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特表2023-543042グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体またはその結合体を含む骨疾患に対する予防または治療用薬学的組成物
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  • 特表-グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体またはその結合体を含む骨疾患に対する予防または治療用薬学的組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体またはその結合体を含む骨疾患に対する予防または治療用薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20231004BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20231004BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20231004BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231004BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20231004BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P19/08
A61K47/68
A61P19/10
A61P19/02
A61P1/02
A61P43/00 107
C07K14/00 ZNA
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519317
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 KR2021013007
(87)【国際公開番号】W WO2022065898
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0125196
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン スク
(72)【発明者】
【氏名】リ サン ドン
(72)【発明者】
【氏名】リ サン ヒョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC09
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF63
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA41
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA67
4C084ZA96
4C084ZA97
4C084ZB22
4H045BA10
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA57
4H045DA75
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及び/又はその持続型結合体の骨疾患に対する治療的用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨疾患の予防または治療のための薬学的組成物であって、
薬学的に許容される賦形剤と
配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量で含む薬学的組成物。
【請求項2】
前記ペプチドは、持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は、下記化学式(1)で表される、請求項1に記載の薬学的組成物:
【化1】
ただし、この時、Xは配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列のペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり、
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【請求項3】
前記ペプチドは、そのC末端がアミド化された、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、77と96からなる群から選択するアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記ペプチド配列は、N末端から16番のアミノ酸と20番のアミノ酸は互いに環を形成する、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記Lは、ポリエチレングリコールである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は1~100kDaの範囲にある、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記免疫グロブリンFc領域は、非グリコシル化したものである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記Fは、IgG Fc領域である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記免疫グロブリンFc領域は、二つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記結合体は、Lの一方の末端がFのアミノ基またはチオール基と、Lの他方の末端がXのアミノ基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合によりF及びXにそれぞれ連結されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記骨疾患は、骨粗鬆症、骨折、骨硬化症、骨化石症、関節炎、パジェット病(Paget’s disease)、歯周疾患、骨形成不全症、または骨減少症(osteopenia)である、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記薬学的組成物は、投与時に下記特性のうち一つ以上を有する、請求項1又は2に記載の薬学的組成物:
(i)血中オステオカルシン数値減少;または
(ii)血中PINP(procollagen I intact N-terminal propeptide)数値増加。
【請求項16】
前記薬学的組成物は、下記特性のうち一つ以上を有する、請求項1又は2に記載の薬学的組成物:
(i)造骨細胞の分化増加;または
(ii)造骨細胞の生存能力増加。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及び/又はその持続型結合体の骨疾患に対する治療的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
骨の発生、成長及び代謝過程には、骨の形成(bone modeling)と再形成(remodeling)過程が重要な役割をする。骨の形成は、胎生期から始まり、その後骨格が成熟して成長が終わる青壮年期まで続き、20代から30代前半まで最大骨量を形成するようになる。以後、約30年間は骨を除去し、再度これを補充する骨材形成過程を繰り返すようになるが、この時は骨形成と骨吸収が互いに対をなしてバランスを維持するようになる。この時期が過ぎた後は骨吸収による骨消失を骨形成が十分に追いつけず、結局、年0.3~0.5%程度の骨量減少を経験し、特に女性の場合は、閉経初期に年2~3%の相当な骨損失を被ることになる。
【0003】
骨組織は、軟骨と骨格系を構成し、機械的機能で支持と筋付着の役割をし、生体器官及び骨髄を保護する機能をし、カルシウムとリンイオンの恒常性維持のためにこれらを保存する機能を担当する。骨組織は、膠原質、糖タンパク質のような細胞基質と造骨細胞、破骨細胞及び骨細胞など様々な種類の細胞で構成される。骨髄間質細胞(bone marrow stromal cell)に由来する造骨細胞は骨形成に主たる役割を果たし、造血幹細胞に由来する破骨細胞は破壊され、老化した骨の吸収を担当し、造骨細胞と破骨細胞のバランスの取れた作用をして骨の再形成(remodeling)を維持するようになる。しかし、破骨細胞の過度な活性や造骨細胞の活性低下は、骨形成のリモデリング過程で不均衡をもたらし、生体内で破骨細胞と造骨細胞とのバランスが崩れることにより骨疾患を誘発するようになる。
【0004】
骨疾患の代表的な例として骨粗鬆症は、程度に差はあるが、老年層、特に、閉経期以後の女性にとっては避けられない症状で、先進国では人口が高齢化するにつれて骨粗鬆症及びその治療剤に対する関心が次第に増加している。骨粗鬆症は、正常人に比べて顕著に骨の量が減った状態を指し、体重や機械的な圧力に耐える力が弱くなり、室内で軽く倒れるような微弱な衝撃にも骨折しやすい一般的な代謝性疾患である。我々の身体の骨は吸収され生成される再形成過程を繰り返すが、骨粗鬆症は、このような骨形成と骨吸収過程のバランスが崩れて生じると考えられる。即ち、骨吸収速度が速くなったり、生成速度が遅くなったりして骨生成量が骨吸収量に追いつけない場合、骨粗鬆症が発生し、30代後半から年を取るほど骨の生成速度よりは吸収速度が速くなって骨量が次第に減少し、結局骨は次第に弱くなると知られている。骨粗鬆症を治療するために骨形成を増加させたり骨消失を防止して現在の骨量を維持するための薬物が開発されている。骨吸収を抑制させる薬物としては、ビスホスホネート(bisphosphonate)が用いられたり(Can Fam Physician. 2014 Apr; 60(4): 324-333)、カルシトニン、またはエストロゲンなどが用いられており、骨形成を増加させるために副甲状腺ホルモンが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開特許WO2017/116204
【特許文献2】WO2017/116205
【特許文献3】国際特許公開第WO97/34631号
【特許文献4】国際特許公開第96/32478号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Can Fam Physician. 2014 Apr; 60(4): 324-333
【非特許文献2】Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
骨疾患に対する実質的で効果的な治療剤の開発は不備な状態であるところ、持続的な治療剤の開発の必要性が台頭している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの目的は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体に対して活性を有するペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体を含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体を含む骨疾患の予防または改善用食品組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記ペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体;もしくは前記ペプチドまたは前記持続型結合体を含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、骨疾患の予防または治療方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、骨疾患の予防または治療のための薬剤の製造において、前記ペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体;もしくは前記ペプチドまたは前記持続型結合体を含む組成物の用途を提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明による三重活性体またはその持続型結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有し、骨粗鬆症をはじめとした骨関連疾患の治療に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】骨粗鬆症モデルとして卵巣摘出ラットを用いて配列番号42の持続型三重活性体結合体を3日1回間隔で4週間持続的に投与した後、ラットの血中PINP数値を示した図である。効力比較の目的でGLP-1アゴニストとして知られているリラグルチドは1日2回間隔で投与を進行した(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001, vs.賦形剤対照群by One-way ANOVA)。
図2】骨粗鬆症モデルとして卵巣摘出ラットを用いて配列番号42の持続型三重活性体結合体を3日1回間隔で4週間持続的に投与した後、ラットの血中オステオカルシン数値を示した図である。効力比較の目的でGLP-1アゴニストとして知られているリラグルチドは1日2回間隔で投与を進行した(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001, vs.賦形剤対照群by One-way ANOVA)。
図3】配列番号:42の持続型結合体をMC3T3-E1造骨細胞に処理して造骨細胞分化遺伝子であるRUNX2、OCN、ALP、ColA1のmRNA発現を確認した結果を示した図である(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001, vs.賦形剤対照群by One-way ANOVA)。
図4】配列番号:42の持続型結合体をMC3T3-E1造骨細胞に処理してColA1タンパク質発現の変化を確認した図である(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001, vs.賦形剤対照群by One-way ANOVA)。
図5】配列番号:42の持続型結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の細胞生存能力増加効果を確認した図である(*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001, vs.賦形剤対照群by One-way ANOVA)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を具現する一つの様態は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体に対して活性を有するペプチドを含む骨疾患の予防または治療用薬学的組成物である。
【0015】
一つの具体例として、前記骨疾患の予防または治療のための薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤と配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量で含むことを特徴とする。
【0016】
前述した具体例のいずれか一つによる薬学的組成物として、前記ペプチドは、持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は、下記化学式(1)で表されることを特徴とする:
【0017】
X-L-F・・・(1)
【0018】
ただし、この時、Xは配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列のペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり、
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【0019】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化されたことを特徴とする。
【0020】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化されたかまたは遊離カルボキシル基(-COOH)を有することを特徴とする。
【0021】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97と100からなる群から選択するアミノ酸を含むことを特徴とする。
【0022】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97、100からなる群から選択するアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0023】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、77と96からなる群から選択するアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
【0024】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、ペプチド配列は、N末端から16番のアミノ酸と20番のアミノ酸は互いに環を形成することを特徴とする。
【0025】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記Lは、ポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0026】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部分の化学式量は1~100kDaの範囲にあることを特徴とする。
【0027】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記Fは、IgG Fc領域であることを特徴とする。
【0028】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、非グリコシル化されたことを特徴とする。
【0029】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の1個または2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせ;及び(f)重鎖定常領域の各ドメインと軽鎖定常領域の二量体で構成された群から選択されることを特徴とする。
【0030】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、ジスルフィド結合を形成できる部位が除去されるか、天然型FcでN末端の一部のアミノ酸が除去されるか、天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されるか、補体結合部位が除去されるか、またはADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されることを特徴とする。
【0031】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgEまたはIgMに由来したことを特徴とする。
【0032】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域はIgG、IgA、IgD、IgE、IgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来した相違する起源を有するドメインのハイブリッドであることを特徴とする。
【0033】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、二量体形態(dimeric form)であることを特徴とする。
【0034】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、二つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されていることを特徴とする。
【0035】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0036】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であることを特徴とする。
【0037】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、2つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記2鎖中の一鎖の窒素原子を通じてのみ連結されたことを特徴とする。
【0038】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号123のアミノ酸配列である単量体を含むことを特徴とする。
【0039】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号123のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であることを特徴とする。
【0040】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域は、そのN末端プロリンの窒素原子を通じて連結されたことを特徴とする。
【0041】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記免疫グロブリンFc領域であるFとXがグリコシル化されていないことを特徴とする。
【0042】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記エチレングリコール繰り返し単位は[OCH2CH2]nであり、nは自然数で、前記ペプチド結合体内[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が1~100kDaになるように定められることを特徴とする。
【0043】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記nの値は、前記ペプチド結合体内[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が10kDaになるように定められることを特徴とする。
【0044】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記結合体は、Lの一方の末端がFのアミノ基またはチオール基と、Lの他の末端がXのアミノ基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合によりF及びXにそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【0045】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記Lは、ポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0046】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記骨疾患は、骨粗鬆症、骨折、骨硬化症、骨化石症、関節炎、パジェット病(Paget’s disease)、歯周疾患、骨形成不全症、または骨減少症(osteopenia)であることを特徴とする。
【0047】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記骨疾患は、骨減少性疾患であることを特徴とする。
【0048】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記薬学的組成物は、投与時に下記特性のうち一つ以上を有することを特徴とする:
【0049】
(i)血中オステオカルシン数値減少;または
(ii)血中PINP(procollagen I intact N-terminal propeptide)数値増加。
【0050】
前述した具体例のいずれか一つによる組成物として、前記薬学的組成物は、下記特性のうち一つ以上を有することを特徴とする:
【0051】
(i)造骨細胞の分化増加;または
(ii)造骨細胞の生存能力増加。
【0052】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、前記ペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体;もしくは前記ペプチドまたは前記持続型結合体を含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、骨疾患の予防または治療方法である。
【0053】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、骨疾患の予防または治療のための薬剤の製造において前記ペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体;もしくは前記ペプチドまたは前記持続型結合体を含む組成物の用途である。
【0054】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、骨疾患の予防または治療のための前記ペプチドまたはそのようなペプチドの持続型結合体;もしくは前記ペプチドまたは前記持続型結合体を含む組成物の用途である。
【0055】
以下では、本発明をより詳細に説明する。
【0056】
一方、本願で開示されるそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本願で開示された多様な要素の全ての組合わせが本発明の範疇に属する。また、下記の具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは見られない。
【0057】
また、当該技術分野の通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本発明の特定様態に対する多数の等価物を認知または確認することができる。また、このような等価物は、本発明に含まれることが意図される。
【0058】
本明細書全体を通して、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなく、Aib(2-アミノイソブチル酸、2-aminoisobutyric acid)、Sar(N-methylglycine)、α-メチルグルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)などの他のアミノ酸に対して一般に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書において略語で言及したアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に従って記載したものである。
【0059】
本明細書において「Aib」は「2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)」または「アミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)」と混用され得、2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)とアミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)は混用され得る。
【0060】
アラニン Ala,A アルギニン Arg,R
アスパラギン Asn,N アスパラギン酸 Asp,D
システイン Cys,C グルタミン酸 Glu,E
グルタミン Gln,Q グリシン Gly,G
ヒスチジン His,H イソロイシン Ile,I
ロイシン Leu,L リシン Lys,K
メチオニン Met,M フェニルアラニン Phe,F
プロリン Pro,P セリン Ser,S
トレオニン Thr,T トリプトファン Trp,W
チロシン Tyr,Y バリン Val,V
【0061】
本発明を具現するための一つの様態は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、ペプチドを含む、骨疾患の予防または治療のための薬学的組成物を提供する。具体的には、前記骨疾患は、骨代謝性疾患であってもよく、骨減少性疾患であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0062】
一つの具現例として、前記ペプチドは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0063】
もう一つの具現例として、前記骨疾患の予防または治療のための薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤と配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを薬学的有効量で含む薬学的組成物であってもよい。
【0064】
本発明の組成物は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドを薬理学的有効量で含むものであってもよく、具体的には、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列を含むか、必須で構成されるか、または構成されるペプチド(三重活性体)を薬理学的有効量で含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0065】
前記「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド」は、本発明において「三重活性体」または「三重活性体ペプチド」という名称でも混用され得る。
【0066】
本発明の三重活性体は、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列を含むペプチドを含むことができる。または、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列で必須で構成されるか、構成されたペプチドも本発明の三重活性体に含んでもよいが、これに制限されない。前記配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドは、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する、ペプチドの一例であるが、これに制限されない。
【0067】
このようなペプチドには、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体に対して有意なレベルの活性を有する様々な物質、例えば様々なペプチドが含まれる。
【0068】
特にこれに制限されるものではないが、前記グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体に対して有意なレベルの活性を有する三重活性体は、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体のうち1つ又はそれ以上の受容体、具体的には2つ又はそれ以上の受容体、より具体的には3つの受容体の全てに対するin vitro活性が、当該受容体の天然リガンド(天然グルカゴン、天然GLP-1及び天然GIP)に比べて、約0.001%以上、約0.01%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約150%以上、約200%以上を示すことができるが、有意に増加した範囲は制限なく含まれる。
【0069】
ここで、受容体に対する活性は、天然型比受容体に対するin vitro活性が約0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、約200%以上を示す場合を例として挙げることができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0070】
本発明において用語、「約」は±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などを全て含む範囲であり、約という用語に続く数値と同等又は類似の範囲の数値を全て含むが、これに限定されない。
【0071】
このような三重活性体のin vitro活性を測定する方法を本願明細書の実験例1に示すが、特にこれに限定されるものではない。
【0072】
一方、前記ペプチドは、次のi)~iii)の1つ以上、2つ以上、特に3つの活性を有すること、具体的には有意な活性を有することを特徴とする。
【0073】
i)GLP-1受容体の活性化;ii)グルカゴン受容体の活性化;iii)GIP受容体の活性化。
【0074】
ここで、受容体を活性化するとは、天然のものに比べて、受容体に対するin vitro活性が約0.001%以上、約0.01%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約150%以上、約200%以上を示す場合を例として挙げることができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0075】
また、前記ペプチドは、天然GLP-1、天然グルカゴン及び天然GIPのいずれかに比べて、体内半減期が延長されたものであるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0076】
このような前記ペプチドは、非自然発生の(non-naturally occurring)ものであってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0077】
本願において特定の配列番号で「構成される」ペプチドと記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一もしくは相当する活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加または自然に発生し得る突然変異、またはそのサイレント突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、このような配列の追加もしくは突然変異を有する場合であっても、本願の範囲内に属することが自明である。即ち、一部の配列の差があるとしても、一定水準以上の相同性を示し、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対する活性を示すと、本発明の範囲に属することができる。
【0078】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の様態にも適用され得るが、これに制限されるものではない。
【0079】
例えば、本発明のペプチドはWO2017-116204及びWO2017-116205を参照にすることができる。
【0080】
例えば、本発明のペプチドは、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列で(必須で)構成されるか、または配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、または95%以上の配列同一性を有するペプチドも含むことができ、骨疾患の治療及び/又は予防効果を奏する以上、特定配列に制限されない。
【0081】
前記三重活性体の例として、配列番号:1~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むこと、配列番号:1~11、13~102からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むこと、配列番号:1~11、13~102からなる群から選択されたアミノ酸配列で(必須で)構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
もう一つの具体例として、前記三重活性体ペプチドは、配列番号21~24、28、29、31、32、37、42、43、50、51~54、56、58、64~73、75~79、82、83、91、及び96~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、必須で構成されるか、または構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0083】
一例として、前記三重活性体ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、64、66、67、70、71、76、77、96、97及び100のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、必須で構成されるか、または構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0084】
もう一つの例として、前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、66、67、77、96、97及び100のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、必須で構成されるか、または構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0085】
もう一つの例として、前記ペプチドは、配列番号21、22、42、43、50、77と96のいずれか一つのアミノ酸配列を含むか、必須で構成されるか、または構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0086】
本出願において、用語「相同性(homology)」または「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列と相互に関連した程度を意味し、百分率で表すことができる。
【0087】
用語の相同性及び同一性はしばしば互換的に使用することができる。
【0088】
任意の2つのポリヌクレオチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して決定されてもよいされてもよい。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して決定されてもよい(GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)), BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990); Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994,及び[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0089】
ポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al. (1970), J Mol Biol. 48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定されてもよい。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(すなわち、アミノ酸)の数を除した値と定義する。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)一進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)、及びSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。従って、本発明で用いられたものとして、用語「相同性」または「同一性」は配列間の関連性(relevance)を示す。
【0090】
前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドは、分子内架橋(intramolecular bridge)を含んでもよく(例えば、共有結合的架橋又は非共有結合的架橋)、具体的には環を含む形態であってもよい。例えば、ペプチドの16番目のアミノ酸と20番目のアミノ酸間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0091】
前記環の非制限的な例として、ラクタム架橋(又はラクタム環)を含んでもよい。
【0092】
また、前記ペプチドは、環を含むように改変されたもの、目的とする位置に環を形成するアミノ酸を含むように改変されたものが全て含まれる。
【0093】
例えば、ペプチドの16番目と20番目のアミノ酸対がそれぞれ環を形成するグルタミン酸又はリシンに置換されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0094】
このような環は、前記ペプチド内のアミノ酸側鎖間に形成され、例えばリシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0095】
前記方法の組み合わせにより作製されるペプチドの例として、天然グルカゴンとアミノ酸配列が少なくとも1つ異なり、N末端のアミノ酸残基のα炭素が除去された、グルカゴン受容体、GLP-1受容体及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、アナログ作製のための様々な方法の組み合わせにより、本発明に用いられるペプチドを作製することができる。
【0096】
また、本発明のペプチドは、活性体分解酵素の認識作用を回避して体内半減期を延長させるために、一部のアミノ酸を他のアミノ酸又は非天然化合物に置換するが、特にこれらに限定されるものではない。
【0097】
具体的には、前記ペプチドのアミノ酸配列のうち2番目のアミノ酸配列の置換により、分解酵素の認識作用を回避して体内半減期を延長させたペプチドであってもよいが、体内の分解酵素の認識作用を回避するためのアミノ酸の置換又は変更であればいかなるものでもよい。
【0098】
また、ペプチドの作製のためのこのような改変には、L型もしくはD型アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸を用いた改変、並びに/又は天然配列の修飾、例えば側鎖官能基の改変、分子内の共有結合、一例として側鎖間の環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などの修飾による改変が全て含まれる。
【0099】
さらに、天然グルカゴンのアミノ及び/又はカルボキシ末端に少なくとも1つのアミノ酸が付加されたものが全て含まれる。
【0100】
前記置換されるか、付加されるアミノ酸としては、ヒトタンパク質において通常観察される20種のアミノ酸だけでなく、異常又は非自然発生アミノ酸を用いることができる。異常アミノ酸の市販元には、Sigma-Aldrich、ChemPep、Genzyme pharmaceuticalsが含まれる。これらのアミノ酸が含まれるペプチドと定型的なペプチド配列は、民間のペプチド合成会社、例えば米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenにおいて合成及び購入することができる。
【0101】
アミノ酸誘導体も同じ方式で入手することができ、一例として4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などが挙げられる。
【0102】
また、本発明によるペプチドは、生体内のタンパク質切断酵素から保護して安定性を向上させるために、そのN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾された形態、有機基により保護された形態、又はペプチド末端などにアミノ酸が付加されて改変された形態であってもよい。
【0103】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているので、その電荷を除去するために、N末端のアセチル化(acetylation)及び/又はC末端のアミド化(amidation)を行ってもよいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0104】
具体的には、本発明のペプチドのN末端またはC末端はアミノ基(-NH2)またはカルボキシル基(-COOH)を有してもよいが、これに制限されない。
【0105】
本発明によるペプチドのC末端は、アミド化されたかまたは遊離カルボキシル基(-COOH)を有するペプチドであるか、またはC
末端が変形されていないペプチドを含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0106】
一つの具体例として、前記ペプチドは、C末端がアミド化されているものであってもよいが、これに制限されない。
【0107】
一つの具体例として、前記ペプチドは、非グリコシル化されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0108】
本発明のペプチドはSolid phase合成法を通じて合成されされてもよく、組換え方法でも生産可能であり、商業的に依頼して製造することができるが、これに制限されない。
【0109】
また、本発明のペプチドは、その長さによってこの分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0110】
具体的には、本発明のペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、又は任意の他の当該分野の方法により製造することができる。したがって、本発明によるペプチドは、例えば、下記を含む方法を含む複数の方法で合成することができる。
【0111】
(a)ペプチドを固相又は液相法の手段で段階的に又は断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;又は
(b)ペプチドをエンコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;又は
(c)ペプチドをエンコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;又は
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0112】
また、前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドは、グルカゴン受容体、GLP-1受容体及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドに、その生体内半減期を延長させるための生体適合性物質が結合された持続型結合体の形態であってもよい。本発明における前記生体適合性物質は、キャリアと混用され得る。本発明の薬学的組成物に含まれるペプチドは持続型結合体の形態であってもよい。
【0113】
本発明における前記ペプチドの結合体は、キャリアが結合されていない前記ペプチドより効力の持続性が向上したものであり、本発明においては、このような結合体を「持続型結合体」という。
【0114】
なお、このような結合体は、非自然発生の(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0115】
本発明の具体的な実施形態において、前記持続型結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドに免疫グロブリンFc領域が互いに連結された形態を指す。具体的には、前記結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドに免疫グロブリンFc領域がリンカーを介して共有結合的に連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0116】
本発明の一つの具体例として、前記持続型結合体は、下記化学式(1)で表されるものであってもよいが、これに制限されるものではない:
【0117】
X-L-F・・・(1)
【0118】
ただし、この時、Xは配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり、
Fは、免疫グロブリンFc領域であり、
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【0119】
本発明において、用語「化学式(1)の持続型結合体」は、配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド及び免疫グロブリンFc領域が互いにリンカーで連結された形態であり、前記結合体は、免疫グロブリンFc領域が結合していない配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドに比べて向上した効力の持続性を示すことができる。
【0120】
本発明の結合体は、結合体の形態でもグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して有意な活性を示すことができ、従って、やはり骨疾患の予防及び/又は治療効果を発揮することができる。
【0121】
具体的には、本発明の結合体は、天然型比のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及び/又はGIP受容体に対するin vitro活性が約0.01%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、0.7%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0122】
本発明の目的上、前記ペプチドまたはこの結合体は、天然型比のグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及び/又はGIP受容体に対する活性が約0.01%以上、0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0123】
本発明の組成物は、(i)グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド、または(ii)前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドの持続型結合体を含むものであってもよく、前記持続型結合体は、向上した体内持続性に基づいて、優れた骨疾患の予防及び/又は治療効果を奏することができる。
【0124】
前記持続型結合体において、FはX、すなわちグルカゴン受容体、GLP-1受容体及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド、具体的には、配列番号1~102のアミノ酸配列のいずれか一つの配列を含むペプチドの半減期を延長させることのできる物質であり、本発明の前記結合体の一部をなす一構成である。
【0125】
前記Fは、Xに共有化学結合又は非共有化学結合により互いに結合されたものであってもよく、共有化学結合、非共有化学結合、又はそれらの組み合わせとしてリンカー(L)を介して、FとXが互いに連結されたものであってもよい。
【0126】
一つの例として、前記結合体は、XとL、及びLとFは共有結合で互いに連結されるものであってもよく、この時、前記結合体は、化学式(1)の形態でX、L、及びFが共有結合を通じてそれぞれ連結された結合体である。
【0127】
具体的には、化学式(1)の持続型結合体の配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであるXと免疫グロブリンFc領域の連結方法は特に制限されないが、リンカーを介して配列番号1~102のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドと免疫グロブリンFc領域が互いに連結されたものであってもよい。
【0128】
具体的には、 前記Lは非ペプチド性リンカー、例えば、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであってもよい。
【0129】
本発明において「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が二個以上結合した生体適合性ポリマーを含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体の一部をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに対応する。
【0130】
本発明で使用し得る非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく使用することができる。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性ポリマーと混用されてもよい。
【0131】
本発明において非ペプチド性リンカーは末端に反応基を含み、結合体を構成する他の構成要素との反応を通じて結合体を形成することができる。両末端に反応性作用基を有する非ペプチド性リンカーが各反応基を通じて前記化学式(1)のX及びFと結合して結合体を形成する場合、前記非ペプチド性リンカー又は非ペプチド性ポリマーは非ペプチド性ポリマー連結部(linker moiety)又は非ペプチド性リンカー連結部と命名できる。
【0132】
特にこれに制限されないが、前記非ペプチド性リンカーはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよく、また、当該分野において既に知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0133】
本発明において、「ポリエチレングリコールリンカー」は、エチレングリコール繰り返し単位が2個以上結合した生体適合性重合体を含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記ポリエチレングリコリンカーは、本発明の結合体の一部をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに該当する。
【0134】
具体的には、前記L(ポリエチレングリコールリンカー)は、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよいが、これに制限されない。本明細書において、前記ポリエチレングリコールはエチレングリコール同種重合体、PEG共重合体、又はモノメチル置換されたPEG重合体(mPEG)の形態をすべて包括する用語であるが、特にこれに制限されるものではない。また、当該分野において既に知られているその誘導体及び当該分野の技術レベルで容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0135】
前記ポリエチレングリコールリンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含みながら、結合体として構成される以前は結合体の製造に用いられる作用基を末端に含んでもよい。本発明による持続型結合体は前記作用基を通じてXとFが連結された形態であってもよいが、これに制限されない。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは2個、又は3個以上の作用基を含んでもよく、各作用基は同一又は互いに異なってもよいが、これに制限されない。
【0136】
具体的には、前記リンカーは下記化学式(2)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であってもよいが、これに制限されるものではない:
【0137】
・・・(2)
【0138】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これに制限されない。
【0139】
前記持続型結合体でPEGの一部は、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素と、この-(CH2CH2O)n-の間に介在する酸素原子も含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0140】
一つの具体例として、前記エチレングリコール繰り返し単位はその例として、[OCH2CH2]nで表すことができ、n値は自然数で前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が0超~約100kDaになるように定められてもよいが、これに制限されない。もう一つの例として、前記n値は自然数で前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が約1~約100kDa、約1~約80kDa、約1~約50kDa、約1~約30kDa、約1~約25kDa、約1~約20kDa、約1~約15kDa、約1~約13kDa、約1~約11kDa、約1~約10kDa、約1~約8kDa、約1~約5kDa、約1~約3.4kDa、約3~約30kDa、約3~約27kDa、約3~約25kDa、約3~約22kDa、約3~約20kDa、約3~約18kDa、約3~約16kDa、約3~約15kDa、約3~約13kDa、約3~約11kDa、約3~約10kDa、約3~約8kDa、約3~約5kDa、約3~約3.4kDa、約8~約30kDa、約8~約27kDa、約8~約25kDa、約8~約22kDa、約8~約20kDa、約8~約18kDa、約8~約16kDa、約8~約15kDa、約8~約13kDa、約8~約11kDa、約8~約10kDa、約9~約15kDa、約9~約14kDa、約9~約13kDa、約9~約12kDa、約9~約11kDa、約9.5~約10.5kDa、または約10kDaであってもよいが、これに制限されない。
【0141】
また、一つの具体的な実施形態において前記結合体は、ペプチド(X)と免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを介して共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0142】
また、一つの具体的な実施形態において前記持続型結合体は、本発明のペプチド(X)と免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー(L)により、共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0143】
本発明で用いられる非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるエチレングリコール繰り返し単位を含む重合体であれば、制限なく用いられる。前記非ペプチド性重合体の分子量は0超約100kDaの範囲、約1~約100kDaの範囲、具体的には、約1~約20kDaの範囲、または約1~約10kDaの範囲であるが、これに制限されない。また、前記Fに該当するポリペプチドと結合する本発明の非ペプチド性リンカーは、一種の重合体だけでなく相違する種類の重合体の組合わせが用いられてもよい。
【0144】
一つの具体的な実施形態において前記非ペプチド性リンカーの両末端は、それぞれF、例えば、免疫グロブリンFc領域のチオール基、アミノ基ヒドロキシル基及びペプチド(X)のチオール基、アミノ基、アジド基またはヒドロキシル基に結合できるが、これに制限されない。
【0145】
具体的には、前記リンカーは、両末端にそれぞれF(例えば、免疫グロブリンFc領域)及びXと結合され得る反応基、具体的には、免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基;N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミノ基;及び/又はC末端に位置するヒドロキシル基と結合し、ペプチド(X)のシステインのチオール基;リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミノ基;アジドリシンのアジド基;及び/又はヒドロキシル基と結合することができる反応基を含んでもよいが、これに制限されない。
【0146】
また、F,例えば、免疫グロブリンFc領域及びXと結合され得る、前記リンカーの反応基はアルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体で構成された群から選択され得るが、これに制限されない。
【0147】
前記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を例として挙げることができるが、これに制限されない。
【0148】
前記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジル吉草酸 、スクシンイミジルメチルブタン酸、スクシンイミジルメチルプロピオン酸、スクシンイミジルブタン酸、スクシンイミジルプロピオン酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが用いられてもよいが、これに制限されない。
【0149】
前記リンカーは、前記のような反応基を通じて免疫グロブリンFc領域であるF及びペプチド(三重活性体)であるXに連結され、リンカー連結部に転換されてもよい。
【0150】
また、アルデヒド結合による還元性アミノ化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものより遥かに安定している。アルデヒド反応基は、低いpHでN末端に選択的に反応し、高いpH、例えば、pH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成できる。
【0151】
また、前記非ペプチド性リンカーの両末端の反応基は互いに同一又は互いに異なってもよく、例えば、一方の末端にはマレイミド基を、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、又はブチルアルデヒド基を有することができる。しかし、非ペプチド性リンカーの各末端にF、具体的には、免疫グロブリンFc領域とXが結合されるのであれば、特にこれに制限されない。
【0152】
例えば、前記非ペプチド性リンカーの一方の末端には反応基としてマレイミド基を含み、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基などを含んでもよい。
【0153】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性重合体として用いる場合には、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを用いて本発明の持続型タンパク質結合体を製造できる。
【0154】
一つの具体的な実施形態において前記非ペプチド性重合体はXのシステイン残基、より具体的には、システインの-SH基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0155】
例えば、前記Xに該当するペプチドにおいて10番のシステイン残基、13番のシステイン残基、15番のシステイン残基、17番のシステイン残基、19番のシステイン残基、21番のシステイン残基、24番のシステイン残基、28番のシステイン残基、29番のシステイン残基、30番のシステイン残基、31番のシステイン残基、40番のシステイン残基、又は41番のシステイン残基に前記非ペプチド性重合体が連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0156】
具体的には、前記システイン残基の-SH基に非ペプチド性重合体の反応基が連結されてもよく、反応基に対しては前述した内容がいずれも適用される。もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はXの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基はF、具体的には、免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アミノ化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0157】
また、前記結合体において、非ペプチド性重合体の反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置した-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0158】
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを使用する場合、マレイミド基はペプチドの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基は免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アミノ化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0159】
このような還元的アルキル化を通じてPEGの一方の末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー作用基を通じて互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcと同様な構造を形成することができ、チオエーテル結合を通じてPEGの一方の末端がペプチドのシステインに位置する硫黄原子に連結された構造を形成することができる。上述のチオエーテル結合は、
の構造を含むことができる。
【0160】
しかし、上述した例に特に制限されるものではなく、これは一例に該当する。
【0161】
また、前記結合体において、リンカーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0162】
また、前記結合体において、本発明によるペプチドは反応基を有するリンカーとC末端を通じて連結され得るが、これは一例に該当する。
【0163】
本発明において「C末端」は、ペプチドのカルボキシ末端を意味することであり、本発明の目的上、リンカーと結合できる位置をいう。その例として、これに制限されないが、C末端の最末端のアミノ酸残基だけでなくC末端周囲のアミノ酸残基をいずれも含んでもよく、具体的には、最末端から最初ないし20番目のアミノ酸残基を含んでもよいが、これに制限されない。
【0164】
また、上述した結合体は、効力の持続性がFが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は、上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含む。
【0165】
一方、前記Fは、免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的には、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG由来であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0166】
本発明の具体的な一例として、前記F(免疫グロブリンFc領域)は、二つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されている構造を有してもよいが、これに制限されない。
【0167】
本発明における「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域を除いたものであり、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の結合体の一部をなす一構成であってもよい。前記免疫グロブリンFc領域は、「免疫グロブリンFc断片」と混用され得る。
【0168】
本発明において、Fc領域と言えば、免疫グロブリンのパパイン消化から得る天然型配列だけでなくその誘導体、例えば、天然配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより置換されて天然のものとは異なる配列など変形体も含まれる。前記誘導体、置換体、変形体はFcRnに結合する能力を有することを前提とする。
【0169】
本発明において、Fはヒト免疫グロブリン領域であってもよいが、これに制限されない。本明細書において「生体適合性物質」又は「キャリア」は前記Fc領域を意味する。
【0170】
前記F(免疫グロブリンFc領域)は、2つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記2つの鎖のうち1つの鎖の窒素原子を介してのみ連結されている構造であるが、これに限定されるものではない。前記窒素原子を介する連結は、リシンのεアミノ原子やN末端のアミノ基に還元的アミノ化により連結されるものであってもよい。
【0171】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミン基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(すなわち、還元的アミノ化が可能な官能基)と反応してアミンを生成し、次いで還元反応によりアミン結合を形成する反応を意味し、当該技術分野で周知の有機合成反応である。
【0172】
一つの具体例として、前記Fは、そのN末端プロリンの窒素原子を通じて連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0173】
前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の化学式(1)の結合体の一部をなす一構成であり、具体的には、前記化学式(1)においてFに該当する。
【0174】
このような免疫グロブリンFc領域は、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0175】
本発明における免疫グロブリンFc領域は、N末端に特定のヒンジ配列を含んでもよい。
【0176】
本発明における「ヒンジ配列」とは、重鎖に位置してジスルフィド結合(inter disulfide bond)により免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0177】
本発明における前記ヒンジ配列は、次のアミノ酸配列を有するヒンジ配列中の一部が欠失して1つのシステイン残基のみ有するように変異したものであってもよいが、これに限定されるものではない:
【0178】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号103)。
【0179】
前記ヒンジ配列は、配列番号103のヒンジ配列中の8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して1つのシステイン残基のみ含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は、1つのシステイン残基のみ含む、3~12個のアミノ酸からなるものであるが、これに限定されるものではない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、次の配列を有するものであってもよい:
【0180】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号104)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号105)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号106)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号107)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号108)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号109)、Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号110)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号111)、Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号112)、Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号113)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号114)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号115)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号116)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号117)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号118)、Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号119)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号120)、Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号121)、Ser-Cys-Pro(配列番号122)。
【0181】
より具体的には、前記ヒンジ配列は、配列番号113(Pro-Ser-Cys-Pro)又は配列番号122(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0182】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列の存在により免疫グロブリンFc鎖の二つの分子が二量体を形成した形態であってもよく、また、本発明の化学式(1)の結合体はリンカーの一方の末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の一つの鎖に連結された形態であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0183】
本発明における「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味し、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個以上のアミノ酸が含まれる。本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列をN末端に含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0184】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然のものと実質的に同等又は向上した効果を有するものであれば、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域を除き、一部又は全部の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。さらに、CH2及び/又はCH3に相当する非常に長い一部のアミノ酸配列が欠失した領域であってもよい。
【0185】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメインの少なくとも1つのドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖定常領域の各ドメインと軽鎖定常領域の二量体である。しかし、これらに限定されるものではない。
【0186】
本発明において、前記免疫グロブリンFc領域は、同一の起源のドメインからなる単鎖免疫グロブリンで構成された、二量体または多量体形態であってもよいが、これに制限されない。
【0187】
また、一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域は、二量体形態(dimeric form)であってもよく、二量体形態(dimer形態)の一つのFc領域にXの一分子が共有結合的に連結されてもよく、この時、前記免疫グロブリンFc領域とXは非ペプチド性重合体により互いに連結されてもよい。また、本発明の持続型結合体の一つの実施形態として、前記免疫グロブリンFc領域Fは二つのポリペプチド鎖からなる二量体(dimer)であり、この時、前記Fc領域二量体FとXはエチレングリコール繰り返し単位を含有する一つの同一のリンカーLを通じて共有結合的に連結されている。この実施形態の一具体例において、XはこのようなFc領域二量体Fの二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみリンカーLを通じて共有結合で連結されている。この実施形態のさらに具体的な例示において、このようなFc領域二量体Fの両ポリペプチド鎖中、Xが連結された一つのポリペプチド鎖には一分子のXのみがLを通じて共有結合的に連結されている。この実施形態の最も具体的な例示において前記Fはホモ二量体(homodimer)である。
【0188】
他の具体例において、前記免疫グロブリンFc領域Fは、二つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記二つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されているものであってもよいが、これに制限されない。
【0189】
本発明の持続型結合体の他の実施形態では、二量体形態の一つのFc領域にX2分子が対称に結合することも可能である。このとき、前記免疫グロブリンFcとXは非ペプチド性リンカーにより互いに連結されてもよい。しかし、前記記述の例に限定されるものではない。
【0190】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域には、天然アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体も含まれる。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより異なる配列を有するものを意味する。
【0191】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であることが知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番目のアミノ酸残基が修飾に適した部位として用いられてもよい。
【0192】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去された誘導体、天然FcからN末端のいくつかのアミノ酸が欠失された誘導体、天然FcのN末端にメチオニン残基が付加された誘導体など、様々な誘導体が用いられる。さらに、エフェクター機能をなくすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を作製する技術は、国際特許公開第WO97/34631号、国際特許公開第96/32478号などに開示されている。
【0193】
分子の活性を全体的に変化させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野で公知である(H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。最も一般的な交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)、アミド化(amidation)などにより修飾(modification)されてもよい。
【0194】
前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を向上させたものであってもよい。
【0195】
また、このようなFc領域は、ヒトや、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物の生体内から分離した天然のものから得てもよく、形質転換された動物細胞もしくは微生物から得られた組換えたもの又はその誘導体であってもよい。ここで、天然のものから得る方法は、全免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離し、その後タンパク質分解酵素で処理することにより得る方法であってもよい。パパインで処理するとFab及びFcに切断され、ペプシンで処理するとpF’c及びF(ab)2に切断される。これらは、サイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離することができる。より具体的な実施形態において、ヒト由来のFc領域は、微生物から得られた組換え免疫グロブリンFc領域である。
【0196】
また、免疫グロブリンFc領域は、天然糖鎖、天然のものに比べて増加した糖鎖、天然のものに比べて減少した糖鎖、又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には、化学的方法、酵素学的方法、微生物を用いた遺伝工学的手法などの通常の方法が用いられてもよい。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は、補体(c1q)との結合力が著しく低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が低減又は除去されるので、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このようなことから、糖鎖が除去されるか、非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域は、薬物のキャリアとしての本来の目的に適する。
【0197】
本発明における「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域を意味し、非グリコシル化(Aglycosylation)とは、原核生物、より具体的な実施形態においては大腸菌で産生されてグリコシル化されていないFc領域を意味する。
【0198】
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒト起源、又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、より具体的な実施形態においてはヒト起源である。
【0199】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のものであってもよく、それらの組み合わせ(combination)又はそれらのハイブリッド(hybrid)によるFc領域であってもよい。より具体的な実施形態においては、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来のものであり、さらに具体的な実施形態においては、リガンド結合タンパク質の半減期を延長させることが知られているIgG由来のものである。一層具体的な実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であるが、これらに限定されるものではない。
【0200】
また、一つの具体的な実施形態において、免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4 Fcの断片として、各単量体(monomer)の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain形態)により2個の単量体が連結されたホモ二量体(homodimer)の形態であってもよく、この時、ホモ二量体の各単量体は、独立に35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合、即ち、2つの内部のジスルフィド結合(intra-chain形態)を有するものである/有するものであってもよい。
【0201】
各単量体のアミノ酸は、221個のアミノ酸からなり、ホモ二量体を形成するアミノ酸は、全体で442個のアミノ酸からなるが、これらに限定されるものではない。具体的には、免疫グロブリンFc切片は、配列番号123のアミノ酸配列(221個のアミノ酸からなる)を有する2個の単量体が各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合によりホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立して35番目と95番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合、及び141番目と199番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであるが、これに限定されるものではない。
【0202】
前記化学式(1)のFは、配列番号123のアミノ酸配列である単量体を含むものであってもよく、前記Fは配列番号123のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0203】
一つの例として、免疫グロブリンFc領域は、配列番号134のアミノ酸配列(442個のアミノ酸で構成される)を含むホモ二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0204】
一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域とXはグリコシル化されていなくてもよいが、これに制限されない。
【0205】
一方、本発明において免疫グロブリンFc領域と関連した「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する時、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなるグループから選択された2個以上の断片から二量体又は多量体の製造が可能である。
【0206】
本発明において「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖の免疫グロブリン定常領域内に2個以上の相違する起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する用語である。本発明の場合、種々の形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなるグループから1個~4個のドメインからなるドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含んでもよい。
【0207】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明ではそれらの組み合わせ又はこれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も具体的には補体依存的傷害(CDC、Complement dependent cytotoxicity)のようなエフェクター機能(effector function)がほとんどないIgG4のFc切片である。
【0208】
また、上述した結合体は、効力の持続性が天然型GLP-1、GIP、あるいはグルカゴンに比べて、又はFcが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含むが、これに制限されない。
【0209】
また、上述した結合体は、効力の持続性が天然型GLP-1、GIP、あるいはグルカゴンに比べて、又はFcが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などを全て含む。
【0210】
一方、上述した三重活性体及びこの持続型結合体と関連し、国際公開特許WO2017/116204及びWO2017/116205の全文が本明細書の参考資料として含まれる。
【0211】
本明細書において別途に指すことがなければ、本発明による「ペプチド」又はこのようなペプチドが生体適合性物質に共有結合で連結された「結合体」に関する明細書の詳細な説明や請求の範囲の技術は、当該ペプチド又は結合体はもちろん、当該ペプチド又は結合体の塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はその溶媒和物の形態を全て含む範疇にも適用される。従って明細書に「ペプチド」又は「結合体」とだけ記載されていても当該記載内容はその特定塩、その特定溶媒和物、その特定塩の特定溶媒和物にも同様に適用される。このような塩形態は、例えば、薬学的に許容される任意の塩を用いた形態であってもよい。前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0212】
前記塩の種類は、特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全かつ効果的な形態であることが望ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0213】
前記用語、「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、又はアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0214】
本発明において用語、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、又は塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含んでもよい。
【0215】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」とは、本発明によるペプチド又はその塩が溶媒分子と複合体を形成したものをいう。
【0216】
前記ペプチド(例えば、前記ペプチド自体又はこれに生体適合性物質が結合した形態)を含む組成物は骨疾患の予防又は治療用であってもよい。
【0217】
本発明による組成物は、ペプチド(例えば、前記ペプチド自体またはこれに生体適合性物質が結合した持続型結合体形態)を含むものであってもよく、具体的には、薬理学的有効量のペプチドまたはその持続型結合体を含むものであってもよい。また、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。
【0218】
本発明において用語「予防」とは、前記ペプチド(例えば、前記ペプチド自体またはこれに生体適合性物質が結合した持続型結合体形態)又はこれを含む組成物の投与により骨疾患の発病を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、前記ペプチド(例えば、前記ペプチド自体またはこれに生体適合性物質が結合した持続型結合体形態)又はこれを含む組成物の投与により骨疾患の症状が好転したり有益になる全ての行為を意味する。
【0219】
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は特にこれに制限されないが、前記組成物が生体内標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与されてもよく、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、又は直腸内投与などが挙げられる。
【0220】
本発明の持続型グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体またはその持続型結合体の使用は、血中半減期及び生体内効力持続効果の画期的な増加により毎日投与しなければならない慢性患者に投与回数を減少させて患者の生活の質を向上させる大きな長所があり、骨疾患の治療に大きく役立つ。さらに、前記三重活性体またはその持続型結合体は骨疾患の症状の再発時期を遅延させるなど、骨疾患の予防効果及び/又は骨疾患の症状を有意に減少させる効果があるなど、骨疾患の予防及び/又は治療に大きく役立つ。
【0221】
本発明の組成物は、骨疾患の予防または治療に用いられ、特に、造骨細胞及び破骨細胞の不均衡により誘発される骨疾患に制限なく用いられる。このような「骨疾患」の例としては、骨粗鬆症、骨折、骨硬化症、骨化石症、関節炎、パジェット病(Paget’s disease)、歯周疾患、骨形成不全症、または骨減少症(osteopenia)などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0222】
また、前記骨粗鬆症のより具体的な種類として原発性第1型骨粗鬆症、原発性第2型骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨軟化症類似骨粗鬆症、または閉経または卵巣切除による骨粗鬆症を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
本発明において用語、「骨疾患の予防または治療」とは、前記骨代謝性疾患、特に、骨減少症疾患の予防及び完全なまたは部分的な治療を含む。これはまた、骨疾患症状の減少、改善、その症状の苦痛軽減、骨疾患発生率の減少または治療結果を向上させる患者のあらゆる他の変化を含む。
【0223】
骨代謝の過程には破骨細胞(osteoclast)による骨吸収(bone resorption)と造骨細胞(osteolast)による骨形成(bone formation)が結合して反復的に行われ、このような過程を通じて身体の無機質の均衡と骨の再形成(bone remodeling)が行われる。骨代謝疾患の正確な診断のために現在用いられている骨生検以外に比較的骨吸収と骨形成の速度を正確に評価できる非観血的な生化学的指標(biochemical marker)の必要性が求められている。これにより、骨代謝の生化学的指標中、骨形成を示す指標としては、オステオカルシン(osteocalcin;OCN)、総及び骨特異アルカリフォスファターゼ(total and bone-specific alkaline phosphatase;ALP)などを、骨吸収を反映させる生化学的指標としては、尿中Ca/Cr比(urinary Ca/Cr ratio)、ヒドロキシプロリン(hydroxyproline)、ピリジノリン(pyridinoline;PYD)、デオキシピリジノリン(deoxypyridinoline;DPD)などを開発して用いている。
【0224】
骨の再形成過程は、古い骨が周期的に新たな骨に転換される過程で、このような過程は、増殖、分化、及び細胞外基質の石灰化誘導などの段階を経て進行される。一般に、成人の骨形成と吸収過程は、間葉系幹細胞由来の造骨細胞と造血幹細胞由来の破骨細胞の相互作用によりバランスを取りながら骨の健康を維持する。しかし、このような造骨細胞と破骨細胞の不均衡が生じると、骨粗鬆症のような代謝性骨疾患が誘発され得る。造骨細胞の分化は、多様な成長要因とサイトカイン(cytokine)及び遺伝子の発現により調節され、培養方法によって固有の特性を有している。即ち、増殖と分化、石灰化過程を経て、ALP(alkaline phosphatase)、類型Iコラーゲン(type I collagen; Col 1)、OPN(osteopontin)及びOCN(osteocalcin)などの形質表現遺伝子が発現される。
【0225】
骨細胞の分化及び骨形成に関与する重要な信号伝達体系は、代表的にTGF-β(transforming growth factor-β)とBMP(bone morphogenetic protein)、Wnt/β -catenin, FGF(fibroblast growth factor)、Hedgehog、Notch などが知られている。このような信号伝達体系は、骨細胞分化過程中、Runx2(Runt-related transcription factor 2)、Osterix、Msx(Msh homeobox)及びDlx(Distallessrelated homeobox)などの骨形成と関連した多様な転写因子の発現と活性化を引き起こす。Ids(Inhibitors of DNA binding/differentiation)は、BMPの標的遺伝子中の様々な形態の細胞で観察される最も重要な転写因子として知られている。
【0226】
本発明において用語、「骨粗鬆症(osteoporosis)」は、最も一般的な代謝性疾患であり、骨形成(bone formation)と骨吸収(bone resorption)の不均衡により骨の化学的組成には変化がないが、単位容積内の骨量(bony quantity)を減少させて脊椎、腰骨及び大腿部の骨折を容易に引き起こす疾患である。具体的には、骨組織の石灰が減少して骨の緻密質がうすくなり、それにより骨髄腔が広くなる状態であり、症状が進展するにつれて骨が弱くなるため、わずかな衝撃でも骨折しやすく、骨吸収と骨形成のバランスが取れない骨代謝(bone turnover)過程の異常が特徴である疾患である。骨量は、遺伝的要因、栄養摂取、ホルモンの変化、運動及び生活習慣の差など、様々な要因により影響を受け、骨粗鬆症の原因としては、老齢、運動不足、低体重、喫煙、低カルシウム食事、閉経、卵巣切除などが知られている。一方、個人差はあるが、白人よりは黒人が骨再吸収水準(bone resorption level)が低くて骨量がさらに高く、概ね骨量は14~18歳に最も高く、老後には1年に約1%ずつ減少する。特に、女性の場合、30歳以降から骨減少が持続的に進み、閉経期になると、ホルモン変化により骨減少が急激に進行する。すなわち、閉経期になると、エストロゲン濃度が急速に減少するが、この時、IL-7(interleukin-7)によるようにB-リンパ球(B-lymphocyte)が多量に生成され、骨髄(bone marrow)にB細胞前駆体(pre-B cell)が蓄積され、これによりIL-6の量が増加して破骨細胞の活性を増加させるため、結局、骨量が減少する。
【0227】
本発明において用語、「骨折」は、骨や骨端板または関節面の連続性が非正常に切れた状態で、骨の割れを称する。骨折を誘発する原因としては、交通事故などの外傷、産業障害で生じる事故、骨粗鬆症、骨癌、代謝異常症などの疾病による骨の変化及びスポーツや荷重による反復的な骨に対するストレスなどがある。また、骨折状態は、骨折線(骨切断により発生した骨終端に沿った線)に基づいて、不全骨折、グリーンスティック(greenstick)骨折、横骨折、斜骨折、らせん骨折、分節骨折、粉砕骨折、剥離骨折、圧迫骨折、陥没骨折などに分類される。
【0228】
本発明において用語、「骨硬化症」は、骨組織の大部分が非正常に緻密になり、骨髓腔も狭くなる疾患をいう。
【0229】
本発明において用語、「骨化石症」は、骨を吸収するための破骨細胞の機能不全により発生する疾病であり、骨の形成と再形成過程の損傷で骨質量が増加するにもかかわらず、骨が潰れやすく、造血幹細胞の減少、不規則的な歯突出、そして成長障害がもたらされる疾患である。
【0230】
本発明において用語、「関節炎」は、関節炎内に炎症性変化が生じた疾患であり、骨関節炎、及び関節リウマチなどを挙げることができる。
【0231】
本発明において用語、「パジェット病」は、骨再形成(bone remodeling)が過度に亢進され、広範囲な部位の骨格系が侵犯される局所性骨疾患を意味する。パジェット病の病理学的な機序は、骨を掃除する機能を有する破骨細胞(osteoclast)による骨吸収の過多な増加とそれによる補償作用で骨を作る機能を有する造骨細胞(osteoblast)による新たな骨形成の増加が結合することと知られており、また、骨パジェット病で新たに形成された骨は、構造的に無秩序で骨変形と骨折に非常に脆弱な状態であることが知られている。骨パジェット病患者は、無症状であり得、多様な症状が伴われることもある。骨パジェット病患者では、骨組織の侵犯による直接的な合併症と骨組織の膨張とこれによる周囲神経組織の圧迫による二次的な合併症が発生し得る。
【0232】
本発明において用語、「歯周疾患」は、細菌により引き起こされる歯支持組織の炎症状態をいい、歯肉炎及び歯周炎に分離できる。発病原因は、不良な口腔衛生状態による口腔細菌が歯面細菌膜を形成することにある。歯面細菌膜とは、唾液にある粘り強い物質を接着剤として利用して細菌が歯の表面に付着した後、増殖した細菌の塊をいう。歯面細菌膜は、そのまま放置しておけば、炎症が生じてたまに歯茎から血が出て口臭が出る場合があり、このような症状を歯肉炎という。歯肉炎がさらに進行すると、歯と歯茎の間の隙間がさらに深まって歯周嚢ができ、ここに歯周疾患を引き起こす細菌が繁殖して歯周炎が発生する。歯周炎が進行すると、 歯磨きのような弱い刺激にも歯茎から血が出たり、腫れ、しばしば急性炎症に変化して痛みを誘発する。このような炎症は骨を作る機能は低下させ、骨を吸収する作用が高くなって歯槽骨が破壊され、結局歯を失うようになる。したがって、本発明による組成物は、歯周疾患、特に歯周疾患による歯槽骨の消失に有用に使用することができる。
【0233】
本発明において用語、「骨形成不全症」とは、不完全骨形成症とも呼ばれる疾患であり、骨の強度が弱くて特別な理由なく容易に骨折する疾患をいう。
【0234】
本発明において用語、「骨減少症(osteopenia)」とは、骨が弱化したり骨のミネラル密度(BDM)が正常に比べて落ちる状態をいう。
【0235】
本発明の組成物は、個体に投与時に下記特性のうち一つ以上の特性を行い、骨疾患を予防または治療できるが、これに制限されない:
【0236】
(i)血中オステオカルシン数値減少;または
(ii)血中PINP(procollagen I intact N-terminal propeptide)数値増加。
【0237】
血中オステオカルシン数値は、骨吸収標識子として血中に多く存在する場合、骨の分解が多く生じ、血中PINP数値は、骨形成標識子として血中に高く存在する場合、骨形成が円滑に起こっていることを意味する数値であり、前記数値は血中内濃度として測定できるが、これに制限されない。本発明の組成物は、未投与対照群と比較して血中オステオカルシン数値が減少及び/又は血中PINP数値を増加させて骨分解減少及び/又は骨形成増加機序を行って骨疾患の予防または治療効果を奏することができるが、これに制限されない。
【0238】
本発明の組成物は、下記特性のうち一つ以上の特性を行い、骨疾患を予防または治療できるが、これに制限されない:
【0239】
(i)造骨細胞の分化増加;または
(ii)造骨細胞の生存能力増加。
【0240】
造骨細胞は骨形成に関与する細胞であり、造骨細胞の分化増加及び/又は造骨細胞の生存能力の増加は、骨形成が増加することを意味する。造骨細胞の分化増加は、コラーゲンの濃度で測定でき、造骨細胞の生存能力は、生存細胞のATP水準による発光程度で測定できるが、これに制限されない。本発明の組成物は、未投与対照群と比較して造骨細胞の分化増加及び/又は造骨細胞の生存能力を増加させて骨形成増加及び/又は営養素欠乏などによる骨形成減少などを抑制して骨疾患の予防または治療効果を奏することができるが、これに制限されない。
【0241】
本発明の薬学的組成物は薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含んでもよい。このような薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤は非自然的に発生したものであってもよい。
【0242】
本発明における「薬学的に許容される」とは、治療効果を発揮する程度の十分な量と副作用を起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康状態、性別、薬物に対する感受性、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合、同時用いられる薬物などの医学分野における公知の要素により当業者が容易に決定することができる。
【0243】
本発明のペプチドを含む薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、経口投与の場合は、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合は、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合は、基剤、賦形剤、滑沢剤、保存剤などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0244】
本発明の組成物の剤形は、前述したような薬学的に許容される賦形剤と混合して様々な形態に製造することができる。例えば、経口投与の場合は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハー剤などの形態に製造することができ、注射剤の場合は、使い捨てアンプル又は複数回投薬形態に製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル剤、徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0245】
なお、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アカシア、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム又は鉱油などが挙げられる。また、充填剤、抗凝集剤、滑沢剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0246】
さらに、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、凍結乾燥剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれかの剤形を有してもよい。
【0247】
さらに、前記組成物は、薬学的分野における通常の方法による患者の体内投与に適した単回投与型の製剤、具体的にはタンパク質医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化し、当該技術分野で通常用いる投与方法を用いて経口、又は皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内もしくは直腸経路が含まれる非経口投与経路で投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0248】
さらに、前記結合体は、生理食塩水や有機溶媒のように薬剤に許容される様々な担体(carrier)と混合して用いることができ、安定性や吸収性を向上させるために、グルコース、スクロース、デキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)、グルタチオンなどの抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質、他の安定化剤(stabilizers)などを薬剤として用いることができる。
【0249】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重、疾患の重症度などの様々な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類により決定される。具体的には、本発明の組成物は、前記ペプチドまたはこれを含む持続型結合体を薬学的有効量で含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0250】
前記ペプチドまたは持続型結合体を薬学的有効量で含むことは、ペプチドまたは持続型結合体による目的とする薬理活性(例えば、骨疾患の予防、改善または治療)が得られる程度を意味し、また、投与される個体において毒性または副作用が起こらなかったり僅かな水準で薬学的に許容される水準を意味してもよいが、これに制限されない。このような薬学的有効量は、投与回数、患者、剤形などを総合的に考慮して決定されてもよい。
【0251】
特にこれに制限されないが、本発明の前記薬学的組成物は、前記成分(有効成分)を0.01~99%重量対体積で含有し得る。
【0252】
本発明の組成物の総有効量は、単回投与量(single dose)で患者に投与してもよく、複数回投与量(multiple dose)で長期間投与する分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与してもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含有量を変えてもよい。具体的には、本発明の三重活性体またはその持続型結合体の総用量は、1日体重1kg当たり約0.0001mg~500mgであることが好ましい。しかし、前記三重活性体またはその結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌、排泄率などの様々な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、これらを考慮すると、当該分野における通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定することができるであろう。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏するものであれば、その剤形、投与経路及び投与方法が特に限定されるものではない。
【0253】
本発明の薬学的組成物は、生体内持続性及び力価に優れるので、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を大幅に減少させることができる。
【0254】
本発明を具現するもう一つの様態は、前記三重活性体(ペプチド)及び/又は三重活性体の持続型結合体を含む、骨疾患の予防または改善のための食品組成物を提供する。
【0255】
前記ペプチド、持続型結合体、骨疾患などについては、前述した通りである。
【0256】
前記食品組成物は健康機能食品として用いられる。本発明の組成物を食品補助添加剤として用いる場合、前記ペプチド(ペプチド自体あるいはその持続型結合体)をそのまま添加したり、他の食品または食品成分とともに用いることができ、常法により好適に用いることができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)により適切に決定され得る。
【0257】
本発明における用語「健康機能食品」とは、健康補助の目的で特定成分を原料としたり食品原料に入っている特定成分を抽出、濃縮、精製、混合などの方法で製造、加工した食品をいい、前記成分により生体防御、生体リズムの調節、疾病の防止と回復など、生体調節機能を生体に対して十分に発揮できるように設計され、加工された食品のことをいい、前記健康食品用組成物は、疾病の予防及び疾病の回復などに関連した機能を行うことができる。
【0258】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、前記三重活性体(ペプチド)及び/又は三重活性体の持続型結合体、またはそれを含む組成物をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、骨疾患の予防または治療方法を提供する。
【0259】
前記三重活性体及び/又は三重活性体の持続型結合体、またはこれを含む組成物、骨代謝性疾患などについては、前述した通りである。
【0260】
本発明における前記個体とは、骨疾患の疑いのある個体であり、前記骨疾患の疑いのある個体とは、当該疾患が発症したか、発症するリスクのある、ヒトをはじめとしてマウス、家畜などが含まれる哺乳動物を意味するが、本発明のペプチド及び/又は結合体、もしくはそれを含む前記組成物で治療可能な個体であればいかなるものでもよい。
【0261】
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は特にこれに制限されないが、前記組成物が生体内標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与され、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、又は直腸内投与などが挙げられる。
【0262】
本発明の方法は、前記三重活性体またはその持続型結合体を含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含んでもよい。適した総1日使用量は正しい医学的判断の範囲内で処置医により決定され、1回又は数回に分けて投与できる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が用いられるかどうかをはじめとする具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と共に用いられたり同時に用いられる薬物をはじめとする多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子により異なって適用することが好ましい。
【0263】
本発明を具現するもう一つの態様は、骨疾患の予防または治療のための薬剤の製造において前記三重活性体ペプチドまたは前記ペプチドの持続型結合体を含む組成物の用途である。
【0264】
前記ペプチド及び/又は結合体、またはこれを含む組成物、骨疾患、予防及び治療については、前述した通りである。
【0265】
本発明を具現するもう一つの様態は、骨疾患の予防または治療のためのペプチド及び/又は結合体、またはこれを含む組成物の用途を提供することである。
【0266】
前記ペプチド及び/又は結合体、またはこれを含む組成物、骨疾患、予防及び治療については、前述した通りである。
【0267】
以下、下記実施例により本発明をより詳しく説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0268】
実施例1:三重活性体の製造
グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体の全てに対して活性を示す三重活性体を製造し、下記表1にその配列を示した。
【0269】
【表1】



【0270】
前記表1に記載された配列においてXと表記されたアミノ酸は、非天然型アミノ酸であるAib(2-aminoisobutyric acid)であり、下線で表示されたアミノ酸は下線で表示されたアミノ酸が互いに環を形成することを意味する。また、前記の表1において、CAは4-イミダゾアセチル(4-imidazoacetyl)を意味する。前記三重活性体ペプチドは必要に応じて、C末端をアミド化した三重活性体として用いる。
【0271】
実施例2:三重活性体持続型結合体の製造
両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、すなわちマレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)を実施例1の三重活性体(配列番号21、22、42、43、50、77及び96)のシステイン残基にペグ化するために、三重活性体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~3とし、タンパク質の濃度を1~5mg/mlとし、低温で0.5~3時間反応させた。ここで、反応は、50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%イソプロパノールを添加した環境下で行った。反応終了後に、前記反応液をSPセファロースHP(GE healthcare、米国)に適用し、システインにモノペグ化された三重活性体を精製した。
【0272】
次に、前記精製したモノペグ化した三重活性体と免疫グロブリンFcをモル比 1 : 1~5、タンパク質の濃度を10~50mg/mlとし、4~8℃で12~18時間反応させた。反応は、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に還元剤である10~50mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~30%イソプロパノールを添加した環境下で行った。反応終了後に、前記反応液をブチルセファロースFF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用し、三重活性体と免疫グロブリンFcとを含む結合体を精製した。精製されたその持続型結合体は分子内で三重活性体ペプチド、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーとFc二量体が1:1:1のモル比で共有結合連結された構造であり、PEGリンカーはFc二量体の両ポリペプチド鎖中の一本鎖だけに連結されている。
【0273】
一方、前記免疫グロブリンFcは配列番号123のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有する単量体2つが各単量体の3番のアミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立に35番の及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合が形成されたものである。
【0274】
製造後に逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーで分析した純度は95%以上であった。
【0275】
ここで、配列番号:21の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:21と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:21の持続型結合体」または「配列番号:21持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0276】
ここで、配列番号:22の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:22と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:22の持続型結合体」または「配列番号:22持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0277】
ここで、配列番号:42の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:42と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:42の持続型結合体」または「配列番号:42持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0278】
ここで、配列番号:43の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:43と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:43の持続型結合体」または「配列番号:43持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0279】
ここで、配列番号:50の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:50と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:50の持続型結合体」または「配列番号:50持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0280】
ここで、配列番号:77の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:77と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:77の持続型結合体」または「配列番号:77持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0281】
ここで、配列番号:96の三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFcがPEGを通じて連結された結合体を、「配列番号:96と免疫グロブリンFcを含む結合体」あるいは「配列番号:96の持続型結合体」または「配列番号:96持続型結合体」と命名し、これらは本願で混用され得る。
【0282】
実験例1:三重活性体及びその持続型結合体のin vitro活性の測定
実施例1及び2で製造した三重活性体とその持続型結合体の活性を測定するために、GLP-1受容体、グルカゴン(GCG)受容体及びGIP受容体がそれぞれ形質転換された細胞株を用いて、in vitroで細胞活性を測定する方法を用いた。
【0283】
前記各細胞株は、CHO(chinese hamster ovary)にヒトGLP-1受容体、ヒトGCG受容体及びヒトGIP受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたものであり、GLP-1、GCG及びGIPの活性を測定するのに適している。よって、それぞれの形質転換細胞株を用いて各部分の活性を測定した。
【0284】
実施例1と2で製造した三重活性体とその持続型結合体のGLP-1活性の測定のために、ヒトGLP-1を連続希釈し、実施例1及び1で製造した三重活性体とその持続型結合体を連続希釈した。前記培養したヒトGLP-1受容体を発現するCHO細胞から培養液を除去し、連続希釈した各物質を5μlずつ前記細胞に添加し、次いでcAMP抗体を含む緩衝液を5μlずつ追加した後常温で15分間培養した。次に、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)を含むdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、常温で90分間反応させた。前記反応が終了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用し、蓄積されたcAMPからEC50値を算出し、相互比較した。ヒトGLP-1に対する相対力価を下記表2と表3に示す。
【0285】
前記実施例1と2で製造した三重活性体とその持続型結合体のGCG活性の測定のために、ヒトGCGを連続希釈し、実施例1と2で製造した三重活性体とその持続型結合体を連続希釈した。前記培養したヒトGCG受容体を発現するCHO細胞から培養液を除去し、連続希釈した各物質を5μlずつ前記細胞に添加し、次いでcAMP抗体を含む緩衝液を5μlずつ追加し、その後常温で15分間培養した。次に、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)を含むdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、常温で90分間反応させた。前記反応が終了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用し、蓄積されたcAMPからEC50値を算出し、相互比較した。ヒトGCGに対する相対力価を下記表2と表3に示す。
【0286】
前記実施例1と2で製造した三重活性体とその持続型結合体のGIP活性の測定のために、ヒトGIPを連続希釈し、実施例1と2で製造した三重活性体とその持続型結合体を連続希釈した。前記培養したヒトGIP受容体を発現するCHO細胞から培養液を除去し、連続希釈した各物質を5μlずつ前記細胞に添加し、次いでcAMP抗体を含む緩衝液を5μlずつ追加し、その後常温で15分間培養した。次に、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)を含むdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、常温で90分間反応させた。前記反応が終了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer、USA)に適用し、蓄積されたcAMPからEC50値を算出し、相互比較した。ヒトGIPに対する相対力価を下記表2と表3に示す。
【0287】
【表2】



【0288】
【表3】

【0289】
前記で製造した三重活性体持続型結合体は、GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体を全て活性化させる三重活性体として機能を有するところ、目的とする疾患の治療的物質として用いられる。
【0290】
実験例2:三重活性体の持続型結合体の投与による骨粗鬆症モデルラットにおける血中オステオカルシン数値及び血中PINP数値変化の確認
実験的に誘導された骨疾患の代表的モデルである骨粗鬆症動物モデルにおける本発明の三重活性体の治療効果を確認することにした。三重活性体の持続型結合体の代表例として配列番号42の三重活性体の持続型結合体(配列番号42の持続型結合体)を選択して実験を行った。
【0291】
具体的には、前記実施例2で製造した三重活性体の持続型結合体を含む組成物の投与によるイン・ビボ(in vivo)効力を測定するために骨粗鬆症モデルである卵巣摘出ラット(ovariectomized rats,OVX rats,Orient Inc.Korea)を用いた。卵巣摘出ラットは、卵巣の除去を通じて卵巣ホルモンの欠乏で骨粗鬆症の症状を示すために本実験例に用いた。
【0292】
6週齢の雌性ラット(Sprague dawley rat)の卵巣を除去した後、12週間骨粗鬆症を誘発し、骨粗鬆症の誘発程度は、正常ラットと卵巣摘出ラットの血中オステオカルシン数値を比較して判断した。正常群として、雌性ラット5匹を分離し(G1)、卵巣摘出を通じて骨粗鬆症が誘導された群をそれぞれ群当たり7匹つG2、G3、G4及びG5の4つ群に分離した。
【0293】
前記群をそれぞれ何も投与していない正常対照群(Vehicle)、卵巣摘出後に何も投与していない卵巣摘出対照群(OVX vehicle)、そしてリラグルチド(Liraglutide,25nmol/kg/BID)、配列番号:42の持続型結合体(2.2nmol/kg/Q3D)、配列番号:42の持続型結合体(4.4nmol/kg/Q3D)をそれぞれ投与した群に分けた。前記試験物質を4週間反復投与後に前記各群に対して血中オステオカルシン数値及び血中プロコラーゲンIインタクトN-末端プロペプチド(procollagen I intact N-terminal propeptide,PINP)数値を測定した。血中オステオカルシン数値は、骨吸収標識子として血中に多く存在する場合、骨の分解が多く起こっていることを意味し、血中PINP数値の場合は、骨形成標識子として血中に高く存在する場合、骨形成が円滑に起こっていることを意味する。
【0294】
試験結果、卵巣摘出対照群に比べて三重活性体の持続型結合体投与群で用量依存的に血中オステオカルシン数値が減少することを確認し(図2)、血中PINP数値は、用量依存的に増加することを確認した(図1)。これは、リラグルチド投与群に比べても顕著に改善された結果であった。統計処理は、一元ANOVAを用いて卵巣摘出対照群及び試験群間を比較した。
【0295】
このような結果は、本発明の三重活性体の持続型結合体を投与すると、骨分解減少と骨形成増加の機序を通じて優れた骨粗鬆症をはじめとした骨代謝性疾患の予防または治療的効力を示すことを示唆する。
【0296】
実験例3:持続型GLP-1/Glucagon/GIP三重結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の分化増加及び細胞生存能力増加効果の確認
骨疾患で本発明の三重活性体の治療効果を確認することにした。三重活性体の持続型結合体の代表例として配列番号42の三重活性体の持続型結合体(配列番号42の持続型結合体)を選択して実験を行った。
【0297】
具体的には、前記実施例2で製造した配列番号:42の持続型結合体を含む組成物の処理による造骨細胞の分化増加及び生存能力変化に対するイン・ビトロ(in vitro)効力を測定するためにMC3T3-E1造骨細胞を用いた。
【0298】
<持続型GLP-1/Glucagon/GIP三重結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の分化増加効果の確認>及び<持続型GLP-1/Glucagon/GIP三重結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の細胞生存能力増加効果の確認>の試験方法及び結果は下記の通りである。
【0299】
(1)持続型GLP-1/Glucagon/GIP三重結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の分化増加効果の確認
前記実施例2で製造した配列番号:42の持続型結合体処理による造骨細胞分化誘導効果を確認するために分化に関与する主要標識子であるRUNX2、OCN、ColA1、ALPの変化をmRNA水準で確認した。
【0300】
MC3T3-E1造骨細胞を12ウェルプレートに100,000細胞数/ウェルで分注し、10%のウシ胎児血清を含む培地を用いて24時間培養した後、配列番号:42の持続型結合体が処理されていない正常対照群と配列番号:42の持続型結合体(1μM)で処理した試験群、及び配列番号:42の持続型結合体(10μM)で処理した試験群に分けてさらに72時間分化を誘導した。
【0301】
72時間後にRNA抽出キット(Qiagen)を用いてRNAを収穫した後、cDNA合成キット(Biorad)を用いてcDNA合成し、合成されたcDNAを用いてRT-PCRを行った。RT-PCRは、次の特定のプライマーで行われた。
【0302】
RUNX2
正方向プライマー:5’-GCCCTCATCCTTCACTCCAAG-3’ (配列番号:124)
逆方向プライマー:5’-GGTCAGTCAGTGCCTTTCCTC-3’ (配列番号:125)
OCN
正方向プライマー:5’-GAGGGCAATAAGGTAGTGAA-3’ (配列番号:126)
逆方向プライマー:5’-CATAGATGCGTTTGTAGGC-3’ (配列番号:127)
ALP
正方向プライマー:5’-CCAGCAGGTTTCTCTCTTGG-3’ (配列番号:128)
逆方向プライマー:5’-GGAATGTTCCATGGAGGTTG-3’ (配列番号:129)
ColA1
正方向プライマー:5’-AGAGCATGACCGATGGATTC-3’ (配列番号:130)
逆方向プライマー:5’-CCTTCTTGAGGTTGCCAGTC-3’ (配列番号:131)
GAPDH
正方向プライマー:5’-GTCGTGGATCTGACGTGCC-3’ (配列番号:132)
逆方向プライマー:5’-TGCCTGCTTCACCACCTTC-3’ (配列番号:133)
【0303】
試験結果(図3)に示された通り、配列番号:42の持続型結合体処理が造骨細胞分化遺伝子であるRUNX2、OCN、ALP、ColA1のmRNA発現量を用量依存的に増加させることを確認できた。統計処理は一元ANOVAを用いて対照群及び試験群間を比較した。
【0304】
続いて、本発明者は、配列番号:42の持続型結合体処理により造骨細胞の分化に主要な標識子であるColA1の生成に及ぼす影響をタンパク質水準で確認した。
【0305】
MC3T3-E1造骨細胞を12ウェルプレートに100,000細胞数/ウェルで分注して10%のウシ胎児血清を含む培地を用いて24時間培養した後、配列番号:42の持続型結合体が処理されていない正常対照群と持続型GIP(1μM)を処理した試験群、配列番号:42の持続型結合体(1μM)処理した試験群、配列番号:42の持続型結合体(10μM)処理した試験群、そして配列番号:42の持続型結合体1μMまたは10μMとGIP抑制剤10μM、または100μMをともに処理した試験群に分けて7日間さらに培養した。本実験例で用いた持続型GIPは、上記実施例2で記述した三重活性体の持続型結合体の製造方法と同様の方法を用いて製造したもので、GIPアナログにPEGを通じて免疫グロブリンFcを連結させた形態であり、GIP抑制剤は、天然型GIPでN末端部分が不在な形態であるGIP3-30である。
【0306】
7日後、培養された培地を回収して培地内のColA1をコラーゲンアッセイキット(Biocolor)をメーカーの指示通り用いて定量した。
【0307】
試験結果(図4)に示された通り、持続型GIPだけでなく、配列番号:42の持続型結合体の処理によりColA1タンパク質の用量依存的増加を確認し、配列番号:42の持続型結合体によるColA1のタンパク質の発現に対する影響がGIP抑制剤により減少することも確認した。統計処理は、一元ANOVAを用いて対照群及び試験群間を比較した。
【0308】
このような結果は、本発明の配列番号:42の持続型結合体が骨形成促進機序を通じて優れた骨粗鬆症の予防効力を示すことを意味すると共に、配列番号:42の持続型結合体が有しているGIPの活性がこのような機序に重要な役割をしていることを示唆する。
【0309】
(2)持続型GLP-1/Glucagon/GIP三重結合体の処理によるMC3T3-E1造骨細胞の細胞生存能力増加効果の確認
上記実施例2で製造した配列番号:42の持続型結合体を含む組成物の処理による造骨細胞生存能力効力を測定するために、CellTiter-Glo(Promega)を用いて生存細胞のATP水準による発光程度を測定した。
【0310】
MC3T3-E1造骨細胞を96ウェルプレートに10,000細胞数/ウェルで分注して24時間10%のウシ胎児血清を含む培地を用いて培養した後、試験を進行した。正常対照群は10%ウシ胎児血清を含む培地で培地を交換し、試験群はいずれもウシ胎児血清が含まれていない培地で交換した。前記試験群は、配列番号:42の持続型結合体が処理されていない試験群、配列番号:42の持続型結合体(2μM)処理した試験群、配列番号:42の持続型結合体(2μM)とともにGIP抑制剤をそれぞれ0.31μM、1.25μM、5μMそして20μMずつ併用処理した試験群に分けた。正常対照群及び試験群の培地を交換した後、48時間追加培養後にCellTiter-Gloをメーカーの指示通り使用して細胞生存能力を分析した。前記GIP抑制剤は、天然型GIPでN末端部分が不在な形態であるGIP3-30である。
【0311】
試験結果、正常対照群に比べて配列番号:42の持続型結合体で処理していない試験群は、細胞生存能力が大きく減少したことが確認された。これに配列番号:42の持続型結合体で処理することにより、ウシ胎児血清欠乏により減少された細胞生存能力が増加することを追加確認し、配列番号:42の持続型結合体により増加した細胞生存能力がGIP抑制剤により用量依存的に減少することも確認された(図5)。統計処理は、一元ANOVAを用いて配列番号:42の持続型結合体が処理されていない試験群及び42の持続型結合体(2μM)とともにGIP抑制剤をそれぞれ0.31μM、1.25μM、5μMそして20μMずつ併用処理した試験群間を比較した。
【0312】
このような結果は、本発明の配列番号:42の持続型結合体が有しているGIP活性が細胞生存能力増加機序を通じて栄養素欠乏による骨粗鬆症の予防効力を示すことを示唆する。
【0313】
前記のような結果は、本発明の三重活性体及び/又はその結合体が骨形成に効果があり、骨減少と関連した多様な骨疾患を予防または治療できることを示唆することであり、新たな骨疾患治療剤として提供され得ることを裏付ける。
【0314】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2023543042000001.app
【国際調査報告】