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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】テープ敷設ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20231004BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518412
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 GB2020052536
(87)【国際公開番号】W WO2022058703
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】20200100565
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523099828
【氏名又は名称】アイコマット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンゲロス ジムペローディス
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AJ08
4F205AR04
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HK16
4F205HK23
4F205HM13
4F205HT26
(57)【要約】
複合構造体の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドを提供し、テープ敷設ヘッドは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間でトウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向中に、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、張力制御システムによってトウ材料に加えられる張力を変化させ、駆動力を監視することによって、トウ材料に作用する、駆動力の横方向成分を、剪断機構に関連する最大横方向摩擦力以下に制御するように構成された、張力制御システムと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造体の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドであって、前記テープ敷設ヘッドは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、トウ供給部から前記トウ材料を受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向中に、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、前記剪断機構と、
張力制御システムによって前記トウ材料に加えられる張力を変化させ、前記駆動力を監視することによって、前記トウ材料に作用する、前記駆動力の前記横方向成分を、前記剪断機構に関連する最大横方向摩擦力以下に制御するように構成された、前記張力制御システムと、を含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記張力制御システムは、さらに、前記トウ供給部と前記剪断機構との間に、前記トウ材料の張力を表す第1の荷重センサ信号を生成するように構成された、第1の荷重センサを含み、前記第1の荷重センサ信号は、前記駆動力を監視することに使用されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記トウ材料は、裏打ち材を備え、前記剪断機構は、前記トウ材料を前記裏打ち材から分離するように構成され、前記張力制御システムは、さらに、前記剪断機構と裏打ち材回収部との間の前記裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を生成するように構成された、第2の荷重センサを含み、前記第2の荷重センサ信号は、前記駆動力を監視することに使用されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記剪断機構は、さらに、トウ案内ローラと、把持シュー又はローラとを含み、前記張力制御システムは、さらに、前記トウ案内ローラの回転を駆動するように構成された第1のモータを含み、張力は、前記第1のモータによって少なくとも部分的に印加されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記張力制御システムは、さらに、前記裏打ち材回収部の作動を駆動するように構成された、第2のモータを含み、前記張力は、前記第2のモータによって、少なくとも部分的に印加されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項6】
請求項3-5のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記張力制御システムは、さらに、テープ供給部に関連付けられ、前記テープ供給部から前記剪断機構への前記トウ材料の送給を制動するように構成された、ブレーキを含み、前記張力は、前記ブレーキによって、少なくとも部分的に印加されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項7】
請求項1-3のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記剪断機構は、圧縮ローラ及び把持シュー又はローラを含み、前記一対の剪断境界のうちの第1の剪断境界は、通常作動における前記圧縮ローラと前記モールドとの間の接触点によって画定され、前記一対の剪断境界のうちの第2の剪断境界は、前記圧縮ローラと前記把持シュー又はローラとの間の接触点によって画定されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項8】
請求項1-7のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記テープ敷設ヘッドは、さらに、ウェブ機構を含み、前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、前記ウェブ機構は、前記トウ材料が前記モールドに敷設された後に、前記トウ材料から前記ウェブを除去するように構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記ウェブ機構は、さらに、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブを前記トウ材料に加えるように構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み、前記モータは、前記ウェブ材料回収部を作動させて、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張るように構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項11】
請求項1-10のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、テープ敷設ヘッドは、さらに、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、前記トウ材料の横方向滑りが補償されるように、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して横方向に前記剪断機構を移動させるように構成された、滑り補償機構とを含み、その結果、前記トウ材料の横方向滑りが補償されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記滑り補償機構は、前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの1つ以上の、前記ヘッドの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動するための駆動装置とを含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記滑り補償機構は、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを感知するように構成されたセンサを含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項14】
請求項1-13のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記張力制御システムは、さらに、前記張力を変化させることによって、前記駆動力を最小閾値より上に維持するようにさらに構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記トウ材料は、予め含浸されたトウ材料であることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項16】
テープ敷設システムであって、請求項1-15のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドを含むことを特徴とするテープ敷設システム。
【請求項17】
テープ敷設システムの張力制御システムにおける使用のためのコントローラであって、
前記テープ敷設システムは、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された、一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成された、前記剪断機構を含み、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料を操向する間、前記トウ材料に対する長手方向成分と横方向成分を有し、
前記コントローラは、前記トウ材料に加えられる張力に変化をもたらすこと、及び、前記駆動力を監視することによって、前記トウ材料に作用する前記駆動力の前記横方向成分を、前記剪断機構に関連する最大横方向摩擦力に等しいか、それ未満に制御するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項18】
請求項17に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記トウ供給部と前記剪断機構との間の前記トウ材料の張力を表す、第1の荷重センサ信号を受信するように構成され、前記第1の荷重センサ信号は、前記コントローラによって、前記駆動力を監視することに使用されることを特徴とするコントローラ。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のコントローラであって、前記トウ材料は、裏打ち材を備え、前記剪断機構は、前記トウ材料を前記裏打ち材から分離するように構成され、前記コントローラは、さらに、前記剪断機構と裏打ち材回収部との間の裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を受信するように構成され、前記第2の荷重センサ信号は、前記コントローラによって、駆動力を監視することに使用されることを特徴とするコントローラ。
【請求項20】
請求項19に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、第1のモータ信号を出力するように構成され、前記剪断機構は、さらに、トウ案内ローラ、及び、把持シュー又はローラを含み、第1のモータは、前記トウ案内ローラの回転を駆動し、第1のモータ信号は、前記第1のモータの作動を制御し、前記張力は、前記第1のモータによって少なくとも部分的に印加されることを特徴とするコントローラ。
【請求項21】
請求項20に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、第2のモータ信号を出力するように構成され、第2のモータは、前記裏打ち材回収部の作動を駆動し、前記第2のモータ信号は、前記第2のモータの作動を制御し、前記張力は、前記第2のモータによって、少なくとも部分的に印加されることを特徴とするコントローラ。
【請求項22】
請求項19-21のいずれか一項に記載のコントローラであって、ブレーキは、テープ供給部に関連付けられ、前記テープ供給部から前記剪断機構への前記トウ材料の送給を制動するように構成され、前記コントローラは、前記ブレーキを制御するためのブレーキ信号を生成するように構成され、前記張力は、前記ブレーキによって、少なくとも部分的に印加されることを特徴とするコントローラ。
【請求項23】
請求項17-22のいずれか一項に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記張力を変化させることによって、前記駆動力を最小閾値以上に維持するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項24】
請求項17-23のいずれか一項に記載のコントローラであって、前記テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み得、前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前にウェブを備え、前記コントローラは、さらに、前記トウ材料がモールドに敷設された後、前記ウェブ機構を作動させ、前記ウェブを前記トウ材料から除去するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項25】
請求項24に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブ機構を作動させ、前記ウェブを前記トウ材料に加えるように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項26】
請求項25に記載のコントローラであって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み得、前記コントローラは、さらに、前記モータを作動させ、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張るように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項27】
請求項17-26のいずれか一項に記載のコントローラであって、前記テープ敷設システムは、さらに、
トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、
滑り補償機構と、を含み、
前記コントローラは、さらに、前記滑り補償機構を作動させて、前記剪断機構を、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して横方向に移動させるように構成され、その結果、前記トウ材料の横方向滑りが補償されることを特徴とするコントローラ。
【請求項28】
請求項27に記載のコントローラであって、前記滑り補償機構は、
前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、前記システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、
駆動装置と、を含み、
前記コントローラは、前記駆動装置を作動させて、前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項29】
請求項27又は28に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを示す信号を、センサから受信するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項30】
テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法であって、
前記テープ敷設システムは、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成された、剪断機構を含み、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記トウ材料の操向の間、前記駆動力は、前記トウ材料に対して長手方向成分と横方向成分とを有し、
前記方法は、前記トウ材料に印加される張力の変動をもたらすことと、前記駆動力を監視することによって、前記トウ材料に作用する前記駆動力の横方向成分を、前記剪断機構に関連する最大横方向摩擦力と等しいか、又は、それ未満に制御することを特徴とする制御方法。
【請求項31】
請求項30に記載の制御方法であって、前記制御方法は、さらに、
前記トウ供給部と前記剪断機構との間の前記トウ材料の張力を表す、第1の荷重センサ信号を受信することと、
前記第1の荷重センサ信号を、前記駆動力を監視することに使用すること、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の制御方法であって、前記トウ材料は、裏打ち材を備え、前記剪断機構は、前記トウ材料を前記裏打ち材から分離するように構成され、前記制御方法は、さらに、
前記剪断機構と前記裏打ち材回収部との間の前記裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を受信することと、
前記第2の荷重センサ信号を、前記駆動力を監視することに使用することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項33】
請求項32に記載の制御方法であって、前記制御方法は、さらに、第1のモータ信号を出力することを含み、前記剪断機構は、さらに、トウ案内ローラ、及び、把持シュー又はローラを含み得、第1のモータは、前記トウ案内ローラの回転を駆動し得、前記第1のモータ信号は、前記第1のモータの作動を制御し得、前記張力は、前記第1のモータによって少なくとも部分的に印加されることを特徴とする制御方法。
【請求項34】
請求項33に記載の制御方法であって、前記制御方法は、さらに、第2のモータ信号を出力することを含み、第2のモータは、前記裏打ち材回収部の作動を駆動し、前記第2のモータ信号は、第2のモータの作動を制御し、前記張力は、前記第2のモータによって少なくとも部分的に印加されることを特徴とする制御方法。
【請求項35】
請求項32-34のいずれか一項に記載の制御方法であって、ブレーキは、テープ供給部に関連付けられ、前記テープ供給部から前記剪断機構への前記トウ材料の送給を制動するように構成され、前記制御方法は、さらに、
前記ブレーキを制御するためのブレーキ信号を生成することを含み、前記張力は、前記ブレーキによって少なくとも部分的に印加されることを特徴とする制御方法。
【請求項36】
請求項30-35のいずれか一項に記載の制御方法であって、前記制御方法は、さらに、前記張力を変化させることによって、前記駆動力を最小閾値以上に維持することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項37】
請求項30-36のいずれか一項に記載の制御方法であって、前記テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み、前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前にウェブを備え、前記方法は、さらに、
前記トウ材料が、モールドに敷設された後、前記ウェブを前記トウ材料から除去するように、前記ウェブ機構を作動させることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項38】
請求項37に記載の制御方法であって、前記方法は、さらに、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブを前記トウ材料に加えるように、前記ウェブ機構を作動させることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項39】
請求項38に記載の制御方法であって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み、前記方法は、さらに、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張るように、前記モータを作動させることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項40】
請求項30-39のいずれか一項に記載の制御方法であって、前記テープ敷設システムは、さらに、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構とを含み、前記方法は、さらに、前記滑り補償機構を作動させて、前記剪断機構を、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して横方向に移動させることを含み、その結果、前記トウ材料の横方向滑りが補償されることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項41】
請求項40に記載の制御方法であって、前記滑り補償機構は、前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、前記システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置とを含み得、方法は、さらに、前記駆動装置を作動させて、前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項42】
請求項40又は41に記載の制御方法であって、前記方法は、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを示す信号を、センサから受信することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項43】
コンピュータ可読媒体であって、実行されると、請求項30-42のいずれか一項に記載の制御方法の作動を引き起こす、それに記憶された命令を有することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項44】
複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドであって、前記テープ敷設ヘッドは、剪断機構を含み、前記剪断機構は、前記トウ材料をトウ供給部から受容し、前記剪断機構によって画定された、一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有し、
前記剪断機構は、圧縮ローラと、把持シュー又はローラとを含み、前記一対の剪断境界のうちの第1の剪断境界は、通常の作動において、前記圧縮ローラと前記モールドの接触点によって画定され、前記一対の剪断境界のうちの第2の剪断境界は、前記圧縮ローラと、前記把持シュー又はローラとの接触点によって画定されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項45】
複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドであって、前記テープ敷設ヘッドは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、前記トウ材料をトウ供給部から受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間、前記トウ材料に対する長手方向成分と横断方向成分とを有する、前記剪断機構と、
ウェブ機構であって、前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、前記ウェブ機構は、前記トウ材料が前記モールドに敷設された後に、前記トウ材料から前記ウェブを除去するように構成された、前記ウェブ機構と、を含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項46】
請求項45に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記ウェブ機構は、さらに、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブを前記トウ材料に加えるように構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項47】
請求項46に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられた、ウェブ材料回収部とを含み、前記モータは、前記ウェブ材料回収部を作動させて、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張るように構成されることを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項48】
複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドであって、前記テープ敷設ヘッドは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、前記トウ材料をトウ供給部から受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、前記剪断機構と、
トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、
滑り補償機構であって、前記滑り補償機構は、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して、前記剪断機構を横方向に移動させるように構成され、その結果、前記トウ材料の横方向滑りが補償される、前記滑り補償機構と、
を含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項49】
請求項48に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記滑り補償機構は、
前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、前記ヘッドの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、
前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動するための駆動装置と、を含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項50】
請求項48又は49に記載のテープ敷設ヘッドであって、前記滑り補償機構は、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを感知するように構成された、センサを含むことを特徴とするテープ敷設ヘッド。
【請求項51】
テープ敷設システムであって、請求項44-50のいずれか一項に記載のテープ敷設ヘッドの複数を含むことを特徴とするテープ敷設システム。
【請求項52】
テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するためのコントローラであって、前記テープ敷設システムは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、前記剪断機構と、
ウェブ機構であって、前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前にウェブを備える、前記ウェブ機構と、を含み、
前記コントローラは、前記ウェブ機構を作動させ、前記トウ材料がモールドに敷設された後に、前記ウェブを前記トウ材料から除去するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項53】
請求項52に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記ウェブ機構を作動させ、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブを前記トウ材料に加えるように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項54】
請求項53に記載のコントローラであって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部と、を含み、前記コントローラは、さらに、前記モータを作動させ、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張るように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項55】
テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するためのコントローラであって、前記テープ敷設システムは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、
前記トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、
滑り補償機構と、を含み、
前記コントローラは、前記滑り補償機構を作動させて、前記剪断機構を、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して横方向に移動させ、その結果、前記トウ材料の横方向の滑りが補償されるように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項56】
請求項55に記載のコントローラであって、前記滑り補償機構は、
前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、前記テープ敷設システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、
駆動装置と、を含み、
前記コントローラは、前記駆動装置を作動させて、前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項57】
請求項55又は56に記載のコントローラであって、前記コントローラは、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを表す信号を、センサから受信するように構成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項58】
テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法であって、テープ敷設システムは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間に、前記トウ材料に対する長手方向成分と横方向成分とを有する、前記剪断機構を含み、
前記テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み、
前記トウ材料は、前記トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、
前記方法は、前記ウェブ機構を作動させて、前記トウ材料がモールドに敷設された後、前記ウェブを前記トウ材料から除去することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項59】
請求項58に記載の制御方法であって、前記方法は、さらに、前記ウェブ機構を作動させ、前記トウ材料の剪断変形に先立って、前記ウェブを前記トウ材料に加えることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項60】
請求項59に記載の制御方法であって、前記ウェブ機構は、ウェブ材料供給部と、モータに関連付けられた、ウェブ材料回収部とを含み、前記方法は、さらに、前記モータを作動させて、前記ウェブ材料の供給部から前記ウェブを引っ張ることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項61】
テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法であって、テープ敷設システムは、
剪断機構であって、前記剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、前記剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、前記トウ材料に剪断変形を加えることによって、前記トウ材料を操向するように構成され、前記剪断機構は、さらに、前記トウ材料に駆動力を加えるように構成され、前記駆動力は、前記トウ材料の操向の間に、前記トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、前記剪断機構を含み、
前記テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構と、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構と、を含み、
前記方法は、前記滑り補償機構を作動させて、前記剪断機構を、前記トウ材料の供給部、及び/又は、前記裏打ち材回収部に対して横方向に移動させ、その結果、前記トウ材料の横方向滑りが補償されることを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項62】
請求項61に記載の制御方法であって、
前記滑り補償機構は、前記剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、前記テープ敷設システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置と、を含み、
前記方法は、さらに、前記駆動装置を作動させて、前記剪断機構、又は、前記トウ案内ローラ及び前記把持シューの移動を駆動することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項63】
請求項61又は62に記載の制御方法であって、前記方法は、さらに、前記トウ材料の横方向滑りを表す信号を、センサから受信することを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項64】
実行されると、請求項58-63のいずれか一項に記載の制御方法の作動を引き起こす、それに記憶された命令を有する、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複合構造体の構築において、トウ材料をモールド上に敷設するように構成されたテープ敷設ヘッド、テープ敷設システムの張力制御システムにおける使用のためのコントローラ、関連する制御方法、及び、関連するコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
細長い補強要素(例えば、炭素繊維)を保持するマトリックスを形成するマトリックス材料(例えば、熱硬化性樹脂)を有する複合材料は、強力かつ軽量な構造を提供するために一般的に使用される。そのような材料は、今や、運動器具から航空宇宙産業まで、広範囲の異なる用途で使用される。
【0003】
複合構造は、実質的に平行な炭素繊維のテープ又はトウを使用して形成され得る(テープは複数のトウを含み得るが、本明細書では、「テープ」及び「トウ」の用語は、同義的に使用される)。トウは、マトリックス材料で予め含浸され得、又は、マトリックス材料は、製造工程において、後の時間に添加され得る。トウは、モールド構造上に、層状に敷設される。次いで、敷設されたモールド構造は、圧力下で、例えば、オートクレーブ内で加熱され、マトリックス材料を重合させ、複合構造(これは、後にモールドから除去される)を形成する。
【0004】
モールド構造上にトウを敷設することは、トウが、1つ以上の屈曲又は湾曲部を通って進められることを必要とし得る。これは、トウの幅に対するトウの位置に応じて(例えば、屈曲又は湾曲部の内側又は外側において)、繊維の経路長が異なるので、トウにおける炭素繊維の並列配置に影響を与え得る。結果は、例えば、炭素繊維の座屈、又は、非平行配置への移動、又は、意図されたトウ敷設経路との非整合などの構造欠陥を含み得る。これらの問題は、結果として得られる複合構造体の特性に、有害な状態で影響を及ぼし得る。
【0005】
また、一般に、トウ敷設工程に対する加速及び減速時間を改善することの要求が存在するが、これは、トウの敷設作業(これは、典型的には、減速及び加速を必要とする、複数の停止-開始工程を含む)の全体の速度に大きな影響を有し得るからである。
【0006】
特許文献1は、波状の事前含侵トウ材料を形成するために使用される装置を開示する。しかしながら、文献は、結果として得られるトウのモールド構造への敷設に関する教示を提供せず、したがって、教示は、結果として得られるトウを敷設することに対する装置及び技術とは無関係であり、開示された装置は、そのような目的には適さない。加えて、ローラの回転速度要求を変更することの結果として、補強要素の緩みに関する問題を軽減するために、複雑な装置が必要とされる。さらに、組合せローラ及びピンチローラの固定幅は、この装置を使用して製造された事前含侵材料において達成され得る、波状の程度を制限する。加えて、構造内の各トウ経路が基準軸に対して異なる角度変化を有することを可能にするための開示された手段は存在しない。
【0007】
特許文献2は、ストリップ形態の繊維/樹脂複合材料を表面にコーティングするための機械に関する。この文献によれば、ストリップを表面に敷設するためのヘッドは、その支持体に対して枢動可能に取り付けられ、その中央垂直面は、表面の凹凸にかかわらず、常に、表面とストリップの接触線に対して垂直のままである。この機械は、航空構造分野において様々な構造を製造するために使用されると言われる。
【0008】
特許文献3は、テープ供給リール及びテープ圧縮ローラを含む、多軸テープ敷設機用の自動テープヘッド組立体を開示する。供給リールからのテープは、テープのゼロガウス曲率を実質的に維持するテープ経路を画定する、供給リールの2つの独立した構造と、圧縮ローラとの間の空間を通過する。テープ経路は、供給リールと圧縮ローラとの間の実質的に又は部分的に拘束されていない湾曲経路をもたらすと言われる、コンプライアンスループとして言及される湾曲経路である。この構造は、圧縮ローラが供給リールに対して、横方向及び垂直方向にシフトすることを可能にし、一方で、供給リールは、一般に、テープヘッドアセンブリに対して定位置にあると言われる。この構造は、伝えられるところでは、また、圧縮ローラが、供給リールから全く独立して、繊維テープの自然経路を転動し、操向し、追従することを可能にする。
【0009】
特許文献4は、ストリップを押圧して、端部におけるねじれ部分を制限する、処理要素を使用することを含む方法を教示する。ストリップは、ストリップが、処理要素において横方向の曲率を得るように、ねじれ部分内で偏心的にねじられる。ねじれの方向及び程度は、ねじれ部分の長手方向の差が補償されるように選択されると言われる。
【0010】
特許文献5は、タイヤの製造中に回転受容面上に敷設される補強ストリップを教示する。ストリップは、ストリップの走行経路に対して交互に横方向に移動させられるガイドを通過し、それにより、ストリップは受容面上に波状に敷設される。交互横方向移動の振幅は、(a)ガイドに接近するストリップの部分の速度、及び、(b)受容面の速度の比の関数として変化させられる。ガイドと受容面との間で、ストリップは、受容面上に接線方向に敷設されるように、ストリップの長手方向軸の周りに90度回動させられる。
【0011】
特許文献6は、強化繊維とマトリックス又は結着材料とを含むトウテープを敷設するためのトウ配置ヘッド部材を開示し、トウ配置ヘッド部材は、可変角度のトウ複合構造の形成に使用され、ピンチ装置であって、ピンチ装置は、トウテープを受容し、トウテープがそこを通過することを可能にするように構成され、ピンチ装置は、トウテープを圧縮シューに向かって案内するように構成された、トウ供給ローラと、トウ供給シューとを備える、ピンチ装置と、圧縮シューであって、圧縮シューは、ピンチ装置からトウテープを受容し、トウテープが敷設されるべき表面に対して、トウテープを押し付けるように構成された、圧縮シューと、を含み、ピンチ装置は、圧縮シューとピンチ装置との間のトウテープの一部に剪断変形を加えるように構成される。
【0012】
特許文献7は、複合材料からなる部品を製造するための塗布ローラを備えた繊維塗布ヘッドを含む繊維塗布装置を開示する。繊維塗布ヘッドは、さらに、繊維を塗布ローラ上に案内する案内システム、及び/又は、繊維が案内システムから離れるときに、樹脂を各繊維に塗布するための手段を含む。繊維塗布装置は、また、繊維貯蔵システムと、繊維貯蔵システムから塗布ヘッドに繊維を搬送するための搬送手段とを含み得る。搬送手段は、各チューブが、その内部チャネル内に繊維を受容し得る、可撓性チューブを備え得る。搬送手段は、さらに、塗布ヘッドと貯蔵システムとの間に配置された、張力制限システムを含み得る。繊維塗布装置は、さらに、塗布ヘッドを移動させるためのシステムを含み得る。
【0013】
特許文献8は、テープの敷設又は繊維の配置に使用されるテープのロールから裏打ちフィルムを除去する方法を教示し、この方法は、裏打ちフィルムがまだテープに取り付けられている間にスプールからテープを巻き戻すことと、依然として裏打ちフィルムが取り付けられたテープの一部を巻取ローラの周りに延設することと、テープから裏打ちフィルムを部分的に除去し、裏打ちフィルムを巻取ローラに取り付けることと、裏打ちフィルムが除去されたテープの一部を、巻取ローラからダンサローラへ延設することと、テープがスプールからダンサローラに移動させられるとき、巻取ローラの周りでのテープの移動によって、巻取ローラが駆動されるとき、巻取ローラの周りに裏打ちフィルムを連続的に巻き取ることと、を備え、巻取ローラは、巻取ローラの周りのテープの移動のみによって駆動される回転自在の巻取ローラを備える。
【0014】
特許文献9は、繊維が引き出される繊維のスプールと共に使用するための繊維張力付与装置を開示し、装置は、支持体と、支持体上に回転可能に取り付けられたハブであって、ハブは、支持体上で、ハブと一緒の回転のために、ハブに取り付けられた繊維スプールを有するように適合され、ハブは、軸の周りの回転のために回転可能に取り付けられ、軸は、軸の周りのハブの回転に対して静止している、ハブと、スプールから引き出される繊維に抗力を付与するための手段であって、抗力を付与する手段は、ハブに配置されて、付勢手段を含み、付勢手段の一部は、軸に固定される、抗力を付与する手段と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6453962号明細書
【特許文献2】仏国特許第2539122号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/032195号明細書
【特許文献4】欧州特許第2508327号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/139324号明細書
【特許文献6】英国特許第2492594号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0229760号明細書
【特許文献8】米国特許第8012291号明細書
【特許文献9】米国特許第8308101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
剪断機構を使用し得るシステムでは、トウ材料の破断の低い危険性を備えた、高い剪断角度を達成すること、および、異なる敷設作業のための容易な調整作業を可能にすることの要請が存在する。
【0017】
トウ材料の剪断剛性が高いほど、効果的な剪断機構を実施することが、より難しく、また、欠陥のリスクがより高くなる。
【0018】
実施形態は、先行技術に関連する1つ以上の問題を軽減することを求める。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の一態様は、複合構造体の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドを提供し、テープ敷設ヘッドは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間でトウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向中に、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、張力制御システムによってトウ材料に加えられる張力を変化させ、駆動力を監視することによって、トウ材料に作用する、駆動力の横方向成分を、剪断機構に関連する最大横方向摩擦力以下に制御するように構成された、張力制御システムと、を備える。
【0020】
張力制御システムは、さらに、トウ供給部と剪断機構との間に、トウ材料の張力を表す第1の荷重センサ信号を生成するように構成された、第1の荷重センサを含み得、第1の荷重センサ信号は、駆動力を監視することに使用され得る。
【0021】
トウ材料は、裏打ち材を備え得、剪断機構は、トウ材料を裏打ち材から分離するように構成され得、張力制御システムは、さらに、剪断機構と裏打ち材回収部との間の裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を生成するように構成された、第2の荷重センサを含み得、第2の荷重センサ信号は、駆動力を監視することに使用され得る。
【0022】
剪断機構は、さらに、トウ案内ローラと、把持シュー又はローラとを含み得、張力制御システムは、さらに、トウ案内ローラの回転を駆動するように構成された第1のモータを含み得、張力は、第1のモータによって少なくとも部分的に印加され得る。
【0023】
張力制御システムは、さらに、裏打ち材回収部の作動を駆動するように構成された、第2のモータを含み得、張力は、第2のモータによって、少なくとも部分的に印加され得る。
【0024】
張力制御システムは、さらに、テープ供給部に関連付けられ、テープ供給部から剪断機構へのトウ材料の送給を制動するように構成された、ブレーキを含み得、張力は、ブレーキによって、少なくとも部分的に印加され得る。
【0025】
張力制御システムは、さらに、張力を変化させることによって、駆動力を最小閾値より上に維持するようにさらに構成され得る。
【0026】
トウ材料は、予め含浸されたトウ材料であり得る。
【0027】
剪断機構は、圧縮ローラ及び把持シュー又はローラを含み得、一対の剪断境界のうちの第1の剪断境界は、通常作動における圧縮ローラとモールドとの間の接触点によって画定され、一対の剪断境界のうちの第2の剪断境界は、圧縮ローラと把持シュー又はローラとの間の接触点によって画定される。
【0028】
テープ敷設ヘッドは、さらに、ウェブ機構を含み、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、ウェブ機構は、トウ材料がモールドに敷設された後に、トウ材料からウェブを除去するように構成され得る。
【0029】
ウェブ機構は、さらに、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブをトウ材料に加えるように構成され得る。
【0030】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み得、モータは、ウェブ材料回収部を作動させて、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張るように構成される。
【0031】
テープ敷設ヘッドは、さらに、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、トウ材料の横方向滑りが補償されるように、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して横方向に剪断機構を移動させるように構成された、滑り補償機構とを含み得、その結果、トウ材料の横方向滑りが補償される。
【0032】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの1つ以上の、ヘッドの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動するための駆動装置とを含み得る。
【0033】
滑り補償機構は、さらに、トウ材料の横方向滑りを感知するように構成されたセンサを含み得る。
【0034】
別の態様は、上記のような複数のテープ敷設ヘッドを含む、テープ敷設システムを提供する。
【0035】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおける使用のためのコントローラを提供し、テープ敷設システムは、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された、一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成された、剪断機構を含み、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料を操向する間、トウ材料に対する長手方向成分と横方向成分を有し、コントローラは、トウ材料に加えられる張力に変化をもたらすこと、及び、駆動力を監視することによって、トウ材料に作用する駆動力の横方向成分を、剪断機構に関連する最大横方向摩擦力に等しいか、それ未満に制御するように構成される。
【0036】
コントローラは、さらに、トウ供給部と剪断機構との間のトウ材料の張力を表す、第1の荷重センサ信号を受信するように構成され得、第1の荷重センサ信号は、コントローラによって、駆動力を監視することに使用され得る。
【0037】
トウ材料は、裏打ち材を備え得、剪断機構は、トウ材料を裏打ち材から分離するように構成され得、コントローラは、さらに、剪断機構と裏打ち材回収部との間の裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を受信するように構成され得、第2の荷重センサ信号は、コントローラによって、駆動力を監視することに使用され得る。
【0038】
コントローラは、さらに、第1のモータ信号を出力するように構成され得、剪断機構は、さらに、トウ案内ローラ、及び、把持シュー又はローラを含み得、第1のモータは、トウ案内ローラの回転を駆動し得、第1のモータ信号は、第1のモータの作動を制御し得、張力は、第1のモータによって少なくとも部分的に印加され得る。
【0039】
コントローラは、さらに、第2のモータ信号を出力するように構成され得、第2のモータは、裏打ち材回収部の作動を駆動し得、第2のモータ信号は、第2のモータの作動を制御し得、張力は、第2のモータによって、少なくとも部分的に印加され得る。
【0040】
ブレーキは、テープ供給部に関連付けられ得、テープ供給部から剪断機構へのトウ材料の送給を制動するように構成され得、コントローラは、ブレーキを制御するためのブレーキ信号を生成するように構成され得、張力は、ブレーキによって、少なくとも部分的に印加され得る。
【0041】
コントローラは、さらに、張力を変化させることによって、駆動力を最小閾値以上に維持するように構成され得る。
【0042】
テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み得、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前にウェブを備え、コントローラは、さらに、トウ材料がモールドに敷設された後、ウェブ機構を作動させ、ウェブをトウ材料から除去するように構成され得る。
【0043】
コントローラは、さらに、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブ機構を作動させ、ウェブをトウ材料に加えるように構成され得る。
【0044】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み得、コントローラは、さらに、モータを作動させ、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張るように構成される。
【0045】
テープ敷設システムは、さらに、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構とを含み得、コントローラは、さらに、滑り補償機構を作動させて、剪断機構を、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して横方向に移動させるように構成され得、その結果、トウ材料の横方向滑りが補償される。
【0046】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置と、を含み、コントローラは、駆動装置を作動させて、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動するように構成される。
【0047】
コントローラは、さらに、トウ材料の横方向滑りを示す信号を、センサから受信するように構成され得る。
【0048】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法を提供し、テープ敷設システムは、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成された、剪断機構を含み、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、トウ材料の操向の間、駆動力は、トウ材料に対して長手方向成分と横方向成分とを有し、方法は、トウ材料に印加される張力の変動をもたらすことと、駆動力を監視することによって、トウ材料に作用する駆動力の横方向成分を、剪断機構に関連する最大横方向摩擦力と等しいか、又は、それ未満に制御する。
【0049】
制御方法は、さらに、トウ供給部と剪断機構との間のトウ材料の張力を表す、第1の荷重センサ信号を受信することと、第1の荷重センサ信号を、駆動力を監視することに使用することを含み得る。
【0050】
トウ材料は、裏打ち材を備え得、剪断機構は、トウ材料を裏打ち材から分離するように構成され得、制御方法は、さらに、剪断機構と裏打ち材回収部との間の裏打ち材の張力を表す、第2の荷重センサ信号を受信することと、第2の荷重センサ信号を、駆動力を監視することに使用することを含み得る。
【0051】
制御方法は、さらに、第1のモータ信号を出力することを含み得、剪断機構は、さらに、トウ案内ローラ、及び、把持シュー又はローラを含み得、第1のモータは、トウ案内ローラの回転を駆動し得、第1のモータ信号は、第1のモータの作動を制御し得、張力は、第1のモータによって少なくとも部分的に印加され得る。
【0052】
制御方法は、さらに、第2のモータ信号を出力することを含み、第2のモータは、裏打ち材回収部の作動を駆動し得、第2のモータ信号は、第2のモータの作動を制御し得、張力は、第2のモータによって少なくとも部分的に印加され得る。
【0053】
ブレーキは、テープ供給部に関連付けられ得、テープ供給部から剪断機構へのトウ材料の送給を制動するように構成され得、制御方法は、さらに、ブレーキを制御するためのブレーキ信号を生成することを含み、張力は、ブレーキによって少なくとも部分的に印加され得る。
【0054】
制御方法は、さらに、張力を変化させることによって、駆動力を最小閾値以上に維持することを含み得る。
【0055】
テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前にウェブを備え、方法は、さらに、トウ材料が、モールドに敷設された後、ウェブをトウ材料から除去するように、ウェブ機構を作動させることを含む。
【0056】
方法は、さらに、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブをトウ材料に加えるように、ウェブ機構を作動させることを含み得る。
【0057】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部とを含み得、方法は、さらに、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張るように、モータを作動させることを含む。
【0058】
テープ敷設システムは、さらに、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構とを含み、方法は、さらに、滑り補償機構を作動させて、剪断機構を、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して横方向に移動させることを含み得、その結果、トウ材料の横方向滑りが補償される。
【0059】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置とを含み得、方法は、さらに、駆動装置を作動させて、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動することを含む。
【0060】
方法は、さらに、トウ材料の横方向滑りを示す信号を、センサから受信することを含み得る。
【0061】
別の態様は、実行されると、上記の制御方法の作動を引き起こす、それに記憶された命令を有する、コンピュータ可読媒体を提供する。
【0062】
別の態様は、複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドを提供し、テープ敷設ヘッドは、剪断機構を含み、剪断機構は、トウ材料をトウ供給部から受容し、剪断機構によって画定された、一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有し、剪断機構は、圧縮ローラと、把持シュー又はローラとを含み、一対の剪断境界のうちの第1の剪断境界は、通常の作動において、圧縮ローラとモールドの接触点によって画定され、一対の剪断境界のうちの第2の剪断境界は、圧縮ローラと、把持シュー又はローラとの接触点によって画定される。
【0063】
別の態様は、複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドを提供し、テープ敷設ヘッドは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ材料をトウ供給部から受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間、トウ材料に対する長手方向成分と横断方向成分とを有する、剪断機構と、ウェブ機構であって、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、ウェブ機構は、トウ材料がモールドに敷設された後に、トウ材料からウェブを除去するように構成された、ウェブ機構と、を含む。
【0064】
ウェブ機構は、さらに、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブをトウ材料に加えるように構成され得る。
【0065】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられた、ウェブ材料回収部とを含み、モータは、ウェブ材料回収部を作動させて、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張るように構成される。
【0066】
別の態様は、複合構造の構築において、トウ材料をモールドに敷設するように構成された、テープ敷設ヘッドを提供し、テープ敷設ヘッドは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ材料をトウ供給部から受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構であって、滑り補償機構は、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して、剪断機構を横方向に移動させるように構成され、その結果、トウ材料の横方向滑りが補償される、滑り補償機構と、を含む。
【0067】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、ヘッドの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動するための駆動装置と、を含み得る。
【0068】
滑り補償機構は、さらに、トウ材料の横方向滑りを感知するように構成された、センサを含み得る。
【0069】
別の態様は、上記のようなテープ敷設ヘッドの複数を含む、テープ敷設システムを提供する。
【0070】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するためのコントローラを提供し、テープ敷設システムは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、ウェブ機構であって、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前にウェブを備える、ウェブ機構と、を含み、コントローラは、ウェブ機構を作動させ、トウ材料がモールドに敷設された後に、ウェブをトウ材料から除去するように構成される。
【0071】
コントローラは、さらに、ウェブ機構を作動させ、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブをトウ材料に加えるように構成され得る。
【0072】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられたウェブ材料回収部と、を含み得、コントローラは、さらに、モータを作動させ、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張るように構成される。
【0073】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するためのコントローラを提供し、テープ敷設システムは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構と、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構と、を含み、コントローラは、滑り補償機構を作動させて、剪断機構を、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して横方向に移動させ、その結果、トウ材料の横方向の滑りが補償されるように構成される。
【0074】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、テープ敷設システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置と、を含み、コントローラは、駆動装置を作動させて、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動するように構成される。
【0075】
コントローラは、さらに、トウ材料の横方向滑りを表す信号を、センサから受信するように構成され得る。
【0076】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法を提供し、テープ敷設システムは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間に、トウ材料に対する長手方向成分と横方向成分とを有する、剪断機構を含み、テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構を含み、トウ材料は、トウ材料の剪断変形の前に、ウェブを備え、方法は、ウェブ機構を作動させて、トウ材料がモールドに敷設された後、ウェブをトウ材料から除去することを含む。
【0077】
方法は、さらに、ウェブ機構を作動させ、トウ材料の剪断変形に先立って、ウェブをトウ材料に加えることを含み得る。
【0078】
ウェブ機構は、ウェブ材料の供給部と、モータに関連付けられた、ウェブ材料回収部とを含み得、方法は、さらに、モータを作動させて、ウェブ材料の供給部からウェブを引っ張ることを含む。
【0079】
別の態様は、テープ敷設システムの張力制御システムにおいて使用するための制御方法を提供し、テープ敷設システムは、剪断機構であって、剪断機構は、トウ供給部からトウ材料を受容し、剪断機構によって画定された一対の剪断境界の間で、トウ材料に剪断変形を加えることによって、トウ材料を操向するように構成され、剪断機構は、さらに、トウ材料に駆動力を加えるように構成され、駆動力は、トウ材料の操向の間に、トウ材料に対する長手方向成分及び横方向成分を有する、剪断機構を含み、テープ敷設システムは、さらに、ウェブ機構と、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部と、滑り補償機構と、を含み、方法は、滑り補償機構を作動させて、剪断機構を、トウ材料の供給部、及び/又は、裏打ち材回収部に対して横方向に移動させ、その結果、トウ材料の横方向滑りが補償されることを含む。
【0080】
滑り補償機構は、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューのうちの、1つ以上の、テープ敷設システムの一部に対する移動を可能にするように構成された、1つ以上のレールと、駆動装置と、を含み得、方法は、さらに、駆動装置を作動させて、剪断機構、又は、トウ案内ローラ及び把持シューの移動を駆動することを含む。
【0081】
方法は、さらに、トウ材料の横方向滑りを表す信号を、センサから受信することを含み得る。
【0082】
別の態様は、実行されると、上記の制御方法の作動を引き起こす、それに記憶された命令を有する、コンピュータ可読媒体を提供する。
【0083】
実施形態は、ほんの一例として、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】いくつかの実施形態の張力制御システムの概略図である。
図2】いくつかの実施形態のテープ敷設システムの概略図である。
図3】いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図4】トウ材料間およびトウ材料内の剪断の概略説明図である。
図5】力ベクトルを伴う、剪断機構の関与の概略図である。
図6】力ベクトルを伴う、剪断機構の関与の概略図である。
図7】力ベクトルを伴う、剪断機構の関与の概略図である。
図8】力ベクトルを伴う、剪断機構の関与の概略図である。
図9】いくつかの実施形態の張力制御システムによって使用され得る、制御形態を示す図である。
図10】いくつかの実施形態のテープ供給部の概略図である。
図11】いくつかの実施形態の裏打ち材回収部の概略図である。
図12】いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図13】いくつかの実施形態の圧縮ローラ及び把持シューを示す図である。
図14】いくつかの実施形態の圧縮ローラ及び把持シューを示す図である。
図15】いくつかの実施形態の圧縮ローラ及び把持シューを示す図である。
図16】いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図17】試験装置を備えた、いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図18】クリールユニットが識別される、いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図19】滑り補償機構を備えた、いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図20】滑り補償機構を備えた、いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
図21】滑り補償機構を備えた、いくつかの実施形態のテープ敷設ヘッドの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
実施形態は、テープ敷設ヘッド1(例えば、図2及び図3参照)を含む。テープ敷設ヘッド1は、テープ2をモールド3に敷設するように構成される。テープ敷設ヘッド1は、テープ敷設システム100の一部であり得、いくつかの実施形態は、例えば、本明細書に記載される、複数のテープ敷設ヘッド1を含み得る、テープ敷設システム100を含む。
【0086】
テープ敷設ヘッド1は、例えば、複合構造体の構築の一環として、テープ2をモールド3に敷設するように構成され得る。
【0087】
テープ敷設システム100は、例えば、ロボットアーム又はガントリを使用して、モールド3を横切って、テープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1を移動させるように構成される。テープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1は、モールド3が、テープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1によって、横断されるときに、テープ2をモールド3上に敷設するように構成される。いくつかの実施形態では、テープ敷設システム100は、実質的に静止したモールド3を横切ってテープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1を移動させるように構成されるが、同等に、テープ敷設システム100は、実質的に静止したテープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1に対して、モールド3を移動させるように(又は、モールド3、及び、テープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1の両方を移動させるように)構成され得る。いずれの場合でも、テープ敷設システム100は、モールド3に対して、テープ敷設ヘッド1、又は、各テープ敷設ヘッド1を移動させるように構成され得るが、これは、達成され得る。
【0088】
テープ敷設ヘッド1は、モールド3に敷設するために、テープ2をテープ供給部4から受容するように構成される。テープ供給部4は、例えば、テープ敷設ヘッド1の一部を形成し得、また、幅広のテープ敷設システム100の一部であり得る。
【0089】
テープ供給部4からのテープ2は、テープ敷設ヘッド1によって、剪断機構5に送給されるように構成される。剪断機構5は、テープ供給部4からテープ2を受容し、テープ2をモールド3に敷設するように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、テープ供給部によって提供されるテープ2は、裏打ち材21及びトウ材料22を有し得、裏打ち材21は、トウ材料22を支持する(例えば、テープ2がテープ供給部4から剪断機構5へ、又は、剪断機構5に向かって、送給されるとき)。例えば、トウ材料22は、モールド3に敷設されるものであり、裏打ち材21は、廃棄するためのものであり得る。トウ材料22は、1つ以上の強化繊維を含み得、本明細書で、より詳細に説明される。いくつかの実施形態では、裏打ち材21は、トウ材料22を形成するために、1つ以上の強化繊維と結着され得る、結着材料又は樹脂材料を提供する。結着材料又は樹脂材料は、例えば、裏打ち材21上の層として提供され得る。
【0091】
剪断機構5の領域で、又は、その領域内において、裏打ち材21は、トウ材料22から除去され得る。これは、トウ材料が、モールド3に敷設される前に、又は、トウ材料がモールド3上に敷設されるときに、生じ得る。トウ材料22、及び、特に、結着材料又は樹脂材料を加熱するために、ヒータ(不図示)が提供され得る。ヒータは、例えば、剪断機構5の上流側のトウ材料22の経路に設けられ得る。
【0092】
トウ敷設ヘッド1は、トウ材料22から分離されると、裏打ち材21を、裏打ち材回収部6に送給するように構成され得る。裏打ち材回収部6は、後の廃棄(例えば、リサイクルすることを含み得る)のために、裏打ち材21を回収するように構成され得る。裏打ち材回収部6は、例えば、テープ敷設ヘッド1の一部を形成し得、又は、幅広のテープ敷設システム100の一部であり得る。
【0093】
したがって、作動時、テープ2は、テープ供給部4から剪断機構5に通過し得る(テープ2、及び/又は、裏打ち材21の進行方向を表わす、図1における実線の矢印を参照)。剪断機構5の領域で、又は、その領域内において、テープ2の裏打ち材21は、トウ材料22から分離され得る。剪断機構5は、トウ材料22をモールド3に運び得(図3の破線の矢印は、モールド3に対する剪断機構5の進行方向を示す)、裏打ち材21は、回収のために、裏打ち材回収部6に送給され得る。これらの作動の全部又はいくつかは、テープ敷設ヘッド1の作動の一部として実行され得るが、説明されるように、いくつかの部分(テープ供給部4及び/又は裏打ち材回収部6など)は、幅広のテープ敷設システム100の一部であり得、それで、送給及び/又は回収作動は、場合に応じ、幅広のテープ敷設システム100によって実行され得る。
【0094】
実施形態は、張力制御システム7を含む(例えば、図1及び図3を参照)。張力制御システム7は、モールド3への、トウ材料の敷設の直前の段階で、トウ材料22の張力を制御するように構成される。換言すれば、張力制御システム7は、剪断機構5におけるトウ材料22の張力を制御するように構成され得る。
【0095】
テープ
記載されるようなテープ2は、裏打ち材21及びトウ材料22を含む。裏打ち材21は、例えば、紙ベースの裏打ち材21であり得る。裏打ち材21は、例えば、トウ材料22をモールド3上に敷設する前に、トウ材料22を支持するように構成され得る。裏打ち材21は、また、テープ2の保管を補助するように構成され得、その結果、テープ2は、(例えば、図10を参照して、テープ供給部4などの)ボビン41に巻かれ得る。
【0096】
トウ材料22は、多数の異なる形態を取り得るであろうが、例えば、炭素繊維又はガラス繊維であり得る、1つ以上の強化繊維22a(例えば、図4参照)を含む。強化繊維22aは、細長い繊維であり得、トウ材料22内において、織布又は不織布構成であり得る。強化繊維22aは、複数が設けられる場合、トウ22bとして知られる、1つ以上の束に設けられ得る。
【0097】
トウ材料22は、結着材料を含み得る。結着材料は、例えば、強化繊維22aの互いに対する相対的な配置を保持するのを支援し、及び/又は、トウ材料22をモールド3(又は、既にモールド3に敷設されたトウ材料22の他の層)に付着するのを支援するように構成され得る。結着材料は、トウ材料22からの複合構造の形成に使用するための樹脂材料として不十分であり得る。したがって、トウ材料22は、例えば、トウ材料22のモールド3への敷設後に、熱硬化性樹脂材料で含浸させられ得、及び/又は、含浸させられることを意図され得る。そのようなトウ材料22は、その供給された形態における適切な樹脂材料の不存在により、乾燥トウ材料22として説明され得る。
【0098】
トウ材料22は、事前含浸トウ材料22であり得る。事前含浸トウ材料22は、その供給された形態において、適切な樹脂材料(すなわち、熱硬化性樹脂材料)を含み、トウ材料22から複合構造を形成する。したがって、例えば、さらなる熱硬化性樹脂材料を適用する必要はない。したがって、事前含浸トウ材料22は、1つ以上の強化繊維22aと樹脂材料とを含む。樹脂材料は、また、マトリックス材料とも称され得、他の形態を取り得るであろう。
【0099】
事前含侵トウ材料22は、乾燥トウ材料22よりも高い剪断剛性を有する傾向がある。
【0100】
いくつかの実施形態では、トウ材料22は、1つ以上の強化繊維と、結着材料又は樹脂材料との2つの部分で提供される。2つの部分は、例えば、テープ敷設ヘッド1、又は、幅広のテープ敷設システム100内で、組み合わされ得る。結着材料又は樹脂材料は、例えば、裏打ち材21上に設けられ得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、無端裏打ち材21が提供され得(テープ敷設ヘッド1の一部として)、これは、トウ材料22を支持することに関して、本明細書に記載された、裏打ち材21と同様の目的を果たす(ただし、トウ材料22の貯蔵、又は、結着材料又は樹脂材料の提供に関係しない)。したがって、そのような実施形態では、トウ材料22は、テープ敷設ヘッド1内で、テープ供給部4から無端裏打ち材21に提供され得る。これらの実施形態では、テープ供給部4に関するテープ2への参照は、トウ材料22への参照である(例えば、トウ材料22は、ボビン41上に提供され得るなど)。
【0102】
実施形態は、その供給される形態において、裏打ち材21を含むテープ2に関して記載されるが、裏打ち材21が、テープ敷設ヘッド1内に設けられた無端裏打ち材21の形態である実施形態、又は、トウ材料22が、テープ敷設ヘッド1内、又は、幅広のテープ敷設システム100内において、樹脂材料に加えられる実施形態においても、同様のことが当てはまると理解されるべきである。
【0103】
一般に、本明細書で使用されるように、テープ2への参照は、1つ以上のトウ(その各々は、1つ以上の強化繊維22aを含み得る)への参照として解釈され得る。したがって、テープ2への参照は、トウへの参照であり得、用語は、そうでないと説明されない限り、本明細書では、いかなる特有の意味にも使用されない。
【0104】
テープ供給
テープ供給部4は、テープ2が巻回されるボビン41を含み得る。テープ供給部4は、ボビン41を受け入れて支持するように構成され得る、クリール42(例えば、図10を参照)を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のボビン41が存在し、各ボビン41は、クリール42によって受容され、支持される。
【0105】
記載されるように、テープ供給部4は、テープ敷設ヘッド1の一部、又は、幅広のテープ敷設システム100の一部を形成し得る。
【0106】
テープ供給部4は、剪断機構5にテープ2を供給するように構成され得、そのようなものとして、テープ経路は、テープ供給部と剪断機構5との間に画定され得る。このテープ経路は、テープ敷設ヘッド1によって、少なくとも部分的に形成され得る。このテープ経路の1つ以上の部分は、例えば、テープ2が通過し得る、チューブによって画定され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、テープ供給部4は、テープ敷設システム100の複数のテープ敷設ヘッド1にテープ2を供給するように構成される(例えば、テープ敷設システム100の一部として複数のテープ敷設ヘッド1が存在する実施形態において)。したがって、テープ供給部4は、各テープ敷設ヘッド1に対して、少なくとも1つのボビン41を含み得、その結果、別々のテープ(又はトウ)2が、各テープ敷設ヘッド1に供給され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のテープ(又はトウ)2が、並列に、単一の(すなわち、1つ及び1つのみの)テープ敷設ヘッド1に供給される(及び、それぞれが、複数のテープ2を、並列して、テープ供給部4から受容する、複数のそのようなテープ敷設ヘッド1が存在し得る)。
【0108】
ボビン41又は各ボビン41は、取り外し可能であり得、テープ供給部4は、1つ以上のボビン41を受容するように構成されたクリール42を含み得る。テープ供給部4は、テープ2が、剪断機構5(又は、場合によっては、複数の機構5)に向かって通過するように構成された、1つ以上のテープ経路を少なくとも部分的に画定し得る。
【0109】
テープ供給部4によって供給されるテープ2は、本明細書に記載される、任意のテープ2であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、このテープ2は、トウ材料22及び裏打ち材21を含み得る。いくつかの実施形態では、テープ供給部4によって供給されるテープ2は、トウ材料22を含むが、裏打ち材21は、別個に、例えば、無端ループとして提供される。トウ供給部4は、いくつかのそのような実施形態では、裏打ち材21(例えば、無端ループ)に、トウ材料22を渡すように構成され得る。いくつかの実施形態では、無端ループは、テープ供給部4の一部であると考慮され得る。いくつかの実施形態では、無端ループは、例えば、テープ敷設ヘッド1の一部であり得る。
【0110】
剪断機構
剪断機構5は、概して、特許文献6に記載されるような機構であり得る。
【0111】
剪断機構5は、トウ材料22をモールド3上に押圧するように構成された、圧縮シュー51を含み得る(本明細書では、モールド3への、トウ材料22などの、材料の敷設への参照は、モールド3への材料の間接的な敷設(例えば、モールド3上に既に敷設された材料の層上への材料の敷設)を含むことが理解されるであろう)。
【0112】
圧縮シュー51は、圧縮シュー51の幅を横切って第2の側部51bに対向する第1の側部51aを有し得る。第1の側部51aは、図示されるように、概して平坦な、又は、平面の表面を有し得、又は、異なる形態の表面を有し得るであろう。第1の側部51aの基部(また、圧縮シュー51の基部になり得る)には、圧縮シュー51の実質的に直線状の後縁が存在し得る。後縁は、圧縮シュー51の第1の側部51aと、圧縮シュー51の圧縮側51cとを境界づける。圧縮側51cは、圧縮面51cを含み、用語は、本明細書では同義的に使用される。
【0113】
圧縮面51cは、トウ材料22をモールド3に押し付けるように構成される。圧縮面51cは、圧縮シュー51(及び、例えば、テープ敷設ヘッド1)が、モールド3を横切って移動して、トウ材料22を敷設する際に、トウ材料22が、圧縮シュー51とモールド3との間を通過するのを可能にするように構成され得る。圧縮面51cは、実質的に平滑な表面であり得、圧縮シュー51が、敷設されたトウ材料22上を摺動することを可能にするために、比較的低い摩擦係数を有し得る。
【0114】
圧縮シュー51の後縁は、圧縮シュー51が、通常の敷設作業中に、モールド3に対して移動する際に、モールド3にトウ材料22を押し付ける、圧縮シュー51の最終部分を表す。したがって、これは、また、圧縮シュー51の後縁、より具体的には、圧縮面51cの後縁(後方(及び前方)は、モールド3に対する圧縮シュー51の移動方向によって画定される)と称されるであろう。
【0115】
圧縮シュー51は、また、前縁を含み得る。前縁は、圧縮シュー51の幅を横切って、後縁に対向し得る(及び、その幅は、圧縮シュー51の基部のところであり得る)。前縁は、圧縮シュー51の第2の側部51bと、圧縮シュー51の圧縮側51cとの間を境界づけ得る。
【0116】
圧縮シュー51の前縁は、圧縮シュー51が、通常の敷設作業中に、モールド3に対して移動する際に、モールド3にトウ材料22を押し付ける、圧縮シュー51の最初の部分を表す(これは、本明細書に記載される剪断境界であり得る)。したがって、これは、圧縮シュー51の前縁、より具体的には、圧縮面51cの前縁と呼ばれるだろう(再度、前方(及び後方)は、モールド3に対する圧縮シュー51の移動方向によって画定される)。
【0117】
いくつかの実施形態では、後縁は、第1の側部51aが薄肉縁(すなわち、比較的小さい半径を備える)に沿って、圧縮側51cと交わり得るという点で、比較的シャープな縁部であり得る。いくつかの実施形態では、前縁は、第2の側部51bが、相対的に大きい半径を有する(上記の薄肉部と比較して)、湾曲した縁(断面において)に沿って、圧縮側51cと交わり得るという点で、比較的丸みを帯びた縁部であり得る。
【0118】
後縁及び前縁は、両方とも、実質的に直線状の縁部であり得る。換言すれば、2つの縁部は、それぞれ、実質的に直線の軸に沿って延び得る。前縁及び後縁は、互いに対して実質的に平行であり得る(すなわち、実質的に直線の軸が、互いに実質的に平行であり得る)。
【0119】
第2の側部51bは、例えば、図示されるような曲面を有し得、又は、異なる形態の表面を有し得るであろう。いくつかの実施形態では、第2の側部51bは、例えば、図示されるように、概して平坦である部分と、概して湾曲した部分の両方を有し得る。
【0120】
第2の側部51bは、少なくとも部分的に、トウ案内ローラ52を受容するように構成され得る(例えば、形成され、及び、大きさとされ得る)。したがって、トウ案内ローラ52は、剪断機構51の一部であり得、圧縮シュー51に隣接して配置され得る。特に、トウ案内ローラ52は、圧縮シュー51の第2の側部51bに隣接して配置され得る。
【0121】
トウ案内ローラ52は、トウ材料22が、圧縮シュー51に到達する前に、トウ材料22が、圧縮シュー51に隣接するトウ案内ローラ52の部分を通過し得るように配置され得る。換言すれば、トウ案内ローラ52は、剪断機構5を通るトウ材料22の経路に関して、圧縮シュー51の上流に配置され得る。
【0122】
トウ材料22は、テープ供給部4から剪断機構5への移動経路を有し、この経路は、テープ敷設ヘッド1を通る様々な部分から形成されることが理解されるべきである。トウ材料経路は、ところどころで、テープ経路と同じであり得、用語は、同義であり得る。しかしながら、典型的には、テープ経路は、テープ2の経路(すなわち、トウ材料22、及び、提供される場合には、裏打ち材21の経路)への参照であり、一方、トウ材料経路は、裏打ち材のための経路でもあり得、または、裏打ち材のための経路でなくてもよい。経路(トウ材料又はテープ)は、場合によっては、敷設作業中に、トウ材料22又はテープ2の通常の進行方向によって、すなわち、概して、テープ供給部4から剪断機構5に向かって(特に、圧縮シュー51に向かって)画定される、上流及び下流方向を有する。
【0123】
トウ案内ローラ52は、圧縮シュー51の前縁と概ね平行である、軸の周りに回転するように構成され得る。トウ案内ローラ52は、いくつかの実施形態では、シリコーンから作製された外面を有し得る。
【0124】
剪断機構5は、把持シュー53(また、例えば、トウ供給シューと称され得る)を含み得る。把持シュー53は、トウ案内ローラ52に隣接して配置され得、トウ材料は、把持シュー53とトウ案内ローラ52との間を通過し得る。換言すれば、トウ材料経路の少なくとも一部(及び、場合によっては、テープ経路)は、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間に画定され得る。
【0125】
把持シュー53は、トウ案内ローラ52に対して旋回可能に取り付けられた、概ね細長い部材から形成され得、把持シュー53の少なくとも一部とトウ案内ローラ52の少なくとも一部との間の距離は、その回動可能なマウント53a(回動可能なマウント53aは、剪断機構5の一部を形成し得る)の周りの把持シュー53の回転によって変化させられ得る。図示されるように、例えば、把持シュー53は、トウ案内ローラ52に隣接する遠位端と、近位端(遠位端に対向する)とを有し得る。回動可能なマウント53aは、把持シュー53の近位端と遠位端との間に配置され得る。
【0126】
把持シュー53の遠位端は、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間に、トウ材料22(又はテープ2)が挟まれ得る、表面積を増大させるように成形され得る。したがって、把持シュー53の遠位端は湾曲させられ得、湾曲の程度は、トウ案内ローラ52の少なくとも一部の円周形状と概ね一致し得る。
【0127】
旋回可能なマウント53aの周りの把持シュー53の回転運動は、把持シュー53の少なくとも一部(例えば、その遠位端の一部)とトウ案内ローラ52との間の距離を変化させ得る。旋回可能なマウント53aの周りの把持シュー53の回転運動は、把持シュー53の少なくとも一部(例えば、その遠位端の一部)とトウ案内ローラ52との間で、トウ材料22又はテープ2に加えられる力を変化させ得る(この力は、圧縮力であり得、また、換言すれば、把持力又は挟持力であり得る)。
【0128】
把持シュー53は、例えば、把持シュー53の遠位端を案内ローラ52に向かって付勢するように構成された、螺旋巻きばねであり得る、ばねなどの弾性付勢装置54を含み得る。いくつかの実施形態では、弾性付勢装置54は、空気圧又は油圧ラムを含む。
【0129】
したがって、トウ材料22は、圧縮シュー51へと通過する前に、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間のトウ材料経路(把持領域において)をたどり得、圧縮シュー51は、圧縮領域において、トウ材料22をモールド3上に押圧し得る(すなわち、トウ材料22をモールド3上に敷設し得る)。
【0130】
いくつかの実施形態では、トウ材料22は、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間の経路を通して(すなわち、把持領域において)、裏打ち材21を伴い得る。そのようなものとして、経路のこの部分は、同様に、テープ経路として説明され得る。テープ2が、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間に画定される経路から離れると、裏打ち材21は、トウ材料22から除去され得る。換言すれば、テープ2が把持領域から離れると、裏打ち材21は、トウ材料22から分離され得る。いくつかの実施形態(図示されるものなど)では、裏打ち材21は、把持シュー53の最遠位端の周りを通過し得る。
【0131】
把持シュー53の最遠位端は、それの遠位端のいちばん端の部分であり得る。把持シュー53の最遠位端は、裏打ち材21のトウ材料22からの分離を助けるような、大きさとされ、及び/又は、形状とされ得る(例えば、適切な半径を有し得る)。
【0132】
したがって、裏打ち材21は、把持シュー53からの裏打ち材経路をたどり得る。この経路は、剪断機構5の下流(裏打ち材21の移動の経路、及び、通常の方向に関して)に存在し得る、裏打ち材回収部6まで、又は、裏打ち材回収部6に向かって延び得る。
【0133】
トウ材料22が接触する(圧縮シュー51に向かうその道のりで)、把持シュー53の最後の部分は、いくつかの実施形態では、把持エッジと称され、圧縮シュー51の前縁と平行に延び得る、把持シュー53の直線部分であり得、このエッジは、本明細書で説明されるように、剪断境界であり得る。
【0134】
理解されるように、剪断機構5は、モールド3に対して第1の方向に移動するように構成され得る。第1の方向は、例えば、敷設方向であり得、図3の図示例では、概ね、左から右である。
【0135】
剪断機構5は、さらに、モールド3に対して、第2の方向に移動するように構成され得、第2の方向は、第1の方向に対し、概ね垂直である(例えば、図3の図示例では、ページに対して出入する方向)。この第2の方向は、剪断方向であり得、トウ材料22に剪断変形を受けさせることを意図される。理解されるように、この第2の方向は、後縁、前縁、及び/又は、トウ案内ローラ52の回転軸に平行な方向であり得る。
【0136】
剪断機構5の第1の方向への移動は、モールド3に対して第1の方向に移動するテープ敷設ヘッド1によって駆動され得る。テープ敷設ヘッド1の、モールド3に対する第1の方向への移動は、テープ敷設ヘッド1が取付けられた、テープ敷設システム100の一部の移動(モールド3に対する)によって駆動され得る。テープ敷設システム100は、このために、テープ敷設ヘッド1が取付けられるガントリを含み得る(同一のガントリは、それに取り付けられた、複数のテープ敷設ヘッド1を有し得る)。
【0137】
剪断機構5の第2の方向への移動は、モールド3に対して第2の方向に移動する、テープ敷設ヘッド1によって駆動され得る。テープ敷設ヘッド1のモールド3に対する第2の方向への移動は、テープ敷設ヘッド1が取付けられた、テープ敷設システム100の一部(ガントリなど)の移動(モールド3に対して)によって駆動され得る。いくつかの実施形態では、剪断機構5の第2の方向への移動は、第2の方向における、テープ敷設ヘッド1に対する剪断機構5の被駆動移動であり得る。
【0138】
したがって、剪断機構5は、例えば、トウ操向、又は、剪断トウ操向と称される、トウ材料22の剪断変形を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、剪断機構5は、異なる形態をとり得る。例えば、圧縮シュー51は、ローラの形態であり得る。同様に、把持シュー53は、また、例えば、ローラの形態であり得る。いずれの場合においても、剪断機構5は、一対の剪断境界を提供し得る。
【0139】
裏打ち材回収部
裏打ち材回収部6は、例えば、図11を参照すると、ボビン61を含み得る(このボビン61とボビン41とを区別するために、ボビン61は、回収ボビン61と称され得、他のボビン41は、例えば、供給ボビン41と称され得る)。回収ボビン61は、トウ材料22からの分離に続いて、裏打ち材21を受容して回収するように構成され得る。換言すると、テープ敷設ヘッド1及び/又はシステム100の稼働中に、使用済みの裏打ち材21は、回収ボビン61に巻き付けられ得る。
【0140】
裏打ち材回収部6は、回収ボビン61を受容し、支持するように構成され得る、クリール62を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の回収ボビン61が存在し、各回収ボビン61は、クリール62によって受容され、支持される。クリール62は、テープ供給部4のそれとは別個のクリール62であり得、そのため、これは、回収クリール62と称され得る(他のクリール42は、供給クリール42と称される)。しかしながら、いくつかの実施形態では、クリールは、供給クリール42と回収クリール62とが、同じクリール(すなわち、同じクリール構造)であるように共用される。
【0141】
説明されるように、裏打ち材回収部6は、テープ敷設ヘッド1の一部又は幅広のテープ敷設システム100の一部を形成し得る。
【0142】
裏打ち材回収部6は、剪断機構5から裏打ち材21を受容するように構成され得、そのようなものとして、裏打ち材の経路は、剪断機構5と裏打ち材回収部6との間に画定され得る。この裏打ち材の経路は、少なくとも部分的に、テープ敷設ヘッドによって形成され得る。この裏打ち材の経路の1つ以上の部分は、例えば、裏打ち材21が通過し得るチューブによって画定され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、裏打ち材回収部6は、テープ敷設システム100の複数のテープ敷設ヘッド1から裏打ち材21を受容するように構成される(例えば、テープ敷設システム100の一部として複数のテープ敷設ヘッド1が存在する、複数の実施形態において)。したがって、裏打ち材回収部6は、各テープ敷設ヘッド1に対して、少なくとも1つのボビン61を含み得、分離した裏打ち材21は、各々のテープ敷設ヘッド1から受容され得る。いくつかの実施形態では、裏打ち材21の1つ以上のストリップが、単一の(すなわち、1つ及び1つのみの)テープ敷設ヘッド1から、並列に受容される(及び、それぞれが、並列に、裏打ち材回収部6に裏打ち材21の複数のストリップを提供する、複数のそのようなテープ敷設ヘッド1が存在し得る)。
【0144】
ボビン又は各ボビン61は、取り外し可能であり得、裏打ち材回収部6は、1つ以上のボビン61を受容するように構成されたクリール62を含み得る。裏打ち材回収部6は、裏打ち材21が、裏打ち材回収部6(又は、場合によっては、複数の回収部6)に向かって通過するように構成される、1つ又は複数の裏打ち材の経路を、少なくとも部分的に画定し得る。
【0145】
裏打ち材21が無端ループである実施形態では、裏打ち材の経路は、剪断機構5から裏打ち材回収部6に通過し、次いで剪断機構5に戻り得る(剪断機構5のところでは、裏打ち材21がテープ2の一部であり、無端ループではない実施形態に関して説明されたように、その経路は、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間を通過し得る)。
【0146】
張力制御システム
剪断機構5におけるトウ材料22の張力の制御は、トウ材料22のより理想的な剪断変形を促進するために重要であることが見出された。特に、把持領域と押圧領域との間(それは、把持シュー53の把持縁と圧縮シュー51の前縁との間、すなわち剪断境界の間であり得る)のトウ材料22の張力の制御が重要である。
【0147】
説明されるように、トウ材料22は、1つ以上の強化繊維22aを含み得る。説明のために、トウ材料22が、複数の強化繊維22aを含み、これらの繊維の少なくともいくつかが、例えば、トウ材料22の長さ(その長さは、概ね、トウ材料の経路に沿う)に沿って、平行に配列される、実施形態が考慮される。
【0148】
理想的には、剪断機構5の使用により加えられる剪断変形は、トウ材料22の幅を横切って、全ての強化繊維22aに剪断変形-トウ内剪断変形をもたらす(図4参照)。この剪断変形は、理想的には実質的に均一であろう。これは、トウ材料22内の強化繊維22aの互いに対する摺動を必要とする。
【0149】
しかしながら、実際には、そのような滑りは、トウ材料22の強化繊維間で、容易には均一に生じず、トウ間剪断が生じる(図4参照)。これは、局所化された座屈又はしわ(又は他の欠陥)が生じることをもたらす。これらの欠陥は、典型的には、剪断変形の境界(これは、本明細書で説明される把持領域と押圧領域、すなわち剪断境界によって画定される)に隣接して生じるであろう。
【0150】
加えて、滑りは、敷設されたトウ材料22が、モールド3上の、意図された、敷設されるトウ材料経路と位置ずれすることをもたらす。
【0151】
圧縮領域と把持領域との間(すなわち、剪断境界の間)のトウ材料22の張力の制御は、発生するそのような欠陥のリスクを低減し得ることが解明された。特に、トウ材料22を剪断しながら張力を加えることは、トウ材料22を、剪断変形の好ましいモード(最適な品質を与えるためのモード)である、トウ内剪断で変形することを強いる。
【0152】
したがって、実施形態は、テープ敷設ヘッド1の作動中に、この張力を制御するように構成された、張力制御システム7を含む。
【0153】
張力制御システム7は、第1の荷重センサ71及び第2の荷重センサ72を含み得る(図1及び図3を参照)。第1及び第2の荷重センサ71、72は、張力制御システム7のコントローラ73に通信可能に接続される。
【0154】
コントローラ73は、1つ以上のプロセッサ73aと、メモリ73bと、コンピュータ可読媒体73cと、入力/出力インターフェース73dとを含み得、これらの全てが、通信可能に一緒に接続されて、コントローラ73を形成し得る。
【0155】
第1及び第2の荷重センサ71は、コントローラ73の入力/出力インターフェース73dに通信可能に接続され得る。したがって、コントローラ73は、第1の荷重センサ71から第1の荷重センサ信号を受信し、第2の荷重センサ72から第2の荷重センサ信号を受信するように構成され得る。これらの信号は、例えば、入力/出力インターフェース73dで受信され得る。
【0156】
第1の荷重センサ信号は、第1の荷重センサ71によって検知された荷重を示す信号であり得る。第2の荷重センサ信号は、第2の荷重センサ72によって検知された荷重を示す信号であり得る。
【0157】
第1の荷重センサ71は、剪断機構5のトウ材料経路の上流で、トウ材料22の張力を感知するように構成され得る。したがって、第1の荷重センサ信号は、テープ供給部4と剪断機構5との間のトウ材料22の張力を示す信号であり得る。本明細書の説明から理解されるように、トウ材料22のこの張力は、テープ2(例えば、トウ材料22及び裏打ち材21を含む)の張力であり得る。
【0158】
第2の荷重センサ72は、裏打ち材経路において、剪断機構5の下流の、裏打ち材71の張力を感知するように構成され得る。したがって、第2の荷重センサ信号は、剪断機構5と裏打ち材回収部6との間の裏打ち材21の張力を示す信号であり得る。
【0159】
言い換えると、第1及び第2の荷重センサ信号は、トウ材料22及び裏打ち材21のそれぞれにおける、これらの材料の経路に関して、剪断機構51の両方の側での、張力を示す。これらは、同様に、入力張力(第1の荷重センサ信号によって示される張力に関連して)、及び、出力張力(第2の荷重センサ信号によって示される張力に関連して)とみなされ得る。
【0160】
第1及び第2の荷重センサ71、72は、多数の異なる形態をとり得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の荷重センサ71、72のそれぞれは、それぞれ一対の従ローラ71a、72aを含む。したがって、第1の荷重センサ71の、第1の一対の従ローラ71aが存在し得る。第2の荷重センサ72の、第2の一対の従ローラ72aが存在し得る。
【0161】
第1の一対の従ローラ71aの各従ローラは、互いに略平行であり得、トウ材料22の進行方向に垂直であり得る、それぞれの軸の周りに回転するように構成され得る。
【0162】
第2の一対の従ローラ72aの各従ローラは、互いに略平行であり得、裏打ち材21の進行方向に垂直であり得る、それぞれの軸の周りに回転するように構成され得る。
【0163】
第1の従ローラ対71aは、トウ材料22(テープ2であり得る)の一方側に配置され得る。第1の荷重センサ71は、第1の従ローラ対71aからオフセットされ得、第1の従ローラ対71aに対するトウ材料22の他方側に配置され得る、第1のロードセル71bを含み得る。トウ材料経路は、第1の従ローラ対71aのローラのうちの1つの周りを、第1のロードセル71bの周りを、少なくとも部分的に通過し、次いで、第1の従ローラ対71aのローラの他方の周りを、少なくとも部分的に通過し得る。
【0164】
第1のロードセル71bは、軸に取り付けられたローラの形態であり得、ロードセル部材は、例えば、軸への力を測定するために軸に関連付けられる。
【0165】
第2の従ローラ対72aは、裏打ち材21の一方側に配置され得る。第2の荷重センサ72は、第2の従ローラ対72aからオフセットされ得、第2の従ローラ対72aに対する裏打ち材21の他方側に配置され得る、第2のロードセル72bを含み得る。裏打ち材経路は、第2の従ローラ対72aのローラのうちの1つの周りを、第2のロードセル72bの周りを、少なくとも部分的に通過し、次いで、第2の従ローラ対72aのローラの他方の周りを少なくとも部分的に通過し得る。
【0166】
第2のロードセル72bは、軸に取り付けられたローラの形態であり得、ロードセル部材は、例えば、軸への力を測定するために軸に関連付けられる。
【0167】
張力制御システム7は、裏打ち材回収部6に関連付けられた第1のモータ74と、剪断機構5に関連付けられた第2のモータ75と、テープ供給部4に関連付けられたブレーキ76とを含み得る。
【0168】
第1のモータ74は、回収ボビン61の回転を駆動するように構成され得る。これは、例えば、回収ボビン61が取付け可能な、又は、取付けられる、クリール62の少なくとも一部の回転を(直接的又は間接的に)駆動することによって実現され得る。間接的な駆動は、例えば、1つ以上のギアを含み得る。
【0169】
第1のモータ74は、コントローラ73に通信可能に接続され得、したがって、入力/出力インターフェース73dに通信可能に接続され得る。第1のモータ74は、通信可能な接続を介して、コントローラ73から第1のモータ制御信号を受信するように構成され得る。第1のモータ制御信号は、第1のモータ74の作動を制御し得る。
【0170】
第2のモータ75は、トウ案内ローラ52の回転を駆動するように構成され得る。これは、例えば、トウ案内ローラ52が取り付けられるスピンドル(剪断機構5の一部であるスピンドル)の回転を(直接的又は間接的に)駆動することによって達成され得る。間接的な駆動は、例えば、1つ以上のギアを含み得る。
【0171】
第2のモータ75は、コントローラ73に通信可能に接続され得、したがって、入力/出力インターフェース73dに通信可能に接続され得る。第2のモータ75は、通信可能な接続を介して、コントローラ73から第2のモータ制御信号を受信するように構成され得る。第2のモータ制御信号は、第2のモータ75の作動を制御し得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、テープ供給部4に関連付けられたモータは存在しない(又は、トウ材料22又はテープ2の送給において、テープ供給部4の回転を駆動するように構成されたモータは存在しない)。テープ供給部4は、テープ2又はトウ材料22が、テープ供給部4から、テープ敷設ヘッド1の他の部分によって(例えば、第1及び/又は第2のモータ74、75などの作動を介してなど)、引き出され得るので、そのような実施形態では、受動的に作動させられると見なされ得る。
【0173】
ブレーキ76は、テープ供給部4に、制動トルクなどの制動力を付与するように、すなわち、テープ供給部4からのトウ材料22又はテープ2の供給に制動をかけるか、又は、さもなければ、供給を減速させるように構成され得る。例えば、ブレーキ76は、供給ボビン41の回転速度を変化させるために、供給ボビン41に制動力を付与するように構成され得る。これを達成するために、ブレーキ76は、供給ボビン41、及び/又は、供給ボビン41が取付けられる、及び/又は、取り付け可能な、クリール42に関連付けられ得る。
【0174】
ブレーキ76は、多数の異なる形態を取り得るであろう。ブレーキ76は、電子的に作動させられ得、したがって、コントローラ73に通信可能に結合接続され、コントローラ73からブレーキ信号を受信するように構成され得る。ブレーキ76は、したがって、入力/出力インターフェース73dに通信可能に接続され得る。
【0175】
ブレーキ76は、ブレーキ信号の制御下で、変化する制動力を付与するように構成され得る。したがって、テープ供給部4(例えば、クリール42及び/又はボビン41)に付与される制動トルクは、ブレーキ信号に応じて変化し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、ブレーキ76は、磁気ブレーキの形態である。したがって、テープ2がそこから送給されるときに回転する、テープ供給部4の一部(例えば、ボビン41又はクリール42の一部)は、永久磁石であり得る、少なくとも1つの第1の磁石を担持し得る。第1の磁石は、ブレーキ76の一部を形成し得る。ブレーキ76は、電磁石であり得る、第2の磁石を含み得る。第2の磁石は、第1の磁石の磁場内に配置され得、それと関連付けられ得る。第2の磁石は、第1の磁石と一緒の運動に対して固定され得る。換言すると、第2の磁石は、実質的に固定された磁石であり得る。ブレーキ信号は、第1の磁石に対する第2の磁石によって生成される磁場を変化させて、制動力を付与又は解放するように構成され得る。ブレーキ76は、例えば、モータであり得る(このモータは、制動力を提供するのみであり、しかしながら、テープ供給部4からのトウ材料22の供給を駆動しないように構成され得る)。理解されるように、磁気ブレーキの異なる構成が可能であり、制動力を変更するために、第2の磁石と第1の磁石とが、ブレーキ信号に依存して、互いに対して物理的に移動する実施形態を含む。ブレーキの他の形態が可能であり、例えば、ボビン41又はクリール42と共に回転するように連結されたブレーキディスクが、ブレーキパッド間に選択的に把持されて、制動力(ブレーキ信号に依存して変化させられる把持力)を付与する、機械式ブレーキを含む。他の形態の摩擦ブレーキが、また、ブレーキ76として想定される。
【0177】
したがって、コントローラ73は、第1及び第2の荷重センサ信号を受信するように構成され得る。コントローラ73は、第1及び第2のモータ制御信号及びブレーキ信号を出力するように構成され得る。
【0178】
プロセッサ又は各プロセッサ73aは、命令を実行するように構成され得、それらの命令は、コンピュータ可読媒体73cに記憶され得る。これらの命令の実行は、本明細書で説明されるように、テープ敷設ヘッドに関連して、1つ以上の張力制御作動の実行をもたらし得る。これらの張力制御作動は、第1のモータ74、第2のモータ75、及び/又は、ブレーキ76の作動を制御することを含み得る。
【0179】
プロセッサ又は各プロセッサ73aは、メモリ73bに通信可能に接続され得、プロセッサ又は各プロセッサ73aは、命令の実行において、メモリ73bを使用し得る。メモリ73bは、例えば、揮発性のメモリであり得る。
【0180】
コントローラ73は、また、テープ敷設ヘッド1、及び/又は、幅広テープ敷設システム100の1つ以上の他の作動を制御するように構成された、共用コントローラであり得る。これは、例えば、モールド3に対する剪断機構5の移動を含み得る(これは、例えば、モールド3に対するテープ敷設ヘッド1の移動を含み得る)。
【0181】
コントローラ73は、1つ以上の作動パラメータを受信するように構成され得る。作動パラメータ又は各作動パラメータは、テープ敷設ヘッド1の他の部分から、及び/又は、テープ敷設システム100から受信され得る。
【0182】
1つ以上の作動パラメータは、例えば、テープ敷設ヘッド1の作動の特性を表すパラメータである、トウ材料22の張力に対する設定点(すなわち、剪断機構51における(圧縮シュー51と把持シュー53との間などの)所望のトウ材料張力22)、及び/又は、トウ材料22に対する剪断角(すなわち、本明細書に記載される、モールド3に敷設される、トウ材料22に対する剪断角)、及び/又は、モールド3に対するテープ敷設ヘッド1の移動速度を含み得る。
【0183】
1つ以上の作動パラメータは、入力/出力インターフェース73dを介して受信され得、プロセッサ又は各プロセッサ73aに提供され得、及び/又は、メモリ73bに記憶され得、及び/又は、コンピュータ可読媒体73cに記憶され得る。
【0184】
コントローラ73は、張力制御作動又は各張力制御作動の実行において、受信された作動パラメータ、又は、各々の受信された作動パラメータを使用するように構成され得る。
【0185】
張力制御
従来のテープ敷設装置を使用して、トウ材料22が、直線上に、モールド3上に敷設されるとすると、トウ材料が従来のテープ敷設ヘッドを通過する際に、トウ材料に作用する、全ての力(例えば、摩擦力)の合計である、装置抵抗力Tlが存在する。これらの力は、例えば、トウ材料の供給機構におけるボビンに関連する摩擦、トウ材料が通過する全てのローラに関連する摩擦、トウ材料が通過するヘッド内の全ての表面に関連する摩擦を、例えば、含み得る。
【0186】
従来の装置におけるトウ材料22の敷設の間、ヘッドは、モールド3に対して移動させられ、これは、駆動力Pを提供する。
【0187】
図5を参照すると、装置抵抗力Tlと駆動力Pとは、互いに対向しており、互いに対して平行である(すなわち、それらは、整列している)。駆動力Pは、また、敷設されるトウ材料の張力を表す。
【0188】
装置抵抗力Tlが駆動力Pに等しいなら、その場合、一定の敷設速度(モールド3上のトウ材料22の敷設速度)が達成され、これは、また、トウ材料22の供給速度である。
【0189】
換言すると、以下の数1の式のとおりであるなら、トウ材料22の直線敷設において、一定の敷設速度が達成される(また、図5を参照、図5において、破線矢印がトウ材料22の移動方向を示す)。
【0190】
【数1】
【0191】
剪断機構(例えば、本明細書に記載される剪断機構5と同様の剪断機構)が、提供され、使用される、テープ敷設装置では、その場合、駆動力Pは、もはや、装置抵抗力Tlと整列しない。特に、駆動力Pは、装置抵抗力Tlに対して、角度を付けられる。駆動力Pが、装置抵抗力Tlに対して作用する角度は、剪断角によって決定される。剪断角は、モールド3に対するヘッドの主たる進行方向(すなわち、長手方向)に対して敷設される、トウ材料22の角度である。理解されるように、剪断機構は、モールド3に対して、ヘッドを、横方向(長手方向に垂直な方向)に移動させることによって作動する。
【0192】
したがって、そのような場合には、駆動力Pは、縦方向成分Pl及び横方向成分Ptを有すると考えられる。典型的には、剪断角にかかわらず、装置抵抗力Tlは、実質的に一定のままである。
【0193】
そのようなものとして、一定の敷設速度において、以下の数2の式のとおりとなる。
【0194】
【数2】
【0195】
したがって、剪断角が大きくなるにつれて、駆動力Pの大きさが増加し、したがって、この力の横方向成分も、以下の数3の式のとおりに増加し、θは、剪断角である(例えば、図6を参照、図6において、破線の矢印がトウ材料22の移動方向を示す)。
【0196】
【数3】
【0197】
把持シュー及びトウ案内ローラを備えた剪断機構(その把持シュー53及びトウ案内ローラ52を備えた、本明細書に記載される剪断機構5など)において、トウ材料22への把持シュー及びトウ案内ローラの作用は、把持シューを横切るトウ材料の横方向の動きに抵抗する働きをする。換言すれば、剪断角が大きくなるにつれて、作用は、把持シューを横切るトウ材料22の滑りを抑制する働きをする。したがって、把持シュー及びトウ案内ローラは、横方向の摩擦力Ttを提供する。
【0198】
駆動力Pの横方向成分Ptが、最大横方向摩擦力Tt,max未満のままであると、その場合、把持シューを横切るトウ材料22の横方向の滑りは存在しない。
【0199】
したがって、以下の数4の式のとおりであると、その場合、把持シューを横切るトウ材料22の横方向の滑りは存在しない。
【0200】
【数4】
【0201】
滑りが発生すると、そのとき、トウ材料22は、モールド3に対するヘッドの移動によって決定される、所望のトウ経路であって、滑りが発生しないことを当然だと思う、所望のトウ経路に追従しない。実際、最終的には、トウ材料22は、把持シュー53及び/又はトウ案内ローラ52の縁部に到達し、その縁部で潰れ、及び/又は、ヘッドの作動を妨害する。
【0202】
したがって、剪断機構を備えた従来の装置では、達成され得る剪断角に限界があり、この限界は、最大横方向摩擦力Tt,maxによって決定される。最大横方向摩擦力は、トウ案内ローラ52の表面の摩擦係数、及び、把持シュー53によって印加される圧力などのパラメータによって影響され得る。
【0203】
多くの従来の装置では、トウ材料22が敷設される時点(すなわち、堆積の時点)において、トウ材料22の張力を最小化することに設計焦点が存在する。これは、従来の装置では、トウ材料22の供給を積極的に駆動することによって(例えば、剪断機構を有する場合、トウ材料22を剪断機構に過給することによって)求められ得る。加えて又は代替的に、従来の装置では、これは、装置を通るトウ材料22に対する全摩擦力、特に、装置抵抗力Tlを最小化することによって求められ得る。
【0204】
本明細書に記載されるもの(すなわち、剪断機構5)、又は、特許文献6のものと同様の剪断機構を有する装置において、装置抵抗力Tlの大部分は、トウ材料22への把持シュー53及びトウ案内ローラ52の作用の結果である。これは、横方向の摩擦力Ttを提供するために必要とされる。
【0205】
特許文献6の装置では、例えば、トウ材料22の供給速度は、裏打ち材21の回収速度に同期される(例えば、機械的に)。この同期は、トウ材料22中の張力を最小限にすることに向かう。ボビンが、トウ材料22を使い果たしたとき、または、裏打ち材21を蓄積するとき、材21、材料22の送給及び回収の長さを変化させるために、電子的同期が実施され得る。しかしながら、そのような電子同期は、場合によっては、確実に実施することが困難であることが証明され、これは、敷設不良、ヘッドの停止、及び、敷設されたトウ材料22中の欠陥を導き得る。これらの問題は、例えば、敷設作業の増大した速度、敷設作業における停止開始サイクルの増大した頻度で、さらに悪くされ得る。そのようなシステムは、また、敷設作業(特に、トウ材料22の剪断を含む敷設作業)中に、トウ材料22の張力が変化させられ得る、何の機構も提供しない。
【0206】
したがって、いくつかの実施形態の張力制御システム7は、追加の力Pmをヘッド1の作動に導入することを求める(この追加の力は、また、引張力又は追加の引張力と称され得る)。この追加の力Pmは、トウ材料22及び/又は裏打ち材21を引っ張るように作用する力であり得、したがって、トウ材料22の供給を補助する。
【0207】
したがって、トウ材料の直線での敷設中、張力制御システム7の作動に応じた力は、以下の数5の式で(一定の敷設速度に対して)表され得る。
【0208】
【数5】
【0209】
言い換えると、装置抵抗力Tlは、図7を参照すると、駆動力P、及び、結合される(すなわち、追加される)付加力Pmに等しい(図7において、破線の矢印は、トウ材料22の移動方向を示す)。
【0210】
剪断作動中(すなわち、剪断機構5を用いた剪断作用によるトウ材料22の操向中)、力は、以下の数6の式で表され得る。
【0211】
【数6】
【0212】
換言すれば、装置抵抗力Tlは、図8を参照すると、駆動力の長手方向成分Plと、結合された(すなわち、追加された)付加力Pmとに等しい(図8において、破線の矢印はトウ材料22の移動方向を示す)。
【0213】
張力制御システム7は、本明細書に記載されるような能動的制御を通して、追加の力Pmを制御することを求め得る。したがって、張力制御システム7は、この追加の力Pmを調整して、把持シュー53を横切るトウ材料22の実質的な横方向滑りをなくして達成され得る、最大剪断角を増加させることを求めることが可能である。
【0214】
【数7】
【0215】
張力制御システム7は、また、本明細書に記載されているように、能動的制御によって、装置抵抗力Tlを制御することを求め得る(したがって、装置抵抗力Tlは、追加の力Pmに加えて、コントローラ73によって変化させられ得る張力であると考えられ得る)。
【0216】
換言すれば、駆動力の横方向成分Ptは、以下の数8の式によって定義される、滑りのない状態を維持するように制御され得る。
【0217】
【数8】
【0218】
付加力Pmを調整することによって、張力制御システム7は、また、剪断機構5におけるトウ材料22の張力(例えば、圧縮シュー51と把持シュー53との間の張力)を調整し得る。
【0219】
したがって、張力制御システム7は、駆動力横方向成分Ptが、最大横方向摩擦力Tt,maxを超えるのを避けることを求めるために、付加力Pmを調整するように構成され得る。
【0220】
張力制御システム7は、加えて、剪断機構5におけるトウ材料22の所定の最小張力(例えば、圧縮シュー51と把持シュー53との間の張力)を維持するために、付加力Pmを調整するように構成され得る。この所定の最小値は、例えば、1つ以上の作動パラメータのうちの1つ(すなわち、トウ材料22の張力の設定点)であり得る。
【0221】
剪断機構5におけるトウ材料22の最小張力は、敷設されたトウ材料22の欠陥を低減するために必要とされ得る。これは、例えば、トウ材料22の強化繊維22aが互いに対して摺動することを確実にするのを求めることを含み得る。
【0222】
理解されるように、剪断機構5におけるトウ材料22の最小張力は、トウ材料22の剪断剛性、強化繊維22aの互いに対する滑りへの抵抗(これは、繊維22a及び/又は、結着材料又は樹脂材料の特性であり得る)、トウ材料22の幅(すなわち、トウ材料22の長手方向軸に垂直な、剪断機構5を横切る深さ)、圧縮シュー51と把持シュー53との間の距離、及び/又は、同様の要因などの要因に依存し得る。
【0223】
付加力Pmは、いくつかの実施形態において、トウ材料22の所定の張力プロファイルを提供するために、張力制御システム7によって調整され得る。この張力プロファイルは、トウ材料22、モールド3に対するヘッドの移動速度、剪断角度、又は、トウ材料22若しくは敷設プロセスの他の特性などのパラメータに依存し得る。
【0224】
図9を参照すると、張力制御システム7は、剪断機構5におけるトウ材料22の所定の張力(すなわち、所望の張力)と、剪断角とを使用するように構成され得、それらの双方は、本明細書で論じられる作動パラメータの例であり得る。
【0225】
剪断機構5におけるトウ材料22の所定の張力は、本明細書で論じられる最小張力から、滑りのない状態を維持するために必要とされる張力以下であり得る、最大張力までの、張力の範囲であり得る。把持シュー53を横切るトウ材料22の滑りがないことは理想的であるが、理解されるように、特定の用途(例えば、結果として生じる欠陥が許容され得る用途)では、何らかの滑りを可能にすることが許容され得る。いくつかの用途では、滑りのないことは重要であり、そのようなものとして、最大張力は、安全マージン(理論張力の1%以上、理論張力の5%以上、理論張力の10%以上、又は、理論張力の20%以上であり得る)によって滑りのない状態を維持することが必要とされる、理論張力よりも低いものであり得る。
【0226】
最大張力(所定の張力それ自体であろうが、(範囲であり得る)所定の張力の設定に用いられようが)を決定するために、トウ敷設ヘッド1、及び/又は、トウ敷設システム100の作動の1つ以上の特性を決定することが必要であり得る。
【0227】
例えば、最大横方向摩擦力Tt,max、及び/又は、装置抵抗力Tlの1つ以上の成分を決定することが必要であり得る。
【0228】
例えば、特性又は各特性は、例えば、トウ敷設ヘッド1、及び/又は、システム100を使用して、トウ材料22を敷設し、次いで、欠陥について敷設されたトウ材料22を検査する、実験を通して決定され得る。いくつかの実施形態では、最大横方向摩擦力Tt,maxは、1つ以上のテープ端部検出器の提供を通じて決定され得る。
【0229】
テープ端部検出器又は各テープ端部検出器(テープ端部検出器の2つが存在し得る)は、把持シュー53(及び/又は、圧縮シュー51、及び/又はトウ案内ローラ52)に対して位置決めされ得、例えば、トウ材料22が把持領域に入る、又は、出る点での、検出器(複数可)とトウ材料との衝突を検出し、又は、代わりに(例えば、裏打ち材21がテープ材料22から取り外された後)、裏打ち材21を検出し得る。
【0230】
したがって、テープ端部検出器は、把持シュー53(又は他の構成要素)の一端又は一端に向かって配置され、トウ材料22の滑りを検出するように構成され、その結果、トウ材料22は、検出器に衝突する。一対で配置されたテープ端部検出器は、例えば、把持シュー53(又は他の構成要素)の対向する端部に、又は、端部に向って配置され得る。
【0231】
いくつかの実施形態の、特性又は各特性(したがって、最大張力)において、いくつかの実施形態は、アンカー501及びロードセル502を含む、試験装置を含み得る(図17を参照)。トウ材料22は、アンカー501に連結され得、アンカー501と圧縮機構5との間でロードセル502を通過し得る。これは、様々な異なる作動条件(例えば、アンカー501に対する圧縮機構5の異なる移動速度)に対するテープ張力(すなわち、トウ材料22の張力)を決定するために使用され得る。他の実施形態では、試験装置は、アンカー501に代えて、モータ駆動クリールを含み得、この場合において、クリールに対する圧縮機構5の移動は、クリールが、トウ材料22に張力を加えるために回転させられ得るので、必要とされない。
【0232】
したがって、システム100及び/又はヘッド1の使用中に、滑りが検出され得、これは、滑りが発生する横方向摩擦力、したがって、最大横方向摩擦力Tt,maxを確認するために使用され得る。これは、例えば、最大横方向摩擦力Tt,maxが、システム100及び/又はヘッド1の作動パラメータ(モールド3に対するヘッドの速度など)に関して、モデル化されることを可能にし得る。
【0233】
これらの1つ以上の特性は、張力制御システム7への(例えば、コントローラ73への(例えば、入力/出力インターフェース73dを介し得る、プロセッサ又は各プロセッサ73aへの))入力として受信され得、張力制御システム7に通信可能に接続され得るユーザインターフェース装置8から(例えば、有線又は無線通信リンクを介して)、手動で入力され得る。
【0234】
特性又は各特性は、例えば、後の検索及びプロセッサ(複数可)73aによる使用のために、コンピュータ可読媒体73cに記憶され得る。
【0235】
同様に、所定の張力(例えば、ある範囲の最小張力又は所定の張力自体)を決定するために、張力制御システム7(例えば、コントローラ73(例えば、入力/出力インターフェース73dを介したプロセッサ又は各プロセッサ73a))は、その剪断剛性などの、トウ材料22-の1つ以上の特性を受信する必要があり得る。これらの1つ以上の特性は、制御システム7(例えば、プロセッサ又は各プロセッサ73aを使用する、コントローラ73)が、所定の張力を決定することを可能にし得、又は、所定の張力自体であり得る(これは、例えば、ある範囲の最小張力であり得る)。
【0236】
再び、これらの1つ以上の特性は、ユーザインターフェース装置8を介して手動で入力され得、例えば、後の検索、及び、プロセッサ73aによる使用のために、コンピュータ可読媒体73cに記憶され得る。
【0237】
例えば、これらの特性又はこれらの特性のそれぞれは、例えば、トウ敷設ヘッド1及び/又はシステム100を使用してトウ材料22を敷設し、次いで、欠陥について、敷設されたトウ材料22を検査することにより、実験を通して決定され得る。他のオプションは、実験結果から生成された、試験リグ及び/又はモデルの使用を含む。
【0238】
さらに、システム100又は張力制御システム7のいくつかのバージョンは、固定トルクで駆動される裏打ち材回収部6、又は、摩擦クラッチであり得る、クラッチ機構(不図示)を介して、クリール62に結合された、裏打ち材回収部6を含み得る。そのような場合における裏打ち材回収部6の抵抗力及び駆動力は、システム100を較正するために実験的に測定され得る。
【0239】
これら及び他のそのようなシステム100、7は、クリールの直径の変化(材料が放出又は回収されるとき)を検出し、システム100、7の作動を調整し得る、1つ又は複数のセンサ(例えば、超音波及び/又は接触センサ)を含み得、したがって、必要とされるトウ材料22の張力を達成する。
【0240】
張力制御システム7への入力として使用される剪断角は、トウ敷設ヘッド1の特定の作動に対して、一定の剪断角であり得、又は、トウ敷設ヘッド1の作動中に変更され得る。したがって、この剪断角は、トウ敷設ヘッド1の特定の作動に必要な最大剪断角であり得、又は、トウ敷設ヘッド1の作動中に実質的にリアルタイムで変更され得る。
【0241】
これらの入力は、張力制御システム7のコントローラ73によって受信され得、プロセッサ(複数可)73aに渡され得る。したがって、コントローラ73の作動は、プロセッサ(複数可)73aの作動に起因していると理解されるであろうし、それらの作動は、コンピュータ可読媒体73cに記憶された命令の実行の結果であり得る。
【0242】
コントローラ73は、また、説明されるように、第1及び第2の荷重センサ信号を受信するように構成され得る。これらは、例えば、コントローラ73のフィードバックとして用いられ得る。
【0243】
1つ以上のこれらの入力を使用して、コントローラ73は、説明されるように、剪断機構5におけるトウ材料22の張力を制御するために、第1及び第2のモータ制御信号及びブレーキ信号を生成するように構成され得る。
【0244】
剪断機構5におけるトウ材料22の実際の張力は、測定が、剪断作動に干渉するであろうから、直接測定され得ない。しかし、張力は、以下の数9の式を用いて推定又は決定され得る。
【0245】
【数9】
【0246】
特に、装置抵抗力Tlは、(例えば、テープ敷設ヘッド1の実験的に決定された特性として、及び、(例えば、第1の荷重センサ71を使用して決定される)剪断機構5の上流のトウ材料22の張力の結果として)知られ得る。装置抵抗力は、ルックアップテーブルに記憶され得、システム100及び/又はヘッド1の異なるそれぞれの作動パラメータに対して(例えば、モールドに対するヘッドの移動の異なる速度に対して)、異なる抵抗力が存在し得る。ルックアップテーブルの代わりに、装置抵抗力は、異なる作動パラメータの下での抵抗力のモデルを使用して決定され得る。同様に、剪断角度(θ)は、説明されるように、コントローラ73に提供されるパラメータであり得る。付加力Pmは、張力制御システム7の作動によって提供される力であり、剪断機構5の下流の裏打ち材の張力によって表され得る。
【0247】
剪断境界間のトウ材料22の張力は、駆動力Pによって表され得る
したがって、コントローラ73は、第1及び/又は第2のモータ制御信号、及び/又は、ブレーキ信号を制御して、剪断境界間のトウ材料22の張力を調節(すなわち変化)させるように構成され得る。コントローラ73は、トウ材料22における、この張力を監視し得る(すなわち、駆動力Pを監視することによって)。第1及び/又は第2のモータ制御信号、及び/又は、ブレーキ信号の制御は、装置抵抗力Tl、及び/又は、付加力Pmを調整(すなわち、変化)させ得、ひいては、剪断境界間のトウ材料22の張力を調節する。この調節は、テープ敷設ヘッド1の作動中における能動的な調節であり得る。
【0248】
調節の効果は、第1及び第2の荷重センサ信号の使用によって判定され得、これらは、装置抵抗力Tl、及び/又は、追加力Pmに関連して、フィードバックを提供する。このフィードバックは、剪断境界間のトウ材料22の張力(駆動力Pによって表される)の間接的な測定値として使用され得、したがって、それは、監視され得る。
【0249】
このフィードバックは、コントローラ73によって、第1及び/又は第2のモータ制御信号、及び/又は、ブレーキ信号のさらなる変動をもたらし得る。いくつかの実施形態では、コントローラ73は、第2の荷重センサ信号に基づいて、第1及び/又は第2のモータ制御信号に関して、そのような変動を行うように構成され得る。
【0250】
いくつかの実施形態では、コントローラ73は、第1の荷重センサ信号に基づいて、ブレーキ信号に関する、そのような変動を行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ73は、少なくとも部分的に、裏打ち材回収部6及び/又はテープ供給部4(及び/又は関連するクリール42/62)の直径に基づいて、そのような変動を行うように構成される。
【0251】
既に説明されたように、張力制御システム7は、いくつかの実施形態では、裏打ち材21を含まないテープ2と共に使用され得る(換言すれば、テープ敷設システム100は、裏打ち材回収部6を含まなくてもよい)。そのような実施形態では、トウ材料22は、例えば、結着材料を使用することによって、モールドの表面に付着され得る。
【0252】
張力の領域単離
いくつかの実施形態によれば、トウ材料22及び裏打ち材21の張力は、トウ敷設ヘッド1内の異なる領域において、単離され、実質的に独立して制御され得る。
【0253】
特に、これらの領域は、テープ供給部4から剪断機構5まで(特に、把持領域まで)の第1の領域と、剪断機構5内の第2の領域(特に、剪断境界の間)と、剪断機構5と裏打ち材回収部6との間の(特に、圧縮シュー51からの)第3の領域を含み得る。これは、例えば、第1の領域に関連して、単離をもたらすために、トウ案内ローラ52及び把持シュー53によって、トウ材料22に適切な力を加えることによって、達成され得る。
【0254】
したがって、いくつかの実施形態では、トウ材料22の張力及び裏打ち材21の張力は、剪断境界間のトウ材料22の張力に実質的に無関係に制御され得る。換言すれば、第2の領域におけるトウ材料22の張力は、第1及び第3の領域におけるトウ材料22又は裏打ち材21の張力と実質的に無関係に制御され得る。
【0255】
これは、例えば、実質的に敷設作業に影響を与えることのない(すなわち、第2の領域における過度の張力のない)、モールド3に対する圧縮シュー51の移動の、より高い加速及び減速を許容し得る。
【0256】
したがって、いくつかの実施形態は、第2の領域における張力を、第1の領域及び/又は第3の領域の張力と分離するのに十分な力で、把持シュー53をトウ案内ローラ52に押し付けることを含み得る。それで、第1及び/又は第3の領域における張力は、増加させられ得、剪断作動に実質的な影響を与えることなく、より高い加速及び/又は減速が達成され得る。
【0257】
ウェブ機構
本明細書に記載されるように、トウ材料22は、結着材料又は樹脂材料を含み得、これは、トウ材料をべとつかせ、したがって、圧縮シュー51に付着しがちにする。これは、ひいては、圧縮シュー51構成の材料が、この意図しない付着の危険性が低減させられるようなものである必要があることを意味し得る。さらに、トウ材料22の敷設及びトウ材料22の剪断中、材料22の厚さが増加し、その幅は減少し、これは、トウ材料22に、横方向の圧縮応力を課す(トウ材料22の剪断変形によって)。これは、座屈や、そのような欠陥(例えば、しわ)を発生させ得る。
【0258】
したがって、いくつかの実施形態は、ウェブ機構200を含み得る。ウェブ機構200は、材料のウェブ201を、圧縮シュー51に接触するトウ材料22の片面に適用するように構成される。この付加は、トウ材料が、圧縮シュー51、及び/又は、トウ案内ローラ52、及び/又は、把持シュー53に到達する前に、ウェブ機構200によって実行され得る。
【0259】
ウェブ201は、トウ材料22の横方向座屈抵抗を増加させ得、及び/又は、圧縮シュー51に付着することが起こりそうもない、圧縮シュー51に接触する表面を提供し得る(ウェブ201は、結着材料を含まなくてもよい)。
【0260】
ウェブ機構200は、例えば、図12に示される。理解され得るように、図12は、図3を参照して説明された実施形態の変形例であり、簡潔さのために、再び説明されないであろう(さらに、簡略化のために、参照符号の多くは図12から省略される)。したがって、参照は、図3、及び、説明の関連する部分になされるべきである。
【0261】
ウェブ機構200は、ウェブ材料供給部202と、ウェブ材料回収部203とを含み得る。ウェブ材料供給部202は、供給部202からのウェブ201の解放を制動するように構成されたブレーキ202aと関連付けられ得る。ウェブ材料供給部202は、例えば、その周りに、ウェブ201の供給体が巻回されるクリールの形態であり得る。ウェブ材料供給部202は、概して、剪断機構5の上流側(トウ材料22の移動に関して)に配置され得る。ウェブ材料供給部202は、概して、モールド3に対するウェブ材料の進行方向に関して、剪断機構5の後方に配置され得る。
【0262】
ウェブ材料回収部203は、ウェブ201を供給部202から引き出すように構成されたモータ203aと関連付けられ得る。ウェブ材料回収部203は、例えば、その周りに、使用済みのウェブ201が巻回されるクリールの形態であり得る。ウェブ材料回収部203は、概して、モールド3に対するウェブ材料の進行方向に関して、剪断機構5の前方に配置され得る。
【0263】
ウェブ201は、ウェブ材料供給部202から、(関連する経路に沿って)進行し得、そのトウ材料22が把持領域(例えば、トウ案内ローラ52と把持シュー53との間の経路)に進入することに先立って、トウ材料22と接触する。ウェブ201は、トウ案内ローラ52及び把持シュー53の作用によってトウ材料22に押し付けられ得る。ウェブ201は、それが、トウ材料22とトウ案内ローラ52との間にあるように位置決めされ得る。
【0264】
ウェブ201の経路は、トウ材料22の経路に続いて、圧縮シュー51を通過し得る。圧縮シュー51によって、トウ材料22がモールド3に敷設された後、ウェブ201は、トウ材料22から除去され、ウェブ材料回収部203に進行させられ得る。これは、トウ材料22(及びウェブ201)が、圧縮シュー51から離れるときに、ウェブ201がトウ材料22から持ち上げられるように、圧縮シュー51に対してウェブ材料回収部203を位置決めすることによって達成され得る。そのようなものとして、ウェブ材料回収部203は、圧縮シュー51がモールド3から離れるよりも、モールド3からさらに離れて配置され得る。
【0265】
ウェブ機構200のブレーキ202a及びモータ203aの作動は、コントローラ73によって制御され得る(又は、別個のコントローラが設けられ得る)。
【0266】
理解されるように、ウェブ201は、トウ材料22と圧縮シュー51との間に位置付けられる。そのようなものとして、トウ材料22の圧縮シュー51への意図されない付着の減少した危険が存在する。さらに、ウェブ201は、トウ材料22に構造的支持を提供する。これは、繊細な(例えば、薄い)トウ材料22に関連して特に有用であり得る。
【0267】
ウェブ201の理想的な特性は、
-低い剪断剛性と、良好な剪断品質を示すこと(すなわち、剪断中にシワ又は他の欠陥がほとんどないか、実質的にないこと)、
-高い横方向圧縮座屈耐性を示すこと(例えば、トウ材料22の経路に対して垂直方向に繊維又は補強部材を有することによって)(例えば、横方向圧縮座屈耐性は、トウ材料22のそれと同じかそれよりも高いものであり得る)、
-トウ材料22に付着し、必要に応じて結着解除されること、
-低摩擦係数を有する上面を有すること、及び、
-トウ材料22よりも高い剪断ロッキング限界、又は、経路の最大剪断角(どちらが、最も高いとしても)を示すこと、を含む。
【0268】
剪断ロッキング限界は、繊維が変形中に、もはや再配置され得なくなる(すなわち、繊維がロックされる)剪断角として定義され得る。したがって、さらなる剪断変形(さらに剪断角を増大させること)は、シワなどの欠陥の形成につながるであろう。トウ内剪断は、ロッキング限界を超えて可能でない(すなわち、繊維は、滑り得ず/再配置し得ない)。
【0269】
ウェブ201は、ピールプライテープであり得る。ウェブ201は、織られた材料であり得、低摩擦繊維から形成され得る。ウェブ201は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(テフロン(登録商標)など)から形成され得る。ウェブ201は、互いに対して実質的に垂直であり得る、長手方向、及び、横断方向の繊維を有し得る。
【0270】
ウェブ201は、その一方の面に接着剤を含み得、その側は、使用時に、トウ材料22に接触する側であり得る。
【0271】
圧縮ローラ
本明細書における実施形態は、圧縮シュー51を参照して、概略的に説明されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、圧縮ローラ300を参照する。この点に関して、図13-15を参照。いくつかの実施形態では、圧縮ローラ300は、圧縮シュー51に取って代わり、トウ案内ローラ52は存在しなくてよい。代わりに、把持シュー53は、圧縮ローラ300と係合し得、換言すると、圧縮ローラ300は、圧縮シュー51及びトウ案内ローラ52の両方の役割を実行し得る。そのような実施形態は、本明細書に記載される他の実施形態によって実施され得、例えば、トウ材料22、及び/又は、説明されるように、張力の領域単離における張力を制御する。
【0272】
図13及び図14に見られ得るように、特に、圧縮ローラ300を貫く断面の半径は、把持シュー53の接触点(例えば、その最遠位端での)と圧縮ローラ300との間の距離よりも大きいものであり得る。この接点は、圧縮ローラ300の中点の下方であり得る(中点は、その中を通る中心軸であり得、これは、圧縮ローラ300の回転軸であり得る)。圧縮ローラ300は、トウ材料22の経路に概ね垂直な軸の周りに回転するように構成される。圧縮ローラ300は、モールド3に接触して、トウ材料22をモールド3に押圧するように構成され得る。
【0273】
理解されるように、そのような実施形態では、トウ材料22の剪断は、把持シュー53と圧縮ローラ300との接触点と、圧縮ローラ300とモールド3との間の接触点との間に生じ得る(そのような点は、もちろん、いくつかの実施形態では線である)。
【0274】
いくつかの実施形態によれば、圧縮ローラ300を貫く断面の半径は減少させられ得、最小の剪断ギャップ(すなわち、2つの剪断境界間の距離)を提供し得る。これは、隣接する繊維間の接触の有効長さが最小化されるので(剪断されるトウ材料22の部分に言及する)、ひいては、トウ内剪断を促進し、関連する摩擦を減少させ、繊維の滑り又は再配置を許容する。
【0275】
本明細書で説明されるように、圧縮ローラ300は、把持シュー53及びモールド3に対して回転するように構成され得る。この回転は、モールド3上での圧縮ローラ300の移動によって駆動され得、及び/又は、モータによって直接駆動され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、圧縮ローラ300は、把持シュー53及びモールド3に関して、回転から固定され、この場合、圧縮ローラ300は、モールド3上を摺動し得る。
【0276】
圧縮ローラ300は、例えば、PTFEで形成され得る(又は、被覆され得る)。圧縮ローラ300は、比較的低い摩擦材料から形成され得る。圧縮ローラ300は、実質的に剛性の外面を有し得、また、比較的柔らかい外面を有し得る。いくつかの実施形態では、圧縮ローラ300は、PTFEスリーブを有するシリコーンローラから形成され得る。いくつかの実施形態では、圧縮ローラ300は、モールド3の表面変動に合致するように変形することによって、圧縮ローラ300が、非平坦で不均一な表面に適合することを可能にするために、十分に軟質である。
【0277】
そのような実施形態の利点は、剪断されるトウ材料22の部分に、膜応力を印加することを含み得、これは、トウ材料が、トウ材料の剪断に起因して経験し得る(トウ材料が剪断中に圧縮ローラ300の表面の周りで引っ張られるとき)、横方向圧縮応力につり合わせる。応力は、圧縮ローラ300の半径(より小さな半径は、より高い応力につながる)、剪断ギャップ(すなわち、剪断境界間の距離)、及び、トウ材料張力に依存する。
【0278】
面外剪断応力(例えば、圧縮シュー51の実施形態と比べて、圧縮ローラ300の摺動運動の最小化に起因して、トウ材料22に賦課される応力)の欠如又は減少は、繊維分離(特に、べとつくトウ材料において)による欠陥のリスクを低減し得る。圧縮ローラ300は、剪断を可能にするために必要とされる横方向の移動を生成するために摺動することのみを必要とされ得る(すなわち、圧縮ローラ300の回転軸に平行な運動)。圧縮ローラ300は、いくつかの実施形態では、その回転軸の周りで回転し得る(すなわち、圧縮シュー51の実施形態とは異なる)。
【0279】
いくつかの実施形態では(図15を参照すると)、圧縮ローラ300は、圧縮ローラ300が曲線を形成し得るように、その長さに沿って可撓性であり得る。把持シュー53は、同様に、その長さに沿って、曲線を形成し得るように、対応して可撓性である(この場合、弾性付勢部材が、可撓性把持シュー53の長さに沿って設けられ得、圧縮ローラ300との接触を維持し、各弾性付勢部材は、ばね付きのピストンを含み得る)。これは、例えば、一重、又は、二重に湾曲したモールド3にトウ材料を敷設することを可能にし得る。言い換えると、そのような実施形態は、より複雑なモールド3に関連した使用を可能にする。
【0280】
これらの実施形態は、ウェブ機構200を伴って、または、伴わずに、使用され得る。
【0281】
さらに、把持シュー53が説明されるが、これらの実施形態は、把持ローラを用い得る。
【0282】
滑り補償機構
いくつかの実施形態は、滑り補償機構400を含み得る(図16参照)。滑り補償機構400は、把持シュー53に対するトウ材料22の横方向の滑りに対して何らかの補償を提供するように構成され得、圧縮シュー51又は圧縮ローラ300(ウェブ機構200を伴うか、または、伴わない)のいずれかを有する実施形態で使用され得、例えば、張力制御、及び/又は、張力領域単離手法のような、記載される他の実施形態との組み合わせで実装され得る。実際、いくつかの実施形態では、滑り補償機構400は、特許文献6に教示されたものを含む、他のトウ材料敷設装置に適用され得る。
【0283】
滑り補償機構400は、把持シュー53に対するトウ材料22の滑りを示す信号を受信するように構成され得、特に、閾値距離よりも大きい滑りを示す信号を受信し得る。この滑りは、理解されるように、把持シュー53に沿った横方向滑りであろう。
【0284】
いくつかの実施形態では、滑り補償機構400は、トウ材料22の滑りを感知して信号を生成する、センサ401を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、センサ401は、離れて提供される。2つの可能性のあるセンサ位置が、図16に概略的に示される。
【0285】
センサ401は、テープ又はウェブ端部センサであり得る。
【0286】
センサ401は、光センサを含み得る。光センサは、例えば、トウ材料22による光源(センサの一部であり得る)からの光(例えば、赤外光)の遮断を感知するように構成され得る。したがって、センサ401は、トウ材料22の進行方向に関して、把持シュー53の上流に配置され得、トウ材料22の通常経路の一方の側にオフセットされ得る。トウ材料22が、センサ401をトリガする場合、これは、センサ401の位置によって、トウ材料22の滑りを示し得る。同様に、センサ401は、トウ材料22に代え、同様な態様であるが、把持シュー53の下流において、裏打ち材21の横方向の動きを感知するように構成され得る。勿論、トウ材料22の横方向の動きを感知するとき、これは、いくつかの実施形態では、組み合わせたトウ材料22及び裏打ち材21であり得る。
【0287】
センサ401は、第1及び第2の方向における横方向滑りを検出するためのサブセンサ(各サブセンサは、2つの方向のうちの1つにおける滑りを検出するように構成される)を含み得る。
【0288】
センサ401は、いくつかの異なる形態を取り得るであろうし、別のタイプの可能性のある光学センサは、トウ材料22の画像を捕捉し、分析し得るカメラである。非光学センサが使用され得、これらは、例えば、超音波センサを含み得る。
【0289】
滑り補償機構400は、テープ供給部4、及び/又は、裏打ち材回収部6に対して横方向に、剪断機構5(及び、特に、剪断境界)を移動させるように構成され得、検出された滑り(センサ401からの信号を使用して検出される)を補正する。したがって、滑り補償機構400は、剪断機構5(特に、剪断境界)を、モールド3に対して圧縮シュー51(又は圧縮ローラ300)の進行方向に垂直である方向に移動させるように構成され得る。テープ供給部4及び/又は裏打ち材回収部6は、例えば、クリールユニット600(図18を参照)と称され得る。クリールユニット600は、第1及び第2の荷重センサ71、72を含み得る。したがって、滑り補償機構400は、クリールユニット600に対して剪断機構5を移動させるように構成され得る。
【0290】
圧縮シュー51又は圧縮ローラ300(場合によって)の押圧によって生じる剪断境界は、第1の剪断境界と称され得る。第1の剪断境界は、敷設されたトウ材料22の表面上で横方向に摺動し得る。トウ材料22は、トウ材料22がモールド3の表面に付着されると、この位置で、(モールドに対して)固定されると考えられ得る。したがって、剪断機構51を変位させることによって、トウ材料22は、第2の剪断境界(すなわち、把持シュー53及びトウ案内ローラ52の押圧、又は、圧縮ローラ300への把持シュー53の押圧によって(場合による)生成される境界)で、移動させられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の剪断境界のみが移動させられる。
【0291】
圧縮シュー又は圧縮ローラの押圧によって生成される剪断境界(どの剪断機構が使用されるかに依存する)(第1の剪断境界)は、テープ材料の表面上で横方向に摺動し得る。テープ材料は、また、テープが、モールドの表面に付着されると、この位置で固定されると考えられる。このように、実際に、剪断機構を変位させることにより、トウ案内ローラへの把持シューの押圧、又は、圧縮ローラへの把持シューの押圧によって(どの剪断機構が使用されるかによる)生成され、また、位置ずれの起点である、剪断境界(第2の剪断境界)で、テープが移動させられる。
【0292】
機構の別の例では、第2の剪断境界のみが、作動させられ得る。しかしながら、これは、テープ敷設システム内に、必要な構成要素の全てをパッケージングするという点で、いくつかの複雑さを生じる。
【0293】
滑り補償機構400は、1つ以上のレール402を含み得、それに、剪断機構5がそれで移動するように取り付けられる。レール又は各レール402は、ヘッド1又はシステム100の別の部分の取り付け装置(例えば、不図示の、レール又は各レール402を受容する、1つ又は複数の部材)によって担持され得、レール又は各レール402は、上述されるように、その横方向の移動中に、取り付け装置に対して移動可能であり得る。したがって、剪断機構5は、取り付け装置に対して(すなわち、ヘッド1又はシステム100の他の部分に対して)移動可能であり得る。剪断機構5の取り付け装置に対する移動は、いくつかの異なる方法で駆動され得る。例えば、滑り補償機構400は、剪断機構5の横方向移動を駆動するために、ベルト又はチェーン駆動装置、空気圧式又は油圧式ラム、又は、ラックアンドピニオン式駆動装置を含み得る。いくつかの実施形態では、レール又は各レール402は、ヘッド1又はシステム100の一部であり、取り付け装置は、剪断機構5に取り付けられる。
【0294】
いくつかの実施形態では、滑りは、把持領域で発生し、したがって、テープ供給部4及び/又は裏打ち材回収部6に対する剪断機構5の移動は、この滑りを修正するために使用され得る。いくつかの実施形態では、トウ材料は、把持領域に到達する前に、剪断機構5の他のいかなる部分とも接触しない。
【0295】
これは、例えば、図19図21に示される。図19では、剪断機構5は、ホーム位置にある(例えば、トウ材料22は、圧縮シュー51に沿って、実質的に中心に位置づけられる。図20は、同じ装置を示すが、滑りが生じており、元のトウ材料は、参照のために、破線で示される)。図21は、例えば、クリールユニット600に対するその位置の、1つの極端における剪断機構5を示す。
【0296】
このようにして可能である横方向の移動は、制限され得る(例えば、レール又は各レール402又は駆動装置の長さによって)。したがって、作動時には、テープ供給部4及び/又は裏打ち材回収部6に対する剪断機構5の位置を、(リセット作動において)リセットする(又は「ホーム」にする)必要がある。これは、圧縮シュー51(又は圧縮ローラ300)が、モールド3に接触しない間に、例えば、把持領域を解放することによって(すなわち、トウ案内ローラ52及び/又は把持シュー53を互いから解放することによって)達成され得る。剪断機構5は、その後、把持領域が再係合される前に移動させられ得る。裏打ち材21の張力は、これが完了した後であるが、トウ材料22の敷設が開始(又は再開)される前に、再び増加させられ得る。
【0297】
いくつかの実施形態では、滑り補償機構400は、1つ以上の境界部材(図示せず)を含む。境界部材又は各境界部材は、リセット作動中に、トウ材料の横方向の動きを、抑制、又は、実質的に防止するように構成される。境界部材又は各境界部材は、トウ材料22が境界部材に当接し、トウ材料22の横方向の移動(又はそれ以上の移動)を防止するであろうように位置決めされ得る。境界部材又は各境界部材は、トウ材料22が、それを通って、または、それの上方を通過する(例えば、把持領域に到達する前に)、案内部材の一部であり得る。案内部材は、一対の一方が、トウ材料22のいずれかの側にあるように配置された、一対の直立境界部材を含み得る。案内部材は、トウ材料22がその上方を通過し得、そこから境界部材が延びるプレートを含み得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、滑り補償機構400は、滑りを生じた作動を識別するように構成され得る。これらは、例えば、システム100及び/又はヘッド1の作動(モールド3に対する圧縮シュー51又は圧縮ローラ300の移動速度など)のパラメータであり得る。滑り補償機構400は、これらをコントローラ73にフィードバックするように構成され得、コントローラ73は、システム100及び/又はヘッド1の作動を調整して、例えば、それらの作動のうちの1つ以上を回避し、又は、それらを補償することによって、滑りのリスクを低減し得る。これは、テープ供給部4からのトウ材料22の解放の移動を遅くするか、又は、トウ材料22の張力を調整することを含み得る。
【0299】
実施形態は、全体として、レール又は各レール402に取り付けられ、滑り補償機構400によって移動させられる、剪断機構5を参照して説明されたが、いくつかの実施形態では、把持シュー53及びトウ案内ローラ54だけが、レール又は各レール402に取り付けられ、滑り補償機構400によって移動させられる(そのような移動は、例えば、圧縮シュー51に対して相対的である)。いくつかの実施形態では、把持シュー53及び2つの案内ローラ54は、(圧縮シュー51を備えずに)組み合わせて、ピンチアセンブリと称され得る。
【0300】
敷設作業
理解されるように、実施形態は、トウ材料22の剪断が、敷設されるトウ材料22を操向するように使用される、モールド3にトウ材料22を敷設する方法を含む。敷設作業中、張力制御システム7は、説明されるように、剪断機構5におけるトウ材料22の張力を調整するように作用する。
【0301】
その他
張力制御システム7及び/又はウェブ機構200及び/又は滑り補償機構400の作動は、コントローラ73によって制御され得、コントローラ73は、プロセッサ又は各プロセッサ73aを使用して命令(コンピュータ可読媒体73cに記憶される命令)を実行し得る。したがって、実施形態は、ンピュータプログラムを形成し得る、命令を含み得る。実施形態は、また、これらの命令を記憶する、コンピュータ可読媒体を含む。
【0302】
剪断機構5におけるトウ材料22の張力に対する参照は、剪断境界間のトウ材料22の張力への参照である。図示された実施形態では、これらは、圧縮シュー51(例えば、その前縁)、及び、把持シュー53(例えば、その最遠位端)によって画定されるが、他の形態の剪断機構5が可能であり、これは、トウ敷設ヘッド1の異なる物理的特徴によって画定される剪断境界をもたらし得る。本明細書に記載される同じ制御技術は、異なる形態の操向機構(剪断機構5は、まさに、その一例である)を有する、多種多様なトウ敷設ヘッド1に適用され得ることが理解されるべきである。
【0303】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「含み」及び「含んでいる」という用語、並びに、その変形は、特定された特徴、工程、又は、完全体が含まれることを意味する。用語は、他の特徴、工程、又は、構成要素の存在を排除するように解釈されるべきではない。
【0304】
上述の説明、又は、以下の特許請求の範囲に開示された特徴、又は、それらの特定の形態で、若しくは、開示された機能を実行するための手段に関して表現された、添付の図面、又は、開示された効果を適切に達成するための方法若しくは工程は、個々に、又は、そのような特徴の任意の組み合わせにおいて、その多様な形態で本発明を再現実化するために利用され得る。
【0305】
本発明のいくつかの例示的な実施形態が説明されたが、添付の特許請求の範囲の範囲は、これらの実施形態のみに限定されることを意図されない。特許請求の範囲は、文字通りに、意図的に、及び/又は、均等物を包含するように、解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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【国際調査報告】