(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】スペーサ
(51)【国際特許分類】
B62J 9/24 20200101AFI20231004BHJP
【FI】
B62J9/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518420
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2021057823
(87)【国際公開番号】W WO2022058823
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020000022063
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523100021
【氏名又は名称】ジヴィ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】GIVI S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ヴィゼンツィ,ジュゼッペ
(57)【要約】
【選択図】
図1
サイドバッグ(2)をモータサイクルの側面に固定するためのスペーサは、スペーサロッド(10)と、スペーサロッド(10)をモータサイクルに取り外し可能に固定するためにモータサイクルのフレームの側面に固定するのに適した締結プレート(12)を有する。スペーサロッドには、締結プレート(12)のピンシート(16)に嵌合するアンカピン(14)が設けられている。これには、ピンシートに作動的に連結され、後退したピン解放位置と前進したピンロック位置との間でピン軸(X)に対して半径方向に移動可能な保持手段(20)を含む、ピンロック機構(18)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドバッグ(2)をモータサイクルの側面に固定するためのスペーサであって、
前記モータサイクルに取り付けられた状態で、前記モータサイクルに対して前記サイドバッグ(2)を所定の距離に保持するスペーサロッド(10)と、
前記スペーサロッド(10)を前記モータサイクルに着脱自在に固定するために、前記モータサイクルフレームの側面に固定するのに適した締結プレート(12)を備え、
前記スペーサロッドは、前記スペーサロッドの近位端に、前記スペーサロッドの近位端部分(10a)に直交して延びるアンカピン(14)を備え、
前記締結プレート(12)は、形状結合で前記アンカピン(14)を受け入れるのに適したピンシート(16)を形成し、
前記締結プレート(12)は、前記ピンシートに作動的に接続され、引っ込んだピン解放位置と前進したピンロック位置との間でピン軸(X)に対して半径方向に移動可能な保持手段(20)と、前記保持手段(20)をピン解放位置からピンロック位置、及びその逆に移動させるためにユーザによって操作可能な制御レバー(22)と、を備えるピンロック機構(18)を備えるスペーサ。
【請求項2】
前記ピンロック機構(18)が、
前記制御レバー(22)と一体であって、
前記保持手段(20)の周囲に配置された環状要素(24)を有し、
前記環状要素(24)は、
前記保持手段を前記ピンロック位置に持って行って保持するように前記保持手段に対して半径方向に作用する前記ピンロック位置と、
前記保持手段の前記ピン解放位置への半径方向の後退を可能にする前記ピン解放位置と、の間を前記制御レバーによって回転可能に構成されているカムプロファイルを有している、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記保持手段(20)が少なくとも一対のボール(26)を有し、
前記ボール(26)によって係合されるのに適した環状溝(28)が前記アンカピン(14)に得られた、請求項1または2記載のスペーサ。
【請求項4】
前記ピンシート(16)が、半径方向の複数の貫通開口部(164)が得られる側壁(162)によって区画され、
前記複数の貫通開口部(164)の各々に、前記ピン解放位置と前記ピンロック位置との間で半径方向に並進可能に前記ボール(26)が部分的に収容されている、請求項1-3のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項5】
前記環状要素(24)が、前記ボールのそれぞれに対して、第1の凹部(242)と第2の凹部(244)とを形成し、
前記第1の凹部が前記第2の凹部よりも小さな凹みで、前記ボールのそれぞれの前記ピンロック位置と前記ピン解放位置とをそれぞれ規定する、請求項3または4に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記第1の凹部が前記第2の凹部は、折り畳み可能な中間部分(246)によって周方向に分離されている、請求項1-5に記載のスペーサ。
【請求項7】
前記締結プレート(12)が、前記ピン軸(X)を中心とする前記スペーサロッドの回転を防止するように、形状結合で前記スペーサロッド(10)の近位部分(10a)を受け入れるのに適したガイド部分(30)を有する、請求項1-6のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項8】
前記スペーサロッド(10)の遠位部分(10b)が、バッグ固定手段(42)を含むバッグ結合プレート(40)を支持する、請求項1-7のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項9】
前記バッグ固定手段が、ベルト固定領域および/または磁気結合手段を有する、請求項1-8のいずれかに記載のスペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータサイクル用のアクセサリの分野に関し、特に、サイドバッグをモータサイクルの側面に固定するためのスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスペーサは、既に知られている。請求項1の前文によれば、スペーサは通常、例えばチューブの形態のスペーサロッドを有し、このロッドは、モータサイクルに取り付けられた位置で、サイドバッグをモータサイクルに対して所定の距離で保持する。スペーサロッドは、その一端が、モータサイクルのフレームの側面に固定されるのに適した締結プレートに、取り外し可能に締結されるように構成されている。
【0003】
使用時には、固定用プレートはモータサイクルのフレームに恒久的に固定されており、モータサイクリストがサイドバッグを運びたいときには、スペーサロッドを固定用プレートに装着する。このようにして、スペーサロッドは、バッグを車両から適当に離した状態に保つ。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、使用時に特に安定かつ安全であり、同時にアンカプレートへのスペーサロッドの装着および取り外しが容易かつ迅速にできる、前述のタイプのスペーサを提案することである。
【0005】
このような目的は、請求項1によるスペーサで達成される。従属請求項には、スペーサの好ましい又は有利な実施形態が記載されている。
【0006】
本発明によるスペーサの特徴および利点は、添付の図を参照して、純粋に非限定的な例として提供される、その好ましい実施形態例の以下の説明から容易に明らかにされるものとする:
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明によるスペーサの透視図であり、スペーサロッドがモータサイクルフレームへの締結プレートから分離した状態である。
【0008】
【
図2】
図2は、スペーサロッドが締結プレートに接続されている、本発明によるスペーサの透視図である。
【0009】
【
図3】
図3は、締結プレートのみの分解透視図である。
【0010】
【
図4】
図4は、それぞれ、組み立てられた、スペーサロッドのロックおよび解放の構成にある締結プレートの2つの透視斜視図である。
【
図4a】
図4aは、それぞれ、組み立てられた、スペーサロッドのロックおよび解放の構成にある締結プレートの2つの透視斜視図である。
【0011】
【
図5】
図5は、ロッドロック機構の要素に対応する締結プレートの、それぞれロック位置および解放位置にある2つの軸方向断面透視図である。
【
図5a】5aは、ロッドロック機構の要素に対応する締結プレートの、それぞれロック位置および解放位置にある2つの軸方向断面透視図である。
【0012】
【
図6】
図6は、それぞれロック位置および解放位置にある、アンカピンのスペーサの2つの断面透視図である。
【
図6a】
図6aは、それぞれロック位置および解放位置にある、アンカピンのスペーサの2つの断面透視図である。
【0013】
【
図7】
図7は、スペーサロッドのみの正面図および分解透視図であり、それぞれ、スペーサロッドの正面図および分解透視図である。
【
図7a】
図7aは、スペーサロッドのみの正面図および分解透視図であり、それぞれ、スペーサロッドの正面図および分解透視図である。
【0014】
【
図8】
図8は、本発明によるスペーサを備えるモータサイクルの透視図である。
【0015】
【
図9】
図9は、2つのそれぞれのサイドバッグのための2つのスペーサを備える、モータサイクルの後部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記図面において、参照数字1は、サイドバッグ2をモータサイクル3の側面に固定するためのスペーサを全体として示す。
【0017】
一般的な実施形態において、スペーサ1は、モータサイクルに取り付けられた位置で、サイドバッグ2をモータサイクルに対して所定の距離に保持するスペーサロッド10と、スペーサロッド10をモータサイクル3に取り外し可能に固定するためにモータサイクル3のフレーム4の側面に固定するのに適した締結プレート12とを有する。
【0018】
スペーサロッド10は、その近位端10'に、スペーサロッド10の端部10aに直交して延びるアンカピン14を備えている。
【0019】
説明の続きにおいて、スペーサロッド10に言及した用語「近位」は、締結プレート12に接続するのに適した端部又は部分、又はいかなる場合でも締結プレート12の方を向く部分を示す。
図8及び
図9のように、モータサイクルに取り付けられたスペーサ1を考慮すると、スペーサロッドの近位端又は部分は、モータサイクル3の前部に面しているため、前端又は部分と定義することもある。
【0020】
例えば、締結プレート12は、助手席フットレスト5を支持するフレーム4の部分に固定されるのが好適である。
【0021】
締結プレート12は、形状結合を有するアンカピン14を受け入れるのに適したピンシート16を形成する。
【0022】
例えば、アンカピン14及びピンシート16は、実質的に円筒形の形状を有し、又はいかなる場合でも実質的に円筒形の部分を有する。
【0023】
アンカピン14は、ピン軸Xを中心に延び、したがって、アンカピン14がピンシート16に収容されたときに、ピンシート16の軸と一致する。
【0024】
スペーサロッド10の少なくとも近位部分10aに沿って近位ロッド軸を示すYが延在し、ピン軸Xが近位ロッド軸Yに実質的に直交している。
【0025】
締結プレート12は、ピンシート16に作動的に連結されたピンロック機構18を備えている。
【0026】
ピンロック機構18は、後退したピン解放位置と前進したピンロック位置との間でピン軸Xに対して半径方向に移動可能な保持手段20を有する。
【0027】
ピンロック機構18は、保持手段20を後退位置から前進位置へ、及びその逆へ移動させるために、ユーザによって操作可能な制御レバー22をさらに備える。
【0028】
一実施形態では、ロック機構18は、制御レバー22と一体の環状要素24を含んでいる。
【0029】
環状要素24は、保持手段20の周りに位置決めされている。環状要素24はカムプロファイルを有する。カムプロファイルは、制御レバー22によって、ピンロック位置とピン解放位置との間を回転可能に構成されおり、ピンロック位置において保持手段20を前進したピンロック位置に持っていって保持するように、保持手段20に半径方向に作用し、ピン解放位置において保持手段20の後退したピン解放位置への半径方向の後退を可能にする。
【0030】
一実施形態では、保持手段20は、少なくとも一対のボール26、例えば3つの等間隔に配置されたボールを有する。
【0031】
ボール26によって係合されるのに適した環状溝28が、アンカピン14内に得られる。ボール26が環状溝28に係合すると、アンカピン14はピンシート16に安定的に保持される。
【0032】
一実施形態では、ピンシート16は、半径方向の貫通開口164が得られる側壁162によって区切られている。このような半径方向貫通開口164の各々には、それぞれのボール26が部分的に収容される。半径方向貫通開口部164は、それぞれのボール26が引込み位置と前進位置との間で半径方向に並進できるような寸法にされている。
【0033】
したがって、各ボールは、それぞれの半径方向貫通開口164と環状要素24との間に保持される。
【0034】
一実施形態では、環状要素24は、各ボール26に対して、第1の凹状部分242と第2の凹状部分244を形成する。凹状部分242、244は、環状要素24の円形クラウンに沿って得られ、分布している。第1の凹状部分242は、より顕著な凹状を有する第2の凹状部分244よりも低い、つまりより顕著でない凹状を有する。第1の凹状部分242は、それぞれのボールを前進ピンロック位置に強制的に押し込む。第2の凹状部分244により、それぞれのボールは後退したピン解放位置を取り得る。
【0035】
しかしながら、2つの凹状部分242、244は、半径方向の貫通開口164に対向するそれぞれのボール26の球状表面を取り囲むので、ロック機構の内部で、ピンシート16の側壁と環状要素24との間にボールを確実に保持する。
【0036】
一実施形態では、各ボール26の2つの凹部242、244は、環状要素24の半安定位置を確保するのに適した、折り畳み可能な中間部分246によって周方向に互いに分離されている。
【0037】
しかしながら、各ボール26の2つの凹部242,244は、ロック機構をピンロック位置からピン解放位置に又その逆に切り替えるために必要な環状要素24の回転、したがって制御レバー22のストローク、を制限するように互いに十分に接近している。
【0038】
一実施形態では、さらに、締結プレート12は、ピン軸Xを中心とするスペーサロッドの回転を防止するように、スペーサロッド10の近位部分10aを形状結合で受けるのに適したガイド部分30を含む。
【0039】
例えば、締結プレート12は、モータサイクル3のフレーム4に対して反対側に開口したプレートキャビティ122を形成するプレート本体120を備える。プレートキャビティ122の前部分122aは、環状要素24を収容するように、ピンシート16の周囲に延在している。プレート本体120はまた、制御レバー22が突出して回転できる窓124、すなわち隙間を形成している。
【0040】
プレートキャビティ122の後部分122bは、細長い形状を有し、スペーサロッド10の近位部分10aに実質的に相補的である。
【0041】
図3に示される実施形態では、締結プレート12は、モータサイクル3のフレーム4に締結されるのに適した締結シート126を有する。
【0042】
プレート本体120は、例えばねじ128によって、締結シート126に締結される。
【0043】
一実施形態では、ピンシート16は、締結プレート126又はプレート本体120に締結された接続ヘッド166を備える中空インサートを有する。
【0044】
一実施形態変形例では、ピンシート16は、プレート本体120と一体的に形成される。
【0045】
一実施形態では、環状要素24と制御レバー22は、プラスチック材料で一体に作られている。
【0046】
環状要素24は、金属リング248、例えばシーガによって、ピンシート16の周囲に軸方向に保持することができる。
【0047】
ここでスペーサロッド10に戻ると、一実施形態では、アンカピン14は、近位部分10aの平坦化された端部102に固定される。
【0048】
一実施形態では、アンカピン14は、ピン軸Xを中心に自由に回転する。このようにして、ユーザは、スペーサロッドが既に正しい使用位置になくても、カップリングピンをピンシートに挿入し、またロックすることが可能である。実際、カップリングピンの自由な回転により、ロッドはその後、締結プレートのガイド部分に挿入するように回転させることができる。ガイド部分は、ロッドがピン軸を中心に回転するのを防止する。
【0049】
一実施形態では、スペーサロッド10は、近位部分10aと平行であるが同軸ではない遠位部分10bを有する。2つの近位部分と遠位部分とは、傾斜した中間部分10cによって互いに接続することができる。
【0050】
スペーサロッド10は、管状要素で作ることができる。その遠位端108は、プラグ110によって閉じられることができる。
【0051】
一実施形態では、スペーサロッド10の遠位部分10bは、バッグ固定手段42を含むバッグ接続プレート40を支持する。
【0052】
バッグ連結プレート40は、例えば、遠位部分104にバイスでクランプされた2つの部分40'、40 "で作ることができる。
【0053】
例えば、バッグ固定手段42は、ベルト固定領域及び/又は磁気結合手段を有する。
【0054】
こうして、バッグ連結プレート40は、バッグの底部の支持を安定させることができる。磁気結合の場合、サイドバッグ2に組み込まれた対応する磁気要素又は強磁性要素を引き寄せるように、バッグ連結プレート40に磁石を挿入することができる。
【0055】
上述したスペーサによって、意図した目的を達成できることは明らかである。
【0056】
スペーサロッド10は、実際、使用時には、ロック機構によって、締結プレート12にしっかりと、隙間なく締結される。
【0057】
ロッドの係合/離脱操作は、極めて簡単で、迅速かつ安全である。使用者は、操作レバーを容易に操作し、独立して、同時に、アンカピンをピンシートに挿入したり、ピンシートから取り外したりすることができる。
【0058】
ロック機構の軸対称性により、アンカピンは、ピンシートに任意の角度の向きで挿入することができる。さらに、締結プレートのガイド部分の存在により、ロッドと締結プレートとの間の結合が容易になる。
【0059】
締結プレートは、コンパクトで魅力的な構造を有する。
【0060】
当業者は、以下の請求項の範囲から逸脱することなく、付随的なニーズを満たすために、本発明によるスペーサの実施形態に対して、いくつかの変更、調整、適応、および他の機能的に同等なものへの要素の置換を行うことができる。可能な実施形態に属するものとして説明された特徴のそれぞれは、説明された他の実施形態とは独立して得ることができる。
【国際調査報告】