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特表2023-543017ハイスループットマルチパラメータ免疫細胞エンゲージャースクリーニングアッセイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ハイスループットマルチパラメータ免疫細胞エンゲージャースクリーニングアッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20231004BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20231004BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231004BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20231004BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20231004BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231004BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231004BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20231004BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20231004BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20231004BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20231004BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
G01N33/68
G01N33/53 D
G01N33/15 Z
C12N5/078
C12N5/10
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12Q1/02
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519095
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021051907
(87)【国際公開番号】W WO2022067005
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/083,969
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コザック, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ, ジョセファ デラ クルース
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB02
2G045DA15
2G045DA36
2G045FA37
2G045FB03
2G045FB12
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ08
4B063QQ96
4B063QR58
4B063QR77
4B063QS03
4B063QS28
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX02
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065BA02
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、免疫細胞エンゲージャー分子及び候補となる免疫細胞エンゲージャー分子を試験するためのハイスループットアッセイのための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施態様では、例えば、T細胞などの免疫細胞による腫瘍細胞の係合に関連して、及び腫瘍細胞死に関連して、複数のパラメータを、アッセイにおいて同じ試料から分析することができ、場合によっては同時に分析することができる。いくつかの実施態様では、方法及びシステムは、種々のパラメータの動態を決定することを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補となる免疫細胞エンゲージャーの活性をアッセイする方法であって、
(a)少なくとも1つの候補となる免疫細胞エンゲージャーの存在下で、標的細胞と免疫細胞とを共培養すること、並びに
(b)以下のパラメータ:(i)標的細胞の死、(ii)標的細胞のアポトーシス、(iii)ATP濃度の変化、及び(iv)共培養細胞由来の上清中の少なくとも1つの被分析物の濃度の変化のうちの少なくとも1つをアッセイすることであって、任意選択的に、各パラメータが同じ共培養細胞試料中でアッセイされる、パラメータをアッセイすること
を含む方法。
【請求項2】
共培養することが、標的細胞をマルチウェル細胞プレートのウェルに加えること、及び免疫細胞と少なくとも1つの候補となる免疫細胞エンゲージャーとをウェル内の標的細胞に加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞プレートが96から384のウェルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
標的細胞が腫瘍細胞又は初代細胞である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
免疫細胞が、T細胞(CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、CD3+ T細胞、又はPan T細胞など)、PBMC細胞、又はNK細胞である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
免疫細胞が複数のドナーに由来する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
標的細胞が、細胞が殺滅されるか又はアポトーシスを起こすと低下したシグナルを提供する蛍光核タンパク質をコードするベクターで形質導入され、標的細胞の死が蛍光核タンパク質シグナルの消失によって測定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
標的細胞のアポトーシスが、カスパーゼ3/7依存性蛍光標識からのシグナルの増加によって測定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ATP濃度の低下が発光標識によって測定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
共培養物からの上清が、候補となる免疫細胞エンゲージャーの共培養細胞への付加後に少なくとも1回除去され、少なくとも1つのサイトカイン、ケモカイン、又はT細胞活性マーカー、例えばグランザイムB、インターフェロンガンマ(IFNg)、IL-10、IL-2、IL-6、IL-8、MIP1a、MIP1b、又はTNF-アルファ(TNFa)の濃度、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
パラメータ(i)から(iv)のうちの少なくとも1つの動態が決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の標的細胞の死までの時間が決定される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
共培養物の一部分を取り出してフローサイトメトリー分析を実施し、CD3、CD8、又はCD4といった少なくとも1つの免疫細胞マーカーの存在を決定する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
候補となる免疫細胞エンゲージャーが二重特異性分子である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
候補となる免疫細胞エンゲージャーが、二重特異性抗体などの抗体である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
抗体がT細胞依存性二重特異性抗体(TDB)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
共培養細胞に共刺激受容体二重特異性抗体(CRB)を付加することをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
パラメータ(i)から(iv)のうちの少なくとも2つが決定され、前記パラメータは、同じ共培養試料から、又は細胞プレートの同じウェルから決定される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[001]本出願は、2020年9月27日出願の米国仮特許出願第63/083,969号の優先的利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
[002]本出願は、免疫細胞エンゲージャー分子を試験するためのハイスループットアッセイのための方法及びシステム、及び候補となる免疫細胞エンゲージャー分子に関する。いくつかの実施態様では、例えば、T細胞などの免疫細胞による腫瘍細胞の係合に関連して、及び腫瘍細胞死に関連して、複数のパラメータを、アッセイにおいて同じ試料から分析することができ、いくつかの事例では同時に分析することができる。いくつかの実施態様では、方法及びシステムは、種々のパラメータの動態を決定することを可能にする。
【背景技術】
【0003】
[003]免疫細胞エンゲージャーには、例えば、各種の細胞上の細胞表面分子に結合し、2つの細胞型を一緒にするための架橋として機能することによって、免疫細胞を破壊の標的となる細胞と近接させうる分子が含まれる。免疫細胞と標的細胞の両方にエンゲージャーを結合させることで、人工的な免疫シナプスを形成することができる。この過程は、免疫細胞が標的細胞を同定して殺す、通常の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)に依存する機序とは独立して作用している可能性がある。
【0004】
[004]候補となる免疫細胞エンゲージャー分子の活性を評価するために、様々なアッセイが利用可能である。例えば、細胞死は、ルミネセンスアッセイにおける特定の核蛍光染色の使用又は測定されるATP活性の損失によって測定することができ、アポトーシスは、カスパーゼなどのアポトーシス因子の存在にシグナルが依存する染色の使用によって測定することができる。サイトカインなどの種々のタンパク質の濃度といった、システム内の関連する変化も測定されうる。しかしながら、これらアッセイは、多様な標識及び分析方法に依存している。
【発明の概要】
【0005】
[005]本開示は、免疫細胞エンゲージャーとして作用しうる分子をアッセイするための方法及びシステムを包含し、例えば、免疫細胞と腫瘍細胞の係合及び腫瘍細胞死に関連する複数のパラメータに対するそれらの影響を決定する。本開示の方法は、少量の材料に対して実施することができ、種々のパラメータを動力学的に追跡することができ、1つの少量の試料、例えばマルチウェルプレートからのウェル対して異なるパラメータの異なる分析を動力学的に実施することができ、何百もの試料を並行して実行することを可能にすることができる。したがって、本開示の方法は、様々な細胞培養系又は種類の多くの免疫細胞エンゲージャー分子のハイスループット分析を可能にする。
【0006】
[006]本開示の例示的な方法は、例えば:
[007]候補となる免疫細胞エンゲージャーの活性をアッセイする方法であって、免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞又はPBMC)と標的細胞(腫瘍又は初代細胞など)とを、少なくとも1つの候補となる免疫細胞エンゲージャーの存在下で共培養することと、以下のパラメータ:(i)例えば核染色の消失に基づく、標的細胞の死、(ii)例えば細胞のカスパーゼ3/7依存性標識に基づく、標的細胞のアポトーシス、(iii)ATP濃度の変化(例えば、発光標識を使用するCell Titer Glo(登録商標)アッセイで);及び(iv)サイトカイン、T細胞活性化因子、ケモカインなどの共培養上清由来の少なくとも1つの被分析物の濃度の変化、のうちの少なくとも1つをアッセイすることとを含む方法を含む。いくつかの実施態様では、細胞は、例えばマルチウェルプレート(例えば96又は384ウェルプレート)上で共培養することができ、任意選択的に、腫瘍細胞又は初代細胞といった標的細胞が色素で染色され、例えば細胞が、例えばレンチウイルスベクターを使用して、又は別のトランスフェクション系を使用して、核蛍光タンパク質で安定的にトランスフェクトされる。いくつかの実施態様では、まず標的細胞が培養され、次いで免疫細胞が付加される。いくつかの実施態様では、まず免疫細胞が培養され、次いで標的細胞が付加される。いくつかの実施態様では、標的細胞及び免疫細胞は、少なくとも18時間、又は少なくとも24時間といった少なくとも一定の期間にわたり、少なくとも1つの候補となる免疫細胞エンゲージャーと共にインキュベートされる。いくつかの実施態様では、特定のパラメータが、例えば、2、4、6、12、18、24、36、48、72、96又はそれより長い時間の後でアッセイされうる。いくつかの実施態様では、アッセイ(i)から(iv)のうちの1つ又は複数が、例えば、2時間毎、4時間毎、又は6時間毎に、複数回実施される。他の事例では、特定のパラメータは、細胞プレートイメージャーなどの自動画像化装置を使用するなどして、連続的にモニターされてもよい。いくつかの実施態様では、細胞死、アポトーシス活性、並びに/又はATP及びサイトカイン濃度の変化の動態が決定されうる。
【0007】
[008]いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、プレート画像化装置においてモニターされうるように、細胞プレート又は同様の構造のウェルにおいて共培養される。いくつかの事例では、腫瘍細胞は、例えば1000~50000細胞/ウェル、5000~30000細胞/ウェル、例えば5000~20000細胞/ウェル、又は8000~15000細胞/ウェル、又は8000~12000細胞/ウェル、又は5000細胞/ウェル、7000細胞/ウェル、8000細胞/ウェル、9000細胞/ウェル、10000細胞/ウェル、11000細胞/ウェル、12000細胞/ウェル、又は15000細胞/ウェルで播種される。いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、5~50μL/ウェル、10~50μL/ウェル、20~50μL/ウェル、20~40μL/ウェル、20~30μL/ウェル、30~50μL/ウェル、30~40μL/ウェル、25~35μL/ウェル、10μL/ウェル、20μL/ウェル、25μL/ウェル、30μL/ウェル、35μL/ウェル、又は40μL/ウェルで播種される。例えば、いくつかの実施態様では、免疫細胞は、例えば1000~50000細胞/ウェル、例えば10000~40000細胞/ウェル、10000~30000細胞/ウェル、5000~20000細胞/ウェル、又は8000~15000細胞/ウェル、又は8000~12000細胞/ウェル、又は5000細胞/ウェル、7000細胞/ウェル、8000細胞/ウェル、9000細胞/ウェル、10,000細胞/ウェル、11000細胞/ウェル、12000細胞/ウェル、又は15000細胞/ウェルで播種することができる。いくつかの実施態様では、免疫細胞は、例えば、5~50μL/ウェル、10~50μL/ウェル、20~50μL/ウェル、20~40μL/ウェル、20~30μL/ウェル、30~50μL/ウェル、30~40μL/ウェル、25~35μL/ウェル、10μL/ウェル、20μL/ウェル、25μL/ウェル、30μL/ウェル、35μL/ウェル、又は40μL/ウェルで付加される。いくつかの事例では、腫瘍細胞若しくは初代細胞といった標的細胞の数、及び/又はウェル若しくはや試料あたりの免疫細胞の数が変動しうる。細胞数及び容積は、例えば、細胞の増殖速度によって変動しうる。
【0008】
[009]いくつかの事例では、標的細胞は腫瘍細胞である。腫瘍細胞は、腫瘍細胞株に由来するものでありうる。いくつかの事例では、腫瘍細胞はドナーに由来しうる。腫瘍細胞は、様々なヒト又は哺乳動物のがんのいずれかに由来するものでありうる。いくつかの事例では、標的細胞は初代細胞である。免疫細胞は、いくつかの事例では、T細胞(例えば、pan T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞)である。他の事例では、免疫細胞はPBMC細胞である。他の事例では、免疫細胞は、T細胞と、B細胞及び/又はNK細胞といった他の種類の細胞との混合物とすることができる。いくつかの事例では、免疫細胞はNK細胞であってもよい。
【0009】
[0010]本発明は、候補となる免疫細胞エンゲージャーの複数の分析を、いくつかの実施態様では細胞の1つのプレートから、いくつかの実施態様では比較的少量の材料を使用して、いくつかの実施態様では、ほとんど又はすべての工程が自動化されて、実行する方法を包含する。例えば、いくつかの事例では、短時間に数百回のスクリーニングを、例えば複数のプレートで実行し、腫瘍細胞死及びアポトーシスに関連するパラメータ並びにサイトカイン濃度の変化といった複数の異なるパラメータの動力学アッセイを可能にすることができる。
【0010】
[0011]いくつかの事例では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞及び腫瘍細胞に係合する能力が未知であり、評価されるべき分子である。他の事例では、分子は既知の免疫細胞エンゲージャーであり、アッセイ系は、例えば、分子が、特定の種類の腫瘍細胞に、又は1名若しくは複数名の特定のドナーに由来する免疫細胞に反応性であるかどうかを決定するために使用される。
【0011】
[0012]いくつかの実施態様では、アッセイされる候補となる免疫細胞エンゲージャーは、T細胞などの免疫細胞上の標的及び腫瘍細胞などの標的細胞上の標的に結合する多重特異性抗体又は二重特異性抗体といった抗体を含む。例えば、いくつかの実施態様では、抗体は、候補となるT細胞依存性二重特異性(TDB)であり、これは、T細胞上の標的(例えば、CD3)に、及びさらには腫瘍細胞上の標的(例えば、腫瘍細胞上に発現する標的)に結合しうる。いくつかの実施態様では、抗体は、候補となる共刺激受容体二重特異性(CRB)抗体であり、これは、CD28又はICOSなどのT細胞上の共刺激標的に、及び腫瘍細胞上の標的に結合しうる。いくつかの実施態様では、候補となるTDB又は候補となるCRBがアッセイされうる。いくつかの実施態様では、本明細書のアッセイは、候補となるTDBとCRBの組み合わせを評価しうる。いくつかの実施態様では、腫瘍細胞及び免疫細胞上の標的に結合する候補となる免疫細胞エンゲージャーは、非抗体を含んでもよく、又は抗体と他の分子とのコンジュゲートでもよい。免疫細胞及び腫瘍細胞上の免疫細胞エンゲージャーのさらなる例示的標的を以下に示す。
【0012】
[0013]いくつかの実施態様では、本明細書の方法は、分子が免疫細胞エンゲージャーとして作用するかどうかを決定するために使用されうる;したがって、試験される分子は、候補となる免疫細胞エンゲージャーでありうる。いくつかの実施態様では、本明細書の方法は、既知の免疫細胞エンゲージャーを用いて実行することができるが、その効力を決定するため、又は特定の免疫細胞若しくは腫瘍細胞の存在下でどのように作用するかを決定するため、又はその動態を決定するため、又はその抗力を、又はこれら因子のうちの複数を決定するために実行されうる。いくつかの事例では、本明細書の方法は、免疫細胞エンゲージャーが、異なる種類の免疫細胞、又は異なる個々のドナー由来の免疫細胞とどのように相互作用するかを決定するために実行されうる。いくつかの事例では、本明細書の方法は、候補となる異なる免疫細胞エンゲージャー又は免疫細胞エンゲージャーの組み合わせを比較するために使用されうる。
【0013】
[0014]本開示は、上記方法を実施するためのシステムも含む。いくつかの実施態様では、システムは、自動細胞播種装置、例えば、免疫細胞及び又は候補となる免疫細胞エンゲージャーをウェルに加えるための、音響制御液体ディスペンサー、細胞上の蛍光標識をモニターするための細胞プレート画像化装置、及びウェル内のサイトカイン濃度を決定するためのアレイ若しくはビーズのうちの1つ又は複数を含む。
【0014】
[0015]前述の概説及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書に援用されて本明細書の一部を構成する添付図面は、特定の例示的実施態様を示し、記載と共に本明細書に記載される特定の原理を説明するのに寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0016]本明細書のアッセイを実行するための、例示的なハイスループット、マルチパラメータ、自動化システムの例示的なワークフローを示している。
図2】[0017]細胞を播種するために使用される細胞密度の例示的な最適化を示している。
図3A-3B】[0018]免疫細胞及びT細胞依存性二重特異性抗体(TDB)の付加後の腫瘍細胞の蛍光の経時変化を示しており、腫瘍細胞の殺滅及びアポトーシスを反映している。図3Aは、免疫細胞とTDBの付加後1日目又は3日目の核蛍光強度(NucLightTM)のレベルを示している。図3Bは、3Dスフェロイドとして共培養した腫瘍細胞(白色)とCytolightTM染色した免疫細胞(濃いグレー)を示しており、TBDあり(上段)又はTBDなし(下段)で一定期間(左から右のパネル)インキュベートしたものである。
図3C-3E】免疫細胞及びT細胞依存性二重特異性抗体(TDB)の付加後の腫瘍細胞の蛍光の経時変化を示しており、腫瘍細胞の殺滅及びアポトーシスを反映している。図3Cは、マイクロウェル384ウェルプレートの1つの86,400サブウェルにおける単一細胞殺滅活性を示し、個々の腫瘍細胞染色とカスパーゼ3/7蛍光標識スポットを示す。図3Dは、免疫細胞及び免疫細胞エンゲージャーの存在下における腫瘍細胞の核蛍光色素及びカスパーゼ3/7依存性蛍光色素の強度の変化を、標的細胞数(図3D)及び標的細胞殺滅パーセント(正規化済み)(図3E)として示している。
図4A-4D】[0019]エンドポイント殺滅及びサイトカイン濃度の変化といった腫瘍細胞の係合及び殺滅に関連する他のパラメータを示すデータを提供する。図4Aは、2つの異なるTDB(NLR 4D5及びNLR 2C4)を用いた4つの異なる細胞株(BT474、NCIH292、COV413B及びCOV362)の代謝(ATP)読み出しに基づく腫瘍細胞殺滅を示している。図4B図4C、及び図4Dは、ウェルから採取された上清中のIL-6、IFNg、及びIL-2それぞれの濃度の変化(上の曲線)を、非腫瘍標的コントロールTDB(下の曲線)と比較して示している。
図4E-4F】エンドポイント殺滅及びサイトカイン濃度の変化といった腫瘍細胞の係合及び殺滅に関連する他のパラメータを示すデータを提供する。図4E及び図4Fは、60nMのTDBで処理した2つの被分析物(IL-6及びIL-2)のMFIシグナルを、4つの異なるTBDで経時的に示している。
図5】[0020]384ウェルから単離された免疫細胞のフローサイトメトリーによるCD8+CD69+ T細胞の割合の決定を示している。
図6A】[0021]TDB及びCRBとのインキュベーションによる細胞集団における違いを示している。共培養細胞上清における、TDBの高用量(濃い丸)及び低用量(薄い丸)での、グランザイムB、IL-10、MIP1b、IFNγ、IL-2、TNFαの濃度の違いを、TDB単独又はTDBとCRBとの組み合わせについて示している。
図6B】左パネルは、1日後及び3日後の、TDBなし及びTDBありでインキュベートした後のCD8+及び共刺激受容体+(CoStim+)T細胞の割合の違いを、右パネルは、1日後及び3日後の、TDBあり又はなしでのCD8+CD25+ T細胞の割合(Teff)を示している。
図7A】[0022]親和性と動力学データを示している。図7Aは、異なるTDBが、近位(p)又は遠位(d)でHer2に結合する様子と、CD3に高い(hi)又は低い(lo)親和性で結合する様子を模式的に示している。
図7B】親和性と動力学データを示している。TDBの個々の抗Her2アーム又は抗CD3アームの相対的な親和性を示している。
図7C-7D】親和性と動力学データを示している。図7Cは、2つのTDBの動力学的追跡を提供しており、TDB処理の親和性が高いほど細胞の消失が大きいことを示している。図7Dは、2つのTDBの用量応答曲線への動力学的追跡の変換を示している。
図7E-7F】親和性と動力学データを示している。図7Eは、2つのTDBについて、腫瘍細胞の50%を殺滅させるのにかかる時間の計算を示し、それらが異なる殺滅速度を有することを示している。図7Fは、7Eの%細胞溶解の追跡から生成された用量応答曲線を示している。
図8A-8C】[0023]細胞殺滅活性に関連するデータを示している。図8Aは、固定量のTDBが共投与されたCRBの滴定を示している。濃い曲線は、TDBに対するCRBのより高い相対濃度を示している。図8Bは、異なる処理濃度についてKT50率の計算を示している。図8Cは、個々の追跡からのDRC計算を示している。
図8D-8E】細胞殺滅活性に関連するデータを示している。図8Dは、3つの固定濃度のTDBへのCRBの滴定に関する標的細胞殺滅の割合(正規化済み)を示している。図8Eは、4つの濃度の固定CRBへのTDBの滴定に関する標的細胞殺滅の割合(正規化済み)を示している。
図8F-8G】細胞殺滅活性に関連するデータを示している。図8Fは、NuclightTMredアッセイにおける最大割合の腫瘍細胞殺滅活性と、実施例に記載されるカスパーゼ3/7アッセイにおける最大割合の活性との相関を示している。図8Gは、NuclightTM redアッセイにおける最大割合の活性と、Cell Titer Glo(登録商標)アッセイにおける最大割合の活性との相関を示している。
図9】[0024]図9A~9Dは、TDBの付加後6、24、及び72時間目のウェルからの上清中の特定の被分析物濃度(図9A-IFNγ;図9B-グランザイムB;図9C-IL2;及び図9D-IL6)の変化を示している。各グラフの個々の曲線は、異なるTDBクローンのデータを表している。
図10】[0025]複数のデータ読み出し、例えば細胞殺滅のKT50及び種々のサイトカイン濃度の変化に基づく、種々のCRBクローン及びコントロールを並べたヒートマップを示している。サイトカインは、CD8+ T細胞と共に72時間インキュベートした後で分析された。
図11A-11B】[0026]TDBあり又はTBDなしで、標的細胞と共に1日又は3日間インキュベーションした後の、4名のドナー由来の免疫細胞におけるT細胞部分母集団の経時的増加を示している。図11A CD8+ T細胞:図11B Tエフェクター細胞(Teff)
図11C-11D】TDBあり又はTBDなしで、標的細胞と共に1日又は3日間インキュベーションした後の、4名のドナー由来の免疫細胞におけるT細胞部分母集団の経時的増加を示している。図11C メモリT細胞(Tcm);図11D エフェクター細胞とメモリ細胞の比(Teff/Tcm)。
図12A】[0027]図11からの2名のドナー(ドナー1及び3)についてさらなるデータを提供している。TDBの付加あり及びなしでのCD8+ T細胞増殖に関す要るドナー1とドナー3との違いを示している。
図12B-12E】図12B及び図12Cは、2名のドナーについて、CRBの濃度の上昇に伴う細胞殺滅率の比較を示しており、図12D及び図12Eは、12B及びCのデータに対応する用量応答曲線を示している。
図13】[0028]図13A~13Fは、複数の読み出しの相関を示している。図13Aは、標的細胞と、CD8+ T細胞又はPBMCとの存在下で、2つの異なるCRB分子のEC50を比較している。図13Bは、標的細胞及びCD8+ T細胞の存在下における、複数の異なるCRBクローンのKT50対最大%活性を示している。図13Cは、CD8+ T細胞を用いた種々のCRBクローンのグランザイムB対最大%活性を示している。図13Dは、CRBの存在下で、CD8+ T細胞又はPBMCを用いたHer2d TDB及びHer2p TDB(図7参照)のEC50を比較している。図13Eは、複数のCRBクローンの存在下でのCD8+ T細胞対PAN T細胞の最大活性%間の比較を示す。図13Fは、複数のCRBクローンの存在下でのCD8+ T細胞のIFNγ対最大%活性を比較している。
図14】[0029]図14A~14Cは、固有のTDBを識別するための、経時的な(図14A 6時間、図14B 24時間、及び図14C 72時間)殺滅及びサイトカインプロファイルに基づく、種々のTDBクローンのt分布型確率的近傍埋め込み(t-SNE)機械学習アルゴリズムクラスター分析を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
[0030]別段の定義がない限り、本発明に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の必要がない限り、単数形には複数形が含まれ、複数形には単数形が含まれるものとする。
【0017】
[0031]本出願において、「又は」の使用は、別途指定のない限り、「及び/又は」を意味する。複数の従属請求項の文脈において、「又は」の使用は、代替的にのみ複数の先行する独立請求項又は従属請求項に遡って言及する。また、「要素」又は「成分」などの用語は、別途指定のない限り、1つのユニットを含む要素及び成分と、複数のサブユニットを含む要素及び成分との両方を包含する。
【0018】
[0032]本明細書に記載されるいずれの濃度範囲、割合範囲、比率範囲又は整数範囲も、別途指示がない限り、言及された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合にはその分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むものと理解される。
【0019】
[0033]単位、接頭辞、及び記号は、国際単位系(SI)で認められている形で表記される。数的範囲は、範囲を定義する数字を含む。本明細書で提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって有することのできる本開示の種々の態様の限定ではない。したがって、以下に定義される用語は、明細書全体を参照することによってさらに詳細に定義される。
【0020】
[0034]本開示に従って利用される場合、以下の用語は、別途指示がない限り、以下の意味を有するものと理解すべきである:
【0021】
[0035]細胞を培養するための「プレート」又は「セルプレート」は、細胞のインキュベーション及び蛍光色素などの細胞上の標識の観察を可能にするあらゆる種類の構造を意味する。一般に、セルプレートは、1つ又は複数の「ウェル」、時には96ウェル又は384ウェルを含み、これらは特定の濃度の試薬が他のウェルの内容物と混合しないように維持されうるプレート上のエリアである。ウェルは、この目的のための任意の適切な構造とすることができる。
【0022】
[0036]「免疫細胞エンゲージャー」は、例えば、免疫細胞が標的細胞の細胞死又はアポトーシスを誘発することができるように、免疫細胞と、腫瘍細胞又は初代細胞といった標的細胞との相互作用を増強することのできる分子を指す。いくつかの事例では、免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞上の標的分子に結合し、標的細胞上の標的分子にも結合する。免疫細胞エンゲージャーは、単独で作用することもあれば、特定の細胞表面受容体のような1つ又は複数の共刺激分子を通して作用することもある。いくつかの事例では、免疫細胞エンゲージャーは、タンパク質、例えば抗体である。いくつかの事例では、免疫細胞エンゲージャーは、二重特異性抗体などの二重特異性分子であり、例えば免疫細胞の表面上の標的分子及び腫瘍細胞などの標的細胞の表面上の別の標的分子を認識するものである。本明細書で使用される「標的分子」は、免疫細胞エンゲージャーが結合することを意図された細胞表面上のタンパク質又は他の分子、例えば、細胞表面受容体を指す。
【0023】
[0037]「候補となる免疫細胞エンゲージャー」は、免疫細胞エンゲージャーと、それらが免疫細胞エンゲージャーであるかどうかを決定するために本明細書のアッセイにおいて試験される分子との両方を含む。
【0024】
[0038]本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、種々の抗体構造を包含し、限定しないが、所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含む。本明細書の抗体には、例えば、重鎖及び軽鎖の相補性依存領域(CDR)と周辺のフレームワーク領域のセット、又は重鎖及び軽鎖の可変領域といった、完全長抗体の抗原結合部分を含む抗原結合断片が含まれる。例示的な抗原結合型断片には、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、及び関連断片が含まれる。
【0025】
[0039]本明細書で使用される場合、二重特異性抗体などの「二重特異性」免疫細胞エンゲージャーは、少なくとも2つの異なる抗原又は標的分子に結合することができる。二重特異性抗体は、任意の適切な構造フォーマットを有することができる。既知の二重特異性抗体フォーマットの例には、例えば、ダイアボディ、CrossMab、トリオマブ(triomab)、DVD-IgG、ツーインワン-IgG(2 in 1-IgG)、オルト-Fab IgG、IgG-scFvs、scFV2-Fc、DART、DART-Fc、バイナノボディ、TBTI、scFv-Fc、TandAb、orthoFab-IgG、DNL-Fab3、及びその他が含まれる。(例えば、R.E. Kontermann & U. Brinkmann,Bispecific Antibodies,Drug Disc. Today,20(7):838-847(2015)参照。)例えば、T細胞上の少なくとも1つの標的分子に結合し、また免疫細胞エンゲージャーとして作用することができるか、又は免疫細胞の係合を増強するように作用することができる二重特異性抗体は、例えばTDB及びCRBを含む。
【0026】
[0040]「T細胞依存性二重特異性」抗体(TDB)は、各細胞型の細胞表面標的に結合することによって、免疫細胞と腫瘍細胞との相互作用を引き起こしうる免疫細胞エンゲージャーである。いくつかの事例では、TDBは、2つの細胞型を一緒にすることで、例えば、共刺激なしで、かつ主要組織適合複合体(MHC)の関与と無関係に、T細胞の活性化を可能にし、それにより通常の2段階のT細胞活性化機序を迂回する。
【0027】
[0041]「共刺激受容体二重特異性」抗体(CRB)は、T細胞のような免疫細胞上の共刺激標的、例えばCD28又はICOSに結合し、腫瘍細胞の表面上の標的分子にも結合しうる。いくつかの実施態様では、CRBは、TDBの機能性を強化及び拡張することができる。いくつかの実施態様では、候補となるTDB及びCRBは、単独で又は一緒にアッセイされうる。
【0028】
[0042]本明細書で使用される用語「細胞」は、最も広い意味で使用され、真核細胞、植物細胞、動物細胞、例えば哺乳動物細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、又は魚類細胞など、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、又は原虫細胞など、組織、例えば筋肉、軟骨、脂肪、皮膚、肝臓、肺、及び神経組織などから解離した細胞、免疫細胞、例えばT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、及びマクロファージなど、胚(例えば、接合体)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株由来の細胞、がん細胞、感染細胞、トランスフェクト細胞及び/又は形質転換細胞、並びにレポーター細胞などを含む。哺乳類細動物は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、又は霊長類などに由来するものでありうる。本明細書で使用される「免疫細胞」には、例えば、成熟型及び未成熟型両方のT細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、及び単球が含まれる。本明細書で使用される「腫瘍細胞」には、例えば、個体の腫瘍生検から得られた細胞、及び培養されたがん性細胞株由来の細胞が含まれ、あらゆる種類のがんに由来しうる。本明細書で使用される「標的細胞」は、例えばアポトーシス又は他の手段を介して、免疫細胞による破壊の標的となりうる細胞を指す。いくつかの事例では、標的細胞は、免疫細胞によって結合又は認識された時又はその後に、殺滅させるか又はアポトーシスに誘導することができる。いくつかの実施態様では、標的細胞は、腫瘍細胞であってよく、初代細胞であってよく、及び/又は不死化細胞株に由来する細胞であってよい。
【0029】
[0043]本明細書において細胞を播種するとき、別途指定のない限り、細胞は「均一に」播種される。細胞の「均一な」播種とは、細胞が、細胞プレートの各ウェルに実質的に同じ数の細胞及び同じ容積が認められるように細胞が播種され、凝集が最小であることにより異なるウェルを容易に比較することができることを意味する。
【0030】
[0044]例えば、細胞、初代細胞、腫瘍細胞、又は免疫細胞の試料は、いくつかの実施態様では、個体又は対象、すなわちドナーから得ることができる。いくつかの実施態様では、ドナーはヒトである。しかしながら、いくつかの実施態様では、ドナーは、別の哺乳類、例えば、家畜種又は家禽種、例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジなど、又は実験動物、例えば、マウス又はラットであってもよい。
【0031】
[0045]いくつかの実施態様では、腫瘍細胞は、特定の「がん」又は「がん」の疑いがあるものに由来しうる。本明細書におけるがんは、例えば、身体の組織細胞に由来する腫瘍を含む、固形腫瘍を含みうる。いくつかの実施形態では、がんは、例えば、乳がん、肺がん(小細胞肺がん又は非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、食道がん、胆道腫瘍、脳のがん(膠芽細胞腫を含む)、結腸直腸がん、結腸がん、直腸がん、腎臓がん(腎細胞癌を含む)、肝臓がん(肝がん)、副腎がん、予宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、外陰がん、唾液腺癌、頭頸部扁平上皮がん、白血病、リンパ腫、リンパ球がん、卵巣がん、膵臓がん、膀胱がん、黒色腫などの皮膚がん、又は尿路がんでありうる。
【0032】
例示的方法
[0046]本明細書の例示的な方法は、例えば、候補となる免疫細胞エンゲージャーの活性をアッセイする方法を含み、この方法は:(a)少なくとも1つの候補となる免疫細胞エンゲージャーの存在下で、標的細胞と免疫細胞とを共培養することと、(b)以下のパラメータ:(i)標的細胞の死、(ii)標的細胞のアポトーシス、(iii)ATP濃度の変化、及び(iv)共培養細胞由来の上清中の少なくとも1つの被分析物の濃度の変化のうちの少なくとも1つをアッセイすることとを含む。いくつかの事例では、分析のために選択された各パラメータは、同じ共培養細胞試料内でアッセイされる。
【0033】
[0047]いくつかの実施態様では、本明細書のアッセイは、図1に示されるワークフローに従うことができ、このフローでは、腫瘍細胞などの標的細胞が、細胞プレートのウェルに加えられ、続いて免疫細胞と候補となる免疫細胞エンゲージャーが加えられる。他の事例では、付加の順序は異なってもよく、例えば、免疫細胞が腫瘍細胞の前に付加されてもよいし、候補となる免疫細胞エンゲージャーが、細胞が付加される前に既にプレートのウェルに含まれていてもよいし、又は成分が比較的同時に付加されてもよい、などである。
【0034】
[0048]いくつかの実施態様では、ワークフローは、いくつかの事例において、自動細胞培養装置を用いて、96ウェル又は384ウェルプレートなどのプレート上に、標的細胞を播種することを含む。いくつかの実施態様では、細胞は、ウェルあたり比較的均一な容積及び/又は濃度で播種されうる。例えば、いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、1000~50000細胞/ウェル、又は5000~30000細胞/ウェル、又は5000~20000細胞/ウェル、1000~20000細胞/ウェル、1000~10000細胞/ウェル、1000~5000細胞/ウェル、5000~10000細胞/ウェル、又は8000~15000細胞/ウェル、又は8000~12000細胞/ウェル、又は1000細胞/ウェル、又は2000細胞/ウェル、又は5000細胞/ウェル、7000細胞/ウェル、8000細胞/ウェル、9000細胞/ウェル、10000細胞/ウェル、11000細胞/ウェル、12000細胞/ウェル、又は15000細胞/ウェルで播種することができる。いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、5~50μL/ウェル、10~50μL/ウェル、20~50μL/ウェル、20~40μL/ウェル、20~30μL/ウェル、20~25μL/ウェル、25~30μL/ウェル、30~50μL/ウェル、30~40μL/ウェル、25~35μL/ウェル、10μL/ウェル、15μL/ウェル、20μL/ウェル、25μL/ウェル、30μL/ウェル、35μL/ウェル、又は40μL/ウェルで播種される。いくつかの実施態様では、細胞は、例えば、プレートの各ウェルにおける細胞の比較的均一な分布を確保するために、自動細胞カウンター及び/又は液体ハンドリングシステムを使用して、細胞プレートに付加されうる。いくつかの実施態様では、播種された細胞は、SelecTTM(Sartorius)などの自動細胞培養装置でインキュベートされうる。
【0035】
[0049]標的細胞の播種後、免疫細胞及び/又は候補となる免疫細胞エンゲージャー分子は、例えば、特定の濃度で、細胞プレートのウェルに付加されうる。例えば、いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャー分子及び/又は免疫細胞は、特定の細胞数及び濃度で、例えば、上昇又は低下する濃度で、プレートに付加されうる。例えば、いくつかの実施態様では、免疫細胞は、例えば、1000~50000細胞/ウェル、又は5000~50000細胞/ウェル、又は10000~40000細胞/ウェル、10000~30000細胞/ウェル、又は5000~20000細胞/ウェル、又は1000~20000細胞/ウェル、1000~10000細胞/ウェル、1000~5000細胞/ウェル、5000~10000細胞/ウェル、又は8000~15000細胞/ウェル、又は8000~12000細胞/ウェル、又は1000細胞/ウェル、又は2000細胞/ウェル、又は5000細胞/ウェル、7000細胞/ウェル、8000細胞/ウェル、9000細胞/ウェル、10000細胞/ウェル、11000細胞/ウェル、12000細胞/ウェル、又は15000細胞/ウェルで付加されうる。いくつかの実施態様では、免疫細胞は、例えば、5~50μL/ウェル、10~50μL/ウェル、20~50μL/ウェル、20~40μL/ウェル、20~30μL/ウェル、20~25μL/ウェル、25~30μL/ウェル、30~50μL/ウェル、30~40μL/ウェル、25~35μL/ウェル、10μL/ウェル、15μL/ウェル、20μL/ウェル、25μL/ウェル、30μL/ウェル、35μL/ウェル又は40μL/ウェルで付加される。いくつかの事例では、例えば、異なる免疫細胞と腫瘍細胞との比の効果を比較するため、又は腫瘍細胞に対して免疫細胞を滴定するために、異なるウェルに複数の異なる量で付加されうる。同様に、候補となる免疫細胞エンゲージャー分子は、例えば、免疫細胞による腫瘍細胞の係合を導き、腫瘍細胞の殺滅を導く分子の有効濃度を決定するために、特定のウェルに特定の濃度で付加されうる。例えば、候補となる免疫細胞エンゲージャー分子は、いくつかの実施態様では、1nMから10μMの濃度で、例えば、5nL~1μL、1nL~100nL、10nL~1μL、又は100nL~10μLといった2.5ナノリットル~10μL容量を使用して、付加されうる。いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、1nM~1μM、例えば、1nM~100nM、10nM~1μM、100nM~10μM、1nM~10nM、10nM~100nM、100nM~1μM、又は1μM~10μMで付加されうる。
【0036】
[0050]代替的な実施態様では、免疫細胞が第1の工程で播種され、次いで標的細胞がプレート上の免疫細胞に付加されうる。
【0037】
[0051]さらなる細胞及び/又は候補となる免疫細胞エンゲージャー分子の付加は、例えば、音響容量分注又は等価な方法を使用して、低容量で実行されうる。Echoアコースティック分注機(Beckman Coulter)は、音響制御容量分注を可能にする例示的な装置である。いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、細胞を付加する前に又は付加した後で細胞プレートに付加されうる。いくつかの事例では、使用される装置の要件に応じて、すべての細胞が付加される前に、候補となる免疫細胞エンゲージャーが付加されうる。いくつかの事例では、これは、機器の制約による場合がある。例えば、音響制御容量分注機は、各ウェルに存在しうる材料の容量を制限するような方法でプレートを操作することを必要としうる。したがって、このような場合、免疫細胞エンゲージャーは、各ウェルが共培養のためにすべての細胞で満たされる前に付加されうる。
【0038】
[0052]免疫細胞及び腫瘍細胞集団への、候補となる免疫細胞エンゲージャーの付加に続いて、免疫細胞と腫瘍細胞の係合、免疫細胞の活性化、及び/又は腫瘍細胞の殺滅に関連する1つ又は複数のパラメータをアッセイするために、プレートは種々の温度で様々な時間にわたりインキュベートされうる。アッセイされうる例示的なパラメータには、標的細胞死、標的細胞アポトーシス、及び免疫細胞の活性化及び/又は標的細胞の殺滅に関連するサイトカイン濃度の変化が含まれうる。いくつかの事例では、本明細書の方法をフローサイトメトリー分析と組み合わせて、試料ウェル内の免疫細胞集団の変化を決定することもできる。いくつかの実施態様では、各ウェルは、細胞死及び/又はアポトーシスアッセイ、並びに1つ又は複数のサイトカイン濃度の変化のアッセイといった、2種類以上のアッセイをサポートしうる。
【0039】
[0053]いくつかの実施態様では、細胞死又はアポトーシスに関連するものといったパラメータの単一の測定値を取得して、そのパラメータのエンドポイント測定値を得ることができる。いくつかの実施態様では、アッセイは、例えば、細胞死、アポトーシス、及びサイトカイン濃度の動態を決定するために、複数の時点で実施されうる。いくつかの事例では、結果が数値化されうる。したがって、いくつかの実施態様では、細胞殺滅の動態(例えば、KT50)などのパラメータが決定されうる。いくつかの事例では、アッセイは、候補となる免疫細胞エンゲージャー及び/又は免疫細胞の複数の濃度で決定され、例えば、エンゲージャー又は免疫細胞のEC50を得ることができる。
【0040】
[0054]アッセイされうるパラメータには、例えば、核蛍光タンパク質又は色素で標的細胞を形質導入又は標識し、候補となる免疫細胞エンゲージャーの付加あり又は付加なしでの免疫細胞への曝露時に色素標識の強度の変化(例えば、蛍光色素の蛍光の変化)を記録することによる、標的細胞の死が含まれる。いくつかの実施態様では、色素は、形質導入、例えば、レンチウイルス又は別の形質導入法によって、細胞に導入される。いくつかの実施態様では、NucLightTM Red又はGreenなどの核蛍光タンパク質が使用されうる(例えば、導入されたIncucyte(登録商標)NucLightTMレンチウイルス、又は急速赤色若しくは緑色蛍光タンパク質、Sartorius)。(例えば、図3A~E、7A~7F、及び8A~8C参照。)形質導入された核色素は、例えば、蛍光核タンパク質を含みうる。いくつかの実施態様では、一般的な細胞膜又は細胞質染色と比較して、形質導入された色素系から生成される核蛍光タンパク質は標的細胞から免疫細胞へ出血する可能性が低いため、そのような色素系で標的細胞を標識することは、一般的な細胞染色よりも好ましい場合がある。いくつかの実施態様では、細胞死は、標識からの信号を経時的に読み取ることによってモニターすることができ、したがって、細胞死の速度だけでなく、細胞死の程度を、例えば、殺滅された細胞の割合として、決定することを可能にする。パラメータは、例えば、10%、25%、50%、75%、又は90%若しくは100%の細胞死までの時間も含みうる。いくつかの実施態様では、Incucyte(登録商標)ソフトウェア又は同様のプログラムを使用して、特定の蛍光強度を有する標的細胞数を特定することができる。いくつかの事例では、セグメンテーションパラメータを最適化して、細胞数の経時変化を最もよく特定することができる。
【0041】
[0055]アッセイにおいて細胞死を追跡することに加えて、又はその代替として、標的細胞のアポトーシスも、例えば、異なる色の色素を使用することによって追跡されうる。例えば、いくつかの実施態様では、カスパーゼ3/7色素系(例えば、カスパーゼ3/7緑色又は赤色色素)を使用してアポトーシス活性を追跡することができる。(例えば、SartoriusのIncucyte(登録商標)カスパーゼ3/7緑色又は赤色蛍光色素試薬;及び図3C~3E参照。)例えば、カスパーゼ3/7色素を使用して、カスパーゼ3/7により媒介されたアポトーシスを受ける細胞を検出するためにすることができる。というのは、細胞膜を貫通しうるこの色素分子が、カスパーゼ3/7によって切断された後にのみ活性化されて蛍光シグナルを発するからである。次いで色素は細胞内のDNAにインターカレートすることができる。したがって、カスパーゼ3/7媒介性のアポトーシスは、本明細書のアッセイにおいて経時的に測定されうる蛍光の増加を引き起こす。したがって、アポトーシスは、細胞死のように、例えば、アポトーシスプロセスに関連するKT50又は他の値を決定するために、いくつかの実施態様において動力学的に決定することができる。いくつかの実施態様では、アポトーシスは、標識からのシグナルを経時的に読み取ることによってモニターすることができ、したがってその速度及び程度の決定を可能にする。パラメータは、例えば、最大アポトーシスシグナルの10%、25%、50%、75%、90%、又は100%までの時間を含みうる。いくつかの実施態様では、アポトーシス及び細胞死の両方を、2つの異なる蛍光シグナル及び色素を使用して同じウェルで測定することができ、それらの速度及び程度が比較されうる。
【0042】
[0056]いくつかの実施態様では、そのような標識からの測定値、Incucyte(登録商標)生細胞イメージャ(Sartorius)といった目的のために設計された画像分析機内で細胞プレートをインキュベートすることによって行われうる。
【0043】
[0057]いくつかの実施態様では、ウェルからの上清の試料は、免疫細胞活性化マーカー、サイトカイン又はケモカインなどの細胞から分泌される分子の濃度の変化の分析のために、それ以前の特定の時点で除去される。例えば、1~10マイクロリットル、2~10マイクロリットル、2~8マイクロリットル、4~8マイクロリットル、2、4、5、6、7、8、又は10マイクロリットルといった小容量は、候補となる免疫細胞エンゲージャーあり又はなしでの標的細胞及び免疫細胞のインキュベーションの最中、前に又は後で少なくとも1回上清から除去されうる。また、分泌される因子の濃度の変化の動力学アッセイのために、一定時間間隔で上清試料を収集することができる。いくつかの事例では、これら分析のために、試料又はウェルの元の容積の50%以下を含む総上清容積が除去されることがある。例えば、上清を除去しすぎると、細胞が正常な蔵相句を保持するために必要な増殖培地成分も取り除いてしまうことがある。したがって、言い換えれば、成分の最初の付加時の共培養細胞及び候補となる免疫細胞エンゲージャーなどの追加成分と、任意の関連培地などの容積の和が特定の容積に達する場合、いくつかの事例では、これら分析のためにその元の総容積が50%を超えて除去されることはない。いくつかの事例では、これら分析のために40%以下、又は30%以下、又は20%以下が削除される。いくつかの実施態様では、上清は、細胞のインキュベーション中に少なくとも2回又は少なくとも3回除去される。そしていくつかのそのような事例では、組み合わせた上清の収集のすべての間に、元の容積の50%以下、40%以下、30%以下又は20%以下が除去される。
【0044】
[0058]いくつかの実施態様では、サイトカイン又は他のT細胞活性化関連因子(グランザイムB)又はケモカインなどの上清試料中に認められる1つ又は複数の被分析物の濃度は、例えば、多重化ビーズ又はアレイを使用してアッセイされうる。例えば、サイトカイン、T細胞活性化因子、及びケモカインなどの分泌タンパク質のマルチプレックスアッセイを採用することができ、このアッセイは、いくつかの事例では、そのタンパク質を特異的に認識するビーズへの各特定の分泌タンパク質の結合を検出する異なる色の標識を有するビーズを使用する。例えば、アレイ又はビーズ又はロッドは、複数の異なるサイトカインに結合する分子を含むことができ、結合標識と組み合わせた固有のカラー標識を有する各ビーズ又はアレイ又はロッドは、被分析物の定量化を可能にし、標識化された結合剤へのサイトカインの結合を多重に追跡することを可能にする。いくつかの実施態様では、サイトカイン分析は、Luminex FlexMap 3D(登録商標)イメージングシステムを使用して実行することができる。いくつかの実施態様では、アッセイされうるサイトカイン及び他の被分析物は、例えば、パーフォリン、グランザイムb、インターフェロンガンマ(IFNγ)、IL-10、IL-2、IL-6、IL-8、MIP1a、MIP1b、TNF-アルファ(TNFα)を含む。(例えば、図4B~4F及び9A~9D参照。)いくつかの実施態様においてアッセイされうる他の被分析物には、例えば、ヒト成長ホルモン(HGH)、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)などの糖タンパク質ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体ホルモン(LH);上皮増殖因子(EGF);肝臓成長因子;線維芽細胞成長因子(FGF);プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-アルファなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF-アルファなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンベータ(IFNb)、コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(MCSF);顆粒球マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);IL-10、IL-2、IL-6、IL-8、並びにIL-1、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-3、IL-4、IL-5、IL-7、IL-9、IL-11、IL-12(p70)、IL-12(p40)、IL-13、IL-15、IL-17/17A、IL-17C、IL-17D、IL-17F、IL-18、IL-20、IL-21、IL22、IL-23(p19)、IL-27、IL-35、TNF-ベータ、GFAP、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP9、MMP10、MMP12、TNF-R1、TNF-R2、VEGF-A、リンパトキシンベータ、CCL1、CCL2(MCP-1)、CCL3(MIP-1アルファ)、CCL4(MIP-1ベータ)、CCL5(RANTES)、CCL6、CCL7(MCP-3)、及びCCL8(MCP-2)を含むインターロイキン(IL)、並びに他のポリペプチドが含まれる。
【0045】
[0059]いくつかの実施態様では、複数のパラメータが、例えば、動力学的にアッセイされる場合、動態はまた、例えば、候補となる免疫細胞エンゲージャーのシステムに対する影響のより完全な全体像を得るために比較されうる。
【0046】
[0060]いくつかの実施態様では、特定の候補となる免疫細胞エンゲージャーの濃度範囲がアッセイされる場合、候補となる免疫細胞エンゲージャーと測定される効果との用量反応関係をアッセイするために、EC50又はIC50測定値を得ることができる。例えば、サイトカイン濃度の特定の変化、又は細胞死に関する傾き又は曲線下面積(AUC)を、候補となる免疫細胞エンゲージャーの複数の濃度の各々で得ることができ、そこから候補となる免疫細胞エンゲージャーについてEC50又はIC50を計算することができる。いくつかの実施態様では、これにより、異なる腫瘍細胞試料について、異なる候補となる免疫細胞エンゲージャーの効力を比較すること、又は単一のエンゲージャーの効力を比較することが可能となる。
【0047】
[0061]動力学的追跡はまた、各分子の効力のEC50又はサイトカインプロファイルを決定するために、用量応答曲線へと変換することができる。例えば、50%の細胞を殺滅するのにかかる速度は、殺滅のランク速度と比較することができる。殺滅の最大活性を決定して、殺滅することのできる細胞の最大割合を示すことができる。最小活性と最大活性との違いを使用して、最大活性を確認することができる。例えばATP活性などの細胞殺滅関連パラメータのエンドポイントレベルは、例えば評価した最後の時点又は中間時点の%アポトーシス又は殺滅と比較することができる。いくつかの事例では、免疫細胞は、384ウェルプレート又は96ウェルプレートから取り出し、フローサイトメトリーを使用して特徴付けることができる。
【0048】
[0062]いくつかの実施態様では、1つ又は複数のウェル内の細胞は、フローサイトメトリーによってさらに特徴付けることができる。いくつかの実施態様では、免疫細胞は、フローサイトメトリーによって評価されて、細胞型を特徴づける及び/又は特定の細胞活性化マーカーを評価することができる。T細胞は、CD3、CD4、CD8、CD69、HLA-DR、及び/又はCD25などのT細胞マーカーのレベルの変化について評価されうる。(例えば、図5参照)。フローサイトメトリーによって評価されうる追加のマーカーには、例えば、CD11b、CD19、CD56/NCAM-1、CD94、CD122/IL2受容体ベータ、CD127/IL7受容体アルファ、CD152、FcγRIII、CD16、KIRファミリー受容体、NKG2A、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80、IFNγ、TNF、EOMES、CXCR3、IL2、IL4、IL10、IL12、IL18、STAT1、STAT4、STAT5、FOXP3、CCR4が含まれる。したがって、フローサイトメトリーは、例えば、候補となる免疫細胞エンゲージャーがT細胞活性化にどのように影響するかの決定を可能にしうる。PBMCなどの免疫細胞は、例えば、CD3+、CD4+、及びCD8+細胞の割合について、又は上記に列挙された他のマーカーについて評価されうる。
【0049】
[0063]いくつかの実施態様では、標的細胞の殺滅に関連するさらなるアッセイも、本明細書のシステムで実施されうる。いくつかの実施態様では、Cell Titer Glo(登録商標)(CTG)ATPアッセイ(Promega)も実行されうる。このようなアッセイは、ATPが活性な細胞代謝の指標となるため、ウェル内に存在するATPの量を決定することにより、プレート上の細胞の生存率を決定する。(図4A参照。)本明細書の方法及びシステムに適合性の他の例示的アッセイには、特定の遺伝子発現を追跡するルシフェラーゼレポーターアッセイ、特定のウェル内のサイトカイン放出細胞の量を評価する酵素結合免疫スポット(ELISpotTM)アッセイ(例えば、Mabtech,Inc,Cincinnati,OH)、及び例えば細胞の細胞傷害性のさらなるアッセイとしての乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出アッセイが含まれる。
【0050】
[0064]いくつかの実施態様では、例えば図1に示される上記のワークフローは、1~15日、例えば1~10日、1~5日、又は1~3日の期間にわたって実施されうる。例えば、いくつかの実施態様では、細胞は、共培養細胞の増殖速度及び/又は候補となる免疫細胞エンゲージャーの効力に応じて、1~15日、例えば1~10日、1~5日、若しくは1~3日、又は1日、2日、又は3日の期間にわたり候補となる免疫細胞エンゲージャーと一緒にインキュベートされる。したがって、例えば、いくつかの実施態様は、腫瘍細胞、免疫細胞、及び候補となる免疫細胞エンゲージャーの最大数百の異なる組み合わせを、任意選択的に様々な条件下で又は他の分子の存在下で、1~15日、1~10日、1~5日、又は1~3日などの短期間で、かつ細胞と免疫細胞エンゲージャー試薬の異なる比率で、又は異なるドナー由来の細胞試料を様々な濃度で使用して、アッセイすることができる。
【0051】
[0065]本明細書のアッセイにおいて評価されうる候補となる免疫細胞エンゲージには、例えば、T細胞依存性二重特異性抗体及び共刺激受容体二重特異性抗体(TDB及びCRB)が含まれる。いくつかの実施態様では、TDBなどの候補となる免疫細胞エンゲージャーは、CD3などのT細胞上で発現する分子標的に結合することができる。代替的に又は追加的に、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、例えば、CD56/NCAM-1、CD94、CD122/IL2受容体ベータ、CD127/IL7受容体アルファ、Fcγ RIII、KIRファミリー受容体、NKG2A、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46又はNKp80などの別の免疫細胞表面マーカー、並びに腫瘍細胞上に発現する分子標的に結合することができる。例示的な腫瘍細胞標的には、標的とされる細胞型に応じて、例えば、HER2、CD20、PSCA、CD19、Flt3、CD33、EGFR、MCSP、CEA、EpCAM、Steap1、FcRH5、DLL3、Ly6G6D、LyE、Napi3b、muc、CD22、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、E7、BING-4、カルシウム活性化塩素チャネル2、CCNB1、9D7、EphA3、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGE、CAGE、SAGE又はXAGEファミリーのメンバー、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メラン-A/MART-1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、P.ポリペプチド、MC1R、ベータ-カテニン、BRCA1、BRCA2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、及びMART-2などが含まれる。T細胞の代わりに、いくつかの実施態様では、抗体などの二重特異性分子を、他の免疫細胞を腫瘍細胞、例えばNK細胞に、次いで標的細胞上の標的分子に結合させるように設計されうる。
【0052】
[0066]CRBは、CD28、CD27、OX40、4-1BB(CD137)、CD30、Tim1,2,3、GITR、CTLA4、BTLA、LFA-1、PD1、NKG2D、B&-1,2、LIGHT、又はICOSなどの免疫細胞標的に、及び腫瘍標的に結合しうる。
【0053】
[0067]免疫細胞による破壊の標的となりうるあらゆる型の細胞は、本明細書のアッセイにおいて標的細胞でありうる。いくつかの事例では、標的細胞は初代細胞である。いくつかの事例では、標的細胞は腫瘍細胞である。いくつかの実施態様では、腫瘍細胞は、培養ヒト腫瘍細胞などの培養細胞でありうる。いくつかの実施態様では、標的細胞は、例えばレンチウイルス形質転換を介して、蛍光タンパク質を、例えば核内で発現するように、核細胞導入試薬で前処理されうる。いくつかの実施態様では、標的細胞は、生検からの腫瘍細胞又は腫瘍の疑いのある細胞のように、患者から直接得ることができる。いくつかの実施態様では、腫瘍細胞は、固形腫瘍細胞でありうる。他の実施態様では、腫瘍細胞は、リンパ腫細胞又は白血病細胞などの非固形腫瘍細胞でありうる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、乳がん、肺がん(小細胞肺がん又は非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む)、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、食道がん、胆道腫瘍、脳のがん(膠芽細胞腫を含む)、結腸直腸がん、結腸がん、直腸がん、腎臓がん(腎細胞癌を含む)、肝臓がん(肝がん)、副腎がん、予宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、外陰がん、唾液腺癌、頭頸部扁平上皮がん、白血病、リンパ腫、リンパ球がん、卵巣がん、膵臓がん、膀胱がん、黒色腫などの皮膚がん、又は尿路がんに由来しうる。
【0054】
[0068]いくつかの実施態様では、免疫細胞は、CD4+ T細胞又はCD8+ T細胞又はPAN T細胞などのT細胞である。他の実施態様では、免疫細胞はPBMCである。他の実施態様では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの事例では、アッセイに使用される免疫細胞は、T細胞、B細胞、及び/又はNK細胞の混合物といった、細胞の混合物を含みうる。いくつかの実施態様では、免疫細胞は、特定のドナーに由来する。例えば、本明細書のアッセイは、異なる免疫細胞エンゲージャーの存在下で、異なるドナー由来の免疫細胞の腫瘍細胞エンゲージャーを比較するために使用されうる。したがって、いくつかの実施態様では、本明細書のアッセイは、個々のドナーから得られた免疫細胞及び/又は腫瘍細胞に対する候補となる免疫細胞エンゲージャーをスクリーニングするために使用されうる。他の事例では、本明細書のアッセイは、例えば、複数の異なる共培養細胞集団のエンゲージャーの活性を比較するために、2名以上のドナーから採取された免疫細胞及び/又は標的細胞を使用する共培養細胞で、候補となる免疫細胞エンゲージャーを試験するために使用されうる。
【0055】
[0069]いくつかの実施態様では、本明細書のアッセイは、複数種の標的細胞に対して候補となる免疫細胞エンゲージャーを試験することを含みうる。いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、複数のドナー由来の免疫細胞、又は複数種の免疫細胞(例えば、CD8+ T細胞対pan T細胞など)に対して試験されうる。いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、免疫細胞と標的細胞の異なる比率で試験することができる。そのようないくつかの事例では、例えば、1つの細胞型が他方の細胞型に対して滴定されうる。いくつかの実施態様では、候補となる免疫細胞エンゲージャーは、一定量及び比率の標的細胞及び免疫細胞に対して、さらには、標的細胞と免疫細胞の特定の組み合わせ及び比率のセットに対して、滴定されうる。例えば、マルチウェルプレートの使用及び自動処理と少量の試薬との組み合わせにより、1つ又は複数のセルプレートで上記のような複数の異なる試験を並行して実行することができる。いくつかの実施態様では、そのようなデータはまた、アッセイにおける細胞増殖及び標的細胞殺滅の速度に応じて、1~15日、1~10日、1~5日、1~3日、又は1~2日でといった短い期間内に収集することができる。
【0056】
例示的システム
[0070]本開示は、本明細書に記載される方法を実行するためのシステムも包含する。いくつかの実施態様では、例えば、システムは、本明細書の2つ以上のアッセイを自動化された方式で並行して実施することが可能でありうる。いくつかの実施態様では、システムは、免疫細胞と標的細胞の共培養のための試薬を分注し、候補となる免疫細胞エンゲージャー及び/又は他の試薬を共培養に加えることが可能でありうる。いくつかの実施態様では、システムは、試薬を分注すること、共培養細胞をインキュベートしてモニターすること、及び1つ又は複数の細胞染色からの蛍光の変化、及び/又はサイトカインなどのタンパク質マーカーの上清濃度の変化といった本明細書のパラメータを分析することが可能でありうる。いくつかの実施態様では、本明細書のシステムは、部分的に又は完全に自動化されうる。
【0057】
[0071]いくつかの実施態様では、本明細書のシステムは、例えば、96~384ウェルマルチウェルプレートなどの細胞培養プレート、細胞及び/若しくは試薬を細胞プレートに加えるための少なくとも1つの液体処理ディスペンサー、細胞プレートのウェル内の蛍光レベルをインキュベート及びモニターするための少なくとも1つのイメージャー装置、並びに/又は上清中の免疫細胞マーカー、サイトカイン及びケモカインなどの被分析物の分析のための細胞プレートのウェルから上清を除去するための装置を含みうる。
【0058】
[0072]いくつかの実施態様では、本明細書のシステムは、本明細書のパラメータのエンドポイント及び/又は動力学的分析を実施するためのデータ分析ソフトウェアも含む。
【実施例
【0059】
[0073]図1は、本明細書においてアッセイを実行するための、例示的なハイスループット、マルチパラメータ、自動化システムの例示的なワークフローを示している。蛍光性赤色又は緑色NuclightTM腫瘍細胞は、任意選択的に自動細胞培養装置(例えばSartorius社のSelecTTM)を使用して、維持され、手動で又は自動で、例えば自動液体ディスペンサー(例えばCertus、Tecan、又はAgilent(Bravo))を使用して、96又は384ウェルプレートに播種される。候補となる免疫細胞エンゲージャーは、任意選択的に音響ディスペンサー(Echo、Beckman Coulter)を使用して、免疫細胞とともにプレートウェルに付加される。緑色又は赤色の核蛍光タンパク質(例えば、NucLightTM、緑色蛍光タンパク質(GFP)、mCherry、TurboGFP)又は色素(例えば、カスパーゼ3/7色素、Sartorius)は、イメージング装置(例えば、Incucyte(登録商標)、Sartorius)で経時的に追跡される。任意選択的に、細胞質又は膜色素(例えば、CytolightTM)を使用して、免疫細胞を染色し、腫瘍細胞から区別して、腫瘍細胞のみに対する殺滅の定量化を改善し、瀕死の免疫細胞から死シグナルを除外し、標的細胞死及びアポトーシスの動態を得ることができる。上清試料から種々の被分析物の濃度を同時に決定するために、ウェルからの上清は、任意選択的に、例えば、FlexMap 3D(登録商標)リーダー(Luminex)を使用する磁気ビーズ(Luminexから入手可能)を使用して、サイトカインなどの分泌被分析物の分析のために収集される。データは、例えばSpotfire(登録商標)(TIBCO)及び/又はGenedata(Basel,CH)のソフトウェアパッケージを使用して分析される。
【0060】
[0074]図1による方法を実行するために、図2に示されるように、細胞を播種するために使用される細胞密度を最適化した。蛍光性細胞の均一な細胞播種を保証するために、まず、レンチウイルス導入を介して導入された、細胞が死ぬときに不安定でそのシグナルを失う適切な蛍光核タンパク質マーカーを選択し、続いてプロトコールを最適化した(すなわち、蛍光タンパク質の組み込みのために十分なレンチウイルス形質導入を確保した)。次いで、細胞を数え、複数のウェルに2つ一組で播種した(図2に示される、C19とC20、D19とD20、E19とE20は、それぞれ2つで一組であるなど)。図2に示される試料C、D、E、F、G、及びHは細胞数が異なり、CはDの2倍、DはEの2倍の細胞を有するなどである。画像化は4時間毎に実施され、細胞は赤色対象物数を使用して定量化された。本明細書に記載されるアッセイを使用して、アッセイに最適な細胞密度を選択することができ、例えば、細胞が経時的に増殖するが、細胞の増殖曲線が計画されたアッセイ期間の長さの間にその最大値に達しない密度であってもよい。
【0061】
[0075]腫瘍細胞及び免疫細胞を、T細胞依存性二重特異性抗体(TDB)の存在下で共培養した。図3は、腫瘍細胞へ免疫細胞及びT細胞依存性二重特異性抗体(TDB)を付加した後の腫瘍細胞の蛍光の経時変化を示しており、腫瘍細胞の殺滅及びアポトーシスを反映している。図3Aは、免疫細胞とTDBの付加後1日目又は3日目の核蛍光強度(NucLightTM red)のレベルを示している。図3Bに示されるように、CytolightTMで染色した免疫細胞は赤く染色されたが、共培養した腫瘍細胞は緑色に染色され、3Dのスフェロイドとして現れている。腫瘍細胞と免疫細胞は共培養され、TBDあり(上段)又はTBDなし(下段)で一定期間インキュベートされた(パネルの左から右へ)。図示のように、TBDが存在する場合(上段)、腫瘍細胞の殺滅により経時的に緑色の染色が失われるのに対し、TBDが存在しない場合(下段)には、染色が経時的に大きく変化しないことがわかる。腫瘍スフェロイドへの赤色免疫細胞の移動と貫通を捉え、腫瘍細胞の消失に加えて定量化した。図3Cは、マイクロウェル384ウェルプレートの1つの86,400サブウェルにおける単一細胞殺滅活性を示し、個々の腫瘍細胞(赤色染色)とカスパーゼ3/7の緑色蛍光標識(緑色スポット)を示す。図3Dは、免疫細胞及び免疫細胞エンゲージャーの存在下における腫瘍細胞の核赤色蛍光色素及びカスパーゼ3/7依存性緑色蛍光色素の強度の変化を示している。腫瘍細胞の殺滅は赤色核蛍光の消失を引き起こし、増加されたアポトーシスはカスパーゼ3/7依存性の緑色蛍光性染色の強度の上昇を引き起こす。この共培養物を、1つの腫瘍細胞株と1つのドナー免疫細胞株の比率1:1でのTDBの用量滴定で処理した。図3Eは、異なる処理濃度の動力学的追跡を使用して生成した用量応答曲線(DRC)を示している。
【0062】
[0076]エンドポイント殺滅及びサイトカイン濃度の変化といった腫瘍細胞の係合及び殺滅に関連する種々の他のパラメータも、このアッセイにおいて評価された。図4Aは、2つの異なるTDB(NLR 4D5及びNLR 2C4)の存在下における、4つの異なる細胞株(BT474、NCIH292、COV413B及びCOV362)の代謝(ATP)読み出しに基づく腫瘍細胞殺滅を示している。図4B図4C、及び図4Dは、ウェルから採取された上清中のIL-6、IFNγ、及びIL-2それぞれの濃度の変化(上の曲線)を、非腫瘍標的コントロールTDB(下の曲線)と比較して示している。図4E及び図4Fは、4名の免疫細胞ドナーについて、60nMのTDBで処理した2つの被分析物(IL-6及びIL-2)のMFIシグナルを経時的に示している。アッセイは、Luminex社の8プレックスシステムで実施され、データは経時的にプロットされた。
【0063】
[0077]図5は、TDB又はビーズ刺激で滴定した4つの細胞株についての画像収集の最後に実施された、384ウェルから単離された免疫細胞のフローサイトメトリーによるCD8+CD69+ T細胞の割合の決定を示している。免疫細胞は、免疫細胞の表面上のCD8及びCD69マーカーを認識する蛍光抗体で染色された。T細胞活性化マーカーの上方制御は、腫瘍標的発現細胞株のより高発現と一致した。
【0064】
[0078]共培養細胞上清における、TDBの高用量(濃い丸)及び低用量(薄い丸)でのグランザイムB、IL-10、MIP1b、IFNγ、IL-2、TNFαの濃度を、TDB単独又はTDBとCRB(共刺激受容体二重特異性抗体)との組み合わせについて示している。(図6A参照。)図6Bにおいて、左パネルは、1日後及び3日後の、TDBなし及びTDBありでインキュベートした後のCD8+及び共刺激受容体+T細胞の割合の違い(CoStim+)を、右パネルは、1日後及び3日後の、TDBあり又はなしでのCD8+CD25+ T細胞の割合(Teff)を示している。
【0065】
[0079]図7Aは、異なるTDBが、近位(p)又は遠位(d)でHer2に結合する様子と、CD3に高い(hi)又は低い(lo)親和性で結合する様子を模式的に示している。図7Bは、TDBの個々の抗Her2アーム又は抗CD3アームの相対的な親和性を示している。図7Cは、2つのTDBの動力学的追跡を提供しており、TDB処理の親和性が高いほど細胞の消失が多いことを示している。図7Dは、2つのTDBの用量応答曲線への動力学的追跡の変換を示している。図7Eは、2つのTDBについて、腫瘍細胞の50%を殺滅させるのにかかる時間の計算を示し、それらが異なる殺滅速度を有することを示している。図7Fは、7Eの%細胞溶解の追跡から生成された用量応答曲線を示している。
【0066】
[0080]図8Aは、固定量のTDBが共投与されたCRBの滴定を示している。濃い曲線は、TDBに対するCRBのより高い相対濃度を表している。図8Bは、異なる処理濃度についてのKT50率の計算を示している。図8Cは、個々の追跡からのDRC計算を示している。図8Dは、3つの固定濃度のTDBへのCRBの滴定に関する標的細胞殺滅の割合(正規化済み)を示している。図8Eは、4つの濃度の固定CRBへのTDBの滴定に関する標的細胞殺滅の割合(正規化済み)を示している。図8Fは、NuclightTM redアッセイにおける腫瘍細胞殺滅活性の最大割合と、カスパーゼ3/7アッセイにおける活性の最大割合との相関を示している(図8F;黒い記号はCD8+ T細胞を使用した結果を、薄い記号はpan T細胞を使用した結果を示す)。図8Gは、NuclightTM redアッセイにおける最大割合の活性と、Cell Titer Glo(登録商標)アッセイにおける最大割合の活性との相関を示している(図8G:黒い記号と薄い記号は異なる試験TDBに関するデータを示す)。
【0067】
[0081]IFNγ、IL2、及びIL6といった因子の濃度も評価された。図9Aは、TDBの付加後6、24、及び72時間目のウェルからの上清中の特定の被分析物濃度(図9A-IFNγ;図9B-グランザイムB;図9C-IL2;及び図9D-IL6)の変化を示している。各グラフの個々の曲線は、異なるTDBクローンによるデータを表している。
【0068】
[0082]図10は、複数のデータ読み出し、例えば細胞殺滅のKT50及び種々のサイトカイン濃度の変化に基づく、種々のCRBクローン及びコントロールを並べたヒートマップを示している。サイトカインは、CD8+ T細胞と共に72時間インキュベートした後で分析された。
【0069】
[0083]T細胞部分母集団は、1、2、3、及び4の4名の異なるドナー由来の免疫細胞を使用して評価された。図11は、TDBあり又はTBDなしで、標的細胞と共に1日又は3日間インキュベートした後の、4名のドナー由来の免疫細胞におけるT細胞部分母集団における経時的増加を示している。図11A CD8+ T細胞:図11B Tエフェクター細胞(Teff);図11C メモリT細胞(Tcm);及び図11D エフェクター細胞とメモリ細胞との比(Teff/Tcm)。
【0070】
[0084]図12Aに示されるように、TDBの付加あり及びなしでのCD8+ T細胞の増殖について、ドナー1及び3の間には違いがあった。図12B及び図12Cは、2名のドナー(1及び3)について、CRBの濃度の上昇に伴う細胞殺滅率の比較を示しており、図12D及び図12Eは、12B及びCのデータに対応する用量応答曲線を示している。
【0071】
[0085]図13は、複数の読み出しの相関を示している。具体的には、図13Aは、標的細胞と、CD8+ T細胞(黒い丸)、又はPBMC(薄い丸)との存在下で、2つの異なるCRB分子のEC50を比較している。図13Bは、標的細胞及びCD8+ T細胞の存在下における、複数の異なるCRBクローンのKT50対最大%活性を示している。図13Cは、CD8+ T細胞を用いた種々のCRBクローンのグランザイムB対最大%活性を示している。図13Dは、CRBの存在下で、CD8+ T細胞(黒丸)又はPBMC(薄い丸)を用いたHer2d TDB及びHer2p TDB(図7参照)のEC50を比較している。図13Eは、複数のCRBクローンの存在下でのCD8+ T細胞対Pan T細胞の最大活性%間の比較を示している。図13Fは、複数のCRBクローンの存在下でのCD8+ T細胞のIFNγ対最大%活性を比較している。
【0072】
[0086]図14A~Cは、固有のTDBを識別するための、経時的な(図14A 6時間、図14B 24時間、及び図14C 72時間)殺滅及びサイトカインプロファイルに基づく、種々のTDBクローンのt分布型確率的近傍埋め込み(t-SNE)機械学習アルゴリズムクラスター分析を示している。
図1
図2
図3A-3B】
図3C-3E】
図4A-4D】
図4E-4F】
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C-7D】
図7E-7F】
図8A-8C】
図8D-8E】
図8F-8G】
図9
図10
図11A-11B】
図11C-11D】
図12A
図12B-12E】
図13
図14
【国際調査報告】