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2023-542950α-シヌクレインの凝集を阻害するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】α-シヌクレインの凝集を阻害するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20231004BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20231004BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20231004BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231004BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231004BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20231004BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/86 Z
C07K14/47
C12N15/864 100Z
A61K35/76
A61K48/00
A61K38/16
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/00
C07K7/06
C07K7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518378
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021051758
(87)【国際公開番号】W WO2022066911
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/082,208
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】522129753
【氏名又は名称】シーロス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メーラ, ラジ
(72)【発明者】
【氏名】ウィタカー, ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA02
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA15
4C087ZA16
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、α-シヌクレインの凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするアデノ随伴ウイルスベクターを含む、神経変性疾患の治療に有用な方法及び組成物が提供される。このようなペプチドは、アルツハイマー病、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、及び多系統萎縮症(MSA)などの神経変性疾患の治療に有用である。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、ウイルスベクターを含む組成物:
AVVWGVTAV(配列番号1)または
AVVTGVTAV(配列番号2)。
【請求項2】
前記ウイルスベクターが、以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、請求項1記載の組成物:
GAVVWGVTAVKK(配列番号3)または
RAVVTGVTAVAE(配列番号4)。
【請求項3】
前記ウイルスベクターが、以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、請求項1または2に記載の組成物:
GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)または
YGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)。
【請求項4】
前記ペプチドが、9~45アミノ酸長である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ペプチドが、30~40アミノ酸長である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペプチドが、34アミノ酸長である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ペプチドが、36アミノ酸長である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ペプチドが、α-シヌクレインの残基68~78に結合することによってα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を阻害する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ウイルスベクターが、AAVベクターである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記AAVベクターが、AAV血清型1ベクター(AAV1)、AAV血清型2ベクター(AAV2)、AAV血清型1及び2ハイブリッドベクター(AAV1/2)、AAV血清型3ベクター(AAV3)、AAV血清型4ベクター(AAV4)、AAV血清型5ベクター(AAV5)、AAV血清型6ベクター(AAV6)、AAV血清型7ベクター(AAV7)、AAV血清型8ベクター(AAV8)、またはAAV血清型9ベクター(AAV9)である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記AAVベクターが、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV1/2ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV8ベクター、またはAAV9ベクターである、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記AAVベクターが、AAV1/2ベクターである、請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ウイルスベクターが、異種ペプチドタグをコードするコード配列を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記異種ペプチドタグが、前記ペプチドに連結している、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記異種ペプチドタグが、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグである、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ウイルスベクターが、調節配列を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記調節配列が、プロモーターを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記プロモーターが、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記プロモーターが、JCポリモウイルスプロモーター、血小板由来成長因子B鎖(PDGF-ベータ)プロモーター、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記調節配列が、SV40初期エンハンサー/プロモーターエレメント、ハイブリッドCMVエンハンサー/PDGF-ベータプロモーターエレメント、またはハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターエレメントである、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記調節配列が、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターが、配列番号9の核酸配列を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項23】
前記ウイルスベクターが、転写後調節エレメントを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記転写後調節エレメントが、ウッドチャック転写後調節エレメントである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ウッドチャック転写後調節エレメントが、配列番号10の核酸配列を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ウイルスベクターが、足場付着領域配列を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記足場付着領域配列が、配列番号12の核酸配列を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ウイルスベクターが、ポリアデニル化シグナル配列を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリアデニル化配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列が、配列番号11の核酸配列を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ウイルスベクターが、配列番号13または配列番号14の核酸配列を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物を含むキット。
【請求項34】
前記組成物を含むプリロードシリンジをさらに含む、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター:
AVVWGVTAV(配列番号1)または
AVVTGVTAV(配列番号2)。
【請求項36】
前記AAVベクターが、以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、請求項35に記載のAAVベクター:
GAVVWGVTAVKK(配列番号3)または
RAVVTGVTAVAE(配列番号4)。
【請求項37】
前記AAVベクターが、以下のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするコード配列を含む、請求項35または36に記載のAAVベクター:
GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)または
YGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)。
【請求項38】
前記ペプチドが、9~45アミノ酸長である、請求項35~37のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項39】
前記ペプチドが、30~40アミノ酸長である、請求項35~37のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項40】
前記ペプチドが、34アミノ酸長である、請求項35~37のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項41】
前記ペプチドが、36アミノ酸長である、請求項35~37のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項42】
前記ペプチドが、α-シヌクレインの残基68~78に結合することによってα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を阻害する、請求項35~41のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項43】
前記AAVベクターが、AAV血清型1ベクター(AAV1)、AAV血清型2ベクター(AAV2)、AAV血清型1及び2ハイブリッドベクター(AAV1/2)、AAV血清型3ベクター(AAV3)、AAV血清型4ベクター(AAV4)、AAV血清型5ベクター(AAV5)、AAV血清型6ベクター(AAV6)、AAV血清型7ベクター(AAV7)、AAV血清型8ベクター(AAV8)、またはAAV血清型9ベクター(AAV9)である、請求項35~42のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項44】
前記AAVベクターが、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV1/2ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV8ベクター、またはAAV9ベクターである、請求項35~42のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項45】
前記AAVベクターが、AAV1/2ベクターである、請求項35~42のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項46】
前記AAVベクターが、異種ペプチドタグをコードするコード配列を含む、請求項35~45のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項47】
前記異種ペプチドタグが、前記ペプチドに連結している、請求項46に記載のAAVベクター。
【請求項48】
前記異種ペプチドタグが、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグである、請求項46または47に記載のAAVベクター。
【請求項49】
前記AAVベクターが、調節配列を含む、請求項35~48のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項50】
前記調節配列が、プロモーターを含む、請求項49に記載のAAVベクター。
【請求項51】
前記プロモーターが、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターである、請求項50に記載のAAVベクター。
【請求項52】
前記プロモーターが、JCポリモウイルスプロモーター、血小板由来成長因子B鎖(PDGF-ベータ)プロモーター、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである、請求項50または51に記載のAAVベクター。
【請求項53】
前記調節配列が、SV40初期エンハンサー/プロモーターエレメント、ハイブリッドCMVエンハンサー/PDGF-ベータプロモーターエレメント、またはハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターエレメントである、請求項49に記載のAAVベクター。
【請求項54】
前記調節配列が、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである、請求項53に記載のAAVベクター。
【請求項55】
前記ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターが、配列番号9の核酸配列を含む、請求項54に記載のAAVベクター。
【請求項56】
前記AAVベクターが、転写後調節エレメントを含む、請求項35~55のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項57】
前記転写後調節エレメントが、ウッドチャック転写後調節エレメントである、請求項56に記載のAAVベクター。
【請求項58】
前記ウッドチャック転写後調節エレメントが、配列番号10の核酸配列を含む、請求項57に記載のAAVベクター。
【請求項59】
前記AAVベクターが、足場付着領域配列を含む、請求項35~58のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項60】
前記足場付着領域配列が、配列番号12の核酸配列を含む、請求項59に記載のAAVベクター。
【請求項61】
前記AAVベクターが、ポリアデニル化配列を含む、請求項35~60のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項62】
前記ポリアデニル化配列が、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列である、請求項61に記載のAAVベクター。
【請求項63】
前記ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列が、配列番号11の核酸配列を含む、請求項62に記載のAAVベクター。
【請求項64】
前記AAVベクターが、配列番号13または配列番号14の核酸配列を含む、請求項35~64のいずれか1項に記載のAAVベクター。
【請求項65】
請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物または請求項35~64のいずれか1項に記載のAAVベクターの有効量を対象に投与することを含む、前記対象における神経変性疾患を治療するための方法。
【請求項66】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチーである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記シヌクレイノパチーが、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、及び多系統萎縮症(MSA)からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
それを必要とする対象においてα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を減少させるための方法であって、請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物または請求項35~64のいずれか1項に記載のAAVベクターの有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項69】
前記対象が、神経変性疾患を有する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチーである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記シヌクレイノパチーが、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、または多系統萎縮症(MSA)である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記組成物または前記AAVベクターが、非経口投与される、請求項65~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記組成物または前記AAVベクターが、前記対象の中枢神経系に投与される、請求項65~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記組成物または前記AAVベクターが、頭蓋内投与される、請求項65~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物または前記AAVベクターが、前記対象の黒質に投与される、請求項65~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
哺乳動物細胞においてα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を阻害するペプチドを発現させる方法であって、請求項35~64のいずれか1項に記載のAAVベクターを前記哺乳動物細胞に導入することを含む、前記方法。
【請求項77】
前記哺乳動物細胞が、ニューロンまたは神経膠細胞である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記哺乳動物細胞が、ニューロンである、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
(i)請求項1~32のいずれか1項に記載の組成物または請求項35~64のいずれか1項に記載のAAVベクターと;
(ii)請求項65~78のいずれか1項に記載の方法を実施するための説明書と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経変性疾患の治療に有用な方法及び組成物を提供する。特に、本開示は、α-シヌクレインの凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするアデノ随伴ウイルスベクターを投与することによる、パーキンソン病などの神経変性疾患の治療に有用な方法及び組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)などのシヌクレイノパシーは、ニューロン及びグリアの選択的な集団の細胞質中でのα-シヌクレイン(α-syn)タンパク質の凝集体の異常な蓄積を特徴とする神経変性疾患のクラスである。これらの凝集体は、レビー小体、PD及びDLBの組織学的特性を定義するもの、及びMSAに見られるオリゴデンドログリア封入体の両方の主要構成成分である。このような凝集体は、ニューロン損傷に付随することが示されている(Spillantini et al.Nature.1997;388(6645):839-40及びUbhi et al.Trends Neurosci.2011 Nov;34(11):581-590)。ニューロン及びグリア中にシヌクレインの凝集体が沈着することは、これらの障害に共通の病原性メカニズムが存在し得ることを示唆するものである。
【0003】
構造研究に基づいて、α-シヌクレインフィブリルの複数の異なるモデルが提唱されている。タンパク質分解の限定及びNMR研究では、フィブリルコアが残基30~100から構成されていることが示唆されている(Miake et al.J.Biol.Chem.2002;277(21):19213-9)。結晶構造及びNMR研究は、異なるモデルのα-synフィブリルを示唆している。短いセグメントの結晶構造をベースにした1つのモデルでは、シートあたり2つのモノマーが、拡張立体ジッパーを形成する(Rodriguez et al.Nature.2015;525(7570):486-490)。2つ目のssNMRベースのモデルでは、アミロイド層ごとに1つのモノマーを含むグリークキートポロジートポロジーが示されている(Tuttle et al.Nat.Struct.Mol.Biol.2016;23(5):409-415)。まとめると、これらの研究は、α-synが多形原線維構造を形成できることを示唆している。
【0004】
PDは、最も一般的な運動障害の1つであり、DLBは、変性性認知症の2番目に多い原因である。α-シヌクレインアミロイド形成と疾患進行との間の因果関係は、アミロイド負荷を増加させる遺伝子重複及び家族性変異も早期発症型PDを引き起こし、散発性PD患者の90%超がα-シヌクレイン沈着物について陽性に染色されるという発見によって裏付けられる。PDの基本的な臨床的特徴としては、動作の遅さ、振幅及び速度の低下、ならびに動作緩慢、安静時振戦、及び硬直が挙げられる(Urbizu and Beyer.Int J Mol Sci.2020 Jul;21(13):4718)。
現在、PDなどの神経変性疾患の治療法は存在しない。現在の治療は、症状の軽減及び生活の質の改善に焦点を当てている。パーキンソン病(PD)及び他の神経変性疾患に対する現在の治療法の価値は、疾患の根底にある進行を修正する効果がどちらかと言えばほとんどないという事実によって制限されている。疾患改変特性を有する治療法、例えば、神経保護的、神経回復的、または疾患の進行を遅らせる、停止させる、もしくは逆転さえさせる治療法は、非常に価値があることになるであろう。したがって、α-シヌクレインの凝集及び/または細胞毒性を防止及び/または阻害する剤を同定する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Spillantini et al.Nature.1997;388(6645):839-40
【非特許文献2】Ubhi et al.Trends Neurosci.2011 Nov;34(11):581-590
【非特許文献3】Miake et al.J.Biol.Chem.2002;277(21):19213-9
【非特許文献4】Rodriguez et al.Nature.2015;525(7570):486-490
【非特許文献5】Tuttle et al.Nat.Struct.Mol.Biol.2016;23(5):409-415
【非特許文献6】Urbizu and Beyer.Int J Mol Sci.2020 Jul;21(13):4718)
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターを含む組成物が本明細書に提供され、ウイルスベクターは、アミノ酸配列:AVVWGVTAV(配列番号1)またはAVVTGVTAV(配列番号2)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKK(配列番号3)またはRAVVTGVTAVAE(配列番号4)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)またはYGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、9~45アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、30~40アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、34アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、36アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、α-シヌクレインの残基68~78に結合することによって、α-シヌクレイン(配列番号8)凝集を阻害するペプチドをコードするコード配列を含むウイルスベクターを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAVベクターである。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV血清型1ベクター(AAV1)、AAV血清型2ベクター(AAV2)、AAV血清型1及び2ハイブリッドベクター(AAV1/2)、AAV血清型3ベクター(AAV3)、AAV血清型4ベクター(AAV4)、AAV血清型5ベクター(AAV5)、AAV血清型6ベクター(AAV6)、AAV血清型7ベクター(AAV7)、AAV血清型8ベクター(AAV8)、またはAAV血清型9ベクター(AAV9)である。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV1/2ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV8ベクター、またはAAV9ベクターである。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1/2ベクターである。
【0008】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、異種ペプチドタグをコードするコード配列を含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、ペプチドに連結される。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、調節配列を含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、調節配列は、プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、JCポリモウイルスプロモーター、血小板由来成長因子B鎖(PDGF-ベータ)プロモーター、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。いくつかの実施形態では、調節配列は、SV40初期エンハンサー/プロモーターエレメント、ハイブリッドCMVエンハンサー/PDGF-ベータプロモーターエレメント、またはハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターエレメントである。いくつかの実施形態では、調節配列は、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである。いくつかの実施形態では、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターは、配列番号9の核酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、転写後調節エレメントを含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、ウッドチャック転写後調節エレメントである。いくつかの実施形態では、ウッドチャック転写後調節エレメントは、配列番号10の核酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、足場付着領域配列を含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、足場付着領域配列は、配列番号12の核酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、ポリアデニル化シグナル配列を含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列である。いくつかの実施形態では、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル配列は、配列番号11の核酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、配列番号13または配列番号14の核酸配列を含むウイルスベクターを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターを含む組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるウイルスベクターを含む組成物のうちのいずれかを含むキットである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるキットは、組成物を含むプリロードシリンジをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり、AAVは、アミノ酸配列:AVVWGVTAV(配列番号1)またはAVVTGVTAV(配列番号2)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVは、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKK(配列番号3)またはRAVVTGVTAVAE(配列番号4)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVは、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)またはYGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)を含むペプチドをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、9~45アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、30~40アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、34アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、36アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるAAVは、α-シヌクレインの残基68~78に結合することによってα-シヌクレイン(配列番号8)凝集を阻害するペプチドをコードするコード配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるAAVは、AAV血清型1ベクター(AAV1)、AAV血清型2ベクター(AAV2)、AAV血清型1及び2ハイブリッドベクター(AAV1/2)、AAV血清型3ベクター(AAV3)、AAV血清型4ベクター(AAV4)、AAV血清型5ベクター(AAV5)、AAV血清型6ベクター(AAV6)、AAV血清型7ベクター(AAV7)、AAV血清型8ベクター(AAV8)、またはAAV血清型9ベクター(AAV9)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるAAVは、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV1/2ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV8ベクター、またはAAV9ベクターである。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1/2ベクターである。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるAAVは、異種ペプチドタグをコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、ペプチドに連結される。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグである。
【0019】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、調節配列を含む。いくつかの実施形態では、調節配列は、プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、JCポリモウイルスプロモーター、血小板由来成長因子B鎖(PDGF-ベータ)プロモーター、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。いくつかの実施形態では、調節配列は、SV40初期エンハンサー/プロモーターエレメント、ハイブリッドCMVエンハンサー/PDGF-ベータプロモーターエレメント、またはハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターエレメントである。いくつかの実施形態では、調節配列は、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである。いくつかの実施形態では、ハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターは、配列番号9の核酸配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、転写後調節エレメントを含む。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、ウッドチャック転写後調節エレメントである。いくつかの実施形態では、ウッドチャック転写後調節エレメントは、配列番号10の核酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、足場付着領域配列を含む。いくつかの実施形態では、足場付着領域配列は、配列番号12の核酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、ポリアデニル化配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列である。いくつかの実施形態では、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列は、配列番号11の核酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、AAVベクターは、配列番号13または配列番号14の核酸配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、対象における神経変性疾患を治療するための方法が本明細書に提供され、この方法は、有効量の本明細書に提供される組成物のいずれかまたはAAVベクターのいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチーである。いくつかの実施形態では、シヌクレイノパチーは、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、及び多系統萎縮症(MSA)からなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象においてα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を減少させるための方法であって、本明細書に提供される有効量の組成物のうちのいずれかまたはAAVベクターのうちのいずれかを対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチーである。いくつかの実施形態では、シヌクレイノパチーは、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、及び多系統萎縮症(MSA)からなる群から選択される。
【0026】
本明細書で提供される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、組成物またはAAVベクターは、非経口投与される。いくつかの実施形態では、組成物またはAAVベクターは、対象の中枢神経系に投与される。いくつかの実施形態では、組成物またはAAVベクターは、頭蓋内投与される。いくつかの実施形態では、組成物またはAAVベクターは、対象の黒質に投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞においてα-シヌクレイン(配列番号8)の凝集を阻害するペプチドを発現させる方法であって、本明細書に提供されるAAVベクターのうちのいずれかを哺乳動物細胞に導入することを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、ニューロンまたは神経膠細胞である。いくつかの実施形態では、その哺乳動物細胞は、ニューロンである。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物のうちのいずれかまたはAAVベクターのうちのいずれか、及び本明細書に提供される方法のいずれかを実施するための説明書を含むキットが提供される。
【0029】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸(例えば、アルファアミノ酸)、非天然アミノ酸、及び修飾アミノ酸を含む任意のアミノ酸を指す。「アミノ酸」という用語は、D-及びL-アミノ酸の両方を含む。非天然アミノ酸の非限定的な例には、β-アミノ酸、ホモ-アミノ酸、プロリン及びピルビン酸誘導体、3-置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換フェニルアラニン及びチロシン誘導体、線状コアアミノ酸、ならびにN-メチルアミノ酸が挙げられる。修飾アミノ酸は、アミノ基、カルボキシ基、側鎖官能基での反応から、またはヘテロ原子による任意の水素の置換から生じるアミノ酸であり得る。アミノ酸は、本明細書において、それらのフルネーム及び/またはそれらのIUPACの一文字略語によって言及される。
【0030】
「約」という用語への言及は、組成物の文脈において、同じ効果を達成することができる量の合理的な変動が可能であるという通常の意味を有し、また、本明細書では、提供された値のプラスまたはマイナス10%の値を指す。例えば、「約20」は、18~22を含む量を意味するかまたは含む。
【0031】
文脈によって別に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」とは、別途指示されない限り、複数の言及を含む。例えば、「賦形剤」とは、1つ以上の賦形剤を含む。
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面ならびに以下の記述で説明される。本発明の他の特性、目的、及び利点が、記述及び図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。方法及び材料は、本発明で使用するために本明細書に記載されている。当技術分野で知られている他の好適な方法及び材料も使用することができる。材料、方法、及び例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、α-シヌクレイン凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするウイルスベクターを提供する。α-シヌクレイン凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするウイルスベクターを使用して、対象におけるα-シヌクレイン凝集を阻害する方法も、本明細書で提供される。α-シヌクレインタンパク質は、疾患状態の神経細胞中のアミロイド沈着物に見られる140アミノ酸のタンパク質(配列番号8)であり、パーキンソン病、レビー小体型認知症、及び多系統萎縮症などのシヌクレイノパシーの病因において基本的な役割を果たす(例えば、Visanji et al.Transl Neurodegener.2019;8:28を参照のこと)。α-シヌクレインの異常沈着は、アルツハイマー病、純粋自律神経不全、レム睡眠行動障害など、他の様々な疾患でも観察されている(Bras et al.J Neurochem.2020;153(4):433-454)。したがって、本明細書に記載の方法は、例えば、α-シヌクレイン凝集が対象(例えば、ヒト)において、状態または疾患(例えば、神経変性疾患)の病理及び/または症状及び/または進行の一因となる状態または疾患を治療するために有用である。本開示は、α-シヌクレイン凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするウイルスベクターを使用して、本明細書に記載のウイルスベクターを含む組成物、及び開示されたペプチド阻害剤を、例えばそれを必要とする対象において発現させる方法も提供する。
【0034】
「α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチド」または「α-シヌクレイン凝集のペプチド阻害剤」は、以下の活性のうちの1つ以上を呈する任意のペプチドである:α-シヌクレイン凝集速度の減少、α-シヌクレイン凝集量の減少、α-シヌクレイン凝集の拡散の減少、α-シヌクレイン凝集の防止、α-シヌクレイン凝集の停止、α-シヌクレイン凝集の排除、α-シヌクレイン凝集体の毒性の低減及び/または排除、及びα-シヌクレイン凝集体の拡散の低減及び/または排除。
【0035】
播種、接続された組織に沿った病理学的タンパク質凝集体の連続移動、及び/またはα-シヌクレイン凝集体のプリオン様拡散は、神経変性疾患の進行及び重症度に寄与し得る。例えば、Braak病期分類は、接続された脳領域を介して時間とともに病状が徐々に広がることを示しており、細胞培養及び動物モデルは、少量のa-syn凝集体がシードとして作用し、ネイティブタンパク質の凝集を誘導できることを示している(例えば、Braak H,et al.(2003)Neurobiol Aging 24(2):197-211;Braak et al.(2009)Adv Anat Embryol Cell Biol 201:1-119;Masuda-Suzukake M,et al.(2013)Brain 136(4):1128-1138;Desplats P,et al.(2009)Proc Natl Acad Sci U S A 106(31):13010-13015;Luk KC,et al.(2009)Proc Natl Acad Sci 106(47):20051-20056を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターによって発現されるペプチドは、α-シヌクレインの凝集を阻害する。例えば、α-シヌクレインの凝集を阻害するペプチドは、ペプチドの非存在下で観察されるであろうα-シヌクレイン凝集と比較して、α-シヌクレインの凝集を約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上阻害できる。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、α-シヌクレイン凝集体の成長を「キャップ」し、α-シヌクレイン凝集体の拡散を防止する。
【0036】
細胞ベースのアッセイを使用して、ペプチドがα-シヌクレインの凝集体の播種及び/またはキャップ成長を防止できる効率を試験できる。例えば、内因性タンパク質凝集またはくぼみ形成は、細胞、例えばHEK293細胞におけるナノモル量のα-シヌクレインシードのトランスフェクション、及びα-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの投与後に測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、蛍光標識された(例えば、YFP標識された)α-シヌクレインを発現することができ、凝集は、蛍光イメージングによって監視することができる(例えば、Sanders DW,et al.(2014)Neuron 82(6):1271-1288及び米国特許出願公開第2019/0241613号を参照のこと)。In vitro凝集アッセイは、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの有効性を試験するためにも使用できる。例えば、組換え精製されたα-シヌクレインは、ペプチドの存在下で凝集することができ、凝集は、アミロイド結合色素であるチオフラビンTの蛍光を測定することによって監視することができる。いくつかの実施形態では、組織サンプル(例えば、PD患者からの組織サンプル)から抽出された不溶性タンパク質凝集体を使用して、in vitro及びin vivoモデル中でα-シヌクレイン凝集を播種することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVWGVTAV(配列番号1)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVWGVTAV(配列番号1)である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVTGVTAV(配列番号2)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVTGVTAV(配列番号2)である。配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列である、またはそれらを含むペプチドは、シーディングコンピテント凝集体の形成を防止し、フィブリルシードをキャップし、それらの伸長を防止することが示されている(例えば、米国特許出願公開第2019/0241613号)。
【0038】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、α-シヌクレインのNACore(残基68~78)に結合する。NACoreは、アミロイド沈着物に見られる35残基のNAC(非アミロイド3コンポーネント)ドメイン内にある(Rodriguez J A,et al.(2015)Nature 525(7570):486-490)。NACoreは、容易に凝集し、凝集体は、完全長α-synと同様の回折パターン及び細胞毒性などの特性を提示する(例えば、米国特許出願公開第2019/0241613号を参照)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターによってコードされるペプチドは、α-シヌクレインの残基68~78に結合することによってα-シヌクレイン凝集を阻害する。α-シヌクレインの残基47~56は、「PreNAC」と呼ばれ、凝集体の形成にもつながり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、約9~約45アミノ酸長である。例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、約9~約15、約9~約20、約9~約25、約9~約30、約9~約35、約9~約40、約40~約45、約35~約45、約30~約45、約25~約45、約20~約45、または約15~約45アミノ酸長であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約25~約35、約30~約40、または約35~約45アミノ酸長である。例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40アミノ酸長であり得る。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、34アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、36アミノ酸長である。
【0040】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、異種ペプチドタグを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドの自己凝集の防止、ペプチドの溶解度の増加、ペプチドの監視の促進、またはそれらの組み合わせを助けることができる。そのような異種ペプチドタグの非限定的な例としては、TATタグ、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、ポリLysタグ、GSTタグ、GFPタグ、ポリHisタグ、V5タグ、Mycタグ、及びFLAGタグが挙げられる。表1の例示的な異種ペプチドタグの例示的な配列を参照のこと。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、HAタグである。
【表1】
【0041】
いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドのN末端にある。いくつかの実施形態では、異種ペプチドタグは、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドのC末端にある。
【0042】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、アミノ酸配列:AVVWGVTAV(配列番号1)またはGAVVWGVTAVKK(配列番号3)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVWGVTAV(配列番号1)またはGAVVWGVTAVKK(配列番号3)である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、アミノ酸配列:AVVTGVTAV(配列番号2)またはRAVVTGVTAVAE(配列番号4)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVTGVTAV(配列番号2)またはRAVVTGVTAVAE(配列番号4)である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、N末端またはC末端のいずれかに、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドに対する1つ以上の異種ペプチドタグ(例えば、表1の異種ペプチドタグのうちのいずれか)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ポリLysタグを含む。例えば、いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKKKKK(配列番号5)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、GAVVWGVTAVKKKKK(配列番号5)である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、TATタグを含む。例えば、いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、アミノ酸配列:GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、アミノ酸配列:YGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、YGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE(配列番号7)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含む。例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のモノマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された4つのモノマーを含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドモノマーは、配列AVVWGVTAV(配列番号1)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドモノマーは、配列GAVVWGVTAVKK(配列番号3)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドモノマーは、配列GAVVWGVTAVKKKKK(配列番号5)を含む。ここで、いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドモノマーは、配列GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)を含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、AVVWGVTAV(配列番号1)、GAVVWGVTAVKK(配列番号3)、GAVVWGVTAVKKKKK(配列番号5)、及びGAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)からなる群から選択される4つの同一のモノマーを含む。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された4つのモノマーを含み、ペプチドモノマーは、配列AVVWGVTAV(配列番号1)、GAVVWGVTAVKK(配列番号3)、GAVVWGVTAVKKKKK(配列番号5)、またはGAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ(配列番号6)を含むモノマーから個々に選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、リンカーは、以下の群:gggggaggtggctctggtggcggagggtca(配列番号22)、ggaggcggtgggagcggtgggggaggtagt(配列番号23)、ggtggggggggaagtggagggggtggctct(配列番号24)、ggtggtggaggatctgggggcggtggttct(配列番号25)、及びそれらの組み合わせから選択される配列を有する核酸によってコードされる。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドリンカーは、すべて同一である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドリンカーのうちの2つ、3つ、または4つは、同一である。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドは、ペプチドリンカーによって分離された2つ以上のモノマーを含み、ここで、ペプチドリンカーは、すべて同一ではない。
【0045】
ウイルスベクター
α-シヌクレイン凝集を阻害する1つ以上のペプチド(例えば、本明細書に記載のペプチドのいずれか)をコードするウイルスベクターが本明細書に提供される。本明細書で言及する「ウイルスベクター」という用語は、適切な制御エレメントと会合したときに複製可能であり、細胞間で遺伝子配列を伝達できる任意のウイルス遺伝エレメントを含む。いくつかの実施形態では、有用なベクターは、転写される核酸セグメントがプロモーターの転写制御下に位置するベクターであることが企図される。ウイルスベクターは、例えば、発現のために十分なシス作用エレメントを含むことができる。発現のための他のエレメントは、宿主哺乳動物細胞によって、またはin vitro発現系において供給され得る。ウイルスベクターとしては、これらに限定されないが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスベクター、アルファウイルスベクター、フラビウイルスベクター、ラブドウイルスベースのベクター、及びキメラウイルスベクターなど、当技術分野で知られているすべてのベクターが挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、AAVベクターである(例えば、Asokan et al.,Mol.Ther.20:699-7080,2012を参照のこと)。「組換えAAVベクター」または「rAAV」は、典型的には、最低でも導入遺伝子またはその一部及び調節配列、ならびに任意により5’及び3’AAV逆方向末端リピート(ITR)から構成される。そのような組換えAAVベクターは、キャプシドにパッケージ化され、選択された標的細胞(例えば、神経細胞または神経膠細胞)に送達され得る。ベクターのAAV配列は、典型的には、シス作用性5’及び3’逆方向末端リピート配列を含む(例えば、B.J.Carter,「Handbook of Parvoviruses」,ed.,P.Tijsser,CRC Press,pp.155 168(1990)を参照のこと)。ITR配列は、約145~約210ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、ITRをコードする実質的に全配列が分子内で使用されるが、これらの配列のある程度の軽微な修飾は、許容される。これらのITR配列を修飾する能力は、当業者の範囲内である(例えば、Sambrook et al.「Molecular Cloning.A Laboratory Manual」,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);及びK.Fisher et al.,J Virol.,70:520 532(1996)を参照のこと)。本発明で使用されるそのような分子の例は、導入遺伝子を含む「シス作用性」プラスミドであり、この中で、選択された導入遺伝子配列及び会合している調節エレメントが、5’及び3’AAV ITR配列に隣接している。AAV ITR配列は、現在同定されている哺乳動物AAV型などの任意の既知のAAVから得ることができる。
【0047】
AAVベクターの非限定的例としては、AAV血清型1ベクター(AAV1)、AAV血清型2ベクター(AAV2)、AAV血清型1及び2ハイブリッドベクター(AAV1/2)、AAV血清型3ベクター(AAV3)、AAV血清型4ベクター(AAV4)、AAV血清型5ベクター(AAV5)、AAV血清型6ベクター(AAV6)、AAV血清型7ベクター(AAV7)、AAV血清型8ベクター(AAV8)、またはAAV血清型9ベクター(AAV9)が挙げられる。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1ベクター、AAV2ベクター、AAV1/2ベクター、AAV4ベクター、AAV5ベクター、AAV8ベクター、またはAAV9ベクターである。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV1/2ベクターである。
【0048】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)は、約10kb以下のヌクレオチドの総数を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、約1kb~約2kb、1kb~約3kb、約1kb~約4kb、約1kb~約5kb、約1kb~約6kb、約1kb~約7kb、約1kb~約8kb、約1kb~約9kb、約1kb~約10kb、約2kb~約3kb、約2kb~約4kb、約2kb~約5kb、約2kb~約6kb、約2kb~約7kb、約2kb~約8kb、約2kb~約9kb、約2kb~約10kb、約3kb~約4kb、約3kb~約5kb、約3kb~約6kb、約3kb~約7kb、約3kb~約8kb、約3kb~約9kb、約3kb~約10kb、約4kb~約5kb、約4kb~約6kb、約4kb~約7kb、約4kb~約8kb、約4kb~約9kb、約4kb~約10kb、約5kb~約6kb、約5kb~約7kb、約5kb~約8kb、約5kb~約9kb、約5kb~約10kb、約6kb~約7kb、約6kb~約8kb、約6kb~約9kb、約6kb~約10kb、約7kb~約8kb、約7kb~約9kb、約7kb~約10kb、約8kb~約9kb、約8kb~約10kb、または約9kb~約10kbの範囲のヌクレオチドの総数を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、約6kb~約7kbのヌクレオチドの総数を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、約6.5kbのヌクレオチドの総数を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクター(例えば、AAVベクター)は、ウイルスベクターでトランスフェクトされた細胞、またはウイルスベクターを含むウイルスに感染した細胞で、その転写、翻訳、及び/または発現を可能にする方法で、導入遺伝子に操作可能に連結された1つ以上の調節配列(例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドをコードする核酸、例えば、本明細書に記載のペプチドのいずれか)も含む。「調節配列」という用語は、調節配列に操作可能に連結された遺伝子産物の発現を調節する核酸配列を指す。宿主細胞中での遺伝子発現に必要な調節配列の正確な性質は、種、組織、または細胞型によって異なり得るが、一般に、必要に応じて、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、エンハンサーエレメントなど、転写及び翻訳の開始にそれぞれ関与する5’非転写及び5’非翻訳配列を含める必要がある。そのような5’非転写調節配列は、操作可能に連結された遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むことができる。本明細書に記載のウイルスベクターはまた、必要に応じて、エンハンサー配列、ハイブリッドエンハンサー/プロモーター配列、及び上流アクチベーター配列などの調節配列を含むことができる。例えば、Powell et al.Discov Med.2015;19(102):49-57及びHagedorn et al.Hum Gene Ther.2017;28(12):1169-1179を参照のこと。本明細書に記載のウイルスベクターは、5’リーダーまたはシグナル配列を任意に含むことができる。適切なベクターの選択及び設計は、当業者の能力及び裁量の範囲内である。
【0050】
本明細書で使用される場合、核酸配列(例えば、コード配列)及び調節配列は、核酸配列の発現または転写を調節配列の影響下または制御下に置くような方法で、それらが共有結合により連結されている場合、「操作可能に」連結されていると言われる。核酸配列が機能性タンパク質またはペプチドに翻訳されることが望ましい場合、5’調節配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす場合、2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらさない、(2)コード配列の転写を指示するプロモーター領域の能力を妨害しない、または(3)対応するRNA転写産物がタンパク質に翻訳される能力を妨害しない場合、2つのDNA配列が操作可能に連結されていると言われる。したがって、得られた転写産物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得るように、プロモーター領域がそのDNA配列の転写に影響を与えることができた場合、プロモーター領域は、核酸配列に操作可能に連結されるであろう。同様に、2つ以上のコード領域は、共通のプロモーターからのそれらの転写がインフレームで翻訳された2つ以上のタンパク質の発現をもたらすような方法で連結される場合、操作可能に連結される。
【0051】
「プロモーター」という用語は、ポリペプチドをコードする核酸配列の転写を増加させることができるポリペプチド(例えば、本明細書に記載のペプチド、例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチド)をコードする核酸配列に操作可能に連結されている核酸配列を指す。「操作可能に配置された」、「制御下にある」または「転写制御下にある」という語句は、プロモーターが、核酸に対して正しい位置及び配向にあり、RNAポリメラーゼの開始及び遺伝子の発現を制御することを意味する。
【0052】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターである。構成的プロモーターの非限定的な例としては、レトロウイルスのラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意でRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意でCMVエンハンサーを伴う)(例えば、Boshart et al.Cell.1985;41:521-530)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、及びEF1αプロモーター(Invitrogen)が挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーターである。誘導性プロモーターにより、遺伝子発現の調節が可能になり、これらは、限定するものでないが、外因的に供給された化合物、温度などの環境要因、または急性期、細胞の特定の分化状態または細胞の複製のみなどの特定の生理学的状態の存在など、様々な条件によって調節することができる。誘導性プロモーター及び誘導性系は、これらに限定されないが、Invitrogen、Clontech、及びAriadなど、様々な商業的供給源から入手可能である。多くの他の系が記載されており、当業者は容易に選択することができる。外因的に供給される化合物によって調節される誘導性プロモーターの非限定的な例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系(WO98/10088);エクジソン昆虫プロモーター(No et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1996;93:3346-3351)、テトラサイクリン抑制系(Gossen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995;89:5547-5551)、テトラサイクリン誘導系(Gossen et al.Science,1995;268:1766-1769)、Harvey et al.Curr.Opin.Chem.Biol.,1998;2:512-518)も参照)、RU486誘導系(Wang et al.Nat.Biotech.,1997;15:239-243及びWang et al.Gene Then,1997;4:432-441)及びラパマイシン誘導系(Magari et al.J.Clin.Invest.1997;100:2865-2872)が挙げられる。この文脈において有用であり得るある種の誘導性プロモーターは、特定の生理学的状態、例えば温度、急性期、細胞の特定の分化状態、または細胞の複製のみによって調節されるものである。
【0054】
いくつかの実施形態では、調節配列は、組織特異的遺伝子発現能力を付与する。そのような組織特異的調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、組織特異的調節配列は、組織特異的プロモーターである。「組織特異的」プロモーターという用語は、遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドに操作可能に連結された場合に、細胞が、プロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ実質的に細胞内で遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列を指す。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは、組織特異的方法で転写を誘導する組織特異的転写因子を結合する。組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、肝臓特異的チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、インスリンプロモーター、グルカゴンプロモーター、ソマトスタチンプロモーター、膵臓ポリペプチド(PPY)プロモーター、シナプシン-1(Syn)プロモーター、クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、哺乳動物デスミン(DES)プロモーター、α-ミオシン重鎖(α-MHC)プロモーター、または心筋トロポニンT(cTnT)プロモーターが挙げられる。
【0055】
本明細書で提供される材料及び方法に従って使用できる他の例示的なプロモーターとしては、β-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモーター、GUSB最小プロモーター(hGBp)、メチルCpG結合タンパク質-2(MECP2)プロモーター、ヒトデスミン(DES)プロモーター、ヒトチロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、HNRPA2B1-CBX3(UCOE)のプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、合成筋肉プロモーターC5-12、ヒトα(1)アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、ヒトEFlaプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,168,062号)、ヒトユビキチンC(UBC)プロモーター、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター、ポリオーマアデノウイルスプロモーター、サルウイルス40(SV40)プロモーター、β-グロビンプロモーター、β-アクチンプロモーター、γ-グロビンプロモーター、β-インターフェロンプロモーター、γ-グルタミルトランスフェラーゼプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ラットインスリンプロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、メタロチオネインII(MT II)プロモーター、アミラーゼプロモーター、カテプシン、MIムスカリン受容体プロモーター、レトロウイルスLTR(例えば、ヒトT細胞白血病ウイルスHTLV)プロモーター、AAV ITRプロモーター、インターロイキン-2プロモーター、コラゲナーゼプロモーター、血小板由来成長因子プロモーター、アデノウイルス5 E2プロモーター、ストロメリシン、マウスMX遺伝子プロモーター、グルコース調節タンパク質(GRP78及びGRP94)プロモーター、α-2-マクログロブリンプロモーター、ビメンチンプロモーター、MHCクラスI遺伝子Η-2κ bプロモーター、HSP70プロモーター、プロリフェリン、腫瘍壊死因子プロモーター、甲状腺刺激ホルモンa遺伝子プロモーター、免疫グロブリン軽鎖プロモーター、T細胞受容体プロモーター、HLA DQa及びDQPプロモーター、インターロイキン-2受容体プロモーター、MHCクラスIIプロモーター、MHCクラスII HLA-DRaプロモーター、筋肉クレアチンキナーゼプロモーター、プレアルブミン(トランスサイレチン)プロモーター、エラスターゼIプロモーター、アルブミン遺伝子プロモーター、c-fosプロモーター、c-HA-rasプロモーター、神経細胞接着分子(NCAM)プロモーター、H2B(TH2B)ヒストンプロモーター、ラット成長ホルモンプロモーター、ヒト血清アミロイド(SAA)プロモーター、トロポニンI(TN I)プロモーター、デュシェンヌ型筋ジストロフィープロモーター、ヒト免疫不全ウイルスプロモーター、テナガザル白血病ウイルス(GALV)プロモーター、骨オステオカルシンプロモーター、骨シアロタンパク質プロモーター、B型肝炎ウイルスコアプロモーター、CD2プロモーター、免疫グロブリン重鎖プロモーター;T細胞受容体α鎖プロモーター、非ニューロン性グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター、ならびに神経細胞プロモーター、例えば、hSyn、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子プロモーター、ニューロン特異的vgf遺伝子プロモーター、mGluR2プロモーター、NFLプロモーター、NFHプロモーター、nβ2プロモーター、PPEプロモーター、Enkプロモーター、興奮性アミノ酸輸送体2(EAAT2)プロモーター、及びCaMKIIプロモーターが挙げられる。例えば、Sandig et al.,Gene Then,3:1002-9(1996);Arbuthnot et al.,Hum.Gene Ther.,7:1503-14(1996);Stein et al.,Mol.Biol.Rep.,24:185-96(1997);Chen et al.,J.Bone Miner.Res.,11:654-64(1996);Hansal et al.,J.Immunol.,161:1063-8(1998);Andersen et al.,Cell.Mol.Neurobiol.,13:503-15(1993);Piccioli et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:5611-5(1991);Piccioli et al.,Neuron,15:373-84(1995);及びLodish,Molecular Cell Biology,Freeman and Company,New York 2007を参照のこと。
【0056】
プロモーターのさらなる非限定的な例としては、JCポリモウイルスプロモーター、血小板由来成長因子B鎖(PDGF-ベータ)プロモーター、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(例えば、Doll et al.Gene Ther.1996;3(5):437-47を参照のこと)が挙げられる。プロモーターの追加の例は、当技術分野で知られている。
【0057】
「エンハンサー」という用語は、目的のタンパク質(例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチド)をコードする核酸の転写レベルを上昇させることができるヌクレオチド配列を指す。エンハンサー配列は、典型的には、50~1500塩基対長であり、一般に、転写関連タンパク質(例えば、転写因子)に追加の結合部位を提供することにより、転写のレベルを高める。いくつかの実施形態では、エンハンサー配列は、イントロン配列内に見出される。エンハンサー配列は、典型的には、プロモーターが可能であるよりも転写開始部位からはるかに離れた距離で(例えば、プロモーターと比較して)、作用することができる。エンハンサーの非限定的な例としては、RSVエンハンサー、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーが挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、調節配列は、SV40初期エンハンサー/プロモーター、ハイブリッドCMVエンハンサー/PDGF-ベータプロモーター、またはハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである。いくつかの実施形態では、調節配列は、配列番号9の核酸配列を有するかまたは含むハイブリッドCMVエンハンサー/CBAプロモーターである。
【0059】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、転写後調節配列を含む。転写後調節配列の非限定的な例としては、B型肝炎ウイルス転写後調節配列及びウッドチャック転写後調節配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、ウッドチャック転写後調節配列は、配列番号10の核酸配列を有するかまたはこれを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターのいずれも、ポリアデニル化(ポリ(A))配列を含むことができる。「ポリアデニル化」とは、本明細書ではポリアデニル部分またはその修飾バリアントのメッセンジャーRNA分子への共有結合による連結を指す。
【0061】
真核生物では、ほとんどのメッセンジャーRNA(mRNA)分子が3’末端でポリアデニル化されている。3’ポリ(A)テールは、酵素であるポリアデニル酸ポリメラーゼの作用によってプレmRNAに付加されたアデニンヌクレオチド(多くの場合、数百)の長い配列である。高等真核生物では、ポリ(A)テールは、特定の配列であるポリアデニル化シグナルを含む転写産物に付加される。ポリ(A)テール及びそれに結合したタンパク質は、エキソヌクレアーゼによる分解からmRNAを保護する補助となる。ポリアデニル化は、転写終結、核からのmRNAのエクスポート、及び翻訳にも重要である。ポリアデニル化は、DNAがRNAに転写された直後に核内で発生し得るが、その後細胞質内でも発生し得る。転写の終結後、mRNA鎖は、RNAポリメラーゼに関連するエンドヌクレアーゼ複合体の作用によって切断される。切断部位は、通常、切断部位の近くに塩基配列AAUAAAが存在することを特徴とする。mRNAの切断後、アデノシン残基が切断部位の遊離3’末端に付加される。
【0062】
本明細書で使用される「ポリアデニル化シグナル配列」または「ポリ(A)シグナル配列」は、mRNAのエンドヌクレアーゼ切断及び切断されたmRNAの3’末端への一連のアデノシンの付加の引き金となる配列である。タンパク質をコードする導入遺伝子核酸を含むAAVベクターの場合、ポリアデニル化配列は、一般に、導入遺伝子配列の後、及び3’AAV ITR配列の前に挿入される。いくつかの実施形態では、ポリ(A)シグナル配列は、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドのC末端をコードする核酸配列の3’側に位置する。
【0063】
ウシ成長ホルモン(bgh)(Woychik et al.,Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.81(13):3944-3948,1984;米国特許第5,122,458号)、ヒト成長ホルモン(hGH)、マウス-β-グロビン、マウス-α-グロビン(Orkin et al.,EMBO J.4(2):453-456,1985;Thein et al.,Blood7\(2):3\3-3\9,1988)、ヒトコラーゲン、ポリオーマウイルス(Batt et al.,Mol.Cell Biol.15(9):4783-4790,1995)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV TK)、IgG重鎖遺伝子ポリアデニル化シグナル(US2006/0040354)、ヒト成長ホルモン(hGH)(Szymanski et al.,Mol.Therapy 15(7):1340-1347,2007)のほか、SV40後期及び初期ポリ(A)シグナル配列などのSV40ポリ(A)シグナル配列 (Schek et al.,Mol. Cell Biol.12(12):5386-5393,1992)からなる群に由来するものなど、本明細書に記載のベクターで使用できるいくつかのポリ(A)シグナル配列がある。いくつかの実施形態では、ポリ(A)シグナル配列は、配列AATAAAである。AATAAA配列は、ATTAAA、AGTAAA、CATAAA、TATAAA、GATAAA、ACTAAA、AATATA、AAGAAA、AATAAT、AAAAAA、AATGAA、AATCAA、AACAAA、AATCAA、AATAAC、AATAGA、AATTAA、またはAATAAG(例えば、WO06/12414を参照)など、ポリアデニル化をシグナル伝達できるAATAAAと相同な他のヘキサヌクレオチド配列で置換できる。いくつかの実施形態では、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列は、配列番号11の核酸配列を有するかまたは含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリ(A)シグナル配列は、合成ポリアデニル化部位であり得る(例えば、PromegaのpCl-neo発現ベクター(Levitt el al,Genes Dev.3(7):1019-1025,1989に基づく)。いくつかの実施形態では、ポリ(A)シグナル配列は、可溶性ニューロピリン-1(s RP)(AAATAAAATACGAAATG)のポリアデニル化シグナルである(例えば、WO05/073384を参照)。ポリ(A)シグナル配列のさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のベクターは、ポリ(A)シグナル配列の上流に配置される上流エンハンサーエレメント(USE)をさらに含むことができる。そのような使用の非限定的な例としては、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)USE、SV40後期2xUSE、ジリス肝炎ウイルス(GHV)USE、アデノウイルス(L3)USE、ヒトプロトロンビン(hTHGB)USE、及びヒトC2補体遺伝子(hC2)USEが挙げられる。
【0066】
本開示において有用なAAV構築物はまた、例えばプロモーター/エンハンサー配列と導入遺伝子との間に位置するイントロンを含み得る。例えば、Powell et al.Discov Med.2015;19(102):49-57を参照されたい。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるウイルスベクターのいずれも、足場付着領域(SAR)を含むことができる。本明細書で使用される場合、「足場付着領域」は、核足場の1つ以上の成分に特異的に結合するATリッチDNA配列を指す。Boulikas,J.Cell.Biochem.52:14(1993)を参照のこと。
【0068】
いくつかの実施形態では、SARは、配列番号12の核酸配列を有するかまたは含む。
【0069】
使用され得る別のベクターエレメントは、内部リボソーム侵入部位(IRES)である。IRES配列は、単一の遺伝子転写産物から複数のポリペプチドを産生するために使用する。IRES配列は、複数のポリペプチド鎖を含むタンパク質を産生するために使用する。これら及び他の一般的なベクターエレメントの選択は従来どおりであり、多くのそのような配列が利用可能である(例えば、Sambrook et al.「Molecular Cloning.A Laboratory Manual」、2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989)、及びその中の引用文献、例えば、pages 3.18 3.26及び16.17 16.27及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,1989)。
【0070】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、配列番号13または配列番号14の核酸配列を有するかまたは含む。
【0071】
組成物
本明細書に記載のウイルスベクター(例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害する1つ以上のペプチドをコードするAAVベクター)を含む組成物も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)は、治療組成物が投与されるヒト対象の標的細胞において、α-シヌクレインペプチド阻害剤メッセンジャーRNAを発現することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスベクター(例えば、α-シヌクレイン凝集ペプチド阻害剤を発現することができるAAVベクター)は、医薬組成物中で製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の1つまたは複数のAAVベクターを、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含むことができる。
【0072】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、製剤に含まれる他の成分及び/またはそれを用いて治療されている哺乳動物と、化学的及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「担体」は、あらゆる全ての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤、緩衝剤、担体液、懸濁液、コロイドなどを含む。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で周知である。本明細書に記載の組成物に使用できる薬学的に許容される担体の非限定的な例としては、水、NaCl、生理食塩水、乳酸リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑剤、コーティング剤、甘味料、香味料、及び着色料、リポソーム、分散媒、マイクロカプセル、カチオン性脂質担体、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。担体はまた、製剤に安定性、滅菌性及び等張性を提供するため(例えば、抗微生物防腐剤、抗酸化剤、キレート剤及び緩衝剤)、微生物の作用を防止するため(例えば、抗微生物剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)、または製剤に食用フレーバーなどを提供するための物質であり得る。当業者は、他の薬学的担体が本開示において有用であることを認識するであろう。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース、またはデキストランなどの炭水化物;マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;抗酸化剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤も含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターのいずれも、天然及び/または合成ポリマーを使用して製剤化することができる。本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに含まれ得るポリマーの非限定的な例としては、これらに限定されないが、DYNAMIC POLYCONJUGATE(登録商標)(Arrowhead Research Corp.,Pasadena,Calif)、Minis Bio(Madison、Wis)及びRoche Madison(Madison、Wis)の製剤、PhaseRX ポリマー製剤、例えば、限定するものではないが、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(登録商標)(PhaseRX,Seattle,Wash)、DMRI/DOPE、ポロキサマー、VAXFECTIN(登録商標)アジュバント(Vical(San Diego,Calif))、キトサン、シクロデキストリン(Calando Pharmaceuticals(Pasadena, Calif))、デンドリマー及びポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)ポリマー、RONDEL(商標)(RNAi/オリゴヌクレオチドナノ粒子送達)ポリマー(Arrowhead Research Corporation,Pasadena,Calif)、及びpH応答性コブロックポリマー、例えば、これに限定されないが、PhaseRX(Seattle,Wash.)製のものなどを挙げることができる。これらのポリマーの多くは、in vivoでオリゴヌクレオチドを哺乳動物細胞に送達する際の有効性を実証している(例えば、deFougerolles,Human Gene Ther.19:125-132,2008;Rozema et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.104:12982-12887,2007;Rozema et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.104:12982-12887,2007;Hu-Lieskovan et al.,Cancer Res.65:8984-8982,2005;Heidel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.104:5715-5721,2007を参照されたい)。
【0076】
補助的活性化合物も、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかに組み込むことができる。
【0077】
溶液は、製剤化時に、剤形と適合した様式により、治療上有効な量で、投与され得る。製剤は、注射用溶液、注射用ゲル、薬物放出カプセルなど、様々な剤形で容易に投与することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、非経口投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、頭蓋内投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、静脈内投与用に製剤化される。例えば、Lykken et al.J Neurodev Disord.2018;10(1):16を参照のこと。
【0079】
注射用途に好適な医薬製剤としては、これらに限定されないが、滅菌注射溶液または滅菌分散液を即時調製するための滅菌水溶液または滅菌分散液及び滅菌粉末が挙げられる。分散液はまた、グリセロール、液状ポリエチレングリコール及びこれらの混合物中、及び油中で調製することができる。これらの調製物は、通常の保存条件及び使用条件下で、微生物の発育を阻止するための保存剤を含有し得る。全ての場合において、この製剤は、滅菌であり、注射容易性が存在する程度に流体である。いくつかの実施形態では、製剤は、製造及び保管の条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物及び/または植物油を含有する、溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことができる。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらされ得る。
【0080】
注射用水溶液を投与するために、この溶液は、必要に応じて好適に緩衝させることができ、液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水またはグルコースで等張にすることができる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内の投与に特に好適である。これに関連して、使用できる滅菌水性媒体は当業者に知られている。例えば、1用量を1mlの等張NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下注射液に添加するか、または提唱された注入部位に注射することができる(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」15th Edition,pages 1035-1038及び1570-1580を参照のこと)。宿主の状態に応じて、投与量の多少の変動に対応可能である。いずれにせよ、投与を担当する者が個々の宿主に適切な用量を決定する。
【0081】
滅菌注射溶液は、活性ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を、必要に応じて、本明細書に列挙された様々な他の成分と共に適切な溶媒中に必要量を組み込み、その後濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、滅菌された様々な有効成分を、基本的な分散媒と、上記の成分のうち必要とされる他の成分とを含有する無菌ビヒクル中に組み込むことにより調製することができる。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、その調製の好ましい方法は、予め滅菌濾過した溶液から有効成分と任意の所望の追加成分とを合わせた粉末が得られる、真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0082】
本明細書で開示される組成物は、中性形態または塩形態に製剤化され得る。薬学的に許容され得る塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれ、これは、例えば塩酸またはリン酸などの無機酸で、もしくは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデリン酸等の有機酸で形成される。遊離カルボキシル基で形成される塩もまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導され得る。溶液は、製剤化されたら、剤形と適合した様式により、治療上有効な量で、投与される。製剤は、注射液、薬物放出カプセル剤などの様々な剤形で容易に投与される。
【0083】
リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、ベシクルなどの送達ビヒクルを、本発明の組成物を好適な宿主細胞に導入するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターは、脂質粒子、リポソーム、ベシクル、ナノスフェア、またはナノ粒子などにカプセル化された送達用に製剤化することができる。リポソームの形成及び使用は、一般に当業者に知られている。最近、血清安定性及び循環半減期が改善されたリポソームが開発された(米国特許第5,741,516号)。さらに、潜在的な薬物担体としてのリポソーム及びリポソーム様調製物の様々な方法が記載されている(米国特許第5,567,434号;5,552,157号;5,565,213号;5,738,868号及び5,795,587号)。
【0084】
リポソームは、通常は他の手順によるトランスフェクションに耐性がある複数の細胞型でうまく使用されている。さらに、リポソームには、ウイルスベースの送達系に典型的なDNA長の制約はない。リポソームは、遺伝子、薬物、放射線治療剤、ウイルス、転写因子、及びアロステリックエフェクターを様々な培養細胞株及び動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソーム媒介薬物送達の有効性を調べるいくつかの成功した臨床試験が完了した。リポソームは、水性媒体に分散しているリン脂質から形成され、自発的に多重膜同心二重層小胞(多重膜小胞(MLV)とも呼ばれる)を形成する。
【0085】
キット
本明細書に記載の組成物のいずれかを含むキットも本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、固体組成物(例えば、本明細書に記載のベクターを含む凍結乾燥組成物)及び凍結乾燥組成物を可溶化するための液体を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかを含むプリロードシリンジを含むことができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかを含むバイアルを含む(例えば、水性組成物、例えば水性医薬組成物として製剤化される)。
【0087】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のうちのいずれかを実施するための説明書を含むことができる。
【0088】
方法
治療有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを哺乳動物(例えば、ヒト)の細胞(例えば、神経細胞または神経膠細胞)に導入する方法も本明細書に提供される。哺乳動物(例えば、ヒト)の細胞(例えば、神経細胞または神経膠細胞)中での、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチド(例えば、本明細書に記載のα-シヌクレイン凝集阻害ペプチドのうちのいずれか)を発現させる方法も提供され、本方法は、治療有効量の本明細書に記載のウイルスベクターのうちのいずれかを哺乳動物の中枢神経系に導入することを含む。本明細書に記載の組成物またはウイルスベクター(例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドをコードする組成物またはウイルスベクター)のうちのいずれかを細胞に導入する方法のいくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの発現は、例えば、参照細胞(例えば、組成物またはウイルスベクターが導入されていない参照細胞)におけるα-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの発現と比較して、細胞内で増加した。いくつかの実施形態では、参照細胞は、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドを発現しないか、またはα-シヌクレイン凝集を阻害する、検出可能な量のペプチドを発現しない。
【0089】
対象(例えば、ヒト)における神経変性疾患を治療する方法が提供され、本方法は、治療有効量の、本明細書に記載の組成物またはウイルスベクター(例えば、AAVベクター、例えば、α-シヌクレイン凝集、例えば、本明細書に記載のα-シヌクレイン凝集のうちのいずれかを阻害するペプチドをコードするAAVベクター)のうちのいずれかを対象の中枢神経系へ投与することを含む。また、それを必要とする対象においてα-シヌクレイン凝集を減少させるための方法も提供され、本方法は、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクター(例えば、AAVベクター、例えば、α-シヌクレイン凝集、例えば、本明細書に記載のα-シヌクレイン凝集のうちのいずれかを阻害するペプチドをコードするAAVベクター)のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0090】
対象の「治療」または「療法」とは、疾患(例えば、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチー)に関連する症状、合併症、状態、または生化学的徴候の発生、進行、発症、重症度、または再発を逆転する、緩和させる、改善する、阻害する、または遅らせる目的で、対象に対して行われる任意の種類の介入またはプロセス、または対象への活性剤の投与を指す。いくつかの実施形態では、「治療」は、障害の1つ以上の症状の軽減及び/または障害に関連する1つ以上の症状の重症度を低下させることなど、特定の障害(例えば、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチー)を取り除くことを含む。
【0091】
「対象」には、任意のヒト動物または非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語には、これらに限定されないが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌなどの脊椎動物、及びマウス、ラット、及びモルモットなどのげっ歯類が含まれる。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0092】
治療剤の「有効量」または「治療有効量」は、単独で、または1つ以上の追加の治療法と組み合わせて使用した場合に、障害(例えば、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチー)の発症を遅らせる、または障害症状の重症度の低下によって明らかにされる障害の退行を促進する、障害の無症状期間の頻度を増加させ、その期間を延長する、または障害の苦痛による機能障害もしくは不能を改善する、剤の任意の量である。疾患の退行を促進する1つ以上の追加の治療法の能力は、臨床試験中のヒト対象、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系など、当業者に知られている様々な方法を使用して、またはin vitroアッセイで剤の活性をアッセイすることによって評価することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターまたはそのウイルスベクターを含む組成物のうちのいずれかの有効量は、ウイルスベクターまたは組成物が対象に投与された場合、対象の目的の領域(例えば、黒質または被殻)に広がるのに十分である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターまたはウイルスベクターを含む組成物のうちのいずれかの有効量は、脳あたりのゲノム粒子(gp/脳、例えばgp/ヒト脳)で測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターまたはウイルスベクターを含む組成物のうちいずれかの有効量は、約1x10、約2x10、約3x10、約4x10、約5x10、約6x10、約7x10、約8x10、約9x10、約1.0x1010、約1.1x1010、約1.2x1010、約1.3x1010、約1.4x1010、約1.5x1010、約1.6x1010、約1.7x1010、約1.8x1010、約1.9x1010、約2.0x1010、または約3.0x1010gp/脳である。
【0093】
本明細書で使用する場合、「投与すること」または「投与」とは、本明細書に記載のまたは当業者に知られている様々な方法及び送達系のうちのいずれかを用いて、治療剤を対象に物理的に導入することを指す。投与経路としては、これらに限定されないが、頭蓋内、経口、静脈内、鼻腔内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば注射または注入(例えば、静脈内注入)を挙げることができる。また、投与は、例えば1回、複数回及び/または1つ以上の長い期間にわたって行うことができる。いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかが対象に1回のみ投与される。治療有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかが対象に1回のみ投与されるいくつかの実施形態では、ウイルスベクターでトランスフェクトされた細胞は、ウイルスベクターによってコードされるペプチド(例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチド、例えば、本明細書に記載のα-シヌクレイン凝集阻害ペプチドのうちのいずれか)を産生し続け、非分裂細胞のすべてにおいて、粒子は、その細胞(例えば、神経細胞または神経膠細胞)の生涯にわたって感染する。
【0094】
いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病またはシヌクレイノパチーである。シヌクレイノパチーの非限定的な例としては、レビー小体障害、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うPD(PDD)、純粋自律神経不全症(PAF)、及び多系統萎縮症(MSA)が挙げられる。
【0095】
本明細書に記載の組成物のうちのいずれかを哺乳動物細胞に導入するための本明細書に記載の、または当技術分野で知られている様々な方法のうちのいずれも、(例えば、ウイルスベクター、例えば、本明細書に記載のウイルスベクターのうちのいずれかの使用を介して)使用することができる。
【0096】
本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターの投与は、これらに限定されないが、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、移植またはトランスプラントなど、任意の簡便な方法で行うことができる。本明細書に記載の組成物は、頭蓋内に、経動脈的に、皮下に、皮内に、節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(iv)注射により、または腹腔内により、対象に投与され得る。一態様では、本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターは、頭蓋内注射によって患者に投与される。
【0097】
α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの発現及び/または活性を検出する方法は、当技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの発現レベルを直接検出することができる(例えば、ペプチドの検出またはペプチドをコードするmRNAの検出)。α-シヌクレイン凝集を直接阻害するペプチドの発現及び/または活性を検出するために使用できる技術の非限定的な例としては、リアルタイムPCR、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、免疫組織化学、または免疫蛍光が挙げられる。いくつかの実施形態では、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドの発現は、例えば、PDなどの神経変性疾患を監視する検査を介して、間接的に検出することができる。PDを監視する検査の非限定的な例は、運動動作緩慢、振戦、硬直、及び/または姿勢の不安定性を監視する検査である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物またはウイルスベクター(例えば、AAVベクター、例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドをコードするAAVベクター)のうちのいずれかの有効量を投与された対象は、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与されていない対象と比較して、PDまたは神経変性症状(例えば、動作緩慢、振戦、硬直、及び/または姿勢の不安定のうちの1つ以上)の減少を呈する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与された対象は、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与されていない対象と比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれ以上、減少する1つ以上の症状を呈する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与された対象は、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与されていない対象と比較して、PDまたは神経変性症状を呈さない。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクター(例えば、AAVベクター、例えば、α-シヌクレイン凝集を阻害するペプチドをコードするAAVベクター)のうちのいずれかを投与された対象は、組成物またはウイルスベクターの投与前に対象が呈した症状(複数可)と比較して、PDまたは神経変性症状(複数可)(例えば、動作緩慢、振戦、硬直、及び/または姿勢不安定のうちの1つ以上)の減少を呈する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与された対象は、組成物またはウイルスベクターの投与前に対象が呈した症状(複数可)と比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれ以上減少される1つ以上の症状(複数可)を呈する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載の組成物またはウイルスベクターのうちのいずれかを投与された対象は、組成物またはウイルスベクターの投与前に対象が呈した症状(複数可)と比較して、PDまたは神経変性症状(複数可)を呈さない。
【実施例
【0098】
本開示は、以下の実施例において更に説明されるが、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を制限するものではない。
【0099】
実施例1.AAVベクターの調製及びパッケージング
E.coli細胞の形質転換及びプラスミドDNAの調製
SUBCLONING EFFICIENCY(商標)DH5α(商標)コンピテントセルを形質転換に使用した。プラスミドの調製には、PURELINK(商標)HiPure Plasmid Maxiprep Kitを使用した。
【0100】
DH5α(商標)細胞を氷上で解凍した。細胞をピペットチップで穏やかに混合した。形質転換ごとに細胞50μLを、冷やした別の1.5mLマイクロ遠心チューブに分注した。1~5μLのプラスミドを細胞に加え、穏やかに混合した。チューブを氷上で30分間インキュベートした。チューブを37℃の水浴に5分間入れて、細胞に熱ショックを与えた。次いで、チューブを氷上に2分間置いた。予熱したLuria Broth(LB)培地250μLを添加し、チューブを37℃で30分間、撹拌せずにインキュベートした。各形質転換から20μL~200μLを、予熱したLBアンピシリン寒天プレートに広げた。プレートを37℃の細菌インキュベータで一晩インキュベートした。
【0101】
1つの細菌コロニーを選択し、コニカルフラスコに100μg/mLアンピシリンを添加した90mLのLBを無菌的に接種するために使用した。フラスコを細菌シェーカーに入れ、撹拌しながら37℃で一晩インキュベートした(シェーカーは、220rpmに設定)。
【0102】
翌日、細菌培養物を2本の50mLチューブに移した。細胞を、4℃で5分間、8,000xgで遠心分離することによりペレット化した。上清を細胞ペレットから注意深くデカントし、廃棄した。残りの上清を除去するために、チューブをペーパータオル上に数分間反転させた。RNaseAを含む5mLの再懸濁バッファー(R3)を各チューブに加え、ペレットを再懸濁させた。2本のチューブからの細胞懸濁液を合わせた。
【0103】
10mLの溶解バッファー(L7)をチューブに加え、蓋をしたチューブを数回静かに反転させ溶液を混合した。チューブを室温で5分間インキュベートした。10mLの沈殿バッファー(N3)を添加し、混合物が均一にみえるまで、蓋をしたチューブを数回反転させて溶液を穏やかに混合した。
【0104】
チューブを8,000xgで30分間、4℃で遠心分離した。沈殿物がいずれも移らないように、上清を注意深く清浄した50mLチューブに移した。HiPure maxiカラムは、30mLの平衡化バッファー(EQI)を適用して事前に平衡化した。重力流により溶液を排出させた。
【0105】
上清を平衡化カラムにロードした。カラム内の溶液は、重力流で通過させた。カラムを30mLの洗浄バッファー(W8)で2回洗浄した。重力流により溶液を排出させた。フロースルーは、廃棄した。カラムからプラスミドを溶出するために、滅菌50mLチューブをカラムの下に置き、15mLの溶出バッファー(E4)をカラムに加え、溶液を重力流で排出させた。溶出液にイソプロパノール10.5mLを添加した。溶出液を十分に混合し、8,000xgで30分間、18℃で遠心分離した。上清を慎重に除去し、廃棄した。DNAペレットを0.4mL TEバッファーに再懸濁した。DNAを1.5mLマイクロ遠心チューブに移した。20μLの3M酢酸ナトリウム及び1mLの100%エタノールをチューブに加えた。溶溶液を十分に混合し、室温で3分間、17,000xgで遠心分離した。
【0106】
上清を除去し、廃棄した。DNAペレットを0.7mLの79%エタノールで洗浄した。チューブを室温で1分間、17,000xgで遠心分離した。上清を除去し、ペレットを10分間空気乾燥させた。次いで精製したDNAを200~500μLのTEバッファーに再懸濁した。プラスミドは、-20℃で保存した。
【0107】
HEK293細胞培養
完全DMEMを37℃まで加温した。凍結HEK293細胞を液体窒素貯蔵庫から取り出し、すぐにチューブを37℃の水浴に入れた。細胞を37℃の水浴で30~60秒間解凍した。チューブをクラスII生物学的安全キャビネットに移し、滅菌50mLコニカル遠心チューブ内の10mLの完全DMEMに細胞懸濁液を加えた。
【0108】
細胞を含んでいたクライオバイアルを1mLの完全DMEMですすぎ、細胞懸濁液に加えた。細胞懸濁液を300xgで20℃で5分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレット化した細胞を5mLの完全DMEMに穏やかにピペッティングしながら再懸濁した。細胞懸濁液を、35mLの完全DMEMを含むT175フラスコに移した。細胞は、37℃、5%COのインキュベータで成長させ、維持した。
【0109】
HEK293細胞は、約90%のコンフルエントまで成長したときに、3~4日ごとに分割した。細胞の新しいバッチが必要になる前に、細胞を20回継代してもよい。完全DMEM、1xPBS溶液、及びTrypLE Expressを37℃まで加温した。培養培地をフラスコから取り出し、廃棄した。20mLの1xPBSをフラスコに加え、フラスコを穏やかに前後に傾けて、細胞を洗浄した。PBS溶液を取り出し、廃棄した。
【0110】
5mLのTrypLE Expressを細胞に添加した。細胞を37℃で5~10分間インキュベートした。フラスコを穏やかに回転させて細胞を分離させた。完全DMPEM5mLをフラスコに加えた。細胞懸濁液をフラスコから50mL滅菌コニカル遠心チューブに移した。チューブを300xg、20℃で5分間遠心分離した。
【0111】
上清を廃棄し、チューブの側面を軽く叩くことによって、細胞ペレットをほぐした。細胞を8mL(3日サイクル)または10mL(4日サイクル)の完全DMEMに再懸濁し、穏やかに混合した。1mLの細胞懸濁液を、35mLの完全DMEMを含有する新しいT175フラスコに移した。すなわち、3日間の培養期間では継代培養比1:8、または4日間の培養期間では継代培養比1:10である。細胞を37℃、5%COのインキュベータに戻した。
【0112】
細胞播種
1日目に、HEK293細胞(ヒト胎児腎細胞293)を5x15cm組織培養皿に播種した。これは、rAAVの単一の300μLバッチに十分であった。1つの90%コンフルエントT175フラスコ内の細胞数は、3.5~4.0x15cmプレート(約15x10~20x10細胞/プレートのプレーティング密度)に播種するのに十分であり、これにより、トランスフェクションの時間に、コンフルエンシー70%が達成された。上記のように細胞を分離し、T175フラスコから回収した。
【0113】
回収した細胞ペレットを適切な量の完全ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に再懸濁して、1x15cm皿/mLを生成するのに十分な細胞懸濁液を生成した(すなわち、1つのT175フラスコで3.5x15cm皿を生成した場合、T175フラスコあたり3.5mLの完全DMEMを使用した)。細胞懸濁液1mLを、各15cm組織培養皿の完全DMEM20mLに加え、十分に混合した。プレートが水平であることを確認しながら、プレートを37℃、5%COのインキュベータに戻した。
【0114】
トランスフェクション
細胞トランスフェクションステップは、2日目に行った。プレートは、トランスフェクションの時点で70%のコンフルエントであった。トランスフェクションの3時間前に、各プレートの培地を吸引、廃棄し、20mLのIMDM(Iscove改変ダルベッコ培地)と交換した。
【0115】
トランスフェクションの3時間前に、2.5M CaCl、HEBS(HEPES緩衝生理食塩水)、及びプラスミド(上記参照)のアリコートを除去することにより、トランスフェクション試薬を-20℃から室温に戻した。
【0116】
トランスフェクション直前に、次の順序で試薬を50mLチューブにピペッティングすることにより、DNAミックスを調製した:12mL滅菌室温超純水、1.65mL 2.5M CaCl、62.5μg pAAV発現プラスミド、125μg pFΔ6、及び62.5μgキャプシドプラスミド。
【0117】
0.2μmのACRODISC(登録商標)シリンジフィルターを使用して、DNAミックスを75cmの組織培養フラスコ内で濾過滅菌した。トランスフェクションの場合:(フラスコ内の)DNAミックスを激しくボルテックスしながら、最適量(6~13mL)のHEBSをフラスコにピペットで入れ、10~15秒間ボルテックスを継続した。
【0118】
トランスフェクションミックスを室温でさらに2分間放置した。トランスフェクション混合物は、微細な沈殿物の形成により、わずかに不透明な外観を有していた。
【0119】
5x15cmプレートのHEK293細胞をインキュベータから取り出し、トランスフェクションミックスの1/5をピペットで各プレートにゆっくりと円状に滴下した。このプロセスは、ミックスがすべてのプレートに5分以内に添加されるように、注意深く、しかし迅速に行った。プレートを穏やかに撹拌して、トランスフェクション混合物が確実に均一に分布するようにして、組織培養インキュベータに戻した。約16~18時間後、培地を取り出して廃棄した。20mLの予熱した(37℃)完全DMEMをプレートに追加し、プレートをインキュベータに戻した。
【0120】
細胞回収及びサンプル調製
トランスフェクションの約65時間後に細胞を回収した。培地を吸引して廃棄した。細胞は、約20mLの予熱した(37℃)1xPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を各プレートにピペッティングすることによって穏やかに洗浄し、プレートを穏やかに回転させ、PBSを除去して廃棄した。
【0121】
別の20mLの1xPBSを各プレートに追加し、細胞スクレーパーを使用して細胞をプレートから分離した。細胞懸濁液を50mL滅菌チューブ(50mLチューブあたり2プレート、残りのプレートからの懸濁液を別の50mLチューブ)に収集した。
【0122】
スイングアウトローターを備えた遠心分離機で、チューブを4℃で600xgで30分間遠心分離した。上清を慎重に除去し、廃棄した。細胞ペレットを溶解緩衝液に再懸濁することにより、細胞をプールして、5枚のプレートのバッチあたり8mLの最終容量にした。
【0123】
10%デオキシコール酸ナトリウムを最終濃度約0.5%(8mL中に10%デオキシコール酸ナトリウム400μL)になるように添加し、BENZONASE(登録商標)を最終濃度50U/mLになるように添加した。チューブ内の溶液をよく混合し、チューブを37℃の水浴に60分間入れた。インキュベーション期間中、チューブを15分ごとにボルテックスした。ライセートは、-20℃で保存した。
【0124】
イオジキサノール勾配の調製
粗rAAVベクター含有細胞ライセートを室温まで解凍した。ライセートを4℃で7,000xgで15分間遠心分離して、あらゆる粒子状物質を除去した。細胞上清を新しいチューブに移した。
【0125】
イオジキサノール勾配は、使い捨て35mL超遠心チューブ内で調製した。溶液は、10mLの使い捨てシリンジに取り付けられた脊椎針を使用して、次の順序でロードした:7.5~8.0mLの細胞上清;8.5mLの15%イオジキサノール;6.0mLの25%イオジキサノール;5.0mLの40%イオジキサノール;及び5.0mLの54%イオジキサノール。針をチューブの側面に対して保持し、上部の層を乱さないように各溶液をゆっくりと押し出した。溶解緩衝液(150mM NaCl、50mM Tris、pH8.5)を、層のいずれも乱さないように注意しながら、チューブストッパーの底から1~2mm下まで、チューブの上部の細胞上清に添加した。
【0126】
チューブをSORVALL(商標)超遠心機T865ローターで58,000rpmで1時間45分(15分間の加速及び90分間のスピンを含む)遠心分離した。5mLシリンジに取り付けられた18ゲージの針を40~54%イオジキサノールの界面に挿入した。チューブへの空気の流入を容易にするために、チューブの上部に20ゲージ針を挿入した。18ゲージ針のベベルを上向きにして、ベクターを含む40%イオジキサノール層3.5~4.0mLを注意深く取り出し、50mLチューブに移した。
【0127】
0.001%プルロン酸10mLを含む1xPBS-MgClをベクターサンプルに添加した後、サンプルを0.45μmシリンジフィルターで濾過し、15mL100kDa分子量カットオフAMICON(登録商標)濃縮器に入れた。サンプル量が約200μLに減少するまで、サンプルを3,000xgで遠心分離した。
【0128】
0.001%プルロニック酸を含む1xPBS-MgCl 14~15mLを濃縮物に加え、上記のように遠心分離した。イオジキサノールが除去されるまで、これを3~4回繰り返した。最後の洗浄で、サンプルを容量約200μLになるように遠心分離し、ピペットで1.5mLチューブに入れた。0.001%プルロン酸を含む1xPBS-MK150μLを濃縮器に加えて内部を洗浄し、サンプルと合わせて合計約350μLのAAVベクターを得た。
【0129】
サンプルは、HT TUFFRYN(登録商標)メンブレンを備えた13mm、0.2μmの低タンパク結合ACRODISC(登録商標)フィルターを通して濾過滅菌し、新しい滅菌済み1.5mLタンパク質LOBIND(登録商標)チューブに入れた。ベクターは、長期保存のために-80℃で保存した。
【0130】
SDS-PAGE
3つのrAAVキャプシドタンパク質(VPI、2、及び3)の存在を確認し、他のタンパク質コンタミネーションの有無を確認するために、rAAVサンプルをゲル調製及び電気泳動用のmini-PROTEAN3システム(Bio-Rad)によって分析した。
【0131】
rAAVベクター滴定
rAAVベクター調製物は、空のキャプシドとゲノム含有ベクター粒子との混合物を含むことができる。使用されるDNA含有ベクター粒子の量を標準化するために、標準曲線法を使用してSYBRGreenベースのqPCRにより、ウイルスベクターストックのゲノム力価を決定できる。インタクトrAAV粒子から抽出したベクターDNAを、10~10プラスミドコピー/μLの範囲で連続希釈した既知のモル濃度の参照プラスミドを使用して作成した標準曲線に対して測定した。PCRグレードの水のNTCも含み、各反応を3回実施した。実施間の力価の標準化が可能になるように、既知の力価(滴定対照または参照標準)のrAAVベクターストックのサンプルを各実施に含めることもできる。しかし、ベクター間で直接比較を行う場合は、同じqPCR実験で力価を決定する必要がある。
【0132】
各未知のrAAVサンプル及びrAAV参照標準(含まれている場合)及び1回のNTC反応のためのトリプリケートDNA抽出のために十分なDNase Iマスターミックスを調製した。反応は、48μLのDNaseIマスターミックスと2μLの未知のrAAVまたはrAAV参照標準とを組み合わせることにより、0.2mL PCRチューブで設定した。超純水またはPCRグレードの水2μLは、rAAVの代わりにNTC反応に添加した。チューブの内容物を混合し、チューブを軽く回転させた。
【0133】
チューブを25℃で15分間インキュベートして、rAAVビリオン内にパッケージングされていないコンタミDNAを除去した。すべてのインキュベーションステップは、0.2mLブロックを有するサーモサイクラで実施した。1μLの50mM EDTAを各チューブに添加し、チューブの内容物を混合し、チューブを軽く回転させた。DNase Iは、70℃で10分間熱不活性化させた。ウイルスキャプシドは、各51μLのDNaseI消化物に49μLのプロテイナーゼKマスターミックスを加えることによって消化させた。サンプルを短くボルテックスし、遠心分離した。その後、サンプルを55℃で1時間インキュベートした。プロテイナーゼKは、95℃で20分間加熱することにより不活性化させた。qPCRに必要になるまで、サンプルを4℃で保存した。
【0134】
プラスミド標準を調製するために、増幅可能な配列を含む既知のサイズのプラスミドの1x10~1x10コピー/μLの希釈系列を作製した。滅菌TEバッファーまたはPCRグレードの水を使用してプラスミドを25~100ng/μLに希釈し、高精度の分光光度計を使用して濃度を求めた。プラスミドの質量、及びプラスミドストックのコピー/μLでの濃度も求めた。プラスミドをTEバッファーまたはPCRグレードの水で希釈して、1x10コピー/μLストックを作製した。1x10、1x10、1x10、1x10、及び1x10コピー/μLのプラスミド標準を生成するために、TEバッファーまたはPCRグレードのバッファーでのストックの10倍連続希釈も行った。これらは、-80℃で100μLのアリコートとして保存した。各qPCRの実施ごとに、新しい標準セットを解凍した。
【0135】
qPCRでは、100μLの超純水またはPCRグレードの水を100μLのrAAV DNAサンプルに添加した。200μLのサンプルをボルテックスし、軽く回転させた。上記の各トリプリケートベクターDNA調製物の1:5~1:50希釈液を生成した。サンプルをボルテックスし、軽く回転させた。
【0136】
各プラスミド標準、ベクターDNAサンプル、及びNTCのトリプリケートPCR反応について、十分なSY3R Green PCR master mixを調製した。384ウェル光学反応プレートのウェルに、各rAAV DNAサンプル、プラスミド標準、及び10μLのGreen PCR master mix及び2.5μLのサンプルを含むNTCについて、3回繰り返す125μL PCR反応を設定した。プレートは、光学接着カバーで密閉し、アルミニウム箔で包装して光から保護した。プレートは、実施の終了まで4℃で保存した。
【0137】
プレートを20℃、1700xgで2分間遠心分離し、リアルタイムサーマルサイクラー(Applied Biosystem 7900HTリアルタイムPCRシステム)に移し、次のサイクリング条件を使用してリアルタイムPCRを実施した。
【表A】
【0138】
データは、機器ソフトウェアを使用して分析した。ベースライン及びしきい値の設定の調整は、必要に応じて手動で調整した。3回の繰り返しの各セットの増幅曲線を確認し、増幅変動を示したウェルは省いた。標準プラスミドの対数インプットコピーに対するCtの標準曲線を評価した。標準曲線の傾きは3.2に近く、相関係数(R値)は、0.99であった。それ以外の場合は、新しい標準セットを使用して実施を繰り返した。
【0139】
未知のベクターサンプルのトリプリケートDNA調製物の平均量(反応あたりの開始コピー数)を求め、元のベクターのゲノム力価(ベクターゲノム(vg)/mL)を計算した。
【0140】
実施例2.パーキンソン病の事前形成α-シヌクレインフィブリルラットモデルにおけるAAV1/2コード化ペプチドの神経保護能の調査
調査の概要
これは、AAV1/2ウイルスベクターを介して送達されたS62及びS71が、PDの事前形成α-シヌクレイン(aSyn)フィブリルラットモデルにおいてドーパミン作動性機能を保護する能力を評価するための非GLP研究である。
【0141】
S62及びS71をコードするAAV1/2ベクターの産生が完了することになる。
【0142】
-14日目(D-14)、動物は、右黒質(SN)に対して、AAV1/2-EV(グループ1及び2)、AAV1/2-S62 24MER(配列番号6、グループ3)またはAAV1/2-S71 22MER(配列番号7、グループ4)の定位注射を受ける。注射量は、決定される最終ベクター力価2μl/部位となる。
【0143】
D1で、動物は、右の線条体の2つの部位(8μg/μl mPFFを2x2μl=合計32μg)に、マウス配列モノマー対照(mMC、グループ1、StressMarq,BC,Canada,8μg/ml)またはマウス配列aSyn PFF(mPFFタイプ-1,StressMarq,8μg/ml)のいずれかの定位注射を受ける。
【0144】
この調査には、合計4つの治療グループが組み込まれ、各グループN=12匹の動物を含む(合計N=48、Sprague-Dawley雌ラット、Charles River,Canada)。
・グループ1AAV1/2-scr+mMC N=12
・グループ2AAV1/2-scr+mPFF N=12
・グループ3AAV1/2-S62+mPFF N=12
・グループ4AAV1/2-S71+mPFF N=12
【0145】
D120に、動物を殺処分し、脳サンプルを収集し、処理し、さらなる分析のために保存する。
【0146】
一次検死措置には、以下を含む:
・IHCによる、皮質領域などの前脳における病理学的aSyn拡散の程度に関するpSer129 aSyn発現の定性的評価。
・IHC及びステレオロジーによるSNでのチロシンヒドロキシラーゼ陽性ニューロン及び/またはpSer129-aSyn陽性ニューロンの定量的評価。
・IFによるドーパミン作動性(TH免疫反応性)黒質線条体経路内での新規ペプチド(HA免疫反応性)の発現及び分布の定性的評価。
【0147】
二次検死措置には、以下を含み得る:
・グループ2(AAV1/2-scr+mPFF)におけるpSer129 aSyn発現の定性的評価によって裏付けられた、皮質の画定された領域内(例えば、頭頂皮質、帯状皮質島皮質)でのpSer129 aSyn陽性皮質ニューロンのステレオロジーによる定量的評価。
【0148】
動物福祉
動物研究は、CCACガイドライン及びIACUC承認の動物使用プロトコル(AUP)に従って実施する。
【0149】
試験中、予期せぬ何らかの有害事象が動物に影響を与え、苦痛、傷害、開始時の体重の20%を超える体重減少、または以下の人道的エンドポイントのいずれかをもたらした場合、動物は直ちに安楽死させるものとする。
・姿勢異常(円背)
・グルーミングの失敗
・不振(活動または応答の低下)
・歩行障害または麻痺
・発声異常
・緩和できない持続的な食欲不振及び脱水症
・出血性分泌物
・苦痛/疼痛を引き起こす腹部膨満
・呼吸困難
・心血管虚脱
・持続的自己トラウマ
・成体マウスの腫瘍サイズが1.5cmを超える
・潰瘍性腫瘍
・瀕死前
・瀕死(重度のうつ病、外部刺激に応答できない、歩行不能、自力で常態に戻せない)
【0150】
特定の動物に対して安楽死が必要な場合、その動物は、動物使用プロトコール(AUP)で承認された方法に従って、または臨床獣医師と相談して安楽死させる。選択方法は、動物実験委員会(IACUC)によって承認されたものに準拠し、種固有のものになる。安楽死に関する推奨事項は、大部分が、2013年度版AVMA安楽死に関するガイドライン及びCCAC Guidelines on the Euthanasia of Animals Used in Science(2010年)に基づく。
【0151】
この研究では、スタッフの状況(availability)及び安楽死の緊急性などの状況に応じて選択した安楽死の方法は、イソフルランを使用した全身麻酔の導入及びその後の頸部の切断、またはイソフルランを使用した全身麻酔下での灌流である。
【0152】
ビヒクル及び畜産
ヘマグルチニン(HA)タグを組み込んだ2つの新規ペプチドS62及びS71のそれぞれをコードするAAV1/2ベクターの産生が完了する。この調査のビヒクルは、希釈を必要とする滅菌PBSになる。空ベクターは、使用される各ベクターの対照として使用される。
【0153】
この研究では、合計48匹のメスのSprague-Dawleyラット(Charles River、最初の手術時に275~300g)を使用する。動物は、各ケージに2匹収容し、いかなる手順も開始前に少なくとも1週間順化させる。動物は、標準温度(21±2℃)で光制御環境(午前7:00から午後7:00まで点灯)で飼育し、餌(Teklad 7912,Harlan,Madison,WI)及び水は、自由摂取できる。動物は、順化の初日に体重を測定し、その後は毎週体重を測定する。
【0154】
手術
動物は、一連の定位注射を受け、最初は黒質(D-14)に、PFFは、D1の線条体に注射される。
【0155】
-14日目(AAV1/2-S62またはAAV1/2-S71)
試験D-14日に、動物は、定位固定技術による空のベクター(AAV1/2-EV;グループ1及び2)、AAV1/2-S62(配列番号6、グループ3)またはAAV1/2-S71(配列番号7、グループ4)のいずれかの単一部位に、片側黒質内投与を受ける。注射量は、濃度3.0x1012gp/mlで1部位あたり2μlである。すべてのベクターは、PBSで(必要に応じて)希釈される。注射部位は、ブレグマに対して-5.2mmAP、及び-2mmML(Paxinos and Watsonのアトラスによる,1986)であり、針は、頭蓋骨下-7.5mmに下げる。
【0156】
1日目(mPFF)
2つのペプチドのそれぞれをコードするベクターの投与から2週間後のD1に、2回目の定位手術を実施する。動物は、マウス配列モノマー対照(mMC、グループ1、StressMarq、8g/ml)またはマウス配列aSyn PFF(mPFFタイプ-1、StressMarq、8g/ml)のいずれかを線条体の2つの部位のそれぞれ片側に投与を受ける(8g/l mPFFを2x2l=合計32g)。注射部位は+1.6mmAP及び+2mmMLで、針を頭蓋骨から4mm下げ(部位1)、-0.1mmAP、+4.2mmMLで針を頭蓋骨から5mm下げる(部位2)。
【0157】
手術概要(全手術)
すべての手術は、無菌技術を使用して実施する。イソフルラン麻酔(酸素流量2L/分、イソフルランUSP99.9%で2%)下で、尾根部圧迫及び角膜反射の喪失を確認後、ラットをイヤーバー(両外耳道ライン)の下3.3mmの切歯棒セットを備えたKopf小動物用定位枠に置く。動物の頭を剃毛し、消毒石鹸、イソプロピルアルコール70%USP、ヨウ素手術用スクラブ(7.5%ポビドンヨード)を使用して皮膚を完全に洗浄する。切開(約2cm)は、正中線に沿って前後方向に滅菌メスの刃で行う。綿棒を使用してブレグマを露出後、Paxinos and Watsonのアトラス(1986)に従って、上記の座標でSN(-14日目)または線条体(1日目)のいずれか上の頭蓋骨にバリ穴を開ける。特注の1インチ、45度のベベルを備えた26Gハミルトン針をすべての注射に使用する。各注射の後、溶液が完全に吸収されるように、針をさらに5分間そのまま置いておく。最後の注射後に針をゆっくりと引っ込めた後、創傷クリップによって切開を閉じ、動物に生理食塩水(50ml/kg、SC)を投与する。創傷は、鎮痛、抗菌クリームでコーティングする。最後に、動物を枠から外し、回復ケージに入れ、サーモスタット制御パッドの上に置き、意識が戻るまで監視する。
【0158】
治療グループ
この研究には、ラットの4つのグループを組み込む。動物は、研究の開始時にランダムに各グループに割り当てる。治療は、表2に示すとおりである。
【表2】
【0159】
検死及び組織の調製
D120で、動物は、イソフルランの過剰摂取を受け、0.2%ヘパリンを含む氷冷0.9%生理食塩水による経心臓灌流による放血によって殺処分する。脳を迅速に取り出し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)に48時間浸漬して固定し、その後段階的スクロース溶液(15~30%スクロース)で凍結保護する。すべての組織は、ロックされた冷凍庫中-80℃で保存する。
【0160】
pSer129 aSyn免疫組織化学
前脳及び中脳の後固定及び凍結保存切片は、pSer129 aSyn免疫反応性のために処理する。脳は、スレッジミクロトーム(Leica)上で厚さ40μmで冠状面で凍結切断し、6連の切片は、凍結保護剤中で保存する。一連の切片は、ビオチン標識抗体手順により、pSer129 aSynを可視化するために処理する。簡潔に言えば、0.1%Tween(登録商標)-20を含むPBS溶液で数回洗浄後、内因性ペルオキシダーゼを3%過酸化水素溶液でクエンチする。抗原回復は、切片をクエン酸ナトリウム緩衝液中37℃で1時間インキュベートし、その後PBSで3回リンスすることによって行う。5%正常ロバ血清/2%ウシ血清アルブミン溶液でバックグラウンド染色を阻害した。次に、組織を抗pSer129 aSyn(1:5000;Abcam、ab51253)と共に一晩インキュベートする。PBSで3回洗浄後、切片をビオチン化抗体IgG(ロバ抗ウサギ、1:500;Jackson,West Grove,PA)及びEliteアビジン-ビオチン複合体(ABC キット;Vector,Burlingame,CA)中で1時間連続してインキュベートし、PBSで3回洗浄して分離させる。pSer129 aSyn免疫染色は、3,3-ジアミノベンジジン(ABC Elite,Vector Laboratories,Cat.#PK-6100)を使用して反応後に、可視化させる。次に、切片をガラススライドにマウントし、乾燥させ、dHOに浸し、段階的アルコール(70%、95%、100%)で脱水し、histo-clearで透明にし、Vecta-mount封入剤でカバースリップする。
【0161】
pSer129 aSynの発現は、異常なaSynの拡散の程度について、前脳で定性的に評価する。さらに、SN内のpSer129-aSyn陽性ニューロンの定量的評価は、ステレオロジーによって行う(下記参照)。皮質の定性的評価の結果に基づいて、定量的評価を行うべきであると判断される場合がある。したがって、ステレオロジーによって、皮質の定義された領域(例えば、頭頂皮質、帯状皮質、島皮質)内でのpSer129 aSyn陽性皮質ニューロンが実施される。目的領域は、グループ2(AAV1/2-scr+mPFF)でのpSer129 aSyn発現の定性的評価によってサポートし、画定される。
【0162】
黒質THの免疫組織化学及びステレオロジー
脳は、凍結スライディングミクロトーム(Leica Microsystems Inc.,Richmond Hill,ON)上で、厚さ40μmの冠状面で凍結切片化し、6連の切片を凍結保護剤(30%グリセロール、30%エトキシエタノール、40%PBS)中で保存した。ビオチン標識抗体手順を介してチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を可視化するために、単一の一連の切片を処理する。簡潔に説明すると、0.2%Triton(登録商標)X-100(PBS-T)を含むPBS溶液で数回洗浄後、内因性ペルオキシダーゼは、3%過酸化水素溶液でクエンチし、バックグラウンド染色は、10%正常ヤギ血清/2%ウシ血清アルブミン溶液で阻害した。次に、組織を一次抗体と共に一晩インキュベートする:ウサギ抗TH抗体(1:1000,Pel-Freez,Rogers,AR)。PBS-Tで3回洗浄後、切片をビオチン化ヤギ抗ウサギまたはマウスIgG(1:300;ベクター、Burlingame,CA)で1時間、及びエリートアビジン-ビオチン複合体(ABCキット;Vector,Burlingame,CA)で1時間、連続してインキュベートし、PBSで3回洗浄することにより、分離させた。次いで免疫染色を、3,3-ジアミノベンジジン(Vector,Burlingame,CA)との反応後に可視化する。切片をガラススライドにマウントし、乾燥させ、dH2Oに浸し、段階的アルコール(70%、95%、100%)で脱水し、キシレンで透明にし、DPX封入剤(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)でカバースリップする。
【0163】
チロシンヒドロキシラーゼ陽性ニューロンは、ステレオロジーによってSNで定量的に評価する。
【0164】
黒質緻密部(SNc)内のTH+ve神経細胞数及び/またはpSer129+ve神経細胞数の推定は、ステレオロジーの原理に従って、Stereo Investigatorソフトウェア(MBF Bioscience、Williston、VT)を用いて行われる。それぞれ前部から後部SNまで240μm離れた6~8切片を使用して、各ケースをカウントする。ステレオロジーは、組織切片を視覚化するためのデジタルカメラに連結されたZeiss顕微鏡(Carl Zeiss,Canada)を使用して実施する。TH+ve及び/またはpSer129-aSynニューロンの総数は、光学フラクショネータ法を使用してコード化されたスライドから推定する。分析される各組織切片について、切片の厚さは経験的に評価し、厚さ約2μmのガードゾーンを各切片の上部及び下部で使用する。SNcは、低倍率(5倍)で概説し、ニューロンは、倍率40倍でカウントする。ステレオロジーパラメーターは、Stereo Investigatorソフトウェア(MicroBrightfield,VT,USA)を使用して、経験的に決定する(すなわち、グリッドサイズ数、フレームサイズ及びディセクタの高さ)。許容誤差係数(CE)は、Gunderson CE(m=1)として知られるWest and colleaguesの手順に従って計算される。Gunderson値<0.10が許容可能である。
【0165】
チロシンヒドロキシラーゼ+ヘマグルチニン免疫蛍光
単一シリーズの中脳及び尾側線条体切片を使用して、二重標識免疫蛍光法を実施して、ヘマグルチニン(HA)タグ付きヒトaSyn及びチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を明らかにする。簡潔に言えば、自由浮遊切片上で、TH(ヒツジ抗 TH、1:1000、Pel Freez,P60101;二次抗体、Alexa fluor ロバ抗ヒツジ、Fisher Scientific,A21099,1:500)及びHA(ウサギ抗HA、1:1000;Abcam,AB9110;Alexa Fluorロバ抗ウサギ、1:500,Fisher Scientific,A21206,1:500)のレベル及び分布は、二重標識免疫蛍光によって評価する。
【0166】
HAタグ付きヒトaSyn及びTHは、ドーパミン作動性(TH免疫反応性)黒質線条体経路内の新規ペプチド(HA免疫反応性)の発現及び分布の程度について定性的に評価する。
【0167】
統計解析
死後のエンドポイントから得られた連続データ(黒質TH+ve細胞数)は、平均±SEMとしてグラフ化し、一元配置または二元配置の分散分析(RM-ANOVA)を使用して分析し、その後、GraphPad Prism(v.8)を使用して、適切な事後多重比較検定を行った。
【0168】
実施例3.S62及びS71ペプチドの安定性及び透過性試験
ラット血漿中の安定性
S62及びS71ペプチド(それぞれ、配列番号3及び4)を、10%TCA及びメタノールを消光剤として用いて、ラット血漿中、in vitroで、ラットに投与した場合のin vivo条件にペプチドが供される時間を反映するものと計算された期間インキュベートした。S62及びS71ペプチドの回収率は、検出できるほど高くはなかった。
【0169】
Caco-2アッセイにおける透過性
S62及びS71ペプチドの透過性は、メタノールを使用したCaco-2アッセイで評価した。表3で確認できるとおり、いずれのペプチドも透過性を呈さなかった。
【表3-1】
【表3-2】
【0170】
透過性ランク:低い方は<1x10-6cm/s;高い場合は>1x10-6cm/sである。排出比>2は、化合物がPgpまたは他の能動輸送体の基質になる可能性を示している。
配列

配列番号1
AVVWGVTAV

配列番号2
AVVTGVTAV

配列番号3
GAVVWGVTAVKK

配列番号4
RAVVTGVTAVAE

配列番号5
GAVVWGVTAVKKKKK

配列番号6
GAVVWGVTAVKKGRKKRRQRRRPQ

配列番号7
YGRKKRRQRRRAVVTGVTAVAE

配列番号8
MDVFMKGLSKAKEGVVAAAEKTKQGVAEAAGKTKEGVLYVGSKTKEGVVHGVATVAEKTKEQVTNVGGAVVTGVTAVAQKTVEGAGSIAAATGFVKKDQLGKNEEGAPQEGILEDMPVDPDNEAYEMPSEEGYQDYEPEA

配列番号9
agcttgcatgcctgcaggtcactgttctcatcacatcatatcaaggttatataccatcaatattgccacagatgttacttagccttttaatatttctctaatttagtgtatatgcaatgatagttctctgatttctgagattgagtttctcatgtgtaatgattatttagagtttctctttcatctgttcaaatttttgtctagttttattttttactgatttgtaagacttctttttataatctgcatattacaattctctttactggggtgttgcaaatattttctgtcattctatggcctgacttttcttaatggttttttaattttaaaaataagtcttaatattcatgcaatctaattaacaatcttttctttgtggttaggactttgagtcataagaaatttttctctacactgaagtcatgatggcatgcttctatattattttctaaaagatttaaagttttgccttctccatttagacttataattcactggaatttttttgtgtgtatggtatgacatatgggttcccttttattttttacatataaatatatttccctgtttttctaaaaaagaaaaagatcatcattttcccattgtaaaatgccatatttttttcataggtcacttacatatatcaatgggtctgtttctgagctctactctattttatcagcctcactgtctatccccacacatctcatgctttgctctaaatcttgatatttagtggaacattctttcccattttgttctacaagaatatttttgttattgtctttgggctttctatatacattttgaaatgaggttgacaagttggggatcgtacctaatatcacaaactggaaatgtctatcaatatatagttgctctagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggactatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtcgaggtgagccccacgttctgcttcactctccccatctcccccccctccccacccccaattttgtatttatttattttttaattattttgtgcagcgatgggggcggggggggggggggggcgcgcgccaggcggggcggggcggggcgaggggcggggcggggcgaggcggagaggtgcggcggcagccaatcagagcggcgcgctccgaaagtttccttttatggcgaggcggcggcggcggcggccctataaaaagcgaagcgcgcggcgggcgggagtcgctgcgacgctgccttcgccccgtgccccgctccgccgccgcctcgcgccgcccgccccggctctgactgaccgcgttactcccacaggtgagcgggcgggacggcccttctcctccgggctgtaattagcgcttggtttaatgacggcttgtttcttttctgtggctgcgtgaaagccttgaggggctccgggagggccctttgtgcggggggagcggctcggggctgtccgcggggggacggctgccttcgggggggacggggcagggcggggttcggcttctggcgtgtgaccggcggctctagagcctctgctaaccatgttcatgccttcttctttttcctacagctcctgggcaacgtgctggttattgtgctgtctcatcattttg

配列番号10
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配列番号11
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配列番号12
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配列番号13
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配列番号14
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配列番号15
GRKKRRQRRRPQ

配列番号16
YPYDVPDYA

配列番号17
KKKKKK

配列番号18
HHHHHH

配列番号19
GKPIPNPLLGLDST

配列番号20
EQKLISEEDL

配列番号21
DYKDDDDK
【0171】
他の実施形態
本開示は、その詳細な説明に関連して説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していないことを理解されたい。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
【配列表】
2023542950000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023542950000001.app
【国際調査報告】