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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】試料処理のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231004BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20231004BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20231004BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519451
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021052206
(87)【国際公開番号】W WO2022067184
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/084,271
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】518337142
【氏名又は名称】コンビナティ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】5823 Newton Dribe Carlsbad,California 92008 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フン ジュ-スン
(72)【発明者】
【氏名】リン フェリシア
(72)【発明者】
【氏名】ザヤック アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029DG10
4B029FA12
4B029FA15
4B029GB10
4B029HA10
4B063QQ28
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX10
(57)【要約】
本開示は、生体試料を処理するためのシステム、方法、及びデバイスを提供する。デバイスは、第1のチャネル、少なくとも1つのチャンバ、及び第2のチャネルを備えるマイクロ流体デバイスであり得る。第1のチャネルは、チャンバと流体連通し得る。チャンバは、チャネルから生体試料の一部を受容するように構成され得る。第2のチャネルは、チャンバ、第1のチャネル、又はチャンバ及び第1のチャネルの両方の加圧ガス放出のために構成され得る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を処理するためのマイクロ流体デバイスであって、
前記生体試料を含む溶液を受容するように構成された第1のチャネルと、
前記第1のチャネルと流体連通しているチャンバであって、前記第1のチャネルから前記溶液の少なくとも一部を受容するように構成されたチャンバと、
前記チャンバに隣接して配設された第2のチャネルであって、(i)前記チャンバと前記第2のチャネルとの間に圧力差が印加されたときに前記チャンバからガス流を受容し、かつ(ii)前記圧力差がないときに前記チャンバからのガス流を妨げるように構成された第2のチャネルと、を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記第2のチャネルが、前記第1のチャネル又は前記チャンバに流体接続されていない、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記マイクロ流体デバイスが、前記チャンバと前記第2のチャネルとの間に配置された弁を含まない、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
ガスが、前記第2のチャネルと前記チャンバとの間に配設された材料を通って流れる、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記第1のチャネルが、前記第2のチャネルから離隔されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記チャンバと前記第2のチャネルとの間の距離が、約50マイクロメートル(μm)以下である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記距離が、約20μm以下である、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記距離が、約10μm~20μmである、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記チャンバが、前記第1のチャネルと流体連通している複数のチャンバのうちの1つである、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記第2のチャネルの第1の断面寸法が、約50μm以下であり、前記第2のチャネルの第2の断面寸法が、約50μm以下である、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
前記第1のチャネル、前記チャンバ、及び前記第2のチャネルのうちの少なくとも1つを封止するフィルムを更に備える、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
前記フィルムが、金属層を含む、請求項11に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記金属層が、前記フィルムを通るガス流を妨げるように構成されている、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
前記金属層が、アルミニウム、チタン、及びニッケルからなる群から選択される1つ以上の部材を含む、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
前記金属層が、アルミニウムを含む、請求項14に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
前記金属層の厚さが、約50ナノメートル(nm)以下である、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
前記フィルムの厚さが、約100μm以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記厚さが、約50μm~100μmである、請求項17に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項19】
前記金属層が、前記フィルムの外部表面上に配設されている、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項20】
前記金属層が、前記フィルムの表面汚染を低減させるように構成されている、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項21】
前記フィルムが、実質的に光学的に透明である、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項22】
生体試料を処理するための方法であって、
(a)(i)第1のチャネル、(ii)前記第1のチャネルと流体連通しているチャンバ、及び(iii)前記チャンバに隣接して配設された第2のチャネルを備えるデバイスを提供することであって、前記第2のチャネルが、(a)前記チャンバと前記第2のチャネルとの間に圧力差が印加されたときに前記チャンバからガス流を受容し、かつ(b)前記圧力差がないときに前記チャンバから前記第2のチャネルへのガス流を妨げる、提供することと、
(b)前記生体試料を含む溶液の一部を前記第1のチャネルから前記チャンバに流すことと、
(c)前記チャンバからのガスが前記第2のチャネルに流れるように、前記チャンバと前記第2のチャネルとの間に前記圧力差を適用することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記第2のチャネルが、前記第1のチャネル又は前記チャンバに流体接続されていない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のチャネルが、前記第2のチャネルから離隔されている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ガスが、前記第2のチャネルと前記チャンバとの間に配設された材料を通って流れる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記マイクロ流体デバイスが、前記チャンバと前記第2のチャネルとの間に配設された弁を含まない、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記チャンバと前記第2のチャネルとの間の距離が、約50マイクロメートル(μm)以下である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記距離が、約20μm以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記距離が、約10μm~20μmである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記チャンバが、前記第1のチャネルと流体連通している複数のチャンバのうちの1つである、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のチャネルの第1の断面寸法が、約50μm以下であり、前記第2のチャネルの第2の断面寸法が、約50μm以下である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記マイクロ流体デバイスが、前記第1のチャネル、前記チャンバ、及び前記第2のチャネルのうちの少なくとも1つを封止するフィルムを更に備える、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記フィルムが、金属層を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記金属層が、前記フィルムを通るガス流を妨げる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記金属層が、アルミニウム、チタン、及びニッケルからなる群から選択される1つ以上の部材を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記金属層が、アルミニウムを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記金属層の厚さが、約50ナノメートル(nm)以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記フィルムの厚さが、約100μm以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記厚さが、約50μm~100μmである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記金属層が、前記フィルムの外部表面上に配設されている、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記金属層が、前記フィルムの表面汚染を低減させる、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記フィルムが、実質的に光学的に透明である、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年9月28日に出願された米国仮特許出願第63/084,271号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイスは、マイクロリットル、ナノリットル、又はより少量の流体などの小規模の流体を扱う構造を含むデバイスである。マイクロ流体デバイスの1つの用途は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(digital polymerase chain reaction、dPCR)である。例えば、複数の区画を有するマイクロ流体構造は、dPCRのために核酸試料を分配するために使用され得る。ゲノム研究者及び臨床医にとって、dPCRは、まれな変異株の検出、コピー数多型の定量化、及び次世代シーケンシングライブラリの定量化において特に強力である。無細胞DNA及びウイルス量の定量化を用いるリキッドバイオプシーのための臨床の場における潜在的な使用は、dPCR技術の価値を更に高める。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、生体試料の分析、例えば、核酸を増幅しかつ定量化するために有用であり得る方法及びデバイスが提供される。本開示は、試料の調製、試料の増幅、及び試料の分析を可能にし得る方法、システム、及びデバイスを提供する。試料分析は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)の使用を通して行われ得る。試料はデジタル化され得、試料中のガスは分析前に放出され得る。マイクロ流体デバイス及び試料からのこのようなガス放出又は他のガスの除去は、マイクロ流体デバイスのガスファウリングを低減し、試料調製時間を短縮し、分析の再現性を改善することができる。これにより、他のシステム及び方法と比較して、コスト及び複雑さが軽減された状態で、試料分析、例えば、核酸の増幅及び定量化が可能になり得る。
【0004】
一態様では、本開示は、生体試料を処理するためのマイクロ流体デバイスであって、生体試料を含む溶液を受容するように構成された第1のチャネルと、第1のチャネルと流体連通しているチャンバであって、第1のチャネルから溶液の少なくとも一部を受容するように構成されたチャンバと、チャンバに隣接して配置された第2のチャネルであって、(i)チャンバと第2のチャネルとの間に圧力差が適用されたときにチャンバからガス流を受容し、かつ(ii)圧力差がないときにチャンバからのガス流を妨げるように構成された第2のチャネルと、を備える、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、第2のチャネルは、第1のチャネル又はチャンバに流体接続されていない。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、チャンバと第2のチャネルとの間に配設された弁を含まない。いくつかの実施形態では、ガスは、第2のチャネルとチャンバとの間に配設された材料を通って流れる。いくつかの実施形態では、第1のチャネルは、第2のチャネルから分離されている(例えば、離隔されている)。いくつかの実施形態では、チャンバと第2のチャネルとの間の距離は、約50マイクロメートル(μm)以下である。いくつかの実施形態では、距離は、約20μm以下である。いくつかの実施形態では、距離は、約10μm~20μmである。いくつかの実施形態では、チャンバは、第1のチャネルと流体連通している複数のチャンバのうちの1つである。いくつかの実施形態では、第2のチャネルの第1の断面寸法は、約50μm以下であり、第2のチャネルの第2の断面寸法は、約50μm以下である。
【0006】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、第1のチャネル、チャンバ、及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つを封止するフィルムを更に備える。いくつかの実施形態では、フィルムは、金属層を含む。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムを通るガス流を妨げるように構成されている。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウム、チタン、及びニッケルからなる群から選択される1つ以上の部材を含む。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、金属層の厚さは、約50ナノメートル(nm)以下である。いくつかの実施形態では、フィルムの厚さは、約100μm以下である。いくつかの実施形態では、厚さは、約50μm~100μmである。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムの外部表面上に配設されている。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムの表面汚染を低減させるように構成されている。いくつかの実施形態では、フィルムは、実質的に光学的に透明である。
【0007】
別の態様では、本開示は、生体試料を処理するための方法であって、(a)(i)第1のチャネルと、(ii)第1のチャネルと流体連通しているチャンバと、(iii)チャンバに隣接して配置された第2のチャネルとを備えるデバイスを提供することであって、第2のチャネルは、(a)チャンバと第2のチャネルとの間に圧力差が適用されたときにチャンバからガス流を受容し、かつ(b)圧力差がないときにチャンバから第2のチャネルへのガス流を妨げる、提供することと、(b)生体試料を含む溶液の一部を第1のチャネルからチャンバに流すことと、(c)チャンバからのガスが第2のチャネルに流れるように、チャンバと第2のチャネルとの間に圧力差を適用することと、を含む、方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2のチャネルは、第1のチャネル又はチャンバに流体接続されていない。いくつかの実施形態では、第1のチャネルは、第2のチャネルから分離されている(例えば、離隔されている)。いくつかの実施形態では、ガスは、第2のチャネルとチャンバとの間に配設された材料を通って流れる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、チャンバと第2のチャネルとの間に配設された弁を含まない。いくつかの実施形態では、チャンバと第2のチャネルとの間の距離は、約50マイクロメートル(μm)以下である。いくつかの実施形態では、距離は、約20μm以下である。いくつかの実施形態では、距離は、約10μm~20μmである。いくつかの実施形態では、チャンバは、第1のチャネルと流体連通している複数のチャンバのうちの1つである。いくつかの実施形態では、第2のチャネルの第1の断面寸法は、約50μm以下であり、第2のチャネルの第2の断面寸法は、約50μm以下である。
【0009】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、第1のチャネル、チャンバ、及び第2のチャネルのうちの少なくとも1つを封止するフィルムを更に備える。いくつかの実施形態では、フィルムは、金属層を含む。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムを通るガス流を妨げる。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウム、チタン、及びニッケルからなる群から選択される1つ以上の部材を含む。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、金属層の厚さは、約50ナノメートル(nm)以下である。いくつかの実施形態では、フィルムの厚さは、約100μm以下である。いくつかの実施形態では、厚さは、約50μm~100μmである。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムの外部表面上に配設されている。いくつかの実施形態では、金属層は、フィルムの表面汚染を低減させる。いくつかの実施形態では、フィルムは、実質的に光学的に透明である。
【0010】
本開示の追加の態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明されている、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなるであろう。認識されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明白な点において修正することができる。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的なものと考えられるべきであり、限定的なものとして考えられるべきではない。
参照による組み込み
【0011】
本明細書に言及される全ての公開物、特許、及び特許出願は、各個別の公開物、特許、又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、明細書は任意のそのような矛盾する資料に取って代わるか、又は優先するように意図されている。
【0012】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の、特徴及び利点のより良好な理解は、例示的な実施形態について記載し、本発明の原理が利用されている以下の詳細な説明、並びに添付の図面(本明細書の「図(figure)」及び「図(FIG.)」も同様に)を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1A及び図1Bは、ガス放出チャネル(例えば、第2のチャネル)を有する例示的なマイクロ流体デバイスを概略的に示す。図1Aは、ガス放出チャネル(例えば、第2のチャネル)を有する例示的なマイクロ流体デバイスの上面図を概略的に示す。
図1B】ガス放出チャネル(例えば、第2のチャネル)を有する例示的なマイクロ流体デバイスの断面図を概略的に示す。
図1C】ガス放出チャネルを有する例示的なマイクロ流体デバイスを示す。
図2A図2A図2Fは、例示的なマイクロ流体デバイス及びマイクロ流体デバイス内の試料を分配するための方法を概略的に図示する。図2Aは、マイクロ流体デバイス内への試料の装填を概略的に示す。
図2B】マイクロ流体デバイスを加圧して試料をチャネル内に装填することを概略的に示す。
図2C】流体流路を脱気し、試料をチャネル内に装填し続けるための連続加圧を概略的に示す。
図2D】チャンバ内への試料の部分的なデジタル化、チャネル内への油の充填、及び空気の置換を概略的に示す。
図2E】更なるデジタル化及び空気の置換を概略的に示す。
図2F】試料の完全なデジタル化を概略的に示す。
図3】試料のデジタル化のための例示的な方法を概略的に示す。
図4】デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)のための例示的な方法を概略的に示す。
図5】試料をデジタル化及び分析するための例示的システムを概略的に示す。
図6】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムされ、又は他の方法で構成されたコンピュータシステムを示す。
図7A】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7B】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7C】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7D】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7E】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7F】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
図7G】例示的なマイクロ流体デバイス及びデバイス内の試料をデジタル化するための方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の様々な実施形態が本明細書において示され、かつ記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。多くの変化形、変更、及び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者に想起され得る。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替案が採用され得ることを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用される「試料」という用語は、概して、核酸分子を含むか、又は含むことが疑われる任意の試料を指す。例えば、試料は、1つ以上の核酸分子を含む生体試料であり得る。生体試料は、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排泄物、痰、便、及び涙から得ることができる(例えば、抽出若しくは単離される)か、又はそれらを含み得る。生体試料は、流体試料又は組織試料(例えば、皮膚試料)であり得る。いくつかの例では、試料は、全血などの無細胞体液から得られる。このような場合、試料は、無細胞DNA及び/又は無細胞RNAを含み得る。いくつかの例では、試料は、循環腫瘍細胞を含み得る。いくつかの例では、試料は、環境試料(例えば、土、廃棄物、周囲空気など)、工業試料(例えば、あらゆる工業プロセスからの試料)、及び食品試料(例えば、乳製品、野菜製品、及び肉製品)である。試料は、マイクロ流体デバイスに装填する前に処理され得る。例えば、試料は、細胞を溶解する、核酸分子を精製する、又は試薬を含めるために処理され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、概して、液体又は気体を指す。流体は、定義された形状を維持できず、観察可能な時間枠の間に流れて、流体が入れられる容器を満たすこととなる。したがって、流体は、流れることができる任意の好適な粘度を有し得る。2つ以上の流体が存在する場合、各流体は、任意の流体(例えば、液体、ガスなど)の中から独立して選択され得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「分配する」という用語は、概して、複数の部分への分割若しくは分散、又は共有を指す。例えば、分配された試料は、他の試料から単離された試料である。試料の分配を可能にする構造の例には、ウェル及びチャンバが含まれる。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「デジタル化された」又は「デジタル化」という用語は、交換可能に使用され得、また一般的に、1つ以上の区画に分配された試料をいう。デジタル化された試料は、別のデジタル化された試料と流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。デジタル化試料は、別のデジタル化試料と相互作用しないか、又は材料(例えば、試薬、分析物など)を交換しない場合がある。
【0019】
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体の」という用語は、概して、少なくとも1つのチャネル、複数の吸い上げ開口部、及びチャンバのアレイを含む、チップ、エリア、デバイス、物品、又はシステムを指す。チャネルは、約10ミリメートル(mm)以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1.5mm以下、約1mm以下、約750マイクロメートル(μm)以下、約500μm以下、約250μm以下、約100μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「深さ」という用語は、概して、チャネル、吸い上げ開口部、又はチャンバの底部から、チャネル、複数の吸い上げ開口部、及びチャンバのアレイをキャップするフィルムまでの測定された距離を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「断面」又は「断面の」という用語は交換可能に使用され得、概して、特徴の長寸法に実質的に垂直であるチャネル又は吸い上げ開口部の寸法又は面積を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「加圧ガス抜き」又は「加圧脱気」という用語は、交換可能に使用され得、一般に、圧力差の適用を通じて、気体(例えば、空気、窒素、酸素など)をデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)のチャネル又はチャンバからチャネル又はチャンバの外部環境へと除去又は排出することを指す。圧力差は、チャネル又はチャンバと、チャネル又はチャンバの外部環境との間に適用され得る。圧力差は、デバイスへの1つ以上の入口への圧力源の適用、又はデバイスの1つ以上の表面への真空源の適用によって提供され得る。加圧ガス抜き又は加圧脱気は、チャネル又はチャンバの1つ以上の側面を覆うフィルム又は膜を通して可能にすることができる。
【0023】
「少なくとも~」、「~より大きい」、又は「~以上」という用語が、一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、「少なくとも~」、「~より大きい」、又は「~以上」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2、又は3以上は、1以上、2以上、又は3以上と同等である。
【0024】
「~を超えない」、「~より小さい」、又は「~以下」という用語が、一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、「~を超えない」、「~より小さい」、又は「~以下」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2、又は1以下は、3以下、2以下、又は1以下と同等である。
生体試料を処理するためのマイクロ流体デバイス
【0025】
本開示は、試料処理、分析、又はその両方のためのマイクロ流体デバイスを提供する。本開示のマイクロ流体デバイスは、ポリマー材料(例えば、熱可塑性物質)から形成され得、第1のチャネル、1つ又は複数のチャンバ、第2のチャネル、及び第1のチャネル、チャンバ、第2のチャネルを封止するフィルム、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)、フィルム、又はその両方は、圧力が解放されたときにガスバリアとして機能しながら、加圧ガス抜き又は脱気を可能にすることができる。マイクロ流体デバイスは、チップ又はカートリッジであり得る。本開示のマイクロ流体デバイスは、単回使用又は使い捨てデバイスであり得る。代替として、マイクロ流体デバイスは、複数回使用デバイスであり得る。ポリマー(例えば、熱可塑性プラスチック)を使用してマイクロ流体構造を形成すると、安価なかつ拡張性の高い射出成形プロセスの使用を可能とし得、一方、第2のチャネル、フィルム、又はその両方は、加圧によって脱気する能力を提供し得、そのようなチャネル及びフィルムを組み込んでいない一部のマイクロ流体構造に存在し得るファウリングの問題を回避する。
【0026】
例えば、マイクロ流体デバイスは、サブミリメートル規模で動作し、マイクロリットル、ナノリットル、又はより少量の流体を取り扱うので、主要なファウリング機構は、マイクロ構造内部に捕捉された空気又は気泡であり得る。熱可塑性材料のガス透過率は非常に低いため、熱可塑性材料などのポリマーを使用してマイクロ流体構造を作製する場合、上記のことは特に問題になり得る。閉じ込められた空気によるファウリングを回避するために、マイクロ流体構造は、熱可塑性材料を用いた単純な直線チャネル若しくは分岐チャネル設計のいずれかを使用するか、又はエラストマなどの高ガス透過性材料を使用してデバイスを製造する。しかしながら、単純な設計は、マイクロ流体デバイスの考えられる機能性を制限し、エラストマ材料は、特に大規模に製造するのが困難であり、かつ費用がかかる。
【0027】
一態様では、本開示は、生体試料を処理するためのデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を提供する。マイクロ流体デバイスは、第1のチャネルを含み得る。第1のチャネルは、生体試料を含む溶液を受容するように構成され得るか、又は受容し得る。マイクロ流体デバイスは、チャンバ又は複数のチャンバを含み得る。チャンバは、処理中に第1のチャネルからの溶液の少なくとも一部を受容して保持するように構成され得るか、又は受容して保持し得る。マイクロ流体デバイスは、チャンバ又は複数のチャンバに隣接して配設された第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)を含み得る。第2のチャネルは、チャンバと第2のチャネルとの間に圧力差が適用されたときに、チャンバから第2のチャネルへのガス流を受容するように構成され得るか、又は受容し得る。第2のチャネルは、圧力差がないときにチャンバから第2のチャネルへのガス流を妨げるように構成され得るか、又は妨げ得る。一例では、マイクロ流体デバイスは、チャンバ、第1のチャネル、第2のチャネル若しくは第2のチャネルの一部、又はそれらの任意の組み合わせを覆うフィルムを含む。フィルムは、金属層を含み得る。
【0028】
別の態様では、本開示は、生体試料を処理するためのデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を提供する。マイクロ流体デバイスは、1つ以上のチャネルを含み得る。チャネルは、生体試料を含む溶液を受容するように構成され得るか、又は受容し得る。マイクロ流体デバイスは、チャンバ又は複数のチャンバを含み得る。チャンバ又は複数のチャンバは、処理中にチャネルからの溶液の少なくとも一部を受容して保持するように構成され得るか、又は受容して保持し得る。マイクロ流体デバイスは、チャンバに隣接して配設されたフィルムを含み得る。フィルムは、金属層を含み得る。フィルムは、チャンバとチャンバの外部の環境との間に圧力差が適用されたときに、チャンバからフィルムを通ってチャンバの外部の環境へのガス流を可能にするように構成され得る。あるいは、又はそれに加えて、金属層を有するフィルムは、チャンバ、第1のチャネル、第2のチャネル、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを封止し得る。一例では、金属層を有するフィルムは、チャンバ及び第1のチャネルを封止し、第2のチャネルの一部を覆うことができる。
【0029】
例示的なマイクロ流体デバイスを図1A及び1Bに示す。図1Aは、例示的なマイクロ流体デバイスの例示的な上面図を示す。マイクロ流体デバイスは、1つ又は複数の流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)を含み得る。流体流チャネル102は、少なくとも2つの端部を含み得る。流体流チャネル102の一端101は、入口ポートと流体連通し得るか、又はそれに結合され得る。入口ポートは、試料を流体流チャネル102に提供することができる。流体流チャネルの第2の端部103は、行き止まりであり得るか、又はそうでなければ、入口若しくは出口に結合されていない端部であり得る。流体流路102は、1つ以上のチャンバ104と流体連通し得る。一例では、流体流路102は、複数のチャンバ104と流体連通している。流体流路102とチャンバ104との間の流体連通は、1つ以上の吸い上げ開口部105によって提供され得る。チャンバ104は、1つ以上のガス放出チャネル(例えば、第2のチャネル)に隣接して配設され得る。各チャンバ104は、少なくとも1つのガス放出チャネル106(例えば、第2のチャネル)に隣接して配設され得る。マイクロ流体デバイスは、2つ以上の流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)を含み得る。流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)は、互いに流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。各流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)は、チャンバ104のセットと流体連通し得る。マイクロ流体デバイスは、フィルム110を含み得る。フィルムは、流体流チャネル102、チャンバ104、及びガス放出チャネル106の少なくとも一部を覆うことができる。ガス放出チャネル106(例えば、第2のチャネル)の端部部分は、フィルム107の縁部に配設され得、かつ周囲圧力に開放され得る。図1Bは、線A-A’108に沿ったマイクロ流体デバイスの断面図を示す。マイクロ流体デバイスは、デバイス本体109を含み得る。デバイス本体109は、熱可塑性又は他のプラスチックを含み得る。デバイス本体109は、成形プロセスによって形成することができる。デバイス本体109は、流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)、チャンバ104、吸い上げ開口部105、ガス放出チャネル106(例えば、第2のチャネル)、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。マイクロ流体デバイスは、本体109に接着されて、流体流チャネル102(例えば、第1のチャネル)、チャンバ104、吸い上げ開口部105、ガス放出チャネル106(例えば、第2のチャネル)、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を密閉するフィルム110を更に含み得る。フィルム110は、加圧ガス放出のための第1のガス流路111を提供することができる。あるいは、又はそれに加えて、ガス放出チャネル106は、加圧ガス放出のための第2のガス流路112を提供し得る。
【0030】
図1Cは、本明細書に開示されるマイクロ流体デバイスの一例を示す。マイクロ流体デバイスは、1つ以上の流体流チャネル102を備え得るデバイス本体109を備え得、各流体流チャネル102は、1つ以上のチャンバ104と流体連通している。チャンバ104は、1つ以上の吸い上げ開口部105を通して、流体流チャネル102に流体結合され得る。デバイスは、1つ以上のチャンバ104に隣接して配設された1つ以上のガス放出チャネル106を更に備え得る。
【0031】
デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)はユニットを含み得、ユニットは、第1のチャネル、第2のチャネル、チャンバ若しくは複数のチャンバ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。例えば、デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はそれより多くのユニットを含み得る。個々のユニットは、互いに流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。一例では、個々のユニットは互いに流体連通していない。チャネルは、流体流路の一部であり得る。流体流路は、チャネル、1つ以上の入口ポート、1つ以上の出口ポート、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。一例では、流体流路は、出口ポートを含まない場合がある。入口ポート、出口ポート、又は両方は、チャネルと流体連通し得る。入口ポートは、生体試料を含む溶液をチャネルに指向するように構成され得る。チャンバは、チャネルと流体連通し得る。
【0032】
流体流路は、1つの第1のチャネル又は複数の第1のチャネルを含み得る。流体流路は、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30、40、50又はそれより多くの第1のチャネルを含み得る。各々の第1のチャネルは、互いに流体的に単離され得る。あるいは、又はそれに加えて、複数の第1のチャネルは、互いに流体連通し得る。第1のチャネルは、第1の端部及び第2の端部を含み得る。第1の端部及び第2の端部は、単一の入口ポートに接続され得る。あるいは、又はそれに加えて、第1のチャネルの第1の端部は、入口ポートに接続され得、チャネルの第2の端部は、行き止まりであり得る。単一の入口ポートに接続された第1の端部及び第2の端部を有する第1のチャネルは、円形又はループ状の構成であり得、その結果、入口ポートを通ってチャネルに入る流体は、チャネルの第1の端部及び第2の端部を通って指向され得る。あるいは、第1の端部及び第2の端部は、異なる入口ポートに接続され得る。流体流路又はチャンバは、流体の流れを停止若しくは阻害するため、又はチャンバを単離するための弁を含まない場合がある。
【0033】
第1のチャネルは、単一の入口又は複数の入口を有することができる。入口は同じ直径を有し得るか、又はそれらは異なる直径を有し得る。入口及び出口は、約2.5ミリメートル(mm)以下、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、0.5mm以下、又はそれ未満以下の直径を有し得る。
【0034】
デバイスは、長寸法及び短寸法を含むことができる。長寸法は、約20センチメートル(cm)以下、15cm以下、10cm以下、8cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下、2cm以下、1cm以下、又はそれ未満以下であり得る。デバイスの短寸法は、約10cm以下、8cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下、2cm以下、1cm以下、0.5cm以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)の寸法は、約7.5cm×2.5cmである。第1のチャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に実質的に平行であり得る。あるいは、又はそれに加えて、第1のチャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に対して実質的に垂直(例えば、デバイスの短寸法に対して平行)であり得る。あるいは、又はそれに加えて、第1のチャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に対して実質的に平行でも実質的に垂直でもない場合がある。チャネルとマイクロ流体デバイスの長寸法との間の角度は、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、又は90°であり得る。一例では、チャネルは単一の長いチャネルである。あるいは、又はそれに加えて、第1のチャネルは屈曲部、湾曲部、又は角度を有し得る。一例では、第1のチャネルは、チャネルの長さを増加させるように構成された蛇行パターンを含み得る。チャネルは、約100ミリメートル(mm)以下、75mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、6mm以下、4mm以下、2mm以下、又はそれ未満以下の長寸法を有し得る。第1のチャネルの長さは、マイクロ流体デバイスの外形の長さ又は幅によって拘束され得る。第1のチャネルは、約500マイクロメートル(μm)以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、又はそれ未満以下の深さを有し得る。第1のチャネルは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、75μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法(例えば、幅又は直径)を有し得る。
【0035】
いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約80μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約60μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約40μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約20μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約10μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約80μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約60μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約40μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約20μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約10μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約80μm×深さ約80μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約60μm×深さ約60μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約40μm×深さ約40μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約20μm×深さ約20μmであり得る。いくつかの例では、第1のチャネルの断面寸法は、幅約10μm×深さ約10μmであり得る。
【0036】
マイクロ流体デバイスは、複数のチャンバを含み得る。複数のチャンバの各チャンバは、チャネル(例えば、第1のチャネル)と流体連通し得る。複数のチャンバは、チャンバのアレイであり得る。デバイスは、チャンバの単一のアレイ又はチャンバの複数のアレイを含み得、チャンバの各アレイは、他のアレイから流体的に単離されている。チャンバのアレイは、一列で、格子構成で、交互のパターンで、又は任意の他の構成で、配置され得る。マイクロ流体デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、又はそれ以上のチャンバアレイを有し得る。チャンバのアレイは同一であり得るか、又はチャンバのアレイは異なり得る(例えば、異なる数又は構成のチャンバを有し得る)。チャンバのアレイは、全て同じ外形寸法を有し得るか(例えば、チャンバのアレイの全ての特徴を包囲する、チャンバのアレイの長さ及び幅)、又はチャンバのアレイは、異なる外形寸法を有し得る。チャンバのアレイは、約100mm以下、75mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、6mm以下、4mm以下、2mm以下、1mm以下、又はそれ未満以下の幅を有し得る。チャンバのアレイは、50mm以上、40mm以上、30mm以上、20mm以上、10mm以上、8mm以上、6mm以上、4mm以上、2mm以上、1mm以上、又はそれ未満以上の長さを有し得る。一例では、アレイの幅は、約1mm~100mm、又は約10mm~50mmであり得る。一例では、アレイの長さは、約1mm~50mm、又は約5mm~20mmであり得る。
【0037】
チャンバのアレイは、約1,000以上のチャンバ、5,000以上のチャンバ、10,000以上のチャンバ、20,000以上のチャンバ、30,000以上のチャンバ、40,000以上のチャンバ、50,000以上のチャンバ、100,000以上のチャンバ、又はそれ以上のチャンバを有し得る。一例では、マイクロ流体デバイスは、約10,000~30,000のチャンバを有し得る。別の例では、マイクロ流体デバイスは、約15,000~25,000のチャンバを有し得る。チャンバは、円筒形状、半球形状、又は円筒形状及び半球形状の組み合わせであり得る。あるいは、又はそれに加えて、チャンバは立方体の形状であり得る。チャンバは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、15μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。一例では、チャンバは、約250μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。別の例では、チャンバは、約100μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。別の例では、チャンバは、約50μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。
【0038】
チャンバの深さは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、15μm以下、又はそれ未満であり得る。一例では、チャンバは、約30μmの断面寸法及び約100μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約35μmの断面寸法及び約80μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約40μmの断面寸法及び約70μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約50μmの断面寸法及び約60μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約60μmの断面寸法及び約40μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約80μmの断面寸法及び約35μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約100μmの断面寸法及び約30μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバとチャネルとは同じ深さを有する。別の実施形態では、チャンバとチャネルとは異なる深さを有する。
【0039】
チャンバの容積は、任意の容積であり得る。チャンバは、マイクロ流体デバイス全体にわたって同じ容積を有し得るか、又は容積は変動し得る。チャンバは、約1000ピコリットル(pL)以下、900pL以下、800pL以下、700pL以下、600pL以下、500pL以下、400pL以下、300pL以下、200pL以下、100pL以下、75pL以下、50pL以下、25pL以下、又はそれ未満のピコリットル以下の容積を有し得る。チャンバは、約25pL~50pL、25pL~75pL、25pL~100pL、25pL~200pL、25pL~300pL、25pL~400pL、25pL~500pL、25pL~600pL、25pL~700pL、25pL~800pL、25pL~900pL、又は25pL~1000pLの容積を有し得る。一例では、チャンバは、250pL以下の容積を有する。別の例では、チャンバは、約150pL以下の容積を有する。
【0040】
チャネルの容積は、チャンバの総容積よりも小さくてもよく、等しくてもよく、又はより大きくてもよい。一例では、チャネルの容積は、チャンバの総容積未満である。チャネルの容積は、チャネルの総容積の95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、又はそれ未満以下であり得る。
【0041】
デバイスは、チャネルとチャンバとの間に配設されている吸い上げ開口部を更に含み得る。吸い上げ開口部は、チャネルを複数のチャンバに接続する複数の吸い上げ開口部のうちの1つであり得る。吸い上げ開口部は、チャネルとチャンバとの間の流体連通を提供するように構成され得る。吸い上げ開口部の長さは、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)全体にわたって一定であり得るか、又は変動し得る。吸い上げ開口部は、約150μm以下、100μm以下、50μm以下、25μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下の長寸法を有し得る。吸い上げ開口部の深さは、約50μm以下、25μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下であり得る。吸い上げ開口部は、約50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。
【0042】
吸い上げ開口部の断面形状は、円形、楕円形、三角形、正方形、又は長方形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な断面形状であり得る。吸い上げ開口部の断面積は、吸い上げ開口部の長さに沿って一定であり得る。あるいは、又はそれに加えて、吸い上げ開口部の断面積は、吸い上げ開口部の長さに沿って変動し得る。吸い上げ開口部の断面積は、チャンバへの接続部における吸い上げ開口部の断面積よりも、チャネルへの接続部における方が大きくなり得る。あるいは、チャンバへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積よりも大きくてもよい。吸い上げ開口部の断面積は、約50%~150%、60%~125%、70%~120%、80%~115%、90%~110%、95%~100%、又は98%~102%で変動し得る。吸い上げ開口部の断面積は、約2,500μm2以下、1,000μm2以下、750μm2以下、500μm2以下、250μm2以下、100μm2以下、75μm2以下、50μm2以下、25μm2以下、又はそれ未満以下であり得る。チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルの断面積以下であり得る。チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルの断面積の約98%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、又はそれ未満以下であり得る。吸い上げ開口部は、チャネルに対して実質的に垂直であり得る。あるいは、又はそれに加えて、吸い上げ開口部はチャネルに対して実質的に垂直でない。吸い上げ開口部とチャネルとの間の角度は、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、又は90°であり得る。
【0043】
第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、流体流路(例えば、第1のチャネル)又はチャンバに流体接続されていない場合がある。あるいは、又はそれに加えて、第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、チャンバに流体接続され得る。マイクロ流体デバイスは、第2のチャネルとチャンバとの間に弁を含まない場合がある。第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、第1のチャネル(例えば、チャンバに流体接続されたチャネル)から分離され得る(例えば、離隔され得る)。第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、複数のチャンバに隣接して配設され得る。第2のチャネルは、チャンバからある距離だけ分離され得る(例えば、離隔され得る)。第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、チャンバから、約100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm以下の距離だけ分離され得る(例えば、離隔され得る)。一例では、第2のチャネルとチャンバとの間の距離は、50マイクロメートル(μm)以下であり得る。別の例では、第2のチャネルとチャンバとの間の距離は、約20μm以下であり得る。第2のチャネルは、チャンバ又は複数のチャンバから約10μm~20μm、10μm~30μm、10μm~40μm、10μm~50μm、10μm~60μm、10μm~70μm、10μm~80μm、10μm~90μm、10μm~100μm、20μm~30μm、20μm~40μm、20μm~50μm、20μm~60μm、20μm~70μm、20μm~80μm、20μm~90μm、20μm~100μm、30μm~40μm、30μm~50μm、30μm~60μm、30μm~0μm、30μm~80μm、30μm~90μm、30μm~100μm、40μm~50μm、40μm~60μm、40μm~70μm、40μm~80μm、40μm~90μm、40μm~100μm、50μm~60μm、50μm~70μm、50μm~80μm、50μm~90μm、50μm~100μm、60μm~70μm、60μm~80μm、60μm~90μm、60μm~100μm、70μm~80μm、70μm~90μm、70μm~100μm、80μm~90μm、80μm~100μm、又は90μm~100μmの距離だけ分離され得る(例えば、離隔され得る)。一例では、第2のチャネルとチャンバとの間の距離は、約10μm~約20μmである。第2のチャネルとチャンバとの間の距離は、マイクロ流体デバイスの製造可能性、第2のチャネルとチャンバとの間の材料の空気透過性、利用可能な圧力、ガス放出すべき空気の体積、試料の分配及びガス放出を完了するための時間、又はそれらの任意の組み合わせについて選択され得る。第2のチャネルは、第2のチャネルを伴わないマイクロ流体デバイスと比較して、より速い試料分配及び分析を可能にするために、加圧ガス放出の速度を増加させ得る。
【0044】
第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、材料によって1つ又は複数のチャンバから分離され得る(例えば、離隔され得る)。複数のチャンバの各チャンバは、第2のチャネルに隣接して配設され得る。一例では、複数のチャンバにそれぞれ隣接する複数の第2のチャネルが存在する。材料は、材料にわたって(例えば、チャンバと第2のチャネルとの間の)圧力差(例えば、圧力勾配)が適用されたときに、材料を通るガス流を可能にするように構成され得るか、又は可能にし得る。材料は、マイクロ流体デバイスの本体の一部であり得る。あるいは、又はそれに加えて、材料は、デバイスの本体から分離され、本体に結合され得る。デバイスの本体、材料、フィルム、又はそれらの任意の組み合わせは、ポリマーであり得る。一例では、材料は熱可塑性物質である。デバイスの本体又はチャンバと第2のチャネルとの間の材料を形成する熱可塑性物質は、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、又は他の透明若しくは実質的に透明な熱可塑性物質であり得る。あるいは、又はそれに加えて、材料は、エラストマであり得る。一例では、材料はエラストマ(例えば、ポリジメチルシロキサン)ではない。材料は、剛性又は可撓性であり得る。一例では、材料は剛性である。第2のチャネルとチャンバとの間に配設される材料は、閾値圧力差を上回るガス(例えば、空気、酸素、窒素、アルゴンなど)に透過性であり得る。閾値圧力差未満では、第2のチャネルとチャンバとの間に配設される材料は、不透過性であり得るか、又は実質的に不透過性であり得る。加圧ガス放出は、空気及び他のガスによるマイクロ流体デバイスのファウリングを防止、低減、又は回避し得る。
【0045】
第2のチャネルとチャンバとの間の材料は、適用される異なる圧力差の下で従業員の異なる透過特性であるように構成され得る。例えば、材料は、第1の圧力差(例えば低圧)において気体不透過性であり、第2の圧力差(例えば高圧)において少なくとも部分的に気体透過性であり得る。第1の圧力差(例えば、低圧差)は、約8ポンド/平方インチ(psi)以下、6psi以下、4psi以下、2psi以下、1psi以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、フィルム又は膜は、4psi未満の圧力差で気体に対して実質的に不透過性である。第2の圧力差(例えば、高圧差)は、約1psi以上、2psi以上、4psi以上、6psi以上、8psi以上、10psi以上、12psi以上、14psi以上、16psi以上、20psi以上、又はより高い値以上であり得る。一例では、材料は、4psi以上の圧力で実質的に気体透過性である。
【0046】
第2のチャネル(例えば、ガス放出チャネル)は、第1の断面寸法(例えば、深さ)及び第2の断面寸法(例えば、幅)を有し得る。第2のチャネルの第1及び第2の断面寸法は、同じであり得るか、実質的に同じであり得るか、又は異なり得る。一例では、第1及び第2の断面寸法は同じである。別の例では、第1及び第2の断面寸法は異なる。第1又は第2の断面寸法は、約100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm以下、又はそれ以下であり得る。第1又は第2の断面寸法は、約10μm~20μm、10μm~30μm、10μm~40μm、10μm~50μm、10μm~60μm、10μm~70μm、10μm~80μm、10μm~90μm、10μm~100μm、20μm~30μm、20μm~40μm、20μm~50μm、20μm~60μm、20μm~70μm、20μm~80μm、20μm~90μm、20μm~100μm、30μm~40μm、30μm~50μm、30μm~60μm、30μm~70μm、30μm~80μm、30μm~90μm、30μm~100μm、40μm~50μm、40μm~60μm、40μm~70μm、40μm~80μm、40μm~90μm、40μm~100μm、50μm~60μm、50μm~70μm、50μm~80μm、50μm~90μm、50μm~100μm、60μm~70μm、60μm~80μm、60μm~90μm、60μm~100μm、70μm~80μm、70μm~90μm、70μm~100μm、80μm~90μm、80μm~100μm、又は90μm~100μmであり得る。一例では、第1の断面寸法(例えば、深さ)は、約50μm以下であり得、第2の断面寸法(例えば、幅)は、約50μm以下であり得る。
【0047】
マイクロ流体デバイスは、フィルムを含み得る。フィルムは、チャンバ、第1のチャネル、第2のチャネル、又はそれらの任意の組み合わせを封止し得るか、又は封止しない場合がある。一例では、フィルムはチャンバ及び第1のチャネルを封止する。フィルムは、チャンバ、第1のチャネル、第2のチャネル、又はそれらの任意の組み合わせに気密シールを提供し得る。一例では、フィルムは、チャンバ及び第1のチャネルに気密シールを提供する。一例では、フィルムは、第2のチャネルの少なくとも一部を覆う。第2のチャネルは、フィルムによって覆われておらず、又は封止されてもおらず、周囲環境、したがって周囲圧力に開放されている1つ又は複数の端部を有することができる。あるいは、又はそれに加えて、フィルムは、気密シールを提供し得るか、又は圧力差がフィルムにわたって適用されないときにはガス不透過性であり得、圧力差がフィルムにわたって適用される場合にはガス透過性であり得る。一例では、フィルムは、チャンバ、第1のチャネル、及び第2のチャネルの少なくとも一部を覆うことができる。第2のチャネルの別の部分は、チャンバ及びチャネルの外部の開放環境であり得る。例えば、第2のチャネルの端部は、環境(例えば、周囲圧力)に対して開放され得る。あるいは、又はそれに加えて、第2のチャネルは、密閉され得、(例えば、第2のチャネルへの真空の適用を介して)圧力差を提供するためのポートを含み得る。
【0048】
フィルム又は膜は、薄膜であり得る。フィルム又は膜は、ポリマーであり得る。フィルムは、熱可塑性フィルム又は膜であり得る。フィルム又は膜はエラストマ材料(例えば、ポリジメチルシロキサン)を含まない場合がある。熱可塑性フィルムは、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、又は他の透明若しくは実質的に透明な熱可塑性樹脂を含み得る。気体透過性フィルム又は膜は、流体流路、チャネル、チャンバ、又はそれらの任意の組み合わせを覆うことができる。一例では、気体透過性フィルム又は膜はチャンバを覆う。別の例では、気体透過性フィルム又は膜はチャンバ及びチャネルを覆う。フィルムの気体透過性は、昇圧によって誘発され得る。フィルム又は膜の厚さは、約500マイクロメートル(μm)以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、75μm以下、50μm以下、25μm以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、フィルム又は膜は、約100μm以下の厚さを有する。別の例では、フィルム又は膜は、約50μm以下の厚さを有する。別の例では、フィルム又は膜は、約25μm以下の厚さを有する。フィルム又は膜の厚さは、約10μm~約200μm、10μm~約150μm、又は10μm~100μmであり得る。一例では、フィルム又は膜の厚さは、約25μm~100μmである。一例では、フィルム又は膜の厚さは、約50μm~100μmである。約50μm~100μmの厚さを有するフィルムは、加圧ガス放出を可能にすると同時に、フィルム破裂を低減又は回避するのに十分な厚さであり得る。膜の厚さは、膜の製造可能性、膜の通気性、ガス放出される各チャンバ又はパーティションの容積、利用可能な圧力、又は分配若しくはデジタル化プロセスを完了するための時間によって選択され得る。
【0049】
フィルムは、金属層を含み得る。金属層は、アルミニウム、チタン、ニッケル、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。金属層は、炭素を含み得るか、又は炭素を更に含み得る。一例では、金属層は、金属炭素であり得る。一例では、金属層はアルミニウムを含む。金属層は、フィルムの任意の表面上に配設することができる。一例では、金属層は、フィルムの外部表面(例えば、チャネル又はチャンバの反対側の表面)上に配設されている。金属層は、フィルム層の表面汚染を低減若しくは防止するように構成され得るか、又は低減若しくは防止し得る。フィルム層の汚染は、周囲環境からの塵又は粒子に起因し得る。フィルムは、光学的に透明又は実質的に光学的に透明であり得る。金属層を有するフィルムは、光学的に透明又は実質的に光学的に透明であり得る。
【0050】
金属層は、厚さを有し得る。金属層の厚さは、約100ナノメートル(nm)以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下であり得る。一例では、金属層は、約50nm以下の厚さを有する。別の例では、金属層は、約20nm以下の厚さを有する。金属層の厚さは、約10nm~20nm、10nm~30nm、10nm~40nm、10nm~50nm、10nm~60nm、10nm~70nm、10nm~80nm、10nm~90nm、10nm~100nm、20nm~30nm、20nm~40nm、20nm~50nm、20nm~60nm、20nm~70nm、20nm~80nm、20nm~90nm、20nm~100nm、30nm~40nm、30nm~50nm、30nm~60nm、30nm~70nm、30nm~80nm、30nm~90nm、30nm~100nm、40nm~50nm、40nm~60nm、40nm~70nm、40nm~80nm、40nm~90nm、40nm~100nm、50nm~60nm、50nm~70nm、50nm~80nm、50nm~90nm、50nm~100nm、60nm~70nm、60nm~80nm、60nm~90nm、60nm~100nm、70nm~80nm、70nm~90nm、70nm~100nm、80nm~90nm、80nm~100nm、又は90nm~100nmであり得る。
生体試料の処理方法
【0051】
一態様では、本開示は、生体試料を処理するための方法を提供する。本方法は、第1のチャネル、チャンバに隣接して配置されたチャンバ、及び第2のチャネルを備える流体流路を備えるデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を提供することを含み得る。チャンバは、複数のチャンバのうちの1つであり得る。第2のチャネルは、チャンバと第2のチャネルとの間の圧力差が適用されたときにチャンバから第2のチャネルへのガス流を可能にし、圧力差がないときにチャンバから第2のチャネルへのガス流を防止することができる。本方法は、生体試料を含む溶液の少なくとも一部を第1のチャネルからチャンバに指向することを含み得る。本方法は、チャンバからのガスが第2のチャネルに流れるように、チャンバと第2のチャネルとの間に圧力差を適用することを含み得る。
【0052】
別の態様では、本開示は、生体試料を処理するための方法を提供する。本方法は、チャネルを備える流体流路、チャンバに隣接して配設されたチャンバ、及びチャンバに隣接して配置されたフィルムを備えるデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を提供することを含み得る。チャンバは、複数のチャンバのうちの1つであり得る。フィルムは、金属層を含み得る。本方法は、生体試料を含む溶液の少なくとも一部をチャネルからチャンバに指向することを含み得る。本方法は、チャンバからのガスがフィルムを通ってチャンバの外部環境に流れるように、チャンバとチャンバの外部環境との間に圧力差を適用することを更に含み得る。あるいは、又はそれに加えて、金属層は、フィルムを通るガス流を妨げることができる。
【0053】
図2A~2Fは、マイクロ流体デバイスを充填するための例示的な方法を概略的に示す。図2Aは、試料213又は試料及び非混和性流体をマイクロ流体デバイスに装填することを概略的に示す。マイクロ流体デバイスは、入力ポート201、第1のチャネル202、及びチャンバ204を含み得る。第1のチャネル202の一端は、行き止まり203又は他の方法で入口若しくは出口ポートに結合されない端部を含み得る。マイクロ流体デバイスの第1のチャネル202及びチャンバ204は、空気で充填され得る。試料213は、入力ポート201に指向され得るか、又は注入され得る。図1Bは、試料213を第1のチャネル102内に装填するためにマイクロ流体デバイスを加圧することを概略的に示す。圧力が印加されると、試料213は、第1のチャネル202の両端を同時に通って指向され得るか、又は第1のチャネル202の一端は、行き止まり203であり得る。図1Cは、流体流路を脱気又はガス放出し、試料を第1のチャネル202の中に装填し続けるための連続加圧を概略的に図示する。試料213がチャンバ104に進入すると、第1のチャネル202の一部は、試料と同時に、又は連続して添加され得る油又はガスなどの不混和性流体214で充填され得る(例えば、試料の後に不混和性流体が続く)。試料213及び不混和性流体214が第1のチャネル202及びチャンバ204を充填すると、空気は、フィルム若しくは膜を通って、又はガス放出チャネル206(例えば、第2のチャネル)に入ってデバイスから出るように、指向され得る。図1Dは、チャンバ204内への試料213の部分的なデジタル化と、第1のチャネル202内への不混和性流体214の継続的な装填とを概略的に示す。試料213がチャンバ204に進入すると、チャンバ204内の空気は、フィルム若しくは膜を通って、又はガス放出チャネル206(例えば、第2のチャネル)に入るように変位され得る。図1Eは、更なるデジタル化及び空気の変位を概略的に示す。不混和性流体214が両端からチャネルを充填すると、試料がチャンバ204内に指向され、第1のチャネル202内の試料213の体積が減少する。図1Fは、試料213の完全なデジタル化を概略的に示し、この場合、非混和性流体214が第1のチャネル202全体を満たし、試料213がチャンバ204内に単離されている。別の例では、デバイスは、複数の入口ポートを有し、試料及び非混和性流体は、チャネル及びチャンバを充填するために各ポートに同時に適用される。
【0054】
生体試料を処理及び分析するための方法は、本明細書の他の場所に記載されるような任意のデバイスを使用し得る。デバイスは、複数のチャンバを含み得る。デバイスは、単一の入口ポート又は複数の入口ポートを含み得る。一例では、デバイスは、単一の入口ポートを含む。別の例では、デバイスは、2つ以上の入口ポートを含む。デバイスは、本明細書の他の箇所に記載されているようなデバイスであり得る。
【0055】
本方法は、単一又は複数の圧力差を入口ポートに適用して、溶液を入口ポートから第1のチャネルに指向することを含み得る。あるいは、又はそれに加えて、デバイスは、複数の入口ポートを含み得、圧力差は、複数の入口ポートに適用され得る。デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)の入口は、空気ポンプ、真空源又は圧縮機などの流体流モジュールと流体連通し得る。流体流モジュールは、入口に正圧又は負圧を提供することができる。流体流モジュールは、圧力差を適用して、デバイスを試料で充填し、試料をチャンバ内に分配(例えば、デジタル化)し得る。あるいは、又はそれに加えて、試料は、本明細書の他の箇所に記載されるように複数のチャンバに分配され得る。試料の充填及び分配は、チャンバとチャネルとの間の弁を使用せずに実行されて、試料を単離し得る。例えば、チャネルの充填は、入口ポート内の試料とチャネルとの間に圧力差を適用することによって実行され得る。この圧力差は、試料を加圧するか、又はチャネル若しくはチャンバに真空を適用することによって達成され得る。チャンバの充填及び試料を含む溶液の分配は、チャネルとチャンバとの間に圧力差を適用することによって実行され得る。これは、入口ポートを介してチャネルを加圧するか、又はチャンバに真空を適用することによって達成され得る。試料を含む溶液は、各チャンバが溶液の少なくとも一部を収容するようにチャンバに入ることができる。
【0056】
場合によっては、単一の圧力差を使用して、生体試料(関心対象の分子標的を含む)を有する溶液をチャネルに送達することができ、同じ圧力差を使用して、溶液を有するチャンバをデジタル化し続ける(すなわち、チャネルからチャンバに溶液を送達する)ことができる。更に、単一圧力差は、チャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気を可能にするのに十分に高くてもよい。あるいは、又はそれに加えて、試料を含む溶液をチャネルに送達するための圧力差は、第1の圧力差であり得る。チャネルからチャンバに溶液を送達するための圧力差は、第2の圧力差であり得る。第1及び第2の圧力差は、同じであり得るか、又は異なり得る。一例では、第2の圧力差は、第1の圧力差よりも大きくてもよい。あるいは、第2の圧力差は、第1の圧力差よりも小さくてもよい。第1の圧力差、第2の圧力差、又は両方は、チャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気を可能にするのに十分に高くてもよい。場合によっては、第3の圧力差を使用して、第1のチャネル、チャンバ、又はその両方の加圧ガス抜き又は脱気を可能にすることができる。第1のチャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気は、第2のチャネル又はフィルム又は膜によって可能にされ得る。例えば、圧力閾値に達すると、フィルム又は膜は、ガスが、チャンバ、第1のチャネル、又はチャンバ及び第1のチャネルの両方からフィルム又は膜を通ってチャンバ又は第1のチャネルの外側の環境に移動することを可能にし得る。
【0057】
第2のチャネル又はフィルム又は膜は、適用される異なる圧力差の下で従業員の異なる透過特性であり得る。例えば、第2のチャネル又はフィルム又は膜は、第1の圧力差(例えば低圧)において気体不透過性であり、第2の圧力差(例えば高圧)において気体透過性であり得る。第1及び第2の圧力差は、同じであり得るか、又は異なり得る。マイクロ流体デバイスの充填中、入口ポートの圧力は、第1のチャネルの圧力よりも高くてもよく、入口ポート内の溶液がチャネルに入ることを可能にする。第1の圧力差(例えば、低圧差)は、約8psi以下、6psi以下、4psi以下、2psi以下、1psi以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、第1の圧力差は、約1psi~8psiであり得る。別の例では、第1の圧力差は、約1psi~6psiであり得る。別の例では、第1の圧力差は、約1psi~4psiであり得る。デバイスのチャンバは、入口とチャンバとの間に第2の圧力差を適用することによって充填され得る。第2の圧力差は、流体を第1のチャネルからチャンバ内に指向し得、ガスを第1のチャネル又はチャンバから第1のチャネル又はチャンバの外部の環境に指向し得る。第2の圧力差は、約1psi以上、2psi以上、4psi以上、6psi以上、8psi以上、10psi以上、12psi以上、14psi以上、16psi以上、20psi以上、又はより高い値以上であり得る。一例では、第2の圧力差は、約4psiより大きい。別の例では、第2の圧力差は、約8psiより大きい。マイクロ流体デバイスは、約20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、2分以下、1分以下、又はそれ未満以下の間、第1の圧力差、第2の圧力差、又はそれらの組み合わせを適用することによって、充填され、試料が分配され得る。
【0058】
試料は、生体試料を含む水溶液と不混和性のガス又は流体でチャネルを埋め戻すことによって、第1のチャネルから過剰な試料を除去することによって分配され得る。非混和性流体は、試料を含む溶液が最初にチャネルに入り、続いて非混和性流体が入るように、溶液を提供した後に提供され得る。非混和性流体は、水性流体と混合しない任意の流体であり得る。ガスは、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、希ガス、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。不混和性流体は、油又は有機溶媒であり得る。例えば、不混和性流体は、シリコーン油又はシリコーン油と比較して同様の特性を有する他のタイプの油/有機溶媒であり得る。あるいは、チャネルから試料を除去することにより、1つのチャンバ内の試薬が吸い上げ開口部を通ってチャネル内及び他のチャンバ内に拡散するのを防ぎ得る。チャネル内の試料は、試料がチャネル内に残らないように試料をチャンバに分割することによって、又は過剰な試料を第1のチャネルから除去することによって、除去され得る。
【0059】
溶液を第1のチャネルから1つ又は複数のチャンバに指向することにより、試料を分配し得る。デバイスは、試料をチャンバ内に分配するか、又は試料をデジタル化することを可能にし、それによって、チャネル又は吸い上げ開口部に残留溶液が残らなくなる(例えば、試料デッドボリュームがなくなるか、又は実質的になくなる)。試料を含む溶液は、試料デッドボリュームが0又は実質的に0であるように(例えば、デバイス内に投入された全ての試料及び試薬がチャンバ内で流体的に単離される)分配されてもよく、これにより試料及び試薬の無駄を防止するか又は低減させることができる。あるいは、又はそれに加えて、試料は、チャンバの容積よりも小さい試料容積を提供することによって分配され得る。第1のチャネルの容積は、第1のチャネル内に装填される全ての試料がチャンバに分配されるように、チャンバの全容積未満であり得る。試料を含む溶液の総体積は、チャンバの総容積未満であり得る。溶液の体積は、チャンバの総容積の100%以下、99%以下、98%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、又はそれ未満以下であり得る。溶液は、ガス又は非混和性流体が入口ポートに加えられるのと同時に、又はその前に、入口ポートに加えられ得る。ガス又は非混和性流体の体積は、チャンバを流体的に単離するために、第1のチャネルの容積以上であり得る。少量のガス又は非混和性流体が、吸い上げ開口部又はチャンバに入ることができる。
【0060】
図3は、試料のデジタル化のための例示的な方法を概略的に示す。試料及び非混和性流体は、マイクロ流体デバイスの入口ポートに提供され得る301。入口ポートを加圧して302、試料及び非混和性流体をチャネルに装填することができる。入口ポートを更に加圧して、試料をチャンバ内に装填し、チャネルを不混和性流体で充填して、試料の完全なデジタル化を提供することができる304。
【0061】
試料の分配は、試薬内の指示薬の存在によって確認され得る。指示薬は、検出可能な部分を備える分子を含み得る。検出可能な部分は、放射性種、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、比色標識、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。放射性種の非限定的な例には、3H、14C、22Na、32P、33P、35S、42K、45Ca、59Fe、123I、124I、125I、131I、又は203Hgが含まれる。蛍光標識の非限定的な例には、蛍光タンパク質、光学活性色素(例えば、蛍光色素)、有機金属フルオロフォア、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。化学発光標識の非限定的な例には、ウミホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、及びホタルルシフェラーゼなどのルシフェラーゼクラスの酵素が含まれる。酵素標識の非限定的な例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase、HRP)、アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase、AP)、βガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、又は他のタイプの標識が含まれる。
【0062】
指示薬分子は、蛍光分子であり得る。蛍光分子には、蛍光タンパク質、蛍光色素、及び有機金属フルオロフォアが含まれ得る。いくつかの実施形態では、指示薬分子は、タンパク質フルオロフォアである。タンパク質フルオロフォアには、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP、スペクトルの緑色領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に500~550ナノメートルの波長を有する光を放射する)、シアン蛍光タンパク質(cyan-fluorescent protein、CFP、スペクトルのシアン領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に450~500ナノメートルの波長を有する光を放射する)、赤色蛍光タンパク質(red fluorescent protein、RFP、スペクトルの赤色領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に600~650ナノメートルの波長を有する光を放出する)が含まれ得る。タンパク質フルオロフォアの非限定的な例には、AcGFP、AcGFP1、AmCyan、AmCyan1、AQ143、AsRed2、Azami Green、Azurite、BFP、Cerulean、CFP、CGFP、Citrine、copGFP、CyPet、dKeima-Tandem、DsRed、dsRed-Express、DsRed-Monomer、DsRed2、dTomato、dTomato-Tandem、EBFP、EBFP2、ECFP、EGFP、Emerald、EosFP、EYFP、GFP、HcRed-Tandem、HcRed1、JRed、Katuska、Kusabira Orange、Kusabira Orange2、mApple、mBanana、mCerulean、mCFP、mCherry、mCitrine、mECFP、mEmerald、mGrape1、mGrape2、mHoneydew、Midori-Ishi Cyan、mKeima、mKO、mOrange、mOrange2、mPlum、mRaspberry、mRFP1、mRuby、mStrawberry、mTagBFP、mTangerine、mTeal、mTomato、mTurquoise、mWasabi、PhiYFP、ReAsH、Sapphire、Superfolder GFP、T-Sapphire、TagCFP、TagGFP、TagRFP、TagRFP-T、TagYFP、tdTomato、Topaz、TurboGFP、Venus、YFP、YPet、ZsGreen、及びZsYellow1の、突然変異体並びにスペクトル変異体が含まれる。
【0063】
指示薬分子は、蛍光色素であり得る。蛍光色素の非限定的な例には、SYBR green、SYBR blue、DAPI、ヨウ化プロピジウム、Hoeste、SYBR gold、エチジウムブロマイド、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、フルオロクマニン(fluorcoumanin)、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ジスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミトラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジン及びアクリジン、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー-1及び-2、エチジウムモノアジド、並びにACMA、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580、DAPI、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44、-45(青)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14、-25(緑)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84、-85(オレンジ)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60、-63(赤)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、Texas Red、Phar-Red、アロフィコシアニン(APC)、Sybr Green I、Sybr Green II、Sybr Gold、CellTracker Green、7-AAD、エチジウムホモダイマーI、エチジウムホモダイマーII、エチジウムホモダイマーIII、エチジウムブロマイド、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン(dichlorotriazinylamine fluorescein)、ダンシルクロリド、ユウロピウム及びテルビウムを含むものなどの蛍光性ランタニド錯体、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5及び/若しくは6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(若しくは6-)ヨードアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(及び3)-5-(アセチルメルカプト)-スクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5及び/若しくは6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウム塩、3,6-ジスルホナート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、AlexaFluor 350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750、及び790色素、DyLight 350、405、488、550、594、633、650、680、755、及び800色素、又はその他のフルオロフォアが含まれる。
【0064】
指示薬分子は、有機金属フルオロフォアであり得る。有機金属フルオロフォアの非限定的な例には、ランタニドイオンキレートが含まれ、その非限定的な例には、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10-フェナントロリン)ユウロピウム(III)、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(5-アミノ-1,10-フェナントロリン)ユウロピウム(III)、及びLumi4-Tbクリプテートが含まれる。
【0065】
本方法は、溶液の1つ以上の成分、生体試料の1つ以上の成分、又は生体試料の1つ以上の成分との反応を検出することを更に含み得る。溶液の1つ以上の成分、生体試料の1つ以上の成分又は反応を検出することは、チャンバを撮像することを含み得る。マイクロ流体デバイスの画像を撮影することができる。画像は、単一のチャンバを撮影するか、チャンバのアレイを撮影するか、又は同時にチャンバの複数のアレイを撮影することによって得ることができる。画像は、マイクロ流体デバイスの本体を通して撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスのフィルム又は膜を通して撮影され得る。一例では、画像は、マイクロ流体デバイスの本体及びフィルムの両方を介して撮影される。マイクロ流体デバイスの本体は、実質的に光学的に透明であり得る。代替的に、マイクロ流体デバイスの本体は、実質的に光学的に不透明であり得る。一例では、フィルム又は膜は、実質的に光学的に透明であり得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填する前に撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填した後に撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填している間に撮影され得る。画像は、試料の分配を検証するために撮影され得る。画像は、反応の産物を監視するために、反応中に撮影される。一例では、反応の産物は、増幅産物を含む。画像は、特定の間隔で撮影され得る。あるいは、又はそれに加えて、マイクロ流体デバイスのビデオが撮影され得る。指定された間隔は、反応中に少なくとも約300秒ごと、240秒ごと、180秒ごと、120秒ごと、90秒ごと、60秒ごと、30秒ごと、15秒ごと、10秒ごと、5秒ごと、4秒ごと、3秒ごと、2秒ごと、1秒ごと、又はそれ以上の高い頻度で画像を撮影することを含み得る。
【0066】
生体試料は、核酸分子、タンパク質、酵素、抗体、又は他の生体分子などであるがこれらに限定されない任意の生体分析物であり得る。一例では、生体試料は、1つ以上の核酸分子を含む。核酸分子を処理することは、1つ又は複数のチャンバを熱サイクルさせて核酸分子を増幅することを更に含み得る。方法は、チャネル又はチャンバの温度を制御することを更に含み得る。マイクロ流体デバイスを使用するための方法は、核酸試料の増幅を更に含み得る。マイクロ流体デバイスは、核酸分子、増幅反応に必要な成分、指示薬分子、及び増幅プローブを含む増幅試薬で充填され得る。増幅は、複数のチャンバを熱サイクルすることによって実行され得る。核酸増幅の検出は、マイクロ流体デバイスのチャンバを画像化することによって実行され得る。核酸分子は、核酸分子の増幅に成功したチャンバを数え、ポアソン統計を適用することによって定量化され得る。いくつかの実施形態では、核酸の増幅及び定量化は、単一の統合されたユニットで実行され得る。
【0067】
様々な核酸増幅反応を用いて、試料中の核酸分子を増幅し、増幅産物を生成し得る。核酸標的の増幅は、一次的、指数関数的、又はそれらの組み合わせであり得る。核酸増幅法の非限定的な例には、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応、逆転写、等温増幅、リガーゼ連鎖反応、ヘリカーゼ依存性増幅、非対称増幅、ローリングサークル増幅、及び多重置換増幅が含まれる。いくつかの実施形態では、増幅産物は、DNA又はRNAである。DNA増幅を対象とする実施形態については、任意のDNA増幅方法が採用され得る。DNA増幅方法には、PCR、リアルタイムPCR、アセンブリPCR、非対称PCR、デジタルPCR、ダイヤルアウトPCR、ヘリカーゼ依存性PCR、ネステッドPCR、ホットスタートPCR、インバースPCR、メチル化特異的PCR、ミニプライマーPCR、マルチプレックスPCR、重複伸長PCR、熱非対称インターレースPCR、タッチダウンPCR、及びリガーゼ連鎖反応が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、DNA増幅は、一次的、指数関数的、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、DNA増幅は、デジタルPCR(dPCR)により達成される。
【0068】
核酸増幅に使用される試薬には、重合酵素、リバースプライマー、フォワードプライマー、及び増幅プローブが含まれ得る。重合酵素の例には、核酸ポリメラーゼ、転写酵素、又はリガーゼ(すなわち、結合の形成を触媒する酵素)が含まれるが、これらに限定されない。重合酵素は、天然に存在するか、又は合成され得る。ポリメラーゼの例には、DNAポリメラーゼ、及びRNAポリメラーゼ、熱安定性ポリメラーゼ、野生型ポリメラーゼ、改変ポリメラーゼ、E.coliDNAポリメラーゼI、T7DNAポリメラーゼ、バクテリオファージT4DNAポリメラーゼΦ29(phi29)DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Tliポリメラーゼ、PfuポリメラーゼPwoポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ、Ex-Taqポリメラーゼ、LA-Tawポリメラーゼ、SsoポリメラーゼPocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、MthポリメラーゼES4ポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、Tneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、Tcaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Platinum Taqポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、Pfutuboポリメラーゼ、Pyrobestポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有するクレノウ断片ポリメラーゼ、並びにそれらの変異体、改変された産物、及び誘導体が含まれる。ホットスタートポリメラーゼの場合、約92℃~95℃の温度で約2分~10分の期間の変性サイクルが用いられ得る。
【0069】
増幅プローブは、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブであり得る。増幅プローブは、増幅産物とハイブリダイズされたとき、光学活性であり得る。いくつかの実施形態では、増幅プローブは、核酸増幅が進行するにつれて検出可能であるか又は検出可能になる。光信号の強度は、増幅産物の量に比例し得る。プローブは、本明細書に記載の光学活性な検出可能な部分(例えば、色素)のいずれかに連結され得、更に会合した色素の光学活性を遮断することができるクエンチャーを含み得る。検出可能な部分として有用であり得るプローブの非限定的な例には、TaqManプローブ、TaqMan Tamaraプローブ、TaqMan MGBプローブ、Lionプローブ、ロックされた核酸プローブ、又は分子ビーコンが含まれる。プローブの光学活性を遮断するのに有用であり得るクエンチャーの非限定的な例には、Black Hole Quencher(BHQ)、Iowa Black FQ及びRQ quencher、又はInternal ZEN Quencherが含まれる。あるいは、又はそれに加えて、プローブ又はクエンチャーは、本開示の方法の文脈において有用である任意のプローブであり得る。
【0070】
増幅プローブは、二重標識蛍光プローブである。二重標識プローブは、核酸と連結した蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーを含み得る。蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーは、互いに近接して位置決めされ得る。蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーが近接していることにより、蛍光レポーターの光学活性を遮断し得る。二重標識プローブは、増幅される核酸分子に結合し得る。増幅中、蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーは、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって切断され得る。増幅プローブから蛍光レポーター及びクエンチャーを切断することにより、蛍光レポーターがその光学活性を取り戻し、検出が可能になり得る。二重標識蛍光プローブは、最大励起波長が少なくとも約450ナノメートル(nm)、500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれ以上、及び最大発光波長が約500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれ以上を有する5’蛍光レポーターを含み得る。二重標識蛍光プローブはまた、3’蛍光クエンチャーを含み得る。蛍光クエンチャーは、約380nm~550nm、390nm~625nm、470nm~560nm、480nm~580nm、550nm~650nm、550nm~750nm、又は620nm~730nmの蛍光発光波長をクエンチし得る。
【0071】
核酸増幅は、マイクロ流体デバイスのチャンバを熱サイクルすることによって実行され得る。熱サイクルは、マイクロ流体デバイスに加熱又は冷却を加えることによってマイクロ流体デバイスの温度を制御することを含み得る。加熱又は冷却方法には、抵抗加熱若しくは冷却、放射加熱若しくは冷却、伝導加熱若しくは冷却、対流加熱若しくは冷却、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。熱サイクルは、核酸分子をある持続期間にわたって変性させるのに十分に高い温度でチャンバをインキュベートし、続いて伸長温度で伸長期間にわたってチャンバをインキュベートするサイクルを含み得る。変性温度は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。変性温度は、約80℃~110℃であり得る。85℃~約105℃、90℃~約100℃、90℃~約98℃、92℃~約95℃であり得る。変性温度は、少なくとも約80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃又はそれ以上であり得る。
【0072】
変性の持続期間は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。変性の持続期間は、約300秒以下、240秒、180秒、120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。
【0073】
伸長温度は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。伸長温度は、約30℃~80℃、35℃~75℃、45℃~65℃、55℃~65℃、又は40℃~60℃であり得る。伸長温度は、少なくとも約35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、又は80℃であり得る。
【0074】
伸長時間は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、伸長の持続期間は、約300秒以下、240秒、180秒、120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。代替の実施形態では、伸長の持続期間は、約120秒以下、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。一例では、伸長反応の持続期間は、約10秒以下である。
【0075】
核酸増幅は、熱サイクルの複数のサイクルを含み得る。任意の好適な数のサイクルが実行され得る。実行されるサイクルの数は、約5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100サイクル、又はそれ以上であり得る。実行されるサイクルの数は、検出可能な増幅産物を得るためのサイクルの数に依存し得る。例えば、dPCR中に核酸増幅を検出するためのサイクル数は、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5サイクル以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、約40サイクル以下が使用され、サイクル時間は約20分以下である。
【0076】
検出可能な量の増幅産物に到達する時間は、特定の核酸試料、使用される試薬、用いられる増幅反応、用いられる増幅サイクルの数、及び反応条件に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、検出可能な量の増幅産物に到達する時間は、約120分以下、90分以下、60分以下、50分以下、40分以下、30分以下、20分以下、10分以下、又は5分以下であり得る。一例では、検出可能な量の増幅産物には、20分未満で到達され得る。
【0077】
図4は、マイクロ流体デバイスをデジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)に使用するための例示的な方法を概略的に示す。試料及び試薬は、図2A~2Fに示されるように分配され得る401。試料及び試薬は、チャンバ内の試薬に対してPCR反応を実行するために熱サイクル402に供され得る。熱サイクルは、例えば、フラットブロックサーマルサイクラーを使用して実行され得る。画像取得403は、どのチャンバがPCR反応の実行に成功したかを決定するために実行され得る。画像取得は、例えば、3色プローブ検出ユニットを使用して実行され得る。403において判定されたチャンバのカウントにポアソン統計を適用して404、肯定的なチャンバの生の数を核酸濃度に変換する。
生体試料を処理又は分析するためのシステム
【0078】
一態様では、本開示は、生体試料を処理するためのシステムを提供し得る。システムは、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)と、ホルダと、流体流チャネルと、を含み得る。システムは、任意のデバイスと一緒に使用され得るか、又は本明細書の他の箇所で説明する任意の方法を実施しる。ホルダは、処理中にデバイスを受容して保持するように構成され得る。流体流モジュールは、入口ポートに流体結合し、圧力差を供給して、溶液を入口ポートからチャネルに流動させるように構成され得る。加えて、流体流モジュールは、圧力差を供給して溶液の少なくとも一部を第1のチャネルからチャンバに流動させるように構成され得る。
【0079】
ホルダは、デバイスを保持するための棚、レセプタクル、又はステージであり得る。一例では、ホルダは移送ステージである。移送ステージは、マイクロ流体デバイスを入れ、マイクロ流体デバイスを保持し、マイクロ流体デバイスを出すように構成され得る。マイクロ流体デバイスは、本明細書の他の箇所に記載されている任意のデバイスであり得る。移送ステージは、1つ以上の座標で静止し得る。あるいは、又はそれに加えて、移送ステージは、X方向、Y方向、Z方向、又はそれらの任意の組み合わせに移動することが可能であり得る。移送ステージは、単一のマイクロ流体デバイスを保持することが可能であり得る。あるいは、又はそれに加えて、移送ステージは2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のマイクロ流体デバイスを保持することが可能であり得る。
【0080】
流体流モジュールは、空気圧モジュール、真空モジュール、又はその両方であり得る。流体流モジュールは、マイクロ流体デバイスの入口ポートと流体連通するように構成され得る。流体流モジュールは、複数の入口ポートに接続することができる複数の接続点を有し得る。流体流モジュールは、一度にチャンバの単一のアレイを充填、埋め戻し、かつ分配するか、又はチャンバの複数のアレイを並行して充填、埋め戻し、かつ分配することが可能であり得る。流体流モジュールは、真空モジュールと組み合わされた空気圧モジュールであり得る。空気圧モジュールは、マイクロ流体デバイスに増大させた圧力を提供し得るか、又はマイクロ流体デバイスに真空を提供し得る。
【0081】
システムは、熱モジュールを更に備え得る。熱モジュールは、マイクロ流体デバイスのチャンバと熱連通するように構成され得る。サーマルモジュールは、チャンバの単一のアレイの温度を制御するか、又はチャンバの複数のアレイの温度を制御するように構成され得る。チャンバのアレイは、熱モジュールによって個別にアドレス指定可能であり得る。例えば、熱モジュールは、チャンバの全てのアレイにわたって同じ熱的プログラムを実行するか、又はチャンバの異なるアレイに対して異なる熱的プログラムを実行し得る。熱モジュールは、マイクロ流体デバイス又はマイクロ流体デバイスのチャンバと熱連通することができる。熱モジュールは、マイクロ流体デバイスを加熱又は冷却し得る。マイクロ流体デバイスの1つ以上の表面は、熱モジュールと直接的に接触することができる。代替的に、又はそれに加えて、熱伝導性材料は、熱モジュールとマイクロ流体デバイスとの間に配設され得る。熱モジュールは、変動が約2℃、1.5℃、1℃、0.9℃、0.8℃、0.7℃、0.6、0.5℃、0.4℃、0.3℃、0.2℃、0.1℃、又はそれ未満以下になるように、マイクロ流体デバイスの表面全体にわたって温度を維持し得る。熱モジュールは、温度設定点の約±0.5℃以内、0.4℃以内、0.3℃以内、0.2℃以内、0.1℃以内、0.05℃以内、又は温度設定点により近い温度になるように、マイクロ流体デバイスの表面の温度を維持し得る。
【0082】
システムは、検出モジュールを更に含み得る。検出モジュールは、電子検出又は光学検出を提供し得る。一例では、検出モジュールは、光学検出を提供する光学モジュールである。光学モジュールは、複数の波長の光を放射かつ検出するように構成され得る。発光波長は、使用される指示薬及び増幅プローブの励起波長に対応し得る。放射される光は、約450nm、500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれらの任意の組み合わせの最大強度を有する波長を含み得る。検出される光は、約500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれらの任意の組み合わせの最大強度を有する波長を含み得る。光学ユニットは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上よりも多い波長の光を放射するように構成され得る。光学モジュールは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上よりも多い波長の光を検出するように構成され得る。1つの放射された光の波長は、指示薬分子の励起波長に対応し得る。別の放射された光の波長は、増幅プローブの励起波長に対応し得る。1つの検出された光の波長は、指示薬分子の発光波長に対応し得る。別の検出された光の波長は、チャンバ内の反応を検出するために使用される増幅プローブに対応し得る。光学モジュールは、チャンバのアレイのセクションを画像化するように構成され得る。あるいは、又はそれに加えて、光学モジュールは、チャンバのアレイ全体を単一の画像で画像化し得る。一例では、光学モジュールは、デバイスのビデオを撮影するように構成されている。
【0083】
図5は、単一のシステムにおいて図4のプロセスを実行するためのシステム500を示す。機械500は、流体流モジュール501を含み、流体流モジュール501は、ポンプ、真空、及びマニホールドを含み得、かつZ方向に移動され得、図2A~2Fに記載されているような圧力の適用を実行するように動作可能である。システム500はまた、マイクロ流体デバイスを熱サイクルさせ、それによってポリメラーゼ連鎖反応を実行させるための、フラットブロックサーマルサイクラーなどの熱モジュール502を含む。システム500は更に、落射蛍光光学モジュールなどの光学モジュール503を含み、光学モジュール503は、マイクロ流体デバイス内のどのチャンバがPCR反応の実行に成功したかを光学的に判定することができる。光学モジュール503は、この情報をプロセッサ504に供給し得、プロセッサ504は、ポアソン統計を使用して、成功したチャンバの生のカウントを核酸濃度に変換する。ホルダ505を使用して、所与のマイクロ流体デバイスを様々なモジュール間で移動させ、複数のマイクロ流体デバイスを同時に取り扱う場合がある。上記のマイクロ流体デバイスをこの機能を単一の機械に組み込むことと組み合わせると、dPCRの他の実装よりも、コスト、ワークフローの複雑さ、及びdPCRのスペース要件を低減させることができる。
【0084】
システムは、ロボットアームを更に含むことができる。ロボットアームは、マイクロ流体デバイスの位置を移動、変更、又は構成することができる。あるいは、又はそれに加えて、ロボットアームは、システムの他の構成要素(例えば、流体流モジュール又は検出モジュール)を配置し得るか、又は移動させ得る。検出ユニットは、カメラ(例えば、相補型金属酸化フィルム半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)カメラ)及びフィルタキューブを含み得る。フィルタキューブは、励起光の波長又はカメラによって検出される光の波長を変更又は修正することができる。流体流モジュールは、マニホールド(例えば、空気圧マニホールド)又は1つ以上のポンプを備えることができる。マニホールドは、マニホールドがマイクロ流体デバイスに接触しないように直立位置にあり得る。直立位置は、マイクロ流体デバイスを装填又はイメージングするときに使用できる。マニホールドは、マニホールドがマイクロ流体デバイスと接触するように下向き位置にあり得る。マニホールドは、流体(例えば、試料及び試薬)をマイクロ流体デバイスに装填するために使用され得る。マニホールドは、マイクロ流体デバイスに圧力を加えて、デバイスを適所に保持するか、又は使用中の反り、曲がり、若しくは他の応力を防止することができる。一例では、マニホールドは下向きの圧力を適用し、熱モジュールに対してマイクロ流体デバイスを保持する。
【0085】
システムは、1つ以上のコンピュータプロセッサを更に含むことができる。1つ以上のコンピュータプロセッサは、流体流モジュール、ホルダ、熱モジュール、検出モジュール、ロボットアーム、又はそれらの任意の組み合わせに動作可能に結合され得る。一例では、1つ以上のコンピュータプロセッサは、流体流モジュールに動作可能に結合される。1つ以上のコンピュータプロセッサは、個別に又は集合的にプログラムされて、流体流モジュールが入口ポートに流体結合されるとき、入口ポートに圧力差を供給するように流体流モジュールに指示し、溶液を入口ポートからチャネルに、又はチャネルからチャンバに流動させ、それによって、チャンバの加圧ガス放出を通して分配し得る。
【0086】
例えば、dPCRの用途の文脈で説明されている一方、ガス又は他の流体を介して単離された、液体で充填された多数の単離されたチャンバを必要とし得る他のマイクロ流体デバイスは、薄い熱可塑性フィルムの使用から利益を得て、ガス放出を可能にし、ガスファウリングを回避すると同時に、更に製造可能性及びコストの面で利点を提供し得る。PCR以外に、ループ介在等温増幅などの他の核酸増幅法を、本開示の実施形態による特定の核酸配列のデジタル検出を実行するように適合させることができる。チャンバはまた、単離される細胞の直径に近くなるように設計された吸い上げ開口部によって、単一の細胞を単離するために使用することができる。いくつかの実施形態では、吸い上げ開口部が血球のサイズよりもはるかに小さい場合、本開示の実施形態を使用して、全血から血漿を分離することができる。
コンピュータシステム
【0087】
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図6は、生体試料(例えば、核酸分子)を処理及び分析するためにプログラムされるか、又はそうでなければ構成されるコンピュータシステム601を示す。コンピュータシステム601は、本開示のシステム及び方法の様々な態様、例えば、生体試料の装填、デジタル化、及び分析などを調節することができる。コンピュータシステム601は、ユーザの電子デバイス、又は電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、生物学的分析システムを監視及び制御することが可能であるか、又はそうでなければそのように構成されたモバイル電子デバイスとすることができる。
【0088】
コンピュータシステム601は、中央処理装置(central processing unit、CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」ともいう)605を含み、中央処理装置605は、シングルコア若しくはマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム601はまた、メモリ若しくはメモリ場所610(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット615(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース620(例えば、ネットワークアダプタ)、並びにキャッシュ、他のメモリ、データ記憶デバイス、及び/又は電子ディスプレイアダプタなどの周辺デバイス625を含む。メモリ610、記憶ユニット615、インターフェース620、及び周辺デバイス625は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU605と通信している。記憶ユニット615は、データを格納するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム601は、通信インターフェース620の助けを借りて、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)630に動作可能に結合することができる。ネットワーク630は、インターネット、インターネット若しくはエクストラネット、又はインターネットと通信するイントラネット若しくはエクストラネットであり得る。ネットワーク630は、場合によっては、電気通信又はデータネットワークである。ネットワーク630は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1つ以上のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク630は、場合によっては、コンピュータシステム601の助けを借りて、ピアツーピアネットワークを実施することができ、これにより、コンピュータシステム601に結合されているデバイスがクライアント又はサーバとして動作することが可能になり得る。
【0089】
CPU605は、プログラム又はソフトウェアで具体化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ610などのメモリ場所に格納され得る。命令は、CPU605に向けられ得、それによって、その後、本開示の方法を実施するようにCPU605をプログラム又は他の方法で構成することができる。CPU605によって実行される動作の例には、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックが含まれ得る。
【0090】
CPU605は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム601の1つ以上の他の構成要素を回路に含めることができる。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0091】
記憶ユニット615は、ドライバ、ライブラリ、及び保存されたプログラムなどのファイルを格納することができる。記憶ユニット615は、ユーザデータ、例えば、ユーザプリファレンス及びユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム601は、場合によっては、イントラネット又はインターネットを介してコンピュータシステム601と通信しているリモートサーバ上に位置するなど、コンピュータシステム601の外部にある1つ以上の追加のデータ記憶ユニットを含むことができる。
【0092】
コンピュータシステム601は、ネットワーク630を介して1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム601は、ユーザ(例えば、検査技師、科学者、研究者、又は医療従事者)のリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート若しくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、又はパーソナルデジタルアシスタントが含まれる。ユーザは、ネットワーク630を介してコンピュータシステム601にアクセスすることができる。
【0093】
本明細書に記載の方法は、例えば、メモリ610又は電子記憶ユニット615などのコンピュータシステム601の電子的記憶場所に格納された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能又は機械読み取り可能コードは、ソフトウェアの形式で提供できる。使用中、コードはプロセッサ605によって実行できる。場合によっては、コードは、記憶ユニット615から検索することができ、プロセッサ605による容易なアクセスのためにメモリ610に格納することができる。状況によっては、電子記憶ユニット615を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ610上に格納される。
【0094】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械で使用するために事前にコンパイルかつ構成することができるか、又は実行時にコンパイルすることができる。コードは、コードを事前コンパイル済み又はコンパイル済みの様式で実行できるように選択できるプログラミング言語で提供できる。
【0095】
コンピュータシステム601など、本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具体化することができる。技術の様々な態様は、機械(又はプロセッサ)の実行可能コード又は機械可読媒体のタイプで実行若しくは具体化される関連データの形式の「製品」又は「製造品」と考えられ得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)、又はハードディスクなどの電子記憶ユニットに格納できる。「記憶」タイプの媒体は、いかなる時にもソフトウェアプログラミングに対して非一時的な記憶装置を提供し得る、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、又はそれらの関連するモジュールのいずれか又は全てを含むことができる。ソフトウェアの全部又は一部は、時には、インターネット又は様々な他の電気通信ネットワークを介して通信される場合がある。そのような通信は、例えば、あるコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータへの、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を搭載し得る別のタイプの媒体には、有線及び光地上通信線ネットワークを通して、並びに様々なエアリンク上で、ローカルデバイス間の物理インターフェース全体に使用されるような、光波、電波、及び電磁波が含まれる。有線若しくは無線リンク、又は光リンクなどの、そのような波を運ぶ物理要素はまた、ソフトウェアを搭載する媒体とみなされ得る。本明細書で使用される場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためのプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0096】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示すデータベースなどを実装するために使用され得るものなど、任意のコンピュータなどの記憶デバイスのうちのいずれかなどの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリが含まれる。有形伝送媒体は、同軸ケーブル、コンピュータシステム内のバスを備えるワイヤを含む、銅線、及び光ファイバが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波(radio frequency、RF)及び赤外線(infrared、IR)データ通信中に生成されたものなどの、電気シグナル若しくは電磁気シグナル、又は音波若しくは光波の形態をとり得る。そのため、一般的な形態のコンピュータ可読媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがそこからプログラミングコード若しくはデータを読み取る任意の他の媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためにプロセッサに搬送することに関与し得る。
【0097】
コンピュータシステム601は、例えば、処理パラメータ、データ分析、及び生物学的アッセイ又は反応(例えば、PCR)の結果を提供するためのユーザインターフェース(user interface、UI)640を備える、電子ディスプレイ635を含むか、又はそれと通信することができる。UIの例には、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)及びwebベースのユーザインターフェースが含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
本開示の方法及びシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって実施することができる。アルゴリズムは、中央処理装置605による実行時にソフトウェアによって実施することができる。アルゴリズムは、例えば、システムを調節若しくは制御するか、又は本明細書で提供される方法(例えば、試料装填、熱サイクル、検出など)を実施することができる。
実施例
実施例1:マイクロ流体デバイスにおける試料のデジタル化
【0099】
本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスを作製した。このマイクロ流体デバイスを図7A~7Gに示す。マイクロ流体デバイスは、複数の第1(例えば、流体流)及び第2(例えば、ガス放出)チャネルを有するデバイス本体を備えていた。流体流チャネルは、対応する吸い上げ開口部を介して複数のチャンバと流体連通していた。ガス放出チャネルは、流体流チャネルに隣接して配設された。流体流路は、入口に更に流体結合された。デバイスは更に、流体流チャネル、ガス放出チャネル及びチャンバの少なくとも一部を覆うフィルムを備えていた。
【0100】
第1のステップでは、図7Aに示すように、入口を通して試薬を細胞に流入させた。試薬は、流体流チャネルを通って、吸い上げ開口部を介して複数のチャンバ内に流れた(図7B、7C)。圧力差を適用して、溶液をフィルム及びガス放出チャネルを通してガス放出させた。ガス放出の間、試薬はチャンバを充填し続けた(図7D)。
【0101】
次いで、別の反応物(例えば、油)を、図7E及び7Fに示されるように、入口を通してデバイスに流入させ、流体流チャネルを通してチャンバに流入させた。このステップに続いて、試料は、図7Gに示されるように完全にデジタル化された。デジタル化は約12分で達成された。
【0102】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されることは、当業者には明らかであろう。本発明が、本明細書内で提供される特定の実施例によって限定されることを意図するものではない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されてきたが、本明細書の実施形態の説明及び図解は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。多くの変化形、変更、及び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。更に、本発明の全ての態様は、様々な条件及び変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、又は相対的な比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明を実施することにおいて採用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、そのような代替案、修正、変化形、又は等価物も網羅するものと想定される。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの等価物が、それによって網羅されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
【国際調査報告】