(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】色変化及び圧力感知の逆止弁
(51)【国際特許分類】
A61M 39/24 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A61M39/24 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518199
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 US2021052238
(87)【国際公開番号】W WO2022072285
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤミン、レイラ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066JJ04
4C066QQ14
(57)【要約】
逆止弁は、逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、支持部を有し、逆止弁の出口を画定する下部ハウジングとを含む。逆止弁は、入口と出口とを流体的に接続するために上部ハウジングと下部ハウジングとの間に介在して画定されるチャンバと、チャンバに取り付けられた可撓性ダイヤフラムとをさらに含む。可撓性ダイヤフラムは、第1の方向における流体の流れを選択的に許容し、第1の方向とは反対の第2の方向における流体の逆流を防止する。可撓性ダイヤフラムは、色が変わる材料を含み、可撓性ダイヤフラムが支持部に据え付けられ、第1の方向に流れる流体の力により曲げられると、可撓性ダイヤフラムは色変化を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、
支持部を含み、前記逆止弁の出口を画定する下部ハウジングと、
前記入口と前記出口とを流体的に接続するために前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に介在して画定されるチャンバと、
第1の方向における流体の流れを選択的に許容し、前記第1の方向とは反対の第2の方向における流体の逆流を防止するように前記チャンバに取り付けられた可撓性ダイヤフラムであって、前記可撓性ダイヤフラムは色が変わる材料を含み、前記可撓性ダイヤフラムが前記支持部に据え付けられ、前記第1の方向に流れる前記流体の力により曲げられると、前記可撓性ダイヤフラムは色変化を示す、可撓性ダイヤフラムと、
を備える逆止弁。
【請求項2】
前記可撓性ダイヤフラムは、複数の周期的に積み重ねられた層の透明材料を含む、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記上部ハウジングは、前記チャンバの天井を画定する第1の部分と側壁を画定する第2の部分とを有する内面を含み、
前記チャンバの前記側壁を画定する前記内面の部分は、凸形状を有する、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記凸形状を有する前記側壁は、透明材料を含んで前記色変化の目視観察を可能にする、請求項3に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記側壁の前記凸形状は、拡大材料を形成して前記色変化の目視観察を強化する、請求項4に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記可撓性ダイヤフラムは、ディスク形状を有する、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記可撓性ダイヤフラムは、圧力センサを含む、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記可撓性ダイヤフラムは、圧力感知フォトニック・ファイバ(pressure-sensing photonic fiber)を含む、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記第1の方向における前記流体の流れが所定の圧力以上の圧力を有すると、色を変える、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項10】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記可撓性ダイヤフラムへ略直角に配向された圧縮力を受けると、色を変える、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項11】
前記可撓性ダイヤフラムは、透明なゴム材料を含む、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項12】
入口端での入口ポートと、出口端での出口ポートと、チャンバの天井及び凸形状の側壁を画定する内面とを含む弁チャンバと、
前記弁チャンバ内に支持された可撓性ダイヤフラムであって、前記可撓性ダイヤフラムは、前記可撓性ダイヤフラムが前記弁チャンバに据え付けられ、前記入口ポートから前記出口ポートへ流れる流体の力により曲げられると、色変化を示す複数層の透明材料を含む、可撓性ダイヤフラムと、
を備える逆止弁。
【請求項13】
前記凸形状の側壁は、透明材料を含んで前記色変化の目視観察を可能にする、請求項12に記載の逆止弁。
【請求項14】
前記側壁の前記凸形状は、拡大材料を形成して前記色変化の目視観察を強化する、請求項12に記載の逆止弁。
【請求項15】
前記可撓性ダイヤフラムは、ディスク形状を有する、請求項12に記載の逆止弁。
【請求項16】
前記可撓性ダイヤフラムは、圧力センサを有する、請求項15に記載の逆止弁。
【請求項17】
前記可撓性ダイヤフラムは、圧力感知フォトニック・ファイバを含む、請求項16に記載の逆止弁。
【請求項18】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記入口ポートから前記出口ポートへの流体の流れが所定の圧力以上になると、色を変える、請求項12に記載の逆止弁。
【請求項19】
前記可撓性ダイヤフラムは、前記可撓性ダイヤフラムへ垂直に配向された流体力を受けると、色を変える、請求項12に記載の逆止弁。
【請求項20】
前記透明材料は、透明ゴム材料を含む、請求項12に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、逆止弁に関し、より詳細には、流体の流れからの圧力を受けたときに開存性を視覚的に示すために色を変えることができる逆止弁の弁部材に関する。
【背景技術】
【0002】
注入IVセットは、概して、予め充填された容器、例えば、所望の薬剤を含有するIVボトル又はバッグから患者へ薬剤を送達するために注入療法において使用される。概して、IV管はカテーテルへ接続され、治療されるべき局所領域内へ挿入される。
【0003】
患者は、一般に、最初にIVボトル又はバッグで提供されてIV線を通して患者の静脈内へ滴下されるIV溶液を注射される。通常、注入ポートがIV線に沿って設けられ、注射液をIV溶液へ加えることができるようにシリンジを用いて機能するように適合される。逆止弁も一般的に、IV線に含まれて流体の流れを患者の方向にのみ可能にする。これにより、注射液がIVリザーバへ向かう上流ではなく、患者へ向かって下流に流れることを確実にする。
【0004】
従来の逆止弁の開存性をチェックするためには、IV線は、現在、逆止弁にアクセス且つ検査するために開かれなければならない。
【0005】
背景技術セクションで提供される説明は、背景技術セクションに言及されるか、又は関連付けられているからというだけで先行技術であると想定されるべきではない。背景技術セクションは、本主題の技術の1つ又は複数の態様を記述する情報を含んでよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な実施例によれば、逆止弁は、逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、支持部を含み、逆止弁の出口を画定する下部ハウジングと、入口と出口とを流体的に接続するために上部ハウジングと下部ハウジングとの間に介在して画定されるチャンバとを含んでよい。逆止弁は、第1の方向における流体の流れを選択的に許容し、第1の方向とは反対の第2の方向における流体の逆流を防止するようにチャンバに取り付けられた可撓性ダイヤフラムをさらに含んでよい。可撓性ダイヤフラムは、色が変わる材料を含んでよく、可撓性ダイヤフラムが支持部に据え付けられ、第1の方向に流れる流体の力により曲げられると、可撓性ダイヤフラムは色変化を示す。
【0007】
本開示の様々な態様によれば、逆止弁は、入口端での入口ポートと、出口端での出口ポートと、チャンバの天井及び凸形状の側壁を画定する内面とを含む弁チャンバを含んでよい。逆止弁は、弁チャンバ内に支持された可撓性ダイヤフラムをさらに含んでもよい。可撓性ダイヤフラムは、可撓性ダイヤフラムが弁チャンバに据え付けられ、入口ポートから出口ポートへ流れる流体の力により曲げられると、色変化を示す複数層の透明材料を含んでよい。
【0008】
本主題の技術の他の構成は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになり、ここで、本主題の技術の様々な構成が例示として示され、記載されることが理解される。実現されるように、本主題の技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、本主題の技術の範囲から全く逸脱することなく、様々な他の点で修正可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、制限的ではないとみなされるべきである。
【0009】
以下の図は、実施例の特定の態様を示すために含まれ、排他的な実施例とみるべきではない。開示される主題は、当業者に起こり、この開示の利益を有するように、形態及び機能においてかなりの修正、改変、組合せ、及び同等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による、逆止弁を含むIV延長セットを示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施例による、開状態の逆止弁の断面図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施例による、雄ルアーへ結合された逆止弁の断面図を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施例による、
図3の線4-4に沿った逆止弁の断面図を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施例による、閉状態の逆止弁の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される詳細な説明は、本主題の技術の様々な構成を説明し、本主題の技術が実施される唯一の構成を表すことは意図されない。詳細な説明は、本主題の技術の完全な理解を提供することを目的とした指定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な実例として特定の態様に関して提供されてよい。しかしながら、本主題の技術がこれらの指定の詳細なしに実施されることは当業者には明らかであろう。いくつかの事例では、よく知られている構造及び構成要素が、本主題の技術の概念を曖昧にすることを避けるために、ブロック図形態で示される。
【0012】
本開示は、本主題の技術の実例を含み、添付の請求項の範囲を限定しないことを理解されたい。本主題の技術の様々な態様が、特定であるが非限定的な実例によってここで開示される。本開示に説明される様々な実施例は、異なるやり方及び変形例で、そして所望の適用又は実施に従って行われてよい。
【0013】
本説明は、概して、逆止弁に関し、より詳細には、例えば、限定するものではないが、流体の流れからの圧力を受けたときに開存性を視覚的に示すために色を変えることができる逆止弁に関する。
【0014】
いくつかの実施例によれば、逆止弁は、逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、逆止弁の出口を画定する下部ハウジングと、入口と出口とを流体的に接続するために上部ハウジングと下部ハウジングとの間に介在して画定されるチャンバとを含む。可撓性ダイヤフラムが、入口から出口への流体の流れを選択的に許容し、出口から入口への流体の逆流(リバース流)を防止するようにチャンバに据え付けられてよい。
【0015】
いくつかの実施例では、可撓性ダイヤフラムは、ディスク又は任意の他の円板の形態であってよく、色が変わる材料で形成されてよい。可撓性ダイヤフラムが下部ハウジングの支持部に据え付けられ、入口から出口への方向に流れる流体の圧力により曲げられ又は弓状にされると、可撓性ダイヤフラムは色を変えることがある。構造的には、可撓性ダイヤフラムは、複数の積み重ねられた層の透明材料で形成されてよい。可撓性ダイヤフラムが上流の圧力(すなわち、入口から出口へ流れる流体によって加えられる圧力)にさらされると、可撓性ダイヤフラムは、可撓性ダイヤフラムの隣接する層間の各界面で光が反射するように曲がり、弓状になり、又は他の状態に変形する。反射光は、流体の流れの指示としてユーザ/介護者により観察される可撓性ダイヤフラム上の可視スペクトルの色を作り、それによって逆止弁の開存性を知らせる。
【0016】
いくつかの実施例では、上部ハウジングは、チャンバの側壁を画定する内面を含む。側壁は、拡大レンズとして作用し、可撓性ダイヤフラムの色変化が拡大され、より容易に見ることができる凸形状を有してよい。
【0017】
有利には、拡大レンズを形成する上部ハウジングの内壁の凸形状構造により、可撓性ダイヤフラムの色変化は、流体線を開けることなく外部から容易に見ることができる。色変化は、逆止弁の開存性を示し、流体が意図されたように逆止弁を通って実際に流れていることをユーザ又は介護者へ確認することができる。さらに有利には、ユーザ又は介護者は、可撓性ダイヤフラムの視覚的な色変化を単に観察することによって、正味上流圧力があることを確認できる(それにより、逆止弁を通る流れがあることを示す)。そのため、流体の流れを確認するための別の圧力センサが不要になる。
【0018】
図1は、本開示のいくつかの実施例による、逆止弁100を含むIV延長セットを示す。図示されるように、IVセット1は、一次流体システム11及び二次流体システム25を含む。IVポンプ(図示せず)は、一次IV線5を介して、一次流体システム11及び二次流体システム25から流体を受け、そこから患者50へ流体を制御し分配してよい。
【0019】
いくつかの実施例では、一次流体システム11は、患者50へ投与される生理食塩水、他の薬液又は薬品を含む又は含有する一次流体バッグ10などの一次流体源を含んでよい。図示されるように、一次IV線5は、ドリップチャンバ13から逆止弁100へ一次流体を運ぶ。以下の図に関してさらに説明されるように、逆止弁100は、一次IV線5に配置され、二次流体システム25から一次流体バッグ10へ向かう流体のリバース流(逆流)を防止しながら、一次流体バッグ10からIVポンプ(図示せず)への流体の流量を可能にし得る。いくつかの実施例によれば、二次流体システム25は、治療のために患者50へ供給される薬品又は他の二次流体を含有する二次流体バッグ20などの二次流体源を含む。図示されるように、IVセット1は、ドリップチャンバ22から逆止弁100へ流れを運ぶ二次IV線7をさらに含んでよい。
【0020】
図2は、本開示のいくつかの実施例による、開状態の逆止弁の断面図を示す。
図2を参照すると、逆止弁100は、中心長手方向軸Xを画定する軸方向に延びる本体101を含んでよい。いくつかの実施例では、本体101は、拡大特性を有し得る耐薬品性材料で形成されてよい。本体101は、優れた光透過率及び透明さを提供できる材料で形成されてよい。例えば、いくつかの実施例では、本体の材料は、アクリルポリマーで形成されてよい。本体101は、概ね円筒状(又は管状)構造であってよく、上部ハウジング10及び下部ハウジング15を含んでよい。上部ハウジング10は、第1の端部12と、軸方向に反対である第2の端部14とを含んでよい。図示されるように、第2の端部14での上部ハウジング10の半径方向の範囲は、第1の端部12でのその半径方向の範囲よりも大きくてよい。下部ハウジング15は、上流側内面16を含んでよく、第2の端部14と下部ハウジング15の上流側内面16とが軸方向に互いに接触して、逆止弁100のチャンバ30を協働的に形成してよい。
【0021】
いくつかの実施例では、上部ハウジング10は、第1の端12での逆止弁100の入口20を含んでよく、下部ハウジング15は、逆止弁100の出口25を含んでよい。本体101は、入口20と出口25との間を軸方向に延び、それらと流体連通する内部通路18を画定してよい。理解されるように、逆止弁100は、(
図2の矢印によって示されるように)流体が入口20から出口25へ流れることを許容し、(
図5の矢印によって示されるように)出口25から入口20への流体の流れを最小にするか、そうでなければ制限してよい。描かれるように、上部ハウジング10及び下部ハウジング15は、入口20と出口25とを流体的に接続するためにチャンバ30を画定してよい。
【0022】
図3は、本開示のいくつかの実施例による、雄ルアーへ結合された逆止弁の断面図を示す。
図4は、本開示のいくつかの実施例による、
図3の線4-4に沿った逆止弁の断面図を示す。本明細書で説明される様々な実施例の逆止弁100は、所望の目的に応じて、IVセット1上の異なる場所に位置づけられてよい。例えば、いくつかの実施例では、逆止弁100は、一次IV線5へのいかなる潜在的な逆流も防止するために、ドリップチャンバ13の下方に位置づけられてよい。いくつかの実施例では、
図3に描かれているように、逆止弁100は、患者50へより近い、IVセットの端部でのコネクタ、例えば雄ルアー・コネクタ23内へ組み込まれるか、そうでなければ結合されてよい。コネクタ23へ結合されると、逆止弁100は、IVセット1内への患者の血液の逆流を防止するために使用され得る。
【0023】
描かれた実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、入口20から出口25への流体の流れを選択的に許容し、出口25から入口20への流体の逆流(リバース流)を防止するようにチャンバ30に取り付けられてよい。
【0024】
いくつかの実施例によれば、可撓性ダイヤフラム35は、ディスク又は任意の他の円板の形態であってよい。描かれるように、可撓性ダイヤフラム35は、下部ハウジング14の支持部28に取り付けられてよい。特に、支持部28は、入口20から空洞30へ流入する流体が、逆止弁100の開状態で、通って出口25に入ることができる中心開口44及び複数の軸方向に延びるスロット46を含んでよい。
【0025】
描かれるように、可撓性ダイヤフラム35は、色が変わる材料で形成されてよい。本明細書で言及されるように、色が変わる材料は、軸方向の荷重を受けると、可視スペクトルにおいて鮮やかな色を示すために光を反射することができる材料として定義される。したがって、可撓性ダイヤフラム35が支持部28に据え付けられ、入口20から出口25への方向に流れる流体の力により曲げられると、可撓性ダイヤフラム35は色を変えるか、そうでなければ色を示す。特に、いくつかの実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、複数の層の透明材料で形成されてよい。例えば、可撓性ダイヤフラム35は、複数の超薄層の透明材料で形成されてよく、これらの層は周期的に積み重ねられてディスク形状の可撓性ダイヤフラム35を形成し得る。いくつかの実施例では、ディスク形状の可撓性ダイヤフラム内の各層の透明材料は、およそ数百ナノメートルの厚さであってよい。いくつかの実施例では、透明材料は、透明ゴム材料、又は荷重下で曲がるか、そうでなければ変形することができる任意の他の類似の材料であってよい。
【0026】
いくつかの実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、限定されないが、弾性、微細構造の導電性ポリマー薄膜材料などの中空の球体微細構造を有する抵抗性の圧力感知材料で形成されてよい。
【0027】
いくつかの実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、触圧指示センサ膜で形成されてよい。さらに他の実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、その構造において中空の球体を有する材料で形成されてよく、これらの中空の球体は、圧力下で共に押されて、可撓性ダイヤフラム35は色を変えることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、上部ハウジング10は、チャンバ30の天井40を画定する第1の部分と側壁42を画定する第2の部分とを有する内面を含む。描かれるように、側壁42を画定する内面の部分は、凸形状を有してよい。さらに、いくつかの実施例では、側壁42は、色変化の目視観察を可能にするために透明材料で形成される。有利には、側壁42の凸形状は拡大レンズとして作用し、可撓性ダイヤフラム35の色変化が拡大され、より容易に観察されることを可能にする。
【0029】
動作において、複数の透明層で形成された可撓性ダイヤフラム35が上流の流体圧力(すなわち、入口20から出口25へ流れる流体によって加えられる圧力)にさらされると、可撓性ダイヤフラム35は、可撓性ダイヤフラムの隣接する層間の各界面で光が反射するように曲がり、弓状になるか、そうでなければ変形し得る。反射光は、可撓性ダイヤフラム35の透明層の幾何学的特性及び材料組成に依存し得る、可撓性ダイヤフラム35上の可視スペクトルにおいて色を作る。例えば、一貫した厚さの層で、可撓性ダイヤフラム35の隣接する層間の界面で反射された光は、相互作用して、可視スペクトルにおけるいくつかの色、例えば赤色を強化する一方、他の色の明るさを減少させ得る。したがって、上流の流体圧力により曲げられると、透明な層で形成された可撓性ダイヤフラム35は、可撓性ダイヤフラム35内の層の厚さに応じて、ある色に見えるか、そうでなければその色を示し得る。
【0030】
様々な実施例では、可撓性ダイヤフラム35は、圧力感知材料で形成されてよい。例えば、可撓性ダイヤフラム35は、上流の圧力を受けると、指定の所望の圧力に対して、可撓性ダイヤフラム35のファイバが容易に識別できる色を反射するように、複数の層状の圧力感知フォトニック・ファイバで作られてよい。この趣旨で、可撓性ダイヤフラム35は、入口ポートから出口ポートへの流体の流れが、所定の閾値圧力以上の圧力を可撓性ダイヤフラムへ垂直にかけると、色を変えるように設計され得る。
【0031】
したがって、本開示の様々な実施例は、可撓性ダイヤフラム35へ略直角に又は垂直に配向された上流の流体圧力により曲げられ、弓状にされるか、そうでなければ変形すると、色が変わる可撓性ダイヤフラム35を有する逆止弁100を提供する。上流の圧力により、可撓性ダイヤフラム35は出口25へ向かって外方に曲がり又は弓状になる。描かれたように、可撓性ダイヤフラム35は、流体圧力が最も集中した、又はより強いその中心部分で最も外方に弓状になり得る。可撓性ダイヤフラム35が支持部28に据え付けられたときに曲げられ又は弓状にされると、光は可撓性ダイヤフラム35の隣接する層間の各界面で反射する。反射光は、可撓性ダイヤフラム35上で可視スペクトルにおいて色を作る。
【0032】
いくつかの実施例では、図示されるように、色変化は、流体圧力が最も集中した可撓性ダイヤフラムの中心部分で最も強くなり、可撓性ダイヤフラム35の外周へ向かってより弱くなり得る。例えば、介護者は、上流の流体圧力の大きさに応じて、異なる強度の異なる色を見ることがある。
【0033】
有利には、拡大レンズを形成する上部ハウジング10の内壁42の凸形状構造により、可撓性ダイヤフラム35の色変化は、流体線を開くことなく、外部から容易に見ることができる。色変化は、逆止弁100の開存性を示し、流体が意図されたように逆止弁100を通って実際に流れていることをユーザ又は介護者へ確認し得る。さらに有利には、ユーザ又は介護者は、可撓性ダイヤフラム35の視覚的な色変化を単に観察することによって、正味上流圧力があることを確認できる(これにより、逆止弁100を通る流れがあることを示す)。そのため、流体の流れを確認するための別の圧力センサが不要になる。
【0034】
図5は、本開示のいくつかの実施例による、閉状態の逆止弁100の断面図を示す。描かれたように、且つ前述のように、上部ハウジング10は、チャンバ30の天井40を画定する第1の部分と側壁42を画定する第2の部分とを有する内面を含んでよい。いくつかの実施例では、天井40は、逆止弁100のシール面を画定する。
図5に示されるように、逆止弁100の閉状態では、可撓性ダイヤフラム35は天井40に接触する。可撓性ダイヤフラム35は天井40を画定する内面に接触するので、出口25から入口20への流体のリバース流(逆流)が制限又は防止される。
【0035】
動作中、下流圧力(すなわち、出口25から入口20へ流れる流体によって加えられる圧力)が可撓性ダイヤフラム35へ加えられると、可撓性ダイヤフラム35は、天井40へ向かって移動して接触し、入口20とチャンバ30との間の流体連通を妨げ、それによって出口25から入口20内への流体の逆流を制限してよい。流体の逆流を防止又は制限することは、例えば、二次経路から分配された薬品に含有される望ましくない微粒子物が可撓性ダイヤフラム35を通って逆流し、それによって患者が適切な薬品投与の濃縮量を受けることを妨げること、又は薬品の適時送達を妨げることを制限する点で有利である。
【0036】
本開示の1つ又は複数の実施例では、逆止弁は、逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、支持部を含み、逆止弁の出口を画定する下部ハウジングと、入口と出口とを流体的に接続するために上部ハウジングと下部ハウジングとの間に介在して画定されるチャンバと、第1の方向における流体の流れを選択的に許容し、第1の方向とは反対の第2の方向における流体の逆流を防止するようにチャンバに取り付けられた可撓性ダイヤフラムとを含み、可撓性ダイヤフラムは色が変わる材料を含み、可撓性ダイヤフラムが支持部に据え付けられ、第1の方向に流れる流体の力により曲げられると、可撓性ダイヤフラムは色変化を示す。
【0037】
本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、複数の周期的に積み重ねられた層の透明材料を含む。本開示の態様では、上部ハウジングは、チャンバ30の天井を画定する第1の部分と側壁を画定する第2の部分とを有する内面を含み、チャンバの側壁を画定する内面の部分は凸形状を有する。本開示の態様では、凸形状を有する側壁は、透明材料を含んで色変化の目視観察を可能にする。本開示の態様では、側壁の凸形状は、拡大材料を形成して色変化の目視観察を強化する。
【0038】
本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、ディスク形状を有する。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、圧力センサを含む。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、圧力感知フォトニック・ファイバを含む。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、第1の方向における流体の流れが所定の圧力以上の圧力を有すると、色を変える。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、可撓性ダイヤフラムへ略直角に配向された圧縮力を受けると、色を変える。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、透明なゴム材料を含む。
【0039】
本開示の1つ又は複数の実施例では、逆止弁は、入口端での入口ポートと、出口端での出口ポートと、チャンバの天井及びチャンバの凸形状の側壁を画定する内面とを含む弁チャンバと、弁チャンバ内に支持された可撓性ダイヤフラムとを含み、可撓性ダイヤフラムは、可撓性ダイヤフラムが弁チャンバに据え付けられ、入口ポートから出口ポートへ流れる流体の力により曲げられると、色変化を示す複数層の透明材料を含む。
【0040】
本開示の態様では、凸形状の側壁は、透明材料を含んで色変化の目視観察を可能にする。本開示の態様では、側壁の凸形状は、拡大材料を形成して色変化の目視観察を強化する。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、ディスク形状を有する。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、圧力センサを有する。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、圧力感知フォトニック・ファイバ(pressure-sensing photonic fiber)を含む。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、入口ポートから出口ポートへの流体の流れが所定の圧力以上になると、色を変える。本開示の態様では、可撓性ダイヤフラムは、可撓性ダイヤフラムへ垂直に配向された流体力を受けると、色を変える。本開示の態様では、透明材料は、透明ゴム材料を含む。
【0041】
本開示は、当業者であれば本明細書に記載される様々な態様を実施できるように提供される。本開示は、本主題の技術の様々な実例を提供するが、本主題の技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的原理は、他の態様に適用され得る。
【0042】
要素を単数形で参照することは、特に明記されない限り、「1つのみ」を意味することは意図されず、「1つ又は複数」を意味する。特に別段の記載がない限り、用語「いくつかの」は1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性の性別(例えば、彼女の及びその)を含み、逆も同様である。表題及び副題は、もしあれば、単に便宜的に使用され、本発明を制限しない。
【0043】
単語「例示的」は、本明細書では、「実例又は例示の役割をする」ことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載される任意の態様又は設計は、他の態様又は設計に対して好適又は有利であると必ずしも解釈されない。一態様では、本明細書に記載される様々な代替の構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられる。
【0044】
本明細書で使用される場合、一連の項目の前にある語句「のうちの少なくとも1つ」は、項目のうちの任意のものを区切るための用語「又は」と共に、リストの各項目というよりもむしろ、リストを全体として修正する。語句「のうちの少なくとも1つ」は、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではなく、むしろ、この語句は、項目のうちの任意のものの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちの任意の組合せの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちのそれぞれの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、語句「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組合せを指してよい。
【0045】
「態様」などの語句は、この態様が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの態様が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示しない。一態様に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。一態様は、1つ又は複数の例を提供し得る。態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指してよく、逆も同様である。「実施例」などの語句は、この実施例が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの実施例が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示していない。一実施例に関する開示は、すべての実施例、又は1つ若しくは複数の実施例に適用されてよい。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指してよく、逆も同様である。「構成」などの語句は、この構成が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの構成が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示していない。一構成に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。一構成は、1つ又は複数の実例を提供し得る。構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指してよく、逆も同様である。
【0046】
一態様では、特に明記されない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評価、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様が、以下の請求項におけるものを含め、近似値であり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する機能及びそれらが関係する技術において慣例的であるものと一致する合理的な範囲を有することを意図する。
【0047】
開示されるプロセス又は方法におけるステップ又は動作の指定の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。実施の好み又はシナリオに基づいて、ステップ、動作又はプロセスの指定の順序又は階層は再構成されてよいことが理解される。ステップ、動作又はプロセスのうちのいくつかは同時に行われてよい。いくつかの実施の好み又はシナリオでは、特定の動作が行われてよく、又は行われなくてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なしで、自動的に行われてよい。付随の方法の請求項は、様々なステップ、動作又はプロセスの要素をサンプルの順序で提示し、提示される指定の順序又は階層に限定されることは意味していない。
【0048】
当業者に知られているか又は後で知られることになる、本開示を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な同等物が参照により本明細書に明示的に組み込まれ、請求項に包含されることが意図される。また、本明細書に開示されるものは、その開示が請求項に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公共に与えられることを一切意図されない。要素が語句「のための手段」を使用して明示的に記載されない限り、又は方法の請求項の場合は、要素が語句「のためのステップ」を使用して記載されない限り、いかなる請求項の要素も35U.S.C.§112(f)の規定で解釈されない。さらに、用語「含む」、「有する」などが使用される程度まで、これらの用語は、「有する」が請求項において移行語として採用される場合の用語「有する」と同様に包括的であることが意図される。
【0049】
開示の名称、背景、概要、図面の簡単な説明及び要約は、本明細書によって開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、開示の例示的な実例として提供される。これらは請求項の範囲又は意味を制限するために使用されないことを理解した上で提出される。さらに、詳細な説明では、説明が例示的な実例を提供し、開示を合理化する目的で様々な特徴が様々な実施例にまとめられていることがわかる。この開示方法は、請求された主題が各請求項で明示的に引用されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作のすべての特徴よりも少ないことにある。以下の請求項は、本明細書により詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別に請求された主題として自立している。
【0050】
請求項は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図されないが、請求項の文言と一致する全範囲を与えられ、すべての法的同等物を包含するべきである。それにもかかわらず、いずれの請求項も、35U.S.C.§101、102、又は103の要件を満たしていない主題を包含することを意図したものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】