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特表2023-542947セルロースベースの繊維を備えた医療用バルーン、および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】セルロースベースの繊維を備えた医療用バルーン、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20231004BHJP
【FI】
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518366
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021051640
(87)【国際公開番号】W WO2022066831
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/082,077
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】キャシラロ,マット
(72)【発明者】
【氏名】ジンダニ,ラヒム
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA08
4C267BB03
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB28
4C267BB40
4C267CC09
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG09
4C267GG21
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
医療用バルーンは、基部バルーン層と、接着剤などによって基部バルーン層に適用される少なくとも1本のセルロース繊維とを含む。セルロース繊維は、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維を含んでもよい。セルロース繊維は、長手方向軸に対して実質的に平行に基部バルーンに沿って延在する長手方向繊維でもよく、少なくとも1本の長手方向繊維の上の少なくとも1本のフープ繊維でもよく、ことによると単一の連続的な繊維として含まれるこれらの両方でもよい。少なくとも1本の繊維はシルクタンパク質をさらに含んでもよく、少なくとも1本のシルク繊維も含まれてもよい。少なくとも1本のセルロース繊維の上にポリマーフィルムまたは噴霧コーティングなどの外層が適用されてもよい。関連する方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部バルーン層と、
前記基部バルーン層に適用された少なくとも1本のセルロース繊維と
を備える、医療用バルーン。
【請求項2】
前記基部バルーン層が、第1の先細り部分および第2の先細り部分、ならびにそれらの間のバレル部分を含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項3】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が、前記基部バルーン層の前記第1の先細り部分および前記第2の先細り部分、ならびに前記バレル部分の上に延在する、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項4】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が、前記基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に延在する、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項5】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が、前記基部バルーン層の周りに周方向に延在する、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項6】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が、前記基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に、かつ前記基部バルーン層の周りに周方向に延在する単一の連続的な繊維を含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項7】
少なくとも1本のシルク繊維をさらに含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項8】
前記少なくとも1本のセルロース繊維がシルクタンパク質をさらに含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項9】
前記少なくとも1本のセルロース繊維がセルロースナノ繊維を含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項10】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維を含む、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項11】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が接着剤によって前記基部バルーン層に取り付けられている、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項12】
前記少なくとも1本のセルロース繊維が前記基部バルーン層の外側表面に取り付けられている、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項13】
前記少なくとも1本のセルロース繊維の上に外層が適用されている、請求項1に記載の医療用バルーン。
【請求項14】
長手方向軸を有する基部バルーンと、
前記長手方向軸に対して実質的に平行に前記基部バルーンに沿って延在する少なくとも1本の長手方向繊維と
を備え、
前記少なくとも1本の長手方向繊維がセルロースを含む、医療用バルーン。
【請求項15】
前記少なくとも1本の長手方向繊維の上に少なくとも1本のフープ繊維をさらに含み、前記少なくとも1本のフープ繊維がセルロースを含む、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項16】
前記少なくとも1本の長手方向繊維および前記少なくとも1本のフープ繊維が単一の連続的な繊維の部分を形成する、請求項15に記載の医療用バルーン。
【請求項17】
前記少なくとも1本の長手方向繊維がシルクタンパク質をさらに含む、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項18】
少なくとも1本のシルク繊維をさらに含む、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項19】
前記少なくとも1本の長手方向繊維がセルロースナノ繊維を含む、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項20】
前記少なくとも1本の長手方向繊維が、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維で形成されている、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項21】
前記少なくとも1本の長手方向繊維が接着剤によって前記基部バルーンに取り付けられている、請求項14に記載の医療用バルーン。
【請求項22】
基部バルーン層に適用される少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む、
医療用バルーンを形成する方法。
【請求項23】
前記適用するステップが、前記基部バルーンの長手方向軸に沿って前記少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記適用するステップが、前記基部バルーンの周りに前記セルロース繊維を巻くステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記適用するステップが、前記基部バルーンに前記少なくとも1本のセルロース繊維を接着させて取り付けるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は米国特許仮出願第63/082,077号の利益を主張し、その開示を参照によって組み込む。
医療用バルーンは医療的処置において広く使用されている。通常、膨張させられていない医療用バルーンが身体の空間へと挿入される。医療用バルーンが膨張させられると医療用バルーンの容積は拡大し、身体の空間が同様に拡大させられる。
【0002】
血管形成術などの処置では、医療用バルーンを使用して潰れるかまたは閉塞した動脈を開くことができる。通常の医療用バルーンは、先細り部分または円錐形部分の間に中央バレル部分を含む。医療用バルーンは、1つまたは複数の繊維層を含むことによって非コンプライアンス性の形態で提供されてもよい。
【0003】
これまで、こうしたバルーンに使用される繊維は、通常はUHMWポリエチレン繊維などの合成材料で作成されてきた。しかし、こうした合成繊維は自然界では見つけられず、したがって製造にコストがかかる。いくつかの用途では、合成繊維は優れた接着特性を欠いている場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、前述の制限、またことによるとまだ確認されていない他の制限のうちのいくつかまたはすべてを克服する医療用バルーンの必要性が確認されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、医療用バルーンは、基部バルーン層と、基部バルーン層に適用された少なくとも1本のセルロース繊維とを含む。
一実施形態では、基部バルーン層は第1の先細り部分および第2の先細り部分と、それらの間のバレル部分とを含む。少なくとも1本のセルロース繊維は、基部バルーン層の第1の先細り部分および第2の先細り部分、ならびにバレル部分にわたって延在することができる。少なくとも1本のセルロース繊維は基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に延在してもよく、かつ/または基部バルーン層の周りに周方向に延在してもよい。たとえば、特定の一実施形態では、少なくとも1本のセルロース繊維は、基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に、かつ基部バルーン層の周りに周方向に延在する単一の連続的な繊維を含む。
【0006】
医療用バルーンは、少なくとも1本のシルク繊維をさらに含んでもよい。少なくとも1本のセルロース繊維はシルクタンパク質をさらに含んでもよい。少なくとも1本のセルロース繊維は、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維などのセルロースナノ繊維を含んでもよい。
【0007】
少なくとも1本のセルロース繊維は、接着剤によって基部バルーン層に取り付けられてもよい。少なくとも1本のセルロース繊維は、基部バルーン層の外側表面に取り付けられてもよい。少なくとも1本のセルロース繊維の上に外層も適用されてよい。
【0008】
本開示の別の態様によれば、医療用バルーンは、長手方向軸と、長手方向軸に対して実質的に平行に基部バルーンに沿って延在する少なくとも1本の長手方向繊維とを有する基部バルーンを備え、少なくとも1本の長手方向繊維はセルロースを含む。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1本のフープ(hoop)繊維が少なくとも1本の長手方向繊維の上に延在し、少なくとも1本のフープ繊維はセルロースを含む。少なくとも1本の長手方向繊維および少なくとも1本のフープ繊維は、単一の連続的な繊維の部分を形成してもよい。少なくとも1本の長手方向繊維はシルクタンパク質をさらに含んでもよく、医療用バルーンは少なくとも1本のシルク繊維をさらに含んでもよい。少なくとも1本の長手方向繊維は、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維などのセルロースナノ繊維を含んでもよい。少なくとも1本の長手方向繊維は接着剤によって基部バルーンに取り付けられてもよい。
【0010】
本開示の別の態様は、医療用バルーンを形成する方法に関する。方法は、基部バルーン層に適用される少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む。
一実施形態では、適用するステップは、基部バルーンの長手方向軸に沿って少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む。適用するステップは、基部バルーンの周りにセルロース繊維を巻くステップを含んでもよい。適用するステップは、基部バルーンに少なくとも1本のセルロース繊維を接着させて取り付けるステップを含んでもよい。
【0011】
添付図面と共に以下の説明を参照することにより、本開示の上記その他の利点をよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】医療用バルーンの部分断面図である。
図2】膨張させられたバルーン基部層を示す図である。
図3】バルーン形状のマンドレルを示す図である。
図4】接着剤層を有するバルーン基部層を示す図である。
図5】第1の繊維層を示す図である。
図6】バルーン基部層、接着剤層、および第1の繊維層の断面図である。
図7】バルーン基部層、接着剤層、および繊維層の断面図である。
図8】バルーン基部層、接着剤層、第1の繊維層、第2の繊維層、外側コーティング層、および最終層の断面図である。
図9】長手方向の第1の繊維層および円周方向の第2の繊維層を備えた繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図10】角度の付いた第1の繊維層および第2の長手方向の第2の繊維層を備えた繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図11】第1の長手方向繊維層および角度の付いた第2の繊維層を有する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図12】長手方向の第1の繊維層および角度の付いた第2の繊維層を有する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図13】繊維強化医療用バルーンの代替実施形態を示す図である。
図14】カテーテルの部分を形成する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図15】カテーテルの部分を形成する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図15A】カテーテルの部分を形成する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
図16】カテーテルの部分を形成する繊維強化医療用バルーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
明確さのためにいくつかの要素の寸法が他の要素より誇張される場合もあり、またはいくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロックもしくは要素に含まれる場合もある。さらに、対応する要素または類似の要素を示すために、場合によっては参照符号が図面の中で繰り返されることがある。さらに、図面に示されている項目のうちのいくつかが、単一の機能になるように組み合わせられてもよい。
【0014】
以下の詳細な説明では、本発明を徹底的に理解することを可能にするために、数多くの特有の詳細を記載する。開示されている実施形態は、これらの特有の詳細なしで実践されてもよい。他の場合、よく知られている方法、手順、構成要素、または構造は、本発明を曖昧にしないために詳細に説明されない場合がある。
【0015】
本開示のシステムおよび方法の原理および動作は、図面および添付の説明を参照するとよりよく理解することができる。本発明は、その適用において、下の説明に記載されるかまたは図面に示されている構造の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明は他の実施形態が可能であり、または種々のやり方で実践もしくは実行することができる。また、本明細書で利用される表現法および用語は説明を目的としたものであり、限定的なものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0016】
また、説明を明瞭にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のいくつかの特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。その反対に、説明を簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明された本発明の種々の特徴が、別々に、または任意の適した副次的な組合せで提供される場合もある。
【0017】
図1を参照すると、膨張させられた複合材料医療用バルーン10の部分断面図が示してある。図示されている実施形態では、また以下の説明でさらに議論されるように、バルーン10は任意選択で繊維強化されてもよく、その結果、実質的に非コンプライアンス性(換言すれば、非柔軟性)であり、限定的な拡大特性を有している。医療用バルーン10は非コンプライアンス性であるので、完全に膨張させられると、内圧が増加するにつれてその直径116は実質的に変化しない。以下でさらに言及されるように、繊維層の使用は完全に任意選択であると考えられる。
【0018】
一実施形態による膨張させられた繊維強化医療用バルーン10の直径116は約10ミリメートルでもよいが、用途に応じて変化してもよい。一実施形態による膨張させられた繊維強化医療用バルーン10の長さは、約8センチメートルでもよい。2~200センチメートル、またはそれを上回る長さ118のバルーン10が考えられる。開示されている実施形態による、膨張させられた繊維強化医療用バルーン10の先細り部分または円錐部分108の傾斜角度は、約20度でもよい。繊維強化バルーン10は限定なしに多種多様な直径116および長さで、またバルーン10の先細り部分または円錐部分108に種々の傾斜を備えて作成され得ることが当業者には認識されよう。
【0019】
繊維強化医療用バルーン10は、長手方向に延在することができる、薄いポリマー材料で形成された基部層100及び細く長い非弾力性の繊維13の第1の層12を含むことができる。バルーン10は、1本または複数本の細く長い繊維15で作成された第2の層14を含むことができ、繊維15は、横方向に延在することができる(「フープ」繊維と称される)。必要に応じて、追加の繊維層が含まれてもよい。
【0020】
繊維層12、14(または存在する場合は他の層)の上の外層16が含まれてもよい。この外層16はポリマーを含んでもよい。ポリマーは(ブロー成形、押出し成形、または他の方法により)フィルムの形態で適用されてもよく、噴霧などによって溶液として適用されてもよい。
【0021】
それぞれの繊維13は、通常は第1の繊維層12の他の繊維、およびバルーン10の他の繊維に対して固定される。第1の繊維層12の細い非弾力性の繊維13は高い引張り強度を特徴とすることができ、これにより優れた破裂強度がもたらされる。繊維強化バルーン10は摩耗、切断、および穿刺にも耐えることができる。構造的完全性の改善は繊維強化から生じ得ることが認識され得る。
【0022】
図2をさらに参照すると、基部層100は標準的な医療用バルーンの形状でもよく、任意の他の適した形状でもよい。基部層100は、通常、カテーテルシャフト(図19図20、および図21を参照)に取り付けられるように作られた狭小なシリンダとして形成され得る第1の首部分102を含む。第2の首部分110は、狭小な管として同様に形成され得る。第1の首部分102は第1の円錐部分または先細り部分104に隣接して形成される。第1の円錐部分104は、第1の移行部114によって印を付けられた(換言すれば、区別された)、作動長118を有するバレル部分106と出会うように拡大する。第1の円錐部分104は通常は約12~20度の角度で構築される。中央領域またはバレル部分106は、第2の移行部112において第2の円錐部分または先細り部分108と出会う。第2の円錐部分108は第2の首部分110と出会う。
【0023】
基部層100は、通常は、フィルムの厚みに対して高い強度を有する薄いフィルムポリマー材料、または他の適した材料で形成される。基部層100に使用することができるポリマーおよびコポリマーは、ポリエチレン、(PET)、ポリカプロラクタム、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ABS、ナイロン、コポリマー、ポリエステル/ポリエーテルブロックコポリマー、アイオノマー樹脂、液晶ポリマー、リジッドロッドポリマーなどであるがこれらに限定されない、医療用バルーンの構築に使用される従来のポリマーおよびコポリマーを含む。基部層100は、通常は、たとえばナイロンなどのポリアミドなどのポリマー材料のブロー成形されたバルーンとして形成され得る。
【0024】
基部層100はポリマーを含んでもよく、ポリマーはバルーンの形状に硬化され、形成され得る。硬化したポリマーのこの基部層100は、繊維強化バルーンの内側ポリマー壁を形成することができる。図3を参照すると、ポリマーコーティングを施すための基部として、取外し可能マンドレル122が使用される場合がある。ポリマーが硬化された後、マンドレル122は、物理的に引き出すこと、熱、または他の知られている形態の溶解などによって取り除かれてもよい。
【0025】
基部層100に類似した取外し可能バルーンがマンドレル122として使用されてもよい。マンドレル122は種々の材料から形成されてもよい。マンドレル122は、仕上がった所望のバルーンの内壁の形状で作成することができる。マンドレル122は、折り畳み可能な金属またはポリマーの内袋、発泡体、ワックス、低融点金属合金などで作成されてもよい。複合材料バルーンが構築および積層されると、マンドレル122(すなわち基部層100)は溶融、溶解、破砕、圧縮、加圧、または他の適した除去技法によって取り除かれてもよい。
【0026】
図4を参照すると、第1の層の非弾力性の繊維12を設置する前に、膨張させられた基部層100またはポリマーコーティングされたマンドレル122に接着剤126の薄いコーティングが塗布されることが理解され得る。繊維13が基部層100に配置されると、接着剤126は繊維13を十分に結合してそれらを所定の位置に保持する。一実施形態によれば、たとえば1-MP接着剤などの接着剤126の非常に薄いコーティングが基部層100に塗布され、これはポリウレタンベースのポリマーならびにメチルエチルケトンおよび塩化メチレンの知られている溶液であるが、他の形態の接着剤が使用されてもよい。
【0027】
図5および図6に示されているように、1本または複数本の繊維13が基部層100に適用されて第1の繊維層12を形成する。第1の繊維層12の繊維13は、非弾力性の繊維でもよい。非弾力性の繊維は、所与の圧力範囲にわたってごく最小限の弾性または伸びを有する繊維である。すべての繊維質材料は所与の圧力において検出可能な、しかし最小限の弾性または伸びを有することができるが、いくつかの繊維質材料が一般に非弾力性のものとして分類されている。
【0028】
開示されている実施形態では、第1の繊維層12の繊維13は、繊維の幅が繊維の太さより大きいリボン形状である。繊維13は平坦でもよく、したがって繊維は長方形の断面を有してよい。最初の繊維層12に使用される繊維13は、すべて同じ材料および同じ形状で作成された繊維13でもよい。互いに異なる材料から作成された繊維13が最初の繊維層12に使用されてもよい。互いに異なる形状で作成された繊維13が最初の繊維層12に使用されてもよい。ロールミルで平らにされた繊維13を使用して第1の繊維層12を形成してもよい。平らにされた繊維13には1-MP接着剤などの接着剤が塗布される。繊維13は、バルーン10の長さと実質的に長さがそれぞれ等しい30本の長手方向繊維として構成されてもよい。
【0029】
最初の繊維層12の繊維13は、それぞれの繊維13がバルーン10の長軸に対して実質的に平行になるように配置され得る。最初の繊維層12の繊維13の密度は、2.54cm(1インチ)当たりの繊維13の本数または繊維の巻付け回数、および繊維13の太さによって決まる。長手方向に配置された繊維13を有する第1の繊維層12の開示されている実施形態では、繊維太さが約0.0127~0.0254mm(約0.0005~0.001インチ)であり、互いから等距離で配置された概して約15~30本の繊維13の繊維密度が、標準的なサイズの繊維強化医療用バルーン10に適切な強度をもたらす。繊維13のそれぞれは、バルーン10と実質的に長さが等しい。第1の繊維層12により、完成した繊維強化バルーン10が長手方向に伸張するのを防止することができる。
【0030】
開示されている実施形態によれば、図7に示されているように、1本または複数本の高強度で非弾力性の繊維15で作成された第2の繊維層14がバルーン10の円周に沿って位置決めされる。円周方向に配置された繊維15は、バルーン10の長手方向軸に対して横方向または実質的に横方向でもよい。円周方向の繊維15は、最小膨張圧力とバルーンの破裂圧力との間の圧力においてバルーン直径116が拡大するのを防止するかまたは最小限に抑えることができる。
【0031】
第2の繊維層14の繊維15は、通常は非弾力性の繊維質材料で作成される非弾力性の繊維でもよい。非弾力性の繊維は、所与の圧力範囲においてごく最小限の弾性または伸びを有する繊維群の構成要素である。すべての繊維質材料は所与の圧力において検出可能な、しかし最小限の弾性または伸びを有することができるが、いくつかの繊維質材料が一般に非弾力性のものとして分類されている。第2の繊維層14の繊維15は、通常は高強度繊維質材料で作成される高強度繊維でもよい。
【0032】
開示されている実施形態では、第2の繊維層14の繊維15は、繊維の幅が繊維の太さより大きいリボン形状である。繊維15は平坦でもよく、したがって繊維は長方形の断面を有してよい。繊維14の第2の層に使用される繊維15は、すべて同じ材料および同じ形状で作成された繊維15でもよい。互いに異なる材料から作成された繊維15が第2の繊維層14に使用されてもよい。互いに異なる形状で作成された繊維15が第2の繊維層14に使用されてもよい。ロールミルで平らにされた繊維15を使用して第2の繊維層14を形成してもよい。平らにされた繊維15には1-MP接着剤などの接着剤の薄いコーティングが塗布される。繊維15は、2.54cm(1インチ)当たり54巻きの繊維密度を有することができる第2の繊維層14として配置され得る。
【0033】
第2の繊維層14の繊維15は、長手方向に配置されて第1の繊維層12を形成する繊維13に対して垂直または実質的に垂直でもよい。第1の繊維層12および第2の繊維層14のこの交差する配置により、繊維強化バルーン10の半径方向の安定性を最大化することが可能になる。繊維層12および繊維層14の配置により、バルーン表面に対する力が等しく分散され、概して等しい形状、サイズ、および密度のピクセル化された圧力点が作り出される。
【0034】
第1の繊維層12の繊維13は、第2の繊維層14の繊維15と同じでもよく、異なっていてもよい。具体的には、第2の繊維層14の繊維15は第1の層12の繊維13とは異なる1つまたは複数の材料で作成されてもよい。第2の層14の繊維15は、第1の繊維層12の繊維13とは異なる形状にされてもよい。第1の繊維層または第2の繊維層に使用される繊維または繊維の組合せの特性は、その結果得られる繊維強化バルーン10が必要とする具体的な特性から決定されてもよい。
【0035】
第2の繊維層14の繊維密度に関しては、開示されている実施形態によれば、約0.0127~0.0254mm(約0.0005~0.001インチ)の太さを有し、2.54cm(1インチ)当たり約50~80回の巻きで平行な線に配置された繊維15が、概して適当な強度を提供する。単一の繊維15が、繊維15が概して平行な一連の円周方向の連続的なループで巻き付けられた状態で、第2の繊維層14を形成してもよい。
【0036】
図8を参照すると、繊維強化医療用バルーン10の一体型の層の断面図が示してある。第1の繊維層12および第2の繊維層14は外層16でコーティングすることができる。以下の説明においてさらに略述されるように、開示されている実施形態では、外層16はハイブリッド外層でもよい。複合材料構造体は、通常は基部層100、接着剤126、第1の繊維層12、第2の繊維層14、および外層16を含んで、医療用の使用に特に適した、複合材料の非コンプライアンス性の繊維強化バルーン10を形成する。繊維強化バルーン10が使用中に最初に収縮させられ、次いでその後に膨張および収縮させられるとき、通常は繊維13および繊維15は固定されている。
【0037】
図9を参照すると、開示されている実施形態による繊維強化バルーン10が示してある。この実施形態では、繊維13はバルーン10の長軸に対して平行である。
図10を参照すると、別の実施形態による繊維強化バルーン45が示してある。繊維強化バルーン45は、バルーン45の長手方向軸に対してある角度で位置する繊維47を備えた第1の繊維層46を含むことができる。この実施形態では、第1の繊維層46の繊維47も第2の繊維層48の繊維49もバルーン45の長手方向軸に対して平行に位置決めされていない。一実施形態によれば、第1の繊維層46の繊維47は、バルーン10の長手方向軸に平行な線に対して5度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。別の実施形態によれば、第1の繊維層46の繊維47は、バルーン10の長手方向軸に平行な線に対して20度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。
【0038】
別の実施形態によれば、第1の繊維層46の繊維47は、バルーン10の長手方向軸に平行な線に対して30度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。別の実施形態によれば、第1の繊維層46の繊維47は、バルーン10の長手方向軸に平行な線に対して45度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。繊維47が任意の適当な角度で配置されてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0039】
第2の繊維層48の繊維49は、バルーン10の円周に平行に位置する。図11を参照すると、別の実施形態による繊維強化バルーン40が示してある。繊維強化バルーン40は、バルーン40の円周に対してある角度で位置する繊維44を備えた第2の繊維層43を含むことができる。一実施形態によれば、第2の繊維層43の繊維44は、バルーン10の円周に平行な線に対して5度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。
【0040】
第2の繊維層43の繊維44は、バルーン10の円周に平行な線に対して20度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。一実施形態によれば、第2の繊維層43の繊維44は、バルーン10の円周に平行な線に対して30度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。一実施形態によれば、第2の繊維層43の繊維44は、バルーン10の円周に平行な線に対して45度の角度の線に平行に位置決めされてもよい。繊維44が任意の適当な角度で配置されてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0041】
第1の繊維層41の繊維42と第2の繊維層43の繊維44とは、互いに対して垂直に位置決めされる。図12を参照すると、別の実施形態による繊維強化バルーン50が示してある。繊維強化バルーン50は、直角以外の角度で相対的に位置決めされた第1の繊維層51の繊維52および第2の繊維層53の繊維54を含んでもよい。
【0042】
図13を参照すると、医療用バルーン60は、長手方向繊維撚り糸(換言すれば、ストランド)64およびフープ繊維撚り糸66を形成する単一の連続的な繊維を含む場合もある。具体的には、繊維62は首部分102などの一方の端部分の周りに円周方向に巻かれ、(長手方向軸に対してゼロでない角度であり得る)他方の端部分すなわち首部分110へと長手方向に方向付けられ得る。次いで、繊維62は他方の端部分110の周りに巻かれ、(やはり、ゼロでない角度であり得る)逆の長手方向に戻される。単一の連続的な繊維62は、長手方向に通過する所望の回数にわたってバルーン60に沿って前後に巻き付けられ続け、次いで所望の繊維ピッチでバルーン60の周りに円周方向またはらせん状に巻き付けられることができる。医療用バルーン60への単一の連続的な繊維の適用のより完全な説明は、米国特許第10,485,949号に見出すことができる。
【0043】
図14および図15に目を向けると、バルーン10はバルーン10が装着される遠位端部分211を備えたシャフト214を有するカテーテル200の一部を形成できることが理解され得る。バルーン10はバルーン端部において封止されて、カテーテルシャフト214内を通って延在しバルーン10の内部と通じている1つまたは複数の膨張内腔217を介した膨張を可能にする。カテーテル200は、シャフト224によって形成されたガイドワイヤ内腔223も含むことができ、これはシャフト214内に、より具体的には膨張内腔217内に存在することができる。この内腔223はカテーテル200(図15Aを参照)にガイドワイヤ226を案内し、バルーン10の遠位端部に対して遠位な先端232を通る部分を含めたその遠位端部分に沿ってバルーン10が位置付けられ得る。
【0044】
図15に示されているように、このガイドワイヤ226は、シャフト214の近位端部分213のコネクタまたはハブ227の第1のポート225を介してカテーテル200の近位端部分を通り、内腔223へと延在して「オーバーザワイヤ」(OTW)構成を実現してもよいが、「ラピッドエクスチェンジ」(RX)構成で提供されてもよく(この構成では、ガイドワイヤ226は遠位端部の方に近いがバルーン10に対して近位な、任意選択の側方開口214a(図16を参照)においてシャフト214から出て行く)、あるいはバルーン10に対して遠位な通路において先端232に通される(「ショート」RX;図示せず)。膨張内腔217を介してバルーン10の内部コンパートメントに流体(たとえば生理食塩水、造影剤、またはその両方)を導入するために、第2のポート229もコネクタ227などを介してカテーテル200に関連付けることができる。
【0045】
第1の繊維層12の繊維13、および/もしくは第2の繊維層15の繊維14、(または第1の繊維層46の繊維47や第2の繊維層48の繊維49などの本明細書に開示される任意の他の繊維)は、セルロースなどの天然材料を含んでもよい。具体的には、これらの繊維のうちのいずれかまたはすべては、(1)セルロースナノ繊維(フィブリル)、(2)シルク繊維と組み合わせられたセルロースナノ繊維、または(3)シルクタンパク質と組み合わせられたセルロースナノ繊維のうちの1つまたは複数を含んでもよい。したがって、繊維13または繊維15は合成材料と比較して自然から入手可能な材料を含むことができ、これにより、強度またはクリンプ性(crimpability)を犠牲にすることなしに製造または使用のコストを軽減することができるので有利である。
【0046】
セルロースベースの繊維またはフィブリルは、流体力学的集束と呼ばれる工程を使用して形成することができる。これは、整列し、充分に詰められた(packed)極めて強い繊維材料になるように、水チャネルにセルロースナノ繊維を送り込んで繊維を圧搾/凝集させることにより、セルロースナノ繊維から繊維を形成することを必要とする。こうした繊維は、1015MPaの引張り破断の場合60~70Gpaの剛性を有することができ、合成繊維と比較して優れた接着特性を有する。
【0047】
要約すると、本開示は以下の項目に関する場合がある。
[項目1]
基部バルーン層と、
基部バルーン層に適用された少なくとも1本のセルロース繊維と
を備える、医療用バルーン。
[項目2]
基部バルーン層が第1の先細り部分および第2の先細り部分、ならびにそれらの間のバレル部分を含む、項目1に記載の医療用バルーン。
[項目3]
少なくとも1本のセルロース繊維が、基部バルーン層の第1の先細り部分および第2の先細り部分、ならびにバレル部分の上に延在する、項目1または項目2に記載の医療用バルーン。
[項目4]
少なくとも1本のセルロース繊維が基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に延在する、項目1から3のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目5]
少なくとも1本のセルロース繊維が基部バルーン層の周りに周方向に延在する、項目1から4のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目6]
少なくとも1本のセルロース繊維が、基部バルーン層の長手方向軸に対して実質的に平行に、かつ基部バルーン層の周りに周方向に延在する単一の連続的な繊維を含む、項目1に記載の医療用バルーン。
[項目7]
少なくとも1本のシルク繊維をさらに含む、項目1から6のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目8]
少なくとも1本のセルロース繊維がシルクタンパク質をさらに含む、項目1から7のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目9]
少なくとも1本のセルロース繊維がセルロースナノ繊維を含む、項目1から8のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目10]
少なくとも1本のセルロース繊維が、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維を含む、項目1から8のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目11]
少なくとも1本のセルロース繊維が接着剤によって基部バルーン層に取り付けられている、項目1から8のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目12]
少なくとも1本のセルロース繊維が基部バルーン層の外側表面に取り付けられている、項目1から8のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目13]
少なくとも1本のセルロース繊維の上にポリマーフィルムまたは噴霧コーティングなどの外層が適用されている、項目1から12のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目14]
長手方向軸を有する基部バルーンと、
長手方向軸に対して実質的に平行に基部バルーンに沿って延在する少なくとも1本の長手方向繊維と
を備え、
少なくとも1本の長手方向繊維がセルロースを含む、医療用バルーン。
[項目15]
少なくとも1本の長手方向繊維の上に少なくとも1本のフープ繊維をさらに含み、少なくとも1本のフープ繊維がセルロースを含む、項目14に記載の医療用バルーン。
[項目16]
少なくとも1本の長手方向繊維および少なくとも1本のフープ繊維が単一の連続的な繊維の部分を形成する、項目15に記載の医療用バルーン。
[項目17]
少なくとも1本の長手方向繊維がシルクタンパク質をさらに含む、項目14から16のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目18]
少なくとも1本のシルク繊維をさらに含む、項目14から17のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目19]
少なくとも1本の長手方向繊維がセルロースナノ繊維を含む、項目14から18のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目20]
少なくとも1本の長手方向繊維が、流体力学的に集束させられたセルロースナノ繊維によって形成されている、項目14から19のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目21]
少なくとも1本の長手方向繊維が接着剤によって基部バルーンに取り付けられている、項目14から20のいずれかに記載の医療用バルーン。
[項目22]
基部バルーン層に適用される少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む、
医療用バルーンを形成する方法。
[項目23]
適用するステップが、基部バルーンの長手方向軸に沿って少なくとも1本のセルロース繊維を適用するステップを含む、項目22に記載の方法。
[項目24]
適用するステップが、基部バルーンの周りにセルロース繊維を巻くステップを含む、項目22または項目23に記載の方法。
[項目25]
適用するステップが、基部バルーンに少なくとも1本のセルロース繊維を接着させて取り付けるステップを含む、項目22から24のいずれかに記載の方法。
【0048】
本明細書において、以下の用語は以下の意味を有する。
本明細書において、「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、単数形の参照対象および複数形の参照対象の両方を指す。一例として、「a compartment」は、1つかまたは2つ以上のcompartmentを指す。
【0049】
本明細書において、パラメータ、量、時間的継続などのような測定可能な値を指す「およそ」、「実質的に」、または「約」は、こうしたばらつきが開示された本発明において実施するのに適当である限りにおいて、指定された値の、また指定された値から+/-10%かまたはそれより少ないばらつき、+/-5%かまたはそれより少ないばらつき、+/-1%かまたはそれより少ないばらつき、および+/-0.1%かまたはそれより少ないばらつきを含む、+/-20%かまたはそれより少ないばらつきを包含することを意図されている。しかし、修飾語「およそ」が指す値自体も具体的に開示されていることを理解されたい。
【0050】
本明細書において、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」、ならびに「からなる(comprised of)」は、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、または「含有する(contain)」、「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、これらに続くもの、たとえば構成要素の存在を明示する、包含的なまたはオープンエンドな用語であり、当技術分野で知られているかまたはそこで開示されている記載されていない追加の構成要素、特徴、要素、部材、ステップの存在を排除または除外しない。
【0051】
特定の実施形態を併用して本発明について説明してきたが、多くの代替手段、修正形態、および変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲に含まれるすべてのこうした代替手段、修正形態、および変形形態を包含する。本明細書において言及されたすべての公報、特許および特許出願は、それぞれの個々の公報、特許または特許出願が参照によって本明細書に組み込まれることを具体的にかつ個々に示されていた場合と同じ程度で、参照により、本明細書に全体として組み込まれる。加えて、または本出願における任意の参照の特定は、こうした参照が従来技術として本開示に利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図15A
図16
【国際調査報告】