(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ウェアラブル光学デバイスを使用する大空間追跡
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20231004BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20231004BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G06T7/70 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519340
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 GB2021052457
(87)【国際公開番号】W WO2022064190
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、デイビッド・マイケル
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA09
5L096CA05
5L096FA05
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA05
(57)【要約】
ユーザの頭部姿勢を決定するためのシステム及び方法を説明する。ユーザによって装着されたヘッドマウントカメラによってキャプチャされた画像が受信され、画像はキャプチャされたマーカを含み、各キャプチャされたマーカは、ヘッドマウントカメラのFOV内にある表面上の複数のマーカのうちの1つである。予め定められた向きを有し、各キャプチャされたマーカに対応する記憶されたマーカは、データベースから識別され、記憶されたマーカは、その対応する表面マーカの座標を含む。その対応する記憶されたマーカに対するキャプチャされたマーカの向きが計算され、記憶されたマーカが取得される。記憶されたマーカ及び向きに基づいて、各マーカの絶対姿勢が決定される。各マーカの絶対姿勢に基づいて、表面に対するユーザの頭部姿勢が計算される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部姿勢を決定するコンピュータ実装方法であって、
前記ユーザによって装着されたヘッドマウントカメラによってキャプチャされた1つ以上の画像を受信することと、前記画像は、1つ以上のキャプチャされたマーカを含み、各キャプチャされたマーカは、前記ヘッドマウントカメラのFOV内にある表面上の複数のマーカのうちの1つであり、
前記1つ以上の画像内の前記キャプチャされたマーカのそれぞれについて、
データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することと、各記憶されたマーカは、予め定められた向き及び前記表面上の対応するマーカを有し、各記憶されたマーカは、前記表面上のその対応するマーカについての座標を含み、
その対応する記憶されたマーカに対する前記キャプチャされたマーカの向きを計算することと、
前記データベースから、前記対応する記憶されたマーカを取得することと、
前記対応する記憶されたマーカ及び前記計算された向きに基づいて、前記マーカの絶対姿勢を決定することと、
各キャプチャされたマーカの前記絶対姿勢に基づいて、前記表面に対する前記ユーザの前記頭部姿勢を計算することとを含む、方法。
【請求項2】
前記表面上の各マーカは、関係付けられた座標のセットを有する複数の点を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各記憶されたマーカは複数の記憶された点を含み、各記憶された点は、前記表面上のその対応するマーカの点のうちの1つに対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データベースに記憶するためのデータを収集することをさらに含み、前記データを収集することは、
前記ヘッドマウントカメラを使用して、前記表面上の全てのマーカの画像をキャプチャすることと、
前記キャプチャされたマーカのそれぞれにおける前記複数の点を、モデルマーカのセットにおける複数のモデル点と比較することと、前記モデル点のセットは、関係付けられた理論座標のセットを有し、
前記比較に基づいて、前記表面上の前記マーカのそれぞれの位置及び向きを推測することと、
前記表面上の前記マーカのそれぞれの前記推測された位置及び向きに基づいて、前記表面上の他のマーカに対する前記表面上の前記マーカのそれぞれの相対的な位置及び向きを推定することと、
前記表面上の前記マーカのそれぞれの前記推定された相対位置及び向きに基づいて、基準マーカに対する前記表面上の前記マーカのそれぞれの絶対位置及び絶対向きを計算することと、前記基準マーカは前記表面上の既知の位置及び向きを有し、
前記データベースから、前記表面上の各マーカについて、前記対応する記憶されたマーカを識別することと、
前記表面上の各マーカについて、前記対応する記憶されたマーカを、前記絶対位置及び前記絶対向きを含むように更新することとを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記表面上の各マーカについて前記対応する記憶されたマーカを更新することは、前記表面上のその対応するマーカの前記推測された位置及び向き、並びに前記表面上の他のマーカに対する前記表面上のその対応するマーカの相対的な位置及び向きのうちの少なくとも1つを含むように前記対応する記憶されたマーカを更新することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することは、各キャプチャされたマーカについて、前記キャプチャされたマーカ内の前記複数の点を前記データベース内の前記記憶されたマーカ内の前記複数の記憶された点と比較することをさらに含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することは、各キャプチャされたマーカについて、前記キャプチャされたマーカを前記データベース内の前記記憶されたマーカと相互参照することをさらに含み、各キャプチャされたマーカは予め定められたパターンを有し、その対応する記憶されたマーカは同じパターンを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記表面上の前記マーカは、長方形の基準である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面上の前記マーカ内の前記複数の点は、前記長方形の基準の角を形成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各キャプチャされたマーカの前記絶対姿勢に基づいて計算することは、6自由度で前記表面に対する前記ユーザの前記頭部姿勢を決定することをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各キャプチャされたマーカの前記絶対姿勢を決定することは、各キャプチャされたマーカについて、前記表面上の既知の位置及び向きを有する基準マーカに対する前記キャプチャされたマーカの絶対位置及び絶対向きを決定することをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基準マーカの前記既知の位置及び向きは、前記ヘッドマウントカメラの原点を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヘッドマウントカメラは、頭部装着型ディスプレイ上に搭載されるか、又は頭部装着型ディスプレイと一体である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の画像をキャプチャするための前記ヘッドマウントカメラは、ステレオカメラ及び深度カメラのうちの少なくとも1つである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
システムであって、
複数のマーカが位置付けられるシーンの1つ以上の画像をキャプチャするように適合された少なくとも1つのカメラを備える頭部装着型ディスプレイと、
プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
キャプチャされたマーカを識別するために前記1つ以上の画像を処理し、
データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別し、各記憶されたマーカは、予め定められた向き及び表面上の対応するマーカを有し、各記憶されたマーカは、前記表面上のその対応するマーカの座標を含み、
その対応する記憶されたマーカに対する前記キャプチャされたマーカの向きを計算し、
前記データベースから、前記対応する記憶されたマーカを取得し、
前記対応する記憶されたマーカ及び前記計算された向きに基づいて、前記マーカの絶対姿勢を決定し、
各キャプチャされたマーカの前記絶対姿勢に基づいて、前記表面に対するユーザの頭部姿勢を計算する命令を実行するように構成される、システム。
【請求項16】
前記頭部装着型ディスプレイは、前記表面上のすべてのマーカの画像をキャプチャするようにさらに構成され、前記プロセッサは、
前記キャプチャされたマーカのそれぞれにおける複数の点を、モデルマーカのセットにおける複数のモデル点と比較し、前記複数の点のそれぞれは、関係付けられた座標のセットを有し、前記複数のモデル点のそれぞれは、関係付けられた理論座標のセットを有し、
前記比較に基づいて、前記表面上の前記マーカのそれぞれの位置及び向きを推測し、
前記表面上の前記マーカのそれぞれの前記推測された位置及び向きに基づいて、前記表面上の他のマーカに対する前記表面上の前記マーカのそれぞれの相対的な位置及び向きを推定し、
前記表面上の前記マーカのそれぞれの前記推定された相対位置及び向きに基づいて、基準マーカに対する前記表面上の前記マーカのそれぞれの絶対位置及び絶対向きを計算し、前記基準マーカは前記表面上の既知の位置及び向きを有し、
前記データベースから、前記表面上の各マーカについて、前記対応する記憶されたマーカを識別し、
前記表面上の各マーカについて、前記対応する記憶されたマーカを、前記絶対位置及び前記絶対向きを含むように更新するようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記表面上の各マーカについて、前記表面上のその対応するマーカの前記推測された位置及び向きと、前記表面上の他のマーカに対する前記表面上のその対応するマーカの前記相対位置及び向きとのうちの少なくとも1つを含めるように前記対応する記憶されたマーカを更新するようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記キャプチャされたマーカ内の前記複数の点を、前記対応する記憶されたマーカ内の複数の記憶された点と比較するようにさらに構成され、各記憶された点は、対応するキャプチャされたマーカ内の前記点のうちの1つに対応する、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記キャプチャされたマーカを前記データベース内の前記記憶されたマーカと相互参照するようにさらに構成され、各キャプチャされたマーカは予め定められたパターンを有し、その対応する記憶されたマーカは同じパターンを有する、請求項15から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記表面に対する前記ユーザの前記頭部姿勢を6自由度で決定するようにさらに構成される、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、各キャプチャされたマーカについて、前記表面上の既知の位置及び向きを有する基準マーカに対する絶対位置及び絶対向きを決定するようにさらに構成される、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのカメラは、ステレオカメラ及び深度カメラのうちの少なくとも1つである、請求項15から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記頭部装着型ディスプレイは、フレーム、ゴーグル又は眼鏡のためのサイドアーム及び支持体、ヘルメット又はバイザー、ヘッドバンド、首又は肩に装着される支持体、並びにヘッドセットのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項15から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
請求項15から23のいずれか一項に記載のシステムにおいて使用するための頭部装着型ディスプレイ。
【請求項25】
前記マーカは、表面上に配置され、データベースに記憶された対応する記憶されたマーカを有し、前記記憶されたマーカは、前記表面上のその対応するマーカの座標を含む、請求項15から23のいずれか一項に記載のシステムにおいて使用するためのマーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、ウェアラブル光学デバイスを使用する大空間追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ウェアラブル光学デバイスは、多くの職業において一般的である。これらには、自動車用途、航空、軍事用途、工学、医学、ゲーム、及びメディアを見るための任意の一般的用途などが含まれる。ウェアラブル光学デバイスは、ヘッドマウントディスプレイ又は頭部装着型ディスプレイと呼ばれることが多く、「HWD」という表現は、本明細書では、ヘッドマウントディスプレイ、頭部装着型ディスプレイ、及び、例えば、ゴーグル、眼鏡、及び視認能力を伴うハンドヘルドデバイス等の任意の他のウェアラブル光学デバイスを表すために使用される。ほとんどのHWDは、各眼に1つずつ、2つの接眼レンズを含む。
【0003】
[0003]例示的なHWD100が
図1に図示される。HWD100などのHWDは、適切な支持体102によってユーザによって装着可能である。支持体は、ユーザの片方又は両方の眼によって見ることができる1つ以上の光学素子104を含む。詳細には示されていないが、光学素子104は、実質的に透明な表示媒体を含む。ユーザは、光学素子104を通して外部環境を見ることができる。ユーザはまた、使用時にHWDを介してユーザの眼に中継される画像を見ることができる。
【0004】
[0004]従来のシステムでは、画像は、レンズ列又は折り畳み光学設計を使用して、使用中のユーザの眼に中継される。レンズ列又は折り返し光学設計がHWD100に組み込まれる。従来、レンズ列又は折り返し光学設計は、HWD100の支持体102内に組み込まれる。
【0005】
[0005]HWDは、上記で示したように多くの用途に使用されるが、それらの使用において遭遇する継続的な問題がある。従来の頭部装着型ディスプレイは、制限された視野を有する。ユーザが表面上に頭部装着型ディスプレイを装着しているとき、頭部装着型ディスプレイの視野内の対応する位置において、現実世界空間からの情報又は特徴を正確に提供することは困難である。これは、頭部の動きの待ち時間によって悪化する。表面が動いているとき、表面の動きの結果としての追加の待ち時間に起因して、さらなる課題が生じる。頭部装着型ディスプレイを表面上に装着しているときにユーザの頭部の姿勢を正確に決定するための改善された追跡ソリューションを提供する必要がある。
【0006】
[0006]ウェアラブル光学デバイスの多くの使用において遭遇するさらなる問題は、ディスプレイにシンボロジーを追加する必要性に関係する。シンボロジーは、デバイスを装着しているユーザが追加情報を提供するのを助けるためのシンボルの使用である。例えば、飛行機を飛行しているパイロットに地平線を示すシンボルを提供する。ユーザの頭部位置が正確に識別されない場合、地平線は不正確に位置付けられるかもしれず、破局的なパイロットエラーをもたらすかもしれない。
【0007】
[0007]したがって、本発明の1つの目的は、頭部装着型ディスプレイを介して世界安定情報(world-stabilised information)をユーザに提供することである。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明の好ましい態様及び実施形態の例は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載される通りである。
【0009】
[0009]この概要は、詳細な説明において以下にさらに説明される、簡易化した形式で概念の選択を紹介するために提供される。この発明の概要は、請求項に記載されているような主題事項の重要な特徴又は本質的な特徴を識別するように意図されておらず、請求項に記載されているような主題事項の範囲を限定するために使用されるようにも意図されていない。
【0010】
[0010]開示されるテクノロジーの第1の態様によれば、ユーザの頭部姿勢を決定するための方法が提供される。方法は、ユーザによって装着されたヘッドマウントカメラによってキャプチャされた1つ以上の画像を受信することと、画像は、1つ以上のキャプチャされたマーカを含み、各キャプチャされたマーカは、ヘッドマウントカメラのFOV内にある表面上の複数のマーカのうちの1つであり、1つ以上の画像内のキャプチャされたマーカのそれぞれについて、データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することと、各記憶されたマーカは、予め定められた向き及び表面上の対応するマーカを有し、各記憶されたマーカは、表面上のその対応するマーカについての座標を含み、その対応する記憶されたマーカに対するキャプチャされたマーカの向きを計算することと、データベースから、1つ以上の画像内の各キャプチャされたマーカについて、対応する記憶されたマーカを取得することと、記憶されたマーカ及び計算された向きに基づいて、1つ以上の画像内の各キャプチャされたマーカの絶対姿勢を決定することと、各キャプチャされたマーカの絶対姿勢に基づいて、表面に対するユーザの頭部姿勢を計算することとを含む。
【0011】
[0011]いくつかの例示的な実施形態では、表面上の各マーカは、関係付けられた座標のセットを有する複数の点を含む。
【0012】
[0012]いくつかの例示的な実施形態では、各記憶されたマーカは、複数の記憶された点を含み、各記憶された点は、表面上のその対応するマーカの点のうちの1つに対応する。
【0013】
[0013]いくつかの例示的な実施形態では、方法は、データベースに記憶するためのデータを収集することを含み、データを収集することは、ヘッドマウントカメラを使用して、表面上のすべてのマーカの画像をキャプチャすることと、キャプチャされたマーカのそれぞれにおける複数の点を、モデルマーカのセットにおける複数のモデル点と比較することと、モデル点のセットは、関係付けられた理論座標のセットを有し、比較に基づいて、表面上のマーカのそれぞれの位置及び向きを推測することと、表面上のマーカのそれぞれの推測された位置及び向きに基づいて、表面上の他のマーカに対する表面上のマーカのそれぞれの相対的な位置及び向きを推定することと、表面上のマーカのそれぞれの推定された相対位置及び向きに基づいて、基準マーカに対する表面上のマーカのそれぞれの絶対位置及び絶対向きを計算することと、基準マーカは表面上の既知の位置及び向きを有し、データベースから、表面上の各マーカについて、対応する記憶されたマーカを識別することと、表面上の各マーカについて、対応する記憶されたマーカを、絶対位置及び絶対向きを含むように更新することとを含む。
【0014】
[0014]いくつかの例示的な実施形態では、表面上の各マーカについて対応する記憶されたマーカを更新することは、表面上のその対応するマーカの推測された位置及び向きと、表面上の他のマーカに対する表面上のその対応するマーカの相対位置及び向きとのうちの少なくとも1つを含むように、対応する記憶されたマーカを更新することを含む。
【0015】
[0015]いくつかの例示的な実施形態では、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することは、各キャプチャされたマーカについて、キャプチャされたマーカ内の複数の点をデータベース内の記憶されたマーカ内の複数の記憶された点と比較することを含む。
【0016】
[0016]いくつかの例示的な実施形態では、データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別することは、各キャプチャされたマーカについて、キャプチャされたマーカをデータベース内の記憶されたマーカと相互参照することを含み、各キャプチャされたマーカは予め定められたパターンを有し、その対応する記憶されたマーカは同じパターンを有する。
【0017】
[0017]いくつかの例示的な実施形態では、表面上のマーカは長方形の基準である。
【0018】
[0018]いくつかの例示的な実施形態では、表面上のマーカ内の複数の点は、長方形の基準の角を形成する。
【0019】
[0019]いくつかの例示的な実施形態では、各キャプチャされたマーカの絶対姿勢に基づいて計算することは、6自由度で表面に対するユーザの頭部姿勢を決定することを含む。
【0020】
[0020]いくつかの例示的な実施形態では、各キャプチャされたマーカの絶対姿勢を決定することは、各キャプチャされたマーカについて、表面上の既知の位置及び向きを有する基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び絶対向きを決定することを含む。
【0021】
[0021]いくつかの例示的な実施形態では、基準マーカの既知の位置及び向きは、ヘッドマウントカメラの原点を表す。
【0022】
[0022]いくつかの例示的な実施形態では、ヘッドマウントカメラは、頭部装着型ディスプレイ上に搭載されるか、又は頭部装着型ディスプレイと一体である。
【0023】
[0023]いくつかの例示的な実施形態では、1つ以上の画像をキャプチャするためのヘッドマウントカメラは、ステレオカメラ及び深度カメラのうちの少なくとも1つである。
【0024】
[0024]開示されるテクノロジーの別の態様によれば、複数のマーカが位置付けられるシーンの1つ以上の画像をキャプチャするように適合された少なくとも1つのカメラを備える頭部装着型ディスプレイと、プロセッサとを備えるシステムが提供され、プロセッサは、キャプチャされたマーカを識別するために1つ以上の画像を処理し、データベースから、複数の記憶されたマーカのうちの1つを識別し、各記憶されたマーカは、予め定められた向き及び表面上の対応するマーカを有し、各記憶されたマーカは、表面上のその対応するマーカに対する座標を含み、その対応する記憶されたマーカに対するキャプチャされたマーカの向きを計算し、データベースから、対応する記憶されたマーカを取得し、対応する記憶されたマーカ及び計算された向きに基づいて、マーカの絶対姿勢を決定し、各キャプチャされたマーカの絶対姿勢に基づいて、表面に対するユーザの頭部姿勢を計算する命令を実行するように構成される。
【0025】
[0025]いくつかの例示的な実施形態において、頭部装着型ディスプレイは、表面上のすべてのマーカの画像をキャプチャするようにさらに構成され、プロセッサは、キャプチャされたマーカのそれぞれにおける複数の点を、モデルマーカのセットにおける複数のモデル点と比較し、複数の点のそれぞれは、関係付けられた座標のセットを有し、複数のモデル点のそれぞれは、関係付けられた理論座標のセットを有し、比較に基づいて、表面上のマーカのそれぞれの位置及び向きを推測し、表面上のマーカのそれぞれの推測された位置及び向きに基づいて、表面上の他のマーカに対する表面上のマーカのそれぞれの相対的な位置及び向きを推定し、表面上のマーカのそれぞれの推定された相対位置及び向きに基づいて、基準マーカに対する表面上のマーカのそれぞれの絶対位置及び絶対向きを計算し、基準マーカは表面上の既知の位置及び向きを有し、データベースから、表面上の各マーカについて、対応する記憶されたマーカを識別し、表面上の各マーカについて、対応する記憶されたマーカを、絶対位置及び絶対向きを含むように更新するように構成される。
【0026】
[0026]いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、表面上の各マーカについて、表面上のその対応するマーカの推測された位置及び向きと、表面上の他のマーカに対する表面上のその対応するマーカの相対位置及び向きとのうちの少なくとも1つを含めるように対応する記憶されたマーカを更新するように構成される。
【0027】
[0027]いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、キャプチャされたマーカ内の複数の点を、対応する記憶されたマーカ内の複数の記憶された点と比較するように構成され、各記憶された点は、対応するキャプチャされたマーカ内の点のうちの1つに対応する。
【0028】
[0028]いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、キャプチャされたマーカをデータベース内の記憶されたマーカと相互参照するように構成され、各キャプチャされたマーカは予め定められたパターンを有し、その対応する記憶されたマーカは同じパターンを有する。
【0029】
[0029]いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、6自由度で表面に対するユーザの頭部姿勢を決定するように構成される。
【0030】
[0030]いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、各キャプチャされたマーカについて、表面上の既知の位置及び向きを有する基準マーカに対する絶対位置及び絶対向きを決定するように構成される。
【0031】
[0031]いくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのカメラは、ステレオカメラ及び深度カメラのうちの少なくとも1つである。
【0032】
[0032]いくつかの例示的な実施形態では、頭部装着型ディスプレイは、フレーム、ゴーグル又は眼鏡のためのサイドアーム及び支持体、ヘルメット又はバイザー、ヘッドバンド、首又は肩に装着される支持体、並びにヘッドセットのうちの少なくとも1つを備える。
【0033】
[0033]開示されたテクノロジーの別の態様によれば、請求項に記載のシステムにおいて使用するための頭部装着型ディスプレイが提供される。
【0034】
[0034]開示されるテクノロジーの別の態様によれば、請求項に記載のシステムで使用するためのマーカが提供され、マーカは、表面上に配置され、データベースに記憶された対応する記憶されたマーカを有し、記憶されたマーカは、表面上のその対応するマーカの座標を含む。
【0035】
[0035]上記の特徴は、当業者に明らかであるように、適宜組み合わされてもよく、本明細書で説明される例の態様のいずれかと組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】[0036]
図1は、頭部装着型ディスプレイの説明を示すダイヤグラムである。
【
図2】[0037]
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なシステムを図示している。
【
図3】[0038]
図3は、すべての利用可能なマーカの位置及び向きをマッピングするための例示的な方法の簡略化されたフローダイヤグラムである。
【
図4】[0039]
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、光学追跡中に観察された光学データの簡略化された表現である。
【
図5】[0040]
図5は、ユーザの頭部姿勢を決定するための例示的な方法の簡略化されたフローダイヤグラムである。
【
図6】[0041]
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なシステムの簡略化されたブロックダイヤグラムである。
【
図7】[0042]
図7は、ユーザが移動面上にいる間に現実世界に対する頭部位置を検出するための例示的な方法の簡略化されたフローダイヤグラムである。
【
図8】[0043]
図8は、大きな体積空間にわたって頭部の動きを追跡するための例示的な方法の簡略化されたフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0044]一般に、本発明は、表面に対するユーザの頭部姿勢を決定するための光慣性頭部装着型ディスプレイ追跡ソリューションに関する。
【0038】
[0045]本発明は、大きな体積空間にわたる頭部の動きの追跡を可能にする新規の技術に関する。頭部装着型ディスプレイ(以下、HWDと呼ぶ)を装着したユーザの頭部位置の正確な追跡は有益である。ユーザの頭部の位置を正確に追跡することは、HWDを通して観察者によって見られるような現実世界の印が、現実世界における印の位置に正確に対応するHWDの視野内の位置に提示されることを可能にしてもよい。
【0039】
[0046]現実世界に対する頭部の正確な位置は、ヘッドマウントカメラを用いて表面上のマーカをキャプチャし、各キャプチャされたマーカの絶対位置及び絶対向きを計算することによって、表面に対するユーザの頭部の空間ロケーションを決定するための光学階層追跡方式によって決定されてもよい。各マーカの計算された位置及び向きに基づいて、表面に対するユーザの頭部姿勢が計算される。
【0040】
[0047]上記で説明した技術は、光学追跡の絶対性及び正確さの利益を提供する。
【0041】
[0048]理解されるように、本発明は、表面に対するユーザの頭部姿勢を正確に決定するための光慣性頭部装着型ディスプレイ追跡ソリューションに関する。
【0042】
[0049]本発明の少なくとも1つの実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される、並びに/又は図面及び/若しくは例に例示される、構成要素の構造及び配置並びに方法の詳細に限定されないことを理解されたい。
本発明は、他の実施形態が可能であり、また、様々な方法で実施又は行われることが可能である。
【0043】
[0050]HWD100の表現を図示する
図1に戻って参照すると、頭部装着型ディスプレイ100は、ゴーグル、眼鏡、ヘルメット若しくはヘルメットバイザーを含む任意の適切なタイプのもの、又は眼の前に持ってくることができるハンドヘルドデバイスの形態のものであることがある。理想的には、デバイスは携帯可能であるか、又は支持体によって携帯可能であるように適合される。詳細には示されていないが、支持体は、眼の前で光学素子を支持するように適合された支持体を含むことができる。支持体は、フレーム;ゴーグル及び眼鏡のためのサイドアーム及び支持体;ヘルメット又はバイザー;ヘッドバンド;首又は肩に着用される支持体;ゲーム用ヘッドセット;又は光学素子を所望の位置に保持するために装着させることができる任意の他の支持体を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)又は任意の他のタイプのディスプレイにおいて実装されることができる。
【0044】
[0051]いくつかの実施形態では、光学デバイスは、ヘルメット上に搭載されてもよい。代替実施形態では、光学素子100は、フレーム102と、2つの接眼レンズ104とを含み、ブリッジ要素によって一緒に保持される。フレーム102は、ユーザの頭部上で光学デバイスを支持する2つのアームに接続される。接眼レンズはそれぞれ、使用時に画像をユーザの眼に中継する表示要素を含む。表示要素は、例えば、コリメート要素、導波路、レンズ系、プリズム、又は他の光学部品を含む。デバイスは、
図1では両眼用として示されているが、デバイスを単眼用とし、表示媒体の1つをブランク要素に置き換えることも可能である。光学素子は、非光学領域での使用に適合されてもよい。したがって、光は、本明細書では可視光周波数を意味することに限定されず、非可視周波数を含んでいてもよいことが理解されよう。
【0045】
[0052]2つの接眼レンズ104は、ブリッジ要素によって分離される。ブリッジ要素は、異なる曲率及び異なる長さの組み合わせを有するバンドであってもよい。ブリッジ要素は、接眼レンズ104を予め定められた位置に位置付ける又は向けるための特定の形状を有してもよい。
【0046】
[0053]HWD100のFOV内の位置の印をユーザに提供することができる。現実世界の印は、任意のタイプのシンボロジー又は現実世界の表現を含んでいてもよい。その現実世界の位置に対応するFOV内の位置に印を提供することが望ましいかもしれない。不正確な位置にこのような印を表示することは、ユーザにとって潜在的に混乱させ、いらいらさせ、危険である。これを補償するために、本発明は、ユーザの頭部姿勢を正確に決定するための機構を含む。
【0047】
[0054]いくつかの実施形態では、頭部運動及び表面運動を正確に追跡するための機構が提供される。表面運動の追跡は、表面運動に起因して感知される検出された頭部運動を補償する。ユーザの頭部の現在の動きを記述する情報と、表面の現在の動きと、表面に対するユーザの決定された頭部姿勢とを組み合わせることは、現実世界に対する正確な待ち時間のない頭部姿勢が決定されることを可能にし、頭部姿勢は、現実世界に対する頭部の空間位置を記述する。
【0048】
[0055]まず
図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による例示的なシステムが図示されている。本発明のいくつかの実施形態によれば、システム200は、カメラ202及びプロセッサ204を含む頭部装着型ディスプレイ214を備える。
【0049】
[0056]プラットフォームと互換的に呼ばれてもよい表面206は、ユーザ208が位置する任意の所定の表面であってもよい。表面206は、限定はしないが、車両又は飛行シミュレーションデバイスを含んでいてもよい。表面206上に位置するユーザ208は、HWD214を装着する。カメラ202は、HWD214の本体に一体化されてもよく、又はHWD214上の任意の適切な位置に搭載されてもよく、それにより、1つ以上の予め定められた位置で表面206上に配置されたマーカ210a、210b、210c、210dの画像を観察することができる。
図2では、マーカ210a、210b、210c、210dは、表面の上部212上に配置されるものとして図示されているが、マーカ210a、210b、210c、210dは、表面206上の任意の適切な位置に配置することができることを理解されたい。
【0050】
[0057]カメラ202は、HWD214に一体化されてもよい。カメラ202は、複数のカメラを含んでいてもよい。カメラは、ステレオカメラ又は深度カメラを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
図2では、カメラが上向きであることが示されているが、カメラ202は、マーカの画像をキャプチャするように構成可能であるように、HWD214上の任意の好適な位置に配置又は位置付けられることができることを理解されたい。複数のカメラがHWD214に適切に搭載又は一体化されることができる場合、複数のカメラがあってもよいことを理解されたい。
【0051】
[0058]
図3は、データベースに記憶するためにデータを収集する例示的な方法を描いている。マッピングプロセスは、マーカが所定の視点から表面上に現れるときに、マーカの絶対位置及び向きをマッピングするために使用され、位置及び向きは、基準マーカに関連する。基準マーカは、表面上で既知の位置及び向きを有する。以下、表面上に配置された複数のマーカを表面マーカと呼ぶ。いくつかの実施形態では、表面マーカは、表面の上部に配置されてもよい。加えて、又は代替として、表面マーカは、表面の下部に配置されてもよい。加えて、又は代替として、表面マーカは、表面の側部のうちの1つ以上に配置されてもよい。
【0052】
[0059]各表面マーカは、予め定められたサイズであり、予め定められた一意的なパターンを有する。表面マーカは、マーカのHWDカメラの視野を最適化し、表面上の重要な物理的特徴の不明瞭化を回避するように設計されたパターン構成で配置される。各表面マーカは、複数の表面点を含む。複数の表面点のそれぞれは、関係付けられた座標のセットを含む。
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、表面マーカは、長方形の基準400a、400b、400cであってもよく、表面点のそれぞれは、長方形の基準の角である。
【0053】
[0060]すべての表面マーカの画像がキャプチャされる(ブロック310)。
【0054】
[0061]表面点を含む第1のリストが照合される(ブロック320)。前述のように、表面点のそれぞれは、関係付けられた座標のセットを含む。
【0055】
[0062]モデルマーカのセットのモデル点のセットを含む第2のリストが照合される(ブロック330)。モデル点のセットは、理論座標のセットを定義する。
【0056】
[0063]表面点の第1のリストとモデル点の第2のリストとが比較される。この比較に基づいて、表面点のそれぞれの向き及び位置が推定される。表面点の推定された位置及び向きに基づいて、表面点の所定のセットに関係付けられた表面マーカの位置及び向きが推測される(ブロック340)。
【0057】
[0064]推測された表面マーカの位置及び向きに基づいて、表面マーカのそれぞれの間の相対位置及び向きが推定される(ブロック350)。任意選択で、追加の画像をキャプチャすることができ、上述の方法を繰り返すことができ、それによって、表面マーカ間の相対的な位置及び向きの改善された推定を行うことができる。
【0058】
[0065]表面マーカのそれぞれの間の推定された相対位置及び向きに基づいて、基準マーカに対する各表面マーカの絶対位置及び絶対向きが計算される(ブロック360)。上述したように、基準マーカは、表面上の既知の位置及び向きを有するマーカを含む。いくつかの実施形態では、基準マーカはトラッカ起点を表すことができる。
【0059】
[0066]各表面マーカは、マーカ定義データベース(MDD)(図示せず)に記憶されたマーカに対応する。以下、MDDに記憶されたマーカを記憶されたマーカと称する。各表面マーカについて、対応する記憶されたマーカがMDDにおいて識別される(ブロック370)。各記憶されたマーカは、予め定められたサイズであり、予め定められた一意的なパターンを有し、サイズ及びパターンは、表面マーカのうちの1つのサイズ及びパターンに対応する。各記憶されたマーカは、その関係付けられた表面マーカの複数の表面点に対応する複数の記憶された点を有する。各記憶されたマーカは、表面マーカに対するその類似性に従って識別される。いくつかの実施形態では、記憶されたマーカは、各表面マーカのパターンを記憶されたマーカと相互参照することによって識別される。各表面マーカは、予め定められたサイズ及び予め定められた一意的なパターンを有するので、表面マーカに最もよく似ている記憶されたマーカが、正確に対応する記憶されたマーカであると仮定される。加えて、又は代替として、記憶されたマーカは、複数の表面点を複数の記憶された点と相互参照することによって識別されてもよい。
【0060】
[0067]表面上の各マーカについて、その対応する記憶されたマーカは、表面マーカが記憶されたマーカの向きと同じ向きを有するとき、基準マーカに対するその表面マーカの少なくとも絶対位置及び絶対向きを含むように更新される(ブロック380)。いくつかの実施形態では、記憶されたマーカは、表面マーカの推測された位置及び向き、並びに/又は表面マーカのそれぞれの間の推定された相対位置及び向きをさらに含むように更新されてもよい。
【0061】
[0068]
図5は、頭部姿勢を決定するための例示的な方法500の簡略化されたフローダイヤグラムを図示する。
図3に関連して上述したように、表面上に配置された複数のマーカは、表面マーカと呼ばれる。いくつかの実施形態では、表面マーカは、表面の上部に配置されてもよい。加えて、又は代替として、表面マーカは、表面の下部に配置されてもよい。加えて、又は代替として、表面マーカは、表面の側部のうちの1つ以上に配置されてもよい。
【0062】
[0069]各表面マーカは、予め定められたサイズであり、予め定められた一意的なパターンを有する。表面マーカは、マーカのHWDカメラの視野を最適化し、表面上の重要な物理的特徴の不明瞭化を回避するように設計されたパターン構成で配置される。各表面マーカは、複数の表面点を含む。複数の表面点のそれぞれは、関係付けられた座標のセットを含む。
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、表面マーカは、長方形の基準400a、400b、400cであってもよく、表面点のそれぞれは、長方形の基準の角である。
【0063】
[0070]ユーザによって装着されたヘッドマウントカメラによってキャプチャされた1つ以上の画像が受信される(ブロック510)。1つ以上の画像は、カメラのFOV内の1つ以上の表面マーカの表現を含む。この説明のために、カメラによってキャプチャされた表面マーカ及び関係付けられた表面点は、それぞれキャプチャされたマーカ及びキャプチャされた点と呼ばれる。
【0064】
[0071]MDDがアクセスされる。MDDは、複数の記憶されたマーカを含む。各記憶されたマーカは、予め定められた向きを有し、複数の表面マーカのうちの1つに対応する。各記憶されたマーカは、予め定められたサイズであり、予め定められた一意的なパターンを有し、サイズ及びパターンは、表面マーカのうちの1つのサイズ及びパターンに対応する。各記憶されたマーカは、その表面マーカの表面点に対応する複数の記憶された点を有する。各記憶されたマーカは、
図3のマッピング方法からの出力として、その対応する表面マーカの少なくとも絶対位置及び絶対方位を含む。各記憶されたマーカは、表面マーカの推測された位置及び向き、並びに/又は表面マーカのそれぞれの間の推定された相対位置及び向きをさらに含むことができる。
【0065】
[0072]各キャプチャされたマーカについて、対応する記憶されたマーカがMDDにおいて識別される(ブロック520)。いくつかの実施形態では、各記憶されたマーカは、各キャプチャされたマーカのパターンを記憶されたマーカと相互参照することによって、キャプチャされたマーカに対するその類似性に従って識別される。各キャプチャされたマーカは、予め定められたサイズ及び予め定められた一意的なパターンを有するので、キャプチャされたマーカに最もよく似ている記憶されたマーカが、正しく対応する記憶されたマーカであると仮定される。加えて、又は代替として、記憶されたマーカは、複数の表面点を複数の記憶された点と相互参照することによって識別されてもよい。
【0066】
[0073]各キャプチャされたマーカについて、その対応する記憶されたマーカに対するキャプチャされたマーカの向きが計算される(ブロック530)。上述したように、各記憶されたマーカは、予め定められた向きを有する。各表面マーカは、記憶されたマーカのうちの1つに対応するが、画像内にキャプチャされた表面マーカは、その対応する記憶されたマーカの向きとは異なる向きを有してもよい。言い換えれば、キャプチャされたマーカは、それらの対応する記憶されたマーカとは異なるように向けられてもよい。いくつかの実施形態では、各キャプチャされたマーカは、キャプチャされたマーカがその対応する記憶されたマーカに対してどのように向けられるかを決定するために、その対応する記憶されたマーカと比較される。
【0067】
[0074]各キャプチャされたマーカについて、既知の位置及び向きを有する基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きを含む記憶されたデータがMDDから取得される(ブロック540)。
【0068】
[0075]基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きを定義する座標のセットが決定される(ブロック550)。上述したように、各記憶されたマーカに関する記憶されたデータは、基準マーカに対するその対応するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きを含む。キャプチャされたマーカの、その対応する記憶されたマーカに対する決定された向きを使用して、基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きを決定することができる。
【0069】
[0076]表面に対するユーザの頭部姿勢が計算される(ブロック560)。キャプチャされたマーカはヘッドマウントカメラのFOV内にあるので、キャプチャされたマーカに対するカメラの位置及び向きを推測することができる。表面上の既知の位置及び向きを有する基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きは、基準マーカに対するカメラの位置及び向きが決定できるように計算されている。このようにして、基準マーカに対するキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きに基づいて、表面上のキャプチャされたマーカの絶対位置及び向きをその後決定することができる。上述の方法は、表面に対するHWDの向き及び位置が6自由度で正確に計算されることを可能にすることができる。
【0070】
[0077]上述したように、いくつかの実施形態では、表面上のマーカは、
図4に描くような長方形の基準である。本明細書で説明されるようなマルチマーカ又はマルチ基準スタイルの追跡は、単一の(典型的にはより小さい)マーカトラッカよりも改善された追跡精度を有する追跡能力を提供する。カメラの視野にわたって複数のマーカからの複数の点を組み合わせる能力は、追跡姿勢を推定するために使用される点の空間的広がりの点を最大化し、したがって、より安定した、より雑音の少ない追跡ソリューションをもたらす。
【0071】
[0078]
図6は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なシステムの簡略化されたブロックダイヤグラムである。いくつかの実施形態において、表面は動いていてもよい。光学追跡方式の出力は、決定された頭部位置の精度をさらに改善するために慣性データと組み合わされてもよい。現実世界に対して移動する表面の向きを示す位置データと、表面に対するユーザの頭部の空間位置に関する光学データとを組み合わせる。慣性データの第1のセットは、表面の動きに関連してもよい。慣性データの第2のセットは、ユーザの頭部の動きに関連してもよい。慣性データのセットに基づいて、表面の動きに起因するユーザの頭部の動きを計算し、相殺することができる。
【0072】
[0079]加えて、光学追跡ソリューションの待ち時間は、頭部運動を前方予測することによって低減されてもよい。これは、HWD上の慣性センサの出力に基づいて現実世界における最終的な頭部位置の推定値を提供し、それによって、実際の頭部位置を決定するのに必要な時間を短縮する。
【0073】
[0080]これらの上述の技術は、光学追跡の絶対性及び正確さの利益を提供する。慣性追跡によって達成される速度及び低減された待ち時間が結合される。システムは、頭部運動の待ち時間及び移動表面の運動を補償することができ、それによって、不確実性が低減されたシステムを提供する。
【0074】
[0081]
図2に関して説明したものに加えて、
図6は、表面ベースの慣性センサ602を含む。表面ベースの慣性センサ602は、慣性測定ユニットを備えていてもよい。慣性測定ユニットは、そのセンサの任意の好適な組み合わせを備えていてもよい。表面ベースの慣性センサ602は、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を含んでいてもよいが、これらに限定されない。表面ベースの慣性センサ602は、運動中に表面206が受ける力(例えば、重力)、表面206の角速度、並びに表面206の速度、加速度、減速度及び/又は向きを検出することができる。
【0075】
[0082]HWD214はまた、少なくとも1つのHWD慣性センサ604又はその適切なセンサの任意の組合せを含むことができる。そのようなセンサは、加速度計及びジャイロスコープを含んでいてもよいが、これらに限定されない。HWD慣性センサ604は、HWD214の空間位置の変化を決定することができる。ユーザ208の頭部の動きは、HWDの空間位置の検出された変化に基づいて決定することができる。加えて、HWD慣性センサ604は、ユーザの頭部の動きを前方予測して、現実世界に対するユーザの頭部の予測位置を決定することができる。前方予測は、全体的な追跡ソリューションの観測される待ち時間を低減するために使用されてもよい。
【0076】
[0083]少なくとも1つのHWD慣性センサ604は、HWD214に一体化されてもよい。代替的に、センサは、HWD慣性センサ604がHWD214を装着しているユーザ208の現在の頭部の動きを検出するように構成可能であるように、任意の適切な位置でHWD214に搭載することができる取り外し可能な要素を有してもよい。HWD慣性センサ604は、力、角速度、速度、線形加速及び減速、並びに/又はユーザ208の頭部によって経験される向きの任意の変化を検出するように構成可能であってもよい。
【0077】
[0084]代替実施形態は、頭部姿勢を決定するために、HWD慣性センサ604及び表面ベースの慣性センサ602の出力を使用することを説明する。この代替実施形態では、カメラ202からの光学追跡データは、例えば、カメラ202が閉塞を経験する場合、又は基準マーカの画像がシャドーイングなどの何らかの理由で歪められる場合、利用不可能又は無効であるかもしれない。この代替実施形態では、表面206には、全体的な追跡機構に周期的な姿勢を提供する追加のセンサが搭載される。
【0078】
[0085]HWD慣性センサ604は、上記の実施形態で説明したように、ユーザの頭部の現在の動きを決定することができる。
【0079】
[0086]表面ベースの慣性センサ602は、上記の実施形態で説明したように、現実世界に対する表面206の動きを検出してもよい。
【0080】
[0087]表面206の動き及びユーザの頭部の現在の動きに関するデータは、カメラ202から取得される光学追跡データを必要とせずにシステムが惰力運転することを可能にするために組み合わされてもよい。光学追跡が再開すると、光学追跡データ、表面運動データ、及び頭部運動データは、上述のように、実世界に対する正確な頭部姿勢を計算するために組み合わせられることができる。
【0081】
[0088]
図7は、ユーザが移動面上にいる間に現実世界に対する頭部位置を検出するための例示的な方法700の簡略化されたフローダイヤグラムである。
【0082】
[0089]現実世界に対して移動する表面の向きを備える座標の第1のセットが、表面ベースの慣性センサからの第1の出力に基づいて決定されてもよい(ブロック710)。移動表面に対する頭部装着型ディスプレイの空間位置を含む座標の第2のセットが決定されてもよい(ブロック720)。予測された動きに基づく座標オフセットを生成するように、慣性測定値に基づくユーザの頭部の予測された動きを決定することができる(ブロック730)。座標の第1のセット、座標の第2のセット、及び座標オフセットに基づいて、現実世界基準に対するヘッド頭部装着型ディスプレイの空間位置を示す座標の第3のセットが決定されてもよい(ブロック740)。
【0083】
[0090]現実世界に対する頭部位置の検出のための方法は、追加の慣性データを含めることによってさらに改善されてもよい。座標の第3のセットの変化は、表面ベースの慣性センサからの第2の出力に基づいて、現実世界に対する表面の位置の変化を決定するように検出されてもよい。座標の第4のセットの変化は、HWDベースの慣性センサの出力に基づいてユーザの頭部の空間位置の変化を決定するために検出されてもよい。表面の動きに起因するユーザの頭部の動きの相対変化は、座標の第4のセットの相対変化として計算される。座標の第4のセットにおける相対変化は相殺される。
【0084】
[0091]追跡ソリューションの待ち時間は、HWDベースの慣性センサの出力に基づいてトラッカの向きを前方予測することによって低減されてもよい。
【0085】
[0092]次に
図8を参照すると、
図8は、順方向予測を使用して大きな体積空間にわたる頭部運動の追跡を改善するための例示的な方法800の簡略化されたフローダイヤグラムを図示する。現実世界に対して移動する表面の向きを備える座標の第1のセットが、表面ベースの慣性センサからの第1の出力に基づいて決定されてもよい(ブロック810)。
【0086】
[0093]表面に対する頭部装着型ディスプレイの空間位置を備える座標の第2のセットが決定されてもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、座標の第2のセットを決定することは、カメラを使用して光学追跡データを取得することをさらに含むことができ、光学追跡データは、現実世界に対して移動する表面上に配置された既知の空間位置を有するマーカの画像を含む(ブロック820)。
【0087】
[0094]慣性測定値に基づくユーザの頭部の予測された動きが、予測された動きに基づいて座標オフセットを生成するために決定されてもよい(ブロック830)。
【0088】
[0095]座標の第1のセット、座標の第2のセット、及び座標オフセットに基づいて、現実世界基準に対する頭部装着型ディスプレイの空間位置を示す座標の第3のセットが決定されてもよい(ブロック840)。
【0089】
[0096]本発明はいくつかの実施形態に関連して説明されたが、本明細書に記載された特定の形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲のみによって限定される。さらに、ある特徴が特定の実施形態に関連して説明されるようにみえるかもしれないが、当業者であれば、説明される実施形態の様々な特徴が本発明にしたがって組み合わされてもよいことを認識するであろう。特許請求の範囲において、「備える」という用語は、他の要素又はステップの存在を除外するものではない。
【0090】
[0097]さらに、特許請求の範囲における特徴の順序は、特徴が実行されなければならない特定の順序を暗示するものではなく、特に方法の請求項における個々のステップの順序は、ステップがこの順序で実行されなければならないことを暗示するものではない。むしろ、ステップは任意の好適な順序で実行されてもよい。さらに、単数形の言及は複数を除外するものではない。よって、「a」、「an」、「第1(first)」、「第2(second)」等の言及は複数を排除しない。特許請求の範囲において、「備える」又は「含む」という用語は、他の要素の存在を除外するものではない。
【国際調査報告】