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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】蓋付き光コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20231004BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516649
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021075746
(87)【国際公開番号】W WO2022069268
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】17/060,205
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】徳成 正雄
(72)【発明者】
【氏名】益田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】シュー、シャン ハン
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036QA43
2H036QA47
2H036QA48
2H036QA49
2H036QA50
2H036QA57
2H036QA59
2H137AA11
2H137AB08
2H137AB12
2H137AC12
2H137BA15
2H137BA41
2H137BB02
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB25
2H137BC07
2H137BC51
2H137CA49
2H137CC01
2H137CC21
2H137CC27
2H137CD13
2H137CD19
2H137CD20
2H137CD33
2H137CD45
2H137DA07
(57)【要約】
光コネクタ装置が提供される。この光コネクタ装置は、レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージを備える。また、この光コネクタ装置は、半導体パッケージの蓋に取り付けられたアダプタと、アダプタに対して取り外し可能に取り付けられたコネクタと、を備える。アダプタは、蓋のアダプタ開口に嵌入するように構成された凸部と、コネクタの少なくとも一部を収容するように構成されたアダプタ凹部と、所定の位置でコネクタをアダプタに対して取り外し可能に取り付けるアダプタ凹部中の第1のリテーナと、を含む。コネクタは、レセプタクルに対応し、半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、第1のリテーナと併せて使用される第2のリテーナと、コネクタの一部を半導体パッケージ側へと付勢する付勢部材と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ装置であって、
レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージと、
前記半導体パッケージの前記蓋に取り付けられたアダプタと、
前記アダプタに対して取り外し可能に取り付けられたコネクタと
を備え、
前記アダプタが、
前記蓋のアダプタ開口に嵌入するように構成された凸部と、
前記コネクタの少なくとも一部を収容するように構成されたアダプタ凹部と、
所定の位置で前記コネクタを前記アダプタに対して取り外し可能に取り付ける前記アダプタ凹部中の第1のリテーナと
を含み、
前記コネクタが、
前記レセプタクルに対応し、前記半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、
前記第1のリテーナと併せて使用される第2のリテーナと、
前記コネクタの一部を前記半導体パッケージ側へと付勢する付勢部材と
を含む、
光コネクタ装置。
【請求項2】
前記アダプタの前記凸部が、レセプタクル凹部に嵌入するようにサイズ規定された少なくとも1つのスタッドを含む、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項3】
前記スタッドが、テーパ状端部を有する、請求項2に記載の光コネクタ装置。
【請求項4】
前記コネクタを前記アダプタに接続して位置合わせする少なくとも1つのガイド・ピンをさらに備えた、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項5】
前記コネクタが、第1の部分と、前記第1の部分に対して移動可能に結合された第2の部分とを含む、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項6】
前記付勢部材が、前記コネクタの前記第1の部分と前記コネクタの前記第2の部分との間に配置され、前記コネクタの前記第2の部分から離れる前記垂直方向に前記コネクタの前記第1の部分を付勢するように構成されたばねである、請求項5に記載の光コネクタ装置。
【請求項7】
前記第1のリテーナが、前記アダプタ凹部の底部から上方に延びた板ばねである、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項8】
前記第2のリテーナが、前記板ばねの突起と結合して、前記コネクタを前記アダプタに対して取り外し可能に取り付ける戻り止めを含む、請求項7に記載の光コネクタ装置。
【請求項9】
前記アダプタが、複数のねじによって、前記半導体パッケージの前記蓋に取り付けられた、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項10】
前記コネクタが、前記光ファイバ・アレイのパターンに対応する第1の光レンズ・アレイを含む、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項11】
前記アダプタが、前記光ファイバ・アレイのパターンおよび前記第1の光レンズ・アレイのパターンに対応する第2の光レンズ・アレイを含む、請求項10に記載の光コネクタ装置。
【請求項12】
レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージと、
前記レセプタクルに取り付け可能なコネクタと、
前記コネクタに対して移動可能に結合されるとともに、前記蓋に対して取り外し可能に取り付けられたアダプタと、
前記コネクタと前記アダプタとの間に配置され、前記コネクタを前記半導体パッケージ側へと付勢するように構成された付勢部材と
を備えた光コネクタ装置であって、
前記コネクタが、前記レセプタクルに対応し、前記半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、前記蓋のコネクタ開口に嵌入するように構成された凸部とを含み、
前記アダプタが、前記蓋の第1のリテーナ開口に嵌入するように構成された第1のリテーナを含む、
光コネクタ装置。
【請求項13】
前記コネクタの前記凸部が、レセプタクル凹部に嵌入するようにサイズ規定された少なくとも1つのスタッドを含む、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項14】
前記スタッドが、テーパ状端部を有する、請求項13に記載の光コネクタ装置。
【請求項15】
前記付勢部材が、前記コネクタと前記アダプタとの間に配置され、前記アダプタから離れる前記垂直方向に前記コネクタを付勢するように構成されたばねである、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項16】
前記第1のリテーナが、前記コネクタ開口を通じて前記蓋の下面と係合する戻り止めを含む、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項17】
前記アダプタが、前記コネクタの一部を収容するアダプタ凹部を含む、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項18】
前記アダプタが、アダプタ開口を含み、前記コネクタの前記光ファイバ・アレイが、前記アダプタ開口を通って延びる、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項19】
前記アダプタ開口が、前記光ファイバ・アレイの幅および前記光ファイバ・アレイの長さよりもそれぞれ大きいアダプタ開口幅およびアダプタ開口長を有する、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【請求項20】
前記アダプタが、前記半導体パッケージの前記平面に対して横方向にコネクタ突起と重なったアダプタ突起を含む、請求項12に記載の光コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気、電子、およびコンピュータの分野に関する。特に、本開示は、光マルチチップモジュール(MCM)用の光コネクタであって、あるモジュールから別のモジュールへの光導波路および光ファイバの接続に使用可能なレンズ・アレイを含む、光コネクタに関する。
【発明の概要】
【0002】
本開示の実施形態は、光コネクタ装置に関する。この光コネクタ装置は、レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージを備える。また、この光コネクタ装置は、半導体パッケージの蓋に取り付けられたアダプタと、アダプタに対して取り外し可能に取り付けられたコネクタとを備える。アダプタは、蓋のアダプタ開口に嵌入するように構成された凸部と、コネクタの少なくとも一部を収容するように構成されたアダプタ凹部と、所定の位置でコネクタをアダプタに対して取り外し可能に取り付けるアダプタ凹部中の第1のリテーナとを含む。コネクタは、レセプタクルに対応し、半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、第1のリテーナと併せて使用される第2のリテーナと、コネクタの一部を半導体パッケージ側へと付勢する付勢部材とを含む。
【0003】
本開示の他の実施形態は、光コネクタ装置に関する。この光コネクタ装置は、レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージと、レセプタクルに取り付け可能なコネクタと、コネクタに対して移動可能に結合されるとともに、蓋に対して取り外し可能に取り付けられたアダプタと、コネクタとアダプタとの間に配置された付勢部材とを備える。付勢部材は、コネクタを半導体パッケージ側へと付勢するように構成されている。コネクタは、レセプタクルに対応し、半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、蓋のコネクタ開口に嵌入するように構成された凸部とを含む。また、アダプタは、蓋の第1のリテーナ開口に嵌入するように構成された第1のリテーナを含む。
【0004】
上記概要は、本開示の図示の各実施形態の説明も、あらゆる実施態様の説明も意図しない。
【0005】
本願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。これらの図面は、本開示の実施形態を示すとともに、本明細書と併せて、本開示の原理を説明する。図面は、特定の実施形態を例示しているに過ぎず、本開示を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る、マルチチップモジュール(MCM)光ファイバ接続装置の基本構成の断面図である。
図2A】実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの中間段階における光コネクタ装置の断面図である。
図2B】実施形態に係る、図2Aに示す光コネクタ装置のレセプタクルの上面図である。
図2C】実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの後続段階における図2Aの光コネクタ装置の断面図である。
図2D】実施形態に係る、図2Cに示す光コネクタ装置の蓋の上面図である。
図2E】実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの後続段階における図2Cの光コネクタ装置の断面図である。
図2F】実施形態に係る、図2Eに示すアダプタの側面図である。
図2G】実施形態に係る、図2Eに示すアダプタの底面図である。
図2H】実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの後続段階における図2Eの光コネクタ装置の断面図である。
図2I】実施形態に係る、図2Hの光コネクタ装置のコネクタの側面図である。
図2J】実施形態に係る、図2Hに示す光コネクタ装置のコネクタの底面図である。
図3A】実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの中間段階における光コネクタ装置の断面図である。
図3B】実施形態に係る、図3Aのアダプタおよび光ファイバ束の上面図である。
図3C】実施形態に係る、図3Aのコネクタおよび蓋の上面図である。
図3D】実施形態に係る、図3Aのコネクタおよび蓋の側面図である。
図3E】実施形態に係る、図3Aのアダプタおよび蓋の側面図である。
図3F】実施形態に係る、図3Aのコネクタおよび蓋の底面図である。
図3G】実施形態に係る、図3Aのコネクタ、蓋、およびアダプタの底面図である。
図3H】実施形態に係る、図3Aに示す光コネクタ装置の蓋に対するアダプタおよびコネクタの三段階取り付けを示した図である。
図3I】実施形態に係る、図3Aに示す光コネクタ装置の蓋に対するアダプタおよびコネクタの三段階取り付けを示した図である。
図3J】実施形態に係る、図3Aに示す光コネクタ装置の蓋に対するアダプタおよびコネクタの三段階取り付けを示した図である。
図4】実施形態に係る、図3Aに示す光コネクタ装置に適用される示力図である。
図5】実施形態に係る、コネクタ、アダプタ、蓋、およびレセプタクルを具備する光コネクタ装置の断面図である。
図6A】実施形態に係る、光コネクタ装置のアダプタの上面図である。
図6B】実施形態に係る、光コネクタ装置のアダプタの側面図である。
図6C】実施形態に係る、光コネクタ装置のアダプタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
当然のことながら、図中の要素は、簡略化および明瞭化を目的として図示している。商業的に実現可能な実施形態において有用または必要となり得る十分に理解された要素については、簡略化および図示の実施形態の理解に役立つことを目的として、図示しない場合がある。
【0008】
本開示は、光コネクタ装置を記載する。特に、本明細書に開示の実施形態は、アダプタおよびコネクタの種々の組み合わせを含む光コネクタ装置を含む。コネクタは、光ファイバ束アレイを含み、アダプタは、基板に取り付けられた半導体パッケージに対してコネクタを正確かつ柔軟に固定するのに役立つ。実施形態はそれぞれ、半導体パッケージのレセプタクルに対するアダプタおよびコネクタの粗い位置合わせおよび細かい位置合わせの両者を可能にする光コネクタ装置の構成要素を含む。さらに、実施形態によれば、光ファイバ束アレイの光ファイバに加わる可能性のある応力またはコネクタ自体に加わる応力を低減可能にする。関連装置においては、光ファイバからの張力によってコネクタが破損する影響が考えられる。本実施形態のアダプタは、これらの影響を抑えることができる。
【0009】
本明細書においては、関連する図面を参照しつつ、本開示の種々実施形態を説明する。また、本開示の範囲から逸脱することなく、代替実施形態を考案することができる。なお、以下の説明および図面においては、要素間のさまざまな接続および位置関係(たとえば、上方、下方、隣接等)を示す。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、別段の指定のない限り、直接または間接のいずれかが可能であり、本開示は、この点に関して何ら限定する意図がない。したがって、エンティティの結合は、直接的または間接的な結合を表すことができ、エンティティ間の位置関係は、直接または間接のいずれかの位置関係が可能である。間接的な位置関係の一例として、本明細書における層「B」の上方の層「A」の形成に関する言及には、層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって実質的に変化しない限り、1つまたは複数の中間層(たとえば、層「C」)が層「A」と層「B」との間に存在する状況を含む。
【0010】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および本明細書の解釈に使用するものとする。本明細書における使用の通り、用語「備える(comprise、comprising)」、「具備する(include、including)」、「有する(have、having)」、「含む(contain、containing)」、またはこれらのその他任意の変形は、非排他的な包含の網羅を意図する。たとえば、一連の要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素にのみ限定されるものではなく、明確に一覧化されていない他の要素あるいは上記のような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有ではない他の要素も含み得る。
【0011】
以下での説明を目的として、用語「上(upper)」、「下(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、およびこれらの派生語は、図中の配向の通り、記載の構造体および方法に関連するものとする。用語「重なる(overlying)」、「~の上に(atop、on top)」、「~の上に配置される(positioned on、positioned atop)」は、第1の構造体等の第1の要素が第2の構造体等の第2の要素上に存在することを意味し、境界面構造体等の介在要素が第1の要素と第2の要素との間に存在し得る。用語「直接接触(direct contact)」は、第1の構造体等の第1の要素および第2の構造体等の第2の要素がこれら2つの要素の境界面において、如何なる中間導電層も絶縁層も半導体層も伴わずに接続されることを意味する。用語「~に対して選択的(selective to)」(たとえば、「第2の要素に対して選択的な第1の要素(afirst element selective to a second element)」等)は、第1の要素をエッチング可能であり、第2の要素がエッチング・ストップとして機能し得ることを意味する点に留意するものとする。
【0012】
以下に参照する図面において、同じ番号は同一または同様の要素を表す。最初に図1を参照して、この図は、実施形態に係る、MCM光ファイバ接続装置100の一般概念構成の一例を示している。図1に示すように、MCM光ファイバ接続装置100の他の構成要素の支持ベース構造体として機能し得る基板102(たとえば、有機基板)が提供される。そして、蓋104(たとえば、ヒート・シンク蓋)がMCM光ファイバ接続装置100のさまざまな構成要素を覆っている。
【0013】
図1に示すように、特定の実施形態において、MCM光ファイバ接続装置100は、第1の複数のボンディング・パッド112(たとえば、はんだバンプ)によって有機基板102に接続されたチップ・スケール・パッケージ110(CSP)(または、有機基板102に対して電気的に接続された他の回路)を具備していてもよい。同様に、CSP110には、第2の複数のボンディング・パッド113によって論理チップ114(たとえば、中央演算処理装置すなわちCPU)が接続されていてもよい。特定の実施形態において、蓋104は、CSP100および論理チップ114を覆っている。
【0014】
また、図1に示すように、MCM光ファイバ接続装置100に対しては、発光部160および受光部162が存在する。発光部160は、発光デバイス150(たとえば、1つもしくは複数の垂直キャビティ面発光レーザすなわちVCSEL、またはその他任意の好適な発光デバイス)を具備していてもよい。受光部162は、受光デバイス152(たとえば、1つもしくは複数のフォトダイオードすなわちPD、またはその他任意の好適な受光デバイス)を具備していてもよい。一般的に、特定の実施形態においては、発光デバイス150において生成された光が第1の反射要素106Aによって、第1の光導波路105A(すなわち、導光板)を通り抜ける。反射光は、第1のレセプタクル132まで上方に移動した後、第1のアダプタ130、第1のコネクタ128、および第1のコネクタ・キャップ126を順に通って、光ファイバ・アレイ122に達する。この光は、発光部160側から受光部162側まで、光ファイバ・アレイ122を通り抜ける。特に、この光は、第2のコネクタ・キャップ120、第2のコネクタ118、第2のアダプタ116、および第2のレセプタクル138を順に通り抜ける。第2のレセプタクルを通り抜けた光は、第2の光導波路105B(すなわち、導光板)により受光され、第2の反射要素106Bによって受光デバイス152まで、第2の光導波路105Bを通り抜ける。特定の実施形態において、蓋104は、少なくとも第1のアダプタ130および第2のアダプタ116を収容する孔(あるいは、穿孔または開口部)を有する。特定の実施形態において、蓋104の孔は、第1のレセプタクル132および第2のレセプタクル138の少なくとも一部も収容可能である。このように、MCM光ファイバ接続装置100においては、光ファイバ・アレイ122および上述のその他の構成要素を介して、発光部160および受光部162が一方側から他方側への伝送を可能にする。当然のことながら、図1は、例示的なMCM光ファイバ接続装置100の構成要素の一部の概念図であって、光コネクタによる光伝送の様子を示しているに過ぎず、付加的な構成要素が存在していてもよいし、図1に示す構成要素のいくつかが含まれていなくてもよい。さらに、図1に示すさまざまな構成要素は、正確な縮尺で描画していない場合もある。
【0015】
以下では図2A図2Jを参照するが、最初に図2Aを参照して、この図は、製造または組み立てプロセスの中間段階における光コネクタ装置201の一実施形態の断面図である。図2Aに示すように、基板200が提供される。特定の実施形態において、基板200は、1つまたは複数の有機材料で構成されていてもよい。基板200上には、光導波路202が設けられている。光導波路202は、図1に関して上述した光導波路105Aおよび105Bと同様でもよいし、異なっていてもよい。光導波路202上または光導波路202中には、第1の光ファイバ接続アレイ204が設けられている。第1の光ファイバ接続アレイ204は、たとえば光導波路202を通る光を受光または伝送する12個または24個の異なる光ファイバ・レンズのアレイを含み得る。言い換えると、光が上部側または底部側から光ファイバ接続アレイ204のレンズを通過することができる。
【0016】
図2Aに示すように、光導波路202の上には、レセプタクル206が設けられている。このように、特定の例においては、レセプタクル206が導波路一体型有機基板200に取り付けられ、たとえば接着剤を用いてそこへ固定されている。特定の実施形態において、レセプタクル206は、以下により詳しく論じる通り、アダプタ224からの位置合わせピンを受容するように構成された位置合わせ凹部207を含む。また、レセプタクル206は、第2の光ファイバ接続アレイ208を具備する。第2の光ファイバ接続アレイ208は、光導波路に関して上述した第1の光ファイバ接続アレイ204と同じ数およびパターンのレンズを有する。図2Bに示すのは、第2の光ファイバ接続アレイ208を含むレセプタクル206の上面図である。図2Bに示す例において、第2の光ファイバ接続アレイ208は、2×12個のレンズのアレイを含む。ただし、当然のことながら、好適にサイズ規定された如何なるアレイが用いられるようになっていてもよい。
【0017】
ここで図2Cを参照して、この図は、製造または組み立てプロセスの後続段階における図2Aに示した光コネクタ装置201の実施形態の断面図である。蓋212が接着剤で基板200に取り付けられる。図2Dに示すのは、図2Cの蓋212の上面図であって、蓋212は、レセプタクル206の寸法に対応する第1の開口222を含む。また、蓋212は、たとえば2つの取り付け孔214を含む。本例において、取り付け孔214は、第1の開口222の両側にある。以下により詳しく論じる通り、取り付け孔214は、アダプタ224の蓋212への固定に用いられるねじを受容するように構成されている。
【0018】
ここで図2Eを参照して、この図は、実施形態に係る、製造または組み立てプロセスの後続段階における図2Cの光コネクタ装置の断面図である。図2Eに示すように、アダプタ224がレセプタクル206に嵌合され、蓋212にねじ止めされている。特に、アダプタ224は、レセプタクル206の位置合わせ凹部207に嵌入する2つのスタッド228を具備する。図2Eの例に示す通り、スタッド228は、レセプタクル206の位置合わせ凹部207へのスタッド228の容易な滑り込みを可能にし得るテーパ状部229(または、テーパ状端部)を有していてもよい。当然のことながら、スタッド228は、レセプタクル206とアダプタ224との間の接続を容易にし得るほか、両者間の細かい位置合わせを可能にする任意の好適な形状またはプロファイルを有していてもよい。したがって、アダプタ224のレセプタクル206への嵌合(すなわち、スタッド228の位置合わせ凹部207への挿入による嵌合)の後は、第3の光ファイバ接続アレイ234(すなわち、アダプタ224の一部)が第1の光ファイバ接続アレイ204および第2の光ファイバ接続アレイ208と位置合わせされる。このように、3つのすべての光ファイバ接続アレイが互いに位置合わせされることにより、光が光導波路202から、レセプタクル206およびアダプタ224を通過可能となる。また、図2Eに示すように、アダプタ224の蓋212への取り付けには、ねじ226が用いられる。
【0019】
図2Eに示すように、特定の実施形態において、アダプタ224は、以下により詳しく論じる通り、コネクタの取り付けを可能にするコネクタ凹部236を含む。アダプタ224には、2つのガイド・ピン232を受容する2つのガイド・ピン凹部232’が形成されている(図2I参照)。ガイド・ピン232は、金属材料(または、その他任意の好適な材料)で構成されていてもよく、たとえばおよそ0.7mmの直径(または、その他任意の好適な直径)を有していてもよい。図2Eに示すように、アダプタ224は、コネクタ凹部236から上方に延びた2つの板ばね238を具備する。板ばね238は、コネクタの挿入および保持を、任意の好適なやり方で、ガイドするように構成されているが、これについては、以下により詳しく論じる。本例において、板ばね238は、コネクタをアダプタ224のコネクタ凹部236へとガイドする傾斜上面240を有する保持部を具備する。また、本例において、板ばね238の保持部は、アダプタ224に挿入されて接続された後のコネクタの取り外しを阻止する戻り止めまたは保持構造体として機能する傾斜下面242を具備する。当然のことながら、この板ばね238の特定の形状は、何ら限定的なものとして解釈されるべきではなく、コネクタ(図2Hのコネクタ250参照)の挿入および保持の両者を容易にする任意の好適な形状が用いられるようになっていてもよい。たとえば、板ばね238の傾斜上面240および傾斜下面242の代わりとして、板ばね238の内側に湾曲面プロファイルが存在していてもよい。
【0020】
ここで図2Fを参照して、この図は、実施形態に係る、図2Eに示したアダプタ224の側方断面図である。図2Fに示すように、アダプタ224は、当該アダプタ224の下面から延びたスタッド228を具備する。また、アダプタ224は、下部244を具備し、下部244は、蓋212の第1の開口222のY方向の幅に大略対応するY方向の幅(すなわち、下部244が第1の開口222に嵌入し得るように、この下部244の幅が第1の開口222の幅よりもわずかに小さい)と、蓋212の第1の開口222のX方向の長さに大略対応するX方向の長さ(すなわち、下部244が第1の開口222に嵌入し得るように、この下部244の長さが第1の開口222の長さよりもわずかに小さい)と、を有する。また、図2Fに示すように、アダプタ224は、第1の開口222のY方向の幅よりも大きなY方向の幅を有する上部246を具備する。したがって、(アダプタ224の)スタッド228の底面がレセプタクル206の位置合わせ凹部207の下面に接触し(または、近づき)、アダプタ224の中間下面247が蓋212の上面に接触する。
【0021】
ここで図2Gを参照して、この図は、実施形態に係る、図2Eに示したアダプタ224の底面図である。アダプタ224には、図2Eに示したねじ226を収容するねじ孔248が設けられている。また、第3の光ファイバ接続アレイ234も示している。当然のことながら、特定の実施形態においては、レセプタクル206に対するアダプタ224の細かい位置合わせにねじ226が不要であることから、ねじ孔248の直径はねじ226の直径よりもわずかに大きい(すなわち、この細かい位置合わせは、アダプタ224のスタッド228およびレセプタクル206の位置合わせ凹部207によって達成される)。
【0022】
ここで図2Hを参照して、この図は、実施形態に係る、光コネクタ装置201のコネクタ250の断面図である。図2Hに示すように、コネクタ250は、ガイド・ピン232によってアダプタ224に嵌合される(すなわち、コネクタ凹部に嵌入される)。特定の実施形態において、コネクタ250は、当該コネクタ250の本体に対して移動可能に結合された摺動子252を具備する。また、コネクタ250は、当該コネクタ250の本体から離れる垂直Z方向に摺動子252を付勢するばね254を具備する。また、コネクタ250の本体には、第1の傾斜下面260および第2の傾斜上面262を具備する第1の本体突起264を含む。コネクタ250がアダプタ224に取り付けられた場合は、コネクタ250の第1の傾斜下面260が最初に、板ばね238の傾斜上面240に接触する。この最初の接触後にコネクタ250が下方に移動すると、アダプタ224のコネクタ凹部236の適所にコネクタ250が嵌まるまで、板ばね238が外方に付勢される。図2Hに示すように、コネクタ250がアダプタ224に接続された場合は、板ばね238が適所に戻って、板ばね238の傾斜下面242がコネクタ250の第1の本体突起264の第2の傾斜上面262に接触する(または、近づく)。このように、板ばね238は、アダプタ224に取り付けられたコネクタ250を保持する戻り止めとして機能する。
【0023】
また、図2Hに示すように、コネクタ250が適所に嵌まると、ばね254が摺動子252を下方に付勢する。コネクタ250を取り外す場合は、摺動子252が上方に引っ張られるようになっていてもよい。コネクタ250および摺動子252が上方に引っ張られるため、板ばね238が外方に付勢されて、コネクタ250がアダプタ224から解放される。また、コネクタ250の第2の本体突起266がコネクタ250から外方に延びて、板ばね238の上方に配置されている。ばね254は、摺動子252の第1の摺動子突起270とコネクタ250の第3の本体突起268との間に配置されている。図2Hには示していないものの、コネクタ250および摺動子252がアダプタ224に取り付けられていない場合は、第1の摺動子突起270がコネクタ250の第2の本体突起266に接触するように、ばね254が摺動子252を付勢するようにしてもよい。ただし、図2Hに示すように、コネクタ250および摺動子252がアダプタ224に取り付けられている場合は、第1の摺動子突起270とコネクタ250の第2の本体突起266との間にわずかな隙間が存在していてもよい。また、図2Hに示すように、コネクタ250の上部には、光ファイバ束258が接続されている。この光ファイバ束258は、図1に関して上述した光ファイバ・アレイ122と同一、または類似のものとすることができる。
【0024】
ここで図2Iを参照して、この図は、実施形態に係る、図2Hに示した光コネクタ装置のコネクタ250の側方断面図である。2つのガイド・ピン232がコネクタ250の凹部に嵌入されている。図2Jは、実施形態に係る、図2Hに示した光コネクタ装置のコネクタ250の底面図である。特定の実施形態においては、コネクタ250の第1の寸法d1(たとえば、5.2mm)がコネクタ250第2の寸法d2(たとえば、3.2mm)より大きくてもよい。他の実施形態においては、これらの相対的な寸法が異なっていてもよい。図2Jに示すように、コネクタ250の本体にはコネクタ孔280が設けられ、ガイド・ピン232を収容する。言い換えると、ガイド・ピン232は、アダプタ224とコネクタ250との間の細かい位置合わせを可能にする。前述の通り、アダプタ224のスタッド228およびレセプタクル206の位置合わせ凹部207は、アダプタ224とレセプタクル206との間の細かい位置合わせを可能にする。したがって、第1の光ファイバ接続アレイ204、第2の光ファイバ接続アレイ208、第3の光ファイバ接続アレイ234、およびコネクタ250の第4の光ファイバ接続アレイ282(図2J参照)がすべて、互いに位置合わせされるように、レセプタクル206、アダプタ224、およびコネクタ250という3つの全要素間の細かい位置合わせが実現されるようになっていてもよい。
【0025】
以下では図3A図3Jを参照するが、最初に図3Aを参照して、この図は、製造または組み立てプロセスの中間段階における光コネクタ装置301の一実施形態の断面図である。本実施形態においては、図2A図2Jに関して上述した実施形態とは対照的に、コネクタが(アダプタではなく)レセプタクルに直接取り付けられ、位置合わせされている。また、本実施形態においては、図2A図2Jに関して上述した第1の実施形態とは対照的に、(コネクタがアダプタの外側にあるのではなく)アダプタがコネクタの外側に取り付けられている。さらに、アダプタは、光ファイバ・アレイを具備していない(すなわち、光コネクタ装置は、第1の実施形態の4つの光ファイバ・アレイと比較して、合計3つの光ファイバ・アレイしか具備していない)。
【0026】
図3Aに示すように、基板300が提供される。特定の実施形態において、基板300は、1つまたは複数の有機材料で構成されていてもよい。基板300上には、光導波路302が設けられている。光導波路302は、図1に関して上述した光導波路105Aおよび105Bと類似していてもよいし、異なっていてもよい。光導波路302上または光導波路302中には、第1の光ファイバ接続アレイ304が設けられている。第1の光ファイバ接続アレイ304は、たとえば光導波路302を通る光を受光または伝送する12個または24個の異なる光ファイバ・レンズのアレイを含み得る。言い換えると、光が上部側または底部側から光ファイバ接続アレイ304のレンズを通過することができる。
【0027】
図3Aに示すように、光導波路302の上には、レセプタクル306が設けられている。このように、特定の例においては、レセプタクル306が導波路一体型有機基板300に取り付けられ、たとえば接着剤を用いて固定されている。特定の実施形態において、レセプタクル306は、以下により詳しく論じる通り、コネクタからの位置合わせピンを受容するように構成された位置合わせ凹部307を含む。また、レセプタクル306は、第2の光ファイバ接続アレイ308を具備する。第2の光ファイバ接続アレイ308は、光導波路302に関して上述した第1の光ファイバ接続アレイ304と同じ数およびパターンのレンズを有する。
【0028】
図3Aに示すように、蓋312が(たとえば、接着剤で)基板300に取り付けられる。蓋312は、レセプタクル306の寸法におおよそ対応する第1の開口322を含む(第1の開口322の寸法は、レセプタクル306の寸法よりいくらか大きくてもよい)。また、蓋312は、たとえば2つのアダプタ取り付け孔314を含む。本例において、アダプタ取り付け孔314は、第1の開口322の両側にある。以下により詳しく論じる通り、アダプタ取付け孔314は、アダプタ324の蓋312への固定に用いられるアダプタ324の板バネ338(または、第1のリテーナ)を受容するように構成されている。
【0029】
図3Aに示すように、複数のレンズを含む第3の光ファイバ接続アレイ382および光ファイバ束358を備えたコネクタ350が提供される。当然のことながら、(図2A図2Jに関して上述した実施形態とは対照的に)本実施形態においては、アダプタ324ではなくコネクタ350に光ファイバ束358が直接取り付けられている。コネクタ350は、レセプタクル306の位置合わせ凹部307に嵌入する2つのスタッド328を具備する。図3Aの例に示す通り、スタッド328は、レセプタクル306の位置合わせ凹部307へのスタッド328の容易な滑り込みを可能にし得るテーパ状部329を有していてもよい。当然のことながら、スタッド328は、レセプタクル306とコネクタ350との間の接続を容易にし得るほか、両者間の細かい位置合わせを可能にする任意の好適な形状またはプロファイルを有していてもよい。したがって、レンズ・アレイおよび光ファイバ束358を備えたコネクタ350は、スタッド328の周囲でX方向およびY方向に、位置合わせ凹部307の底部でZ方向に、レセプタクル306と位置合わせされる。したがって、コネクタ350のレセプタクル306への嵌合(すなわち、スタッド328の位置合わせ凹部307への挿入による嵌合)の後は、第3の光ファイバ接続アレイ382(すなわち、コネクタ350の一部)が第1の光ファイバ接続アレイ304および第2の光ファイバ接続アレイ308と位置合わせされる。このように、3つの光ファイバ接続アレイのすべてのレンズが互いに位置合わせされることにより、光が光導波路302から、レセプタクル306およびコネクタ350を通過可能となる。
【0030】
図3Aに示すように、アダプタ324は、ばね354によってコネクタ350に結合されている。ばね354は、コネクタ350から離れる垂直Z方向にアダプタ324を付勢する付勢力を与える。ただし、コネクタ350は、当該コネクタ350の本体部から外方に突き出た第1のコネクタ突起366を具備しており、アダプタ324は、内方に突き出た第1のアダプタ突起368を具備する。このように、アダプタは、半導体パッケージの平面に対して横方向に第1のコネクタ突起366と重なった第1のアダプタ突起368を具備する。アダプタ324は、コネクタ350の一部を覆う(または、囲む)キャップ状構成を有する。第1のコネクタ突起366および第1のアダプタ突起368は、水平X方向に重なって、コネクタ350からのアダプタ324の取り外しを阻止するように構成されている。以下の図3Iに関してより詳しく説明する通り、ばね354が延伸構成の場合は、第1のアダプタ突起368が第1のコネクタ突起366に直接接触することになる。再び図3Aを参照すると、特定の実施形態において、コネクタ350は、1つまたは複数のコネクタばね突起390を具備していてもよく、アダプタ324は、1つまたは複数のアダプタばね突起392を具備していてもよい。ばね354は、コネクタばね突起390およびアダプタばね突起392の周りでコイル状となって、ばね354が適所に保たれるようにできる。これらの突起は、垂直Z方向のコネクタ350へのアダプタ324の一定量の移動を可能にするように構成された長さを有する。以下により詳しく説明する通り、アダプタ324は、蓋312に対する当該アダプタ324の取り外し可能な取り付けを可能にする板ばね338を具備する。代替実施形態において、アダプタ324は、板ばね338ではなく、ねじ(図示せず)によって蓋に取り付けられていてもよい。板ばね338は、アダプタ324を蓋312に対して取り外し可能に固定(または、搭載、取り付け、もしくは係合)可能となる戻り止め394を具備していてもよい。特定の実施形態において、コネクタ350は、当該コネクタ350とアダプタ324との間のばね354の力によって、X方向、Y方向、およびZ方向(すなわち、ピッチングおよびローリング方向)に固定されている。レセプタクル306および基板300からコネクタ350およびアダプタ324を取り外す場合は、戻り止め394がアダプタ取り付け孔314を通って押し上げられ、構造体が解放されるまで、アダプタがZ方向上方に引っ張られる。
【0031】
ここで図3Bを参照して、この図は、図3Aに示したアダプタ324および光ファイバ束358の上面図である。図3Bに示すように、アダプタ324は、アダプタ孔396を含む。特定の実施形態において、アダプタ孔396は、光ファイバ束358の長さおよび幅よりもわずかに大きな長さおよび幅の寸法を有する。図3Bに示す例において、光ファイバ束358は、X方向の長さ寸法が3.0mm、Y方向の幅が0.5mmである。また、アダプタ孔は、X方向の長さ寸法が3.4mm、Y方向の幅が0.9mmである。したがって、光ファイバ束358の外周とアダプタ孔396の内周との間には、スリット「S」(すなわち、隙間)が存在する。基板300に一定量の反りがあり得る範囲において、コネクタ350は、ばね354の復元力で基板300の反りに追従し得る。さらに、図3Bに示すように、コネクタ350および光ファイバ束358に関しては、アダプタ324と(光ファイバ束358に取り付けられた)コネクタ350との間のスリット「S」によって、基板300のX方向およびY方向の如何なる反りにも対応可能である。したがって、反りに起因する基板300の移動をスリット「S」で対処することにより、光コネクタ装置301のさまざまな構成要素の如何なる位置ずれをも低減または除去可能となる。
【0032】
ここで図3Cを参照して、この図は、図3Aに示したコネクタ350および蓋312の上面図である。図3Cに示すように、2つのアダプタ取り付け孔314は、蓋312の第1の開口322の両側に形成されている。図3Aに関して詳しく上述した通り、アダプタ取り付け孔314は、アダプタ324の板ばね338を受容するようにサイズ規定および配置されている。上述の通り、コネクタ350は、当該コネクタ350の両側に2つの第1のコネクタ突起366を具備する。そして、ばね354が光ファイバ束358を囲んでいる。
【0033】
ここで図3Dを参照して、この図は、コネクタ350および蓋312の側面図である。図3Eは、アダプタ324、蓋312、および光ファイバ束358の側面図である。図3Aの側方断面図にも示すように、コネクタは、蓋312の第1の開口322に収容されている。
【0034】
ここで図3Eを参照して、この図は、アダプタ324および蓋312の側面図である。この図においては、(コネクタ350に取り付けられた)光ファイバ束358の上部のみがアダプタ324の上面から突き出すように、アダプタ324がコネクタ353を囲んでいる(または、覆っている)。図3Aの側方断面図にも示すように、アダプタ324の板ばね338は、蓋312のアダプタ取り付け孔314に収容されている。
【0035】
ここで図3Fを参照して、この図は、コネクタ350および蓋312の底面図である。上述の通り、蓋312は、第1の開口322およびアダプタ取り付け孔314を含む。コネクタ350は、蓋の第1の開口322に収容され、コネクタは、第1のコネクタ突起366および第3の光ファイバ接続アレイ382を具備する。
【0036】
ここで図3Gを参照して、この図は、コネクタ350、蓋312、およびアダプタ324の底面図である。上述の通り、蓋312は、第1の開口322およびアダプタ取り付け孔314を含む。コネクタ350は、蓋の第1の開口322に収容され、コネクタは、第1のコネクタ突起366および第3の光ファイバ接続アレイ382を具備する。アダプタ324は、第1の開口322およびアダプタ取り付け孔314で見えている。この図3Gの底面図からは明らかでないものの、図3Jに示すとともに後述する通り、アダプタ324の板ばね338の戻り止め394が蓋312の底面に引っ掛けられている。
【0037】
ここで図3H図3Jを参照して、これらの図は、光コネクタ装置301の蓋312に対するアダプタ324およびコネクタ350の取り付けを一連のステップで示している。ここでは、簡略化および理解の容易化のため、図3A図3Iに関して上述した光コネクタ装置301の特定の要素を省略している。図3Hに示すのは、蓋312に対するアダプタ324およびコネクタ350の取り付けの第1の段階である。図3Hにおいて、アダプタ324およびコネクタ350は、矢印で示す移動方向に移動する。この段階においては、コネクタ350の第1のコネクタ突起366とアダプタ324の第1のアダプタ突起368との間に隙間が生じないように、ばね354がいくらか伸びている。言い換えると、アダプタ324およびコネクタ350が互いに移動可能であり、ばね354がこれらの構成要素を引き離すように付勢していることから、コネクタ350の第1のコネクタ突起366とアダプタ324の第1のアダプタ突起368との間に存在し得る如何なる隙間も存在しない。図3Hに示すように、板ばね338の底部戻り止め部が蓋312の上面と接触している。特定の実施形態においては、板ばね338の外側寸法d1がアダプタ取り付け孔314の内側寸法d2よりも大きい。
【0038】
したがって、図3Iに示すように、アダプタ324およびコネクタ350が移動方向にさらに移動すると、板ばね338が角度αだけ内方に強制的に曲げられる。図3Iに示すように、スタッド328がレセプタクル306の位置合わせ凹部307(図3H参照)に挿入されると、レセプタクル306に対するコネクタ350の細かい位置合わせが達成される。スタッド328の底部が位置合わせ凹部307の底部に接触すると直ちに、コネクタ350は下方にそれ以上移動できなくなる。ただし、板ばね338の底部と光導波路302の上面との間には依然として空間が存在することから、アダプタ324は、移動方向下方にさらに移動可能である。
【0039】
したがって、図3Jに示すように、板ばね338の戻り止め部が蓋312の下面を通り過ぎるまで、アダプタ324は移動方向下方にさらに移動し、ばね354が一定量だけ圧縮されるため、コネクタ350の第1のコネクタ突起366とアダプタ324の第1のアダプタ突起368との間で垂直Z方向に隙間が形成される。この段階において、アダプタ324およびコネクタ350は、蓋312に取り付けおよび嵌合される。
【0040】
図3A図3Jに関して示した実施形態においては、図4に示すように、剛性T字状バーに対するトルクによって発生する力として、光コネクタ装置301の構成要素を適所に保持するのに必要となり得るばね354の復元力がモデル化され得る。特定の実施形態において、光コネクタ装置301に作用する力は、図4に示すとともに以下のようにモデル化可能である。
【数1】
および
sp=kΔy
【0041】
コネクタ350を適所に保持するには、以下の条件を満たすものとする。
sp>F
【0042】
したがって、望ましいばねは、以下の関係を満たすばね定数kを有する。
【数2】
【0043】
一例において、h=10mm、w=1mm、F=0.5N、およびΔy=1mmの場合、コネクタ350を適所に保持するには、5N/mmよりも大きなばね定数kが必要となる。特定の実施形態において、ばね354は、ベルビル型ばねであってもよいし、ディスク型ばねであってもよい。ただし、当然のことながら、好適な種類の如何なるばねも用いることができる。
【0044】
ここで図5を参照して、この図は、蓋512およびレセプタクル506に対するコネクタ550(または、上述の実施形態に依ってはアダプタ)の寸法図である。特定の実施形態においては、コネクタ550が蓋孔522の内側に嵌合された(すなわち、粗い位置合わせ)場合に、スタッド528の中心がレセプタクル506の凹部円507の内側となり、スタッドの中心および凹部の中心がスタッド・テーパに沿って自動的に自己位置合わせされるように、レセプタクル506および蓋512が以下の条件を満たす。
con+xrec<φstud
con+yrec<φstud
φstud:スタッドの直径
con、ycon:X方向およびY方向それぞれのコネクタと蓋との間の隙間
rec、yrec:X方向およびY方向それぞれのレセプタクルと蓋との間の隙間
【0045】
当然のことながら、図5のスタッド528の形状は、柱付き円錐形であるが、その他任意の好適な形状(たとえば、円錐形、角錐形等)が用いられるようになっていてもよい。
【0046】
ここで図6A図6Cを参照して、これらはそれぞれ、図3Aに示したアダプタの上面図、側面図、および断面図であり、アダプタ624は、ねじ650で一体的に取り付けられた2つの別個の部分を含む。ただし、当然のことながら、アダプタは、単一の一体部品であってもよいし、一体的に取り付けられた3つ以上の別個の部品を含んでいてもよい。
【0047】
特定の実施形態において、光コネクタ装置は、高い固定強度および高い反り耐性を有し得る。特定の実施形態において、光コネクタ装置は、安定した着脱式の固定具を有することにより、組み立てプロセスを簡素化し得る。たとえば、コネクタの蓋孔への粗い位置合わせがレセプタクルとの細かい自己位置合わせとなる。また、光MCMに使用される基板は光電複合基板であってもよいが、アダプタを基板に固定する場合は、作製プロセスがはるかに複雑となる。ただし、アダプタを蓋に固定するのに、金属加工を蓋に施すだけで済むため、信頼性の面で都合が良い。
【0048】
以上、例示を目的として種々実施形態を説明したが、これらは、網羅性を意図したものでもなければ、開示の実施形態への限定を意図したものでもない。当業者には、上記実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの改良および変形が明らかとなるであろう。本明細書に使用の専門用語は、実施形態の原理、市場に見られる技術に対する実用化または技術的改善の最良の説明のため、あるいは、当業他者が本明細書に開示の実施形態を理解できるように選定したものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ装置であって、
レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージの前記蓋に取り付け可能なアダプタを備え、
前記アダプタが、
前記蓋のアダプタ開口に嵌入するように構成された凸部と、
コネクタの少なくとも一部を収容するように構成されたアダプタ凹部と、
所定の位置で前記コネクタを前記アダプタに対して、前記半導体パッケージの平面に対し垂直方向に、着脱可能に取り付ける前記アダプタ凹部内の第1のリテーナと
を含む、
光コネクタ装置。
【請求項2】
前記アダプタは、前記アダプタの前記凸部を、前記レセプタクルと位置合わせするように構成された少なくとも1つのスタッドをさらに含む、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項3】
前記アダプタが、複数のねじによって、前記半導体パッケージの前記蓋に取り付けられる、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項4】
前記アダプタに脱着可能な前記コネクタをさらに含み、
前記コネクタは、
前記レセプタクルに対応し、前記半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びる光ファイバ・アレイと、
前記第1のリテーナに対応する第2のリテーナと、
前記コネクタの少なくとも一部を前記半導体パッケージ側へ付勢する付勢部材と
を備える、
請求項1ないし3のいずれかに記載の光コネクタ装置。
【請求項5】
前記コネクタを前記アダプタに接続して位置合わせする少なくとも1つのガイド・ピンをさらに備えた、請求項4に記載の光コネクタ装置。
【請求項6】
前記コネクタが、第1の部分と、前記第1の部分に対して移動可能に結合された第2の部分とを含み、
前記付勢部材が、前記コネクタの前記第1の部分と前記コネクタの前記第2の部分との間に配置され、前記コネクタの前記第2の部分から離れる前記垂直方向に前記コネクタの前記第1の部分を付勢するように構成されたばねである、請求項5に記載の光コネクタ装置。
【請求項7】
前記第1のリテーナが、前記アダプタ凹部の底部から上方に延びた板ばねである、請求項1に記載の光コネクタ装置。
【請求項8】
前記第1のリテーナが、前記アダプタ凹部の底部から上方に延びた板ばねであり、
前記第2のリテーナが、前記板ばねの突起と結合して、前記コネクタを前記アダプタに対して着脱可能に取り付ける戻り止めを含む、請求項4に記載の光コネクタ装置。
【請求項9】
前記コネクタが、前記光ファイバ・アレイのパターンに対応する第1の光レンズ・アレイを含む、請求項4に記載の光コネクタ装置。
【請求項10】
前記アダプタが、前記光ファイバ・アレイのパターンおよび前記第1の光レンズ・アレイのパターンに対応する第2の光レンズ・アレイを含む、請求項9に記載の光コネクタ装置。
【請求項11】
レセプタクルおよび蓋を含む半導体パッケージに着脱可能な光コネクタ装置であって、
前記蓋に設けられた開口を介して前記レセプタクルに取り付け可能なコネクタと、
前記コネクタに対して移動可能に結合されるとともに、前記蓋に対して着脱可能に取り付けられたアダプタと、
前記コネクタと前記アダプタとの間に配置され、前記コネクタを前記半導体パッケージ側へと付勢するように構成された付勢部材と
を備え、
前記コネクタが、前記レセプタクルに対応し、前記半導体パッケージの平面に対して垂直方向に延びた光ファイバ・アレイと、前記蓋の前記開口に嵌入するように構成された凸部とを含む、
光コネクタ装置。
【請求項12】
前記コネクタは、前記コネクタの前記凸部を、前記レセプタクルと位置合わせするように構成された少なくとも1つのスタッドを含む、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【請求項13】
前記付勢部材が、前記コネクタと前記アダプタとの間に配置され、前記アダプタから離れる前記垂直方向に前記コネクタを付勢するように構成されたばねである、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【請求項14】
前記アダプタは、前記アダプタに設けられた第1のリテーナによって、前記蓋に着脱可能に取り付けられる、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【請求項15】
前記第1のリテーナが、前記蓋の下面と係合する戻り止めを含む、請求項14に記載の光コネクタ装置。
【請求項16】
前記アダプタが、前記コネクタの一部を収容するアダプタ凹部を含む、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【請求項17】
前記アダプタが、アダプタ開口を含み、前記コネクタの前記光ファイバ・アレイが、前記アダプタ開口を通って延びる、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【請求項18】
前記アダプタが、前記半導体パッケージの前記平面に対して横方向にコネクタ突起と重なったアダプタ突起を含む、請求項11に記載の光コネクタ装置。
【国際調査報告】