(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】嚥下可能なカプセル装置
(51)【国際特許分類】
A61M 29/00 20060101AFI20231004BHJP
A61M 29/04 20060101ALI20231004BHJP
A61M 5/307 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61M29/00
A61M29/04
A61M5/307
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514933
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021076892
(87)【国際公開番号】W WO2022069605
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーター、ヨリト、イェルーン
(72)【発明者】
【氏名】ムーリセン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】スティッカー、ドラゴ
(72)【発明者】
【氏名】ガザル、アギアド
(72)【発明者】
【氏名】ボーア、アダム、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェプセン、ジェイコブ、ピョン、ホア
(72)【発明者】
【氏名】ハースキンド、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クリーブランド、コディ、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ラウルセン、イェンス、ロレ
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066BB08
4C066CC01
4C066EE01
4C066FF02
4C066LL30
4C267AA58
4C267AA80
4C267BB06
4C267BB27
4C267BB40
4C267CC23
(57)【要約】
患者の腸管の内腔内に嚥下するのに好適なカプセル装置(10)は、ハウジングセクション(12)と、送達組立品(22)によるジェット注射用の送達出口(20)と、拡張組立品(26)と、拡張制御機構(30)と、を備える。拡張セクション(28)は、送達出口(20)に対して横方向に反対側に配設され、かつ送達出口(20)から物理的に分離している。拡張組立品(26)の拡張セクション(28)は、内腔壁(14)に対して送達出口(20)を位置付けるために、非拡張構成から拡張構成に横方向に拡張可能である。拡張制御機構(30)は、非拡張構成から拡張構成への拡張セクション(28)の変化を可能にするために、所定の条件下で拡張組立品(26)を作動させるように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腸管の内腔内に嚥下するのに好適なカプセル装置であって、前記内腔が、内腔壁を有し、前記カプセル装置が、
軸に沿って延在する細長い物体として成形されたハウジングセクションであって、前記ハウジングセクションが、内部を画定し、かつ外部表面を有し、前記内部が、使用中の治療物質を含むよう構成されている、ハウジングセクションと、
前記ハウジングセクションに配置され、かつ前記軸に対して横方向に配置された送達出口であって、前記送達出口が、前記内腔壁内への前記治療物質の針なしジェット注射を可能にするように成形されている、送達出口と、を備え、
前記カプセル装置が、前記送達出口に対して横方向に反対側に配設され、かつ前記送達出口から物理的に分離された拡張セクションを備える、拡張組立品をさらに備え、前記拡張セクションが、前記内腔壁に対して前記送達出口を位置付けるために、非拡張構成から拡張構成に横方向に拡張可能であり、
前記カプセル装置が、前記非拡張構成から前記拡張構成への前記拡張セクションの変化を可能にするために、所定の条件下で前記拡張組立品を作動させるように構成された拡張制御機構を備える、カプセル装置。
【請求項2】
前記拡張セクションが、膨張可能なバルーンを備え、前記バルーンが、前記拡張セクションが前記非拡張構成にあることを想定する場合に、非膨張構成を想定し、前記拡張セクションが前記拡張構成にあることを想定する場合に、膨張構成を想定する、請求項1に記載のカプセル装置。
【請求項3】
前記膨張可能なバルーンが、膨張可能なバッグを形成し、前記バッグが、前記拡張セクションが前記非拡張構成にあることを想定する場合に、折り畳まれた構成を想定し、前記拡張セクションが前記拡張構成にあることを想定する場合に、膨張構成を想定する、請求項2に記載のカプセル装置。
【請求項4】
前記拡張セクションが、胃腸液に曝されたときに拡張するように構成された膨潤可能な構成要素または物質を含む、請求項1に記載のカプセル装置。
【請求項5】
前記膨潤可能な構成要素または物質が、胃腸液に曝されたときに、前記非拡張構成から前記拡張構成に拡張するように構成されたハイドロゲルを含む、請求項4に記載のカプセル装置。
【請求項6】
前記膨潤可能な構成要素または物質が、胃腸液に曝されたときに、前記非拡張構成から前記拡張構成に拡張するように構成されたスポンジ材料を含む、請求項4に記載のカプセル装置。
【請求項7】
前記スポンジ材料が、前記拡張構成にあるときに、それを通る通路を作り出す、請求項6に記載のカプセル装置。
【請求項8】
前記膨張可能なバルーンが、流体に曝されたときに拡張するように構成された複数の膨潤可能な構成要素または物質を含む、請求項2または3に記載のカプセル装置。
【請求項9】
前記膨張可能なバルーンが、前記膨潤可能な構成要素または物質の胃腸液への曝露を可能にするための少なくとも1つの開口を含む、請求項8に記載のカプセル装置。
【請求項10】
前記膨張可能なバルーンが、所定の時間後に前記膨潤可能な構成要素または物質を放出するように構成されている、請求項8または9に記載のカプセル装置。
【請求項11】
前記拡張制御機構が、発泡反応を起動して、前記拡張構成を想定するように前記バルーンを膨張させるように構成された発泡反応機構を含む、請求項2または3に記載のカプセル装置。
【請求項12】
前記拡張制御機構が、混合されたときに、前記発泡反応を引き起こす構成要素を分離する分離器を含み、前記分離器が、胃腸液に曝されたときに溶解して、前記構成要素を混合させるように構成されている、請求項11に記載のカプセル装置。
【請求項13】
前記拡張セクションが、胃腸液に所定の時間曝された後に、別個の拡張セクション片に分解するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項14】
前記拡張セクションが、胃腸液に所定の時間曝された後に、前記ハウジングセクションから脱落するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【請求項15】
前記拡張制御機構が、胃腸液に曝されたときに溶解するように構成されたコーティングを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の腸管の内腔内に嚥下するのに好適なカプセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与のための装置は、タンパク質および他の生物製剤などの生体高分子の消化(GI)管への送達を含む、多数の薬剤送達用途に魅力的である。そのような経口投与は、例えば、皮下注射などのより侵襲的な形態の薬剤投与と比較して、患者のコンプライアンスを高め、薬剤投与コストを削減し、治療結果を改善する可能性が高い。経口GI投与における課題の1つは、薬剤がGI管内の所望の場所に送達されなければならず、関連する薬剤吸収をもたらすために十分な薬剤沈着が組織に確実に生じるのは困難であることである。十分な薬剤沈着の重要な部分は、薬剤送達が行われるときに、経口投与装置のGI管の正しい部分、例えば腸壁への近接を確実にすることである。
【0003】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。
【特許文献1】は、気体流内に同伴された粒子を平行化し、粒子ビームが組織表面に垂直になるように粒子を集束させるように構成された粒子送達装置、特に、手持ち式装置を開示する。
【0004】
【特許文献2】は、液体の形態で分注可能な物質を分注するように構成された、摂取可能な装置の開示を含む。ほとんどの変形では、物質は、例えば、ノズルが、摂取可能な装置の周囲に対して均一に分布する方法で、摂取可能な装置の長手方向軸に対して垂直に配向された複数のノズルから液体ジェットとして分注される。パラメータ「ジェット安定長」は、開口部を通して送達される分注可能な物質がジェットの形態のままである、ノズル開口部からの距離を指すために使用される。経上皮的送達の間、流体ジェットは、流体ジェットが、GI管の内腔の境界面および内腔に面するGI管の表面に到達するために、ノズルスタンドオフ距離を横切って移動するのに十分なジェット安定長を有する。
【0005】
上記に関して、本発明の目的は、内腔壁内の治療物質送達および治療物質デポ形成に関して改善された嚥下可能なカプセル装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2016/0228646A1号
【特許文献2】国際公開第2020/106,750A1号
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様では、患者の腸管の内腔内に嚥下するのに好適なカプセル装置が提供されており、内腔は、内腔壁を有し、カプセル装置は、
軸に沿って延在する細長い物体として成形されたハウジングセクションであって、ハウジングセクションが、内部を画定し、かつ外部表面を有し、内部が、使用中の治療物質を含むよう構成されている、ハウジングセクションと、
ハウジングセクションに配置され、かつ軸に対して横方向に配置された送達出口であって、送達出口が、内腔壁内への治療物質の針なしジェット注射を可能にするように構成されている、送達出口と、を備え、
カプセル装置は、送達出口に対して横方向に反対側に配設され、かつ送達出口から物理的に分離された拡張セクションを備える、拡張組立品をさらに備え、拡張セクションは、内腔壁に対して送達出口を位置付けるために、非拡張構成から拡張構成に横方向に拡張可能であり、
カプセル装置は、非拡張構成から拡張構成への拡張セクションの変化を可能にするために、所定の条件下で拡張組立品を作動させるように構成された拡張制御機構を備える。
【0008】
針なしジェット注射を可能にするように構成された送達出口は、カプセル装置が内腔壁へのこのタイプの注射に適していることを意味する。送達出口は、ジェットノズルの形態で提供されてもよい。
【0009】
一部の実施形態では、カプセル装置は、使用時に、送達出口を通して内腔壁内に治療物質を送達して、ジェット注射によって内腔壁の腸粘膜内層に浸透するように構成されたジェット注射器を含む、送達組立品をさらに含み得る。ジェット注射器を含むこのような送達組立品は、針なしジェットが、望ましい治療物質の用量、例えば、活性医薬成分(API)を内腔壁に送達することを可能にする。このように、摂取可能なカプセル装置は、鋭利な針の先を含まず、針を作動および格納する機構も必要とされない。さらに、針なしジェット注射は、針送達と比較して、注射部位の痛みおよび/または外傷を低減すると考えられる。
【0010】
ジェット送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。さらなる詳細および例は、本出願にさらに提供される。
【0011】
先行技術の溶液中では、ある用量の治療物質がジェットノズルによって排出されるとき、ジェットノズルを標的組織領域から離れて動かすよう作用する顕著な反動効果が起こる可能性が高い。例えば、単一のジェットノズル配設が筐体セクションの端部に位置するカプセル装置について、反動効果により、カプセル装置にトルクが与えられ、その結果、ジェット流が排出作用の過程において横方向に動かされる。したがって、用量の第1の分量によって標的組織領域に初期浸透が行われた経上皮送達について、用量の残りの分量は、他の組織領域に向けられ、潜在的に拡大した組織領域の浸透につながるか、または潜在的に消化管の内腔への治療物質の損失につながる。
【0012】
本発明に従って、内腔壁に対して送達出口を位置付けるために、非拡張構成からの拡張構成に横方向に拡張可能である拡張セクションを有する、拡張組立品の包含は、カプセルが治療物質のジェット注射の準備ができ、腸内で正しく配向されることを可能にする。さらに、拡張セクションは、ジェット注射プロセス中に、標的組織領域に対して送達出口を固定する役割を果たす。したがって、拡張可能セクションは、注射部位への送達出口の近接を確実にするだけでなく、ジェット送達動作の開始時に最初に確立されたものと同じ浸透開口部を通して全用量が送達されることも両方確実にする。さらに、非拡張構成をとる拡張セクションは、患者にとってのカプセル装置の嚥下の容易さを可能にする。
【0013】
拡張セクションは横方向に対向し、送達出口から物理的に分離されているが、拡張セクションが拡張構成を想定しているときに、最初にカプセル装置の正しい配向を達成するのに役立つ。第2に、特に物理的分離特徴は、拡張動作および送達動作が、互いに干渉せず、そうでなければ、一方または両方が故障する場合があることを意味する。また、これは、所望される場合には、2つの作用を互いに別々に実行することができ、別個のトリガに応答して、互いに依存しないことを意味する。
【0014】
一方、拡張制御機構の包含は、患者のGI管内の所望の場所で拡張が起こるように、拡張セクションが所定の状態に応答して拡張構成を想定することを意味する。所定の状態は、カプセル装置の摂取後の所定の時間、GI管内の所定の場所、GI管の1つ以上の特徴(例えば、pH、圧力、酸性度、温度など)のうちの1つ以上を含み得る。
【0015】
一部の実施形態では、単一の送達出口は、ハウジングセクションに配置される。例えば、単一の送達出口は、カプセルハウジングセクションの第1の側面部分に沿って、その特定の軸方向場所で配設されるジェットノズルを画定してもよく、拡張セクションは、第1の側面部分と対向するカプセルハウジングセクションの第2の側面部分に配置される。異なる変形では、送達出口は、ハウジングセクションの一方の端部に配設されてもよく、または、例えば、ハウジングセクションの2つの端部分の間の中間など、2つの対向する端部の間の軸方向位置に配置されてもよい。
【0016】
他の実施形態では、複数の送達出口、例えば、ジェットノズルは、1つ以上の拡張セクションが送達出口と横方向に配設され、かつ送達出口から物理的に分離される方法で、ハウジングセクションに配置される。
【0017】
カプセル装置の特定の実施形態では、使用時に、治療物質は、例えば、液体ジェットストリームとしてジェットノズルを通して、薬剤出口を通して排出される液剤物質を形成する。
【0018】
カプセル装置の代替的な実施形態では、治療物質は、粒子の形態で提供され、コリメート粒子は、例えば、粒子ジェットストリームとしてジェットノズルを通して、薬剤出口を通るガス流ストリームに混入される。
【0019】
拡張セクションは、膨張可能なバルーンを備え、バルーンは、拡張セクションが非拡張構成にあることを想定する場合に、非膨張構成を想定し、拡張セクションが拡張構成にあることを想定する場合に、膨張構成を想定する。膨張可能なバルーンは、膨張可能なバッグを形成し得、バッグは、拡張セクションが非拡張構成にあることを想定する場合に、折り畳まれた構成を想定し、拡張セクションが拡張構成にあることを想定する場合に、膨張構成を想定する。
【0020】
カプセル装置は、内腔内に嚥下可能であるように構成されることによって、摂取可能であるとみなされる、すなわち、全体が嚥下され得ることが理解されよう。
【0021】
膨張可能なバルーンおよび/または膨張可能なバッグの使用は、拡張セクションの膨張したサイズおよび圧力が、意図された使用に好適なように制御および選択され得るという利点を有する。内腔壁への拡張セクションの圧力は、患者への不快感の原因となり得るため、拡張セクションのサイズおよび圧力を制御できることが重要である。膨張可能なバッグ/バルーンは、内腔壁上のバルーンまたはバッグによって加えられる圧力が制御されるように、一度膨張したときに、設定された体積または形状を画定する状態を維持するタイプのものである。このように、バッグ/バルーンは、所望の体積または形状を超えて膨張し続けることができないように、非伸縮性材料から作製されてもよい。
【0022】
任意選択で、拡張セクションは、胃腸液に曝されたときに拡張するように構成された膨潤可能な構成要素または物質を含む。膨潤可能な構成要素または物質は、胃腸液に曝されたときに、非拡張構成から拡張構成に拡張するように構成されたハイドロゲルを含み得る。
【0023】
ハイドロゲルの使用は、そのような膨張を誘発する複雑な機構を必要とすることなく、拡張された構成を作り出す手段を提供する。
【0024】
好ましくは、膨潤可能な構成要素または物質は、胃腸液に曝されたときに、非拡張構成から拡張構成に拡張するように構成されたスポンジ材料を含み得る。
【0025】
スポンジ材料の柔らかいクッション性の性質は、拡張セクションが内腔壁に押し付けられるときに内腔壁への圧力を減少させるのに役立ち、したがって、患者の不快感を減少させる。さらに、スポンジが膨張するほど、適用する外向きの力が少なくなり、内腔壁への圧力を低減するのにも役立つ。スポンジ材料の使用はまた、単純かつ信頼性が高い(すなわち、流体への曝露が膨張を引き起こす)。
【0026】
膨潤可能な構成要素が使用される実施形態では、膨潤可能な構成要素は、内腔壁上の圧力を制御することができるように、制御された最大膨張を有するように選択されることが好ましい。
【0027】
スポンジ材料は、拡張構成にあるときに、それを通る通路を作り出し得る。
【0028】
スポンジ材料(例えば、その形状および/またはカプセルへの付着方法を介して)を、膨張されたときに通路を作り出すように構成することは、GI管の閉塞を防止するのに役立つ。例えば、糜粥が腸管を通過できるようにする。さらに、通路はスポンジ材料の膨張時に直ちに作製され、そのため送達手順全体を通して閉塞が低減される。
【0029】
任意選択で、膨張可能なバルーンは、流体に曝されたときに拡張するように構成された複数の膨潤可能な構成要素または物質を含む。
【0030】
膨潤可能な構成要素と膨張可能なバルーン(場合によってはバッグ)との組み合わせは、バルーンを介して拡張セクションの最終的な形状および/またはサイズを制御および/または制限することができる一方で、膨潤可能な構成要素(例えば、スポンジ材料)を介して信頼できる拡張手段を提供する。内腔壁に及ぼされる圧力は、バルーン内の選択された膨潤可能な材料の特徴によって制御され、これは信頼できる様式で行うことができる。さらに、膨潤可能な構成要素は、物質送達後のGI管の残りの部分を安全に通過するように十分に小さくすることができる。
【0031】
好ましくは、膨張可能なバルーンは、膨潤可能な構成要素または物質の胃腸液への曝露を可能にするための少なくとも1つの開口を含み得る。
【0032】
膨張可能なバルーンに開口を包含して膨潤可能な構成要素を胃腸液に曝させることは、そのような活性化を引き起こす別の内部機構を必要とすることなく、そうすることが望まれるときに、膨潤可能な構成要素の膨張を活性化する信頼できる手段を提供する。
【0033】
一実施形態では、膨張可能なバルーンは、所定の時間後に膨潤可能な構成要素または物質を放出するように構成されている。
【0034】
こうした配設は、拡張セクションを本質的に配置することによって、GI管の閉塞を防止するのに役立つ。例えば、これは、膨潤可能な構成要素を、GI管の残りの部分を安全に通過させるのに十分に小さくし、生分解性物質(腸液に完全に曝された後、生物分解され得る)から形成し、所定の期間後にバルーンが溶解するように形成し、バルーンも安全に管を通過できるようにカプセルから放出するように構成することによって行うことができる。バルーンは、所定の時間(管内の条件に関連し得る)の後に開栓または溶解することによって膨潤可能な構成要素を放出し得る。
【0035】
任意選択で、拡張制御機構は、発泡反応を起動して、拡張構成を想定するようにバルーンを膨張させるように構成された発泡反応機構を含む。
【0036】
拡張構成を想定するためにバルーンを膨張させるための発泡反応を含むことは、適切な量の発泡性材料を選択することによって、バルーンのサイズおよび圧力を正確に制御できることを意味する。
【0037】
拡張制御機構は、混合されたときに、発泡反応を引き起こす構成要素を分離する分離器を含み得、分離器は、胃腸液に曝されたときに溶解して、構成要素を混合させるように構成されている。
【0038】
こうした分離器は、GI管の条件に基づいて発泡反応のトリガを可能にし、これは、反応の正しいタイミングを達成できることを意味する。
【0039】
拡張セクションは、胃腸液に所定の時間曝された後に、別個の拡張セクション片に分解するように構成され得る。加えて、または代替的に、拡張セクションは、胃腸液に所定の時間曝された後に、ハウジングセクションから脱落するように構成され得る。
【0040】
このような分解または脱落は、内腔の閉塞を除去するのに役立つ。
【0041】
一部の実施形態では、拡張制御機構は、胃腸液に曝されたときに溶解するように構成されたコーティングを含む。
【0042】
こうしたコーティングの使用は、カプセルがGI管、すなわち腸の正しい部分に入るまで拡張制御機構の活性化を防止し、それによって、拡張組立品の早期拡張を防止する。コーティングは、上記に概説したような溶解可能な分離器などの、他のトリガまたは膨張制御機構と組み合わせて使用され得る。
【0043】
カプセル装置の一部の変形では、ジェット注射器を含む送達組立品はまた、薬剤出口を通してジェット注射を開始するためのトリガ配設を含む。一部の形態では、環境感受性機構を備えるようにトリガ配設が提供されている。
【0044】
一部の形態では、カプセル装置は、患者による嚥下、および小腸、または大腸のそれぞれなどの患者のGI管の内腔内への移動のために構成されている。
【0045】
環境感受性機構は、ある特定の実施形態では、GI管環境感受性機構であってもよい。GI管環境感受性機構は、トリガ部材を備えてもよく、トリガ部材は、以下を含む群のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる。
a)トリガ部材が、GI管内のpHの変化により分解、腐食、および/または溶解する材料を含むこと、
b)トリガ部材が、GI管内のpHにより分解、腐食、および/または溶解する材料を含むこと、
c)トリガ部材が、GI管内の酵素の存在により分解、腐食、および/または溶解する材料を含むこと、ならびに
d)トリガ部材が、GI管内の酵素の濃度の変化により分解、腐食、および/または溶解する材料を含むこと。
【0046】
代替形態では、トリガ配設はまた、電子トリガであってもよく、または電子トリガを含んでもよい。
【0047】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】
図1a拡張セクションが非拡張構成にある状態である、本発明の第1の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図1B】
図1b拡張セクションがインビボでの拡張構成にある状態である、
図1aのカプセル装置を示している。
【
図2A】
図2a拡張セクションが非拡張構成にある状態である、本発明の第2の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図2B】
図2b拡張セクションが拡張構成にある状態である、
図2aのカプセル装置を示している。
【
図3A】
図3a拡張セクションが非拡張構成にある状態である、本発明の第3の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図3B】
図3b拡張セクションが拡張構成にある状態である、
図3aのカプセル装置を示している。
【
図4A】
図4a拡張セクションが非拡張構成にある状態である、本発明の第4の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図4B】
図4b拡張セクションが拡張構成にある状態である、
図4aのカプセル装置を示している。
【
図5A】
図5a拡張セクションが非拡張構成にある状態である、本発明の第5の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図5B】
図5b拡張セクションが拡張構成にある状態である、
図5aのカプセル装置を示している。
【
図6A】
図6a本発明の第6の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図6B】
図6b本発明の第7の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図7A】
図7a本発明の第8の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図7B】
図7b本発明の第8の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図7C】
図7c本発明の第8の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図8A】
図8a本発明の第9の実施形態によるカプセル装置を示している。
【
図8B】
図8b本発明の第9の実施形態によるカプセル装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の第1の実施形態によるカプセル装置10を、
図1aおよび
図1bに示す。カプセル装置10は、経口投与を目的としており、したがってそれに応じてサイズ決定および形状決定されている。特に、カプセル装置10は、軸Aに沿って延在する細長い物体、この実施形態では楕円形状(本発明はこの形状に限定されないが)として形状決定される、ハウジングセクション12を含む。
図1bに示すように、細長い軸Aは、カプセル装置10が治療物質送達のための所望の位置にあるときに、患者の腸管14の同じ細長い軸に沿って延在するように意図されている。
【0050】
ハウジングセクション12は、使用中の治療物質(図示せず)を含有するよう構成された内部16を画定し、外部表面18を有する。
【0051】
カプセル装置10はまた、軸Aに横方向に位置する送達出口20を含む。送達出口20は、ジェット注射を可能にする開口であってもよい。カプセル装置10は、使用中、ジェット注射によって送達出口20を通して内腔壁24内に治療物質を送達するように構成されたジェット注射器(図示せず)を含む、送達組立品22をさらに含む。
【0052】
ジェット薬剤送達のための既存のジェット注射器システムは、当該技術分野で公知である。当業者であれば、例えば、WO2020/106,750(PROGENITY INC)から、治療物質を内腔壁24内に送達するための正しいジェット力を提供する適切なジェット注射器を選択する方法を理解するであろう。
【0053】
具体的に、当業者であれば、ジェット注射を使用した患者のGI管内への薬剤送達中、ジェット注射器によって生成されたジェット流が、GI管の内腔および内腔に面するGI管の表面を結合することを理解するであろう。最終的に、原薬は、噴霧へと最小限に分解する安定した流体のジェット流として、GI管の粘膜層(例えば、上皮層、および上皮層上に存在し得る任意の粘液)に影響を及ぼす物質によって、粘膜下組織および/または粘膜組織に堆積する。
【0054】
原薬の流体の体積は、ジェット注射器をピークジェット速度で出るジェット流を生成するピーク流体圧力を経験する。ジェット流は、ピークジェット電力、ピークジェット圧力、およびピークジェット力で、GI管の内腔および内腔に面するGI管の表面の界面に影響を及ぼす。当業者であれば、これら3つのパラメータが相互接続されていることを認識するであろう。
【0055】
当業者であれば、記載されるタイプのジェット注射での使用の適合性について、様々なジェット注射器の特徴を評価および測定する方法を理解するであろう。例えば、ジェット電力を評価する1つの方法は、ジェットの力を測定する力センサ上にジェットを放出することである。力を読み取り、ノズルの面積およびジェット液体の密度を知ることに基づいて、ジェット速度は、方程式1を使用して決定され得る。計算された速度に基づいて、電力(ワット)は、方程式2を使用して計算され得る。ジェット圧力(すなわち、ジェット流が放出される圧力)を評価するために、方程式3が使用され得る。
【数1】
F=力(N)
ρ=密度(kg/m3)
A=ノズルの面積(m2)
V=速度(m/s)
P=電力(W)
P
bar=圧力(バール)
C=ノズル損失係数(通常0.95)
【0056】
カプセル装置10は、拡張セクション28を含む拡張組立品26をさらに含む。拡張セクション28は、送達出口20に対して横方向に反対側に配設され、かつ送達出口20から物理的に分離している。拡張セクション28は、非拡張構成(
図1aに示す)から拡張構成(
図1bに示す)まで横方向に拡張可能である。
図1bに例示するように、拡張構成にある拡張セクション28は、送達出口20が内腔壁24に対して位置付けられるように、カプセル装置10を管14内に配向する。
【0057】
好ましくは、拡張セクション28は、ハウジングセクション12の大部分または全長に沿って延在する。
【0058】
この実施形態では、拡張セクション28は、湿潤時に拡張構成をとるスポンジ29の形態にある。
【0059】
カプセル装置10はまた、この実施形態では、腸溶性コーティング32の形態にある拡張制御機構30を含む。コーティング32は、カプセル装置10全体を包囲するが、これは、他の実施形態ではそうではなくてもよく、例えば、拡張セクション28のみを覆ってもよい。腸溶性コーティング32は、管14内の腸液に曝されたときに溶解し、これにより、拡張セクション28、すなわち、スポンジ29を腸液に曝露し、したがってスポンジ29の拡張を作動させるように構成されている。
【0060】
腸溶性コーティング32(時に胃耐性コーティングと呼ばれる)は、それが小腸に到達する前の分解に抵抗し、次いで、小腸の特徴(例えば、pH、圧力、酸性度、温度など)により溶解するバリアである。コーティングは、物質送達が必要とされる場所に応じて、GI管14の別の部分で溶解するために別の形態をとってもよい。
【0061】
拡張制御機構30は、所定の期間の後に溶解する時間依存性コーティングなどの別の形態の溶解可能なトリガであってもよい。拡張制御機構30は、GI管14内の所望の位置を検出して、次いで拡張セクション28を作動させるセンサを含み得る。
【0062】
さらに、拡張制御機構30は、拡張セクション28を作動させるためのトリガの組み合わせを含んでもよい。
【0063】
この実施形態では、スポンジ29は、拡張時に長方形の固体形状として示される(ただし、楕円形、円形、または正方形などの異なる固体形状であってもよい)。この実施形態のスポンジ29は、例えば自然界で、経時的に分解するような生分解性である。
【0064】
拡張セクション28の長さは、拡張セクション28がトリガされたときに、カプセル装置10が回転を開始し、内腔14の長手方向軸と整列するようなものであるべきである。さらに、拡張セクション28が拡張構成にあるときのカプセル装置10の全幅は、それが送達出口20を内腔壁24に押し付け、注射が意図された注射部位で行われることを可能にするようなものであるべきである。しかしながら、拡張セクション28は、患者にかなりの不快感をもたらすか、または何らかの方法で内腔壁を損傷するほど拡張してはならない。拡張セクション12の長さは、好ましくは、内腔14の直径と等しいか、またはそれよりも大きくあるべきである。例えば、それは、内腔の最大直径の2倍であり得る。しかしながら、拡張セクション12の長さが内腔直径よりも小さい場合もあり得る。拡張セクション28が拡張構成にある装置10の全体幅は、好ましくは、最大内腔直径に等しいか、またはそれ以上である。
【0065】
この実施例におけるカプセル装置10は、以下の寸法を有する。タブレットハウジング12は、約25mmの長さおよび約8.5mmの幅を有する。拡張構成にある拡張セクションの幅は、約30mmであり、拡張構成における長さは、30~70mm、好ましくは50~70mmである。カプセル装置10は、00サイズのカプセルまたは000サイズのカプセルとして構成されてもよい。
【0066】
これらの寸法は、例示のみを目的とし、任意の好適な寸法が、意図された注射部位および/または問題の患者に応じて選択され得ることが理解されるであろう。例えば、上記の寸法は、典型的には25~30mmの直径を有する成人小腸における使用を目的としている。しかしながら、小児の小腸直径はより小さく、したがって、患者の年齢層に応じて(特に、拡張セクションの幅および長さについて)異なる寸法が選択され得る。意図された注射部位、例えば腸の寸法に関するデータは、当業者に容易に入手可能であろう。
【0067】
カプセル装置10および拡張セクション28の寸法に関する説明は、以下に記載される本発明の他の実施形態に適用される。
【0068】
使用中、カプセル装置10は、患者によって嚥下され、患者の腸管14の内腔に沿って動く。カプセル装置10が小腸管に到達すると、腸溶性コーティング32は、小腸の条件により溶解し始める。そのような溶解の結果として、拡張セクション28、すなわち、スポンジ29は、小腸液に曝される。
【0069】
体液はスポンジ29を湿潤させ、それによりスポンジ29は、その非拡張構成からその拡張構成に拡張する。内腔のサイズに対する拡張スポンジ29のサイズおよび位置付けにより、カプセル装置10は、内腔の長手方向軸に沿って長手方向にそれ自体を位置付ける。そうすることで、送達出口20が送達組立品22によるジェット注射の準備ができ、内腔壁24に対して位置付けられる。
【0070】
次いで、ジェット注射器によってジェット注射が実施されて、治療物質を患者の内腔壁24内に送達する。
【0071】
カプセル装置10の長さは、内腔直径および/または収縮構成にあるときの(例えば、食物が通過していないときの)内腔直径よりもわずかに大きく、これにより、カプセル装置20は、内腔内で垂直方向にそれ自体を配向することができない(すなわち、カプセル装置の長手方向軸Aは、内腔の長手方向軸に対して垂直に位置することができない)。したがって、スポンジ29の一部分(好ましくは、ハウジングセクション12の大部分もしくは全長に沿って延在するか、またはハウジングセクション12の長さを超えて延在する)は、拡張時、カプセル装置10を所望どおり(すなわち、
図1bに示すように)配向するように、内腔壁24を押す。
【0072】
スポンジ29は、スポンジ片が管14を通過することができるように、所定の条件下でより小さなスポンジ片に分解するように構成され得る。スポンジ29はまた、または代わりに、カプセル装置10のハウジングセクション12から脱落してもよい。このような分解および/または脱落は、トリガ(例えば、電子トリガ)、または取り付け点における時間ベースの溶解性接着剤(すなわち、スポンジ片が互いに取り付けられる場合、および/またはスポンジがハウジングセクション12に取り付けられる場合)、または腸液への曝露時に溶解する、取り付け点で別の溶解可能な構成要素を露出させるために溶解するコーティング(第1のコーティングは、注射が行われるのに十分な時間の経過後に溶解することを意味する厚さを与えられる場合がある)によって引き起こされる可能性がある。さらに、スポンジ29は、ハウジングセクション12から脱落し、その後、GI管の別の部分の条件下で溶解するようにトリガされ得る。
【0073】
本発明の第2の実施形態によるカプセル装置100を
図2aおよび
図2bに示す。カプセル装置100は、本発明の第1の実施形態によるカプセル装置10と類似の特徴を共有し、同一の特徴は、同じ参照番号によって示される。
【0074】
第2の実施形態のカプセル装置100は、拡張セクション28が拡張された構成を想定するときに通路104を作り出すスポンジ102の形態であるという点で、第1の実施形態のカプセル装置10とは異なる。
【0075】
特に、スポンジ102は、各端部105でのみ、カプセル装置100のハウジングセクション12の対向面に取り付けられる、スポンジ材料の細長いセクションから形成される。このように、スポンジ102が拡張するときに、ハウジングセクション12に取り付けられていないスポンジ102のセクションは、ハウジングセクション12から離れて外側に自由に拡張できる。したがって、スポンジ102およびハウジングセクション12によって画定される閉ループを本質的に形成する。したがって、ループの穴は、通路104を形成する。
【0076】
ハウジングセクションおよび/またはスポンジ102は、ハウジングセクション12へのスポンジ102の付着を助けるために、相互に隣接可能または係合可能な部分を含み得る。この実施形態では、ハウジングセクション12は、カプセル装置100の各対向面上にレッジ106を含み、各レッジ106は、ハウジングセクション12の外部表面に沿って長手方向に延在する。レッジ106は、装置100の長さに沿って部分的または完全にのみ延在してもよい。スポンジ102の端部106は、レッジ106内に入れ子になり、ハウジングセクション12に取り付けられる。
【0077】
図2aには示されていないが、カプセル装置100は、スポンジ102を流体に露出させ、所定の条件下で膨張させ得る、膨張制御機構を含む。前述したように、これは溶解可能なコーティング(腸溶性コーティングなど)であってもよく、または任意の他の適切な形態を取り得る。
【0078】
本発明の第1の実施形態に関連して上述したのと同様の様式で、スポンジ102の拡張は、送達出口20が内腔壁に対して注射可能になるように、管(
図2bには示されていない)内のハウジングセクション12を配向する。ループ状スポンジ102は、内腔壁にわずかに押し付けられ、カプセル装置100の位置決めを助ける。一方で、ループ状スポンジ102によって作製された穴は、糜粥などの物質が通過するための通路104を形成し、それによって、閉塞を防止する。
【0079】
スポンジ102はまた、生分解性または別の方法で溶解可能なスポンジ材料から形成されてもよい。加えて、または別の方法として、スポンジ102は、管を安全に通過できるように、所定の時間の経過後に、より小さなスポンジ片に分解するか、またはハウジングセクション12から脱落するように構成され得る。第1の実施形態に関連して上述したように、このような脱落または分解は、異なるトリガによって引き起こされ得る。
【0080】
図2aおよび
図2bは、カプセル装置100の概略的表現であり、そのため、それらの構成要素の寸法および相対的な寸法は、実際にはカプセル装置100を反映しない場合がある。例えば、スポンジ102および通路104は、ハウジングセクション12と比較して誇張されたサイズとして示されている。
【0081】
本発明の第3の実施形態によるカプセル装置150を
図3aおよび
図3bに示す。カプセル装置150は、本発明の第1の実施形態によるカプセル装置10と類似の特徴を共有し、同一の特徴は、同じ参照番号によって示される。
【0082】
本発明の第3の実施形態のカプセル装置150は、拡張セクション28が、拡張構成(
図3bに示すような)にあるときにスポンジ152の放射状拡張を引き起こすような非拡張構成にあるときに予め圧縮されたスポンジ152の形態である点で、本発明の第1の実施形態のカプセル装置とは異なる。事前圧縮されることによって、スポンジ152は、圧縮状態にあるときに湿り、乾燥するとその圧縮形状を維持する。次に、スポンジ152が再び(例えば、腸液によって)湿ると、再び拡張する。
【0083】
圧縮スポンジ152は、いくつかの(例えば、3~5個の)別個のスポンジ片の形態を取り得、その各々は、カプセル装置150のハウジングセクション12に固定される。スポンジ片のサイズおよび形状、ならびに事前圧縮は、拡張の放射状の性質を決定するのに役立つ。
【0084】
図3aには示されていないが、カプセル装置150は、スポンジ152を流体に露出させ、所定の条件下で膨張させ得る、膨張制御機構を含む。前述したように、これは溶解可能なコーティング(腸溶性コーティングなど)であってもよく、または任意の他の適切な形態を取り得る。
【0085】
スポンジ152は、スポンジ片が管14を通過することができるように、所定の条件下でより小さなスポンジ片に分解するように構成され得る。スポンジ152はまた、または代わりに、カプセル装置150のハウジングセクション12から脱落してもよい。このような分解および/または脱落は、トリガ(例えば、電子トリガ)、または取り付け点における時間ベースの溶解性接着剤(すなわち、スポンジ片が互いに取り付けられる場合、および/またはスポンジがハウジングセクション12に取り付けられる場合)、または腸液への曝露時に溶解する、取り付け点で別の溶解可能な構成要素を露出させるために溶解するコーティング(第1のコーティングは、注射が行われるのに十分な時間の経過後に溶解することを意味する厚さを与えられる場合がある)によって引き起こされる可能性がある。さらに、スポンジ152は、ハウジングセクション12から脱落し、その後、GI管の別の部分の条件下で溶解するようにトリガされ得る。
【0086】
使用中のカプセル装置150の動作は、第1の実施形態に関連して既に上述したものと類似している。
【0087】
本発明の第4の実施形態によるカプセル装置200を
図4aおよび
図4bに示す。カプセル装置200は、本発明の第1の実施形態によるカプセル装置10と類似の特徴を共有し、同一の特徴は、同じ参照番号によって示される。
【0088】
本発明の第4の実施形態のカプセル装置200は、拡張セクション28が膨張可能なバッグ202の形態である点で、本発明の第1の実施形態のカプセル装置200とは異なる。
【0089】
膨張可能なバッグ202は、
図4aに示すように、非膨張構成にあるときに、コンパクトな構成を提供するために、それ自体で折り畳まれる。膨張可能なバッグ202が拡張構成(
図4bに示す)にあるときに、それが流体(例えば、液体またはガス)で満たされることによって膨張するにつれて膨張し、したがって、所望されるようにカプセル装置200を配向する。
【0090】
膨張可能なバッグ202は、生分解性および合成可能である、生分解性材料、例えば、ポリブチレンアジピン酸テレフタレート(PBAT)から作製されてもよい。
【0091】
カプセル装置200は、膨張性反応を起動して膨張可能なバッグ202を膨張させて、拡張構成を想定するように構成された、発泡反応機構204をさらに含む。
【0092】
この実施形態では、発泡反応機構204は、溶解可能な分離器208によって分離される第1および第2のチャンバー206を含む。第1および第2のチャンバー206は、混合されると、発泡反応を引き起こす成分を含む。
【0093】
以下は、二酸化炭素CO2を生成し、かつチャンバー206の構成要素として使用され得る、化学反応の例である。
実施例1(塩酸を有する炭酸カルシウム):CaCo3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2
実施例2(重炭酸ナトリウムを含むクエン酸):C6H8O7+3NaHCO3→3H2O+CO2+Na3C6H5O7
実施例3(重炭酸ナトリウムを含む酒石酸):H2C4H4O6+2NaHCO3→Na2C4H4O6+2H2O+2CO2
発泡反応のための酸の例:
-クエン酸
-酢酸
-塩酸
-酒石酸
-リンゴ酸
-アジピン酸
-アスコルビン酸
-フマル酸
発泡反応のための炭酸塩の例:
-重炭酸ナトリウム
-炭酸ナトリウム
-炭酸カルシウム
-重炭酸カリウム
【0094】
他の実施形態では、発泡反応は、1つ以上の固体状態の構成要素が濡れている(例えば、腸液または装置100内に保持された他の流体に曝されている)ことによって発生してもよく、これが発泡反応を引き起こす。
【0095】
この実施形態では、溶解可能な分離器208は、周囲の腸液に曝されたときに溶解される。こうした曝露は、腸溶性コーティング32が溶解した後に生じる。
【0096】
分離器108は、拡張制御機構30に関連して既に論じたように、任意の他の適切な手段によってトリガされ得ることが理解されよう。
【0097】
さらに、この実施形態における溶解可能な分離器108は、第1のチャンバー206と第2のチャンバー206との間の接合部分212を挟み、構成要素を互いに分離した状態に保つ、クランプ210である。クランプ210が溶解すると、接合部分212が解放され、これが第1および第2のチャンバー206の間に経路を作り、構成要素が混合できるようにする。
【0098】
クランプ210は、異なるサイズ/厚さで形成されて、発泡反応のタイミングを制御することができる。
【0099】
カプセル装置200は、チャンバー206とバッグ202との間の導管内に位置付けられたフィルタ(図示せず)をさらに含み得る。フィルタは、発泡反応からのガスがバッグ202を膨張させるために通過させながら、反応からの粉末がチャンバー206内に留まっていることを確実にする。
【0100】
使用において、本発明の第1の実施形態と同様に、カプセル装置200は、患者によって嚥下され、患者の腸管14の内腔に沿って動く。カプセル装置200が小腸管に到達すると、腸溶性コーティング32は、小腸の条件により溶解し始める。こうした溶解により、(拡張組立品の一部である)溶解可能なクランプ210が、小腸の条件に曝される。これは、腸溶性コーティング32がハウジングセクション12を通ってクランプ210までの開口を露出させるために起こり得る。
【0101】
次いで、クランプ210は、小腸の状態のために溶解する。また、腸液中に溶解する腸溶性コーティング材料から作製されてもよい。クランプ210の溶解は、チャンバー206の接合部分212を解放し、これが第1および第2のチャンバー206の間に経路を作り、構成要素が混合できるようにする。こうした混合は、発泡反応を引き起こし、これは次に、バッグ202をその拡張構成に膨張させるためのガス圧力を提供する。
【0102】
内腔のサイズに対する膨張したバッグ202のサイズおよび位置付けにより、カプセル装置200は、内腔の長手方向軸に沿って長手方向にそれ自体を位置付ける。そうすることで、送達出口20が送達組立品22によるジェット注射の準備ができ、内腔壁に対して位置付けられる。
【0103】
次いで、ジェット注射器によってジェット注射が実施されて、治療物質を患者の内腔壁内に送達する。
【0104】
バッグ202は、バッグ202が管を通過できるように、所定の条件下でハウジングセクション12から脱落するように構成され得る。こうした脱落は、トリガ(例えば、電子トリガ)、または取り付け点における時間ベースの溶解性接着剤(すなわち、バッグ202がハウジングセクション12に取り付けられる場合)、または腸液への曝露時に溶解する、取り付け点で別の溶解可能な構成要素を露出させるために溶解するコーティング(第1のコーティングは、注射が行われるのに十分な時間の経過後に溶解することを意味する厚さを与えられる場合がある)によって引き起こされる可能性がある。さらに、バッグ202は、ハウジングセクション12から脱落し、その後、GI管の別の部分の条件下で溶解するようにトリガされ得る。
【0105】
本発明の第5の実施形態によるカプセル装置250を
図5aおよび
図5bに示す。カプセル装置250は、本発明の第1の実施形態によるカプセル装置10と類似の特徴を共有し、同一の特徴は、同じ参照番号によって示される。
【0106】
本発明の第5の実施形態のカプセル装置250は、拡張セクション28が、複数のスポンジ片254を含有する膨張可能なバッグ252の形態である点で、本発明の第1の実施形態のカプセル装置とは異なる。
【0107】
膨張可能なバッグ252は、非膨張構成にあるときに、それ自体で折り畳まれてもよく、またはコンパクトな構成を提供するために、単に収縮されてもよい。
【0108】
膨張可能なバッグ252は、スポンジ片254を腸液に曝露することを可能にする複数の穴256を含む。こうした露出は、スポンジ片254を膨張させ、それによって、バッグ252を充填して、その拡張構成を想定する。
【0109】
穴256は、スポンジ片254が穴256を通って漏れないように、スポンジ片254のサイズよりも小さいサイズである。例えば、穴256は、直径1mmであってもよく、スポンジ片254は、直径1.5mmであってもよい。
【0110】
この実施形態では、カプセル装置250は、腸溶性コーティング(図示せず)を含み、これは小腸内で溶解し、それによって、穴256(およびそれゆえスポンジ片254)を腸液に曝露する。カプセル装置250は、前述したように、別のタイプのトリガを含み得る。さらに、スポンジ片254は、GI管の特定の部分の条件(例えば、小腸の条件)に曝されたときにのみ拡張するような方法で形成または被覆されてもよい。
【0111】
また、この実施形態では、バッグ252は、接合線258に沿って一緒に固定される2つのバッグ部分252a、252bから構成される。バッグ部分252a、252bは、所定の条件下で溶解するように選択される溶解可能な接着剤によって一緒に接合され、これにより、ジェット注射が発生した後に溶解が生じる。一旦溶解されると、スポンジ片254がバッグ252から放出され、GI管の残りの部分に沿って自由に移動するように、接合線258は開いたままになる。
【0112】
前述したように、溶解可能な接着剤は、腸状態への曝露によって溶解してもよく、および/または一定期間に基づいて溶解してもよい。加えて、または代替的に、接合線258は、腸液に溶解することを可能にするために溶解可能な接着剤を露出する別の溶解可能なコーティングを含んでもよい。加えて、または代替的に、バッグ252は、前述のように、ハウジングセクション12から脱落するように構成され得る。加えて、または代替的に、スポンジ片254は、(前述したように)小さな片に分解するように構成され得る。
【0113】
溶解可能な接着剤のための有用な水溶性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸性ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガンカントゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレート共重合体、カルボキシビニル共重合体、デンプン、ゼラチン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0114】
溶解可能な接着剤用の分解性ポリマーの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサノエ、ポリオキサレート、ポリ(αエステル)、ポリ無水物、ポリ酢酸塩、ポリカプロラクトン、ポリ(オルソエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、ならびにそれらの混合物および共重合体。
【0115】
他の実施形態では、カプセル装置250は、第4の実施形態に関連して前述したように、発泡反応機構をさらに含む。したがって、バッグ252は、発泡反応とスポンジ片254との組み合わせによる膨張構成を想定する。
【0116】
本発明の第6の実施形態によるカプセル装置300を
図6aに示す。カプセル装置300は、本発明の第4の実施形態によるカプセル装置200と類似の特徴を共有し、同一の特徴は、同じ参照番号によって示される。
【0117】
図6aに示すカプセル装置300は、ジェット注射を開始するための機構を追加的に示す。カプセル装置300は、腸溶性コーティング(図示せず)が溶解した後に、開口部304を介して胃液に曝され、かつ膨張し始める、スポンジ部分302を含む。半透過性膜305は、装置300の内側にある開口部304にわたって位置付けられる。半透過性膜305が開口部304を通して胃液に急速に浸漬すること、すなわち、半透過性膜と組み合わせて浸透圧駆動としての役割を果たすことを可能にするために、塩307または類似の材料が、半透過性膜305およびスポンジ部分302の両方と接触して位置付けられている。
【0118】
軸方向のスポンジ部分302の膨張は、隣接するガスキャニスタ306を遠位に移動させる。スポンジ部分302の対向する側でガスキャニスタ306に取り付けられるのは、ラプチュアブルシール308である。ラプチュアブルシール308は、ガスキャニスタ306内に加圧ガスを包含するように作用する。
【0119】
ガスキャニスタ306が動くと、ラプチュアブルシール308は、ラプチュアブルシール308の方向に向けられるスパイク310と接触する。スパイク310は、シール308を破裂させ、それによって、ガスキャニスタ306内の加圧ガスを放出する。加圧ガスは、隣接するピストン312に力を加え、それにより、ピストン312に薬剤物質貯蔵部314内の油圧を駆動させ、送達出口20を通して物質を推力してジェット注射を行う。
【0120】
図6bは、ジェット注射を開始するための機構の代替的な例が示されている、本発明の第7の実施形態によるカプセル装置350を示している。今度は、スパイク352は、スポンジ部分354に固定され、スポンジ部分354が軸方向に膨張するにつれて、スパイク352をガスキャニスタ358のラプチュアブルシール356に向かって押す。スパイク352は、シール356を破裂させ、それによって、加圧ガスをガスキャニスタ358から逃れさせる。加圧ガスは、隣接するピストン360に力を加え、それにより、ピストン360に薬剤物質貯蔵部362内の油圧を駆動させ、送達出口20を通して物質を推力してジェット注射を行う。
【0121】
図7a、
図7b、および
図7cは、
図6aに示すものと類似したカプセル装置400を示しており、同じ特徴が、同一の参照番号を共有する。カプセル装置400は、拡張されたセクションとしてスポンジ29を含むという点で異なる。
図7aは、スポンジ29が非拡張構成にある状態である装置400を示しており、
図7bおよび
図7cは、スポンジ29が拡張構成にある状態である装置400を示している。
【0122】
図8aおよび
図8bは、
図6bに示すものと類似したカプセル装置450を示しており、同じ特徴が、同一の参照番号を共有する。カプセル装置450は、拡張されたセクションとしてスポンジ29を含むという点で異なる。
図8aおよび
図8bは、拡張構成にあるスポンジ29を示している。
【0123】
当然のことながら、上記に示され、かつ記載される膨張可能なバッグは、膨張可能なバルーンの形態を取り得る。バルーンは、ゴム、ラテックス、ポリクロロプレンなどの材料から作製されてもよい。
【0124】
スポンジ材料が本発明の実施形態に関連して記載される場合、別の膨潤可能な構成要素または物質が使用され得ることがまた理解されるであろう。例えば、膨潤可能なポリマーまたはハイドロゲルを、スポンジ材料と組み合わせて、またはスポンジ材料の代わりに使用することができる。
【国際調査報告】