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特表2023-542964グレリン受容体作用剤としてのトリアゾール化合物の用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】グレリン受容体作用剤としてのトリアゾール化合物の用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4192 20060101AFI20231004BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231004BHJP
   C07D 249/04 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231004BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231004BHJP
【FI】
A61K31/4192
A61P43/00 111
C07D249/04 503
C07D249/04 CSP
A61P1/00
A61P3/00
A61P25/02
A61P11/00
A61P21/00
A61P31/00
A61P29/00
A61P1/04
A61P1/10
A61P9/04
A61P9/10
A61P3/10
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518498
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 KR2021012823
(87)【国際公開番号】W WO2022065831
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0122540
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520422072
【氏名又は名称】慶北大学校 産学連携財団
【氏名又は名称原語表記】KYUNGPOOK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ぺ,ジェソン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヒギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミン ヒー
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD08
4B018MD18
4B018ME03
4B018ME08
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA72
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZB32
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、グレリン受容体作用剤としてのトリアゾール化合物の用途に関するものであり、より詳細には、グレリン受容体と非常に高い特異度で強く結合するトリアゾール化合物のグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用組成物に関するものである。
本発明が提供する化合物は、グレリン受容体に非常に高い特異度で強い結合力を現わして、グレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療剤開発に非常に有用に活用されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物または、これの薬学的に許容可能な塩を有効成分で包含するグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物:
【化1】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【請求項2】
前記Rは水素であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記Rは炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキルであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記化学式1の化合物は2-アミノ-2-(1-ヘキシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-ヘプチル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-オクチル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-ノニル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-アンデシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルまたは2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記化学式1の化合物はグレリン受容体作用剤(agonist)であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記グレリン受容体で媒介された疾患は、摂食障害;癌拒食症または悪液質;抗癌剤による悪液質または拒食症;抗癌剤による痛覚過敏症;COPD(Chronic obstructive pulmonary disease)またはCOPD悪液質;筋肉減少症;摂食障害;体重減少;癌患者の手術後全身衰弱;慢性気道感染;炎症;炎症性腸疾患(IBD、Inflammatory bowel disease);機能性消化障害(FD、functional dyspepsia);便秘;糖尿病性胃麻痺;心不全;心筋梗塞;糖尿病性神経病症;成長ホルモン欠乏症;脊椎損傷患者らの排便障害;手術後膓閉塞症;無酸症;及びモルヒネ誘発膓閉塞症でなされた群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物:
【化2】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【請求項8】
下記化学式2の化合物またはこれの塩:
【化3】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルである。
【請求項9】
前記化学式2の化合物は、2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルであることを特徴とする請求項8に記載の化合物またはこれの塩。
【請求項10】
グレリン受容体で媒介された疾患の治療用製剤を製造するために下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩の使用:
【化4】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【請求項11】
前記Rは水素であることを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記Rは炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキルであることを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項13】
下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む組成物の有効量をこれを要する個体に投与することを含むグレリン受容体で媒介された疾患の治療方法:
【化5】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【請求項14】
前記Rは水素であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Rは炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキルであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月22日に出願された大韓民国特許出願第10-2020-0122540号を優先権で主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
本発明は、グレリン受容体作用剤としてのトリアゾール化合物の用途に関するものであり、より詳細には、グレリン受容体と非常に高い特異度で強く結合するトリアゾール化合物のグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グレリンは成長ホルモン(GH)分泌促進受容体のための内因性リガンドである。グレリンは元々の胃で浄化されたものであり、位置3のセリンがn-オクタノール化される28アミノ酸ペプチドホルモンである。グレリンは潜在的なGH放出作用を有しているので、GH放出とエネルギー恒常性維持において重要な役割を遂行することで思われる(非特許文献1)。特に、潜在的な食欲増進作用を有しているものとして見られる。また、グレリン作用剤は癌拒食症/悪液質の治療及び/または予防(非特許文献2、3、4);抗癌剤による悪液質及び拒食症(非特許文献4、5);抗癌剤による痛覚過敏症(非特許文献5);COPD/COPD悪液質(非特許文献6、7);筋肉減少症(非特許文献8);摂食障害及び神経性摂食障害(非特許文献9);体重減少抑制(非特許文献10;癌患者の手術後全身衰弱(非特許文献11);慢性気道感染症(非特許文献7);炎症(非特許文献12);IBD(非特許文献12);FD(非特許文献4);便秘(非特許文献9);糖尿病性胃麻痺及び胃麻痺(非特許文献4、13);心不全(非特許文献14、15、16);心筋梗塞(非特許文献14、15、16);糖尿病性神経病(非特許文献17);成長ホルモン欠乏の診断及び治療(非特許文献18);高齢者の生の質改善(非特許文献18);脊髓損傷患者の排便障害(非特許文献19);手術後膓閉塞症(非特許文献4、20;無酸症(特許文献1)、そして、モルヒネ誘発膓閉塞症(非特許文献20に有用なものとして知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】KR20147036310A
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Scientifica2013、Article ID518909(http://dx.doi.org/10.1155/2013/518909)、25pages、2013
【非特許文献2】The Oncologist 12、594-600、2007.
【非特許文献3】Support Care Cancer21、2409-2415、2013
【非特許文献4】Neurogastroenterol Motil20、177-184、2008
【非特許文献5】Endocrinology 149、455-460、2008
【非特許文献6】BMC Pulmonary Medicine 13、37-46、2013
【非特許文献7】Methods in Enzymology 514、399-407、2012
【非特許文献8】Arch Med Sci9、166-171、2013
【非特許文献9】Frontiers in Endocrinology4、1-27、2013
【非特許文献10】Ann intern Med 149、601-611、2008
【非特許文献11】Gastric Cancer17、200-205、2014
【非特許文献12】Mol Nutr Food Res 52、855-866、2008
【非特許文献13】Neurogastroenterol Motil25、e140-e150、2013
【非特許文献14】Journal of Cardiology 59、8-13、2012
【非特許文献15】Curr Opin Clin Nutr Metab Care 16、619-624、2013
【非特許文献16】Endocrinology 153、2436-2443、2012
【非特許文献17】Biochemical and Biophysical Research Communications 389、405-408、2009
【非特許文献18】Drug Discovery Today4、497-506、1999
【非特許文献19】Neurogastroenterol Motil 21、71-77、2009
【非特許文献20】Peptides 26、1598-1601、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、グレリン受容体作用を調節する新しい化合物を捜すことが望ましい。
【0006】
本発明者は、グレリン受容体に非常に高い特異度で結合するグレリン受容体作用剤を開発するために例の研究を繰り返した結果、トリアゾール系化合物らがこのような効能を現わすということを見つけて本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩でなされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩で必須になされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することである:
【化1】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0009】
本発明の他の目的は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩でなされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩で
必須になされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物を提供することである:
【化2】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0012】
本発明の他の目的は、下記化学式2の化合物またはこれの塩を提供することである:
【化3】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルである。
【0013】
本発明の他の目的は、グレリン受容体で媒介された疾患の治療用製剤を製造するために前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩の用途を提供することである:
【0014】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む組成物の有効量をこれを要する個体に投与することを含むグレリン受容体で媒介された疾患の治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した本発明の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩でなされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩で必須になされるグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する:
【化4】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0018】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する:
【化5】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0021】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は下記化学式2の化合物またはこれの塩を提供する:
【化6】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルである。
【0022】
本発明の他の目的を達成するために、本発明はグレリン受容体で媒介された疾患の治療用製剤を製造するために前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。
【0023】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む組成物の有効量をこれを要する個体に投与することを含むグレリン受容体で媒介された疾患の治療方法を提供する。
【0024】
以下、本発明に対して詳しく説明する。
【0025】
本発明は、下記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する:
【化7】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0026】
本発明で前記“アルキル”は炭素数1乃至15の直鎖または側鎖炭化水素を意味する。代表的なアルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、2級-ブチル、イソ-ブチル、3級-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2、2-ジメチルペンチル、2、3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシル、アンデシル、ドデシルを含むが、これに制限されない。
【0027】
本発明で使用された用語“カーボニル”は-C(O)-グループを意味する。
【0028】
本発明で前記“アルキルカルボニル”は、前記定義されたところのようなカーボニルグループを通じて親分子残期に結合された、前記アルキルグループを意味する。代表的なアルキルカルボニルの例は、アセチル、1-ヨウ素プロピル、2、2-ジメチル-1-ヨウ素プロピル、1-ヨウ素ブチル及び1-ヨウ素ペンチルを含むが、これに制限されない。
【0029】
本発明で前記アルキルカルボニルが“置き換えされた”アルキルカルボニルの場合、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ及びアミノでなされた群から選択された1種以上の置き換え基に置き換えされたものであることがある。
【0030】
本発明で前記“アルケニル”は2個の水素の除去で形成された一つ以上の炭素-炭素二重結合を含有する炭素数2乃至10の直鎖または側鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表的な例はエテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル及び3-デセニルを含むが、これに制限されない。
【0031】
本発明で前記“アルキニル”は一つ以上の炭素-炭素三重結合を含む炭素数2乃至10の直鎖または側鎖炭化水素グループを意味する。代表的なアルキニルの例はアセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブティニル、2-ペンティニル及び1-ブティニルを含むが、これに制限されない。
【0032】
望ましくは、本発明で前記Rは水素またはアセチルであり、前記Rは炭素数1乃至15のアルキルであることができる。より望ましくは、本発明で前記Rは水素であり、前記Rは炭素数4乃至15のアルキルであることができる。さらに望ましくは、本発明で前記Rは水素であり、前記Rは炭素数6乃至12のアルキルであることができる。一番望ましくは、本発明で前記Rは水素であり、前記Rは炭素数9乃至12のアルキルであることができる。
【0033】
具体的に、本発明で前記化学式1の化合物は前記化学式1の化合物は2-アミノ-2-(1-ヘキシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-ヘプチル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-オクチル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-ノニル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル、2-アミノ-2-(1-アンデシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルまたは2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルであることができる。
【0034】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1の化合物はグレリン受容体と非常に強い結合力を現わして、グレリン受容体との結合特異度が非常に高いことで確認された。よって、グレリン受容体作用剤としてグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療効果を現わしながらも、他の受容体の活性には影響を及ぼさなくて副作用が低いことで期待することができる。
【0035】
グレリン受容体で内因性リガンドグレリンの作用は、潜在的成長ホルモン放出作用、食欲促進、胃運動促進、酸分泌、良性心血管効果、直接的な骨形成作用に導くことで現われた。よって、グレリン受容体作用剤は成長ホルモン欠乏、摂食障害、胃膓疾患、心血管疾患、骨粗鬆症、老化及び異化または慢性消耗性症侯群の治療で良い効果をおさめることがで
きる。グレリン受容体作用剤はまた睡眠障害の治療でも良い効果をおさめることができる。
【0036】
グレリン受容体と関連される、したがって、グレリン受容体で媒介された、グレリン受容体作用剤が良い効果をおさめることもできる特定疾患には肥満と肥満関連危険要因らも含まれる。また、肥満関連危険要因には糖尿、糖尿関連余病、代謝症侯群、心血管異常(アテローム性動脈硬化症と脂質異常血症を含み)などが含まれるが、これに限定されない。
【0037】
グレリン受容体で媒介された他の疾患及び/または状態は次を含む:成長ホルモン欠乏状態治療、筋肉質量増加、骨密度増加、男性及び女性の性機能障害治療、円滑な体重増加、円滑な体重維持、円滑な食欲増進(例えば、体重増加、体重維持、または、食欲増進を円滑にさせることは体重減少を伴った障害を持った患者や治療中の患者に有用である)。体重減少を伴った疾患や以上の例には拒食症、暴食症、癌悪液質、AIDS、消耗症、悪液質、虚弱年寄りの消耗症が含まれる。体重減少を伴う治療の例には、化学的治療療法、放射線治療療法、一時的または、永久的固定、そして、透析が含まれる。
【0038】
その外の疾患または状態には睡眠障害、鬱血性心不全、代謝障害、記憶機能改善、乳房癌、甲状腺癌、虚血性神経または筋肉損傷改善が含まれる。
【0039】
摂食障害には制限型、暴食及び除去型の下位類型を含む拒食症;除去型、非除去型の下位類型を含む暴食症;肥満;衝動的摂食障害;暴食障害;その他に特定されない摂食障害が含まれる。
【0040】
グレリン受容体作用剤が効果を現わすことができる胃膓疾患には胃腸閉塞、胃潰瘍、クローン病のような炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎が含まれる。本発明の化合物はまた食欲/代謝関連悪液質を同伴または同伴しない、食道逆流及び/または消化不良と関連される症状を軽減する治療、そして、麻痺性腸閉塞または仮性閉塞及び便秘まず過敏性大腸症侯群などの便秘関連症状の治療に有用である。
【0041】
前記心血管疾患には心不全と拡張性心筋病症が含まれる。
【0042】
異化状態または慢性消耗性症侯群は手術後患者らから現われることができるし、また、AIDS関連消耗性症侯群と癌悪液質のような癌関連消耗性症侯群を含む。
【0043】
グレリン受容体作用剤は、胃酸分泌を促進するものとして知られている(KR20147036310A)。よって、胃酸分泌の向上での効果は低い胃酸分泌または無-胃酸分泌が隋伴されるさまざまな疾病に本発明のグレリン受容体作用剤が効果を現わすことができることを分かる。
【0044】
本発明で前記無酸症はその種類が特別に制限されないし、例えば、老化過程を伴う年齢-関連無酸症;慢性胃炎-関連無酸症;貧血症状を伴う貧血性無酸症;部分的胃切除術-関連無酸症;カルシウム吸収-関連無酸症;ビタミンD吸収-関連無酸症;カルシトニン合成-関連無酸症;及び薬物-誘発された無酸症を含むことができる。
【0045】
本発明の一様態で、前記化学式1の化合物は癌拒食症または悪液質;抗癌剤による悪液質または拒食症;抗癌剤による痛覚過敏症;COPDまたはCOPD悪液質;筋肉減少症;摂食障害;体重減少;癌患者の手術後全身衰弱;慢性気道感染;炎症;IBD;FD;便秘;糖尿病性胃麻痺;心不全;心筋梗塞;糖尿病性神経病症;成長ホルモン欠乏症;脊椎損傷患者らの排便障害;手術後膓閉塞症;無酸症;及びモルヒネ誘発膓閉塞症でなされた群から選択される、グレリン受容体で媒介された障害を予防または治療する効果を現わすことができる。
【0046】
本発明で前記薬学的に許容可能な塩の例は、これに限定されないが、無機酸(inorganic acid)[例えば、塩酸(hydrochloric acid)、臭化水素酸(hydrobromic acid)、硫酸(sulfuric acid)、リン酸(phosphoric acid)、硝酸(nitric acid)など]で形成される酸付加塩、及び酢酸(acetic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、酒石酸(tartari acid)、琥珀酸(succinic acid)、リンゴ酸(malic acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、安息香酸(benzoic acid)、タンニン酸(tannic acid)、パモ酸(pamoic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ポリグルタミン酸(polyglutamic acid)、ナフタレンスルホン酸(naphthalene sulfonic acid)、ナフタレンジスルホン酸(naphthalene disulfonic acid)、及びポリ-ガラクツロン酸(poly-galacturonic acidのような有機酸(organic acid)で形成された塩を含む。前記化合物はまた当業者に知られた薬学的に許容可能な四次塩の形態で投与されることができるが、特に、クロライド、ブロマイド、ヨージド、-O-アルキル、トルエンスルホネート、メチルスルホネート、スルホネート、ホスフェート、またはカルボキシレート(例えば、ベンゾエート、コハク酸塩、アセテート、グリコレート、マリエート(maleate)、マレート(malate)、フマレート、クエン酸、酒石酸、アスコルベート、シナモエート、マンデロエート及びジフェニルアセテート)を含む。
【0047】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に許容される担体と共に好適な形態で剤形化されることができるし、賦形剤または希釈剤を追加で含有することができる。前記で‘薬学的に許容される'とは、生理学的に許容されて人間に投与される時、通常的に胃腸障害、めまいなどのようなアレルギー反応または、これと類似な反応を起こさない非毒性の組成物を言う。
【0048】
薬学的に許容される担体としては、例えば、経口投与用担体または非経口投与用担体を追加で含むことができる。経口投与用担体はラックトス、澱粉、セルロース誘導体、マグネシウムステアレート、ステアリン酸などを含むことができる。また、非経口投与用担体は水、好適なオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含むことができるし、安定化剤及び保存剤を追加で含むことができる。好適な安定化剤としては、亜黄酸水素ナトリウム、亜黄酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン及びクロロブタノールがある。本発明の薬学的組成物は前記成分ら以外に滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤などを追加で含むことができる。その外の薬学的に許容される担体及び製剤は当業界に公知されていることを参照することができる。
【0049】
本発明の組成物は、人間を含めた哺乳動物にどのような方法でも投与することができる。例えば、経口または非経口的に投与することができる。非経口的な投与方法としては、これに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内投与であることがある。
【0050】
本発明の薬学的組成物は上述したところのような投与経路によって経口投与用または非経口投与用製剤で剤形化できる。
【0051】
経口投与用製剤の場合に本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などで当業界に公知された方法を利用して剤形化されることができる。例えば、経口用製剤は活性成分を固体賦形剤と取り合わせた後、これを粉碎して好適な補助剤を添加した後、顆粒混合物で加工することで錠剤または糖衣錠剤を得ることができる。好適な賦形剤の例としては、
ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール及びマルチトールなどを含む糖類ととうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱
粉及びじゃがいも澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチル-セルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニールピロリドンなどのような充填剤が含まれることができる。また、場合によって架橋結合ポリビニールピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩壊剤で添加することができる。延いては、本発明の薬学的組成物は抗凝集剤、滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加で含むことができる。
【0052】
非経口投与用製剤の場合には注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、補習剤、ゲル剤、エアロゾル及び鼻腔吸入剤の形態で当業界に公知された方法で剤形化することができる。これら剤形はすべての製薬化学に一般的に公知された処方書に記載されている。
【0053】
本発明の組成物の総有効量は単一投与量(single dose)で患者に投与されることができるし、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)によって投与されることができる。本発明の薬学的組成物は疾患の程度によって有効成分の含量を異にすることができる。望ましくは、本発明の薬学的組成物の望ましい全体容量は1日当たり患者体重1kg当たり略0.01ug乃至10,000mg、一番望ましくは、0.1ug乃至1000mgであることがある。しかし、前記薬学的組成物の容量は製剤化方法、投与経路及び治療回数だけではなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌及び排泄率など多様な要因らを考慮して患者に対する有効投与量が決まるものであるので、このような点を考慮する時当分野の通常的な知識を持った者なら本発明の組成物の適切な有効投与量を決めることができるであろう。本発明による薬学的組成物は本発明の効果を見せる限りその剤形、投与経路及び投与方法は特別に制限されない。
【0054】
本発明は、また下記化学式1の化合物または、これの薬学的に許容可能な塩を有効成分で含むグレリン受容体で媒介された疾患の予防または改善用食品組成物を提供する:
【化8】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至10の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルであり、
Rは水素;または炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;炭素数2乃至10のアルケニル;または炭素数2乃至10のアルキニルである。
【0055】
本発明による食品用組成物は、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加剤(food additives)などのすべての形態を含む。前記類型らは当業界に公知された通常的な方法によって多様な形態で製造することができる。
【0056】
例えば、健康食品としては、本発明の食品用組成物自体をお茶、ジュース及びドリンクの
形態で製造して飲用するようにするか、または、顆粒化、カプセル化及び粉末化して取ることができる。また、本発明の食品用組成物は退行性神経疾患または鬱病予防、改善または治療効果があると知られた公知の物質または活性成分とともに混合して組成物の形態で製造することができる。
【0057】
また、機能性食品としては飲み物(アルコール性飲み物込み)、果実及びそれの加工食品(例えば、果物缶詰め、瓶詰め、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例えば、ハム、ソーセージコンビーフなど)、パン類及び麺類(例えば、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例えば、バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種味付け料(例えば、みそ、醤油、ソースなど)などに本発明の食品用組成物を添加して製造することができる。
【0058】
本発明による食品用組成物の望ましい含有量としては、これに限定されないが望ましくは、最終的に製造された食品総重量のうちで0.01乃至50重量%である。本発明の食品用組成物を食品添加剤の形態で使用するためには粉末または濃縮液形態で製造して使用することができる。
【0059】
本発明は、また下記化学式2の化合物またはこれの塩を提供する:
【化9】
前記式で、
Rは水素;炭素数1乃至15の直鎖または側鎖アルキル;または置き換えまたは非置き換えされた炭素数1乃至5のアルキルカルボニルである。
前記式でアルキル、アルキルカルボニルは前述したところが等しく適用されることができる。
望ましくは、前記Rは水素またはアセチルである。
一番望ましくは、前記化学式2の化合物は2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルであることができる。
【0060】
本発明が提供する前記化学式2の化合物は、グレリン受容体特異的な効能剤で作用してグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療剤で活用されることができることを特徴とする。
【0061】
本発明の一様態で、本発明が提供する前記化学式2の化合物にはこれの塩(salt)形態が含まれて、前記塩は望ましくは薬学的に許容可能な塩の形態であることができる。
【0062】
このような塩の例は、これに限定されないが、無機酸(inorganic acid)[例えば、塩酸(hydrochloric acid)、臭化水素酸(hydrobromic acid)、硫酸(sulfuric acid)、リン酸(phosphoric acid)、硝酸(nitric acid)など]で形成される酸付加塩、及び酢酸(acetic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、酒石酸(tartari acid)、琥珀酸(succinic acid)、リンゴ酸(m
alic acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、安息香酸(benzoic acid)、タンニン酸(tannic acid)、パモ酸(pamoic acid)、アルギン酸(alginic acid)、ポリグルタミン酸(polyglutamic acid)、ナフタレンスルホン酸(naphthalene sulfonic acid)、ナフタレンジスルホン酸(naphthalene disulfonic
acid)、及びポリ-ガラクツロン酸(poly-galacturonic acid)のような有機酸(organic acid)で形成された塩を含む。前記化合物はまた当業者に知られた薬学的に許容可能な四次塩の形態で投与されることができるが、特に、クロライド、ブロマイド、ヨージド、-O-アルキル、トルエンスルホネート、メチルスルホネート、スルホネート、ホスフェート、またはカルボキシレート(例えば、ベンゾエート、コハク酸塩、アセテート、グリコレート、マリエート(maleate)、マレート(malate)、フマレート、クエン酸、酒石酸、アスコルベート、シナモエート、マンデロエート及びジフェニルアセテート)を含む。
【0063】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、グレリン受容体で媒介された疾患の治療用製剤を製造するために前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。
【0064】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む組成物の有効量をこれを要する個体に投与することを含むグレリン受容体で媒介された疾患の治療方法を提供する。
【0065】
本発明の前記‘有効量’とは、個体に投与した時、グレリン受容体で媒介された疾患の改善、治療、予防、検出、診断または前記疾患の抑制または減少効果を現わす量を言って、前記‘個体’とは、動物、望ましくは哺乳動物、特に、人間を含む動物であることができるし、動物から由来した細胞、組織、器官などであることもある。前記個体は前記効果が必要な患者(patient)であることがある。
【0066】
本発明の前記‘治療’は、グレリン受容体で媒介された疾患または前記疾患の症状を改善させることを包括的に指称し、これは前記疾患を治癒するか、または、実質的に予防するか、または状態を改善させることを含むことができるし、前記疾患から始まった一つ症状または大部分の症状を緩和させるか、または、治癒するか、または予防することを含むが、これに制限されるものではない。
【0067】
本明細書で用語“を包含する(comprising)”とは、“含有する(including)”または“特徴とする(characterizedby)”と等しい意味で使用され、本発明による組成物または方法において、具体的に言及されない追加的な構成成分または方法の段階などを排除しない。また、用語“でなされる(consisting of)”とは、別に記載しない追加的な要素、段階または成分などを除くことを意味する。用語“必須になされる(essentially consisting of)”とは、組成物または方法の範囲において、記載された物質または段階と併せてこれの基本的な特性に実質的に影響を及ぼさない物質または、段階などを含むことができることを意味する。
【発明の効果】
【0068】
本発明が提供する化合物は、グレリン受容体に非常に高い特異度で強い結合力を現わし、グレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療剤開発に非常に有用に活用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、グレリン受容体を過発現させたHEK293(human embryonic kidney 293)細胞にグレリン及びトリアゾール化合物(KARI001、KARI101、KARI201)の処理濃度による細胞内カルシウム流入を50%で現わすことができるEC50を表した図面である。
図2図2は、グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にグレリン及びトリアゾール化合物10mM(KARI001、KARI101、KARI201)処理によるグレリン受容体下位シグナル因子の変化を表した図面である(n=3、**p<0.01、***p<0.001)。
図3図3は、グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にグレリン及びトリアゾール化合物10mM(KARI001、KARI101、KARI201)処理によるグレリン受容体の細胞内流入効能を表した図面である(n=6、**p<0.01)。
図4a】、
図4b図4a及び図4bは、トリアゾール化合物(KARI201)のグレリン受容体を含んだ170個のGタンパク質連結受容体(G-protein coupled receptor)に対する作用剤または拮抗剤としての効能を表した図面である。
図5a】、
図5b図5a及び図5bは、手術後腸閉塞(POI、Postoperative ileus)マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI201)の濃度による口腔投与後胃腸の運動機能を評価することができる胃排出遅延(Delayed gastric emptying)改善効果を表した図面である(n=5-10、*p<0.05、**p<0.01)。
図6a】、
図6b図6a及び図6bは、手術後腸閉塞(POI、Postoperative ileus)マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI101)の濃度による口腔投与後胃腸の運動機能を評価することができる胃排出遅延(Delayed gastric emptying)改善効果を表した図面である(n=5、**p<0.01、***p<0.001)。
図7a】、
図7b】、
図7c】、
図7d図7a乃至図7dは、手術後腸閉塞(POI、Postoperative ileus)マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI201)30mg/kg口腔投与後大腸の運動機能を評価することができる排泄物の大腸通過時間(図7a)と排泄物の個数及び重さ(図7b)、飼料摂取量(図7c)及び体重(図7d)を表した図面である(n=4、***p<0.001、****p<0.0001)。
図8a】、
図8b】、
図8c】、
図8d図8a乃至図8dは、手術後腸閉塞(POI、Postoperative ileus)マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI101)30mg/kg口腔投与後大腸の運動機能を評価することができる排泄物の大腸通過時間(図8a)と排泄物の個数及び重さ(図8b)、飼料摂取量(図8c)及び体重(図8d)を表した図面である(n=4、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
図9a】、
図9b】、
図9c】、図9a乃至図9cは、癌悪液質マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI101、KARI201)の効能を調べるために遂行した実験の概要(図9a)と10mg/kg口腔投与後筋力機能改善効果(図9b)を確認した図面である(n=7-8、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
図10a】、
図10b】、
図10c】、
図10d図10a乃至図10dは、癌悪液質マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI101、KARI201)10mg/kg口腔投与期間の間癌の大きさ(図10a、体重(図10b、飼料摂取量(図10c)、一日飼料摂取量平均(図10d)を表した図面である(n=9、**p<0.01、****p<0.0001)。
図11a】、
図11b】、
図11c】、
図11d図11a乃至図11dは、癌悪液質マウスモデルにトリアゾール化合物(KARI101、KARI201)10mg/kg口腔投与後全体脂肪重さ(図11a)、内臓脂肪重さ(図11b)、皮下脂肪重さ(図11c)、筋肉重さ(図11d)を表した図面である(n=6-9、*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001)。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明を下記実施例によって詳しく説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけで、本発明がこれらによって制限されるものではない。
【0071】
<実験材料及び実験方法>
0. 化合物の合成
物質名KARI001、KARI201は既存の文献を参考して製造及び合成した(国内登録特許、10-2017324)。陽性対照群で使ったGhrelinタンパク質はTORISから購入した。
KARI001:2-アミノ-2-(1-ドデシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル
KARI201:2-アミノ-2-(1-ノニル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル
物質名KARI101、化合物名2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルは下記一連の工程を通じて製作した。
【0072】
0-1.反応式1、1-アジドデカン(1-azidodecane)合成
【化10】
反応式1の1-アジドデカンを合成するため、DMF(50ml)のうちで化学式1の1-ブロモデカン(9.9g、37mmole)の溶液にアジ化ナトリウム(4.9g、75mmol、2eq)を添加した。混合物を室温で2日間撹拌してIce water(200ml)を追加してエーテルで抽出した。有機層をHO、塩水、MgSO上で乾燥させて濃縮させて化学式2の1-アジドデカン(6.2g、91%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl):δ3.28(t、2H)、1.62(m、2H、)、1.40-1.29(m、14H)、0.91(t、3H)
【0073】
0-2.反応式2、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1、3-ジオル(2-amino-2-(hydroxymethyl)propane-1、3-diol)合成
【化11】
反応式2の2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1、3-ジオルを合成するため、DMF(500ml)のうちで化学式3のトリス(ヒドロキシメチル)アミノ-メタン(25.0g、0.206mol)の懸濁液にBocO(49.5g、1.1eq)を添加した。混合物を室温で2時間の間撹拌した後、2、2-ダイメトキシプロパン(30.4ml、1.2eq)及びp-TsOH.HO(2.0g、0.05eq)を添加した。混合物を室温で18時間の間撹拌してEtO(500ml)で希釈させた。有機層を飽和されたNaHCO溶液(300ml)及び塩水(200ml)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させて濃縮させた。残留物をn-ヘキサンに結晶化して化学式4であるtert-ブチル5-(ヒドロキシメチル)-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメートを白色固体として得た(32.0g、59.4%)。
H NMR(600MHz、CDCl):δ5.32(s、1H)、3.86-3.80(m、4H)、3.73(s、2H)、3.68(s、1H)、1.46-1.44(m、15H)
【0074】
0-3.反応式3、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1、3-ジオル(2-amino-
2-(hydroxymethyl)propane-1、3-diol)合成
【化12】
反応式3のtert-ブチル5-ポルミル-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメートを合成するため、先ず-78℃で乾燥MC(340ml)のうちで塩化オキサリル(33.4ml、3.17eq)の溶液にDMSO(43.7ml、5eq)を混合した。混合物を15分間撹拌した後、無水MC(340ml)のうちで化学式4のtert-ブチル5-(ヒドロキシメチル)-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメート(32.0g、0.123mol)を混合した。混合物を2時間の間撹拌した後、EtN(171ml、10eq)を添加した。混合物を10分間撹拌した後、冷却槽を除去し、混合物を室温で置いた。淡褐色懸濁液をEA(300ml)で希釈して10%NHOH(1,500ml)で洗浄した。有機層を濃縮させ、残留物をEA/n-ヘキサン=1/10で湧出させるSiOカラムクロマトグラフィーに適用して化学式5のtert-ブチル5-ポルミル-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメート(15.0g、47.2%)を白色固体として得た。
H NMR(400MHz、CDCl3):δ9.64(s、1H)、5.56(s、1H)、4.07(d、2H、J=12.0Hz)、3.95(d、2H、J=12.0Hz)、1.47(s、15H)
【0075】
0-4.反応式4、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1、3-ジオル(2-amino-2-(hydroxymethyl)propane-1、3-diol)合成
【化13】
反応式4のtert-ブチル5-エチニル-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメートを合成するため、KCO(3.0g、2.25eq)及びp-トルエンスルホニルアジド(トルエンのうちで14%溶液、15.8ml、1.05eq)が含まれたアセトニトリル(50ml)懸濁液にジメチル-2-ヨウ素プロピル-ホスホネート(1.6g、1.02eq)を添加し、混合物を室温で2.5時間の間激しく撹拌した。メタノール(40ml)に含まれた化学式5のtert-ブチル5-ポルミル-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメート(2.5g、9.64mmol)の溶液を初反応混合物に添加した。KCO(2.7g、2.06eq)添加後、混合物を1.5時間の間撹拌し、減圧下に濃縮させ、残留水をMC(200ml)及びHO(200ml)で希釈させた。有機層をHO(200ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させて減圧下で濃縮させた。残留物をEA/n-ヘキサン=1/9で溶離しながらSiOカラムクロマトグラフィーに適用して化学式6のtert-ブチル5-エチニル-2、2-ジメチル-1、
3-ジオキサン-5-イルカルバメートを白色固体として得た(2.3g、93.4%)。
H NMR(400MHz、CDCl3):δ5.15(s、1H)、4.05-3.95(m、4H)、2.43(s、1H)、1.48-1.38(m、15H)
【0076】
0-5.反応式5、2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオル(2-amino-2-(1-decyl-1H-1、2、3-triazol-4-yl)propane-1、3-diolhydrochloride)合成
【化14】
反応式5のKARI101である2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルを合成するため、化学式6のtert-ブチル5-エチニル-2、2-ジメチル-1、3-ジオキサン-5-イルカルバメート(4.0g、15mmol)、反応式1の1-アジドデカン(3.16g、17mmol)、ナトリウムL(4.03g、20mmol)、t-BuOH(60ml)、HO(128ml)、MC(104ml)の溶液にCuSO.5HO(1.56g、6mmol)を添加した。2相溶液を18時間の間空気中で撹拌し、水層をMCで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥させて減圧下に濃縮させた。残留物をEA/n-ヘキサン=1/6で溶離しながらSiOカラムクロマトグラフィーに適用して固体(6.5g)を得た。得られた固体に濃いHCL(21ml)とエタノール(210ml)と混合し、室温で6時間の間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮させてアセトンで再結晶化して2-アミノ-2-(1-デシル-1H-1、2、3-トリアゾール-4-イル)プロパン-1、3-ジオルを白色固体として得た(2.6g、52.4%、分子量298.4)。
H NMR(500MHz、methanol-d):δ8.06(s、1H)、4.41(t、2H)、3.95(dd、J=20Hz、15Hz、4H)、1.91(t、2H)、1.29-1.33(m、14H)、0.89(t、3H)
13C NMR(500MHz、methanol-d):δ144.9、124.3、63.7(2c、60.8、51.5、33.0、31.3、30.6、30.5、30.4、30.1、27.5、23.7、14.4
【0077】
1.細胞培養
HEK293(human embryonic kidney 293)細胞をATCCで購入して10% FBSを含むDMEM培地で37℃及び5%のCOで培養した。グレリン受容体過発現のためにHEK293細胞に人間グレリン受容体cDNAベクター(hGHSRa-pcDNA3.1+、cDNA resource Center)を感染させた後48時間の間培養した。この後、前記細胞株に合成された各トリアゾール化合物及びGhrelinを処理して細胞内カルシウム流入、グレリン受容体下位シグナル因子、グレリン受容体細胞内流入のようなグレリン受容体作用剤としての効能を評価した。
【0078】
2.細胞内カルシウム流入実験
グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にカルシウム特異的な蛍光因子であるFluo-2AMを処理した後1時間後に20mM Hepes、1 mM CaCl、1 mM MgCl、0.7mg/mL probenicidが含まれたwashバッファーで2回洗浄した。細胞にwashバッファー100ulを処理した後、温湿度調節装備が装着されたレーザースキャニング共焦点顕微鏡の下で1分間10秒のシャッター間隔で蛍光標識された細胞内カルシウムを励起波長485nMと放出波長520nMでイメージ化した。その後、Ghrelin及びトリアゾール化合物を各濃度別に追加した後同一条件でイメージ化した。化合物処理による細胞内カルシウム蛍光強度は処
理しなかった時蛍光強度を基準に換算して定量化した。
【0079】
3.免疫蛍光法
グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にGhrelin及びトリアゾール化合物を各10mMを処理した後1時間後に細胞を固定させてグレリン受容体に対する抗-グレリン受容体(兎、1:500、abcam)を一緒に培養した。一日後に細胞を洗浄して抗-兎488抗体を1時間培養した後、Fluoview SV1000イミジングソフトウェア(Olympus FV1000、Japan)を装着したレーザースキャニング共焦点顕微鏡を利用して分析した。Metamorph software(Molecular Devices)を利用して細胞内に流入されたグレリン受容体の染色された部位の広さのパーセントを定量化した。
【0080】
4.ウェスタンブロット
ウエスタンブロッティングを利用してpAMPK、AMPK、pPI3K、PI3K、pERK、ERKのタンパク質発現を分析した。pAMPK、AMPK、pPI3K、PI3K、pERK、ERK(cell signaling)及びβ-アクチン(Santa Cruz)に対する抗体を利用し、密度定量化(densitometric quantification)はImageJソフトウェア(US National Institutes of Health)を利用して遂行した。
【0081】
5.Gタンパク質連結レセプター作用剤及び拮抗剤分析
総170種類のGタンパク質連結レセプターに対してトリアゾール化合物(10mM)の作用剤及び拮抗剤としての効能は、Eurofins Discovery社で遂行された。
【0082】
6.手術後腸閉塞マウスモデル設立
6-8週齢のマウスを一日の間禁食させた後ケタミンとキシラジン混合物で麻酔させた。その後、腹部と腹膜を切開した後小腸を殺菌されたガーゼパッドの上に現わした。殺菌された綿棒を使って5分十二指膓から盲膓まで操作した。手術後腹部を縫合した後32度の温度で維持されるケージで4時間の間回復されるようにした。
【0083】
7.胃排出遅延評価
POI手術20時間後トリアゾール化合物(10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg)を口腔投与した。4時間後1.5%メチルセルロース水溶液と0.05%フェノールレッド(Sigma)を口腔投与した。30分後マウスの胃を摘出して0.1N NaOH 2ml溶液に入れて均質化した。3mlの0.1N NaOH溶液を追加して4度の3000rpmで10分間遠心分離した。上清液に100mlの20%卜リクロロ醋酸を添加した後4度の3000rpmで10分間遠心分離した。500ml上清液に400mlの0.5N NaOH溶液を添加した後562nmで吸光度を測定した。Baseline controlのために1.5%メチルセルロース水溶液と0.05%フェノールレッドを口腔投与した直後の胃を摘出して前記上の過程で獲得したサンプルで吸光度を測定した。胃排出遅延パーセントは(1-(テストサンプルの吸光度)/(baseline control吸光度)x100で計算された。
【0084】
8.大腸通過時間評価
排泄物の大腸通過時間を評価するためにPOI手術後縫合前に200ulのトリパンブルーで染料を筋痿結腸に注入された。POI手術4時間後トリアゾール化合物(30mg/kg)を口腔投与した。マウスを代謝ケージに移して重さを測定した飼料を投与して24時間の間トリパンブルーに染色された一番目の排泄物が現われる時間を測定した。24時間目に排泄物の個数及び重さを測定して取った飼料の重さとマウスの体重が測定された。
【0085】
9.癌悪液質モデル設立
癌液質モデル設立のためにCT26(colon tumor 26 cell line)細胞をATCC(CRL-2638)で購入して10%FBSを含むRPMI1640培地で37℃及び5%のCO2で培養した。培養した1x10個の細胞を10週齢のマウス右側腹部皮下に注入した。細胞注入後毎1
回右側腹部に育った癌の大きさ、体重、飼料摂取量を測定した後9日目からトリアゾール化合物10mg/kgを毎日口腔投与した。癌細胞注入18日目に筋肉機能評価のためのGrip test、Rota-rod testを各1日ずつ施行し、20日目にマウスの皮下脂肪、内臓脂肪及び筋肉(大腿部、こむら)を分離して重さを測定した。
【0086】
10.筋肉機能評価のためのGrip test、Rota-rod test
筋肉機能評価のためにGrip testはグリップ強度測定機に装置された金属格子にマウスが格子を取るようにした後、しっぽを取って水平に後から引いた。グリップを失う直前に金属格子に加えられた力をg単位で最大張力で測定機に記録し、個体当たり9回実施してその平均値を記録した。Rota-rod test(Ugo Basile、Comerio、VA、Italy)は、グリップを提供するために適切に加工された直径3cmの棒が設置されている機械を4rpmの回転速度で、3回以上Rota-rod運動を実施して実験動物の耐久時間(endurance time)を秒単位で測定し、その平均値を記録した。前記各Rota-rod行動試験は1回あたり5分を超過しないようにした。
【0087】
11.統計学的分析
複数のグループの比較のためにSAS統計学的パッケージ(release9.1;SAS Institute Inc.、Cary、NC)にしたがって、Tukey’s HSDテスト及び分散テストの繰り返し測定分析を遂行した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001を有意的なことで見做した。
【0088】
<実験結果>
1.細胞内カルシウム流入増加を通じたグレリン受容体作用剤としての効果確認
トリアゾール化合物らのグレリン受容体作用剤としての効能を確認するために先にグレリンの主要機能である細胞内カルシウム流入変化を測定した。人間グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にカルシウム標識蛍光因子を1時間の間反応させた後グレリン及びトリアゾール化合物KARI001、KARI101、KARI201をそれぞれ濃度別に処理した。その結果、3種のトリアゾール化合物の濃度が高くなることによって細胞内カルシウム流入が増加することを確認した(図1)。細胞内カルシウム流入を50パーセント誘導することができる濃度であるEC50がグレリン=39.45nM、KARI001=128.3nM、KARI101=188.5nM、KARI201=272.9nMで確認された。
すなわち、3種のトリアゾール化合物はグレリン受容体作用剤として細胞内カルシウム流入を誘導することができることを確認した。
【0089】
2.グレリン受容体のGタンパク質依存下位因子調節を通じたグレリン受容体作用剤としての効果
グレリン受容体はGタンパク質連結受容体としてグレリンがグレリン受容体に結合する場合大きく3種類のGタンパク質に依存してそれぞれ他の下位シグナル因子らの活性が調節されると知られている。その例で、Gaq-依存シグナルリングは細胞内カルシウム流入を増加させてAMPK因子のリン酸化を増加させ、Gai/o-依存シグナルリングはPI3K因子のリン酸化を増加させる。B-arrestin-依存シグナルリングはERK因子のリン酸化を増加させるか、またはグレリン受容体を細胞内に流入させる(FASEB J.2019;33(1):518-531)。
先ず、3種のトリアゾール化合物がグレリン受容体のGタンパク質依存シグナル下位因子のリン酸化を調節することができるかを確認した。人間グレリン受容体を過発現させたHEK293細胞にグレリン及び3種のトリアゾール化合物10mMを処理した後1時間後に細胞のタンパク質を抽出してウェスタンブロットで下位因子のリン酸化如何を確認した。その結果、3種のトリアゾール化合物はAMPK因子のリン酸化を増加させることができることを観察した(図2)。
追加でグレリン受容体の細胞内流入効果を確認するために人間グレリン受容体を過発現さ
せたHEK293細胞にグレリン及び3種のトリアゾール化合物10mMを処理した後1時間後にグレリン受容体抗体を培養した後細胞内グレリン受容体発現如何を確認した。その結果、グレリン及び3種のトリアゾールを処理しない細胞は細胞膜にグレリン収容体が発現する反面、グレリン及び3種のトリアゾールを処理した細胞は核周り細胞質にグレリン収容体が発現することで観察された(図3)。
すなわち、3種のトリアゾール化合物はグレリン受容体のGaq-依存シグナルリングとB-arrestin-依存シグナルリングを調節することができる作用剤としての効果があることを分かった。
【0090】
3.トリアゾール化合物のグレリン受容体特異的な作用剤としての効果
Gタンパク質連結受容体系列は、グレリン受容体を含んで多くの種類の受容体らが含まれる。トリアゾール化合物が他の種類のGタンパク質連結受容体の作用剤または拮抗剤としての効能があるかを確認した。グレリン受容体を含んだ総170種のGタンパク質連結受容体を発現するそれぞれ他の細胞株にトリアゾール化合物であるKARI20110mMを単独処理(作用剤効果)または、各受容体に対するリガンドを一緒に処理(拮抗剤効果)した。その結果、KARI201はひたすらグレリン受容体作用剤としての効能だけ83.7%現わすことで確認された(図4a及び図4b)。
すなわち、本結果を通じてKARI201トリアゾール化合物がグレリン受容体特異的な作用剤として効果があることを分かった。
【0091】
4.トリアゾール化合物の胃排出遅延改善効果
グレリン収容体であるグレリンの代表的な生理学的な効果中の一つである胃運動促進効果を確認するために手術後腸閉塞(POI)マウスを利用した。腸閉塞を誘導したPOIマウスは正常マウスに比べて胃排出遅延効果を現わす一方、POI手術20時間後KARI201及びKARI101を投与したPOIマウスは濃度が高くなることによって胃排出遅延が有意性あるように改善されることが確認された(図5a、5b、図6a、6b)。
すなわち、トリアゾール化合物であるKARI201、KARI101はグレリン受容体作用剤として胃運動機能を改善させて胃排出遅延改善に効果があることを分かった。
【0092】
5.トリアゾール化合物の大腸運動機能改善効果
トリアゾール化合物であるKARI201、KARI101の胃排出遅延効果を基にPOIマウスで排泄物の大腸通過時間を改善させてくれることができるかを確認した。POI手術4時間後PBSを投与したマウスは排泄物の大腸通過時間が長い反面、KARI201またはKARI10130mg/kgを投与したマウスは排泄物大腸通過時間が有意性あるように減少した(図7a及び図8a)。排泄物の個数及び重さもKARI201投与によって増加した(図7b及び図8b)飼料摂取量もPBSを投与したPOIマウスより増加し、それに比べて体重の変化はなかった(図7c、7d、図8c、8d)。
すなわち、トリアゾール化合物であるKARI201とKARI101はグレリン受容体作用剤として大腸運動機能も改善させて排泄物の排出時間改善に効果があることを分かった。したがって、トリアゾール化合物はグレリン受容体で媒介された疾患の予防または治療剤として非常に有用に活用されることができることを分かった。
【0093】
6.トリアゾール化合物の筋力機能向上効果
グレリン収容体であるグレリンのまた他の生理学的な効果中の一つである飼料摂取量増加とこれによる脂肪及び筋肉減少改善効果を確認するために癌悪液質マウスを利用した。癌悪液質マウスモデルを設立するために10週齢のマウスの右側腹部皮下にCT26癌細胞を注入した。細胞注入後9日目に右側腹部に癌細胞が育ったことを確認し、KARI101、KARI20110mg/kgを毎日1回口腔投与した。18日目に筋力機能を評価するためにGrip testとRota-rodテストを実施した(図9a)。Vehicleを注入した癌悪液質マウスは筋力機能が減少される反面、KARI101またはKARI201を投与した癌悪液質マウスは筋力機能が
有意性あるように向上することを確認した(図9b及び図9c)。
【0094】
7.トリアゾール化合物の飼料摂取量、脂肪及び筋肉減少改善効果
トリアゾール化合物であるKARI101、KARI201の癌悪液質マウスモデルの筋力機能向上効果を基に癌の大きさ、体重、飼料摂取量を評価した。KARI101、KARI201投与は癌悪液質マウスの癌大きさ(図10a)及び体重(図10b)に影響を与えなかったが、vehicleを投与したマウスに比べて一日飼料摂取量を増加させた(図10c及び図10d)。また、KARI101、KARI201投与はvehicle投与癌悪液質マウスに比べて減少された全体脂肪(図11a)、内臓(図11b)及び皮下脂肪(図11c)を増加させ、減少された筋肉量(図11d)も増加させた。
すなわち、トリアゾール化合物であるKARI201とKARI101は、グレリン受容体作用剤として癌悪液質マウスの減少された飼料摂取量を増加させてくれることができるし、これにより減少された脂肪及び筋肉量、筋力機能改善に効果があることを分かった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明によれば、本発明が提供する化合物は、グレリン受容体に非常に高い特異度で強い結合力を現わし、グレリン受容体に媒介された疾患の予防または治療剤開発に非常に有用に活用されることができて産業上利用可能性が高い。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図11d
【国際調査報告】