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特表2023-542895偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ用の方法とシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ用の方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20231004BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20231004BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G01N21/17 630
G01N21/21 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517776
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 SG2021050566
(87)【国際公開番号】W WO2022060300
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】10202009128V
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508000700
【氏名又は名称】シンガポール・ヘルス・サービシーズ・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオポルト・シュメッテラー
(72)【発明者】
【氏名】シンユ・リウ
【テーマコード(参考)】
2G059
4C316
【Fターム(参考)】
2G059AA06
2G059BB12
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE05
2G059FF02
2G059GG01
2G059GG09
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059JJ19
2G059JJ20
2G059JJ22
2G059LL01
2G059MM01
4C316AA09
4C316AA29
4C316AB04
4C316AB08
4C316AB11
(57)【要約】
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のシステムは、参照アーム及びサンプルアームを備える干渉計(サンプルアームはサンプルに向けて光放射を放出するように配置構成される)と、サンプルアームへの入力部に配置構成された位相変調システムと、参照アームからの参照ビームとサンプルアームからのサンプルビームとの間の干渉によって発生する信号を検出するように配置構成された検出器と、を備える。位相変調システムは、電気光学変調器と、電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置された偏光子と、電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、回転角度と駆動電圧は、相互に直交する三つの偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のシステムであって、
参照アームと、サンプルに向けて光放射を放出するサンプルアームとを備える干渉計と、
前記サンプルアームの入力部に配置された位相変調システムと、
前記参照アームからの参照ビームと前記サンプルアームからのサンプルビームとの間の干渉によって発生する信号を検出する検出器と、を備え、
前記位相変調システムが、
電気光学変調器と、
前記電気光学変調器の高速軸に対して回転角度で配置された偏光子と、
前記電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
前記回転角度と前記駆動電圧が、相互に直交する三つの偏光状態を前記位相変調システムが発生させるように選択される、システム。
【請求項2】
前記回転角度が略17.6度~略38.1度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転角度が27.3678度である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記駆動電圧が鋸歯波形を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記鋸歯波形が、-120度と0度と120度の変調度に対応している3点ステップ駆動波形である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出器によって検出された信号から前記サンプルのミュラー行列を求めるように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ミュラー行列に基づいて前記サンプルの複屈折性を決定するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的知識に基づいて前記サンプルの複屈折性の決定に制約条件を課すように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用の位相変調ユニットであって、該位相変調ユニットは、前記サンプルに向けて光放射を放出するサンプルアームの入力部に配置され、該位相変調ユニットが、
電気光学変調器と、
前記電気光学変調器の高速軸に対してゼロではない回転角度で配置された偏光子と、
前記電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
前記回転角度と前記駆動電圧が、相互に直交する三つの偏光状態を該位相変調ユニットが発生させるように選択される、位相変調ユニット。
【請求項10】
前記回転角度が略17.6度~略38.1度である、請求項9に記載の位相変調ユニット。
【請求項11】
前記回転角度が27.3678度である、請求項10に記載の位相変調ユニット。
【請求項12】
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)の方法であって、
サンプルアーム光学系によって、前記サンプルを照明するためのサンプルビームを発生させることと、
前記サンプルビームと参照ビームの干渉によって発生する干渉信号を検出することと、を備え、
前記サンプルアーム光学系が、該サンプルアーム光学系の入力部に配置された位相変調システムを有し、前記位相変調システムが、
電気光学変調器の高速軸に対して回転角度で配置された偏光子に入力ビームを通すことと、
前記電気光学変調器に駆動電圧を伝えることと、を行うように構成され、
前記回転角度と前記駆動電圧が、三つの相互に直交する偏光状態を前記位相変調システムが発生させるように選択される、方法。
【請求項13】
前記回転角度が略17.6度~略38.1度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回転角度が27.3678度である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記駆動電圧が鋸歯波形を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記鋸歯波形が、-120度と0度と120度の変調度に対応している3点ステップ駆動波形である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記干渉信号から前記サンプルのミュラー行列を求めることを備える請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ミュラー行列に基づいて前記サンプルの複屈折性を決定することを備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的知識に基づいて前記サンプルの複屈折性の決定に制約条件を課すことを備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルが眼であり、前記眼の強膜の線維異方性画像及び/又は線維配向画像を生成することを更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記制約条件が、線維コラーゲンが強膜上の視神経頭の周囲に存在していることである、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用の方法とシステムに関し、例えば、眼科学の分野におけるものに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT,optical coherence tomography)は、半透明な組織の高分解能断面撮像及び三次元撮像を可能にする確立された画像診断法である。強度型OCTは、OCT撮像の標準的な手法であるが、組織特異的コントラストを与えない。偏光感受型(PS,polarization sensitive)OCTは、組織の複屈折特性によるコントラストを生成する。従って、PS‐OCTは、光の偏光状態の追加検出に基づいた追加情報を与える。
【0003】
眼科学において、PS‐OCTは、前眼部及び後眼部を撮像するのに用いられてきた。緑内障について、線維柱帯切除術後のブレブを評価するための手法や、小柱網を撮像するための手法が提案されている。角膜撮像については、円錐角膜の早期発見と診断のための手法が提案されている。後極においてPS‐OCTを用いて、網膜神経線維層を定量化して、網膜色素上皮がコントラスト化され、ドルーゼン体積とドルーゼン面積が定量化されている。また、最近では、PS‐OCTを用いて、動物モデルの強膜の複屈折特性が研究されていて、特に、眼圧(IOP,intraocular pressure)の実験的上昇中における複屈折特性が研究されている。
【0004】
眼球内部の真の3次元組織構造の測定は、角膜と空気の界面においてダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)が生じるので、組織の完全なミュラー行列が明確に分かっていることを要する。完全な4×4のミュラー行列は、三つの異なる固有値を有するので、三つの測定結果を要する。しかしながら、現状のPS‐OCTシステムは、照明光状態として二つの偏光状態を用いるものに限られている。こうしたシステムは、組織偏光測定特性のコントラストを与えることはできるが、組織の真の三次元構造を測定することはできない。
【0005】
PS‐OCTの応用の一つは、眼球の最外層である強膜の撮像におけるものである。強膜は眼内構造を保護し、眼球の最終的な形状とサイズを決める。強膜は、主にコラーゲンで構成され、細胞外基質(ECM,extracellular matrix)を生成する線維芽細胞を有する。近視の発症と進行中において、強膜は、コラーゲン線維の再組織化に伴って、薄く弱くなる。近視の強膜における構造と生物力学の変化は十分に文書で報告されているものであり、累進的薄化、グリコサミノグリカンとコラーゲンの量の減少、原繊維結合の崩壊(非組織化)等が報告されている。こうした解剖学的変化は、強膜の生物力学的特性(クリープ速度等)の変化に関係しているものであり、一定又は動的な負荷が印可される際の強膜の時間発展を表す。
【0006】
ECM構造が、強膜の生物力学的特性を支配している。過去数十年間において、強膜を研究するために、広角X線散乱、小角光散乱、多光子顕微鏡法、偏光顕微鏡法、磁気共鳴撮像法、走査型電子顕微鏡法、透過型電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法等のex vivo(生体外)ツールが確立されてきた。このことが、近視の進行の多様な段階に関係した多重スケールにおけるECMの微細構造の理解を大幅に向上させてきた。しかしながら、これらのツールは全て、眼球の切除を要するものであり、組織標本の歪みの可能性がある。より重要なことに、ex vivoの研究が近視の進行における生物力学的特性の変化を示しているが、高分解能の3次元(3D)撮像ツールの欠如が、in vivo(生体内)での患者の強膜の変化の臨床評価の妨げとなっている。
【0007】
現状では、近視の進行用の撮像型バイオマーカが欠如している。眼軸方向の眼球成長が速い子供は、コロイドが経時的にあまり厚くならないことが分かっているが、その関連性は、真のバイオマーカとみなすには弱過ぎる。このことが、臨床決定を行う際の多数の問題に繋がっている。第一に、近視を発症し始めたどのような子供が将来病的近視を発症するのかが現状ではわからない。これは、眼軸方向の眼球の成長の進行を低下させるアトロピン治療や他の治療介在の初期化の決定を行う際に特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/054097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題のうち一つ以上に対処することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のシステムに関し、そのシステムは、
参照(リファレンス)アーム及びサンプルアームを備える干渉計(サンプルアームはサンプルに向けて光放射を放出するように配置構成される)と、
サンプルアームの入力部に配置構成された位相変調システムと、
参照アームからの参照ビームとサンプルアームからのサンプルビームとの間の干渉によって発生する信号を検出するように配置構成された検出器と、を備え、
位相変調システムは、
電気光学変調器と、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子と、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
回転角度と駆動電圧は、相互に直交する三つの偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される。
【0011】
回転角度は、略17.6度~略38.1度となり得て、特に略27.3678度となり得る。
【0012】
駆動電圧は、鋸歯波形、例えば、3点ステップ駆動波形を有し得て、各ステップが、-120度、0度、120度の変調度に対応している。
【0013】
本システムは、検出器によって検出された信号からサンプルのミュラー行列を求めるように構成された少なくとも一つのプロセッサを備え得る。一例では、少なくとも一つのプロセッサは、極分解によってミュラー行列に対するダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)の寄与を求めるように構成され得る。他の例では、少なくとも一つのプロセッサは、ミュラー行列に基づいてサンプルの複屈折性を決定するように構成される。少なくとも一つのプロセッサは、サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的(a priori)知識に基づいてサンプルの複屈折性の決定に制約条件を課すように構成され得る。
【0014】
また、本開示は、サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用の位相変調システム(ユニット)に関し、位相変調システムは、サンプルに向けて光放射を放出するように配置構成されているサンプルアームの入力部に配置可能に構成されていて、位相変調システムは、
電気光学変調器と、
電気光学変調器の高速軸に対してゼロではない回転角度で配置構成された偏光子と、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
回転角度と駆動電圧は、相互に直交する三つの偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される。
【0015】
更に、本開示は、サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)の方法に関し、本方法は、
サンプルアーム光学系によって、サンプルを照明するためのサンプルビームを発生させることと、
サンプルビームと参照ビームの干渉によって発生する干渉信号を検出することと、を備え、
サンプルアーム光学系は、その入力部に配置構成された位相変調システムを有し、位相変調システムは、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子に入力ビームを通すことと、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えることと、を行うように構成され、
回転角度と駆動電圧は、三つの相互に直交する偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される。
【0016】
回転角度は略17.6度~略38.1度となり得て、特に略27.3678度となり得る。
【0017】
上記システムについて、駆動電圧は、上述のように、鋸歯波形、例えば、3点ステップ駆動波形を有し得る。
【0018】
本方法は、干渉信号からサンプルのミュラー行列を求めることを備え得る。
【0019】
一部実施形態では、本方法は、極分解によってミュラー行列に対するダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)の寄与を求めることを備え得る。
【0020】
本方法は、ミュラー行列に基づいてサンプルの複屈折性を決定することを備え得る。サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的(a priori)知識に基づいて、サンプルの複屈折の決定に制約条件を課し得る。
【0021】
一部実施形態では、サンプルは眼であり、本方法は、目の強膜の線維異方性画像及び/又は線維配向画像を発生させることを備え得る。この場合、線維コラーゲンは強膜上の視神経頭の周囲に存在しているという制約条件を、サンプルの複屈折性を決定する際に課し得る。
【0022】
更に、本開示は、サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のサンプルビームを変調する方法に関し、本方法は、
PS‐OCTシステムのサンプルアーム光学系の入力部に位相変調システムを配置することを備え、位相変調システムは、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子に入力ビームを通すことと、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えることと、を行うように構成され、
回転角度と駆動電圧は、三つの相互の直交する偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される。
【0023】
以下、本教示に係るPS‐OCTシステムと方法の一部実施形態を、添付図面を参照して、非限定的な例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)は、本開示の実施形態に係るPS‐OCTシステムのブロック図である。図1(b)は、図1(a)のシステムの変調ユニットのブロック図である。図1(c)は、図1(b)の変調ユニット用のランプ電圧の変調状態の発展を示すポアンカレ球を示す。図1(d)は、図1(b)の変調ユニット用の駆動電圧と変調度との間の関係性を示す。図1(e)は、変調ユニットの出力状態のポアンカレ球を示す。
図2】偏光軸角度に対する測定誤差の依存性を示す。
図3図1(a)のPS‐OCTシステムの構成要素の一つの可能な実施形態を示す。
図4】a)ヒヨコモデルとb)モルモットモデルの代表的な断面画像を示す。
図5図5(a)は、体積走査からスライスしたOCT像を示す。図5(b)は、図5(a)の像について再構築した強膜異方性マップを示す。図5(c)は、従来のex‐vivo撮像法から得られた結果を示す。図5(d)は、本開示の実施形態を用いて導出されたコラーゲン異方性マップを示す。
図6】デフォーカスされたヒヨコモデルに対するin‐vivo強膜構造の代表的な正面(en‐face)画像を示す。
図7】近視のモルモットモデルの異なる近視段階におけるOCT断面画像、3Dレンダリング画像(眼の形状の概略の挿入図と共に)、線維配向画像、光学異方性画像を示す。
図8】in‐vivoサル網膜画像の(a)本開示の実施形態によって生成した画像と(b)従来技術に係る偏光深度エンコードシステムによって生成した画像の比較を示す。
図9】in‐vivoサル網膜画像の(a)本開示の実施形態によって生成した画像と(b)従来技術のシステムに係る2点変調システムを用いて生成した画像の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施形態は、高分解能の3次元の強膜ECMコラーゲン構造をin vivoで撮像するシステムと方法を提供する。本実施形態は、既存のPS‐OCT技術に追加可能な新規変調装置を用いる。本実施形態は眼科用撮像における使用に関して説明されるものであるが、本開示の技術が、眼科以外の医療撮像や、医療以外の撮像等の他の場合でも適用可能であることを理解されたい。
【0026】
例えば、本変調装置を眼科用PS‐OCTに適用することで、強膜の完全なミュラー特性を測定することができる。完全なミュラー行列を用いて、空気と角膜の界面の偏光の変化を補償することができ、デポーラリゼーション(depolarization,偏光解消)、ダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)、リタデーション(retardation,遅延)を追加コントラストとして抽出することができ、強膜の三次元構造をミクロンスケールの分解能で再構築することができる。強膜体積測定から導出された指標(後極のコラーゲン異方性等)は、近視のスクリーニングや診断、また、緑内障や後部強膜炎等の強膜に関する他の疾患用の新規バイオマーカとして機能することができる。
【0027】
本実施形態では、変調装置が、PS‐OCTの光入力部で用いられる。変調装置は、3つの固有偏光状態を発生させることができ、PS‐OCTが検査サンプルの完全なミュラー行列を高速(200kHz以上)で時間多重測定することを可能にすることによって、コンピュータ再構築に基づいた複屈折及び構造の情報を抽出することを可能にする。
【0028】
図1(a)は、本開示の実施形態に係る例示的なPS‐OCTシステム100の概略図である。PS‐OCTシステム100は掃引源レーザ102を備え、光分割光学系104によって、参照アーム光学系110とサンプルアーム光学系112に分割される。従来のPS‐OCTシステムとは異なり、システム100は変調ユニット120を備え、その変調ユニットは、光分割光学系104からの入力光信号を受けるように配置され、入力信号を変調し、三つの直交する固有状態を有する出力信号を生成し、出力信号をサンプルアーム光学系112に出力する。次いで、サンプルアーム112からの光と参照アーム110からの光が、干渉及び検出ユニット114によって結合されて検出され、デジタル化及び後処理ユニット116によってデジタル化されて分析される。デジタル化及び後処理ユニットは、以下で更に詳細に説明するように、サンプルの完全なミュラー行列を求めること等の多様な後処理と画像再構築の演算を行うように構成された一つ以上のプロセッサを備え得る。
【0029】
図1(b)に示されるように、変調ユニット120は、ドライバモジュール142によって駆動される電気光学変調器(EOM)140の前方に配置された偏光子130を備える。偏光子130は最適には17.6322°で配置され、又はEOM140の高速軸に対して27.3678°の角度で配置される。この角度において、EOM140は、ポアンカレ空間において相互に垂直な又は直交するポアンカレ球上の三つのベクトルを表す三つの固有状態を発生させる。ポアンカレ偏光表現において、EOM140は、図1(c)に示されるように、光状態をポアンカレ球上の円で展開する。17.6322°に配置された偏光子130では、円の半径が(2/3)の平方根として求められ、これは、この特定の円の三等分割点が原理的には三つの固有状態を表すことを意味する。
【0030】
図1(d)は、変調度と駆動電圧との間の関係性を示す。高速軸に沿って偏光した光は、他方の低速軸に沿って偏光した光と比較して、低い屈折率を受ける。従って、高速軸に沿って偏光した光は、低速軸に沿って偏光した光よりもEOMを速く伝播する。高速軸と低速軸との間の位相シフトが変調度である。120°、0°、-120°の変調度に対応する三点を用いて、三点ステップ駆動波形を形成する。これらは、相互に垂直な固有状態に対応している。図1(e)は、変調ユニット120から出力された変調のポアンカレ球表現を示す。
【0031】
偏光子130を、17.6322°の最適角度以外の角度に向けることもできる。その様子が図2に示されていて、その数字とは異なる角度における測定誤差を示している。既知の複屈折性を有するファントムをサンプルとして用いて異なる向きの角度で実験を行った。最適角度からのずれが大きくなるほど、それに応じて測定の分散が大きくなる。強膜の測定に関して有意な測定を維持するためには、±9.7°以内のずれが許容可能であるが、その理由は、測定の分散が、人間の強膜の一般的な複屈折性(1度/マイクロメートル)よりも小さいからである。従って、特定の角度への言及は、許容可能なずれ以内の機能的適合角度を含むものとされる。従って、本実施形態では、偏光子は最適には17.6322°で配置され、7.9322°から27.3322°までの範囲内の回転角度を有し得て、より長い波長でより深い侵入深さをもたらす。一部実施形態では、角度は、略16.6~18.6度、略15.6~19.6度、略14.6~20.6度、略13.6~21.6度、略12.6~22.6度、略11.6~23.6度、略10.6~24.6度、略9.6~25.6度、又は、略8.6~26.6度の範囲内となり得る。
【0032】
次いで図3を参照すると、図1のものと同等の代表的であるが非限定的で例示的なPS‐OCTシステム100が示されている。システム100において、掃引源レーザ102からの光は、ファイバ結合器(FC,fiber coupler)において分割され、参照アーム110に誘導され、また、変調ユニット120を介してサンプルアーム112に誘導され、偏光ダイバーシティ検出ユニット(PDDU,polarization diversity detection unit)114において検出されてデジタル化される。光を、参照アーム110の参照アーム光サーキュレータC1で受けて、そこからコリメータレンズL3と集束レンズL4に伝えて、並進移動ステージに取り付けられたミラー上に集束させる。次いで、ミラーから反射された光は、レンズL4とL3を通ってサーキュレータC1に戻り、偏光制御器PCに伝えられ、コリメータレンズL5と直線偏光子Pを通って、PDDU114に向かう。
【0033】
光は、偏光制御器PCとコリメータレンズL1を介して変調ユニット120に達し、上述のように変調されて放出されると、集束レンズL2を介してサンプルアーム112に伝えられる。サンプルアーム112において、変調出力光をサンプルアーム光サーキュレータC2で受けて、コリメータレンズL7に伝えて、次いで、サンプル(本例では眼)のxy走査を可能にする走査ガルバノメータSG上に伝える。図3において、DMはダイクロイックミラーを称し、ACは整列カメラを称する。次いで、サンプルから後方散乱された光が、サーキュレータC2に戻り、コリメータレンズL6を介してサンプルアーム112を出射して、PDDU114に向かう。
【0034】
完全なミュラー行列の決定
サンプルからの光の偏光状態がPDDU114によって検出されると、以下で詳細に説明するように、完全なミュラー行列を求めるように分析することができる。
【0035】
一般性を失うことなく、システムとサンプル光学系を通る前の(つまり、変調ユニット120を出射した後であってサンプルアーム112に入射する前の)三つの直交入力の入力プローブ光を、以下のプローブ(probing)行列Mprobingにまとめることができる:
【0036】
【数1】
【0037】
システムとサンプルを通った後にミュラー行列Mで表されるプローブ光が、PDDユニット114によって検出され、PDDユニット114は、受けた光の偏光状態をストークス空間において[sとして検出する。検出器で受けた生データを以下の検出(detecting)行列Mdetectingにまとめることができる:
detecting=M・Mprobing
式中、Mは、以下の光回路全体の4×4の純粋なミュラー(ジョーンズ・ミュラー)行列である:
【0038】
【数2】
【0039】
従って、検出行列を以下のように得ることができる:
【0040】
【数3】
【0041】
Dとmに関して、Mdetectingを以下のように表すことができる。
【0042】
【数4】
【0043】
式中、D=[d=[m01/m0002/m0003/m00であり、Dは以下のように定義される:
【0044】
【数5】
【0045】
上付き添え字は、行列転置を示す。
【0046】
00を解くため、以下の補助(auxiliary)行列を構築して、測定のリターダ(retarder)を取り除く:
aux=Msub sub=m00 (D+m (D+m)=m00 (D+m(D+m
【0047】
検出行列を以下のように表すことができる:
【0048】
【数6】
【0049】
式中、a=m00(d+1)、b=m00(d+1)、c=m00(d3+1)、a,b,c>0である。
【0050】
auxを以下のように更に単純化する;
【0051】
【数7】
【0052】
cosκ=|D|、D=[(a-1)/m00 (b-1)/m00 (c-1)/m00であることに注意すると、Maux、Dの入力から、以下のような式を得ることができる:
aux(1,2)=ab-m00 (1-|D|
【0053】
一つよりも多くの式を得ることができるが、それらは互いに冗長である。m00を以下のように解くことができる:
【0054】
【数8】
【0055】
式中、ε=(ab+bc+ac-Maux(1,2)-Maux(1,3)-Maux(2,3))/3である。
【0056】
00は、2次の多項式から解かれるので、2つの根を有するのが、上記の一方のみが有効であることに留意されたい。
【0057】
00を解くと、D、m、mを順次再構築することができ、次いで、組織の4×4ミュラー行列Mを以下のように再構築することができる:
【0058】
【数9】
【0059】
フリンジの生データを上記システムに記録した。生データのフーリエ変換の振幅のコントラストを最大にする3次の多項式の位相補正項を最適化することによって、分散を較正した。レーザからの位相の分散を較正信号から抽出して、フリンジに対して補償、相殺した。逐次測定されたストークスベクトルからサンプルの完全なミュラー行列を得た。
【0060】
眼科用PS‐OCTの場合、角膜によって主に誘起されるダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)の項を、極分解によって得て、サンプルのミュラー行列から取り除くことができる。深度分解複屈折性を、以下のように、累積ミュラー行列Mの微分方程式の解によって分解することができる:
【0061】
【数10】
【0062】
式中、LBは直線複屈折(linear birefringence)であり、LDは直線ダイアテニュエーション(liner diattenuation)であり、CBは円複屈折(circular birefringence)であり、CDは円ダイアテニュエーション(circular diattenuation)である。
【0063】
解の形式は行列指数関数exp(βx)である。3次元ベクトルβが、下方のサンプルの線維構造を記述する。具体的には、βのユークリッド長さが、線維異方性を表し、βの方向が、線維配向を表す。しかしながら、サンプルの先験的(a priori)知識に基づいて他の制約条件を追加しなければ、βは解くことができないものとなり得る。そこで、線維の絶対的配向を復元するために、βを係数exp(iφ)で回転させて、線維コラーゲンが強膜上の視神経頭の周囲に存在しているという先験的(a priori)条件に合わせることができる。一部実施形態では、絶対的方向が重要なものではなくなり得て、先験的(a priori)知識に基づいた拘束条件が必要でなくなることを理解されたい。この場合、全体的な測定結果が位相係数exp(iφ)でランダムにオフセットされるが、画像内の対象物の相対的配向の情報を示すマップを生成することはできる。
【0064】
実験結果
本発明に係る例示的なシステムを構築した。ヒヨコモデルとモルモットモデルを調べた。10羽のヒヨコと4匹のモルモットの集団を調べた。実験用の眼を散乱体で覆う一方で、他方の眼を対照(コントロール)用に開いたままにすることによって近視を誘起した。撮像日(ヒヨコの場合14日目、モルモットの場合80日目)に、眼をin vivoで撮像し、眼軸長さの測定結果と組織学的検証結果を収集した。予備的結果によって、測定された強膜線維構造の情報から潜在的なバイオマーカが抽出可能であることが確かめられた。
【0065】
図4は、a)ヒヨコとb)モルモットの代表的な断面画像を示す。組織学的検証を行って、対象の強膜層を検証した。ヒヨコモデルについては、強膜は、軟骨層とコラーゲン線維層との二層を有する。二層はOCT画像から識別可能であり、高い異方性と高度に組織化した配向性という顕著な特徴を示している。モルモットモデルについては、強膜層をコロイドの下方にはっきりと見ることができ、組織学によって検証可能である。更に、線維の異方性と配向で、コラーゲンの豊富な強膜構造が確かめられた。複数の断面画像を重ねて、強膜線維構造の3次元画像とすることができる。
【0066】
図5は、in vivoでのサルからの結果を示す。図5(a)は、眼窩の強度画像を示す。図5(b)は、再構築した強膜線維の異方性を示す。体積走査で、強膜線維構造を再構築することができる。周方向、半径方向、接線方向の線維構造を画像に見て取ることができる。この観測結果は、ex vivo撮像法に基づいた以前の報告と一致している(図5(c))。本願の3D測定から、コラーゲンの幾何学的形状だけではなくて、高分解能異方性マップを含む指標を導出することができる(図5(d))。
【0067】
図6は、デフォーカスしたヒヨコモデルに対するin vivoの強膜構造の代表的な正面(en‐face)画像を示す。屈折異常症の眼の強膜(左側の図)は、再形成(remodeling)を示していて、コントロール(対照)画像(右側の図)と比較して、線維構造が崩壊している。不均一に分布する異方性値によって確かめられる線維異方性マップから、コラーゲン構造の崩壊(deorganization)が見て取れる。その崩壊は、線維配向画像においてより明確であり、屈折異常症の眼の星形の配向パターンは、コントロール(対照)の眼には見て取れない。
【0068】
図7は、モルモットからの撮像結果を示す。モルモットのグループ(ダンキン・ハートレー(Dunkin Hartley)アルビノと、エルム・ヒル(Elm Hill)有色素)を現場で飼育した。検影法を用いて、各動物の視力(屈折力)の発達を毎週測定した。生後70日目において、異なる段階の近視を示す四匹のモルモット(図7の四つの欄に対応)を選択した。ケタミンのカクテルを筋肉注射して動物に麻酔して、PS‐OCTシステム100で撮像した。強膜を手動でセグメント化(分離)して、深さ方向に沿った強膜組織の平均を計算することによって、正面(en‐face)画像を生成した。異なる近視段階におけるOCT断面画像、3Dレンダリング画像(眼の形状の概略の挿入図と共に)、正面強度画像、線維配向画像、光学異方性画像が図7に示されている。後部強膜の薄化と曲率の増大を含む解剖学的変化が観測された。強膜コラーゲン異方性マップにおける変化から、近視の進行をスクリーニング可能であることも観測された。近視の進行中において、強膜線維異方性が増加することが分かった。このことは、眼球が長くなる際に後部強膜が伸びることに起因するものであり得る。興味深いことに、強膜線維異方性はブドウ腫において低い値に低下し、非病理的な近視の眼から強膜の状態が区別される。
【0069】
図8は、(a)本開示の実施形態のPS‐OCTシステムと、(b)特許文献1に記載されているような従来技術の偏光深度エンコードシステムとの比較を示す。従来技術のシステムと比較して、本開示の技術は、撮像の深さ、感度、侵入度に関して利点を有する。同じシステムパラメータでは、本技術は、二倍の撮像深さと、2~5dB良好な感度(200~500マイクロメートル良好な侵入度)を有する。また、機械的には、本技術は、より小型で頑丈である。
【0070】
本開示の三段階変調と比較すると、他の従来技術のシステムは二段階変調を用いる。本開示の技術は、完全な角膜の補償、相殺に起因した信頼性のある測定という点においてこうした従来技術のシステムに対する利点を有する。二段階変調では、角膜からの干渉を補償、相殺することができず、逸脱した構造結果、更には誤った構造結果につながる。一例が図9に示されている。図9(a)に示されるようにPS‐OCTシステム100が眼の3次元構造を正確に再構築している一方で、真の構造からの逸脱が図9(b)には見て取れる。
【0071】
本実施形態は、以下の特徴及び/又は利点のうちの一つ以上を有することができる:
‐ 高速で3つの固有偏光状態を発生させることができる変調装置。本装置は、変調器の高速軸に対して相対的に27.3678°の角度に配置される電気光学変調器を用いる。この偏光子の特定の回転角度が、三つ全ての固有偏光状態を発生させることを可能にする。3点ステップ駆動波形を電気光学変調器に印可して、三つの固有偏光状態を発生させる。
‐ 掃引源型の偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ撮像システムは、向上した測距深さと感度を備え、網膜深部の強膜を撮像することができる。
‐ 測定データと強膜構造の先験的(a priori)知識を用いて強膜コラーゲン構造の情報の完全なミュラー行列をコンピュータで再構築する方法。
‐ デポーラリゼーション(偏光解消)特性を用いて、コロイドと深部軌道構造に起因するノイズ信号とから強膜をセグメント化(分離)する方法。
‐ 対象の強膜の下方の生理学的状態(コラーゲンの異方性)を示す指標をトラクトグラフィ処理して導出することによって、測定データを定量化する方法。
‐ 強膜体積測定から導出された指標(後極のコラーゲン異方性等)が、近視のスクリーニング、診断、リスク分類、治療モニタリング用の新規バイオマーカとして、また、臨床試験用の代理アウトカムとして、更に、緑内障や後部強膜炎といった強膜等の他の疾患用のものとして機能することができる。
【0072】
当業者には本発明の範囲から逸脱せずに多様な修正が明らかになるものである。
【0073】
本明細書全体にわたって、特に断らない限り、「備える」、「含む」、「有する」といった用語は、記述されている一つ又は複数の特徴や段階を包含することを示唆しているものであって、他の一つ又は複数の特徴や段階の排除を示唆するものではないことを理解されたい。
【0074】
本明細書における従来の文献(またはそこから導出される情報)や既知の事項への言及は、その従来の文献(またはそこから導出される情報)や既知の事項が本開示に関する努力傾注分野における常識の一部であることを認めたものではない。
【0075】
本発明の一つ以上の実施形態が以下の項に開示される。
【0076】
項1
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のシステムであって、
参照アームと、サンプルに向けて光放射を放出するように配置構成されているサンプルアームとを備える干渉計と、
サンプルアームへの入力部に配置構成された位相変調システムと、
参照アームからの参照ビームとサンプルアームからのサンプルビームとの間の干渉によって発生する信号を検出するように配置構成された検出器と、を備え、
位相変調システムが、
電気光学変調器と、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子と、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
回転角度と駆動電圧は、相互に直交する三つの偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される、システム。
【0077】
項2
回転角度が略17.6度~略38.1度である、項1に記載のシステム。
【0078】
項3
回転角度が27.3678度である、項2に記載のシステム。
【0079】
項4
駆動電圧が鋸歯波形を有する、項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【0080】
項5
鋸歯波形が3点ステップ駆動波形であり、各ステップが、-120度、0度、120度の変調度に対応している、項4に記載のシステム。
【0081】
項6
検出器が偏光ダイバーシティ検出ユニット(PDDU)を備える、項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【0082】
項7
検出器によって検出された信号からサンプルのミュラー行列を求めるように構成された少なくとも一つのプロセッサを備える項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【0083】
項8
少なくとも一つのプロセッサが、極分解によってミュラー行列に対するダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)の寄与を求めるように構成されている、項7に記載のシステム。
【0084】
項9
少なくとも一つのプロセッサが、ミュラー行列に基づいてサンプルの複屈折性を決定するように構成されている、項7又は8に記載のシステム。
【0085】
項10
少なくとも一つのプロセッサが、サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的(a priori)知識に基づいてサンプルの複屈折性の決定に制約条件を課すように構成されている、項9に記載のシステム。
【0086】
項11
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用の位相変調システム(ユニット)であって、位相変調システムは、サンプルに向けて光放射を放出するように配置構成されているサンプルアームの入力部に配置可能であり、位相変調システムは、
電気光学変調器と、
電気光学変調器の高速軸に対してゼロではない回転角度で配置構成された偏光子と、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えるための信号発生器と、を備え、
回転角度と駆動電圧は、相互に直交する三つの偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される、位相変調システム。
【0087】
項12
回転角度が略17.6度~略38.1度である、項11に記載の位相変調システム。
【0088】
項13
回転角度が27.3678度である、項12に記載の位相変調システム。
【0089】
項14
駆動電圧が鋸歯波形を有する、項11から13のいずれか一項に記載の位相変調システム。
【0090】
項15
鋸歯波形が3点ステップ駆動波形であり、各ステップが、-120度、0度、120度の変調度に対応している、項14に記載の位相変調システム。
【0091】
項16
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)の方法であって、
サンプルアーム光学系によって、サンプルを照明するためのサンプルビームを発生させることと、
サンプルビームと参照ビームの干渉によって発生する干渉信号を検出することと、を備え、
サンプルアーム光学系は、その入力部に配置構成された位相変調システムを有し、位相変調システムは、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子に入力ビームを通すことと、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えることと、を行うように構成され、
回転角度と駆動電圧は、三つの相互に直交する偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される、方法。
【0092】
項17
回転角度が略17.6度~略38.1度である、項16に記載の方法。
【0093】
項18
回転角度が27.3678度である、項17に記載の方法。
【0094】
項19
駆動電圧が鋸歯波形を有する、項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
項20
鋸歯波形が3点ステップ駆動波形であり、各ステップが、-120度、0度、120度の変調度に対応している、項19に記載の方法。
【0096】
項21
干渉信号が偏光ダイバーシティ検出ユニット(PDDU)によって検出される、項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
項22
干渉信号からサンプルのミュラー行列を求めることを備える項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
項23
極分解によってミュラー行列に対するダイアテニュエーション(diattenuation,複吸収)の寄与を求めることを備える項22に記載の方法。
【0099】
項24
ミュラー行列に基づいてサンプルの複屈折性を決定することを備える項22又は23に記載の方法。
【0100】
項25
サンプルの一つ以上の構造パラメータの先験的(a priori)知識に基づいてサンプルの複屈折性の決定に制約条件を課すことを備える項24に記載の方法。
【0101】
項26
サンプルが眼である、項16から25のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
項27
眼の強膜の線維異方性画像及び/又は線維配向画像を生成することを更に備える項26に記載の方法。
【0103】
項28
制約条件が、線維コラーゲンが強膜上の視神経頭の周囲に存在していることである、項25を引用する項27に記載の方法。
【0104】
項29
サンプルの偏光感受型光コヒーレンストモグラフィ(PS‐OCT)用のサンプルビームを変調する方法であって、
PS‐OCTシステムのサンプルアーム光学系の入力部に位相変調システムを配置構成することを備え、位相変調システムが、
電気光学変調器の高速軸に対して或る回転角度で配置構成された偏光子に入力ビームを通すことと、
電気光学変調器に駆動電圧を伝えることと、を行うように構成され、
回転角度と駆動電圧は、三つの相互の直交する偏光状態を位相変調システムが発生させるように選択される、方法。
【0105】
項30
回転角度が略17.6度~略38.1度である、項29に記載の方法。
【0106】
項31
回転角度が27.3678度である、項30に記載の方法。
【0107】
項32
駆動電圧が鋸歯波形を有する、項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
項33
鋸歯波形が3点ステップ駆動波形であり、各ステップが、-120度、0度、120度の変調度に対応している、項32に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】