【0042】
本発明の更なる実施形態において、物質ゾーンAはまたビスマス及び白金を含み、好ましくはパラジウムを含まない。物質ゾーンBと同様に、ビスマスはまた、物質ゾーンAにも、例えば酸化ビスマス(Bi)の形態で存在するが、特にアルミニウムとの複合酸化物の形態で存在する。後者の場合、ビスマスは、複合酸化物に基づきかつビスマス元素として計算して、例えば1~10重量%、好ましくは2~7重量%の量で存在する。
【0043】
本発明のこの実施形態において、物質ゾーンA及びBは例えば同一であり、すなわち、それらは同一の成分を同一の量で含有する。したがって、この場合、均一な物質ゾーンは、担体基材の全長Lにわたって延在する。
【0044】
本発明の更なる実施形態において、触媒は、担体基材の端部bから出発して、物質ゾーンDにわたる長さLの一部にわたって延在し、白金を含みパラジウムを含まず、パラジウムを含み白金を含まず、又は白金及びパラジウムを含む物質ゾーンEを含む。
【0045】
物質ゾーンEは、特に20:1~1:1、好ましくは14:1~2:1の重量比で白金を含みパラジウムを含まず、又は白金及びパラジウムを含む。
【0046】
白金及びパラジウムは、好ましくは10~200g/ft、例えば20~180g/ft又は40~150g/ftの量で物質ゾーンCに存在し、記載された量は、物質ゾーンCが白金を含みパラジウムを含まない場合の白金の量であるか、又は物質ゾーンCが白金及びパラジウムを含む場合の白金及びパラジウムの量の合計である。
【0047】
物質ゾーンEの白金、パラジウム、又は白金及びパラジウムは、一般に担体材料上に存在する。この目的について当業者によく知られている全ての材料が、担体材料とみなされる。担体材料は、BET表面積が30~250m/g、好ましくは100~200m/g(DIN66132に従って決定)であり、特に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、セリウム/チタン混合酸化物、及びこれらの材料のうちの少なくとも2つの混合物又は混合酸化物である。
【0048】
酸化アルミニウム、セリウム/チタン混合酸化物、マグネシウム/アルミニウム混合酸化物、及びアルミニウム/ケイ素混合酸化物が好ましい。酸化アルミニウムを使用する場合、特に好ましくは、例えば、1~6重量%、特に4重量%の酸化ランタンによって安定化されている。
【0049】
アルミニウム/ケイ素混合酸化物が使用される場合、それは、特に5~30重量%、好ましくは5~10重量%の酸化ケイ素含量を有する。
【0050】
物質ゾーンEは、好ましくは端部bから長さLの40~60%にわたって延在する。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、物質ゾーンA及びB並びに物質ゾーンC及びDはそれぞれの場合で同一であり、すなわち、物質ゾーンA及びBは同一の成分を同一の量で含有し、物質ゾーンC及びDは同一の成分を同一の量で含有する。
【0052】
この場合、触媒が物質ゾーンEを含むことが好ましい。
【0053】
本発明による触媒は、支持体を含む。それは、フロースルー基材又はウォールフローフィルタであってもよい。
【0054】
ウォールフローフィルタは長さLのチャネルを有する支持体であり、それらはウォールフローフィルタの第1端と第2端の間に平行に延在し、第1端又は第2端のいずれかにおいて交互に閉鎖され、多孔質壁によって分離される。フロースルー基材は、特に長さLのチャネルがその2つの端部において開放されているという点で、ウォールフローフィルタと異なる。
【0055】
未コーティングの状態において、ウォールフローフィルタは、例えば30~80%、具体的には50~75%の多孔率を有する。未コーティング状態において、ウォールフローフィルタの平均細孔サイズは、例えば、5~30マイクロメートルである。
【0056】
概して、ウォールフローフィルタの細孔は、いわゆる開放細孔であり、すなわち、チャネルへの接続部を有する。更に、細孔は、一般には、互いに相互接続されている。これは、一方では、内側細孔表面の容易なコーティングを可能にし、他方では、ウォールフローフィルタの多孔性壁を通した排ガスの容易な通過を可能にする。
【0057】
ウォールフローフィルタと同様に、フロースルー基材も当業者に既知であり、市販されている。それらは、例えば、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、又はコージエライトからなる。
【0058】
白金、パラジウム及びビスマスは別として、本発明による触媒は、一般に、いかなる更なる金属も含まず、特に銀、金、銅又は鉄さえも含まない。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、4つの物質ゾーンA、B、C及びDとを含む触媒に関し、
・端部aから出発して、物質ゾーンAは長さLの40~60%にわたって延在し、3:1~1:3の重量比で白金及びパラジウムを含み、
・端部bから出発して、物質ゾーンBは長さLの40~60%にわたって延在し、アルミニウム及びビスマスの複合酸化物、又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物上に担持された白金を含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・端部aから出発して、物質ゾーンCは長さLの40~60%にわたって延在し、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
・端部bから出発して、物質ゾーンDは長さLの40~60%にわたって延在し、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
物質ゾーンC及びDは、物質ゾーンA及びBの上に配置されている。
【0060】
更に別の実施形態において、本発明は、端部aとbとの間に延在する長さLを有する担体基材と、5つの物質ゾーンA、B、C、D及びEとを含む触媒に関し、
・物質ゾーンA及び物質ゾーンBは同一であり、アルミニウム及びビスマス、又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物上に担持された白金を含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンAの長さであり、Lは物質ゾーンBの長さであり、
・物質ゾーンC及び物質ゾーンDは同一であり、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
ここでL+L=Lであり、式中、Lは物質ゾーンCの長さであり、Lは物質ゾーンDの長さであり、
・物質ゾーンEは、14:1~2:1の重量比で白金及びパラジウムを含み、
物質ゾーンC及びDは物質ゾーンA及びBの上に配置され、物質ゾーンEは物質ゾーンDの上に配置される。
【0061】
物質ゾーンA、B、C、D及び-該当する場合-Eは、通常、支持体上のコーティングの形態で存在する。
【0062】
物質ゾーンA、B、C、D及び-該当する場合-Eが担体基材上のコーティングの形態で存在する本発明による触媒は、当業者によく知られている方法、例えば、従来のディップコーティング法によって、又は後の熱後処理(焼成)によるポンプコーティング若しくは吸引コーティング法によって、製造することができる。当業者は、ウォールフローフィルタの場合、コーティングされる材料の平均細孔サイズ及び平均粒径が、ウォールフローフィルタのチャネルを形成する多孔性壁上に存在するように、互いに適合させることができる(オンウォールコーティング)、ことを認識している。コーティングされる材料の平均粒径はまた、当該材料がウォールフローフィルタのチャネルを形成する多孔性壁内に位置するように、すなわち、内側細孔表面がコーティング(インウォールコーティング)されるように、選択できる。この場合、コーティング材料の平均粒径は、ウォールフローフィルタの細孔の中へ入り込むように十分に小さくなければならない。
【0063】
物質ゾーンA及びBが同一である本発明の別の実施形態において、担体基材は、物質ゾーンA及びBの物質並びにマトリックス成分から形成され、物質ゾーンC及びDは、担体基材上のコーティングの形態で存在する。
【0064】
当業者には、単にコージエライトなどの不活性材料からなるのではなく、追加的に触媒活性材料を含有する、担体基材、フロースルー基材、及びウォールフロー基材が知られている。これらを生産するには、10~95重量%の不活性マトリックス成分及び5~90重量%の触媒活性材料からなる混合物を、例えば、それ自体既知の方法に従って押出加工する。この場合、他では触媒基材を製造するためにも使用される不活性材料の全てを、マトリックス成分として使用することができる。これらは、例えば、ケイ酸塩、酸化物、窒化物、又は炭化物であり、特に好ましくは、ケイ酸マグネシウムアルミニウムである。
【0065】
本発明の別の実施形態では、不活性材料の波形シートで構成された担体基材が使用される。そのような担体基材は、当業者には「波形基材」として知られている。好適な不活性材料は、例えば、50~250μmの平均繊維径、及び2~30mmの平均繊維長を有する繊維質材料である。好ましくは、繊維質材料は耐熱性であり、二酸化ケイ素、特にガラス繊維からなる。
【0066】
このような担体基材の製造では、例えば、前述の繊維材料のシートは既知の方法で波形にされ、個々の波形シートは、本体を通って延びるチャネルを有する円筒状のモノリシック構造体の形態にされる。好ましくは、横方向の波形構造を有するモノリシック構造体は、いくつかの波形シートを、層間で異なる向きの波形を有する平行な層として積み重ねることによって形成される。一実施形態では、非波形の(すなわち平坦な)シートを波形シートの間に配置することができる。
【0067】
波形シートから作製された基材は物質A及びBで直接コーティングすることができるが、好ましくは、それらを最初に不活性材料、例えば二酸化チタンでコーティングして、その後にのみ触媒物質でコーティングする。
【0068】
本発明による触媒がアルミニウム及びビスマス、又はアルミニウム、ケイ素及びビスマスの複合酸化物を含む場合、複合酸化物は、例えば酸化アルミニウム又はケイ素安定化酸化アルミニウムをビスマス塩の水溶液と接触させ、続いて乾燥し焼成することによって得ることができる。酸化アルミニウム又はケイ素安定化酸化アルミニウムとビスマス塩の水溶液との接触は、有利には、ミキサー中で酸化アルミニウムにビスマス塩の水溶液を噴霧することによって行うことができる。適切なミキサーは当業者には周知である。例えば、噴霧乾燥のための粉末ミキサー又は装置が適している。
【0069】
本発明による触媒は、ディーゼル酸化触媒として完全に適しており、ディーゼル酸化触媒は、低温でも一酸化炭素と炭化水素とを効率的に反応させるが、流出側に配置された触媒、例えば微粒子フィルタ及びSCR触媒のために十分な二酸化窒素も形成する。特に、本発明による触媒は、物質ゾーンBにビスマスを含有しないが、それ以外は同一である比較触媒よりも多くの二酸化窒素を生成することが示された。
【0070】
したがって、本発明はまた、リーンバーンエンジンで作動するモータービークルの排気ガスを浄化する方法に関し、この方法は、排気ガスを上述の触媒上に通し、ここで、排気ガスは端部aで触媒に入り、端部bで触媒を出ることを特徴とする。
【0071】
本発明はまた、ディーゼル微粒子フィルタ、SCR触媒でコーティングされたディーゼル微粒子フィルタ、すす着火温度を低下させるコーティングでコーティングされたディーゼル微粒子フィルタ、及びフロースルー基材上に配置されたSCR触媒からなる系列から選択される1つ以上の更なる触媒が接続されている、端部bに上述の触媒を含む排気ガスシステムに関する。
【0072】
物質ゾーンA、B、C、D及び該当する場合にはEについて上述した任意選択の及び/又は好ましい実施形態は、本発明による方法及び本発明による排気ガスシステムにも同様に適用される。
【0073】
本発明による排気ガスシステムで、SCR触媒は、原則として、微粒子フィルタ又はフロースルー基材の上流にも位置するため上流にかかわらず、窒素酸化物とアンモニアとのSCR反応で活性な全ての触媒から、特に自動車排気ガス触媒の当業者に従来から既知のものから選択することができる。これには、混合酸化物タイプの触媒、及びゼオライトに基づく-特に遷移金属交換ゼオライトに基づく-触媒が含まれる。
【0074】
本発明の実施形態では、8個の四面体原子の最大環サイズを有する小孔ゼオライト及び遷移金属を含有するSCR触媒が使用される。そのようなSCR触媒は、例えば、国際公開第2008/106519(A1)号、同第2008/118434(A1)号、及び同第2008/132452(A2)号に記載されている。
【0075】
更に、大細孔及び中細孔のゼオライトも使用することができ、BEA構造型のものは特に考慮され得る。したがって、鉄-BEA及び銅-BEAが対象である。
【0076】
特に好ましいゼオライトは、BEA、AEI、AFX、CHA、KFI、ERI、LEV、MER又はDDR構造型のものであり、特に好ましくはコバルト、鉄、銅、はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換される。
【0077】
ゼオライトという用語は、モレキュラーシーブも含み、それは時に「ゼオライト様」化合物とも呼ばれる。モレキュラーシーブが前述の構造型のうちの1つに属する場合、それらは好ましい。例としては、用語「SAPO」で知られているシリカアルミニウムホスフェートゼオライト、及び用語「AIPO」で知られているリン酸アルミニウムゼオライトが挙げられる。
【0078】
これらも、コバルト、鉄、銅、又はこれらの金属の2つ若しくは3つの混合物と交換される場合には、特に好ましい。
【0079】
好ましいゼオライトはまた、2~100、特に5~50のSAR(シリカ対アルミナ比)値を有するものである。
【0080】
ゼオライト又はモレキュラーシーブは、遷移金属を、金属酸化物として、すなわち、例えばFe又はCuOとして計算して-特に、1~10重量%、特に2~5重量%の量で-含有する。
【0081】
本発明の好ましい実施形態は、SCR触媒として、銅、鉄、若しくは銅及び鉄と交換されたベータ型(BEA)、チャバザイト型(CHA)、AEI、AFX若しくはレビン型(LEV)のゼオライト又はモレキュラーシーブを含有する。対応するゼオライト又はモレキュラーシーブは、例えば、ZSM-5、ベータ、SSZ-13、SSZ-62、Nu-3、ZK-20、LZ-132、SAPO-34、SAPO-35、AlPO-34及びAlPO-35の名称で知られており、例えば、米国特許第6,709,644号及び同第8,617,474号を参照のこと。
【0082】
本発明による排気ガスシステムの一実施形態において、還元剤のための注入装置を、SCR触媒の上流に置く。
【0083】
注入装置は、当業者が自由に選択することができ、好適な装置は、文献から取得することができる(例えば、T.Mayer,Feststoff-SCR-System auf Basis von Ammoniumcarbamat,Dissertation,TU Kaiserslautern,2005及び欧州特許第1561919(A1)号を参照のこと)。アンモニアは、それ自体として又はアンモニアが周囲条件下で形成される化合物の形態で、注入装置を介して、排気ガス流に注入することができる。好適な化合物の例は、尿素又はギ酸アンモニウムの水溶液、及び固体カルバミン酸アンモニウムである。通例、還元剤又はその前駆体は、注入装置に接続される付随容器内で利用可能に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本発明による触媒の実施形態を示す図である。
図2】本発明による触媒の実施形態を示す図である。
図3】NEDCサイクル中にエンジン試験ベンチで測定された触媒後のK1及びVK1のNO/NO比率[%]を示す図である。
図4】NEDCサイクル中にエンジン試験ベンチで測定された触媒後のK2及びVK2のNO/NO比率[%]を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1及び図2は、以下の意味を有する本発明による触媒の実施形態を示す。
(1)担体基材
(2)物質ゾーンA
(3)物質ゾーンB
(4)物質ゾーンC
(5)物質ゾーンD
(6)物質ゾーンE
a及びbは、担体基材の2つの端部を示し、矢印は、触媒が意図されたように使用される場合の排気ガスの流れ方向を示す。
【0086】
図1は、物質ゾーンA、B、C及びDを有する本発明による触媒を示し、ここで、全ての物質ゾーンは同じ長さ、すなわち担体基材の長さの50%を有する。
【0087】
図2は、物質ゾーンA、B、C、D及びEを有する本発明による触媒を示し、ここで、A及びB並びにC及びDはそれぞれ同一である。
【0088】
実施例1
a)その第1の端部から出発して、コージエライト製の市販のフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、酸化ランタンで安定化された72.65g/lの酸化アルミニウム上に担持された2:1の重量比の65g/ftの白金及びパラジウム、並びに40g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
b)その第2の端部から出発して、a)に従って得られたフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、3重量%の酸化ビスマスでドープされた100g/lの酸化アルミニウム上に担持された65g/ftの白金、及び40g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
c)b)に従って得られたフロースルー基材を、その全長にわたって、酸化ランタンで安定化された60g/lの酸化アルミニウム上に担持された、14:1の重量比の25g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
【0089】
白金及びパラジウムによる触媒の総充填量は、90g/ftである。
【0090】
このようにして得られた本発明による触媒K1で、物質ゾーンC及びDは同一であり、物質ゾーンA及びB上のフロースルー基材の全長にわたって密着層を形成する。
【0091】
比較例1
a)コージエライト製の市販のフロースルー基材を、その全長にわたって、酸化ランタンで安定化された72.65g/lの酸化アルミニウム上に担持された2:1の重量比の65g/ftの白金及びパラジウム、並びに40g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
b)a)に従って得られたフロースルー基材を、その全長にわたって、酸化ランタンで安定化された60g/lの酸化アルミニウム上に担持された、14:1の重量比の25g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
【0092】
白金及びパラジウムによる触媒の総充填量は、90g/ftである。
【0093】
このようにして得られた比較触媒VK1で、物質ゾーンA及びB並びにC及びDはそれぞれ同一である。触媒VK1は、いかなるビスマスも含まない。
【0094】
実施例2
a)その第1の端部から出発して、コージエライト製の市販のフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、チタン酸セリウム上に担持された1:3の重量比の40g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
b)その第2の端部から出発して、a)に従って得られたフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、3重量%の酸化ビスマスでドープされた100g/lの酸化アルミニウム上に担持された65g/ftの白金、及び40g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
c)その第1の端部から出発して、b)に従って得られたフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、62.28g/lの酸化アルミニウム上に担持された2:1の重量比の70g/ftの白金及びパラジウム、並びに25g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
d)その第2の端部から出発して、c)に従って得られたフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、酸化ランタンで安定化された60g/lの酸化アルミニウム上に担持された、14:1の重量比の25g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
【0095】
白金及びパラジウムによる触媒の総充填量は、100g/ftである。
【0096】
このようにして得た、本発明にかかる触媒を以下ではK2と称する。
【0097】
比較例2
a)コージエライト製の市販のフロースルー基材を、その全長にわたって、チタン酸セリウム上に担持された1:3の重量比の40g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
b)a)に従って得られたフロースルー基材を、その全長にわたって、62.28g/lの酸化アルミニウム上に担持された、2:1の重量比の70g/ftの白金及びパラジウム、並びに25g/lのβ-ゼオライトでコーティングした。
【0098】
白金及びパラジウムによる触媒の総充填量は、110g/ftである。
【0099】
このようにして得られた比較触媒VK2で、物質ゾーンA及びB並びにC及びDはそれぞれ同一である。触媒VK2は、いかなるビスマスも含まない。
【0100】
実施例3
a)コージエライト製の市販のフロースルー基材を、その全長にわたって、3重量%の酸化ビスマスでドープされた25g/lの酸化アルミニウム上に担持された25g/ftの白金でコーティングした。
b)a)に従って得られたフロースルー基材を、その全長にわたって、110g/lの酸化アルミニウム上に担持された、2:1の重量比の40g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
c)その第2の端部から出発して、b)に従って得られたフロースルー基材を、その長さの50%にわたって、酸化ケイ素で安定化された50g/lの酸化アルミニウム上に担持された、12:1の重量比の50g/ftの白金及びパラジウムでコーティングした。
【0101】
白金及びパラジウムによる触媒の総充填量は、90g/ftである。
【0102】
このようにして得た、本発明にかかる触媒を以下ではK3と称する。物質ゾーンA及びB並びにC及びDはそれぞれ同一であり、物質ゾーンA及びBはビスマスを含有する。加えて、物質ゾーンDは、更なる物質ゾーンとして物質ゾーンEを担持する。
【0103】
比較実験1
図3は、NEDCサイクル中にエンジン試験ベンチで測定された触媒後のK1及びVK1のNO/NO比率[%]を示す。黒色の曲線はVK1の結果を示し、灰色の曲線はK1の結果を示す。K1の灰色の曲線は、特に約1125秒と1500秒の間のサイクルでのより高いNO/NO比を示す。
【0104】
比較実験2
図4は、NEDCサイクル中にエンジン試験ベンチで測定された触媒後のK2及びVK2のNO/NO比率[%]を示す。黒色の曲線はVK2の結果を示し、灰色の曲線はK2の結果を示す。灰色の曲線は、より高いNO/NO比を示す。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】